(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】パルス状流体ポンプのためのポンプ弁調節アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F04B 53/10 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
F04B53/10 B
F04B53/10 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575493
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2021019238
(87)【国際公開番号】W WO2022182331
(87)【国際公開日】2022-09-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504317673
【氏名又は名称】ヴェントリフロ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント, ダグラス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ケーニグ, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, マシュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071CC47
3H071DD14
3H071DD31
(57)【要約】
パルス状流体ポンプのためのポンプ弁調節アセンブリは、圧送チャンバと、流入口ポートと、流出口ポートとを含む。ポンプ弁調節アセンブリはさらに、流入口球状逆止弁アセンブリと、流入口ポートと圧送チャンバとの間に配置される、第1および第2のテーパ状管と、流出口球状逆止弁アセンブリと、圧送チャンバと流出口ポートとの間に配置される、第3および第4のテーパ状管とを含む。第1のテーパ状管は、流入口ポートから流入口球状逆止弁アセンブリまでの断面積において拡張し、第2のテーパ状管は、流入口球状逆止弁アセンブリからチャンバまでの断面積において縮小する。第3のテーパ状管は、チャンバから流出口球状逆止弁アセンブリまでの断面積において拡張し、第4のテーパ状管は、流出口球状逆止弁アセンブリから流出口ポートまでの断面積において縮小する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス状流体ポンプのためのポンプ弁調節アセンブリであって、前記アセンブリは、
略円筒形の圧送チャンバと、
入口を有し、前記圧送チャンバに結合される流入口ポートと、
出口を有し、前記圧送チャンバに結合される流出口ポートと、
前記流入口ポートに結合される球形に成形された流入口球状逆止弁アセンブリと、
第1および第2のテーパ状管であって、前記第1および第2のテーパ状管は、前記流入口球状逆止弁アセンブリに結合され、それぞれ、前記流入口ポートと前記圧送チャンバとの間に配置される、第1および第2のテーパ状管と、
前記流出口ポートに結合される球形に成形された流出口球状逆止弁アセンブリと、
第3および第4のテーパ状管であって、前記第3および第4のテーパ状管は、前記流出口球状逆止弁アセンブリに結合され、それぞれ、前記圧送チャンバと流出口ポートとの間に配置される、第3および第4のテーパ状管と
を備え、
したがって、
(i)前記第1のテーパ状管は、前記流入口ポートへの前記入口から前記流入口球状逆止弁アセンブリまでの断面積において拡張し、前記第2のテーパ状管は、前記流入口球状逆止弁アセンブリから前記チャンバまでの断面積において縮小し、前記流入口球状逆止弁アセンブリは、前記圧送チャンバと前記流入口ポートとの間の流動を開閉し、
(ii)前記第3のテーパ状管は、前記チャンバから前記流出口球状逆止弁アセンブリまでの断面積において拡張し、前記第4のテーパ状管は、前記流出口球状逆止弁アセンブリから前記流出口ポートからの前記出口までの断面積において縮小し、前記流出口球状逆止弁アセンブリは、前記圧送チャンバと前記流出口ポートとの間の流動を開閉する、
ポンプ弁調節アセンブリ。
【請求項2】
前記テーパ状管のうちの少なくとも1つのテーパは、円錐形である、請求項1に記載のポンプ弁調節アセンブリ。
【請求項3】
前記第2のテーパ状管と前記チャンバとの間に結合され、前記チャンバ内の円形流体流を滞りなく確立するように、前記チャンバの内部円周に対して略接線方向にある経路に沿って流体を伝導するように構成される流入遷移領域をさらに備える、請求項1に記載のポンプ弁調節アセンブリ。
【請求項4】
