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特表2024-507384骨移植片システム、骨移植片、及び、このような骨移植片を製作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】骨移植片システム、骨移植片、及び、このような骨移植片を製作するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20240209BHJP
   A61F 2/38 20060101ALI20240209BHJP
【FI】
A61F2/28
A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551751
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2022054544
(87)【国際公開番号】W WO2022180107
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】102021201783.5
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ヘティヒ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097AA07
4C097AA08
4C097AA11
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC02
4C097CC13
4C097MM02
(57)【要約】
本発明は、異なる外径(DA2からDA7)を有する複数の異なるディスク要素(2から7)を備え、ディスク要素を異なる組み合わせで互いに軸方向に積層して形成することができる、骨インプラントシステム(1)に関する。異なる積層配列(S1、S2)であって、ディスク要素の異なる外径により、前記異なる席相配列(S1、S2)は、異なる外側輪郭(A、A1)を有し、ディスク要素の各々は、上側面上に配列された形状嵌合部分(8)と、軸方向に反対側の下側面上に配列された相補的な形状嵌合部分(9)と、を有しており、前記形状嵌合部分という手段により、前記異なる積層配列内における前記ディスク要素が、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結されることが可能である。本発明はまた、そのような骨インプラントシステムを使用して製造される骨インプラント(100)、およびそのようなインプラントを製造する方法にも関する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる外径(DA2からDA7)を有する複数の異なるディスク要素(2から7)を有する、骨移植片システム(1)であって、
前記ディスク要素(2から7)が、異なる積層配列(S1、S2)を形成するために、異なる組み合わせで、軸方向に互いに積層されることが可能であり、前記異なる積層配列(S1、S2)が、前記ディスク要素(2から7)の前記異なる外径(DA2からDA7)を理由に、異なる外側輪郭(A、A´)を有しており、
前記ディスク要素(2から7)の各々が、上側面上に配列された形状嵌合部分(8)と、軸方向に反対側の下側面上に配列された相補的な形状嵌合部分(9)と、を有しており、前記形状嵌合部分という手段により、前記異なる積層配列(S1、S2)内における前記ディスク要素が、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結されることが可能である、
骨移植片システム(1)。
【請求項2】
前記ディスク要素(2から7)の各々が、リングに形作られているとともに、好ましくは同一の内径(DI)を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の骨移植片システム(1)。
【請求項3】
前記ディスク要素(2から7)の各々が、前記上側面又は前記下側面から前記軸方向に突出している少なくとも1つのスペーサ部分(13)を有しており、それにより、前記ディスク要素(2から7)が、軸方向の間隙(15)を形成しつつも、前記異なる積層配列(S1、S2)において、互いに重ねて積層されることが可能である、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の骨移植片システム(1)。
【請求項4】
前記ディスク要素(2から7)の各々が、前記上側面内又は前記下側面内に陥凹しているとともに接続用材料(V)を受容するために設けられた、少なくとも1つの受容凹部(14)を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに一項に記載の骨移植片システム(1)。
【請求項5】
前記形状嵌合部分(8)の各々が、少なくとも1つの軸方向突出接続ピン(11)を有すること、及び、前記相補的な形状嵌合部分(9)の各々が、前記軸方向に導入された少なくとも1つの受容孔(12)を有すること、又は、前記形状嵌合部分(8)の各々が、前記軸方向に導入された少なくとも1つの受容孔(12)を有すること、及び、前記相補的な形状嵌合部分(9)の各々が、少なくとも1つの軸方向突出接続ピン(11)を有すること、を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の骨移植片システム(1)。
