(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器の流体管用の振動ダンパー
(51)【国際特許分類】
F02C 7/20 20060101AFI20240213BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240213BHJP
F16L 55/04 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
F02C7/20 Z
F01D25/00 H
F16L55/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540215
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022070706
(87)【国際公開番号】W WO2022178521
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、トーマス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ラリー ルー
(72)【発明者】
【氏名】マコナヘイ、ジョニー フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ、スコット ロバート
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025CA02
3H025CB41
(57)【要約】
ガスタービン燃焼器の流体導管(40)用の振動ダンパー(100)は、取付け部(102)及び減衰部(104)を含む。取付け部(102)は前記流体導管(40)に固定され、減衰部(104)は、減衰ワッシャ(132)の積層体(130)と、前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)の上に存在するブッシュ(150)と、前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)及び前記ブッシュ(150)の周りに固定されたスプリングクリップ(140)と、前記ブッシュ(150)及び前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)を貫通するように配置された段付きボルト(160)であって、前記取付け部(102)に係合する段付きボルト(160)とを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン燃焼器の流体導管(40)用の振動ダンパー(100)であって、前記振動ダンパー(100)は、
前記流体導管(40)に固定された取付け部(102)、及び
減衰部(104)であって、減衰ワッシャ(132)の積層体(130)と、前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)の上に存在するブッシュ(150)と、前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)及び前記ブッシュ(150)の周りに固定されたスプリングクリップ(140)と、前記ブッシュ(150)及び前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)を貫通するように配置された段付きボルト(160)であって、前記取付け部(102)に係合する段付きボルト(160)とを含む減衰部(104)、
を含む、振動ダンパー(100)。
【請求項2】
前記ブッシュ(150)は、円筒部(154)と、前記円筒部(154)から突出するロッキングタブ(152)とを含み、前記スプリングクリップ(140)は、ロッキング凹部(142)と開口部(146)を画定する上面(141)を含み、前記開口部(146)及び前記ロッキング凹部(142)は、それぞれ、前記円筒部(154)及び前記ロッキングタブ(152)に対応する大きさに形成されており、前記開口部(146)及び前記ロッキング凹部(142)は、前記スプリングクリップ(140)の上面(141)が前記ブッシュ(150)の円筒部(154)に嵌合し、前記ブッシュ(150)のロッキングタブ(152)が前記ロッキング凹部(142)に嵌合するように、配置されている、請求項1に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項3】
前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)の各減衰ワッシャ(132)は、中央開口部(136)を有する本体部(133)と、前記本体部の底面から突出するピン(134)と、前記本体部を貫通するように画定されたピン用凹部(135)とを含み、前記ピン用凹部(135)は、前記本体部(133)の直径方向において、前記ピン(134)の反対側にある、請求項1に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項4】
