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特表2024-507365航空宇宙ハイブリッドシステム及びその最適化した構成要素の柔軟なアーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】航空宇宙ハイブリッドシステム及びその最適化した構成要素の柔軟なアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/33 20240101AFI20240209BHJP
   B64D 27/357 20240101ALI20240209BHJP
【FI】
B64D27/33
B64D27/357
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550176
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 US2022017383
(87)【国際公開番号】W WO2022187032
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/280,543
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/163,165
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/151,760
(32)【優先日】2021-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520051953
【氏名又は名称】ヴェルデゴ エアロ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バーチュ,エリック リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,リチャード パット
(72)【発明者】
【氏名】アイヒシュテット,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】スピッツァー,デイヴィッド エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】カッセルズ,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】サンタクルズ,グザヴィエ ヘラルド
(72)【発明者】
【氏名】キュリアー,パトリック
(57)【要約】
ハイブリッド式パワートレインシステムは、エンジンと、内部に動力シャフトを有する電気機械と、エンジンの出力と電気機械の動力シャフトとを解放可能に係合するように構成されたクラッチとを含む。電気機械は電気出力をさらに含む。動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、推進装置に機械的動力を与えるように構成される。コントローラは、エンジン、電気機械、及びクラッチを制御して、1つ又は複数の動力出力モードを実現するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド式パワートレインシステムであって、当該ハイブリッド式パワートレインシステムは、
エンジンと、
内部に動力シャフトを有する電気機械と、を含み、
該電気機械は電気入出力をさらに含み、
前記動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、該推進装置に機械的動力を与えるように構成されており、
前記エンジンの出力によって、前記動力シャフトを回転させるように構成され、
前記エンジン及び前記電気機械は、前記電気機械が前記エンジンによる前記動力シャフトの回転による可変量の動力を第1の電力に変換するように制御される一方、前記動力シャフトが前記動力シャフトの残りの機械的動力を前記推進装置に出力するように構成される第1のモードで動作するように構成され、
前記エンジン及び前記電気機械は、前記エンジンと前記電気機械との両方が前記動力シャフトを駆動する第2のモードで動作するように構成され、前記電気機械は、前記電気入出力を介して受け取った第2の電力に基づいて前記動力シャフトを駆動する、
ハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項2】
前記第1の電力は、航空機の電気推進装置に出力されるように構成される、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項3】
前記航空機の前記電気推進装置は、前記航空機の電気推進に使用される少なくとも1つのバッテリ及び少なくとも1つの電気モータを含み、前記少なくとも1つのバッテリ及び前記少なくとも1つの電気モータは、前記航空機に取り付けられる、請求項2に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項4】
前記第1のモードにおいて、前記電気機械は、前記動力シャフトからの動力を前記第1の電力に変換しないように制御される、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項5】
前記第1のモードにおいて、前記電気機械は、前記動力シャフトからの全ての動力を前記第1の電力に変換するように制御される、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項6】
前記第1のモードにおいて、前記電気機械は、前記動力シャフト上の前記動力の0%から100%の間のいくらかを前記第1の電力に変換するように制御される、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項7】
前記電気機械によって前記動力シャフトから前記第1の電力に変換される電力のパーセンテージを前記電気機械に変更させるように構成されたコントローラをさらに含む、請求項5に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項8】
前記エンジン及び前記電気機械を制御して、第1の所望の量の前記機械的動力を推進機構に出力し、前記推進機構から第2の所望の量の前記第1の電力を出力するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項9】
前記動力シャフト又は前記エンジンの前記出力のうちの少なくとも一方に接続されたフライホイールをさらに含む、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項10】
前記フライホイールに接続されたばね連結器をさらに含み、該ばね連結器は、前記フライホイールから前記動力シャフトに伝達される振動を低減するように構成される、請求項9に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項11】
前記第2の電力は、前記第2のモード中に航空機の1つ又は複数のバッテリから受け取られる、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項12】
前記第1の電力は、電気モータ又はバッテリのうちの少なくとも1つに出力される、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項13】
前記動力シャフト又は前記エンジンの前記出力のうちの少なくとも1つは、当該ハイブリッド式パワートレインシステムの冷却システムに回転力をさらに供給する、請求項1に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項14】
方法であって、当該方法は、
エンジンと内部に動力シャフトを有する電気機械とを第1のモードで動作するように制御するステップであって、前記第1のモードには、
前記エンジンによって前記動力シャフトを駆動し、前記エンジンの出力によって前記動力シャフトを回転させるように構成されること、及び
前記エンジンによる前記動力シャフトの前記回転に基づいて、前記電気機械の電気入出力を介して前記電気機械から第1の電力を出力すること、が含まれる、ステップと、
前記エンジン及び前記電気機械を第2のモードで動作するように制御するステップであって、前記第2のモードには、前記エンジン及び前記電気機械によって前記動力シャフトを同時に駆動することが含まれる、ステップと、を含み、
前記電気機械は、前記電気入出力を介して受け取った第2の電力に基づいて前記動力シャフトを駆動する、
方法。
【請求項15】
前記第1の電力は、航空機の電気推進モータを駆動するために出力されるか、又は前記航空機の推進バッテリに出力され、該推進バッテリは、前記電気推進モータに電力を供給するために使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、該推進装置に機械的動力を与えるように構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
フライホイールが前記動力シャフト又は前記エンジンの前記出力のうちの少なくとも1つに接続される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ばね連結器が前記フライホイールに接続されており、前記ばね連結器は、前記フライホイールから前記動力シャフトに伝達される振動を低減するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のモード中に、前記エンジンによって前記動力シャフトに加えられる回転力の第1の部分が前記電気機械によって電力に変換され、前記回転力の第2の部分が前記動力シャフトを介して推進装置に供給される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のモードと前記第2のモードとの両方の間にクラッチを係合するステップをさらに含み、該クラッチは、前記エンジンの前記出力を前記動力シャフトに解放可能に係合するように構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
ハイブリッド式パワートレインシステムであって、当該ハイブリッド式パワートレインシステムは、
エンジンと、
内部に動力シャフトを有する電気機械と、
前記エンジンの出力と前記電気機械の前記動力シャフトとを解放可能に係合するように構成されたクラッチと、を含み、
前記電気機械は電気出力をさらに含み、
前記動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、該推進装置に機械的動力を与えるように構成され、
コントローラが、前記エンジン、前記電気機械、及び前記クラッチを制御して、1つ又は複数の動力出力モードを実現するように構成される、
ハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項22】
前記電気機械は電気入力をさらに含み、前記1つ又は複数の動力出力モードのうちのモードにおいて、前記電気機械は、前記電気入力を介して電気エネルギ蓄積装置から電力を受け取って、動力シャフトを駆動するように構成される、請求項21に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項23】
前記モード中に、前記クラッチは、前記エンジンの前記出力によって前記動力シャフトを回転させないように、係合解除される、請求項22に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項24】
前記モード中に、前記クラッチは、前記エンジンの前記出力によって前記動力シャフトを回転させるように、係合される、請求項22に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項25】
前記電気機械は電気入力をさらに含み、前記1つ又は複数の動力出力モードは、少なくとも、
前記電気機械が、前記動力シャフトの回転に基づいて前記電気出力を介して第1の電力を出力する第1のモードであって、前記クラッチを係合して前記エンジンの出力と前記動力シャフトとを結合している間に、前記動力シャフトが前記エンジンによって回転されることと、
前記エンジンと前記電気機械との両方が前記動力シャフトを駆動する第2のモードであって、前記電気機械が、前記電気入力を介して受け取った第2の電力に基づいて前記動力シャフトを駆動し、前記クラッチは前記エンジンの前記出力と前記動力シャフトとを結合するために係合されることと、を含む、請求項21に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項26】
前記1つ又は複数の動力出力モードのうちの1つのモードにおいて、
前記クラッチは係合され、前記エンジンは前記動力シャフトを回転させ、
前記電気機械は、前記動力シャフトを介して動力を受け取り、前記動力シャフトの回転力の第1の部分を、前記電気出力を介して出力される電力に変換するように構成され、
前記動力シャフトの前記回転力の第2の部分が、前記機械的動力として前記推進装置に加えられる、請求項21に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項27】
前記1つ又は複数の動力出力モードのうちの1つのモードにおいて、
前記クラッチは係合され、前記エンジンは前記動力シャフトを回転させ、
前記動力シャフトは、前記電気機械が前記動力シャフトの回転力を電力に変換することなく、前記電気機械内で回転するように構成され、
前記動力シャフトの前記回転力は前記機械的動力として前記推進装置に加えられる、請求項21に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項28】
ハイブリッド式パワートレインシステムであって、当該ハイブリッド式パワートレインシステムは、
エンジンと、
動力シャフトと、
内部に前記動力シャフトを有する電気機械であって、電気入出力をさらに含む電気機械と、
前記エンジンの出力を前記動力シャフトに解放可能に係合するように構成されたクラッチと、を含み、
前記電気機械は、電気エネルギ蓄積装置から前記電気入出力を介して電力を受け取り、前記動力シャフトを駆動するように構成され、
前記電気機械は、前記エンジンによる前記動力シャフトの回転時に前記電気入出力を介して電力を出力するように構成され、
前記動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、該推進装置に機械的動力を与えるように構成される、
ハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項29】
前記電気機械は、前記電気入出力を介して電気モータ又は前記電気エネルギ蓄積装置のうちの少なくとも1つに電力を出力するようにさらに構成される、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項30】
前記電気機械は、前記電気機械を駆動するための電力を受け取り、同時に電気モータ又は前記電気エネルギ蓄積装置の少なくとも一方に電力を出力することができない、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項31】
前記電気機械は、前記動力シャフトの回転にもかかわらず、前記電気機械によって電力が殆ど又は全く出力されないように制御可能である、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項32】
前記電気機械は、前記電気機械によって電力が殆ど又は全く出力されないように制御可能である一方で、前記電気入出力において前記電気機械によって電力が殆ど又は全く入力又は出力されない、請求項31に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項33】
前記電気機械は、前記エンジンによる前記動力シャフトの回転時に前記電気入出力を介して電力を出力する一方、前記電気機械は、前記動力シャフトによって供給される回転エネルギの一部のみを、前記電気入出力で出力される電力に変換するように構成される、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項34】
前記クラッチは、前記電気機械が前記電気入出力を介して受け取った電力を用いて前記動力シャフトを駆動している間に、前記エンジンの前記出力を前記動力シャフトから係合解除するように構成される、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項35】
前記動力シャフトは、前記クラッチを係合して前記エンジンの前記出力を前記動力シャフトに接続している間に、前記電気機械及び前記エンジンによって同時に駆動されるように構成される、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項36】
前記クラッチは、前記電気機械が前記エンジンの前記出力よりも速く前記動力シャフトを回転させている間に、前記動力シャフトから前記エンジンの前記出力を係合解除するように構成された一方向クラッチを含む、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【請求項37】
一方向クラッチはスプラグクラッチを含む、請求項28に記載のハイブリッド式パワートレインシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する特許出願の相互参照
本願は、2021年11月17日に出願した米国仮特許出願第63/280,543号、2021年3月19日に出願した米国仮特許出願第63/163,165号、及び2021年2月21日に出願した米国仮特許出願第63/151,760号の利益を主張するものであり、それぞれの内容全体が参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、航空宇宙ハイブリッドシステム及びその最適化した構成要素の柔軟なアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0003】
プロペラ、タービン又はジェットエンジン、ロケット、又はラムジェット等、異なる種類の推進機構を使用して推進される様々な種類の航空機が存在する。異なるタイプの推進機構は、異なる方法で動力を供給され得る。例えば、プロペラ等の一部の推進機構は、内燃エンジン又は電気モータによって動力が供給され得る。そのため、推進機構とそれらの推進機構に動力を供給する方法との組合せは、多くの場合、特定の航空機のために特別に設計されており、それによって、推進機構及びそれらの推進機構に動力を供給する方法は、航空機を適切且つ安全に推進するために必要な仕様を満たす。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、ハイブリッド式パワートレインシステムは、エンジンと、内部に動力シャフトを有する電気機械と、エンジンの出力と電気機械の動力シャフトとを解放可能に係合するように構成されたクラッチとを含む。電気機械は電気出力をさらに含む。動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、推進装置に機械的動力を与えるように構成される。コントローラは、エンジン、電気機械、及びクラッチを制御して、1つ又は複数の動力出力モードを実現するように構成される。
【0005】
一実施形態では、ハイブリッド式パワートレインシステムは、エンジンと、動力シャフトと、内部に動力シャフトを有する電気機械とを含む。電気機械は電気入出力(electrical input/output)をさらに含む。ハイブリッド式パワートレインシステムは、エンジンの出力を動力シャフトに解放可能に係合するように構成されたクラッチをさらに含む。電気機械は、電気エネルギ蓄積装置から電気入出力を介して電力を受け取り、動力シャフトを駆動するように構成される。電気機械は、エンジンによる動力シャフトの回転時に電気入出力を介して電力を出力するように構成される。動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、推進装置に機械的動力を与えるように構成される。
【0006】
一実施形態では、ハイブリッド式パワートレインシステムは、エンジンと、内部に動力シャフトを有する電気機械とを含む。電気機械は電気入出力をさらに含む。動力シャフトは、推進装置に機械的に取り付けられ、推進装置に機械的動力を与えるように構成される。エンジンの出力によって動力シャフトを回転させるように構成される。エンジン及び電気機械は、電気機械が動力シャフトの回転に基づいて電気入出力を介して第1の電力を出力する第1のモードで動作するように構成され、動力シャフトはエンジンによって回転される。エンジン及び電気機械は、エンジンと電気機械との両方が動力シャフトを駆動する第2のモードで動作するように構成され、電気機械は、電気入出力を介して受け取った第2の電力に基づいて動力シャフトを駆動する。
【0007】
一実施形態では、方法は、エンジンと内部に動力シャフトを有する電気機械とを第1のモードで動作するように制御するステップを含む。第1のモードには、エンジンによって動力シャフトを駆動することが含まれ、エンジンの出力によって動力シャフトを回転させるように構成される。第1のモードには、エンジンによる動力シャフトの回転に基づいて電気機械の電気入出力を介して電気機械から第1の電力を出力するステップがさらに含まれる。この方法は、エンジン及び電気機械によって動力シャフトを同時に駆動することを含む第2のモードで動作するようにエンジン及び電気機械を制御するステップをさらに含み、電気機械は、電気入出力を介して受け取った第2の電力に基づいて動力シャフトを駆動する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの一例を示す図である。
図1B】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの追加の例を示す図である。
図2A】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャとともに使用するための第1の航空機制御システムを表すブロック図である。
図2B】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャとともに使用するための第2の航空機制御システムを表すブロック図である。
図3】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用することができる航空機の第1の例を示す図である。
図4】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用することができる航空機の第2の例を示す図である。
図5】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用することができる航空機の第3の例を示す図である。
図6】例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第1の例示的な方法を示すフローチャートである。
図7】例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第2の例示的な方法を示すフローチャートである。
図8】例示的な実施形態によるフライホイールを有する航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
図9】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例の斜視図である。
図10】例示的な実施形態による図9の柔軟なアーキテクチャの例の上面図である。
図11】例示的な実施形態による図9の柔軟なアーキテクチャの例の側面図である。
図12】例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの別の例の斜視図である。
図13】例示的な実施形態による航空機を推進するための下流及び上流側部品の例を示す図である。
図14】例示的な実施形態による、フライホイール及びばね連結器を有する航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
図15】例示的な実施形態による、コンピューティング環境の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
航空機は、典型的に、カスタム設計した推進機構と、それらの推進機構に動力を供給する方法とを有する。このようにして、推進機構とそれらの推進機構に供給される動力を最適化して、航空機内の構成要素の重量を最小限に抑えながら、特定のタイプ及びサイズの航空機に必要な推進量を供給することができる。換言すれば、推進機構とそれらの推進機構の動力とは、多くの場合、特定のタイプ及びサイズの航空機に合わせて最適化されているため、ある航空機の構成要素を、直接駆動航空機、並列駆動航空機、及び直列駆動航空機等の異なるタイプの航空機駆動アーキテクチャで容易に使用することはできない。
【0010】
本明細書では、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャ及びその最適化した構成要素の様々な実施形態について説明する。ハイブリッドシステムは、燃料がピストン、ロータリ、タービン、又は他のエンジン内で燃焼され、ピストンエンジンの出力を発電機に動作可能に接続して電力を出力するシステムであってもよく、又はこのシステムを含んでもよい。本明細書で説明する実施形態は、多くの異なるタイプの航空機及び推進機構に動力を供給できる柔軟なシステムを含むことができる。このようなシステムは、有利には、異なるタイプの航空機の設計の複雑さを軽減し、カスタマイズが少ないことでシステムの量産における規模の経済性が可能になるため、そのようなシステムの製造コストを削減し、最終的には、本明細書で説明するシステムを使用する航空機の複雑さを軽減することができる。
【0011】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、同じ航空機内又は異なる航空機内で、異なる方法で推進機構に動力を供給するためにさらに使用され得る。例えば、推進機構に動力を供給するための柔軟なアーキテクチャは、複数の異なるモードで動作して、異なるタイプの推進機構に動力を供給することができ得る。第1の航空機は、柔軟なアーキテクチャが動作できる複数の異なるモードのうちの1つ、一部、又は全てを利用することができる。第2の航空機は、複数の異なるモードのうちの1つ、一部、又は全てを利用することができ、第2の航空機が利用するモードは、第1の航空機が利用するモードとは異なる場合がある。
【0012】
従って、異なる航空機は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャによって提供される推進機構に動力を供給する異なるモードを利用することができる。柔軟なアーキテクチャの使用はこのようにカスタマイズすることができるが、柔軟なアーキテクチャの物理的ハードウェアは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの物理構成要素に最小限の変更を加えるか全く変更せずに、異なる航空機による使用に適合させることができる。代わりに、異なる航空機での異なるモードの使用は、主に、プロセッサ又はコントローラを使用して柔軟なアーキテクチャの構成要素をどの様に制御するかに基づいて達成され得る。従って、コンピュータ可読命令は、プロセッサ又はコントローラに動作可能に結合したメモリに格納してもよく、それによって、命令がプロセッサ又はコントローラによって実行されると、プロセッサ又はコントローラを含むコンピューティング装置が、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々な構成要素を制御して、特定の実施態様、航空機、飛行段階等に望ましいあらゆる可能な使用モードを利用することができる。
【0013】
航空機のための発電及び推進システムはまた、航空機の様々な構成要素が動作のために安全な温度に保たれることを保証するため、並びに構成要素がより効率的に動作できる温度範囲内に構成要素を維持することを保証するために、様々な冷却システムを利用することもできる。さらに、本明細書では、航空機の推進機構に動力を供給するための柔軟なアーキテクチャの構成要素を効率的に冷却するために、本明細書で説明するハイブリッド式アーキテクチャの様々な態様を利用する有利な冷却システムについて説明する。
【0014】
異なるモードの動力を推進機構に供給するためのハードウェアを有する航空機は、冷却を与えることが望ましい様々な構成要素を有している可能性がある。こうして、異なる動力モードを可能にする様々な構成要素に空気を効率的に移動させる単一の冷却システムは、航空機の重量だけでなく、冷却システムの消費電力も削減することができる。図1図8及びそれに付随する以下の説明は、特に、航空機の推進システムに動力を供給するための柔軟なアーキテクチャの例に関する。図9図12及びそれに付随する以下の説明は、柔軟なアーキテクチャの例のための冷却システムの様々な実施形態に関する。