前記チャンバと前記第3のテーパ状管との間に結合され、前記チャンバ内で開始する段階的に増加される幅のチャネルを提供する流出遷移領域をさらに備え、前記流出遷移領域は、流体が、前記チャンバ内の流体回転から前記第3のテーパ状管内の線形流動まで、滞りなく退出することを可能にするように構成される、請求項1に記載のポンプ弁調節アセンブリ。
【請求項5】
前記チャンバと前記第3のテーパ状管との間に結合され、前記チャンバ内で開始する段階的に増加される幅のチャネルを提供する流出遷移領域をさらに備え、前記流出遷移領域は、流体が、前記チャンバ内の流体回転から前記第3のテーパ状管内の線形流動まで滞りなく退出することを可能にするように構成される、請求項3に記載のポンプ弁調節アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、同日に出願され、弁理士整理番号第4747/1001号、第4747/1002号、第4747/1003号、および第4747/1004号を有する、4つの出願のうちの1つである。本願以外のこれらの関連出願はそれぞれ、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、パルス状流体ポンプに関し、より具体的には、血液を圧送するために好適なパルス状流体ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
パルス状流体ポンプは、本発明の共同発明者である、Douglas VincentおよびMatthew Murphyの発明に関する、米国特許第7,850,593号(特許文献1)(「本発明者らの先行する特許」)において教示されている。本発明者らの先行する特許は、可撓性膜の往復運動を引き起こすように構成されるリニアモータによって作動され、ひいては、パルス状流体流を実装するような様式において、対の球状弁に結合される流体筐体の壁としての役割を果たす、ポンプを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,850,593号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によると、パルス状流体ポンプのためのポンプ弁調節アセンブリは、略円筒形の圧送チャンバと、入口を有し、圧送チャンバに結合される、流入口ポートと、出口を有し、圧送チャンバに結合される、流出口ポートとを含む。ポンプ弁調節アセンブリはさらに、流入口ポートに結合される、球形に成形された流入口球状逆止弁アセンブリと、流入口球状逆止弁アセンブリに結合され、それぞれ、流入口ポートと圧送チャンバとの間に配置される、第1および第2のテーパ状管と、流出口ポートに結合される、球形に成形された流出口球状逆止弁アセンブリと、流出口球状逆止弁アセンブリに結合され、それぞれ、圧送チャンバと流出口ポートとの間に配置される、第3および第4のテーパ状管とを含む。第1のテーパ状管は、流入口ポートへの入口から流入口球状逆止弁アセンブリまでの断面積において拡張し、第2のテーパ状管は、流入口球状逆止弁アセンブリからチャンバまでの断面積において縮小し、流入口球状逆止弁アセンブリは、圧送チャンバと流入口ポートとの間の流動を開閉する。さらに、第3のテーパ状管は、チャンバから流出口球状逆止弁アセンブリまでの断面積において拡張し、第4のテーパ状管は、流出口球状逆止弁アセンブリから流出口ポートからの出口までの断面積において縮小し、流出口球状逆止弁アセンブリは、圧送チャンバと流出口ポートとの間の流動を開閉する。
【0006】
代替として、または加えて、テーパ状管のうちの少なくとも1つのテーパは、円錐形である。また、代替として、または加えて、ポンプ弁調節アセンブリはさらに、第2のテーパ状管とチャンバとの間に結合され、チャンバ内の流体流を滞りなく確立するように、チャンバの内部円周に対して略接線方向にある経路に沿って、流体を伝導するように構成される、流入遷移領域を含む。
【0007】
代替として、または加えて、ポンプ弁調節アセンブリはさらに、チャンバと第3のテーパ状管との間に結合され、チャンバ内で開始する、段階的に増加される幅のチャネルを提供する、流出遷移領域を含み、流出遷移領域は、流体が、チャンバ内の流体回転から第3のテーパ状管内の線形流動まで、滞りなく退出することを可能にするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態の前述の特徴は、付随の図面を参照して解釈される、以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による、ポンプ弁調節アセンブリ101の水平断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が充填されている、拡張期モードにある。