前記ピン(134)は第1の直径を有し、前記ピン用凹部(135)は前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有し、第1の減衰ワッシャ(132)のピン(134)は、隣接する第2の減衰ワッシャ(132)のピン用凹部(135)に挿入され、前記第2の減衰ワッシャ(132)のピン(134)は、前記第2の減衰ワッシャ(132)に隣接する第3の減衰ワッシャ(132)のピン用凹部(135)に挿入され、前記減衰ワッシャの積層体の、前記第1の減衰ワッシャ(132)の反対側に位置する底部の減衰ワッシャ(132)のピン(134)は、前記スプリングクリップ(140)の底面(143)を貫通するように画定されたピン用凹部(144)に配置される、請求項3に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項5】
前記段付きボルト(160)は、前記減衰ワッシャ(132)の積層体(130)の減衰ワッシャ(132)の中央開口部(136)を貫通するように配置された円筒形本体部(164)を有する、請求項3に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項6】
前記スプリングクリップ(140)は、上面(141)と、曲面(145)によって前記上面(141)に接続された底面(143)とを有し、前記上面(141)及び前記底面(143)の各々は、各面を貫通する開口部(146、148)を画定し、前記開口部(146、148)は互いに位置合わせされ、前記底面(143)は、平坦状であり、前記取付け部(102)の接続本体部(128)に配置されるように構成され、前記上面(141)は、前記曲面(145)に接続された又は前記曲面(145)に隣接する第1の部分(141a)と、前記曲面(145)に対して遠位に位置する第2の部分(141b)とを含み、前記第1の部分(141a)は、前記曲面(145)から前記開口部(146)に向かって半径方向の内側に傾斜しており、前記第2の部分(141b)は、前記開口部(146)から半径方向の外側に且つ前記ブッシュ(150)から離れる方向に傾斜する、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項7】
前記底面(143)は、前記減衰ワッシャの積層体(130)の底部の減衰ワッシャ(132)からのロッキングピン(134)を受け入れるように構成されたピン用凹部(144)を画定する、請求項6に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項8】
前記取付け部(102)は、第1のクランププレート(110)と第2のクランププレート(120)とを含み、前記第1のクランププレート(110)及び前記第2のクランププレート(120)の各々は、フランジ(113、123)が両側に配置された中央弧状部分(112、122)を有し、前記第1のクランププレート(110)の中央弧状部分(112)は、完全な円形の環状体(125)が画定されるように、前記第2のクランププレートの中央弧状部分(122)に対して位置合わせされ、前記完全な円形の環状体(125)は前記流体導管(40)に適合する大きさに形成されており、前記フランジ(113、123)は、キャップヘッドねじ(124)によって互いに固定されている、請求項1に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項9】
前記第2のクランププレート(120)は、前記第2のクランププレート(120)の中央弧状部分(122)から外側又は上方に延在する接続本体部(128)であって、ねじ付き開口部(126)を含む接続本体部(128)を有し、前記ねじ付き開口部(126)は、前記接続本体部(128)の上端部から前記第2のクランププレート(120)の中央弧状部分(122)の内面まで延在し、前記段付きボルト(160)は、前記ねじ付き開口部(126)と螺合するように係合する、請求項8に記載の振動ダンパー(100)。
【請求項10】
ガスタービン燃焼器用の流体導管(40)であって、前記流体導管は、
互いに接続された複数の管(42a、42b、42c)であって、振動を受ける複数の管(42a、42b、42c)、及び
前記複数の管(42a、42b、42c)のうちの1つの管に取り付けられた振動ダンパー(100)であって、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の振動ダンパー(100)
を含む、流体導管(40)。
【請求項11】
前記複数の管(42a、42b、42c)は3つの管(42a、42b、42c)を含み、前記3つの管(42a、42b、42c)はT字接合部(44)で結合される、請求項10に記載の流体導管(40)。
【請求項12】
前記複数の管(42a、42b、42c)は、ガスタービンのケーシング(20)を通って燃料供給部と流体連通する第1の管(42c)と、前記第1の管(42c)と流体連通する第2の管(42a)であって、燃焼器に取り付けられた第1の軸方向燃料ステージング噴射器(50)に結合される第2の管(42a)と、前記第1の管(42c)と流体連通する第3の管(42b)であって、前記燃焼器の第2の軸方向燃料ステージング噴射器(50)に結合される第3の管(42b)とを含む、請求項10又は11に記載の流体導管(40)。
