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特表2024-507351原動機付き車両の運転者支援システムの自動化度合いの向上
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  • 特表-原動機付き車両の運転者支援システムの自動化度合いの向上 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】原動機付き車両の運転者支援システムの自動化度合いの向上
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20240209BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240209BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20240209BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240209BHJP
   B60W 40/02 20060101ALN20240209BHJP
【FI】
B60W30/08
G08G1/16 A
B60W50/00
B60W60/00
B60W40/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549072
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022051057
(87)【国際公開番号】W WO2022179769
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104220.8
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】パロリーニ・ルカ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー・ゼバスティアン
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241BA61
3D241BC01
3D241BC02
3D241CE06
3D241DC01Z
3D241DC25Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】原動機付き車両のより大きな製造コストを伴うことなくより高い自動化レベルを可能とする。
【解決手段】運転者支援システムが、第1のセンサと、第1の演算ユニットと、アクチュエータを構成要素として含んでおり、運転者支援システムの構成要素が、安全性要求を所定の度合いまで満たすように構成されており、
-システムが、
-交通参加者が第2のセンサ及び/又は第2の演算ユニットを含むことを特定するように、
-第2のセンサ及び/又は第2の演算ユニットの利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いの安全性要求を満たすかどうかをチェックするように、及び
-第2のセンサ及び/又は第2の演算ユニットの利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いの安全性要求を満たす場合に、第2のセンサ及び/又は第2の演算ユニットを利用することで自動化度合いをより高い自動化度合いへ高めるように
構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両(EGO)の運転者支援システムの自動化度合いを高めるためのシステムであって、
-運転者支援システムが、少なくとも1つの第1のセンサ(S1)と、少なくとも1つの第1の演算ユニット(R1)と、少なくとも1つのアクチュエータ(A)とを構成要素として含んでおり、
-運転者支援システムの自動化度合い(L2,L3)が、少なくとも1つのセンサ(S1)、少なくとも1つの演算ユニット(R1)及び少なくとも1つのアクチュエータ(A)に安全性要求(A2,A3)を課し、より高い自動化度合い(L3)は、より低い自動化度合い(L2)よりも大きな要求(A3)を課し、
-運転者支援システムの構成要素が、安全性要求(A2)を所定の度合いまで満たすように構成されており、これにより、運転者支援システムによって達成され得る自動化度合い(L2)が制限されており、
-システムが、
-原動機付き車両(EGO)の周囲における交通参加者(VKTN)を認識するように、
-交通参加者(VKTN)が少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を含むことを特定するように、
-少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)の利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を満たすかどうかをチェックするように、及び
-少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)の利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を利用することで自動化度合いをより高い自動化度合い(L3)へ高めるように
構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
-交通参加者(VKTN)の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R3)を含んでおり、
-交通参加者(VKTN)の運転者支援システムが、交通参加者(VKTN)を自動化して制御するように構成されており、
-原動機付き車両(EGO)の運転者支援システムが少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を利用することができるように自動化して交通参加者(VKTN)を制御するように、交通参加者(VKTN)の運転者支援システムを設定するようにシステムが構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