【0010】
【
図2】
図2は、
図1のポンプ弁調節アセンブリ101の水平断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が空にされている、収縮期モードにある。
【0011】
【
図3】
図3は、
図1の実施形態の流入口球状逆止弁アセンブリ110の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が充填されている、拡張期モードにあり、流入口球114は、充填位置にある。
【0012】
【
図4】
図4は、
図1の実施形態の流入口球状逆止弁アセンブリ110の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、拡張期モードと収縮期モードとの間の遷移モードにあり、流入口球114は、非着座位置にある。
【0013】
【
図5】
図5は、
図1の実施形態の流入口球状逆止弁アセンブリ110の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が空にされている、収縮期モードにあり、流入口球114は、空位置にある。
【0014】
【
図6】
図6は、
図1の実施形態の流出口球状逆止弁アセンブリ120の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が充填されている、拡張期モードにあり、流出口球124は、充填位置にある。
【0015】
【
図7】
図7は、
図1の実施形態の流出口球状逆止弁アセンブリ120の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、拡張期モードと収縮期モードとの間の遷移モードにあり、流出口球124は、非着座位置にある。
【0016】
【
図8】
図8は、
図1の実施形態の流出口球状逆止弁アセンブリ120の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が空にされている、収縮期モードにあり、流出口球124は、空位置にある。
【0017】
【
図9】
図9は、
図1のポンプ弁調節アセンブリ101の上からの分解斜視図である。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明を実施するための形態】
【0026】
具体的実施形態の詳細な説明
定義。本説明および付随の請求項内で使用されるように、以下の用語は、文脈上別様に要求されない限り、示される意味を有するものとする。
「通常流動」は、流入口ポート111への入口から、チャンバ102を通した、流出口ポート121の出口までの流動である。
球状逆止弁内の球を通り越す「わずかな流動の逆行」は、球が閉鎖された位置において着座される前に、球を通り越す、少量かつ制御された量の所望の逆行流である。
「拡張期モード」は、本発明の実施形態による、パルス状ポンプの動作の位相であり、その間、ポンプ弁調節アセンブリ101のダイヤフラム(図示せず)が、チャンバ102、流入口球状逆止弁アセンブリ110、および第4のテーパ状管122ではなく、第3のテーパ状管126内に陰圧を生成するように、チャンバ102から離れるように引動される。
「収縮期モード」は、本発明の実施形態による、パルス状ポンプの動作の位相であり、その間、ダイヤフラム(図示せず)は、チャンバ102、流出口球状逆止弁アセンブリ120、および第1のテーバ状管112ではなく、第2のテーバ状管116内に陽圧を生成するように、チャンバ102に向かって押動される。
【0027】
図1は、本発明の実施形態による、ポンプ弁調節アセンブリ101の水平断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が充填されている、拡張期モードにある。流入口球114が、流体が、第2のテーパ状管116の中に、次いで、チャンバ102の中に流動することを可能にする、流入口球114と第2のテーパ状管116との間の間隙を生成する、流入口リブ115に対して係合するため、流体は、第1のテーパ状管112を通して、流入口球114を通り越して、流入口ポート111の中に流動する。ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102の円周の周囲に着座する、ダイヤフラム(図示せず)と協働して動作する。流入口球状逆止弁アセンブリ110および流出口球状逆止弁アセンブリ120と協働するダイヤフラムの動きは、チャンバ102の中への流体流を引き起こす。チャンバ102が充填されている間、流出口球状逆止弁アセンブリ120内の流出口球124は、流出口座部123に対して衝止し、チャンバ102の中に戻るような流出口ポート121からの流体流を阻止する。流体フライホイール103(後に説明される)が、図示されている(これらの図では、同様の付番されたアイテムは、異なる図を横断して、類似する構成要素に対応する)。
