(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】耐疲労性および耐破壊性が改善されたECGスタイレット
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
A61M25/01 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550642
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022017568
(87)【国際公開番号】W WO2022182790
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】エイキンス、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラッキー、ブレアナ イー.
(72)【発明者】
【氏名】バークホルツ、ジョナサン カール
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB16
4C267BB19
4C267BB40
4C267CC08
4C267GG02
4C267GG09
4C267HH06
(57)【要約】
患者の脈管構造内にカテーテルを配置するためのスタイレットが開示される。スタイレットは、電極を有するECGセンサアセンブリと、磁界を生成する磁気アセンブリと、コアワイヤと、ルーメンを画定するコイルとを含んでよい。コアワイヤの一部は、コイルのルーメン内に配置されてよい。カテーテルのルーメン内に配置されたスタイレットを含む血管内カテーテルが開示される。患者の上大静脈内にカテーテルを配置するための方法が提供される。方法は、カテーテルのルーメン内にスタイレットを挿入する工程と、ECGセンサアセンブリをECGシステムに接続する工程と、カテーテルを患者の脈管構造に沿って前進させる工程と、スタイレットの先端が上大静脈内に配置されたことがECG信号を介して示された際にカテーテルの前進を中止する工程と、スタイレットをカテーテルのルーメンから取り外す工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脈管構造内にカテーテルを配置するためのスタイレットであって、
前記スタイレットの近位端から遠位端まで延在する電極を含むECGセンサアセンブリであって、前記近位端はECGセンサに結合するよう構成されている、ECGセンサアセンブリと、
前記スタイレットの遠位先端部分に沿って配置された磁気アセンブリであって、磁界を生成する磁気アセンブリと、
前記磁気アセンブリから近位に延在するコアワイヤと、
ルーメンを画定するコイルであって、前記スタイレットの遠位部分に沿って延在するコイルと、を備え、
前記コアワイヤの遠位部分は、前記ルーメン内に配置されているスタイレット。
【請求項2】
前記スタイレットは、前記カテーテルのルーメン内に挿入されるよう構成されている、請求項1に記載のスタイレット。
【請求項3】
前記スタイレットは、前記患者の上大静脈内に前記カテーテルを配置するよう構成されている、請求項1または2に記載のスタイレット。
【請求項4】
前記電極は前記コアワイヤを含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項5】
前記電極は前記コイルを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項6】
前記磁気アセンブリは、前記ルーメン内に配置された複数の磁石素子を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項7】
前記磁石素子の各々は、円筒形状を有し、前記磁石素子は、前記ルーメン内で端と端を接して配置されている、請求項6に記載のスタイレット。
【請求項8】
1つまたは複数の磁石素子が前記コイルに取り付けられている、請求項6または7に記載のスタイレット。
【請求項9】
前記コイルは前記コアワイヤに取り付けられている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項10】
前記コイルは前記コアワイヤと電気的に結合されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項11】
前記コイルは、第1螺旋を形成するコイル部材を備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項12】
前記コイル部材は、幅および厚さを有する矩形の断面形状を有する、請求項11に記載のスタイレット。
【請求項13】
前記コイル部材は、第1コイル部材であり、前記コイルは、少なくとも第2螺旋を形成する少なくとも第2コイル部材を備える、請求項11または12に記載のスタイレット。
【請求項14】
前記第1コイル部材および前記第2コイル部材は互いに交差する、請求項13に記載のスタイレット。
【請求項15】
前記コイルは、編組構造または織物構造を画定する少なくとも3つのコイル部材を備える、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項16】
前記遠位部分に沿って延在するシースをさらに備え、前記シースは前記コイルを覆う、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項17】
前記コアワイヤは、前記コアワイヤの近位部分に沿って延在する第1厚さと、前記コアワイヤの遠位部分に沿って延在する第2厚さとを含み、前記第2厚さは前記第1厚さ未満である、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項18】
前記コアワイヤは、前記第1厚さと前記第2厚さとの間に延在するテーパを含む、請求項17に記載のスタイレット。
【請求項19】
前記コアワイヤの前記遠位部分は円形である、請求項17または18に記載のスタイレット。
【請求項20】
前記コアワイヤの前記遠位部分は、前記磁石アセンブリに沿って延在する、請求項17乃至19のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項21】
前記コイルに結合された遠位先端部材をさらに備える、請求項1乃至20のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項22】
前記遠位先端部材は導電性材料から形成されている、請求項21に記載のスタイレット。
【請求項23】
前記遠位先端部材は前記コイルと電気的に結合されている、請求項22に記載のスタイレット。
【請求項24】
