(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】触媒アップサイクル方法
(51)【国際特許分類】
C07C 4/10 20060101AFI20240209BHJP
C07C 15/02 20060101ALI20240209BHJP
C07C 15/24 20060101ALI20240209BHJP
C10G 1/10 20060101ALI20240209BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240209BHJP
【FI】
C07C4/10
C07C15/02
C07C15/24
C10G1/10
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549054
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 GB2022050407
(87)【国際公開番号】W WO2022175652
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519202452
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チャンクン
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ピーター ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジエ,シャンユ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
4H129
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC91
4H006BA71
4H006BA95
4H006DA12
4H039CA41
4H039CL30
4H129BA04
4H129BB03
4H129BB04
4H129BC12
4H129BC16
4H129KA02
4H129KC13X
4H129KC16X
4H129KC21X
4H129KC23X
4H129KC23Y
4H129KD14Y
4H129KD15Y
4H129NA27
(57)【要約】
1以上の芳香族化合物を製造する方法が提供され、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、前記固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む。該方法において使用する為に及びプラスチックをアップサイクルする為に適した固体触媒組成物がまた提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、前記固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、前記方法。
【請求項2】
前記芳香族化合物が、ベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体酸触媒がゼオライトである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゼオライトが、酸性アルミノシリケートゼオライト、酸性リン酸アルミニウムケイ素(SAPO)ゼオライト、又はゼオライトのメタロシリケートアナログから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ゼオライトがZSM-5ゼオライトである、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゼオライトのSi:Al比が約20~約60である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素源が、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、フラーレン、炭化物、木炭、石炭又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素源が、カーボンブラックである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記炭素源が、前記固体触媒の総重量の約1重量%~約50重量%で存在する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体触媒組成物が、約95:約5~約90:約10の比の、ZSM-5ゼオライト及びカーボンブラックからなる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記供給原料組成物が、約90%以上の1以上のプラスチックを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記供給原料組成物が、ポリエチレン及びポリプロピレンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
固体触媒組成物に対する供給原料組成物の比が、約50:約1~約1:約10である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
固体触媒組成物に対する供給原料組成物の比が、約3:約1~約1:約1である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、酸素を実質的に含まない雰囲気中で、及び/又は水を実質的に含まない雰囲気中で実行される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
炭素源と混合した固体酸触媒を含む固体触媒組成物。
【請求項17】
前記固体酸触媒がゼオライトである、請求項16に記載の固体触媒組成物。
【請求項18】
前記炭素源が、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、フラーレン、炭化物、木炭、石炭又はそれらの組み合わせから選択される、請求項16又は17に記載の固体触媒組成物。
【請求項19】
前記固体触媒組成物が、約95:約5~約90:約10の比の、ZSM-5ゼオライト及びカーボンブラックからなる、請求項16~18のいずれか1項に記載の固体触媒組成物。
【請求項20】
プラスチックをアップサイクルする為の及び/又は芳香族化合物を製造する為の、請求項16~19のいずれか1項に記載の固体触媒組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
本発明は、プラスチックを有用な化学物質、特に芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン混合物、に転化する為の方法に関する。該方法は、廃プラスチックをリサイクルする為に使用することができる。本発明の方法は、二官能性固体触媒組成物を使用してプラスチックを含む供給流から芳香族化合物を製造する為の単一工程のマイクロ波開始触媒方法を利用する。
【背景技術】
【0002】
過去半世紀にわたるプラスチックのますます増加する製造及び使用は、世界に大きな環境問題を引き起こしている。現在、これまでに製造された49億トンのプラスチックのほとんどは、埋め立て地又は自然環境になり、この数字は2050年までに約120億トンに増加すると予想される(Geyer,R.,Jambeck,J.R.&Law,K.L.Production,use,and fate of all plastics ever made.Science advances 3,e1700782(2017))。
【0003】
プラスチックは、軽量で、汎用性があり、安価で、ほとんど壊れない為に、膨大な範囲の用途において非常に有用である。これらの特性により、プラスチックは、食品を新鮮に保つ包装、医療用途に使用される滅菌材料、多くの手頃な価格の耐久性商品に使用される安価で軽量の部品に広く使用される。しかしながら、それらの堅牢な性質には代償がある。プラスチックは自然に分解するのが遅く、化学的にリサイクルするのが非常に困難である。これらの要因は、現在の世界的なプラスチック廃棄物の爆発的増加の一因となっている。
【0004】
ポリオレフィン、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE:high density polyethylene)、低密度ポリエチレン(LDPE:low density polyethylene)及びポリプロピレン(PP)、は、最も一般的なプラスチックであり、全製造量の約半分を占める。埋め立て地におけるプラスチック廃棄物を最小限に抑える為に、直接的なリサイクルの一次経路からエネルギー有価物化の四次経路に及ぶ幾つかのリサイクル方法(recycling method)及びアップサイクル方法(upcycling method)が提案されている(Lopez,G.,Artetxe,M.,Amutio,M.,Bilbao,J.&Olazar,M.Thermochemical routes for the valorization of waste polyolefinic plastics to produce fuels and chemicals.A review.Renewable and Sustainable Energy Reviews 73,346-368(2017))。しかしながら、これらの方法による合成プラスチックの閉鎖型のライフサイクルの開発では、達成される成功は限られている。
【0005】
解重合による化学的リサイクルは、未使用モノマーを回収することができる。しかしながら、熱化学的経路は、ポリオレフィン、すなわち、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレン(PP)、の回収の為に法外な量のエネルギーを必要とする。制御された部分的解重合は、プラスチック廃棄物からより有益な化学物質、例えば芳香族を製造することができるが、そのような方法はまだほとんど開発されていない(Zhang,Fan,et al.“Polyethylene upcycling to long-chain alkylaromatics by tandem hydrogenolysis/aromatization.” Science 23 Oct 2020,Vol.370,Issue,6515,pp.437-441)。
【0006】
熱分解によるPE及びPPの解重合は典型的には、ガス状及び液状炭化水素とチャーとの広範囲の複合低価値混合物を生成する。しかしながら、低価値アルカン製品の製造は、大量の共反応物(夫々、H2又は液体アルカン)を使用した回収、分離、及び処理のコストを回収する可能性は低い(Zhang、Fanら、前出)。従って、より価値の高い石油化学物質、例えば芳香族は、プラスチックの部分解重合からのより魅力的な標的製品である。芳香族化合物は、燃料(例えばディーゼル及びガソリン)に幅広い用途があるが、ポリマー及び化学中間体の前駆体でもある。
【0007】
より具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン及びナフタレンは、多数の用途に有益な材料である。このような化合物の混合物は、ガソリンを含む芳香族燃料中に見出すことができる。ベンゼンは、例えばエチルベンゼン、クメン及びシクロヘキサンの製造において、化学中間体としてさらに使用されうる。トルエンは、例えば塗料、印刷インク及び接着剤の為の溶媒としての用途が見出されている。これは、ポリウレタンフォームの製造の為の出発材料であるトルエンジイソシアネートの調製における化学中間体としても使用される。さらに、これは、ベンゼン及びキシレンへの不均化に使用されうる。p-キシレンは、幾つかのプラスチック、例えばアラミド、及びポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のモノマーであるテレフタル酸の調製に使用される。o-キシレンは、PVCの為の可塑剤の製造に主に使用される。ナフタレンの主な市場はフタル酸の調製にある。
【0008】
芳香族、例えばBTX及び直鎖アルキル芳香族、への慣用的な経路は、化石燃料資源の精製工程を介し、エネルギー集約的な工程、例えば水蒸気分解を伴う。
【0009】
500℃を超える温度で発生し、中程度のみの収率の芳香族及び大量の低価値ガスをもたらすプラスチックの接触熱分解に関する幾つかの初期の報告がある(Lopezら、前出)。
【0010】
国際公開第2020/2047707号パンフレットは、プラスチックを高温(600℃~1000℃)で熱分解に供して蒸気を製造し、そして次に、これをわずかに冷却し、別個の触媒工程において450℃~700℃で芳香族化に供する2工程熱工程を記載している。得られた製品流は、プラスチック供給原料に対して45重量%未満のBTX、並びに二酸化炭素、一酸化炭素、オレフィン及び低分子量アルカンを含む多数の副製品を含む。
【0011】
国際公開第2020/231488号パンフレットは、コークス及び揮発性製品を製造する為の、固体触媒上でプラスチック及びコークス形成材料を含む供給原料の500℃~650℃で実行される熱触媒熱分解を記載している。製品流は、芳香族、例えばBTX、並びにオレフィン、低分子量アルカン、水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を含む。BTXの収率は約50重量%である。
【0012】
米国特許出願公開第2014/0228606号明細書は、オレフィンと芳香族との混合物を得る為の、600℃~700℃の温度での混合ゼオライト/FCC触媒上でのプラスチックの熱分解を記載している。一般的に、芳香族の収率は35重量%未満である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
消費後の廃プラスチックのライフサイクル管理に大きな利益をもたらす為に、良好な製品収率及び選択性をもたらす、プラスチックを芳香族化合物にアップサイクルする為の新しい方法が必要とされている。
【0014】
本明細書において、様々なプラスチックを高価値芳香族化合物、特にベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体(例えばBTX)に効率的にアップサイクルする為の単純でコンパクトで迅速なマイクロ波開始触媒方法が提供される。該方法は、革新的な固体触媒組成物を使用して高い収率及び選択性で進行する。この方法の為に設計された触媒組成物は、炭素源及び固体酸触媒を含み、一般的に安価で豊富である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの実施態様において、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物(feed composition)をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法が本明細書において提供される。
【0016】
別の実施態様において、炭素源と混合した固体酸触媒を含む固体触媒組成物が明細書において提供される。
【0017】
別の実施態様において、プラスチックをアップサイクルする為の及び/又は芳香族化合物を製造する為の、炭素源と混合した固体酸触媒を含む固体触媒組成物の使用が明細書において提供される。
【0018】
本発明の任意の1つの特定の態様の好ましい、適切な、及び任意の特徴はまた、任意の他の態様の好ましい、適切な、及び任意の特徴である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】PE対触媒比が1:1である5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC:total ionchromatogram)を示す。
【
図2】PE対触媒比が2:1である5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図3】PE対触媒比が3:1である5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図4】プラスチックの質量に対するガス及び液体の収率に関するプラスチック及び触媒組成物の異なる混合比の影響を重量%で示す。
【