【請求項6】
前記ディスク要素(2から7)の各々が、前記円周方向においてオフセットして配列された、複数の接続ピン(11)及び/又は受容孔(12)を有しており、前記異なるディスク要素(2から7)の前記接続ピン(11)及び/又は前記受容孔(12)の前記配列が、同一の孔パターンを形成している、ことを特徴とする、請求項5に記載の骨移植片システム(1)。
【請求項7】
少なくとも3つの、好ましくは6つよりも多い、特に好ましくは12よりも多い、異なるディスク要素(2から7)が提供されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の骨移植片システム(1)。
【請求項8】
異なる外径(DA2からDA7)を有して、軸方向に互いに重ねて積層された複数のディスク要素(2から7)を有する骨移植片(100)であって、互いに重ねて積層された前記ディスク要素(2から7)が、前記ディスク要素(2から7)の上側面上に配列された形状嵌合部分(8)と、前記ディスク要素(2から7)の下側面上に配列された相補的な形状嵌合部分(9)と、という手段により、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結されている、骨移植片(100)。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の骨移植片システム(1)を使用して、個別化された骨移植片(100)を製作するための方法であって、
a)骨欠損(D)の内側輪郭(I)を記録するステップと、
b)前記記録された内側輪郭(I)に従って、前記骨欠損(D)を充填するのに必要とされる前記骨移植片(100)の外側輪郭(A)を特定するステップと、
c)前記骨移植片システム(1)の複数の異なるディスク要素(2から7)を、選択し、積層し、相互に締結するステップであって、前記複数のディスク要素(2から7)が、特定された前記外側輪郭(A)に従って、選択される及び/又は積層される、選択し、積層し、相互に締結するステップと、
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、特に、骨欠損を充填するための、及び/又は、関節置換移植片を安定化させるための、骨移植片システムに関する。また、この発明は、このような骨移植片システムを使用して製作された骨移植片と、このような骨移植片を製作するための方法と、にも関する。
【0002】
骨移植片は、一般に、整形外科手術の分野において公知であり、例えば、膝部、股関節部、肩部、及び/又は、距腿部、における関節置換術において使用される。
【0003】
膝置換手術において、脛骨近位部又は大腿骨遠位部に存在する骨幹端骨欠損は、通常、骨移植片を用いて治療される。骨移植片は、実際の脛骨又は大腿骨の関節置換移植片の移植前に移植され、一方では、骨欠損を充填することが意図されている。骨移植片は、他方では、関節置換移植片を、移植された状態において追加的に安定化させることが意図されている。対応する骨移植片は、しばしば、コーン又は骨幹端コーンとも称される。
【0004】
治療の成功を保証するために、コーンの外側輪郭は、治療されるべき骨欠損の内側輪郭に合致させていなければならない。この目的のために、ワンピースで、且つ、異なるサイズ及び形状で、製造されたコーンが利用可能である。しかしながら、既存の骨欠損に対する最適な適合が、あらゆるケースにおいて可能である訳ではない。その理由は、想定可能なあらゆる欠損の幾何学的形状について、好適に適合させたコーンを製造して在庫を維持することが、可能である訳ではないためである。一代替例として、時として、個々に製造され且つワンピースのコーンが使用される。しかしながら、それらの製作には、時間及びコストがかかる。
【0005】
この発明の趣旨は、従来の骨移植片に関連して冒頭で述べた不都合を、各々が部分的に又は完全に回避する、骨移植片システム、骨移植片、及び、このような骨移植片を製作するための方法、を利用可能にすることである。
【0006】
この趣旨は、請求項1の特徴を有する骨移植片システムと、請求項8の特徴を有する骨移植片と、請求項9の特徴を有する方法と、によって達成される。好ましい実施形態が、従属請求項及び説明の主題となっている。
【0007】
この発明による骨移植片システムは、異なる外径を有する複数の異なるディスク要素を有しており、ディスク要素は、異なる積層配列を形成するために、異なる組み合わせで、軸方向に互いに積層されることが可能であり、異なる積層配列は、ディスク要素の異なる外径を理由に、異なる外側輪郭を有しており、ディスク要素の各々は、上側面上に配列された形状嵌合部分と、軸方向に反対側の下側面上に配列された相補的な形状嵌合部分と、を有しており、当該形状嵌合部分という手段により、異なる積層配列内におけるディスク要素は、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結されることが可能である。この発明による解決策により、個別化され且つワンピースの骨移植片の、時間及びコストのかかる製作を、不要にすることが可能になる。しかしながら同時に、治療されるべき骨欠損の所与の幾何学的形状に対する、骨移植片の適合の改善を、従来の個別化されていない骨移植片と比較して、達成することができる。