前記コアワイヤは、前記磁気アセンブリを越えて遠位に延在する、請求項1乃至23のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項25】
前記遠位先端部材は前記コアワイヤと電気的に結合されている、請求項24に記載のスタイレット。
【請求項26】
前記コアワイヤの近位端で前記コアワイヤに取り付けられたハンドルをさらに備える、請求項1乃至25のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項27】
前記コアワイヤの前記近位端で前記コアワイヤに結合されたテザーをさらに備え、前記テザーは、前記電極の一部を形成する導電体を備える、請求項1乃至26のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項28】
前記幅は0.01mm~1mmである、請求項12乃至27のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項29】
前記厚さは0.01mm~1mmである、請求項12乃至28のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項30】
前記第1螺旋のピッチは0.01mm~10mmである、請求項11乃至29のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項31】
血管内カテーテルアセンブリであって
ルーメンを備えるカテーテルと、
前記カテーテルの前記ルーメン内に配置された、請求項1に記載のスタイレットと、を備える血管内カテーテルアセンブリ。
【請求項32】
前記カテーテルは、患者の上大静脈内に前記カテーテルの先端を配置するよう構成されている、請求項31に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項33】
前記カテーテルの遠位端および前記スタイレットの遠位端は、実質的に同一末端である、請求項31または32に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項34】
前記カテーテルアセンブリの遠位部分に沿ったプリフォームド曲線をさらに有する、請求項31乃至33のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項35】
前記プリフォームド曲線は、前記スタイレットのプリフォーム曲線によって画定される、請求項34に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項36】
前記スタイレットの前記コイルの全体が前記ルーメン内に配置される、請求項31乃至35のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項37】
前記スタイレットのシースの全体が前記ルーメン内に配置される、請求項31乃至36のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐疲労性および耐破壊性が改善されたECGスタイレットに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な健康上の問題を検出および/または治療するために、CVC(中心静脈カテーテル)を含むがこれに限定されない、様々な血管内デバイスが患者の脈管構造に挿入されることがある。CVCは、血液、血液製剤、治療薬、および/または診断薬の送達および/または回収のために中心静脈(例えば、鎖骨下静脈および上大静脈)または右側心腔を利用するように設計された任意のカテーテルを含む血管内デバイスである。CVCはまた、血行動態データの取得のために中心静脈または右側心室に挿入されるカテーテルを含む。静脈内アクセスのための標準的な中心静脈カテーテル、透析カテーテル、PICC(経皮的に導入される中心カテーテル)ライン、および右心カテーテルは、CVCの例である。いくつかの用途では、血管内デバイス、例えば、CVC(中心静脈カテーテル)が、患者のSVC(上大静脈)に挿入され得る。
【0003】
血管内デバイスの特定の位置配置は非常に重要であり、患者の健康に著しい影響を及ぼす可能性がある。例えば、先端が理想的な位置に配置されたCVC(中心静脈カテーテル)は、短期および長期の合併症を最小限に抑えながら、最適な治療送達を伴う信頼性の高い血管アクセスを提供する。
【0004】
CVCは長年にわたって使用されてきたが、CVCの先端の位置を判定することは常に問題が多い。さらに、初期配置の間に先端がどこにあるかを知る必要があることに加えて、CVCは、移動または初期配置後に移動し得るとともに、再位置決めを必要とする場合がある。従って、作業者は、先端の位置を監視するかまたは定期的に再確認しなければならない。
【0005】
カテーテル先端の配置および確認のための位置決め技術として、ECG(心電図)ベースの誘導を使用することができる。心臓の電気伝導系は、胸腔内の特定の位置および/または特定の心臓機能または状態を示す特定の電気信号、電気エネルギー分布およびその挙動を生成する。血管内でまたは脈管内で、すなわち血管内からまたは心臓内から測定されるとき、心臓の電気的活動の特定のパラメータを使用することで、心血管系における特定の位置および/または正常もしくは異常な機能状態を特定することができる。
【0006】
いくつかのカテーテル誘導システムはまた、カテーテル先端の磁気ベースの追跡のためのTLS(先端位置/ナビゲーションシステム)モダリティを含み得る。そのようなシステムは、患者の脈管構造内に配置されるカテーテル内のスタイレットに結合された磁気素子を含んでよい。いくつかの例では、磁気素子は、スタイレットから分断されることで、患者を粒子状塞栓に暴露し得る。
【0007】
本明細書に開示されるのは、磁気ベースの追跡システムと共に使用するためのスタイレットの信頼性を向上させ、それによって磁気素子がスタイレットから切り離される可能性を低減するとともに、粒子状塞栓への暴露に対する患者の安全性を向上させるための新しいデバイスおよび方法である。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、患者の脈管構造内にカテーテルを配置するためのスタイレットが開示される。スタイレットは、スタイレットの近位端から遠位端まで延在する電極を有するECGセンサアセンブリを含み、近位端は、ECGセンサに結合するよう構成される。スタイレットは、スタイレットの遠位部分に沿って配置された磁気アセンブリをさらに含み、磁気アセンブリは磁界を生成する。スタイレットはさらに、磁気アセンブリから近位に延在するコアワイヤと、ルーメンを画定するコイルとを含む。コイルはスタイレットの遠位部分に沿って延在しており、コアワイヤの遠位部分はコイルのルーメン内に配置されている。
【0009】
