(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】高効率のニアアイライトフィールド表示システム及びニアアイライトフィールド表示システムを用いた投影仮想画素の投影方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240209BHJP
G02B 30/10 20200101ALI20240209BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B30/10
H04N5/64 511A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549074
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 IB2021051373
(87)【国際公開番号】W WO2022175716
(87)【国際公開日】2022-08-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519171480
【氏名又は名称】クリアル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】スルカ・トマシュ
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA06
2H199BA20
2H199BA61
2H199BA68
2H199BB02
2H199BB03
2H199BB06
2H199BB23
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA42
2H199CA86
2H199CA97
(57)【要約】
【課題】ニアアイライトフィールド発光表示装置の有効解像度とコリメーションを改良する。
【解決手段】本開示は、ニアアイライトフィールド表示システムに関し、この表示システムは、複数の表示画素(10、12)を備える発光表示装置(1)と、レンズアレイ(14)とを備える。各表示画素(10、12)は、色情報を持ち、非作動又は作動に設定されるように個別にアドレス指定可能であって、光ビーム(111)を生成する。レンズアレイ(14)は複数のレンズ(140)を備え、作動表示画素(10、12)の光ビーム(111)を投影して投影仮想画素画像(26)を形成するように構成されている。投影画素画像(26)は、作動表示画素(10、12)の数と発光表示装置(1)上の作動表示画素(10、12)のの位置とによって決定される色情報と空間内の位置とを持つ。本開示はさらに、ニアアイライトフィールド表示システムを用いて投影仮想画素を投影する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近焦点面(22)と瞳孔面(130)の間に位置して、非作動又は作動に設定されるように個別にアドレス指定可能である発光表示装置(1)であって、各表示画素(10、12)が色情報を持ちそして瞳孔面(130)に向かって光ビーム(111)を生成する複数の前記表示画素(10、12)を備える、発光表示装置(1)と、
前記発光表示装置(1)と前記瞳孔面(130)との間に位置するレンズアレイ(14)であって、複数のレンズ(140)を備えるアレイを備え、作動表示画素(10、12)によって生成された光ビーム(111)を投影して投影仮想画素画像(26)を形成するように構成されているレンズアレイ(14)と、
を備えるニアアイライトフィールド表示システムにおいて、
前記投影画素画像(26)の色情報及び前記投影画素画像(26)の空間内の位置は、前記作動表示画素(10,12)の数及び前記発光表示装置(1)上の前記作動表示画素(10,12)の位置によって決定される、ニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項2】
前記レンズアレイ(14)は、25個と64個の間の個数のレンズ(140)を備える行列アレイを備える、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項3】
前記レンズ(140)が1から5mmのサイズを持つ、請求項2に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項4】
前記表示画素(10、12)の色深度が、1ビット色又は2ビット色である、請求項1から3のいずれか一項に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項5】
前記光ビーム(111)を像面(22)に投射するように構成された結像光学素子(16)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項6】