【請求項13】
前記複数の管(42a、42b、42c)は、高圧、高温のプレナム(22)を画定する圧縮機吐出ケーシング(20)内に配置されるように構成されている、請求項10に記載の流体導管(40)。
【請求項14】
前記振動ダンパー(100)は、前記第1の管(42c)のT字接合部(44)に隣接するように配置される、請求項12に記載の流体導管(40)。
【請求項15】
前記第1の管(42c)は、前記T字接合部(44)から延在する第1の部分(66)と、前記第1の部分(66)から延在する曲がった肘部分(67)と、前記曲がった肘部分(67)から延在する第3の部分(68)とを含み、前記振動ダンパー(100)は、前記曲がった肘部分(67)から約1インチ離れた第3の部分(68)に配置される、請求項12に記載の流体導管(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年2月18日に出願された米国仮特許出願第63/151,038号に対する優先権を主張するものであり、その米国仮特許出願第の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、一般に、ガスタービンの分野に関し、より詳細には、ガスタービン燃焼器の流体導管用の振動ダンパーに関する。具体的には、本開示の振動ダンパーを使用して、ガスタービン燃焼器の軸方向燃料ステージングシステムの一部である燃料導管の振動を減衰することができる。
【背景技術】
【0003】
一部の従来のターボ機械(ガスタービンシステムなど)は、電力を生成するために利用されている。一般に、ガスタービンシステムは、圧縮機、1つ以上の燃焼器、及びタービンを含んでいる。空気は圧縮機の入口を通じて圧縮機に引き込まれ、空気は複数の段の回転ブレードと静止ノズルを通過することによって圧縮される。圧縮された空気は1つ以上の燃焼器に導かれ、燃焼器に燃料が導入され、燃料/空気混合物が点火され、燃焼して、燃焼生成物が生成される。燃焼生成物はタービンの作動流体として機能する。
【0004】
次に、作動流体は、タービンの流体流路を流れ、この流路は、複数の回転ブレードと、回転ブレードの間に配置された複数の静止ノズルとの間に画定され、回転ブレードの各セットと、静止ノズルの対応する各セットが、全体として、タービン段を画定する。回転ブレードがガスタービンシステムのロータを回転させると、ロータに結合された発電機がロータの回転から電力を生成することができる。タービンブレードの回転により、ロータに結合された圧縮機ブレードも回転する。
【0005】
一部の燃焼システムには、各環状缶型燃焼器の前方端又は上流端に1つ以上の燃料ノズルが設けられ、1つ以上の燃料ノズルの下流の位置に下流燃料噴射器のセットが設けられている。下流燃料噴射器は、燃料と空気を半径方向に導入して、燃焼器ライナ又は移行部品を通じて二次燃焼領域に流入し、そこで燃料と空気は1つ以上の燃料ノズルによって生成される燃焼生成物とともに燃焼する。下流の燃料噴射器に燃料を供給する燃料ラインは、燃焼缶を取り囲む高圧プレナムに配置されているため、高温及び高圧、並びにガスタービンの動作に関連する振動に晒される。
【0006】
以前は、燃料ラインの振動に対処するため、一部のガスタービン製造業者は、柔軟性のある燃料ラインや燃料ベローズを使用していた。しかし、より安定した燃料供給システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
ガスタービン燃焼器の流体導管用の振動ダンパーは、取付け部及び減衰部を含んでいる。取付け部は、前記流体導管に固定されており、減衰部は、減衰ワッシャの積層体と、前記減衰ワッシャの積層体の上に存在するブッシュと、前記減衰ワッシャの積層体及び前記ブッシュの周りに固定されたスプリングクリップと、前記ブッシュ及び前記減衰ワッシャの積層体を貫通するように配置された段付きボルトであって、前記取付け部に係合する段付きボルトとを含む。
【0008】
ガスタービン燃焼器用の流体導管は、互いに接続された複数の管であって、振動を受ける複数の管を含む。振動ダンパーは、前記複数の管のうちの1つの管に取り付けられている。振動ダンパーは、前記流体導管に固定された取付け部を含んでいる。振動ダンパーは、更に減衰部を含んでおり、減衰部は、減衰ワッシャの積層体と、前記減衰ワッシャの積層体の上に存在するブッシュと、前記減衰ワッシャの積層体及び前記ブッシュの周りに固定されたスプリングクリップと、前記ブッシュ及び前記減衰ワッシャの積層体を貫通するように配置された段付きボルトであって、前記取付け部に係合する段付きボルトとを有する。
【0009】
本明細書は、当業者に向けられており、本システム及び本方法を十分に開示できるように、本システム及び本方法を使用したベストモードを含めて記載されている。本明細書は、添付図面に言及している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示による、軸方向燃料ステージングシステムを有する燃焼缶の下流部分の側面斜視図である。
