(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】多層コート表面を生成するためのプロセスおよび多層コート表面を含む製品
(51)【国際特許分類】
B05D 1/38 20060101AFI20240209BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240209BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20240209BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20240209BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240209BHJP
A47B 96/20 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
B05D1/38
B05D7/24 301T
B05D3/06 101Z
B05D3/06 102Z
B32B27/16 101
B32B27/18 Z
A47B96/20 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550640
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 PL2022050003
(87)【国際公開番号】W WO2022182259
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517130920
【氏名又は名称】シャトデツォル スプウカ ス オルガニザツィーノン オトゥポビエジャルノシチョン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェイヴィアン イェルジィ
(72)【発明者】
【氏名】スムス ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】コニエクズニィ クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ノワキ マテウシュ
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075AE13
4D075BB43Y
4D075BB46Y
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4F100JN26C
(57)【要約】
本発明による方法は、担体が少なくとも2つのワニス塗装層で被覆され、2つの層が電子硬化型ワニスから作られ、これは層間の接着を増加させる添加物を含むことができ、担体側から数えて最初に塗布され、層間接着増加添加物を含む層がエキシマランプで照射され、次いで電子照射またはUV光により予備重合される場合、次いで、これまた層間接着増加添加物を含む第2の層を塗布した後、合わされた層が電子照射またはUV光により硬化されることにある。他方、担体側から数えて最初に塗布された層が、電子照射またはUV光により予備重合されるだけであるなら、次いで、層間の接着を増加させる添加物を含む第2の層を塗布した後、エキシマランプによる照射に供せられ、次いで合わされた層が電子照射またはUV光により硬化される。その結果、エキシマランプを用いてリファイニングされたその層と電子照射またはUV光で硬化されただけの層が、それらの事象の順序に関係なく、結びつけられた製品を得ることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子またはUV光硬化型ワニスの塗布のための機械上でリファイニングされる、多層マットワニス塗装表面を担体上で生成する方法であって、前記担体は、ワニスを塗布するコーティングシステムにおいて、層間のワニスの接着を増加させる添加物を含むワニスの層でコートされる方法において、
前記担体(1)は少なくとも2つのワニスの層でコートされ、2つの層(4、5)は前記層間の接着を増加させる添加物を含み得る電子硬化型ワニスでできており、前記担体側から数えて最初に塗布された、前記層間の接着を増加させる添加物を含む前記層(4)は、エキシマランプによる照射、次いで電子照射またはUV光による予備重合に供され、次いで、これもまた前記層間の接着を増加させる添加物を含む第2の層(5)を塗布した後、合わされた層が電子照射またはUV光により硬化され、前記担体側から数えて最初に塗布された前記層(4)が電子照射またはUV光により予備重合されただけである場合、前記層間の接着を増加させる添加物を含む第2の層(5)を塗布した後、エキシマランプにより照射され、次いで合わされた層が電子照射またはUV光により硬化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
プリント層(2)が、直接前記担体(1)に、前記電子またはUV硬化型層(4、5)の塗布前に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エキシマランプにより照射されない前記層(4、5)は艶消し剤が添加された電子硬化型ワニスでできていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
コーティングの接着強度を改善する添加物は、プロポキシル化グリセロールトリアクリレートが添加された高感度ポリエチレンに基づく微粉化ワックスに基づいて開発された添加物の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層間の接着を改善するために、前記ワニスは2から6kGyの線量を有する電子ビームで照射されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