前記瞳孔面(130)でアイボックス(20)を画定するような前記光ビーム(111)を投影するように構成された投影光学系(18)を備える、請求項5に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項7】
前記発光表示装置(1)が、各表示画素(10、12)を作動又は非作動に設定するように複数の前記表示画素(10、12)を制御するように構成された駆動回路を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項8】
請求項1から7に記載のニアアイライトフィールド表示装置を備える、仮想現実又は拡張現実用途用の着用可能な装置。
【請求項9】
仮想現実又は拡張現実メガネを備える、請求項8に記載の着用可能な装置。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載のニアアイライトフィールド表示システムを用いて投影仮想画素を投影する方法であって、
前記投影仮想画素(26)の色情報と、前記瞳孔面(130)に対する前記投影画素画像(26)の位置に対応するベクターデータを提供することと、
前記発光表示装置(1)の前記表示画素(110、120)のサブセットを選択するように前記ベクターデータで発光表示装置(1)をアドレス指定することと、
表示画素(110、120)の前記選択されたサブセット内の各表示画素(10、12)が光ビーム(111)を生成するように、表示画素(110、120)の前記選択されたサブセットを作動に設定することと
を備える、前記ニアアイライトフィールド表示システムを用いて投影仮想画素を投影する方法。
【請求項11】
前記ベクターデータが色モデルと座標セットを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記色モデルが、色の赤、緑、青の成分を表す3バイトの16進数を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記座標セットがデカルトx、y、z座標を備える、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ベクターデータが、発光表示装置(1)上の、表示画素(110、120)の選択された前記サブセットに対応する2次元座標の計算に使用される、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記発光表示装置(1)は、各表示画素(10、12)を作動又は非作動に設定するような複数の表示画素(10、12)を制御するように構成された駆動回路を備え、
前記方法が、前記ベクターデータを前記駆動回路に提供することを備える、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
処理能力を持つ装置によって実行される場合、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合される指示を備えたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、より詳細には、正しい単眼深度キューを持つ三次元(3D)画像を提供する表示装置に関する。より特定的には、仮想及び拡張現実ゴーグル及びメガネ、並びに仮想及び拡張現実の用途用のニアアイライトフィールド表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のライトフィールド表示装置は、他の概念の中でも、従来の発光二次元(2D)表示装置を、取り付けられたレンズアレイ又は同じことを行う他の光学素子と組み合わせて使用する。このようなライトフィールド表示装置では、投影された各仮想画素は、(表示装置上の)複数の実際の表示画素によって表される。これが通常、システム全体の有効解像度の低下をもたらし、仮想画素あたりの色情報の冗長性を引き起こす。冗長性は最大30から60倍である。別の欠点は、実際の画素によって放出された光に対して各レンズによって実行されるコリメーション(平行光線を得ること)が不完全であり、部分的にはレンズの光学特性が必然的に不完全であるだけでなく、それらの小さな開口部での回折のためにも不完全である。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、出願時最新技術の欠点及び限界を克服するレンズアレイを備えた2次元発光表示装置を使用するニアアイライトフィールド表示システムに関する。
【0004】