【0028】
図2は、
図1のポンプ弁調節アセンブリ101の水平断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が空にされている、収縮期モードにある。流出口球124が、流体が、第4のテーパ状管122の中に流動し、次いで、流出口ポート121から退出することを可能にする、流出口球124と第4のテーパ状管122との間の間隙を生成する、流出口リブ125に対して係合するため、流出口ポート121は、第3のテーパ状管126を介して、流出口球124を通り越して、チャンバ102から流体を受容する。ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102の円周の周囲に着座する、ダイヤフラム(図示せず)と協働して動作する。流入口球状逆止弁アセンブリ110および流出口球状逆止弁アセンブリ120と協働するダイヤフラムの動きは、チャンバ102から外への流体流を引き起こす。チャンバ102が空にされている間、流入口球状逆止弁アセンブリ110内の流入口球114は、流入口座部113に対して衝止し、流入口ポート111の中に戻るようなチャンバ102からの流体流を阻止する。流体フライホイール103(後に説明される)が、図示されている。
【0029】
図3は、
図1の実施形態の流入口球状逆止弁アセンブリ110の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が充填されている、拡張期モードにあり、流入口球114は、充填位置にある。流入口球114が、流体が、第2のテーパ状管116の中に、次いで、チャンバ102の中に流動することを可能にするように、流入口球114と第2のテーパ状管116との間の間隙を結果としてもたらす、流入口リブ115に対して係合するため、チャンバ102が充填されているときに、それから離れるように引動するダイヤフラム(図示せず)によって生成される陰圧は、第1のテーパ状管112を通して、流入口球114を通り越して、流体を流入口ポート111の中に流動させる。
【0030】
テーパ状管112、116、122、および126内の流体流は、球114および124のそれぞれに通じ、それらを通り越す流動の連続性を維持するために、断面積の関数として、速度における段階的な変化を提供する。球114または124のいずれかに関して、球114または124の幾何学形状、球114または124の物理的性質、および球状逆止弁アセンブリ110または120は、これらのものが、ポンプを通した流体のパルス状流の過程において、すなわち、血液または圧送される他の流体に関する粘度の範囲にわたって変調されるにつれて、全体として、連続的な位置およびこれらの位置への遷移および球114または124の速度において、球114または124を安定させるように構成される。圧送の過程において、ポンプのパルス状性質は、球114および124にわたって、流動の方向における変化を引き起こし、ポンプは、球状逆止弁アセンブリ110および120を横断して、総圧力損失を最小限にする様式において、方向における本変化を達成するように構成される。加えて、球114または124のうちの所与の1つが、(場合によっては、リブ115または125に対して)所与の球114または124を通り越す流動を有効にする、開放位置まで移動しているとき、ポンプは、十分な流動速度(および所与の球114または124を横断した圧力差)を維持するように構成され、それをリブ115または125に対して保定させる。同様に、逆止弁アセンブリ110および120は、所与の球114または124上への他の流体速度力の対称性を生成し、所与の球114または124の望ましくない側方の動きを阻止するように構成される。
【0031】
リブ115および125は、その中にそれらが位置する、球状逆止弁アセンブリ110または120の容積の一部を占有する。これらのリブ115または125によって変位される、その容積は、したがって、リブ115または125の近傍における球状逆止弁アセンブリ110または120の断面積を低減させ、したがって、領域内の流体流の速度における増加を引き起こす。本発明者らは、先の段落において説明されるように、本増加された速度を利用し、所与の球114または124を、リブ115または125に対して保定させる。
【0032】