図5】PP対触媒比が1:1である5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図6a】サイクル1の、PE対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図6b】サイクル2の、PE対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図6c】サイクル3の、PE対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図6d】サイクル4の、PE対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図6e】サイクル5の、PE対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図7a】サイクル1の、PP対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図7b】サイクル2の、PP対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図7c】サイクル3の、PP対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図7d】サイクル4の、PP対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図7e】サイクル5の、PP対触媒比が2:1である、リサイクル5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図8a】PE対触媒比が2:1である100:0 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図8b】PE対触媒比が2:1である2:98 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図8c】PE対触媒比が2:1である5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図8d】PE対触媒比が2:1である10:90 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図8e】PE対触媒比が2:1である20:80 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図8f】PE対触媒比が2:1である0:100 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図9a】ゼオライトが18のSi:Alを有し、PE対触媒比が2:1である、CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図9b】ゼオライトが21のSi:Alを有し、PE対触媒比が2:1である、CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図9c】ゼオライトが60のSi:Alを有し、PE対触媒比が2:1である、CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図9d】ゼオライトが117のSi:Alを有し、PE対触媒比が2:1である、CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図10】PE対触媒比が1:1である50:50 CNT/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図11】PE対触媒比が1:1である50:50 Mo
2C/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図12】PE対触媒比が1:1である50:50 Cr
3C
2/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図13a】50Wのマイクロ波入力電力でのCB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図13b】100Wのマイクロ波入力電力でのCB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図13c】150Wのマイクロ波入力電力でのCB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図13d】300Wのマイクロ波入力電力でのCB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【
図13e】500Wのマイクロ波入力電力でのCB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本明細書において使用される場合、語「芳香族化合物」は、1以上の芳香環系を含む炭化水素化合物を云う。芳香族化合物は、単一の芳香環系(すなわち、単一芳香環系化合物)、例えば、ベンゼン及びアルキル置換ベンゼン等を含みうる。代替的には、芳香族化合物は、2つ以上の芳香環系(すなわち、多芳香環系化合物)、例えば、ナフタレン、アントラセン等を含みうる。本明細書に記載の方法によって製造されうる芳香族化合物の例は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、クメン、ナフタレン、2-メチル-ナフタレン、アントラセン、フェナントラセン等を包含する。単一芳香環系化合物の例は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、及びクメンである。芳香族化合物は、「芳香族」と互換的に呼ばれうる。
【0021】
本明細書において使用される場合、語「BTX」は、ベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体(すなわち、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン)のみを実質的に含む芳香族炭化水素の混合物を云う。好適には、BTXは、ベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体(すなわち、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン)の混合物から本質的になる。好適には、BTXは、ベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体(すなわち、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン)の混合物からなる。
【0022】
本明細書において使用される場合、語「固体触媒組成物」は、標準周囲温度及び圧力(SATP)、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)で固体である触媒組成物を云う。
【0023】
本明細書において使用される場合、語「液体製品」は、標準周囲温度及び圧力(SATP)、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)で液体状態にある反応生成物の部分を云う。
【0024】
本明細書において使用される場合、語「ガス状製品」は、標準周囲温度及び圧力(SATP)、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)でガス状態にある反応生成物の部分を云う。
【0025】
本明細書において使用される場合、語「アップサイクル」は、一般的に廃棄物又は不所望の材料である材料を、より容易に処分されうるか又は用途が更新されうる代替材料に転化することを云う。好適には、アップサイクルは、材料を少なくとも1つの新しい用途を有する代替材料に転化する。本発明では、廃プラスチックは、例えばBTXを含む一連の芳香族化合物にアップサイクルされうる。
【0026】
本明細書において使用される場合、語「解重合する」は、他の化合物、例えば炭化水素、モノマー又はそれらの混合物、を得る為のポリマー化学構造の分解を云う。
【0027】
本明細書において使用される場合、語「プラスチック」は、1以上の熱可塑性又は熱硬化性ポリマーを含むポリマー材料(一般的にSATPでは固体)を云う。好適には、プラスチックは、1以上の熱可塑性又は熱硬化性ポリマーから(本質的に)なる。好適には、プラスチックは、1以上の熱可塑性ポリマーから(本質的に)なる。好適には、プラスチックは、様々なプラスチックの混合物でありうる廃プラスチックである。プラスチックは、それらが構成するポリマーの名称によって呼ばれうる。一般的なプラスチックの例は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンである。
【0028】
本明細書において使用される場合、語「熱可塑性ポリマー」は、特定の温度を超えて柔軟又は成形可能になり、冷却すると固化するが、加熱すると再溶融することができるポリマーを云う。典型的には、熱可塑性ポリマーは、約60℃~約300℃、約80℃~約250℃又は約100℃~約250℃の溶融温度を有する。好適には、熱可塑性ポリマーは、市販のプラスチック製品に一般的に含まれるものである。適切な熱可塑性ポリマーには、一般的に、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、それらのコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれる。熱可塑性ポリマーの例は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、天然ゴム(NR)、及びポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン(PU)を包含する。
【0029】
本明細書において使用される場合、語「熱硬化性ポリマー」は、不可逆的に硬化し、再加熱時に再加工することができないポリマーを云う。熱硬化性ポリマーの例は、ポリウレタン及びポリオキシベンジルメチレングリコール無水物(Bakelite(商標))である。
【0030】
本明細書において使用される場合、語「混合物」は、各物質の同一性が保持される2つ以上の物質の物理的組み合わせを云う。混合物は、2つの物質を一緒に機械的に混合(例えば、破砕、粉砕又はブレンド)することによって適切に調製されうる。
【0031】
本明細書において使用される場合、語「選択性」は、所与の製品の合計の割合としての特定の製品の製造量を云う。例えば、0.1グラムの芳香族化合物が反応で製造され、0.05グラムのトルエンがこれらの芳香族化合物中に見出される場合、芳香族製品の中のトルエンに対する選択性は50%である。
【0032】
方法
1つの実施態様において、本発明は、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法が、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法を提供する。
【0033】
1つの実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1-メチル-4-プロピル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン、クメン、ナフタレン、及び2-メチル-ナフタレンから選択される1以上の芳香族化合物を製造する。
【0034】
別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1-メチル-4-プロピル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン、及びクメンから選択される1以上の芳香族化合物を製造する。
【0035】
別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、及び1,3,5-トリメチル-ベンゼンから選択される1以上の芳香族化合物を製造する。
【0036】
別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン、ナフタレン、及び2-メチル-ナフタレンから選択される1以上の芳香族化合物を製造する。
【0037】
別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンから選択される1以上の芳香族化合物を製造する。別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンを含む混合芳香族化合物を製造する。
【0038】
別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンから選択される1以上の芳香族化合物を製造する。別の実施態様において、該方法は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンを含む芳香族化合物の混合物を製造する。
【0039】
別の実施態様において、該方法は、単一芳香環系化合物を含む1以上の芳香族化合物を製造する。別の実施態様において、該方法は、単一芳香族系化合物を含む芳香族化合物の混合物を製造する。
【0040】
好適には、該方法は、芳香族化合物、例えば単一芳香環系化合物を提供する。従って、1つの実施態様において、1以上の単一芳香環系化合物を製造する方法であって、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法が提供される。
【0041】
別の実施態様において、単一芳香環系化合物の混合物を製造する方法であって、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法が提供される。
【0042】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1-メチル-4-プロピル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン及びクメンのうちの1以上から選択される。
【0043】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン及び1,3,5-トリメチル-ベンゼンのうちの1以上から選択される。
【0044】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンのうちの1以上から選択される。好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンの混合物である。
【0045】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンのうちの1以上から選択される。好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンの混合物である。
【0046】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンを含む。
【0047】
好適には、該方法は、芳香族化合物、例えばBTXの混合物、を提供する。従って、1つの実施態様において、BTXを製造する方法であって、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法が提供される。
【0048】
該方法によって製造された芳香族化合物混合物は、当技術分野において既知の慣用的な蒸留、膜分離、ハイブリッド膜蒸留、選択吸着、又は促進輸送系によって分離及び精製することができる。不純物の除去は、芳香族を他の凝縮性成分から分離する前又は後に、任意的に実施することができる。
【0049】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約50%以上の液体製品の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約55%以上の液体製品の質量収率、より好適には約60%以上の質量収率、より好適には約65%以上の質量収率、より好適には約70%以上の質量収率、より好適には約75%以上の質量収率、より好適には約80%以上の質量収率、をもたらす。
【0050】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約50%~約99%の液体製品の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約55%~約99%の液体製品の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約60%~約99%の液体製品の質量収率、より好適には約65%~約99%の質量収率、より好適には約65%~約99%の質量収率、より好適には約70%~約99%の質量収率、又はより好適には約75%~約99%の質量収率、をもたらす。
【0051】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約50%~約90%の液体製品の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約55%~約90%の液体製品の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約60%~約90%の液体製品の質量収率、より好適には約65%~約90%の質量収率、より好適には約65%~約90%の質量収率、より好適には約70%~約90%の質量収率、又はより好適には約75%~約90%の質量収率、をもたらす。
【0052】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約50%~約85%の液体製品の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約55%~約85%の液体製品の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約60%~約85%の液体製品の質量収率、より好適には約65%~約85%の質量収率、より好適には約65%~約85%の質量収率、より好適には約70%~約85%の質量収率、又はより好適には約75%~約85%の質量収率、をもたらす。
【0053】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%以上の芳香族化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%以上の芳香族化合物の質量収率、より好適には約40%以上の質量収率、より好適には約50%以上の質量収率、より好適には約60%以上の質量収率、より好適には約70%以上の質量収率、より好適には約75%以上の質量収率、をもたらす。