本開示は、近焦点面と瞳孔面との間に位置する発光表示装置を備えるニアアイライトフィールド表示システムに関し、複数の表示画素を備える発光表示装置は、色情報を持つ各表示画素を個々にアドレス指定可能であり、瞳孔面に向かって光ビームを発生させるような非作動又は作動に設定される。
ライトフィールド表示システムは、発光表示装置と瞳孔面との間に位置するレンズアレイをさらに備える。レンズアレイは、複数のレンズを備えるアレイを備え、作動表示画素によって生成された光ビームを投影して、投影仮想画素画像を形成するよう構成されている。投影画素画像の色情報及び投影画素画像の空間内位置は、作動表示画素の数及び発光表示装置上のそれらの位置によって決定される。
【0005】
本開示はさらに、ニアアイライトフィールド表示システムを用いて投影仮想画素を投影する方法に関する。
【0006】
本開示はさらに、実行されると計算システムに、ニアアイライトフィールド表示システムを使用して投影仮想画素を投影する方法を実行させる機械実行可能命令を格納する非一時的な機械可読媒体に関する。
【0007】
各画素の色解像度が低い高密度発光表示装置を使用して、既知のシステムを使用する場合と少なくとも同じ知覚品質を提供するのに、本明細書で開示されるニアアイライトフィールド表示システムに必要なデータと計算負荷は、最小限である。
【0008】
本発明の例示的な実施形態は、説明において開示され、図面によって図示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態による発光表示装置を備えるニアアイライトフィールド表示システムを示す。
【
図2】
図2は、
図1のニアアイライトフィールド表示システムを表し、実施形態による、光ビームの投影及び仮想画像の投影された仮想画素を示す。
【
図3】
図3は、発光表示装置の作動表示画素からの仮想画素2つの投影(
図3a)と、第1仮想画素(
図3b)及び第2仮想画素(
図3c)を構築する作動表示画素の分布及び実施形態による2つの仮想画素を構築する分布の組み合わせを示す。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るニアアイライトフィールド表示システムを備えるウェアラブル装置を示す。
【
図5】
図5は、第1及び第2仮想画素(
図5a)に対する表示画素のサブセットの構成及び個々の物理サブパネルへの分布(
図5b)を示すニアアイライトフィールド表示システムを使用して投影仮想画素を投影する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、一実施形態に係るニアアイライトフィールド表示システムを示す。ライトフィールド表示システムは、複数の表示画素10、12を備える発光表示装置1を備え、各表示画素10、12は、色情報を持ち、光を生成しない「オフ」状態(非作動)に、もしくは瞳孔面130に向かって光ビーム111を生成するような「オン」状態(作動)にアドレス指定可能である。換言すると、発光表示装置1は、デジタル階調表示の発光期間が「発光」と「非発光」のバイナリ表示であるためバイナリ表示である。ライトフィールド表示システムは、発光表示装置1と瞳孔面130との間に配置されるレンズアレイ14をさらに備える。レンズアレイ14は、複数のレンズ140を備えるアレイを備え、各レンズ140は、複数の表示画素10、12のサブセット(下位セット、部分セット)を包含する。発光表示装置1は二次元である。
【0011】
レンズアレイ14内のレンズ140は、回折格子光学素子、屈折光学素子、フレネル光学素子、ホログラフィック光学素子、又はこれらの光学素子の組み合わせを備えてよい。
【0012】
図2に示すように、レンズアレイ14は、作動表示画素10、12によって生成された光ビーム111を投影して、仮想画像の投影仮想画素26を形成するように構成されている。投影仮想画素26の色情報及び瞳孔面130に対する投影仮想画素26の位置は、作動表示画素10,12の数及び発光表示装置1上のそれらの位置によって決定される。例えば、平坦な発光表示装置1上に作動表示画素が統合されている。
【0013】
ライトフィールド表示システムは、レンズアレイ14と瞳孔面130との間に位置するプロジェクタ像面22を形成するような光ビーム111を投射するように構成された結像光学素子16を備えてよい。結像光学素子16は、光ビーム111が交差するように偏向し、投影仮想画素26を投影画像面22内に形成する。
【0014】
ライトフィールド表示システムは、瞳孔面130でアイボックス20を画定するような光ビーム111を投影するように構成された投影光学系18をさらに備えてよい。アイボックス20は、予想される直径、向き(すなわち、回転)、及び瞳孔の位置のような、観察者の眼の特性を定義する。投影光学系18は、接眼レンズ又はコンバイナを備えてよい。