電子硬化型ワニス層を完全に硬化させるために、それらは30から60kGyの線量を有する電子ビームで照射されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電子硬化型ワニス層を完全に硬化させるために、それらは60kGyの線量を有する電子ビームで照射されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
多層ワニス塗装表面および担体を含む家具製品であって、
請求項1から7のいずれかに記載の方法により得られた多層表面で被覆され、前記層間の接着を改善する添加物を5から30重量%で含む少なくとも1つの型の電子硬化型ワニスでワニス塗装された、少なくとも担体1を含み、一方、前記家具製品の3次元効果は電子硬化型ワニスの最終層の構造に起因することを特徴とする、家具製品。
【請求項9】
エキシマ照射で処理されていない前記層は、3-11μmの直径を有する艶消し剤を含むことを特徴とする、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
前記艶消し剤はポリメチルメタクリレートおよび/またはシリカであることを特徴とする、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
前記担体(1)は紙または石油系箔または木質系ボードであることを特徴とする、請求項8に記載の製品。
【請求項12】
前記担体(1)はインプリントされた層(2)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の製品。
【請求項13】
完全重合度まで硬化される前記続く層(4、5)は異なる光沢度を有することを特徴とする、請求項8に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の主題は、多層コート表面を生成するための方法、および、紙フィルムまたはプラスチック担体、特にBOPP、COPP、PVC、PETまたは木質系ボードなどの担体上に多層コート表面を含む製品である。
【0002】
発明は家具表面の生成に適用することができる。それはまた、メラミン表面の生成において構造を提供するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
家具表面上で使用される装飾的なコート材料は、印刷されていない、または、凹版印刷、フレキソ印刷またはデジタル印刷、などにより印刷された、無色またはカラーコーティングで被覆された、紙またはプラスチック箔である。
【0004】
発明US2015354132A1号は、リノリウムまたはコルクライニングを含む少なくとも1つのベース層、および、その上のメタクリレート系コーティングを含み、高エネルギー光子源をUVランプと組み合わせて使用する照射により硬化された、シート材料を記載する。
【0005】
層間の光沢の違いによる改善された視覚効果を有する多層マットコート表面を得るための方法もまた知られている。特許出願US2020087529A1号では、基材は艶消し剤、例えばシリカを含む第1および第2の光沢制御層でコートされる。マット表面効果はこの薬剤を使用することによってのみ達成される。層は、最初に電離放射線により、次いで熱硬化により、2重硬化される。
【0006】
多層艶なし表面を生成する別の方法が出願P.426181号に記載される。それは方法およびこの方法により得られた製品を開示し、この場合、艶消し効果は、エキシマ処理を適用する、次いで層を紫外線/電子ビーム照射を用いて処理することにより、各塗布したワニス層をリファイニングすることにより得られる。これにより、その後のコーティングを有する、1°-2°の光沢を有するワニスまたは構造の単一層であった場合、6°より低い光沢を有するコーティングが可能になる。電子硬化型ワニスは別個に添加された艶消し剤を含まないが、表面は艶消し効果を有する。このように、完全艶消し効果が表面上で得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0354132号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0087529号公報
【特許文献3】ポーランド特許出願公開第426181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
主目的は、先行技術とは異なる視覚効果を有する表面を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電子またはUV光硬化型ワニスの塗布のための機械上でリファイニングされる、多層マットワニス塗装表面を担体上で生成する方法であって、前記担体は、ワニスを塗布するコーティングシステムにおいて、層間のワニスの接着を増加させる添加物を含むワニスの層でコートされる方法において、前記担体(1)は少なくとも2つのワニスの層でコートされ、2つの層(4、5)は前記層間の接着を増加させる添加物を含み得る電子硬化型ワニスでできており、前記担体側から数えて最初に塗布された、前記層間の接着を増加させる添加物を含む前記層(4)は、エキシマランプによる照射、次いで電子照射またはUV光による予備重合に供され、次いで、これもまた前記層間の接着を増加させる添加物を含む第2の層(5)を塗布した後、合わされた層が電子照射またはUV光により硬化され、前記担体側から数えて最初に塗布された前記層(4)が電子照射またはUV光により予備重合されただけである場合、前記層間の接着を増加させる添加物を含む第2の層(5)を塗布した後、エキシマランプにより照射され、次いで合わされた層が電子照射またはUV光により硬化されることを特徴とする方法である。
