(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】セルスタック及びセルスタックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2465 20160101AFI20240209BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240209BHJP
H01M 8/2404 20160101ALI20240209BHJP
H01M 8/2484 20160101ALI20240209BHJP
C25B 13/07 20210101ALI20240209BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240209BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20240209BHJP
C25B 3/26 20210101ALI20240209BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240209BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240209BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/2475
H01M8/2404
H01M8/2484
C25B13/07
C25B1/04
C25B9/77
C25B3/26
C25B1/23
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549078
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 GB2022050451
(87)【国際公開番号】W WO2022175679
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508359550
【氏名又は名称】セレス インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バラード,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ドマンスキー,トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガウェル,ダンカン アルバート ヴォイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】タンディ,ラジャン
【テーマコード(参考)】
4K021
5H126
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021AB25
4K021BA02
4K021DB40
4K021DC01
4K021DC03
5H126AA22
5H126AA26
5H126AA28
5H126BB06
5H126EE11
5H126EE13
5H126HH01
5H126JJ03
5H126JJ05
(57)【要約】
電気化学セルスタック(12)であって、それぞれ外周を画定する複数のスタックされたセルユニット(10)と、外周の周囲に容積を画定するようにスタック(12)を取り囲むハウジング(58)と、スタックされたセルユニット(10)のスタック方向に概して延び、複数のセルユニット(10)にわたって延び、その外周とハウジング(58)との間に配置される、少なくとも1つの電気絶縁ビーム(76)とを備え、セルスタックの電流送達システムの電気接続部材(54)は、電気絶縁ビーム(76)の内部に延びる、電気化学セルスタック(12)である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルスタックであって、
それぞれ外周を画定する、複数のスタックされたセルユニットと、
前記外周の周囲に容積を画定する又は囲い込むように前記スタックを取り囲むハウジングと、
前記ハウジングと前記複数のスタックされたセルユニットとの間に配置され、それぞれ前記複数のスタックされたセルユニットの2つの対向する側部のうちの1つに接する、2つの対向する電気絶縁板と、
前記スタックの複数のセルユニットにわたって延び、それらの複数のセルユニットの外周と係合する、少なくとも1つの電気絶縁ビームと、
を備え含み、
前記電気絶縁ビームはまた、前記ハウジングと、前記電気絶縁板のうちの1つと、のいずれか又は両方と係合し、
前記電気絶縁ビームは、前記スタックされたセルユニットのスタック方向に概して延び、
前記電気絶縁ビームは、前記セルユニットの外周とハウジングとの間に配置され、
セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が、電気絶縁ビームの内部に延びる、
電気化学セルスタック。
【請求項2】
前記ビームの内部に延びる電気接続部材は、前記スタックの接続プレートに接続されるバスバーである、請求項1に記載のセルスタック。
【請求項3】
前記電気接続部材は、前記ビームを越えて延び、前記スタックの頂部又は底部を通って前記ハウジングの外に出る、請求項1又は請求項2に記載のセルスタック。
【請求項4】
前記電気接続部材にさらなる導体が接続され、前記さらなる導体は前記ハウジングの外に出る、請求項1又は請求項2に記載のセルスタック。
【請求項5】
それぞれ前記複数のセルユニットにわたって延び、それぞれ前記複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と係合する、少なくとも2つの電気絶縁ビーム、
を備え、
前記ビームは、2つのビーム間に延びるラインを画定し、前記ラインは、それぞれのセルユニットにわたる横ラインを画定し、
a)各ビームと複数のセルユニットのそれぞれとの間の接触接線は、セルユニットのその画定された横ラインに沿った両横方向と、その横ラインと概して垂直で、且つ、そのそれぞれのセルユニットの外周と概して平面の、少なくとも1つの縦方向との両方への、複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗するように協働する、又は
b)各ビームと複数のセルユニットのそれぞれとの接触接線は、セルユニットのその画定された横ラインに沿った少なくとも1つの横方向と、その横ラインと概して垂直で、且つ、外周と概して平面の、少なくとも1つの縦方向との両方への、複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗するように各ビームで協働する、
のいずれか又は両方である、前記請求項のいずれかに記載のセルスタック。
【請求項6】
セルユニットの縁と係合する電気絶縁板又は各電気絶縁板は、係合を提供するセル係合面を有し、前記電気絶縁板のうちの1つのセル係合面に最も近いビームは、前記電気絶縁板のセル係合面の遠位に延びるセル係合面を有する、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項7】
2つのビームが存在し、それぞれ、その最も近い電気絶縁板のセル係合面の遠位に延びるセル係合面を有し、前記2つのビームは、2つの電気絶縁板間の幅に比べて、前記2つのビーム間のセルユニットの幅の狭窄をもたらす、請求項6に記載のセルスタック。
【請求項8】
各電気絶縁板はまた、前記ハウジングの内壁と係合する、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項9】
前記複数のスタックされたセルユニットの各対向する側部と前記ハウジングとの間に2つ以上の電気絶縁板が設けられる、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項10】
前記電気絶縁板は、前記スタックされたセルユニットの側部のうちの2つにのみ配置される、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項11】
前記スタックされたセルユニットの2つの側部は、平行な対向する側部である、請求項10に記載のセルスタック。
【請求項12】
1つよりも多い電気絶縁板が、横並びに又は積み重ねて、共通の平面内に、前記スタックされたセルユニットの2つのそれぞれの対向する側部に対して配置される、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項13】
前記ビーム又は各ビームは2つ以上のパーツで形成される、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項14】
前記ビーム又は各ビームの長さは調整可能である、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項15】
前記ビーム又は各ビームのパーツにスロットが設けられる、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項16】
前記ビーム又は各ビームは、その領域での流体の流れを増加させるために1つ又は複数の切り欠き区域を有する、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項17】
電気化学セルスタックアセンブリであって、
それぞれ外周を画定する、セルユニットのスタックと、
前記外周の周囲に容積を画定するように前記スタックされたセルユニットの外周を取り囲む、最初は少なくとも2つの別個のパーツに分かれている、ハウジングと、
前記ハウジングの1つの最初は別個のパーツと前記スタックされたセルユニットとの間に組み立てられる、少なくとも1つの電気絶縁ビームと、
を備え、前記電気絶縁ビームは、前記複数のセルユニットにわたって延び、前記複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と当接して、前記複数のセルユニットが前記ビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、
前記ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、前記ハウジングの2つのパーツを一緒に閉じると、前記複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対して少なくとも1つのビームをクランプ又は係合する、
電気化学セルスタックアセンブリ。
【請求項18】
前記ハウジングの少なくとも2つのパーツは、クランプ力を保持するためにクランプ状態で一緒に溶接される、請求項17に記載のセルスタック。
【請求項19】
請求項1~請求項16のいずれか一項にさらに従う、請求項17又は請求項18に記載のセルスタック。
【請求項20】
前記ビームは、前記セルユニットのスタックの全高にわたる、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項21】
前記ビームは、前記セルユニットのスタックにおけるセルユニットの少なくとも50%に接触する、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項22】
前記セルユニットの横幅にわたって鏡像をなす2つの電気絶縁ビームを備える、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項23】
前記電気絶縁ビームのうちの1つ又は複数は、前記スタックを通る空気の流れ又は酸化剤の流れの方向に対して、前記セルユニットの下流端に又はその近くに配置される、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項24】
前記電気絶縁ビームのうちの1つ又は複数は、セルユニットの使用中の高温端に又はその近くに配置され、空気流をその高温端に偏向及び集中させることによってその高温端の冷却を支援する、請求項1~請求項22のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項25】
前記少なくとも1つのビームは、前記スタックされたセルユニットに出入りする流体の流れに対する障壁を画定し、前記セルユニットの外周と前記ハウジングとの間の前記ビームの外側の周りの流体の流れを阻止又は低減し、前記流体の流れを前記スタックされたセルユニットを通る中央ストリームを通るように又は中央ストリームの方に誘導する、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項26】
前記少なくとも1つのビームは、前記スタックされたセルユニットに出入りする流体の流れに対する障壁を画定し、それにより、前記スタックされたセルユニットを通る中央ストリームを通る空気流が集中し、前記セルユニットの側部に隣接する中央ストリームの側部への空気流が少なくなる、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項27】
前記少なくとも1つのビームは、前記セルユニットの外周に形成された窪み又は凹部に着座する、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項28】
前記窪み又は凹部は、少なくとも90度のセグメントにわたってビームの周りを包む、請求項27に記載のセルスタック。
【請求項29】
前記ハウジングは、前記セルユニットの周囲にスカートを備え、前記スカートは、例えば溶接によってそれらのシームで一緒に接合される、少なくとも2つのパーツで形成される、前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタック。
【請求項30】