【0015】
図2はさらに、アイボックス20から見た仮想画像の投影光学系18とアイボックス仮想画素24の前の単一の投影仮想画素26の構成を示す。投影仮想画素24及びアイボックス仮想画素26は、作動表示画素10、12によって生成された光ビーム111の断面から構成される。特に、投影仮想画素24及びアイボックス仮想画素26の各々は、対応する表示画素10、12が作動している各レンズ140によって投影された光ビーム111の合計から構成される。
【0016】
1実施形態では、レンズアレイ14は、25個と64個の間の個数のレンズ140を備える行列アレイを備える。このような構成において、投影仮想画素24及びアイボックス仮想画素26は、作動表示画素10、12によって生成された光ビーム111から構築可能であり、各表示画素10、12は、1個のレンズ140を照らし、25個の表示画素10、12によって生成された光ビーム111の断面を形成する。
【0017】
投影仮想画素24及びアイボックス仮想画素26の色は、作動表示画素10、12対非作動表示画素10、12の割合によって決定される。仮想画素24,26の投影及びアイボックスの色情報は、発光表示装置1上の作動表示画素10,12の色情報の総和である。
【0018】
図3aは、作動表示画素10、12の第1セット(灰色の点)によって生成された光ビーム111からの第1投影仮想画素26aの投影を示し、第1セットの各作動表示画素10、12は、レンズアレイ14の別個のレンズ140によって投影される。
図3aはさらに、作動表示画素10、12の第2組(黒点)によって生成された光ビーム111からの第2投影仮想画素26bの投影を示し、第2組の各作動表示画素10、12はレンズアレイ14の別個のレンズ140によって投影される。
図3aの例では、5x5レンズ140を備えるレンズアレイ14が説明用に使用される。第1投影仮想画素26a及び第2投影仮想画素26bは、(
図3には図示しない)投影光学系18の前に作られる。
【0019】
第1投影仮想画素26a及び第2投影仮想画素26bの各々は、非作動表示画素10、12に対する作動表示画素10、12の事前定義された割合に対応できる。第1投影仮想画素26a及び第2投影仮想画素26bの各々は、発光表示装置1上の作動表示画素10、12のランダム分布に対応できる。
図3bは、第1投影仮想画素26aを構築する発光表示装置1上の作動表示画素10、12の例示的な割合及び分布を示す。
図3cは、第2投影仮想画素26bを構築する発光表示装置1上の作動表示画素10、12の例示的な割合及び分布を示す。
図3dは、第1投影仮想画素26a及び第2投影仮想画素26bを構成する発光表示装置1上の作動表示画素10、12の割合及び分布の組み合わせを示す。第1及び第2投影仮想画素26a,26bの組み合わせは、バイナリ発光表示装置1上の複数の低色解像度表示画素10,12からのフルカラー仮想画素に対応できる。
【0020】
様々な実施形態において、表示画素10、12は、1ビットの色解像度(2色、しばしば白黒)を備えてよい。ここで、投影仮想画素26a,26bは、バイナリ発光表示装置1上の表示画素10,12からのベースカラー毎に26階調レベルを持てる。代替的には、表示画素10、12は、投影仮想画素26a、26bが104のグレースケールレベルを持てるように、2ビットの色解像度を備えてよい。表示画素10,12は1ビット以上の色解像度を備えるので、発光表示装置1はもはやバイナリ表示ではない。表示画素10、12は、投影仮想画素26a、26bが208グレースケールレベルを持てるように、3ビットの色解像度を備えてよい。表示画素10、12は、3ビット以上の色解像度をさらに備えてよい。256のグレースケールレベルを持つ投影仮想画素26a,26bは、例えば、レンズアレイ14が16x16レンズ140のアレイを備え、表示画素10、12が1ビットの色解像度を備える場合、又はレンズアレイ14が8x8レンズ140及び表示画素10、12のアレイを備える場合、2ビットの色解像度を備える。
【0021】
いくつかの観点では、グレースケールレベルは、画素密度によって増やしてよい。最適レベルに準じた光学系14、16、18を使用する場合、画素解像度は、光学系14、16、18の光学解像度よりも高くできる。例えば、バイナリ発光表示装置1上の2x2表示画素は、5つの色レベルを持つ1画素として認識できる。
【0022】
色解像度は、レンズアレイ14内のレンズ140の数に比例して増加する。一方、色解像度は、幅広い拡張現実用途では要件が低くなる。
【0023】
様々な実施形態において、レンズアレイ14は、(縦横)2x2、4x4、5x5、6x6、7x7、8x8、9x9、10x10、11x11、12x12、13x13、14x14、15x15、16x16のレンズ140のアレイを備えてよい。しかしながら、レンズアレイ14の他の配置は可能であり、例えばレンズアレイ14aは、長方形の行列又は任意の他の行列幾何形状を備えてよい。