簡便に述べると、骨移植片システムの複数のディスク要素は、結果的に生じる積層配列の外側輪郭が骨欠損の内側輪郭に合致するという要件を充足するように、骨欠損の幾何学的形状に依存して、選択されるとともに、組み合わせて軸方向に互いに重ねて積層される。ディスク要素が異なる外径を有することと、ディスク要素を異なる組み合わせにおいて互いに重ねて積層する可能性と、のおかげで、異なる積層配列と、それに対応して、異なる外側輪郭と、を形成することが可能である。形状嵌合部分、及び、相補的な形状嵌合部分が、それぞれ形成された積層配列内におけるディスク要素の形状嵌合接続を生じるように働く。簡便に述べると、異なるディスク要素の形状嵌合部分は、好ましくは、互いに、同じであるように、同じタイプであるように、対応するように、同一であるように、及び/又は、相互交換可能であるように、設計されている。換言すると、形状嵌合部分の設計は、好ましくは、それぞれのディスク要素の外径から独立している。好ましくは、同じことが、必要な変更を加えた状態で、相補的な形状嵌合部分に関しても当てはまる。これにより、ディスク要素を、それぞれ選択された組み合わせ、及び/又は、形成された積層配列、に関係なく、常に互いに締結することが可能であることが保証される。例えば、複数のディスク要素は、第1の外径を有する第1のディスク要素と、第2の外径を有する第2のディスク要素と、第3の外径を有する第3のディスク要素と、を含むことができる。これらの外径は、それらの直径寸法及び/又はそれらの形状の観点において異なっている。この点に関し、ディスク要素は、より明確には、それらの外径は、特に、円形であること、及び/又は、楕円形であること、及び/又は、最も広い意味合いにおいて丸みが付いていること、が可能である。当然ながら、骨移植片システムは、全く同じ外径を有する複数のディスク要素を有することも可能である。例えば、複数の第1のディスク要素、複数の第2のディスク要素、及び、複数の第3のディスク要素、を提供することができる。異なるディスク要素は、少なくとも、それらの外径、特に、その寸法及び/又は形状、の観点において異なる。加えて、異なる厚さを有するディスク要素を提供することができるが、これらは同時に異なる外径を必ずしも有する必要はない。ディスク要素は、好ましくは、各々が、円形の断面を有する円形ディスクとして設計されている。好ましくは、異なる外径を、それらの寸法の観点において段階的に変化させている。この様式で、特に、異なる円錐角を有する円錐形の外側輪郭を形成することができる。形状嵌合部分の各々は、各ケースにおいて相補的な形状嵌合部分のうちの1つとの形状嵌合相互作用を得るための、特に、接続溝、接続ピン、又は、歯等を有することができる。そのため、相補的な形状嵌合部分の各々は、特に、フェザーキー、受容孔、又は、対向歯(counter-toothing)等を有することができる。形状嵌合部分及び/又は相補的な形状嵌合部分は、それぞれのディスク要素とワンピースで形成することができる。一代替例として、形状嵌合部分及び/又は相補的な形状嵌合部分は、別個に製造して、その後、それぞれのディスク要素と共に接合する、ことが可能である。
【0008】
この発明の1つの実施形態においては、ディスク要素の各々が、リングに形作られているとともに、好ましくは同一の内径を有する。軸方向に互いに重ねて積層されると、ディスク要素の内径は、好ましくは、円筒形の受容凹部を形成する。受容凹部は、関節置換移植片のシャフト部分を受容するために設けられている。円形及び/又は楕円形のリング形状が、好ましくは提供される。
【0009】
この発明のさらなる一実施形態においては、ディスク要素の各々が、上側面又は下側面から軸方向に突出している少なくとも1つのスペーサ部分を有しており、その結果として、ディスク要素は、半径方向の間隙を形成しつつも、異なる積層配列において、互いに重ねて積層されることが可能である。骨移植片システムから形成された骨移植片を、例えば、骨セメントといった接続用材料を使用して、骨欠損内に固着させる場合、半径方向の間隙は、この接続用材料が個々のディスク要素間に進入することを可能にする。その結果、ディスク要素から形成された積層配列、又は、骨移植片、を追加的に安定化させることができる。換言すると、ディスク要素は、スペーサ部分が存在していることを理由に、間隙を伴って積層されることが可能である。すると、接続用材料は、個々のディスク要素間におけるこれらの間隙を通過することができる。スペーサ部分は、それぞれのディスク要素上においてワンピースで形成することができる。一代替例として、スペーサ部分の各々は、別個の構成要素として製造して、その後、それぞれのディスク要素と共に接合することが可能である。
【0010】
この発明のさらなる一実施形態においては、ディスク要素の各々が、上側面内又は下側面内に陥凹しているとともに接続用材料を受容するために設けられた、少なくとも1つの受容凹部を有する。このことは、特に、これまでの実施形態の特徴と併せて、格別に有利である。半径方向の間隙が設けられる場合、接続用材料、例えば、骨セメント、は、ディスク要素間における半径方向の間隙を経由して半径方向に進入することができ、受容凹部内に受容されることが可能である。半径方向の間隙がない場合、受容凹部は、ディスク要素を互いに重ねて積層する前に、接続用材料で充填することが可能である。その結果、形成された積層配列/骨移植片を、本来的に固定することができる。また、受容凹部は、受容ポケットと称することもできる。受容凹部は、好ましくは、それぞれのディスク要素の上側面と下側面との間に連続的な接続を形成しない。このことは、単純な軸方向の孔とは対照的である。