前記請求項のいずれか一項に記載のセルスタックと、前記セルスタック内の第1の流体通路につながる燃料送達ポートと、前記セルスタック内の第2の流体通路につながる酸化剤送達ポートと、前記セルスタックから電流を集める又は前記セルスタックに電流を送達するための集電プレートと、前記集電プレートからハウジングの外に又はハウジング内の集電プレートに電流を送達するための電気接続部材とを含むセルスタックアセンブリ。
【請求項31】
電気化学セルスタックを組み立てる方法であって、
それぞれ外周を画定する、セルユニットを提供することと、
セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が電気絶縁ビームの内部に延びる状態で、電気絶縁ビームが複数のスタックされたセルユニットにわたって延び、それぞれの複数のセルユニットの外周と係合するように、セルユニットに対して組み立てられる少なくとも1つの電気絶縁ビームを提供することと、
を含み、
前記電気絶縁ビームの第1のパーツを前記電気接続部材の上に嵌め、前記セルユニットを前記電気絶縁ビームの第1のパーツに接する状態でスタックし、次いで、前記電気接続部材及び前記電気絶縁ビームの第1のパーツの上に前記電気絶縁ビームの第2のパーツを嵌めること、
を含む方法。
【請求項32】
前記ビーム又は各ビームは、少なくとも2つの別個のパーツから形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ビーム又は各ビームは、スタック内のその領域での流体の流れを増加させるために1つ又は複数の切り欠き区域を有する、請求項31又は請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ビーム又は各ビームの長さは調整可能である、請求項31~請求項34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ビーム又は各ビームの1つ又は複数のパーツの側壁にスロットが設けられる、請求項31~請求項34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
電気化学セルスタックを組み立てる方法であって、
それぞれ外周を画定する、スタックされたセルユニットを提供することと、
それぞれ複数のスタックされたセルユニットにわたって延び、それらの複数のセルユニットの外周と係合するように、スタックされたセルユニットに対して組み立てられる、少なくとも2つの電気絶縁ビームを提供することと、
前記スタックされたセルユニットと前記電気絶縁ビームの周りにハウジングを嵌めることと、
を含み、
前記ハウジングは前記外周の周囲に容積を画定し、前記ハウジングは、最初は少なくとも2つの別個のパーツに分かれており、
前記ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、前記ハウジングの2つのパーツを一緒に閉じると、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対してクランプされ、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、次いで、前記最初は別個のパーツは、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対するビームによるクランプ力を保持するためにクランプ状態で互いに接続又は接合される、方法。
【請求項37】
少なくとも2つの電気絶縁ビームが存在し、
1つの電気絶縁ビームは、ハウジングの第1の最初は別個のパーツとスタックされたセルユニットとの間に組み立てられ、第2の電気絶縁ビームは、ハウジングの第2の最初は別個のパーツとスタックされたセルユニットとの間に組み立てられ、前記少なくとも2つの電気絶縁ビームは、それぞれ複数のセルユニットにわたって延び、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と当接して、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、
前記ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、前記ハウジングの2つのパーツを一緒に閉じると、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対してクランプされ、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、次いで、前記最初は別個のパーツは、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対するビームによるクランプ力を保持するためにクランプ状態で互いに接続又は接合される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、前記電気絶縁ビーム又は前記各電気絶縁ビームに加えて、1つ又は複数の電気絶縁板を介して、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対して間接的にクランプされる、請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ又は複数のビームは、外周の凹部で外周と係合する、請求項36~請求項38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記セルスタックは、請求項1~請求項29のいずれか一項に従う、請求項31~請求項39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたセルスタック、1つ又は複数のそのようなセルスタックを含むセルスタックアセンブリ、及びその製造方法に関する。本発明は、より具体的には、固体酸化物又はPEMなどの様々な電池化学に基づく場合がある、一般に電気化学セルユニットとして知られている燃料電池又は電解セルのスタックに関し、特に、金属支持型固体酸化物燃料電池(MS-SOFC)又は金属支持型固体酸化物電解セル(MS-SOEC)に関する。本発明はまた、そのような燃料電池又は電解セルを含むアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学燃料電池は、燃料を酸化して電気を生成する電気化学変換プロセスを用いる。それらは一般に平板状の構成であり、一般に上層と下層との間に内部マニホルド流体通路を備える多層の燃料電池ユニットに形成される。そのような燃料電池ユニットは、スタック構成で互いに重なるように、例えば10~200個の燃料電池ユニットが1つのスタックに配置され、また、スタックされたセルユニット間に流体通路を備える。他の燃料電池は、代わりに、燃料及び酸化剤のための外部マニホルド流路を用いる場合がある。
【0003】
各燃料電池ユニットは、動作時に電気を発生させるように動作する。
【0004】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)の背後にある技術は、負の酸素イオンをカソードから電解質の向こう側にあるアノードに伝導する固体酸化物電解質に基づいている。このため、燃料又は改質燃料が、燃料電池ユニットのアノード(別名、燃料極)に接触し、空気又は酸素に富む流体などの酸化剤が、燃料電池ユニットのカソード(別名、空気極)に接触する。セルユニットの内部及び間の流体通路がこれを可能にする。他の形態の電気化学セルユニットも存在する。
【0005】
従来のセラミック支持型(例えばアノード支持型などの)SOFCは、機械的強度が低く、破損しやすい。したがって、金属基板上に支持された活性燃料電池コンポーネント層を有する金属支持型SOFCが開発されている。これらの金属支持型固体酸化物燃料電池では、セラミック層は、構造強化機能を果たすだけでなく電気化学的機能も果たすため非常に薄くされ得る。そのような金属支持型SOFCスタックを組み込んだかかるスタックは、一般にセラミック支持型SOFCよりも堅牢であり、一般により低コストで作製することができる。WO2020/126486とWO2015/136295は両方とも、そのような金属支持型SOFCの例示的な従来技術の構成を開示しており、それらからの例が、スタックの動作の説明を補助するために本出願の
図1~
図7に示されている。しかしながら、本発明は、すべての形態の電気化学セルユニットに適用することができる。
【0006】
固体酸化物形電解セル(SOEC)は、別の形態の電気化学セルである。これはSOFCと同じ構造を有し得るが、本質的にSOFCと逆に又は再生モードで動作し、固体酸化物電解質を使用して水素ガス及び/又は一酸化炭素と酸素を生成することで水及び/又は二酸化炭素の電気分解を達成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電解セル又は燃料電池として用いるのに適した構造を有し得る、繰り返しの電気化学セルユニットのスタックに向けられている。便宜上、スタックの電気化学セルユニットを、以下では「セルユニット」と呼ぶ。これらは、発電のため又は再生モードでの使用のためのものであり得る(すなわち、SOEC又はSOFCユニットのいずれか又は両方、又は他の形態の電気化学セルユニットを含む)。
【0008】
スタックのセルユニット及びスタック自体は、スタック内で電気スパイク又はアークが発生しないように内部で一貫した電気接続を維持する必要があるため、セルユニット及びスタックを設計するときに、機械的、電気的、及び熱的設計における大きな課題に直面する。これは、スタックに燃料及び酸化剤の流体が存在することに起因し得る。また、セルユニット内とセルユニット間との両方で及びスタックを通して永続的な流体シールを達成することと、燃料と酸化剤がスタック内で混ざらないことが重要なのでセルユニット及びスタックに燃料及び酸化剤のための流体通路を画定及び分離することも重要である。また、いくつかの用途では、例えば車両用途で用いられる場合に、出力のアップ及びダウンを繰り返す又は大きな動きがある場合に、燃料及び/又は電解セルに大きな熱サイクルが生じることを念頭に置いて、一貫した製造プロセスと、スタックアセンブリの長期にわたる使用中の構造的完全性を可能にする設計にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、電気化学セルスタックであって、
それぞれ外周を画定する、複数のスタックされたセルユニットと、
外周の周囲に容積を画定するようにスタックを取り囲むハウジングと、
スタックされたセルユニットのスタック方向に概して延び、複数のセルユニットにわたって延び、セルユニットの外周とハウジングとの間に配置される、少なくとも1つの電気絶縁ビームと、
を備え、セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が、電気絶縁ビームの内部に延びる、
電気化学セルスタックが提供される。
【0010】
電気化学セルスタックの例としては、燃料電池スタック又は電解セルスタックが挙げられる。
【0011】
本発明のこの態様は、集電回路をセルユニットとの電気的接触から確実に保護し、セルスタック内での短絡のリスクを最小にするのに役立つ。これについては、電気接続部材は、(普通は)ハウジング及びセルユニットと同様に導電性であり、特に金属支持型のとき、それらが互いに直接触れると電気的短絡を引き起こす可能性があることに留意されたい。電気接続部材の周囲に電気絶縁ビーム(すなわち、非導電性コンポーネント)があることで、そのような電気的短絡が防止される。
【0012】
さらに、ビームは、スタックの組み立て中、及びその後のスタックの使用中にさらなる有益な機能を提供することができる。ビームは、セルユニットの外周とハウジングとの間に存在するので、組み立て中及びその後、セルユニットのうちの少なくともいくつかの外周と係合するように配置することができ、したがって、組み立て中、組み立て後、及び使用中に、セルユニットの位置合わせ機能を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のビームは、組み立てプロセス中の位置合わせ部材の必要性をなくすために用いることができ、位置合わせ部材は組み立てプロセスの後の段階で取り外されなければならない。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの電気絶縁ビームが存在し、それらのビームのうちの少なくとも1つの内部に、セルスタックの電流送達システムの(例えば、剛性の導電性の細長い)電気接続部材が延びている。
【0015】
いくつかの実施形態では、電気絶縁ビームのうちの1つの内部に延びる各電気接続部材は、そのビームの全長に、すなわち、スタックされたセルユニットのスタック方向に延びる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、2つ以上のパーツ、例えば、上側パーツと下側パーツで形成され得る。いくつかの実施形態では、各パーツは、スタックされたセルユニットのスタック方向に概して延び、複数のセルユニットにわたって延び、セルユニットの外周とハウジングとの間に配置される。セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が、電気絶縁ビームの各パーツの内部に延び得る。いくつかの実施形態では、各パーツは、セルユニットのうちの少なくともいくつかの外周と係合するように配置することができる。いくつかの実施形態では、各パーツは、組み立て中と組み立て後の両方においてセルユニットの位置合わせ機能を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、2つのパーツ、すなわち、上側パーツと下側パーツを備え、上側パーツは下側パーツの上に積み重ねられ、電気接続部材は両方のパーツを通って延びる。
【0018】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームの長さは、例えば、その隣接するパーツ間に1つ又は複数の段付き面を設けることによって、又はテーパ面を設けることによって、又はその追加のパーツを設けることによって調整可能である。
