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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】質量体変位発電機
(51)【国際特許分類】
   F03G 3/00 20060101AFI20240209BHJP
   F03G 3/08 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
F03G3/00 A
F03G3/08
F03G3/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549120
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 AU2022050110
(87)【国際公開番号】W WO2022174292
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】2021900441
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523309347
【氏名又は名称】マーデガン, ゲイリー
【氏名又は名称原語表記】MARDEGAN, Gary
【住所又は居所原語表記】134 Alma Road, St Kilda East, Victoria 3183 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーデガン, ゲイリー
(57)【要約】
タワー11と、落下及び持ち上げのためにタワー11によって吊られた第1の質量体12とを備える質量体変位発電機10。第1の質量体12は、第1の質量体12の上方でタワー11に固定された滑車50の第1の集合と、第1の質量体12に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るされる。ケーブル28は滑車50の第1及び第2の集合を通って延在し、ケーブル28の一端は、タワー11の1つ又は第1のマス12に固定される。ウィンチ38はバレル36を含み、その周りに、第1の質量体12が落下するにつれてケーブル28が巻き出て、第1の質量体12が持ち上がるにつれて巻き付く。ウィンチ38は、フライホイール60に駆動接続しており、その結果、第1の質量体12が落下するにつれて、ケーブル28がバレル36から巻き出て、バレル回転がフライホイール60を回転させるように駆動する。フライホイール60は、発電機62に駆動接続しており、フライホイール60の回転が、電気エネルギーを生成するために発電機60を駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量体変位発電機であって、
a.タワーと、
b.落下及び持ち上げのために前記タワーによって吊るされた第1の質量体であって、前記第1の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第1の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るされる、第1の質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記第1の質量体に固定される、ケーブルと、
c.前記第1の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第1の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含むウィンチと、を備え、
d.前記ウィンチは、フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記第1の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動し、
e.前記フライホイールは、発電機に駆動接続しており、その結果、前記フライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動する、質量体変位発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、第2の質量体であって、前記第2の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第2の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む第2の滑車構成によって前記タワーによって吊るされている、第2の質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記第2の質量体に固定される、ケーブルと、を含み、前記ケーブルは、前記第2の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第2の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含む第2のウィンチに延在し、前記ウィンチは、前記フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記第2の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動する、質量体変位発電機。
【請求項3】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、第2の質量体であって、前記第2の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第2の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む第2の滑車構成によって前記タワーによって吊るされている、第2の質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記第2の質量体に固定される、ケーブルと、を含み、前記ケーブルは、前記第2の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第2の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含む第2のウィンチに延在し、前記ウィンチは、第2のフライホイールに駆動接続しており、その結果、前記第2の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記第2のフライホイールを回転するように駆動し、前記第2のフライホイールは、発電機に駆動接続しており、その結果、前記第2のフライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動する、質量体変位発電機。
【請求項4】