システムが、
-より高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を、少なくとも1つの第1のセンサ(S1)、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)、少なくとも1つの第1の演算ユニット(R1)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)へ分解するように、
-少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)の追加的な利用時に運転者支援がより高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を満たすかどうかをチェックするように、
-少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)の追加的な利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を利用することで原動機付き車両(EGO)の自動化度合いをより高い自動化度合い(L3)へ高めるように
構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
-交通参加者(VKTN)が少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を含んでおり、
-原動機付き車両(EGO)の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を、少なくとも1つの第1の演算ユニット(R1)における演算パスに対する冗長的な演算パスとして利用するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
-交通参加者(VKTN)が少なくとも1つの第2のセンサ(S2)を含んでおり、
-原動機付き車両(EGO)の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)を、少なくとも1つの第1のセンサ(S1)に対して多様なセンサとして利用するように構成されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
-交通参加者(VKTN)が少なくとも1つの第2のセンサ(S2)を含んでおり、
-原動機付き車両(EGO)の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)を、原動機付き車両(EGO)の周囲への追加的な視角として利用するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
システムが、渋滞状況において、原動機付き車両(EGO)の周囲における交通参加者(VKTN)を認識するように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
交通参加者(VKTN)が交通インフラの1つの物体であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
原動機付き車両(EGO)の運転者支援システムの自動化度合いを高めるための方法であって、
-運転者支援システムが、少なくとも1つの第1のセンサ(S1)と、少なくとも1つの第1の演算ユニット(R1)と、少なくとも1つのアクチュエータ(A)とを構成要素として含み、
-運転者支援システムの自動化度合い(L2,L3)が、少なくとも1つのセンサ(S1)、少なくとも1つの演算ユニット(R1)及び少なくとも1つのアクチュエータ(A)に安全性要求(A2,A3)を課し、より高い自動化度合い(L3)が、より低い自動化度合い(L2)よりも大きな要求(A3)を課し、
-運転者支援システムの構成要素が、安全性要求(A2)を所定の度合いまで満たすように構成されており、これにより、運転者支援システムによって達成され得る自動化度合い(L2)が制限されており、
-方法が、以下のステップ:
-原動機付き車両(EGO)の周囲における交通参加者(VKTN)を認識するステップと、
-交通参加者(VKTN)が少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を含んでいることを特定するステップと、
-少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)の利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を満たすかどうかをチェックするステップと、
-少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)の利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合い(L3)の安全性要求(A3)を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサ(S2)及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニット(R2)を利用することで自動化度合いをより高い自動化度合い(L3)へ高めるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付き車両の運転者支援システムの自動化度合いを高めるためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
