(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】航空機の航続距離延長エネルギポッド(REEP)
(51)【国際特許分類】
B64D 27/33 20240101AFI20240209BHJP
B64D 27/357 20240101ALI20240209BHJP
【FI】
B64D27/33
B64D27/357
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550177
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 US2022017379
(87)【国際公開番号】W WO2022178452
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520051953
【氏名又は名称】ヴェルデゴ エアロ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,リチャード パット
(72)【発明者】
【氏名】スピッツァー,デイヴィッド エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】カッセルズ,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】バーチュ,エリック リチャード
(57)【要約】
航空機のエネルギ源は、エンクロージャと、エンジンと、発電機と、燃料をエンジンに供給するように構成された少なくとも1つの燃料タンクと、発電機によって生成された電力を航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに出力するための電気コネクタを含む。エンジン、発電機、及び少なくとも1つの燃料タンクはそれぞれエンクロージャ内に収容される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のエネルギ源であって、当該エネルギ源は、
エンクロージャと、
エンジンと、
発電機と、
燃料を前記エンジンに供給するように構成された少なくとも1つの燃料タンクと、
前記航空機の推進システムに電力を出力するための電気コネクタと、を含み、
前記電力は、前記発電機によって生成され、前記航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに出力され、
前記エンジン、前記発電機、及び前記少なくとも1つの燃料タンクはそれぞれ前記エンクロージャ内に収容され、
前記航空機の前記推進システムは、当該エネルギ源の前記エンクロージャ内にない、
エネルギ源。
【請求項2】
当該エネルギ源は第1のエネルギ源であり、
前記航空機の前記推進システムは推進モータを含み、
前記航空機は、前記第1のエネルギ源とは別の第2のエネルギ源を含み、
前記航空機の発電装置は、飛行可能であり、前記第1のエネルギ源の使用の有無にかかわらず、前記第2のエネルギ源を使用して前記推進モータに電力を供給するように構成される、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項3】
前記推進システムは、当該エネルギ源が前記航空機に取り付けられる位置以外の、前記航空機の他の場所に配置される、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項4】
前記発電機の推進システムによって生成された前記電力は、前記航空機の前記推進システムに供給される前に、前記航空機の配線又は前記電気バスを通過し、前記航空機の前記配線又は前記電気バスは、当該エネルギ源のエンクロージャ内にない、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項5】
前記航空機の前記少なくとも1つの電気部品又は前記電気バスは、前記航空機の推進電気モータ又は推進バッテリのうちの少なくとも1つに接続される、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項6】
当該エネルギ源は、前記航空機の1つ又は複数のバッテリによって電力が供給される同じ推進モータに電力を供給するように構成され、前記1つ又は複数のバッテリは、当該エネルギ源の前記エンクロージャ内に収容されない、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項7】
前記電気コネクタを介して出力される前記電力は、直流(DC)電力又は交流(AC)電力である、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項8】
前記電気コネクタは、前記航空機の対応する電気コネクタに取り外し可能に接続可能である、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項9】
前記発電機は、前記エンジンが前記発電機のシャフトに接続されたシャフトを回転させるときに電気を発生させるように構成される、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項10】
前記エンジンは、ロータリエンジン、タービンエンジン、又はピストン燃焼エンジンである、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項11】
前記少なくとも1つの燃料タンクは第1の燃料タンク及び第2の燃料タンクを含み、前記第1の燃料タンク及び前記第2の燃料タンクは、前記エンクロージャを前方から後方に2等分する軸線の反対側に向き合わせされる、請求項10に記載のエネルギ源。
【請求項12】
前記エンクロージャ内に収容された騒音低減チャンバをさらに含み、該騒音低減チャンバは、空気が前記騒音低減チャンバを通過できるように構成された複数のチャネルを含む、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項13】
前記複数のチャネルの壁が、排気中に存在する騒音又は振動を吸収するように構成され、さらに、前記壁は騒音減衰材料から形成される、請求項12に記載のエネルギ源。
【請求項14】
前記騒音低減チャンバ内の前記壁は互いに実質的に平行である、請求項13に記載のエネルギ源。
【請求項15】
前記騒音低減チャンバは、前記エンジンと前記エンクロージャの排気口との間の流体経路内に配置される、請求項12に記載のエネルギ源。
【請求項16】
前記エンクロージャ内に収容された空冷システムをさらに含み、該空冷システムは、前記エンジンからの動力出力によって機械的に駆動されるファン又はブロワを含む、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項17】
前記ファン又はブロワは、
前記エンジン又は前記発電機の少なくとも1つの構成要素、又は
前記エンジン又は前記発電機のうちの少なくとも1つの構成要素を冷却するように構成された熱交換器又はフィン付きヒートシンクのうちの少なくとも1つを含む冷却素子
に向けて空気を導くように構成される、請求項16に記載のエネルギ源。
【請求項18】
前記ファン又はブロワは、前記エンクロージャ内に収容された少なくとも2つの異なる空気ダクトを通して空気を導くように構成される、請求項16に記載のエネルギ源。
【請求項19】
前記少なくとも2つの異なる空気ダクトは、
前記エンジンのシリンダ冷却部品、
エンジンオイルの熱交換器、
前記発電機、又は
ターボチャージャの給気冷却器
のうちの少なくとも2つに空気を導くように構成される、請求項18に記載のエネルギ源。
【請求項20】
前記シリンダ冷却部品、前記熱交換器、及び/又は前記給気冷却器のそれぞれが、前記エンクロージャ内に収容される、請求項19に記載のエネルギ源。
【請求項21】
当該エネルギ源は、前記航空機の翼に取り付けられるように構成される、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項22】
当該エネルギ源は、前記航空機の翼の下側に取り付けられるように構成される、請求項21に記載のエネルギ源。
【請求項23】
前記電気コネクタの配線が、当該エネルギ源の前記エンクロージャの外側を通過する、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項24】
前記航空機からの当該エネルギ源の非破壊的な取り外しを可能にするように構成された取付ハードウェアをさらに含む、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項25】
前記航空機からの当該エネルギ源の破壊的な取り外しのみを可能にするように構成された取付ハードウェアをさらに含む、請求項1に記載のエネルギ源。
【請求項26】
航空機に第1のエネルギ源を使用するための方法であって、当該方法は、
前記第1のエネルギ源を前記航空機に取り付けるステップであって、
前記第1のエネルギ源はエンジン及び発電機を含み、
前記エンジン及び前記発電機はそれぞれエンクロージャ内に収容されており、
前記航空機は、該航空機の推進モータに電力を供給するように構成された第2のエネルギ源を含み、
該第2のエネルギ源は、前記第1のエネルギ源の前記エンクロージャ内に配置されていない、ステップと、
前記第1のエネルギ源の第1の電気コネクタを前記航空機の第2の電気コネクタに接続するステップと、
前記第1のエネルギ源の前記発電機から、前記第1及び第2の電気コネクタを介して前記航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに電力を出力するステップと、を含み、
前記少なくとも1つの電気部品又は前記電気バスは前記航空機の推進モータに接続され、さらに、前記航空機の前記推進モータは、前記第1のエネルギ源を使用せずに前記第2のエネルギ源によって電力を供給されるように構成される、
方法。
【請求項27】
前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタは制御配線をさらに含み、さらに、当該方法は、前記第1のエネルギ源のコントローラにおいて前記航空機のコントローラから、前記第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタを介してスロットル制御信号又は電力要求信号を受信するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のエネルギ源は、前記第1のエネルギ源を前記航空機とは別の別の電力消費装置に接続するための第3の電気コネクタをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のエネルギ源から前記航空機前記の少なくとも1つの電気部品又は前記電気バスに電力がもはや出力されなくなるように、前記第1のエネルギ源の電源を切るステップと、
前記第1のエネルギ源の前記第1の電気コネクタを前記航空機の前記第2の電気コネクタから接続解除するステップと、
前記航空機から第1のエネルギ源を取り外すステップと、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のエネルギ源を前記航空機から取り外した後に、前記航空機は飛行可能となる、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連する特許出願の相互参照
本願は、2021年11月17日に出願した米国仮特許出願第63/280,615号、2021年3月19日に出願した米国仮特許出願第63/163,165号、及び2021年2月21日に出願した米国仮特許出願第63/151,760号の利益を主張するものであり、それぞれ出願の内容全体が参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、航空機の航続距離延長エネルギポッド(Range Extending Energy Pod)(REEP)に関する。
【0003】
物品又は人を輸送したり、趣味として使用したりするために、様々な種類の航空機が使用され得る。様々な種類の航空機は、燃料容量、航空機の種類、エンジン又は他の推進システムの種類、気象条件等に基づいて、航続距離(range)を特定することができる。その航続距離は、その航空機が与えられた条件下でどのくらいの距離を安全に飛行できるかを示し得る。航空機を特定の航続距離を超えて飛行させようとすると、航空機は安全に動作しない可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、航空機のエネルギ源は、エンクロージャと、エンジンと、発電機と、燃料をエンジンに供給するように構成された少なくとも1つの燃料タンクと、発電機によって生成された電力を航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに出力するための電気コネクタとを含む。エンジン、発電機、及び少なくとも1つの燃料タンクはそれぞれエンクロージャ内に収容される。
【0005】
一実施形態では、航空機に取り外し可能なエネルギ源を使用するための方法は、取り外し可能なエネルギ源を航空機に取り付けるステップを含む。取り外し可能なエネルギ源はエンジン及び発電機を含み、エンジン及び発電機はそれぞれエンクロージャ内に収容される。この方法は、取り外し可能なエネルギ源の第1の電気コネクタを航空機の第2の電気コネクタに接続するステップをさらに含む。この方法は、取り外し可能なエネルギ源の発電機から航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに電力を出力するステップをさらに含む。
【0006】
一実施形態では、航空機のエネルギ源は、エンクロージャと、エンジンと、発電機と、エネルギ源を航空機に取り付けるための取付ハードウェアとを含む。航空機のエネルギ源は、発電機によって生成された電力を航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに出力するための電気コネクタをさらに含む。エンジン及び発電機はエンクロージャ内に収容される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な実施形態による航続距離延長エネルギポッド(REEP)を有する航空機の斜視図である。
【
図2】例示的な実施形態による例示的な航続距離延長エネルギポッド(REEP)の斜視図である。
【
図3】例示的な実施形態による、
図5のREEPの側面図である。
【
図4】例示的な実施形態による、
図5のREEPの正面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、
図5のREEPの斜視図であり、REEPのエンクロージャが部分的に透明であることを示す。
【
図6】例示的な実施形態による、別の航続距離延長エネルギポッド(REEP)の斜視図であり、REEPのエンクロージャが部分的に透明であることを示す。
【
図7】例示的な実施形態による、
図6のREEPの正面図である。
【
図8A】例示的な実施形態による、
図6のREEPの側面図である。
【
図8B】例示的な実施形態による、REEPを使用する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図9A】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
【
図9B】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの追加の例を示す図である。
【
図10A】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャとともに使用するための第1の航空機制御システムを表すブロック図である。
【
図10B】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャとともに使用するための第2の航空機制御システムを表すブロック図である。
【
図11】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用することができる航空機の第1の例を示す図である。
【
図12】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用することができる航空機の第2の例を示す図である。
【
図13】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用することができる航空機の第3の例を示す図である。
【
図14】例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第1の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図15】例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第2の例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図16A】例示的な実施形態による、フライホイールを有する航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
【
図16B】例示的な実施形態による、フライホイール及びばね連結器を有する航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例を示す図である。
【
図17】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例の斜視図である。
【
図18】例示的な実施形態による、
図17の柔軟なアーキテクチャの例の上面図である。
【
図19】例示的な実施形態による、
図17の柔軟なアーキテクチャの例の側面図である。
【
図20】例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの別の例の斜視図である。
【
図21】例示的な実施形態による、航空機を推進するための下流側部品及び上流側部品の例を示す図である。
【
図22】例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電装置の冷却システムの例の概略図である。
【
図23】例示的な実施形態による、冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例を示す図である。
【
図24】例示的な実施形態による、
図23の冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例の断面図である。
【
図25】例示的な実施形態による、
図23の冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例の部分断面斜視図である。
【
図26】例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電装置の冷却システムの第2の例の概略図である。
【
図27】例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電装置の冷却システムの第3の例の概略図である。
【
図28】例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電装置の冷却システムの第4の例の概略図である。
【
図29】例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電装置の冷却システムの第5の例の概略図である。
【
図30】例示的な実施形態による、冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例の上面図である。
【
図31】例示的な実施形態による、
図30のA-A線に沿った断面図であり、
図30のハイブリッド式発電装置の例を示す。
【
図32】例示的な実施形態による、
図31のB-B線に沿った断面図であり、
図30のハイブリッド式発電装置の例を示す。
【
図33】例示的な実施形態による、
図30のハイブリッド式発電装置の例の代替図であり、エンジンの冷却フィンの詳細を示す。
【
図34】例示的な実施形態による、冷却システムを備えた
図30のハイブリッド式発電装置の例の側面図である。
【
図35】例示的な実施形態による、直流(DC)バスに安定した電圧を提供するシステムの例の線図である。
【
図36】例示的な実施形態による、航空機レベルのコントローラからの通信に基づいて安定したDCバス電圧を維持するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図37】例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電機レベルのコントローラによる測定に基づいて安定したDCバス電圧を維持するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図38】例示的な実施形態による、コンピューティング環境の例の線図である。
【
図39】例示的な実施形態による、騒音低減部品を有するエンクロージャの側断面図である。
【
図40A】例示的な実施形態による、騒音低減部品を内部に有する例示的なエンクロージャの給気口を示す正面斜視図である。
【
図40B】例示的な実施形態による、
図40Aの例示的なエンクロージャを示す側面図である。
【
図40C】例示的な実施形態による、
図40Aの例示的なエンクロージャを示す背面図である。
【
図40D】例示的な実施形態による、
図40Aの例示的なエンクロージャを示す上面図である。
【
図41】例示的な実施形態による、
図40Aのエンクロージャの排気口を示す背面斜視図である。
【
図42】例示的な実施形態による、
図40Aのエンクロージャの騒音低減チャンバ内の騒音低減チャネルの上面斜視図である。
【
図43】例示的な実施形態による、騒音低減部品を内部に有する別の例示的なエンクロージャの上面斜視図である。
【
図44】例示的な実施形態による、
図43のエンクロージャの側面図である。
【
図45】例示的な実施形態による、
図43のエンクロージャの正面図である。
【
図46】例示的な実施形態による、
図43のエンクロージャの斜視図であり、エンクロージャが部分的に透明であることを示す。
【
図47】例示的な実施形態による、エンクロージャの別の例の斜視図であり、エンクロージャが、部分的に透明であり、騒音低減部品を内部に有することを示す。
【
図48】例示的な実施形態による、
図47のエンクロージャの上面図である。
【
図49】例示的な実施形態による、
図47のエンクロージャの側面図である。
【
図50】例示的な実施形態による、
図47のエンクロージャの背面図である。
【
図51】例示的な実施形態による、エンクロージャを不透明として示すことを除いて、
図47と同様のエンクロージャの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
今日の航空業界は、電動推進装置の広範な採用による革命を経験している。世界中で多くの乗り物(vehicles)が開発中であるが、推進、上昇、制御に使用されるファン/プロペラ/ロータへの電力供給は、機械シャフトではなく電線を介して行われる。電力をその発電及び蓄積装置から離れた場所に送るための電気の使用は、多くの新しい設計に関する設計因子である。
【0009】
電動推進は、システム電圧、エネルギ、及び電力という3つの重要な因子に依存する。エネルギは総蓄積容量(キロワット時又はkWhで測定される)であり、電力はエネルギの流れの尺度(kWで測定される)である。さらに、分散型電気推進を使用する多くの新世代航空機は、電力及びエネルギの蓄積及び伝送について直流(DC)に依存し得る。
【0010】
電気エネルギを蓄積し電力を供給するための一般的な装置はバッテリパックである。バッテリの場合に、エネルギの変換には化学が関与する。エネルギ又は電力は、蓄積のためにバッテリパックに加えられ(その結果、化学変化が起こる)、その後、必要に応じて使用するために逆反応でバッテリパックから抽出される。エネルギ又は電力の蓄積に使用される別の装置は、スーパーキャパシタ又はウルトラキャパシタである。これらの装置は非常に高い電力レベルを送ることができるが、特定の製品重量に対して総エネルギ蓄積量が非常に少ないため、航空機の一次エネルギ蓄積装置として選択されることは殆どない。
【0011】
バッテリパックは、モジュール内に配置された個々のセルから構成し、さらに複数のバッテリモジュール又はパックから構成されるバッテリパックに配置してもよい。安全規制及び性能要件により、バッテリ管理システム(複数回の充電/放電サイクルを通じてバランスのとれたセル電圧を維持するため)、冷却システム、火災又は他の化学製品/ガスの望ましくない放出の場合の通気、及び/又は安全回路の使用が必要になり得る。これら全てのサポートシステムがバッテリパックの総質量に寄与し得る。多くの場合に、有人航空機での安全な運用に適した完全なバッテリパックの比エネルギ(1キログラムあたりのワット時(Wh/kg)で測定される)は、航空機の設計及び航空機の与えられたミッションで必要とされ得るエネルギよりもはるかに低くなる。つまり、現在のバッテリは、今日の多くの航空機設計、及び/又は今日の航空機で実施されることが望まれる多くのミッション/飛行計画にとっては重過ぎる可能性がある。
【0012】
本明細書では、バッテリの低い比エネルギの問題に対処するのに役立つハイブリッド式発電機(hybrid-electric gensets)について説明する。特に、液体燃料の高いエネルギ密度をエンジンで使用してシャフト動力に変換し、発電機を使用してその動力を電気に変換することができる。このようにして、航空機に搭載される燃料の量によっては、システム全体の比エネルギがバッテリよりもはるかに大きくなる可能性がある。本明細書で説明するように、本願の様々な実施形態のハイブリッド式発電機は、バッテリの比エネルギ(単位質量当たりのエネルギ)の6倍(6X)を超えて、所望の電力レベルで供給することができる。
【0013】
これらのハイブリッド式発電機は、航空機とハイブリッド式発電機との間の物理的マウント、配線、液体燃料貯蔵、及び空気流のインターフェイス及び相互作用のための構成要素を含むことができる。場合によっては、航空機は、内部発電機の追加に関する設計規定がなく、エネルギのバッテリ蓄積に関する計画のみが含まれて完成し得る。そのため、特定の状況では、航空機の主要な部分を再設計することなく、補助的なエネルギ又は電力を確保することが望ましい場合がある。そのため、航続距離延長エネルギポッド(REEP)が利用可能であれば、非常に役立つ。本明細書で説明するREEPは、物理的なアイテムの取り付けと電気的接続という、外部バッテリと全く同じ機能を行うことができる。
【0014】