請求項3に記載の質量体変位発電機であって、第2のフライホイールが、第2の発電機を駆動する、質量体変位発電機。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の質量体変位発電機であって、前記第2の質量体は、前記第1の質量体と同じタワーに支持される、質量体変位発電機。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の質量体変位発電機であって、前記第2の質量体は、第2のタワーに支持される、質量体変位発電機。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記第2の質量体は、前記第1の質量体と同じ垂直移動を有する、質量体変位発電機。
【請求項8】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、1つ以上の更なる質量体であって、前記1つ以上の更なる質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記1つ以上の更なる質量体に固定された滑車の第2の集合とをそれぞれが含む1つ以上の更なる滑車構成によって前記タワーによって吊るされている、1つ以上の更なる質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するそれぞれのケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記1つ以上の更なる質量体に固定される、それぞれのケーブルと、を含み、前記それぞれのケーブルは、前記1つ以上の更なる質量体が落下するにつれて前記1つ以上の更なるケーブルが巻き出て、前記1つ以上の更なる質量体が持ち上がるにつれて前記1つ以上の更なるケーブルが巻き付くバレルを含むそれぞれのウィンチに延在し、前記ウィンチは、前記フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記1つ以上の更なる質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動する、質量体変位発電機。
【請求項9】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、第1及び第2のフライホイールを含み、前記第1のフライホイールは、前記第1の質量体が落下運動を開始している場合、及び前記第1の質量体が所定の落下速度に達した場合に、発電の初期開始中に前記ウィンチに接続し、前記第2のフライホイールは、前記第1の質量体の前記落下速度を遅く又は低減するように前記ウィンチに接続する、質量体変位発電機。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記ウィンチ又は各ウィンチは、前記ウィンチに関連付けられた前記質量体を持ち上げるために、前記ウィンチに関連付けられた前記ケーブルに巻き付くように駆動可能である、質量体変位発電機。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記タワーは、約12階又は約37mの高さを有する、質量体変位発電機。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記第1の質量体は、約12m×7.5m×10mの寸法及び約2200tの重量を有する、質量体変位発電機。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記第1の質量体は、約3時間にわたって約1m/sの速度で落下するように構成される、質量体変位発電機。
【請求項14】
電気を生成するシステムであって、
a.タワーにおいて第1の質量体を、前記第1の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第1の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るすことと、滑車の前記第1及び第2の集合を通ってケーブルを延在することと、前記ケーブルの一端を、前記タワーのうちの1つ又は前記第1の質量体に固定することと、
b.前記ケーブルの自由端を、前記第1の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第1の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含むウィンチに延在することと、
c.フライホイールを駆動するために前記ウィンチを前記フライホイールに接続し、その結果、前記第1の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルがバレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動することと、
d.前記フライホイールを発電機に接続し、その結果、前記フライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動することと、を有するシステム。
【請求項15】
請求項14に記載の電気を生成するシステムであって、前記質量体の重量を増加又は減少させることによって、滑車の前記第1及び第2の集合の滑車の数を増加又は減少させることによって、又は前記ウィンチと前記フライホイールとの間、及び/又は前記フライホイールと前記発電機との間の歯車接続を変更することによって、生成される前記電気の出力を変える、システム。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の電気を生成するシステムであって、前記第1の質量体の落下運動の終端は、前記第1の質量体に関連付けられた前記ケーブルが巻き付く前記バレルの回転を制御することによって制御される、システム。
【請求項17】
請求項14乃至16のいずれか1項に記載の電気を生成するシステムであって、前記第1の質量体が最大距離を落下することを可能にし、その後、第2の質量体が落下し始めること可能にすることを含む、システム。
【請求項18】
請求項14乃至16のいずれか1項に記載の電気を生成するシステムであって、前記第1の質量体が所定の距離を落下することを可能にし、前記第1の質量体が最大距離を落下する前に、第2の質量体が落下し始めること可能にすることを含む、システム。
【請求項19】
請求項14乃至16のいずれか1項に記載の電気を生成するシステムであって、前記質量体は、落下中にパルス化される、システム。
【請求項20】
請求項19に記載の電気を生成するシステムであって、前記質量体は、前記質量体の移動にブレーキをかけるために、発電機を前記ウィンチの前記バレルに直接、又は前記ウィンチと前記フライホイールとの間の前記駆動接続において接続することによって、パルス化される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の相互参照
本出願は、2021年2月19日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021900441号の優先権を主張し、その内容は、この参照により本明細書に組み込まれるとみなされるべきである。