【0010】
多層ワニス塗装表面および担体を含む家具製品であって、上記の方法により得られた多層表面で被覆され、前記層間の接着を改善する添加物を5から30重量%で含む少なくとも1つの型の電子硬化型ワニスでワニス塗装された、少なくとも担体1を含み、一方、前記家具製品の3次元効果は電子硬化型ワニスの最終層の構造に起因することを特徴とする、家具製品である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
発明の製品および主題が図面において概略的に示される。
【
図1】実施形態1で記載される方法に従い得られた同期効果を有するポジ型の表面の断面を示す。
【
図2】実施形態2で記載される方法に従い得られた、または、実施形態5で記載されるデジタルオフライン印刷後の、非同期効果を有するポジ型の表面の断面を示す。
【
図3】実施形態3で記載される方法に従い得られた同期効果を有するネガ型の表面の断面を示す。
【
図4】実施形態4で記載される方法に従い得られた非同期効果を有するネガ型の表面の断面を示す。
【
図5】実施形態6で記載される方法に従い得られた印刷なしの表面の断面を示す。
【
図6】実施形態7で記載される方法に従い得られた同期効果を有するポジ型のデジタルオフライン印刷後の表面の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
驚いたことに、艶消し剤も含み得る、電子硬化型ワニスの連続コーティングを2つの上面層として塗布し、それらを同時にエキシマランプの照射に供すると、1つの表面内に異なる光沢を有するコーティングおよび構造が得られることが判明した。
【0013】
主目的は、先行技術とは異なる視覚効果を有する表面を得ることである。加えて、本発明による方法により、エキシマを用いてリファイニングされたコーティングおよび構造を、エキシマを用いてリファイニングされていないコーティングおよび構造と組み合わせることが可能になる。よって、製品変形物の各々は常に、エキシマで処理された1つの層および電子ビームを用いて、エキシマの媒介なしで硬化されただけの他の層を有する。
【0014】
本発明による方法は最先端の技術を、有効な装飾的表面、例えば、エキシマの使用を必要とするものを得る新たな可能性で補完する。
【0015】
発明の目的は、多層、3次元ワニス塗装家具表面を生成するための方法を開発することであり、この場合、少なくとも1つのワニス層がエキシマランプを用いてリファイニングされ、少なくとも1つの層がエキシマランプの使用なしで硬化され、エキシマを用いてリファイニングされた、またはされていない層のいずれの順序も許容される。我々が、以下で電子硬化型ワニスに言及する場合、それは、その重合プロセスが電子ビームまたはUV光による照射後に起こるワニスを意味する。エキシマ照射を用いたリファイニングに言及する場合、それは、アイテムが172ナノメートルの波長を有する光を発するキセノンエキシマランプにより照射されることを意味する。電子ビーム照射に関して言えば、それは、初期重合プロセス中、および、重合プロセスを完了するため、すなわち電子硬化型ワニス層の完全硬化中の両方で電子ビーム発生器により放射される。あるいは、UV光を使用することができ、それにより、十分な予備重合効果を得ることが可能になり、または、電子硬化型ワニス層を完全に硬化させることが可能になる。
【0016】
担体上で多層ワニス塗装表面を生成する方法の本質は、担体が少なくとも2つのワニス塗装層で被覆され、2つの層は電子硬化型ワニスでできており、それは、層間の接着を増加させる添加物を含むことができ、担体側から数えて最初に塗布され、層間接着増加添加物を含む層がエキシマランプで照射され、次いで電子照射またはUV光により予備重合される場合、次いで、これまた層間接着増加添加物を含む第2の層を塗布した後に、合わされた層が電子照射またはUV光により硬化されることである。他方、担体側から数えて最初に塗布された層が電子照射またはUV光により予備重合されただけである場合、次いで層間の接着を増加させる添加物を含む第2の層を塗布した後、エキシマランプによる照射に供せられ、次いで合わされた層が電子照射またはUV光により硬化される。
【0017】
好ましくは、プリント層が、電子またはUV硬化型層の塗布前に、担体に直接塗布される。
【0018】
エキシマランプの照射に供されていない層が、艶消し剤が添加された電子硬化型ワニスでできていれば、それもまた有利である。
【0019】
コーティングの接着強度を改善する添加物が、プロポキシル化グリセロールトリアクリレートが添加された高感度ポリエチレンに基づく微粉化ワックスに基づいた添加物の群から選択される場合、役立つ。
【0020】
層間の接着強度を確保するために、コーティングを2から6kGyの線量を有する電子ビーム処理に供することもまた有利である。
【0021】
電子硬化型ワニス層の硬化を完了するために、ワニスが30から60kGyの線量の電子ビームに供せられるならば、それもまた有利である。
【0022】
加えて、電子硬化型ワニス層の完全硬化のために、ワニスが60kGyの線量の電子ビームに曝露されるならば、それは有利である。
【0023】
多層ワニス塗装表面および担体を含む家具製品の本質は、それは、上記発明の方法により得られた多層表面で被覆され、層間の接着を改善する添加物を5から30重量%で含む少なくとも1つの型の電子硬化型ワニスでワニス塗装された、少なくとも担体を含むが、家具製品の3次元効果は電子硬化型ワニスの最終層の構造に起因することである。