【
図2】本開示の態様による、振動ダンパーを備えることができる軸方向燃料ステージング導管の円周方向の配置を部分的に示す斜視図である。
【
図3】振動ダンパーが第1の位置及び向きに備えられた第1の実施形態の軸方向燃料ステージング導管の斜視図である。
【
図4】振動ダンパーが第2の位置及び向きに備えられた第2の実施形態の軸方向燃料ステージング導管の斜視図である。
【
図5】
図4の軸方向燃料ステージング導管及び振動ダンパーの斜視図である。
【
図6】
図2~
図5の軸方向燃料ステージング導管とともに使用することができる本開示の振動ダンパーの斜視図である。
【
図7】
図6の線7-7から見た本開示の振動ダンパーの断面斜視図である。
【
図11】本開示の振動ダンパーの断面斜視図である。
【
図12】振動ダンパーに使用される単一の減衰ワッシャの底面の斜視図である。
【
図13】振動ダンパーに使用されるスプリングクリップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本開示の様々な実施形態について詳細に言及し、1つ以上の実施例が添付図面に示されている。発明を実施するための形態では、数字及び文字の符号を使用して、図面内の特徴を参照する。図面及び発明を実施するための形態における類似又は同類の符号は、本開示の類似又は同類の部分を表すために使用されている。
【0012】
ガスタービン燃焼器の軸方向燃料ステージング導管用の現在の振動ダンパーを明確に説明するために、本開示の範囲内の関連する機械構成要素を参照し説明するときに、特定の用語が選択される。可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈を与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解する。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含み、複数の構成要素を含むものとして言及される場合がある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0013】
更に、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために互換的に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図するものではない。
【0014】
本明細書において、「下流」及び「上流」は、タービンエンジンを流れる作業流体などの流体の流れに関する方向を示す用語である。用語「下流」は流体の流れの方向に対応し、用語「上流」は、その流体の流れとは反対の方向(すなわち、流体が流れて来る方向)を表す。用語「前方」及び「後方」は、他に特別なことがない限り、相対的な位置を表し、「前方」はエンジンの前端側(又は圧縮機端側)又は燃焼器の入口端側に配置された構成要素又は表面を説明するために使用され、「後方」は、エンジンの後端側(又はタービン端側)の近く又は燃焼器の出口端側に配置された構成要素を説明するために使用される。用語「内側」は、タービンシャフトに近い構成要素を説明するために使用され、一方、用語「外側」は、タービンシャフトから遠位の構成要素を説明するために使用される。
【0015】
異なる半径方向の位置、軸方向の位置、及び/又は円周方向の位置に配置された部品を説明することがしばしば要求される。
図1に示すように、「A」軸は軸方向を表す。本明細書において、用語「軸方向の」及び/又は「軸方向に」は、ガスタービンシステムの回転軸と実質的に平行である軸Aに対する物体の相対的な位置/方向を表す。本明細書において、用語「半径方向の」及び/又は「半径方向に」は、軸Aと1箇所のみで交差する軸「R」に対する物体の相対的な位置又は方向を表す。一部の実施形態では、軸Rは軸Aに対して実質的に垂直である。最後に、用語「円周方向」は、軸Aの周り(例えば、軸「C」)の動き又は位置を表す。用語「円周方向」は、それぞれの物体(例えば、ロータ)の中心の周りの寸法を表すことがある。
【0016】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書において、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことを意図している。用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを述べているが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在及び追加を排除しないことが更に理解される。
【0017】
用語「およそ」又は「約」は、大きさ、距離、又は数量を指定するために使用される場合、記載された値の+10%又は-10%を意味する。
【0018】