【0024】
レンズアレイ14は、観察者の(アイボックスの)収容範囲外に配置され(レンズアレイの画像は、典型的には、観察者の瞳孔と一致するアイボックス20内に位置する)、技術的にはフーリエ空間内に配置されるので、レンズアレイ14は、低密度かつ大きなレンズ140を持てる。
【0025】
いくつかの観点では、レンズ140は、1から5mmの間の幅(又はレンズピッチ)を持つ。
【0026】
実用的には、レンズアレイ14は、各レンズが直径1から5mmの2x2レンズ140のアレイを備えてよい。このような構成では、各表示画素10、12は、高い色情報(1ビット以上の色解像度)を当然持っている。さらに、各視点のピンホール投影(レンズ140の像)を近似するために、追加の絞りフィルタが必要となる場合がある。
【0027】
一方、16x16を超えるレンズ140を備えるレンズアレイ14は、各画素ビーム(光ビーム111)のサイズを許容可能な開口又は自己回折限界以上に保つために、(例えば、直径0.3mmから1mmの)小さなレンズ140であっても、より大きな発光表示装置パネルを必要とし得る。
【0028】
5x5と8x8の間の(構成の)レンズ140を備えるレンズアレイ14は、ほとんどの用途に最適(有利)と考えられる。
【0029】
発光表示装置1は、高密度の表示画素10、12を持ってよい。例えば、発光表示装置1は、マイクロメートルスケール又はサブミクロン画素ピッチが可能な複数のマイクロLED、マイクロOLED、又は他の発光装置を備えてよい。上述したように、表示画素10、12は、(1ビット色解像度のような)低色解像度とできる。
【0030】
結像光学素子16及び投影光学系18のいずれか一方又は両方は、ライトフィールド表示システムが機能するには任意である。つまり、レンズアレイ14単独では、ライトフィールド投影系の射出瞳とできる。一方、結像光学素子16と投影光学系18との少なくとも一方は、ライトフィールド源(発光表示装置1)とアイボックス20との間に物理的距離を作り出せるようにするものである。例えば、結像光学素子16と投影光学系18との少なくとも一方は、より大きなアイレリーフを可能にする。
【0031】
図2では、結像光学素子16と投影光学系18の軸対称配置は例示に過ぎない。結像光学素子16及び投影光学系18は、非対称であってよく、光学系が投影仮想画素24及びアイボックス仮想画素26、24によって形成される画像のライトフィールド部分における入射瞳又は個々の画素ビーム(光ビーム111)を複製しない限り、導光路及び回折光学素子を備えてよい。
【0032】
一観点では、ライトフィールド表示システムは、例えば画像の周辺部分の瞳孔拡大のために、画像化アウトカップリング要素を備える画像化導波路などの瞳孔複製装置(図示せず)を備えてよい。瞳孔複製装置は、アイボックス20サイズを拡大する周辺アイボックス領域を作成できる。
【0033】
1実施形態では、着用可能な(ウェアラブル)装置は、本明細書に開示されるニアアイライトフィールド表示システムを備える。ウェアラブル装置は、仮想現実又は拡張現実用途に適合できる。ウェアラブル装置は、仮想現実又は拡張現実メガネを備えてよい。
図4に図示されるように、ウェアラブル装置は、2つの発光表示装置1及び2つのレンズアレイ14を備える眼鏡の形状要因に具体化して、双眼ニアアイライトフィールド表示装置を形成でき、ここで、第1発光表示装置及びレンズアレイセットがユーザの左目に関連付けられ、第2発光表示装置及びレンズアレイセットがユーザの右眼に関連付けられる。
図4の構成において、投影光学系18は、メガネのレンズに一体化されたコンバイナを備える(コンバイナは、現実世界からの光に対して透明であり、すなわち、外光を観察者の眼瞳孔に通過させ、一方、光ビーム111をアイボックス20に向けて投射する)。発光表示装置1及び結像光学素子16は、眼鏡のヒンジ又はテンプルの別の部分に含めてよい。
【0034】
図5a及び
図5bは、一実施形態によるニアアイライトフィールド表示システムを使用する方法を示す。この方法は
投影仮想画素26の色情報と、瞳孔面130に対する投影画素26の位置とに対応するベクターデータを提供することと、
発光表示装置1の表示画素110、120のサブセットを選択するようなベクターデータで発光表示装置1をアドレス指定することと、
表示画素110、120の選択されたサブセット内の各表示画素10、12が光ビーム111を生成するように、表示画素110、120の選択されたサブセットをオン状態に設定(起動する)ことと
を備える。
【0035】