そのため、航空機の航続距離延長エネルギポッド(REEP)の様々な実施形態について本明細書で説明する。REEPは、単一のコンパクトなパッケージ又はエンクロージャ内にハイブリッド式発電装置及び/又は他の様々な所望の要素を含むことができる。エンクロージャ内には、エンジン、発電機、1つ又は複数の燃料タンク等、及び電動航空機に電力を供給するための他のあらゆるものが含まれ得る。そのため、REEPは、追加の電力が必要なときはいつでも、航空機に取り外し可能に接続できるという利点がある。例えば、一部の航空機は特定の制限された航続距離を有する場合がある。しかしながら、本明細書で説明するREEPは、そのような航空機に取り付けられ、追加の電力を供給し、それにより航空機の航続距離を延ばすことができる。このようにして、REEPは、高電圧バス等を介して航空機の既存の電気システムに差し込むだけで、バッテリとして機能し航空機に電力を供給できるという点で、航空機の観点からはバッテリと同様に機能することができる。
【0015】
REEPは、REEPを航空機に容易に機械的に固定し、所望に応じて航空機から取り外すことができるように、取付ハードウェアを含むこともできる。例えば、REEPは航空機にボルトで固定され得、2本の高電圧ワイヤ等の電気コネクタを差し込むことができる。その場合に、航空機には、恒久的に取り付けられた搭載システムが供給できる量を超える大量の電力又はエネルギが供給され得る。REEPからの電力又はエネルギは、推進システム(例えば、ロータ、プロペラ等を回転させるように構成された電気モータ)を駆動するために使用してもよく、及び/又は他の電子機器(例えば、付属品)への電力供給又は航空機のバッテリの充電等、航空機による他の目的に使用してもよい。従って、本明細書で説明する実施形態は、航空機によって使用される追加の電力及びエネルギを有利に提供する。
【0016】
バッテリ駆動の電動航空機は、従来の発電装置の解決策を使用する従来の航空機が実行できない、又は実行が許可されないミッション又は飛行を実行できる可能性がある。例えば、電動航空機は、従来の動力を使用する航空機では離陸又は着陸できない狭いスペースでも離陸又は着陸できる可能性がある。また、電動航空機は、例えば、一部の従来型航空機によって発生する大量の騒音が原因で、従来の航空機では運航が許可されなかった地域でも運航が許可される場合がある
【0017】
しかしながら、バッテリは非常に重い場合があり、多くの場合に、特定のミッション又は飛行経路を可能にするのに不十分なエネルギ又は電力を供給する場合がある(例えば、離陸又は着陸等の特定の電力が集中するタスクには十分なエネルギ又は電力を供給できない可能性がある、又は、必要に応じて十分な長さの飛行ルートに十分なエネルギを供給できない可能性がある)。そのため、本明細書では、液体燃料を、電動航空機(又は電気部品を備えた任意の航空機)によって利用され得る電気エネルギ及び電力に変換するハイブリッド式電気発電機の様々な実施形態について説明する。本明細書で説明する航続距離延長エネルギポッド(REEP)は、有利には、REEP(ハイブリッドバッテリとして機能し得る)を航空機の機体から完全に独立させ、設置を簡素にするために、任意の燃料、電力変換、熱処理、及び配線を含み得る。ほんの一例として、REEPは、支持用の4本のボルトと電気を送るための2本のワイヤを使用して航空機に取り付けることができる。そのため、本明細書で説明するREEPは、独自の推進機構及び発電装置を有する航空機に取り付けられ得、それらの航空機は、REEPを取り付けても取り付けなくても飛行することができる。代わりに、REEPは、例えば航空機の航続距離、航空機の飛行速度等を拡張するために、REEPなしで航空機が単独で有する電力を超える追加の電力を供給することができる。
【0018】
ほんの一例として、一実施形態は、800ボルト直流(VDC)で185キロワット(kW)の電力を3時間ノンストップで供給するのに適した量の燃料の貯蔵を含み得る。これは約555キロワット時(kWh)のエネルギに相当する。このような実施形態は、約450kgの重量を有し、1キログラム当たり1200ワット時(Wh/kg)を超えるエネルギ密度を与えることができる。現在航空業界向けに入手可能な現在のバッテリパックは、安全な運航を維持するために冷却部品及び必要なバッテリ管理ハードウェアを含むパックレベルで考慮すると、最大エネルギ密度は約200Wh/kgしか供給できない。そのため、本明細書で説明する例示的な実施形態は、バッテリシステムと比較して、単位重量当たりのエネルギに基づいて少なくとも6倍の利益を提供することができる。また、本明細書の実施形態は、本明細書で説明するREEPが、例えばわずか4本のボルト及び簡素な電気接続を使用して、航空機に取り外し可能に取り付けることができるため、エネルギ密度の大幅な増加に対する使用の大幅な簡素化も提供する。
【0019】
REEPの例示的な実施形態は、一体型ハイブリッド式発電機(例えば、以下の見出しの柔軟なアーキテクチャ要素の下等の、本明細書で説明する任意の柔軟なアーキテクチャ)を含むことができ、これは、液体燃料から直流電流(DC)電力への電力変換の規定を含み得る(例えば、以下の見出しの直流(DC)バス要素の下等の、電力部品に関連して本明細書で説明する構成要素のいずれかを含む)。ハイブリッド式発電機は、1つ又は複数の統合冷却システム(例えば、以下の見出しの空冷素子の下等の、本明細書で説明する冷却システム又は要素のいずれか)をさらに含むことができる。REEPの例示的な実施形態は、液体燃料用の1つ又は複数の貯蔵タンクと、この貯蔵燃料をハイブリッド式発電機に安全に接続するための構成要素とをさらに含むことができる。REEPの例示的な実施形態は、騒音低減要素(例えば、以下の騒音低減要素の見出しの下等の、本明細書で説明する騒音低減部品のいずれか)をさらに含むことができる。
【0020】
REEPの例示的な実施形態は、REEPの要素のためのエンクロージャ(例えば、カウリング)等の様々な物理的構造、REEPの要素のための物理フレーム等の取付ハードウェア、REEPを取り付けるために使用するボルト用の孔等をさらに含むことができる。例えば、REEPの構造フレームは、わずか4つの取付点で航空機に取り付けることができる。他の実施形態では、異なる数の取付点を使用してもよい。取付点は、REEPの底部に位置するかその下に延びる(例えば、既存の航空機の表面の上に取り付ける場合)、システム上に位置するかそのシステムの上に延びる(例えば、既存の航空機の表面の下に取り付ける場合)、又はREEPを航空機に取り付けるための取付点を提供するために必要な他の方法で構成することができる。取付ハードウェアには、航空機へのREEPの接続を容易にするように設計されたREEPのあらゆる態様も含まれ得る。例えば、航空機に取り付けられるように構成されたあらゆる種類の機械構造は、取付ハードウェアの一部であってもよい。例えば、REEPのカウリング、ハウジング、又はエンクロージャが航空機の表面又は一部と面一になり、溶接又はそうでなければ固定されるように設計される場合に、カウリング、ハウジング、又はエンクロージャは取付ハードウェアであってもよい。カウリング、ハウジング、又はエンクロージャ内のREEPの構成要素が取り付けられるフレームが、REEPを航空機に確実に取り付けるためにも使用される場合に(例えば、REEPのフレームの一部を航空機の一部にボルトで固定する)、REEPのフレーム又は構造部品も取付ハードウェアの一部であってもよい。
【0021】
REEPのエンクロージャは、冷却流を制御し、システムノイズの伝達を制限し、空気力学的抗力を低減し、及び/又はクリーンな統合パッケージを提供するための空気力学的ファイアウォールパッケージであってもよく、又はそれを含んでもよい。換言すれば、エンクロージャは、REEPの要素を収容して、それら要素をより空気力学的で、より視覚的に魅力的で、より安全で、騒音をより少なくすることができる。エンクロージャを含むREEP全体は、例えば4本のボルトを用いて航空機に取り付けることができる。取付点は、強度及び剛性の点でハイブリッド式発電機に適切な支持を与えるために、十分な横方向及び縦方向の広がり間隔をあけて配置され得る。一実施形態では、例示的なREEPの総重量は約1000ポンド(lbs)であり、そのため、このような実施形態では、取付ハードウェアは4×AN-4ボルト(1/4-28)を含むことができる。
【0022】
電気コネクタは、高電圧電流(エネルギ及び電力)の伝達に使用され得る。電圧に応じて、これは単一対のワイヤ(正及び負)又は複数対のワイヤになり得る。例えば、REEPの一実施形態は、800VDCで最大185kWの電力を供給することができる。従って、そのような実施形態は、230アンペア(A)のDC電流を有することができ、3/0又は4/0のワイヤサイズを使用する単一対のワイヤを使用することができる。様々な実施形態では、他のサイズのワイヤ及びワイヤの数を使用してもよい。
【0023】
様々な実施形態は、REEPと航空機の制御システムとの間に電気通信又は電子通信を有してもよく、これにより、航空機システムがREEPの起動又は停止、及び/又はREEPからのエネルギ及び電力の流れに影響を与え及び/又は制御できるようにする。この同じ通信インターフェイスは、航空機及びパイロットの使用のためにREEPのシステムの健全性及び安定性の情報を提供することができる。そのため、通信及び制御のために、REEPと航空機とを接続するために追加の配線を使用する場合がある。
【0024】
様々な実施形態はまた、良好な空気力学的性能を有するREEPも提供する。REEPが航空機の外面等の航空機に取り付けられるように構成されるため、REEPは、有利には、航空機の飛行に悪影響を及ぼさないような空気力学的プロファイルを有する。他の実施形態では、REEPは、エンクロージャを空気力学的に設計しなくてもよいように、航空機の胴体又は航空機の他の空力的に設計された部分内の航空機のバッテリエンクロージャに嵌合し得る。空気力学的形状の例としては、航空機に接続したときに抗力を低くするために、丸みを帯びた外部シェルを備えたエンクロージャが挙げられる。このような形状(例えば、
図6~
図8に示すような)は、隣接する航空機の表面から離れた表面を提供することができるため、REEPはそれ自体で空気力学的になるように設計される。他の実施形態(例えば、
図1~
図5に示されるような)は、隣接する航空機の表面と融合し調整するように設計された外部シェルを備えたエンクロージャを有してもよい。このような融合及び空力調整を容易にするために、REEPはシェルの最大80%を構成する主要な外部シェルを使用して設計され、シェルの残りの最大20%は特定の航空機の用途向けに設計され、各航空機に特有の空気力学的マージンを提供する。様々な実施形態において、設定されたシェル/エンクロージャの部分と、対象航空機に基づいてカスタマイズ可能なシェル/エンクロージャの部分とに対して、80/20以外の他の比率を使用してもよい。そのため、REEPは、様々な航空機で空気力学的になるように最適化することができる。
【0025】
様々な実施形態において、本明細書で説明するREEPは、ハイブリッド式発電装置を内部に保持するための内部空間又は他の構成/空間を有するように設計されていない可能性がある航空機を改造するために使用され得る。そのため、ハイブリッド式発電装置を備えていない航空機は、本明細書で説明するREEPの形態で追加した1つ又は複数のハイブリッド式発電装置を有することができる。換言すれば、本明細書で説明するREEPは、取り外し可能であってもよく(例えば、特定のミッション/用途のために航空機に着脱できる)、或いは航空機を改造するために使用してもよい(例えば、REEPを航空機により永続的に使用することが望ましい場合に、ハイブリッド化の規定を設けずに設計された航空機であっても、ハイブリッド式発電装置を搭載するように転換又は改造することができる)。
【0026】
図1は、例示的な実施形態による、航続距離延長エネルギポッド(REEP)10115を有する航空機10100の斜視図を示す。REEP10115は、航空機10100の翼10110と胴体10105との中央に取り付けられる。これは、REEP10115が航空機10100のバランスを崩さないように、そのように取り付けられ得る。様々な実施形態において、2つ以上のREEPを使用してもよい。このような実施形態では、複数のREEPはそれぞれ航空機の中央軸に沿って配置してもよく、複数のREEPを使用する場合にでも航空機のバランスが維持されるように中央軸から等距離に配置してもよい。REEPが航空機の中央軸のいずれかの側に配置される実施形態では、航空機のバランスをとるために偶数のREEPを有することが望ましい場合がある。様々な実施形態において、REEPは、例えば胴体から離れた翼の下面又は上面に取り付けることができる。そのため、REEPは、1つ又は複数の翼の特定のハードポイントで(例えば、翼から吊り下げるために)航空機に取り付け可能なドロップタンクと同様に、航空機に接続することができる。様々な実施形態において、REEPは、必要に応じて航空機の他の部分に接続してもよい。本明細書で説明するように、REEP10115は、必要なとき(例えば、より長時間の飛行の場合)のみ使用されるように、航空機10100から取り外し可能であってもよい。REEPは、ボルト等の機械的締結具を介して航空機10100に接続してもよく、航空機10100のコネクタに取り外し可能に取り付けられ得る有線コネクタを介して航空機10100に電気的に接続してもよい。
図1に示していないが、航空機10100は、REEPが少なくとも部分的に航空機10100に電力を供給するように、電気(例えば、REEP10115からのDC電力)によって電力を供給される推進システムを有してもよい。
【0027】
様々な実施形態において、REEPは、より恒久的な方法又は取り外し不可能な方法で航空機に接続してもよい。例えば、REEPのハウジングは、ハウジングを航空機の翼、胴体、又は他の構成要素に溶接、リベット留め、又は接合する等、より永続的な固定方法を使用して航空機の一部に接続することができる。このようにして、例えばボルトよりも恒久的な取付けにより、REEPは航空機により恒久的に取り付けられる。従って、説明するREEPは、自給式エンジン、発電機、燃料タンク、ファイアウォール、及び騒音軽減装置であり得、これら全ては、機械的コネクタを接続解除することによって航空機から取り外し可能であり得るか、又はより恒久的に航空機に取り付けられ得るハウジング又はエンクロージャ内に含まれる。いずれの場合でも、エンクロージャ/ハウジングは、胴体の外側の別個の位置で内部の構成要素を壁で仕切ることができ、それによって、これらの構成要素を胴体から有利に隔離し、リスク管理上の利点(例えば、胴体又は胴体付近での火災のリスクが少なくなる)を提供する。様々な実施形態において、REEPは、ハウジング又はエンクロージャ内に様々な構成要素を有することによってこれら及び他の目的を達成し、ハウジング又はエンクロージャを通過できる唯一の構成要素は、電力出力及び/又は制御信号用の配線である。エンクロージャ又はハウジングは、本明細書で説明し図示する空力学的エンクロージャであってもよく、それによって、REEPが胴体の外側に大きな抗力を生じさせず、本明細書で説明するように取り外し可能であるか、又はREEPに対応するために既存の航空機を再設計することなく、より恒久的な状態で航空機上に少なくとも配置することができる。例えば、REEPを航空機に接続するために使用し得るボルト、ナット等のハードウェアは、非破壊的に緩めることができるため(例えば、REEPを航空機に複数回取り付けるために使用される可能性がある)、取り外し可能であるとみなされ得る。様々な実施形態において、REEPの構成要素を航空機に溶接、リベット留め、接合等する場合に、それらの締結機構は破壊的に取り外すことしかできないため、航空機へのREEPのより恒久的な接続が望ましい場合に使用することができる。様々な実施形態において、非破壊的に取り外せる機構を単独で使用することができ、破壊的にのみ取り外すことができる機構を単独で使用することができ、又は破壊的及び非破壊的の両方で取り外すことができる機構を、REEPを航空機に締結又は他の方法で固定するために使用することができる。さらに、本明細書で説明するREEPのエンクロージャは、REEPによって出力されるノイズを伝達し、低減する機構としても機能する(例えば、本明細書で説明する騒音低減部品を含む)。そのため、REEPは、航空機を再設計する、又はREEP自体を取り付ける以外に騒音低減部品等の構成要素を追加する必要がなく、電力を航空機に取り外し可能又は恒久的に供給する構成要素のパッケージを有利に提供する。
【0028】
図2は、例示的な実施形態による航続距離延長エネルギポッド(REEP)10200の例の斜視図である。REEP10200は、エンクロージャ10202及び給気口10204を含む。給気口10204は、エンジンの空気を取り入れる、冷却等のために使用され得る。本明細書で説明するように、REEP10200は、
図1の航空機10100等の、航空機に取り付けられるように空気力学的に設計され得る。
【0029】
図3は、例示的な実施形態による、
図2のREEP10200の側面図である。
図4は、例示的な実施形態による、
図2のREEP10200の正面図である。REEP10200は、REEP10200を本明細書で説明する航空機10100等の航空機に取り付けることができるように、取付ハードウェア10206及び配線10208をさらに含む。例えば、取付ハードウェア10206は、REEP10200の構成要素を支持する構造フレームに接続することができ、その構造フレームに、REEP10200の構成要素を取り付けることができる。取付ハードウェア10206はさらに、ボルト等、REEP10200を航空機に取り付けるための締結具を収容することができる。配線10208は、航空機又は他の電力消費又は分配装置に電力を出力することができる。配線10208は、電気機械(例えば、発電機)によって生成されるAC電力を出力してもよく、又は(例えば、REEP10200のインバータによってAC電力からDC電力に変換した後に)DC電力を出力してもよい。
【0030】
図5は、例示的な実施形態による、
図2のREEP10200の斜視図であり、REEPのエンクロージャ10202が部分的に透明であることを示す。
図5に示されるREEP10200は、本明細書で説明する(例えば、以下の柔軟なアーキテクチャ要素、空冷素子、直流(DC)バス要素、及び/又は騒音低減要素の段落)ハイブリッド式発電機をさらに含む。そのため、エンクロージャ10202内には、例えば、エンジン、発電機、冷却システム、騒音低減要素、DC電力及びエネルギを供給するためのパワーエレクトロニクス等を含めてもよい。さらに、ハイブリッド式発電機のエンジンで消費される燃料を貯蔵するために燃料タンク10504を含めてもよい。単一の燃料タンク10504のみが示されているが、REEP10200の重量のバランスをとるために、別の燃料タンクをエンクロージャ10202の反対側に配置してもよい。燃料タンク10504からの燃料は、例えば、チューブ10506を介してREEP10200のエンジンに移動され得る。また、
図5には示していないが、1つ又は複数の燃料タンク(例えば、燃料タンク10504)は、燃料タンクへの充填を容易にする開口部又はポートを有してもよく、それらの開口部は、エンクロージャ10202内にあってもよく、エンクロージャ10202を貫通してもよい。そのような開口部には、また、燃料タンクが充填されていない間に、燃料タンクから燃料が漏れないように、キャップ又は他の同様のカバーを取り付けることができる。複数の燃料タンクが存在する様々な実施形態では、複数の燃料タンクの間で燃料のバランスをとり、一度に複数の燃料タンクを容易に充填できるように、複数の燃料タンク間に延びるバランスチューブを設けることもできる。
【0031】
図6は、例示的な実施形態による、別の航続距離延長エネルギポッド(REEP)10600の斜視図であり、REEPのエンクロージャ10602が部分的に透明であることを示す。
図7は、例示的な実施形態による、
図6のREEP10600の正面図である。
図8Aは、例示的な実施形態による、
図6のREEP10600の側面図である。エンクロージャ10602は、上述の
図5と同様に、ハイブリッド式発電機10608及び燃料タンク10610をさらに収容してもよい。REEP10600はまた、構造フレーム10620を含んでもよく、構造フレーム10620には、REEP10600の構成要素が恒久的に取り付けられ得、航空機への取り外し可能な取り付けを提供し得る(例えば、構造フレーム10620は、取付ハードウェアとしても機能し得る)。
【0032】
空気は、入口10624で冷却システム10618に流入することができ、入口10624は、エンクロージャ10602の主区画をエンクロージャ10602の騒音低減チャンバ10604から分離する内壁10626に形成され得る。同様に、別の騒音低減チャンバ10606は、エンクロージャ10602の背面に取り付けてもよく、エンクロージャ10602の主区画をから騒音低減チャンバ10604から分離する壁をさらに有してもよい。騒音低減チャンバ10604及び/又は10606は、騒音低減要素(例えば、本明細書で説明する騒音減衰材料の壁によって形成されるチャネル)を内部に有してもよい。このようにして、REEP10600は、使用中にREEP10600によって出力される騒音を最小限に抑えるように設計することができる。
【0033】
REEP10600は、本明細書で説明するように、REEP10600を航空機に取り外し可能に電気的に接続するように構成された配線10612をさらに含む。航空機に供給される電力及びエネルギは、バッテリパックによって供給されるような、DC電力及びエネルギであってもよい。このようにして、バッテリ電源で動作するように設計された航空機は、航空機のバッテリ駆動部品の動作方法を変更することなく、REEP10600から電力供給を受けることができる。
【0034】
REEP10600はさらに、燃焼及び電力生成のために濾過した空気をエンジン10608に導入する給気口フィルタ10616を含む。
【0035】
図8Aはさらに、エンクロージャ10602の騒音低減チャンバ10606が排気口10602を有し得ることを示す。このようにして、冷却システム10618によって使用される空気は、出力する方法を有し得るが、空気が騒音低減チャンバを通過して、大気中に放出される騒音を低減する。
【0036】
図8Bは、REEPを使用する例示的な方法10900を示すフローチャートである。動作10902において、取り外し可能なエネルギ源又はREEPが航空機に取り付けられる。本明細書で説明するように、REEPはエンジン及び発電機を含むことができ、エンジン及び発電機はそれぞれエンクロージャ内に収容される。動作10904において、REEPの第1の電気コネクタが航空機の第2の電気コネクタに接続される。動作10906において、電力が、REEPの発電機から航空機の少なくとも1つの電気部品又は電気バスに出力される。様々な実施形態において、REEPは、REEPが、航空機ではない別の電力消費装置又は配電装置に電気的に接続できるように、第3セットの電気コネクタも有し得る。そのため、10908において、追加のコネクタ又は第3セットのコネクタは、航空機とは別個の別の装置に接続して、航空機からREEPを切り離すことなく別の装置に電力を供給することができる。様々な実施形態において、REEPは、REEPの発電機からAC電力を出力することができ、又はREEPは、発電機からのAC電力がDC電力に変換され、コネクタのいずれかを介してREEPによって出力されるようにインバータを含み得る。様々な実施形態において、REEPは、第1セットのコネクタを介してAC電力を出力し、第2セットのコネクタを介してDC電力を出力するように構成され得る。
【0037】
10910において、REEPは、制御配線用のコネクタを含み得る第1の電気コネクタ及び第2の電気コネクタを介して送信された、航空機からの制御信号に基づいて制御され得る。例えば、1つ又は複数の制御ワイヤ/コネクタを使用して、取り外し可能なエネルギ源のコントローラで航空機のコントローラから、コネクタを介してスロットル制御信号又は電力要求信号を受信することができる。このようにして、航空機は、生成される電力の量と航空機への出力とを制御でき得る。様々な実施形態では、他のタイプの制御信号及び/又は配線/コネクタをREEPと航空機との間で使用してもよい。例えば、REEP内の異なるセンサ読み取り値(例えば、温度、燃料レベル、現在出力している電力等)等、REEPからのステータス信号が航空機に送信され得る。AC電力又はDC電力を出力するか、それぞれどれ位の量を出力するかどうかにかかわらず、REEPの電源を入れる又は切るためのオン/オフ信号等の他の信号が、航空機からREEPに送信され、REEPを制御することができる。
【0038】
10912において、電力がREEPから航空機に出力されなくなるように、REEPの電源が切られる。10914において、REEPの電気コネクタが航空機の電気コネクタから接続解除される。10916において、REEPが航空機から取り外される。このようにして、方法10900は、どのようにREEPを航空機に取り付けてその航空機に電力を供給することができるか、またどのようにそのREEPを航空機から取り外し可能にすることができるかを実証する。このようにして、REEPは、航空機の一時的で取り外し可能な電源となり得る。
【0039】
そのため、本明細書では、航空機上の他の場所の推進システム(例えば、REEPの一部ではない、又はREEPのハウジング/エンクロージャ内にない推進モータ、ロータ等)を駆動するために使用される電気エネルギを提供するために(非破壊的に取り外し可能な構成要素又は破壊的に取り外し可能な構成要素のいずれかを使用して)航空機に取り付けられ得るREEPの様々な実施形態について説明する。従って、そのような航空機は、REEPを取り外しても機能することができる(例えば、航空機は、それ自身の内蔵又は内部エネルギ源を有し得るが、REEPは、航空機に電力を供給するための外部の追加のエネルギ源を提供する)。REEPは、例えば、電気バス及び/又は航空機内の配線等の他の構成要素に接続することができ、その場合に、少なくとも1つの推進電気モータ及び/又は少なくとも1つの推進用バッテリ(例えば、推進モータに電力を供給するために使用されるバッテリ)が電気バス及び/又は他の構成要素に取り付けられる。このようにして、REEPは、航空機の他の部分に既に含まれている電気エネルギを増強するように構成することができる。そのため、REEPは、同じ推進モータにエネルギを供給することができ、この推進モータは、REEPを搭載又は取り付けた場所以外の航空機上のバッテリ又は他のエネルギ源によって供給を受けることもできる。従って、REEPは、航空機自体のエネルギ源又は内部エネルギ源から航空機が既に利用できる電力を補助又は増強する外部エネルギ源として機能することができる。従って、REEP又は外部エネルギ源は、構造的接続を介して航空機に取り付けられたREEP/外部エネルギ源の有無にかかわらず、航空機が飛行すること、又は飛行可能であることを可能にし得る。
【0040】
柔軟なアーキテクチャ要素
航空機は、典型的に、カスタム設計した推進機構と、それらの推進機構に動力を供給する方法とを有する。このようにして、推進機構とそれらの推進機構に供給される動力を最適化して、航空機内の構成要素の重量を最小限に抑えながら、特定のタイプ及びサイズの航空機に必要な推進量を供給することができる。換言すれば、推進機構とそれらの推進機構の動力とは、多くの場合、特定のタイプ及びサイズの航空機に合わせて最適化されているため、ある航空機の構成要素を、直接駆動航空機、並列駆動航空機、及び直列駆動航空機等の異なるタイプの航空機駆動アーキテクチャで容易に使用することはできない。
