(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】プログレッシブ分配器
(51)【国際特許分類】
F16N 13/22 20060101AFI20240209BHJP
F16N 13/10 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F16N13/22
F16N13/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549086
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022053503
(87)【国際公開番号】W WO2022179874
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021104272.0
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515234440
【氏名又は名称】エスカーエフ・ルブリケイション・システムズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・クロイツケンパー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・シェーンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ツァーン
(57)【要約】
ハウジングブロック(2)を含む潤滑剤のプログレッシブ分配器(1)が開示され、ハウジングブロック(2)は、潤滑剤をプログレッシブ分配器(1)内に導入することができる潤滑剤入口ボア(18)と、計量された量の潤滑剤が、それぞれの潤滑剤出口(16)に接続された消費者に分配可能である複数の潤滑剤出口(16)とを含み、計量された量の潤滑剤を分配するために、複数の計量ピストン(6)がハウジングブロック(2)内に設けられ、計量ピストン(6)は、関連するピストンボア(4)内に受容され、各ピストンボア(4)は、2つの潤滑剤出口(16)に関連付けられ、計量ピストン(6)は、ピストンボア(4)内で変位可能であり、かつ計量された量の潤滑剤を一方または他方の潤滑剤出口(16)に交互に分配するように構成され、さらにピストンボア(4)は、潤滑剤入口ボアに流体接続され、ピストンボア(4)は、潤滑剤を他方のピストンボア(4)に移送するために接続ボア(10)を介して互いに流体接続されており、ピストンボア(4)は、ハウジングブロック(2)を通って延びる貫通ボアであり、 少なくとも2つの領域(24、26)を含み、第1の領域(24)は、計量ピストン(6)を受け入れるように構成され、第2の領域(26)は、潤滑剤出口(16)として構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングブロック(2)を含む潤滑剤のプログレッシブ分配器(1)であって、前記ハウジングブロック(2)は、潤滑剤を前記プログレッシブ分配器(1)内に導入することができる潤滑剤入口ボア(18)と、計量された量の潤滑剤が、それぞれの潤滑剤出口(16)に接続された消費者に分配可能である複数の潤滑剤出口(16)とを含み、前記計量された量の潤滑剤を分配するために、複数の計量ピストン(6)が前記ハウジングブロック(2)内に設けられ、前記計量ピストン(6)は、関連するピストンボア(4)内に受容され、各ピストンボア(4)は、2つの潤滑剤出口(16)に関連付けられ、前記計量ピストン(6)は、前記ピストンボア(4)内で変位可能であり、かつ前記計量された量の潤滑剤を一方または他方の潤滑剤出口(16)に交互に分配するように構成され、さらに前記ピストンボア(4)は、潤滑剤入口ボアに流体接続され、前記ピストンボア(4)は、潤滑剤を他方のピストンボア(4)に移送するために接続ボア(10)を介して互いに流体接続されており、前記ピストンボア(4)は、前記ハウジングブロック(2)を通って延びる貫通ボアであり、 少なくとも2つの領域(24、26)を含み、第1の領域(24)は、前記計量ピストン(6)を受け入れるように構成され、第2の領域(26)は、潤滑剤出口(16)として構成されることを特徴とする、プログレッシブ分配器。
【請求項2】