スタイレットは、カテーテルのルーメン内に挿入されるよう構成されてよく、スタイレットはまた、患者の上大静脈内にカテーテルを配置するよう構成されてよい。電極は、コアワイヤおよびコイルを含んでよい。
【0010】
磁気アセンブリは、コイルのルーメン内に配置された複数の磁石素子を含んでよい。磁石素子の各々は、円筒形状を有し、磁石素子は、ルーメン内で端と端を接して配置されてよい。1つまたは複数の磁石素子がコイルに取り付けられてよい。
【0011】
コイルは、コアワイヤに取り付けられてよく、また、コアワイヤと電気的に結合されてよい。コイルは、螺旋を形成するコイル部材を含んでよい。コイル部材は、幅および厚さを有する矩形の断面形状を有してよい。
【0012】
コイルは、少なくとも第2螺旋を形成する第2コイル部材を含んでよく、第1コイル部材および第2コイル部材は互いに交差してよい。いくつかの実施形態では、コイルは、編組構造または織物構造を画定する少なくとも3つのコイル部材を含む。スタイレットは、スタイレットの遠位部分に沿って延在するシースを含んでよく、シースはコイルを覆ってよい。
【0013】
コアワイヤは、コアワイヤの近位部分に沿って延在する第1厚さと、コアワイヤの遠位部分に沿って延在する第2厚さとを有してよく、第2厚さは第1厚さ未満でもよい。コアワイヤは、第1厚さと第2厚さとの間に延在するテーパを含んでよい。コアワイヤの遠位部分は円形であってもよく、いくつかの実施形態では、コアワイヤの遠位部分は、磁石アセンブリに沿って延在する。
【0014】
スタイレットは、コイルに結合された遠位先端部材を含んでよく、遠位先端部材は導電性材料から形成されてよい。遠位先端部材はまた、コイルと電気的に結合されてよい。
コアワイヤの遠位部分は、磁石アセンブリを越えて遠位に延在してもよく、コアワイヤは、コアワイヤと電気的に結合されてよい。
【0015】
スタイレットは、コアワイヤの近位端でコアワイヤに取り付けられたハンドルをさらに含んでよく、スタイレットはまた、コアワイヤの近位端でコアワイヤに結合されたテザーをさらに含んでもよく、テザーは、電極の一部を形成する導電体を含む。
【0016】
スタイレットにおいて、0.01mm~1mmの幅と、0.005mm~1mmの厚さとを有してよい。螺旋のピッチは、0.01mm~10mmであってよい。
本明細書では、血管内カテーテルアセンブリも開示される。カテーテルアセンブリは、ルーメンを有するカテーテルと、カテーテルのルーメン内に配置されたスタイレットとを含む。スタイレットは、スタイレットの近位端から遠位端まで延在する電極を有するECGセンサアセンブリを含み、近位端は、ECGセンサに結合するよう構成される。スタイレットは、スタイレットの遠位部分に沿って配置された磁気アセンブリをさらに含み、磁気アセンブリは磁界を生成する。スタイレットはさらに、磁気アセンブリから近位に延在するコアワイヤと、ルーメンを画定するコイルとを含む。コイルはスタイレットの遠位部分に沿って延在しており、コアワイヤの遠位部分はコイルのルーメン内に配置されている。
【0017】
カテーテルアセンブリは、患者の上大静脈内にカテーテルの先端を配置するよう構成されてよく、カテーテルの遠位端は、スタイレットの遠位端と実質的に同一末端であってよい。
【0018】
カテーテルアセンブリは、カテーテルアセンブリの遠位部分に沿ったプリフォームド曲線を含んでよく、プリフォームド曲線は、スタイレットのプリフォーム曲線によって画定されてよい。
【0019】
スタイレットのコイルの全体がルーメン内に配置されてもよく、スタイレットのシースの全体がルーメン内に配置されてよい。
本明細書では、患者の上大静脈内にカテーテルを配置する方法も開示する。方法は、カテーテルのルーメン内にスタイレットを挿入する工程を含む。スタイレットは、スタイレットの近位端から遠位端まで延在する電極を含むECGセンサアセンブリを含み、電極は、ECG信号をECGシステムに送信するよう構成される。スタイレットはさらに、磁界を生成する磁気アセンブリと、スタイレットの遠位端から近位に延在する長尺コイルとを含む。コイルは、磁気アセンブリを収容するルーメンを画定する。
【0020】
方法は、ECGセンサアセンブリをECGシステムに接続する工程と、カテーテルを患者の脈管構造に沿って前進させる工程と、スタイレットの先端が上大静脈内に配置されたことがECG信号を介して示された際にカテーテルの前進を中止する工程と、スタイレットをカテーテルのルーメンから取り外す工程とをさらに含む。
【0021】
本方法のいくつかの実施形態では、スタイレットはハンドルを含み、本方法は、ハンドルにトルクを手動で加えることで、カテーテル内でスタイレットを回転させる工程をさらに含む。本方法はさらに、ハンドルおよびカテーテルにトルクを手動で加えることで、脈管構造内でカテーテルを回転させる工程を含んでよい。
【0022】
本方法は、スタイレットの遠位先端をカテーテルの遠位先端と位置合わせする工程と、コイルの導電性コイル部材に沿ってECG信号を送信する工程とをさらに含んでよい。
本明細書で提供される概念のこれらおよび他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮することで、当業者により明らかになるであろう。
【0023】
添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによって、本開示はより詳細に説明される。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を使用してさらに具体的かつ詳細に、記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】いくつかの実施形態による、患者および統合システムの補助により患者内に挿入されたカテーテルの簡略図。
【
図2】いくつかの実施形態による、
図1の統合システムに関連して用いられるスタイレットの斜視図。
【
図3A】いくつかの実施形態による、
図2のスタイレットのカテーテル係合セクションの側面図。
【
図3B】いくつかの実施形態による、接合点におけるカテーテル係合セクションの一部分の詳細側面図。
【
図3C】いくつかの実施形態による、カテーテル係合セクションの移行部分の側断面図。
【
図3D】いくつかの実施形態による、カテーテル係合セクションの遠位先端部分の側断面図。
【
図4】いくつかの実施形態による、
図1のカテーテルおよびスタイレットを含むカテーテルアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に切り離すことができ、本明細書に開示される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0026】