【0011】
この発明のさらなる一実施形態においては、形状嵌合部分の各々が、少なくとも1つの軸方向突出接続ピンを有しており、相補的な形状嵌合部分の各々が、軸方向に導入された少なくとも1つの受容孔を有しており、又は、その逆の場合がある。接続ピンは、好ましくは、ディスク要素の上側面から突出している。受容孔は、好ましくは、ディスク要素の下側面内に導入されている。代替的に、逆の配列を設けることができる。接続ピン及び受容孔の寸法は、互いに合致させている。ディスク要素が噛み合う態様で互いに締結されている状態において、接続ピンは、受容孔内に係合し、それにより、各ケースにおいて形成された積層配列が、半径方向及び/又は円周方向において本来的に固定されるようにする。形状嵌合部分及び/又は相補的な形状嵌合部分の、他の想定可能な構成と比較して、この発明のこの実施形態は、形状嵌合接続が、容易に、且つ、高荷重に耐える能力を伴って、生じることを可能にする。形状嵌合部分及び相補的な形状嵌合部分は、好ましくは、ディスク要素が互いに対して異なる回転位置において互いに締結されることが可能であるような様式で、互いに合致させている。このことは、好ましくは、受容孔の数が接続ピンの数よりも大きいという事実により、達成される。受容孔及び/又は接続ピンは、好ましくは、半径方向において同軸に配列されている。
【0012】
この発明のさらなる一実施形態においては、ディスク要素の各々が、円周方向においてオフセットして配列された、複数の接続ピン及び/又は受容孔を有しており、異なるディスク要素の接続ピン及び/又は受容孔の配列が、同一の孔パターンを形成している。簡便に述べると、これにより、全てのディスク要素が噛み合う態様で互いに接続されることが可能になる。接続ピンの孔パターンは、接続ピンの直径、それぞれのディスク要素の複数の接続ピンが配列される穴円の直径、1つの穴円についての接続ピンの数、及び/又は、穴円上における接続ピンの角度位置、によって特徴付けられることが可能である。同じことが、必要な変更を加えた状態で、受容孔の孔パターンに関しても当てはまる。好ましくは、少なくとも2つの接続ピン及び/又は受容孔が、設けられるとともに、それぞれの穴円上において、互いから180°だけオフセットされている。当然ながら、2つよりも多くの接続ピン及び/又は受容孔を設けることも可能である。例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、又は、それよりも多くの接続ピン及び/又は受容孔である。これらは、好ましくは、各ケースにおいて、互いから円周方向において、120°、90°、72°、又は、60°だけ、オフセットして配列されている。
【0013】
この発明のさらなる一実施形態においては、少なくとも3つの、好ましくは6つよりも多い、特に好ましくは12よりも多い、異なるディスク要素が提供される。これらの各々は、異なる外径を有する。全く同じ外径を有する複数のディスク要素を提供することができ、それにより、骨移植片システムが、それに相応して、総計で、当該少なくとも3つの、好ましくは6つよりも多い、特に好ましくは12よりも多い、異なるディスク要素よりも多くの、ディスク要素を有するようにする。例えば、各外径の3つのディスク要素が存在する場合、骨移植片システムは、総計で、少なくとも9つ、好ましくは18よりも多い、特に好ましくは36よりも多い、(異なる)ディスク要素を有する。
【0014】
この発明による骨移植片は、異なる外径を有して、軸方向に互いに重ねて積層された複数のディスク要素を有し、互いに重ねて積層されたディスク要素は、ディスク要素の上側面上に配列された形状嵌合部分と、ディスク要素の下側面上に配列された相補的な形状嵌合部分と、という手段により、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結されている。外径は、特に、それらの寸法及び/又は形状に関して異なっている。繰り返しを回避するために、この発明による骨移植片の設計に纏わる利点については、この発明による骨移植片システムの説明を参照されたい。そこで言明された内容は、必要な変更を加えた状態で、この発明による骨移植片にも当てはまる。骨移植片の好ましい実施形態は、必要な変更を加えた状態で、請求項2から請求項7の特徴から導出される。
【0015】
先出の説明による骨移植片システムを使用して、個別化された骨移植片を製作するための、この発明による方法は、骨欠損の内側輪郭を記録するステップと、記録された内側輪郭に従って、骨欠損を充填するのに必要とされる骨移植片の外側輪郭を特定するステップと、骨移植片システムの複数の異なるディスク要素を、選択し、積層し、相互に締結するステップであって、複数のディスク要素が、特定された外側輪郭に従って、選択される及び/又は積層される、選択し、積層し、相互に締結するステップと、を含む。骨欠損の内側輪郭は、好ましくは、手術中に記録される。内側輪郭は、例えば、3Dデータセットにより、表現することができる。記録/捕捉は、測定技術又は測定デバイスという手段により、例えば、飛行時間型カメラという手段により、実施される。骨移植片の、必要とされる外側輪郭は、記録された内側輪郭に従って特定される。特定は、好ましくは、コンピュータに基づいたものである。