【0019】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームのパーツにスロットが設けられ、これにより、ビームのパーツを通るように電気接続部材を嵌めた後に、ビームを延長するためにビームの1つ又は複数の他のパーツを電気接続部材の周囲に嵌めることが可能になる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、その領域での流体の流れを増加させるために、例えば、より多くの空気の流れを可能にしてより大きな冷却をもたらすために、1つ又は複数の切り欠き区域を有する。切り欠き区域は、ワンピースのビームにあってもよく、又は多パーツのビームにあってもよく、その場合、切り欠き区域は、その多パーツのビームの1つ又は複数のパーツにある。
【0021】
いくつかの実施形態では、セルユニットは、固体酸化物型燃料電池(SOFC)を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、セルユニットは、固体酸化物型電解セル(SOEC)を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、セルユニットは、1つ又は複数の他の適切なタイプの電気化学セルを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、セル及び/又はセルユニットは、概して平板状である。
【0025】
セルユニットは、例えば、電極又は電解質支持型、或いは金属支持型であってもよく、その場合、電気化学的活性層は、有孔又は多孔質の金属構造体上に設けられる又はコーティングされ得る。
【0026】
セルユニットは、セルユニットの内部に、例えば、各セルユニットの上側プレートと下側プレートとの間に第1の流体通路を画定し得る。
【0027】
セルユニットは、隣接するセルユニット間に第2の流体通路を画定し得る。
【0028】
セルユニットは平坦又は平板状であり得る。
【0029】
ハウジングは、セルユニットのスタックを収容する流体容積を画定するスタック筐体とすることができる。代替的に、ハウジングは、スタック筐体のスカートであり得る。スカートは、スタック筐体の上側エンドプレート及び下側エンドプレートに溶接され得る。
【0030】
ハウジング又はスカートは、(それが取り囲む)単一のスタックのみに関連していてもよく、さらに、ビームは、別個のスタック間ではなく単一のスタックのみに関連していてもよい(そのスタック方向に延びる)。
【0031】
いくつかの実施形態では、電気絶縁ビームの内部に延びる電気接続部材は、そのスタックのために設けられた集電プレートから電流を送達するためのそのスタック専用の電気接続部材である。
【0032】
いくつかの実施形態では、スタックは、1つよりも多いそのような専用の電気接続部材を有し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、スタックされたセルユニットは、全体を通して電気的に直列に配置され、そのスタックの各端に集電プレートが設けられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、スタックされたセルユニットは、直列と並列の両方で配置され、スタックの各極に集電プレートが設けられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、バスバーの形態の電気接続部材は、集電プレートのいくつか又はすべてからスタック筐体の1つ又は複数のエンドプレートまで延びる。好ましくは、エンドプレートは、セルスタックの一端(又は両端)にある。
【0036】
いくつかの実施形態では、好ましくはマイカ又はセラミックチューブである絶縁ビームは、セルユニットのスタックの頂部又は底部のうちの少なくとも一方まで、又はスタック筐体のエンドプレートの内面まで延びる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ビームは、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と当接して、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼす。
【0038】
いくつかの実施形態では、力は、ビームと直接又は間接的に係合するハウジング(又はスカート)によって生成され、ビームをセルユニットに押し込み又は付勢し、又はビームをハウジングとセルユニットとの間に押し込み又は付勢して、ハウジング及び/又はビームに対するセルユニットの移動に抵抗するようにセルユニットに対して拘束又は位置決めする力を及ぼす。
【0039】
好ましくは、複数のセルユニットのすべてのセルユニットの外周が電気絶縁ビームと当接する。
【0040】
ビームの内部に延びる電気接続部材は、スタックの接続プレートに接続されるバスバー、又はセルスタックの電流送達システムのいくつかの他のコンポーネントとすることができる。例えば、これは、バスバー又は集電プレートに接続するスタッド又はケーブルを含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、電気接続部材は、ビームを越えて延び、スタックの頂部又は底部を通って、例えばスタック筐体のエンドプレートを通ってハウジングの外に出る。
【0042】
いくつかの実施形態では、電気接続部材にさらなる導体が接続され、そのさらなる導体はハウジングの外に出る。
【0043】
いくつかの実施形態は、電流送達システムをハウジングの外に延長するためのさらなる追加のコンポーネントを有する。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、電気化学セルスタックであって、
それぞれ外周を画定する、複数のスタックされたセルユニットと、
外周の周囲に容積を囲い込むようにスタックを取り囲むハウジングと、
それぞれ複数のセルユニットにわたって延び、それぞれ複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と係合する、少なくとも2つの電気絶縁ビームと、
を備え、
ビームは、2つのビーム間に延びるラインを画定し、ラインは、それぞれのセルユニットにわたる横ラインを画定し、
a)各ビームと複数のセルユニットのそれぞれとの間の接触接線は、セルユニットのその画定された横ラインに沿った両横方向と、その横ラインと概して垂直で、且つ、そのそれぞれのセルユニットの外周と概して平面の、少なくとも1つの縦方向との両方への、複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗するように協働する、又は
b)各ビームと複数のセルユニットのそれぞれとの接触接線は、セルユニットのその画定された横ラインに沿った少なくとも1つの横方向と、その横ラインと概して垂直で、且つ、外周と概して平面の、少なくとも1つの縦方向との両方への、複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗するように各ビームで協働する、
のいずれか又は両方である、電気化学セルスタックが提供される。
【0045】
セルユニットのその画定された横ラインに沿った両横方向への複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗することで、セルユニットは、スタックの中央縦平面に対して左にも右にも移動することはできない。
【0046】
その横ラインと概して垂直で、且つ、そのそれぞれのセルユニットの外周と概して平面の、少なくとも1つの縦方向への、複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗することで、セルユニットは、そのスタックの中央縦平面に沿って前方(又は制約される方向に応じて後方)に移動することはできない。
【0047】
セルユニットのその画定された横ラインに沿った少なくとも1つの横方向への複数のセルユニットのそれぞれの移動に抵抗することで、セルユニットは、スタックの中央縦平面に対して(制約される方向に応じて)左にも右にも移動することはできない。
【0048】
そのような移動の制約は、スタック内のコンポーネントの相対移動を最小にし、そのような移動が近隣のコンポーネント間のシールを破る可能性、或いはスタックに加えられた衝撃又は振動によって要素がそれらの意図された位置からずれる可能性を低減するため有益である。
【0049】
いくつかの実施形態では、ビームは燃料電池のスタックの全高にわたる。
【0050】
いくつかの実施形態では、セルスタックの電流送達システムの電気接続部材は、ビームの一方又は両方の内部に延びる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ビームは、セルユニットのスタックにおけるセルユニットの少なくとも50%に接触する。他の実施形態では、ビームは、複数のセルユニットのすべてに触れる。別の実施形態では、ビームは、複数のセルユニットにおけるセルユニットの50%以上に触れる。
【0052】
セルユニットのスタックの全体を通して縁が完璧に位置合わせされていない場合、一部のセルユニットはビームに触れない可能性がある。
【0053】
ビーム間のラインは、通常、ビームの断面中心、又は燃料電池のスタックを通る空気流(又は酸化剤流)の方向のビームの最遠位端から延びるラインである。
【0054】
通常、2つのビームの形状は一致する。いくつかの実施形態では、それらはセルユニットの横幅にわたって互いに鏡像をなす。
【0055】
本発明のこの第2の態様は、本発明の第1の態様の特徴を同様に有することができ、逆もまた同様である。特に、セルスタックの電流送達システムの(例えば、剛性の導電性の細長い)電気接続部材は、ビームの内部に延び得る。
【0056】
本発明の第3の態様によれば、電気化学セルスタックであって、
それぞれ外周を画定する、複数のスタックされたセルユニットと、
外周の周囲に容積を囲い込むようにスタックを取り囲むハウジングと、
ハウジングと複数のスタックされたセルユニットとの間に配置され、それぞれ複数のスタックされたセルユニットの2つの対向する側部のうちの1つに接する、2つの対向する電気絶縁板と、
スタック内の複数のセルユニットにわたって延び、それらの複数のセルユニットの外周と係合する、少なくとも1つの電気絶縁ビームと、
を備え、絶縁ビームはまた、ハウジングと、電気絶縁板のうちの1つと、のいずれか又は両方と係合する、
電気化学セルスタックも提供される。
【0057】
セルユニットとハウジング又は電気絶縁板との両方の係合により、組み立て時に、コンポーネントはすべて、スタックにおいて自動的に適正に位置合わせされる。これにより、セルユニット自体内の任意の適切な流体通路が、例えば燃料又は酸化剤の流れを適正に形成することが可能になる。また、セルユニットの縁が互いに近づくことが抑止されるため、スタック内のセルユニット間の電気的短絡の可能性が低減する。
【0058】
いくつかの実施形態では、セルスタックの電流送達システムの電気接続部材は、ビームの一方又は両方の内部に延びる。
【0059】
いくつかの実施形態では、それぞれ複数のセルユニットにわたって延びる、少なくとも2つの電気絶縁ビームが存在する。
【0060】
いくつかの実施形態では、第2のビームは、それらのそれぞれの複数のセルユニットの外周と係合し、且つ、ハウジングと、電気絶縁板のうちの1つと、のいずれか又は両方と係合する。
【0061】
いくつかの実施形態では、各ビームは、複数のセルユニットの外周と係合し、且つ、ハウジングと、電気絶縁板のうちの1つと、のいずれか又は両方と係合する。
【0062】
いくつかの実施形態では、ビームはそれぞれ、電気絶縁板のうちの1つと一体に形成される。しかしながら、より一般的には、それらは別個のコンポーネントである。
【0063】
セルユニットの縁と係合する各電気絶縁板は、係合を提供するセル係合面を有する。いくつかの実施形態では、電気絶縁板のうちの1つのセル係合面に最も近いビームは、その電気絶縁板のセル係合面の遠位に、すなわち、そこから離れてスタックの中央縦平面の方に、例えばセルユニットの縁の凹部へ、又は部分的にセルユニットのそれぞれの端にわたって延びるセル係合面を有する。好ましい実施形態では、2つのビームは、それぞれ、その最も近い電気絶縁板のセル係合面の遠位に延びるセル係合面を有する。2つのビームのセル係合面の遠位配置により、2つのビームは、2つの電気絶縁板間の幅に比べて、2つのビーム間のセルユニットの幅の狭窄をもたらす。その狭窄により、ビームは、ビーム間の狭窄に寄る、第2の流体通路の中央ストリームを通る空気流の集中をもたらし、ビームの遠位延長部に寄る、すなわち、その第2の流体通路の、電気絶縁板が配置されるセルユニットの2つの側部に隣接する部分に対応する、中央ストリームの側部の空間における、第2の流体通路の側部への空気流が少なくなる。
【0064】
いくつかの実施形態では、2つのビームは、第2の流体通路の下流端に又はその近くに、或いは、並流構成では同じ端である酸化剤を運ぶ流体通路の下流端に又はその近くに配置される。酸化剤を運ぶ下流端は、通常、セルスタックの高温端であり、少なくともその端に狭窄を有することで、酸化剤の流れ(すなわち、普通は空気流)がその高温端に集中し、必要な冷却をもたらすために流体の流れを増加させる必要性を支援する。言い換えれば、セルスタックのその高温部分での流れの密度を増加させることができる。
【0065】
4つのビームの場合、それらは流体通路の両端に配置することができる。
【0066】