【0041】
本明細書では、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャ及びその最適化した構成要素の様々な実施形態について説明する。ハイブリッドシステムは、燃料がピストン、ロータリ、タービン、又は他のエンジン内で燃焼され、ピストンエンジンの出力を発電機に動作可能に接続して電力を出力するシステムであってもよく、又はこのシステムを含んでもよい。本明細書で説明する実施形態は、多くの異なるタイプの航空機及び推進機構に動力を供給できる柔軟なシステムを含むことができる。このようなシステムは、有利には、異なるタイプの航空機の設計の複雑さを軽減し、カスタマイズが少ないことでシステムの量産における規模の経済性が可能になるため、そのようなシステムの製造コストを削減し、最終的には、本明細書で説明するシステムを使用する航空機の複雑さを軽減することができる。
【0042】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、同じ航空機内又は異なる航空機内で、異なる方法で推進機構に動力を供給するためにさらに使用され得る。例えば、推進機構に動力を供給するための柔軟なアーキテクチャは、複数の異なるモードで動作して、異なるタイプの推進機構に動力を供給することができ得る。第1の航空機は、柔軟なアーキテクチャが動作できる複数の異なるモードのうちの1つ、一部、又は全てを利用することができる。第2の航空機は、複数の異なるモードのうちの1つ、一部、又は全てを利用することができ、第2の航空機が利用するモードは、第1の航空機が利用するモードとは異なる場合がある。
【0043】
従って、異なる航空機は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャによって提供される推進機構に動力を供給する異なるモードを利用することができる。柔軟なアーキテクチャの使用はこのようにカスタマイズすることができるが、柔軟なアーキテクチャの物理的ハードウェアは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの物理的構成要素に最小限の変更を加えるか全く変更せずに、異なる航空機による使用に適合させることができる。代わりに、異なる航空機での異なるモードの使用は、主に、プロセッサ又はコントローラを使用して柔軟なアーキテクチャの構成要素をどの様に制御するかに基づいて達成され得る。従って、コンピュータ可読命令は、プロセッサ又はコントローラに動作可能に結合したメモリに格納してもよく、それによって、命令がプロセッサ又はコントローラによって実行されると、プロセッサ又はコントローラを含むコンピューティング装置が、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々な構成要素を制御して、特定の実施態様、航空機、飛行段階等に望ましいあらゆる可能な使用モードを利用することができる。
【0044】
航空機のための発電及び推進システムはまた、航空機の様々な構成要素が動作のために安全な温度に保たれることを保証するため、並びに構成要素がより効率的に動作できる温度範囲内に構成要素を維持することを保証するために、様々な冷却システムを利用することもできる。さらに、本明細書では、航空機の推進機構に動力を供給するための柔軟なアーキテクチャの構成要素を効率的に冷却するために、本明細書で説明するハイブリッド式アーキテクチャの様々な態様を利用する有利な冷却システムについて説明する。
【0045】
異なるモードの動力を推進機構に供給するためのハードウェアを有する航空機は、冷却を与えることが望ましい様々な構成要素を有している可能性がある。こうして、異なる動力モードを可能にする様々な構成要素に空気を効率的に移動させる単一の冷却システムは、航空機の重量だけでなく、冷却システムの消費電力も削減することができる。
図1~
図8及びそれに付随する以下の説明は、特に、航空機の推進システムに動力を供給するための柔軟なアーキテクチャの例に関する。
図9~
図21及びそれに付随する以下の説明は、柔軟なアーキテクチャの例のための冷却システムの様々な実施形態に関する。
【0046】
図9Aは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャ101の例を示す。本明細書で議論するように、柔軟なアーキテクチャ101は、航空機の要件及び飛行段階に応じて複数の方法で適用できる(例えば、異なるモードで使用される)単一のハイブリッド式発電機システムを備えた幅広い用途で効率的に使用することができる。
【0047】
図9Aの柔軟なアーキテクチャ101は、エンジン105、クラッチ115、発電機/モータ(電動機)121、及び動力シャフト111を含むハイブリッド式発電機である。以下でさらに説明するように、柔軟なアーキテクチャ101は、必要に応じて、特定の航空機の設置要件又は特定の飛行段階に応じて、様々な異なるモードを実現するために使用することができる。エンジン105は、内燃機関等の燃焼機関であってもよい。エンジン105はさらに具体的には、ピストン内燃機関、ロータリエンジン、又はタービンエンジンのうちの1つであってもよい。このようなエンジンは、標準的なガソリン、ジェット燃料(例えば、Jet A、Jet A-1、Jet B燃料)、ディーゼル燃料、バイオ燃料代替品等を使用することができる。様々な実施形態では、ドローンの実施態様の小型エンジン(Rotaxガソリンエンジン等)他のタイプのエンジンも使用することができる。
【0048】
上述したように、エンジン105はピストン燃焼機関であってもよい。ピストン燃焼機関は、他のエンジンよりも発電機及び/又は推進機構(例えば、プロペラ)に動力を供給するための直接出力にとってより望ましい毎分回転数(RPM)で出力ロータ又はシャフトを有利に回転させることができる。例えば、ピストン燃焼機関は、数千RPM程度の出力を有する場合もある。例えば、ピストン燃焼機関の出力は2200~2500RPMの範囲にあり得、これはプロペラにとって望ましいRPMとなり得る。特に、プロペラは、ピストン燃焼機関のRPM出力(例えば、2200~2500RPM)に基づいて、プロペラの所望の翼端速度をもたらすサイズを有するように設計され得る。タービンエンジン等の他のタイプのエンジンは、ピストン燃焼機関よりもはるかに高い、数万RPM程度の回転パワーを出力する場合がある。別の実施形態は、効率、動力出力(power output)、又は他の重要な因子に利益をもたらすために、タービンエンジンのより高いRPMでモータ/発電機を駆動することができる。いくつかの実施形態では、高RPMエンジンの出力と
図9Aの他の構成要素との間にギアボックスを追加して、エンジン105の出力RPMを下げることができる。しかしながら、ギアボックスの追加は、いくつかの実施形態では望ましくないシステムの重量を増大させる可能性もある。ピストン燃焼機関は、タービンエンジンと比較して、騒音に関してさらに有利である可能性がある。典型的に、タービンエンジンはピストン燃焼機関よりも音が大きく、人間が知覚するタービンエンジンからの騒音は、典型的に、ピストン燃焼機関によって発生する騒音よりも聴取者にとって不快である。騒音の低減が望まれる都市部又は密集環境では、より静かなエンジンの価値がより高まる場合もある。
【0049】
エンジン105は、クラッチ115に回転動力を出力することができ、クラッチ115は、動力シャフト111を係合又は係合解除するように制御され得る。換言すれば、動力シャフト111は、クラッチ115によってエンジン105の回転出力と係合され得、それによって、回転力がエンジン105の出力と動力シャフト111との間で伝達され得る。クラッチ115をエンジン105の出力と動力シャフト111とから係合解除すると、動力シャフト111はエンジン105の出力とは独立して回転することができる。クラッチ115は、エンジン105と発電機/モータ121との間に物理的に配置することができ、柔軟なアーキテクチャの全体的な設置面積を減らすために、エンジン105及び発電機/モータ121の反対側に接触することさえできる。
図1Aにおいて、クラッチ115が本明細書でさらに説明され、他の図に示される。しかしながら、様々な実施形態では、エンジン105と動力シャフト111とを解放可能に結合解除することができる任意の機構を、クラッチに加えて、又はクラッチに代えて使用することができる。例えば、この結合解除は、オーバーランニングクラッチ等における、エンジン105の出力と動力シャフト111との間の絶対回転数(RPM)又は相対RPMに基づくことができる。
【0050】
発電機/モータ121は、動力シャフト111と係合する、又は動力シャフト111との係合を解除することもできる。換言すれば、発電機/モータ121は、動力シャフト111の回転によって発電機/モータ121が電力を発生させないように、スイッチオフにするように制御してもよい。同様に、発電機/モータ121は、動力シャフトの回転によって発電機/モータ121が電力を発生させるように、スイッチオンにするように制御してもよい。発電機/モータ121は、発電機としてもモータとしても機能し得るため、発電機/モータと呼ばれる。様々な実施形態では、発電機/モータ121は電気機械と呼ばれ得、電気機械は、発電機、電気モータ、又はその両方であり得る。
【0051】
柔軟なアーキテクチャは、発電機/モータ121に接続された電力入出力(I/O)125をさらに含む。本明細書でさらに説明するように、発電機/モータ121は、電力I/O125を介して出力される動力シャフト111の回転に基づいて電力を生成してもよく、又は動力シャフト111を駆動するために使用され得る電力を電力I/O125を介して受け取ってもよい。電力I/O125の配線は複数のワイヤを含んでもよい。様々な実施形態では、発電機/モータ121に電力を入力するための配線は、発電機/モータ121から電力を出力するために使用される配線と同じであってもよい。他の様々な実施形態では、第1の配線は電力の入力のために使用してもよく、異なる第2の配線は電力の出力のために使用してもよい(入力用及び出力用に異なる配線を使用する)。様々な実施形態では、発電機/モータ121はまた、発電機/モータ121の制御に使用され、発電機/モータ121の動作に関するセンサ又は他のデータをコントローラ等に中継するために接続される配線を有してもよい。
【0052】
発電機/モータ121は、動力シャフト111のドライバとしても機能することができる。システム内の他の場所にあるバッテリ又は何らかの他の形態の電気エネルギ蓄積装置から電力I/O125を介して電力を受け取ると、発電機/モータ121は、動力シャフト111に回転力を与えて、動力シャフト111を駆動することができる。これは、発電機/モータ121が動力シャフト111と係合するようにスイッチオンにされるように制御されている限り起こり得る。発電機/モータ121が動力シャフト111と係合しないようにスイッチオフにされるように制御されると、動力シャフト111は、発電機/モータ121によって回転されなくなり得る。
【0053】
電力I/O125からの電力出力は、電気推進機構(例えば、プロペラ)のための電気モータを駆動するために使用され得る。電力I/O125からの電力出力は、航空機又は航空宇宙機上の他の装置に電力を供給及び/又は充電するために使用することもできる。例えば、電力I/O125から出力される電力は、1つ又は複数のバッテリを充電するために使用され得る。電力I/O125からの電力出力は、航空機又は航空宇宙機上の他の装置又はアクセサリに電力を供給するために使用することもできる。電力I/O125も入力を有するため、動力シャフト111は、1つ又は複数のバッテリからの電力等、電力I/O125を介して受け取られる任意の電力によって駆動され得る。発電機/モータ121によって生成される電力は、交流(AC)電力であってもよい。そのAC電力は、パワーエレクトロニクス(例えば、整流器又はインバータ)によって直流(DC)電力に変換され、DCバスに出力され得る。このDCバスは、バッテリ及び/又は電気推進機構に接続され得る。このようにして、電気推進機構にDCバスを介して電力を供給することができる。様々な実施形態では、電気推進機構のモータはAC電力を使用することができ、従って、DCバスからのDC電力は、電気推進機構(例えば、インバータ)によって使用される前に、DC電力からAC電力に変換され得る。様々な実施形態において、発電機によって生成されたAC電力は、DC電力に変換されて再び戻されることなく、モータ又は他の装置に直接供給され得る。そのような実施形態では、そのようなAC電力は、AC電力バス又は同様の配線を介して伝送され得る。
【0054】
動力シャフト111自体の任意の回転は、エンジン105によって駆動されるか又は発電機/モータ121によって駆動されるかにかかわらず、1つ又は複数の推進機構を駆動するために使用することもできる。例えば、動力シャフト111の回転は、プロペラを直接駆動するために使用してもよく、又は推進機構を駆動する電気モータに電力を供給するために使用してもよい。動力シャフト111の回転はまた、航空機の様々な用途のための1つ又は複数のプロペラ、1つ又は複数のロータ、又は他の回転装置等の別の構成要素に動作可能に接続されたギアボックスを駆動することもできる。
【0055】
アクセサリパッド130は、エンジン105に結合することもでき、高電圧及び高電力I/Oのために構成され得る発電機/モータ121及び電力I/O125とは別個の電力用の低電圧直流(DC)発電機を含むことができる。いくつかの実施形態では、発電機/モータ121は2つの異なる巻線を有してもよく、電力I/O125は2つの異なる出力(例えば、高電圧及び低電圧)を有してもよい。アクセサリ電源は、アクセサリパッド130の出力に加えて、又はアクセサリパッド130の出力の代わりに、電力I/O125の出力のうちの1つに関連付けることができる。アクセサリパッド130は、電力I/O125において発電機/モータ121によって出力され得る高電圧又は電流出力を必要としない航空機又は航空宇宙機上の装置又はアクセサリに電力を供給するために使用され得る。航空機の電圧(HV)は、例えば400ボルト(V)又は800Vであり得るが、50V~1200Vの間のいずれかになることもあり得る。航空機の低電圧(LV)は、12V、14V、28V、又は50V未満の他の電圧であってもよい。
【0056】
図9Bは、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ150の追加の例を示す。特に、
図9Bの柔軟なアーキテクチャ150は、
図9Aに関して上述した構成要素と同一又は類似であり得るいくつかの構成要素を含み、柔軟なアーキテクチャ150は、エンジン155、クラッチ175、動力シャフト180、及び/又は発電機/モータ185を含む。柔軟なアーキテクチャ150は、クランクシャフト160の形態でエンジン155の出力をさらに示し、クランクシャフト160は、出力フランジ165に堅固に接続される。出力フランジ165は、ボルト170を用いてクラッチ175の片側に堅固に接続される。
【0057】
クラッチ175は、動力シャフト180と係合して、クランクシャフト160及び出力フランジ165から動力シャフト180に回転運動を変換するように構成され得る。クラッチ175はさらに、動力シャフト180から係合を解除するように構成され得、それによって、動力シャフト180は、クランクシャフト160及び出力フランジ165に対して独立して回転することができる。さらに、
図9Bは、どの様にして柔軟なアーキテクチャ150の回転可能な構成要素全てを単一の軸線190に沿って整列させるかを示している。
図9Aの回転可能な構成要素は、
図9Bに示されるように、同様に単一の軸線に沿って整列され得る。さらに、動力シャフト180は、クラッチ175及び発電機/モータ185の内径開口部に嵌合するスプラインシャフトであってもよい。テーパ等、スプライン以外の他の特徴を使用してもよい。いずれの場合でも、発電機/モータ185及び/又はクラッチ175は、構成要素が互いに適切に係合できるように、動力シャフト180上のスプライン、テーパ、又は他の特徴に適合して接続するように構成され得る。
【0058】
様々な実施形態では、クラッチ175は、エンジン155の出力から動力シャフト180を結合解除することができる、異なるタイプのクラッチ又は他の機構であってもよい。例えば、クラッチ175は、プレート式クラッチであってもよく、また、乾式又は湿式クラッチであってもよい。このようなプレート式クラッチは、機械的、油圧的、及び/又は電気的に(例えば、
図10A及び
図10Bのコントローラ205、220、及び/又は280によって)係合/係合解除され、又はそうでなければ制御され得る。プレート式クラッチには、3枚、5枚、又は10枚のプレート等、様々な数のプレートがある場合もある。様々な実施形態では、クラッチ175又は本明細書で説明する他のクラッチは、一方向クラッチ、オーバーランニング(overrunning)クラッチ、又はスプラグ(sprag)クラッチであってもよい。一方向クラッチ又はスプラグクラッチは、電気機械がエンジンの出力よりも速く動力シャフトを回転させている間に、エンジンの出力を動力シャフトから係合解除する(disengage:切り離す)ように構成され得る。換言すれば、エンジン155が発電機/モータ185よりも小さい動力を動力シャフト180に出力している場合に、クラッチ175は、例えばその係合解除を達成するために使用されるいかなる電気制御入力もなしに、エンジン155の出力を動力シャフト180から自動的に機械的に係合解除することができる。エンジン155がより高いRPMを有するか、又は発電機/モータ185よりも多くの動力を出力すると、一方向クラッチ又はスプラグクラッチが係合するため、動力がエンジン155の出力から動力シャフト180に加えられる。使用できる別のタイプのクラッチは遠心クラッチであり、RPMが増加するにつれて、クラッチのプレートの重みによって1つ又は複数のレバーが徐々に作動し、遠心クラッチのプレートが圧迫され、プレートが係合して、例えばエンジン155の出力及び動力シャフト180が接続される。
【0059】
有利には、
図9Aの発電機/モータ121及び/又は
図9Bの発電機/モータ185は、それぞれエンジン105又はエンジン155のスタータとして使用され得る。換言すれば、エンジン155を始動するためにクラッチ175が係合される間に、発電機/モータ185を使用してクランクシャフト160を回転させることができる。このようなシステムは、例えば発電機/モータ185にバッテリ又は他の電源によって電力を供給できる場合に有利となり得る。従って、エンジン155は、本明細書で説明するピストン燃焼機関であってもよく、別個のスタータ構成要素を必要とせず、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの重量及び複雑さを軽減することができる。
【0060】
図10Aは、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ201とともに使用される航空機制御システム200を表すブロック図を示す。航空機制御システム200は、例えば、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを使用することができる、以下で議論する様々なモードのうちの1つ又は複数を実現するために使用され得る。柔軟なアーキテクチャ201は、
図9A及び/又は
図9Bの柔軟なアーキテクチャ101及び/又は150の構成要素と同じ、類似のもの、又はそれらの構成要素の一部又は全てを有することができる。航空機制御システム200は、1つ又は複数のプロセッサ又はコントローラ205(以下、コントローラ205と呼ぶ)、メモリ210、航空機メインコントローラ220、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、アクセサリパッド250、及び1つ又は複数のセンサ260を含むことができる。
図10Aの接続は、航空機制御システム200の構成要素同士の間の制御信号関連の接続を示している。
図10Aに示されない他の接続は、航空機の高電圧(HV)又は低電圧(LV)電力等の電力を供給するために、航空機及び/又は航空機制御システム200の異なる態様の間に存在し得る。
【0061】
メモリ210は、命令を記憶するように構成されたコンピュータ可読媒体であってもよい。このような命令は、本明細書の柔軟なアーキテクチャを使用する様々なモード及びこれらのモードの組合せを含む、本明細書で説明する様々な方法及びシステムを実現するためにコントローラ205によって実行されるコンピュータ実行可能コードであってもよい。コンピュータコードは、本明細書の柔軟なアーキテクチャの異なるモードを実現する様々な方法が、例えば、特定の飛行段階(例えば、着陸、離陸、巡航等)を示す様々な入力に基づいて自動的に実施されるように記述され得る。様々な実施形態では、コンピュータコードは、航空機又は航空宇宙機のユーザ又はパイロットからの入力に基づいて、本明細書の様々なモードを実現するように記述してもよく、又はユーザ入力と非人的入力(例えば、計画した飛行計画等に基づいて、航空機上又は航空機外のセンサから)に基づく自動実施との組合せに基づいて実現してもよい。コントローラ205は、アクセサリパッド130、1つ又は複数のバッテリ、電力I/O125の出力、任意の電源によって電力供給される航空機の電力バス、及び/又は利用可能な任意の他の電源等の、航空機又は航空宇宙機上の電源によって電力を供給され得る。
【0062】
コントローラ205は、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、アクセサリパッド250、及び/又はセンサ260のそれぞれと通信することもできる。このようにして、柔軟なアーキテクチャの構成要素を制御して、本明細書で説明する様々なモードを実現することができる。様々な実施形態では、エンジン230、発電機/モータ235、クラッチ240、電力I/O245、及びアクセサリパッド250は、
図9Aに示し、
図9Aに関して上述した同様の名前の構成要素と同様であってもよく、又は同様の名前が付いた構成要素であってもよい。電力I/O245はまた、例えば、本明細書で説明する直流(DC)バスを含む柔軟なアーキテクチャの電気部品を起動時の過剰な突入電流から保護するための、プリチャージ電子部品を含んでもよい。例えば、高電圧(HV)バスが400Vであり、新しい構成要素が0VのHVバスに接続される場合に、瞬間的な突入電流が非常に大きくなり、HVバス及び/又は構成要素に損傷を与える可能性がある。その結果、プリチャージ電子部品は、HVバス又は他の電源に完全に接続する前に、構成要素の電圧をゆっくりと上昇させることができる。
【0063】
センサ260は、柔軟なアーキテクチャ201の異なる構成要素を監視するための様々なセンサを含むことができる。そのようなセンサには、例えば、クラッチ240の現在の状態、又は他のタイプのセンサを決定するために、温度センサ、タコメータ、流体圧力センサ、電圧センサ、電流センサ、状態センサ等が含まれ得る。例えば、電圧及び/又は電流センサは、モータ/発電機の機能及び設定、クラッチに選択された状態を知らせる、又はシステムの他の構成要素を調整するために使用され得る。状態センサは、柔軟なアーキテクチャが使用されている特定のモードを示すこともでき、システムは(例えば、パイロットから、自動飛行制御装置から)入力を受け取って、システムを今後の特定の飛行段階のための異なる状態又はモードに変更することができる。他のセンサには、航空機の対気速度を測定するためのピトー管、航空機の高度を測定するための高度計、及び/又は地上及び/又は既知の/マッピングされた構造物に対する位置を決定するための全地球測位システム(GPS)又は同様の地理的位置センサが含まれ得る。
【0064】
図10Aの柔軟なアーキテクチャ201の破線内の構成要素は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャに関連付けられ得る一方、航空機メインコントローラ220は、より広範な航空機システムに関連付けられ得る。換言すれば、航空機メインコントローラ220は、柔軟なアーキテクチャ201以外の航空機の態様を制御することができる一方、コントローラ205は、柔軟なアーキテクチャ201に関連する航空機の態様を制御することができる。航空機メインコントローラ220及びコントローラ205は、互いに通信して、航空機の様々な推進機構に動力を供給するように調整することができる。例えば、航空機メインコントローラ220は、1つ又は複数の特定の推進機構に対する特定の動力出力レベルを要求する信号を制御装置205に送信することができる。コントローラ205は、そのような制御信号を受信し、航空機メインコントローラ220からの制御信号に基づいて所望の動力レベルを出力するために柔軟なアーキテクチャ201をどの様に調整するか(例えば、どのモードに入るか、柔軟なアーキテクチャ201の要素をどの様に制御するか)を決定することができる。様々な実施形態では、航空機メインコントローラ220は、柔軟なアーキテクチャ201の特定の態様の制御に関連する信号を送信することができる。換言すると、コントローラ205は、所望の動力出力信号をコントローラ205に送信することに加えて、又はその代わりに、航空機メインコントローラ220からの制御信号を柔軟なアーキテクチャ201の構成要素に再送信するための中継器として機能することができ、コントローラ205は、その制御信号から柔軟なアーキテクチャ201の個々の構成要素をどの様に制御するかを決定する。
【0065】
様々な実施形態では、航空機メインコントローラ220は、将来の所望の動力出力、将来の飛行段階又は飛行計画情報等に関連する制御信号を送信することもできる。このようにして、コントローラ205は、航空機の予想される動力要求に関する情報を受信してこれを使用して、現時点と将来との両方で柔軟なアーキテクチャ201の態様をどの様に制御するかを決定するすることができる。例えば、飛行計画情報は、いつバッテリ電力を使用すべきか、いつバッテリを充電すべきか等を決定するために使用され得る。別の例では、大きな電力需要が予想される場合に、コントローラ205は、所望のレベルの電力の供給を開始する前に、エンジン230が動作していることを保証し得る。
【0066】
様々な実施形態では、コントローラ205はまた、1つ又は複数のバッテリと通信して、それらの充電レベルを監視し、バッテリをいつ充電又は放電するかを制御し、バッテリをいつ使用して発電機/モータ235に電力を供給するかを制御し、バッテリをいつ使用して航空機の別の態様に直接電力を供給するかを制御することもできる。しかしながら、他の実施形態では、航空機メインコントローラ220は、航空機のバッテリと通信することができ、及び/又はバッテリ及びその制御に関する情報をコントローラ205に中継することができる。同様に、航空機のバッテリがコントローラ205ではなく航空機メインコントローラ220を用いて制御される場合に、コントローラ205は、バッテリが柔軟なアーキテクチャ201の機能に関して必要又は所望に応じて制御され得るように、バッテリに関連する制御信号を航空機メインコントローラに送信することができる。