所望の外側輪郭を表現するのに必要とされるディスク要素は、骨移植片システムの、利用可能な異なるディスク要素の総数から、医療従事者、好ましくは外科医、により選択される。このことは、好ましくは、コンピュータ支援を用いても、例えば、この目的のためにセットアップされた最適化方法という手段によっても、行われる。選択プロセスは、一方では、実際の選択、他方では、所望の外側輪郭を表現するのに必要とされるような、軸方向におけるディスク要素の組み合わせ、を含む。選択されたディスク要素は、その後、好ましくは手作業で積層され、形状嵌合部分及び相補的な形状嵌合部分という手段により、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結される。その後、この様式で製作された骨移植片を、骨欠損内に挿入して、原則的に公知の様態で骨欠損内に固着させる、ことが可能である。ディスク要素の選択と、それらの組み付けと、は、手術中に必ずしも行われる必要はない。むしろ、骨欠損の内側輪郭は、実施されるべき手術に先立って記録することができ、ディスク要素の選択及び組み付けは、これに基づいて、手術に先立って行うことができる。
【0016】
この発明のさらなる利点及び特徴は、請求項から、及び、図面に示されている、この発明の、好ましい例示的な実施形態の以下の説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】複数の異なるディスク要素を有する、この発明による骨移植片システムの一実施形態の、高度に簡略化された模式図を示している。
【0018】
図2図1による骨移植片システムの第1のディスク要素の一例を、模式平面図として示す。
図3図2による切断線III-IIIに沿った模式断面図を示す。
図4図1による骨移植片システムの第1のディスク要素の一例を、模式底面図として示す。
【0019】
図5図1による骨移植片システムの第2のディスク要素の一例を、模式平面図として示す。
図6図5による切断線VI-VIに沿った模式断面図を示す。
図7図1による骨移植片システムの第2のディスク要素の一例を、模式底面図として示す。
【0020】
図8図1による骨移植片システムの第3のディスク要素の一例を、模式平面図として示す。
図9図8による切断線IX-IXに沿った模式断面図を示す。
図10図1による骨移植片システムの第3のディスク要素の一例を、模式底面図として示す。
【0021】
図11図3図6、及び、図9と比較して90°回転させた断面図において、第1のディスク要素、第2のディスク要素、及び、第3のディスク要素を、それらが軸方向に互いに重ねて積層されている積層配列において示す。
【0022】
図12図11による積層配列を示しており、ディスク要素が、半径方向及び/又は円周方向において、噛み合う態様で互いに締結されている。
【0023】
図13図1による骨移植片システムを使用して設計された、この発明による骨移植片であって、骨欠損を充填するために脛骨内に近位に移植されている骨移植片、の一実施形態の、高度に簡略化された模式図を示す。
【0024】
図14】この発明による骨移植片を製作するための、この発明による方法の一実施形態を例示する、高度に簡略化された模式フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1によると、個別化された骨移植片100(図13)を形成するために、骨移植片システム1が提供される。示された実施形態において、骨移植片100は、膝関節置換術で使用するために提供されており、図13においては、例として、移植された状態において示されている。この移植された状態において、骨移植片100は、脛骨Tにおいて近位に移植されている。ここに示される使途において、骨移植片100は、主として2つの機能を果たす。骨移植片100は、一方では、脛骨近位部Tの領域において、骨幹端骨欠損Dを充填している。骨移植片100は、他方では、脛骨関節置換移植片Gを安定化させている。本ケースにおいて、関節置換移植片Gは、脛骨プラトーと呼ばれるものであり、脛骨プラトーは、当業者に公知の様態で、脛骨Tに近位に固着されるとともに、膝関節置換補綴物のさらなる構成要素と相互作用するようにセットアップされる。最適な治療結果を達成するために、骨移植片100の外側輪郭Aを、骨欠損Dの内側輪郭Iに幾何学的に合致させることが望ましい。外側輪郭Aは、図13において、破線により、大いに簡略化された形で示されており、内側輪郭Iに対してほぼ平行にオフセットされている。
【0026】
骨幹端骨欠損は、必然的に、多種多様な幾何学的形状を有し得る。しかしながら、それぞれの内側輪郭に対し、考え得る最良の適合を可能にするために、先行技術においては、個別化された骨移植片が公知である。骨欠損の幾何学的形状が特定された後、これらの移植片は、所謂「モノブロック」として、ワンピースで個々に製造される。このような特注の製品は、時間がかかり且つ高価である恐れがある。加えて、脛骨コーンとして本使用のために専用に指定された骨移植片が、異なるサイズ及び形状において市販されている。骨移植片のサイズ及び/又は形状の好適な選択を通じて、骨欠損のそれぞれの内側輪郭に対し、適合の改善を達成することが意図されている。しかしながら、このことは、あらゆるケースにおいて成功している訳ではない。
【0027】