本明細書で使用する用語に関しては、各用語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書において提示される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。序数(たとえば、第1、第2、第3等)は、一般的に、複数の特徴または工程の群の中で互いに異なる特徴または工程を区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴または工程は、必ずしもこの順序で現れる必要はなく、またそのような特徴または工程を含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴または工程に限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表記は、便宜的に使用されており、たとえば、いかなる特定の固定的な位置、向き、または方向も意味するものではない。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」で表す単数形は、複数形を含む。
【0027】
方向を示す用語「近位」および「遠位」は、本明細書では、医療装置における対向する位置を指すために使用される。装置の近位端は、装置がエンドユーザによって使用されるときに、エンドユーザに最も近く、患者からより遠い装置の端部として定義される。遠位端は、装置の長手方向に沿った近位端の反対側の端部、またはエンドユーザから最も遠く、患者により近い端部である。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書に用いるあらゆる技術的用語および科学的用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
図1は、カテーテル配置システム(システム)10の様々な特徴を示している。システム10は、一般的に、患者70の脈管構造内にカテーテルを正確に配置するよう構成されたカテーテル配置システムに関する。カテーテル配置システム10は、カテーテル配置精度を改善する以下の3つのモダリティを使用する。1)カテーテルを患者の脈管構造に導入するための超音波支援誘導、2)カテーテル先端の磁気ベースの追跡のためのTLS(先端位置/ナビゲーションシステム)、および3)ECG信号ベースのカテーテル先端誘導。上記の3つのモダリティの組み合わせによって、カテーテル配置システム10は、比較的高いレベルの精度で患者の脈管構造内へのカテーテル配置、すなわち、所定の所望の位置へのカテーテルの遠位先端の配置をすることが可能になる。さらに、カテーテル先端のECGベースの誘導によって、正確な先端配置が、確認のためのX線を必要とせずに確認され得る。これは、したがって、潜在的に有害なX線への患者の被曝、X線部門への患者70の移送およびX線部門からの患者70の輸送に伴う費用および時間、費用がかかり不便なカテーテル再配置手順などを低減する。
【0029】
システム10の組み合わされた特徴は、カテーテル72を配置する医師による使用のために単一の装置に統合される。3つのモダリティを単一のデバイスに統合することによって、カテーテル配置プロセスを単純化するとともに、比較的に速いカテーテル配置を可能になる。統合カテーテル配置システム10は、超音波、TLS、およびECGのアクティビティを統合システムの単一のディスプレイから観察することを可能にする。TLSおよびECGベースの誘導のいくつかのシステムおよび方法は、「Method and system of utilizing ECG signal for central venous catheter tip positioning」の名称を持つ米国特許第9220432号、および「Integrated system for intravascular placement of a catheter」の名称を持つ米国特許第9999371号に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。TLSシステムおよびECGベースの誘導とともに使用するためのスタイレットおよびカテーテルのさらなる開示は、以下の米国特許において見出され得る。米国特許第8388541号、米国特許第8781555号、米国特許第8784336号、米国特許第8849382号、米国特許第9636031号、米国特許第9649048号、および米国特許第9901714号(これらの各々は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる)。
【0030】
図1は、コンソール20、ディスプレイ30、プローブ40、およびセンサ50を含む、システム10の様々な構成要素を更に示す。
図1は、皮膚挿入部位73を通って患者の脈管構造内にカテーテル72を配置する手順における、患者70に対する構成要素の一般的な関係を示す。カテーテル72は、一般的に、患者70の外部に残る近位部分74と、配置が完了した後に患者の脈管構造内に存在する遠位部分76とを含む。システム10は、カテーテル72の遠位先端76Aを患者の脈管構造内で所望の位置に最終的に位置決めするために使用される。いくつかの実施形態では、カテーテル遠位先端76Aの所望の位置は、SVC(上大静脈)の下3分の1(1/3)部分など、患者の心臓に近接している。同然のこととして、システム10は、カテーテル遠位先端76Aを他の位置に配置するために使用されてよい。カテーテル近位部分74は、ハブ74Aをさらに含む。ハブ74Aは、カテーテル72の1つまたは複数のルーメンとハブ74Aから近位に延在する1つまたは複数の延長脚部74Bとの間の流体連通を形成する。
【0031】
スタイレット130は、カテーテル72内に取り外し可能に装填されるとともに、挿入中に使用されることで、カテーテルの遠位先端76Aを患者の脈管構造内の所望の位置に配置する。スタイレット130は、一実施形態では、遠位端130Bが、その遠位端76Aにおいてカテーテル開口部と実質的に同一平面上にあるか、または同一末端にあるように、カテーテル72のルーメン内に事前に装填されてよい。本明細書ではスタイレットとして説明されているが、他の実施形態では、ガイドワイヤまたは他のカテーテル案内装置は、本明細書で説明される実施形態の原理を含んでよいことに留意されたい。
【0032】
図2は、カテーテル72から取り外されたスタイレット130を示す。以下に
図2を参照して、スタイレット130の様々な詳細を説明する。図示されるように、スタイレット130は、近位端230Aおよび遠位端230Bを画定するとともに、ECGセンサアセンブリ210および磁気アセンブリ211を含む。コネクタ232は、近位端230Aに含まれ、テザー134は、コネクタ232から遠位に延在するとともに、ハンドル236に取り付けられる。コアワイヤ238は、ハンドル236から遠位に延在する。スタイレット130のアセンブリおよび構成要素の各々は、以下に詳細に説明される。