【0015】
図1Aは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ101の例を示す。本明細書で議論するように、柔軟なアーキテクチャ101は、航空機の要件及び飛行段階に応じて複数の方法で適用できる(例えば、異なるモードで使用される)単一のハイブリッド式発電機システムを備えた幅広い用途で効率的に使用することができる。
【0016】
図1Aの柔軟なアーキテクチャ101は、エンジン105、クラッチ115、発電機/モータ(電動機)121、及び動力シャフト111を含むハイブリッド式発電機である。以下でさらに説明するように、柔軟なアーキテクチャ101は、必要に応じて、特定の航空機の設置要件又は特定の飛行段階に応じて、様々な異なるモードを実現するために使用することができる。エンジン105は、内燃機関等の燃焼機関であってもよい。エンジン105はさらに具体的には、ピストン内燃機関、ロータリエンジン、又はタービンエンジンのうちの1つであってもよい。このようなエンジンは、標準的なガソリン、ジェット燃料(例えば、Jet A、Jet A-1、Jet B燃料)、ディーゼル燃料、バイオ燃料代替品等を使用することができる。様々な実施形態では、ドローンの実施態様の小型エンジン(Rotaxガソリンエンジン等)他のタイプのエンジンも使用することができる。
【0017】
上述したように、エンジン105はピストン燃焼機関であってもよい。ピストン燃焼機関は、他のエンジンよりも発電機及び/又は推進機構(例えば、プロペラ)に動力を供給するための直接出力にとってより望ましい毎分回転数(RPM)で出力ロータ又はシャフトを有利に回転させることができる。例えば、ピストン燃焼機関は、数千RPM程度の出力を有する場合もある。例えば、ピストン燃焼機関の出力は2200~2500RPMの範囲にあり得、これはプロペラにとって望ましいRPMとなり得る。特に、プロペラは、ピストン燃焼機関のRPM出力(例えば、2200~2500RPM)に基づいて、プロペラの所望の先端速度をもたらすサイズを有するように設計され得る。タービンエンジン等の他のタイプのエンジンは、ピストン燃焼機関よりもはるかに高い、数万RPM程度の回転パワーを出力する場合がある。別の実施形態は、効率、動力出力(power output)、又は他の重要な要因に利益をもたらすために、タービンエンジンのより高いRPMでモータ/発電機を駆動することができる。いくつかの実施形態では、高RPMエンジンの出力と図1Aの他の構成要素との間にギアボックスを追加して、エンジン105の出力RPMを下げることができる。しかしながら、ギアボックスの追加は、いくつかの実施形態では望ましくないシステムの重量を増大させる可能性もある。ピストン燃焼機関は、タービンエンジンと比較して、騒音に関してさらに有利である可能性がある。典型的に、タービンエンジンはピストン燃焼機関よりも音が大きく、人間が知覚するタービンエンジンからの騒音は、典型的に、ピストン燃焼機関によって発生する騒音よりも聴取者にとって不快である。騒音の低減が望まれる都市部又は密集環境では、より静かなエンジンの価値がより高まる場合もある。
【0018】
エンジン105は、クラッチ115に回転力を出力することができ、クラッチ115は、動力シャフト111を係合又は係合解除するように制御され得る。換言すれば、動力シャフト111は、クラッチ115によってエンジン105の回転出力と係合され得、それによって、回転力がエンジン105の出力と動力シャフト111との間で伝達され得る。クラッチ115をエンジン105の出力と動力シャフト111とから係合解除すると、動力シャフト111はエンジン105の出力とは独立して回転することができる。クラッチ115は、エンジン105と発電機/モータ121との間に物理的に配置することができ、柔軟なアーキテクチャの全体的な設置面積を減らすために、エンジン105及び発電機/モータ121の反対側に接触することさえできる。図1Aにおいて、クラッチ115が本明細書でさらに説明され、他の図に示される。しかしながら、様々な実施形態では、エンジン105と動力シャフト111とを解放可能に結合解除することができる任意の機構を、クラッチに加えて、又はクラッチに代えて使用することができる。例えば、この結合解除は、オーバーランニングクラッチ等における、エンジン105の出力と動力シャフト111との間の絶対回転数(RPM)又は相対RPMに基づくことができる。
【0019】
発電機/モータ121は、動力シャフト111と係合する、又は動力シャフト111との係合を解除することもできる。換言すれば、発電機/モータ121は、動力シャフト111の回転によって発電機/モータ121が電力を発生させないように、スイッチオフにするように制御してもよい。同様に、発電機/モータ121は、動力シャフトの回転によって発電機/モータ121が電力を発生させるように、スイッチオンにするように制御してもよい。発電機/モータ121は、発電機としてもモータとしても機能し得るため、発電機/モータと呼ばれる。様々な実施形態では、発電機/モータ121は電気機械と呼ばれ得、電気機械は、発電機、電気モータ、又はその両方であり得る。
【0020】
柔軟なアーキテクチャは、発電機/モータ121に接続された電力入出力(I/O)125をさらに含む。本明細書でさらに説明するように、発電機/モータ121は、電力I/O125を介して出力される動力シャフト111の回転に基づいて電力を生成してもよく、又は動力シャフト111を駆動するために使用され得る電力を電力I/O125を介して受け取ってもよい。電力I/O125の配線は複数のワイヤを含んでもよい。様々な実施形態では、発電機/モータ121に電力を入力するための配線は、発電機/モータ121から電力を出力するために使用される配線と同じであってもよい。他の様々な実施形態では、第1の配線は電力の入力のために使用してもよく、異なる第2の配線は電力の出力のために使用してもよい(入力用及び出力用に異なる配線を使用する)。様々な実施形態では、発電機/モータ121はまた、発電機/モータ121の制御に使用され、発電機/モータ121の動作に関するセンサ又は他のデータをコントローラ等に中継するために接続される配線を有してもよい。
【0021】
発電機/モータ121は、動力シャフト111のドライバとしても機能することができる。システム内の他の場所にあるバッテリ又は何らかの他の形態の電気エネルギ蓄積装置から電力I/O125を介して電力を受け取ると、発電機/モータ121は、動力シャフト111に回転力を与えて、動力シャフト111を駆動することができる。これは、発電機/モータ121が動力シャフト111と係合するようにスイッチオンにされるように制御されている限り起こり得る。発電機/モータ121が動力シャフト111と係合しないようにスイッチオフにされるように制御されると、動力シャフト111は、発電機/モータ121によって回転されなくなり得る。
【0022】
電力I/O125からの電力出力は、電気推進機構(例えば、プロペラ)のための電気モータを駆動するために使用され得る。電力I/O125からの電力出力は、航空機又は航空宇宙機上の他の装置に電力を供給及び/又は充電するために使用することもできる。例えば、電力I/O125から出力される電力は、1つ又は複数のバッテリを充電するために使用され得る。電力I/O125からの電力出力は、航空機又は航空宇宙機上の他の装置又はアクセサリに電力を供給するために使用することもできる。電力I/O125も入力を有するため、動力シャフト111は、1つ又は複数のバッテリからの電力等、電力I/O125を介して受け取られる任意の電力によって駆動され得る。発電機/モータ121によって生成される電力は、交流(AC)電力であってもよい。そのAC電力は、パワーエレクトロニクス(例えば、整流器又はインバータ)によって直流(DC)電力に変換され、DCバスに出力され得る。このDCバスは、バッテリ及び/又は電気推進機構に接続され得る。このようにして、電気推進機構にDCバスを介して電力を供給することができる。様々な実施形態では、電気推進機構のモータはAC電力を使用することができ、従って、DCバスからのDC電力は、電気推進機構(例えば、インバータ)によって使用される前に、DC電力からAC電力に変換され得る。
【0023】
動力シャフト111自体の任意の回転は、エンジン105によって駆動されるか又は発電機/モータ121によって駆動されるかにかかわらず、1つ又は複数の推進機構を駆動するために使用することもできる。例えば、動力シャフト111の回転は、プロペラを直接駆動するために使用してもよく、又は推進機構を駆動する電気モータに電力を供給するために使用してもよい。動力シャフト111の回転はまた、航空機の様々な用途のための1つ又は複数のプロペラ、1つ又は複数のロータ、又は他の回転装置等の別の構成要素に動作可能に接続されたギアボックスを駆動することもできる。
【0024】
アクセサリパッド130は、エンジン105に結合することもでき、高電圧及び高電力I/Oのために構成され得る発電機/モータ121及び電力I/O125とは別個の電力用の低電圧直流(DC)発電機を含むことができる。いくつかの実施形態では、発電機/モータ121は2つの異なる巻線を有してもよく、電力I/O125は2つの異なる出力(例えば、高電圧及び低電圧)を有してもよい。アクセサリ電源は、アクセサリパッド130の出力に加えて、又はアクセサリパッド130の出力の代わりに、電力I/O125の出力のうちの1つに関連付けることができる。アクセサリパッド130は、電力I/O125において発電機/モータ121によって出力され得る高電圧又は電流出力を必要としない航空機又は航空宇宙機上の装置又はアクセサリに電力を供給するために使用され得る。航空機の電圧(HV)は、例えば400ボルト(V)又は800Vであり得るが、50V~1200Vの間のいずれかになることもあり得る。航空機の低電圧(LV)は、12V、14V、28V、又は50V未満の他の電圧であってもよい。
【0025】
図1Bは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ150の追加の例を示す。特に、図1Bの柔軟なアーキテクチャ150は、図1Aに関して上述した構成要素と同一又は類似であり得るいくつかの構成要素を含み、柔軟なアーキテクチャ150は、エンジン155、クラッチ175、動力シャフト180、及び/又は発電機/モータ185を含む。柔軟なアーキテクチャ150は、クランクシャフト160の形態でエンジン155の出力をさらに示し、クランクシャフト160は、出力フランジ165に堅固に接続される。出力フランジ165は、ボルト170を用いてクラッチ175の片側に堅固に接続される。
【0026】
クラッチ175は、動力シャフト180と係合して、クランクシャフト160及び出力フランジ165から動力シャフト180に回転運動を変換するように構成され得る。クラッチ175はさらに、動力シャフト180から係合を解除するように構成され得、それによって、動力シャフト180は、クランクシャフト160及び出力フランジ165に対して独立して回転することができる。さらに、図1Bは、どの様にして柔軟なアーキテクチャ150の回転可能な構成要素全てを単一の軸線190に沿って整列させるかを示している。図1Aの回転可能な構成要素は、図1Bに示されるように、同様に単一の軸線に沿って整列され得る。さらに、動力シャフト180は、クラッチ175及び発電機/モータ185の内径開口部に嵌合するスプラインシャフトであってもよい。テーパ等、スプライン以外の他の特徴を使用してもよい。いずれの場合でも、発電機/モータ185及び/又はクラッチ175は、構成要素が互いに適切に係合できるように、動力シャフト180上のスプライン、テーパ、又は他の特徴に適合して接続するように構成され得る。
【0027】
様々な実施形態では、クラッチ175は、エンジン155の出力から動力シャフト180を結合解除することができる、異なるタイプのクラッチ又は他の機構であってもよい。例えば、クラッチ175は、プレート式クラッチであってもよく、また、乾式又は湿式クラッチであってもよい。このようなプレート式クラッチは、機械的、油圧的、及び/又は電気的に(例えば、図2A及び図2Bのコントローラ205、220、及び/又は280によって)係合/係合解除され、又はそうでなければ制御され得る。プレート式クラッチには、3枚、5枚、又は10枚のプレート等、様々な数のプレートがある場合もある。様々な実施形態では、クラッチ175又は本明細書で説明する他のクラッチは、一方向クラッチ、オーバーランニング(overrunning)クラッチ、又はスプラグ(sprag)クラッチであってもよい。一方向クラッチ又はスプラグクラッチは、電気機械がエンジンの出力よりも速く動力シャフトを回転させている間に、エンジンの出力を動力シャフトから係合解除する(disengage:切り離す)ように構成され得る。換言すれば、エンジン155が発電機/モータ185よりも小さい動力を動力シャフト180に出力している場合に、クラッチ175は、例えばその係合解除を達成するために使用されるいかなる電気制御入力もなしに、エンジン155の出力を動力シャフト180から自動的に機械的に係合解除することができる。エンジン155がより高いRPMを有するか、又は発電機/モータ185よりも多くの動力を出力すると、一方向クラッチ又はスプラグクラッチが係合するため、動力がエンジン155の出力から動力シャフト180に加えられる。使用できる別のタイプのクラッチは遠心クラッチであり、RPMが増加するにつれて、クラッチのプレートの重みによって1つ又は複数のレバーが徐々に作動し、遠心クラッチのプレートが圧迫され、プレートが係合して、例えばエンジン155の出力及び動力シャフト180が接続される。
【0028】
有利には、図1Aの発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185は、それぞれエンジン105又はエンジン155のスタータとして使用され得る。換言すれば、エンジン155を始動するためにクラッチ175が係合される間に、発電機/モータ185を使用してクランクシャフト160を回転させることができる。このようなシステムは、例えば発電機/モータ185にバッテリ又は他の電源によって電力を供給できる場合に有利となり得る。従って、エンジン155は、本明細書で説明するピストン燃焼機関であってもよく、別個のスタータ構成要素を必要とせず、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの重量及び複雑さを軽減することができる。
【0029】