ポンプ弁調節アセンブリ101の動作は、性質上、パルス状であるが、チャンバ102内の流動は、常時、一様な方向(本図では、時計回り)にある。流体は、流入口ポート111から、最終的には、チャンバ102に進入し、流出口ポート121を通して、最終的には、チャンバ102から出る。本流動は、チャンバ102内の流体の時計回りの動きを生じる。時計回りの動きは、ポンプ弁調節アセンブリ101の幾何学形状を流入口ポート111からチャンバ102の中への流体の接線方向の流動を導入するように構成することによって、少なくとも部分的にトリガされる。加えて、ダイヤフラム(図示せず)によって引き起こされる、チャンバ102の容積における大きな変化は、圧送の過程において、ダイヤフラム202の各ストロークにわたって、流体に、チャンバ102内での複数回の軸回転を受けさせる。本流体の動きは、本発明者らが、「流体フライホイール」103と呼ぶものを生じ、チャンバ102内で回転する流体の慣性は、流入口ポート111から進入する流体に係合し、したがって、流体フライホイールを継続する。流体フライホイール103を伴わない場合、流入している流体は、すでにチャンバ102内にある流体の静的抵抗に遭遇するであろう。流体フライホイール103は、端部から端部までポンプを通した、比較的スムーズな流体流を生じる。
【0033】
ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102の中に突出する、流体流入遷移領域117と、チャンバ102から突出する、流体流出遷移領域127とを含む。これらの遷移領域117または127は、それぞれ、チャンバ102内の円形流動とテーパ状管116または126内の線形流動との間に介在する。遷移領域117は、チャンバ102内の円形流動を滞りなく確立する、主要な機能を有し、チャンバ102の内部円周に略接線方向にある経路に沿って、流体を伝導することによって、そのように行われる。対照的に、遷移領域127は、流体が、チャンバ102内の流体フライホイールから滞りなく退出し、第3のテーパ状管126内での線形流動への遷移を達成することを可能にし、流出口ポート121を通した流動を有効にする、幾分より複雑な機能を有し、チャンバ102内で開始する、段階的に増加される幅のチャネルを提供することによって、そのように行われる。
【0034】
図4は、
図1の実施形態の流入口球状逆止弁アセンブリ110の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、拡張期モードと収縮期モードとの間の遷移モードにあり、流入口球114は、非着座位置にある。遷移モードの間、流入口球114が、流入口座部113に対して衝止するまで、流動のわずかな逆行が、存在する。
【0035】
図5は、
図1の実施形態の流入口球状逆止弁アセンブリ110の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が空にされている、収縮期モードにあり、流入口球114は、空位置にある。チャンバ102が空にされているときに、それに向かって押動するダイヤフラム(図示せず)によって生成される陽圧は、流入口ポート111の中に戻るように、チャンバ102からの流体流を阻止するように、流入口球状逆止弁アセンブリ110内の流入口球114を、流入口座部113に対して衝止させる。
【0036】
図6は、
図1の実施形態の流出口球状逆止弁アセンブリ120の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が充填されている、拡張期モードにあり、流出口球124は、充填位置にある。チャンバ102が充填されている間、それから離れるように引動するダイヤフラム(図示せず)によって生成される陰圧は、チャンバ102の中に戻るように、流出口ポート121からの流体流を阻止するように、流出口球状逆止弁アセンブリ120内の流出球124を、流出口座部123に対して衝止させる。
【0037】
図7は、
図1の実施形態の流出口球状逆止弁アセンブリ120の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、拡張期モードと収縮期モードとの間の遷移モードにあり、流出口球124は、非着座位置にある。遷移モードの間、流出口球124が、流出口座部123に対して衝止するまで、流動のわずかな逆行が、存在する。
【0038】
図8は、
図1の実施形態の流出口球状逆止弁アセンブリ120の垂直断面であり、ポンプ弁調節アセンブリ101は、チャンバ102が空にされている、収縮期モードにあり、流出口球124は、空位置にある。チャンバ102が空にされているときに、それに向かって押動するダイヤフラム(図示せず)によって生成される陽圧は、流出口球124と第4のテーパ状管122と間の間隙を生成し、流体が、第4のテーパ状管122の中に流動し、次いで、流出口ポート121を退出することを可能にするように、流出口球状逆止弁アセンブリ120内の流出口球124を流出口リブ125に対して衝止させる。
【0039】
図9は、