骨移植片システム1は、先行技術に纏わる不都合を克服し、特に、既存の欠損の幾何学的形状に合致させた、個別化された骨移植片を、時間及びコストを節約して製作することを可能にする。骨移植片システム1は、好ましくは、膝関節置換術の文脈において、上で説明した使用に好適である。これに加え、骨移植片システム1という手段により製作することが可能な骨移植片は、他の関節置換術において、例えば、股関節部、肩部、及び/又は、距腿部において、使用することもできる。
【0028】
骨移植片システム1は、異なる外径DA2からDA7を有する複数の異なるディスク要素2から7を有する(図1)。
【0029】
図1は、6つのディスク要素であって、それらの外径の観点において異なっている6つのディスク要素、の例を示している。認識されるであろうこととして、骨移植片システムは、示された6つの異なるディスク要素よりも少ない、例えば、2つ、3つ、4つ、又は、5つの、ディスク要素を有することができ、或いは、示された6つの異なるディスク要素よりも多い、例えば、7つ、8つ、9つ、又は、10の、ディスク要素を有することができる。図1には、このことが、ディスク要素6とディスク要素7との間、及び、ディスク要素7の下、に付けられた点によって符号表示されている。
【0030】
図1において視認することができる、異なる外径DA2からDA7間におけるサイズの関係性は、純粋に例として理解されるべきである。認識されるであろうこととして、図面に示されていない実施形態においては、異なる外径が、より細かい又はより広い変化を有することができる。
【0031】
加えて、示された実施形態において、骨移植片システム1は、各外径DA2からDA7について、複数の同一のディスク要素を有する。この点に関し、外径DA2を有する第1のセットのディスク要素2、2´、2´´と、外径DA3を有する第2のセットのディスク要素3、3´、3´´と、外径DA4を有する第3のセットのディスク要素4、4´、4´´と、等を有することが可能である。図1は、1つのセットにつき3つのディスク要素を有する一例を示している。図面に示されていない一実施形態においては、各外径について、1つのみのディスク要素が提供される。示されていない、さらなる実施形態においては、1つのセットにつき、例えば、2つ、4つ、5つ、6つ、又は、より多くのディスク要素が提供される。この背景から、ディスク要素2、2´、2´´の各々は、第1のディスク要素と称することもできる。そのため、ディスク要素3、3´、3´´の各々は、第2のディスク要素と称することができる。ディスク要素4、4´、4´´の各々は、第3のディスク要素と称することができる。骨移植片システム1のさらなるディスク要素は、それに相応して呼称される。簡潔にするために、第1のディスク要素2、第2のディスク要素3、第3のディスク要素4、第4のディスク要素5等のみについて、以下に論じる。
【0032】
示された実施形態において、異なる外径DA2からDA7は、それらの寸法の観点においてのみ、異なっている。認識されるであろうこととして、異なる外径DA2からDA7は、代替的に又は追加的に、それらの形状の観点において、異なっていることが可能である。この点に関し、本図に示される外径の円形の設計又は環状の設計は、純粋に一例として理解されるべきであり、簡略化されたグラフィカル表現に起因するものである。図面に示された形状の代わりに、異なる外径DA2からDA7は、特に、楕円形であること、及び/又は、最も広い意味合いにおいて丸みが付いていること、が可能である。例えば、非対称性の骨欠損を治療するために、楕円形の形状を使用することもできる。
【0033】
異なるディスク要素2から7は、異なる積層配列を形成するために、異なる組み合わせにおいて、軸方向に互いに重ねて積層されることが可能である。図11及び図12には、第1の積層配列S1の一例が示されている。積層配列S1は、例えば、第1のディスク要素のうちの1つと、第2のディスク要素のうちの1つと、第3のディスク要素のうちの1つと、により、又は、第1のディスク要素2と、第2のディスク要素3と、第3のディスク要素4と、により、形成されている。異なる外径DA2、DA3、DA4と、ディスク要素2、3、4の、軸方向における特別に選択された順序と、を理由に、積層配列S1は、外側輪郭A´を有する。これは、図12において高度に簡略化された様態で模式的に示されており、最も広い意味合いにおいて、円錐形である。これとは対照的に、骨移植片100は、より詳細に説明する予定である、骨移植片システム1のディスク要素の、異なるさらなる積層配列S2により形成されており、既に述べた外側輪郭Aを有する。
【0034】
骨移植片システム1の異なるディスク要素2から7の、選択及び積層順序に依存して、多種多様な積層配列を、よって、最も変化に富んだ外側輪郭を有する骨移植片を、形成することができる。当のディスク要素は、単に互いに重ねて緩く配置されるだけではなく、半径方向及び円周方向において、噛み合う態様で互いに締結もされる。この目的のために、異なるディスク要素2から7の各々は、形状嵌合部分8及び相補的な形状嵌合部分9(特に図2から図10を参照)を有する。形状嵌合部分8及び相補的な形状嵌合部分9の設計及び機能性について、並びに、異なるディスク要素2から7のそれ以外の設計及び機能性についても、第1のディスク要素2、第2のディスク要素3、及び、第3のディスク要素4に関して、図2から図10を例として参照して以下に解説する。
【0035】