前記ピストンボア(4)および前記潤滑剤出口(16)が、互いに対して同心円状に配置されている、請求項1に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項3】
前記ピストンボア(4)の少なくとも一方の側が段付きボアとして構成され、前記第1の領域(24)が第1の直径を有し、前記第2の領域(26)が第2の直径を有する、請求項1または2に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項4】
各ピストンボア(4)が2つの潤滑剤出口チャネル(14)に関連付けられ、前記潤滑剤出口チャネル(14)がそれぞれ、関連するバイパスボア(18)を介して、関連する前記潤滑剤出口(16)に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項5】
通気装置(28)が前記潤滑剤出口チャネル(14)内に設けられる、請求項4に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項6】
前記通気装置(28)が逆止弁として構成される、請求項5に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項7】
前記ハウジングブロック(2)に取り外し可能に接続可能なインサート(30)が、前記ピストンボア(4)内に挿入可能であり、前記インサート(30)が前記ピストンボア(4)の前記第1の領域(24)を液密に閉鎖し、前記インサート(30)は、同時に潤滑剤出口(16)としても構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項8】
前記ピストンボア(4)内での前記計量ピストン(6)の軸方向変位のために、2つの計量空間(34)が前記ピストンボア(4)の端部にそれぞれ設けられ、前記ピストンボア(4)の前記第1の領域(24)は、前記インサート(30)とともに前記計量空間(34)を画定する、請求項7に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項9】
前記バイパスボア(18)が第1のセクション(20)および第2のセクション(22)を含み、前記第1のセクション(20)は、前記潤滑剤出口チャネル(14)に接続され、前記第2のセクション(22)は、前記インサート(30)を介して前記潤滑剤出口(16)に接続されている、請求項7または8に記載のプログレッシブ分配器。
【請求項10】
前記インサート(30)が六角形の凹部付ねじ(38)を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のプログレッシブ分配器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のプログレッシブ分配器に関する。
【背景技術】
【0002】
プログレッシブ分配器またはプログレッシブ潤滑剤システムは、ポンプによって供給される潤滑剤を複数の部分に分配し、多数の潤滑点/消費者に潤滑剤を供給するのに役立つ。重要なタイプの分配器は、ブロック分配器と呼ばれる。このプログレッシブ分配器では、スチールブロック(ハウジング)が機械加工され、潤滑剤を分配するピストンが挿入されるベースを形成する。この目的のために、ボアがハウジングブロックに導入され、そのボアに計量ピストンが挿入され、そこに共通の潤滑剤入口ボアを介して潤滑剤が供給される。
【0003】
ここで、各計量ピストンは、それぞれの出口を介して2つの潤滑点/消費者に潤滑剤を供給する。また、各計量ピストンによって計量される潤滑剤の量は、各計量ピストンで同一であり、変更することはできない。プログレッシブ分配器では、特に、潤滑剤出口で潤滑剤を分配するため、計量ピストンが第1の位置から第2の位置に連続的に移動する必要があるか、計量ピストンを第1の位置から第2の位置へ移動するために計量ピストンに対応する圧力を作用させる必要がある。言い換えると、各計量ピストンは、計量ピストンの順序においてその前に配置された計量ピストンがすでに移動している場合にのみ移動できる。このため、最後の計量ピストンが移動した後に最初の計量ピストンが戻るように、シーケンス内の最後の計量ピストンを最初の計量ピストンに接続する接続穴が設けられている。
【0004】
