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特表2024-507367ムスカリン受容体活性化によって改善される障害を処置するための方法
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  • 特表-ムスカリン受容体活性化によって改善される障害を処置するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】ムスカリン受容体活性化によって改善される障害を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4439 20060101AFI20240209BHJP
   A61K 31/46 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240209BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240209BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A61K31/4439
A61K31/46
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/30
A61P25/04
A61P29/00
A61K9/14
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550610
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022017485
(87)【国際公開番号】W WO2022182733
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,095
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/213,998
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521128764
【氏名又は名称】カルナ セラピューティックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KARUNA THERAPEUTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】99 High Street, Floor 26, Boston, Massachusetts 02110 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ミラー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ブランナン
(72)【発明者】
【氏名】インダルジット カウル
(72)【発明者】
【氏名】ロナウド エヌ. マーカス
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エス. スモール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB16
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA21
4C086ZA22
4C086ZC39
4C086ZC41
4C086ZC51
(57)【要約】
処置を必要とする55歳以上の患者においてムスカリン受容体を活性化することによって改善される障害を処置する方法が本明細書に提供される。本方法は、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩の全1日用量、例えば、100~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20~30mgのトロスピウム塩の全1日用量を患者に投与することを含む。本開示はまた、認知症関連精神病を処置するための方法、及び認知症関連精神病を有する患者における再発のリスクを低下させる方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする55歳以上の患者においてムスカリン受容体を活性化することによって改善される障害を処置する方法であって、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩の全1日用量を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記障害が、認知症関連精神病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、運動障害、疼痛、薬物嗜癖、タウオパシー、及びシヌクレイノパシーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記障害が認知症関連精神病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
処置を必要とする患者において認知症関連精神病を処置する方法であって、25~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~60mgのトロスピウム塩の全1日用量を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項5】
前記患者が55歳以上である場合、前記全1日用量が、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が55歳未満である場合、前記全1日用量が、100~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40~60mgのトロスピウム塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記認知症関連精神病が、アルツハイマー病、レビー小体認知症、血管性認知症、パーキンソン病関連認知症、前頭側頭型認知症、又は別の形態の認知症に起因する、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が経口である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が少なくとも7日間処置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記キサノメリン及び/又はその塩が酒石酸キサノメリンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記トロスピウム塩が塩化トロスピウムである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記キサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩が、前記キサノメリン又はその塩を含むコア及び場合により第1のコーティングを有する複数のキサノメリンビーズと、前記トロスピウム塩を含むコア及び場合により第2のコーティングを有する複数のトロスピウムビーズとを含む医薬組成物として投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬組成物が、前記複数のキサノメリンビーズ及び前記複数のトロスピウムビーズを含むカプセルである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記キサノメリン及び/又はその塩が、前記キサノメリン又はその塩を含むコア及び場合により第1のコーティングを有する複数のキサノメリンビーズを含む第1の医薬組成物として投与され、前記トロスピウム塩が、前記トロスピウム塩を含むコア及び場合により第2のコーティングを有する複数のトロスピウムビーズを含む第2の医薬組成物として投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の医薬組成物が同時に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の医薬組成物が、前記複数のキサノメリンビーズを含む第1のカプセルであり、前記第2の医薬組成物が、前記複数のトロスピウムビーズを含む第2のカプセルである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の医薬組成物が、異なる投与スケジュールに供される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
増加した用量のトロスピウム塩並びに増加した用量のキサノメリン及び/又はその塩を前記患者に経口投与することをさらに含み、前記増加した用量の前記トロスピウム塩が、初回用量の前記トロスピウム塩よりも大きく、前記増加した用量の前記キサノメリン及び/又はその塩が、前記初回用量の前記キサノメリン及び/又はその塩よりも大きい、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が55歳以上である場合、前記初回用量が、20mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに2mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6mgのトロスピウム塩の全1日用量である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の期間の後、前記初回用量を、30mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに3mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される、90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩の全1日用量に増加させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の期間が7日間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第2の期間の後、55歳以上の前記患者が前記増加した用量を耐容する場合、及び前記患者が適切な応答を有している場合、前記増加した用量を、40mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに4mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩の前記全1日用量にさらに増加させる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の期間が全14日間である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者が前記増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は前記初回用量である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
第3の期間の後、55歳以上の前記患者が前記さらなる増加した用量を耐容する場合、及び前記患者が適切な応答を有している場合、前記さらなる増加した用量を、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩の全1日用量に再び増加させる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第3の期間が全21日間である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記患者が前記さらなる増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は、前記増加した用量である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
第4の期間の後、55歳以上の前記患者が前記再び増加した用量を耐容する場合、及び前記患者が適切な応答を有している場合、前記再び増加した用量を、66.7mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6.67mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩の全1日用量に増加させる、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記第4の期間が全28日間である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が前記再び増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は、前記さらなる増加した用量である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記患者が55歳未満である場合、前記初回用量が、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩の2回の用量として投与される100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩の全1日用量である、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
第1の期間の後、前記初回用量が、100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩の2回の用量として投与される200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩の全1日用量に増加される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の期間が1日間又は2日間である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第2の期間の後、55歳未満の前記患者が前記増加した用量を耐容する場合、及び前記患者が適切な応答を有している場合、前記増加した用量を、125mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩の2回の用量として投与される250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに60mgのトロスピウム塩の前記全1日用量にさらに増加させる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の期間が、全3~7日間である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記患者が前記増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は、前記初回用量である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記患者が55歳以上である場合、前記全1日用量は
25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩、
50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩、
50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6mgのトロスピウム塩、
75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、
75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩、
100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに17.5mgのトロスピウム塩、
100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
175mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、並びに
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩
から選択される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記全1日用量が
60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6mgのトロスピウム塩、
90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩、
120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、並びに
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩
から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記患者が55歳以上である場合、前記全1日用量が、60~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6~30mgのトロスピウム塩である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記全1日用量が、120~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12~20mgのトロスピウム塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記全1日用量が、20mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに2.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記全1日用量が、30mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに3.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記全1日用量が、40mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに4.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記全1日用量が、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記全1日用量が、66.7mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6.67mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩である、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも55歳の前記患者が、30mgの塩化トロスピウムの全1日用量を投与される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも55歳の前記患者が、100~200mgのキサノメリンを投与される、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記全1日用量が、2又は3間隔で投与される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
約7.3±2.0ng/mLのキサノメリンの平均Cmaxが達成される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
約14.2±5.3ng/mLのキサノメリンの平均Cmaxが達成される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記患者が、45を超える推定球状濾過量(eGFR)を有する、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記患者が、60を超える推定球状濾過量(eGFR)を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
認知症関連精神病を有する患者において再発のリスクを低下させる方法であって、25~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~60mgのトロスピウム塩の全1日用量を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項54】
前記患者が55歳以上である場合、前記全1日用量が、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記患者が55歳未満である場合、前記全1日用量が、100~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40~60mgのトロスピウム塩である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
再発が、投与前と比較して、前記投与の12週間以上での、神経精神医学的インベントリー臨床医幻覚及び妄想(NPI-C H+D)スコアの少なくとも40%の増加、及び臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアの6又は7によって示される、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
再発が、投与中の認知症関連妄想又は幻覚のための前記キサノメリン及び/又はその塩、並びに前記トロスピウム塩以外の抗精神病薬による処置によって示される、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
再発が、前記投与中の精神病、激越、又は攻撃症状の悪化のために入院している前記患者によって示される、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記投与が、前記患者のNPI-C精神病スコアの改善をもたらす、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記投与が、前記患者のコーエン・マンスフィールド激越評価票(CMAI)総スコアの改善をもたらす、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記投与が、精神病、激越、及び攻撃性に関連するNPI-C精神病スコア、NPI-C激越スコア、NPI-C攻撃スコア、NPI-C総スコア、臨床全般印象-重症度(CGI-S)スケールスコア、又は精神病、激越、及び攻撃性に関連するCGI-Iスケールスコアの改善をもたらす、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記投与が、NPI-C精神病スコアの改善をもたらす、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記投与の前に、前記患者が、アルツハイマー病の可能性があるか又はおそらくアルツハイマー病である臨床基準を満たす、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記投与の前に、前記患者が、国際老年精神医学会基準を満たす精神病症状の病歴を有する、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記投与の前に、前記患者が、臨床全般印象-重症度スケールの少なくとも4のスコアを有する、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記投与の前に、前記患者が、8項目のうちの2つで少なくとも2のNPI-C妄想ドメインスコア及びNPI激越/攻撃ドメインスコア又は少なくとも4として定義される、中等度から重度の妄想を伴うアルツハイマー型認知症を有する、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記投与の前に、前記患者が、8~22のミニメンタルステート検査スコアを有する、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記投与前に、前記患者が、認知症を引き起こすアルツハイマー病以外の状態に主に起因する精神病症状を有さない、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