各電気絶縁板はまた、ハウジングの内壁と係合し得るが、いくつかの実施形態では、その構成は、複数のスタックされたセルユニットの各対向する側部間に2つ以上の電気絶縁板、すなわち、スタックされた電気絶縁板を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、電気絶縁板は、スタックされたセルユニットの側部のうちの2つ、好ましくは平行な対向する側部、より好ましくはセルユニットの長辺にのみ配置される、すなわち、スタックされたセルユニットの近位端及び遠位端(空気流/酸化剤流の方向に対して)には、スタックされたセルユニットの外周と接触するそのような電気絶縁板は存在しない。
【0068】
いくつかの実施形態では、1つよりも多い電気絶縁板が、横並びに又は積み重ねて、共通の平面内に、スタックされたセルユニットのそれぞれの対向する側部に対して配置される。
【0069】
本発明の第3の態様は、本発明の第1又は第2の態様の1つ又は複数の特徴をさらに特徴とし、逆もまた同様である。特に、セルスタックの電流送達システムの(例えば、剛性の導電性の細長い)電気接続部材は、ビームの内部に延び得る。
【0070】
本発明の第4の態様によれば、上で定義したセルスタックと、セルスタック内の第1の流体通路につながる燃料送達ポートと、セルスタック内の第2の流体通路につながる酸化剤送達ポートと、セルスタックから電流を集める又はセルスタックに電流を送達するための集電プレートと、集電プレートからハウジングの外に又はハウジング内の集電プレートに電流を送達するための電気接続部材とを含むセルスタックアセンブリが提供される。
【0071】
本発明の第4の態様は、本発明の第1、第2、又は第3の態様のいずれか1つ以上の1つ又は複数の特徴をさらに特徴とし、逆もまた同様である。
【0072】
本発明の第5の態様によれば、電気化学セルスタックアセンブリであって、
それぞれ外周を画定する、セルユニットのスタックと、
外周の周囲に容積を画定するようにスタックされたセルユニットの外周を取り囲む、最初は少なくとも2つの別個のパーツに分かれている、ハウジングと、
少なくとも2つの電気絶縁ビームと、
を備え、1つの電気絶縁ビームは、ハウジングの1つの最初は別個のパーツとスタックされたセルユニットとの間に組み立てられ、第2の電気絶縁ビームは、ハウジングの第2の最初は別個のパーツとスタックされたセルユニットとの間に組み立てられ、少なくとも2つの電気絶縁ビームは、それぞれ複数のセルユニットにわたって延び、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と当接して、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、
ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、ハウジングの2つのパーツを一緒に閉じると、少なくとも2つのビームを複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対してクランプする、
電気化学セルスタックアセンブリが提供される。
【0073】
通常、2つの別個のパーツは、最初は互いに接続されていない。
【0074】
好ましくは、ハウジングの少なくとも2つのパーツは、クランプ力を保持するためにクランプ状態で一緒に溶接される。
【0075】
本発明の第5の態様は、本発明の第1、第2、第3、又は第4の態様のいずれか1つ又は複数の1つ以上の特徴をさらに特徴とし、逆もまた同様である。特に、セルスタックの電流送達システムの(例えば、剛性の導電性の細長い)電気接続部材は、ビームの内部に延び得る。
【0076】
本発明のさらなる態様によれば、電気化学セルスタックであって、
それぞれ外周を画定する、複数のスタックされたセルユニットと、
スタックされたセルユニットのスタック方向に概して延び、複数のセルユニットにわたって延びる、少なくとも1つの電気絶縁ビームと、
を備え、
セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が、電気絶縁ビームの内部に延び、
ビーム又は各ビームは2つ以上のパーツで形成される、
電気化学セルスタックが提供される。
【0077】
本発明のまたさらなる態様によれば、電気化学セルスタックであって、
それぞれ外周を画定する、複数のスタックされたセルユニットと、
スタックされたセルユニットのスタック方向に概して延び、複数のセルユニットにわたって延びる、少なくとも1つの電気絶縁ビームと、
を備え、
セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が、電気絶縁ビームの内部に延び、
ビーム又は各ビームは、その領域での流体の流れを増加させるために1つ又は複数の切り欠き区域を有する、
電気化学セルスタックが提供される。このビームは、1つ又は複数のパーツに分けられ得る。
【0078】
これらのさらなる態様では、その態様はまた上記態様のいずれかに従ってもよく、ビーム又は各ビームについて、普通は上側パーツである第1のパーツと、普通は下側パーツである第2のパーツが存在し得る。いくつかの実施形態では、第3のパーツが存在する。さらなるパーツも存在し得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、各パーツは、スタックされたセルユニットのスタック方向に概して延び、複数のセルユニットにわたって延び、セルユニットの外周とスタックのハウジングとの間に配置される。セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が、電気絶縁ビームの各パーツの内部に延び得る。いくつかの実施形態では、各パーツは、セルユニットのうちの少なくともいくつかの外周と係合するように配置することができる。いくつかの実施形態では、各パーツは、組み立て中と組み立て後の両方においてセルユニットの位置合わせ機能を提供する。
【0080】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは2つのパーツ、すなわち、上側パーツと下側パーツを備え、上側パーツは下側パーツの上に積み重ねられ、電気接続部材は両方のパーツを通って延びる。
【0081】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームの長さは、例えば、その隣接するパーツ間に1つ又は複数の段付き面又はキャストレイテッド面を設けることによって、又はテーパ面又は面取りした面を設けることによって調整可能である。
【0082】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームの1つ又は複数のパーツの側壁にスロットが設けられる。これは、ビームの1つ又は複数のパーツを通るように電気接続部材を嵌めた後に、例えば、電気接続部材の自由端へのアクセスが制約された後に、ビームを延長するべくビームの1つ又は複数の他のパーツを電気接続部材の周囲に嵌めることを可能にする。
【0083】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、例えば、より多くの空気の流れを可能にしてより大きな冷却をもたらすために、その領域での流体の流れを増加させるための1つ又は複数の切り欠き区域を有する。切り欠き区域は、ワンピースのビームにあってもよく、又は多パーツのビームにあってもよく、その場合、切り欠き区域は、その多パーツのビームの1つ又は複数のパーツにある。
【0084】
本発明のセルスタック及びセルスタックアセンブリは、家庭、工業、商業、又は輸送/車両用途で使用され得る。1つのこのような用途では、車両用途で使用される上で定義した電気化学セルスタックを含む燃料電池システムが提供される。
【0085】
本発明の第6の態様によれば、電気化学セルスタックを組み立てる方法であって、
それぞれ外周を画定する、スタックされたセルユニットを提供することと、
複数のスタックされたセルユニットにわたって延び、それらの複数のセルユニットの外周と係合するように、スタックされたセルユニットに対して組み立てられる、少なくとも1つの電気絶縁ビームを提供することと、
スタックされたセルユニットと電気絶縁ビームの周りにハウジングを嵌めること、
を含み、
ハウジングは外周の周囲に容積を画定し、ハウジングは、最初は少なくとも2つの別個のパーツに分かれており、
ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、ハウジングの2つのパーツを一緒に閉じると、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対してクランプされ、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、次いで、最初は別個のパーツは、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対するビームによるクランプ力を保持するためにクランプ状態で互いに接続又は接合される、
方法が提供される。
【0086】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの電気絶縁ビームが存在し、
1つの電気絶縁ビームは、ハウジングの第1の最初は別個のパーツとスタックされたセルユニットとの間に組み立てられ、第2の電気絶縁ビームは、ハウジングの第2の最初は別個のパーツとスタックされたセルユニットとの間に組み立てられ、少なくとも2つの電気絶縁ビームは、それぞれ複数のセルユニットにわたって延び、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周と当接して、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、
ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、ハウジングの2つのパーツを一緒に閉じると、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対してクランプされ、複数のセルユニットがビームの方にさらに移動するのに抵抗する力を及ぼし、次いで、最初は別個のパーツは、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対するビームによるクランプ力を保持するためにクランプ状態で互いに接続又は接合される。
【0087】
いくつかの実施形態では、ハウジングの第1及び第2の最初は別個のパーツは、電気絶縁ビーム又は各電気絶縁ビームに加えて、1つ又は複数の電気絶縁板を介して、複数のセルユニットのうちの少なくとも2つのセルユニットの外周に対して間接的にクランプされる。
【0088】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のビームは、外周の凹部で外周と係合する。
【0089】
本発明の第6の態様の方法の燃料又は電解セルスタックは、本発明の第1~第5の態様のいずれか1つの燃料又は電解セルスタックであり、本発明の第1~第5の態様の好ましい又は随意的な特徴のいずれか1つ又は複数を含み得る。特に、セルスタックの電流送達システムの(例えば、剛性の導電性の細長い)電気接続部材は、ビームの内部に延び得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、ビームは円形ビームである。
【0091】
いくつかの実施形態では、ビームはチューブである。
【0092】
いくつかの実施形態では、セルスタックのバスバーは、ビームのうちの少なくとも1つの内部に、例えばビームの中心に延びる。
【0093】
いくつかの実施形態では、スタックに2つのバスバーが存在し、それぞれビームのうちの1つにある。
【0094】
いくつかの実施形態では、ビームはマイカからなる。
【0095】
いくつかの実施形態では、2つの対向する電気絶縁板は、それぞれ複数のスタックされたセルユニットの2つの対向する側部のうちの1つに対して、ハウジングと複数のスタックされたセルユニットとの間に配置され、絶縁ビームが電気絶縁板に加えられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ビームはまた、それぞれ電気絶縁板のうちの1つに接触する。
【0097】
いくつかの実施形態では、ビームはまた、ハウジングに接触する。
【0098】
いくつかの実施形態では、ビームは、スタックの高さ全体に延びる。
【0099】
いくつかの実施形態では、各ビームは各セルユニットと接触する。
【0100】
いくつかの実施形態では、各ビームは、第2の流体通路に出入りする流体の流れに対する障壁を画定する。これは、外周とハウジングとの間のビームの外側の周りの流体の流れを阻止又は低減することで、また、流体の流れを第2の流体通路の中央ストリームにより多く誘導することで支援することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、各ビームは、第2の流体通路に出入りする流体の流れに対する障壁を画定し、それにより、第2の流体通路の中央ストリームを通る空気流が集中し、セルユニットの直線状の側部に隣接する第2の流体通路の側部への空気流が少なくなる。これは、いくつかの実施形態では、セルのより高温の部分により多くの流れを提供するのに有益であり得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、外周は、2つの直線状の側部と形状設定された端を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、ビームは、形状設定された端のうちの1つに配置される。
【0104】
いくつかの実施形態では、ビームは、外周の直線状の側部に形成された窪み又は凹部に着座し、窪み又は凹部は、好ましくは、ビーム、すなわち、ビームの嵌る又は接する部分の形状と相補的な形状の構成を有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、セルユニットは概して長方形である。