【0067】
様々な実施形態では、電力I/O245は、発電機/モータ235の2つの異なる巻線に関連付けられた2つの異なる出力(例えば、高電圧(HV)出力及び低電圧(LV)出力)を含み得る。こうして、2つの異なる電圧(例えば、HV及びLV)が、出力され、コントローラ205及び/又は航空機メインコントローラ220によって制御され得る。電力I/O245は、追加的に又は代替的に、2つ以上の異なる電圧を出力できるように電圧変換部品(例えば、DC/DCコンバータ)を有することができる。このような実施形態では、2つの別個の巻線を使用することなく、2つの異なる出力を達成することができる。2つの異なる出力は、例えば、HVバス及びLVバス等、航空機の異なる電力バスに出力される場合がある。電力I/O245の2つの出力は、コントローラ205によって個別に制御することもできる。そのため、(例えば、モータ/発電機の界磁電流をオフにすることで、発電機の動力シャフト及びロータをモータ/発電機の残りの部分に対して回転又はフリーホイール(freewheel:自由回転)させることによって)出力をオフにすることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、アクセサリパッドは、コントローラ205及び/又は航空機メインコントローラ220によって制御しなくてもよい。アクセサリパッドは、単にエンジン230が動作しているときに常にオンであってもよく、又は航空機のアクセサリにいつどの様に電力を供給するかを制御するために個別に(例えば、ユーザが切り替える手動スイッチによって)制御してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、コントローラ205は、航空機又は航空宇宙機に搭載され得る無線トランシーバと通信することができ、それによって、コントローラ205は、システム200に配線接続されていない他のコンピューティング装置と通信することができる。このようにして、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの様々なモードを実現するための命令又は入力を、リモート装置コンピューティング装置から無線で受信することもできる。他の実施形態では、システム200は、航空機に搭載された構成要素とのみ通信することができる。
【0070】
図10Bは、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャとともに使用される第2の航空機制御システム275を表すブロック図を示す。
図10Bの例では、システム275は、
図10Aのような別個の航空機メインコントローラを有していない。その代わりに、航空機全体は、柔軟なアーキテクチャ及び航空機(例えば、航空機の推進機構255を含む)の全ての態様を制御する単一のメインコントローラ280を有する。
【0071】
コントローラ285は、航空機上の1つ又は複数の推進機構255と通信して、それら推進機構255を制御することができる。コントローラ285は、航空機又は航空宇宙機上の1つ又は複数のセンサ270と通信することもでき、これらのセンサは、航空機のセンサ及び柔軟なアーキテクチャのセンサであってもよい。特に、センサ260は、上述した
図9A及び/又は
図9Bの構成要素のいずれかに埋め込むこともでき、従って、
図9A及び/又は
図9Bの装置がどの様に制御されるか、及び/又は本明細書で説明するモードがどの様に本明細書で説明するように実現されるかを知らせるために使用することができる。
【0072】
図10A又は
図10Bのいずれにおいても、コントローラ205、コントローラ285、及び/又は航空機メインコントローラ220は、柔軟なアーキテクチャの任意の構成要素、1つ又は複数のバッテリ、又は航空機の他の態様を冷却及び/又は加熱するように構成された冷却システムと通信することもできる。そのため、冷却システムは、本明細書で説明する他のシステム及び方法と連携して制御することもできる。
【0073】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ(例えば、
図9A、
図9B、
図10A、及び
図10Bに示され、それらに関して説明した柔軟なアーキテクチャを含む)の様々な実施形態を使用して実現され得る5つの特定のモードについて以下に説明する。
【0074】
本明細書ではハイブリッド式発電機モードと呼ばれ得る第1のモードにおいて、クラッチ(例えば、
図9Aのクラッチ115及び/又は
図9Bのクラッチ175)は、エンジン(例えば、
図9Aのエンジン105及び/又は
図9Bのエンジン155)を、クラッチから発電機/モータ(例えば、
図9Aの発電機/モータ121及び/又は
図9Bの発電機/モータ185)に延びる動力シャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合するように制御され得、それによって、エンジンが発電機/モータ内の動力シャフトを回転させて、電力I/O(例えば、
図9Aの電力I/O125)を介して、推進機構/システム等の航空機上の他のシステムに供給される電力を生成する。例えば、そのような推進機構/システムは、電気モータを使用して電力を供給され得、第1のモードにおいて発電機/モータによって出力された電力は、そのような推進機構/システムを駆動するために使用され得る。つまり、第1のモードでは、クラッチを用いてエンジンを動力シャフトに係合させて発電機/モータを駆動し、発電機/モータから電力を出力することができる。
【0075】
本明細書では直接駆動エンジンモードと呼ばれ得る第2のモードでは、クラッチ(例えば、
図9Aのクラッチ115及び/又は
図9Bのクラッチ175)は、エンジン(例えば、
図9Aのエンジン105及び/又は
図9Bのエンジン155)出力を、発電機/モータ(例えば、
図9Aの発電機/モータ121及び/又は
図9Bの発電機モータ185)を通って延びる動力シャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合して、航空機のプロペラのような推進機構に機械的動力を供給することができる。このようなモードでは、発電機/モータの動力シャフト及びロータが回転又はフリーホイーリングし、従って、発電機/モータの電力I/O(例えば、
図9Aの電力I/O125)が係合解除され、電力を出力しないように、発電機/モータから磁場を除去してもよい(例えば、発電機/モータがオフ又は係合解除されるように制御してもよい)。つまり、第2のモードでは、エンジンは動力シャフトを駆動して機械的又は他の方法で推進機構に動力を供給することができる一方、動力シャフトは電力I/Oで電力を受け取り又は出力することなく発電機/モータ内で回転する。
【0076】
本明細書では推力増強(augmented thrust)モードと呼ばれ得る第3のモードでは、クラッチ(例えば、
図9Aのクラッチ115及び/又は
図9Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、
図9Aのエンジン105及び/又は
図9Bのエンジン155)を、発電機/モータ(例えば、
図9Aの発電機/モータ121及び/又は
図9Bの発電機モータ185)を通って延びる動力シャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に係合することができ、発電機/モータは、バッテリパック等の外部ソースからの電力I/O(例えば、
図9Aの電力I/O125)を介して電力を引き込むモータとして使用される。これにより、エンジン又は発電機/モータが供給できるよりも高い機械的動力出力が動力シャフトに与えられる。つまり、第3のモードでは、エンジンと発電機/モータとの両方を使用して動力シャフトを同時に駆動し、推進機構に動力(電力)を送る。
【0077】
本明細書では直接駆動発電機/モータモードと呼ばれ得る第4のモードでは、クラッチ(例えば、
図9Aのクラッチ115及び/又は
図9Bのクラッチ175)が、発電機/モータ(例えば、
図9Aの発電機/モータ121及び/又は
図9Bの発電機/モータ185)からエンジン(例えば、
図9Aのエンジン105及び/又は
図9Bのエンジン155)を係合解除することができ、それによって、電力が電力I/O(例えば、
図9Aの電力I/O125)を介して発電機/モータに供給され、発電機/モータをモータとして駆動し、機械的動力を動力シャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に供給することができる。つまり、第4のモードでは、発電機/モータのみが、電力I/Oで受け取った電力に基づいて動力(電力)を推進機構に供給することができる。
【0078】
本明細書ではエンジン出力分割モードと呼ばれ得る第5のモードでは、クラッチ(例えば、
図9Aのクラッチ115及び/又は
図9Bのクラッチ175)が、エンジン(例えば、
図9Aのエンジン105及び/又は
図9Bのエンジン155)を、発電機/モータ(例えば、
図9Aの発電機/モータ121及び/又は
図9Bの発電機/モータ185)に係合することができ、それによって、エンジンは、発電機/モータを発電機として回転させ、電力I/O(例えば、
図9Aの電力I/O125)を介して航空機上の他のシステムに電力を供給するだけでなく、機械的動力を動力シャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト111及び/又はクラッチ出力/動力シャフト180)に与えて、プロペラのようなシステムを駆動することもできる。つまり、第5のモードでは、エンジンを使用して動力シャフト及び発電機/モータを駆動して、電力I/O及び動力シャフトを介して動力(電力)を出力することができる。
【0079】
本明細書で説明するように、これらの5つのモード(又はその変形)のいずれも、本明細書で説明する単一の柔軟なアーキテクチャとともに使用することができる。さらに、特定のモード及び/又はモードの組合せは、特定の航空機又は航空宇宙機のタイプ、特定の推進機構タイプ、航空機又は航空宇宙機の特定の飛行段階等にとって有益であり得る。
【0080】
例えば、電気モータ駆動プロペラを備えたハイブリッド式電気垂直離着陸(VTOL)航空機では、本明細書の柔軟なアーキテクチャは、電力源としてのみ使用され得る。そのため、柔軟なアーキテクチャは、航空機の電力バス又は航空機の1つ又は複数のモータに電力を供給しなければならない飛行段階の任意の部分中に、航空機を第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)で駆動することができる。
【0081】
別の例では、単一の大きなメイン推進(pusher)プロペラ(例えば、航空機の胴体後部)と電気モータ/プロペラ(例えば、航空機の翼上)のアレイとを備えた航空機では、柔軟なアーキテクチャは、離陸中に第5のモード(例えば、エンジン出力分割モード)で使用され、メイン推進プロペラに機械的に動力を供給し、翼に取り付けられたモータに電気的に電力を供給することができる。
図11及び
図12は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用することができるそのような航空機300及び400の2つの例を示す。例えば、航空機300はメイン推進プロペラ305を有し、航空機400はダクト推進ファンの形態のメイン推進プロペラ405を有する。両方の例において、本明細書で説明する第5のモードは、動力シャフトからメイン推進プロペラ305及び405に機械的に動力を供給するために使用され得る。さらに、翼に取り付けられた電気モータ/プロペラ310及び410は、本明細書で説明するようにモータ/発電機からの電力で駆動され得る。
【0082】
あるいはまた、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャを使用して、
図11及び
図12に示すような構成に、離陸時にバッテリパックが翼に取り付けられた両方のモータに電力を供給することによる第3のモード(例えば、推力増強モード)で電力を供給し、メイン推進プロペラを駆動する動力シャフトに対するエンジン出力を増強することもできる。巡航飛行中に、航空機は、メイン推進プロペラのみを駆動するために第2のモード(例えば、直接駆動エンジンモード)を使用することができる。別の例では、巡航飛行中に、航空機は動力シャフトと推進プロペラとの間にクラッチを備えてもよく、コントローラは、動力シャフトを推進プロペラから係合解除し、発電機/モータから翼に取り付けられたモータに電力を出力することによって、航空機を、翼に取り付けられたモータを駆動する第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)で動作させてもよい。別の例(例えば、エンジン故障等の緊急事態)では、推進プロップは、1つ又は複数のバッテリ等の電力I/Oへの電力入力を使用して、第4のモード(例えば、直接駆動発電機/モータモード)で駆動され得る。
【0083】
別の例では、航空機は、動力を与えられても動力を与えられずに動作することができ、翼に取り付けられた前方推進モータ及びプロペラを有し得る、ジャイロコプタ型のメインロータを備えたVTOL航空機であってもよい。一実施形態では、柔軟なアーキテクチャは、電力入力/出力(及び発電機/モータ)から供給される電力が、ジャイロコプタ型のメインロータに結合されたモータを駆動させ、電力を使用して翼に取り付けられたモータを駆動する、第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)で完全に使用され得る。一実施形態では、航空機は、柔軟なアーキテクチャが第2のモード(例えば、直接駆動エンジンモード)又は第3のモード(例えば、推力増強モード)を使用して、ジャイロコプタ型のメインロータを回転させる(例えば、ジャイロコプタ型のロータを離陸速度に上げる)ことができるように、動力シャフトとジャイロコプタ型のメインロータとの間にクラッチを備えるように構成してもよい。このような例では、コントローラは、ジャイロコプタ型ロータが速度に達した後に、柔軟なアーキテクチャを第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)に切り替えることができる(例えば、巡航飛行のために第1のモードに切り替える)。第4のモード(例えば、直接駆動発電機/モータモード)は、エンジン故障の場合に再び使用され、電力を使用して、1つ又は複数のバッテリ等の電源により動力シャフト(従ってジャイロコプタ型のロータ)を駆動することができる。
【0084】
図13は、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャを使用することができる別の例示的な航空機500を示す。例えば、航空機500は、Tilt翼上に複数(例えば、8個)の電気モータ/プロペラ505を含んでもよく、これらは、本明細書で説明する第1のモード(例えば、ハイブリッド式発電機モード)を使用して電力供給され得、エンジンは、クラッチを使用して動力シャフトと係合され、発電機/モータを駆動し、発電機/モータからTilt翼上の様々な電気モータ/プロペラ505に電力を出力することができる。
【0085】
従って、本明細書では、推進機構に動力を供給するための様々なモードを達成することができる航空機のための有利な柔軟なアーキテクチャについて説明する。特定の航空機及び推進機構の構成は、柔軟なアーキテクチャが可能な本明細書で説明する各モードを利用しない場合があるが、柔軟なアーキテクチャは、依然として異なるモードを達成するために異なる航空機に実装することができる。同様に、推進機構に動力を供給するための5つの異なるモードを有する柔軟なアーキテクチャの一例を本明細書で詳細に説明するが、推進機構に動力を供給するためのより少ない、より多い、又は異なるモードを有する他の柔軟なアーキテクチャも本明細書で企図される。
【0086】
例えば、柔軟なアーキテクチャは、本明細書で説明するようなクラッチを有さなくてもよく、エンジン出力をシステムのモータ/発電機及び/又は動力出力シャフトに結合することが望ましい場合に、依然として本明細書で説明する様々なモードを実現することができる。例えば、第1のモードにおいて、エンジンが動力シャフトを回転させて、発電機によって電気を発生させることができる。第2のモードでは、エンジンは、例えば機械的推進部品を直接駆動することができるが、モータ/発電機をオフにする、又はモータ/発電機の動力シャフト及びロータをモータ/発電機内でフリーホイールさせることができるため、エンジンをモータ/発電機又は動力シャフトから係合解除する必要はない。第3のモードでは、エンジン及びモータ/発電機が動力シャフトの駆動に使用されるため、クラッチを使用してエンジン及びモータ/発電機を係合解除することは望ましくない。第5のモードでは、エンジンは動力シャフトを回転させて、発電機によって電気を発生させ、動力シャフトが推進機構に機械的に動力を供給することができる。そのため、上述の第1、第2、第3、及び/又は第5のモードのいずれかを利用する航空機では、動力シャフトをエンジン出力から係合解除する必要はない。そのため、第1、第2、第3、及び/又は第5のモード(第4のモードではない)の任意の組合せを使用する実施態様では、システムがエンジンの出力をモータ/発電機の動力シャフトに常に接続している可能性があるため、クラッチを使用しない場合がある。クラッチは重い、及び/又は信頼性が低い可能性があるため、そのような実施形態は価値があり得る。
【0087】
図14は、例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第1の例示的な方法601を示すフローチャートである。特に、航空機は、単一のより大型の推進プロペラと、翼上の電気モータ及び対応するより小型なプロペラのアレイとを備えた航空機であってもよい。603での離陸飛行段階中に、本明細書で説明する第5のモードを使用して、メイン推進プロペラに機械的に動力を供給し、翼に取り付けられたモータに電力を供給することができる。605での巡航飛行段階中に、本明細書で説明する第2のモードを使用して、メイン推進プロペラのみに機械的に動力を供給し、より小型の電気モータ/プロペラには電力を供給しないようにすることができる。
【0088】
図15は、例示的な実施形態による、メイン推進プロペラを備えた航空機の異なる飛行段階において航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャを使用するための第2の例示的な方法700を示すフローチャートである。特に、航空機は、単一のより大型の推進プロペラと、翼上の電気モータ及び対応するより小型プロペラのアレイとを備えた航空機であってもよい。702での離陸飛行段階中に、本明細書で説明する推力増強と呼ばれる第3のモードを使用して、発電機/モータを介してメイン推進プロペラに電力を供給し(バッテリから電力を引き出す)、エンジンからメイン推進プロペラに機械的に直接動力を供給することができる。さらに、離陸中に電力(発電機/モータによって生成される、及び/又はバッテリから直接生成される)を翼上の電気モータに供給することもできる。704での巡航飛行段階中に、本明細書で説明する第2のモードを使用して、メイン推進プロペラのみに機械的に動力を供給し、より小型の電気モータ/プロペラには電力を供給しないようにすることができる。
【0089】
図9Aに戻って参照すると、エンジン105が動力シャフト111に動力を加え、発電機/モータ121が作動しない、又はオンにならないようにクラッチ115が係合されている場合に、動力シャフト111は発電機/モータ121内で(例えば、上述の第2のモードで)フリーホイールすることができる。同様に、
図9Bの動力シャフト180は、様々な実施形態において、発電機/モータ185内でフリーホイールすることができる。しかしながら、エンジン105及び/又はエンジン155は、クラッチ115及び/又はクラッチ175がそれぞれの動力シャフト111及び/又は180と係合する場合に、発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185等の発電機にとって危険となり得るトルクパルスを動力シャフト111及び/又は動力シャフト180上に発生させる可能性がある。換言すれば、あるタイプのエンジン(例えば、ディーゼルピストン内燃機関)が点火するときに発生し得るものと同様の大きなトルクパルスがシャフトに発生することによって、動力シャフト111及び/又は180に結合された発電機/モータ121及び/又は発電機/モータ185の構成要素に疲労又は損傷を生じさせ得る高い角加速度を引き起こす可能性がある。そのため、このトルクを緩和するための構成要素は、フライホイール又は他の強力な減衰又はばね結合システム等を使用して、動力シャフト111及び/又は180上のトルクを平滑化することができる。
【0090】
図16Aは、例示的な実施形態による、振動トルクを吸収するためのフライホイールを有する航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ800の例を示す。特に、柔軟なアーキテクチャ800は、
図9Bに示し、
図9Bに関して説明したものと同様又は同じ構成要素を含むが、ボルト170を用いて出力フランジ165に堅固に接続されたフライホイール195を含む。フライホイール195はさらに、ボルト198によってクラッチ175の片側に堅固に接続される。従って、回転運動は、エンジン155からクランクシャフト160、出力フランジ165、及びフライホイール195を介してクラッチ175に移され得る。クラッチ175は、フライホイール195から受け取った回転運動を動力シャフト180に選択的に変換するために、動力シャフト180と係合又は係合解除することができる。フライホイール195はさらに、例えば二重質量フライホイール又はばね連結器であってもよい。
【0091】
他の様々な実施形態では、フライホイールを使用しなくてもよい。例えば、動力シャフト(例えば動力シャフト111)上のトルクを減衰させることができるが、フライホイールを含まない減衰システム及び減衰装置の更なる実施形態を本明細書で説明する。さらに、様々な実施形態では、フライホイール及び他の減衰システム又は構成要素を組み合わせて使用して、動力シャフトに加えられるトルクを減衰又は平滑化することができる。
【0092】
例えば、発電機/モータ自体内の動力シャフト又はロータは、発電機/モータのクランクシャフトに堅固に結合され得る。このようにして、クランクシャフト及びロータが一体となって動力シャフト又はロータ上のトルクパルスを減衰させることができ、エンジンからのトルクパルスによる接線方向の加速度を低減することができる。このような実施形態では、クラッチを省略してもよい。そのため、減衰システムは発電機/モータの内部にあり、減衰システムの設置面積及び重量は、発電機/モータの外部にあり得るフライホイール又は他の減衰システムよりも小さくすることができる。特に、動力シャフト又はロータとクランクシャフトとの堅固な結合は、動力シャフト又はロータの慣性を増大させる可能性があり、それによって、その追加の慣性は、動力シャフトが減速する、又はそうでなければエンジンのトルクパルスによる加速の影響を受けやすい方法で回転するのを防ぐのに役立つ。このような実施形態では、動力シャフト又はロータ及びクランクシャフトは、フライホイールと同様に機能することができる。
【0093】
様々な実施形態では、静止した内側部分と回転する外側部分とを有する発電機/モータが使用され得る。これにより、その回転部分の慣性が増大し、発電機/モータ内の磁石が回転して、トルクス(登録商標)パイクによって外れるのを回避できる可能性がある。換言すれば、磁石は外側部分で既に回転している可能性があるため、トルクスパイク加速による接線方向の慣性力に加えて、一定の安定化する半径方向の力が加えられる可能性がある。
【0094】
トルク減衰システムは、エンジンの出力を発電機/モータに接続する動力シャフト又はロータの一部として構成することもできる。例えば、発電機/モータの動力シャフト又はロータの間のハブには、ねじりばね特性及び/又は減衰特性を有する連結器が含まれ得る。ねじり減衰連結器には、潜在的に有害なトルクインパルスがエンジン出力から発電機の動力シャフト又はロータに伝わるのを低減する、エラストマ部品又はばね(例えば、鋼又は別の金属で作製された)が含まれ得る。ねじり減衰連結器は、共振減衰連結器と同様であるか、又は共振減衰連結器とも呼ばれ得る。例えば、そのようなねじり減衰連結器は、フライホイール又は他の大型減衰システムを使用するシステムとは対照的に、システム全体の重量及びサイズを削減することができる。1つ又は複数のねじり減衰連結器を、エンジン内、エンジンとクラッチとの間、クラッチ内、クラッチと発電機との間、及び/又は発電機内のいずれか1つ又は複数に設置して、動力シャフト又はロータが発電機自体の構成要素を損傷する前に減衰を達成することができる。
【0095】
発電機の動力シャフト又はロータ上のトルクを減衰する他の方法も使用することができる。例えば、発電機上の磁場は、発電機の動力シャフト又はロータに作用して、エンジンによって動力シャフト又はロータに与えられるトルクパルスの一部又は全てを打ち消すようにパルス状に制御され得る。発電機の磁場上のそのようなパルスは、エンジンによって加えられるトルクパルスの測定に基づいて制御することができ、その結果、発電機の構成要素がディーゼルエンジンによって損傷されないようにすることができる。例えば、エンジンと発電機/モータとの両方が動力シャフトに動力(電力)を供給する上記の第3のモードでは、発電機から動力シャフトにパルスが供給され、動力シャフトに電力が供給され、発電機の構成要素が損傷するのを防ぐことができる。本明細書で説明する他のモードでは、動力シャフトが全体的にエンジンによって部分的に駆動されているときはいつでも、発電機を使用して動力シャフトにパルスを印加することができる。こうして、このような方法で発電機の部品を適切に保護するために、発電機の磁場によって動力シャフト又はロータに印加されるパルスは、エンジンのトルクパルスと相関してそれらのトルクパルスに適切に対抗するように構成され得る。
【0096】
図16Bは、例示的な実施形態による、振動トルクを吸収するためのフライホイール及びばね連結器を有する航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャ801の例を示す。特に、柔軟なアーキテクチャ801は、
図16Aに示し、
図16Aに関して説明したものと類似又は同じ構成要素を含むが、フライホイール195及び動力シャフト180に堅固に接続されたばね連結器199を含む。フライホイール195のサイズ、重量等、並びにばね連結器199の特性は、エンジン155の出力及び互いの特性に従って調整することができため、振動トルクを所望の及び/又は可能な限り低減することができる。例えば、異なるエンジンは異なる量の振動トルクを生成する可能性があるため、本明細書の様々な実施形態は、クランクシャフト160から動力シャフト180に伝わる振動を低減するために、異なる特性を有するフライホイール及び/又はばね連結器を含む。様々な実施形態では、柔軟なアーキテクチャ801は、クランクシャフト160及び動力シャフト180が常に互いに結合されるように、クラッチを有さなくてもよい。様々な実施形態では、