図2Aは、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ201とともに使用される航空機制御システム200を表すブロック図を示す。航空機制御システム200は、例えば、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを使用することができる、以下で議論する様々なモードのうちの1つ又は複数を実現するために使用され得る。柔軟なアーキテクチャ201は、図1A及び/又は図1Bの柔軟なアーキテクチャ101及び/又は150の構成要素と同じ、類似のもの、又はそれらの構成要素の一部又は全てを有することができる。航空機制御システム200は、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ205(以下、コントローラ205と呼ぶ)、メモリ210、航空機メインコントローラ220、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、アクセサリパッド250、及び1つ又は複数のセンサ260を含むことができる。図2Aの接続は、航空機制御システム200の構成要素同士の間の制御信号関連の接続を示している。図2Aに示されない他の接続は、航空機の高電圧(HV)又は低電圧(LV)電力等の電力を供給するために、航空機及び/又は航空機制御システム200の異なる態様の間に存在し得る。
【0030】
メモリ210は、命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体であってもよい。このような命令は、本明細書の柔軟なアーキテクチャを使用する様々なモード及びこれらのモードの組合せを含む、本明細書で説明する様々な方法及びシステムを実現するためにコントローラ205によって実行されるコンピュータ実行可能コードであってもよい。コンピュータコードは、本明細書の柔軟なアーキテクチャの異なるモードを実現する様々な方法が、例えば、特定の飛行段階(例えば、着陸、離陸、巡航等)を示す様々な入力に基づいて自動的に実施されるように記述され得る。様々な実施形態では、コンピュータコードは、航空機又は航空宇宙機のユーザ又はパイロットからの入力に基づいて、本明細書の様々なモードを実現するように記述してもよく、又はユーザ入力と非人的入力(例えば、計画した飛行計画等に基づいて、航空機上又は航空機外のセンサから)に基づく自動実施との組合せに基づいて実現してもよい。コントローラ205は、アクセサリパッド130、1つ又は複数のバッテリ、電力I/O125の出力、任意の電源によって電力供給される航空機の電力バス、及び/又は利用可能な任意の他の電源等の、航空機又は航空宇宙機上の電源によって電力を供給され得る。
【0031】
コントローラ205は、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、アクセサリパッド250、及び/又はセンサ260のそれぞれと通信することもできる。このようにして、柔軟なアーキテクチャの構成要素を制御して、本明細書で説明する様々なモードを実現することができる。様々な実施形態では、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、及びアクセサリパッド250は、図1Aに示し、図1Aに関して上述した同様の名前の構成要素と同様であってもよく、又は同様の名前が付いた構成要素であってもよい。電力I/O245はまた、例えば、本明細書で説明する直流(DC)バスを含む柔軟なアーキテクチャの電気部品を起動時の過剰な突入電流から保護するための、プリチャージ電子部品を含んでもよい。例えば、高電圧(HV)バスが400Vであり、新しい構成要素が0VのHVバスに接続される場合に、瞬間的な突入電流が非常に大きくなり、HVバス及び/又は構成要素に損傷を与える可能性がある。その結果、プリチャージ電子部品は、HVバス又は他の電源に完全に接続する前に、構成要素の電圧をゆっくりと上昇させることができる。様々な実施形態では、HVバスは、DCバス又はACバスであってもよく、或いはDCバス又はACバスのいずれかである複数のバスが存在してもよい。ACバスが使用される場合に、AC電力はモータ/発電機からACバスに直接出力され得る。DCバスが使用される場合に、インバータを使用してモータ/発電機からのAC電力をDC電力に変換し、DCバスに出力することができる。
【0032】
センサ260は、柔軟なアーキテクチャ201の異なる構成要素を監視するための様々なセンサを含むことができる。そのようなセンサには、例えば、クラッチ250の現在の状態、又は他のタイプのセンサを決定するために、温度センサ、タコメータ、流体圧力センサ、電圧センサ、電流センサ、状態センサ等が含まれ得る。例えば、電圧及び/又は電流センサは、モータ/発電機の機能及び設定、クラッチに選択された状態を知らせる、又はシステムの他の構成要素を調整するために使用され得る。状態センサは、柔軟なアーキテクチャが使用されている特定のモードを示すこともでき、システムは(例えば、パイロットから、自動飛行制御装置から)入力を受け取って、システムを今後の特定の飛行段階のための異なる状態又はモードに変更することができる。他のセンサには、航空機の対気速度を測定するためのピトー管、航空機の高度を測定するための高度計、及び/又は地上及び/又は既知の/マッピングされた構造物に対する位置を決定するための全地球測位システム(GPS)又は同様の地理的位置センサが含まれ得る。
【0033】
図2Aの柔軟なアーキテクチャ201の破線内の構成要素は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャに関連付けられ得る一方、航空機メインコントローラ220は、より広範な航空機システムに関連付けられ得る。換言すれば、航空機メインコントローラ220は、柔軟なアーキテクチャ201以外の航空機の態様を制御することができる一方、コントローラ205は、柔軟なアーキテクチャ201に関連する航空機の態様を制御することができる。航空機メインコントローラ220及びコントローラ205は、互いに通信して、航空機の様々な推進機構に動力を供給するように調整することができる。例えば、航空機メインコントローラ220は、1つ又は複数の特定の推進機構に対する特定の動力出力レベルを要求する信号を制御装置205に送信することができる。コントローラ205は、そのような制御信号を受信し、航空機メインコントローラ220からの制御信号に基づいて所望の動力レベルを出力するために柔軟なアーキテクチャ201をどの様に調整するか(例えば、どのモードに入るか、柔軟なアーキテクチャ201の要素をどの様に制御するか)を決定することができる。様々な実施形態では、航空機メインコントローラ220は、柔軟なアーキテクチャ201の特定の態様の制御に関連する信号を送信することができる。換言すると、コントローラ205は、所望の動力出力信号をコントローラ205に送信することに加えて、又はその代わりに、航空機メインコントローラ220からの制御信号を柔軟なアーキテクチャ201の構成要素に再送信するための中継器として機能することができ、コントローラ205は、その制御信号から柔軟なアーキテクチャ201の個々の構成要素をどの様に制御するかを決定する。
【0034】
様々な実施形態では、航空機メインコントローラ220は、将来の所望の動力出力、将来の飛行段階又は飛行計画情報等に関連する制御信号を送信することもできる。このようにして、コントローラ205は、航空機の予想される動力要求に関する情報を受信してこれを使用して、現時点と将来との両方で柔軟なアーキテクチャ201の態様をどの様に制御するかを決定するすることができる。例えば、飛行計画情報は、いつバッテリ電力を使用すべきか、いつバッテリを充電すべきか等を決定するために使用され得る。別の例では、大きな電力需要が予想される場合に、コントローラ205は、所望のレベルの電力の供給を開始する前に、エンジン230が動作していることを保証し得る。
【0035】
様々な実施形態では、コントローラ205はまた、1つ又は複数のバッテリと通信して、それらの充電レベルを監視し、バッテリをいつ充電又は放電するかを制御し、バッテリをいつ使用して発電機/モータ235に電力を供給するかを制御し、バッテリをいつ使用して航空機の別の態様に直接電力を供給するかを制御することもできる。しかしながら、他の実施形態では、航空機メインコントローラ220は、航空機のバッテリと通信することができ、及び/又はバッテリ及びその制御に関する情報をコントローラ205に中継することができる。同様に、航空機のバッテリがコントローラ205ではなく航空機メインコントローラ220を用いて制御される場合に、コントローラ205は、バッテリが柔軟なアーキテクチャ201の機能に関して必要又は所望に応じて制御され得るように、バッテリに関連する制御信号を航空機メインコントローラに送信することができる。
【0036】
様々な実施形態では、電力I/O245は、発電機/モータ235の2つの異なる巻線に関連付けられた2つの異なる出力(例えば、高電圧(HV)出力及び低電圧(LV)出力)を含み得る。こうして、2つの異なる電圧(例えば、HV及びLV)が、出力され、コントローラ205及び/又は航空機メインコントローラ220によって制御され得る。電力I/O245は、追加的に又は代替的に、2つ以上の異なる電圧を出力できるように電圧変換部品(例えば、DC/DCコンバータ)を有することができる。このような実施形態では、2つの別個の巻線を使用することなく、2つの異なる出力を達成することができる。2つの異なる出力は、例えば、HVバス及びLVバス等、航空機の異なる電力バスに出力される場合がある。電力I/O245の2つの出力は、コントローラ205によって個別に制御することもできる。そのため、(例えば、モータ/発電機の界磁電流をオフにすることで、発電機の動力シャフト及びロータをモータ/発電機の残りの部分に対して回転又はフリーホイール(freewheel:自由回転)させることによって)出力をオフにすることができる。様々な実施形態では、動力シャフトは、発電機/モータ235内で実際にフリーホイールしなくてもよい。代わりに、ステータが静止したままで、動力シャフトがモータ/発電機235のロータを回転させてもよいが、コントローラ205を使用して、モータ/発電機235によって実際に出力される電力が殆どない又は全くないように、出力を制御することができる。様々な実施形態では、コントローラ205は、動力シャフトによって残りの動力を(例えば、推進機構に)出力している間に、モータ/発電機235から所望のレベル又は閾値レベルの電力を出力するようにモータ/発電機235を制御することができる。例えば、コントローラ205は、エンジンから動力シャフトに出力される動力の0%~100%までを電力として生成するようにモータ/発電機235を制御することができる。例えば、コントローラ205は、モータ/発電機235に、動力シャフトからの動力の0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、又は100%を電力として発生させてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、アクセサリパッドは、コントローラ205及び/又は航空機メインコントローラ220によって制御しなくてもよい。アクセサリパッドは、単にエンジン230が動作しているときに常にオンであってもよく、又は航空機のアクセサリにいつどの様に電力を供給するかを制御するために個別に(例えば、ユーザが切り替える手動スイッチによって)制御してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、コントローラ205は、航空機又は航空宇宙機に搭載され得る無線トランシーバと通信することができ、それによって、コントローラ205は、システム200に配線接続されていない他のコンピューティング装置と通信することができる。このようにして、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々なモードを実現するための命令又は入力を、リモート装置コンピューティング装置から無線で受信することもできる。他の実施形態では、システム200は、航空機に搭載された構成要素とのみ通信することができる。
【0039】
図2Bは、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャとともに使用される第2の航空機制御システム275を表すブロック図を示す。図2Bの例では、システム275は、図2Aのような別個の航空機メインコントローラを有していない。その代わりに、航空機全体は、柔軟なアーキテクチャ及び航空機(例えば、航空機の推進機構255を含む)の全ての態様を制御する単一のメインコントローラ280を有する。
【0040】
コントローラ285は、航空機上の1つ又は複数の推進機構255と通信して、それら推進機構255を制御することができる。コントローラ285は、航空機又は航空宇宙機上の1つ又は複数のセンサ270と通信することもでき、これらのセンサは、航空機のセンサ及び柔軟なアーキテクチャのセンサであってもよい。特に、センサ260は、上述した図1A及び/又は図1Bの構成要素のいずれかに埋め込むこともでき、従って、図1A及び/又は図1Bの装置がどの様に制御されるか、及び/又は本明細書で説明するモードがどの様に本明細書で説明するように実現されるかを知らせるために使用することができる。
【0041】
図2A又は図2Bのいずれにおいても、コントローラ205、コントローラ285、及び/又は航空機メインコントローラ220は、柔軟なアーキテクチャの任意の構成要素、1つ又は複数のバッテリ、又は航空機の他の態様を冷却及び/又は加熱するように構成された冷却システムと通信することもできる。そのため、冷却システムは、本明細書で説明する他のシステム及び方法と連携して制御することもできる。
【0042】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ(例えば、図1A図1B図2A、及び図2Bに示され、それらに関して説明した柔軟なアーキテクチャを含む)の様々な実施形態を使用して実現され得る5つの特定のモードについて以下に説明する。
【0043】