【0024】
好ましくは、エキシマ照射で処理されていない層は、3-11μmの直径を有する艶消し剤を含む。
【0025】
加えて、艶消し剤はポリメチルメタクリレートおよび/またはシリカであることが好ましい。
【0026】
担体材料は紙または石油系箔または木質系ボードであれば、それは有利である。
【0027】
担体が印刷された層を含めば、それもまた有利である。
【0028】
完全重合度まで硬化させた後、その後の層は異なる光沢度を有するならば、それもまた有利である。
【0029】
所望の構造はオンラインで、コーティング機または印刷およびコーティング機の1回の通過中に、またはオフラインで、すなわちいくつかの機械を用いてまたは1つの機械の複数の通過で得ることができる。
【0030】
第2のワニス層および塗布された効果(第1の層の一部しか被覆していない)におけるエキシマランプの動作中、第1の層もまた、エキシマランプに曝露される。しかしながら、これは、第1の層の構造に影響しない。というのも、これはすでに部分的に硬化されているからである(ゲル化)。
【0031】
エキシマランプを用いてリファイニングされた層は、マット表面により特徴付けられ、それを得る方法はワニス構造における艶消し剤の使用を決定しない。他方、エキシマランプを用いてリファイニングされていない層は、より高い光沢の表面により特徴付けられ、使用されるワニスの組成物は艶消し剤を含んでも、含まなくてもよい。層4がエキシマで処理される場合、電子硬化型ワニスの2つの上面層において、ワニス組成物は層間の接着を増加させる添加物を含み、一方、層5がエキシマランプによる処理に供せられる状況では、この層のみが層間の接着を増加させる添加物を有する。
【0032】
上記手順により、装飾的表面の最終効果が提供される。塗布システムによって、例えば、光沢のあるレリーフ要素を有する艶なしベース、または所望のデザインパターンの艶なし要素を有する光沢のある表面の効果を得ることが可能である。レリーフ要素またはデザインパターンは、様々な凹版印刷シリンダの使用により作られ、それはまた、3次元効果の作製を可能にする。しかしながら、これらのパターンを塗布する方法は凹版シリンダに制限されない。他の可能な技術は、例えばフレキソ印刷、インクジェット(デジタル)印刷またはスクリーン印刷とすることができる。
【0033】
新規製品の主な利点は、装飾的表面を設計する可能性であり、この場合、電子硬化型ワニスの個々の層間の光沢の違いは、先行技術よりもずっと大きくすることができる。この方法による表面の追加の利点はまた、最終層を得る方法に起因する触覚効果である。
【0034】
別の利点はエキシマで強化された層を、電子ビームまたはUV光のみで硬化された層と、個々の層の順序に関係なく、組み合わせる可能性である。
【0035】
加えて、製品を生成する方法は、1回のエキシマ処理のコストのために、先行技術に比べて比較的安価である。
【0036】
図面内のマークのリストは様々な変形物における装飾的表面材料の個々の層のマークを含み、ここで、1は担体であり、2は印刷された層であり(所定の変形物において存在する場合)、3は保護ベースコートであり、4は電子硬化型ワニスの第1の層であり、これはワニスの接着を増加させるための添加物または艶消し剤を含むことができ、5はワニスの接着を増加させる添加物を有する電子硬化型ワニスの第2の層であり、艶消し剤を含み得る。
【0037】
層4および5は、それらがエキシマで処理されない場合にのみ、艶消し剤を含む。
【実施例】
【0038】
本発明の詳細な実施形態が以下で開示されるが、しかしながら、それは様々な形態で具体化され得る。そのため、本明細書で開示される詳細は制限するものと解釈されるべきではなく、発明をどのように作製および/または使用するかについての、当業者のための基礎にすぎないと解釈されるべきである。
【0039】
<実施形態1>
ポジ型および同期効果をもつ箔を生成するプロセスは、印刷およびワニス塗装機に基づく。印刷段階は、回転凹版印刷システムにより、実施される。木質様デザインパターン2が紙フィルムバンドでできた担体1上に塗布される。そのデザインがバンド上に、それを、十分な硬度のゴムでコートされた特別なローラーを用いて印刷シリンダに押しつけることにより転写される。シリンダがフィードローラーを用いて回転トナー容器に浸される。過剰塗料が印刷シリンダ上で調整可能スクレーパーブレードにより除去される。次いで、塗料のついたバンドは熱気室内で乾燥させられ、その後、次の印刷ユニットに運ばれる。担体は3つの印刷ステーションを通過する。水溶性塗料がこのプロセスにおいて使用される。
【0040】
次の段階は基材を保護層3でコートするものである。これは特別な凹版塗布シリンダにより達成され、この場合、プライマー3717.212が塗布される。シリンダは約6g/m2のプライマーを塗布し、これは、塗料のように、ガスドライヤーにおいて140℃の温度で硬化される。
【0041】
次の工程は、3WSコーティングシステムにより電子硬化型コーティング4の第1の層を塗布するものである。プロセスのこの段階では、コートは下記組成を有する。
・FL27692;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FLE27800;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2711;0.07部;表面の耐ひっかき性を増加させる硬化剤
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0042】