【0033】
ハンドル236は、カテーテル72からのスタイレット130の挿入/取外しを可能にするために配置される。コアワイヤ238が回転可能である実施形態では、ハンドル236はさらに、コアワイヤ238がカテーテル72のルーメン内で回転することを可能にすることによって、患者70の脈管構造を通ってカテーテル遠位部分をナビゲートすることを補助する。
【0034】
ハンドル236は、テザー134の遠位端に取り付けられる。本実施形態では、テザー134は、コアワイヤ238およびコネクタ232の両方に電気的に接続された1つまたは複数の導体234(例えば、ワイヤ)を収容する可撓性シールドケーブルである。したがって、テザー134は、コアワイヤ238の遠位部分からスタイレット130の近位端230Aのテザーコネクタ232までの導電経路を形成する。コネクタ232は、カテーテル遠位先端76Aを患者の脈管構造内で所望の位置へナビゲートすることを支援するために、患者の胸部上のTLSセンサ50への動作可能な接続のために構成されてよい。スタイレット130のカテーテル係合セクション233は、遠位端230Bとハンドル236との間に延在する。
【0035】
図3A乃至
図3Dは、スタイレット130のカテーテル係合セクション233の詳細を示す。
図3Aは、カテーテル係合セクション233の側面図を示す。
図3Aに示されるように、カテーテル係合セクション233は、近位部分301および遠位部分302を含む。近位部分301は、ハンドル236から接合点305まで遠位に延在しており、遠位部分302は、接合点305から遠位端230Bまで遠位に延在する。遠位部分302は、遠位端230Bから近位に延在する遠位先端部分306と、接合点305から遠位に延在する移行部分304とを含む。
【0036】
上述したように、スタイレット130は、近位部分301に沿ってハンドル236から遠位に延在するとともに、遠位部分302に少なくとも部分的に沿って延在する長尺形状を画定するコアワイヤ238を含む。コイル320およびシース330は、以下にさらに詳細に記載されるように、遠位部分302に沿って延在する。コアワイヤ238は、ステンレス鋼、または一実施形態では「ニチノール」として一般に知られるニッケルおよびチタン含有合金等の形状記憶材料を含む、適切なスタイレット材料から形成される。本明細書では記載されないが、いくつかの実施形態では、スタイレット130は、カテーテル係合セクション233に沿って1つまたは複数の予め成形された(例えば、湾曲した)構成を含むことで、カテーテル72の遠位部分を同様の対応する予め成形された構成になるように付勢してよい。他の実施形態では、コアワイヤ238は予め成形することを含まない。
【0037】
図3Bは、接合点305におけるカテーテル係合セクション233の詳細図である。
図3Bに示されるように、コアワイヤ238は、第1断面直径311を有する接合点305から近位に延在する。コイル320およびシース330は、接合点305から遠位に延在する。
図3Cに示されるように、コアワイヤ238の遠位部分は、接合点305から遠位に延在するとともに、コイル320のルーメン327内に配置される。いくつかの実施形態では、シース330は、接合点305から近位に延在することで、コアワイヤ238の少なくとも一部を覆う。
【0038】
コイル320は、接合点305から遠位端230Bまで遠位部分302に沿って延在する。コイル320は、スタイレット130が脈管構造の内壁に損傷を与えることなく脈管構造の湾曲した経路に沿うように、遠位部分302の可撓性および剛性特性を規定する。コイル320はまた、遠位部分302の堅牢性および/または耐疲労特性を規定し得る。換言すれば、コイル320は、使用中の破損に対するスタイレット130の信頼性を規定し得る。より具体的には、コイル320は、使用中に遠位部分302が1回または複数回曲げられた場合に、遠位部分302の破損を防止し得る。
【0039】
図3Bおよび
図3Cを参照すると、コイル320はコイル部材322から形成されている。いくつかの実施形態では、コイル320は、2つ以上のコイル部材322を含んでよい。コイル部材322の構造的特性(すなわち、断面形状および材料)は、遠位部分302の可撓性および/または堅牢性を少なくとも部分的に規定し得る。例えば、厚い断面を有するコイル部材322は、薄い(すなわち、より厚みの少ない)断面を有するコイル部材302よりも小さく遠位部分302の可撓性および/または堅牢性を規定し得る。コイル部材322の断面形状は、円形または非円形であってよい。図示の実施形態では、コイル部材は、幅323および厚さ324を有する矩形の断面形状を有する。図示の実施形態では、コイル部材322の幅323は、約0.01mm~0.5mmであってよい。他の実施形態では、幅323は、約0.01mm~0.3mm、0.05mm~0.3mm、0.1mm~0.3mm、または0.01mm~1mmであってよい。図示される実施形態では、コイル部材322の厚さ324は、約0.005mm~0.3mmであってよい。他の実施形態では、厚さ324は、約0.01mm~0.3mm、0.05mm~0.3mm、0.05mm~0.2mm、または0.01mm~1mmであってよい。いくつかの実施形態では、コイル部材322は円形を含んでよい。そのような実施形態では、直径は約0.005mm~0.3mmであってよい。他の実施形態では、直径は、約0.01mm~0.3mm、0.05mm~0.3mm、または0.05mm~0.2mmであってよい。いくつかの実施形態では、コイル部材322は、例えば、編組ケーブル等のケーブルを形成する複数のワイヤフィラメントから形成されてよい。
【0040】
コイル320はまた、ピッチ325、すなわちコイル320の隣接する巻線の間隔を画定する。いくつかの実施形態において、コイル320は、コイル320の巻線が互いに直接隣接して配置されるように、すなわち、隣接する巻線が互いに接触するよう構成されてよい。他の実施形態では、コイル320は、隣接する巻線間に空間または分離を画定するよう構成されてよい。いくつかの実施形態では、コイル320のピッチ325は、約0.01mm~10mmであってよい。他の実施形態では、ピッチ325は、約0.01mm~1mm、0.01mm~0.5mm、または0.1mm~0.3mmであってよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、コイル320の幅323および/またはピッチ325は、遠位部分302、すなわちコイル320の長さに沿って変化してよい。いくつかの実施形態では、幅323および/またはピッチ325は、相互に関連し得る。例えば、より長い幅323は、より長いピッチ325を画定してもよく、より短い幅323は、より短いピッチ325を画定してよい。