【0002】
技術分野
本発明は電気エネルギー生成及びエネルギー貯蔵の分野に関し、特に、質量体変位によって電気を生成するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の本発明の背景の議論は、本発明の理解を容易にすることを意図している。しかし、議論は、議論の任意の側面が本出願の優先日における共通の一般的知識の一部であったことの承認又は了承ではないことを理解されたい。
【0004】
石炭、ガス又は原子燃料を使用する発電所において、又は流水を利用して発電タービンを駆動する水力システムにおいて電気が生成されることができ、より最近において、ソーラー・パワー及び風力が大規模発電設備及び小規模発電設備の両方において使用されている。ソーラー・パワーによる発電は、太陽光発電(PV)モジュール若しくはセルによって、又は後にタービンを駆動できる作動流体を蒸発させるために太陽光線を焦点に集中させることによって行われうる。波力は、電気を生成するために使用されうるエネルギーの別の形態である。
【0005】
上記の形態の発電のうち、いくつかは化石燃料(石炭及びガス)に基づくものであり、他のものは再生可能燃料(水、太陽、風及び波)に基づくものである。核燃料は通常、化石燃料とはみなされないが、再生不可能な燃料であり、核燃料の使用から生じる廃棄物は廃棄することが困難かつ危険である。
【0006】
質量体変位は、発電に使用されうる別の動力源である。重りを下げ、落下する重りの運動量を利用するための重力の使用は、発電のためにタービン又はロータを回転させるために使用されうる。
【0007】
質量体変位システムは、特に石炭、ガス及び原子力発電所と比較して、環境排出利益に関して、本書で前述した既存のシステムのいくつかを上回る発電における利点を有する。質量体変位システムはまた、例えば水力発電と比較して環境に対して、又は水力発電、風力発電及び波力発電で生じるような環境の美観に対して、低減された損傷を与えうる。
【0008】
質量体変位システムのさらなる利点はそれらが比較的単純であり、よって、動作するのに信頼性があることである。さらに、それらは、比較的コンパクトであり、大規模動作又は小規模動作のいずれにも適合するようにサイズ決定されうる。
【0009】
質量体変位発電の例は、PCT国際出願PCT/EP2020/068043号(WO2020/260596)に示されている。この例示的な従来技術のPCT出願では、エネルギー貯蔵システムが開示されており、それによって、ウィンチからのケーブルによって重りが吊るされ、電力が必要な場合に、発電タービンを駆動するために重力で重りを下げることができ、電力が必要でない場合に、重りは後で再使用するために持ち上げられうる。システムの利点は、グリッド内の余剰電力が利用可能である場合に、重りを持ち上げることができ、一方、グリッド内に供給可能なより多くの電力が必要とされる場合に、重りは、グリッドにより多くの電力を追加するように、重力で下がることが可能にされることであるように思われる。
【0010】
国際出願第PCT/EP2020/068043号は、地面ベースのシャフト内で重りが下降及び上昇させられるように動作されることが意図されている。したがって、重りを下降及び上昇させるウィンチは、地面レベルに配置され、ウェイトはウィンチの下で地面内に延在するシャフト内で下降及び上昇させられる。シャフトは、地面に穿孔される垂直シャフトでありうる。この構成は、質量体変位発電機が配置されるエリアに対してなされる審美的外乱を最小限に抑えるため、有利である。しかし、システムが有効であるために、シャフトが約20~30メートルの深さまで穿孔される必要があり、このことは最初にシャフトを穿孔し、シャフトの軸を変位させることができるためにシャフト内の重りの移動を妨げうる通常の地面の動きに対してシャフトを維持するために多大な労力を必要とする。
【0011】
本発明はPCT出願第PCT/EP2020/068043号と同じ分野にあるが、第PCT/EP2020/068043号によって提供されるものとは異なる発電の解決策を提供することを意図されている質量体変位発電機に関する。
【発明の概要】
【0012】
本発明によれば、質量体変位発電機であって、
a.タワーと、
b.落下及び持ち上げのために前記タワーによって吊るされた質量体であって、前記質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るされる、質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記質量体に固定される、ケーブルと、
c.前記質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含むウィンチと、を備え、
d.前記ウィンチは、フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動し、
e.前記フライホイールは、発電機に駆動接続しており、その結果、前記フライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動する、質量体変位発電機が提供される。
【0013】
また、本発明は、電気を生成するシステムであって、
a.タワーにおいて第1の質量体を、前記第1の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第1の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るすことと、滑車の前記第1及び第2の集合を通ってケーブルを延在することと、前記ケーブルの一端を、前記タワーのうちの1つ又は前記第1の質量体に固定することと、
b.前記ケーブルの自由端を、前記第1の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第1の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含むウィンチに延在することと、
c.フライホイールを駆動するために前記ウィンチを前記フライホイールに接続し、その結果、前記第1の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルがバレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動することと、
d.前記フライホイールを発電機に接続し、その結果、前記フライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動することと、を有するシステムを提供する。
【0014】