示された実施形態において、第1のディスク要素2(図2から図4)は、円形リングの形状で設計されており、したがって、円形リング要素とも称することができる。リングに形作られた設計のおかげで、ディスク要素2は、内径DIを有する。内径DIは、第1のディスク要素2の中央長手方向軸M2を基準として同軸に延在する中央孔10によって形成されている。本ケースにおいて、(第1の)外径DA2は、内径DIを基準として同軸である。第1のディスク要素2は、軸方向の厚さH2を有する。図面に示されていない一実施形態において、ディスク要素は楕円形である。
【0036】
形状嵌合部分8は、第1のディスク要素2の上側面(図2)上に配列されている。相補的な形状嵌合部分9は、軸方向に反対側の下側面(図4)上に配列されている。
【0037】
示された実施形態において、形状嵌合部分8は、中央長手方向軸M2を中心として180°だけオフセットされた2つの接続ピン11を有する。接続ピン11は、上側面から軸方向に突出しているとともに、円柱体の断面を有する。
【0038】
図面に示されていない一実施形態において、形状嵌合部分は、ただ1つの接続ピン、又は、ここに示された2つの接続ピンよりも多くの接続ピン、を有することができる。
【0039】
接続ピン11は、第1のディスク要素2の上側面上においてワンピースで形成すること、又は、別個の構成要素として製造して、上側面に接合すること、が可能である。示された実施形態において、接続ピンは、別個の構成要素であって、各々が、第1のディスク要素2の上側面上において、さらに詳細に何ら指定されていないが、受容孔内に挿入されている。本ケースにおいて、相補的な形状嵌合部分9は、中央長手方向軸M2を中心として各ケースにおいて90°だけオフセットされた4つの受容孔12を有する。受容孔12は、中央長手方向軸M2に対して平行に延在する。同じことが、接続ピン11にも当てはまる。
【0040】
図面に示されていない一実施形態において、相補的な形状嵌合部分9は、ここに示された4つの受容孔12よりも少ないか又は多くの受容孔を有する。
【0041】
接続ピン11は、穴円直径DLを有する穴円上に配列されている。同じことが、接続ピン11にも当てはまる。穴円直径DL又は穴円は、図2及び図4において、一点鎖線で示されている。
【0042】
示された実施形態において、穴円は、中央長手方向軸M2を基準として同軸である。したがって、本ケースにおいて、同軸性は、内径DI及び第1の外径DA2についても存在する。
【0043】
さらに、本ケースにおける第1のディスク要素2は、上側面から軸方向に突出している少なくとも1つのスペーサ部分13を有する。本ケースにおいては、総計で4つのスペーサ部分13が設けられており、各々が、穴円直径DLの領域内において、接続ピン11に隣接して、対で配列されている。示された実施形態において、スペーサ部分13は、正方形の断面を有しており、これは、純粋に例として理解されるべきである。スペーサ部分13は、上側面上においてワンピースで形成すること、又は、別個の構成要素として第1のディスク要素2の上側面に接続されること、が可能である。示された実施形態において、スペーサ部分13の各々は、別個のスペーサピンとして設計されており、詳細に示されていない様態で、第1のディスク要素2の上側面内に作成された孔内に挿入されている。
【0044】
図面に示されていない一実施形態において、スペーサ部分は、下側面上に配列されている。加えて、認識されるであろうこととして、スペーサ部分は、必ずしも、穴円直径DLの領域内に配列される必要はない。
【0045】
本ケースにおいて、第1のディスク要素2は、上側面内に軸方向に陥凹している2つの受容凹部14も有する。受容凹部14は、受容ポケットとも称することができる。2つの受容凹部14は、中央長手方向軸M2を基準として180°だけ、互いからオフセットされており、各々が、矩形の基本形状を有する。受容凹部の配列及び設計の両方は、純粋に例と見なされるべきである。
【0046】
第2のディスク要素3(図5から図7)及び第3のディスク要素4(図8から図10)は、形状嵌合部分8及び相補的な形状嵌合部分9の設計及び/又は配列の観点において、第1のディスク要素2と同一である。そのため、同一の構成要素及び/又は部品には、同一の参照番号が与えられている。よって、第1のディスク要素2に関連して形状嵌合部分8及び相補的な形状嵌合部分9に関して言及された内容は、必要な変更を加えた状態で、第2のディスク要素3及び第3のディスク要素4にも、またさらに、骨移植片システム1の全ての他のディスク要素にも、当てはまる。形状嵌合部分及び相補的な形状嵌合部分が同一の設計及び/又は配列を有するおかげで、簡便な用語で述べると、骨移植片システム1の全てのディスク要素が、それぞれの積層配列から独立して互いに締結可能であることが、保証される。
【0047】
スペーサ部分13の設計及び配列もまた、同一である。このことは有利であるものの、必須ではない。示されていない一実施形態において、異なるディスク要素2から7のスペーサ部分は、異なる態様で、設計及び/又は配列を行うことができる。
【0048】
さらに、第1のディスク要素2のように、第2のディスク要素3もまた、上側面内に陥凹している受容凹部14を有する。第2のディスク要素3の受容凹部14は、第1のディスク要素2の受容凹部14と比較して、それらのサイズの観点においてのみ異なっており、したがって、別個の参照番号は使用していない。同じことが、必要な変更を加えた状態で、第3のディスク要素4及びその受容凹部14に関しても当てはまる。
【0049】