本明細書ではハイブリッド式発電機モードと呼ばれ得る第1のモードにおいて、クラッチ(例えば、図1Aのクラッチ115及び/又は図1Bのクラッチ175)は、エンジン(例えば、図1Aのエンジン105及び/又は図1Bのエンジン155)を、クラッチから発電機/モータ(例えば、図1Aの発電機/モータ121及び/又は図1Bの発電機/モータ185)に延びる動力シャフト(例えば、図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合するように制御され得、それによって、エンジンが発電機/モータ内の動力シャフトを回転させて、電力I/O(例えば、図1Aの電力I/O125)を介して、推進機構/システム等の航空機上の他のシステムに供給される電力を生成する。例えば、そのような推進機構/システムは、電気モータを使用して電力を供給され得、第1のモードにおいて発電機/モータによって出力された電力は、そのような推進機構/システムを駆動するために使用され得る。つまり、第1のモードでは、クラッチを用いてエンジンを動力シャフトに係合させて発電機/モータを駆動し、発電機/モータから電力を出力することができる。
【0044】
本明細書では直接駆動エンジンモードと呼ばれ得る第2のモードでは、クラッチ(例えば、図1Aのクラッチ115及び/又は図1Bのクラッチ175)は、エンジン(例えば、図1Aのエンジン105及び/又は図1Bのエンジン155)出力を、発電機/モータ(例えば、図1Aの発電機/モータ121及び/又は図1Bの発電機モータ185)を通って延びる動力シャフト(例えば、図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合して、航空機のプロペラのような推進機構に機械的動力を供給することができる。このようなモードでは、発電機/モータの動力シャフト及びロータが回転又はフリーホイーリングし、従って、発電機/モータの電力I/O(例えば、図1Aの電力I/O125)が係合解除され、電力を出力しないように、発電機/モータから磁場を除去してもよい(例えば、発電機/モータがオフ又は係合解除されるように制御してもよい)。つまり、第2のモードでは、エンジンは動力シャフトを駆動して機械的又は他の方法で推進機構に動力を供給することができる一方、動力シャフトは電力I/Oで電力を受け取り又は出力することなく発電機/モータ内で回転する。本明細書で説明するように、コントローラは、動力シャフト上の残りの動力を推進装置に機械的な動力として出力できるようにしながら、電力I/Oで発電機/モータがどの位の電力の量を生成及び出力するかを制御するために使用することもできる。推進装置は、例えば、ロータ、プロペラ、ファン、又は推進力を与える他の手段のいずれであってもよい。そのため、例えば、航空機のバッテリがフル充電で、航空機の電気モータが使用されていない場合に、機械的動力のみを推進装置に出力し、動力シャフト上の動力を電力に一切変換しないことが望ましい場合がある。他の例では、動力シャフトからの機械的動力の一部だけを電力に変換することが望ましい場合がある。例えば、コントローラは、モータ/発電機に動力シャフトからの一定の割合の動力を電力に変換させることができ、又は動力シャフトを監視して、最小閾値の機械的動力が推進機構(例えば、特定の対気速度又は推進機構のRPMを維持するため)に出力され、次に動力シャフトからの残りの動力を電力に変換する(例えば、航空機に搭載されたバッテリ又は他のエネルギ蓄積装置を充電するため)ことを保証することができる。そのため、本明細書で説明する様々な実施形態は、モータ/発電機の動力シャフト及びロータが回転している間でも発電機/モータが一定量の電力を出力するか、又は電力を出力しない/殆ど出力しないように制御できるため、航空機に搭載されたバッテリの過充電を防止するのに役立ち、全体の燃料消費量等を削減することができる。様々な実施形態では、これは、発電機を使用してどれ位の電気エネルギを出力するかを制御するためにコントローラによって制御してもよく、又はモータ/発電機のロータから動力シャフトを係合解除するか又は部分的に係合解除することによって(又はその逆に、動力シャフトからロータを係合解除することによって)制御してもよい。
【0045】
本明細書では推力増強(augmented thrust)モードと呼ばれ得る第3のモードでは、クラッチ(例えば、図1Aのクラッチ115及び/又は図1Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、図1Aのエンジン105及び/又は図1Bのエンジン155)を、発電機/モータ(例えば、図1Aの発電機/モータ121及び/又は図1Bの発電機モータ185)を通って延びる動力シャフト(例えば、図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合することができ、発電機/モータは、バッテリパック等の外部ソースからの電力I/O(例えば、図1Aの電力I/O125)を介して電力を引き込むモータとして使用される。これにより、エンジン又は発電機/モータが供給できるよりも高い機械的動力出力が動力シャフトに与えられる。つまり、第3のモードでは、エンジンと発電機/モータとの両方を使用して動力シャフトを同時に駆動し、推進機構に動力(電力)を送る。
【0046】
本明細書では直接駆動発電機/モータモードと呼ばれ得る第4のモードでは、クラッチ(例えば、図1Aのクラッチ115及び/又は図1Bのクラッチ175)が、発電機/モータ(例えば、図1Aの発電機/モータ121及び/又は図1Bの発電機/モータ185)からエンジン(例えば、図1Aのエンジン105及び/又は図1Bのエンジン155)を係合解除することができ、それによって、電力が電力I/O(例えば、図1Aの電力I/O125)を介して発電機/モータに供給され、発電機/モータをモータとして駆動し、機械的動力を動力シャフト(例えば、図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に供給することができる。つまり、第4のモードでは、発電機/モータのみが、電力I/Oで受け取った電力に基づいて動力(電力)を推進機構に供給することができる。
【0047】
本明細書ではエンジン出力分割モードと呼ばれ得る第5のモードでは、クラッチ(例えば、図1Aのクラッチ115及び/又は図1Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、図1Aのエンジン105及び/又は図1Bのエンジン155)を、発電機/モータ(例えば、図1Aの発電機/モータ121及び/又は図1Bの発電機/モータ185)に係合することができ、それによって、エンジンは、発電機/モータを発電機として回転させ、電力I/O(例えば、図1Aの電力I/O125)を介して航空機上の他のシステムに電力を供給するだけでなく、機械的動力を動力シャフト(例えば、図1Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に与えて、プロペラのようなシステムを駆動することもできる。つまり、第5のモードでは、エンジンを使用して動力シャフト及び発電機/モータを駆動して、電力I/O及び動力シャフトを介して動力(電力)を出力することができる。
【0048】
本明細書で説明するように、これらの5つのモード(又はその変形)のいずれも、本明細書で説明する単一の柔軟なアーキテクチャとともに使用することができる。さらに、特定のモード及び/又はモードの組合せは、特定の航空機又は航空宇宙機のタイプ、特定の推進機構タイプ、航空機又は航空宇宙機の特定の飛行段階等にとって有益であり得る。
【0049】
例えば、電気モータ駆動プロペラを備えたハイブリッド式電気垂直離着陸(VTOL)航空機では、本明細書の柔軟なアーキテクチャは、電力源としてのみ使用され得る。そのため、柔軟なアーキテクチャは、航空機の電力バス又は航空機の1つ又は複数のモータに電力を供給しなければならない飛行段階の任意の部分中に、航空機を第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)で駆動することができる。
【0050】
別の例では、単一の大きなメイン推進(pusher)プロペラ(例えば、航空機の胴体後部)と電気モータ/プロペラ(例えば、航空機の翼上)のアレイとを備えた航空機では、柔軟なアーキテクチャは、離陸中に第5のモード(例えば、エンジン出力分割モード)で使用され、メイン推進プロペラに機械的に動力を供給し、翼に取り付けられたモータに電気的に電力を供給することができる。図3及び図4は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用することができるそのような航空機300及び400の2つの例を示す。例えば、航空機300はメイン推進プロペラ305を有し、航空機400はダクト推進ファンの形態のメイン推進プロペラ405を有する。両方の例において、本明細書で説明する第5のモードは、動力シャフトからメイン推進プロペラ305及び405に機械的に動力を供給するために使用され得る。さらに、翼に取り付けられた電気モータ/プロペラ310及び410は、本明細書で説明するようにモータ/発電機からの電力で駆動され得る。
【0051】
あるいはまた、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを使用して、図3及び図4に示すような構成に、離陸時にバッテリパックが翼に取り付けられた両方のモータに電力を供給することによる第3のモード(例えば、推力増強モード)で電力を供給し、メイン推進プロペラを駆動する動力シャフトに対するエンジン出力を増強することもできる。巡航飛行中に、航空機は、メイン推進プロペラのみを駆動するために第2のモード(例えば、直接駆動エンジンモード)を使用することができる。別の例では、巡航飛行中に、航空機は動力シャフトと推進プロペラとの間にクラッチを備えてもよく、コントローラは、動力シャフトを推進プロペラから係合解除し、発電機/モータから翼に取り付けられたモータに電力を出力することによって、航空機を、翼に取り付けられたモータを駆動する第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)で動作させてもよい。別の例(例えば、エンジン故障等の緊急事態)では、推進プロップは、1つ又は複数のバッテリ等の電力I/Oへの電力入力を使用して、第4のモード(例えば、直接駆動発電機/モータモード)で駆動され得る。
【0052】
別の例では、航空機は、動力を与えられても動力を与えられずに動作することができ、翼に取り付けられた前方推進モータ及びプロペラを有し得る、ジャイロコプタ型のメインロータを備えたVTOL航空機であってもよい。一実施形態では、柔軟なアーキテクチャは、電力入力/出力(及び発電機/モータ)から供給される電力が、ジャイロコプタ型のメインロータに結合されたモータを駆動させ、電力を使用して翼に取り付けられたモータを駆動する、第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)で完全に使用され得る。一実施形態では、航空機は、柔軟なアーキテクチャが第2のモード(例えば、直接駆動エンジンモード)又は第3のモード(例えば、推力増強モード)を使用して、ジャイロコプタ型のメインロータを回転させる(例えば、ジャイロコプタ型のロータを離陸速度に上げる)ことができるように、動力シャフトとジャイロコプタ型のメインロータとの間にクラッチを備えるように構成してもよい。このような例では、コントローラは、ジャイロコプタ型ロータが速度に達した後に、柔軟なアーキテクチャを第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)に切り替えることができる(例えば、巡航飛行のために第1のモードに切り替える)。第4のモード(例えば、直接駆動発電機/モータモード)は、エンジン故障の場合に再び使用され、電力を使用して、1つ又は複数のバッテリ等の電源により動力シャフト(従ってジャイロコプタ型のロータ)を駆動することができる。
【0053】
図5は、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用することができる別の例示的な航空機500を示す。例えば、航空機500は、Tilt翼上に複数(例えば、8個)の電気モータ/プロペラ505を含んでもよく、これらは、本明細書で説明する第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)を使用して電力供給され得、エンジンは、クラッチを使用して動力シャフトと係合され、発電機/モータを駆動し、発電機/モータからTilt翼上の様々な電気モータ/プロペラ505に電力を出力することができる。
【0054】
従って、本明細書では、推進機構に動力を供給するための様々なモードを達成することができる航空機のための有利な柔軟なアーキテクチャについて説明する。特定の航空機及び推進機構の構成は、柔軟なアーキテクチャが可能な本明細書で説明する各モードを利用しない場合があるが、柔軟なアーキテクチャは、依然として異なるモードを達成するために異なる航空機に実装することができる。同様に、推進機構に動力を供給するための5つの異なるモードを有する柔軟なアーキテクチャの一例を本明細書で詳細に説明するが、推進機構に動力を供給するためのより少ない、より多い、又は異なるモードを有する他の柔軟なアーキテクチャも本明細書で企図される。
【0055】
例えば、柔軟なアーキテクチャは、本明細書で説明するようなクラッチを有さなくてもよく、エンジン出力をシステムのモータ/発電機及び/又は動力出力シャフトに結合することが望ましい場合に、依然として本明細書で説明する様々なモードを実現することができる。例えば、第1のモードにおいて、エンジンが動力シャフトを回転させて、発電機によって電気を発生させることができる。第2のモードでは、エンジンは、例えば機械的推進部品を直接駆動することができるが、モータ/発電機をオフにする、又はモータ/発電機の動力シャフト及びロータをモータ/発電機内でフリーホイールさせることができるため、エンジンをモータ/発電機又は動力シャフトから係合解除する必要はない。第3のモードでは、エンジン及びモータ/発電機が動力シャフトの駆動に使用されるため、クラッチを使用してエンジン及びモータ/発電機を係合解除することは望ましくない。第5のモードでは、エンジンは動力シャフトを回転させて、発電機によって電気を発生させ、動力シャフトが推進機構に機械的に動力を供給することができる。そのため、上述の第1、第2、第3、及び/又は第5のモードのいずれかを利用する航空機では、動力シャフトをエンジン出力から係合解除する必要はない。そのため、第1、第2、第3、及び/又は第5のモード(第4のモードではない)の任意の組合せを使用する実施態様では、システムがエンジンの出力をモータ/発電機の動力シャフトに常に接続している可能性があるため、クラッチを使用しない場合がある。クラッチは重い、及び/又は信頼性が低い可能性があるため、そのような実施形態は価値があり得る。
【0056】