本発明による質量体変位発電機は、発電機を駆動するフライホイールを駆動することによって、発電するために落下質量体を利用する。さらに、質量体は、歯車として作用する滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルによって落下し、その結果、ケーブルが通って延在する滑車の個数を変更することによって、質量体がより速く又はより遅く落下でき、それによってフライホイールの回転速度を増加又は減少させ、よって、生成される電気の量を増加又は減少させることができる。フライホイールは、一貫したエネルギー生成のために発電機への回転エネルギーの一定の供給を容易にするので、本発明の質量体変位発電機の重要な構成要素を形成する。本発明によって企図される方法でのフライホイールの採用は、先行技術の一部であることが出願人に知られていない。
【0015】
本発明による発電機の出力は、質量体の重量を増加又は減少させることによって、滑車の第1及び第2の集合の滑車の個数を増加又は減少させることによって、又はウィンチとフライホイールとの間及び/又はフライホイールと発電機との間の歯車接続を変更することによって、変えられうる。例えば、質量体の落下を遅くすることは、発電の時間を延ばすが、電気出力を減少させる。質量体が落下する速度を遅くするか又は増加させることは、上述の変形のいずれかによって実現され得る。
【0016】
質量体が落下する速度は、質量体の重量を増加させることによって、電気出力を減少させることなく、遅くされうる。
【0017】
本発明による発電機の出力は、第2の質量体の上方でタワーに固定された滑車の第1の集合と、第2の質量体に固定された滑車の第2の集合と、滑車の第1及び第2の集合を通って延在し、ケーブルの一端がタワー又は質量体の1つに固定されているケーブルとを備える第2の滑車構成によってタワーによって吊られた第2の質量体の追加によって変えられうる。ケーブルは第1の質量体と同じように第2のウィンチまで延在でき、ウィンチは第1の質量体と同じフライホイールに接続でき、又は第2のフライホイールに接続できる。第2のフライホイールは、第2の発電機を駆動できる。
【0018】
第2の質量体は、第1の質量体と同じタワーで支持されることができ、本発明のいくつかの構成において、第2の質量体は、第1の質量体と同じ垂直方向の移動又は降下を有し、その結果、第2の質量体は、発電について第1の質量体と同じエネルギーを生成するように動作可能である。第2の質量体は、本発明による発電機の容量を2倍にするために、第1の質量体を単純に複製できる。
【0019】
第3及び第4の質量体が発電機に追加されることができ、上述のように第2の質量体に従って動作できる。実際、発電機の所望の発電容量に必要とされるように任意の数の質量体が提供されうる。
【0020】
発電機の各質量体は、単一のフライホイール又は相異なるフライホイールを駆動するための落下モードで使用されうる。単一のフライホイールは、エネルギーをシステムに供給する落下質量体の個数によって、1つのシステムの容量が変化させることが可能になるため、好ましい。質量体の落下運動の終端は、質量体に関連付けられたケーブルが巻き付くバレルの回転を制御することによって行われうる。バレル回転を制動することによって、又はバレル回転を終了することによって、発電機への入力が低減又は終了される。
【0021】
本発明による発電機は、単一のフライホイールで動作でき、又は2つ以上のフライホイールが含まれうる。これらのフライホイールは、順々に接続するように構成されることができ、その結果、質量体が落下運動を開始するとき、及び質量体が所定の落下速度に達した場合に、発電の初期開始中に第1のフライホイールがウィンチに接続されることができ、第2のフライホイールは、落下速度を遅く又は低減するために接続されうる。クラッチ構成が、第2及び追加のフライホイールの接続及び切断を制御するために採用されうる。
【0022】
滑車の第1及び第2の集合を通って延在し、タワー又は第1の質量体に取り付けられるケーブルはまた、第2の質量体及び提供される追加の質量体に関連付けられた滑車の第1及び第2の集合を通って延在できる。これは、質量体を連結し、それらは一緒に落下するように構成されうる。この構成において、ケーブルは、第1及び第2の質量体、並びに提供されるならば追加の質量体の滑車の第1及び第2の集合を通って延在し、タワー又は第1又は第2又は追加の質量体のうちの1つに取り付けられた1つの端部を有し、ケーブルはウィンチまで延在する。
【0023】
滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルは、相当の長さであることが必要である。滑車の各集合は、120個の滑車、又は240個、又は360個、又は480個の滑車を有しうることが想定される。さらに、質量体の落下距離は、約21m、又は19m、又は16m、又は14mでありうる。これらの相異なる構成は、少なくとも約2600m又は4500m、又は5800m又は6500mのケーブル長を必要とする。ケーブルの長さは、ウィンチのバレルから、質量体の上方でタワーに固定された滑車の第1の集合まで、そして滑車の第1及び第2の集合の滑車のそれぞれを通って延在するのに十分であることが必要である。質量体が最低点に落下した場合に、滑車の第1の集合と第2の集合との間の距離は最大になり、ケーブルは、滑車の第1及び第2の集合における滑車の個数と同じ数を最大距離に乗じただけ延ばす必要があることに留意されたい。よって、滑車の各集合が120個の滑車を有するならば、ケーブルは、滑車の第1の集合の滑車と、滑車の第2の集合の滑車との間を接続するために、120回昇降する。よって、滑車の第1の集合と第2の集合との間に延在するケーブルの120本のストランドが存在し、例えば、質量体の落下距離が約21mであるならば、ケーブルの長さは、120m×21=2520mを超える必要がある。ケーブルは滑車の周りに延在する必要があり、ケーブルはウィンチまで延在する必要があるため、ケーブルの長さはこれよりも長くなる。
【0024】
1つ以上の質量体の落下距離は、タワーの高さから1つ以上の質量体の高さを引いたものでありうる。25mのタワーと2.6mの高さの質量体とを組み合わせることで、21.4mの落下が可能になりうる。さらなる実施例は、以下の図面の議論の後に与えられる。
【0025】
本発明による発電機は、数時間にわたって信頼性のある発電を提供することを意図される。当初の計算において、約12階又は約37mの高さのタワーが、12m×7.5m×10mの寸法及び約2200tの重量を有するコンクリート質量体ブロックと使用されうることが示唆されている。ウィンチのバレルは、約2.4mの直径及び約20mの軸方向長さを有しうる。ケーブルは、約12kmの長さを有しうる。そのような構成において、質量体ブロックは、約3時間にわたって約2mm/sの速度で落下しうる。
【0026】
上記の構成において、フライホイールは、約800トンの重量及び約20mの直径×2.4幅を有しうる。
【0027】
その又は各質量体が最大距離を落下すると、フライホイールは、駆動入力がなくなるにつれて遅くなる。本発明のいくつかの形式において、1つの質量体が最大距離を落下するとすぐに、別の質量体が落下を開始することができ、又はより可能性が高い場合に、第1の質量体がその落下の底部に達する前に、新たな質量体の落下の開始に重複が存在しうる。
【0028】