【0054】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約99%の芳香族化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約99%の芳香族化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約99%の芳香族化合物の質量収率、より好適には約50%~約99%の質量収率、より好適には約60%~約99%の質量収率、より好適には約70%~約99%の質量収率、より好適には約75%~約99%の質量収率、をもたらす。
【0055】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約90%の芳香族化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約90%の芳香族化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約90%の芳香族化合物の質量収率、より好適には約50%~約90%の質量収率、より好適には約60%~約90%の質量収率、より好適には約70%~約90%の質量収率、より好適には約75%~約90%の質量収率、をもたらす。
【0056】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約85%の芳香族化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約85%の芳香族化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約85%の芳香族化合物の質量収率、より好適には約50%~約85%の質量収率、より好適には約55%~約85%の質量収率、より好適には約60%~約85%の質量収率、より好適には約65%~約85%の質量収率、より好適には約70%~約85%の質量収率、をもたらす。
【0057】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約80%の芳香族化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約80%の芳香族化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約80%の芳香族化合物の質量収率、より好適には約50%~約80%の質量収率、より好適には約55%~約80%の質量収率、より好適には約60%~約80%の質量収率、より好適には約65%~約80%の質量収率、より好適には約70%~約80%の質量収率、をもたらす。
【0058】
1つの実施態様において、全液体製品中の芳香族化合物に対する選択性は、約50%以上、好適には約60%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、好適には約80%以上、好適には約85%以上、好適には約90%以上、好適には約95%以上、である。
【0059】
1つの実施態様において、全液体製品中の芳香族化合物に対する選択性は、約50%~約99%、好適には、約60%~約99%、好適には約70%~約99%、好適には約75%~約99%、好適には約80%~約99%、好適には約85%~約99%、好適には約90%~約99%、である。
【0060】
1つの実施態様において、全液体製品中の芳香族化合物に対する選択性は、約50%~約95%、好適には、約60%~約95%、好適には約70%~約95%、好適には約75%~約95%、好適には約80%~約95%、好適には約85%~約95%、である。
【0061】
1つの実施態様において、全液体製品中の芳香族化合物に対する選択性は、約50%~約90%、好適には、約60%~約90%、好適には約70%~約90%、好適には約75%~約90%、好適には約80%~約90%、である。
【0062】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%以上の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%以上の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約40%以上の質量収率、より好適には約50%以上の質量収率、より好適には約60%以上の質量収率、より好適には約70%以上の質量収率、より好適には約75%以上の質量収率、をもたらす。
【0063】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約99%の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約99%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約99%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約50%~約99%の質量収率、より好適には約60%~約99%の質量収率、より好適には約70%~約99%の質量収率、より好適には約75%~約99%の質量収率、をもたらす。
【0064】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約90%の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約90%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約90%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約50%~約90%の質量収率、より好適には約60%~約90%の質量収率、より好適には約70%~約90%の質量収率、より好適には約75%~約90%の質量収率、をもたらす。
【0065】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約80%の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約80%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約80%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約50%~約80%の質量収率、より好適には約55%~約80%の質量収率、より好適には約60%~約80%の質量収率、より好適には約65%~約80%の質量収率、より好適には約70%~約80%の質量収率、をもたらす。
【0066】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約70%の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約70%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約70%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約50%~約70%の質量収率、より好適には約55%~約70%の質量収率、より好適には約60%~約70%の質量収率、をもたらす。
【0067】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約65%の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約65%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約65%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約50%~約65%の質量収率、より好適には約55%~約65%の質量収率、をもたらす。
【0068】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約60%の単一芳香環系化合物の質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約60%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約60%の単一芳香環系化合物の質量収率、より好適には約50%~約60%の質量収率、より好適には約55%~約60%の質量収率、をもたらす。
【0069】
該方法が単一芳香環系化合物を製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中の単一芳香環系化合物に対する選択性は、約50%以上、好適には約55%以上、好適には約60%以上、好適には約65%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、好適には約80%以上、好適には約85%以上、好適には約90%以上、である。
【0070】
該方法が単一芳香環系化合物を製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中の単一芳香環系化合物に対する選択性は、約20%~約99%、好適には、約30%~約99%、好適には約40%~約99%、好適には約50%~約99%、好適には約60%~約99%、好適には約70%~約99%、好適には約75%~約99%、である。
【0071】
該方法が単一芳香環系化合物を製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中の単一芳香環系化合物に対する選択性は、約20%~約95%、好適には、約30%~約95%、好適には約40%~約95%、好適には約50%~約95%、好適には約60%~約95%、好適には約65%~約95%、である。
【0072】
該方法が単一芳香環系化合物を製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中の単一芳香環系化合物に対する選択性は、約20%~約90%、好適には、約30%~約90%、好適には約40%~約90%、好適には約50%~約90%、好適には約60%~約90%、好適には約70%~約90%、好適には約75%~約90%、である。
【0073】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%以上のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%以上のBTXの質量収率、より好適には約40%以上の質量収率、より好適には約50%以上の質量収率、より好適には約60%以上の質量収率、より好適には約70%以上の質量収率、より好適には約75%以上の質量収率、より好適には約80%以上の質量収率、より好適には約85%以上の質量収率、より好適には約90%以上の質量収率、をもたらす。
【0074】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約99%のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約99%のBTXの質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約99%のBTXの質量収率、より好適には約50%~約99%の質量収率、より好適には約60%~約99%の質量収率、より好適には約70%~約99%の質量収率、より好適には約75%~約99%の質量収率、をもたらす。
【0075】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約90%のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約90%のBTXの質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約90%のBTXの質量収率、より好適には約50%~約90%の質量収率、より好適には約60%~約90%の質量収率、より好適には約70%~約90%の質量収率、より好適には約75%~約90%の質量収率、をもたらす。
【0076】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約80%のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約80%のBTXの質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約80%のBTXの質量収率、より好適には約50%~約80%の質量収率、より好適には約55%~約80%の質量収率、より好適には約60%~約80%の質量収率、より好適には約65%~約80%の質量収率、より好適には約70%~約80%の質量収率、をもたらす。
【0077】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約70%のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約70%のBTXの質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約70%のBTXの質量収率、より好適には約50%~約70%の質量収率、より好適には約55%~約70%の質量収率、より好適には約60%~約70%の質量収率、をもたらす。
【0078】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約65%のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約65%のBTXの質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約65%のBTXの質量収率、より好適には約50%~約65%の質量収率、より好適には約55%~約65%の質量収率、をもたらす。
【0079】
1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約20%~約60%のBTXの質量収率、好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約30%~約60%のBTXの質量収率、より好適には、該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対して約40%~約60%のBTXの質量収率、より好適には約50%~約60%の質量収率、より好適には約55%~約60%の質量収率、をもたらす。
【0080】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中のBTXに対する選択性は、約20%以上、好適には、約30%以上、好適には約40%以上、好適には約50%以上、好適には約60%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、好適には約80%以上、好適には約85%以上、好適には約90%以上、好適には約95%以上、である。
【0081】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中のBTXに対する選択性は、約20%~約90%、好適には、約30%~約90%、好適には約40%~約90%、好適には約50%~約90%、好適には約60%~約90%、好適には約70%~約90%、好適には約75%~約90%、である。
【0082】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中のBTXに対する選択性は、約20%~約80%、好適には、約30%~約80%、好適には約40%~約80%、好適には約50%~約80%、好適には約60%~約80%、好適には約70%~約80%、好適には約75%~約80%、である。
【0083】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中のBTXに対する選択性は、約20%~約75%、好適には、約30%~約75%、好適には約40%~約75%、好適には約50%~約75%、好適には約60%~約75%、好適には約65%~約75%、である。
【0084】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全芳香族化合物中のBTXに対する選択性は、約20%~約70%、好適には、約30%~約70%、好適には約40%~約70%、好適には約50%~約70%、好適には約55%~約70%、好適には約60%~約70%、である。
【0085】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全液体製品中のBTXに対する選択性は、約20%以上、好適には、約30%以上、好適には約40%以上、好適には約50%以上、好適には約60%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、好適には約80%以上、好適には約85%以上、好適には約90%以上、好適には約95%以上、である。
【0086】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全液体製品中のBTXに対する選択性は、約20%~約90%、好適には、約30%~約90%、好適には約40%~約90%、好適には約50%~約90%、好適には約60%~約90%、好適には約70%~約90%、好適には約75%~約90%、である。