図6は、例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第1の例示的な方法300を示すフローチャートである。特に、航空機は、単一のより大型の推進プロペラと、翼上の電気モータ及び対応するより小型なプロペラのアレイとを備えた航空機であってもよい。602での離陸飛行段階中に、本明細書で説明する第5のモードを使用して、メイン推進プロペラに機械的に動力を供給し、翼に取り付けられたモータに電力を供給することができる。604での巡航飛行段階中に、本明細書で説明する第2のモードを使用して、メイン推進プロペラのみに機械的に動力を供給し、より小型の電気モータ/プロペラには電力を供給しないようにすることができる。
【0057】
図7は、例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第2の例示的な方法400を示すフローチャートである。特に、航空機は、単一のより大型の推進プロペラと、翼上の電気モータ及び対応するより小型プロペラのアレイとを備えた航空機であってもよい。702での離陸飛行段階中に、本明細書で説明する推力増強と呼ばれる第3のモードを使用して、発電機/モータを介してメイン推進プロペラに電力を供給し(バッテリから電力を引き出す)、エンジンからメイン推進プロペラに機械的に直接動力を供給することができる。さらに、離陸中に電力(発電機/モータによって生成される、及び/又はバッテリから直接生成される)を翼上の電気モータに供給することもできる。704での巡航飛行段階中に、本明細書で説明する第2のモードを使用して、メイン推進プロペラのみに機械的に動力を供給し、より小型の電気モータ/プロペラには電力を供給しないようにすることができる。
【0058】
図1Aに戻って参照すると、エンジン105が動力シャフト111に動力を加え、発電機/モータ121が作動しない、又はオンにならないようにクラッチ115が係合されている場合に、動力シャフト111は発電機/モータ121内で(例えば、上述の第2のモードで)フリーホイールすることができる。同様に、図1Bの動力シャフト180は、様々な実施形態において、発電機/モータ185内でフリーホイールすることができる。しかしながら、エンジン105及び/又はエンジン155は、クラッチ115及び/又はクラッチ175がそれぞれの動力シャフト111及び/又は180と係合する場合に、発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185等の発電機にとって危険となり得るトルクパルスを動力シャフト111及び/又は動力シャフト180上に発生させる可能性がある。換言すれば、あるタイプのエンジン(例えば、ディーゼルピストン内燃機関)が点火するときに発生し得るものと同様の大きなトルクパルスがシャフトに発生することによって、動力シャフト111及び/又は180に結合された発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185の構成要素に疲労又は損傷を生じさせ得る高い角加速度を引き起こす可能性がある。そのため、このトルクを緩和するための構成要素は、フライホイール又は他の強力な減衰又はばね結合システム等を使用して、動力シャフト111及び/又は180上のトルクを平滑化することができる。
【0059】
図8は、例示的な実施形態による、振動トルクを吸収するためのフライホイールを有する航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ800の例を示す。特に、柔軟なアーキテクチャ800は、図1Bに示し、図1Bに関して説明したものと同様又は同じ構成要素を含むが、ボルト170を用いて出力フランジ165に堅固に接続されたフライホイール195を含む。フライホイール195はさらに、ボルト198によってクラッチ175の片側に堅固に接続される。従って、回転運動は、エンジン155からクランクシャフト160、出力フランジ165、及びフライホイール195を介してクラッチ175に移され得る。クラッチ175は、フライホイール195から受け取った回転運動を動力シャフト180に選択的に変換するために、動力シャフト180と係合又は係合解除することができる。フライホイール195はさらに、例えば二重質量フライホイール又はばね連結器であってもよい。
【0060】
他の様々な実施形態では、フライホイールを使用しなくてもよい。例えば、動力シャフト(例えば動力シャフト111)上のトルクを減衰させることができるが、フライホイールを含まない減衰システム及び減衰装置の更なる実施形態を本明細書で説明する。さらに、様々な実施形態では、フライホイール及び他の減衰システム又は構成要素を組み合わせて使用して、動力シャフトに加えられるトルクを減衰又は平滑化することができる。
【0061】
例えば、発電機/モータ自体内の動力シャフト又はロータは、発電機/モータのクランクシャフトに堅固に結合され得る。このようにして、クランクシャフト及びロータが一体となって動力シャフト又はロータ上のトルクパルスを減衰させることができ、エンジンからのトルクパルスによる接線方向の加速度を低減することができる。このような実施形態では、クラッチを省略してもよい。そのため、減衰システムは発電機/モータの内部にあり、減衰システムの設置面積及び重量は、発電機/モータの外部にあり得るフライホイール又は他の減衰システムよりも小さくすることができる。特に、動力シャフト又はロータとクランクシャフトとの堅固な結合は、動力シャフト又はロータの慣性を増大させる可能性があり、それによって、その追加の慣性は、動力シャフトが減速する、又はそうでなければエンジンのトルクパルスによる加速の影響を受けやすい方法で回転するのを防ぐのに役立つ。このような実施形態では、動力シャフト又はロータ及びクランクシャフトは、フライホイールと同様に機能することができる。
【0062】
様々な実施形態では、静止した内側部分と回転する外側部分とを有する発電機/モータが使用され得る。これにより、その回転部分の慣性が増大し、発電機/モータ内の磁石が回転して、トルクス(登録商標)パイクによって外れるのを回避できる可能性がある。換言すれば、磁石は外側部分で既に回転している可能性があるため、トルクスパイク加速による接線方向の慣性力に加えて、一定の安定化する半径方向の力が加えられる可能性がある。
【0063】
トルク減衰システムは、エンジンの出力を発電機/モータに接続する動力シャフト又はロータの一部として構成することもできる。例えば、発電機/モータの動力シャフト又はロータの間のハブには、ねじりばね特性及び/又は減衰特性を有する連結器が含まれ得る。ねじり減衰連結器には、潜在的に有害なトルクインパルスがエンジン出力から発電機の動力シャフト又はロータに伝わるのを低減する、エラストマ部品又はばね(例えば、鋼又は別の金属で作製された)が含まれ得る。ねじり減衰連結器は、共振減衰連結器と同様であるか、又は共振減衰連結器とも呼ばれ得る。例えば、そのようなねじり減衰連結器は、フライホイール又は他の大型減衰システムを使用するシステムとは対照的に、システム全体の重量及びサイズを削減することができる。1つ又は複数のねじり減衰連結器を、エンジン内、エンジンとクラッチとの間、クラッチ内、クラッチと発電機との間、及び/又は発電機内のいずれか1つ又は複数に設置して、動力シャフト又はロータが発電機自体の構成要素を損傷する前に減衰を達成することができる。
【0064】
発電機の動力シャフト又はロータ上のトルクを減衰する他の方法も使用することができる。例えば、発電機上の磁場は、発電機の動力シャフト又はロータに作用して、エンジンによって動力シャフト又はロータに与えられるトルクパルスの一部又は全てを打ち消すようにパルス状に制御され得る。発電機の磁場上のそのようなパルスは、エンジンによって加えられるトルクパルスの測定に基づいて制御することができ、その結果、発電機の構成要素がディーゼルエンジンによって損傷されないようにすることができる。例えば、エンジンと発電機/モータとの両方が動力シャフトに動力(電力)を供給する上記の第3のモードでは、発電機から動力シャフトにパルスが供給され、動力シャフトに電力が供給され、発電機の構成要素が損傷するのを防ぐことができる。本明細書で説明する他のモードでは、動力シャフトが全体的にエンジンによって部分的に駆動されているときはいつでも、発電機を使用して動力シャフトにパルスを印加することができる。こうして、このような方法で発電機の部品を適切に保護するために、発電機の磁場によって動力シャフト又はロータに印加されるパルスは、エンジンのトルクパルスと相関してそれらのトルクパルスに適切に対抗するように構成され得る。
【0065】
図14は、例示的な実施形態による、振動トルクを吸収するためのフライホイール及びばね連結器を有する航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ1400の例を示す。特に、柔軟なアーキテクチャ1400は、図8に示し、図8に関して説明したものと類似又は同じ構成要素を含むが、フライホイール195及び動力シャフト180に堅固に接続されたばね連結器199を含む。フライホイール195のサイズ、重量等、並びにばね連結器199の特性は、エンジン155の出力及び互いの特性に従って調整することができため、振動トルクを所望の及び/又は可能な限り低減することができる。例えば、異なるエンジンは異なる量の振動トルクを生成する可能性があるため、本明細書の様々な実施形態は、クランクシャフト160から動力シャフト180に伝わる振動を低減するために、異なる特性を有するフライホイール及び/又はばね連結器を含む。様々な実施形態では、柔軟なアーキテクチャ1400は、クランクシャフト160及び動力シャフト180が常に互いに結合されるように、クラッチを有さなくてもよい。様々な実施形態では、図14のアーキテクチャと同様の柔軟なアーキテクチャはまた、エンジン155の出力を最終的に動力シャフト180から解放可能に係合解除することができるように、クラッチを含んでもよい。様々な実施形態では、そのようなクラッチは、ばね連結器199と動力シャフト180との間に接続され得、又は動力シャフトは、複数のシャフトにクラッチを接続して複数のシャフトに分割してもよく、又はエンジン155の出力を発電機/モータ185を介して伝わる動力シャフト180の部分から選択的に係合解除することができるように、クラッチをエンジン155と発電機/モータ185との間のいずれかの場所に配置してもよい。様々な実施形態では、動力シャフト180を負荷(例えば、航空機の推進機構)から係合解除することができるように、追加的又は代替的に、発電機/モータ185の後にクラッチを位置付けしてもよい。
【0066】
さらに、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャが実際の航空機にどの様にパッケージ化及び/又は使用され得るかの例を以下に説明する。例えば、特定の航空機は推進システムを駆動するために電気モータを使用する場合があるため、それらの推進システムを駆動するために十分な機内電気エネルギを有する、又はそのような機内電気エネルギを生成する方法を備えている必要がある。さらに、特定の管轄区域の規制では、航空機の運用規制に準拠するために十分な予備エネルギが必要な場合もある。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、本明細書で説明するシステムが様々な電動航空機で動作できるように、推進システムにそのような電気エネルギ及び/又は予備エネルギを供給することができる。例えば、本明細書の実施形態は、広く入手可能な燃料源を使用して電動航空機に電力を供給できるように、ジェット燃料(又は他の液体燃料又はガス燃料)の電気への効率的な変換を提供する。
【0067】
図9は、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例の斜視図900を示す。このハイブリッドユニットは、様々な種類の航空機及び実施態様のコア発電プラント(powerplant)として使用することができる。図9のハイブリッドユニットは、図1A図1B図2A図2B、及び/又は図8に示して説明したいくつかの要素、全ての要素、及び/又は追加の要素を含み得る、緊密に統合された発電プラントである。
【0068】
さらに、ハイブリッドユニットは、ハイブリッドユニットの様々な態様、ハイブリッドユニットに関連する熱交換器、又はハイブリッドユニットの任意の態様に関するフィン付きアタッチメント等のヒートシンクを冷却する統合冷却システム905を含んでもよい。動力出力910は、回転動力がハイブリッドユニットから推進システム又は航空機の他の態様に出力されるように、動力シャフト(例えば、図1Aの動力シャフト110、図1B又は図8の動力シャフト180)であってもよく、又は動力シャフトに接続してもよい。電気コネクタ915は、本明細書で説明するように、電力を出力する(又は電力を入力する)ために使用してもよい。電気コネクタ915は、例えば、Amphenol Surlok Plus(商標)コネクタ又は同等品であってもよく、或いは他の任意のタイプの適切なコネクタであってもよい。このようにして、ハイブリッドユニットの直流(DC)バス等のメインバスは、電気コネクタ915(例えば、図1の電力入力/出力125、図2A又は図2Bの電力I/O245)を介して接続され得る。これら又は他のコネクタは、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、CAN2.0バス、及び/又はSAE J1939バスの使用等、ハイブリッドユニットの構成要素への接続及び制御を容易にすることもできる。このような通信バスは、250キロバイト/秒(kbps)、500kbps、1000kbps等の異なる速度で動作することができる。様々な実施形態では、電気コネクタ915及び/又は他のコネクタは、様々な種類の航空機と、それらの航空機が使用する通信及び電力システム等の所与の用途に合わせてカスタマイズすることができる。
【0069】
電力出力910及び電気コネクタ915のおかげで、図9のハイブリッドユニットは、電力出力910を介して機械的動力を出力し、及び/又はハイブリッドユニット内の電気コネクタ915及びDCバス(例えば、図1の電力入力/出力125、図2A又は図2Bの電力I/O245)を介して電力を出力することができる。同様に、機械的動力を動力出力910を介して受け取って電気コネクタ915を介して出力するための電気を生成するのと同様に、電力を電気コネクタ915を介して受け取って動力出力910を駆動することができる。例えば、航空機が1つ又は複数のバッテリを有している場合に、バッテリからの追加電力を電気コネクタ915を介して受け取って、動力出力910に加えられる動力(電力)を高めることができ、これにより、本明細書で説明するように、電力出力910がエンジンと航空機のバッテリからの電力との両方によって駆動されるようになる。