質量体の落下はパルス化されることができ、その結果、質量体は、よりゆっくりと落下するが、フライホイールの連続回転による発電を中断することはない。パルス化が十分に短いならば、フライホイールの回転は中断されない。質量体のパルス化は任意の適切な方法で実現されることができ、本発明のいくつかの形式において、発電機は、質量体の移動にブレーキをかけるために、ウィンチのバレルに直接、又はウィンチとフライホイールとの間の駆動接続に取り付けられてもよい。発電機は、クラッチ装置によってなどして、バレル又は駆動接続との接続と切断との間で切り換えられうる。接続時間は例えば3~5秒間であってもよく、その後、同様の期間、切断されてもよい。発電機は、質量体を減速させるか又はそれを完全に停止させるように質量体の移動を制動できる。発電機は、フライホイールに駆動接続している発電機であってもよく、又は、フライホイールに駆動接続している発電機に対する第2又は追加の発電機であってもよい。
【0029】
本発明による質量体変位発電機は、複数のウィンチを含みうる。例えば、本発明による発電機は2つの質量体重りを含むことができ、ケーブルは、各質量体重りから別個のウィンチまで延在できる。ウィンチのペアは、単一のフライホイール又はフライホイールのペアを駆動できる。本発明による構成において、4つの質量体重りが設けられ、ケーブルが各質量体重りから別個のウィンチまで延在し、その結果、4つのウィンチが設けられる。4つのウィンチは、単一のフライホイール又はフライホイールのペア又は4つのフライホイールを駆動できる。
【0030】
本発明による質量体変位発電機は発電機の設置が大きいにもかかわらず、簡便にコンパクトな構成で構築されることができ、又はコンパクトな設置面積を有しうる。しかし、設置が主に高さを必要とすることを考慮すると、設置面積は比較的小さくなりうる。よって、設置は有利には相当な土地面積を必要とせずに住宅エリアで行われることができ、中層又は高層住宅又は商業ビルの建設エリアに適しうる。
【0031】
これに代えて、本発明による質量体変位発電機は例えば、農村環境又は採掘現場での使用のために設置されることができ、それによって、利用可能なエネルギー源の混合物に追加される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明がより完全に理解されうるように、いくつかの実施形態がここで図面を参照して説明される。
【0033】
図1】本発明の1つの実施形態に係る質量体変位発電機の斜視図である。
【0034】
図2図1の質量体変位発電機の反対側からの斜視図である。
【0035】
図3図2の質量体変位発電機の同じ図であるが、ウィンチのバレルを示すために、1つのウィンチのハウジングの一部が切り取られて示されている。
【0036】
図4図1の質量体変位発電機の上部の詳細図である。
【0037】
図5図1の質量体変位発電機の正面図である。
【0038】
図6図1の質量体変位発電機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る質量体変位発電機10を説明する。
【0040】
発電機10は、タワー11と、タワー11内に吊るされた第1~第4の質量体12、14、16、18とを含む。質量体12~18がそれぞれ断面において正方形で、長さ方向で長方形であり、タワー10がこれらを並べて又は互いに隣接して支持することが図1から並びに図2及び図3から見て取れる。
【0041】
質量体12~18はそれぞれ、上側タワー・プレート20、22、24及び26の内側に固定された滑車の第1の集合と、質量体12~18の上面に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって、タワー11内に吊るされる。ケーブル28、30、32及び34は、滑車の第1及び第2の集合を通って延在し、各ケーブルの一端はタワー又は質量体の一方に固定され、他端は下向きに及びバレル36(図3参照)の周りに延在し、これらのうちの1つのみが図3に示されるが、別個のウィンチ38、40、42及び44のそれぞれの一部を形成する。
【0042】
図3に示されるように、ケーブル28は、質量体12の上下の移動方向に依存して、ウィンチ38のバレル36に巻き付き、巻き出る。図において、質量体12及び他の質量体14~18はすべて、タワー11のプレート20~26と、タワー11が延在する元のベース46との間のそれらの垂直移動の約3分の1で示されている。本発明のいくつかの形態において、質量体12~18はそれぞれ、約3時間にわたって約2mm/sの速度で落下する。後続する例は、これがどのように行われうるかを示す。質量体12~18はすべて同じ速度で又は異なる速度で一緒に落下してもよく、又は質量体12~18の一部のみが落下してもよく、残りの質量体は静止したままであるか、又は質量体のうちの1つ以上がより低い位置から持ち上げられる。静止している質量体は、質量体の他のものが、例えばそれらが落下しうる最低レベルに達すると、落下を開始してもよい。
【0043】
ケーブル28~34は、図4に示されるように、関連付けられたウィンチ38~44内のバレルから上方に延在し、上側滑車48を通って90度に延在する。図4は、バレル36から延在するケーブル28の上端を示し、それが上側滑車48を通って延在することを示す。ケーブル28は、滑車48から、上側タワー・プレート20の内側に取り付けられた滑車50の第1の集合内に延在する。ケーブル28は、滑車50の第1の集合内の第1の滑車を通って延在し、その後、質量体12の上面に取り付けられた滑車の第2の集合(図示せず)の滑車に下方に延在する。その後、ケーブル28は、滑車50の第1の集合の別の滑車に上向きに戻り、その後、滑車の第2の集合の滑車に下向きに戻る。よって、ケーブル28は、滑車の第1及び第2の集合内の各滑車を、それがこれらの滑車のそれぞれを通過し、その後、それがタワー11のうちの1つ又は質量体12に固定されうるまで、縫うようにして進む。本発明のいくつかの形態において、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれに約480個の滑車(列ごとに24個の滑車×20行)があるが、より多い又はより少ない数が存在してもよい。
【0044】
よって、ケーブル28は、かなりの長さである必要がある。例えば、質量体12が約26mの距離を落下することができるならば、ケーブルの長さは、滑車の第1の集合と第2の集合との間にちょうど及ぶために、約26×480=12,480mの部分を含む必要がある。1.0m/sの落下速度で、質量体12が落下するのに要する時間は約208分である。しかし、ケーブルはまた、滑車ホイールの周りに、バレルから滑車の第1の集合まで延在する必要がある。そこで、ケーブル28の長さは、12,480mよりも長くなる。タワーの高さがより大きい落下距離を可能にする場合、又は滑車の個数が増加する場合に、ケーブルの長さはより大きくなる。
【0045】