当業者によって理解され得るように、ピッチ325と組み合わせられた幅323は、遠位部分302に沿ったスタイレット130の可撓性および/または堅牢性を少なくとも部分的に、いくつかの実施形態では実質的に規定し得る。遠位部分302が脈管構造に沿って前進すると、遠位部分302は、異なる曲げ半径を有する湾曲形状を有してよい。例えば、遠位先端部分306に沿った曲げ半径は、移行部分304に沿った曲げ半径よりも小さくてよい。したがって、コイル320が、移行部分304より遠位先端部分306に沿って短い幅323および対応する短いピッチ325を有することで、遠位先端部分306に沿ってより大きな可撓性および/または堅牢性を規定することが有利であり得る。遠位部分302に沿って幅323および/またはピッチ325を変化させることによって、剛性、可撓性、および堅牢性は、遠位部分302に沿って最適化され得る。同様に、コイル部材322の幅323を変更することによって、剛性、可撓性、および堅牢性を規定し得る。ピッチ変更のおよび幅の変更に関するさらなる説明は、
図3Dを参照して以下に記載される。
【0042】
図示の実施形態では、コイル320は、単一の螺旋を形成する単一のコイル部材322を含む。他の実施形態では、コイル320は、螺旋配向で配置される、2つ、3つ、4つ、またはそれより多いコイル部材322を含んでよい。図示の実施形態では、単一のコイル部材322は単一のコイル層を画定する。他の実施形態では、2つ以上のコイル部材322が互いに共巻きされることで、単一のコイル層を画定してよい。他の実施形態では、2つ以上のコイル部材322が互いに共巻きまたは逆巻きされることで、1つよりも多い層を画定してよい。いくつかの実施形態では、3つ以上のコイル部材322がコイル320の編組構造または織物構造を画定するように配置されてよい。
【0043】
コイル部材322は、ステンレス鋼またはニチノール(上記参照)などの金属材料から形成されてよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のコイル部材322が、ポリマー材料用に形成されてよい。図示される実施形態では、コイル320は、コイル320の近位端から遠位端に電気を伝導するよう構成されてよい。
【0044】
コイル320は、コアワイヤ238と物理的に結合される。コイル320とコアワイヤ238との間の結合は、コイル320とコアワイヤ238との間の電気的接続を画定してよい。図示された実施形態において、コイル320は、コイル320の近位端で溶接329によってコアワイヤ238に取り付けられてよい。いくつかの実施形態では、結合は、干渉する寸法によって規定される、コアワイヤ238に対してコイル320を径方向に締め付ける力を含んでよい。換言すれば、自由状態では、コイル320が組み立てられたとき、すなわちコアワイヤ238がコイル320のルーメン327内に配置されたときに、コアワイヤ238に対して径方向内向きに締め付ける力を及ぼすように、コイル320の内径は、コアワイヤ238の第1直径311未満でもよい。他の実施形態では、コイル320は、接着剤によってコアワイヤ238に取り付けられてよい。当業者によって理解され得るように、コイル320は、任意の他の適切な取付方法によって、コアワイヤ238およびコイル320の重複する長さに沿った1つまたは複数の他の場所において、コアワイヤ238に取り付けられてよい。
【0045】
図3Cは、遠位部分302の移行部分304の側面図を示し、コイル320およびシース330の部分が断面で示されている。上述したように、コアワイヤ238の遠位部分は、コイル320のルーメン327内に配置される。コアワイヤ238の直径は、遠位部分に沿って、第1直径311から第2直径312まで遠位に移行してよい。図示の実施形態では、移行はテーパ313によって画定されてよい。いくつかの実施形態では、遠位部分302の可撓性および/または剛性は、移行部分304に沿ったコアワイヤ238の曲げ剛性とコイル320の曲げ剛性との組み合わせによって規定されてよい。当業者によって理解され得るように、コアワイヤ238の剛性は、コアワイヤ238の直径の減少とともに減少する。換言すれば、カテーテル係合セクション233の剛性は、移行部分304に沿って徐々に減少し得る。コアワイヤ238の第1直径311は、約0.01mm~0.5mmであってよい。他の実施形態では、第1直径311は、約0.01mm~0.3mm、0.05mm~0.3mm、または0.1mm~0.3mmであってよい。同様に、第2直径312は、約0.01mm~0.5mmであってよい。他の実施形態では、第2直径312は、約0.01mm~0.3mm、0.05mm~0.3mm、または0.1mm~0.3mmであってよい。テーパ313の長手方向テーパ長314は、約3mm~30mmであってよい。他の実施形態では、テーパ長314は、約10mm~30mm、20mm~30mm、または23mm~27mmであってよい。
【0046】
シース330は、接合点305から遠位端230Bまでコイル320の外部に沿って配置される。シース330は、遠位部分302の平滑な外面および/または低摩擦の外面を形成することで、遠位部分302をカテーテル72内へ挿入することを可能にしてよい。シース330は、組み立て中にコイル320が挿入される押出チューブから形成されてよい。いくつかの実施形態では、シース材料は、シース330がシース材料の硬化/固化時に形成されるように、液体状態でコイル320に塗布されてよい。他の実施形態では、シース330は、収縮性チューブから形成されてよい。このような実施形態では、組み立てプロセスは、コイル320を収縮性チューブ内に配置することと、その後、収縮性チューブをコイル320上に収縮させることとを含んでよい。さらに他の実施形態では、シース330は、コイル320の周りに巻き付けられたテープから形成されてよい。シース材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、または任意の他の適切なポリマー材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、シース330は、遠位部分302の剛性に寄与し得る。例えば、シース330は、遠位部分302のプリフォーム形状を画定することを可能にしてよい。
【0047】
図3Bの図は、シース330の近位の第1直径311よりも大きいシースの外径を示しているが、いくつかの実施形態では、カテーテル係合セクション233は、接合点305以降も実質的に一定の断面サイズ(例えば、直径)を含んでよい。シース330の外径は、コアワイヤ238の第1直径311と実質的に等しくてよい。そのような場合、第1直径311、テーパ313、コイル部材厚さ324、およびシース厚さ334は、接合点305以降も実質的に一定の外径を画定するように大きさを有しおよび/または長手方向に配置されてよい。