複数のキサノメリンビーズ及び複数のトロスピウムビーズを含む経口医薬組成物であって、前記複数のトロスピウムビーズの各々が、4重量%~7重量%の塩化トロスピウム、45重量%~60重量%の微結晶セルロース、及び35重量%~50重量%の乳糖一水和物を含むコアと、場合により0重量%~2重量%のタルクを含む第2のコーティングとを有する、経口医薬組成物。
【請求項70】
前記トロスピウムビーズの各々が、4.4重量%の塩化トロスピウム、54.5重量%の微結晶セルロース、及び40.6重量%の乳糖一水和物を含むコアと、場合により0.5重量%のタルクを含むコーティングとを含む、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記複数のキサノメリンビーズの各々が、50重量%~90重量%の酒石酸キサノメリン、15重量%~65重量%の微結晶セルロース、及び0重量%~1重量%のアスコルビン酸を含むコアと、場合により0重量%~2重量%のタルクを含む第1のコーティングとを有する、請求項69又は70に記載の組成物。
【請求項72】
前記複数のトロスピウムビーズの各々が0.6mm~0.85mmのサイズを有する、請求項69~71のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
前記複数のキサノメリンビーズの各々が0.6mm~0.85mmのサイズを有する、請求項69~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
カプセルである、請求項69~73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項75】
液体クロマトグラフィーによって測定される1.5重量%以下の総不純物を含む、請求項69~74のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月24日に出願された米国仮特許出願第63/153,095号の優先権の利益を主張し、また、2021年6月23日に出願された米国仮特許出願第63/213,998号の優先権の利益を主張し、その開示は全ての目的のために、各々その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、ヒト又は動物対象において、例えば高齢対象においてムスカリン受容体を活性化することによって改善される障害を処置するための、又は認知症関連精神病を処置するための、組成物及び医薬品としてのそれらの適用に関する。
【背景技術】
【0003】
認知症関連精神病(DRP)は、アルツハイマー病、レビー小体認知症、血管性認知症、パーキンソン病に関連する認知症、前頭側頭型認知症、他の形態の認知症、又は関連障害に起因するかどうかにかかわらず、認知症を有する人において一般的な症状である。DRPは、幻覚、妄想的思考、激越、又は攻撃的行動を含み得る行動を指す。これらの患者は、視覚、聴覚、及び嗅覚の幻覚、即ち、存在しないものを見ること、聞くこと、及び匂うこと、又は、介護者が彼らを害したいと思うことを疑う等の偏執的な妄想を持ち得る。精神病は認知症が進行するにつれてより一般的になり得るが、幻視はレビー小体認知症及びパーキンソン病関連認知症の初期症状であり得る。
【0004】
非定型抗精神病薬、例えば、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、及びアリピプラゾールは、現在、認知症の精神病症状を有する患者における第1選択薬である。抗精神病剤に対する応答が不十分な患者では、第2選択薬としてジバルプロエックス(Depakote(商標))又はカルバマゼピン(Tegretol(商標))が推奨される。それにもかかわらず、これらの薬物は有害な効果を発揮し、特に、過度の鎮静、起立性低血圧、並びに転倒、錐体外路症状、認知的低下、心血管合併症、及び抗コリン作動性副作用等の関連合併症等の非定型抗精神病薬によって誘発される重度の有害反応に特に敏感である高齢患者において、限定された有効性をもたらす。
【0005】
これらの薬物は、認知症の行動及び心理学的症状とは異なる神経生物学的欠損を有する主に若年成人に影響を及ぼす統合失調症を処置するために特に承認された。加齢は神経伝達物質の質と量の変化を誘発し、認知症を有する患者の行動症状の発症の原因となり得る。神経化学物質の変動は、ムスカリン系等の特定の薬物で標的とすべき特定の受容体の発現の変化を開始させる。
【0006】
ムスカリン作動薬を介してムスカリン系を活性化させると、認知症関連精神病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、運動障害、薬物嗜癖、疼痛、及びタウオパシー又はシヌクレイノパシー等の神経変性等のいくつかの疾患を処置できる可能性がある。ムスカリン性コリン受容体は、5つの異なる受容体サブタイプ(M1~M5)を有するGタンパク質共役型受容体であり、受容体サブタイプの各々は、異なる組織分布でCNSに見出される。M1及びM4サブタイプは、様々な疾患の治療標的として興味深い。例えば、双極性うつ病を処置するために使用される気分安定剤リチウム及びバルプロ酸は、ムスカリン系に、特にM4サブタイプ受容体を介して効果を発揮し得る。遺伝学的証拠は、ムスカリン系とアルコール依存症を直接結びつける。
【0007】
M1及びM4サブタイプ受容体に優先的な活性を有するムスカリン性コリン受容体作動薬であるキサノメリン(25-75mg TID,75-225mg TDD)を用いた統合失調症患者の二重盲検プラセボ対照試験において、統合失調症が軽減された。しかしながら、キサノメリンは、脳外のムスカリン受容体にも結合したため、GI副作用、心臓副作用及び唾液分泌過多を含む多くの重篤な副作用が生じた。用量を制限した有害事象には問題があり、非常に高い中止率(アルツハイマー病の26週間の試験における56%の脱落率を含む)をもたらし、最終的にキサノメリン開発の中止に至った。初期の見込みにもかかわらず、キサノメリンの発展は、15年を超えて停止した。多くの会社は、これらの許容できない副作用を回避してCNS障害のためのムスカリン受容体作動薬を開発を試み、且つ失敗したが、このような作動薬は市場に到達していない。これまでの開発の取り組みは、典型的には、M2及びM3ムスカリン受容体サブタイプよりもM1及びM4サブタイプを選択することによって、より耐容性の高い分子を開発する、薬化学に焦点を当てたものであった。しかしながら、脳外でのM1及びM4活性化は、依然としてムスカリン関連不耐性を引き起こす可能性がある。末梢ムスカリン受容体の活性化による有害作用を軽減するための進歩は、ほとんど為されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当技術分野では、キサノメリンに対する耐容性が増大した医薬組成物、特に認知障害及び精神障害を処置する医薬組成物が依然として必要とされている。以下の実施形態及びその態様は、例示的且つ解説的であることを意味し、範囲を限定するものではない組成物及び方法を用いて記載及び解説される。様々な実施形態では、上述の問題のうちの1つ以上が低減又は排除されており、一方、他の実施形態は、他の改善に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で提供されるものは、処置を必要とする高齢患者においてムスカリン受容体を活性化することによって改善される障害を処置する方法であって、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~40mgのトロスピウム塩の全1日用量を患者に投与することを含む方法である。
【0010】
本明細書では、処置を必要とする患者において認知症関連精神病を処置する方法であって、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~40mgのトロスピウム塩の全1日用量を患者に投与することを含む方法も提供される。
【0011】
本開示はさらに、認知症関連精神病を有する患者において再発のリスクを低下させる方法であって、25~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~60mgのトロスピウム塩の全一日用量を患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、患者が55歳以上である場合、全1日用量は25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、患者が55歳未満である場合、全1日用量は100~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40~60mgのトロスピウム塩である。
【0012】
さらなる態様及び利点は、以下の詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。剤形、作製方法及び処置方法は、様々な形態の実施形態の影響を受けやすいが、以下の説明は、本開示が実例的であり、本開示を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図しないことを理解するために、特定の実施形態を含む。
【0013】
本開示は、同様の参照番号が同様の構造要素を示す、添付の図面と併せた以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。図面は、本開示の例示的な実施形態又は態様を提供するものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の第Ib相臨床試験の漸増スケジュールを示す。示される用量は、mg単位である。その後のコホートの漸増スケジュール及び試験期間は、以前のコホートからの関連データが利用可能になった時点で、DSC及び治験責任医師によって決定された。BID=1日2回;DSC=用量選択委員会;Max=最大;N/A=該当なし;QD=1日1回;TID=1日3回;TDD=全1日用量。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ムスカリン受容体作動薬であるキサノメリンの以前の開発は、末梢コリン作動性副作用のために停止された。本開示は、両方の活性成分についてより効果的な治療効果を有する溶解動態、塩化トロスピウムの薬物動態の増強、及びより高い投与コンプライアンスを有する剤形を提供する。本開示はまた、異なる強度又は異なる比の2つの活性物質を有する剤形を提供する。
【0016】
本明細書では、以下の特定の実施形態が提供される。本発明は、例示のみを目的とする本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。機能的に等価な生成物、組成物、及び方法は、本明細書に記載されるように、明らかに本発明の範囲内である。
【0017】
実施形態1.処置を必要とする高齢患者においてムスカリン受容体を活性化することによって改善される障害を処置する方法であって、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩の全1日用量を患者に投与することを含む、方法。
【0018】
実施形態2.障害が、認知症関連精神病、統合失調症、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、運動障害、疼痛、薬物嗜癖、タウオパシー、及びシヌクレイノパシーから選択される、実施形態1の方法。
【0019】
実施形態3.障害が認知症関連精神病である、実施形態2の方法。
【0020】
実施形態4.高齢患者が75歳を超える、任意の実施形態の方法。
【0021】
実施形態5.投与が経口である、任意の実施形態の方法。
【0022】
実施形態6.患者が少なくとも7日間処置される、任意の実施形態の方法。
【0023】
実施形態7.キサノメリン及び/又はその塩が酒石酸キサノメリンである、任意の実施形態の方法。
【0024】
実施形態8.トロスピウム塩が塩化トロスピウムである、任意の実施形態の方法。
【0025】
実施形態9.キサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩が、キサノメリン又はその塩を含むコアを有する複数のキサノメリンビーズ、及びトロスピウム塩を含むコアを有する複数のトロスピウムビーズを含む医薬組成物として投与される、任意の実施形態の方法。
【0026】
実施形態10.医薬組成物が、複数のキサノメリンビーズ及び複数のトロスピウムビーズを含むカプセルである、任意の実施形態の方法。
【0027】
実施形態11.キサノメリン及び/又はその塩が、キサノメリン又はその塩を含むコアを有する複数のキサノメリンビーズを含む第1の医薬組成物として投与され、トロスピウム塩が、トロスピウム塩を含むコアを有する複数のトロスピウムビーズを含む第2の医薬組成物として投与される、任意の実施形態の方法。
【0028】
実施形態12.第1及び第2の医薬組成物が同時に投与される、任意の実施形態の方法。
【0029】
実施形態13.第1の医薬組成物が、複数のキサノメリンビーズを含む第1のカプセルであり、第2の医薬組成物が、複数のトロスピウムビーズを含む第2のカプセルである、任意の実施形態の方法。
【0030】
実施形態14.第1及び第2の医薬組成物が、異なる投与スケジュールに供される、任意の実施形態の方法。
【0031】
実施形態15.増加した用量のトロスピウム塩並びに増加した用量のキサノメリン及び/又はその塩を患者に経口投与することをさらに含み、トロスピウム塩の増加した用量は、トロスピウム塩の初回用量よりも大きく、キサノメリン及び/又はその塩の増加した用量は、キサノメリン及び/又はその塩の初回用量よりも大きい、任意の実施形態の方法。
【0032】
実施形態16.全1日用量が
25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩、
50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩、
50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、
75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに17.5mgのトロスピウム塩、
100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
175mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、並びに
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgトロスピウム塩
から選択される、任意の実施形態の方法。
【0033】
実施形態17.全1日用量が、100~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10~30mgのトロスピウム塩である、任意の実施形態の方法。
【0034】
実施形態18.全1日用量が、100~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20~30mgのトロスピウム塩である、任意の実施形態の方法。
【0035】
実施形態19.全1日用量が、100~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに約30mgのトロスピウム塩である、任意の実施形態の方法。
【0036】
実施形態20.全1日用量が、約200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに約30mgのトロスピウム塩である、任意の実施形態の方法。
【0037】
実施形態21.全1日用量が2又は3間隔で投与される、任意の実施形態の方法。
【0038】
実施形態22.約7.3±2.0ng/mLのキサノメリンの平均Cmaxが達成される、任意の実施形態の方法。
【0039】
実施形態23.約14.2±5.3ng/mLのキサノメリンの平均Cmaxが達成される、任意の実施形態の方法。
【0040】
実施形態24.患者が45を超える推定球状濾過量(estimated globular filtration rate)(eGFR)を有する、任意の実施形態の方法。
【0041】
実施形態25.患者が60を超える推定球状濾過量(eGFR)を有する、任意の実施形態の方法。
【0042】
冠詞「a」及び「an」は、1つ以上の(即ち、少なくとも1つの)冠詞の文法的対象を指す。例えば、「要素」は、1つの要素又は1つを超える要素を意味する。
【0043】
用語「含む」及び「含むこと」は、包括的なオープンな意味であり、追加の要素が含まれてもよいことを意味する。
【0044】
用語「からなる」は、要素を、該要素に追加して通常付随する不純物を除いた、特定されるものに限定する。
【0045】
用語「から本質的になる」は、特定された要素、及び材料又は工程の基本的な新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない要素に限定する。
【0046】
本明細書に記載される全ての範囲は、範囲の全ての可能なサブセット、及びそのようなサブセット範囲の任意の組み合わせを含む。デフォルトでは、範囲は、特に断らない限り、記載された終点を含み、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値は、本開示内に包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、これらのより小さい範囲に含まれてもよく、記載された範囲における任意の特に除外された制限を条件として、本開示内に包含される。記載された範囲が一方又は両方の限界を含む場合、含まれるこれらの限界の一方又は両方を除外する範囲もまた、本開示の一部であると考えられる。
【0047】
用語「重量%」は、文脈に記載されるように、例えばコア、又は腸溶コーティング、又は総ビーズの総重量に基づく重量パーセントである。特に断らない限り、重量%は、乾燥重量(例えば、乾燥後のコアについて)に基づく重量パーセントを記載することが意図される。
【0048】
用語「制御放出」は、薬物がある期間にわたって放出されるような、1つ以上の薬物の延長(prolonged)放出パターンとして定義される。制御放出製剤は、静脈内注射後又は即時放出経口剤形の投与後に可能であるよりも長い期間にわたって薬物の測定可能な血清レベルをもたらす放出動態を有する。制御放出、徐放、持続放出、延長(extended)放出、延長(prolonged)放出、及び遅延放出は、同じ定義を有する。
【0049】
用語「含む」は、「含むが、これに限定されない」を意味する。「含む」及び「含むがこれに限定されない」は、互換的に使用される。
【0050】
用語「哺乳動物」は、当技術分野で公知である。例示的な哺乳動物としては、ヒト、霊長類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられる。
【0051】
主題の方法により処置される「患者」、「対象」又は「宿主」は、ヒト又は非ヒト哺乳動物のいずれかを意味する。
【0052】
「高齢者」又は「老年者」は、65歳以上の人を指す。
【0053】
用語「薬学的に許容され得る担体」は、当技術分野で認識されている。それは液体若しくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材料のような、薬学的に許容され得る材料、組成物又はビヒクルを指し、これは、任意の対象組成物又はその成分を、1つの器官又は身体の部分から別の器官又は身体の部分に運搬又は輸送することに関与する。各担体は、対象組成物及びその成分と適合性であり、患者に有害でないという意味で「許容され得る」必要がある。薬学的に許容され得る担体として機能し得る材料のいくつかの例には、ラクトース、グルコース及びスクロース等の糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン;カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び坐剤ワックス等の賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油等の油;プロピレングリコール等のグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;並びに医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質が含まれる。
【0054】
用語「薬学的に許容され得る塩」又は「塩」は、当技術分野で認識されている。それは、例えば、本開示の組成物に含まれるものを含む、無機酸及び塩基並びに有機酸及び塩基を含む、比較的非毒性の酸又は塩基から調製される塩を指す。適切な非毒性酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エチレンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、サッカリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、及び硫酸等の無機酸及び有機酸が挙げられる。
【0055】
用語「処置すること」は、当技術分野で認識されており、任意の状態又は障害の少なくとも1つの症状を治癒及び改善することを指す。
【0056】
人体に施される方法の特許を禁止する管轄区域において、組成物のヒト対象への組成物の「投与」の意味は、ヒト対象が何らかの技術(例えば、経口、吸入、局所適用、注射、挿入等)によって自己投与する規制された物質を処方することに限定されるものとする。特許性のある対象を定義する法律又は規則と一致する最も広い合理的な解釈が意図される。人体に施される方法の特許を禁止しない管轄区域において、組成物の「投与」は、人体に施される方法及び前述の活動の両方を含む。
【0057】
用語「治療剤」は、当技術分野で認識されており、対象において局所的又は全身的に作用する生物学的、生理学的、又は薬理学的に活性な物質である任意の化学部分を指す。「薬物」とも呼ばれる治療剤の例は、Merck Index(第14版)、Physicians’ Desk Reference(第64版)、及びThe Pharmacological Basis of Therapeutics(第12版)等の周知の文献参照に記載されている。これらの治療剤には、薬剤;ビタミン;ミネラルサプリメント;疾患又は疾病の処置、予防、診断、治癒又は軽減のために使用される物質;身体の構造又は機能に影響を及ぼす物質、又は生理的環境に置かれた後に生物学的に活性又はより活性になるプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される場合、「用量」は、患者が一回に服用する活性剤の測定量を意味する。活性剤がキサノメリン遊離塩基でない特定の実施形態では、その量は、キサノメリン遊離塩基の対応する量に対するモル当量である。例えば、多くの場合、薬物は、薬学的に許容され得る塩形態、例えば、酒石酸キサノメリンで包装され、強度のための投与量は、対応する遊離塩基、キサノメリンのモル当量の質量を指す。一例として、76mgの酒石酸キサノメリンは、50mgのキサノメリン遊離塩基のモル当量である。同様に、活性剤が塩化トロスピウムではないトロスピウム塩である特定の実施形態では、トロスピウム塩の量は、塩化トロスピウムの対応する量に対するモル当量である。
【0059】
用語「精神療法」は、非薬理学的療法を指す。当業者は、陽性の治療結果に影響を及ぼすために、患者との口頭及び他の相互作用を含む様々な技術を使用する。そのような技術には、行動療法、認知療法、精神力動療法、精神分析療法、グループ療法、家族カウンセリング、芸術療法、音楽療法、職業療法、人間主義療法、実存療法、トランスパーソナル療法、クライエント中心療法(人中心療法とも呼ばれる)、ゲシュタルト療法、バイオフィードバック療法、合理的情動行動療法、現実療法、応答療法(response-based therapy)、箱庭療法、ステータスダイナミクス療法(status dynamics therapy)、催眠及び検証療法が含まれるが、これらに限定されない。精神療法は、2つ以上の技術を組み合わせることを含み得る。セラピストは、個々の患者のニーズ及び応答に基づいて、技術を選択及び調整することができる。
【0060】