このように得られた7g/m2の重量を有するコーティングが172nmの波長を有するUV光を発するエキシマランプに供せられ、次いで、電子ビーム発生器における電子照射による予備重合(ゲル化)のプロセスに供せられる。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0043】
得られた表面は、60°のジオメトリーで測定すると6°未満の光沢を有する。
【0044】
次いで、担体バンドは、主デザインの異なる要素について同期パターンを有する凹版シリンダを有するステーションに運ばれる。ワニスはそのデザインプリント2に一致する場所に塗布される。構造5が下記からなるコートを用いてインプリントされる。
・FLE27800;1部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0045】
表面が電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子で硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0046】
得られた箔は、その断面が
図1において提示され、インプリントされたデザインの視覚効果とは別に、触覚的な印象もまた提供する。主デザインの異なる要素と相関する「多孔性」構造は60°のジオメトリーで測定して15°-18°の光沢度を有する。
【0047】
両方の塗布ユニットにおけるワニス混合物は、個々の層間の接着強度を改善する特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、第1の表面コーティングの生成の段階でコーティングをワニス層の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0048】
<実施形態2>
ポジ型および非同期効果を有する箔を得るために、デザインパターン2および保護ベースコート3が、実施形態1で示されるのと同じように、紙フィルムウェブ担体1に塗布される。次の工程は、3WSコーティングシステムにより電子硬化型コーティング4の第1の層を塗布するものである。プロセスのこの部分において、ワニスは艶消し剤を含み、下記組成を有する。
・SD70-8638;0.7部;0.2%シリカ
・SD70-8636;0.3部;31%ポリアクリレートおよび1.5%シリカ
【0049】
得られた8g/m2コーティングは電子ビーム発生器において予備重合される(ゲル化)。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0050】
得られた表面は60°のジオメトリーで測定して12°-15°の光沢度を有する。
次いで、担体バンドは、主デザインの異なる要素について非同期パターンを有する凹版シリンダを有するステーションに運ばれる。ワニスが、デザインパターン2のプリントに部分的に重なり、デザインパターンのプリントが塗布されなかった場所を部分的に被覆する場所において塗布される。構造5が下記からなるコートを用いてインプリントされる。
・FLE27800;1部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0051】
表面がエキシマランプに曝露され、次いで、電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子で硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0052】
得られた箔は、その断面が
図2において提示され、インプリントされたデザインの視覚効果とは別に、触覚的な印象もまた提供する。主デザインの異なる要素と相関しない「多孔性」構造は60°のジオメトリーで測定して1-2°の光沢度を有する。
【0053】
層5におけるワニス混合物は層4への接着を増加させる特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、第1の表面コートの生成の段階で、コーティングをワニス層の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0054】
<実施形態3>
ネガ型および同期効果を有する箔を得るために、デザインパターン2および保護ワニス3が実施形態1で示されるのと同じようにプラスチックフィルムウェブ担体1に塗布される。
【0055】
次の工程は、3WSコーティングシステムにより電子硬化型コーティング4の第1の層を塗布するものである。プロセスのこの段階では、コートは下記組成を有する。
・FLE27800;1部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0056】
8g/m2の坪量を有する得られたコーティングがエキシマランプに曝露され、次いで、電子ビーム発生器において予備重合プロセス(ゲル化)に曝露される。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0057】
この段階後、60°のジオメトリーで測定すると1°-2°の光沢を有する表面が得られる。
【0058】
生成プロセスにおける次の工程は、主デザインの異なる要素に同期構造5を塗布するものである。ワニスがネガシリンダにより、デザインパターンプリント2により前に被覆されていない場所に塗布される。
【0059】
プロセスのこの部分において、ワニスは艶消し剤を含み、下記組成を有する。
・SD70-8788;0.65部;0.2%シリカを含む
・SD70-8704;0.35部;30%ポリアクリレートおよび0.2%シリカを含む
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0060】