【0106】
いくつかの実施形態では、長方形の各長辺にビームが存在する。
【0107】
いくつかの実施形態では、長方形の角部のうちの2つに又は隣接してビームが存在する。
【0108】
いくつかの実施形態では、2つの角部は隣接する角部である。
【0109】
いくつかの実施形態では、2つの角部は、長方形の短辺のうちの1つの短辺の端にある隣接する角部である。
【0110】
いくつかの実施形態では、2つの角部は、スタックされたセルユニットの第2の流体通路、又は空気流/酸化剤流の流体通路の下流端にあり、その通路は、流体通路にわたる横ラインに垂直で、且つ、セルユニットのうちの少なくとも1つの外周と概して平面の、縦方向を画定する。
【0111】
いくつかの実施形態では、第1の流体通路又は燃料流の流体通路を通る流体の流れ方向は、第2の流体通路を通る流体の流れ方向に対応する、すなわち、スタックされたセルユニットは、スタックされたセルユニットを通る流体の並流構成を用いる。代替的に、第2の流体通路を通る流体の流れ方向が第1の流体通路を通る流体の流れ方向と反対である、対向流構成もあり得る。他の構成では、流れは、互いに対して他の角度、例えば互いに90度をなし得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、3つ又は4つのビームが存在する。
【0113】
いくつかの実施形態では、各セルユニットは、それぞれ2つのビームを収容する2つの直線状の側部を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、セルユニットは2又は4つの角部を有し、各角部はビームのうちの1つを有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、外周の異なる部分が、各ビームが着座するようにそれぞれ窪み又は凹部を画定する。
【0116】
いくつかの実施形態では、各角部は、ビームのうちの1つを収容するための窪み又は凹部を有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、窪み又は凹部は、各セルユニットの側部の中央にある。
【0118】
いくつかの実施形態では、窪み又は凹部は、少なくとも90度のセグメントにわたってビームの周りを包む。
【0119】
いくつかの実施形態では、窪み又は凹部は、少なくとも180度のセグメントにわたってビームの周りを包む。
【0120】
いくつかの実施形態では、窪み又は凹部は、湾曲した壁を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、窪み又は凹部は、ビームが押し当てられる2つ以上の直線壁部分を備えた凹部であり、直線壁部分は、各窪み又は凹部において互いに対して角度がつけられている。
【0122】
いくつかの実施形態では、ビームは、セルユニットを横断して垂直に、すなわち、スタックの縦方向又はスタック高さ方向と平行に延びる。
【0123】
いくつかの実施形態では、すべてのセルユニットの外周は、外周全体にわたって互いに位置合わせされている。
【0124】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、底部及び頂部と、セルユニットの外周を取り囲むスカートとを有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、スカートは、例えば溶接によってそれらのシームで一緒に接合される、少なくとも2つのパーツで形成される。
【0126】
いくつかの実施形態では、ハウジングには頂部コンポーネント及び底部コンポーネントが別々に設けられ、スカートは、これらの頂部コンポーネント及び底部コンポーネントに、例えば溶接によって接合される。
【0127】
いくつかの実施形態では、スタックされたセルユニットは、それぞれ、セパレータプレートと金属支持プレートを備え、セパレータプレートと金属支持プレートは互いに重なり合っており、
1つ又は複数の第1の流体通路は、各セルユニットのそれぞれのセパレータプレートと金属支持プレートとの間でセルユニットを通って延び、
スタックされたセルユニットは、隣接するセルユニット間に延びる第2の流体通路を備え、
第1の流体通路及び第2の流体通路は、スタックを通して燃料及び酸化剤を分配するためのものである。
【0128】
いくつかの実施形態では、スタックには活性セルユニットと非活性セルユニットが存在する。
【0129】
いくつかの実施形態では、各活性セルユニットは、セルユニットの金属プレートの多孔質又は有孔領域上に設けられた1つ又は複数のセル化学層を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、セル化学層は、アノード層、電解質層、及びカソード層を含む、複数の層を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、各セルユニットに少なくとも1つの流体ポートが設けられ、隣接するセルユニットのそれぞれの流体ポートは、各セルユニットの第1の流体通路と位置合わせされ、連通する。
【0132】
いくつかの実施形態では、セルユニットは、隣接するセルユニット間に第2の流体通路を画定するべく、隣接するセルユニットを部分的に分離するために、成形された外向き突起を備えたセパレータプレートを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、第1のセルユニットの外向き突起は、それらの端で、隣接するセルユニットのセル化学層の外面と係合する。
【0134】
いくつかの実施形態では、セルユニットは、そのポートの周囲に形成された成形ポート特徴を備えた金属支持プレートを含み、成形ポート特徴は、セルユニットのセパレータプレートの方へ延び、成形ポート特徴の要素は、ポートから金属支持プレートとセパレータプレートとの間のセルユニット内の第1の流体通路への流体の通過を可能にするべく、ポートから要素間の流体経路を画定するために、互いに間隔を置いて配置される。
【0135】
いくつかの実施形態では、各セルユニットは平板状である。
【0136】
いくつかの実施形態では、各セルユニットは、少なくとも1つの辺縁に少なくとも1つの凹部を有し、これらの凹部は、セルユニットの幅又は長さにわたって位置合わせされる。
【0137】
いくつかの実施形態では、凹部は、少なくとも部分的に、隣接する電気絶縁ビーム又はチューブの対向部分と一致及び当接する形状に構成される。
【0138】
いくつかの実施形態では、電気絶縁ビームは、電気絶縁ビームとハウジング又はそのスカートとの間の流体流路を妨げる又は閉じるように、ハウジングとセルユニットの外周の間に、それらに接触して配置される。
【0139】
いくつかの実施形態では、電気絶縁ビームのうちの2つは、内部マニホルド流体ポート又は流体流出ポートに隣接して配置され、ビームがセルユニットの外周に接触する場所で内部マニホルド流体ポート又は流体流出ポートへの流体流路を画定及び制限又は制約するように作用する。
【0140】
いくつかの実施形態では、各セルユニットは、少なくとも1つの辺縁に少なくとも1つの凹部を有し、その中に電気絶縁ビームのうちの1つが組み立てられ、少なくとも1つの凹部は、凹部内に組み立てられる電気絶縁ビームの部分とは逆の形状を有する(隣接する凹部のそれぞれの凹部は、スタック方向に延びる凹チャネルを画定するように位置合わせされる)。
【0141】
本発明のさらなる態様によれば、電気化学セルスタックを組み立てる方法であって、
それぞれ外周を画定する、セルユニットを提供することと、
セルスタックの電流送達システムの電気接続部材が電気絶縁ビームの内部に延びる状態で、電気絶縁ビームが複数のスタックされたセルユニットにわたって延び、それぞれの複数のセルユニットの外周と係合するように、セルユニットに対して組み立てられる少なくとも1つの電気絶縁ビームを提供することと、
を含み、
電気絶縁ビームの第1のパーツを電気接続部材の上に嵌め、セルユニットを電気絶縁ビームの第1のパーツに接する状態でスタックし、次いで、電気接続部材及び電気絶縁ビームの第1のパーツの上に電気絶縁ビームの第2のパーツを嵌めることと、
を含む方法が提供される。
【0142】
この方法は、本発明の他の態様のいずれか1つ又は複数と組み合わせることができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、たった2つの別個のパーツから形成される。いくつかの実施形態では、ビームは、3つ以上の別個のパーツから形成される。
【0144】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、スタック内のその領域での流体の流れを増加させるために1つ又は複数の切り欠き区域を有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームの長さは、例えば、その隣接するパーツ間に1つ又は複数の段付き面又はキャストレイテッド面を設けることによって、又はテーパ面を設けることによって調整可能である。
【0146】
本発明のこの態様では、方法は、ビームの第1及び第2のパーツを最初にそれぞれの電気接続部材の上に短縮長構成で設置することを含み、次いで、上側電気コネクタへのそれぞれの電気接続部材の頂部間の接続を行い、その後、ビームをさらに延長された長さに延長することができる。代わりに、最初にさらに延長された長さで設置されている場合、電気接続部材の頂部へのアクセスは、セルユニットのスタックの頂部にある上側集電プレートによって、ビームの頂部によって、又はその両方によってブロックされる可能性がある。
【0147】
いくつかの実施形態では、ビームの長さは、上側集電プレートの下側にフィットするように調整される。
【0148】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームの1つ又は複数のパーツの側壁にスロットが設けられる。これは、ビームの1つ又は複数のパーツを通るように電気接続部材を嵌めた後に、例えば、電気接続部材の自由端へのアクセスが制約された後に、ビームを延長するべくビームの1つ又は複数の他のパーツを電気接続部材の周囲に嵌めることを可能にする。
【0149】
いくつかの実施形態では、ビーム又は各ビームは、スタック内のその領域での流体の流れを増加させるために1つ又は複数の切り欠き区域を有する。
【0150】
各態様の各特徴は、単独で又は各態様の他の特徴と組み合わせて、他の態様のそれぞれによって同様に用いられ得ることが当業者には理解されるであろう。
【0151】
本発明のこれらの及び他の特徴を、添付の図面を参照しながら、種々の単なる例でさらに詳細にここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【
図1】2つのセルユニットが垂直スタックとして配置されている、従来技術のセルユニットの分解図である。
【
図2】2つのセルユニットが垂直スタックとして配置されている、従来技術のセルユニットの分解図である。
【
図3】組み立てられた形態の
図2のスタックを示す図である。
【
図4】
図1と同様であるが、別個の金属セルコンポーネントと金属支持プレートを備えたセルユニットのさらなる変形例を示す図である。
【
図5】代替的な従来技術のセルユニットの分解図である。
【
図6】明確にするためにセルユニットの一部が取り外されている、分解された形態の、従来技術のセルスタックアセンブリを示す図である。
【
図7】組み立てられた形態の、従来技術のセルスタックアセンブリを示す図である。
【
図8】集電プレート52から上方に延びる4つのバスバーと2つの電気絶縁ビームを備えた、本発明の第1の実施形態の平面図である。
【
図9】第1の実施形態と同様であるが、集電プレートから上方に延びるバスバーを2つだけ備えた、本発明の第2の実施形態を示す図である。
【
図10】セルユニットの角部の形状が変更され、各角部に1つずつ、4つの電気絶縁ビームを備えた、
図8のセルスタックの変形例を示す図である。
【
図11】各角部に1つずつ、4つの電気絶縁ビームを備えた、
図8のセルスタックのさらなる変形例を示す図であり、並流の燃料と酸化剤(空気)の流れの構成を示している。
【
図12】4つのバスバーが存在しない、
図11のセルスタックの斜視図である。
【
図13】4つのバスバーが存在する、
図12のセルスタックを示す図である。
【
図14】そのハウジングの一部が取り外されている、
図12のセルスタックを示す図である。
【
図15】
図12のセルスタックにおけるセルユニットのスタックの周囲にハウジングを組み立てるための組み立てステップの部分切り欠き図である。
【
図16】
図12のセルスタックにおけるセルユニットのスタックの周囲にハウジングを組み立てるための組み立てステップの部分切り欠き図である。
【
図17】
図12のセルスタックにおけるセルユニットのスタックの周囲にハウジングを組み立てるための組み立てステップの部分切り欠き図である。
【
図18】ハウジングの一部が取り外されている、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【
図19】ハウジングの一部が取り外されている、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【
図20】ワンピースのハウジングを備えた、本発明のまた別のさらなる変形例を示す図である。
【
図21】4つの2ピースのビームを備えた、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【
図22】それぞれビームの長さを変えるための段付き面を有する4つの2ピースのビームを備えた、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【
図23】
図22からの2ピースのビームをより詳細に示す図である。
【