プログレッシブ分配器のハウジングブロックの設置高さは、プログレッシブ分配器を設置して使用する能力に大きく影響する。プログレッシブ分配器の機能のためには、一方ではハウジングブロックにピストンボアと潤滑剤出口用の複数のボアが必要であり、他方では潤滑剤を導くことができるラインの接続オプションが必要であり、その結果、ハウジングブロックのサイズを任意に縮小することはできなくなる。ピストンボアと潤滑剤出口が互いに近くに配置されている場合、特定の状況下では隣接する潤滑剤出口接続部を取り外す必要があるため、潤滑剤出口接続部の交換がより困難になる可能性がある。これは、潤滑剤出口同士が近接しているため、他のネジで囲まれた潤滑剤出口接続部を直接簡単に外すことができないためであり、故障時のメンテナンス費用が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、よりコンパクトに設計でき、潤滑剤出口接続部のより簡単な交換を可能にするプログレッシブ分配器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、ハウジングブロックを含む潤滑剤のプログレッシブ分配器が提案され、ハウジングブロックは、潤滑剤をプログレッシブ分配器に導入することができる潤滑剤入口ボアと、複数の潤滑剤出口とを含み、複数の潤滑剤出口を介して計量された量のそれぞれの潤滑剤がそれぞれの潤滑剤出口に接続された消費者に分配可能である。計量された量の潤滑剤を分配するために、複数の計量ピストンがハウジング内に設けられ、それらの計量ピストンは、関連するピストンボアに受け入れられ、各ピストンボアは、2つの潤滑剤出口に関連付けられ、計量ピストンは、ピストンボア内で変位可能であり、一方または他方の潤滑剤出口に計量された量を交互に分配するように構成されている。さらに、ピストンボアは、潤滑剤入口ボアと流体接続されており、潤滑剤を他のピストンボアに移送するために、ピストンボアは接続ボアを介して互いに流体接続されている。さらに、各計量ピストンは、ピストンボアと2つのリング空間を画定することができ、そのリング空間は、潤滑剤の作業空間として構成される。
【0007】
ハウジングブロックをコンパクトにし、特にプログレッシブ分配器の設置高さを低減できるようにするために、ピストンボアは、ハウジングを通って延在し、少なくとも2つの領域を有する貫通ボアとして構成され、第1の領域は、計量ピストンを受け入れるように構成され、第2の領域は、潤滑剤出口として構成される。これにより、ピストンボアと潤滑剤出口は、異なる平面ではなく、同じ平面内に重なって配置される。
【0008】
第2の領域は、第1の領域よりも大きな直径を有することが好ましい。さらに、第1の領域をピストンボアの軸方向中央に設け、第2の領域をハウジングブロック外側の領域に設けることができる。これにより、第1の領域の寸法を計量ピストンに適合させ、第2の領域の寸法を潤滑剤ラインの端子を接続できるように適合させることができる。
【0009】
ピストンボアおよび潤滑剤出口は、有利には、互いに対して同心円状に配置され得る。これにより、潤滑剤出口を形成するボアおよびピストンボアを特に省スペースで設けることができる。また、潤滑剤出口とピストンボアを製作するために、2つのボアではなく、1つのボアのみで済むため、プログレッシブ分配器の製造コストを削減することができる。さらに、これにより、一方ではより迅速に、他方ではより費用効率よく製造を行うこともできる。
【0010】
好ましい一実施形態によれば、ピストンボアは、少なくとも片側が段付きボアとして構成され、第1の領域は第1の直径を有し、第2の領域は第2の直径を有する。これにより、ピストンボアの少なくとも2つの領域を、1回のドリル作業のみで形成することができる。
【0011】
各計量ピストンは、各ピストンボアが2つの潤滑剤出口チャネルに関連付けられ、それぞれが関連するバイパスボアを介して関連する潤滑剤出口に接続されるように構成されることが好ましい。これにより、計量された潤滑剤をピストンボアから潤滑剤出口まで導くことができる。
【0012】