一観点では、ベクターデータは、カラーモデルと座標セットとを備えてよい。例えば、色モデルは、色の赤、緑、青の成分を表す3バイトの16進数を備えてよい。座標セットは、デカルトx、y、z座標を備えてよい。
【0036】
図5aは、作動表示画素a1からa25を備え、第1投影仮想画素26aに対応するベクターデータから計算された表示画素110の第1サブセットを示す。
図5aは、作動表示画素b1からb25を備え、第2投影仮想画素26bに対応するベクターデータから計算された表示画素120の第2サブセットをさらに示す。表示画素110、120の第1及び第2サブセットは、異なる数の作動表示画素10、12の異なる数(a1からaN及びb1からbN)と、発光表示装置1上の作動表示画素10、12の分布との少なくとも一方に対応してよい。
【0037】
ベクターデータは、表示画素110、120の選択されたサブセットに対応する発光表示装置1上の2次元座標の計算に使用してよい。計算は三角法に基づいて行ってよい。仮想画素26a、26bの座標セットは、表示画素110、120のサブセットにおける各作動表示画素10、12の2次元座標を決定する。表示画素110、120のサブセットの各作動表示画素10、12は、仮想画素26a及び26bの部分的な色情報を運ぶ。
【0038】
この方法は、表示画素110、120の2つのサブセットを用いて図示されているが、それは、表示画素110、120及び複数の仮想画素26a、26bの2つより多いサブセットに適用される。
【0039】
図5bに図示されるように、表示画素110、120のサブセット内の作動表示画素10、12は、それから、個々の物理的サブパネルに分配される。ここで、サブパネルは、複数の表示画素10、12のサブセットを包含するレンズ140に対応してよい。
【0040】
発光表示装置1は、各表示画素10、12を非作動又は作動に設定するような複数の表示画素10、12を制御するように構成された駆動回路(図示せず)を備えてよい。その後、ベクターデータを駆動回路に提供できる。
【0041】
1実施形態では、処理能力を持つ装置によって実行されると、本明細書に開示される方法を実行するように適合される命令を備えるコンピュータプログラムである。
【符号の説明】
【0042】
1 発光表示装置
10,12 表示画素
110 表示画素の第1サブセット
111 光ビーム
120 表示画素の第2サブセット
14 レンズアレイ
16 結像光学素子
18 投影光学系、アイピース
20 アイボックス
22 発光表示装置の画像面
24 アイボックス仮想画素
26、26a、26b 投影仮想画素
130 瞳孔面
140 レンズ
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
本開示は、複数の表示画素を備える発光表示装置を備えるニアアイライトフィールド表示システムに関し、色情報を持つ各表示画素を個々にアドレス指定可能であり、各表示画素は瞳孔面に向かって光ビームを発生させるように非作動又は作動に設定される。
ライトフィールド表示システムは、発光表示装置と瞳孔面との間に位置するレンズアレイをさらに備える。レンズアレイは、複数のレンズを備えるアレイを備え、作動表示画素によって生成された光ビームを投影して、投影仮想画素画像を形成するよう構成されている。投影画素画像の色情報及び投影画素画像の空間内位置は、作動表示画素の数及び発光表示装置上のそれらの位置によって決定される。投影画素画像の色情報は、作動表示画素の色情報の総計である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素を備え
る発光表示装
置であって、各表示画
素が色情報を持ち、瞳孔
面に向かって光ビー
ムを生成するように非作動又は作動に設定されるように
前記各画素が個別にアドレス指定可能である
、発光表示装
置と、
前記発光表示装
置と前記瞳孔
面との間に位置するレンズアレ
イであって、複数のレン
ズを備えるアレイを備え、作動表示画
素によって生成された光ビー
ムを投影して投影仮想画素画
像を形成するように構成されているレンズアレ
イと、
を備えるニアアイライトフィールド表示システムにおいて、
前記投影画素画
像の色情報及び前記投影画素画
像の空間内の位置は、前記作動表示画
素の数及び前記発光表示装
置上の前記作動表示画
素の位置によって決定さ
れ、
前記投影画素画像の前記色情報が前記作動表示画素の色情報の総計である、ニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項2】
前記レンズアレ
イは、25個と64個の間の個数のレン
ズを備える行列アレイを備える、請求項1に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項3】
前記レン