各実施例は説明のために提供されており、限定を目的とするものではない。実際、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、修正及び変形できることは、当業者には明らかである。例えば、一実施形態の一部として図示された又は説明された特徴を、別の実施形態に使用して、更に別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれるような修正及び変形を含むことが意図されている。
【0019】
本開示の例示的な実施形態は、図示の目的で、一般に、陸上発電ガスタービンの燃焼器用の軸方向燃料ステージング(すなわち、下流)システムの燃料供給ライン用の振動ダンパーについて記載されるが、当業者であれば、本開示の実施形態は、特許請求の範囲に特に記載されていない限り、燃焼器内の他の場所に適用することができ、陸上発電ガスタービン用の燃焼器の構成要素に限定されないことを容易に理解する。
【0020】
図面を参照すると、
図1には、ガスタービンエンジン用の燃焼器の下流部分の側面斜視図が示されている。燃焼器は、上流の燃料ノズルによって導入された燃料と空気が燃焼する一次燃焼領域を画定するライナ(図示せず)を含む。燃焼器は移行部品10を更に含み、移行部品10は、ライナに結合するように構成された上流端と、上流端から軸方向に間隔を置いて配置された下流端であって、ガスタービンのタービン部に結合するように構成された下流端とを有する。移行部品10は、下流燃料噴射器50(
図3及び
図4に示されている)からの燃料及び空気が燃焼される二次燃焼領域12を画定する。移行部品10は、移行部品10を貫通するように画定された開口部14を含み、燃料及び空気を受け入れるための燃料噴射器50と係合する。
【0021】
衝突スリーブ16は、移行部品10と衝突スリーブ16との間に環状部18が画定されるように、移行部品10を取り囲む。ケーシング20(圧縮機吐出ケーシングなど)は、ガスタービンの燃焼器アレイの各燃焼器の周囲に配置される。ガスタービンは、ガスタービンの中心線を周方向に取り囲んでいる。ケーシング20は、高圧、高温のプレナム22を画定する。ガスタービンの圧縮機から受け取った(周囲温度の大気と比較して)高圧及び高温の空気は、プレナム22及び各燃焼器の衝突スリーブ16の複数の開口部を流れ、それぞれの環状部18に流入する。環状部18では、空気が上流の燃料ノズル(図示せず)に運ばれるときに移行部品10及びライナの冷却に使用される。
【0022】
ケーシング20は、ケーシングの外面に沿う複数の開口部(マンウェイ開口部24又は空気抽出ポート(図示せず)など)を含む。各マンウェイ開口部24はマンウェイカバー30(
図1及び
図2)を有し、空気抽出ポートはそれぞれの空気抽出カバー35(
図2)を有する。カバー30、35は、複数の軸方向燃料導管40の入口点を提供するための開口部31、36を含み、複数の軸方向燃料導管40は、各燃焼器の軸方向燃料噴射器50に燃料を供給するために使用される。
【0023】
図2に示される例示的な配置では、3つの軸方向燃料導管40a、40b、40cが、マンウェイカバー30の間隔を空けて配置された開口部31を貫通するように配置され、2つの軸方向燃料導管40d、40eが、マンウェイカバー30から周方向に間隔を空けて離れた2つの空気抽出カバー35の各カバー35の開口部36を貫通するように配置される。各軸方向燃料ステージング導管40は、単一の燃焼缶用の一対の軸方向燃料ステージング噴射器50に燃料を供給する。全体では、7つの軸方向燃料導管は、ガスタービンエンジンの燃焼部の燃焼缶の上半分を表す7つの燃焼缶の軸方向燃料ステージング噴射器50に燃料を供給する。導管40の対応するセットは、燃焼システムの下半分にある7つの燃焼缶に燃料を供給する。他のガスタービンエンジンは、別の数の燃焼缶を有してもよく、本明細書に記載される原理は、異なる数の軸方向燃料ステージング導管40又は異なる配置の軸方向燃料ステージング導管40に等しく適用可能である。
【0024】
図2に示されるように、導管40a~40eは、軸方向燃料ステージング噴射器50と、マンウェイカバー30及び空気抽出ポートカバー35のうちの一方のカバーとの間に延在することができる。各導管40は、燃料フィッティング46と、T字接合部44において互いに結合された複数の剛性燃料パイプ42a、42b、及び42cとを有する。剛性パイプ42a及び42bは、T字接合部44から、対向する位置に配置された軸方向燃料ステージング噴射器50まで延在し、剛性パイプ42cは、T字接合部44から燃料フィッティング46まで延在する。燃料フィッティング46は、それぞれのマンウェイカバー30又は空気抽出ポートカバー35を貫通して延在するように構成される。剛性パイプ42a、42b、及び42cは、燃焼器の周方向のアレイの各燃焼器の軸方向燃料ステージング噴射器50に接続できるように、様々な曲がった部分及び/又は肘部が設けられている。図示された例示的な実施形態では、異なる5つのパイプ構成によって、14個の燃焼缶の軸方向燃料ステージング噴射器50に燃料を供給できることが判明した。
【0025】