用語「ムスカリン性障害」は、ムスカリン系を活性化させることによって改善される任意の疾患又は状態を意味する。そのような疾患には、ムスカリン受容体自体の直接的な活性化又はコリンエステラーゼ酵素の阻害が治療効果をもたらしたものが含まれる。
【0061】
用語「統合失調症に関連する疾患」及び「統合失調症に関連する障害」には、統合失調感情障害、急性精神病を含む精神病、妄想性障害、アルツハイマー病に関連する精神病、パーキンソン病に関連する精神病、精神病性うつ病、双極性障害、精神病を伴う双極性障害、ハンチントン病、レビー小体認知症、又は精神病性の特徴を有する任意の他の疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
「精神病」は、何が現実で、何が現実でないかを決定することを困難にする精神の異常状態を指す。精神病の症状には、誤信(妄想)、他人が見ない又は聞かないことを見る又は聞くこと(幻覚)、矛盾した会話、状況に不適切な行動、睡眠問題、社会的引きこもり、動機付けの欠如、及び日常活動の実施困難が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
「急性精神病」は、例えば、「急性一過性精神病性障害」(国際疾患分類-10)及び「短期精神病」(DSM-IV)に定義されるような、患者における精神病症状の急速又は強い発症を指す。急性精神病を有する個人では、不安、不眠及び錯乱の短い予備期間の後、急激な構造変化を伴う急な著しい妄想が起こる。急性精神病は、患者が幻覚又は妄想に応答し得る場合、急性精神病増悪を含み得る。急性精神病は短時間、典型的には1~2週間続く。
【0064】
用語「アクチベーター」は、作動薬、部分作動薬、共作動薬、生理学的作動薬、増強剤、刺激剤、アロステリック増強剤、正のアロステリックモジュレーター、アロステリック作動薬として記載される分子、又は受容体の活性若しくはシグナル伝達を直接的若しくは間接的に増大させる分子を意味する。
【0065】
用語「阻害剤」は、拮抗薬、部分拮抗薬、競合的拮抗薬、非競合的拮抗薬、不競合的拮抗薬、サイレント拮抗薬、インバース作動薬、可逆的拮抗薬、生理学的拮抗薬、不可逆的拮抗薬、阻害剤、可逆的阻害剤、不可逆的阻害剤、負のアロステリックモジュレーター、アロステリック拮抗薬として記載される分子、又は受容体の活性若しくはシグナル伝達を直接的若しくは間接的に低下させる分子を意味する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「有害事象」は、本明細書に記載される医薬組成物による処置に関連する任意の有害な医学的発生である。「軽度の有害事象」は、対象によって容易に耐容され、最小限の不快感を引き起こし、日常活動を妨げない。「中等度の有害事象」は、日常活動を妨げるのに十分な不快感であり;介入が必要であり得る。「重度の有害事象」は、日常活動を妨げ;処置又は他の介入が通常必要である。「重篤な有害事象」は、死に至り;生命を脅かし(事象が起こったときに死に至る即時のリスク);入院を必要とし、若しくは延長し;持続的若しくは重大な障害/機能不全をもたらし;又は先天異常/障害、癌、若しくは薬物過剰摂取をもたらす。有害事象は、それが正常な生活機能を遂行する対象の能力の実質的又は永続的な破壊をもたらす場合、無力化又は不能化することである。
【0067】
本明細書で使用される場合、その患者にその用量を投与することが、許容できない有害事象又は有害事象の許容できない組み合わせをもたらさない場合、患者は化合物の用量を「耐容する」と言われる。当業者は、耐容能は主観的な尺度であり、1人の患者が耐容可能であり得るものは異なる患者に耐容可能でない場合があることを理解するであろう。例えば、1人の患者は、頭痛を耐容することができない場合がある。対照的に、第2の患者は頭痛が耐容可能であることを見出し得るが、嘔吐を耐容できない。第3の患者では、頭痛単独又は嘔吐単独のいずれかが耐容可能である。それにもかかわらず、その患者は、たとえ各々の重症度が単独で経験される場合よりも低い場合であっても、頭痛及び嘔吐の組み合わせを耐容することができない。
【0068】
用語「最大耐量」は、患者が耐え難い副作用を経験することなく服用できる薬物又は治療薬の最高用量を意味する。最大耐量は、典型的には、臨床試験において経験的に決定される。
【0069】
用語「ムスカリン受容体」は、神経伝達物質であるアセチルコリンに結合するGタンパク質共役型受容体を指す。現在までに、ムスカリン受容体の5つのサブタイプが同定されている。「M1」は、1つのムスカリン受容体のサブタイプを意味する。「M2」は、2つのムスカリン受容体のサブタイプを意味する。「M3」は、3つのムスカリン受容体のサブタイプを意味する。「M4」は、4つのムスカリン受容体のサブタイプを意味する。「M5」は、5つのムスカリン受容体のサブタイプを意味する。
【0070】
用語「抗精神病薬」は、精神病、幻覚又は妄想を減少させる薬物を指す。抗精神病薬には、ハロペリドール、ドロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、ピモジド、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、アセナピン、パリペリドン、ゾテピン、アリピプラゾール、ビフェプルノクス、及びテトラベナジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
用語「抗不安薬」は、不安、恐怖、パニック又は関連する感情を減少させる薬物を指す。このような薬物には、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、ロラゼパム)、ブスピロン、バルビツール酸(例えば、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、フェノバルビタール)、及びヒドロキシジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
用語「抗うつ薬」は、うつ病及び関連状態(例えば、気分変調)を軽減する薬物を指す。このような薬物には、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI、例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI、例えば、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、ベンラファキシン)、ミアンセリン、ミルタザピン、ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(例えば、アトモキセチン、マジンドール、レボキセチン、ビロキサジン)、ブプロピオン、チアネプチン、アゴメラチン、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、トリミプラミン、デシプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン)、及びモノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、セレギリン、トラニルシプロミン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
用語「鎮静薬」又は「精神安定薬」は、傾眠を誘発し、疲れている感覚若しくは睡眠欲求を促進し、又は意識不明の状態を促進する薬物を指す。そのような薬物には、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸(例えば、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、フェノバルビタール)、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、及びゾピクロンが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
「ミニメンタルステート検査」(MMSE)は、認知を定量的に評価するために使用される簡単な30点アンケートである。MMSEには、テストの時間と場所、単語の繰り返しリスト、算術、言語の使用、及び理解、並びに図面のコピー等、多くの分野の簡単な質問と問題が含まれている。
【0075】
神経精神医学的インベントリー臨床医(Neuropsychiatric Inventory Clinician)(NPI-C)は、認知症を有する人に経験される特異的な神経精神医学的症状の発生、重症度、及び有意義な変化を評価するために使用される、有効且つ信頼できる臨床診断面接スケールである。それは、14のドメイン:妄想、幻覚、激越、攻撃性、不快感、不安、高揚感/多幸感、無感情/無関心、脱抑制、易刺激性/不安定性、異常運動障害、睡眠障害、食欲及び摂食障害、並びに異常発声を有する。
【0076】
臨床的印象評価は、特定のドメインの各NPI-C項目に割り当てられる。臨床医評価者は、利用可能な全ての情報源(介護者インタビュー、患者インタビュー、患者データ、他の関連情報)を組み込んだ評価を割り当て、前の4週間の時間枠に焦点を当てる。臨床的印象は0~3点スケールで評価される;0=なし;1=軽度:ストレスをほとんど生じない;2=中等度:苦痛を生じ、実質的な行動異常を引き起こす;3=顕著:行動異常の主要な原因。
【0077】
NPI-Cコアスケールは、NPI-Cスケールからの4つのドメイン、即ち、妄想、幻覚、激越、及び攻撃性を含む。これらの4つのドメインは、臨床医によって評価されるべき以下の数の項目を含む:妄想、8項目(最大スコア=24);幻覚、7項目(最大スコア=21);激越、13項目(最大スコア=39);及び攻撃性、8項目(最大スコア=24)。NPI-Cコアスケールの最大スコアは108である。特定の実施形態では、NPI-C評価は、それを行う全ての来院における全ての他のスケール評価の前に実施される。NPI-Cの4つのドメインは、患者に対する潜在的な利益を評価するために、一緒に、又は独立して、又はそれらの任意の組み合わせで分析され得る。特に、NPIC-C幻覚及び妄想ドメインは、精神病に対する潜在的な利益を評価する場合に特に適切である。
【0078】
処置方法
55歳以上の処置を必要とする患者において、ムスカリン受容体を活性化することによって改善される障害を処置する方法が提供される。55歳以上、例えば60歳以上、又は65歳以上の患者のような、処置を必要とする患者における認知症関連精神病を処置する方法も提供される。認知症関連精神病を有する患者における再発を予防する方法も提供される。特定の実施形態では、本方法は、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩の全1日用量を患者に投与することを含む。
【0079】
M1及びM4ムスカリン受容体のアクチベーターは統合失調症の有効な処置であることが示唆されているが、脳の外側に位置するムスカリン受容体の活性化は、臨床からキサノメリンを排除する副作用をもたらしている。例えば、第I相及びその後の試験の両方において、ムスカリン作動薬であるキサノメリンは、身体の末梢におけるムスカリン受容体の結合に関連する許容できないGI及び他の副作用を有していた。キサノメリンを塩化トロスピウムと組み合わせると、脳の外側に位置するムスカリン受容体を活性化する副作用を減少又は排除しながら、所望の治療効果が達成される。
【0080】
ムスカリン性アクチベーターであるキサノメリンの耐容性は、ムスカリン性拮抗薬である塩化トロスピウムを同時投与することにより増大する。キサノメリンの投与により観察される最も一般的な有害事象は、悪心、嘔吐、下痢、過剰な発汗、及び唾液分泌過多(いわゆるコリン作動性有害事象)である。塩化トロスピウムの投与で観察される一般的な抗コリン作動性の有害事象は、口渇(口内乾燥症)である。開示される組成物は、ヒトにおけるこれらの有害な事象の発生を減少させ、キサノメリン耐容性の向上を明示した。特定の実施形態では、少なくとも4週間の処置後、コリン作動性又は抗コリン作動性の有害事象の発生は、プラセボ対照と統計的に区別することができない。特定の実施形態では、少なくとも4週間の処置後、悪心、嘔吐、及び口渇のうちの少なくとも1つは、未処置の患者とほぼ同じ割合で起こる。特定の実施形態では、経口投与の開始時に生じた少なくとも1つの有害事象は、5週間の処置後にその処置前レベルに低減される。
【0081】
KarXTは、現在、統合失調症の処置のために研究されている。それは、ドーパミン受容体に直接影響を及ぼすことなく、現在の抗精神病薬とは異なる作用機序を有することによって、確立された治療法とは異なることが予想される。これは、KarXTが現在の抗精神病薬の一般的な問題となる副作用(運動障害、高プロラクチン血症、メタボリックシンドローム等)の多くを有さないことを示唆する。KarXTはまた認知促進性であり得、これは、認知障害を有する統合失調症対象に対してKarXTがさらなる長期的利益を有し得ることを意味する。
【0082】
一実施形態では、塩化トロスピウムと組み合わせたキサノメリンは、動物を処置する。さらなる実施形態では、動物は哺乳動物である。一実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0083】
一実施形態では、塩化トロスピウムは、キサノメリンに関連する副作用を低下させる。そのような副作用には、GI副作用、心臓副作用、過剰な発汗、及び唾液分泌過多が含まれるが、これらに限定されない。トロスピウムをキサノメリンと共に使用することにより、キサノメリンがその副作用のために臨床的に使用されない場合に、臨床的にキサノメリンを使用することが可能となる。別の実施形態では、塩化トロスピウムをキサノメリンと共に使用することによって、キサノメリンはそうでなければ達成されるキサノメリンよりも高い最大耐量を達成することが可能になる。
【0084】
様々な時間及び資源集約的方法が、キサノメリンと塩化トロスピウムの組み合わせの有効性を実証した。例えば、動物モデルは、薬理学的モデル(例えば、ケタミンモデル)及び遺伝子モデル(例えば、DISC1マウス)を含む統合失調症のための新しい治療薬の有効性を実証する。同様に、げっ歯類、イヌ、及び非ヒト霊長類を含む動物モデルは、薬理学的薬剤の副作用プロファイルを示す。動物モデルはヒトのための実験的代用物であるが、ヒトと動物との間の生理学的差異の欠陥に悩まされる可能性があり、ヒト実験、特に中枢神経系障害のための限定された予測力を有し得る。或いは、開示された組み合わせは、人の対照臨床試験において試みることができる。患者の自己報告に基づく標準的な手段は、GI不快感等の様々な副作用を評価するために当業者によって使用され得る。別の例として、客観的な生理学的スケール(例えば、EKG)が当業者によって使用され得る。統合失調症の症状を評価するために、簡易精神医学的評価スケール(BPRS)、陽性及び陰性症候群スケール(PANSS)、及び臨床全般印象(CGI)を含む一連の標準的なスケールも開発されている。典型的には、臨床試験は二重盲検であり、一方の群の患者は不活性プラセボを受け、他方の群は活性介入を受ける。
【0085】
陽性及び陰性症候群スケール(PANSS)は、統合失調症を有する患者の症状重症度を測定するために使用される医学的スケールである。この名称は、米国精神医学会によって定義される統合失調症における2つのタイプの症状、即ち、正常な機能の過剰又は歪み(例えば、幻覚及び妄想)を指す陽性症状、及び正常な機能の減少又は喪失を表す陰性症状を指す。喪失するかもしれないこれらの機能のいくつかは、通常の思考、行動、現実から幻想を語る能力、及び感情を適切に表現する能力を含む。
【0086】
PANSSは、約45~50分の比較的短い診察である。診察者は、標準化された信頼性レベルまで訓練されなければならない。患者は、診察及び家族又はプライマリケア病院の労働者の報告に基づいて、3つのカテゴリーの30の異なる症状について1~7と評価される。PANSSの第1のカテゴリーは陽性スケールであり、7項目(最小スコア=7、最大スコア=49):妄想、概念の混乱、幻覚、興奮、誇大感、不信感/迫害、及び敵意を含む。第2のカテゴリーは陰性スケールであり、7項目(最小スコア=7、最大スコア=49):感情鈍麻、感情消退、不十分な親密さ、受動的/無感情的な社会的離脱、抽象的思考の困難さ、自発性の欠如、及び会話の流れ、常同的思考を含む。第3のカテゴリーは総合精神病理スケールであり、これは16項目(最小スコア=16、最大スコア=112):心気症、不安、罪責感、緊張、衒奇症な動作と姿勢、抑うつ、運動減退、非協調性、不自然な思考内容、失見当識、注意の障害、判断力と病識の欠如、意志の障害、衝動性の調節障害、没入性、及び自主的な社会回避を含む。
【0087】
PANSS Marder因子スコアは、5つの陰性スケールと2つの総合スケールの合計である(N1. 情動の平板化;N2. 情動的引きこもり;N3. 疎通性の障害;N4. 受動的/意欲低下による社会的引きこもり;N6. 自発性の欠如;G7. 運動減退;及びG16. 自主的な社会回避)。患者が記録されたPANSS評価を有するが、いずれかの項目が欠損している場合、以前の評価から個々の項目についての最後の非欠損スコアが引き継がれる。特定の来院時に30%を超える項目が欠損している場合、各々の陽性スコアは計算されない。これは、分析で欠損データとして扱われる。
【0088】
各項目について0ではなく1が最低スコアを与えるので、患者は総PANSSスコアについて30未満をスコアすることができない。サブスコアは、陽性項目、陰性項目、及び総合精神病理について別々に与え得る。可能な最大合計スコアは210である。PANSSスケールの初版では、統合失調症の成人患者101人(20~68歳)がランク付けされた。その平均スコアは18.20の陽性スケール、21.01の陰性スケール、37.74の総合精神病理であった。これらの対象の平均総PANSSスコアは76.95であった。
【0089】
特定の実施形態では、対象の陽性及び陰性症候群スケール(PANSS)総スコアは、例えば、5週間の処置後に、プラセボよりも少なくとも10点多く低下する。特定の実施形態では、PANSS陽性サブスコアは、例えば、5週間の処置後に、プラセボよりも少なくとも3点多く低下する。特定の実施形態では、PANSS陰性サブスコアは、例えば、5週間の処置後に、プラセボよりも少なくとも2点多く低下する。
【0090】
特定の実施形態では、対象のPANSS総スコアは、例えば、5週間の処置後に、対象のベースラインと比較して少なくとも10点低下する。特定の実施形態では、PANSS陽性サブスコアは、例えば、5週間の処置後に、対象のベースラインと比較して少なくとも3点低下する。特定の実施形態では、PANSS陰性サブスコアは、例えば、5週間の処置後に、対象のベースラインと比較して少なくとも2点低下する。
【0091】
患者を評価するために使用される別のスケールは、臨床全般印象-重症度スケール(CGI-S)である。この7点スケールは、同じ診断を有する患者に関する臨床医の経験と比較して、評価時の患者の病気の重症度を臨床医が評価することを必要とする。考えられる評価は(1)正常、全く病気ではない、(2)境界型精神病、(3)軽度の病気、(4)中等度の病気、(5)顕著な病気、(6)重度の病気、及び(7)最も重度の病気の患者である。統合失調症患者では、CGI-Sの変化はより客観的なPANSSスコアと比較して一貫したパターンに従う。
【0092】
開示された組み合わせを投与する前に、患者は、1~14日間の導入期間を有してもよく、その導入期間中、塩化トロスピウムが単独で投与される。一実施形態では、塩化トロスピウムは、体内に塩化トロスピウムを蓄積するために、又は塩化トロスピウムが定常状態曝露レベルに達する若しくは近づくために、キサノメリンを投与する前に、1回以上の投与期間にわたって投与される。塩化トロスピウムのこの蓄積又はより高い曝露レベルは、脳外のムスカリン受容体の遮断を増加させ、キサノメリンが投与されたときの有害事象を減少させる。別の実施形態では、塩化トロスピウムは、キサノメリンの前に1日間以上投与される。
【0093】
開示された組み合わせを投与する前に、患者は、抗精神病薬の任意の以前の使用を中止してもよい。いくつかの実施形態では、患者は、そのような薬物を少なくとも1週間、例えば2週間中止する。いくつかの実施形態では、患者は、そのような抗精神病薬のいかなる以前の使用も中止せず、開示される組み合わせはそのような薬物と同時投与される。
【0094】
本開示はさらに、処置を必要とする患者における急性精神病を処置する方法を提供する。本方法は、キサノメリン又はその塩、及びトロスピウム塩を含む経口医薬組成物を患者に1日2回経口投与することを含む。
1. 特定の実施形態では、全1日用量が200~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40~60mgのトロスピウム塩である場合、プラセボと比較して、総PANNSスコアの少なくとも約11.6点の平均低下が達成される。特定の実施形態では、プラセボと比較したPANSS陽性サブスコアの少なくとも3点の平均低下が達成される。特定の実施形態では、プラセボと比較したPANSS陰性サブスコアの少なくとも2点の低下が達成される。特定の実施形態では、PANSSスコアの低下が約5週間以内に達成される。特定の実施形態では、経口医薬組成物を投与する前に、患者は4~7のCGI-Sスコアを有していた。
【0095】
特定の実施形態では、全1日用量が200~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40~60mgのトロスピウム塩である場合、患者のベースラインと比較した総PANSSスコアの少なくとも約11.6点の平均低下が達成される。特定の実施形態では、患者のベースラインと比較したPANSS陽性サブスコアの少なくとも3点の平均低下が達成される。特定の実施形態では、患者のベースラインと比較したPANSS陰性サブスコアの少なくとも2点の低下が達成される。
【0096】
特定の実施形態では、患者は、統合失調症の診断を有する。特定の実施形態では、患者は急性精神病を有する。特定の実施形態では、患者はアルツハイマー病に関連する精神病を有する。特定の実施形態では、患者は統合失調感情障害を有する。特定の実施形態では、患者は精神病を有する。特定の実施形態では、患者は妄想性障害を有する。特定の実施形態では、患者はパーキンソン病に関連する精神病を有する。特定の実施形態では、患者は精神病性うつ病を有する。特定の実施形態では、患者は双極性障害を有する。特定の実施形態では、患者は、精神病を伴う双極性障害を有する。特定の実施形態では、患者はハンチントン病を有する。特定の実施形態では、患者はレビー小体認知症を有する。
【0097】
特定の実施形態では、患者は以前に1つ以上の抗精神病薬を投与されていた。特定の実施形態では、患者はそのような投与に対して不十分な応答者であった。特定の実施形態では、患者は処置抵抗性であった。
【0098】
特定の実施形態では、患者は成人である。特定の実施形態では、患者は高齢者、例えば、55歳を超え、例えば、65歳を超える。特定の実施形態では、患者は認知症関連精神病を有する。
【0099】
用量漸増
特定の実施形態では、本方法は、増加した用量のトロスピウム塩及び増加した用量のキサノメリン及び/又はその塩を患者に経口投与することをさらに含み、ここで、増加した用量のトロスピウム塩は、初回用量のトロスピウム塩よりも大きく、増加した用量のキサノメリン及び/又はその塩は、初回用量のキサノメリン及び/又はその塩よりも大きい。
【0100】
処置は、より少ない用量で開始することができる。その後、治療効果と副作用との間のバランスが達成されるまで、少しずつ投与量を増加させることができる。対象が処置されている間、患者の健康は、処置期間中の所定の時間に関連指標のうちの1つ以上を測定することによって監視され得る。組成物、量、投与、及び製剤時間を含む処置は、当該モニタリングごとに調整され得る。患者は同じパラメータを測定することによって改善を決定するために、定期的に再評価され得る。投与される開示された組成物及びおそらく投与時間に対する調整は、これらの再評価に基づいて行うことができる。
【0101】
処置を必要とする患者において認知症関連精神病を処置する方法であって、キサノメリン又はその塩を含む複数のキサノメリンビーズと、トロスピウム塩を含む複数のトロスピウムビーズとを含む経口医薬組成物を、キサノメリン又はその塩及びトロスピウム塩の漸増を含む漸増スキームを介して、患者に1日2回経口投与することを含む方法を提供する。
【0102】
また、処置を必要とする患者において認知症関連精神病を処置する方法であって、キサノメリン又はその塩を含む複数のキサノメリンビーズ、及びトロスピウム塩を含む複数のトロスピウムビーズを含む経口医薬組成物を、キサノメリン又はその塩の漸増を含む漸増スキームを介して、キサノメリン遊離塩基200mgに等価な量及び塩化トロスピウム20mgに等価な量が投与されるまで、1日2回経口投与することを含む方法が提供される。