【0087】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全液体製品中のBTXに対する選択性は、約20%~約80%、好適には、約30%~約80%、好適には約40%~約80%、好適には約50%~約80%、好適には約60%~約80%、好適には約70%~約80%、好適には約75%~約80%、である。
【0088】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全液体製品中のBTXに対する選択性は、約20%~約75%、好適には、約30%~約75%、好適には約40%~約75%、好適には約50%~約75%、好適には約60%~約75%、好適には約65%~約75%、である。
【0089】
該方法がBTXを製造する1つの実施態様において、製造される全液体製品中のBTXに対する選択性は、約20%~約70%、好適には、約30%~約70%、好適には約40%~約70%、好適には約50%~約70%、好適には約55%~約70%、好適には約60%~約70%、である。
【0090】
本発明の方法は、プラスチック、特に廃プラスチック、の処理に特に適している。従って、本発明はまた、プラスチック、特に廃プラスチック、をアップサイクルする為の方法であって、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法を提供する。
【0091】
1つの実施態様において、該実施態様の各々の方法は、酸素を実質的に含まない雰囲気中で、好適には、酸素を含まない雰囲気中で、実行される。別の実施態様において、該方法は、酸素を実質的に含まない雰囲気中で、好適には酸素を含まない雰囲気中で、該供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含む。
【0092】
別の実施態様において、該方法は、水を実質的に含まない雰囲気中で、好適には、水を含まない雰囲気中で、実行される。別の実施態様において、該方法は、水を実質的に含まない雰囲気中で、好適には水を含まない雰囲気中で、該供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含む。
【0093】
別の実施態様において、該方法は、酸素及び水を実質的に含まない雰囲気中で、好適には、酸素及び水を含まない雰囲気中で、実行される。別の実施態様において、該方法は、酸素及び水を実質的に含まない雰囲気中で、好適には、酸素及び水を含まない雰囲気中で、該供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含む。
【0094】
別の実施態様において、該方法は不活性雰囲気中で実行される。別の実施態様において、該方法は、不活性雰囲気中で、該供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含む。
【0095】
該不活性雰囲気は、例えば、不活性ガス又は不活性ガスの混合物であってもよい。不活性ガス又は不活性ガスの混合物は、典型的には、希ガス、例えばアルゴンを含む。1つの実施態様において、不活性ガスはアルゴンである。別の実施態様において、不活性ガスは窒素である。
【0096】
該方法は、該供給原料組成物を該マイクロ波照射に曝露する前に、該供給原料組成物を不活性ガス又は不活性ガスの混合物でパージすることを含みうる。
【0097】
該方法は、該供給原料組成物を該マイクロ波照射に曝露する前に、該固体触媒組成物を不活性ガス又は不活性ガスの混合物でパージすることを含みうる。
【0098】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、該マイクロ波照射への曝露前、曝露の間、又は該マイクロ波照射への曝露前と曝露の間の両方で該触媒組成物と接触する。該供給原料組成物を、任意の適切な方法によって該触媒と接触させてもよい。例えば、該供給原料組成物を該固体触媒組成物と混合してもよい。該供給原料組成物は、粉砕、破砕、押出又はブレンド等の当技術分野において既知の方法によって、該固体触媒組成物と混合されうる。好適には、該供給原料組成物及び該触媒組成物は、該マイクロ波照射への曝露の間に混合される。
【0099】
1つの実施態様において、該供給原料組成物及び該触媒組成物は、該マイクロ波照射への曝露前に混合される。該供給原料組成物及び該固体触媒組成物は、粉末又はペレットの形態で混合されうる。従って、該供給原料組成物と該固体触媒組成物とが(好適には混合物として)組み合わされて、マイクロ波照射に曝露する前の別個の工程で反応組成物が形成されてもよい。代替的には、該供給原料組成物及び該固体触媒組成物は、マイクロ波反応器に別個に供給されてもよい。
【0100】
供給原料組成物対固体触媒組成物の比は変動してもよく、使用される方法条件に基づいて調整することができる。芳香族化合物は、高い又は低い触媒対供給原料比でプラスチックから製造することができる。しかしながら、1つの実施態様において、供給原料組成物対固体触媒組成物の比は、約50:約1~約1:約10、好適には約50:約1~約1:約1である。別の実施態様において、供給原料組成物対固体触媒組成物の比は、約10:約1~約1:約10、好適には約10:約1~約1:約1である。別の実施態様において、供給原料組成物対固体触媒組成物の比は、約5:約1~約1:約5、好適には約5:約1~約1:約1である。別の実施態様において、供給原料組成物対固体触媒組成物の比は、約3:約1~約1:約3、好適には約3:約1~約1:約1である。別の実施態様において、供給原料組成物対固体触媒組成物の比は、約5:約1、又は約4:約1、又は約3:約1、又は約2:約1、又は約1:約1、である。
【0101】
本発明の方法では、該供給原料組成物は、該組成物中のポリマーの部分的解重合、それに続くその製品の芳香族化を実現又は活性化する為に、該固体触媒組成物の存在下、マイクロ波照射に曝露される。典型的には、該解重合及び芳香族化は触媒的である。該供給原料組成物を該マイクロ波照射に曝露することにより、該供給原料組成物の熱が上昇しうるが、該供給原料組成物は必ずしも加熱されない。該供給原料組成物及び/又は該触媒組成物が曝露される該マイクロ波照射の他の可能な効果(電場又は磁場効果でありうる)には、電界放出、プラズマ生成及び仕事関数の修正が含まれるが、これらに限定されない。例えば、関与する高磁場は、触媒仕事関数を修正することができ、触媒表面でのプラズマの製造をもたらし、関与する化学方法の特性をさらにシフトさせることができる。該マイクロ波照射のそのような効果のいずれか1以上は、該供給原料組成物中のプラスチックの触媒解重合、及び解重合製品の芳香族化に関与、又は少なくとも寄与しうるか、実現、又は活性化しうる。
【0102】
該方法、特に該組成物を該マイクロ波照射に曝露する工程は、SATP以外の温度及び/又は圧力で実行されてもよい。実際、非常に低い温度及び非常に高い温度の両方、すなわち、周囲よりはるかに低い温度から周囲よりはるかに高い温度まで使用することができ、同様に、非常に低い圧力及び非常に高い圧力を使用することができる。しかしながら、典型的には、該組成物を電磁放射線に曝露する工程は、SATP又はそれに比較的近い温度及び圧力で実行される。
【0103】
該方法は、例えば、-20℃~300℃、例えば0℃~200℃の温度、又は5℃~100℃、又は例えば10℃~50℃、の温度で、該組成物を該マイクロ波照射に曝露することを含みうる。
【0104】
さらに、該方法は、0.01バール~100バールの圧力、又は例えば0.1バール~10バール、例えば0.5バール~5バール、又は例えば0.5バール~2バール、の圧力で該組成物を該マイクロ波照射に曝露することを含みうる。より典型的な場合、該方法は、0℃~200℃の温度及び0.5バール~5バールの圧力で該組成物を該電磁放射線に曝露することを含む。例えば、10℃~50℃の温度及び0.5バール~2バールの圧力で該組成物を該電磁放射線に曝露することを含みうる。
【0105】
典型的には、該方法は、約1秒~約3時間で、例えばバッチ式方法で完了する。好適には、該方法は、約1秒~約1時間、より好適には約1秒~約10分間、より好適には約1秒~約5分間以内、に完了する。
【0106】
1つの実施態様において、該方法は、例えばバッチ式方法で、10秒~約3時間で完了する。好適には、該方法は、約10秒~約1時間、より好適には約10秒~約10分間、より好適には約10秒~約5分間以内、に完了する。
【0107】
別の実施態様において、該方法は、例えばバッチ式方法で、30秒~約3時間で完了する。好適には、該方法は、約30秒~約1時間、より好適には約30秒~約10分間、より好適には約30秒~約5分間以内、に完了する。
【0108】
該方法は、バッチ式で実施してもよいが、連続モードを使用してもよい。従って、1つの実施態様において、該方法は、該供給原料組成物と該固体触媒組成物とを一緒にして反応組成物を与える先行工程を含む。
【0109】
該反応組成物が該マイクロ波反応器に供給される場合、任意の適切な供給速度が使用されうる。例えば、プラスチックと固体触媒組成物(反応組成物)との混合物は、約0.1kg・h-1以上の供給速度でマイクロ波反応器に供給されうる。例えば、該反応組成物は、約1kg・h-1以上の供給速度でマイクロ波反応器に供給されうる。好適には、該供給速度は、約10kg・h-1以上、例えば約100kg・h-1以上、又は例えば約1,000kg・h-1以上、である。
【0110】
1つの実施態様において、該反応組成物の供給速度は、約0.1kg・h-1~約2,000kg・h-1、例えば約0.1kg・h-1~約1,000kg・h-1の供給速度、例えば約0.1kg・h-1~約500kg・h-1の供給速度、例えば約0.1kg・h-1~約100kg・h-1の供給速度、例えば約0.1kg・h-1~約10kg・h-1の供給速度、例えば約0.1kg・h-1~約1kg・h-1、の供給速度、である。
【0111】
1つの実施態様において、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法が、(i)少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物と固体触媒組成物とを一緒にして反応組成物を与えること、及び(ii)該反応組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が、固体酸触媒及び炭素源を含み、好適には該炭素源がカーボンブラックである、上記方法が提供される。
【0112】
1つの実施態様において、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法が、(i)少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物と固体触媒組成物とを一緒にして反応組成物を与えること、及び(ii)該反応組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が、ゼオライト及び炭素源を含み、好適には該ゼオライトがZSM-5ゼオライトである、上記方法が提供される。
【0113】
1つの実施態様において、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法が、固体触媒組成物の存在下、ポリエチレン又はポリプロピレンを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物がゼオライト及び炭素源を含み、好適には該ゼオライトがZSM-5ゼオライトである、上記方法が提供される。
【0114】
別の実施態様において、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法が、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物がZSM-5ゼオライト及びカーボンブラックを含む、上記方法が提供される。
【0115】
別の実施態様において、1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法が、固体触媒組成物の存在下、少なくとも約70重量%のプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が酸性ゼオライト及びカーボンブラックを含み、好適には該供給原料組成物及び固体酸組成物が150℃~350℃に加熱される、上記方法が提供される。
【0116】
別の実施態様において、BTXを製造する方法であって、該方法が、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物がゼオライト及びカーボンブラックを含み、好適には該ゼオライトが酸性ゼオライトであり、より好適には酸性ZSM-5ゼオライトである、上記方法が提供される。
【0117】
固体触媒組成物
本発明の方法は、該供給原料組成物を、固体酸触媒及び炭素源を含む固体触媒組成物と接触させることを含む。
【0118】
1つの実施態様において、本発明は、炭素源と混合した固体酸触媒を含む固体触媒組成物に関する。
【0119】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、炭素源と混合した固体酸触媒から本質的になるか、又はそれからなる。
【0120】
固体酸触媒は当業者に周知である。周知の例は、ゼオライト及び粘土を包含する。
【0121】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、ゼオライト、好適には酸性ゼオライトを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0122】
当業者には理解されるように、アルミノシリケートゼオライトは、複数のSiO4四面体及びAlO4四面体を含み、各AlO4四面体は、その三価アルミニウムと共に、一価、二価又は三価のカチオンによって平衡される追加の負電荷を有する。そのようなゼオライトは、多くの場合、それらのナトリウム形態で調製される。しかしながら、Na+をH+で置換することによって(酸性ゼオライトを製造する為に)表面酸性度を生成することができる。プロトンは、イオン交換形態、水の加水分解、又はカチオンの水和若しくはカチオンのより低い原子価状態への還元によって構造に導入することができる。水素ゼオライトの場合、負に帯電した骨格アルミニウムに関連するプロトンがブレンステッド酸活性の源であり、触媒活性と骨格アルミニウムに関連するプロトン部位の濃度との間の線形関係が実証されている。
【0123】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、ZSM-5ゼオライト、ZSM-11ゼオライト、ZSM-23ゼオライト、ZSM-35ゼオライト、ZSM-57ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、ゼオライトベータ、MCM-22、SSZ-23、SUZ-4、(S)AIPO-31、SAPO-34、モルデナイト(mordenite)及びホージャサイト(faujasite)からなる群から適切に選択されるゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0124】
別の実施態様において、該固体酸触媒は、ZSM-5ゼオライト及びY型ゼオライトからなる群から適切に選択されるゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0125】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、水素ゼオライト(H-ゼオライト)、例えば、H-ZSM-5、H-ベータ、H-Y又はH-モルデナイト、を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0126】
別の実施態様において、該固体酸触媒は、酸性リン酸アルミニウムケイ素(SAPO:acidicsilicon aluminium phosphate)ゼオライト、例えばSAPO-34を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。SBAはまた、使用されうる適切なゼオライト触媒である。
【0127】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、酸性アルミノシリケートゼオライト、酸性リン酸アルミニウムケイ素(SAPO)ゼオライト、又はゼオライトのメタロシリケートアナログ、例えばフェロシリケート、から選択されるゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0128】
別の実施態様において、該固体酸触媒は、下記の一般式(I):
[Mn+]x/n[(AlO2
-)x(SiO2)y] (I)
を有する酸性アルミノシリケートゼオライトから選択されるゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、
式中、
MはH+であるか、又はMは2つ以上の異なるカチオンであり、そのうちの1つはH+であり;
nはカチオンの価数であり;及び、
Si:Al比y/xは1~300である。
【0129】
1つの実施態様において、Si:Al比y/xは例えば、約20~約90、例えば約20~約80、例えば約20~約60、又は例えば約30~約60、又は約40~約60、でありうる。1つの実施態様において、Si:Al比y/xは約50である。
【0130】
1つの実施態様において、Mが2つ以上の異なるカチオンであり、そのうちの1つがH+である場合、他のカチオンMに対するH+の電荷比は、典型的には1以上である。換言すれば、全てのMn+カチオンから生じる複数の正電荷の少なくとも半分は、典型的にはプロトンに起因する。
【0131】
1つの実施態様において、該ゼオライトは、約2~約200、例えば約5~約100、例えば約10~約80、又は例えば約10~約60、のSi:Al比を有する。