さらに好ましい実施形態によれば、潤滑剤出口チャネル内に通気装置が設けられる。通気装置は、好ましくは、ピストンボア、特にリング空間とハウジング外側との間の潤滑剤通路に配置され得る。これにより、プログレッシブ分配器内のエアを確実に除去することができ、完璧な機能と高い分配精度を確保することができる。ピストンボアからの潤滑剤出口チャネルが作業スペースに直接接続されているため、通気装置を計量ピストンに隣接して配置し、計量ピストンにおいて直接通気することができる。これにより通気時間の短縮が可能になる。通気装置は、逆止弁として構成されることが好ましい。代替的または追加的に、通気装置は、ハウジングに取り外し可能に接続可能であるが、通気のために例えば手動で解除できる、流体密封方法で封止できる要素であってもよい。
【0013】
別の好ましい実施形態によれば、ハウジングに取り外し可能に接続可能なインサートがピストンボア内に挿入可能であり、インサートは、ピストンボアの第1の領域を液密に閉鎖し、インサートは、同時に潤滑剤出口として構成される。段付きボアとして構成されるピストンボアの側面は、インサートの受け部として構成されることが好ましい。さらに、インサートは、たとえば、ピストンボアの閉鎖と潤滑剤出口接続として同時に機能することができる。たとえば、インサートには、ハウジングブロックまたはピストンボアのねじ山と相互作用するねじ山を設けることができる。
【0014】
さらなる例示的な実施形態によれば、インサートに対してシールするためのOリングを設けることができ、このOリングは、液密に第1の領域をシールするために、インサートおよびピストンボアの第1の領域と相互作用する。1つのインサートで潤滑剤出口とピストンボアの閉鎖を兼ねることができ、閉鎖部の個数が半減するため、このインサートにより設置費用の削減が可能となる。インサートは、例えばプラグ接続、スナップ接続、及び/又はねじ接続、例えば切削スリーブ固定具などの接続構造を有利に含むことができ、それを介して潤滑剤ラインをインサートに接続することができる。
【0015】
インサートの交換に必要なスペースを削減するために、インサートは六角形の凹部を含むことができる。六角形の凹部により、周囲のインサートを取り外すことなく、他の出口インサートに密接に囲まれた潤滑剤出口インサートを交換することができる。これにより潤滑剤出口インサート交換時の費用を削減することができる。インサートは、特に六角形の凹部を使用して、ピストンボア内に配置された内ねじにねじ込むことができる外ねじをそれ自体に含むことができることが好ましい。もちろん、例えばクランプ接続やバヨネット閉鎖など、他の接続の可能性も可能である。
【0016】
ピストンボア内での計量ピストンの軸方向変位のために、2つの計量空間がピストンボアの端部にそれぞれ設けられ、ピストンボアの第1の領域がインサートとともに計量空間を画定することが好ましい。さらに、インサートにキャビティを設けることも可能である。これにより、計量ピストンのストロークに十分なスペースを確保することができる。
【0017】
さらに好ましい実施形態によれば、バイパスボアは第1のセクションと第2のセクションとを含み、第1のセクションは、ピストンボアからの潤滑剤出口に接続され、第2のセクションは、インサートを介して潤滑剤出口に接続される。例えば、第1セクションは、ピストンボアと平行に延びることができる。バイパスボアにより、計量した潤滑剤をインサートを介して潤滑剤出口まで導くことができる。インサートは、好ましくは、潤滑剤が第2のセクションからインサート内に案内され得るように、バイパスボアの第2のセクションに対して配向された少なくとも1つの開口部を含む。
【0018】
さらなる利点および有利な実施形態は、説明、図面、および特許請求の範囲において特定される。ここで、特に、説明および図面で指定された特徴の組み合わせは、単に例示的なものであり、特徴は、個別に存在することも、他の方法で組み合わせて存在することもできる。
【0019】
以下に、図面に示された例示的な実施形態を使用して本発明をより詳細に説明する。ここで、実施形態および実施形態に示される組み合わせは、単に例示であり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。この範囲は、係属中の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態によるプログレッシブ分配器を通る第1の軸に沿った断面図を示す。
【
図2】
図1のプログレッシブ分配器を通る、第1の軸に垂直な第2の軸に沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、同一または機能的に同等の要素は、同じ参照番号で示されている。