図24】それぞれビームの長さを変えるためのテーパ面を有する4つの2ピースのビームを備えた、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【
図25】
図24からの2ピースのビームをより詳細に示す図である。
【
図26】中央の第1のパーツと2つの外側パーツの、3ピースのビームを4つ備え、各外側パーツは、中央の第1のパーツをスタックの電気接続部材の周囲に嵌めた後に外側パーツを挿入できるようにするためのスロットを有する、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【
図27】4つのビームを備え、ビームの端は、例えば、より多くの空気の流れを可能にしてより大きな冷却をもたらすために、その領域での流体の流れを増加させるための切り欠き区域を有する、本発明のさらなる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0153】
最初に
図1を参照すると、燃料電池ユニット10の従来技術の構成が示されており、各端にあるポート16を介してアクセス可能な流体通路が燃料電池ユニット10の中央内側に形成される、燃料電池ユニット12の可能な内部構造を例示するために、分解された形で2つ示されており、これらはスタック12として配置される。この形態の燃料電池ユニット10の詳細は、WO2020/126486に深く掘り下げて記載されており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、簡単に言えば、この例でのこれらの各燃料電池ユニット10は、上側金属支持プレート18と下側セパレータプレート20の形態の、2つのプレート又は層を備える。金属支持プレート18は、その上に活性燃料電池コンポーネント層22を有し、セパレータプレート20は、セパレータプレートを金属支持プレート18の下側に接合するための隆起したリム26とともに、打ち抜かれた多数の中央突起及び凹部24と、さらなる突起及び凹部36を有する。
【0154】
図2は、
図1の燃料電池ユニットの変形例を示しており、セパレータプレート20のポート16の周囲のさらなる突起及び凹部に面するように、金属支持プレート18のポート16の周囲にも追加のさらなる突起及び凹部36が設けられている。同様に、隆起したリムが、セパレータプレートの同様のリムに重なるように金属支持プレートに設けられている。
【0155】
図1と
図2を比較するとわかるように、
図2ではプレートの下側が見えており、一方、
図1は上側を示しているため、
図1での突起は
図2では凹部であり、逆もまた同様である。したがって、これらの用語は交換可能である。
【0156】
図2はまた、燃料電池コンポーネント層22の下にある金属支持プレートの下側領域が穿孔のアレイ30を備えることを示している。これらの穿孔は、燃料電池コンポーネント層が金属支持プレート上に形成されているにもかかわらず、燃料電池コンポーネント層の両側にアクセスできるようにし、これらは
図1の例にも同様に存在する。
【0157】
本発明は同様のセルユニット構造を用いることができるので、これらの分解図は、
図3及び
図4とともに、本発明のセルユニットの可能な内部構成の説明を助けるのに有用であるが、後述するように、本発明の典型的な実施形態では外周の輪郭が異なる。スタックの流体の流れの要件に応じて、さらに追加の又はより少ないポート16が設けられ得る。
【0158】
スタックの各活性燃料電池ユニットにおいて、燃料電池コンポーネント層は、金属支持プレート18上に堆積及び支持される、典型的には金属(普通はステンレス鋼)箔である、電気化学的活性層であり得る。電気化学的活性層は、当該技術分野では公知のように、アノード層、電解質層、及びカソード層のそれぞれを含む。当該技術分野では公知のように、カバー層又は制御層などの追加の層を含めることもできる。
【0159】
図3を参照すると、
図2の燃料電池ユニット10が組み立てられた形態で示されており、ここでは、各燃料電池ユニット10の金属支持プレート18とセパレータプレート20がそれらの縁の周囲で一緒に接合されている。この断面図でわかるように、セパレータプレート20の中央突起及び凹部24は、各ユニットの2つのプレート間の空間を維持して第1の流体通路14を画定し、また、隣接する燃料電池ユニット10間の第2の空間を維持して第2の流体通路32を画定する。ガスケット34が、燃料電池ユニット10の端での間隔を維持し、セパレータプレートと金属支持プレートの両方のポート16の周囲のさらなる突起又は凹部36に重なる。ガスケット34は環状であり、したがって、それらの中央の開口部はポート16に重なる。したがって、スタックを通る「煙突」又は通路38が形成され、この通路は、ガスケット34によって、隣接する燃料電池ユニット10間の第2の流体通路32からシールされるが、燃料電池ユニットの内部の第1の流体通路14に通じている。したがって、流体は、ポート16を介して第1の流体通路に出入りすることができる。代わりに、第2の流体通路を通る流体は、以下でさらに詳細に説明するように、燃料電池ユニットの外側の周りを循環する。
【0160】
図4では、さらなる突起及び凹部36は、
図1のようにセパレータプレートにのみ設けられており、いくつかの実施形態では、それらを追加できないため、より長い/より深い突起/凹部を打ち抜く必要がある場合がある。しかしながら、この実施形態では、代わりに、燃料電池コンポーネント層がさらなる支持プレート40上に堆積され、WO2020/126486にさらに記載されているようにさらなるステップで金属支持プレート18に接合されるので、燃料電池コンポーネント層として存在する支持プレート18の厚みをさらに増やすことができる。
図4で見られるように、代わりにそのさらなる支持プレートの下側に穿孔のアレイが設けられる。
【0161】
図1~
図4はWO2020/126486からのものであるのに対し、
図5~
図7はWO2015/136295からのものである。これらは、さらなる可能な従来技術の燃料電池の構成を示している。金属支持型SOFCのスタックが再度提供されており、動作はほぼ同じである。しかしながら、セパレータプレートのさらなる突起及び凹部の代わりに、
図2及び
図3の場合の金属支持プレートの代わりに、この例では金属支持プレート18とセパレータプレート20との間にスペーサプレート42を使用する。さらに、セパレータプレート20は、突起及び凹部24の代わりにビーム及び溝24を使用する。
【0162】
この例では、スペーサプレート42は、(組み立てられると)セルユニット内に第1の流体通路14を画定する中央開口部44を有し、中央開口部44は、通気通路46を介して、セパレータプレート20及び金属支持プレート18のポート16につながる。さらに、3つのプレート18、20、42はまた、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるWO2015/136295に記載されているように、隣接する燃料電池ユニット10間の第2の流体通路32に(又は第2の流体通路32から)通気するためのさらなるポート48を有する。
【0163】
図6は、燃料電池スタック12に構成された
図5の複数の燃料電池ユニット10を示している。ダミーセル48も示されており、これは、燃料電池コンポーネント層を活性化するために必要なすべての層を有していない又は穿孔がない場合があるが、それ以外の点では当該技術分野では公知のように一貫した設計構成として完全なものであるように見える。さらに、燃料電池ユニット10のスタックによって生成された電荷を集めるための集電プレート52が示されている。
【0164】
その電荷を最大限に取り込むために、燃料電池ユニットは、普通は、スタックを通して電気的に直列に配置され、集電プレートは、その直列スタックの両端にあるが、スタック内の燃料電池ユニットはまた(又は代わりに)、当該技術分野では公知のように並列に配置されたユニットを含むことができ、その場合、集電プレートは、それらの並列スタックの両極に適切に配置される。
【0165】
集電プレート52は、そこからスタックアセンブリの外側に電流を運ぶために(
図8の左側の集電プレートで示されるように)1つ又は複数のバスバー54及び/又は端子56に接続する又は一体に形成することができる。そのような集電プレート52、バスバー、及び端子は
図6及び
図8で見ることができ、端子56は、スタックアセンブリが完全に組み立てられるとスタックアセンブリの外側に延びることが
図7でわかる。
【0166】
スタック12を組み立てる際に、複数の燃料電池ユニット10が用いられ、燃料電池ユニット10は、2つのエンドプレート62間に次々にスタックされ、燃料電池ユニットのスタックの両極に集電プレート52があり、集電プレート52とエンドプレート62との間に絶縁プレート50がある。
【0167】
図6では、固体酸化物型燃料電池ユニットは、燃料電池ユニット10の3つのプレート18、20、42のガイド穴66(
図5参照)を通って2つのエンドプレート62間に延びる複数の(4つ示されている)タイバー64を使用して、組み立てられたスタックにおいて圧縮して保持される。
図7でわかるように、タイバー64の端にあるナットがその圧縮を提供する。他の例では、セルの周囲のスカートをエンドプレートに溶接することによって、圧縮を事前に負荷して保持することができる。この後者の手法は、
図9以降の本発明の例で用いられるが、代わりに圧縮ボルトを使用してもよく、しかし、タイバーがガイド穴の縁(すなわち、少なくとも1つの燃料電池スタックのガイド穴を画定する金属コンポーネントの縁)に近接しているため、蒸気、反応済み及び未反応の炭化水素及び空気を含む可能性がある混合雰囲気中でコンポーネントが高温で膨張するときに、タイバーとスタックとの間に短絡のリスクがあるので、慎重な設計上の考慮が必要であり、そのためスカートで制約することが好ましい。
【0168】
従来技術の燃料電池の上記の例はすべて、セルスタック又はセルスタックアセンブリにおいて本発明の特徴及び利点を用いることができる1つの可能なタイプのセルユニットの例として説明されている。セルユニットのさらなる形状、バスバー/電気テイクオフの設計、及びハウジングの形状も使用できることを当業者は理解するであろう。本発明の例示的な実施形態の以下の解説では、そのようなさらなる設計を説明する。
【0169】
次に
図8を参照すると、本発明の一実施形態が示されている。このセルスタックアセンブリ12では、セルスタックは、ハウジング58の内部にスタックとして配置された複数のセルユニット10を備え、この実施形態では、ハウジング58は、セルユニット10の長辺で互いに接合される2つの半体68、70で形成されたスカートである。その接合は、
図8に示すように、スタックの長辺の中央にある溶接ライン72での溶接であり得る。それは中央にある必要はないが、対称性のため又は製造及び組み立ての容易さのために、中央にあるのが便利であり、これにより、組み立て中に2つの半体を容易に交換することができる。
図10の代替バージョンでは、溶接ライン72はセルユニット10の短端にあってもよく、
図10では、溶接ライン72はセルユニット10の側部の中央に示されており、それも随意的なものであるが、対称性のため又は製造及び組み立ての容易さのために好ましい。
【0170】
セルユニット10は、成形された角部74を有しているにもかかわらず概して長方形であり、角部74は、角部74とハウジング又はスカート58との間にビームが配置されるように電気絶縁ビームを収容することができる。これらの例では、電気絶縁ビーム76は、図示のようなパイプ又はチューブなどの、中央に空隙を有する円形又は管状の成形されたビームの形態をとる。好ましい例では、それらはマイカで作製されるが、多くのセラミックスを含む他の電気絶縁材も用いることができ、好ましくは壊れにくい電気絶縁材が用いられる。
図8では、角部のうちの2つだけがビーム76を備えている。それらは両方ともスタックの短端に存在し、この短端は、この実施形態では
図11に示すようにスタックの流体出口端である。いくつかの実施形態では、1つだけのビーム76が設けられ得る。他の実施形態では、3又は4つ又はそれよりも多いビームが設けられ得る。
図10は、4つ示している。
【0171】
図8の例には、4つのバスバー又は電気接続柱54が示されており、それぞれ、スタックされたセルユニット10の底部で集電プレート52と電気的に接触する。この例では、それらはすべて共通の極であり、したがって、すべてその極から電流を集める。さらなる集電プレートを反対極に設けてもよく、さらなるバスバー又は直接コネクタを使用してもよい。
【0172】
これらのバスバー及びバスバーに接続された任意のコネクタが、スタックされたセルユニット10によって生成された電流を集め、スタックの外部に、
図6のスタックと同様に集電プレートから遠位に分配することを可能にする。この例では4つのバスバー54が示されているが、バスバーを1つだけ設けること、又は(
図9のように)2つ設けること、又は任意の所望の数だけ設けること、或いはバスバーを他の形態の電気接続部材又は他の形態の端子に置き換えることが可能である。
【0173】
図8では、2つのバスバー54が、2つのビーム76の中央孔に通されており、したがって、セルユニット及びハウジングからバスバーを絶縁するビームによって囲まれている。バスバーは導電性であり、普通はステンレス鋼であり、ハウジング/スカートとセルユニット(この実施形態では金属支持型である)も同様に主に鋼で作製されるため、バスバーをそれらから絶縁することで、コンポーネントをよりコンパクトにハウジングに詰め込むことができるため、利点がもたらされる。
【0174】
次に
図9を参照すると、バスバーが2つだけ設けられている。同様に、
図8のように、2つのビーム76が設けられている。この実施形態では、バスバー54は両方ともビーム76内に配置されている。
【0175】
図9の例では、電気絶縁ビーム76は、スタックの2つの角部74に設けられている。他の2つの角部74にそのようなビームはない。図示されているように、各ビームはそのスタックに固有であり、(その長さのすべてではないにしても)その長さの実質的にすべてに沿ってスタックと係合している。