【0132】
1つの実施態様において、該ゼオライトは、約10~90、例えば約10~約80、例えば約10~約60、又は例えば約20~約60、又は約30~約60、又は約40~約60、のSi:Al比を有する。
【0133】
典型的には、該固体酸触媒は、約20~約90、例えば約20~約80、例えば約20~約60、又は例えば約30~約60、又は約40~約60のSi:Al比を有するH-ZSM-5である。1つの実施態様において、該固体酸触媒は、約50~約60のSi/Al比を有するH-ZSM-5である。このようなH-ZSM-5触媒は、ZEOLYST international Companyから市販されている。
【0134】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は粘土、好適には酸活性化粘土である。適切な粘土触媒は、イライト族、スメクタイト族、バーミキュライト族及びカオリナイト族から選択されうる。1つの実施態様において、該粘土は、スメクタイト粘土(smectite clay)、例えばベントナイト(bentonite)(モンモリロナイト(montmorillonite)としてまた知られる)粘土、である。好適には、該ベントナイト粘土は、酸活性化されている。
【0135】
天然粘土の反応特性は、酸処理/活性化によって変更又は増強することができる。このような処理は、重要な物理的特性、例えば表面積、細孔容積、及び表面酸性度の変化を伴う。酸処理は、粘土の層状構造を破壊し、層間表面の一部を大気中のN2及び非膨潤吸着剤に曝露する。従って、可溶性格子イオンが八面体部位に徐々に溶解した後、表面積が増加する。Al3+イオン、Mg2+イオン及びFe3+イオンの部分溶解により、八面体の角部のヒドロキシル基のプロトンは、構造変形及び酸性度の増加の結果としてより不安定になりうる。
【0136】
別の実施態様において、該固体酸触媒は、固体ヘテロポリ酸でありうる。適切な固体ヘテロポリ酸としては、例えば、CsxHx-3PW12O40、H3PW12O40・6H2O、H3PW12O40/K-10粘土、Ag0.5H2.5PW12O40、Zr0.7H0.2PW12O40及びH3PW12O40/ZrO2が挙げられる。
【0137】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、メソポーラス固体酸触媒を含む。触媒作用の文脈における語「メソポーラス」の意味は、当技術分野において周知である。例えば、IUPAC Goldbookは、メソポーラスを、特に2nm~0.05μmの幅を有する、ミクロポーラスとマクロポーラスとの間の中間サイズの細孔を意味するものと定義している。
【0138】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、結晶性メソポーラス固体酸触媒を含む/から本質的になる/からなる。
【0139】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、メソポーラス固体酸触媒を含むか、又は本質的にそれからなるか、又はそれからなる。別の実施態様において、該固体酸触媒は、非規則性メソポーラス固体酸触媒を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。別の実施態様において、該固体酸触媒は、規則性メソポーラス固体酸触媒を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0140】
1つの実施態様において、該メソポーラス固体酸触媒は、メソポーラス形態の上述の固体酸触媒のいずれかでありうる。1つの実施態様において、該触媒組成物は、メソポーラスゼオライト触媒、好適にはメソポーラスH-ゼオライト触媒を含む。
【0141】
1つの実施態様において、該触媒組成物は、メソポーラス酸性アルミノシリケートゼオライト又はメソポーラス酸性リン酸アルミニウムケイ素(SAPO)ゼオライトから選択されるメソポーラス固体酸触媒を含む。別の実施態様において、該触媒組成物は、メソポーラスH-ZSM-5であるメソポーラス触媒を含む。
【0142】
別の実施態様において、該固体酸触媒は、結晶性ナノポーラス固体酸触媒又は結晶性ミクロポーラス固体酸触媒を含む/から本質的になる/からなる。
【0143】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、1以上の希土類金属を含みうる。例えば、ゼオライトは希土類交換されてもよい。希土類含有量は、0%より高くてもよく、ゼオライトの10重量%程度に高くてもよく、0.1~3重量%のゼオライトが典型的である。
【0144】
適切な希土類金属にはセリウム、ランタンが含まれ、他の希土類材料はLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu又はGdである。1つの実施態様において、該希土類金属は、La及びCeから選択される。1つの実施態様において、該固体酸触媒は、La又はCeから適切に選択される希土類金属を含むゼオライトを含むか、又は本質的にそれからなる。
【0145】
該炭素源は、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック(acetylene black)、チャンネルブラック(channel black)、ファーネスブラック(furnace black)、ランプブラック(lamp black)及びサーマルブラック(thermal black))、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、フラーレン、炭化物、木炭、石炭又はそれらの組み合わせからなる群から選択されうる。
【0146】
1つの実施態様において、該炭素源は、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック)、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭化物、木炭、石炭又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0147】
別の実施態様において、該炭素源は、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック)、活性炭、グラフェン、グラファイト、木炭、石炭又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0148】
別の実施態様において、該炭素源はカーボンブラックである。カーボンブラックは、制御条件下でのガス状炭化水素又は液状炭化水素の不完全燃焼又は熱分解によって製造されるコロイド粒子の形態の純粋な元素状炭素からなる。カーボンブラックの物理的外観は、微粉末の外観である。2つのカーボンブラック製造方法が、世界のカーボンブラックのほぼ全てを製造する。これらはファーネスブラック及びサーマルブラックである。他のカーボンブラックには、アセチレンブラック、チャンネルブラック及びランプブラックが含まれる。1つの実施態様において、該炭素源は、1以上のカーボンブラックを含む、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。好適には、該炭素源は、ファーネスブラック及び/又はサーマルブラックを含む、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0149】
1つの実施態様において、該炭素源は炭化物、例えば金属炭化物である。適切な金属炭化物は、炭化クロム(例えば、Cr3C2)、炭化モリブデン(例えば、Mo2C)、炭化タングステン(例えば、WC)、炭化ジルコニウム(例えば、ZrC)、及び炭化チタン(例えば、TiC)から選択される。
【0150】
1つの実施態様において、該固体酸触媒は、ゼオライト、好適にはZSM-5ゼオライト、より好適にはH-ZSM-5ゼオライト、であり、該炭素源は、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、グラファイト、木炭、石炭又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0151】
1つの実施態様において、該炭素源はカーボンブラックであり、該固体酸触媒はゼオライト、好適にはZSM-5ゼオライト、好適にはH-ZSM-5ゼオライト、である。
【0152】
1つの実施態様において、該炭素源はカーボンブラックであり、該固体酸触媒は水素ゼオライト(H-ゼオライト)、例えばH-ZSM-5、H-ベータ、H-Y又はH-モルデナイト、である。
【0153】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、固体酸触媒と炭素源との機械的混合物である。すなわち、該触媒組成物は、固体酸触媒と炭素源との不均一混合物である。このように、該固体酸触媒は該炭素源によって化学的に修飾されておらず、それらは単に物理的混合物である。
【0154】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、固体酸触媒及び炭素源を含み、該炭素源は、該固体酸触媒に支持されていない、すなわち該固体酸触媒の外面又は内面に化学的に結合していない、又は該固体酸触媒の細孔を閉塞しない。
【0155】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、該固体触媒組成物の総重量に対して少なくとも約1重量%の該炭素源を含む。例えば、該触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約3重量%の該炭素源、好適には、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約5重量%の該炭素源、を含みうる。
【0156】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約10重量%の該炭素源、あるいは該固体触媒組成物の少なくとも約20重量%の該炭素源、又は少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%の該炭素源を含む。
【0157】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、該固体触媒組成物の総重量に対して、約1重量%~約50重量%の該炭素源を含む。例えば、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して、約1重量%~約40重量%の該炭素源、好適には、該触媒組成物の総重量に対して、約1重量%~約30重量%の該炭素源、より好適には、該触媒組成物の総重量に対して、約1重量%~約20重量%の該炭素源、より好適には約1重量%~約10重量%の該炭素源、を含みうる。
【0158】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して、約5重量%~約20重量%の該炭素源を含む。例えば、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して、約5重量%~約15重量%の該炭素源、好適には、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約5重量%~約10重量%の該炭素源、を含みうる。
【0159】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、該固体触媒組成物の総重量に対して少なくとも約50重量%の該固体酸触媒を含む。例えば、該触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約60重量%の該固体酸触媒、好適には、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約70重量%の該固体酸触媒、を含みうる。
【0160】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約80重量%の該固体酸触媒、あるいは該固体触媒組成物の少なくとも約90重量%の該固体酸触媒、又は少なくとも約95重量%を含む。
【0161】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、該固体触媒組成物の総重量に対して少なくとも約50重量%~約99重量%の該固体酸触媒を含む。例えば、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して、約50重量%~約95重量%の該固体酸触媒を含みうる。
【0162】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約80重量%~約99重量%の該固体酸触媒を含む。例えば、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して、約80重量%~約95重量%の該固体酸触媒を含みうる。
【0163】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して少なくとも約90重量%~約99重量%の該固体酸触媒を含む。例えば、該固体触媒組成物は、該触媒組成物の総重量に対して、約95重量%~約99重量%の該固体酸触媒を含みうる。
【0164】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物中の固体酸触媒対該炭素源の比は、約50:1~約1:1、好適には約20:約1~約1:約1、好適には約10:約1~約1:約1である。別の実施態様において、該固体触媒組成物中の固体酸触媒対該炭素源の比は、約50:約1~約5:約1、好適には約20:約1~約5:約1、好適には約10:約1~約5:約1である。別の実施態様において、該固体触媒組成物中の固体酸触媒対該炭素源の比は、約95:約5~約4:約1である。別の実施態様において、該固体触媒組成物中の固体酸触媒対該炭素源の比は、約95:約5~約9:約1である。
【0165】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物は、好適には約95:約5~約9:約1の比(ゼオライト:炭素源)で、炭素源と混合されたゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0166】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、好適には約95:約5~約9:約1の比(ZSM-5ゼオライト:カーボンブラック)で、カーボンブラックと混合されたZSM-5ゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0167】
別の実施態様において、該固体触媒組成物は、好適には約95:約5~約9:約1の比(H-ゼオライト:カーボンブラック)で、と混合されたH-ゼオライトを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0168】
典型的には、該固体触媒組成物は、粒子形態、例えばペレット形態又は粉末形態、であり、好適には粒子サイズは約10mm以下である。1つの実施態様において、該粒子サイズは、約5mm以下、好適には1mm以下、である。別の実施態様において、該粒子サイズは、約100nm~約1mmである。
【0169】
本明細書において使用される語「粒子サイズ」は、粒子が球形である場合は粒子の直径、又は粒子が非球形である場合は体積基準の粒子サイズを意味する。体積基準の粒子サイズは、問題の非球形粒子と同じ体積を有する球の直径である。本明細書に記載の粒子サイズは、様々な慣用的な分析方法、例えばSEM、TEM、レーザ光散乱、レーザ回折、篩い分析及び光学顕微鏡(典型的には、画像分析と組み合わせて)、によって決定されることができる。
【0170】
別の実施態様において、本発明は、プラスチックのアップサイクル及び/又は1以上の芳香族化合物の製造の為の該実施態様のいずれかで定義される固体触媒組成物の使用に関する。
【0171】
1つの実施態様において、該1以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1-メチル-4-プロピル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン、クメン、ナフタレン、及び2-メチル-ナフタレンから選択される。
【0172】
別の実施態様において、該1以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1-メチル-4-プロピル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン、及びクメンから選択される。
【0173】
別の実施態様において、該1以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、及び1,3,5-トリメチル-ベンゼンから選択される。
【0174】
別の実施態様において、該1以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン、ナフタレン、及び2-メチル-ナフタレンから選択される。
【0175】
別の実施態様において、該1以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンから選択される。
【0176】
別の実施態様において、該1以上の芳香族化合物は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンから選択される。