表面が電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子で硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0061】
ネガ凹版シリンダを用いて塗布された硬化コーティングの層は60°のジオメトリーで測定して12°-15°の光沢度を有する。この型の箔の断面が
図3に示される。
【0062】
両方の塗布ユニットにおけるワニス混合物は、個々の層間の接着強度を改善する特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、コーティングを、第1の表面コートの生成の段階でワニス層4の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0063】
<実施形態4>
ネガ型および非同期効果を有する箔を得るために、デザインパターン2および保護ワニス3が、実施形態1で示されるのと同じように、紙フィルム担体1に塗布される。
【0064】
電子硬化型ワニス4の第1の層が3WSコーティングシステムを用いて塗布される。プロセスのこの段階では、コートは下記組成を有する。
・FL27692;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FLE27800;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
【0065】
得られたコーティングが電子ビーム発生器において予備重合(ゲル化)プロセスに供せられる。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0066】
この段階後、60°のジオメトリーで測定すると27°-30°の光沢を有する表面が得られる。
【0067】
生成プロセスにおける次の工程は主木質様デザイン(main wood-like design)2の個々の要素に非同期構造5を塗布するものである。ワニスが、デザインパターン2のプリントに部分的に重なり、デザインパターンのプリントが塗布されなかった場所を部分的に被覆する場所において塗布される。
【0068】
パターンは、下記組成を有するワニスを使用して印刷される。
・FL27692;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FLE27800;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0069】
表面がエキシマランプに曝露され、次いで電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子により硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0070】
ネガ凹版シリンダを用いて塗布された硬化コーティングの層は60°のジオメトリーで測定して3°-4°の光沢度を有する。この型の箔の断面が
図4に示される。
【0071】
層5におけるワニス混合物は層4への接着を増加させる特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、コーティングを、第1の表面コートの生成の段階で、ワニス層4の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0072】
<実施形態5>
ポジ型を有し、非同期効果を有するオフラインワニス塗装表面が、デザインパターン2を紙フィルム担体1および保護ベースコート3に、実施形態1で示されるのと同じように塗布することにより得られる。
【0073】
次の技術サイクルにおいて、電子硬化型ワニス4の第1の層が3WSコーティングシステムを使用して塗布される。プロセスのこの部分において、ワニスは艶消し剤を含み、下記組成を有する。
・SD70-8638;0.7部;0.2%シリカ
・SD70-8636;0.3部;31%ポリアクリレートおよび1.5%シリカ
【0074】
得られた8g/m2コーティングは電子ビーム発生器において予備重合される(ゲル化)。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0075】
得られた表面は60°のジオメトリーで測定して12°-15°の光沢度を有する。
【0076】
次のオフライン技術サイクルでは、非同期構造5が別のコーティング機上で、層2を構成する木質様デザインの異なる要素に塗布される。ワニスが、デザインパターン2のプリントに部分的に重なり、デザインパターンのプリントが塗布されなかった場所を部分的に被覆する場所において塗布される。
【0077】
構造が下記からなるコートを用いてインプリントされる。
・FLE27800;1部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0078】
表面がエキシマランプに曝露され、次いで、電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子で硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0079】
得られた箔は、その断面が
図2において提示され、インプリントされたデザインの視覚効果とは別に、触覚的な印象もまた提供する。主デザイン2の異なる要素と相関しない「多孔性」構造は60°のジオメトリーで測定して1-2°の光沢度を有する。
【0080】
層5におけるワニス混合物は層4への接着を増加させる特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、第1の表面コートの生成の段階でコーティングをワニス層の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0081】