少なくとも2つの燃料導管40を1つのグループとして、それぞれのカバー30、35に割り当てることによって、ケーシング20に、燃料導管40及び/又は燃料フィッティング46用の追加の貫通部を形成しなくても、燃料を、利用可能な空間内で最適に供給し、ケーシング20の既存の構造を利用して燃料を供給することができる。
【0026】
図3は、マンウェイカバー30の中心に配置された軸方向燃料ステージング導管40aを示す。上記のように、T字接合部44は、第1の管42aと第2の管42bとの間の中心に配置される。管42a、42bは、それぞれの軸方向燃料ステージング噴射器50に接続されている。各管42a、42bは、T字接合部44から横方向に離れるように延在する第1の部分47と、第1の部分47から半径方向の内側に延在する第2の部分48と、第2の部分から概ね軸方向に延在する第3の部分49とを含む。管42cは、T字接合部から概ね軸方向に延在する第1の部分43と、第1の部分43から横方向に延在する第2の部分45と、概ね軸方向(第1の部分43の方向とは反対方向)に及び半径方向の外側に延在する曲がった第3の部分41と、第3の部分41から半径方向の外側に燃料フィッティング46まで延在する第4の部分39とを含んでいる。振動ダンパー100は、本明細書に記載されているように、管42cの、T字接合部44に近接した第1の部分43に配置されており、振動ダンパー100のクランプ部が半径方向の外側に位置している(管42a、42bの第1の部分47に必ずしも平行な向きになっている必要はない)。振動ダンパー100の当該位置及び向きによって、ガスタービンシステムの動作中において、軸方向燃料ステージング導管40aの振動ダンパー100の減衰効果を有利に最適化することができる。例えば、当該位置及び向きによって、ガスタービンシステムの動作中に振動ダンパー100の減衰効果が増大するので、他の位置及び/又は向きよりも有利となる。
【0027】
図4及び
図5は、マンウェイカバー30の左側に配置された軸方向燃料ステージング導管40bを示す。
図4は更に、衝突スリーブ16の外面に対する軸方向燃料ステージング噴射器50の位置を示す。
図3を参照しながら記載したように、T字接合部44は、第1の管42aと第2の管42bとの間の中央に配置されている。管42a、42bは、それぞれの軸方向燃料ステージング噴射器50に接続されている。各管42a、42bは、T字接合部44から横方向に離れるように延在する第1の部分60と、第1の部分60から半径方向の内側に延在する第2の部分62と、第2の部分62から概ね軸方向に延在する第3の部分64とを含む。
【0028】
管42cは、T字接合部から略半径方向に延在する第1の部分66と、流路の向きを略半径方向から略横方向に変える曲がった第2の部分67と、第2の部分67から横方向に延在する第3の部分68と、第3の部分68から半径方向の外側に燃料フィッティング46まで延在する第4の部分70とを含む。振動ダンパー100は、本明細書で説明するように、管42cの、曲がった第2の部分67に近接した第3の部分68(例えば、曲がった「肘」部分から約1インチ即ち2.54cm離れた位置)に配置され、振動ダンパー100のクランプ部は管42cの第3の部分68に対して斜めの角度で配置することができる。振動ダンパー100のこの位置及び向きによって、ガスタービンシステムの動作中の軸方向燃料ステージング導管40bにおける振動ダンパー100の減衰効果を有利に最適化することができる。例えば、この位置及び向きは、ガスタービンシステムの動作中の振動ダンパー100の減衰効果が増大するため、他の位置及び/又は向きよりも有利とすることができる。
【0029】
各軸方向燃料ステージング導管40に対して、振動ダンパー100は、異なる振動モード形状によって生じる振動を最小限に抑えるように最適化された位置及びダンパー100の向きに配置される。本明細書で説明するように、振動ダンパー100はワッシャの積層体を含んでおり、ワッシャの動きにより、燃焼器の様々な動作モードに関連する振動が散逸する。例えば、振動ダンパー100によって散逸する一次振動モードは、燃料導管40bに対して概ね横方向である。ダンパーの積層体130内の減衰ワッシャ132は、
図5の両矢印で示すように、ワッシャ132が、隣接するワッシャ132に対して上下及び左右に移動できるように配置されている。
【0030】
振動ダンパー100については、
図6~
図13を参照して更に説明する。振動ダンパー100は、クランプ部又は取付け部102と減衰部104を含んでいる。
【0031】
取付け部102は、振動ダンパー100を導管に結合することができる。一部の実施形態(図示せず)では、取付け部102は、振動ダンパー100(又は導管)によって画定されるボス又は突起部とすることができ、減衰部104は、ボス又は突起に(溶接又は他の手段などによって)固定的に結合することができる。例示的な実施形態では、図示のように、取付け部102は第1のクランププレート110を含んでおり、第1のクランププレート110は、フランジ113が両側に配置された中央弧状部分112を有している。各フランジ113は、フランジ113を貫通する開口部114であって、キャップヘッドねじ124を受け入れる開口部114を画定する。第2のクランププレート120は、第1のクランププレート110と相補的なサイズと形状を有する。第2のクランププレート120は、フランジ123が両側に配置された中央弧状部分122を有しており、フランジ123に、フランジ113に画定された開口部114に対応する開口部(個別に符号は付されていない)が画定されている。接続本体部128は、第2のクランププレート120の中央弧状部分122から外側又は上方に延在しており、接続本体部128は、第2のクランププレートの接続本体部128の頂部(外面)から中央弧状部分122の内面まで延在するねじ付き開口部126を含む(