【0103】
特定の実施形態では、キサノメリン又はその塩が第1の量で第1の期間投与され、次いで、第1の量が第2の量に増加される。特定の実施形態では、キサノメリンの第1の量は、50mgのキサノメリン遊離塩基と等価である。特定の実施形態では、キサノメリン投与のための第1の期間は、1~5日間、例えば2日間である。特定の実施形態では、キサノメリンの第2の量は、100mgのキサノメリン遊離塩基と等価である。
【0104】
特定の実施形態では、本方法は、キサノメリン又はその塩を第2の量で第2の期間投与し、次いで第2の量を第3の量に増加させることをさらに含む。特定の実施形態では、キサノメリン投与の第2の期間は、3日間~1週間である。特定の実施形態では、キサノメリンの第3の量は、125mgのキサノメリン遊離塩基と等価である。
【0105】
特定の実施形態では、トロスピウム塩は第1の量で第1の期間投与され、第1の量は第2の量に増加される。特定の実施形態では、トロスピウム塩の第1の量は、20mgの塩化トロスピウムと等価である。特定の実施形態では、トロスピウム投与のための第1の期間は、少なくとも1週間である。特定の実施形態では、トロスピウム塩の第2の量は、30mgの塩化トロスピウムと等価である。
【0106】
特定の実施形態では、患者がより高い用量のキサノメリン又はその塩、及びトロスピウム塩を耐容しない場合、患者に投与されるキサノメリン又はその塩、及びトロスピウム塩の量は低下される。
【0107】
特定の実施形態では、キサノメリン又はその塩、及びトロスピウム塩は、重度の有害事象を引き起こすことなく投与される。
【0108】
特定の実施形態では、患者が55歳以上である場合、初回用量は、20mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに2mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6mgのトロスピウム塩の全1日用量である。
【0109】
特定の実施形態では、患者が55歳以上である場合、投与の第1の期間の後、初回用量は、30mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに3mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩の全1日用量に増加される。特定の実施形態では、第1の期間は、1~14日間、例えば1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、又は14日間である。特定の実施形態では、第1の期間は7日間である。
【0110】
特定の実施形態では、投与の第2の期間の後、55歳以上の患者が増加した用量を耐容する場合、及び患者が適切な応答を有している場合、増加した用量は、40mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに4mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩の全1日用量にさらに増加される。特定の実施形態では、第2の期間は、全7~21日間、例えば全7日間、全8日間、全9日間、全10日間、全11日間、全12日間、全13日間、全14日間、全15日間、全16日間、全17日間、全18日間、全19日間、全20日間及び全21日間である。特定の実施形態では、第2の期間は、全14日間である。特定の実施形態では、患者が増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は初回用量である。
【0111】
特定の実施形態では、投与の約全21日後、55歳以上である患者がさらなる増加した用量を耐容する場合、及び患者が適切な応答を有している場合、さらなる増加した用量は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩の全1日用量に再び増加される。特定の実施形態では、第3の期間は、全14~28日間、例えば、全14日間、全15日間、全16日間、全17日間、全18日間、全19日間、全20日間、全21日間、全22日間、全23日間、全24日間、全25日間、全26日間、全27日間、及び全28日間である。特定の実施形態では、第3の期間は全21日間である。特定の実施形態では、患者がさらなる増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は増加した用量である。
【0112】
特定の実施形態では、第4の期間の後、55歳以上の患者が再び増加した用量を耐容する場合、及び患者が適切な応答を有している場合、再び増加した用量を、66.7mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6.67mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩の全1日用量に増加させる。特定の実施形態では、第4の期間は全21~35日間、例えば、全21日間、全22日間、全23日間、全24日間、全25日間、全26日間、全27日間、全28日間、全29日間、全30日間、全31日間、全32日間、全33日間、全34日間、及び全35日間である。特定の実施形態では、第4の期間は全28日間である。特定の実施形態では、患者が再び増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量はさらなる増加した用量である。
【0113】
特定の実施形態では、患者が55歳未満である場合、初回用量は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩の2回の用量として投与される100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩の全1日用量である。特定の実施形態では、第1の期間の後、初回用量を、100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩の2回の用量として投与される200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩の全1日用量に増加させる。特定の実施形態では、第1の期間は、1~7日間、例えば1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、又は7日間である。特定の実施形態では、第1の期間は1日間又は2日間である。
【0114】
特定の実施形態では、第2の期間の後、55歳未満の患者が増加した用量を耐容する場合、及び患者が適切な応答を有していた場合、増加した用量を、125mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに/又は30mgのトロスピウム塩の2回の用量として投与される250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに60mgのトロスピウム塩の全1日用量にさらに増加させる。特定の実施形態では、第2の期間は、全3~14日間、例えば全3日間、全4日間、全5日間、全6日間、全7日間、全8日間、全9日間、全10日間、全11日間、全12日間、全13日間、又は全14日間である。特定の実施形態では、第2の期間は全3~7日間である。特定の実施形態では、患者が増加した用量を耐容しない場合、最適化された用量は初回用量である。
【0115】
「全日数」は、初回用量からの投与期間を指す。従って、第1の期間は、第2の期間のサブセットである。第2の期間は、第3の期間のサブセットである。また第3の期間は、第4の期間のサブセットである。
【0116】
特定の実施形態では、全1日用量は
25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩、
50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩、
50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6mgのトロスピウム塩、
75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、
75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩、
100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに17.5mgのトロスピウム塩、
100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
175mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩、
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩、並びに
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩
から選択される。
【0117】
特定の実施形態では、全1日用量は
60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6mgのトロスピウム塩、
90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩、
120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩、
150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩、並びに
200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩
から選択される。
【0118】
特定の実施形態では、全1日用量は、25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩である。
【0119】
特定の実施形態では、全1日用量は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩である。
【0120】
特定の実施形態では、全1日用量は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩である。
【0121】
特定の実施形態では、全1日用量は、75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩である。
【0122】
特定の実施形態では、全1日用量は、75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩である。
【0123】
特定の実施形態では、全1日用量は、100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに17.5mgのトロスピウム塩である。
【0124】
特定の実施形態では、全1日用量は、100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩である。
【0125】
特定の実施形態では、全1日用量は、100mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩である。
【0126】
特定の実施形態では、全1日用量は、150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩である。
【0127】
特定の実施形態では、全1日用量は、150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩である。
【0128】
特定の実施形態では、全1日用量は、150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩である。
【0129】
特定の実施形態では、全1日用量は、175mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩である。
【0130】
特定の実施形態では、全1日用量は、175mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩である。
【0131】
特定の実施形態では、全1日用量は、200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに30mgのトロスピウム塩である。
【0132】
特定の実施形態では、全1日用量は、200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40mgのトロスピウム塩である。
【0133】
一実施形態では、キサノメリン及び塩化トロスピウムは、24時間の間に患者に6回投与される。別の実施形態では、キサノメリン及び塩化トロスピウムは、24時間の間に患者に5回投与される。別の実施形態では、キサノメリン及び塩化トロスピウムは、24時間の間に患者に4回投与される。一実施形態では、キサノメリン及び塩化トロスピウムは、24時間の間に患者に3回投与される。別の実施形態では、キサノメリン及び塩化トロスピウムは、24時間の間に患者に2回投与される。別の実施形態では、キサノメリン及び塩化トロスピウムは、24時間の間に患者に1回投与される。
【0134】
特定の実施形態では、投与は、25mgのキサノメリン及び/又はその塩と、5mgのトロスピウム塩の1日2回の投与スケジュール含む。
【0135】
特定の実施形態では、投与は、25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩の1日3回の投与スケジュールを含む。
【0136】
特定の実施形態では、投与は、25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩の1日2回、並びに50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに7.5mgのトロスピウム塩の1日1回の投与スケジュールを含む。
【0137】
特定の実施形態では、投与は、25mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日2回の投与スケジュール含む。
【0138】
特定の実施形態では、投与は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに7.5mgのトロスピウム塩の1日2回、並びに50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5mgのトロスピウム塩の1日1回の投与スケジュールを含む。
【0139】
特定の実施形態では、投与は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日2回の投与スケジュールを含む。
【0140】
特定の実施形態では、投与は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日3回の投与スケジュールを含む。
【0141】
特定の実施形態では、投与は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日2回、並びに75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日1回の投与スケジュールを含む。
【0142】
特定の実施形態では、投与は、75mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日2回、並びに50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに10mgのトロスピウム塩の1日1回の投与スケジュールを含む。
【0143】
特定の実施形態では、低用量は、BIDではなく分割TIDである。BIDは、1カプセル当たり10mgのトロスピウムの最小量で、トロスピウム用量を可能な限り低く維持する。特定の実施形態では、50/5mg又は50/7.5mgのキサノメリン/トロスピウムの開始用量は分割TIDであり、従って、個々の用量は17/2.5mgのキサノメリン/トロスピウムである。
【0144】
一実施形態において、塩化トロスピウムの延長放出製剤は、キサノメリンと組み合わせて使用される。別の実施形態では、塩化トロスピウムの延長放出は、24時間の間に1回~5回、患者に投与される。一実施形態では、塩化トロスピウムの延長放出は、24時間の間に1~3回投与される。別の実施形態では、5ミリグラム~400ミリグラムの塩化トロスピウム延長放出が24時間の間に使用される。一実施形態では、20ミリグラム~200ミリグラムの塩化トロスピウム延長放出が24時間の間に使用される。
【0145】
一実施形態では、225mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムが24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、100mgのキサノメリン及び20mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、125mgのキサノメリン及び20mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、125mgのキサノメリン及び30mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、125mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、200mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、200mgのキサノメリン及び80mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、250mgのキサノメリン及び60mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、250mgのキサノメリン及び80mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、300mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、300mgのキサノメリン及び60mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、300mgのキサノメリン及び80mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、350mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、350mgのキサノメリン及び60mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。別の実施形態では、350mgのキサノメリン及び80mgの塩化トロスピウムが、24時間の期間で患者に投与される。
【0146】
特定の実施形態では、全1日用量は60~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6~30mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、全1日用量は、120~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12~20mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、全1日用量は、20mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに2.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される60mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩である。特定の実施形態では、全1日用量は、30mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに3.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される90mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに9mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、全1日用量は、40mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに4.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される120mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに12mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、全1日用量は、50mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5.0mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される150mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに15mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、全1日用量は、66.7mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに6.67mgのトロスピウム塩の3回の用量として投与される200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに20mgのトロスピウム塩である。
【0147】
特定の実施形態では、トロスピウム塩の1日用量を減少させることは、キサノメリン及び/又はその塩の全体的な耐容性を改善する。
【0148】
無作為化中止及び再発リスクの低下
本開示は、認知症関連精神病を有する患者において再発のリスクを低下させる方法であって、25~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~60mgのトロスピウム塩の全1日用量を患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態では、患者が55歳以上である場合、全1日用量は、25~200mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに5~30mgのトロスピウム塩である。特定の実施形態では、患者が55歳未満である場合、全1日用量は、100~250mgのキサノメリン及び/又はその塩、並びに40~60mgのトロスピウム塩である。
【0149】
特定の実施形態では、患者は精神病を有し、例えば、NPI-C H+Dの少なくとも30%の低減及びCGI-Iの改善、例えば、少なくとも40%の低減、又は少なくとも50%の低減として定義される臨床的に意味のある治療的利益を目的として、キサノメリン及びトロスピウムで処置される。改善した患者のために、キサノメリン及びトロスピウムを継続する。この実施形態では、処置は再発を防止し、症状の発症を防止するのではなく、患者に維持療法を提供する;これらの患者は開示された方法を用いて初期回復を経験し、次いで、プラセボを服用している同じ患者と比較して、キサノメリン及びトロスピウムの継続的な使用によって治療効果を維持する。
【0150】
特定の実施形態では、再発は、投与前と比較して、投与の12週間以上での、神経精神医学的インベントリー臨床医幻覚及び妄想(NPI-C H+D)スコアの少なくとも40%の増加、及び臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアの6又は7によって示される。特定の実施形態では、再発は、投与前と比較して、投与の12週間以上での、神経精神医学的インベントリー臨床医(NPI-C)コアスコアの少なくとも40%の増加、及び臨床全般印象-改善(CGI-I)スコアの6又は7によって示される。特定の実施形態では、再発は、投与中の認知症関連妄想又は幻覚のためのキサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩以外の抗精神病薬による処置によって示される。特定の実施形態では、再発は、キサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩の投与を中止する患者によって示される。特定の実施形態では、再発は、有効性の欠如によるキサノメリン及び/又はその塩、並びにトロスピウム塩の投与の中止によって示される。特定の実施形態では、再発は、投与中の精神病、激越、又は攻撃症状の悪化のために入院した患者によって示される。