【0048】
図3Dは、遠位先端部分306の断面詳細図である。上述したように、スタイレット130は、遠位端230Bに近接して遠位先端部分306に沿って配置された磁気アセンブリ211を含む。磁気アセンブリ211は、システム10のTLSモード中に使用されるよう構成されてよい。磁気アセンブリ211は、コイル320のルーメン327内に配置された複数の磁気素子344を含む。複数の磁気素子344は、遠位端230Bから近位に延在する磁気素子344の線形配列を形成してよい。図示の実施形態では、磁気素子344は、磁気素子144の端面346が互いに隣接して配置されるように端と端を接して積層された中実円筒形状の20個の強磁性磁石を含む。しかしながら、他の実施形態では、磁気素子344は、形状だけでなく、組成、数、サイズ、磁気タイプ、およびルーメン327内および遠位先端部分306に沿った位置においても、この設計と異なってよい。1つまたは複数の磁気素子344は、ルーメン327との磁気素子344の長手方向の変位が制限され得るように、コイル320に取り付けられてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、磁気アセンブリ211は、磁気素子344の隣接する端面346間に空間または分離345を有してよい。空間345は、遠位先端部分306が湾曲形状で配置されるときに、コイル320および/またはシース330にかかる応力および/または歪みを低減することを可能にし得る。遠位先端部分306に沿った応力または歪みの低減により、遠位先端部分306に沿ったスタイレット130の破損を阻止することで、スタイレット130の信頼性を向上させ得る。いくつかの実施形態では、空間345は、1つまたは複数の磁気素子344の一方または両方の端面346から延在する、中央延長部347によって画定されてよい。いくつかの実施形態では、中央延長部347は、一方または両方の端面346上で丸みまたは面取りの形状を有してよい。
【0050】
磁気素子144は、スタイレット遠位端230Bの位置を患者の胸部上に配置されたTLSセンサ50(
図1参照)によって観察可能であるように、遠位先端部分306に沿って配置される。TLSセンサ50は、スタイレット130がカテーテル72と共に患者の脈管構造を通って前進する際に、磁気素子344の磁界を検出するよう構成されている。このようにして、カテーテル72を配置する医師は、一般的に、患者の脈管構造内のカテーテル遠位端76Aの位置を判定するとともに、例えば、望ましくない静脈に沿ったカテーテルの前進等、カテーテル位置異常が発生しているときを検出することができる。
【0051】
図3Dに示すように、スタイレット130は、遠位端230Bに配置された遠位先端部材350を含んでよい。遠位先端部材350は、コイル320およびシース330の一方または両方の遠位端を越えて延在してよい。遠位先端部材350は、コイル320に取り付けられてよい。遠位先端部材350はまた、コイル320と電気的に結合されてよい。遠位先端部材350は、導電性材料から形成される。いくつかの実施形態では、遠位先端部材350は、ステンレス鋼または任意の他の適切な金属材料等の金属材料から形成されてよい。そのような実施形態では、遠位先端部材350はコイル320に溶着されてよい。他の実施形態では、遠位先端部材350は、導電特性を有する非金属材料から形成されてよい。例えば、遠位先端部材350は、導電性エポキシを含んでよい。遠位先端部材350は、スタイレット130がECG信号を検出する能力を向上させるように、スタイレット130の遠位端230Bの導電性表面を少なくとも部分的に画定および/または増加させてよい。
【0052】
コネクタ232、導体234、コアワイヤ238、コイル320、および遠位先端部材350は全て、互いに電気的に通信することで、スタイレット130の遠位端230Bから近位端230AへECG信号を伝送するための導電経路を含むECGセンサアセンブリ210を画定する。したがって、ECGセンサアセンブリ210は、患者70の体液(例えば、上大静脈内の血液)からECGセンサ50へEGC信号を送信することを可能にする電極を画定する。ECGセンサアセンブリ210は、挿入中にカテーテル72のルーメン内に配置されたスタイレット130を、患者の心臓のSAまたは他の結節によって生成される心房内ECG信号の検出に使用することを可能にする。これによって、患者の心臓に近接した脈管構造内で所定の位置へカテーテル72の遠位先端76Aをナビゲートすることを可能にする。したがって、ECGセンサアセンブリ210は、カテーテル遠位先端76Aの適切な配置を確認する際に補助として機能する。
【0053】
いくつかの実施形態では、コアワイヤ238は遠位端230Bまで遠位に延在してよい。そのような実施形態では、コアワイヤ238の一部は、磁気素子344とコイル320のルーメン内側表面との間に配置されてよい。コアワイヤ238は、遠位先端部材350と直接的に電気的に結合されており、したがって、コアワイヤ238は、コイル320と電気的に結合される必要はない。
【0054】
図3Bに関連して上述したように、コイル320のピッチおよび/またはコイル部材322の幅は、遠位部分302に沿って変化してよい。したがって、いくつかの実施形態では、ピッチは、
図3Bに示されるような接合点305に隣接するピッチ325と、
図3Dに示されるような遠位端230Bに隣接するピッチ335との間で、遠位部分302に沿って変化してよい。いくつかの実施形態では、ピッチ335は、接合点305に隣接するスタイレット130の可撓性および/または堅牢性よりも大きい、遠位端230Bにおけるスタイレット130の可撓性および/または堅牢性を規定するように、ピッチ325よりも小さくてよい。いくつかの実施形態では、ピッチ335は、遠位先端部分306に沿って増加してもよく、ピッチ325は、移行部分304に沿ってピッチ335に向かって徐々に変化してよい。
【0055】
同様に、いくつかの実施形態では、コイル部材322の幅は、
図3Bに示されるような接合点305に隣接する幅323と、
図3Dに示されるような遠位端230Bに隣接する幅333との間で、遠位部分302の長さに沿って変化してよい。いくつかの実施形態では、幅333は、接合点305に隣接するスタイレット130の可撓性および/または堅牢性よりも大きい、遠位端230Bにおけるスタイレット130の可撓性および/または堅牢性を規定するように、幅323よりも小さくてよい。いくつかの実施形態では、幅333は、遠位先端部分306に沿って増加してもよく、幅323は、移行部分304に沿って幅333に向かって徐々に変化してよい。
【0056】