図7及び
図11を参照)。
【0032】
第2のクランププレート120がキャップヘッドねじ124によって第1のクランププレート110に結合されると、中央弧状部分112、122によって完全な円形の環状体125が画定される。完全な円形の環状体125は、軸方向燃料ステージング導管40のそれぞれの管42に適合するサイズに形成されている。軸方向燃料ステージング導管40の所定の位置に振動ダンパー100を取り付けるプロセスにおいて、第1及び第2のクランププレート110、120はそれぞれの管42に配置され、ねじ124によって互いに結合される。ねじ124によるクランプ力は一般的には十分であるが、クランププレート110、120の一方又は両方を、任意に、管42に固定的に結合してもよい(例えば、中央弧状部分122で溶接してもよい)。耐久性を高めるために、キャップヘッドねじ124の出口端部を溶接してもよい。
【0033】
振動ダンパー100の減衰部104は、減衰ワッシャ132の積層体130を取り囲むC形スプリングクリップ140を含む。フランジ付きブッシュ150は、燃焼振動に応じた減衰ワッシャ132の移動によって生じる摩耗の耐久性が得られるように、減衰ワッシャ132の積層体130の最上部に配置される。減衰部104は段付きボルト160も含んでおり、段付きボルト160は、スプリングクリップ140及び減衰ワッシャ132を貫通するように配置されており、第2のクランププレート120の接続フランジ128に螺合する。
【0034】
スプリングクリップ140(
図13に、更に詳細に示されている)は、第1の(上)面141と、第2の(底)面143と、第1の面141を第2の面143に接続する曲面145とを含む。上面141は、曲面145に隣接する第1の部分141aと、曲面145に対して遠位に位置する第2の部分141bとを含む。第1の部分141aは、上面141を貫通するように画定された開口部146に向かって内側に傾斜しており、一方、第2の部分141bは、開口部から外側に且つブッシュ150(
図11参照)から離れる方向に傾斜する又はフレア状に広がる。開口部146は、開口部146から延在するロッキング凹部142を除いて、概ね円形である。スプリングクリップ140の底面143は平面であり、上面141の開口部146と位置合わせされた開口部148を含む。開口部148は、開口部146の直径よりも小さい直径を有することができる。このようにして、開口部146は、段付きボルト160の円筒形本体部分164を受け入れる大きさに形成し、開口部148は、段付きボルト160のねじ付き端部166を受け入れる大きさに形成することができる。本明細書で更に説明するように、底面143の遠位部分は、下面を貫通するピン開口部144を画定する。スプリングクリップ140の上面141は、上面141が上方に引っ張られて減衰ワッシャ132の積層体130と係合するように、底面143に向かって付勢されている。
【0035】
減衰ワッシャ132の積層体130は、
図8及び
図11に最も明瞭に示されており、個々の減衰ワッシャ132の底面は
図12に示されている。各減衰ワッシャ132は、円形の本体部133であって、平面状の外形を有する本体部133を含む。中央開口部136は、本体部133を貫通するように画定されている。ロッキングピン134は、本体部133に溶接される、取り付けられる、又は一体化される。例えば、一部の実施形態では、各本体部133及び対応するロッキングピン134は、単一で、単体で、一体的に形成された本体部とすることができる。ピン用凹部135は、ロッキングピン134よりも大きい直径を有しており、本体部133の直径に対してロッキングピン133の反対側に画定されている。
【0036】
図8及び
図11に示すように、減衰ワッシャ132の積層体130は、第1のワッシャ132のロッキングピン134を、隣接する第2のワッシャ132のピン用凹部135に挿入することによって組み立てられる。次に、第2のワッシャ132のロッキングピン134が、隣接する第3のワッシャ132のピン用凹部135に挿入される。この挿入パターンは、積層体130のワッシャ132の数だけ続けられる。図示の例示的な実施形態では、積層体130は6つのワッシャ132を含んでいる。減衰ワッシャ132の積層体130の回転を防止するために、積層体130の底部のワッシャ132のロッキングピン134は、(