図16Bのアーキテクチャと同様の柔軟なアーキテクチャはまた、エンジン155の出力を最終的に動力シャフト180から解放可能に係合解除することができるように、クラッチを含んでもよい。様々な実施形態では、そのようなクラッチは、ばね連結器199と動力シャフト180との間に接続され得、又は動力シャフトは、複数のシャフトにクラッチを接続して複数のシャフトに分割してもよく、又はエンジン155の出力を発電機/モータ185を介して伝わる動力シャフト180の部分から選択的に係合解除することができるように、クラッチをエンジン155と発電機/モータ185との間のいずれかの場所に配置してもよい。様々な実施形態では、動力シャフト180を負荷(例えば、航空機の推進機構)から係合解除することができるように、追加的又は代替的に、発電機/モータ185の後にクラッチを位置付けしてもよい。
【0097】
さらに、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャが実際の航空機にどの様にパッケージ化及び/又は使用され得るかの例を以下に説明する。例えば、特定の航空機は推進システムを駆動するために電気モータを使用する場合があるため、それらの推進システムを駆動するために十分な機内電気エネルギを有する、又はそのような機内電気エネルギを生成する方法を備えている必要がある。さらに、特定の管轄区域の規制では、航空機の運用規制に準拠するために十分な予備エネルギが必要な場合もある。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、本明細書で説明するシステムが様々な電動航空機で動作できるように、推進システムにそのような電気エネルギ及び/又は予備エネルギを供給することができる。例えば、本明細書の実施形態は、広く入手可能な燃料源を使用して電動航空機に電力を供給できるように、ジェット燃料(又は他の液体燃料又はガス燃料)の電気への効率的な変換を提供する。
【0098】
図17は、例示的な実施形態による、航空宇宙ハイブリッドシステムの柔軟なアーキテクチャの例の斜視
図901を示す。このハイブリッドユニットは、様々な種類の航空機及び実施態様のコア発電装置(powerplant)として使用することができる。
図17のハイブリッドユニットは、
図9A、
図9B、
図10A、
図10B、及び/又は
図16A/
図16Bに示して説明したいくつかの要素、全ての要素、及び/又は追加の要素を含み得る、緊密に統合された発電装置である。
【0099】
さらに、ハイブリッドユニットは、ハイブリッドユニットの様々な態様、ハイブリッドユニットに関連する熱交換器、又はハイブリッドユニットの任意の態様に関するフィン付きアタッチメント等のヒートシンクを冷却する統合冷却システム905を含んでもよい。動力出力910は、回転動力がハイブリッドユニットから推進システム又は航空機の他の態様に出力されるように、動力シャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト110、
図9B又は
図16A/
図16Bの動力シャフト180)であってもよく、又は動力シャフトに接続してもよい。電気コネクタ915は、本明細書で説明するように、電力を出力する(又は電力を入力する)ために使用してもよい。電気コネクタ915は、例えば、Amphenol Surlok Plus(商標)コネクタ又は同等品であってもよく、或いは他の任意のタイプの適切なコネクタであってもよい。このようにして、ハイブリッドユニットの直流(DC)バス等のメインバスは、電気コネクタ915(例えば、
図9Aの電力入力/出力125、
図10A又は
図10Bの電力I/O245)を介して接続され得る。これら又は他のコネクタは、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、CAN2.0バス、及び/又はSAE J1939バスの使用等、ハイブリッドユニットの構成要素への接続及び制御を容易にすることもできる。このような通信バスは、250キロバイト/秒(kbps)、500kbps、1000kbps等の異なる速度で動作することができる。様々な実施形態では、電気コネクタ915及び/又は他のコネクタは、様々な種類の航空機と、それらの航空機が使用する通信及び電力システム等の特定の用途に合わせてカスタマイズすることができる。
【0100】
電力出力910及び電気コネクタ915のおかげで、
図17のハイブリッドユニットは、電力出力910を介して機械的動力を出力し、及び/又はハイブリッドユニット内の電気コネクタ915及びDCバス(例えば、
図9Aの電力入力/出力125、
図10A又は
図10Bの電力I/O245)を介して電力を出力することができる。同様に、機械的動力を動力出力910を介して受け取って電気コネクタ915を介して出力するための電気を生成するのと同様に、電力を電気コネクタ915を介して受け取って動力出力910を駆動することができる。例えば、航空機が1つ又は複数のバッテリを有している場合に、バッテリからの追加電力を電気コネクタ915を介して受け取って、動力出力910に加えられる動力(電力)を高めることができ、これにより、本明細書で説明するように、電力出力910がエンジンと航空機のバッテリからの電力との両方によって駆動されるようになる。
【0101】
図17のハイブリッドユニットは、エンジンを燃料源に接続するためのコネクタ925をさらに含むことができる。コネクタ925は、AN6クイック燃料接続等のクイック燃料接続であってもよい。このようにして、エンジンには燃料が供給されて、動力出力910に動力を供給し、及び/又は電気コネクタ915を介して出力される電気を生成することができる。
図17のハイブリッドユニットは、ハイブリッドユニットを航空機に取り付けるための取付ハードウェア921をさらに含むことができる。
図17では、取付ハードウェア921がハイブリッドユニットの上部に示されているが、他の実施形態では、取付ハードウェアは、ハイブリッドユニットを航空機に所望通りに取り付けることができるように、ハイブリッドユニットの上部、底部、側面等のいずれかに追加的又は代替的に配置することができる。
【0102】
【0103】
従って、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、電気航空機又はハイブリッド式電気航空機に電力を供給するために使用することができ、バッテリパック単独よりも優れた電力を提供することができる。例えば、
図17~
図19に示されるようなハイブリッドユニットはバッテリよりも優れたエネルギ密度(例えば、5~7倍優れたエネルギ密度)を提供することができる。例えば、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、600~1200以上のワット時/キログラム(Wh/kg)以上の等価エネルギ密度を有し得る。また、本明細書で説明するハイブリッドユニットは、他のシステムよりも優れた燃費(例えば、タービンエンジンよりも40%優れた燃費)を有利に有し、Jet-A、ディーゼル、灯油、バイオ燃料代替品、或いは他の適切な又は所望の燃料等の容易に入手可能な燃料を使用することができる。換言すれば、本明細書のハイブリッドユニットは、コンパクトなパッケージ内に、エンジン、発電機、インバータ、及び空冷を使用する熱管理を含むことができ、それによって、柔軟なアーキテクチャが搭載された航空機は、これらの構成要素を発電装置として有利に利用することができる。様々な電圧(例えば、400ボルト(V)、800V、1000V、1200V等)の出力がハイブリッド式アーキテクチャから供給されるだけでなく、他のアクセサリ又はシステム電源(例えば、28V)用の接続も有している。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、他のシステムよりも静か(例えば、タービンエンジンシステムよりも静か)であり得る。例えば、現在のシステムから100フィート以下の距離では、騒音が70デシベル(dB)未満になり得る。
【0104】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、拡張可能でもあり得る。例えば、より大型の航空機では、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャのうちの2つ以上を使用してもよい。この柔軟なアーキテクチャは、様々な機能及び目的に合わせて設計された様々な航空機にも使用することができる。例えば、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャは、電動式垂直離着陸(eVTOL)航空機、電動式短距離離着陸(eSTOL)航空機、従来の電動式離着陸(eCTOL)航空機等のアーバンエアモビリティ(UAM)システムにおいて有用であり得る。
図17~19に示されるもの等の柔軟なアーキテクチャの一例は、以下の表1に示す仕様を有することができる。
【表1】
*最大バーストシャフトパワーはバッテリ構成に依存する。
**乾燥質量は、エンジン、発電機、インバータ、及び熱システムを含む。
【0105】
上に示したように、185kWのハイブリッドユニットを設けることができる。従って、370kWの電力を供給するために、特定の航空機に2つのハイブリッドユニットを設けることができる。
【0106】
図20は、例示的な実施形態による航空宇宙ハイブリッドシステムのための柔軟なアーキテクチャの別の例の斜視
図1200を示す。
図20の柔軟なアーキテクチャは、エンジン1205及び発電機を含むが、これらはシステムの冷却ダクト等の他の構成要素により隠れているか見えない。しかしながら、
図17~
図19のハイブリッドユニットと同様に、機械的動力出力1210及び電気的出力1220(これらは両方ともオプションで同様に電力を受け取ることもできる)が提供される。
【0107】
このように、本明細書の様々な実施形態は、航空宇宙市場における様々な異なるタイプの航空機に組み込むことができるハイブリッド式発電装置を提供する。そうすることで、航空機メーカーは、航空機に電力を供給するためのエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムで構成される独自のシステムを構築する必要がなくなる可能性がある。発電システムを形成し、それを航空宇宙規格に適合させるための開発プロセスには4年以上かかり、1,000万ドル以上の費用がかかる可能性があるため、これは有利となり得る。
【0108】
このように、本明細書で説明するハイブリッド式発電装置又は柔軟なアーキテクチャは、航空機の設計とは切り離して設計、製造等することができる。柔軟なアーキテクチャのいくつかの態様は、航空機メーカーの要望に応じてカスタマイズできるが、システム全体の再設計又は再構成を生じさない方法でカスタマイズすることができる。従って、本明細書の実施形態は、航空機に搭載される1つのパッケージ内にエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムを含める統合ユニットを提供する。これらの要素を単一のスタンドアロンユニットに組み合わせると、そのユニットがシステムとして連邦航空局(FAA)の認証プロセスを通過できるようになり、さらに有利になる。そうすれば、複数の航空機メーカーが認証システムを使用できるようになり、航空機開発者の認証の負担及び開発の負担が軽減されるだけでなく、複数の航空機メーカーが自社の航空機用に特別に設計した多くの異なる発電システムの認証を取得する必要がなくなり、効率が向上する。
【0109】
エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムを有する複合ユニットを提供することにより、本明細書で説明するハイブリッド式の柔軟なアーキテクチャは、個別の構成要素としてではなくシステム全体として最適化され得る。部分の最適化ではなく、システム全体を最適化する。さらに、このようなハイブリッドユニットは複数の航空機設計で使用され得るが、航空機設計プロセスの一部として設計されたシステムは、他の場所で再適用することが難しいように構成される。複数の市場セグメント及び共通の電力要件を有する航空機設計に適用できるハイブリッドユニットを搭載すると、航空機の主要部品(例えば、ハイブリッドユニット又は柔軟なアーキテクチャ等)が既に認証され、生産される航空機の開発が迅速化される。
【0110】
航空用のハイブリッド電気システムは、歴史的に、各用途/航空機に対してゼロから設計されてきた。このようなプロセスは非効率的であり、本明細書の実施形態によって対処される。例えば、一部の航空機には、その航空機用に特別に設計された独自の発電装置が搭載されている。このような解決策には、カスタムエンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム、冷却システム、バッテリパック、推進モータ、及び/又はプロペラが含まれ得る。本明細書の実施形態は、航空機の動力及び推進システム内の2つの別個の半分、すなわちパワートレイン(本明細書で説明するハイブリッド式パワートレイン等)の上流端及び下流端のうちの半分を構成することができる、航空機用のコンパクトなハイブリッドシステムを提供する。
【0111】
図21は、例示的な実施形態による、航空機1300を推進するための下流側部品1305、1310及び上流側部品1315、1320の例を示す。例えば、航空機システムの下流側部品1305、1310は、航空機の特定の設計により関連するモータ、ロータ/プロペラ、姿勢制御部品等を含み得る。異なる航空機内で反復可能であり得る航空機の上流側部品1315、1320は、エンジン、発電機、バッテリ、配電、燃料、発電機騒音軽減等のいずれかを含み得る。
【0112】
具体的には、パワートレインの上流端は、電力の生成を担うハイブリッド式パワートレイン要素を含むことができる。このような構成要素には、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム(上流の発電構成要素用)、冷却システム(上流側部品用)、バッテリパック、及び/又は燃料が含まれ得る。パワートレインの下流端には、電力を推力、姿勢制御、及び/又は空力学のアクティブ制御に変換する役割を担うハイブリッド式パワートレイン要素が含まれ得る。これらの下流側部品には、電気モータ、プロペラ、モータコントローラ、及び/又は推進システムのための制御システムがさらに含まれ得る。
【0113】
そのため、同様のサイズ及び総電力要件を有する非常に異なる電動航空機設計に亘って共通の上流側パワートレインのニーズが存在し得る。ただし、下流側パワートレインは航空機の間で一貫性が殆どないため、これらの構成要素は上流側構成要素のように多くの航空機設計で機能するように標準化されていない可能性がある。さらに、標準化に役立つ上流側要素には、総エネルギ要件ではなく電力要件に関連する構成要素が含まれ得る。エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、冷却システム、及び/又は制御システムの場合に、上流側パワートレインのこれらの要素は、航空機の特定の電力要件(kW又はhp)に適合するようにサイズ決めすることができる。ただし、燃料の量とバッテリパックのサイズとが総エネルギ要件(kWh又はhp hr)によって決まる場合があり、これらは航空機毎に異なる場合がある。このような実施形態では、航空機設計の要件に適合するように燃料タンクのサイズを変更することによって燃料の体積を調整することができ、kWh単位でのバッテリパックの容量は、バッテリパック内のセルの並列スタックの数を調整するか、又は追加のバッテリパックを追加することによって調整することができる。
【0114】
従って、本明細書では、エンジン、発電機、パワーエレクトロニクス、制御システム(発電システム用)、及び/又は冷却システムを、重量効率及びスペース効率の高い方法で緊密に統合するハイブリッド式発電装置を供給するための実施形態を提供し、そのハイブリッド式発電装置は、航空機から分離可能な、推進力を提供するように設計されたスタンドアロンユニットとして認証され得る。
【0115】
さらに、本明細書で説明するように、発電機内のロータは、ハイブリッド式発電装置の文脈において複数の目的を果たすように最適化することができる。従来の内燃機関は、動作の滑らかさを高めるために、回転シャフトにフライホイール質量が取り付けられている場合がある。ただし、航空宇宙システムの文脈では、余分な質量を追加することは好ましくない場合がある。本明細書で説明するように、エンジンがハイブリッド式発電装置の発電機に結合される場合に、発電機のロータは、エンジンからのトルクインパルスに耐えるように設計され得、エンジンが動作を滑らかにするために利用する回転質量となるように設計され得る。
【0116】
さらに、補助電力ユニットは従来技術で知られているが、これらのシステムは、航空機の主な推進力源としてとは異なる目的のために設計されている場合があり、従って、推進に使用するために必要である規格に認証することができる制御システムを有していない可能性がある。さらに、このようなシステムは冷却システムなしで設計することもでき、その点は機体設計者に委ねられる。そのため、これらのシステムはパート33(航空機発電装置に関するFAA規制)の認定を受けていない。また、これらの補助電力ユニットシステムは、飛行の全ての段階で使用される高効率の推進システムではなく、断続的に使用される軽量の補助システムとして設計される。さらに、補助電力ユニットは交流(AC)電力を生成するように設計され得るが、本明細書で説明するハイブリッド式発電装置は直流(DC)電力を生成することができるため、ハイブリッド式発電装置は、バッテリパックがDC電源を使用して電力供給及び充電されるので、大型の推進用バッテリパックに結合され得る。
【0117】
タービン発電機は、ハイブリッド電力用に提案されている適合型補助電力ユニットの一種である。このようなシステムには、ハイブリッド式発電装置の一部である冷却システムを機体開発者に提供する冷却システムの統合を欠いている。そのため、機体開発者は、タービン発電機の使用に伴う独自の冷却システムを設計する必要があり得る。本明細書の実施形態を使用すると、そのような冷却システムが本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャに既に含まれているため、本明細書で説明するハイブリッド式発電装置を冷却するための別個の冷却システムを特定の機体用に設計又は開発する必要がなくなるという利点があり得る。
【0118】
そのため、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電装置は、液体燃料(又は気体燃料)を回転機械動力に変換するエンジン、回転機械動力を電気に変換するように構成されたエンジンに結合された発電機、及び/又は発電機の直接AC出力を高電圧DC電力に変換するように構成された発電機に結合されたパワーエレクトロニクスを有利に提供する。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電装置は、航空機の電力需要を満たすために、航空機のメイン推進電気バスの電力需要に適合するようにエンジンの動力出力を変更するように構成された制御システムをさらに有利に提供する。
【0119】
本明細書で説明するハイブリッド式発電装置制御システム、パワーエレクトロニクス、発電機、及び/又はエンジン設計は、航空宇宙推進システムの信頼性に関する規制要件にさらに準拠することができる(例えば、故障の確率は10-6未満又は10のマイナス6乗でなければならない)。柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電装置は、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置が乗り物(vehicle)レベルの飛行制御システムと通信して、推進力コマンドを乗り物レベルの飛行制御システムからハイブリッド式発電装置制御システムに提供するのを可能にする制御インターフェイスをさらに含むことができ、ハイブリッド式発電装置制御システムがステータスメッセージを乗り物レベルの飛行制御システムに送り返す(例えば、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置の制御に使用するためのフィードバック)ことも有利に提供することができる。柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電装置は、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ及びハイブリッド式発電装置の動作出力の全範囲に亘って、発電機、パワーエレクトロニクス、及び/又はエンジンの温度範囲を維持する冷却システムをさらに含むことができる。
【0120】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置の様々な実施形態は、エンジントルクを変化させることによって動力出力を変化させる、及び/又は動力出力のかなりの範囲に亘って毎分回転数(RPM)を実質的に一定に維持する制御システムをさらに含むことができる。このような実施形態は、システムの回転慣性に関するスロットル遅れ及びより長い応答時間を排除することによって、柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置のより速い応答を提供することができる。
【0121】
本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置の様々な実施形態は、エンジンの動力出力の一部を機械的なシャフト動力として提供し、一部をDC電力として提供するオプションをさらに含むことができる。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置の様々な実施形態は、エンジンがピストンエンジン、ディーゼルピストンエンジン、タービンエンジン、ロータリエンジン、又は他の形態の燃焼機関であり得る実施形態をさらに含み得る。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置の様々な実施形態は、発電機のロータがエンジンのフライホイールとなるように設計される例をさらに含み得る。本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャ又はハイブリッド式発電装置の様々な実施形態は、本明細書で説明するいくつかのタイプの並列ハイブリッド設備においてエンジンが停止している間に発電機をモータとして動作させることができるように、エンジンと発電機との間にクラッチをさらに含んでもよい。
【0122】
空冷素子
図22~
図34に関して以下でさらに説明するように、本明細書で説明する様々な実施形態は、本明細書で説明するハイブリッド式の柔軟なアーキテクチャ等のハイブリッド式発電装置の複数の要素の同時空冷も提供する。例えば、エンジン(例えば、ピストンエンジン、ロータリエンジン、タービンエンジン等)、電気機械(例えば、本明細書で説明する発電機、モータ、又は発電機/モータ)、パワーエレクトロニクス、及び/又はハイブリッドシステムのエンジンの吸気は全て、本明細書で説明する冷却システムによって効率的且つ同時に冷却できるという利点があり得る。こうして、個別の冷却部品を備えたハイブリッド式発電装置の異種部品は、航空機の重量を軽減し、航空機の信頼性を高めることができる複合空冷システムとリンクすることができる。
【0123】
本明細書で説明する冷却システムの様々な実施形態は、空気がハイブリッド式発電装置の異なる態様又は構成要素に供給されるように空冷を利用する。空気は、水等の冷却に使用される他の媒体よりも軽い。こうして、本明細書で説明する実施形態は、冷却のための主媒体として水等の液体を使用するシステム等の他のシステムに比べて重量面で有利となり得る。水冷システムは、空気ベースのシステムよりも重量が重いことに加えて、特に高高度で運用され得るため低温に曝される航空機では、着氷の問題に直面する可能性がある。
【0124】
例示的な実施形態は、ファン、インペラ、及び/又はブロワを、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャの動力シャフト又はクランクシャフト(例えば、
図9Aの動力シャフト111、
図9Bのクランクシャフト160、
図9Bの動力シャフト180)に有利に接続し、それによって、ファン、インペラ、及び/又はブロワは、本明細書で説明する柔軟なアーキテクチャのエンジン(例えば、
図9Aのエンジン105、
図9Bのエンジン155)、又は発電機/モータ(例えば、
図9Aの発電機/モータ121、
図9Bの発電機/モータ185)によって動力シャフト又はクランクシャフトに与えられる動力に基づいて機械的に駆動される。そのため、ファン、インペラ、及び/又はブロワは、回転する動力シャフト及び/又はクランクシャフトから受け取った機械的動力から直接空冷を提供するように構成されており、冷却のために複数のシステム要素に空気を提供することができ、これには、冷却のために空気を構成要素に直接提供する、又は他の構成要素(例えば、独自の液冷システムを備えた構成要素)を冷却するために使用される1つ又は複数の熱交換器又はフィン付きヒートシンクに空気を提供することが含まれる。特に明記しない限り、ファン、ブロワ、及び/又はインペラという用語は、ファン、ブロワ、インペラ、又は他の同様の構成要素のいずれか、及びそのような要素の任意の組合せを指すために個別に使用され得ることを理解されたい。
【0125】
本明細書で説明する実施形態は、柔軟なアーキテクチャの個々の構成要素に別個の冷却を使用するシステムよりも軽量のシステムを提供する。さらに、動力シャフト又はクランクシャフトからの機械的動力が、ファンを駆動するために直接提供され得るため、本明細書の実施形態は、電動ファンを駆動するために機械的動力を電力に変換するシステムで発生し得る変換損失を低減することができる。そのため、柔軟なアーキテクチャからの機械的動力は空冷の流れに直接変換される。本明細書で説明する実施形態は、冷却ファン及び関連するダクト構造が柔軟なアーキテクチャの残りの部分に対して緊密に結合又は配置され得るため、軽量で効率的なシステムをさらに提供し、それにより航空機に動力を供給するための効率的で軽量且つコンパクトなシステムをもたらす。実施形態はまた、空冷システムの冷却入口と冷却される装置又は構成要素との間の距離を短縮することによって効率を高める。
【0126】
図22は、例示的な実施形態によるハイブリッド式発電装置の冷却システムの例の概略図を示す。ハイブリッド式発電装置は、例えば、
図1~
図8に示し、
図1~
図8に関して議論したような、本願で説明及び/又は図示する柔軟なアーキテクチャのいずれであってもよい。
【0127】