【0177】
別の実施態様において、1以上の単一芳香環系化合物を含む芳香族化合物を製造する為の、該実施態様のいずれかで定義された固体触媒組成物の使用が提供される。
【0178】
別の実施態様において、単一芳香環系化合物の混合物を製造する為の、該実施態様のいずれかで定義された固体触媒組成物の使用が提供される。
【0179】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1-メチル-4-プロピル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン、1,3,5-トリメチル-ベンゼン及びクメンのうちの1以上から選択される。
【0180】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン、m-キシレン、1-エチル-3-メチル-ベンゼン、1-エチル-2-メチル-ベンゼン、1,2,3-トリメチル-ベンゼン及び1,3,5-トリメチル-ベンゼンのうちの1以上から選択される。
【0181】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンのうちの1以上から選択される。
【0182】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンのうちの1以上から選択される。
【0183】
好適には、単一芳香環系化合物は、ベンゼン、トルエン、p-キシレン、o-キシレン及びm-キシレンを含む。
【0184】
別の実施態様において、芳香族化合物、例えばBTXの混合物、を製造する為の、該実施態様のいずれかで定義された固体触媒組成物の使用が提供される。従って、1つの実施態様において、BTXを製造する為の、該実施態様のいずれかで定義された固体触媒組成物の使用が提供される。
【0185】
供給原料組成物
該供給原料組成物は、典型的には、標準周囲温度及び圧力(SATP)、すなわち298.15K(25℃)の温度及び100,000Pa(1バール、14.5psi、0.9869atm)で固体状態である。
【0186】
該供給原料組成物は、少なくとも1つのプラスチックを含む。1つの実施態様において、該供給原料組成物は、1以上の熱可塑性ポリマーを含む。別の実施態様において、該供給原料組成物は、少なくとも1つのプラスチックを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。別の実施態様において、該供給原料組成物は、1以上のプラスチックを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。別の実施態様において、該供給原料組成物は、1以上の熱可塑性ポリマーを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0187】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセチレン、ポリブチレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、コポリエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン(PS)、ポリアセタール、エポキシ、ポリシアヌレート、ポリアクリル酸、ポリ尿素、ビニルエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、コポリマー、例えばエチレン-プロピレン、EPDM、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ニトリルゴム、天然及び合成ゴム、タイヤ、スチレン-ブタジエン、スチレン-アクリロニトリル、スチレン-イソプレン、スチレン-無水マレイン酸、エチレン-酢酸ビニル、ナイロン12/6/66、充填ポリマー、ポリマーコンポジット、並びにプラスチックアロイから選択される1以上のプラスチックを含む。
【0188】
好適には、該プラスチックは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のうちの1以上から選択される。
【0189】
好適には、該プラスチックは、ポリエチレン又はポリプロピレンのうちの1以上を含む。
【0190】
該プラスチックは、ポリマー又はプラスチック製造工程から得られてもよいが、好ましくは廃棄物若しくは廃棄材料、消費後のリサイクルポリマー材料、又は廃棄物流、例えば都市ごみから分離された材料として得られる。
【0191】
好適には、該プラスチックは廃プラスチックである。該廃プラスチックは、単一のプラスチック、又は好適には混合された廃プラスチック、であることができる。
【0192】
該供給流は、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄及び窒素、を含みうる。該供給流は、ポリオレフィン、芳香族ポリマー、繊維強化複合材料、多層プラスチック、混合プラスチック廃棄物、ポリアミド、及び/又はリサイクルごみを含む、合成若しくは半合成ポリマー又はそれらの混合物を含みうる。幾つかの実施態様において、該供給原料組成物は、廃プラスチックに一般的に関連する他の廃棄物流、例えばバイオマス、を含みうる。
【0193】
1つの実施態様において、該供給原料組成物が実質的に全てプラスチック、例えば少なくとも約90重量%のプラスチック、好適には少なくとも約95重量%のプラスチック、好適には少なくとも約99重量%のプラスチック、であるように、該供給原料組成物から不純物が除去されていてもよい。
【0194】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、少なくとも約50重量%、好適には少なくとも約65重量%、好適には少なくとも約70重量%、好適には少なくとも約80重量%、の1以上のプラスチックを含む。別の実施態様において、該供給原料組成物は、少なくとも約90重量%、好適には少なくとも約95重量%、の1以上のプラスチックを含む。
【0195】
別の実施態様において、該供給原料組成物は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリスチレン(PS)から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む。
【0196】
別の実施態様において、該供給原料組成物は、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む。
【0197】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンのうちの1以上を含む/から本質的になる/からなる。1つの実施態様において、該供給原料組成物は、少なくとも50重量%の、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンのうちの1以上を含む。好適には、該供給原料組成物は、少なくとも60重量%の、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンのうちの1以上を含む;好適には少なくとも約70重量%、好適には少なくとも約80重量%、好適には該供給原料組成物は、少なくとも90重量%の、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンのうちの1以上を含む。
【0198】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む/から本質的になる/からなる。1つの実施態様において、該供給原料組成物は、少なくとも50重量%のポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む。好適には、該供給原料組成物は、少なくとも60重量%のポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含み、好適には少なくとも約70重量%、好適には少なくとも約80重量%、好適には該供給原料組成物は、少なくとも90重量%のポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む。
【0199】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、酸素を実質的に含まない。別の実施態様において、該供給原料組成物は酸素を含まない。従って、本発明の方法は、該供給原料組成物を前処理して酸素含有量を除去又は低減する工程を含みうる。
【0200】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、水を実質的に含まない。別の実施態様において、該供給原料組成物は水を含まない。従って、本発明の方法は、該供給原料組成物を前処理して含水量を除去又は低減する工程を含みうる。
【0201】
1つの実施態様において、該供給原料組成物は、酸素化種及び水を実質的に含まない。別の実施態様において、該固体組成物は、酸素化種及び水を含まない。従って、本発明の方法は、該供給原料組成物を前処理して含水量及び酸素含有量を除去又は低減する工程を含みうる。
【0202】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物に及び/又はマイクロ波照射に曝露する前に、該供給原料組成物の粒子サイズを縮小してもよい。該供給原料組成物の粒子サイズは、該供給原料を該マイクロ波反応器に送る前に、サイズ縮小システムにおいて縮小されてもよい。そのようなサイズ縮小システムは、破砕又は細断を含みうる。
【0203】
該供給原料組成物は、粒子の少なくとも85質量%、若しくは少なくとも90質量%、若しくは少なくとも95質量%が0.25インチ(0.6cm)、若しくは0.5インチ(1.2cm)、若しくは1.0インチ(2.5cm)、若しくは1.5インチ(3.7cm)、若しくは2インチ(5.0cm)のスクリーンを通過するプラスチックを含んでいてもよく、又は該供給原料組成物は、粒子の少なくとも85質量%、若しくは少なくとも90質量%、若しくは少なくとも95質量%が2:1、若しくは3:1、若しくは5:1、若しくは10:1、若しくは40:1、若しくは77:1、若しくは1:1~100:1、若しくは1.5:1~40:1、若しくは2:1~10:1のアスペクト比(長さ対幅の比)を有するプラスチック混合物を含んでいてもよい。平均直径(サイズ)は、メッシュ(スクリーン)を通して篩い分けすることによって測定することができる。
【0204】
大粒子供給材料は、小粒子供給材料よりも容易に輸送可能であり、処理が困難ではない場合がある。一方、場合によっては、該マイクロ波反応器に小粒子を供給することが有利でありうる。サイズ縮小システムの使用は、供給源と工程との間の大粒子供給原料の輸送を可能にする一方、該反応器への小粒子の供給を可能にする。
【0205】
マイクロ波照射
本発明の方法で使用される電磁放射線は、マイクロ波周波数放射線(すなわち、マイクロ波照射)である。
【0206】
本明細書において使用される語「マイクロ波照射」は、通常の意味をとり、典型的には、1メートル~1ミリメートルの波長を有し、300MHz(100cm)~300GHz(0.1cm)の対応する周波数を有する電磁放射線を云う。
【0207】
原則として、マイクロ波範囲内の任意の周波数、すなわち300MHz~300GHzの任意の周波数を有するマイクロ波照射が本発明で使用されうる。しかしながら、典型的には、900MHz~4GHz、又は例えば900MHz~3GHzの周波数を有するマイクロ波照射が使用される。
【0208】
1つの実施態様において、該マイクロ波照射は、約1GHz~約4GHzの周波数を有する。好適には、該マイクロ波照射は、約2GHz~約4GHz、好適には約2GHz~約3GHz、好適には約2.45GHzの周波数を有する。
【0209】
1つの実施態様において、該マイクロ波照射は、約915MHz~約2.45GHzから選択される周波数を有する。
【0210】
芳香族化合物の製造を行う為に該マイクロ波照射が該供給原料組成物及び/又は該固体触媒組成物への送達を必要とする電力は、例えば、該供給原料組成物の特定の組成物、使用される特定の固体触媒組成物、並びに該組成物のサイズ、誘電率、粒子充填密度、形状及び形態に従って変動する。しかしながら、当業者は、特定の供給原料組成物から芳香族化合物の製造を行うのに適した入射電力のレベルを容易に決定することができる。
【0211】
本発明の方法は、例えば、該組成物の1立方センチメートル当たり少なくとも1ワットの電力を送達するマイクロ波照射に該組成物を曝露することを含みうる。しかしながら、該方法は、該供給原料組成物及び/又は該固体触媒組成物を、該組成物の1立方センチメートル当たり少なくとも5ワットの電力を送達するマイクロ波照射に曝露することを含みうる。
【0212】
多くの場合、例えば、該方法は、該組成物の1立方センチメートル当たり少なくとも10ワット、又は例えば少なくとも20ワットの電力を該組成物に送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含む。本発明の方法は、例えば、該組成物の1立方センチメートル当たり少なくとも25ワットで該組成物に送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含みうる。
【0213】
多くの場合、例えば、該方法は、該組成物の1立方センチメートル当たり約0.1ワット~約5000ワットの電力を送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含む。より典型的には、該方法は、該組成物の1立方センチメートル当たり約0.5ワット~30約1000ワット、又は例えば該組成物の1立方センチメートル当たり約1ワット~約500ワット、例えば該組成物の1立方センチメートル当たり約1.5ワット~約200ワット、又は例えば2ワット~100ワット、の電力を送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含む。
【0214】
幾つかの実施態様において、例えば、該方法は、該組成物の1立方センチメートル当たり約5ワット~約10ワット、又は例えば該組成物の1立方センチメートル当たり約10ワット~約100ワット、例えば該組成物の1立方センチメートル当たり約20ワット若しくは約25ワット~約80ワット、の電力を送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含む。
【0215】
幾つかの実施態様において、例えば、該方法は、該組成物の1立方センチメートル当たり約2.5ワット~約60ワットの電力を送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含む。従って、例えば、該組成物の体積が3.5cm3である場合、本発明の方法は、典型的には、約10W~約200Wを該組成物に送達する(すなわち、「吸収電力」が約10W~約200Wである)マイクロ波照射に、該供給原料組成物を曝露することを含む。
【0216】
多くの場合、該組成物に送達される電力(又は「吸収電力」)は、本発明の方法中に増加する。従って、該方法は、該組成物に第1の電力を送達するマイクロ波照射に該組成物を曝露すること、次に、該第1の電力よりも大きい第2の電力を該組成物に送達するマイクロ波照射に、該組成物を曝露することを含みうる。該第1の電力は、例えば、該組成物の1立方センチメートル当たり約2.5ワット~約6ワットでありうる。該第2の電力は、例えば、該組成物の1立方センチメートル当たり約25ワット~約60ワットでありうる。
【0217】
1つの実施態様において、該マイクロ波入力電力は、約500W~約10KW、好適には約1KW~約10KW、好適には約2KW~約10KW、好適には約3KW~約10KW、好適には約4KW~約10KW、好適には約5KW~約10KW、である。
【0218】
1つの実施態様において、該マイクロ波入力電力は、約200W~約5KW、好適には約200W~約4KW、好適には約200W~約3KW、好適には約200W~約4KW、好適には約200W~約5KW、である。
【0219】
1つの実施態様において、該マイクロ波入力電力は、約50W~約1500W、好適には約50W~約1000W、好適には約50W~約500W、好適には約50W~約300W、好適には約50W~約200W、好適には約50W~約150W、である。
【0220】
1つの実施態様において、該マイクロ波入力電力は、約100W~約1500W、好適には約100W~約1000W、好適には約100W~約500W、好適には約100W~約300W、好適には約100W~約200W、である。
【0221】
1つの実施態様において、該マイクロ波入力電力は、約150W~約1500W、好適には約150W~約1000W、好適には約150W~約500W、好適には約150W~約300W、好適には約150W~約200W、好適には約150W、である。
【0222】
該組成物を該マイクロ波照射に曝露する期間も、本発明の方法において変動しうる。例えば、所与の供給原料組成物及び/又は固体触媒組成物を比較的短期間にわたってマイクロ波照射に曝露して、芳香族化合物の製造を行う実施態様が想定される。例えば、該供給原料組成物及び/又は該固体触媒組成物に、約1秒~約12時間、好適には約1秒~約6時間、好適には約1秒~約3時間マイクロ波を照射してもよい。
【0223】