滑車が重りを持ち上げ、下げるように動作する方法は、周知である。本発明について、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおける滑車の個数を増やすことは、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおける滑車の数が減少する場合よりも質量体12がゆっくりと落下することを意味する。よって、質量体12がタワー11のプレート20に隣接してベース46まで落下する速度を変える1つの方法は、第1及び第2の集合の滑車のそれぞれにおける滑車の個数を増やすことである。
【0046】
図4は、滑車50の第1の集合の滑車を説明するに過ぎないが、ケーブル28が延在し、縫うようにして進むために、同様の滑車構成が質量体12の上面に取り付けられていることを理解されたい。
【0047】
先に示したように、質量体12~18が落下すると、それぞれのケーブル28~34は、それぞれのウィンチ38~44内のバレル36から巻き出る。各バレルはシャフトに接続し、シャフト52、54及び56が図で視認可能である。ウィンチ44(図5参照)に関連付けられたシャフトは図で視認可能でない。
【0048】
シャフト52~56のそれぞれは、フライホイール60に接続する駆動ホイール58まで延在し、これは次いで発電機に接続され、その結果、駆動ホイール58による駆動下のフライホイール60の回転は、電気を発生するように発電機62内のロータを回転する。駆動ホイール58とフライホイール60との実際の係合は、図に示される摩擦係合ではなく歯係合によるものであってもよい。もちろん、駆動ホイール58とフライホイール60との間で駆動を伝達するために、異なる形態の歯車接続よる、又はベルト若しくはチェーン駆動によるような他の構成が採用されうる。本発明は質量体12~18のうちの1つ以上が他の質量体とは独立して落下することができることを意図しているため、単一の駆動ホイール58がフライホイール60を回転するように駆動できるが、駆動ホイール58のうちの2つ以上がフライホイール60を駆動する場合よりも低速であることを理解されたい。
【0049】
さらに、発電機10は例えば、フライホイールのペア、又は4つのフライホイールを含むように変更されうる。フライホイールのペアが設けられるならば、ウィンチ38及び40から延在するような駆動ホイール58のうちの2つは第1のフライホイールを駆動でき、ウィンチ42及び44から延在する駆動ホイール58は第2のフライホイールを駆動できる。
【0050】
さらに、フライホイール60と発電機62との実際の係合は任意の適切な形態であってもよく、例えば、フライホイール60は回転するようにシャフトを駆動でき、当該シャフトは、発電機を駆動するために発電機62のシャフトと歯車接続しうる。フライホイール60と発電機62との間のシャフト接続は図に示されていないが、当業者によって容易に想到されよう。
【0051】
発電機62は、質量体変位発電機10における唯一の発電ポイントであってもよく、又は追加の発電機が設けられてもよい。発電機はウィンチ38~44のバレル36に直接取り付けられてもよいし、質量体12~18の移動にブレーキを印加するように、ウィンチ38~44とフライホイール60との間の駆動接続に取り付けられてもよい。これらの発電機は電力要件が低い場合に低減された電力を提供してもよく、質量体12~18のうちの4つすべてによって発電機62を駆動する代わりに、質量体12~18のうちの1つ、2つ又は3つによって電力が生成されることを可能にしてもよい。
【0052】
本書で前述したように、これらの追加の発電機は、質量体12~18の移動を制動し、それらを減速させるか又はそれらを完全に停止させるように、質量体12~18の降下をパルス化するために使用されうる。これにより、質量体12~18は、フライホイールがまだ駆動されているならば、フライホイールの連続回転による発電を中断することなく、よりゆっくりと落下することができる。パルス化が十分に短いならば、フライホイールの回転は中断されない。
【0053】
質量体12~18は、オフピーク電力使用時、又はグリッド内に超過電力がある場合に持ち上げられうる。これは、発電機10が夜間に使用される状態になっているように質量体12~18が持ち上げられうるよう日中のピーク太陽発電時、又は日中若しくは夜間の任意の時刻に発生する高風イベント中でありうる。発電機10は光又は停滞した風の状態に起因して発電が低下した場合に、又は太陽光が弱い曇天日の間、又は太陽光が利用できない夜間に、風力発電と協力して使用されうる。
【0054】
よって、発電機10は、一貫したベース負荷を供給するために、又は必要な場合に、又は他の1つ以上の形態の発電が枯渇した場合にベース負荷に追加するために、他の形態の発電と協力して稼働しうる。これに代えて、必要な場合に質量体12~18を持ち上げるために電源が利用可能である限り、発電機10は発電の最初の形態でありうる。また、発電機10は、バッテリー貯蔵設備内のバッテリーを再充電するために使用されうる。
【0055】
発電機10は、構造が比較的簡単であり、よって、時間がたってもロバストで信頼性の高い性能を提供することが期待される。また、発電機10の環境上の利点は、化石燃料を使用しない点で有利である。これは、質量体12~18が太陽光発電、水力発電、風力発電、又は波力発電の使用によって持ち上げられうる特別な利点である。
【0056】

以下の例は、質量体がタワーの頂部からベースまで利用可能な落下距離を移動するのにかかる時間に滑車の第1及び第2の集合内の滑車の個数がどのように影響するかを示す。例は、異なる落下距離、異なる重量を有する質量体、及び異なる長さのケーブルを有するタワーを使用する発電機構造を示す。
【0057】
例はすべて、1.0m/sの質量体降下速度を使用する。この落下速度は、システム内の摩擦抵抗及び発電機抵抗によって決定される。異なる落下速度が選択されてもよく、質量体の落下時間を変更する。
【0058】
例1
21.4mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が120である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約21.4×120=2568mである。降下速度が1.0m/sに設定されると、質量体が降下するのにかかる時間は42.8分である。
【0059】
例2
18.8mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が240である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約18.8×240=4512mである。降下速度が1.0m/sに設定されると、質量体が降下するのにかかる時間は75.2分である。
【0060】
例3
16.2mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が360である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約16.2×360=5832mである。降下速度が1.0m/sに設定されると、質量体が降下するのにかかる時間は97.2分である。
【0061】
例4