ズが1から5mmのサイズを持つ、請求項2に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項4】
前記表示画
素の色深度が、1ビット色又は2ビット色である、請求項
1に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項5】
前記光ビー
ムを像
面に投射するように構成された結像光学素
子を備える、請求項
1に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項6】
前記瞳孔
面でアイボック
スを画定するような前記光ビー
ム)を投影するように構成された投影光学
系を備える、請求項5に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項7】
前記発光表示装
置が、各表示画
素を作動又は非作動に設定するように複数の前記表示画
素を制御するように構成された駆動回路を備える、請求項
1に記載のニアアイライトフィールド表示システム。
【請求項8】
複数の表示画素を備える発光表示装置であって、各表示画素が色情報を持ち、瞳孔面に向かって光ビームを生成するように非作動又は作動に設定されるように前記各表示画素が個別にアドレス指定可能である、発光表示装置と、
前記発光表示装置と瞳孔面との間に位置するレンズアレイであって、複数のレンズを備えるアレイを備え、作動表示画素によって生成された光ビームを投影して投影仮想画素画像を形成するように構成されているレンズアレイと、
を備えるニアアイライトフィールド表示装置を備える、仮想現実又は拡張現実用途用の着用可能な装置
において、
前記投影画素画像の色情報及び前記投影画素画像の空間内の位置は、前記作動表示画素の数及び前記発光表示装置上の前記作動表示画素の位置によって決定され、
前記投影画素画像の前記色情報が前記作動表示画素の色情報の総計である、仮想現実又は拡張現実用途用の着用可能な装置。
【請求項9】
仮想現実又は拡張現実メガネを備える、請求項8に記載の着用可能な装置。
【請求項10】
複数の表示画素を備える発光表示装置であって、各表示画素が色情報を持ち、瞳孔面に向かって光ビームを生成するように非作動又は作動に設定されるように前記各表示画素が個別にアドレス指定可能である、発光表示装置と、
前記発光表示装置と瞳孔面との間に位置するレンズアレイであって、複数のレンズを備えるアレイを備え、作動表示画素によって生成された光ビームを投影して投影仮想画素画像を形成するように構成されているレンズアレイと、
を備えるニアアイライトフィールド表示装置において、
前記投影画素画像の色情報及び前記投影画素画像の空間内の位置は、前記作動表示画素の数及び前記発光表示装置上の前記作動表示画素の位置によって決定され、
前記投影画素画像の前記色情報が前記作動表示画素の色情報の総計である、
前記ニアアイライトフィールド表示システムを用いて投影仮想画素を投影する方法であって、
前記方法が
前記投影仮想画
素の色情報と、前記瞳孔
面に対する前記投影画素画
像の位置に対応するベクターデータを提供することと、
前記発光表示装
置の前記表示画
素のサブセットを選択するように前記ベクターデータで発光表示装
置をアドレス指定することと、
表示画
素の前記選択されたサブセット内の各表示画
素が光ビームを生成するように、表示画
素の前記選択されたサブセットを作動に設定することと
を備える、前記ニアアイライトフィールド表示システムを用いて投影仮想画素を投影する方法。
【請求項11】
前記ベクターデータが色モデルと座標セットを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記色モデルが、色の赤、緑、青の成分を表す3バイトの16進数を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記座標セットがデカルトx、y、z座標を備える、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記ベクターデータは、発光表示装
置上の、表示画
素の選択された前記サブセットに対応する2次元座標の計算に使用される、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記発光表示装
置は、各表示画
素を作動又は非作動に設定するような複数の表示画
素を制御するように構成された駆動回路を備え、
前記方法が、前記ベクターデータを前記駆動回路に提供することを備える、請求項
10に記載の方法。
【請求項16】
処理能力を持つ装置によって実行される場合、請求項
10に記載の方法を実行するように適合される指示を備えたコンピュータプログラム。
【国際調査報告】