幾つかの実施態様において、該固体触媒組成物を該マイクロ波照射に曝露することにより、該固体触媒組成物又は該供給原料組成物は加熱される。マイクロ波加熱は、誘電材料及び磁性材料を迅速、選択的に加熱する方法を提供する。マイクロ波を使用した迅速かつ効率的な加熱は、誘電体混合物中の不均一な場分布及び場集束効果が劇的に異なる製品分布をもたらすことができる例である。慣用的な熱的方法に対して根本的に異なるマイクロ波加熱に関与する機構は、増強された反応及び新しい反応経路を生じうる。さらに、関与する高磁場は、触媒仕事関数を修正することができ、触媒表面でのプラズマの製造をもたらし、関与する化学方法の特性をさらにシフトさせることができる。
【0224】
1つの実施態様において、本発明の方法は、該組成物を該マイクロ波照射に曝露することによって、該固体触媒組成物及び/又は該供給原料組成物を加熱することを含む。
【0225】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物及び/又は該供給原料組成物は、マイクロ波照射への曝露に応じて約25℃超、好適にはマイクロ波照射への曝露に応じて約50℃超、好適には約100℃超、好適には約200℃超、に加熱される。
【0226】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物及び/又は該供給原料組成物は、マイクロ波照射への曝露に応じて、約25℃~約500℃、好適にはマイクロ波照射への曝露に応じて約50℃~約500℃、好適には約100℃~約500℃、好適には約150℃~約500℃、好適には約200℃~約500℃、好適には約250℃~約500℃、好適には約300℃~約500℃、に加熱される。
【0227】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物及び/又は該供給原料組成物は、マイクロ波照射への曝露に応じて、約25℃~約400℃、好適にはマイクロ波照射への曝露に応じて約50℃~約400℃、好適には約100℃~約400℃、好適には約150℃~約400℃、好適には約200℃~約400℃、好適には約250℃~約400℃、好適には約300℃~約400℃、に加熱される。
【0228】
1つの実施態様において、該固体触媒組成物及び/又は該供給原料組成物は、マイクロ波照射への曝露に応じて、約25℃~約350℃、好適にはマイクロ波照射への曝露に応じて約50℃~約350℃、好適には約100℃~約350℃、好適には約150℃~約350℃、好適には約200℃~約350℃、好適には約250℃~約350℃、好適には約300℃~約350℃、に加熱される。
【0229】
マイクロ波反応器
マイクロ波照射への曝露は典型的には、マイクロ波反応器内で行われる。
【0230】
典型的には、該反応器は、放射線に曝露される組成物を受容するように構成される。従って、該反応器は、典型的には、該供給原料組成物及び該固体触媒組成物を含むように構成された少なくとも1つの容器(好適には1つの容器)を備える。該組成物は、該容器への入口を介して提供されていてもよい。該容器は反応キャビティ内に配置されてもよく、該キャビティはマイクロ波照射の焦点である。
【0231】
該反応器はまた、反応生成物、例えば液体又はガスを搬出するように構成されてもよい。従って、該反応器は、典型的には、本発明の方法に従って生成されたガス及び/又は液体が放出又は収集されうる出口を備える。
【0232】
1つの実施態様において、該マイクロ波反応器は、TM010モードで該組成物を電場に供するように構成される。
【0233】
1つの実施態様において、該マイクロ波反応器は、約50W~約10KWの電力を有する。別の実施態様において、該マイクロ波反応器は、約50W~約1500Wの電力を有する。
【0234】
1つの実施態様において、本発明の方法は単一の反応器内で行われ、好適には該芳香族化合物は該反応器から回収される。
【0235】
ここで、特許請求の範囲ではない下記の番号を付けた項目によって本発明が更に説明されるであろう。
段落1.1以上の芳香族化合物を製造する方法であって、該方法は、固体触媒組成物の存在下、少なくとも1つのプラスチックを含む供給原料組成物をマイクロ波照射に曝露することを含み、ここで、該固体触媒組成物が固体酸触媒及び炭素源を含む、上記方法。
段落2.該芳香族化合物が、単一の芳香環系化合物の混合物を含む、段落1に記載の方法。
段落3.該芳香族化合物が、ベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体(BTX)の混合物を含む、段落1に記載の方法。
段落4.該固体酸触媒がゼオライトである、段落1~3のいずれか1つに記載の方法。
段落5.該固体酸触媒が粘土である、段落1~3のいずれか1つに記載の方法。
段落6.該ゼオライトが、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-57、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、ゼオライトベータ、MCM-22、SSZ-23、SUZ-4、(S)AIPO-31、SAPO-34、モルデナイト(mordenite)及びホージャサイト(faujasite)からなる群から選択される、段落4に記載の方法。
段落7.該ゼオライトが、ZSM-5ゼオライトである、段落6に記載の方法。
段落8.該ゼオライトが、H-ZSM-5、H-ベータ、H-Y又はH-モルデナイトである、段落4に記載の方法。
段落9.該ゼオライトが、酸性アルミノシリケートゼオライト、酸性リン酸アルミニウムケイ素(SAPO)ゼオライト、又はゼオライトのメタロシリケートアナログから選択される、段落4に記載の方法。
段落10.該ゼオライトのSi:Al比が、約2~約200、好適には約5~約100、好適には約10~約80、好適には約10~約60、である、段落1~9のいずれか1つに記載の方法。
段落11.該ゼオライトのSi:Al比が約20~約60である、段落1~10のいずれか1つに記載の方法。
段落12.該ゼオライトの平均孔直径が、約100オングストローム未満、好適には約50オングストローム未満、好適には約20オングストローム未満、好適には約10オングストローム未満、である、段落1~11のいずれか1つに記載の方法。
段落13.該ゼオライトの平均孔直径が、約4オングストローム~約10オングストローム、好適には約5オングストローム~約8オングストローム、である、段落1~12のいずれか1つに記載の方法。
段落14.該ゼオライトが希土類金属を含む、段落1~13のいずれか1つに記載の方法。
段落15.該希土類金属が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu又はGd、好適にはLa又はCe、である、段落14に記載の方法。
段落16.該粘土が、スメクタイト粘土、例えばベントナイト(モンモリロナイトとしてまた知られる)粘土、である、段落5に記載の方法。
段落17.該炭素源が、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、フラーレン、炭化物、木炭、石炭又はそれらの組み合わせから選択される、段落1~16のいずれか1つに記載の方法。
段落18.該炭素源がカーボンブラックであり、好適には、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックの1以上から選択される、段落17に記載の方法。
段落19.該炭素源が、該固体触媒の総重量に対して、約1重量%~約50重量%、好適には約1重量%~約30重量%、で存在する、段落1~18のいずれか1つに記載の方法。
段落20.該炭素源が、該固体触媒の総重量に対して、約5重量%~約20重量%、好適には約5重量%~約10重量%、で存在する、段落1~19のいずれか1つに記載の方法。
段落21.該固体触媒が、約95:約5~約90:約10、好適には約95:5、の比の、ZSM-5ゼオライト及びカーボンブラックからなる、段落1~20のいずれか1つに記載の方法。
段落22.該供給原料組成物が、約50%以上の1以上のプラスチック、好適には約80%以上の1以上のプラスチック、好適には約90%以上の1以上のプラスチック、を含む、段落1~21のいずれか1つに記載の方法。
段落23.該供給原料組成物が、混合された廃プラスチックを含む、段落1~22のいずれか1つに記載の方法。
段落24.該供給原料組成物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン及びポリエステルのうちの少なくとも1つを含む、段落1~23のいずれか1つに記載の方法。
段落25.該供給原料組成物が、ポリエチレン又はポリプロピレンのうちの少なくとも1つを含む、段落1~24のいずれか1つに記載の方法。
段落26.該供給原料組成物及び該固体触媒組成物が、マイクロ波照射への曝露前に及び/又は曝露の間に混合される、段落1~25のいずれか1つに記載の方法。
段落27.固体触媒組成物に対する供給原料組成物の比が、約50:約1~約1:約10、好適には約20:約1~約1:約1、である、段落1~26のいずれか1つに記載の方法。
段落28.固体触媒組成物に対する供給原料組成物の比が、約3:約1~約1:約1、である、段落1~27のいずれか1つに記載の方法。
段落29.該方法が、酸素を実質的に含まない雰囲気中で実行される、段落1~28のいずれか1つに記載の方法。
段落30.該方法が、水を実質的に含まない雰囲気中で実行される、段落1~29のいずれか1つに記載の方法。
段落31.該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対する該方法によって生成される液体製品の質量収率が、約60%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、である、段落1~30のいずれか1つに記載の方法。
段落32.該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対する芳香族化合物の質量収率が、約50%以上、好適には約60%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、である、段落1~31のいずれか1つに記載の方法。
段落33.該供給原料組成物中のプラスチックの質量に対するBTXの質量収率が、約50%以上、好適には約55%以上、好適には約60%以上、である、段落1~32のいずれか1つに記載の方法。
段落34.製造される全芳香族化合物中のBTXに対する選択性が、約50%以上、好適には約60%以上、好適には約70%以上、好適には約75%以上、である、段落1~33のいずれか1つに記載の方法。
段落35.該供給原料組成物及び該固体触媒組成物が、マイクロ波照射の曝露の間に約150℃~約350℃に加熱される、段落1~34のいずれか1つに記載の方法。
段落36.該方法が、マイクロ波反応器内で行われる、段落1~35のいずれか1つに記載の方法。
段落37.該方法が、該芳香族化合物を該反応器から回収する工程を更に含む、段落36に記載の方法。
段落38.該供給原料組成物と該固体触媒組成物とを一緒にして、該組成物を該マイクロ波照射に曝露する前に反応組成物を与える先行工程を更に含む、段落1~37のいずれか1つに記載の方法。
段落39.記組成物を該マイクロ波照射に曝露する前に該供給原料組成物の粒子サイズを縮小する工程を更に含む、段落1~38のいずれか1つに記載の方法。
段落40.炭素源と混合した固体酸触媒を含む固体触媒組成物。
段落41.該固体酸触媒がゼオライトである、段落40に記載の固体触媒組成物。
段落42.該固体酸触媒が粘土である、段落40に記載の固体触媒組成物。
段落43.該固体酸触媒が、ZSM-5ゼオライト、ZSM-11ゼオライト、ZSM-23ゼオライト、ZSM-35ゼオライト、ZSM-57ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、ゼオライトベータ、MCM-22、SSZ-23、SUZ-4、(S)AIPO-31、モルデナイト及びホージャサイトからなる群から選択されるゼオライトである、段落41に記載の固体触媒組成物。
段落44.該ゼオライトがZSM-5ゼオライトである、段落41に記載の固体触媒組成物。
段落45.該ゼオライトが、H-ZSM-5、H-ベータ、H-Y又はH-モルデナイトから選択される、段落41に記載の固体触媒組成物。
段落46.該ゼオライトが、酸性アルミノシリケートゼオライト、酸性リン酸アルミニウムケイ素(SAPO)ゼオライト、又はゼオライトのメタロシリケートアナログから選択される、段落41に記載の固体触媒組成物。
段落47.該ゼオライトのSi:Al比が、約5~約200、好適には約5~約100、好適には約10~約80、好適には約10~約60、である、段落41~46のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落48.該ゼオライトのSi:Al比が約20~約60である、段落41~47のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落49.該ゼオライトの平均孔直径が、約100オングストローム未満、好適には約50オングストローム未満、好適には約20オングストローム未満、好適には約10オングストローム未満、である、段落41~48のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落50.該ゼオライトの平均孔直径が、約4オングストローム~約10オングストローム、好適には約5オングストローム~約8オングストローム、である、段落41~49のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落51.該ゼオライトが希土類金属を含む、段落41~50のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落52.該希土類金属が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu又はGd、好適にはLa又はCe、である、段落41~51のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落53.該粘土が、スメクタイト粘土、例えばベントナイト(モンモリロナイトとしてまた知られる)粘土、である、段落42に記載の固体触媒組成物。
段落54.該炭素源が、カーボンブラック、活性炭、グラフェン、グラファイト、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、フラーレン、炭化物、木炭、石炭又はそれらの組み合わせから選択される、段落40~53のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落55.該炭素源がカーボンブラックであり、好適には、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラックの1以上から選択される、段落54に記載の固体触媒組成物。
段落56.該炭素源が、該固体触媒の総重量に対して、約1重量%~約50重量%、好適には約1重量%~約30重量%、で存在する、段落40~55のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落57.該炭素源が、該固体触媒の総重量に対して、約5重量%~約20重量%、好適には約5重量%~約10重量%、で存在する、段落40~56のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落58.該固体触媒が、約95:約5~約90:約10、好適には約95:5、の比の、ZSM-5ゼオライト及びカーボンブラックからなる、段落40~57のいずれか1つに記載の固体触媒組成物。
段落59.ペレット形態又は粉末形態である、段落40~58のいずれか1つに記載の固体触媒組成物の使用。
段落60.プラスチックをアップサイクルする為の及び/又は芳香族化合物を製造する為の、段落40~59のいずれか1つに記載の固体触媒組成物の使用。
段落61.該芳香族化合物が、単一の芳香環系化合物の混合物を含む、段落60に記載の使用。
段落62.該芳香族化合物が、ベンゼン異性体、トルエン異性体及びキシレン異性体(BTX)の混合物を含む、段落60に記載の使用。
【0236】
実施例
固体触媒組成物調製の為の一般的な手順:
【0237】
該固体触媒組成物は、炭素源とゼオライトとを望ましい重量比で機械的に混合することによって容易に調製された。
【0238】
一般的な反応方法
該供給原料組成物が該固体触媒組成物と必要な比で機械的に混合され、そして次に、石英管に充填され、石英ウールで密封された。該試料が10分間マイクロ波照射に曝露された。マイクロ波の入力電力は(特に明記しない限り)50W~150Wであり、床温度は180℃~350℃であった。
【0239】
生成されたガスが収集され、そして、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析された。液体製品がコールドトラップによって収集され、及び/又はジクロロメタンを使用して石英ウール及び触媒を含む残りの材料が洗浄されることによって抽出された。該抽出物がサンプリングされ、そして、GCMSで分析された。次に、溶媒を除去することによって該液体製品が回収された。
【0240】
実施例1a- 1:1の比のPE及び触媒を有するカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0241】
該固体触媒組成物は、カーボンブラック(CB)(Alfa Aesarから購入)及びZSM-5粉末(Zeolyst Internationalから購入)を5:95の重量比で混合することによって調製された。