またさらに、第2のディスク要素3は、軸方向の厚さH3を有する。第3のディスク要素4は、軸方向の厚さH4を有する。示された実施形態において、第1のディスク要素、第2のディスク要素、及び、第3のディスク要素は、同じ厚さを有し、それにより、厚さH2、H3、H4が合致するようにする。図面に示されていない一実施形態において、異なるディスク要素は、異なる厚さを有する。加えて、全く同じ外径を有するディスク要素が、異なる厚さを有することを想定可能である。例えば、第1のセットのディスク要素2、2´、2´´、及び/又は、骨移植片システム1のそれ以外のセットのディスク要素が異なる厚さを有しうる。
【0050】
図12に示される積層配列S1を形成するために、第1のディスク要素2、又は、第1のディスク要素2、2´、2´´のうちの1つ、が選択される。加えて、第2のディスク要素3及び第3のディスク要素4、又は、それぞれのディスク要素のうちの1つ、が選択される。第2のディスク要素3は、第1のディスク要素2と軸方向にアライメントさせて配向され、それにより、中央長手方向軸M2、M3が同軸に配向されるようにする。加えて、第2のディスク要素3は、第1のディスク要素2の接続ピン11が第2のディスク要素3の受容孔12内に係合することが可能な様式で、第1のディスク要素2に対して円周方向に位置決めされる。その後、第2のディスク要素3が、第1のディスク要素2の上へ軸方向にプラグ接続される。この様式で、接続ピン11と受容孔12との間の形状嵌合が、半径方向及び円周方向の両方において形成される。第1のディスク要素2の上側面上に配列されたスペーサ部分13を理由に、軸方向に延在する半径方向の間隙15が得られる(図12)。その後、中央長手方向軸M3、M4が同軸に配向された状態で、第3のディスク要素4が第2のディスク要素3の上へ積層される。このことは、今度は、第2のディスク要素3の接続ピン11と第3のディスク要素4の受容孔12との間に、対応する形状嵌合を生じる。加えて、第2のディスク要素3と第3のディスク要素4との間にも、半径方向の間隙15が得られる。
【0051】
図11及び図12に関して注記に値することとして、第3のディスク要素4の、接続ピン11だけではなくスペーサ部分13もまた、それらが別個の構成要素として設計されているおかげで、取り外すことができる。このことは有利であるものの、必須ではない。
【0052】
積層配列S1において、中央孔10又は内径DIは、円筒形の受容凹部Zを形成している。受容凹部Zは、関節置換移植片Gのシャフト部分GS(図13)を受容するのに好適である。
【0053】
ディスク要素2、3、4間において形成された軸方向の間隙15は、接続用材料Vの進入及び/又は導入を可能にする(図13を参照)。その結果、積層配列S1を、追加的に安定化させることができる。代替的に又は追加的に、接続用材料Vは、ディスク要素2、3、4を互いに重ねて積層する前に、受容凹部14内に導入することができる。
【0054】
図14には、骨移植片システム1を使用して骨移植片100を製作するための、この発明による方法の一実施形態を模式的に例示している。この方法は、ステップa)、ステップb)、及び、ステップc)を含む。
【0055】
ステップa)では、まず最初に、骨幹端骨欠損Dの内側輪郭Iが、測定により記録される。この目的のために好適な測定方法は、当業者にとって、原則的に公知である。例えば、飛行時間型カメラを使用することができる。
【0056】
ステップb)では、骨欠損Dを充填するのに必要とされる骨移植片100の外側輪郭Aが特定される。このケースにおいて、外側輪郭Aは、これまでに記録された内側輪郭Iに従って、好ましくは、コンピュータの助けを借りて、及び/又は、シミュレーションに基づいて、特定される。
【0057】
ステップc)では、骨移植片システム1の複数の異なるディスク要素が選択され、積層され、互いに締結される。複数のディスク要素が、特定された外側輪郭Aに従って、好ましくは手術中に、選択される及び/又は積層される。選択は、医療従事者により、好ましくは、コンピュータの助けを借りて、及び/又は、シミュレーションに基づいて、行われる。又は、本ケースにおいては、第1のディスク要素2、第2のディスク要素3、第3のディスク要素4、第4のディスク要素5、第5のディスク要素6、及び、第6のディスク要素7、が選択されて、互いに重ねて積層される。当該ディスク要素は、これまでに説明してきたように、形状嵌合部分8及び相補的な形状嵌合部分9という手段により接続される。図13は、異なる厚さを有する個々のディスク要素2から7を示している。このことは、骨移植片システム1の全てのディスク要素が、全く同じ軸方向の厚さを有する必要が必ずしもないことを、再度例示することを意図している。ディスク要素2から7を互いに重ねて手作業で積層して、噛み合う態様で互いに締結した後に、骨移植片100を、骨欠損D内に挿入すること、及び、本ケースにおいては骨セメントである、接続用材料Vという手段により、そこに固着させること、が可能である。接続用材料Vは、骨移植片100を挿入する前に、円筒形の受容凹部Z内に、又は、異なるディスク要素2から7間に、導入することができる。このことは、骨移植片100の追加的な安定化を達成する。骨移植片100を固着させた後、脛骨Tに対して近位に、関節置換移植片Gを取り付けることができる。ここでは、シャフト部分GSを、円筒形の受容凹部Z内に軸方向に挿入して、そこで半径方向に固着させる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】