「自動化された走行」という用語は、本明細書の範囲では、自動化された長手方向運転及び横方向運転を伴う走行又は自動化された長手方向運転及び横方向運転を伴う自動走行と理解され得る。「自動化された走行」という用語は、適宜の自動化度合いを有する自動化された走行を含む。例示的な自動化度合いは、支援された走行、部分自動化された走行、高度に自動化された走行又は完全に自動化された走行である。当該自動化度合いは、ドイツ連邦道路交通研究所(BASt)によって規定された。支援された走行では、運転者が長手方向運転及び横方向運転を継続的に行う一方、システムは、それぞれ他の機能をある程度の限度において担う。部分自動化された走行(TAF)では、システムがある程度の期間において、及び/又は特別な状況において長手方向運転及び横方向運転を担い、運転者は、支援された走行の場合のようにシステムを継続的に監視する必要がある。高度に自動化された走行(HAF)では、運転者がシステムを継続的に監視する必要なく、システムがある程度の期間において長手方向運転及び横方向運転を担うが、運転者は、ある程度の時間、車両運転を担うことができるようになっている必要がある。完全に自動化された走行(VAF)では、システムが、特別な使用事例のために、全ての状況における走行を自動的に実行し、当該仕様事例のためには運転者はもはや必要ない。BAStの定義による上述の4つの自動化度合いは、SAEレベル1~4(SAE:Society of Automotive Engineering)に対応している。例えば、BAStによる高度に自動化された走行(HAF)は、SAEのレベル3に対応している。また、SAEによって最高の自動化度合いとして更にSAEレベル5が設けられており、当該SAEレベル5は、BAStの定義には含まれていない。SAEレベル5は運転者なしの走行に対応しており、当該走行では、システムが走行中全体において人間の運転者のように全ての状況を実行することができ、一般的に運転者はもはや不要である。
【0003】
自動化レベルが高まるのに伴い、原動機付き車両のハードウェア及びソフトウェアへの要求も高まり、これは、原動機付き車両のより大きな製造コストにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、原動機付き車両のより大きな製造コストを伴うことなくより高い自動化レベルを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、独立請求項の特徴によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。独立請求項に従属する請求項の追加的な特徴は、独立請求項の特徴なしに、又は独立請求項の特徴の一部との組合せにおいてのみでも、固有の、及び独立請求項の全ての特徴の組合せから独立した発明を形成することができ、当該発明は、独立請求項、分割出願又は後出願の対象に対して行われ得ることを指摘しておく。このことは、独立請求項の特徴のうち1つから独立した発明を形成し得る、明細書に記載された技術的な示唆についても同様に当てはまる。
【0006】
本発明の第1の態様は、原動機付き車両の運転者支援システムの自動化度合いを高めるためのシステムに関するものである。
【0007】
運転者支援システムは、少なくとも1つの第1のセンサと、少なくとも1つの第1の演算ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータとを構成要素として含んでおり、少なくとも1つの第1のセンサと、少なくとも1つの第1の演算ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータは、原動機付き車両の構成部材である。
【0008】
少なくとも1つのセンサは、特に、例えばレーダセンサ、カメラセンサ、LiDAR(ライダ)センサ又は超音波センサである、周囲検出のためのセンサである。
【0009】
少なくとも1つのアクチュエータは、例えば、原動機付き車両の操舵部又は駆動部である。
【0010】
システムは、原動機付き車両の構成要素、すなわち運転者支援システム、少なくとも1つの第1のセンサ、少なくとも1つの演算ユニット及び少なくとも1つのアクチュエータのほかに、原動機付き車両(自車)の周囲における交通参加者の構成要素も含んでいる。したがって、システムは、特に、アドホックネットワークに基づき、動作の時間的な推移において様々な構成要素を含む動的なシステムである。このとき、例えば、アドホックネットワークは、移動無線通信網又はWLANを介して形成される。
【0011】
運転者支援システムの自動化度合いは、少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つの演算ユニット及び少なくとも1つのアクチュエータに安全性要求を課し、より高い自動化度合いは、より低い自動化度合いよりも大きな要求を課す。
【0012】
当該安全性要求は、通常、運転者支援システムの開発中に導出される。このために、従来技術では、基準ISO26262における措置が知られており、当該措置では、システムの危険なエラーが危険分析及びリスク分析を用いて特定される。そして、危険なエラーを扱うために、安全性コンセプトが作成され、当該安全性コンセプトに基づき、システムの構成要素に対する機能的及び非機能的な要求が生成される。
【0013】
運転者支援システムの構成要素は、安全性要求を所定の度合いまで満たすように構成されており、これにより、運転者支援システムによって達成されるべき自動化度合いが制限されている。
【0014】
運転者支援システムの構成要素によって最大限達成可能な安全性要求の度合いは、例えば、運転者支援システムの開発中に手動で特定されることが可能である。ただし、定式化された安全性要求が、システムの動作時に、構成要素の定式化された特性と対比される手法が従来技術において既に知られているため、最大限達成可能な安全性要求の度合いがシステムの動作時に自動化されて特定されることも可能である。
【0015】
システムは、例えば別の原動機付き車両である、原動機付き社Y労の周囲における交通参加者を認識するように構成されている。認識は、例えば、原動機付き車両のセンサを用いて、及び/又は場合によってはアドホックネットワーク通信のための基礎として直接用いられる無線のネットワークを介して行われることが可能である。
【0016】
そのほか、システムは、交通参加者が少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットを含むことを特定するように構成されている。第2のセンサは、特に、例えばレーダセンサ、カメラセンサ、LiDARセンサ又は超音波センサである、周囲検出のためのセンサである。
【0017】
さらに、システムは、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いの安全性要求を満たすかどうかをチェックするように構成されている。
【0018】