図22の冷却システムは、発電機/モータ914を通過するシャフトからの機械エネルギを介して直接動力を供給されるブロワ902を含む。シャフトは、エンジン904にも接続され得る。このようにして、シャフトは、発電機/モータ914及びエンジン904の一方又は両方によって駆動され得る。エンジン904は、ピストンエンジン、タービンエンジン、ロータリエンジン、又は他の種類の燃焼機関又は他のエンジンであってもよい。インバータ912が、発電機/モータ914にさらに取り付けられ得、それによって、シャフトの回転から電力が生成され得るか、又は(例えば、バッテリパック又は他の電源から)電力が発電機/モータ914に入力されてシャフトを回転させるために使用され得る。エンジン904は、シリンダ906、オイル冷却システム908用のオイル、及びターボチャージャ920をさらに含むことができる。ターボチャージャ920と協働するために給気冷却器918をシステムにさらに含めることができる。システムはさらに、オイルクーラ916及び種々のハードウェア911(例えば、制御又は他の電子機器)を含む。
【0128】
ブロワ902は、ブロワ902が接続されているシャフトを回転させるエンジン904及び/又は発電機/モータ914によって回転するように構成される。ブロワ902からの冷気は、様々なダクト構造を介して、モータ/発電機914、種々のハードウェア911、エンジン904のシリンダ906、オイルクーラ916(例えば、熱交換器)、給気冷却器918、又は冷却が必要な他の構成要素に導かれ得る。様々な実施形態において、空気が導かれる構成要素の一部は、熱交換器(例えば、空気-空気熱交換器、空気-流体熱交換器)であってもよく、又は熱交換器を含んでもよく、それによってブロワ902からの空気が熱交換器を介して構成要素を間接的に冷却するように使用され得る。様々な実施形態において、
図22の構成要素のいずれか、又は柔軟なアーキテクチャの一部は、構成要素からの熱をブロワ902からの空気にシンクさせるように構成された一組のフィン等のヒートシンク要素を含んでもよい。そのため、構成要素は、ヒートシンク機構を介して間接的に冷却してもよく、ヒートシンク機構は、ブロワ902からの冷却空気に接している。様々な実施形態では、熱交換器とヒートシンク(例えば、フィン)との組合せを使用して構成要素を冷却することができる。例えば、ヒートシンク要素は、熱交換器の第1の側の空気又は流体に熱を放出することができ、ブロワ902からの空気を熱交換器の第2の側に向けて、熱交換器の第1の側の空気又は流体から熱を除去することができる。
【0129】
従って、ブロワ902は、本明細書でさらに説明するように、柔軟なアーキテクチャの様々な構成要素を冷却するために使用することができる。例えば、ブロワ902からの空気は、ブロワ902からの空気とオイルクーラ916内のオイルとの間で熱を交換するように構成された空気-流体熱交換器であるオイルクーラ916に導くことができる。次に、オイルクーラ916からの冷却したオイルをエンジン904のオイル冷却システム908内に循環させて、エンジン904を冷却する(例えば、熱をオイルに伝達することによってエンジン904から熱を除去する)ことができる。次に、オイル冷却システム908からの高温オイルをオイルクーラ916に戻すように循環させて、ブロワ902からの空気を介して再び冷却することができる。
【0130】
また、給気冷却器918に冷気を供給することもできる。周囲空気がターボチャージャ920に入り、圧縮されてから給気冷却器918に出力することができる。次に、ターボチャージャ920の圧縮機入口側からの圧縮空気は、ブロワ902から給気冷却器918に導かれる空気を使用して、給気冷却器918で冷却され得る。換言すれば、給気冷却器918は、空気-空気熱交換器として機能することができる。次に、冷気は、給気冷却器918からエンジン904の吸気口に出力され、例えばエンジン904の燃焼サイクルで使用され得る。次に、エンジン904からの排気出力は、タービン又はターボチャージャ920の高温側に導かれ得、その後排気として空気を環境に排出する。このようにして、ターボチャージャ及び/又はエンジンによって使用される空気は、最終的には、ターボチャージャサイクルの一部として給気冷却器の空気-空気熱交換器を使用して間接的に冷却され得る。
【0131】
こうして、本明細書で説明するような柔軟なアーキテクチャの様々な構成要素を冷却することができる。ディーゼル航空機エンジン(例えば、ピストン燃焼機関)のシリンダ(又はロータ)は、空冷又は液冷することができる。
図22の例では、シリンダ906は空冷される。しかしながら、シリンダは、シリンダ液冷システムの液体とブロワ902によって提供される冷気との間に熱交換器を追加することによって追加的又は代替的に液冷してもよい。液体冷却剤が使用される場合に、その液体は、例えば水とグリコールの混合物であってもよい。同様に、航空機ディーゼルエンジン(例えば、ピストン燃焼機関)のシリンダヘッドは、空冷、油冷、又は水-グリコールで冷却することができる。そのため、ブロワ902からの空気は、本明細書で説明するシリンダと同様に、直接的又は間接的に(熱交換器又はフィン付きヒートシンクを使用して)使用することができる。タービン又はロータリエンジン等、ピストンエンジン以外の他のエンジンでは、それらのエンジンの構成要素には液冷又は空冷システムも含まれる場合があり、従って、本明細書で説明する冷却システムからも同様に恩恵を受けることができる(例えば、ブロワ902からの空気、又はブロワ902からの空気とエンジンの又はエンジンに関連する別個の冷却システムの冷却液との間の熱交換器を介して直接冷却を通じて)。
【0132】
エンジンのエンジンオイルも柔軟なアーキテクチャで冷却することができる。
図22の例では、オイル冷却システム908のオイルはオイルクーラ916を通って循環され、オイル冷却システム908のオイルとブロワ902によって提供される冷気との間で熱交換が行われる。エンジン904内のオイル冷却システム908のオイルによって吸収される熱は、エンジン904内の軸受せん断から生じる可能性があり、オイルは、シリンダヘッド及び/又はピストン(又はロータ)等の他の冷却にも使用され得る。
【0133】
給気(吸入空気)は典型的に空冷され、これはターボ過給のために必要とされる。航空機では、ミッションに対処するパワーで使用可能な高度の範囲を拡大するためにターボ過給が非常に一般的であり、さらにターボ過給によりエンジンの全体的な熱効率が大幅に向上する。吸入空気を圧縮するとその温度が上昇し、ピストンの冷却及び爆発等に関連する問題を回避するには、シリンダに導入する前にこの温度を下げる必要がある。
【0134】
図22のモータ/発電機914等の電気モータ/発電機(本明細書では電気機械とも呼ばれる)は、モータ/発電機914内の電気部品及び電子部品における電気抵抗及び電流の存在により冷却されることもある。この冷却は、ブロワ902等からの空冷、又はブロワ902からの空冷が供給される熱交換器等を介して液冷によって達成され得る。液冷は、例えば、水とグリコールの混合物又は誘電性(非導電性)流体を介して行うことができる。
【0135】
図22のインバータ912等のインバータ(関連するパワーエレクトロニクスを備えた)は、高速スイッチ及び内部の他のハードウェア等の電気回路内で発生する熱により冷却され得る。このような冷却は、ブロワ902等からの空冷を介して、又はブロワ902からの冷気が供給される熱交換器等を介した液冷を介して達成することができる。液冷は、例えば、水とグリコールの混合物又は誘電性(非導電性)流体を介して行うことができる。
【0136】
本明細書で説明するハイブリッド式発電装置の他の要素は、受動的な冷却を達成することができる。換言すれば、クラッチ(存在する場合)、カプラ、監視コントローラ又は他のコントローラ、ファンベアリング/シール等を含むがこれらに限定されないシステム要素の冷却要件は、提供する冷却を強化するためのアクティブな設計特徴(ファン、ポンプ、ラジエータ)のない通常の使用環境によって満たされる可能性がある。様々な実施形態では、必要に応じて、ブロワ902からのような空冷による能動的な冷却、又はブロワ902からの冷気を供給される熱交換器等による液冷による能動的な冷却が、本明細書で説明するように航空機の任意の構成要素に提供され得る。
【0137】
上で議論したように、空気又は流体システムを使用して、航空機の様々な態様を冷却することができる。しかしながら、本明細書の実施形態は、航空機の様々な態様を冷却するために航空機内で使用され得る流体冷却システムの数を減らすものを提供する。流体冷却システムは、流体を循環させるために1つ又は複数のポンプを使用してもよい。このようなポンプは機械式又は電気式でもよい。機械式ポンプの場合に、ポンプに関連する重量及び複雑さが伴う。ポンプ自体も航空機に設置する必要があるため、航空機の重量が増加し、複雑さが増す。ポンプには、漏れの可能性があるベアリング、シール、及び/又は配管継手がある場合もある。ポンプが電気によって駆動される場合に、そのようなポンプは熱伝達の定格があり、従って比較的高い電力(例えば、5000ワット(W)以上)を必要とする可能性がある。
【0138】
流体システムは、使用中の流体の膨張及び収縮、システム充填中の空気の流出、使用中又は他の理由によるシステムの排出、及び/又は航空機の設計及び/又は動作における流体の流出に対応するように設計してもよい。これらの要因は全て、エンジニアリングの複雑さ及び認証の課題を表している可能性があり、それら複雑さ及び課題を回避し、本明細書で説明する空冷システムを使用することに利点がある可能性がある。
【0139】
流体システムはまた、-35°F(-35℃)未満の温度等で氷の形成に関する問題を抱えている可能性がある。こうして、氷が形成されるとシステムが故障する又は効率が低下する可能性があり、或いは氷を避けるための追加の構成要素が加える場合があり、これにより冷却システムの重量及び複雑さがさらに増大する。
【0140】
流体システムは、ある種の熱交換器を使用することもできる。これは、より熱い流体の熱をより冷たい流体に伝達する流体-流体である場合もあれば、船外に排出される空気に熱を伝達する流体-空気である場合もある。いずれの場合にも、各熱交換器は、重量及び体積(柔軟なアーキテクチャ/発電装置システム及び/又は航空機全体の重量に寄与する)を表し、漏れが発生し得るいくつかの潜在的な不具合点(少なくとも2つ、さらに流出及びと排出)を表し、特定の金属疲労のリスクを伴う溶接を含むことがよくある。いくつかの熱交換器は、本明細書で説明する実施形態において依然として使用され得るが(例えば、エンジンオイルを冷却するために)、本明細書で説明するように、熱交換器及び/又は流体冷却システムの数を減らすことは有利であり得る。
【0141】
流体冷却システムが流体-空気冷却器を使用するいくつかの例の航空機では、航空機及びシステム全体の設計に応じて、そのようなシステムは、専用のファンを使用して空気を動かし、所望の熱伝達を実行することができる。このようなファンは電気的に駆動される場合があるため、熱伝達の定格(例えば、5000W以上)の高出力モータが必要になる場合がある。上で議論したように、熱伝達用途での使用を考慮すると、高出力に定格された流体システム用のポンプも使用することができる。
【0142】
高出力定格のポンプ及びファンの使用は、航空機冷却システムにとって特に不利になる可能性がある。多くのポンプ、クーラー、ファンは重く、複雑で、多くのスペースを占有し、複数の潜在的な不具合点を引き起こす可能性がある。電動ポンプ及び/又はファンをある程度使用するためには、冷却システムを稼働し続けるために適切な電力も供給する必要がある。例えば、航空機が時間延長したミッション(例えば、数分以上)を行っている場合に、蓄積したエネルギ(例えば、バッテリ)では、そのようなポンプ及びファンに電力を供給するのに十分ではない可能性があり、従って発電機又は他の電源が提供されることになる。場合によっては、そのような発電機はエンジンに直接取り付けられたオルタネータである場合もあり、別個の発電機を介する場合もあり、或いは1つ又は複数のDC-DCコンバータを介する場合もある。特に、1つ又は複数のリフトモータ又は推進モータ向けの高電圧電力による分散型電気推進を特徴とする航空機では、DC-DCを使用してこの高電圧電力の一部を、ポンプ及びファンが使用する低電圧に変換することが論理的である場合がある。しかしながら、そのような構成要素は、冷却システムにさらに複雑さ及び重量を加える。
【0143】
任意の追加の電気回路は、電力、接地、及び制御のための追加の接続を有することができる。これらの接続は重い場合があり、必ずサイズ及び剛性(例えば、最小曲げ半径)を必要とするため、安全な接続と装置への電力供給とのために、特定の電子装置の周りに追加の体積が必要になる。電力を供給される各装置には、装置を保護するが、安全上の理由からリセット可能であり得るヒューズ又はブレーカ等の短絡保護部品が備えられている場合もある。様々な電子装置には、サービス乗組員の安全な取り扱いを与える構成要素も含まれる場合があり、及び/又は場合によっては、ミッションの様々なパラメータに合わせて装置の機能を調整するための制御要素が含まれる場合もある。このような構成要素は、冷却システムの重量及び複雑さをさらに増大させる。
【0144】
DC-DC変換が使用され、電圧の方向が高電圧から低電圧の方向である場合に、かなりの熱が生成され、その結果、効率が失われ、さらに別のシステム要素が能動的な冷却を必要とする可能性がある。
【0145】
さらに、追加の電動装置が加えられる場合にはどこでも、銅製の導体を使用することができる。多くの場合に、航空機内で電流を流すには銅が好まれる。銅のゲージ(ワイヤの直径)は、使用中の電流と利用可能な局所的な熱伝達との組合せによって決定される。導体、絶縁体、各端のコネクタ、擦れを防ぐためのワイヤの物理的な支持体、及び/又は物理的な損傷を防ぐために配線に適用される追加の外装等、配線に関連する全てのものが重い場合がある。導体及びコネクタの能動的な熱伝達は実際的ではない可能性があるため、温度を低く保つために導体のサイズが大きくなり、その結果重量が増大する可能性がある。そのため、システムの重量及び複雑さを軽減するために、電動装置の数を減らすことがやはり望ましい。従って、同様に、航空機内で流体冷却を利用する構成要素又はシステムの数を減らすことも望ましい。
【0146】
図23は、例示的な実施形態による、冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例を示す。
図24は、例示的な実施形態による、
図23の冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例の断面図を示す。
図25は、例示的な実施形態による、
図23の冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例の部分断面斜視図を示す。
【0147】
特に、
図23~
図25は、ハイブリッド式発電装置で使用され得る冷却システムを共に示しており、その冷却は機械的動力によって直接駆動され、ハイブリッド式発電装置の様々なシステムに冷気を同時に供給し、それにより航空機内に存在する流体冷却システム及び電動システムを削減する様々な利点を達成する。発電機/モータのシャフトは、エンジン1010及び/又は発電機/モータ(ハウジング/シュラウド1014内にあるため図示せず)からファンブレード1020に動力を供給することができる。シャフト1002は、ファン又はプロペラ等の推進機構等の機械部品に動力を供給することができる。吸気口1004は周囲空気を受け取り、ファンブレード1020は空気をダクト構造1006、1012、1013、1016、1018及びシュラウド1014(例えば、環状)に移動させる。
図10~
図12の例では、ファンブレード1020は、遠心ブロワであり、ファンブレード1020の軸に対して略垂直又は直角に空気を導くようにする。様々な実施形態において、軸流ブロワ及び/又は組合せブロワは、
図10~
図12に示されるような遠心ブロワに加えて、又は遠心ブロワに代えて使用され得る。
【0148】
ファンブレード1020等のブロワはシャフト1002から機械的に駆動され得るため、変換損失は殆どなく、消費される電力は、システムの他の構成要素を冷却するために提供される冷却空気の圧力及び流量で測定可能であり得る。対照的に、電動ファンは、シャフト動力から電力への変換(発電)、電圧の変換(DC-DC)、電力の伝送(I2R損失)、及び場合によっては他の損失による損失を受ける可能性がある。
【0149】
そのため、
図10~
図12に示される冷却システムは、空気流誘導要素が取り付けられた状態で、1つのシャフトから複数の装置及びシステムを同時に冷却し、ある設定した回転数(RPM)で回転する。様々な実施形態において、複数の空気流誘導要素(ファン又はブロワ)をシャフト1002等の単一のシャフトに取り付けてもよい。このようにして、異なる空気流誘導要素は、特定のシステム又は構成要素について説明するように、異なる圧力レベル等で異なる量の空気を異なる方向に導くことができる。
【0150】
様々な実施形態は、システム部品の様々な組合せの直列又は並列冷却(又は両方)を提供することができる。
図23~
図25に示されるシステムは、異なるダクトを介して様々な構成要素を並行して冷却する。空気は、ファンブレード1020からダクト構造1018(
図25の点A)に導入され、ダクト構造1006を通って熱交換器1008に移動することができる。熱交換器1008は、例えば、給気冷却器918又はオイルクーラ916として使用され得る。
図23~
図25では、給気冷却器(又は他の空気誘導熱交換器)とオイルクーラとの両方が存在し得るが、
図23~
図25の図ではそれらの構成要素のうちの1つだけが見える一方、他の構成要素は図から見えない(ただし、
図23では熱交換器1030として部分的に見える)。熱交換器1008及び1030は、2つの別個のダクトを備えたダクト構造1018に接続することができ、そのうちの1つ(例えば、ダクト構造1006)だけが
図23及び24に示される。
【0151】
空気は、ファンブレード1020からダクト構造1016(
図25の点B)に導入され、ダクト構造1012及び1013を通過して、エンジン1010のシリンダ(
図22のシリンダ906と同様)を冷却することができる。シュラウド1014は、電気機械(例えば、発電機モータ)の上又は周りに配置することができ、そのような電気機械を冷却するための冷気を供給するダクト構造として機能することができる。空気は、ファンブレード1020からシュラウド1014(
図25の点C)に導入され、シュラウド1014を通過して(例えば、
図22のモータ/発電機914及び/又はインバータ912を冷却するために)移動することができる。そのため、
図23~
図25では、単一の遠心ブロワが、エンジンのクランクシャフト又は動力シャフトからの動力を使用してシャフト駆動され、冷却空気を回転軸線に沿って平行にブロワに流入させることができる。次に、空気が、径方向外側に動き、ブロワホイールの周りに並んで配置された3つのボリュート(volute:渦巻き)A、B、Cによって収集される。
【0152】
さらに
図25を参照すると、ブロワホイールのハイブリッド式発電装置への取付部から最も遠いボリュートのセクションAは、空気流を密閉ダクト1018内に集める。次に、このダクト1018は、高圧の冷却空気流をV字型構成内の2つのアルミニウム熱交換器に供給するように配置される。これらのクーラーの内の1つはエンジンオイル用であり得るが、もう1つはエンジンの吸気用であり得る。
【0153】
セクションAとCの間にあるボリュートのセクションB(例えば、中央セクション)は、互いに180度離れて正反対に配置された2つのダクト内に空気流を集める。これら2つのダクトは、ピストンエンジンのシリンダに冷却空気流を供給するように配置される。ファンブレード1020がハイブリッド式発電装置に取り付けられる場所に最も近いボリュートのセクションCは、電気モータ及びインバータの冷却専用の薄いセクションである。この空気流はシュラウド1014内に封じ込められ、シュラウド1014を通って平行に強制的に流れることができる。シュラウド1014は、電気モータ及び/又はインバータハウジングから冷却流への冷却空気の流れと熱の移動とを可能にする目的で、電気モータ及び/又はインバータハウジングに接続された機械加工されたアルミニウムフィンをその中に含んでもよい。
【0154】
様々な実施形態は、複数の遠心ブロワホイール又は放射状ブロワホイール及び/又は複数の軸流ファンブレードを含んでもよく、ギアボックスを使用する場合に、それらは異なるRPMで回転してもよい。これらのブロワ又はファンは、空気を複数の専用ラジエータ(例えば、流体-空気熱交換器又は空気-空気熱交換器)に供給する1つ又は複数のダクトに接続することができ、又は空気流によって冷却されるように設計された構成要素(当社のシリンダ及び当社のモータ/発電機)に直接接続することもできる。
【0155】
様々な実施形態において、単一の回転シャフトは、互いに背中合わせに接続した2つの遠心ブロワ要素とともに、本明細書で説明するように使用され、両方ともシャフトに取り付けられ得る。このような実施形態では、ハブの一方の側が、比較的高い圧力上昇及び高い質量流量を伴う複数の冷却要件を満たす、より大型のブロワを駆動することができる。ハブの反対側は、同じ又は異なる半径の比較的小型のブロワを駆動し、異なるレベルの圧力上昇及び質量流量を提供する。
【0156】
様々な実施形態において、1つ又は複数の遠心ブロワ及び/又は1つ又は複数の軸流ファンブレードセットを含む装置は、ハイブリッド式発電装置のクランクシャフト及び/又は動力シャフトから機械的に駆動され得る。これは、システムの異なるパッケージング要件/設置面積を達成することができ、及び/又は、特定の航空機とそのそれぞれの推進システム及び冷却のニーズとに望ましい、異なる圧力上昇、質量流量、又は他の工学パラメータを有する異なる空気流を提供するために使用することができる。
【0157】
様々な実施形態において、機械駆動システムは、単一のRPMでのみ回転するのではなく、クランクシャフト又は動力シャフトのRPMに対するファンシステムのRPMを変更するための歯車装置又は別の形式のトランスミッション(例えば、ベルト、無段変速機(CVT)、流体トルクコンバータ)を含んでもよい。このような特徴により、電気駆動の冷却システムを回避することで説明した全ての利点が達成され、歯車装置により空力ファン/ブロワの設計に柔軟性が加わる。
【0158】
様々な実施形態において、そのようなシステムのダクト構造は、軽量システムを達成するために、アルミニウム、複合材料、3次元(3D)印刷材料等、又はそれらの任意の組合せ等の様々な構成要素から作製してもよい。ダクトの材料は、複雑な曲面に成形することもでき、空気力学的効率等を提供する。アルミニウム又は他の金属等の材料と比較して軽量化を実現するために、カーボンファイバ及びエポキシ等の複合材料を使用してもよい。ダクト自体(例えば、シャフトドライバのブロワ又はファンと冷却を必要とする装置との間)も、発電機上の複数の装置への圧力降下及び空気質量流量のバランスを保つのに役立つように慎重に設計される。これには、ダクトの形状及びサイズ、工学目的で直線又は簡素なダクトセクションに沿った狭窄が含まれる場合がある。
【0159】
様々な実施形態において、過冷却(例えば、周囲空気温度が低い場合)を防止するために、サーモスタット制御を追加することもできる。様々な実施形態はまた、各ダクト内を流れる(例えば、冷却される各構成要素への)空気の比率を変更するために、ダクト内にアクティブダンパを含んでもよい。冷却される構成要素の温度もコントローラによって監視され、構成要素が熱くなり過ぎる場合に、コントローラはその構成要素への空気の流れを調整して、より多くの量及び/又は圧力の冷却空気を供給することができる。
【0160】
図26は、例示的な実施形態によるハイブリッド式発電装置の冷却システムの第2の例の概略図を示す。ブロワ600は空気を取り込み、その空気を給気冷却器(例えば、エンジンインタークーラー)に供給し、そこで空気はダクト602を通ってエンジン606に送られ、エンジンのシリンダを冷却する。他の空気はダクト608を通ってエンジンオイルクーラ610を通過することができる。
【0161】
図27は、例示的な実施形態によるハイブリッド式発電装置の冷却システムの第3の例の概略図を示す。ブロワ600は、ダクト602を介して給気冷却器に空気を供給することができ、ダクト604に空気を個別に供給して、エンジン606のシリンダを冷却することができる。他の空気はダクト608を通ってエンジンオイルクーラ610を通過することができる。
【0162】
図28は、例示的な実施形態によるハイブリッド式発電装置の冷却システムの第4の例の概略図を示す。
図28は
図26と同様であり、例えば、空気はブロワ600からモータ612(例えば、本明細書で説明する電気機械又はモータ/発電機)にも供給される。
【0163】
図29は、例示的な実施形態によるハイブリッド式発電装置の冷却システムの第5の例の概略図を示す。
図29は、ダクト614を介して追加の空気を液体空気冷却器616に供給してモータ/発電機及び/又は他のパワーエレクトロニクスを冷却することを除いて、
図28と同様である。
【0164】
図30は、例示的な実施形態による冷却システムを備えたハイブリッド式発電装置の例の上面図を示す。
図31は、例示的な実施形態による
図30のA-A線に沿った断面図を示し、
図30のハイブリッド式発電装置の例を示す。
図32は、例示的な実施形態による
図31のB-B線に沿った断面図を示し、
図30のハイブリッド式発電装置の例を示す。
図33は、例示的な実施形態による
図30のハイブリッド式発電装置の例の代替図を示し、エンジンの冷却フィンの詳細を示す。
図34は、例示的な実施形態による冷却システムを備えた
図30のハイブリッド式発電装置の例の側面図を示す。
【0165】
特に、
図30~
図34はエンジン149を示しており、シャフト113がファンホイール302に動力を与え、ブロワ吸気口139を通して空気をもたらす。その空気は、上部ボリュート133、下部ボリュート177、右ダクト202、及び左ダクト204を通過する。ファンホイール302は、給気冷却器159によって取り囲まれてもよく、給気冷却器159は、ダクト119を介してターボチャージャ153入口から加熱した給気を受け取り、ダクト127を介して冷却した給気をエンジン149に出力し、ファンホイール302の回転によって供給された空気によって冷却される。
図32は、エンジン吸気フィルタ304及びエンジン排気306をさらに示す。
図32は、ファンホイール302のファンホイールフィン308も示している。
【0166】
モータ/発電機マウント143はまた、モータ発電機145をエンジン149に取り付ける。右ダクト202及び左ダクト204はまた、エンジンバッフリング(baffling)206に空気を供給して、エンジン149を冷却する。
図33は、ダクト202及び204からの冷気でエンジンを冷却するために使用されるエンジンシリンダフィン402を示す。
図34はさらに、ダクト202を介して空気を受け取ってエンジン用のオイルを冷却することができるエンジンオイルクーラ502を示しており、オイルは供給路504を介してエンジンに供給され、戻り路506を介して冷却器に戻される。一部の空気がエンジンシリンダに導かれる一方、他の空気がオイルクーラ502に導かれるように、ダクトセパレータ508を用いてダクト202の一部を分離することもできる。