【0070】
図9のハイブリッドユニットは、エンジンを燃料源に接続するためのコネクタ925をさらに含むことができる。コネクタ925は、AN6クイック燃料接続等のクイック燃料接続であってもよい。このようにして、エンジンには燃料が供給されて、動力出力910に動力を供給し、及び/又は電気コネクタ915を介して出力される電気を生成することができる。図9のハイブリッドユニットは、ハイブリッドユニットを航空機に取り付けるための取付ハードウェア920をさらに含むことができる。図9では、取付ハードウェア920がハイブリッドユニットの上部に示されているが、他の実施形態では、取付ハードウェア920は、ハイブリッドユニットを航空機に所望通りに取り付けることができるように、ハイブリッドユニットの上部、底部、側面等のいずれかに追加的又は代替的に配置することができる。
【0071】
図10は、例示的な実施形態による図9の柔軟なアーキテクチャの例の上面図1000を示す。図11は、例示的な実施形態による図9の柔軟なアーキテクチャの例の側面図1100を示す。
【0072】
従って、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、電動航空機又はハイブリッド式電動航空機に電力を供給するために使用することができ、バッテリパック単独よりも優れた電力を提供することができる。例えば、図9図11に示されるようなハイブリッドユニットはバッテリよりも優れたエネルギ密度(例えば、5~7倍優れたエネルギ密度)を提供することができる。例えば、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、600~1200以上のワット時/キログラム(Wh/kg)以上の等価エネルギ密度を有し得る。また、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、他のシステムよりも優れた燃費(例えば、タービンエンジンよりも40%優れた燃費)を有利に有し、Jet-A、ディーゼル、灯油、バイオ燃料代替品、或いは他の適切な又は所望の燃料等の容易に入手可能な燃料を使用することができる。換言すれば、本明細書のハイブリッドユニットは、コンパクトなパッケージ内に、エンジン、発電機、インバータ、及び空冷を使用する熱管理を含むことができ、それによって、柔軟なアーキテクチャが搭載された航空機は、これらの構成要素を発電プラントとして有利に利用することができる。様々な電圧(例えば、400ボルト(V)、800V、1000V、1200V等)の出力がハイブリッド式アーキテクチャから供給されるだけでなく、他のアクセサリ又はシステム電源(例えば、28V)用の接続も有している。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、他のシステムよりも静か(例えば、タービンエンジンシステムよりも静か)であり得る。例えば、現在のシステムから100フィート以下の距離では、騒音が70デシベル(dB)未満になり得る。
【0073】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、拡張可能でもあり得る。例えば、より大型の航空機では、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャのうちの2つ以上を使用してもよい。この柔軟なアーキテクチャは、様々な機能及び目的に合わせて設計された様々な航空機にも使用することができる。例えば、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、電動式垂直離着陸(eVTOL)航空機、電動式短距離離着陸(eSTOL)航空機、従来の電動式離着陸(eCTOL)航空機等のアーバンエアモビリティ(UAM)システムにおいて有用であり得る。図9~11に示されるもの等の柔軟なアーキテクチャの一例は、以下の表1に示す仕様を有することができる。
【表1】
*最大バーストシャフトパワーはバッテリ構成に依存する。
**乾燥質量は、エンジン、発電機、インバータ、及び熱システムを含む。
【0074】
上に示したように、185kWのハイブリッドユニットを設けることができる。従って、370kWの電力を供給するために、所与の航空機に2つのハイブリッドユニットを設けることができる。
【0075】
図12は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャの別の例の斜視図1200を示す。図12の柔軟なアーキテクチャは、エンジン1205及び発電機を含むが、これらはシステムの冷却ダクト等の他の構成要素により隠れているか見えない。しかしながら、図9図11のハイブリッドユニットと同様に、機械的動力出力1210及び電気的出力1220(これらは両方ともオプションで同様に電力を受け取ることもできる)が提供される。
【0076】
このように、本明細書の様々な実施形態は、航空宇宙市場における様々な異なるタイプの航空機に組み込むことができるハイブリッド式発電プラントを提供する。そうすることで、航空機メーカーは、航空機に電力を供給するためのエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムで構成される独自のシステムを構築する必要がなくなる可能性がある。発電システムを形成し、それを航空宇宙規格に適合させるための開発プロセスには4年以上かかり、1,000万ドル以上の費用がかかる可能性があるため、これは有利となり得る。
【0077】
このように、本明細書で説明するハイブリッド式発電プラント又は柔軟なアーキテクチャは、航空機の設計とは切り離して設計、製造等することができる。柔軟なアーキテクチャのいくつかの態様は、航空機メーカーの要望に応じてカスタマイズできるが、システム全体の再設計又は再構成を生じさない方法でカスタマイズすることができる。従って、本明細書の実施形態は、航空機に搭載される1つのパッケージ内にエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムを含める統合ユニットを提供する。これらの要素を単一のスタンドアロンユニットに組み合わせると、そのユニットがシステムとして連邦航空局(FAA)の認証プロセスを通過できるようになり、さらに有利になる。そうすれば、複数の航空機メーカーが認証システムを使用できるようになり、航空機開発者の認証の負担及び開発の負担が軽減されるだけでなく、複数の航空機メーカーが自社の航空機用に特別に設計した多くの異なる発電システムの認証を取得する必要がなくなり、効率が向上する。
【0078】
エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムを有する複合ユニットを提供することにより、本明細書で説明するハイブリッド式の柔軟なアーキテクチャは、個別の構成要素としてではなくシステム全体として最適化され得る。部分の最適化ではなく、システム全体を最適化する。さらに、このようなハイブリッドユニットは複数の航空機設計で使用され得るが、航空機設計プロセスの一部として設計されたシステムは、他の場所で再適用することが難しいように構成される。複数の市場セグメント及び共通の電力要件を有する航空機設計に適用できるハイブリッドユニットを搭載すると、航空機の主要部品(例えば、ハイブリッドユニット又は柔軟なアーキテクチャ等)が既に認証され、生産される航空機の開発が迅速化される。
【0079】
航空用のハイブリッド電気システムは、歴史的に、各用途/航空機に対してゼロから設計されてきた。このようなプロセスは非効率的であり、本明細書の実施形態によって対処される。例えば、一部の航空機には、その航空機用に特別に設計された独自の発電プラントが搭載されている。このような解決策には、カスタムエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム、冷却システム、バッテリパック、推進モータ、及び/又はプロペラが含まれ得る。本明細書の実施形態は、航空機の動力及び推進システム内の2つの別個の半分、すなわちパワートレイン(本明細書で説明するハイブリッド式パワートレイン等)の上流端及び下流端のうちの半分を構成することができる、航空機用のコンパクトなハイブリッドシステムを提供する。
【0080】
図13は、例示的な実施形態による、航空機1300を推進するための下流側部品1305、1310及び上流側部品1315、1320の例を示す。例えば、航空機システムの下流側部品1305、1310は、航空機の特定の設計により関連するモータ、ロータ/プロペラ、姿勢制御部品等を含み得る。異なる航空機内で反復可能であり得る航空機の上流側部品1315、1320は、エンジン、発電機、バッテリ、配電、燃料、発電機騒音軽減等のいずれかを含み得る。
【0081】
具体的には、パワートレインの上流端は、電力の生成を担うハイブリッド式パワートレイン要素を含むことができる。このような構成要素には、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム(上流の発電構成要素用)、冷却システム(上流側部品用)、バッテリパック、及び/又は燃料が含まれ得る。パワートレインの下流端には、電力を推力、姿勢制御、及び/又は空力学のアクティブ制御に変換する役割を担うハイブリッド式パワートレイン要素が含まれ得る。これらの下流側部品には、電気モータ、プロペラ、モータコントローラ、及び/又は推進システムのための制御システムがさらに含まれ得る。
【0082】
そのため、同様のサイズ及び総電力要件を有する非常に異なる電動航空機設計に亘って共通の上流側パワートレインのニーズが存在し得る。ただし、下流側パワートレインは航空機の間で一貫性が殆どないため、これらの構成要素は上流側構成要素のように多くの航空機設計で機能するように標準化されていない可能性がある。さらに、標準化に役立つ上流側要素には、総エネルギ要件ではなく電力要件に関連する構成要素が含まれ得る。エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムの場合に、上流側パワートレインのこれらの要素は、航空機の特定の電力要件(kW又はhp)に適合するようにサイズ決めすることができる。ただし、燃料の量とバッテリパックのサイズとが総エネルギ要件(kWh又はhp hr)によって決まる場合があり、これらは航空機毎に異なる場合がある。このような実施形態では、航空機設計の要件に適合するように燃料タンクのサイズを変更することによって燃料の体積を調整することができ、kWh単位でのバッテリパックの容量は、バッテリパック内のセルの並列スタックの数を調整するか、又は追加のバッテリパックを追加することによって調整することができる。
【0083】
従って、本明細書では、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム(発電システム用)、及び/又は冷却システムを、重量効率及びスペース効率の高い方法で緊密に統合するハイブリッド式発電プラントを供給するための実施形態を提供し、そのハイブリッド式発電プラントは、航空機から分離可能な、推進力を提供するように設計されたスタンドアロンユニットとして認証され得る。
【0084】
さらに、本明細書で説明するように、発電機内のロータは、ハイブリッド式発電プラントの文脈において複数の目的を果たすように最適化することができる。従来の内燃機関は、動作の滑らかさを高めるために、回転シャフトにフライホイール質量が取り付けられている場合がある。ただし、航空宇宙システムの文脈では、余分な質量を追加することは好ましくない場合がある。本明細書で説明するように、エンジンがハイブリッド式発電プラントの発電機に結合される場合に、発電機のロータは、エンジンからのトルクインパルスに耐えるように設計され得、エンジンが動作を滑らかにするために利用する回転質量となるように設計され得る。
【0085】
さらに、補助電力ユニットは従来技術で知られているが、これらのシステムは、航空機の主な推進力源としてとは異なる目的のために設計されている場合があり、従って、推進に使用するために必要である規格に認証することができる制御システムを有していない可能性がある。さらに、このようなシステムは冷却システムなしで設計することもでき、その点は機体設計者に委ねられる。そのため、これらのシステムはパート33(航空機発電プラントに関するFAA規制)の認定を受けていない。また、これらの補助電力ユニットシステムは、飛行の全ての段階で使用される高効率の推進システムではなく、断続的に使用される軽量の補助システムとして設計される。さらに、補助電力ユニットは交流(AC)電力を生成するように設計され得るが、本明細書で説明するハイブリッド式発電プラントは直流(DC)電力を生成することができるため、ハイブリッド式発電プラントは、バッテリパックがDC電源を使用して電力供給及び充電されるので、大型の推進用バッテリパックに結合され得る。
【0086】
タービン発電機は、ハイブリッド電力用に提案されている適合型補助電力ユニットの一種である。このようなシステムには、ハイブリッド式発電プラントの一部である冷却システムを機体開発者に提供する冷却システムの統合を欠いている。そのため、機体開発者は、タービン発電機の使用に伴う独自の冷却システムを設計する必要があり得る。本明細書の実施形態を使用すると、そのような冷却システムが本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャに既に含まれているため、本明細書で説明するハイブリッド式発電プラントを冷却するための別個の冷却システムを特定の機体用に設計又は開発する必要がなくなるという利点があり得る。
【0087】
そのため、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電プラントは、液体燃料(又は気体燃料)を回転機械動力に変換するエンジン、回転機械動力を電気に変換するように構成されたエンジンに結合された発電機、及び/又は発電機の直接AC出力を高電圧DC電力に変換するように構成された発電機に結合されたパワーエレクトロニクスを有利に提供する。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電プラントは、航空機の電力需要を満たすために、航空機のメイン推進電気バスの電力需要に適合するようにエンジンの動力出力を変更するように構成された制御システムをさらに有利に提供する。
【0088】