【0176】
これらの実施形態では、これらのビーム76に面するハウジングは面取りされている。したがって、ハウジング68、70がセルユニット10に斜にわたる正味の力でビーム76に当接するように、ハウジングの長辺は角度のついた面取り90によってハウジングの短辺に接合される。これは、セルユニット10をそれらの適正な位置に維持するのに役立ち、スタック12が使用中又は輸送中などに振動又は他の衝撃を受けたときにセルユニット10がずれることを回避する。
【0177】
セルユニット10の長辺に沿って、電気絶縁板78も設けられる。
図9では、
図8及び
図10~
図17と同様に、これらの電気絶縁板78は、セルユニット10の長辺に沿って延び、それらの端で面取り90の始点に接触している。他の例では、それらは、ハウジング68、70の長辺に沿って途中までしか延びていない。例えば、各長辺に沿って複数の電気絶縁板78が存在してもよい。例えば、
図20に示すように、1つ以上のビーム76によって分離された複数の電気絶縁板78が存在してもよい。
図20のように、これは側部の中央にある単一のビーム76であり得る。
【0178】
図20の代替的な実施形態では、ビーム76は円形ではなく長方形の断面を有するが、当業者には容易に理解されるように、他の形状も可能であることに留意されたい。
【0179】
図9に戻ると、セルユニット10の成形された角部74は、凹状の丸みの両側に凸状の丸みをもつ湾曲した形状を有するように示されており、凹状の丸みは、それに着座するビーム76の隣接する輪郭に従うように成形されている。この実施形態では、湾曲した形状は、スタックのすべてのセルユニットと垂直方向に一致及び位置合わせされる。このようにビームの形状に従う又は一致することで、(実際、すべてのセルユニット10の好ましい構成において)ビーム76とセルユニット10の角部74との間に複数の接点(又は長い単一の連続的な接触ライン)を達成することができる。特に、ビームはセルユニットと密に当接及び係合することが好ましい。これは、セルユニット10にかかる点荷重を減少させ、スタックアセンブリの動作中のセルユニットの移動に抵抗するべく(例えば上述の斜め荷重を通じて)セルユニットを把持する又は他の方法で制御するのに役立つ。
図9では、凸状の丸みは、およそ90度のセグメントにわたって円形ビームの円周に従う。一方、
図19では、これはおよそ180度、すなわちビームの半円に従う。この後者の構成は、正味の斜の保持力を生じないが、代わりに、ビームの周りを十分に包むことによって、横方向(ビームに向かう方)の保持に加えて、両方向(前方又は後方)の縦方向の移動に対抗してビームを保持する。
【0180】
角部74が代わりに2つの垂直な辺、すなわち、正方形又は長方形の切取部を備える代替的な構成が
図10に示されている。したがって、その形状と一致させるために正方形又は長方形のビームを使用してもよいが、この実施形態では、ビーム76はその円形(管状)の断面を依然として維持している。この代替的な構成では、ビーム76は角部/凹部74との複数の(2つの)接点を依然として有する。したがって、角部74とビーム76との間に2つの接線が存在し、セルユニット10に正味の斜の力を依然として与える。これらにより、セルユニットは、使用中のセルユニットの移動に抵抗する、すなわち横方向と縦方向の両方の移動に抵抗するようにビームによって依然として把持される。
【0181】
次いで、
図20を参照すると、ここでは2つの側部の中央に長方形の凹部が設けられており、長方形のビームが使用されている。したがって、セルユニット10はまた、使用中のセルユニット10の移動に抵抗する、すなわち横方向と縦方向の両方の移動に抵抗するようにビーム76によって把持される。しかしながら、ここでは、長方形の凹部は、
図19のように、横方向の保持(ビームに向かう方)に加えて、両方向(前方又は後方)の縦方向の移動に対抗してビームを保持するようにビームの周りを十分に包む。
【0182】
また、セルユニットとハウジング58との間のセルユニット10の角部又は側部の凹部にビーム76を嵌め込むとき、角部74の凹部又は凹部が設けられる他の場所の多くの異なる形状及び同様にビーム76の形状も適していることを当業者は理解するであろう。
【0183】
さらに、ビーム76は角部又は側部の中央にある必要はなく、セルユニット10の側部の長さに沿ってどこにあってもよい。
図18及び
図19は、角部の付近に配置されたビーム76を示しており、
図20は、側部の中央部分にあるビームを示している。したがって、ビーム76は、セルユニット10の側部に沿ってどこにでも設けられ得る。
【0184】
図9ではビームが2つだけ存在しているが、それらは、好ましくは、スタックされたセルユニットを通る流体の流れの方向(その流れの方向については
図10参照)に対して、セルユニットの下流端にあることに留意されたい。
【0185】
同様に、
図10~
図19から、2つだけのビーム76の代わりに、多くの好ましい実施形態では、セルユニット10の各側部に2つずつ、各端に又はその近くに、合計4つ存在することが分かる。
【0186】
流体ポート60も
図8~
図20に示されている。
図8~
図17の例では、セルユニット10の端領域に2つの流体ポートが存在し、セルユニット10に合計4つの流体ポートが与えられ、一方、セルユニット10の各端にある、セルユニット10がスタックされるエンドプレート62(集電プレート52と図示されていない絶縁プレート50(例として
図6参照)によってセルユニット10から分離される)には、単一の流体ポート60が設けられる。これらは、スタック12を通る燃料及び空気/酸化剤の循環を可能にする。
【0187】
図11では、燃料電池について、エンドプレート62の流体ポート60は、酸化剤の流れのためのポートであり、一方、セルユニット10の端の方の2対の流体ポート60は、燃料ポートである。しかしながら、燃料電池の活性電気化学コンポーネント層の構成に応じて、燃料と酸化剤がセルユニットのカソード又はアノードの適切な方に確実に接触するように、これらは逆にされてもよい。
【0188】
次に
図11を参照すると、さらなる実施形態が示されている。これは、4つのビーム76を備えた
図10の実施形態と同様であるが、角部74の四角い凹部の代わりに、
図9からの丸みのある角部が用いられている。
【0189】
図11では、燃料電池動作モードでの燃料の流れと空気の流れ(酸化剤の流れ)が概略的に示されている。図からわかるように、エンドプレート62の2つの流体ポート60(以下、空気流入力ポート80及び空気流出力ポート82)により、空気又は酸化剤が、セルユニット10の一端でハウジング68、70によって画定される容積に流入し、その容積内で、上昇し、隣接するセルユニット10間のセルユニット10を通り、下降するように循環して、空気流出力ポート82を通って外へ出る。この流れの方向は、セルユニットの第1の端からセルユニット10の遠端までの中央の縦方向のフローライン88を画定する。空気の側方流路89も示されており、これらはビームのより近く、及びセルユニット10の側部付近を通る。実際には、スタックされたセルユニット10を通る複数の流路が存在し、それらはセルユニットの設計、特にセルユニットのセパレータプレートの任意の突起又は凹部、バー又はトラフに応じて、直線状又は回旋状である場合があり、流路を画定する様々な潜在的な異なる形状の突起/バー/溝/凹部については
図1~
図5を参照されたい。当該技術分野では公知の他の設計も当業者には明らかであろう。
【0190】
その空気又は酸化剤の流れの方向により、
図9では、電気絶縁ビーム76が2つだけ存在し、それらはセルユニット10の流出端(少なくとも空気/酸化剤の流れに関して)に優先的に配置されていることが分かる。これは、空気流はセルユニット10をその流出端の方に押す傾向があり、燃料と酸化剤について並流が用いられるときにその端が通常はスタックの高温端になるので、ビーム76について好ましい端である。したがって、その遠端にビーム76を設けることで、角部74とビーム76との間の接触点が、少なくとも部分的に流入端に向かう正味の角度のついた戻り力をもつことになり、ビームはセルユニットがそのように押されることに抵抗する。したがって、セルユニット10は、ビーム76によって、空気の流れに伴う移動に抵抗することができる。一方、電気絶縁板は、側部に載っているだけであり、したがってセルユニットがそのように押されることに対抗する保持力の角度がなく、時間が経つにつれてセルユニット10が電気絶縁板78に対してスライドすることがあり、したがって、最終的にそれらの側方の電気絶縁板78との接触が外れることがある。
【0191】
図11をさらに参照すると、この実施形態での燃料の流れは、空気/酸化剤の流れと同じ方向に流れるように示されているが、この流れは、代わりに、個々のセルユニットの層間に、したがってセルユニット10の内部にある。したがって、この例ではこれは並流構成である。この目的のために、セルユニット10の各端にある流体ポート60の対は、それぞれセルユニット10の対向する端の方に配置される、一対の燃料入力ポート84と一対の燃料出力ポート86を備え、
図11でそのように番号が付けられている。
【0192】
図1~
図7に関して説明したように、空気と燃料は、それらが混ざらないような様態で、しかしセルスタックアセンブリの所望の機能をもたらすために両方ともセルユニットの電気化学的活性層の適切に対向する層の上を流れることができるように、セルユニットを通って又はセルユニット間を流れ、金属支持型の場合、金属支持プレートは、
図2、
図3、及び
図4に示すように、燃料と電気化学的活性層との相互作用を後で可能にするために有孔又は多孔質とすることができる。
【0193】
図11から、空気流はセルユニット10の遠端にある対向するビーム76間を流れ、そこでは空気流は、
図11の湾曲した空気流ライン89で示されるように、それらのビームの前の領域に比べて2つのビーム76間で狭窄されることも観察することができる。その狭窄により、それらのビーム76の前のより広い空間に比べて、それらのビーム76間で空気の流れが確実により集中することになる。並流構成ではセルユニットの最も高温の端は燃料及び空気の出口端にあるため、これは有利な特徴である。その狭窄、したがって、空気流の密度の増加により、冷却効果が高まり、したがって、セルユニットのその流出端の温度を制御するのに役立つ。これは並流構成では特に有利であるが、空気がセルユニット10を横切る際に加熱され、したがって、同程度の冷却をもたらすために空気流の密度を増加させる必要があるので、向流構成でも有益であり得る。
【0194】
次に
図12を参照すると、ほぼ完全に組み立てられたセルスタックが示されている。
図12では、複数のスタックされたセルユニット10が、
図11のように各角部74に電気絶縁ビームを有する構成で示されている。その2つの長辺のそれぞれの下方へ延びる電気絶縁板78が存在する。さらに、ハウジング58の2つの半体68、70が、スタックされたセルユニットの周囲に嵌められている。この実施形態では、ハウジング58の2つの半体68、70は、電気絶縁板78の端をビーム76に押し当てるように、またビーム76に直接押し当るように配置されていることが分かる。これは、ビーム76に対する正味のクランプ力を提供し、中央フローライン88(
図11参照)に対して横方向と縦方向の両方の力成分で、ビーム76をセルユニット10の凹んだ角部74に押し込む。この双方向のクランプは、セルユニット10のスタックにセルユニット10のスタックを保持するための保持力を与え、これにより、そのスタックでの個々のセルユニット10は、横方向に固定された状態に維持され、また、前方への縦方向移動にも抵抗する。さらに、セルユニットの入力端にもビームが存在するので、セルユニットはまた、後方へ移動することもできない。したがって、セルユニットは、並んでクランプ又は保持され、個々の相対移動に対してロックされ、したがって、スタックアセンブリに加えられた外力によってセルユニットが破壊される或いは移動する可能性が低くなり、したがって、その層間のシールの有効性が維持される(シールは当該技術分野では公知のものであり、普通は電気絶縁ガスケット、典型的にはマイカガスケットによるものである)。
【0195】
図1~
図7に関して説明したように、ガスケットは通常、スタックを通る流体(
図1~
図4及び
図8~
図20の例では燃料だけであるが、
図5~
図7のように潜在的には酸化剤も)のための通路が形成されるようにポートを一緒にマニホルドするためにセルユニット10間に配置される。
【0196】
したがって、本発明では、セルユニット10間の相対的な乱れが回避され、したがって、これらのセルユニットの通常の動作温度での燃料と酸化剤の混合による引火及び潜在的に爆発の可能性を考えると完全性の損失は非常に望ましくないため、これらの流体通路の完全性が維持される。
【0197】
次に
図13を参照すると、
図12の構成がまた示されているが、ここでは、集電プレート52(図示せず、
図14参照)から4つのビームを通って延びる4つのバスバー54も示されている。これらは、集められた電流が頂部プレートの端子(図示せず、2つの端子を有する同様の構成の
図7参照)に送られることを可能にする。
【0198】
次いで、
図14を参照すると、ここではハウジングの片方の部分70と電気絶縁板78のうちの1つが取り外された状態で
図12の構成がまた示されている。これは、スタックされたセルユニット10の下に集電プレート52が見えていることを示している。その集電プレートと下側エンドプレート62の間に、
図6に示されているものと同様に、集電プレートからエンドプレート62を絶縁するさらなる電気絶縁プレート50を設けることができる。
【0199】