13.6mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が480である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約13.6×480=6528mである。降下速度が1.0m/sに設定されると、質量体が降下するのにかかる時間は108.8分である。
【0062】
質量体は重量を変えることができ、例は、550t、1100t、1650t及び2200tを含む。滑車の個数が増加するにつれて、摩擦抵抗の増加を克服するために、1つ以上の質量体の重量を増加させることが好ましい。
【0063】
上記の例がより高いタワーに適用されるならば、質量体の落下時間は増加する。よって、より大きな落下距離を提供するタワーが採用されるならば、上記の例で与えられた落下時間に対する以下の変更が適用される。
【0064】
例5
33.4mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が120である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約33.4×120=4008mである。1.0m/sの落下速度で、質量体が落下するのに要する時間は66分48秒である。
【0065】
例6
30.8mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が240である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約30.8×240=7392mである。1.0m/sの落下速度で、質量体が落下するのに要する時間は123分12秒である。
【0066】
例7
28.2mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が360である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約28.2×360=10152mである。1.0m/sの落下速度で、質量体が落下するのに要する時間は169分12秒である。
【0067】
例8
25.6mの利用可能な落下距離に基づいて、滑車の第1及び第2の集合のそれぞれにおいて滑車の個数が480である場合に、滑車の第1及び第2の集合を通って延在するケーブルの全長は、約25.6×480=12288mである。1.0m/sの落下速度で、質量体が落下するのに要する時間は204分48秒である。
【0068】
4つの質量体を有する質量体変位発電機について、例8において、降下時間は4×204.8分=819.2分=13.65時間である。
【0069】
これらの例は、本発明による質量体変位発電機が長期間にわたって一定の割合の発電を生成することができ、よって、太陽光発電、風力発電、又は他の再生可能な形態の発電を通じて代替的な余剰発電の期間中に質量体が持ち上げられるならば、大部分が再生可能でありうる、信頼性のある代替的又は追加的な形態の発電を提供できることを示す。
【0070】
有利には、本発明による質量体変位発電機は、ウィンチと、フライホイールと、発電機とを備える伝送トレインを通じて、落下質量体のエネルギーを利用する。発電機は、直接使用するため、又は電力グリッドに追加するため、又はバッテリー貯蔵のために、フライホイールの回転エネルギーを電気に変換する。フライホイールの介在は、発電機への回転エネルギーの一定の供給を維持するために本発明にとって重要である。本発明によって企図される方法でのフライホイールの採用は、先行技術の一部であることが出願人に知られていない。
【0071】
「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「備えられた(comprised)」又は「備えている(comprising)」という用語のいずれか又はすべてが本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合に、それらは述べられた特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を排除しないことが意図される。
【0072】
当業者は本書に記載された発明に対し、特に記載されたもの以外の変形及び変更が可能でということを理解するだろう。本発明は、本発明の精神及び範囲内に入るすべてのそのような変形及び修正を含むことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量体変位発電機であって、
a.タワーと、
b.落下及び持ち上げのために前記タワーによって吊るされた第1の質量体であって、前記第1の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第1の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るされる、第1の質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記第1の質量体に固定される、ケーブルと、
c.前記第1の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第1の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含むウィンチと、を備え、
d.前記ウィンチは、フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記第1の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動し、
e.前記フライホイールは、発電機に駆動接続しており、その結果、前記フライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動する、質量体変位発電機。
【請求項2】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、第2の質量体であって、前記第2の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第2の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む第2の滑車構成によって前記タワーによって吊るされている、第2の質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記第2の質量体に固定される、ケーブルと、を含み、前記ケーブルは、前記第2の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第2の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含む第2のウィンチに延在し、前記ウィンチは、前記フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記第2の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動する、質量体変位発電機。