【0151】
特定の実施形態では、前記投与は、患者のNPI-Cコアスコアの改善をもたらす。特定の実施形態では、前記投与は、患者のコーエン・マンスフィールド激越評価票(Cohen-Mansfield Agitation Inventory)(CMAI)総スコアの改善をもたらす。
【0152】
特定の実施形態では、前記投与は、精神病、激越、及び攻撃性に関連するNPI-C精神病スコア、NPI-C激越スコア、NPI-C攻撃スコア、NPI-C総スコア、臨床全般印象-重症度(CGI-S)スケールスコア、又は精神病、激越、及び攻撃性に関連するCGI-Iスケールスコアの改善をもたらす。特定の実施形態では、NPI精神病スコアは、幻覚及び妄想ドメインスコアの合計を含む。
【0153】
特定の実施形態では、前記投与は、NPI-Cコアスコアの改善をもたらす。
【0154】
特定の実施形態では、投与前に、患者はアルツハイマー病の可能性があるか、又はおそらくアルツハイマー病であることの臨床基準を満たす。
【0155】
特定の実施形態では、投与前に、患者は国際老年精神医学会(International Psychogeriatric Association)基準を満たす精神病症状の病歴を有する。
【0156】
特定の実施形態では、投与前に、患者は、スコア又は少なくとも4を有する臨床全般印象-重症度スケールを有する。
【0157】
特定の実施形態では、投与前に、患者は、8項目のうちの2つで少なくとも2のNPI-C妄想ドメインスコアとして定義される中等度から重度の妄想、及びNPI激越/攻撃ドメインスコア又は少なくとも4を有するアルツハイマー型認知症を有する。
【0158】
特定の実施形態では、投与前に、患者は8~22のミニメンタルステート検査スコアを有する。
【0159】
特定の実施形態では、投与前に、患者は認知症を引き起こすアルツハイマー病以外の状態に主に起因する精神病症状を有さない。
【0160】
本明細書に記載される各々及び全ての方法、組成物、又は使用は、場合により、認知症関連精神病がアルツハイマー病に関連する精神病、パーキンソン病に関連する精神病、精神病性うつ病、双極性障害、精神病を伴う双極性障害ではないという制限も含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、処置は、臨床試験の設定の外で行われる。
【0162】
医薬組成物
本明細書で提供されるものは、キサノメリン又はその塩と、場合により第1のコーティングとを含む複数のキサノメリンビーズと;トロスピウム塩と、場合により第2のコーティングとを含む複数のトロスピウムビーズとを含む経口医薬組成物である。特定の実施形態では、トロスピウム塩は、塩化トロスピウム、臭化トロスピウム、ヨウ化トロスピウム、及びサッカリン酸トロスピウムから選択される。いくつかの実施形態では、第1のコーティングは、第2のコーティングと同じ組成を有する。
【0163】
特定の実施態様において、経口医薬組成物は、キサノメリン又はその塩を含む複数のキサノメリンビーズを含む。特定の実施形態では、経口医薬組成物は、トロスピウム塩を含む複数のトロスピウムビーズを含む。
【0164】
特定の実施形態では、複数のキサノメリンビーズは、キサノメリン又はその塩を含むコアと、場合により第1のコーティングとを有する。特定の実施形態では、複数のトロスピウムビーズは、トロスピウム塩を含むコアと、場合により第2のコーティングとを有する。
【0165】
特定の実施形態では、酒石酸キサノメリン又は塩化トロスピウムを含む薬物ビーズの別個の集団を含むヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むカプセルシェル、ここで薬物ビーズは同等のサイズであり、活性物質を急速且つ実質的に同様の速度で放出する。胃内でのカプセルシェルの溶解に続いて、薬物ビーズは、胃内で溶解し、又は幽門弁を通って無傷で又は部分的に無傷で十二指腸に入ることができるが、溶解形態及び非溶解形態の両方の2つの薬物の比率は、薬物が吸収されるまで、胃腸管内で比較的一定のままである。
【0166】
各薬物ビーズのための製剤は、活性物質が実質的に同様の速度で血清中に放出され、又は実質的に同様のTmaxを達成する、異なる用量範囲での2つの活性物質からの実質的に同様のパフォーマンスを可能にする。特定の実施形態では、カプセルは酒石酸塩として50mgのキサノメリン及び10mgの塩化トロスピウムを含む。遊離塩基としての50mgのキサノメリンは、約76mgの酒石酸キサノメリンに相当する。
【0167】
カプセル中の薬物ビーズの数の不一致は、ビーズが放出され、分散した後に、薬物ビーズの比率が実質的に一定のままではない確率を増加させる。従って、特定の実施形態では、トロスピウムビーズは、より低い薬物負荷で処方される。トロスピウム及びキサノメリンの有効用量はほぼ同数のビーズに含まれる。特定の実施形態では、薬物負荷の差にもかかわらず、トロスピウムビーズ及びキサノメリンビーズは、ほぼ同様の速度で放出する。例えば、米国薬局方(United States Pharmacopeia)(USP)溶解装置を用いてカプセルの溶解を評価する場合、溶解したキサノメリンのパーセンテージは、溶解した塩化トロスピウムのパーセンテージと実質的に同等であり、例えば10分、20分、又は30分である。
【0168】
特定の実施形態では、経口医薬組成物はカプセルであり、該カプセルは、複数のキサノメリンビーズ(前記複数のキサノメリンビーズの各々は、50重量%~90重量%の酒石酸キサノメリン、15重量%~65重量%の微結晶セルロース、及び0重量%~1重量%のアスコルビン酸を含むコアと、場合により0重量%~2重量%のタルクを含む第1のコーティングとを有し、前記複数のキサノメリンビーズの各々は、0.6mm~0.85mmのサイズを有する)と;複数のトロスピウムビーズ(前記複数のトロスピウムビーズの各々は、8重量%~35重量%の塩化トロスピウム、45重量%~50重量%の微結晶セルロース、及び35重量%~40重量%の乳糖一水和物を含むコアと、場合により0重量%~2重量%のタルクを含む第2のコーティングとを有し、前記複数のトロスピウムビーズの各々は、0.6mm~0.85mmのサイズを有する)とを含み;複数のキサノメリンビーズ及び複数のトロスピウムビーズは、各々、水溶液へのカプセルの進入後、ほぼ最初の20分以内に約95%を超える溶解速度を有する。
【0169】
特定の実施形態では、キサノメリンビーズの各々は、66重量%の酒石酸キサノメリン、33重量%の微結晶セルロース、0.5重量%のアスコルビン酸、及び0.5重量%のタルクを含む。
【0170】
特定の実施形態では、複数のトロスピウムビーズは、4重量%~7重量%の塩化トロスピウム、45重量%~60重量%の微結晶セルロース、及び35重量%~50重量%の乳糖一水和物を含むコアと、場合により0重量%~2重量%のタルクを含む第2のコーティングとを有する。
【0171】
特定の実施形態では、トロスピウムビーズの各々は、17.7重量%の塩化トロスピウム、46.8重量%の微結晶セルロース、35重量%の乳糖一水和物、及び0.5重量%のタルクを含む。
【0172】
特定の実施形態では、トロスピウムビーズの各々は、4.4重量%の塩化トロスピウム、54.5重量%の微結晶セルロース、40.6重量%の乳糖一水和物、及び0.5重量%のタルクを含む。特定の実施形態では、トロスピウムビーズの各々は、4.4重量%の塩化トロスピウム、54.5重量%の微結晶セルロース、及び40.6重量%の乳糖一水和物を含むコア、及び場合により0.5重量%のタルクを含むコーティングを含む。
【0173】
特定の実施形態では、カプセルは、経口医薬組成物を含み、ここで前記複数のキサノメリンビーズの各々は、66重量%の酒石酸キサノメリン、33重量%の微結晶セルロース、0.5重量%のアスコルビン酸を含むコア、及び0.5重量%のタルクを含むコーティングを有し;前記複数のトロスピウムビーズの各々は、17.7重量%の塩化トロスピウム、46.8重量%の微結晶セルロース、35重量%の乳糖一水和物を含むコア、及び0.5重量%のタルクを含むコーティングを有する。
【0174】
医薬はまた、1つ以上の薬学的に許容され得る塩を含んでもよい。薬剤は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体を含み得る。薬剤は、経口的に投与することができる。薬剤は、錠剤、トローチ、液体、エマルジョン、懸濁液、ドロップ、カプセル、カプレット又はゲルカップ、及び当業者に公知の他の経口投与方法を使用して、経口的に送達され得る。
【0175】
薬剤は、薬物を直ちに放出する剤形であってもよい。代替的な実施形態では、薬剤は、制御放出剤形を有してもよい。
【0176】
薬剤は、当業者に公知の他の制御放出製剤を使用する剤形であってもよい。
【0177】
別の実施形態では、薬剤は、精神療法及び薬物を含む1つ以上の治療法と組み合わされる。治療剤には、抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、鎮静薬、精神安定薬、鎮痛薬、及び当業者に公知の他の薬理学的介入が含まれるが、これらに限定されない。治療剤は、1つを超える薬物のカテゴリーに分類され得る。例えば、ベンゾジアゼピンは、抗不安薬、鎮静薬及び精神安定薬と考えることができる。
【0178】
ビーズ/コア賦形剤
ビーズ又はコアは、1つ以上の賦形剤を含むことができる。一実施形態では、賦形剤は、1つ以上の充填剤、結合剤、及び界面活性剤を含む。他の任意の成分としては、流動化剤、滑沢剤、崩壊剤、膨潤剤、及び抗酸化剤が挙げられるがこれらに限定されない。キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩及びトロスピウムの塩は、同じ薬剤内の別々のマトリックス中にあってもよい。
【0179】
コア中のキサノメリン遊離塩基の量は、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%であり得る。例えば、酒石酸キサノメリンの量は、約60重量%~約90重量%又は約65重量%~約85重量%の範囲で、コアの少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%であり得る。エンドポイントとしてこれらの値を含む全ての範囲、例えば、少なくとも約15重量%~約90重量%、約20重量%~約85重量%、約30重量%~約85重量%、又は約50重量%~約90重量%が企図されることが理解される。特定の実施形態では、キサノメリンビーズは、30重量%~80重量%の酒石酸キサノメリン、例えば、66重量%の酒石酸キサノメリンを含む。
【0180】
コア中のトロスピウム塩の量は、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも25重量%、又は少なくとも30重量%であり得る。例えば、塩化トロスピウムの量は、約60重量%~約90重量%又は約65重量%~約85重量%の範囲で、コアの少なくとも50重量%、又は少なくとも55重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも65重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%であり得る。エンドポイントとしてこれらの値を含む全ての範囲、例えば、少なくとも約15重量%~約90重量%、約20重量%~約85重量%、約30重量%~約85重量%、又は約50重量%~約90重量%が企図されることが理解される。特定の実施形態では、トロスピウムは、塩化トロスピウムである。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは、8重量%~35重量%の塩化トロスピウム、例えば17.7重量%の塩化トロスピウムを含む。
【0181】
さらなる実施形態において、マトリックスは、例えば、マトリックス中の活性物質の放出プロファイルを改変するために、ポリマーを含む。さらなる実施形態において、ポリマーは、水溶性ポリマーを含む。さらなる実施形態では、水溶性ポリマーは、Eudragit(商標)RL、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される。さらなる実施形態では、ポリマーは、水不溶性ポリマーを含む。さらなる実施形態では、水不溶性ポリマーは、Eudragit(登録商標)RS、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)低密度、ポリ(エチレン)高密度、ポリ(プロピレン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、及びそれらの混合物から選択される。
【0182】
充填剤としては、ラクトース、サッカロース、グルコース、デンプン、微結晶セルロース、微細セルロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸水素カルシウム、ケイ酸アルミニウム、非晶質シリカ、及び塩化ナトリウム、デンプン、及び二塩基性リン酸カルシウム二水和物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、充填剤は、水溶性ではないが、水を吸収することができる。一実施形態では、充填剤は、球状化助剤である。球状化助剤は、クロスポビドン、カラゲナン、キトサン、ペクチン酸、グリセリド、β-シクロデキストリン(β-CD)、セルロース誘導体、微結晶セルロース、粉末セルロース、ポリプラスドンクロスポビドン、及びポリエチレンオキシドのうちの1つ以上を含むことができる。一実施形態では、充填剤は、微結晶セルロースを含む。
【0183】
キサノメリンコア中の充填剤の量は、特に限定されない。実施形態において、充填剤(例えば、微結晶セルロース)の量は、約10重量%~約70重量%、若しくは約16重量%~約23重量%の範囲、又は少なくとも19重量%又は少なくとも19.5重量%、例えば、約20重量%であり得る。特定の実施形態では、キサノメリンビーズは、約15重量%~約65重量%、例えば、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約30重量%、約30重量%~約35重量%、約35重量%~約40重量%、約40重量%~約45重量%、約45重量%~約50重量%、約50重量%~約55重量%、約55重量%~約60重量%、又は約60重量%~約65重量%の微結晶セルロースを含む。特定の実施形態では、キサノメリンビーズは、33.5重量%の微結晶セルロースを含む。
【0184】
トロスピウムコア中の充填剤の量は、特に限定されない。実施形態において、充填剤(例えば、微結晶セルロース又はラクトース)の量は、約10重量%~約80重量%、若しくは約16重量%~約23重量%の範囲、又は少なくとも19重量%又は少なくとも19.5重量%、例えば、約20重量%であり得る。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは、25重量%~80重量%、例えば、約25重量%~30重量%、約30重量%~35重量%、約35重量%~40重量%、約40重量%~45重量%、約45重量%~50重量%、約50重量%~55重量%、約55重量%~60重量%、約60重量%~65重量%、約65重量%~70重量%、約70重量%~75重量%、又は約75重量%~80重量%の微結晶セルロースを含む。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは、46.8重量%の微結晶セルロースを含む。
【0185】
特定の実施形態では、トロスピウムビーズは、15重量%~70重量%、例えば約15重量%~20重量%、約20重量%~25重量%、約25重量%~30重量%、約30重量%~35重量%、約35重量%~40重量%、約40重量%~45重量%、約45重量%~50重量%、約50重量%~55重量%、約55重量%~60重量%、約60重量%~65重量%、又は約65重量%~70重量%の乳糖一水和物を含む。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは、35重量%の乳糖一水和物を含む。
【0186】
結合剤には、セルロースエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、例えば、ヒプロメロース2910、Methocel(商標)E)、カルボキシメチルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、アカシア、トラガカント、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、微結晶セルロース、及び低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロースが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、結合剤は、湿式結合剤から選択される。一実施形態では、結合剤は、セルロースエーテル、例えばヒプロメロースから選択される。
【0187】
キサノメリンコア中の結合剤の量は、特に限定されない。実施形態において、結合剤(例えば、ヒプロメロース)の量は、約1重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、又は約4重量%~約6重量%、例えば約5重量%であり得る。
【0188】
トロスピウムコア中の結合剤の量は、特に限定されない。実施形態において、結合剤(例えば、ヒプロメロース)の量は、約1重量%~約10重量%、約2重量%~約8重量%、又は約4重量%~約6重量%、例えば、約5重量%であり得る。
【0189】
界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムを含むアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンエーテル及びポリソルベート80を含む非イオン性界面活性剤、並びに第4級アンモニウム化合物を含むカチオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムから選択される。
【0190】
キサノメリンコア中の、例えば加工助剤としての界面活性剤の量は、特に限定されない。実施形態において、界面活性剤(例えば、微結晶セルロース)の量は、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、又は約0.4重量%~約0.6重量%の範囲、例えば約0.5重量%であり得る。
【0191】
トロスピウムコア中の、例えば加工助剤としての界面活性剤の量は、特に限定されない。実施形態において、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)の量は、約0.1重量%~約1重量%、約0.2重量%~約0.8重量%、又は約0.4重量%~約0.6重量%の範囲、例えば約0.5重量%であり得る。
【0192】
崩壊剤としては、デンプン、ナトリウム架橋カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、架橋ポリビニルピロリドン、及びデンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
流動化剤としては、様々な分子量のポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ヒュームド二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸、パルミチン酸、セタノール、ステアロール、及びタルクが挙げられるが、これらに限定されない。
【0194】
滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、及びシリコーン処理タルクが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、キサノメリンビーズは0重量%~2重量%のタルク、例えば0.5重量%のタルクを含む。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは0重量%~2重量%のタルク、例えば0.5重量%のタルクを含む。
【0195】
特定の実施形態では、製剤は、1つ以上の抗酸化剤をさらに含む。薬学的に許容され得る抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤;(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール等の油溶性抗酸化剤;及び(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等の金属キレート剤が挙げられる。特定の実施形態では、製剤は、1重量%未満、例えば、0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.09重量%、0.08重量%、0.07重量%、0.06重量%、0.05重量%、0.04重量%、0.03重量%、0.02重量%、又は0.01重量%の抗酸化剤を含む。
【0196】
特定の実施形態では、経口医薬組成物は、アスコルビン酸をさらに含む。特定の実施形態では、経口医薬組成物は、0.2重量%~1重量%のアスコルビン酸を含む。特定の実施形態では、経口医薬組成物は、約0.5重量%のアスコルビン酸を含む。特定の実施形態では、経口医薬組成物は、ブチル化ヒドロキシトルエンをさらに含む。特定の実施形態では、経口医薬組成物は、0.01重量%~0.1重量%のブチル化ヒドロキシトルエンを含む。特定の実施形態では、経口医薬組成物は、約0.05重量%のブチル化ヒドロキシトルエンを含む。特定の実施形態では、製剤は、約0.05重量%のBHT又は0.5重量%のアスコルビン酸を含む。特定の実施形態では、抗酸化剤は、キサノメリンコア又はキサノメリンビーズ中に存在する。
【0197】
特定の実施形態では、キサノメリンビーズは30重量%~80重量%の酒石酸キサノメリン、15重量%~65重量%の微結晶セルロース、及び0重量%~2重量%のタルクを含む。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは0.2重量%~2重量%のタルク、例えば0.5重量%のタルクを含む。特定の実施形態では、トロスピウムビーズは8重量%~35重量%の塩化トロスピウム、25重量%~80重量%の微結晶セルロース、15重量%~70重量%の乳糖一水和物、及び0.2重量%~2重量%のタルクを含む。
【0198】
特定の実施形態では、酒石酸キサノメリン薬物ビーズは、66重量%の酒石酸キサノメリン、33~34重量%の微結晶セルロース、及び0.5重量%のタルクを含む。特定の実施形態では、塩化トロスピウムビーズは、17.7重量%の塩化トロスピウム、46.8重量%の微結晶セルロース、35重量%の乳糖一水和物、及び0.5重量%のタルクを含む。この例では、酒石酸キサノメリンビーズは、塩化トロスピウムビーズに塩化トロスピウムが含まれている場合の少なくとも約2.5倍の量のキサノメリンを含んでいる。
【0199】