ハウジングの第2のパーツ70が取り外されていることで、下側エンドプレート62の酸化剤流出ポート82も見えている。図示されているように、集電プレート52は酸化剤ポート80、82の上には延びていない。電気絶縁プレートは同様ではないが、いくつかの例では、電気絶縁プレート50も同様であってもよく、そうする場合、ポートがセルユニット10の端でハウジングの内部容積に通じたままであるように、対応するポートをそれに設けることができる。
【0200】
次に
図15、
図16、及び
図17を参照すると、セルスタックアセンブリの組み立てプロセスにおける種々のステップが示されている。これらは、本発明の第6の態様に従う好ましいステップである。
図14~
図16は、
図13のスタックアセンブリの部分切取図であり、ビーム76がより短く切り取られ、より少ないセルユニット10がスタックされている。これは、その後方にある電気絶縁板78が見えるようにするためである。
【0201】
図15に示すように、セルユニット10のスタックは、第1の絶縁プレート50、集電プレート52、及び4つの電気絶縁ビーム76とともに下側エンドプレート62上にスタックされる。4つのビーム76は、スタックされたセルユニットの四角部に配置される。スタックされたセルユニット10の後方で(図示のように)2つのビームを保持するために、第1の電気絶縁板78がこれらの2つのビーム76の後ろに接してセルユニット10の遠い方の長辺に沿って嵌められ、第1のハウジング半体68がそれらを定位置に保持する。
【0202】
次いで、
図16は、2つの(図示の)近い方のビーム76及びセルユニット10の(図示の)近い方の長縁に対して配置された第2の電気絶縁板78を示している。
【0203】
次いで、
図17は、組み立てられたコンポーネントを一緒にクランプするために第2の電気絶縁板78及び2つの(図示の)近い方のビーム76に対して嵌められたハウジングの後半体70を示している。
【0204】
最後に、この実施形態ではスカートであるハウジング58の2つの半体68、70を、この例ではセルスタックの短端に設けられる、各端にある溶接ライン72の対に沿って、クランプされた状態で一緒に溶接する又は他の方法で接合することができる。
【0205】
ハウジング又はスカートが2つの半体で提供されることで、セルユニット10をビーム及び電気絶縁板と組み立てて、組み立てたコンポーネントを一緒にクランプして、したがってビーム及びセルユニットにわたる圧縮力を維持した状態で、スカートを互いに溶接するプロセスが、簡単になる。したがって、その圧縮力は、セルユニットをそれらの所望の相対位置に保持し、したがって、例えば
図3、
図4、及び
図6で見られるように、各セルユニット上の流体ポート及びポート間のガスケットによってその中に形成される流体柱の完全性を維持する。
【0206】
次に
図18及び
図19を参照すると、代替的な構成が示されており、代わりにビーム76は角部から離れている。ハウジング58はまた2つの半体68、70に分かれるように示されているが、ここでは前半体68のみが示されている。このスタックアセンブリ12の組み立てを完了するには、第2の電気絶縁板78を、既に示されている第1の電気絶縁板68と鏡像をなすように嵌める必要があり、次いで、ハウジング58の後半体70がセルユニットにわたってビーム76間で圧縮又はクランプするように設置される。
【0207】
この実施形態では、ハウジングは、ビームに対して直接的と間接的との両方で圧縮するのではなく、ビームに接して直接圧縮するだけであり、ハウジング58は電気絶縁板78を通じてビーム76を圧縮しない。電気絶縁板78は、代わりに、セルユニット10の側部のみに接して圧縮する。しかしながら、ビーム76は、この例ではビームの対向する壁の形状と一致するセルユニット10の凹部の形状により、依然としてセルユニットに複数の方向に接して圧縮する。しかしながら、正方形又は長方形の凹部が設けられ、異なるビーム形状が提供されている、
図10及び
図20で示されるように、凹部及びビームの他の形状も、特許請求される発明の範囲内である。
【0208】
次に
図20を参照すると、このハウジングは、コンポーネントに一遍に嵌められるワンピースのスリーブであることがわかる。これはコンポーネントに嵌るように屈曲することができ、したがって、依然としてビームに対して保持バイアスをかけることができる。これはまた、セルユニット10の2つの長辺上のビーム76及び電気絶縁板78を取り囲む。
【0209】
次に
図21を参照すると、本発明のさらなる実施形態が示されている。
図11~
図17の実施形態とほぼ同様のこの実施形態では、ビーム76はまた、それらのそれぞれを通って延びるバスバー54を有し、それぞれ燃料電池ユニット10の角部74に当接し、ここでは、セルユニット10のスタックの各角部74に1つのビーム76が存在する。さらに、バスバー54はそれぞれ、セルユニット10のスタックの下側にある集電プレート52に接続し、そこから上方に延びる。しかしながら、ビームは、ワンピースのものではなく、それぞれ2つのパーツ、すなわち、第1の又は下側パーツ92と、第2の又は上側パーツ94で作製され、第1のパーツ92の上に第2のパーツ94が積み重ねられる。
【0210】
この実施形態では、2つのパーツは同一のチューブ又はシリンダの形態であり、バスバー54がその中央穴を通って延びている。
【0211】
組み立て中に、4つのバスバー54を、セルスタックアセンブリ12のエンドプレート62上にスタックされる集電プレート52に溶接又は他の方法で電気的に接続することができる。
【0212】
次いで、セルユニット10のスタックを位置合わせするために4つの第1のパーツ92がバスバー54の上に配置された状態で、セルユニット10を集電プレート52上にスタックし始めることができる。スタックが第1のパーツ92の頂部に近づくと、第2のパーツをバスバー上に設置することができ、その後、ビーム76の4つの第2のパーツ94間の空間内にセルユニット10のスタックが完成する。最終的に、上側集電プレート(図示せず)、上側エンドプレート(図示せず)、電気絶縁板78(1つが示されている)、及びハウジング58(片方が示されている)を、セルユニット10のスタックを囲むように嵌めることができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、特により高いスタックの場合、2つよりも多いパーツが提供され得る。
【0214】
次に
図22を参照すると、さらなる修正が示されている。この実施形態では、ビーム76の2つのパーツ92、94は、長さを調節できるように設けられている。これにより、同じ2つのパーツを様々な異なるスタック高さのために使用できるようになる。
図23は、これらの2つのパーツをより詳細に示している。
図24は、ビーム76の長さを調節できるようにするためのビーム76のパーツ92、94の別の形態を示しており、そのパーツ92、94は
図25により詳細に示されている。
【0215】
図22及び
図23では、ビームの長さは、2つのパーツ92、94に段付き又はキャストレイテッド端100を設けることによって調整可能であり、段付き又はキャストレイテッド端100は、ビーム76の中間で互いに面する。これらの段付き又はキャストレイテッド端100は、対向するパーツの対向するライザ及び平坦部と相互作用することができるライザ及び平坦部を有し、中央孔によって画定される軸の周りで一方のパーツを他方のパーツに対して回転させる(例えばバスバー54の周りで回転させる)ことができるため、異なるライザと平坦部が互いに係合することができ、その結果、積み重ねられたパーツ92、94の長さが変化することになる。
【0216】
組み立て中に、積み重ねられたパーツ92、94は、最初にそれぞれのバスバー54の上に短縮長で設置されてもよい。これにより、バスバー54の頂部を上側電気コネクタ(図示せず)に溶接又は他の方法で電気的に接続するためにバスバー54の頂部にアクセスできるようになる。代わりに全長にすると、上側集電プレート又はビーム76の頂部又はその両方によってバスバーの頂部へのアクセスはブロックされ得る。次いで、バスバー54の頂部が上側電気コネクタ(図示せず)に電気的に接続されると、ビーム76の長さを、上側集電プレートの下側に適合するように調整することができる。
【0217】
代わりに
図24及び
図25を参照すると、同じく長さを調整可能な、代替的な形態のビーム76が示されているが、ここでは、ライザ及び平坦部によって提供される事前定義された段階的変化ではなく、最大長と最小長との間で長さをより無限に変更可能である。この目的のために、2つのパーツ92、94の対向する端100は、それぞれ、面取りされた又は角度のついた/傾斜面100とストップ部材102を有する。2つのパーツ92、94をそれらの中心軸の周り(すなわちバスバー54の周り)で互いに対して回転させることによって、またビーム76の長さを変えることができ、上記と同じ利点が得られる。各端100のストップ部材102が長さ変化の端点で相互に作用するので、ストップ部材は、長さ変化の所定の制限をもたらす。
【0218】
ビームの長さを調整可能な、これらの2つの変形例のそれぞれにおいて、例えば、サーマルペースト又は接着剤の使用によって又はキーイング特徴を設けることによって、設置後に長さをロックすることができる。
【0219】
次に
図26を参照すると、例えば、バスバー54の端を上側電気コネクタにより容易に接続できるようにするために、上側集電プレートの下側へのアクセスを提供するための代替的な手法が提供される。この実施形態では、上側パーツ94は、スロット付きコンポーネントであり、すでに述べたようにほぼ管状であるが、その中央孔からその側壁まで延びるスロット104を備えており、スロット104は、バスバー54の自由端にアクセスすることなくバスバー54上に設置できるようにするのに十分に広い幅を有する。この構成により、第1のパーツ(及びここでは別個の中間パーツ96)を最初にバスバー54の上に設置することができ、それらの間にセルユニット10がスタックされ、さらに、スタックの頂部までスタックし続けることができ、次いで、上側集電プレート(及び上側電気コネクタ)を設置し、その後、ビーム76の上側パーツ94を嵌めることができ、これはスロット104を使用してバスバー54の上にそれらを嵌めることで可能となる。次いで、それらが緩んでこないように、上側パーツ94を回転させてスロット104をセルユニット10の角部74から離れる方に向けることができる。
【0220】
この実施形態では、第1のパーツ92も、例えばバスバー54を下側集電プレート52に接続するため(又は保守のため)にアクセスするために、取り外す(又は後で中間パーツ96上に設置する)ことが望まれる可能性もあるため、スロット付きパーツであるように示されている。
【0221】
いくつかの実施形態では、このスロット付きパーツの構成はまた、前の実施形態の段付き面又は面取りした面を特徴とし得る。
【0222】
次に
図27を参照すると、ビーム76のさらなる代替的な構成が示されている。この実施形態では、ビームは、ワンピースのビームとして示されているが、それらは前述のように1つよりも多いピースで作製されてもよい。しかしながら、この実施形態では、ビームの頂部は、図に示すように頂部に半円をなす、切り欠き部分98を有する。この半円は、スタックの頂部でセルユニット10の角部74に当接するが、その平坦面は外向きであり、スタックの頂部でビーム76の外側の周りに流路を提供する。そのような流れは、スタックの各端のビーム間の隙間だけでなく、空気がスタックの頂部に流れ込むための(セルユニット間を流れるための)追加のルートを提供する。この空気流の増加は、スタックの底部又は中間部に対してスタックにおいて一般的により高温になる場所である、スタックの頂部での熱管理を向上させることができる。
【0223】
この実施形態では、構造の対称性のために(したがって、コンポーネントの製造コストを下げるために)、ビームの第1のパーツ92にも切り欠き98が設けられる。しかしながら、そこでそのようなさらなる流れが必要ではない場合には、その下側パーツ92は切り欠き98を有する必要はない。
【0224】
この実施形態での中間部96は、切り欠きなしの完全な管状であるように示されるが、スタックの中間区域をさらに冷却するために必要に応じて切り欠きを設けることができる。
【0225】
半円形の輪郭をなす切り欠きの代わりに、他の形態の切り欠きも同様の追加の流路を実現するであろう。例えば、切り欠き98を有するビームのパーツは、外側チューブの一部が切り取られた同軸チューブ構造であり得る。このような構造により、バスバー54は、切り欠き領域においてもその周囲で絶縁された状態を維持することができ、これは空気中の汚染物質(又は粉塵)がバスバーに容易にアクセスするのを防ぐ一助となる。
【0226】
これらの代替的な実施形態では、ビームがセルユニット10のスタックのための位置合わせガイドとして依然として機能するように、ビームにはセルユニット10の角部74の方に面するための直線状の最終面が依然として設けられる。チューブの一部(セグメント)として丸みをつけられ得る、この直線状の最終面は、回転してセルユニット10の角部74と係合する。
【0227】
ビームのパーツ92、94、96はマイカチューブで形成されることが好ましい。しかしながら、段付き端100、面取りされた端100及びストップ102、及びスロット104は、ビーム上により小さな細部を形成し、その形状の構造的完全性が低下するため、代わりに、ビームのパーツ92、94、96のうちの1つ又は複数を、より適切な構造強度をもつセラミック材料で作製することが好ましい場合がある。
【0228】
当業者には明らかなように、
図1~
図4の概して楕円形から
図5~
図20の概して長方形まで、セルユニットの様々な構造的形状が本明細書で説明されている。しかしながら、本発明は、セルユニットの多くの他の形状を用いることもでき、多くの電気化学セルの化学タイプに適用可能である。実際、本発明の電気絶縁ビーム76を依然として使用しながら、セルユニットの形状を幅広く変更できることを当業者は理解するであろう。したがって、本発明は、単なる例として上記で説明されており、本明細書に付属の請求項の範囲内で本発明に細部の修正を加えることができる。
【国際調査報告】