運転者支援システムが少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの利用時により高い自動化度合いの安全性要求を満たすかどうかをチェックするために、特に、システムは、少なくとも1つの第1のセンサ、少なくとも1つの第1の演算ユニット、少なくとも1つのアクチュエータ、少なくとも1つの第2のセンサ及び少なくとも1つの第2の演算ユニットをより高い自動化度合いの定式化された安全性要求と対比させるように構成されている。このために、例えば、従来技術において知られたいわゆる「安全性契約(取り決め)(Safety Contracts)」を用いることが可能である。
【0019】
そのほか、システムは、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いの安全性要求を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットを利用することで、原動機付き車両の運転者支援システムを制御する自動化度合いをより高い自動化度合いへ高めるように構成されている。
【0020】
これに代えて、原動機付き車両の運転者には、原動機付き車両の運転者支援システムを制御する自動化度合いを高めることのみを提供することもできるため、実際の自動化度合いについての決定は原動機付き車両の運転者にとどまる。
【0021】
本発明の有利な一実施形態では、交通参加者の運転者支援システムは、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットを含んでいる。
【0022】
交通参加者の運転者支援システムは、交通参加者を自動化して制御するように構成されている。特に、交通参加者の運転者支援システムは、交通参加者の長手方向ガイド(長手方向運転)及び/又は横方向ガイド(横方向運転)を制御するように構成されている。
【0023】
システムは、原動機付き車両の運転者支援システムが少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットを利用するように交通参加者を自動化して制御することを交通参加者の運転者支援システムに設定するように構成されている。特に、システムは、交通参加者の運転者支援システムが交通参加者をガイドすべき軌道を交通参加者の運転者支援システムに設定するように構成されている。
【0024】
原動機付き車両の運転者支援システムは、特に、少なくとも1つの第2のセンサによって検出されるセンサ範囲が原動機付き車両の周囲にある場合に、少なくとも1つの第2のセンサを利用することが可能である。例えば、原動機付き車両の運転者支援システムは、少なくとも1つの第2のセンサによって検出されるセンサ範囲が少なくとも1つの第1のセンサによって検出されるセンサ範囲と少なくとも部分的に重なる場合に、少なくとも1つの第2のセンサを利用することが可能である。
【0025】
本発明の有利な別の一実施形態では、システムは、より高い自動化度合いの安全性要求を少なくとも1つの第1のセンサ、少なくとも1つの第2のセンサ、少なくとも1つの第1の演算ユニット及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットへ分解するように構成されている。安全性要求の分解についての基本的な規則は、ISO26262の第9巻に記載されている。従来技術では、分解の自動化も知られている。
【0026】
そのほか、システムは、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの追加的な利用時に運転者支援が高められた自動化度合いの安全性要求を満たすかどうかをチェックし、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの追加的な利用時に運転者支援システムが高められた自動化度合いの安全性要求を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの利用によって、原動機付き車両の自動化度合いを高められた自動化度合いへ高めるように構成されている。
【0027】
本発明の有利な別の一実施形態では、交通参加者が少なくとも1つの第2の演算ユニットを含んでおり、原動機付き車両の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2の演算ユニットを、少なくとも1つの第1の演算ユニットにおける演算パスに対する(演算パスへの)冗長的な演算パスとして利用するように構成されている。
【0028】
本発明の有利な別の一実施形態では、交通参加者が少なくとも1つの第2のセンサを含んでおり、原動機付き車両の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2のセンサを、少なくとも1つの第1のセンサに対して多様なセンサとして利用するように構成されている。
【0029】
特に、原動機付き車両の運転者支援システムは、少なくとも1つの第1のセンサのセンサ範囲及び少なくとも1つの第2のセンサのセンサ範囲が少なくとも部分的に重なり、少なくとも1つの第1のセンサのセンサ原理及び少なくとも1つの第2のセンサのセンサ原理が異なる場合に、少なくとも1つの第2のセンサを少なくとも第1のセンサに対して多様なセンサとして利用するように構成されている。センサのセンサ原理は、センサの物理的な動作様式である。異なるセンサ原理は、例えば、レーダ、LiDAR、カメラ又は超音波である。
【0030】
本発明の有利な別の一実施形態では、交通参加者が少なくとも1つの第2のセンサを含んでおり、原動機付き車両の運転者支援システムが、少なくとも1つの第2のセンサを、原動機付き車両の周囲への追加的な視角として利用するように構成されている。
【0031】
特に、原動機付き車両の運転者支援システムは、少なくとも1つの第1のセンサのセンサ範囲及び少なくとも1つの第2のセンサのセンサ範囲が少なくとも部分的に重なる場合に、少なくとも1つの第2のセンサを原動機付き車両の周囲への追加的な視角として利用するように構成されている。少なくとも1つの第1のセンサと少なくとも1つの第2のセンサの、その原動機付き車両と交通参加者における取付により生じる異なる位置によって、原動機付き車両の周囲への追加的な視角が生じる。