【0022】
図1は、ブロック構造のプログレッシブ分配器1の斜視図を示す。この目的のために、プログレッシブ分配器1は、通常のように、複数のボアが導入されるハウジングブロック2を含む。
図1および
図2の断面図からわかるように、ハウジングブロック2は、計量ピストン6を受け入れることができる複数のピストンボア4を含む。プログレッシブ分配器1は、計量ピストン6が第1の位置から第2の位置まで連続的に移動するという事実に基づいている。
【0023】
各計量ピストン6は、ピストンボア4内に変位可能に配置されている。各ピストンボア4に潤滑剤を供給するために、潤滑剤入口ボア8が設けられている。
図2でさらに詳しくわかるように、ピストンボア4は、接続ボア10を介して互いに接続されている。これらの接続ボア10を介して、一方のピストンボア4から他方のピストンボア4へ潤滑剤が導かれる。
【0024】
さらに、各計量ピストン6は、ピストンボア4とともに2つのリング空間を画定するように構成され、これらのリング空間は、潤滑剤のための作業空間12として構成され、それぞれがその軸方向端部とピストンボアの内面4の間に計量空間34を画定する。
図1から分かるように、各作業空間12には、計量ピストン6の交互移動によってカバーされない潤滑剤出口チャネル14が設けられている。
【0025】
ハウジングブロック2をよりコンパクトに設計できるようにするため、特にプログレッシブ分配器1の設置高さを低くするために、ピストンボア4は、少なくとも2つの領域24、26を含む、ハウジングを通って延びる貫通ボアとして構成され、第1の領域24は、計量ピストン4を受け入れるように構成され、第2の領域は、潤滑剤出口16として構成される。ここで、第2の領域26は、第1の領域24よりも大きな直径を有し、第1の領域24と第2の領域26、すなわちピストンボア4と潤滑剤出口16とは同心状に配置されている。
【0026】
潤滑剤が潤滑剤出口チャネル14から潤滑剤出口に案内されるために、バイパスボア18が各潤滑剤出口チャネル14に関連付けられる。バイパスボア18は、第1のセクション20と第2のセクション22とを備える。ここで、第1のセクション20は、ピストンボア4と平行に延在し、潤滑剤出口チャネル14に接続されている。第2のセクション22は、第1のセクション20を潤滑剤出口16に接続し、その結果、バイパスボア18によって、計量された潤滑剤を潤滑剤出口チャネル14から潤滑剤出口16に導くことが可能になる。
【0027】
潤滑剤は、潤滑剤入口ボア8を通って、第1の計量ピストン6-1の計量空間34-1に流れる。これにより、計量ピストン6-1が変位し、計量ピストン6-1の他方の計量空間34-2にある潤滑剤が計量空間34-2から押し出され、計量空間34-2に配置された接続ライン10(
図2)を介して、次の計量ピストン6の作業空間12に流れ、そこから潤滑剤出口チャネル14およびバイパスボア18を介して潤滑剤出口16に至る。
【0028】
特に、
図1から分かるように、潤滑剤出口チャネル14と、バイパスボア18の第1および第2のセクション20、22は、外部からハウジングブロック2内に導入することができる。その後、ボアチャネルを閉じるために、例えば、ボールシールまたはプラグなどの流体密封方法で閉じる閉鎖キャップ(図示せず)を設けて、ボアチャネルを流体密封方法で外側に閉じることができる。
【0029】
さらに、図示の例示的な実施形態では、ピストンボア4は、段付きボアとして構成され、第1の領域24は、第1の段によって形成され、第2の領域26は、第2の段によって形成される。第1の段と第2の段との間に、第1の領域24と第2の領域26との間の第3の直径を有する遷移領域25として機能する第3の段が形成され、第3の直径は、第1の直径よりも大きく、第2の直径よりも小さい。製造上の理由により、各段のつなぎ目が斜めに延びる場合がある。
【0030】