【0167】
直流(DC)バス要素
本明細書では、ハイブリッド電動航空機を実装するための様々な実施形態について説明する。このような航空機は、航空機の推進機構用のモータ等、航空機の様々な構成要素に電力を分配するために高電圧電気バスを利用することができる。このようなハイブリッド電動航空機では、推進モータが適切に動作できるように、高電圧電気バスを特定の所定の電圧範囲内(例えば、公称電圧レベル付近)で安定させることが望ましい場合がある。本明細書で説明する様々な実施形態は、特に直流(DC)バスを使用することができるため、所望のDC電圧範囲を維持することが望ましい場合がある。有利には、本明細書の様々な実施形態は、少なくとも1つのバッテリ又はスーパーキャパシタをDCバスに直接接続することによって、DCバス上の所望のDC電圧範囲を効率的に維持し、さらに、少なくとも1つのバッテリ又はスーパーキャパシタに対して十分な充電を維持して、DCバス上の所望のDC電圧範囲を維持する。このような実施形態は、ハイブリッド電動航空機又は電動航空機の構成要素(例えば、推進用の電気モータ及びインバータ)に損傷を与える可能性のある電圧スパイクを防止し、航空機又は航空機のシステムの信頼性及び/又は性能及び安全性に悪影響を与える可能性のある電圧スパイク又は電圧降下を回避することができる。
【0168】
電動化した航空では、全体的なアーキテクチャの様々な実施形態は、低インピーダンス接続を介して高電圧DCバスに接続され、そのバスに電力及びエネルギを供給する1つ又は複数の電力発生装置(例えば、発電機)を含むことができる。同じ乗り物内に、同じDCバスに接続された1つ又は複数の電力消費装置(電気モータ等)が、そのDCバスから電力及びエネルギを受け取る場合がある。電動航空機の様々な実施形態は、バス電圧及びバッテリパック電圧に応じて、所望に応じて電力を受け取り又は送電することができる、バッテリパック又はキャパシタ(例えば、スーパーキャパシタ)等のエネルギ蓄積装置も含むことができる。
【0169】
高電圧発電機がDC電力を直接生成している場合、又は受動整流器を通じて動作している場合に、例えば、モータによって生成されるDC電圧は、主に発電機を回転させるシャフトの回転数(RPM)の関数である可能性がある。例えば、永久磁石電気モータは、回転速度(RPM)に基づいて電圧を生成することができる。多くの用途では、電圧とRPMの結合により、システム内のその電気モータの価値を制限するモータ制御の問題が発生する可能性がある。永久磁石を使用しないブラシレスモータをさらに活用するには、外部電圧参照を使用して所望の電圧レベルを維持することができる。航空業界特有の問題は、飛行の安全性を確保するには、広範囲の飛行条件に亘って電力消費機器(ファン、プロペラ、又は他の装置を駆動する電気モータ)を正確に制御する必要があり、その条件は電力消費機器(ブラシレス発電機等)の特性と一致しない可能性がある。使用されている高電圧発電機の回転が何らかの理由で予想よりも遅い場合に、バス電圧が所望の電圧よりも低い可能性があり、そのバス上のモータの動作が予想を下回る可能性があり、これは安全でない又は望ましくない状態につながる可能性がある。このような高電圧発電機が予想よりも速く回転している場合に、バス電圧が高くなり、モータの性能が予想又は望ましい値をさらに超える可能性がある。そのため、共通バスを共有する発電機及びモータの用途では、それに応じて使用される発電機及びモータを設計することが望ましい場合がある。電動化した航空では、航空機に揚力、推力、航空機の姿勢等を提供するために、モータを正確に制御することが望ましい。そのため、他の非航空関連の実施態様と比較して、モータに供給される電力を、モータを所望の性能レベルで動作させ続ける電圧に維持することによって(例えば、DCバスを介して)モータに供給される電力をより適切に制御できることが望ましい。さらに、モータに供給される電力は、航空機のパイロット又は制御システムが必要に応じて広範囲の使用に亘ってモータを制御できるように、迅速に調整可能であってもよい(例えば、柔軟で広い範囲に亘ってモータを制御できるパイロット又は制御システムを提供する)。様々な実施形態において、インバータは、高電圧バスに電力を供給するために使用され得る上流側発電機の出力電圧を調整するために使用され得る。インバータは、様々な負荷条件下で下流側のモータを正確に制御するために使用され得る。
【0170】
インバータにより、システム設計者は、電流を制御することによって任意のモータ及び/又は発電機の動作範囲を拡張できるようになり得る。これらのインバータが適切に機能するために、インバータに電力を供給するバス電圧は、モータ回転数以外の他の方法によって有利に設定及び維持され得る(モータ回転数のみが使用される場合に、バス上の電圧を正確に制御することが難しいため)。バス電圧の維持は、静電容量と、全てのシステム動作条件下で存在する予想される負荷の変動とに関係する。例えば、そのバスの負荷が急激に変化する、又は静電容量(類似の機械システムでは慣性のように機能する)が低過ぎる場合に、例えば、高電圧バス及びパワーエレクトロニクスシステムが不安定になる可能性がある。
【0171】
様々な実施形態において、バス電圧は、バッテリパック、キャパシタ、又はそれらの任意の組合せを使用して確立及び維持され得る。このような装置は、バスに静電容量及び/又は電気慣性を追加する可能性があり、受動的であるため、これは、意図した機能が完全に物理学によって支配され、制御及び介入(例えば、コントローラ又は制御システムによる)を必要としないことを意味する。スーパーキャパシタ(又はウルトラキャパシタ)には、典型的に、大きなエネルギ蓄積能力がないが、高静電容量という望ましい特徴もある。スーパーキャパシタは、非常に急速な変動に莫大な電力(例えば、時間の経過に伴うエネルギ)で応答することができる。つまり、それらスーパーキャパシタは、持続時間が比較的短い、振幅が低い、又はこれら2つの値の積が比較的低い変動に対してバスに安定性を提供することができる。バッテリは、バスの安定性のために大きな静電容量を有しており、高エネルギを蓄えることもできるため、望ましい場合もある。バッテリは、特に充電時(放電電力容量が充電容量の10倍以上であることがよくある)等、バッテリが電力の用途の速度がより制限されていることが多いため、スーパーキャパシタほど迅速に電圧の変化に応答できない場合がある。例えば、所望の電圧レベルを維持するためにバスから電流を引き出す必要がある場合に(例えば、バッテリの充電)、バッテリは、(選択したバッテリの特定の特性に応じて)特定の実施形態で望まれるほど早くその電流を吸収できない場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、バス上で所望の電圧レベルを維持するには、1つ又は複数のバッテリパックだけで十分な場合がある。
【0172】
従って、DCバス上での所望の電圧を維持するために適切な設計を備えたバッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクを追加することによって、1つ又は複数の上流側発電機及び下流側モータの独立制御を可能にする様々な実施形態について本明細書で説明する。これらの蓄電要素の電圧及び静電容量がバス上の主要なモータ制御要素に直接電気的に接続される(他のスイッチ、充電器、又は同様の装置によってシールドされない)アーキテクチャでは、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、高電圧DCバス用の軽量で効果的なアンカー又はセットポイントを提供する。
【0173】
航空機内のバッテリパックは、飛行物品に適用されるシステム安全基準をサポートするために、ハイブリッド式発電システムとともに配備され得る。これらのバッテリパック及び/又はスーパーキャパシタが、必要な電力又はエネルギを供給するために選択されるだけでなく、正しい電圧又は所望の電圧に設定され、高電圧モータコントローラに接続される場合に、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクをDCバスに直接接続することにより、バスの安定化という第2の貴重な利点を提供し得る。バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、目標電圧を有するように特定の航空機に対して有利に選択してもよいが、バス上の実際の電圧は、充電状態(SOC)及び変動する電気負荷によって自然に多少変動する可能性がある。バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタバンクは、実際の電圧が所望の範囲から外れる可能性が低いように有利に選択することもできる。実際の電圧が所望の範囲から外れる場合に、又は所望の範囲から外れることが予想される場合に、航空機のコントローラ又は航空機内のハイブリッド式発電機は、発電機に供給される動力(トルク等)を調整し、DCバスに供給される電力を増減して、プロペラ内の電圧を所望の範囲に維持することができる。さらに、RPMは、一定又は比較的一定のレベルに、或いは所定の範囲内に維持され得る。従って、発電機に供給される電力、又は動力シャフトに出力される動力は、エンジンの出力のRPMを調整することによってではなく、エンジンによって出力されるトルクを調整することによって調整することができる。さらに実際の電圧設定値を維持することが望ましい場合があり、実際の電圧設定値は、航空機の電気モータ又は他の構成要素を動作させるための所望の許容範囲内に留まる範囲で変動し得る。さらに、バッテリパックは、発電機又はハイブリッド式発電機の他の構成要素に不具合が発生した場合に、航空機のモータ又は他の構成要素を駆動するための補助電源として有利に機能し得る。従って、これにより、システムの安全性及び耐障害性のレベルが向上し得る。
【0174】
図35は、例示的な実施形態による、直流(DC)バスに安定した電圧を供給するための例示的なシステム168の線図である。システム168はハイブリッド式発電機161を含み、ハイブリッド式発電機161は、コントローラ162、シャフト164によって発電機169に接続されたエンジン163、インバータ166、及び直流(DC)バス167を含む。エンジン163は、シャフト164を介して機械的(例えば、回転)動力を発電機169に供給することができ、それによって発電機169が電力(例えば、交流(AC)電力)を生成できるようにする。発電機169からのAC電力は、インバータ166によってDC電力に変換され、DCバス167に供給され得る。インバータ166はまた、DCバス167からのAC電力を、発電機169によって使用され得るAC電力に変換して、シャフトに電力出力を供給することもでき得る(例えば、発電機169が推進機構等の航空機の構成要素に電力を供給するモータとして機能する場合)。コントローラ162は、ハイブリッド式発電機161の構成要素のいずれかを制御することができる(例えば、発電機169に出力されるRPMを制御する)。コントローラ162はまた、DCバス上の電圧及び/又はDCバス167を流れる電流等のDCバス167の特性を測定することもできる。
【0175】
システム168は、DCバス167に接続されたインバータ172及び176、インバータ172及び176に接続された電気モータ174及び178、コントローラ181、並びにバッテリパック182及び184等の航空機部品をさらに含む。様々な実施形態において、航空機部品は、バッテリパック182及び184の代わりに、又はバッテリパック182及び184に加えて、スーパーキャパシタを有してもよい。様々な実施形態では、1つ又は複数のバッテリパック及び/又はスーパーキャパシタは、航空機部品が別個のバッテリ及び/又はスーパーキャパシタを有しているかどうかに関係なく、ハイブリッド式発電機161の一部として含まれ、ブリッド式発電機161内のDCバスに直接接続してもよい。一方、
図35は、ハイブリッド式発電機161のDCバス167から航空機部品171まで延びる複数の接続を示しているが、ここでは、航空機部品171の別のバスへの単一接続、又はDCバス167自体が航空機部品171等の一部であるような他の構成も企図される。コントローラ181は、制御装置162と通信することができる。このようにして、コントローラ181は、インバータ172及び176、電気モータ174及び178を現在どのように制御/使用しているか、又はコントローラが将来これらの構成要素をどのように使用する予定であるかについての情報をコントローラ162に送信することができる。コントローラ181は、バッテリパック182及び184の状態を監視及び測定し、その状態に関連する情報(例えば、充電状態、電圧、バッテリに流入又はバッテリから流出する電流等に関連する任意の測定値等)をコントローラ182に送信することもできる。バッテリ又はスーパーキャパシタがハイブリッド式発電機161に含まれる実施形態では、コントローラ162は、同様の情報についてそのような構成要素を監視することができる。
【0176】
様々な実施形態において、
図35に示される要素に対して、より少ない要素、追加の要素、又は異なる要素が航空機に搭載され得る。
【0177】
図36は、例示的な実施形態による、航空機レベルのコントローラからの通信に基づいて安定したDCバス電圧を維持するための例示的な方法203を示すフローチャートである。動作209において、コントローラ(例えば、
図35のコントローラ162)は、航空機コントローラ(例えば、
図35のコントローラ181)から電力消費又はバッテリ状態情報を含む通信を受信することができる。電力消費情報は、例えば航空機のインバータ又は電気モータによって電力を現在どのように使用しているかに関係し得る。電力消費情報(例えば、コントローラが将来の指定された時点でモータに供給される電力をどのように増加又は減少させるかに関する情報)は、航空機のインバータ又は電気モータによって電力をどのように使用するかにも関連し得る。バッテリ状態情報には、充電状態、システムのバッテリ又はスーパーキャパシタの実際の電圧、及び/又はバッテリ又はスーパーキャパシタに流入又は流出する電流が含まれ得る。
【0178】
従って、動作213において、コントローラは、DCバス上の所望の電圧範囲を維持するためにハイブリッド式発電機の電力出力をどのように調整すべきかを決定することができる。例えば、バッテリの充電レベルが低過ぎて、所望の電圧を維持できない危険がある場合に、動作217において、コントローラは、ハイブリッド式発電機の電力出力を増加させる命令を送信して、その電力出力はバッテリを充電するのに十分な電力である。別の例では、航空機のモータが現在使用している、又は現在使用しているよりも大幅に多くの電力を必要とすることが予想される場合に、動作217において、コントローラは、ハイブリッド式発電機の電力出力を増加させる命令を送信することができる。電力出力も同様に低下する可能性がある。いずれの場合でも、コントローラは、エンジンによって発電機に供給されるRPMを変更することによって、DCバスへのこの全体的な電力出力を調整することができる。そのため、バッテリパック及びスーパーキャパシタが、ハイブリッド式発電機の電力出力をリアルタイムに調整する必要性を軽減する一方で、バッテリパック及び/又はスーパーキャパシタはDCバスを所望の電圧レベルに維持できるため、RPMの何らかの制御又は調整、従ってDCバスへの出力電力の調整は、様々な実施形態において依然として望ましい場合がある。
【0179】
図37は、例示的な実施形態による、ハイブリッド式発電機レベルのコントローラによる測定に基づいて安定したDCバス電圧を維持するための例示的な方法301を示すフローチャートである。方法301は、別のコントローラ(例えば、
図35のコントローラ181等の航空機システム全体のコントローラ)からそのような測定値又は情報を受信するのではなく、ハイブリッド式発電機コントローラ自体(例えば、コントローラ162)によって実行され得る測定を考慮している点を除いて、方法203と同様である。
【0180】
動作303において、DCバスで利用可能な電力、又はDCバスを流れる電力の態様がコントローラによって測定される。DCバスがシステム全体の航空機コントローラによって測定可能である場合に、動作303はシステム全体の航空機コントローラによって同様に実行され得る。同様に、バッテリ及び/又はスーパーキャパシタが航空機システム全体の一部として位置付けされるのではなく、ハイブリッド式発電機の一部としてパッケージ化される場合に、動作303において、コントローラは、バッテリ/スーパーキャパシタの状態(例えば、充電状態、電流、電圧等)も測定することができる。動作307において、コントローラは、ハイブリッド式発電機の電力出力を測定値に基づいてどのように調整すべきかを決定する。例えば、DCバス電圧が所望の範囲外に近づきつつある場合に、動作309において、ハイブリッド式発電機の構成要素に命令を送信して、動作307における決定に基づいて、ハイブリッド式発電機の電力出力を調整して、DCバス電圧が所望の電圧範囲内に留まるようにする保証することが望ましい場合がある。
【0181】
図38は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、又は命令を実行する能力を有する他の同様の装置等の汎用コンピューティングシステム環境100を含むコンピューティング環境の一例の線図であり、そのような命令は非一時的なコンピュータ可読媒体内に保存される。本明細書で開示する様々なコンピューティング装置(例えば、コントローラ162、コントローラ181、プロセッサ/コントローラ205、航空機メインコントローラ220、プロセッサ/コントローラ280、又はこれらのコントローラと通信する任意の他のコンピューティング装置、コントローラは、航空機の他の構成要素の一部であってもよい)は、コンピューティングシステム100と同様であってもよく、又はコンピューティングシステム100のいくつかの構成要素を含んでもよい。また、単一のコンピューティングシステム100の文脈で説明し図示しているが、当業者であれば、以下に説明する様々なタスクが、ローカル又はワイドエリアネットワークを介してリンクされた複数のコンピューティングシステム100を有する分散環境で実施できることも理解されよう。そして、実行可能命令は、複数のコンピューティングシステム100のうちの1つ又は複数に関連付けられ、及び/又はそれによって実行され得る。
【0182】
その最も基本的な構成では、コンピューティングシステム環境100は、典型的に、バス106を介してリンクされ得る少なくとも1つの処理ユニット102及び少なくとも1つのメモリ104を含む。コンピューティングシステム環境の正確な構成及びタイプに応じて、メモリ104は、揮発性(RAM110等)、不揮発性(ROM108、フラッシュメモリ等)、又はこれら2つの組合せであってもよい。コンピューティングシステム環境100は、追加の特徴及び/又は機能を有することができる。例えば、コンピューティングシステム環境100は、磁気ディスク又は光ディスク、テープドライブ及び/又はフラッシュドライブを含むがこれらに限定されない追加の記憶装置(リムーバブル及び/又は非リムーバブル)を含むこともできる。このような追加のメモリ装置は、例えば、ハードディスク駆動インターフェイス112、磁気ディスク駆動インターフェイス114、及び/又は光ディスク駆動インターフェイス116によって、コンピューティングシステム環境100にアクセス可能にすることができる。理解されるように、これらの装置は、それぞれシステムバス306にリンクされ、ハードディスク118に対する読み書き、リムーバブル磁気ディスク120に対する読み書き、及び/又はCD/DVD ROM又は他の光媒体等のリムーバブル光ディスク122に対する読み書きを可能にする。駆動インターフェイス及びそれらに関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータシステム環境100のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及び他のデータの不揮発性記憶を可能にする。さらに、当業者であれば、データを保存できる他のタイプのコンピュータ可読媒体がこの同じ目的に使用できることを理解するだろう。このような媒体装置の例には、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ、ナノドライブ、メモリスティック、他の読み取り/書き込み及び/又は読み取り専用メモリ、及び/又はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ等の情報を保存するための他の方法又は技術含まれるが、これらに限定されない。このようなコンピュータ記憶媒体はいずれも、コンピューティングシステム環境100の一部であってもよい。
【0183】
多くのプログラムモジュールが、1つ又は複数のメモリ/媒体装置に格納され得る。例えば、起動中等、コンピューティングシステム環境100内の要素同士の間で情報を転送するのに役立つ基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)124は、ROM108に記憶され得る。同様に、RAM110、ハードドライブ118、及び/又は周辺メモリ装置は、オペレーティングシステム126、1つ又は複数のアプリケーションプログラム128(例えば、本明細書に開示する機能を含み得る)、他のプログラムモジュール130、及び/又はプログラムデータ122を含むコンピュータ実行可能命令を記憶するために使用され得る。さらに、コンピュータ実行可能命令は、必要に応じて、例えばネットワーク接続を介してコンピューティング環境100にダウンロードしてもよい。
【0184】
エンドユーザは、キーボード134及び/又はポインティング装置136等の入力装置を介して、コンピューティングシステム環境100にコマンド及び情報を入力することができる。図示していないが、他の入力装置には、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、スキャナ等が含まれ得る。これら及び他の入力装置は、典型的に、バス106に結合される周辺インターフェイス138によって処理ユニット102に接続される。入力装置は、直接的又は間接的に、例えば、パラレルポート、ゲームポート、ファイアワイヤ、又はユニバーサルシリアルバス(USB)等のインターフェイスを介してプロセッサ102に接続され得る。コンピューティングシステム環境100からの情報を見るために、ビデオアダプタ132等のインターフェイスを介して、モニタ140又は他のタイプの表示装置をバス106に接続してもよい。モニタ140に加えて、コンピューティングシステム環境100は、スピーカ及びプリンタ等、図示していない他の周辺出力装置も含み得る。
【0185】
コンピューティングシステム環境100は、1つ又は複数のコンピューティングシステム環境への論理接続を利用することもできる。コンピューティングシステム環境100とリモートコンピューティングシステム環境との間の通信は、ネットワークルーティングを担当するネットワークルータ152等の更なる処理装置を介して交換され得る。ネットワークルータ152との通信は、ネットワークインターフェイス構成要素154を介して実行され得る。こうして、そのようなネットワーク環境、例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、LAN、又は他の同様のタイプの有線又は無線ネットワーク内では、コンピューティングシステム環境100に関して示したプログラムモジュール、又はその一部が、コンピューティングシステム環境100のメモリ記憶装置に記憶され得ることが理解されよう。
【0186】
コンピューティングシステム環境100は、コンピューティングシステム環境100の位置を決定するための位置特定ハードウェア186を含むこともできる。場合によっては、位置特定ハードウェア156は、例えば、GPSアンテナ、RFIDチップ又はリーダー、WiFiアンテナ、又はコンピューティングシステム環境100の位置を決定するために使用され得る信号を捕捉又は送信するために使用され得る他のコンピューティングハードウェアを含み得る。
【0187】
本開示は特定の実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲に明示的に記載している場合を除き、特許請求の範囲はこれらの実施形態に限定されることを意図していないことが理解されよう。逆に、本開示は、本開示の精神及び範囲内に含まれ得る代替物、修正物及び均等物を網羅することを意図している。さらに、本開示の詳細な説明では、開示した実施形態の完全な理解を与えるために、多くの特定の詳細を記載している。しかしながら、当業者には、本開示と一致するシステム及び方法が、これらの特定の詳細がなくても実施し得ることが明らかであろう。他の場合には、本開示の様々な態様を不必要に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素、及び回路については詳細に説明していない。
【0188】
本開示の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ又はデジタルシステムメモリ内のデータビットに対する操作の手順、論理ブロック、処理、及び他の記号表現に関して提示されている。これらの説明及び表現は、データ処理技術の当業者がその仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。手順、論理ブロック、プロセス等は、本明細書では、そして一般に、所望の結果につながるステップ又は命令の自己一貫性のあるシーケンスであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。必ずではないが、通常、これらの物理的操作は、コンピュータシステム又は同様の電子計算装置で保存、転送、結合、比較、他に操作が可能な電気又は磁気データの形式をとる。便宜上の理由から、一般的な使用法を参照して、このようなデータは、現在開示している様々な実施形態に関して、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字等と呼ばれる。
【0189】
しかしながら、これらの用語は物理的な操作及び量を指すものとして解釈すべきであり、当技術分野で一般的に使用される用語を考慮してさらに解釈すべき単なる便宜的なラベルであることに留意すべきである。特に明記しない限り、本明細書の議論から明らかなように、本実施形態の議論を通じて、「決定する」、又は「出力する」、又は「送信する」、又は「記録する」、又は「位置特定する」、又は「記憶する」、又は「表示する」、又は「受信する」、又は「認識する」、又は「利用する」、又は「生成する」、又は「提供する」、又は「アクセスする」、又は「確認する」、又は「通知する」、又は「配信する」等の用語を利用した議論は、データを操作及び変換するコンピュータシステム又は同様の電子計算装置の動作及びプロセスを指す理解される。データは、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理的(電子)量として表され、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、又は本明細書で説明する又はそうでなければ当業者には理解される他のそのような情報記憶装置、送信装置、又は表示装置内で同様に物理量として表される他のデータに変換される。