<実施形態6>
プライマー3717.212から構成される保護ベースコート3が、実施例1aで記載されるのと同じように、紙フィルムから構成される担体1に塗布される。
【0082】
次の工程は、3WSコーティングシステムにより電子硬化型コーティング4の第1の層を塗布するものである。プロセスのこの段階では、コートは下記組成を有する。
・FL27692;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FLE27800;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2711;0.07部;表面の耐ひっかき性を増加させる硬化剤
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0083】
7g/m2の坪量を有する得られたコーティングがエキシマランプに曝露され、次いで、電子ビーム発生器において予備重合プロセス(ゲル化)に曝露される。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0084】
得られた表面は60°のジオメトリーで測定して6°未満の光沢度を有する。
【0085】
次いで、担体ウェブは、飾り用装飾パターンを有する凹版シリンダステーションまで進む。構造5が下記からなるコートを用いてインプリントされる。
・FL27692;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FLE27800;0.5部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0086】
表面が電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子で硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0087】
視覚効果に加えて、
図5で示される断面を有する、得られた箔はまた、触覚的な印象を提供する。塗布された構造は60°のジオメトリーで測定して25°-28°の光沢度を有する。
【0088】
両方の塗布ユニットにおけるワニス混合物は個々の層間の接着強度を改善する特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、第1の表面コートの生成の段階でコーティングをワニス層の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0089】
<実施形態7>
電子硬化型ワニスコート4の第1の層が、電子硬化型プライマーの保護コートを有する、PALISデジタルプリンターによりデザインパターン2で前にインプリントされた担体1に、3WSコーティングシステムにより塗布される。プロセスのこの部分において、ワニスは艶消し剤を含み、下記組成を有する。
・SD70-8638;0.7部;0.2%シリカ
・SD70-8636;0.3部;31%ポリアクリレートおよび1.5%シリカ
【0090】
得られた8g/m2コーティングは電子ビーム発生器において予備重合される(ゲル化)。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・線量3kGy
・100kV高電圧
【0091】
得られた表面は60°のジオメトリーで測定して12°-15°の光沢度を有する。
【0092】
次の技術サイクルにおいて、同期構造5が木質様デザインパターン2の個々の要素に塗布される。ワニスはそのデザインプリント2に一致する場所に塗布される。
【0093】
構造5が下記からなるコートを用いてインプリントされる。
・FLE27800;1部;ポリマー樹脂ワニス
・FZ2720;0.15部;ワニス接着を増加させる添加物
【0094】
表面がエキシマランプに曝露され、次いで、電子ビーム発生器において全てのコート層の厚さ全体にわたって電子で硬化される。硬化パラメータ値は下記である。
・線量60kGy
・110kV高電圧
【0095】
得られた箔は、その断面が
図6において提示され、インプリントされたデザインの視覚効果とは別に、触覚的な印象もまた提供する。主デザイン2の異なる要素と相関しない「多孔性」構造は60°のジオメトリーで測定して1-2°の光沢度を有する。
【0096】
層5におけるワニス混合物は層4への接着を増加させる特別な添加物を含む。良好な接着強度を達成するための追加の条件は、第1の表面コートの生成の段階でコーティングをワニス層の予備重合(ゲル化)に供することである。
【0097】
上記実施形態とは関係なく、艶消し剤が添加された電子硬化型ワニスの使用により、滑らかな表面について10°-40°の範囲の光沢を得ることを可能になり、一方、構造化表面については、光沢が4°-5°まで低減され得る。他方、FL/FLEと印されたワニスは、エキシマランプによるリファインメントにおいて主に使用されるヘッセ(Hesse)ワニスである。これらのワニスは、エキシマランプを用いてリファイニングされた場合1°-6°(実際には1°-10°)の光沢、または、表面を電子ビーム/UV光で硬化させた場合10°-30°の範囲の光沢を有する硬化表面を保証する。様々な組み合わせでの上記ワニスの使用は異なる効果を有する製品とする。層4と5の光沢の大きな差が、先行技術とは完全に異なる効果を有する製品を得るのを可能にする。全ての実施形態がまさにそうした表面を示し、この場合、コーティング4および構造5は2~3度から数度まで変化する光沢を有する。
【国際調査報告】