投与要件に応じて、カプセルは、異なる量の酒石酸キサノメリン及び塩化トロスピウムビーズを用いて調製することができる。種々の実施形態において、カプセルは、25mgのキサノメリン及び10mgの塩化トロスピウム、50mgのキサノメリン及び10mgの塩化トロスピウム、50mgのキサノメリン及び20mgの塩化トロスピウム、75mgのキサノメリン及び10mgの塩化トロスピウム、75mgのキサノメリン及び20mgの塩化トロスピウム、125mgのキサノメリン及び30mgの塩化トロスピウム、又は125mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、酒石酸キサノメリンとして25mgのキサノメリン、及び10mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施態様では、カプセルは、酒石酸キサノメリンとして50mgのキサノメリン、及び10mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施態様では、カプセルは、酒石酸キサノメリンとして50mgのキサノメリン、及び20mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施態様では、カプセルは、酒石酸キサノメリンとして75mgのキサノメリン、及び10mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施態様では、カプセルは、酒石酸キサノメリンとして75mgのキサノメリン、及び20mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、酒石酸キサノメリンとして125mgのキサノメリン、及び20mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施態様において、カプセルは、酒石酸キサノメリンとしての125mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、150mgのキサノメリン及び20mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、150mgのキサノメリン及び30mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、150mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、175mgのキサノメリン及び20mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、175mgのキサノメリン及び30mgの塩化トロスピウムを含む。特定の実施形態では、カプセルは、175mgのキサノメリン及び40mgの塩化トロスピウムを含む。
【0200】
別の実施形態では、薬剤は、5ミリグラム~700ミリグラムのキサノメリンを含む。一実施形態によれば、薬剤は、25ミリグラム~300ミリグラムのキサノメリンを含む。
【0201】
別の実施形態では、薬剤は、1ミリグラム~400ミリグラムの塩化トロスピウムを含む。一実施形態では、薬剤は、6.5ミリグラム~200ミリグラムの塩化トロスピウムを含む。
【0202】
一実施形態では、塩化トロスピウム延長放出が、薬剤中の塩化トロスピウムとして使用される。別の実施形態では、薬剤は、1ミリグラム~400ミリグラムの塩化トロスピウム延長放出を含む。一実施形態では、薬剤は、6.5ミリグラム~200ミリグラムの塩化トロスピウム延長放出を含む。
【0203】
一実施形態では、薬剤は、75mg又は225mgのキサノメリンを含み、この同じ薬剤は、20mg又は40mgの塩化トロスピウムを含む。別の実施形態では、薬剤は、75mg又は225mgのキサノメリンを含み、同時投与される異なる薬剤は、20mg又は40mgの塩化トロスピウムを含む。
【0204】
この55歳以上の患者集団では、<40mgの塩化トロスピウムの用量が、より高い用量よりも良好に機能することが観察されている。特定の実施形態では、塩化トロスピウムの用量は、<30m、例えば<20mgである。トロスピウム用量は、それを必要とする患者に、少なくとも200mgのキサノメリンと同時投与される。この関係は、キサノメリンとトロスピウム間の比として表すこともでき、5:1キサノメリン/トロスピウムの比(統合失調症を有する患者におけるEMERGENT-1試験で用いられている)は、6:1キサノメリン/トロスピウム又は7.5:1キサノメリン/トロスピウムの比がより良好に耐容した高齢者において望ましくない耐容性をもたらした。特定の実施形態では、キサノメリンとトロスピウムの比は、5:1を超え、例えば6:1を超え、7.5:1を超え、又は10:1を超える。特定の実施では、キサノメリンとトロスピウムの比は、10:1である。
【0205】
ビーズコーティング
他の実施形態では、ビーズは、審美性、取り扱い、又は安定性等の機能性又は非機能性コーティングでコーティングされてもよい。特定の実施形態では、ビーズは、胃の低pHで溶解しないように、pH感受性コーティングでコーティングされてもよい。非機能性コーティングは、ビーズ間の化学的分離を維持するために、又は審美上の理由のために使用され得る。
【0206】
特定の実施形態では、ビーズは、例えば、流動性及び混合を助けるタルクのコーティングを含む。一般に、ビーズは、0重量%~2重量%のタルク、例えば、0重量%~0.5重量%のタルク、0.4重量%~0.6重量%のタルク、0.5重量%~1重量%のタルク、1重量%~1.5重量%のタルク、又は1.5重量%~2重量%のタルクのコーティングを含む。特定の実施形態では、ビーズは、(ビーズの総重量に対して)0.5重量%のタルクのコーティングを含む。特定の実施形態では、第1のコーティングは、タルクを含む。特定の実施形態では、第2のコーティングは、タルクを含む。さらなる実施形態では、制御放出製剤は、半透過性コーティングを含む。キサノメリン及び塩化トロスピウムは、同じ製剤中で異なるコーティング中に存在してもよい。キサノメリン及び塩化トロスピウムは、別の実施形態では、異なる製剤又は投与ビヒクル中で異なるコーティング中に存在してもよい。さらなる実施形態では、半透過性コーティングは、ポリマーを含む。さらなる実施形態では、制御放出製剤は、キサノメリン及び塩化トロスピウムを懸濁するマトリックスを含む。
【0207】
特定の実施形態では、コーティング厚さの分布は、コーティングされたビーズの総重量に基づくコーティング材料の重量増加で記載することができる。従って、一実施形態では、コーティング厚さの分布は、コーティングされたビーズの総重量に基づいて少なくとも2%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも3%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも4%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも5%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも6%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも7%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも8%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも9%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも10%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも11%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも12%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも13%である。別の実施形態では、コーティング厚さの分布は、少なくとも14%である。
【0208】
例えば、ビーズ間のコーティング厚さの差は、コーティングされたビーズの総重量に基づいて+/-1~7%の範囲であり得る。コーティング厚さの分布は、コーティングされたビーズの重量に基づいて、約2%~約14%、例えば、約3%~約13%、約4%~約12%、約5%~約11%、約6%~約10%、約7%~9%、約3%~14%、約4%~14%、約4%~13%、又は4%~約12%であってもよい。
【0209】
一実施形態では、経口投与された場合の剤形の吸収(曲線下面積、AUC)は、キサノメリン又は塩化トロスピウムの他の剤形と比較して有利に増加する。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、吸収の増加は、擬似延長放出プロファイルを示す剤形によって影響される。擬似延長放出プロファイルは、存在する場合のコーティング厚さの分布、ビーズ粒子サイズの分布、及び不規則なビーズ形状を有するビーズを含む、1つ以上の因子によって影響される。例えば、ビーズがコーティング厚さの分布を有する実施形態では、比較的薄いコーティングを有するビーズについては、コーティングがトリガーpHで比較的急速に完全に溶解して、キサノメリン及び/又は塩化トロスピウム組成物を放出し、一方、比較的厚いコーティングを有するビーズについては、コーティングがキサノメリン及び/又は塩化トロスピウム組成物を完全に溶解及び放出するのにいくらか長い時間を要する。ビーズが粒子サイズの分布及び/又は不規則なビーズ形状を有する実施形態では、ビーズの消化管通過時間は、ビーズのサイズ及び/又は形状によって変化し、それによりコーティング溶解pHに達するまでの通過時間が変化し、従って擬似延長放出プロファイルに寄与することができる。別の実施形態では、剤形は、カプセルシェル内で経口投与された場合、又はカプセルシェルなしで投与された場合、実質的に同等の(例えば、生物学的同等の)Cmax及び/又はAUC特性を示す。
【0210】
特定の実施形態では、剤形は、漸進的且つ予測可能な吸収曲線を提供する。一実施形態では、経口投与される場合の剤形のTmaxは、ビーズが個々にコーティングされるため、用量対用量ベースでより安定である。予測可能で一貫したTmaxは、より一貫した持続的な治療効果を達成するのに有利である。例えば、コーティングの厚さにおけるプロセス関連の変動又はコーティングの溶解に対する他の影響は、剤形中のキサノメリン及び塩化トロスピウムの一部のみに影響を及ぼす。それらは、疑似延長放出挙動をもたらす傾向がある。対照的に、キサノメリン及び塩化トロスピウムミクロスフェアを含むコーティングされたカプセルは、カプセルごとの吸収時間に有意な変動性を示す。
【0211】
特定の実施形態では、経口医薬組成物は、ムスカリン性障害の処置を必要とする患者におけるムスカリン性障害を処置するためのキサノメリン及び/又はその塩並びに塩化トロスピウムを含み、該組成物は、それを必要とする患者に投与される場合、2時間のキサノメリンの中央値Tmax及び1時間のトロスピウムの中央値Tmaxを含むインビボ血漿プロファイルを提供するのに十分である。特定の実施形態では、インビボ血漿プロファイルは、48.5~121.3pg/mL/mgの平均用量正規化Cmaxをさらに含む。特定の実施形態では、インビボ血漿プロファイルは、156~375pg/mL/mgのトロスピウムの平均用量正規化Cmaxをさらに含む。特定の実施形態では、インビボ血漿プロファイルは、263~577時間pg/mL/mgのキサノメリンの平均用量正規化AUC0-12をさらに含む。特定の実施形態では、インビボ血漿プロファイルは、881~2024時間pg/mL/mgのトロスピウムの平均用量正規化AUC0-12をさらに含む。特定の実施形態では、インビボ血漿プロファイルは、7850±3360pg/mLのトロスピウムの平均Cmaxをさらに含む。特定の実施形態では、インビボ血漿プロファイルは、41900±15500時間pg/mLの平均AUC0-12をさらに含む。
【0212】
別の実施形態では、剤形は、例えば、保存後に存在するキサノメリンの量及び/又は関連物質の総量により測定して、有利な保存安定性を示す。保存安定性は、典型的な周囲条件(例えば、25℃及び60%相対湿度)で、又は高温及び/又は高湿度を含む加速安定性条件での保存後に評価することができる。
【0213】
剤形及び方法は、特に断らない限り、以下にさらに記載される(図面及び実施例に示されるものを含む)追加の任意の要素、特徴、及び工程のうちの1つ以上の任意の組み合わせの実施形態を含むことが意図される。ビーズ及びその特性への言及は、ビーズの集合(例えば、複数のそのようなビーズ)に等しく適用される。同様に、コア及びその特性への言及は、コアの集合(例えば、複数のそのようなコア)に等しく適用される。
【0214】
腸溶(胃耐性)コーティング材料、例えばポリマーは、胃のpHレベルよりも高いpHレベル、例えば4.5よりも高いpHで、例えば小腸内で、腸液中に溶解し、従って小腸の領域で、実質的にGI管の上部ではなく、活性物質の放出を可能にするものであり得る。一実施形態では、腸溶材料は、約4.5~約5.5のpHの水溶液中で溶解し始める。別の実施形態では、腸溶材料は、約5のpHで水溶液に急速に溶解する。別の実施形態では、腸溶材料は、約5.5のpHで水溶液に急速に溶解する。
【0215】
例えば、pH感受性材料は、剤形が胃から空になるまで有意に溶解しない。小腸のpHは、十二指腸球部で約4.5から約6.5へと徐々に上昇し、小腸の遠位部(回腸)で約7.2へと上昇する。約3時間(例えば、2~3時間)の小腸通過時間に対応する予測可能な溶解を提供し、その中での再現可能な放出を可能にするために、コーティングは、十二指腸のpH範囲内で溶解し始め、小腸内のpH範囲で溶解し続けるべきである。従って、腸溶コーティングの量(厚さ)は、小腸(例えば、近位及び中小腸)内での約3時間の通過時間の間に実質的に溶解されるべきである。
【0216】
適切な腸溶(胃耐性)材料には、架橋ポリビニルピロリドン;非架橋ポリビニルピロリドン;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;酢酸コハク酸セルロース;酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリテートセルロース;酢酸フタル酸デンプン;酢酸フタル酸ポリビニル;カルボキシメチルセルロース;フタル酸メチルセルロース;コハク酸メチルセルロース;フタル酸コハク酸メチルセルロース;フタル酸メチルセルロース半エステル;コハク酸エチルセルロース;カルボキシメチルアミド;カリウムメタクリレートジビニルベンゼンコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリオキシエチレングリコール;ポリエチレングリコール;アルギン酸ナトリウム;ガラクトマンナン;カルボキシポリメチレン;カルボキシメチルデンプンナトリウム;アクリル酸及び/又はメタクリル酸と、以下から選択されるモノマーとのコポリマー:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸デシル;メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、又はアクリル酸オクタデシル、例えばEvonik Industriesから入手可能なEudragit(商標)-L及び-Sシリーズ(L 100-55、L 30 D-55、L 100、S 100、L 12.5及びS12.5を含む);酢酸ポリビニル;脂肪;油;ワックス;脂肪アルコール;セラック;ゼイン;グルテン;アクリル酸エチル-マレイン酸無水物コポリマー;マレイン酸無水物-ビニルメチルエーテルコポリマー;スチロール-マレイン酸コポリマー;2-エチル-ヘキシル-アクリレートマレイン酸無水物;クロトン酸-酢酸ビニルコポリマー;グルタミン酸/グルタミン酸エステルコポリマー;カルボキシメチルセルロースグリセロールモノオクタノエート;ポリアルギニン;ポリ(エチレン);ポリ(プロピレン);ポリ(エチレンオキシド);ポリ(エチレンテレフタレート);ポリ(ビニルイソブチルエーテル);ポリ(塩化ビニル);並びにポリウレタンが含まれるが、これらに限定されない。腸溶材料の組み合わせも使用することができる。一実施形態では、腸溶材料は、pH 5.5以上で急速に溶解して、上部腸内での急速な溶解を提供する。例えば、腸溶材料は、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーから選択することができる。例えば、腸溶ポリマーは、ポリ(メタクリル酸コ-アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(商標)L 30 D-55及びEudragit(商標)L 100-55)である。
【0217】
腸溶コーティングの他の適切な例としては、蜜蝋及びグリセリルモノステアレート;蜜蝋、セラック及びセルロース;並びにセチルアルコール、マスチック及びセラック、並びにセラック及びステアリン酸;ポリ酢酸ビニル及びエチルセルロース;並びにポリメタクリル酸エステルの中性コポリマー(Eudragit(商標)L 30D);メタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルとのコポリマー、又は金属ステアレートを含むポリメタクリル酸エステルの中性コポリマーが挙げられる。このようなコーティングは、脂肪及び脂肪酸、セラック及びセラック誘導体、並びにセルロース酸フタレート、例えば遊離カルボキシル含有量を有するものの混合物を含む。
【0218】
当技術分野で知られているように、1つ以上の可塑剤を腸溶ポリマーに添加して、それらの柔軟性を増大させ、脆性を低下させることができる。適切な可塑剤としては、例えば、クエン酸ブチル、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール(PEG 6000等のPEG)、クエン酸アセチルトリエチル、及びトリアセチンが挙げられる。一実施形態では、可塑剤は、クエン酸トリエチルである。いくつかの腸溶材料は可撓性であり、可塑剤を必要としないが、より脆性のポリマー(例えば、Eudragit(商標)L/S型、Eudragit(商標)RL/RS、及びEudragit(商標)FS 30 D)は、例えば、乾燥ポリマー質量に基づいて5重量%~30重量%の範囲の可塑剤、ポリ(メタクリル酸コ-酢酸エチル)1:1を有する約8重量%~約12重量%のクエン酸トリエチルから利益を得る。
【0219】
特定の実施形態では、腸溶コーティングは、当技術分野で知られているように、フィルムの粘着性を低減し、凝集を防止するために、1つ以上の粘着防止剤(付着防止剤)を含む。適切な粘着防止剤としては、タルク、モノステアリン酸グリセリル、ヒュームドシリカ(例えば、Aerosil(商標)200)、沈降シリカ(例えば、Sipernat(商標)PQ)、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。粘着防止剤は、任意の適切な量、例えば、乾燥ポリマー質量に基づいて約10重量%~100重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約30重量%、又は約15重量%~約30重量%の範囲で使用することができる。例えば、一実施形態では、乾燥ポリマー質量に基づいて15重量%~約30重量%の範囲で使用することができる。
【0220】
1つ以上の界面活性剤を腸溶コーティング混合物に添加して、当技術分野で知られているように、基質の湿潤性を増大させ、及び/又は懸濁液を安定化させることもできる。界面活性剤には、ポリソルベート80、ソルビタンモノオレエート、及びドデシル硫酸ナトリウム、及び本明細書に記載の他の界面活性剤が含まれる。
【0221】
腸溶コーティングは、任意の適切なプロセスによって形成することができる。コーティングプロセスには、例えば、パンコーティング、流動床コーティング、及び乾燥コーティング(例えば、加熱乾燥コーティング及び静電乾燥コーティング)が含まれる。パンコーティング及び溶媒を使用する流動床コーティングは、十分に確立されたプロセスである。液体コーティングにおいて、腸溶材料及び任意の賦形剤(例えば、顔料、可塑剤、粘着防止剤)は、有機溶媒又は水中で混合されて、溶液又は分散液を形成する。コーティング溶液又は分散液は、パンコーター又は流動床乾燥機中で固体剤形に噴霧され、熱風によって乾燥される。例えば、Wurster流動床コーティングプロセスでは、コーティング流体は、流動床装置の底部から噴霧される。或いは、コーティング流体はトップスプレーによって塗布される。特定の実施形態では、接線方向噴霧が適用される。
【0222】
適用される腸溶材料の量は、所望の耐酸性及び放出特性を達成するのに十分である。例えば、一実施形態では、腸溶コーティングの量は、遅延放出剤形についてのUSP<711>要件(USP 36-NF 31)を満たし、それによって、0.1N HCl中で2時間後に10.0重量%の薬物を放出しない。特定の実施形態では、製剤は、例えば、USP 36-NF 31セクション<711>の溶解方法を使用して、pH 6.8緩衝溶液中で20分間で活性物質の少なくとも80%を放出する。
【0223】
一実施形態では、腸溶コーティングは、コーティングされていない粒子コアと比較した重量増加によって測定して、約10%~40%、若しくは25%~約35%、又はコーティングされていない粒子コアの重量に基づいて、約25%~約31%、約27%~約31%、若しくは約28.5%~約31%の重量増加の範囲の量で存在する。
【0224】
製剤は、内部にビーズが配置されるカプセルシェルを含むことができる。ソフト及びハードカプセルシェルが知られている。一実施形態では、カプセルシェルは、ハードカプセルシェル、例えばゼラチンカプセルシェル又は植物ベースのハードカプセルシェルである。特定の実施形態では、カプセルシェルは、本明細書に記載される1つ以上の腸溶コーティングを含む。加速保存中、ゼラチンカプセルは崩壊することがある。従って、特定の実施形態では、製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルシェルを含むことができる。
【0225】
従って、例えば、上記の様々な特徴を組み合わせた一実施形態は、複数のキサノメリンビーズを含む医薬剤形を含み、このビーズは、酒石酸キサノメリン、充填剤(任意に微結晶セルロース)、結合剤(任意にヒプロメロース)、及びコアを囲む腸溶コーティング(任意にEudragit(商標)L 30 D-55)を含むコアを含み、複数のビーズは、約0.7mm~約2.5mmの範囲の粒子サイズの分布を有し、腸溶コーティングは、ビーズコアの重量に基づいて約20%~約40%の範囲であり、ビーズは、カプセルシェル内に配置される。
【0226】
ビーズのサイズと形状
複数のビーズは、粒子サイズの分布を有する。複数のビーズは、ビーズ形状を有する。複数のビーズは、存在する場合、コーティング厚さの分布を有する。
【0227】
粒子サイズの分布を有するビーズは、有利な薬物動態を示すことが示された。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、薬物動態は、コアサイズの分布を有する複数のビーズによって影響されることが予想される。
【0228】
一実施形態では、ビーズの粒子サイズは、約0.4mm~約1.2mm、例えば約0.4mm~約0.5mm、約0.5mm~約0.6mm、約0.6mm~約0.7mm、約0.7mm~約0.8mm、約0.8mm~約0.9mm、約0.9mm~約1.0mm、約1.0mm~約1.1mm、又は約1.1mm~約1.2mmの範囲である。特定の実施形態では、キサノメリンビーズのサイズは、約0.425mm~約1.18mmである。特定の実施形態では、キサノメリンビーズのサイズは、約0.6mm~約0.85mmである。特定の実施形態では、トロスピウムビーズのサイズは、約0.425mm~約1.18mmである。特定の実施形態では、トロスピウムビーズのサイズは、約0.6mm~約0.85mmである。
【0229】
ビーズ又はビーズ混合物は、例えば、懸濁液中で、カプセルに充填されて、錠剤に圧縮されて、又は小袋に充填されて使用され得る。1つ以上のタイプの改変放出ビーズは、混合され、そしてカプセル化され、又は対象の食物上のスプリンクルとして使用され得る。特定の実施形態では、経口固体剤形は、これらの形態のいずれかであり得る。特定の実施形態では、剤形は、カプセルである。
【0230】
ビーズの粒子サイズが小さくなりすぎると、活性物質の含有量の変動性が増加する。粒子サイズが大きくなりすぎると、ビーズが大きすぎて、標識された医薬品が散布(例えば、リンゴソース又はゼリー等の他の柔らかい食品上に)によって投与できず、咀嚼せずに飲み込み又は経腸栄養チューブによって投与することができない。また、粒子サイズが増加するにつれて、より大きな粒子は、より小さい粒子よりも多くコーティングされ、より小さい粒子と比較してより低い相対アッセイを生じる。カプセル当たりの標識強度を満たすために比較的多くのビーズが必要とされる。カプセル当たりの標識強度を満たすために十分大きな粒子でカプセルシェルを充填することは、困難又は不可能になる(例えば、サイズ0のカプセルを75mg強度のキサノメリン遊離塩基まで充填すること)。
【0231】
一実施形態において、ビーズは、例えば、カプセル化機械を用いてカプセルに処方される。様々なカプセルサイズが、標的製剤の強度及び充填重量に適応し得る。カプセルサイズは、約15mg~約630mgの範囲の充填重量について、00~5の範囲である。
【0232】
ビーズは、所望の粒子サイズに選別することができる(例えば、ふるい分けによって)。特定の実施形態では、粒子サイズ範囲は、コアに関して上述した任意の粒子サイズ範囲又は組み合わせである。一実施形態では、粒子サイズ範囲は、コーティングされていないコアの粒子サイズ範囲と同じである。例えば、ビーズコアの5重量%以下が#12メッシュ(1.68mm)スクリーン上に保持され、10重量%以下が#20メッシュ(0.84mm)スクリーンを通過するように、ビーズをふるい分けることができる。