ハウジングブロック2に取り外し可能に接続可能なインサート30は、ピストンボア内に挿入可能であり、ピストンボア4の第1の領域24を液密に閉鎖するので、インサート30は、同時に潤滑剤出口16としても構成される。例えば、インサートは、潤滑剤が逃げることができる軸方向のボア46を含むことができる。ここでは、ピストンボア4の段付きボアがインサート30の受け部として構成されている。インサート30は、例えば、ピストンボアの閉鎖および潤滑剤出口接続として同時に機能することができる。さらに、図示の例示的な実施形態におけるインサート30は、ピストンボア4とともに計量空間34を画定するキャビティ32を含み、その結果、計量ピストン6がそのストロークに対して十分な空間を有することが保証される。さらに、インサート30をシールするためにOリング36が設けられており、このOリング36は、第1の領域24、特に計量空間34を液密にシールするためにピストンボア4の遷移領域25と相互作用する。ここで、遷移領域25が第2の領域26より小さい直径を有することが重要であり、第2の領域26は、ねじ山40の内径に対応する。このようにしてのみ、ねじ山40による損傷なしに挿入できるOリング36を選択することができる。さらに、その手前の斜面は、Oリング36の挿入斜面としても機能する。もちろんその他のシールも可能である。
【0031】
図示の実施形態では、インサート30の外側には、ピストンボアの第2の領域26に配置されたねじ山40と係合するねじ山が設けられている。代替的または追加的に、インサート30は、別の取り外し可能な取り付け方法を使用して第2の領域26に固定されるように構成することもできる。インサート30は、単一のインサート30が潤滑剤出口16とピストンボアの閉鎖部として機能し、それによって必要な閉鎖部の数が半分になるため、設置費用を削減することができる。さらに、ハウジングブロック2に対してインサート30をシールするために、外側に配置され、インサート30と相互作用するように構成されたシールエッジ42が設けられている。
【0032】
インサート30の交換に必要なスペースを減らすために、インサートは、六角形の凹部38を含み、これを使用してインサート30を第2の領域26のねじ山40にねじ込むことができる。インサート30の六角形の凹部38により、最初に周囲のインサートを取り外すことなく、他の出口インサートによってしっかりと囲まれたインサート30を交換することが可能である。これにより、潤滑剤出口インサート交換時の費用を削減することができる。
【0033】
インサート30は、潤滑剤ライン(図示せず)が接続可能であるように構成されることが好ましい。例えば、潤滑剤ラインは、スナップ留め具、ラッチ留め具、または切断スリーブ取付具などの解放可能な接続を介してインサートに取り付けることができる。インサート30は、リング空間として構成された開口部44をさらに含み、この開口部44は、バイパスボア18の第2のセクション22と相互作用するため、潤滑剤がバイパスボア18からインサート30の半径方向ボア46を通って潤滑剤出口16へ案内され得る。
【0034】
さらに、
図1に示すように、リング空間1とハウジング外側との間の潤滑剤出口チャネル14には、通気装置として構成された逆止弁28が設けられている。逆止弁28により、プログレッシブ分配器1から空気を除去することができ、完璧な機能と高い分配精度が保証される。潤滑剤出口チャネル14が作業空間12に直接接続されているため、逆止弁28を計量ピストン6に隣接して配置することができ、それにより計量ピストン6に隣接して通気することができ、通気時間を短縮することができる。逆止弁28の代わりに、または逆止弁28に加えて、ハウジング2に取り外し可能に接続可能であるが液密に封止できる要素、例えばネジを設けることができ、この要素は、例えば手動で通気のために解放することができる。
【0035】
全体として、提示されたプログレッシブ分配器1では、ハウジングブロックをよりコンパクトに設計することができ、特に設置高さを低く設計することができる。さらに、ピストンボア4と潤滑剤出口16のボアの組立を同時に行うことにより、製造コストを削減することができる。潤滑剤出口インサート30の取り付けに六角形の凹部を有するねじ接続38を使用することにより、隣接するインサートを取り外すことなくインサートを交換することがさらに可能になる。
【符号の説明】
【0036】
1 プログレッシブ分配器
2 ハウジングブロック
4 ピストンボア
6 計量ピストン
10 接続ボア
12 作業空間
14 潤滑剤出口チャネル
16 潤滑剤出口
18 バイパスボア
20 第1のセクション
22 第2のセクション
24 第1の領域
25 遷移領域
26 第2の領域
30 インサート
32 キャビティ
34 計量空間
36 Oリング
38 ねじ接続
40 ねじ山
42 シールエッジ
44 開口部
46 軸方向ボア
【国際調査報告】