【0242】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、0.3gの5:95 CB/ZSM-5触媒組成物と物理的に混合された。次に、該試料が、100Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0243】
約25mLのガス状製品が収集され、そして、0.2379gの液体製品が回収された。芳香族化合物の収率は、PEの質量に対して約79.3%であり、単一芳香環系化合物に対する選択性は、全液体製品の中で約91.5%である。BTX収率はPEの質量に対して約54%であり、BTXに対する選択性は全液体製品の中で約68%である。
【0244】
図1は、5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表1は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0245】
【0246】
実施例1b- 2:1の比のPE及び触媒を有するカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0247】
0.4gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、0.2gの5:95 CB/ZSM-5触媒組成物と物理的に混合された。次に、該試料が100Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0248】
約35mLのガス状製品が収集され、そして、0.3341gの液体製品が回収された。芳香族化合物の収率は、PEの質量に対して約83.5%であり、単一芳香環系化合物に対する選択性は、約90%である。BTX収率はPEの質量に対して約51%であり、全液体製品の中のBTXに対する選択性は約62%である。
【0249】
図2は、5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表2は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0250】
【0251】
実施例1c- 3:1の比のPE及び触媒を有するカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0252】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、0.1gの5:95 CB/ZSM-5触媒組成物と物理的に混合された。次に、該試料を100Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露した。
【0253】
約50mLのガス状製品が収集され、そして、0.2293gの液体製品が回収された。芳香族化合物の収率は、PEの質量に対して約76.4%であり、単一芳香環系化合物に対する選択性は、約88%である。BTX収率はPEの質量に対して約45%であり、全液体製品の中のBTXに対する選択性は約59%である。
【0254】
図3は、5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表3は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0255】
【0256】
要約すると、プラスチックと触媒との混合比が異なるにもかかわらず、該触媒は、プラスチック(ここでは、PEで代表される)の解重合及びその製品の芳香族化に機能的に有効であった。液体収率は、約80重量%で、試験した各比について同様であるが、プラスチックと触媒とのより高い混合比では、わずかにより多くのガスが製造された。マスバランスは約86~93%であり、欠落した質量は、反応及び回収工程中に失われる揮発性物質に起因する。
【0257】
該液体製品は、ほぼ100%の芳香族から構成され、BTXに対する選択性は約65%である。単一芳香環系化合物に対する選択性は、約90%以上である。
【0258】
実施例2- 1:1の比のPP及び触媒を有するカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリプロピレン(PP)のアップサイクル
【0259】
0.3gのPP粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、0.1gの5:95 CB/ZSM-5触媒組成物と物理的に混合された。次に、該試料を100Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露した。
【0260】
約20mLのガス状製品が収集され、そして、0.2412gの液体製品が回収された。芳香族化合物の収率は、PPの質量に対して約80.4%であり、単一芳香環系化合物に対する選択性は、約88%である。BTX収率はPPの質量に対して約57%であり、全液体製品の中のBTXに対する選択性は約71%である。
【0261】
図5は、5:95 CB/ZSM-5触媒組成物上のPPからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表4は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0262】
【0263】
実施例3a- 2:1の比のPE及び触媒を有するリサイクルカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0264】
5:95の重量混合比のカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物が使用されて、サイクル実験が行われた。PE対触媒組成物の混合比は2であった。該試料を150Wマイクロ波に10分間曝露した。
【0265】
反応の終わりに、使用済み触媒組成物を回収し、さらなる反応サイクルで使用した。5回の反応サイクルを行い、製品プロファイルを評価した。
【0266】
図6a~
図6eは夫々、サイクル1~5の液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。下記の表5は、GC-MS TICによる各サイクルの液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0267】
【0268】
実施例3b- 2:1の比のPP及び触媒を有するリサイクルカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリプロピレン(PP)のアップサイクル
【0269】
5:95の重量混合比のカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物が使用されて、サイクル実験が行われた。PP対触媒組成物の混合比は2であった。該試料を150Wマイクロ波に10分間曝露した。
【0270】
反応の終わりに、使用済み触媒組成物が回収され、そして、さらなる反応サイクルで使用された。5回の反応サイクルが行われ、そして、製品プロファイルが評価された。
【0271】
図7a~
図7eは夫々、サイクル1~5の液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。下記の表6は、GC-MS TICによる各サイクルの液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0272】
【0273】
要約すると、液体収率は、サイクル実験のプラスチックの質量に対して70.2%~82.3%である。芳香族は、サイクル試験全体を通して優勢であるが、より多くのアルキル化ナフタレンが後期サイクルで製造される。また、ガス収率のわずかな増加に対応するサイクル4及びサイクル5で、より多くのガスが製造される。しかしながら、該触媒は5サイクルの実験を通して機能的に有効であることに留意されたい。同様の結果が、該供給原料組成物としてPE又はPPのいずれかを使用した場合にまた観察される。
【0274】
実施例4- 2:1の比のPE及び触媒を有する様々なカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0275】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、0:100、2:98、5:95、10:90、20:80及び100:0のCB:ZSM-5比を使用した0.15gのCB/ZSM-5触媒組成物と物理的に混合された。次に、反応を進行させる為に、1500Wの電力を必要とする100% ZSM-5を除いて、該試料が150Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0276】
2:98、5:95、10:90、20:80のCB:ZSM-5比を有する試料の液体収率は、PEの質量に対して73%~80%であり、BTXに対する選択性は、全液体製品の中で68%~75%である。純粋なZSM-5での液体収率は、PEの質量に対する純粋なカーボンブラックの61%及び69%であった。純粋なカーボンブラックで得られる液体製品は、主に直鎖炭化水素である。
【0277】
図8a~
図8fは、使用される異なる触媒組成物の各々についての液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。下記の表7は、GC-MS TICによる各触媒組成物についての液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0278】
【0279】
純粋なカーボンブラック上に芳香族は製造されなかった。代わりに、製品は主に直鎖炭化水素分子であった。純粋なZSM-5は、低電力MWで効率的に熱上昇することができず、触媒作用を開始することができなかった。1500Wの高電力で、ZSM-5は、必要な温度(220℃~350℃)まで熱上昇され、触媒反応を促進することができる。純粋なZSM-5の主な製品は芳香族である(表7)。
【0280】
実施例5- 様々なSi:Al比のゼオライトを有する5:95カーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0281】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、0.15gの様々なCB/ZSM-5触媒組成物のうちの1つと物理的に混合され、このとき、CB:ZSM-5の比は5:95であり、該ZSM-5は、18、21、60又は117のSi:Al比を有するように選択された(Zeolyst Internationalから購入)。次に、各試料が、150Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0282】
各試料の液体収率は、PEの質量に対して79%~84%であり、BTXに対する選択性は、各試料の全液体製品の中で64%~71%である。
【0283】
図9a~
図9dは、使用される異なる触媒組成物の各々についての液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示す。下記の表8は、GC-MS TICによる各触媒組成物についての液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0284】
【0285】
実施例6- 1:1の比のPE及び触媒を有するカーボンナノチューブ(CNT)/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0286】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、CNT:ZSM-5比が50:50である、0.3gのCNT/ZSM-5触媒組成物(カーボンナノチューブはSigma-Aldrichから購入、ZSM-5はZeolyst Internationalから購入)と物理的に混合された。次に、該試料が、100Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0287】
約150mlのガスが収集された。液体収率はPEの質量に対して53%であり、BTXに対する選択性は全液体製品の中で46%であった。
【0288】
図10は、50:50 CNT/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表9は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0289】
【0290】
実施例7- 1:1の比のPE及び触媒を有する炭化モリブデン(Mo2C)/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0291】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、Mo2C:ZSM-5比が50:50である、0.3gのMo2C/ZSM-5触媒組成物(Mo2C粉末はFischer Scientificから購入し、ZSM-5はZeolyst Internationalから購入)と物理的に混合された。次に、該試料が、1000Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0292】
液体収率はPEの質量に対して約55%であり、BTXに対する選択性は全液体製品の中で35%であった。
【0293】
図11は、50:50 Mo
2C/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表10は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0294】
【0295】
実施例8- 1:1の比のPE及び触媒を有する炭化クロム(Cr3C2)/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0296】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、Cr3C2:ZSM-5比が50:50である、0.3gのCr3C2/ZSM-5触媒組成物(Cr3C2粉末はFischer Scientificから購入し、ZSM-5はZeolyst Internationalから購入)と物理的に混合された。次に、該試料が、1000Wの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0297】
液体収率はPEの質量に対して約57%であり、BTXに対する選択性は全液体製品の中で17%であった。
【0298】
図12は、50:50 Cr
3C
2/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表11は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0299】
【0300】
実施例9- 様々なマイクロ波入力電力による、ゼオライトを有する10:90カーボンブラック/ZSM-5触媒組成物を使用したポリエチレン(PE)のアップサイクル
【0301】
0.3gのPE粉末(Sigma-Aldrichから購入)が、CB:ZSM-5比が10:90である、0.15gのカーボンブラック/ZSM-5触媒組成物(カーボンブラックはAlfa Aesarから購入、ZSM-5はZeolyst Internationalから購入)と物理的に混合された。次に、各試料が、50W、100W、150W、300W又は500Wのうちの1つの入力電力で10分間マイクロ波照射に曝露された。
【0302】
50W、100W及び150Wの低入力電力で得られた液体収率は、PEの質量に対して78%~83%であり、BTXに対する選択性は全液体製品の中で約74%であった。300W及び500Wのより高い入力電力での実験は、ガスのより高い収率をもたらし、液体収率は夫々58%及び50.3%に減少し、BTX選択性に対する選択性は夫々58.1%及び46.5%であった。
【0303】
図13は、10:90 CB/ZSM-5触媒組成物上のPEからの液体製品のGC-MSトータルイオンクロマトグラム(TIC)を示し、下記の表12は、GC-MS TICによる液体製品中の芳香族の相対濃度を示す。
【0304】
【0305】
本明細書において引用される刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が個別に及び具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に(法律によって許容される最大範囲まで)記載されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書内に組み込まれる。
【0306】
全ての見出し及び小見出しは、便宜上本明細書において使用されているに過ぎず、決して本発明を限定するものと解釈されるべきでない。
【0307】
本明細書において提供されるありとあらゆる例又は例示的な言語(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、単に本発明をより良く説明することを意図しており、特に記述のない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書における如何なる言語も、本発明の実施に不可欠なものとして、如何なる記述のない要素も示すと解釈されるべきではない。
【0308】
本明細書における特許文書の引用及び組み込みは、便宜上行われているにすぎず、そのような特許文書の有効性、特許性及び/又は執行可能性の如何なる見解も反映していない。
【0309】
本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された段落に列挙された主題の全ての修正及び均等物を含む。
【国際調査報告】