【0032】
特に、原動機付き車両の運転者支援システムは、少なくとも1つの第1のセンサのセンサ範囲及び少なくとも1つの第2のセンサのセンサ範囲が少なくとも部分的に重ならない場合、例えば、少なくとも1つの第2のセンサのセンサ範囲が、少なくとも1つの第1のセンサのセンサ範囲に含まれない原動機付き車両の周囲の一部をカバーする場合に、少なくとも1つの第2のセンサを原動機付き車両の周囲への追加的な視角として利用するように構成されている。したがって、例えば、交通参加者が原動機付き車両の前方にある場合には、交通参加者のフロントセンサを少なくとも1つの第2のセンサとして利用することが可能である。したがって、原動機付き車両が交通参加者の反応のみならず既に独立して交通参加者のフロントセンサを評価することができるとともに、例えば交通参加者に対する原動機付き車両の距離を拡げることができるうえ、原動機付き車両の速度を低減することができ、及び/又はハザードランプを作動させることができるため、例えば、緊急状況に対してより迅速に応答することが可能である。
【0033】
本発明の有利な別の一実施形態では、システムは、渋滞状況において、原動機付き車両の周囲における交通参加者を認識するように構成されている。渋滞状況とは、激しいストップアンドゴーを伴う交通状況又は停止に至る交通である。特に、渋滞状況は、複数の車両が少なくとも1kmの長さを少なくとも5分間平均で20km/h未満の速さで走行する場合である。これに代えて、又はこれに加えて、渋滞状況は、例えば、複数の車両が少なくとも1kmの長さを少なくとも5分間平均で20~40km/hの速さで走行する場合である。
【0034】
このとき、本発明は、渋滞状況では、交通参加者が原動機付き車両の周囲に比較的長く存在し、したがって、少なくとも1つの第1のセンサのセンサ範囲と少なくとも1つの第2のセンサのセンサ範囲が比較的長く重なるという認識を基礎とするものである。したがって、本発明は、渋滞状況において特に長く利用されることができ、これにより、原動機付き車両の自動化度合いの頻繁な変更が回避される。
【0035】
本発明の有利な別の一実施形態では、交通参加者は交通インフラの1つの物体(オブジェクト)である。
【0036】
本発明の第2の態様は、原動機付き車両の運転者支援システムの自動化度合いを高めるための方法に関するものである。
【0037】
運転者支援システムは、少なくとも1つの第1のセンサと、少なくとも1つの第1の演算ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータとを構成要素として含んでいる。
【0038】
運転者支援システムの自動化度合いは、少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つの演算ユニット及び少なくとも1つのアクチュエータに安全性要求を課し、より高い自動化度合いは、より低い自動化度合いよりも大きな要求を課す。
【0039】
運転者支援システムの構成要素は、安全性要求を所定の度合いまで満たすように構成されており、これにより、運転者支援システムによって達成され得る(達成されるべき)自動化度合いが制限されている。
【0040】
方法の1つのステップは、原動機付き車両の周囲における交通状況の認識である。
【0041】
方法の更なるステップは、交通参加者が少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットを含むことを特定することである。
【0042】
方法の更なるステップは、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いの安全性要求を満たすかどうかをチェックすることである。
【0043】
方法の更なるステップは、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットの利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いの安全性要求を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサ及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットを利用することで、原動機付き車両の運転者支援システムを制御する自動化度合いをより高い自動化度合いへ高めることである。
【0044】
本発明の第1の態様の本発明によるシステムについての上述の形態は、相応する態様で、本発明の第2の態様の本発明による方法についても当てはまる。ここでは、及び各請求項では明確に記述されていない本発明による方法の有利な実施例は、上述の、又は各請求項に記載された本発明によるシステムの有利な実施例に対応する。
【0045】
以下に、本発明を、添付の図面を参照しつつ実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明を利用可能な例示的な交通状況を示す図である。
図2】本発明の例示的な一実施形態を示す図である。
図3】自動化度合いと、安全性要求と、運転者支援システムの構成要素との間の関係の説明図である。
図4】安全性要求の分解のコンセプトの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1には、本発明を特に有利に利用可能な例示的な交通状況が示されている。
【0048】
これは、渋滞状況である。本発明によるシステムは、特に、渋滞状況において、原動機付き車両(自車)EGOの周囲における交通参加者VKTNを認識するように構成されている。
【0049】
原動機付き車両EGOに含まれる少なくとも1つの第1のセンサS1のセンサ範囲及び交通参加者VKTNに含まれる少なくとも1つの第2のセンサS2のセンサ範囲は、この例示的な交通状況では少なくとも部分的に重なり合っている。別の両交通参加者O1,O2が、少なくとも1つの第1のセンサS1及び少なくとも1つの第2のセンサS2のセンサ範囲にある。したがって、原動機付き車両EGOの周囲における別の両交通参加者O1,O2は、それぞれ異なる視角に基づいて検出されることができ、これにより、少なくとも1つの第1のセンサS1によってのみ検出する場合よりも検出時のエラー(誤差)の確率が低くなる。したがって、原動機付き車両EGOの運転者支援システムによって少なくとも1つの第2のセンサS2の追加的な利用を活用する場合には、原動機付き車両EGOの運転者支援システムは、少なくとも1つの第2のセンサS2の追加的な利用をしない場合よりも高い安全性要求A3を満たすことが可能である。したがって、原動機付き車両EGOの運転者支援システムは、より高い自動化度合いL3も達成することが可能である。