【請求項3】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、第2の質量体であって、前記第2の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第2の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む第2の滑車構成によって前記タワーによって吊るされている、第2の質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記第2の質量体に固定される、ケーブルと、を含み、前記ケーブルは、前記第2の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第2の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含む第2のウィンチに延在し、前記ウィンチは、第2のフライホイールに駆動接続しており、その結果、前記第2の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記第2のフライホイールを回転するように駆動し、前記第2のフライホイールは、発電機に駆動接続しており、その結果、前記第2のフライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動する、質量体変位発電機。
【請求項4】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、1つ以上の更なる質量体であって、前記1つ以上の更なる質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記1つ以上の更なる質量体に固定された滑車の第2の集合とをそれぞれが含む1つ以上の更なる滑車構成によって前記タワーによって吊るされている、1つ以上の更なる質量体と、滑車の前記第1及び第2の集合を通って延在するそれぞれのケーブルであって、前記ケーブルの一端は、前記タワーのうちの1つ又は前記1つ以上の更なる質量体に固定される、それぞれのケーブルと、を含み、前記それぞれのケーブルは、前記1つ以上の更なる質量体が落下するにつれて前記1つ以上の更なるケーブルが巻き出て、前記1つ以上の更なる質量体が持ち上がるにつれて前記1つ以上の更なるケーブルが巻き付くバレルを含むそれぞれのウィンチに延在し、前記ウィンチは、前記フライホイールに駆動接続しており、その結果、前記1つ以上の更なる質量体が落下するにつれて、前記ケーブルが前記バレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動する、質量体変位発電機。
【請求項5】
請求項1に記載の質量体変位発電機であって、第1及び第2のフライホイールを含み、前記第1のフライホイールは、前記第1の質量体が落下運動を開始している場合、及び前記第1の質量体が所定の落下速度に達した場合に、発電の初期開始中に前記ウィンチに接続し、前記第2のフライホイールは、前記第1の質量体の前記落下速度を遅く又は低減するように前記ウィンチに接続する、質量体変位発電機。
【請求項6】
請求項1乃至の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記ウィンチ又は各ウィンチは、前記ウィンチに関連付けられた前記質量体を持ち上げるために、前記ウィンチに関連付けられた前記ケーブルに巻き付くように駆動可能である、質量体変位発電機。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記タワーは、約12階又は約37mの高さを有する、質量体変位発電機。
【請求項8】
請求項1乃至の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記第1の質量体は、約12m×7.5m×10mの寸法及び約2200tの重量を有する、質量体変位発電機。
【請求項9】
請求項1乃至の何れか1項に記載の質量体変位発電機であって、前記第1の質量体は、約3時間にわたって約1m/sの速度で落下するように構成される、質量体変位発電機。
【請求項10】
電気を生成するシステムであって、
a.タワーにおいて第1の質量体を、前記第1の質量体の上方で前記タワーに固定された滑車の第1の集合と、前記第1の質量体に固定された滑車の第2の集合とを含む滑車構成によって吊るすことと、滑車の前記第1及び第2の集合を通ってケーブルを延在することと、前記ケーブルの一端を、前記タワーのうちの1つ又は前記第1の質量体に固定することと、
b.前記ケーブルの自由端を、前記第1の質量体が落下するにつれて前記ケーブルが巻き出て、前記第1の質量体が持ち上がるにつれて前記ケーブルが巻き付くバレルを含むウィンチに延在することと、
c.フライホイールを駆動するために前記ウィンチを前記フライホイールに接続し、その結果、前記第1の質量体が落下するにつれて、前記ケーブルがバレルから巻き出て、バレル回転が前記フライホイールを回転するように駆動することと、
d.前記フライホイールを発電機に接続し、その結果、前記フライホイールの回転が、電気エネルギーを生成するために前記発電機を駆動することと、を有するシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の電気を生成するシステムであって、前記質量体の重量を増加又は減少させることによって、滑車の前記第1及び第2の集合の滑車の数を増加又は減少させることによって、又は前記ウィンチと前記フライホイールとの間、及び/又は前記フライホイールと前記発電機との間の歯車接続を変更することによって、生成される前記電気の出力を変える、システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の電気を生成するシステムであって、前記第1の質量体の落下運動の終端は、前記第1の質量体に関連付けられた前記ケーブルが巻き付く前記バレルの回転を制御することによって制御される、システム。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項に記載の電気を生成するシステムであって、前記第1の質量体が最大距離を落下することを可能にし、その後、第2の質量体が落下し始めること可能にすること、又は前記第1の質量体が所定の距離を落下することを可能にし、前記第1の質量体が最大距離を落下する前に、第2の質量体が落下し始めること可能にすることを含む、システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電気を生成するシステムであって、前記質量体は、落下中にパルス化される、システム。
【請求項15】
請求項14に記載の電気を生成するシステムであって、前記質量体は、前記質量体の移動にブレーキをかけるために、発電機を前記ウィンチの前記バレルに直接、又は前記ウィンチと前記フライホイールとの間の前記駆動接続において接続することによって、パルス化される、システム。
【国際調査報告】