図4は、カテーテル72のルーメン内に配置されたスタイレット130を有するカテーテル72を含むカテーテルアセンブリ400を示す。いくつかの実施形態では、スタイレット130は、製造中にカテーテル72とともに配置されてよい。他の実施形態では、医師は、カテーテルを患者の脈管構造に挿入する前に、スタイレット130をカテーテル72内に挿入してよい。図示された実施形態では、スタイレット130は、スタイレット130の遠位端230Bがカテーテル72の遠位先端76Aと実質的に同一末端にあるようにカテーテル72内に配置されることで、スタイレットおよびカテーテルの両方の遠位先端を互いに実質的に整列して配置する。他の実施形態では、スタイレット130の遠位端230Bは、カテーテル72の遠位先端76Aと実質的に同一末端でなくてよい。
【0057】
図示の実施形態では、カテーテルアセンブリ400は、プリフォームド曲線410を含む。プリフォームド曲線410は、スタイレット130のプリフォームド曲線、カテーテル72のプリフォームド曲線、またはその両方によって画定されてよい。使用のいくつかの実施形態では、医師は、ハンドル236にトルクを加えることで、カテーテル72に対してスタイレット130を回転させてよい。そうすることにより、曲線410をカテーテル72のハブ74Aに対して異なる方向に配向してよい。使用の他の実施形態では、医師は、ハンドル236およびカテーテル72にトルクを同時に加えることで、患者70の脈管構造内でカテーテルアセンブリ400を回転させる。これによって、患者70に対して曲線410を再配向してよい。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ400は、1つよりも多いプリフォームド曲線410を含んでよい。他の実施形態では、プリフォームド曲線410は省略されてよい。
【0058】
図示の実施形態では、スタイレット130は、接合点305をカテーテル72内に配置するために、十分にカテーテル72内に挿入される。この実施形態では、コイル320およびシース330の全体が、カテーテル72内に配置される。他の実施形態では、接合点305は、カテーテル72の外部、すなわち、カテーテルハブ74Aの近位に配置されてよいので、コイル320およびシース330の一部のみがカテーテル72内に配置される。
【0059】
本明細書で開示された任意の方法は、記載された方法を実行するための1つまたは複数の工程または動作を含む。方法の工程および/または動作は、互いに入れ替えられてよい。言い換えれば、工程または動作の特定の順序が実施形態を適切に実施するために必要とされない限り、特定の工程および/または動作の順序および/または使用は変更されてよい。
【0060】
使用時、スタイレット130は、カテーテル72のルーメン内に装填されることで、カテーテル配置前にカテーテルアセンブリを画定してよい。スタイレット130は、製造業者の段階でカテーテルルーメン内に事前に装填されてよく、またはカテーテル挿入前に医師によってカテーテル内に装填されてよいことに留意されたい。スタイレット130は、スタイレット130の遠位端230Bがカテーテル72の遠位先端76Aと実質的に同一末端にあるようにカテーテルルーメン内に配置されることで、スタイレットおよびカテーテルの両方の遠位先端を互いに実質的に整列して配置する。カテーテル72およびスタイレット130が同一末端にあることで、磁気アセンブリ211が、TLSモードでTLSセンサ50とともに機能して、カテーテル遠位先端76Aが患者の脈管構造内を前進する際にカテーテル遠位先端76Aの位置を追跡することが可能になる。しかしながら、システム10の先端確認機能のために、スタイレット130の遠位端230Bが、カテーテル遠位端76Aと同一末端である必要はないことに留意されたい。具体的には、患者の心臓のSA結節または他の結節の電気インパルスを検出することができるように、脈管構造とECGセンサアセンブリ210との間の導電経路が確立されることだけが必要である。一実施形態におけるこの導電経路は、生理食塩水、血液などを含む様々な構成要素を含むことができる。
【0061】
一実施形態では、カテーテル72が挿入部位73(
図1)を通って患者の脈管構造内に導入されると、システム10のTLSモードを使用して、カテーテル遠位先端76AをSA結節に近接する意図した目的地に向かって前進させることができる。心臓の領域に接近すると、ECG信号は、ECGセンサアセンブリ210を介してシステム10に送信されてよい。カテーテル72およびスタイレット130が患者の心臓に向かって前進させられると、遠位先端部材250を含む導電性ECGセンサアセンブリ210は、SA結節によって生成される電気インパルスを検出し始める。このように、ECGセンサアセンブリ210は、ECG信号を検出するための電極として機能する。
【0062】
ECGセンサアセンブリ210は、ECG信号をTLSセンサ50に伝達する。ECGセンサアセンブリ210は、テザーコネクタ232を介してTLSセンサ50に動作可能に接続されている。上述したように、ECG信号は次に処理され、システムディスプレイ30(
図1)上に表示される。TLSセンサ50によって受信され、ディスプレイ30によって表示されるECG信号を監視することにより、医師は、カテーテル遠位先端76AがSA結節に向かって前進するときの信号の変化を観察および分析することができる。
【0063】
ECGセンサアセンブリ210および磁気アセンブリ211は、脈管構造内にカテーテル72を配置する際に医師を支援する際に協調して動作することができる。一般的に、スタイレット130の磁気アセンブリ211は、カテーテル72の遠位端76Aを患者の心臓の一般的な領域に配置するように、医師が最初のカテーテル挿入から脈管構造において一般的にナビゲートすることを支援する。次いで、ECGセンサアセンブリ210は、ECGセンサアセンブリ210がSA結節に接近する際に心臓によって生成されるECG信号の変化を医師が観察することを可能にすることによって、カテーテル遠位端76AをSVC内の所望の位置に案内するために使用されてよい。再び、適切なECG信号プロファイルが観察されると、医師は、スタイレット130およびカテーテル72の両方の遠位端が患者の心臓において所望の位置に到達したと判定することができる。所望の位置に配置されたら、カテーテル72を所定の位置に固定し、スタイレット130をカテーテルルーメンから取り外してよい。
【0064】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されるとともに、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態は、本明細書で提供された概念の範囲を制限することを意図するものではない。追加的な適応および/または変更が当業者に理解され得る。より広い態様では、これらの適応および/または変更もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱してよい。
【国際調査報告】