図1のポンプ弁調節アセンブリ101の上からの分解斜視図であり、ポンプ弁調節アセンブリ101と、チャンバ102(ここでは、被覆されている)と、流入口ポートアセンブリ110と、流入口ポート111と、第1のテーパ状管112と、流入口座部113と、流入口球114と、流入口リブ115と、第2のテーパ状管116と、流出口ポートアセンブリ120と、流出口ポート121と、第4のテーパ状管122と、流出口座部123と、流出口球124と、流出口リブ125と、第3のテーパ状管126とを示す。ダイヤフラム(図示せず)は、チャンバ102の底部の円周の周囲に取り付けられ、収縮期モードでは、チャンバ102に向かって上方に押動し、拡張期モードでは、チャンバ102から離れるように下方に引動する。血液のパルス状圧送では、流体流における不連続性が、有用であり得ると考えられ得るが、本発明者らは、概して、流動における不連続性は、望ましくないことを見出している。本実施形態のポンプは、そのような不連続性を低減させる、または排除するために、いくつかの特徴を含む。特に、テーパ状管112、116、122、および126は、流入口球114につながり、それにわたって、かつそれを越える流入において、および同様に、流出口球124につながり、それにわたって、かつそれを越える流出において、乱流を低減させるように構成される。
【0040】
図10Aは、
図1の実施形態の流入口ポート111の側方図である。
【0041】
図10Bは、平面A-Aを通して捉えられた、
図10Aの流入口ポート111の垂直断面であり、第1のテーパ状管112と、ポンプ弁調節アセンブリ101が収縮期モードにあるとき、それに対して流入口球114が、流動を閉鎖するために静置する、流入口座部113とを示す。
【0042】
図10Cは、
図10Aの流入口ポート111の端面図であり、第1のテーパ状管112と、流入口座部113とを示す。
【0043】
【0044】
図11Aは、
図1の実施形態の流出口ポート121の側方図である。
【0045】
図11Bは、平面A-Aを通して捉えられた、
図11Aの流出口ポート121の垂直断面であり、第4のテーパ状管122と、ポンプ弁調節アセンブリ101が収縮期モードにあるときに、通常の流体流を可能にする間隙を生成する、流出口リブ125とを示す。
【0046】
図11Cは、
図11Aの流出口ポート121の端面図であり、第4のテーパ状管122と、流出口リブ125とを示す。
【0047】
【0048】
本発明の種々の実施形態による、パルス状ポンプの構造は、ヒトの心臓の属性を有用に反映することができる。ヒトの心臓は、前負荷敏感性であり、心臓は、血液を左心室の中に「引動」することができず、これは、利用可能な血液が、心室の中に自然に流動することのみを可能にすることができる。ヒトの心臓はまた、これが、下流の血管系における伸展性および抵抗に応答し、血管系を損傷し得る、過剰な力を血液上に働かせないという点において、後負荷敏感性でもある。最後に、左心室は、それが収縮するとき、心室内に存在しない血液を送達することができず、それが送達することができる血液のボーラスは、限定される。
【0049】
ポンプ弁調節アセンブリ101は、類似する固有の安全性の属性を有し、これは、前負荷および後負荷敏感性であり、これは、それが送達し得る血液の体積およびその血液のボーラスを送達し得る力の両方において限定される。充填されているとき、ポンプ弁調節アセンブリ101は、静脈内リザーバからの重力充填を可能にし、最小限の陰圧を働かせる。ポンプ弁調節アセンブリ101内のチャンバが、空にされているとき、ポンプ弁調節アセンブリに電力を供給するリニアモータは、設計によって限定される。その結果、ポンプ弁調節アセンブリは、下流の管類または血管系に過度の圧力をかけることができず、代わりに、ポンプチャンバ102内の血液の体積よりも少ない量を送達し、それによって、血管系が受容し得る体積と同程度の量のみを送達する。
【0050】
ポンプ弁調節アセンブリ101は、ヒトの心臓の左心室と似ており、本明細書の種々の実施形態において使用される、流入口球状逆止弁アセンブリ110は、僧帽弁と似ており、本明細書に対する種々の実施形態において使用される、流出口球状逆止弁アセンブリ120は、大動脈弁と似ている。ヒトの心臓と同様に、流入口110および流出口120球状逆止弁アセンブリは、受動的であり、閉鎖するために、流動のわずかな逆行を要求する。本流動のわずかな逆行は、ヒトの心臓の大動脈弁が閉鎖するときに生じる、わずかな逆行を模倣する。
【0051】
上記に説明される本発明の実施形態は、単に例示的であることが意図され、多数の変形例および修正が、当業者には明白であろう。全てのそのような変形例および修正は、任意の添付の請求項において定義されるように、本発明の範囲内であることが意図される。
【国際調査報告】