【0233】
製造方法
キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩を含む複数のキサノメリンビーズを含むビーズを、塩化トロスピウム等のトロスピウムの塩を含む複数のトロスピウムビーズと混合することを含む、経口医薬組成物を調製するための方法が提供される。特定の実施形態では、本方法は、さらに、混合ビーズをカプセルに処方することを含む。
【0234】
また、キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩及び賦形剤を含むコアを腸溶ポリマーでコーティングして腸溶コーティングを形成し、塩化トロスピウム又はその薬学的に許容され得る塩及び賦形剤を含むコアを腸溶ポリマーでコーティングして腸溶コーティングを形成することを含む、剤形を調製するための方法が本明細書に開示される。任意に、コアは、湿式造粒法によって形成することができる。任意に、薬物ビーズは、腸溶コーティングの前に、及び任意に再び腸溶コーティングの後に、所望の粒子サイズ範囲に(例えば、ふるい分けによって)選別される。
【0235】
薬物ビーズは、押し出された湿潤塊を球状化すること、及び流動床中で不活性コア球体をコーティングすることを含むがこれに限定されない、異なるプロセスによって作製されてもよい。特定の実施形態では、ビーズは、押出及び球状化によって調製される。
【0236】
ビーズは、自由に流動し、最新のカプセル化機器と適合するように処方される。いくつかの実施形態では、ビーズはブレンドされて、単一段階でカプセルに充填される均一な混合物を形成する。他の実施形態では、ビーズは、2ステージカプセルフィラーを使用してカプセルに別々に充填される。
【0237】
キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩を含むコアは、任意の適切なプロセスによって形成することができる。一実施形態では、コアは、キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩と賦形剤との混合物を造粒し、所望の粒子サイズ範囲に粉砕することによって形成される。別の実施形態では、コアは、キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩と賦形剤との混合物の押出及び球状化によって形成することができる。
【0238】
塩化トロスピウム又はその薬学的に許容され得る塩を含むコアは、任意の適切なプロセスによって形成することができる。一実施形態では、コアは、塩化トロスピウム又はその薬学的に許容され得る塩と賦形剤との混合物を造粒し、所望の粒子サイズ範囲に粉砕することによって形成される。別の実施形態では、コアは、塩化トロスピウム又はその薬学的に許容され得る塩と賦形剤との混合物の押出及び球状化によって形成することができる。
【0239】
造粒プロセスは、流動床造粒、湿式造粒、ホットメルト造粒、及びスプレー凝固を含むことができる。他のプロセスには、スラッギング及びローラー圧縮が含まれる。造粒するべき混合物は、最初に乾燥ブレンドすることができる。乾燥ブレンドされた乾燥成分は、押出前に水と混合することができる。
【0240】
キサノメリン又はその薬学的に許容され得る塩、及び塩化トロスピウムと賦形剤との混合物の押出及び球状化は、本明細書に記載されるような粒子サイズの分布及び1つ以上の他の望ましい特性を有する望ましいコアを提供する。特定の実施形態では、短い加工時間がより安定な生成物をもたらすことができる。例えば、球状化を減少させることは、摩擦及び関連する熱を減少させる。生成物が空気に曝される時間を短縮すること(湿潤時及び/又は包装前のいずれか)もまた、酸化を減少させる。他方、押出及び球状化による迅速な加工は、例えば、ビーズコアの大部分が所望の粒子サイズ範囲外にあるという点で、品質の悪い生成物をもたらす可能性がある。球状化助剤によって吸収される水分(これは、時間の経過と共に起こる)は、ビーズの球状化特性に影響を及ぼす。
【0241】
従って、一実施形態では、造粒混合物の含水量は、乾燥前に、約20重量%~約40重量%、例えば、25重量%~約35重量%、約28重量%~約32重量%、少なくとも約28重量%、少なくとも約28.5重量%、約20重量%~約40重量%、約25重量%~約35重量%、約27重量%~約31重量%、又は約28.5重量%~約31重量%の範囲である。
【0242】
特定の実施形態では、湿潤塊は、球状化助剤を造粒流体で膨潤させるために、押出前に保持することができる。保持時間は、少なくとも15分、例えば、少なくとも30分、少なくとも45分、又は少なくとも60分であり得る。特定の実施形態では、保持時間は、約15分~約120分、例えば、30~100分、又は60~90分の範囲である。
【0243】
コアに関して上述したように、本方法は、任意のコーティングの前にコアを選別(例えば、ふるい分けにより)して、粒子を所定のサイズ範囲、例えば、約0.7mm~約2.8mm、例えば、約0.7mm~約2.5mm、約0.8mm~約1.7mmの範囲のサイズ、又は本明細書に記載の任意の範囲に保持する工程を含むことができる。
【0244】
ビーズに関連して上述したように、本方法は、任意のコーティングの後にビーズを選別(例えば、ふるい分けにより)して、粒子をサイズ範囲、例えば、約0.7mm~約2.8mm、例えば、約0.7mm~約2.5mm、又は約0.8mm~約1.7mmの範囲のサイズ、又は本明細書に記載の任意の範囲に保持する工程を含むことができる。
【0245】
押出及び球状化プロセスでは、以下の任意の特徴を、個別に、又はそれらの1つ以上の組み合わせで使用することができる。水は、造粒剤であり得る。微結晶性セルロースは、球状化助剤としてコア中に存在することができる。ヒプロメロースは、結合剤としてコア中に含まれ得る。押出スクリーンのサイズは、1.0mmであり得る。スフェロナイザーの摩擦板は、クロスハッチング可能である。スフェロナイザーの摩擦板は、少なくとも約3mm、又は約3mmを超える、又は少なくとも約4mm、又は約4mmを超える、又は約3mm~約7mmの範囲、又は約5mmの正方形ピッチでクロスハッチングすることができる。球状化時間は、約5分未満、又は約4分未満、又は約3分未満、又は約2分未満、又は1分までであり得る。球状化粒子は、例えば、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%等のその実質的な分率の非球形粒子(即ち、不規則な形状)を含むことができる。
【0246】
特定の実施形態では、医薬組成物は、乾燥剤、例えば、医薬グレードのシリカゲル、結晶性ナトリウム、カリウム又はカルシウムアルミノシリケート、コロイダルシリカ、無水硫酸カルシウム等と共に保存される。
【0247】
特定の実施形態では、医薬組成物は、酸素吸収剤と共に保存される。
【0248】
特定の実施形態では、医薬組成物は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン、クリプトン、又はそれらの混合物等の乾燥不活性ガス下で保存される。
【0249】
特定の実施形態では、医薬組成物は、外部周囲空気と比較して減圧下で保存される。
【0250】
特定の実施形態では、医薬組成物は、低温、例えば冷蔵温度(例えば、2℃~8℃)で保存される。特定の実施形態では、医薬組成物は、25℃で保存される場合よりも、不純物A等の不純物が少ないように保存される。
【0251】
特定の実施形態では、医薬組成物は、経口医薬組成物を対象に分配する前に、製造業者、流通業者、薬局、又は病院によって約2℃~約8℃の温度で保存される。特定の実施形態では、経口医薬組成物が対象に分配された後、医薬組成物は、約20℃~約25℃の温度で保存される。
【0252】
約2℃~約8℃の温度で剤形を保存することを含む、本明細書に記載される医薬剤形又は組成物を安定化する方法も提供される。
【0253】
特定の実施形態では、キサノメリンビーズを含む医薬剤形を調製するための方法は、酒石酸キサノメリン及び賦形剤、任意に微結晶セルロースを含み、約20重量%~約40重量%の範囲の水分含有量を有する湿潤塊を形成することと、酒石酸キサノメリン及び賦形剤を含む湿潤塊を押し出し、球状化してコアを作製することと、コアを任意に約0.7mm~約2.5mmの目標粒子サイズ範囲に選別することと、選別されたコアをポリマーでコーティングしてコア及びコーティングを含むビーズを形成することと、ビーズ粒子を任意に約0.7mm~約2.5mmの目標粒子サイズ範囲に選別することとを含む。
【0254】
特定の実施形態では、トロスピウムビーズを含む医薬剤形を調製するための方法は、塩化トロスピウム及び賦形剤、任意に微結晶セルロースを含み、約20重量%~約40重量%の範囲の含水量を有する湿潤塊を形成することと、塩化トロスピウム及び賦形剤を含む湿潤塊を押し出し、球状化し、乾燥してコアを作製することと、コアを任意に約0.7mm~約2.5mmの標的粒子サイズ範囲選別することと、選別されたコアをポリマーでコーティングしてコア及びコーティングを含むビーズを形成することと、ビーズ粒子を任意に約0.7mm~約2.5mmの標的粒子サイズ範囲に選別することを含む。
【0255】
純度
化合物3-[(4-ヘキシルオキシ)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル]-5-ヒドロキシル-1-メチルピリジン-1-イウムも提供される。
【0256】
キサノメリン及び/又はその塩と0.5重量%未満の3-[(4-ヘキシルオキシ)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル]-5-ヒドロキシル-1-メチルピリジン-1-イウム(不純物A)とを含む医薬組成物も提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、0.30重量%未満、例えば0.25重量%未満、0.20重量%未満、0.15重量%未満、0.14重量%未満、又は0.1重量%未満の不純物Aを含む。キサノメリン及び/又はその塩と0.15重量%未満の3-[(4-ヘキシルオキシ)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル]-5-ヒドロキシル-1-メチルピリジン-1-イウム(不純物A)とを含む医薬組成物も提供される。
【0257】
キサノメリン又はその塩と0.5重量%未満の3-[(4-ヘキシルオキシ)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル]-5-ヒドロキシル-1-メチルピリジン-1-イウムとを含む複数のキサノメリンビーズと、トロスピウムの塩を含む複数のトロスピウムビーズとを含む経口医薬組成物も提供される。キサノメリン又はその塩と0.15重量%未満の3-[(4-ヘキシルオキシ)-1,2,5-チアジアゾール-3-イル]-5-ヒドロキシル-1-メチルピリジン-1-イウムとを含む複数のキサノメリンビーズと、トロスピウムの塩を含む複数のトロスピウムビーズとを含む経口医薬組成物も提供される。
【0258】
特定の実施形態では、医薬組成物は、医薬組成物が40℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間保存された後に、0.5重量%未満の不純物Aを含む。
【0259】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物中の総不純物は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、又は約0.1重量%以下である。
【実施例
【0260】
以下の実施例は、例示のために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1 - 健常な高齢対象におけるKarXTの安全性、耐容性、及び探索的PKを評価する第1相無作為化二重盲検多用量試験
【0261】
この第1b相臨床試験の目的は、健常な高齢志願者におけるKarXTの安全性及び耐容性を評価し、認知症関連精神病(DRP)におけるその潜在的な有効性及び安全性を評価することであった。第1b相試験では、健常な高齢志願者におけるキサノメリン及びトロスピウムの両方について、約2~3週間にわたって漸増された柔軟な投与プロトコルを用いて、様々な用量及び比を評価した。コホート1、コホート2、及びコホート3において、各々12、15、及び17日目に最大用量に達した。投与は、各々、合計14、18、及び20日間継続した。各コホートは、16人の健常な高齢志願者から構成された。
【0262】
これは、健常な高齢対象におけるKarXTの安全性、耐容性、及び探索的PKを評価する第1相無作為化二重盲検多用量適応デザイン試験であった。試験は、28日までのスクリーニング期間から構成された。この入院患者調査期間は、処置期間及び処置後観察期間を含んでいた。治験薬の最終投与から7±3日後にフォローアップ来院を完了した。コホート1については、入院患者の調査期間は、入院、14日までの処置期間、及び2日間の処置後観察期間を含む17日までであった。コホート2については、入院患者の調査期間は、入院、18日までの処置期間、及び2日間の処置後観察期間を含む、21日までであった。コホート3については、入院患者の調査期間は、入院、20日までの処置期間、及び2日間の処置後観察期間を含む23日までであった。
【0263】
対象は、KarXT(酒石酸キサノメリンと塩化トロスピウムの複合製剤として投与されるか、又は個々の酒石酸キサノメリン[KarX]と塩化トロスピウム[KarT]カプセルの同時投与として投与される)又はプラセボを受けるように、各計画コホートにおいて3:1に無作為化された。
【0264】
治験薬は、酒石酸キサノメリン/塩化トロスピウム(KarXT)の経口カプセルであった。コホート1及び2について、治験薬強度は、酒石酸キサノメリン25mg及び塩化トロスピウム10mg(KarXT 25/10mg)、KarXT 50/10mg、KarXT 75/10mg、及びKarXT 75/20mgであった。コホート3については、キサノメリン及びトロスピウムは、個々のKarX及びKarTカプセルとして同時投与された。用量の各々は、以下の利用可能な用量強度に基づいて、個々に調整することができた:KarX(酒石酸キサノメリン)25mg及び50mg、並びにKarT(塩化トロスピウム)5mg及び7.5mg。
【0265】
プラセボは、活性薬剤に視覚的に一致した。コホート1及び2については、微結晶セルロースを不透明な白色ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに充填した。コホート3については、サイズ0のスグレット(suglet)及びタルクをマーキングのないスウェーデンオレンジ色の不透明なハードシェルカプセルに充填した。
【0266】
各計画コホートにおいて、4人の対象のセンチネル群を投与し(活性物質3:プラセボ:1)、それらのデータを再検討した後、残りの対象を投与した。残りの12人の対象の投与は、処置の完了時に、治験薬の安全性及び耐容性がセンチネル投与群において確認された後に開始した。コホート当たり最大3人の対象が60歳~64歳であり、この年齢範囲の1人の対象のみが、センチネル投与群であり得る。
【0267】
コホート1及び2において活性物質処置に割り当てられた対象は、KarXTの導入用量で2日間の処置を開始した。コホート3において活性物質処置に割り当てられた対象は、KarXTの導入用量で4日間の処置を開始した。KarXT用量を、コホート特異的計画(図S1)に従って、3日目(又はコホート3については5日目)に開始して増加させ、許容される場合、KarXTの以下の最終コホート特異的全1日用量(TDD)を達成した:
コホート1:200/40mg
コホート2:200/30mg
コホート3:150/20mg
【0268】
各コホートが完了した後、用量漸増工程のタイミングを調整することができ、及び/又は所与の漸増工程での用量強度を、以前のコホートにおいて投与されたKarXTの安全性及び耐容性に基づいて低下させることができた。
【0269】
主な選択基準は、スクリーニングを含む60歳~85歳の男性及び閉経後女性であった。ボディマスインデックスは、18.0kg/m~35.0kg/m(両端を含む)であった。治験責任医師の意見では、対象の全身状態は良好であった。
【0270】
除外基準には、投与前の少なくとも3ヶ月間に医療処置によって管理されなければならない以下の状態以外の臨床的に有意な心血管疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、血液疾患、消化器疾患、内分泌疾患、免疫疾患、皮膚疾患、神経疾患、腫瘍疾患、又は精神疾患の病歴又は存在が含まれていた:変形性関節症、骨減少症、II型糖尿病、高コレステロール血症、高血圧症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、及びビタミンB12欠乏症。他の慢性状態は、スクリーニング前に少なくとも3ヶ月間安定であれば許容された。
【0271】
スクリーニング時又は入院時に失神、失神性めまい又は症候性低血圧、又は症候性起立性低血圧、過敏性腸症候群(便秘の有無を問わない)、又は過去6カ月以内の処置を必要とする重篤な便秘、尿閉の病歴又は高リスク(コホート2及びその後のコホートで症候性良性前立腺肥大症の病歴を有する対象を含む)、胃貯留、又は狭隅角緑内障(閉塞隅角緑内障としても知られる)がある場合も、対象を除外した。男性対象については、スクリーニング時及び/又はベースライン時の国際前立腺症状スコア(I-PSS)で>4のスコアは除外的であった。また、スクリーニング時の尿中薬物スクリーニング検査又は呼吸器検査によって決定された、昨年以内のエチルアルコール若しくは薬物乱用、又は現在の乱用、重大な肝機能検査異常、過去1年以内の大うつ病エピソード、重大な自殺念慮若しくは試み、又は治験責任医師の意見で、対象の安全性、又は身体検査、ECG、バイタルサイン、若しくはスクリーニング時の臨床検査結果の臨床的に重大な異常所見の妥当性を脅かす他の状態(男性では、QTcF>450ms、女性では、>470msを含む)が除外された。腎臓病における食事の修正の研究式を用いて、60mL/分/1.73m未満の推定糸球体ろ過率(eGFR)は、具体的な除外である。また、ベースライン時にALT、ALP、AST、又はTBが正常範囲外であり、投与前30日以内又は5半減期以内のいずれか長い方の期間内に治験薬を投与されていた場合、閉経後症候群に対するホルモン補充処置及び許容される状態の処置に用いられた場合を除いて、登録前14日以内に処方薬を使用した場合も除外とした。このような薬物は、投与前少なくとも3ヶ月間安定用量でなければならず、研究期間中安定したままであると予想されなければならない。HIV-1若しくは2、B型若しくはC型肝炎の検査が過去に陽性であったか、又はこれらの状態の検査が陽性であった対象はスクリーニング時に得られた。
【0272】
スクリーニング前1年以内に必要に応じて使用される以外の経口又は吸入ステロイド、カルシウム、ビタミンD、低用量アスピリン、グルコサミン、及びコンドロイチンを除く、ビタミン、ハーブ、サプリメント、又は市販薬(OTC)の使用は、登録前2週間以内、及び試験の全期間中に除外される。Zofranは悪心の処置を許可され、アセトアミノフェン及び/又はイブプロフェンは、試験中許可された。ビタミンB12欠乏症に対するビタミンB12の使用は許可された。バレニクリン等の禁煙製品をスクリーニング前30日以内に使用した場合は、患者を除外した。
【0273】
有害事象の評価、臨床検査試料、心電図(ECG)、バイタルサイン(起立性バイタルサインを含む)、尿量モニタリング、コロンビア-自殺重症度評価スケール(C-SSRS)、連続的なPKサンプリング、及び唾液量を測定するための唾液採取を、試験中の規定の時点で実施した。
【0274】
コホート1及び2からのデータは、両方の薬物、キサノメリン及びトロスピウムのより低い経口用量が65歳未満の成人よりも健常な高齢対象においてより高い血中レベルをもたらすことを示した。さらに、健常な高齢志願者における約100~200mg/日のキサノメリンの経口用量は、EMERGENT-1で観察された血中レベルと同等又はわずかに高い平均血漿レベル(Cmax)をもたらし、200~250mgのキサノメリンの用量を試験した完了した陽性第2相試験は、統合失調症の成人において強力な抗精神病効果を示した。(米国特許第10,925,832号明細書及び同第10,933,020号明細書、並びに米国特許出願第16/950,203号明細書(それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。)
【0275】
さらに、完了したコホートからのデータは、65歳未満の成人で使用された比と比較して、キサノメリンに対するトロスピウムのより低い比が健常な高齢対象によってより良好に耐容されたことを示唆している。コホート1、2及び3で見られたコリン作動性及び抗コリン作動性の有害事象(AE)は、KarXTの以前の試験で観察されたものと同様であり、大多数(>80%)は軽度に分類された。
【0276】
表1を参照すると、1つの薬物関連重篤有害事象(SAE)がコホート1において報告された。SAEは、トロスピウムの全1日用量40mgを受けた対象の尿閉であった。どのコホートでも失神の症例は、観察されなかった。コホート2及び3では、SAEは報告されなかった。
【0277】
【表1】
【0278】
40mgのTDDのトロスピウムを用いたトロスピウム関連副作用の頻度及び重症度は予想外であり、これは以前の統合失調症試験(40~60mgのTDD)及び過活動膀胱を処置するための承認された用量のトロスピウムにおける低用量であった。トロスピウムの用量の減少により、便秘が42%から0%に減少し(プラセボ調整)、口内乾燥が50%から17%に減少し(プラセボ調整)、尿閉が17%から0%に減少した。重篤な有害事象は、1から0に減少した。
【0279】
驚くべきことに、トロスピウム用量を減らし、それによって正常な健常志願者及び統合失調症を有する患者で試験したものよりも高いキサノメリン:トロスピウム比を用いて、キサノメリンとトロスピウムの均衡に依存するKarXTの全体的な耐容性が改善された。この改善は、全体的な有害事象の重症度の低下によって示された。コホート2に重篤又は重症の有害事象は生じなかった。KarXTで有害事象を経験しないか、又は軽度の有害事象のみを経験した患者の割合は、25%増加した。特定の実施形態では、高齢対象の用量は、統合失調症又は正常な健常志願者とは異なるべきである。40~60mgの塩化トロスピウムTDDの用量は、正常な健常志願者及び統合失調症で生きている患者において成功裏に使用されたが、30mgの塩化トロスピウムTDDの用量は、正常な高齢志願者において40mgのTDDより良好に機能した。60mgのTDDの試験は、40mgのTDDで観察されたAEに基づいて、高齢者では完了しなかった。この関連性は、キサノメリンとトロスピウムの間の比率としても表すことができ、正常な健常志願者及び統合失調症で生きている患者で5:1以下のキサノメリン/トロスピウムの比率が用いられた(キサノメリン200mg、トロスピウム40mg、比率5:1、キサノメリン250mg、トロスピウム60mg、比率4.2:1)。この同じ5:1キサノメリン:トロスピウム比は、高齢者において望ましくないトロスピウム関連の耐容性の懸念をもたらし、5:1キサノメリン/トロスピウムより大きい比率、即ち6:1キサノメリン:トロスピウム、又は7.5:1キサノメリン/トロスピウムの比率がより良好に耐容した。特定の実施形態では、キサノメリンとトロスピウムの比は5:1より大きく、例えば6:1より大きく、7.5:1より大きく、又は10:1より大きい。特定の実施では、キサノメリンとトロスピウムの比は、10:1である。
【0280】
尿閉の重篤な有害事象を有した対象は66歳であった。上記のように、全ての対象を推定球状濾過量(eGFR)についてスクリーニングし、45未満のEGFRを有する患者を試験から除外した。尿閉のSAEを有する上記の対象参照を含む尿閉を有する対象は、各々65及び67のeGFR値を有し、全ての対象は54以上のeGFR値を有したため、30mL/分未満のクレアチニンクリアランスを有すると予想されないであろう。
【0281】
表2は、18~60歳(両端を含む)の患者集団に対するEMERGENT-1試験において、28日目(PKデータを収集した最終日)と比較した、健常な高齢者におけるコホート1、2、3の投与期間の最終日に収集されたキサノメリンCmaxデータを含む。
【0282】
【表2】
【0283】