【0050】
図2には、原動機付き車両EGOの運転者支援システムの自動化度合いを高めるための本発明によるシステムの例示的な一実施形態が示されている。
【0051】
運転者支援システムは、少なくとも1つの第1のセンサS1と、少なくとも1つの第1の演算ユニットR1と、少なくとも1つのアクチュエータAとを構成要素として含んでいる。そのほか、運転者支援システムは、制御ユニットFAS及び通信ユニットK1を含んでいる。
【0052】
運転者支援システムの自動化度合いL2,L3は、少なくとも1つのセンサS1、少なくとも1つの演算ユニットR1及び少なくとも1つのアクチュエータAに安全性要求A2,A3を課し、より高い自動化度合いL3は、より低い自動化度合いL2よりも大きな要求A3を課す。
【0053】
運転者支援システムの構成要素は、安全性要求A2を所定の度合いまで満たすように構成されており、これにより、運転者支援システムによって達成され得る(達成されるべき)自動化度合いL2が制限されている。
【0054】
システムは、原動機付き車両EGOの周囲における交通参加者VKTNを認識するとともに、交通参加者VKTNが少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2を含むことを特定するように構成されている。このことは、例えば、原動機付き車両EGOの通信ユニットK1が交通参加者VKTNの通信ユニットK2とのアドホックネットワークを形成することで行われることが可能である。
【0055】
そのほか、システムは、少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2の利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いL3の安全性要求A3を満たすかどうかをチェックするように構成されている。ここでは、例えば、少なくとも1つの第2のセンサS2及び少なくとも1つの第2の演算ユニットR2が仮想的に制御ユニットFASに接続されているため、当該制御ユニットは、少なくとも1つの第1のセンサS1、少なくとも1つの第1の演算ユニットR1、少なくとも1つのアクチュエータA、少なくとも1つの第2のセンサS2及び少なくとも1つの第2の演算ユニットR2にアクセスすることが可能である。
【0056】
さらに、システムは、少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2の利用時に運転者支援システムがより高い自動化度合いL3の安全性要求A3を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2を利用することで自動化度合いをより高い自動化度合いL3へ高めるように構成されている。
【0057】
特に、システムは、より高い自動化度合いL3の安全性要求A3を、少なくとも1つの第1のセンサS1、少なくとも1つの第2のセンサS2、少なくとも1つの第1の演算ユニットR1及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2へ分解し、少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2の追加的な利用時に運転者支援が高められた自動化度合いL3の安全性要求A3を満たすかどうかをチェックし、少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2の追加的な利用時に運転者支援システムが高められた自動化度合いL3の安全性要求A3を満たす場合に、少なくとも1つの第2のセンサS2及び/又は少なくとも1つの第2の演算ユニットR2の利用によって、原動機付き車両EGOの自動化度合いを高められた自動化度合いL3へ高めるように構成されている。
【0058】
図3には、自動化度合いと、安全性要求と、運転者支援システムの構成要素との間の関係の説明図が示されている。
【0059】
例えば、自動化度合いL2は、運転者支援システムの構成要素に、すなわち少なくとも1つの第1のセンサS1、少なくとも1つの第1の演算ユニットR1及び少なくとも1つのアクチュエータAに安全性要求A2を課す。
【0060】
自動化度合いL3は、運転者支援システムの構成要素に、すなわち少なくとも1つのセンサS1、少なくとも1つの演算ユニットR1及び少なくとも1つのアクチュエータAに安全性要求A3を課し、より高い自動化度合いL3は、より低い自動化度合いL2の安全性要求A2よりも大きな要求A3を課す。
【0061】
より高い安全性要求A3は、より低い安全性要求A2とは異なり、場合によっては運転者支援システムの構成要素によって満たされないことがあり得るため、運転者支援システムは、最大でもより低い自動化度合いL2を達成することが可能である。
【0062】
図4には、安全性要求の分解のコンセプトの説明図が示されている。
【0063】
図3について既に言及したように、運転者支援システムの構成要素、すなわち少なくとも1つの第1のセンサS1、少なくとも1つの第1の演算ユニットR1及び少なくとも1つのアクチュエータAは、より高い安全性要求A3を満たさないことがあり得る。
【0064】
ISO26262により、安全性負荷が追加的な構成要素に分配され得る場合には、安全性要求の分解により、いわゆる安全性負荷である構成要素への安全性要求の高さを低減することが可能である。したがって、例えば、交通参加者VKTNの追加的な構成要素、すなわち少なくとも1つの第2のセンサS2及び少なくとも1つの第2の演算ユニットR2と連携する運転者支援システムの構成要素は、より高い安全性要求A3を満たすため、運転者支援システムは、交通参加者の追加的な構成要素の利用時にもより高い自動化度合いL3を達成することが可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】