本明細書で説明するハイブリッド式発電プラント制御システム、パワーエレクトロニクス、発電機、及び/又はエンジン設計は、航空宇宙推進システムの信頼性に関する規制要件にさらに準拠することができる(例えば、故障の確率は10-6未満又は10のマイナス6乗でなければならない)。柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電プラントは、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントが乗り物(vehicle)レベルの飛行制御システムと通信して、推進力コマンドを乗り物レベルの飛行制御システムからハイブリッド式発電プラント制御システムに提供するのを可能にする制御インターフェイスをさらに含むことができ、ハイブリッド式発電プラント制御システムがステータスメッセージを乗り物レベルの飛行制御システムに送り返す(例えば、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントの制御に使用するためのフィードバック)ことも有利に提供することができる。柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電プラントは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電プラントの動作出力の全範囲に亘って、発電機、パワーエレクトロニクス、及び/又はエンジンの温度範囲を維持する冷却システムをさらに含むことができる。
【0089】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントの様々な実施形態は、エンジントルクを変化させることによって動力出力を変化させる、及び/又は動力出力のかなりの範囲に亘って毎分回転数(RPM)を実質的に一定に維持する制御システムをさらに含むことができる。このような実施形態は、システムの回転慣性に関するスロットル遅れ及びより長い応答時間を排除することによって、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントのより速い応答を提供することができる。
【0090】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントの様々な実施形態は、エンジンの動力出力の一部を機械的なシャフト動力として提供し、一部をDC電力として提供するオプションをさらに含むことができる。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントの様々な実施形態は、エンジンがピストンエンジン、ディーゼルピストンエンジン、タービンエンジン、ロータリエンジン、又は他の形態の燃焼機関であり得る実施形態をさらに含み得る。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントの様々な実施形態は、発電機のロータがエンジンのフライホイールとなるように設計される例をさらに含み得る。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電プラントの様々な実施形態は、本明細書で説明するいくつかのタイプの並列ハイブリッド設備においてエンジンが停止している間に発電機をモータとして動作させることができるように、エンジンと発電機との間にクラッチをさらに含んでもよい。
【0091】
図15は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、又は命令を実行する能力を有する他の同様の装置等の汎用コンピューティングシステム環境100を含むコンピューティング環境の一例の線図であり、そのような命令は非一時的なコンピュータ可読媒体内に保存される。本明細書で開示する様々なコンピューティング装置(例えば、プロセッサ/コントローラ205、航空機メインコントローラ220、プロセッサ/コントローラ280、又はこれらのコントローラと通信する任意の他のコンピューティング装置、コントローラは、航空機に搭載されているか、航空機から離れているかにかかわらず、航空機の他の構成要素又は航空機の制御システムの一部であってもよい)は、コンピューティングシステム100と同様であってもよく、又はコンピューティングシステム100のいくつかの構成要素を含んでもよい。また、単一のコンピューティングシステム100の文脈で説明し図示しているが、当業者であれば、以下に説明する様々なタスクが、ローカル又はワイドエリアネットワークを介してリンクされた複数のコンピューティングシステム100を有する分散環境で実施できることも理解されよう。そして、実行可能命令は、複数のコンピューティングシステム100のうちの1つ又は複数に関連付けられ、及び/又はそれによって実行され得る。
【0092】
その最も基本的な構成では、コンピューティングシステム環境100は、典型的に、バス106を介してリンクされ得る少なくとも1つの処理ユニット102及び少なくとも1つのメモリ104を含む。コンピューティングシステム環境の正確な構成及びタイプに応じて、メモリ104は、揮発性(RAM110等)、不揮発性(ROM108、フラッシュメモリ等)、又はこれら2つの組合せであってもよい。コンピューティングシステム環境100は、追加の特徴及び/又は機能を有することができる。例えば、コンピューティングシステム環境100は、磁気ディスク又は光ディスク、テープドライブ及び/又はフラッシュドライブを含むがこれらに限定されない追加の記憶装置(リムーバブル及び/又は非リムーバブル)を含むこともできる。このような追加のメモリ装置は、例えば、ハードディスク駆動インターフェイス112、磁気ディスク駆動インターフェイス114、及び/又は光ディスク駆動インターフェイス116によって、コンピューティングシステム環境100にアクセス可能にすることができる。理解されるように、これらの装置は、それぞれシステムバス306にリンクされ、ハードディスク118に対する読み書き、リムーバブル磁気ディスク120に対する読み書き、及び/又はCD/DVD ROM又は他の光媒体等のリムーバブル光ディスク122に対する読み書きを可能にする。駆動インターフェイス及びそれらに関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータシステム環境100のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及び他のデータの不揮発性記憶を可能にする。さらに、当業者であれば、データを保存できる他のタイプのコンピュータ可読媒体がこの同じ目的に使用できることを理解するだろう。このような媒体装置の例には、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ、ナノドライブ、メモリスティック、他の読み取り/書き込み及び/又は読み取り専用メモリ、及び/又はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ等の情報を保存するための他の方法又は技術含まれるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ記憶媒体はいずれも、コンピューティングシステム環境100の一部であってもよい。
【0093】
多くのプログラムモジュールが、1つ又は複数のメモリ/媒体装置に格納され得る。例えば、起動中等、コンピューティングシステム環境100内の要素同士の間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)124は、ROM108に記憶され得る。同様に、RAM110、ハードドライブ118、及び/又は周辺メモリ装置は、オペレーティングシステム126、1つ又は複数のアプリケーションプログラム128(例えば、本明細書に開示する機能を含み得る)、他のプログラムモジュール130、及び/又はプログラムデータ122を含むコンピュータ実行可能命令を記憶するために使用され得る。さらに、コンピュータ実行可能命令は、必要に応じて、例えばネットワーク接続を介してコンピューティング環境100にダウンロードしてもよい。
【0094】
エンドユーザは、キーボード134及び/又はポインティング装置136等の入力装置を介して、コンピューティングシステム環境100にコマンド及び情報を入力することができる。図示していないが、他の入力装置には、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナ等が含まれ得る。これら及び他の入力装置は、典型的に、バス106に結合される周辺インターフェイス138によって処理ユニット102に接続される。入力装置は、直接的又は間接的に、例えば、パラレルポート、ゲームポート、ファイアワイヤ、又はユニバーサルシリアルバス(USB)等のインターフェイスを介してプロセッサ102に接続され得る。コンピューティングシステム環境100からの情報を見るために、ビデオアダプタ132等のインターフェイスを介して、モニタ140又は他のタイプの表示装置をバス106に接続してもよい。モニタ140に加えて、コンピューティングシステム環境100は、スピーカ及びプリンタ等、図示していない他の周辺出力装置も含み得る。
【0095】
コンピューティングシステム環境100は、1つ又は複数のコンピューティングシステム環境への論理接続を利用することもできる。コンピューティングシステム環境100とリモートコンピューティングシステム環境との間の通信は、ネットワークルーティングを担当するネットワークルータ152等の更なる処理装置を介して交換され得る。ネットワークルータ152との通信は、ネットワークインターフェイス構成要素154を介して実行され得る。こうして、そのようなネットワーク環境、例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、LAN、又は他の同様のタイプの有線又は無線ネットワーク内では、コンピューティングシステム環境100に関して示したプログラムモジュール、又はその一部が、コンピューティングシステム環境100のメモリ記憶装置に記憶され得ることが理解されよう。
【0096】
コンピューティングシステム環境100は、コンピューティングシステム環境100の位置を決定するための位置特定ハードウェア186を含むこともできる。場合によっては、位置特定ハードウェア156は、例えば、GPSアンテナ、RFIDチップ又はリーダー、WiFiアンテナ、又はコンピューティングシステム環境100の位置を決定するために使用され得る信号を捕捉又は送信するために使用され得る他のコンピューティングハードウェアを含み得る。
【0097】
本開示は特定の実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲に明示的に記載している場合を除き、特許請求の範囲はこれらの実施形態に限定されることを意図していないことが理解されよう。逆に、本開示は、本開示の精神及び範囲内に含まれ得る代替物、修正物及び均等物を網羅することを意図している。さらに、本開示の詳細な説明では、開示した実施形態の完全な理解を与えるために、多くの特定の詳細を記載している。しかしながら、当業者には、本開示と一致するシステム及び方法が、これらの特定の詳細がなくても実施し得ることが明らかであろう。他の場合には、本開示の様々な態様を不必要に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素、及び回路については詳細に説明していない。
【0098】
本開示の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ又はデジタルシステムメモリ内のデータビットに対する操作の手順、論理ブロック、処理、及び他の記号表現に関して提示されている。これらの説明及び表現は、データ処理技術の当業者がその仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。手順、論理ブロック、プロセス等は、本明細書では、そして一般に、所望の結果につながるステップ又は命令の自己一貫性のあるシーケンスであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。必ずではないが、通常、これらの物理的操作は、コンピュータシステム又は同様の電子計算装置で保存、転送、結合、比較、他に操作が可能な電気又は磁気データの形式をとる。便宜上の理由から、一般的な使用法を参照して、このようなデータは、現在開示している様々な実施形態に関して、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字等と呼ばれる。
【0099】
しかしながら、これらの用語は物理的な操作及び量を指すものとして解釈すべきであり、当技術分野で一般的に使用される用語を考慮してさらに解釈すべき単なる便宜的なラベルであることに留意すべきである。特に明記しない限り、本明細書の議論から明らかなように、本実施形態の議論を通じて、「決定する」、又は「出力する」、又は「送信する」、又は「記録する」、又は「位置特定する」、又は「記憶する」、又は「表示する」、又は「受信する」、又は「認識する」、又は「利用する」、又は「生成する」、又は「提供する」、又は「アクセスする」、又は「確認する」、又は「通知する」又は「配信する」等の用語を利用した議論は、データを操作及び変換するコンピュータシステム又は同様の電子計算装置の動作及びプロセスを指す理解される。データは、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理的(電子)量として表され、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、又は本明細書で説明する又はそうでなければ当業者には理解される他のそのような情報記憶装置、送信装置、又は表示装置内で同様に物理量として表される他のデータに変換される。
【0100】
例示的な実施形態では、本明細書で説明する動作のいずれも、コンピュータ可読媒体又はメモリに格納されたコンピュータ可読命令として少なくとも部分的に実装され得る。プロセッサによってコンピュータ可読命令が実行されると、コンピュータ可読命令はコンピューティング装置に動作を実行させることができる。
【0101】
例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示したものである。その説明は、開示した正確な形態に関して網羅的又は限定的なものではなく、上記の教示に照らして、又は開示した実施形態の実践から修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって規定されることを意図している。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】