コホート2の試験終了時のキサノメリンの平均全一日用量は、156mgのみであったにもかかわらず、報告されたキサノメリンCmaxは、統合失調症患者よりも高齢対象で高かった。統合失調症試験において強力な抗精神病作用が観察されたことを考慮すると、これらのデータは、100~200mgの高齢者におけるキサノメリン用量が同等以上のキサノメリン血中レベルを提供し得ることを示唆した。従って、これらの用量は、認知症関連精神病等の精神病症状を有する高齢者集団において抗精神病利益をもたらすための治療有効量である筈である。
【0284】
コホート3のデータを単独で分析し、コホート1及び2からのデータと組み合わせることにより、予備分析の所見が確認された。例えば、尿閉の報告は、尿閉が観察されなかったコホート2及び3で使用された用量よりもコホート1で使用されたトロスピウムのより高い用量に関連していた。コホート2及び3では、重篤又は重症の有害事象は観察されなかった。
【0285】
実施例2 - アルツハイマー病認知症に関連する精神病の処置のためのKarXTの安全性及び有効性を評価するための第3相二重盲検プラセボ対照再発予防試験
この試験は、KarXT又はプラセボで処置されたAD認知症に関連する精神病を有する対象における精神病の処置及び再発の予防を評価する。この試験はまた、AD認知症に関連する精神病を有する対象におけるKarXTのPKを評価するために、神経精神医学的インベントリー臨床医(NPI-C)精神病スコア(幻覚及び妄想)、NPI-Cコアスコア、CGI-Sスケール、臨床全般印象-改善(CGI-I)スケール、コーエン・マンスフィールド激越評価票(CMAI)、NPI-C総スコア及びミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて、二重盲検無作為化中止処置期間中のプラセボ、及び単盲検処置期間中のKarXTと比較して、KarXTの有効性を評価するために、KarXTの安全性及び耐容性をプラセボと比較して評価するために、これらの対象における無作為化から任意の理由での中止までの時間を評価することを目的とする。
【0286】
この試験は、AD認知症に関連する精神病を有する患者におけるKarXTの第3相無作為化中止試験として実施される。AD認知症を有する対象はまた、AD認知症精神病において一般的な症状である激越又は攻撃の症状を有していなければならない。
【0287】
中等度から重度の精神病を伴う軽度から重度のAD認知症を有する55~90歳の男性及び女性対象を、この試験に登録する。
【0288】
本試験に組み入れるために、個人は以下の基準を全て満たす必要がある:
・ スクリーニング時(来院1A)に55~90歳(両端を含む)の男性又は女性である
・ ADの可能性又はおそらくADであることの臨床基準を満たす
・ 認知症症候群(例えば、大脳卒中、新生物、硬膜下血腫)の原因となり得る他の中枢神経系(CNS)疾患を除外するために、認知症の発症中又は発症後の脳の磁気共鳴イメージング(MRI)又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャン(過去5年以内に完了)を有する。
・ スクリーニング(来院1A)前に少なくとも2ヶ月間、国際老年精神医学会(IPA)基準を満たす精神病症状の病歴。Cummings J,Pinto LC,Cruz M,et al.“Criteria for Psychosis in Major and Mild Neurocognitive Disorders:International Psychogeriatric Association(IPA)Consensus Clinical and Research Definition.”Am J Geriatr Psychiatry.2020 Dec;28(12):1256-1269(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の表3を参照されたい。
・ スクリーニング時(来院1A)のスコア≧4(中等度)のCGI-Sスケール
・ AD認知症対象は、スクリーニング(来院1A)時に:
a. 8項目のうち2項目でNPI-C妄想ドメインスコア≧2と定義される中等度から重度の妄想
b. NPI激越/攻撃ドメインスコア≧4
を有することが要求される
・ スクリーニング時(来院1A)のMMSEスコア8~22(両端を含む)
・ 対象がコリンエステラーゼ阻害剤及び/又はメマンチンを服用している場合、対象は、スクリーニング(来院1A)の前に6週間安定用量を服用していなければならず、試験の期間中、安定用量を維持することを望まなければならない。
【0289】
スクリーニング時に以下の基準の1つ以上が適用される場合、対象は試験から除外される:
・ 認知症を引き起こすAD以外の状態に主に起因する精神病症状、例えば、統合失調症、統合失調感情障害、妄想性障害、又は精神病的特徴を伴う気分障害
・ スクリーニング(来院1A)前の12ヵ月間に精神病的特徴を有する大うつ病エピソードの病歴
・ せん妄、健忘障害、双極性障害、統合失調症、又は統合失調感情障害の軸I診断の病歴
・ 肺疾患、肝疾患、腎疾患、血液疾患、消化器疾患、内分泌疾患、免疫疾患、皮膚疾患、神経疾患、腫瘍疾患等の有意な若しくは重度の医学的状態、又は対象の安全性、試験手順を完了若しくは遵守する能力、若しくは治験結果の妥当性を損ない得るその他の状態
・ スクリーニング(来院1A)前の12ヵ月以内の虚血性脳卒中の病歴又は出血性脳卒中の証拠
・ 脳アミロイド血管症(CAA)、てんかん、中枢神経系(CNS)新生物、不安定甲状腺機能、又は原因不明の失神の病歴
・ 以下のいずれか:
a. ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)(NYHA)クラス2うっ血性心不全
b. グレード2以上の狭心症
c. 持続型心室性頻脈
d. 心室細動
e. 多形性心室頻拍
f. 埋め込み型心臓除細動器
・ スクリーニング(来院1A)前の6カ月以内の心筋梗塞
・ QT延長症候群の症状の個人歴又は家族歴
・ 病歴又はLFT結果によって示されるヒト免疫不全ウイルス(HIV)、肝硬変、胆管異常、肝胆道癌、及び/又は活動性肝ウイルス感染
・ 尿閉、胃貯留、又は狭隅角緑内障の既往又は高リスク
・ 過敏性腸症候群(便秘の有無を問わない)又は過去6カ月以内に処置を要する重篤な便秘の病歴
・ 治験責任医師の臨床評価及び/又はC-SSRSにより以下により確認された試験中の自殺行動のリスク:
a. 項目4若しくは5(C-SSRS観念化)で「はい」と回答し、スクリーニング前の2カ月以内に最新のエピソードが発生するか、又は
b. 5項目(C-SSRS行動)のいずれかに「はい」と回答し、スクリーニング前の12カ月以内にエピソードが発生した
・ モノアミンオキシダーゼ阻害剤、抗痙攣薬(例えば、ラモトリギン、ジバルプロエックス)、リチウム、三環系抗うつ薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン)、又は必要に応じた抗不安薬(例えば、ロラゼパム、抱水クロラール)を除く任意の他の向精神薬を受けている最近の病歴
a. スクリーニング(来院1A)前の少なくとも8週間の選択的セロトニン再取り込み阻害薬及びセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬の安定用量は、許可され得る
b. ミルタザピンは、スクリーニング(来院1A)の少なくとも8週間前に開始される場合、催眠薬として使用され得る
【0290】
対象は、単盲検処置期間中、単盲検KarXTを受ける。各対象は、耐容性及び有効性に基づいて、対象に適した単盲検KarXTの最大用量まで、最大200mgのキサノメリン/20mgのトロスピウム/日まで漸増される。投与は柔軟であるが、対象は、試験に留まるために、6週目の終わりまでにKarXT 90/9mg/日の最低用量に達する必要がある。
【0291】
KarXTは、経口カプセルで入手可能な、mg酒石酸キサノメリン/mg塩化トロスピウム:KarXT 20/2.0mg、KarXT 30/3.0mg、KarXT 40/4.0、KarXT 50/5.0mg、及びKarXT 66.7/6.67mgとして表される。各用量強度のカプセルを、用量強度に応じて、キサノメリンビーズ(表3)及び4.4重量%又は17.7重量%のいずれかのトロスピウムビーズ(表4)を用いて製造した(表5)。具体的には、5.0mg以下の塩化トロスピウムを有する投与量については、4.4%塩化トロスピウムの薬物負荷を有するビーズを使用した。KarXT 66.7/6.67mgは、17.7%塩化トロスピウムを有するトロスピウムビーズを使用した。全ての剤形は、カプセルの外観、保持時間(RT)による同一性、紫外線スペクトルによる同一性、溶解(各キサノメリン及びトロスピウムについて30分で少なくとも80%)、及び含有量均一性(USP<905による)に従った。剤形はまた、アッセイの規格、不純物及び関連物質、含水量、並びに微生物限度に適合していた(表6)。
【0292】
【表3】
【0293】
【表4】
【0294】
【表5】
【0295】
【表6】
【0296】
耐容性の問題がない場合、有効性が観察されていない場合には、対象は用量を増加させるべきである。1日目に、対象は夕方に治験薬の1用量を服用する。
・ 1日目:対象はKarXT60/6mg/日(20/2.0mg TID)で開始する
・ 1週目の終わり:用量を90/9mg/日(30/3.0mg TID)に増加する
・ 2週目の終わり:対象が耐容性の問題を経験していない限り、用量を120/12mg/日(40/4.0mg TID)に増加すべきである
・ 3週目の終わり:場合による150/15mg/日(50/5.0mg TID)への用量増加
・ 4週目の終わり:場合による200/20mg/日(66.7/6.67mg TID)への用量増加
・ 5週目以降:5週目の終了に従って投与を継続するか、又は対象の耐容性及び臨床反応に応じて変更する
【0297】
対象は、無作為化及び二重盲検無作為化中止期間における第1の用量の治験薬の投与の前に、単盲検処置期間の終了時に以下の基準を満たさなければならない:
1. 以下の応答基準を満たす
a. NPI-C H+Dスコアの≧40%低下(単盲検処置期間の終了時(二重盲検無作為化中止処置期間の開始)におけるベースラインからの改善)、及び
b. CGI-Iスコア1(非常に改善)又は2(大幅に改善)。CGI-Iでは、評価者が変化の全体的な評価を行う前に、激越/攻撃性及び精神病の側面を考慮する必要がある。これらの局面には、感情的又は精神運動の激越、言語的又は身体的攻撃、妄想、及び幻覚が含まれる。
2. 最低KarXT用量90/9mg/日(30/3.0mg TID)の服用12(来院10)
【0298】
応答者及び再発の定義は、NPI-C精神病スコア(幻覚及び妄想のサブスコアの合計)に基づく。
【0299】
処置期間は、幻覚及び妄想ドメイン、NPI-Cの2つのドメイン、14ドメインスケール、及びCGI-Iスケールに基づく。NPI-Cスケールの各ドメインは、複数の項目を有する。各項目は、0~3の臨床印象重症度スコアを有する。この試験は、NPI-C H+Dスコア(最大スコア=45点)が2つのドメインを含むことを定義する。妄想ドメインは、8項目(最大スコア=24)、幻覚ドメインは、7項目(最大スコア=21)を有する。
【0300】
二重盲検無作為化中止処置期間に入るための応答基準は、ベースライン(1日目)と比較したNPI-C H+Dスコアにおける二重盲検無作為化中止処置期間の開始時に≧40%の減少(改善)であり、二重盲検無作為化中止処置期間の開始時にCGI-Iスコア1(非常に改善)又は2(大幅に改善)である。CGI-Iでは、評価者が変化の全体的な評価を行う前に、激越/攻撃性及び精神病の側面を考慮する必要がある。これらの局面には、感情的又は精神運動の激越、言語的又は身体的攻撃、妄想、及び幻覚が含まれる。
【0301】
試験の主要エンドポイントは、二重盲検無作為化中止処置期間中の無作為化から再発までの時間である。対象は、再発したとみなされる以下の4つの基準のうちの少なくとも1つを満たさなければならない。NPI-C H+Dスコアの二重盲検無作為化中止処置期間の開始からの≧40%増加(悪化)及び二重盲検期間の開始と比較して6(大幅に悪化)又は7(非常に悪化)のCGI-Iスコア(両方の基準が同じ来院で満たされた)。CGI-Iでは、評価者が変化の全体的な評価を行う前に、激越/攻撃性及び精神病の側面を考慮する必要がある。単盲検処置期間は、8、10、12、14、又は16週間であり得、二重盲検処置期間は、22、24、26、28、又は30週間であり得る。
【0302】
対象は、再発したとみなされる以下の4つの基準のうちの少なくとも1つを満たさなければならない:
o NPI-C H+Dスコアの二重盲検無作為化中止処置期間の開始からの≧40%増加(悪化)及び二重盲検無作為化中止処置期間の開始と比較して6(大幅に悪化)又は7(非常に悪化)のCGI-Iスコア(両方の基準が同じ来院で満たされた)。これらの局面には、感情的又は精神運動の激越、言語的又は身体的攻撃、妄想、及び幻覚が含まれる。
o 対象は、二重盲検無作為化中止処置期間内に認知症に関連する妄想及び/又は幻覚のために、抗精神病薬(KarXT以外)で処置される。
o 対象は、二重盲検無作為化中止処置期間中、(対象又は介護者/試験パートナーによって報告される)有効性の欠如のために治験薬を中止するか若しくは試験を中止し、又は治験責任医師は、有効性の欠如のために治験薬を中止する。
o 対象は、二重盲検無作為化中止処置期間中に精神病、興奮又は攻撃症状の悪化のために入院した。
【0303】
探索的有効性エンドポイントは、以下を含む:
o NPI-C:H+Dスコア、NPI-Cコアスコア(幻覚、妄想、激越、及び攻撃ドメイン)、CGI-S、CMAI、NPI-C総スコア、及びMMSEにおける単盲検処置期間の終了時までのベースラインからの変化。CGI-Sでは、評価者が変化の全体的な評価を行う前に、精神病の側面を考慮する必要がある。これらの態様には、幻覚及び妄想が含まれる。
o NPI-C:H+Dスコア、NPI-Cコアスコア(幻覚、妄想、激越、及び攻撃ドメイン)、CGI-S、CMAI、NPI-C総スコア及びMMSEにおける無作為化からエンドポイントへの変化。
o 単盲検処置期間及びエンドポイント終了時のCGI-Iスコア。CGI-Iでは、評価者が変化の全体的な評価を行う前に、精神病の側面を考慮する必要がある。これらの態様には、幻覚及び妄想が含まれる。
o 処置応答(単盲検処置期間の終了時及び2週間前のNPI-C:H+Dスコア≧40%減少及び1[非常に改善]又は2[大幅に改善]のCGI-Iスコア)処置応答(10週目来院時及び12週間の単盲検処置期間の終了時のNPI-Cコア:H+Dスコア≧40%減少及び1[非常に改善]又は2[大幅に改善]のCGI-Iスコア)。
【0304】
実施例3 - アルツハイマー病認知症に関連する精神病の処置のためのKarXTの安全性及び有効性を評価するための第3相二重盲検プラセボ対照並行群試験
この試験の目的は、NPI-C精神病スコア(幻覚及び妄想)スコアによって測定されるADに関連する精神病を有する対象の処置におけるKarXTの有効性をプラセボと比較して評価し、CMAIによって測定されるADに関連する精神病を有する対象の処置に対するKarXTの有効性をプラセボと比較して評価することである。この試験はまた、AD認知症に関連する精神病を有する対象におけるKarXTの薬物動態(PK)を特徴付けるために、NPI-Cコアスコア、NPI-C激越/攻撃スコア(激越及び攻撃ドメイン)、NPI-C総スコア、及びCGI-Iスコアに対するKarXTの有効性をプラセボと比較して評価して、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて認知に対するKarXTの影響を評価することを目的とする。
【0305】
中等度から重度の精神病を伴う軽度から重度のAD認知症を有する55~90歳の男性及び女性対象を、本試験に登録する。除外基準及び選択基準は、実施例2と同じである。
【0306】
主要エンドポイントは、幻覚と妄想の2つのドメインを含むNPI-C H+Dスコアのベースラインからの変化である。妄想ドメインは、8項目(最大スコア=24)を有し、幻覚ドメインは、7項目(最大スコア=21)を有する。完全なNPI-Cコアスコアも使用することができる。
【0307】
対象は、リード期間中にプラセボを受けてもよく、NPI-H+Dスコアが40%以上低下した(ベースラインから2週目の終わりまでの変化)対象は、無作為化されない。さらに、対象は、CGI-Sスコア≧4(中等度)、8項目のうちの2項目でNPI-C妄想ドメインスコア≧2、及びNPI激越/攻撃ドメインスコア≧4を有する必要がある。NPI激越/攻撃ドメインスコア≧4は、AD対象試験における2つのブレクスピプラゾール及び1つのエスシタロプラムの激越において、選択基準として使用されている。
【0308】
対象は、いくつかの実施例では12週間続く無作為化処置期間中に二重盲検KarXT又はプラセボを受ける。各対象は、耐容性及び有効性に基づいて、最大200/20mg/日まで、対象に適したKarXTの最大用量まで漸増される。投与は柔軟であるが、対象は、6週目の終わりまでにKarXT 120/12mg/日の最低用量に達する必要がある。
【0309】
KarXTは、経口カプセル中の酒石酸塩としてのキサノメリンmg/塩化トロスピウムmgとして表される:KarXT 20/2.0mg、KarXT 30/3.0mg、KarXT 40/4.0mg、KarXT 50/5.0mg及びKarXT 66.7/6.67mg。実施例2に記載された剤形もまた、この試験において使用される。KarXTの投与は、耐容性及び臨床応答に基づいて、処置の3週目から柔軟である。
・ 1日目:対象はKarXT60/6mg/日(20/2.0m TID)で開始する
・ 1週目の終わり:用量を90/9mg/日(30/3.0mg TID)に増加する
・ 2週目の終わり:耐容性の問題の経験がない限り、用量を120/12mg/日(40/4.0mg TID)に増加すべきである
・ 3週目の終わり:場合による150/15mg/日(50/5.0mg TID)への用量増加
・ 4週目の終わり:場合による200/20mg/日(66.7/6.67mg TID)への用量増加
・ 5週目以降:5週目の終わりに従って投与を継続するか、又は対象の耐容性及び臨床応答に応じて変更する
【0310】
有効性の主要エンドポイントは、NPI-C H+Dスコアにおけるベースラインからエンドポイントへの変化であり、これは非構造化分散-共分散行列を用いた反復測定(MMRM)の混合モデルを用いて分析され、処置、試験施設及び来院については1週間の固定クラス効果項、来院週ごとの処置の相互作用項、並びに来院週ごとのベースラインNPI-C H+Dスコアの相互作用項を共変数とする。主要な二次主要有効性エンドポイントは、CMAI総スコアのベースラインからエンドポイントへの変化であり、これは非構造化分散-共分散行列を用いたMMRMを用いて分析され、処置、試験施設及び来院については1週間の固定クラス効果項、来院週ごとの処置の相互作用項、並びに来院週ごとのベースラインCMAI総スコアの相互作用項を共変量とする。
【0311】
二次有効性解析には、以下が順番に含まれる:
・ NPI-C精神病スコア、NPI-Cコアスコア、NPI-C激越、及びNPI-C攻撃スコア、及びNPI-C総スコアのベースラインからエンドポイントへの変化
・ 精神病、激越、及び攻撃性に関連するCGI-Sのベースラインからエンドポイントへの変化
・ エンドポイントにおいてNPI-Cコアスコアのベースラインからエンドポイントへの50%減少を有する対象のパーセンテージ
・ エンドポイントにおける精神病、激越、及び攻撃性に関連するCGI-I。
【0312】
実施例4
この試験の目的は、NPI-C H+Dスコアによって測定されるADに関連する精神病を有する対象の処置におけるKarXTの有効性をプラセボと比較して評価し、CMAIによって測定されるADに関連する精神病を有する対象の処置に対するKarXTの有効性をプラセボと比較して評価することである。この試験はまた、AD認知症に関連する精神病を有する対象におけるKarXTの薬物動態(PK)を特徴付けるために、NPI-Cコアスコア、NPI-C激越/攻撃スコア(激越及び攻撃ドメイン)、NPI-C総スコア、及びCGI-Iスコアに対するKarXTの有効性をプラセボと比較して評価して、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて認知に対するKarXTの影響を評価することを目的とする。
【0313】
中等度から重度の精神病を伴う軽度から重度のAD認知症を有する55~90歳の男性及び女性対象を、この試験に登録する。除外基準及び選択基準は、実施例2と同じである。
【0314】
主要エンドポイントは、幻覚と妄想の2つのドメインを含むNPI-H+Dスコアのベースラインからの変化である。妄想ドメインは、8項目(最大スコア=24)を有し、幻覚ドメインは、7項目(最大スコア=21)を有する。
【0315】
最初の12週間は、対象を2つのコホートに分ける。第1のコホートをKarXTで処置し、第2のコホートをプラセボで処置する。第1コホートと第2コホートとの間でNPI-C H+Dの改善を記録する。第1のコホートの各対象は、耐容性及び有効性に基づいて、最大200/20mg/日まで、対象に適したKarXTの最大用量まで漸増される。投与は柔軟であるが、対象は、12週目の終わりまでにKarXT 120/12mg/日の最低用量に達する必要がある。
【0316】
改善は、<40%のNPI-H+Dスコアの増加として測定される(第1のコホートと第2のコホートとの間のベースラインからエンドポイントへの変化)。加えて、対象は、CGI-Sスコア≧4(中等度)、8項目のうちの2項目でNPI-C妄想ドメインスコア≧2、及びNPI激越/攻撃ドメインスコア≧4を有する必要がある。この実施形態は、実施例2の再発試験の非盲検部分に似ているが、代わりに、精神病に対する急性の利益を探すために二重盲検である(EMERGENT-1の臨床設計に似ている)。
【0317】
前述の説明は、理解を明確にするためにのみ与えられたものである。本開示の範囲内の修正が当業者には明らかであり得るので、不必要な限定は、それらから理解されるべきではない。本明細書を通して、組成物が成分又は材料を含むものとして記載される場合、特に記載のない限り、組成物は、列挙された成分又は材料の任意の組み合わせから本質的になるか、又はそれからなることもできることが企図される。同様に、方法が工程を含むものとして記載される場合、特に記載のない限り、方法は、列挙された工程の任意の組み合わせから本質的になるか、又はそれらからなることもできることが企図される。本明細書に例示的に開示される開示は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素又は工程の非存在下で適切に実施されてもよい。
【0318】
本明細書に開示される方法、及びその個々の工程の実施は、手動で、及び/又は電子機器によって提供される自動化の助けを借りて、実行することができる。プロセスを実施形態を参照して説明したが、当業者は、方法に関連する動作を実行する他の方法を使用できることを容易に認識するであろう。例えば、様々な工程の順序は、特に記載のない限り、方法の範囲又は趣旨から逸脱することなく変更することができる。個々の工程のいくつかは、組み合わせるか、省略するか、又は追加の工程にさらに細分することもできる。
【0319】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが認識される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴は、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。本明細書に記載される一般的な化学式に含まれる変数によって表される化学基に関連する実施形態の全ての組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物(即ち、単離、特徴付け及び生物学的活性について試験することができる化合物)を包含する程度まで、各々の組み合わせが個別に明示的に記載されたかのように、本発明によって具体的に包含される。さらに、そのような変数を記載する実施形態に列挙された化学基の全てのサブコンビネーション、並びに本明細書に記載された使用及び医学的適応症の全てのサブコンビネーションも、化学基の各々、及び全てのサブコンビネーション、並びに使用及び医学的適応症のサブコンビネーションが本明細書に個々に明示的に列挙されたかのように、本発明によって具体的に包含される。
【0320】
本明細書に引用される全ての特許、刊行物及び参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と、組み込まれた特許、刊行物及び参考文献との間に矛盾がある場合、本開示が優先するものとする。
図1
【国際調査報告】