【0190】
騒音低減要素
本明細書では、航空機の発電装置又はその構成要素等の航空機部品によって放出される騒音を低減するための様々な実施形態について説明する。本明細書で説明するいくつかの実施形態は、エンジンカウリング等の航空機の発電装置用のエンクロージャに関するが、本明細書で説明する様々な実施形態は、発電装置及びエンジン以外の航空機の構成要素に使用することができ、さらに、航空機(例えば、ヘリコプタ、飛行機、垂直離着陸(VTOL)航空機、短距離離着陸航空機(STOL)等)以外の構成要素から放出される騒音を低減するために使用することもできる。例えば、本明細書で説明する実施形態は、ボート、オートバイ、自動車、他の電動車両の部品等、空気が通過する又はその周りを通過し得る任意の騒音源に対して、或いは空気が通過する又はその周りで騒音を発生する固定部品に対しても実装することができる。
【0191】
航空機の発電装置等の騒音発生部品の入口及び出口の空気流は、これらの部品に流入又は流出する空気流が騒音及び振動が伝播し得る媒体として機能し得るため、騒音源となる可能性がある。例えば、ハイブリッド式発電装置を有する航空機では、そのハイブリッド式発電装置は、騒音を発し、その騒音が伝わり得る空気流入口及び出口を有するピストン、ロータリ、又はタービンエンジンを含み得る。本明細書では、エンジンのカウリング等、騒音放出部品を内部に有するエンクロージャから最終的に放出される騒音の量を低減するために、空気流入口及び/又は出口の幾何学的形状を設計するための様々な実施形態について説明する。例えば、本明細書で説明する異なる給気口及び/又は排気口を有する様々な実施形態は、所望のアスペクト比(例えば、長さ/幅のアスペクト比)を有し、エンジン(例えば、騒音の多い燃焼エンジン)から騒音に敏感な航空機の外側のあらゆる方向の視線(line of sight:あらゆる方向への騒音の放出)を排除し、及び/又は内部の騒音反射面を騒音減衰材料で区切るように構成され得る。本明細書で説明するような実施形態は、航空機ハイブリッド式発電装置等の騒音発生部品からの動作騒音を低減する重量効率が高く効果的な手段を有利に提供する。
【0192】
本明細書で説明する騒音低減の実施形態は、特定の実施態様で使用するのに特に有利であり得る。例えば、一部の航空機は、内燃機関(例えば、タービン、ロータリ、ピストン)及び電気モータ/発電機等の電気機械を含むハイブリッド式発電装置を備えている場合がある。このようなハイブリッド式発電機からの騒音は、燃焼エンジンからの排気流内で発生し、排気流を介して伝わる可能性があり、さらに、燃焼エンジンの空気流入口を介して漏れることもある。排気流の騒音は消音器等の方法で最小限に抑えることができるが、ハイブリッド式発電装置及び/又は内燃機関の他の構成要素からも、エンジンコア、冷却ファン、ポンプ、他のアクセサリ装置全体等で騒音が発生する可能性がある。その騒音は一度に複数の場所で(例えば、複数の発生源/構成要素から)発生する可能性があるため、騒音を最小限に抑えるのは困難な場合がある。
【0193】
こうして、本明細書で説明する実施形態は、複数の発生源(例えば、騒音を同時に発する複数の発電装置又はエンジン部品)によって放出される騒音を低減するように構成される。騒音は、空気等の媒体を介して騒音源から人間の耳に伝わり得る。本明細書の実施形態は、騒音源(例えば、航空機の発電装置)を密閉し、そのようなエンクロージャ(及びその後の航空機の発電装置)に出入りする空気流を管理することを含む。本明細書で説明する実施形態は、エンクロージャの様々な部分に騒音減衰材料を追加することによって、及びエンクロージャから漏れる可能性のある騒音(エンクロージャの吸気口又は排気口を通って漏れる可能性のある騒音を含む)を低減するための様々な構成によって、更なる騒音低減をさらに提供する。その騒音減衰材料は、騒音減衰発泡体又は他の任意の種類の適切な材料であってもよい。
【0194】
このような騒音減衰材料は、さらに、システム全体の性能を妨げずに(例えば、空気の流れを妨げずに又は発電装置からの空気の流れを妨げずに)騒音を制限するために、特定の向き及び/又は幾何学的形状でエンクロージャ内(例えば、給気口及び/又は排気口内)に配置してもよい。従って、入口又は出口の冷却空気流に望ましくない圧力損失(例えば、出口の冷却空気流への背圧)を導入しないように有利にサイズ決めされた向き及び幾何学的形状についても本明細書で説明する。様々な実施形態において、使用する騒音減衰材料は、騒音減衰特性、液体、熱、及び/又は火に対する耐性、湿気に対する耐性、カビに対する耐性、腐食に対する耐性等に基づいて選択してもよく、それによって騒音減衰材料は、特定の用途に望ましい特性を有する。
【0195】
従って、有利には、本明細書で説明する実施形態は、騒音放出部品がより低騒音特性で動作することを可能にし、これは、例えば航空用のハイブリッド電力において望ましい可能性がある。
【0196】
本明細書で説明するシステム及び方法を使用することが有利であり得るシステムの一例に過ぎないが、航空機用の電力及び機械的動力を生成するように構成されたハイブリッド式発電装置は、騒音を放出又は生成する可能性があるが、最小化することが望ましい。例えば、そのようなハイブリッド式発電装置は、燃焼を利用してシャフト仕事/動力を生成するエンジン等の原動機を含むことができる。その燃焼により騒音が発生する可能性があり、他の用途における燃焼エンジンからの騒音は、環境に直接放出されるか、或いは消音器又は同様の方法を使用して調整されることがよくある。
【0197】
しかしながら、原動機(例えば、内燃機関)によって生成される騒音に加えて、ハイブリッド式発電装置は、(i)燃料噴射器の開閉、(ii)ピストンエンジン内部のシリンダ壁を叩くピストン、(iii)空気及び/又はスロットの隙間をはたき、騒音を発生させるファン、(iv)流体ポンプ(オイル、水、燃料等)、及び/又は(v)様々なパーツ及びピースを伝わる機械的振動を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の他の騒音源を含む場合がある。
【0198】
ハイブリッド式発電装置の上記及び他の構成要素の集合的な騒音は、本明細書ではハイブリッド式発電装置の動作時の周囲騒音と呼ばれ得る。このような周囲騒音の放出及び周囲環境への伝播は、本明細書で説明する様々なシステム及び方法を使用して大幅に低減することができる。
【0199】
ハイブリッド式発電装置は、発電装置から放出される騒音を環境に放出できるようにする別の特徴を有し得る。空気取入口又は冷気の入口は、エンジン内の燃焼及び/又は発電装置の他の冷却作業に使用され得る。暖気又は熱気の排気口又は出口も大気中に解放され得る。エンジンの吸気及び排気における気流速度が典型的に音速に比べて低いため(例えば、0.3マッハ(Ma)未満)、ハイブリッド式発電装置の構成要素によって発生する騒音は、エンジンの吸気及び/又は排気気流を通って伝わる可能性がある。換言すれば、ハイブリッド式発電装置に出入りする空気は音波を伝える可能性があり、本明細書で説明するシステム及び方法は、騒音を発する部品(例えば、ハイブリッド式発電装置、内燃機関、内燃機関の関連部品等の)エンクロージャ(カウリング)から放出される騒音を大幅に低減する吸気及び/又は排気の幾何学的形状及び材料を有利に説明している。
【0200】
図39は、例示的な実施形態による騒音低減部品を有するエンクロージャ103の側断面図を示す。エンクロージャ103は、空気が給気口151から排気口157に流れることができるように、流体的に接続され得る給気口151(例えば、吸気)及び排気口157(例えば、排気)を含む。燃焼エンジン(例えば、ピストン、タービン、ロータリ)等の空気流を使用し得る構成要素のキャビティ117が、エンクロージャ103内にある。様々な実施形態において、キャビティ117内の構成要素は、この構成要素が動作していないときに、給気口151と排気口157との間の空気の流れを遮断することができる。しかしながら、構成要素が動作しているときに、それらの構成要素は空気を使用し、及び/又は空気を給気口151から排気口157に移動させることができる。そのため、たとえ構成要素がキャビティ117を満たし、給気口151と排気口157との間でエンクロージャの内部を完全に遮断及び/又は密閉している場合でも、キャビティ内の構成要素が動作している間(例えば、エンジンの運転中)に、給気口151及び排気口157は依然として流体的に接続されていると考えることができる。他の様々な実施形態において、キャビティ117内の構成要素は、給気口151と排気口157との間の流体経路を完全には遮断しないことがある。そのような実施形態において、キャビティ117内の構成要素が動作していないときでも、空気は依然としてエンクロージャを通って流れることができる。
【0201】
さらに
図39に示されるように、エンクロージャ103は、様々な側壁147から構成され得る。様々な実施形態において、側壁147は、給気口及び排気口が望まれる場合に、用途、エンクロージャ内部に嵌め込まれる構成要素に基づいて、所望に応じて様々な構成又は形状であってよい。側壁147は、給気口151及び排気口157を通る空気の所望の流れを可能にし、その後、キャビティ117内の構成要素の吸気口に十分な空気を供給するとともに、キャビティ117内の構成要素から十分な排気を可能にするように構成することもできる。異なる形状のエンクロージャの例が
図40~
図51に示されており、
図40~
図51に関して以下でさらに説明する。側壁147のいずれか又は全ては、エンクロージャ103内の騒音を低減し、従ってエンクロージャ103から漏れ出る可能性のある騒音を低減するために、騒音減衰材料でコーティングされ、覆われ、又は騒音減衰材料から形成され、又は騒音減衰材料を組み込んでもよい。
【0202】
図39の側壁147は、給気口151を形成する開口部と、排気口157を形成する開口部とを有するように構成される。キャビティ117を形成することに加えて、側壁147は、騒音低減チャンバ173も形成する。
図39では、騒音低減チャンバ173がキャビティ117と排気口157との間に示されているが、様々な実施形態は、追加的又は代替的に、給気口151とキャビティ117との間、又はエンクロージャ103内の空気流が存在する他の場所に騒音低減チャンバを含んでもよい。
【0203】
騒音低減チャンバ173は、騒音低減チャンバ内の垂直方向に向き合わせた壁によって形成されるチャネル等の騒音減衰要素を含んでもよい。このようなチャネルの例は、
図41、
図42、
図47~
図51に示され、
図41、
図42、
図47~
図51に関してさらに説明する。様々な実施形態において、異なる方向に向き合わせたチャネルが使用され得る。例えば、垂直に向き合わせされた壁に加えて、壁は水平に、任意の角度等に向き合わしてもよい。様々な実施形態において、個々の壁又は複数の壁は、壁の異なるポイントで垂直に向き合わせされ、水平に向き合わせされ、角度が付けられ、又はそれらの任意の組合せとなるように成形され得る。このような実施形態では、壁同士の間のチャネルによって空気流の通過が可能になる限り、壁はいかなる形状であってもよい。
【0204】
単なる例として、航空機のハイブリッド式発電装置の構成要素等の様々な構成要素123、129、135、及び179は、キャビティ117内の異なる位置に取り付けられるか、又はそうでなければ配置され得る。典型的には、より多い、又はより少ない構成要素をキャビティ117内に含めてもよく、様々な構成要素が、
図39に示されるものとは異なるキャビティ117の位置にあってもよい。
【0205】
異なる構成要素123、129、135、及び179がキャビティ117内の異なる位置にあり得るため、それらの構成要素123、129、135、及び179は、キャビティ内の異なる位置から放出される騒音を生成又は放出し得る。従って、本明細書で説明するように、エンクロージャ103内のあらゆる潜在的な騒音源に対して騒音低減要素を具体的に調整することは困難であり得る。こうして、騒音低減チャンバ173は、排気空気が騒音低減チャンバ173から排気口157まで通過する際に排気内に伝播する騒音又は振動を減衰することができる(又は、騒音減衰要素(例えば、騒音低減チャンバ)が給気口の経路に沿って配置される存在する実施形態では、流入空気が吸気口からキャビティ117内の構成要素まで移動する際に流入空気内で伝播する騒音又は振動を減衰することができる)。例えば、騒音低減チャンバ内の複数のチャネルは、騒音又は振動がそれらのチャネルの壁によって吸収されるように、騒音減衰材料で形成され得、それにより、排気口157の空気出力に存在する騒音又は振動の量が低減される。
【0206】
図39に示されるように、異なる構成要素123、129、135、及び179は、キャビティ117内のそれらの配置に基づいて、互いに対して排気口157に対してさらに遠く又は近くに配置され得る。従って、
図39に示されるように、騒音低減チャンバは全長Aを有し得、構成要素123、129、135、及び179の一部には、少なくとも騒音低減チャンバ173の長さBを通って伝わる騒音及び/又は排気があり得る。構成要素123、129、135、及び179の他の構成要素には、騒音低減チャンバ173の長さBに加えて、騒音低減チャンバ173の長さCの一部又は全部をさらに通って伝わる騒音及び/又は排気があり得る。そのため、様々な実施形態において、キャビティ117を越えて騒音低減チャンバを延ばし(例えば、長さB)、キャビティ内の任意の発生源から放出される騒音が騒音低減チャンバ173内で少なくとも最小距離Bだけ伝わるのを保証するのが望ましい。そのため、騒音低減チャンバ173は、キャビティ117に直接隣接する長さCに関連する第1のセクションと、キャビティ117に直接隣接しない長さBに関連する第2のセクションとを含む。すなわち、キャビティ117からの空気は、第2のセクション(例えば、長さB)を通過して排気口157を通って出る前に、騒音低減チャンバ173の第1のセクション(例えば、長さC)を通過する。
【0207】
騒音低減チャンバ173は、高さDを有してもよい。騒音低減チャンバ173内の複数の壁は、壁が(例えば、
図42に示されるように)騒音低減チャンバ173の空間を実質的に満たすように、Dに略等しい高さとAに略等しい長さとを有するように構成され得る。キャビティ117と騒音低減チャンバ173との間には開口部があり、排気口157の側壁147にも開口部があるため、空気は、キャビティ117から騒音低減チャンバ173内の複数の壁の間を通り、排気口157を通って流れ出ることができる。騒音低減チャンバ173内の複数の壁が騒音減衰材料から形成され得るため、騒音低減チャンバ173を移動する空気中の騒音は、空気を排気口157で排出する前に除去又は低減され得る。排気口に関連する騒音低減チャンバについて
図39に関して議論し示してきたが、同様の騒音低減チャンバが、キャビティ117と給気口151の間の側壁によって形成される任意の空間、又はキャビティ117自体内の任意の空間にさえ実装され得ることを理解すべきである。
【0208】
図40Aは、例示的な実施形態による、騒音低減部品を内部に有する例示的なエンクロージャ207の給気口211を示す正面斜視図である。エンクロージャ207は、
図39に示したものと同様であり、特に、エンクロージャ207の給気口211側と、内燃機関及び関連部品等の航空機用ハイブリッド式発電装置の構成要素を保持するように構成されたエンクロージャ207内にキャビティを部分的に形成する側壁219とを示す。
図40Bは、例示的な実施形態による
図40Aの例示的なエンクロージャを示す側面図である。
図40Cは、例示的な実施形態による
図40Aの例示的なエンクロージャを示す背面図である。
図40Dは、例示的な実施形態による
図40Aの例示的なエンクロージャを示す上面図である。
【0209】
図41は、例示的な実施形態による
図40Aのエンクロージャ207の排気口215を示す背面斜視図である。
図41に示されるエンクロージャ207は、
図39の排気口157と同様の排気口を示す。給気口211の縁部と、航空機のハイブリッド式発電装置用のキャビティを部分的に形成する別の側壁219とが、
図41にも確認される。
【0210】
図41は、エンクロージャ207の騒音低減チャンバ208(
図39の騒音低減チャンバ173と同様)内に形成され得る複数の壁223も示す。消音器222も示されており、これは消音チャンバ208内で複数の壁223のうちの2つの壁の間に配置され、大気中に放出される騒音をさらに低減することができる。複数の壁223は、騒音低減チャンバ208内に延びることができ、騒音低減チャンバ208の間の複数の壁223の間のチャネルの上部の開口部により、(さらに
図42に示すように)エンクロージャ207のキャビティと騒音低減チャンバ208との間の空気の流れが可能になる。
【0211】
図42は、例示的な実施形態による
図40Aのエンクロージャ207の騒音低減チャンバ208内の騒音低減チャネル224の上面斜視図である。特に、側壁219はさらに騒音低減チャンバ208を形成し、複数の壁223は複数のチャネル224を形成する。1つの壁221は、例えば
図41に示される消音器222を収容するために、他の複数の壁223とは異なる形状であってもよい。複数の壁223は、発泡体等の騒音減衰材料、又は任意の他の適切な材料から形成してもよい。複数のチャネル224は幅Eを有してもよい。しかしながら、様々な実施形態では、複数のチャネル224は全て同じ幅を有していなくてもよく、及び/又は可変の幅を有してもよい(例えば、エンクロージャキャビティに近づくほど幅が広くなり、排気口215の近くでは狭くなり得、エンクロージャキャビティに近づくほど幅が狭くなり、排気口215の近くでは広くなり得る)。騒音低減チャンバが不規則な形状、又は
図39~
図42に示される形状以外の任意の形状を有する実施形態では、複数の壁は、騒音低減チャンバに適合するように様々な形状を有し、所望のチャネルサイズ(例えば、幅E、長さA、B、C、高さD等)を形成するための所望の比率を有するように形成してもよい。複数の壁223はまた、所望に応じて変化する幅を有してもよく、又は特定の用途、選択した材料等に基づいて騒音低減のために最適化した所望の幅を有してもよい。さらに、複数のチャネルはそれぞれ、空気が流れる断面領域を有してもよい。その断面積は、個々のチャネルの長さに亘って、又は複数(又は全て)のチャネルの長さに亘って一定であってもよく、又は可変であってもよい。上で議論したように、複数の壁の寸法及びそれらの壁間の間隔は変えることができるので、壁によって形成されるチャネルの断面積も変えることができる。例えば、断面積は、エンクロージャ207のキャビティ付近よりも排気口215に近い方が大きくてもよく、又は、断面積は、エンクロージャ207のキャビティ付近よりも排気口215に近い方が小さくてもよい。
【0212】
このため、騒音低減チャンバ内の複数の壁、或いはエンクロージャ又はカウリングの他の部分は、騒音減衰を達成するために所望の任意の方法で配置してもよい。複数の壁及びそれらに関連するチャネルの様々な可能なサイズは、壁及びチャネルの幾何学的形状に適用される異なるアスペクト比に基づいて参照され得る。例えば、第2のセクションのみ(例えば、キャビティの後部に突き出ている騒音低減チャンバ208の部分)の長さ/幅の比は、
図42の幅Eに亘って、
図39の長さBであってもよい。ほんの一例として、所望の長さ幅比は少なくとも1.3であることが望ましく、例えば、アスペクト比が1.333の場合に、12インチの長さB及び9インチの幅Eを使用することができる。他のアスペクト比を使用して騒音低減チャンバの壁及びチャネルを構成することができ、これには、
図39及び
図42に示されるような寸法A、B、C、D、及び/又はEのいずれかを含めてよい。
【0213】
これらのアスペクト比は、騒音低減チャンバを通る適切な空気流を可能にするという観点から、所望のアスペクト比を有するチャネルを形成するように有利に構成され得る。例えば、エンクロージャの入力又は出力のいずれかで、空気の低圧力降下通路が望ましい場合がある。一方で、平行な壁によって形成されるチャネルが広過ぎる場合に(例えば、チャネルの長さ及び高さに比べて発泡体の間隔が広過ぎる場合に)、騒音低減の質が低下する可能性がある。一方、チャネルが狭くて非常に長い場合に、騒音の圧力波が複数の壁に接触することによって減衰する可能性が十分にある。従って、特定の用途、壁材料の種類等について、チャネル幅(例えば、長さE又は2つの平行な面間の距離)、高さ(例えば、長さD)、及び長さ(例えば、長さA又は空気流の主方向の軸線に沿った距離)のバランスは、エンジン又はエンクロージャ内の他の構成要素の性能に大きな影響を与えることなく、チャネルの所望の騒音低減品質のバランスを有利に達成することが重要である。
【0214】
本明細書で説明する実施形態で使用され得る騒音減衰材料の一例には、メラミン樹脂から作製されたメラミン連続気泡発泡体が含まれる。この発泡体は、高い難燃性と炎及び煙に対する耐性とを備えた優れた吸音性を特徴とし得る。例えば、連続気泡又は独立気泡発泡体を使用することができ、メラミン、セルロース、ポリエチレン、綿、他の適切な材料、又はそれらの任意の組合せ等の様々な材料から形成することができる。本明細書で説明する複数の壁は、任意の所望の厚さを有することができ、単に一例として、1インチ~2インチの厚さを使用することができる。騒音減衰材料として異なる材料が使用される場合に、厚さは、その材料の特性又は材料の組合せに基づいて変化し得る。本明細書で説明する騒音減衰材料及び/又は壁は、別の材料で裏打ち/コーティングしてもよく、又は他の材料で裏打ち/コーティングしなくてもよい。本明細書で説明する騒音を減衰するように構成された壁は、空気流に対する抵抗を低減し(例えば、より滑らかなパターン)、及び/又は騒音減衰を高めるために、様々な方法でパターン化することもできる。例えば、本明細書で説明する材料は、滑らかな表面、卵箱型の表面パターン、ピラミッド型の表面パターン、楔型の表面パターン、半球型の表面パターン、波型の表面パターン、他の任意のパターン、又はそれらの任意の組合せを有するように形成してもよい。
【0215】
図42に示される実施形態では、発泡体壁は、別の種類の材料の発泡体内に内部支持システムを有さなくても壁が自立できるように十分に厚い。オプションとして、発泡体等の騒音減衰材料で両側をコーティングする薄い中央プレート(カーボンファイバー等)等の他の材料を発泡体内で使用して発泡体を支持することもできる。
【0216】
壁は、空気が発泡体の平行又は実質的に平行な面の間を通過できるように、本明細書で説明するチャネルを形成するようにさらに配置される。このようにして、騒音低減チャンバを通る空気の中心流がシステムに出入りする際の制限を最小限に抑えながら、音圧波を減衰させることができる。そのため、空気力学的抵抗(例えば、圧力損失)空気流(例えば、エンジン部品を冷却するために使用される空気流)が過大にならないように、壁と壁同士の間のチャネルを構成することが望ましく、(例えば、冷却システムの性能等を含む)エンジンの性能が低下する可能性がある。適切なサイズのチャネルを使用すると、このような性能低下の影響を最小限に抑えることができる。様々な実施形態において、本明細書で説明するように、非平行壁が追加的に又は代替的に使用され得る。
【0217】
図43は、例示的な実施形態による、騒音低減部品を内部に有する別の例示的なエンクロージャ500の上面斜視図である。
図44は、例示的な実施形態による
図43のエンクロージャ500の側面図である。
図45は、例示的な実施形態による
図43のエンクロージャ500の正面図である。
図46は、例示的な実施形態による
図43のエンクロージャ500の斜視図であり、部分的に透明なエンクロージャを示す。
図43~
図46のエンクロージャ500は、給気口507及び排気口(
図43~
図46には示されていないが、排気口1007を備えた同様のエンクロージャが
図47~
図51に示されている)を含む。エンクロージャ500は、具体的には、航空機のためのエンジン又はハイブリッド式発電装置のカウリングであってもよい。エンクロージャ500は、エンクロージャ500が空力的であり、給気口507が航空機の前方に向けられるように、航空機の外面となるように設計してもよい。
図46に示されるように、エンクロージャ500が部分的に透明であるが、エンジン部品802はエンクロージャ500のキャビティ内にあり得る。
図47~
図51に示され、
図47~
図51に関して以下でさらに説明するように、エンクロージャ500と同様のエンクロージャは、本明細書で説明する騒音低減の利点を実現するために、その中に複数の騒音減衰壁を有することができる。
【0218】
図47は、例示的な実施形態による別の例示的なエンクロージャ900の斜視図であり、部分的に透明であり、騒音低減部品を内部に有するエンクロージャを示す。
図48は、例示的な実施形態による
図47のエンクロージャ900の上面図である。
図49は、例示的な実施形態による
図47のエンクロージャ900の側面図である。
図50は、例示的な実施形態による
図47のエンクロージャ900の背面図である。
図51は、例示的な実施形態による
図47のエンクロージャ900の背面図であり、エンクロージャを不透明として示すことを除いて、
図47と同様である。
【0219】
特に、
図47~
図51は、エンジン部品802によって放出される及び/又は生成される騒音を低減するための複数のチャネル1003を形成する、エンクロージャ900内の複数の壁903を示す。エンクロージャ900はさらに、給気口1004及び排気口1007を含み、空気は、エンジン部品802によって使用され、使用後に排気口1007から排出され得る。エンクロージャ900は、そのような航空機に電力を供給するために航空機に取り付けてもよい。一方、
図47~
図50は、エンクロージャ900内の構成要素が明らかになるように、エンクロージャを部分的に透明として示し、
図51は、排気口1007をよりよく示すために、エンクロージャを不透明として示している。
図47~
図51に示されるように、複数の壁は、エンクロージャ自体の形状の結果として形状が変化し得る。こうして、この例に示すように、カウリング又はエンクロージャ内の任意の空間に適合するように複数の壁をカスタマイズして、その中の構成要素によって放出される騒音を低減することができる。
【0220】
例示的な実施形態では、本明細書で説明する動作のいずれも、コンピュータ可読媒体又はメモリに格納されたコンピュータ可読命令として少なくとも部分的に実装され得る。プロセッサによってコンピュータ可読命令が実行されると、コンピュータ可読命令はコンピューティング装置に動作を実行させることができる。
【0221】
例示的な実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示したものである。その説明は、開示した正確な形態に関して網羅的又は限定的なものではなく、上記の教示に照らして、又は開示した実施形態の実践から修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって規定されることを意図している。
【国際調査報告】