図11に示すように)スプリングクリップ140の底面143のピン用凹部144に挿入される。ロッキングピン134とピン用凹部135は、積層体130として組み立てられたときに、減衰ワッシャ132の間で回転運動すること又はスピンを好適に防止し、それによって摩擦摩耗を大幅に低減し、ダンパーの積層体130の軸方向の動きを制限する(これにより、導管の振動を減衰する)ことができる。
【0037】
図9及び
図10に示すように、ブッシュ150の外面は、スプリングクリップ140に画定された開口部146及びロッキング凹部142に対応する形状を有することができる。例えば、ブッシュ150は、ロッキングタブ152が突出する円筒部154と、円筒部154の直径より大きい直径を有する平坦部156とを含んでいる。平坦部156は、減衰ワッシャ132の直径よりも小さい直径を有する。ロッキングタブ152は、スプリングクリップ140の上面141のロッキング凹部142に合うサイズ及び形状に形成されている。
【0038】
振動ダンパー100の減衰部104を組み立てる場合、ブッシュ150は、平坦部156が積層体130に接触する状態で積層体130の上に配置される。ブッシュ150の円筒部154及びロッキングタブ152は、ブッシュ150及び積層体130の回転が防止されるように、スプリングクリップ140の上面141の開口部146及びロッキング凹部142を貫通して位置決めされる。スプリングクリップ140の上面141は、スプリングクリップ140の底面143に向かって付勢されており、付勢の力は減衰ワッシャ132を固定する助けになっている。
【0039】
図11に示されるように、段付きボルト160は、ブッシュ150の開口部(符号は付されていない)を貫通するように配置され、減衰ワッシャ132の中央開口部136を貫通するように延在する。段付きボルト160は、第1の直径を有する頭部162と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する円筒本体部と、第1の直径及び第2の直径よりも小さい第3の直径を有するねじ付き部166とを含んでいる。段付きボルト160のねじ付き端部166は、第2のクランププレート120の接続部分128のねじ付き開口部126と係合し、これにより、減衰部104が振動ダンパー100の取付け部102に固定される。
【0040】
図10に最もよく示されているように、段付きボルト160とロッキングタブ152との間に、軸方向ギャップ161を画定することができる。特に、軸方向ギャップ161は、段付きボルト160の頭部162とロッキングタブ152との間に画定することができる。軸方向ギャップ161は、減衰部104が動かなくなることを有利に防止する、及び/又は軸方向に大きく撓むことを低減することができる。
【0041】
耐久性を上げるために、減衰ワッシャ132の本体部133、スプリングクリップ140、ブッシュ150、及び段付きボルト160は、耐摩耗性材料(コバルト材料(例えば、L605)など)で製造されている。場合によっては、ブッシュ150を予め酸化することが望ましい場合がある。他の構成要素(例えば、クランププレート110、120及びキャップヘッドねじ124)は、ガスタービンの動作条件における耐久性要件を満たす任意の材料から製造することができる。典型的な材料としては、ステンレス鋼やニッケル系合金などがある。
【0042】
ガスタービンの動作中、燃焼器は、軸方向燃料ステージング導管40に悪影響を与える恐れがある振動応力を受けることになる。本開示の振動ダンパー100は、導管40に沿うように配置され、向きが調整されており、ワッシャの積層体130が最大の振動応力を受けるように配置されている。積層体130のワッシャ132は、ピン用凹部135、144におけるロッキングピン134の相対的なサイズによって動きが制限された状態で、互いにスライドして移動することができる。積層体130のワッシャ132は、ピン用凹部135、144におけるロッキングピン134同士の間隔によって、互いに上下に移動することもできる。このような動きは、燃料導管40が受ける振動を減衰するのに役立ち、それによって、構成要素の所定の寿命の間の耐久性を保証され、導管40の亀裂又は漏れの恐れが低減される。
【0043】
本振動ダンパー100の利点は以下のとおりである。(i)振動ダンパー100は、非金属材料の範囲外の高温環境で動作できる。(ii)回転防止部分(つまり、ピン、凹部)がテストで効果的であることが証明されている。(iii)スプリングクリップの荷重は調整可能であり、コンプライアンスが非常に広い範囲である。(iv)スプリングクリップは従来のばねと比較して大きな支持面積を備えており、摩耗が最小限に抑えられる。(v)振動ダンパーは、ガスタービンのケーシング内に実装するのに必要なコンパクトなデザインである。(vi)振動ダンパーは最小限の重量で大きな減衰量を実現する。(vii)振動ダンパーの位置と向きはFEA分析によって最適化することができる。
【0044】
ガスタービン燃焼器の燃料導管用の振動ダンパーの例示的な実施形態について、上記で詳細に説明されている。本明細書に記載の振動ダンパーは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、振動ダンパーの構成要素は、本明細書に記載の他の構成要素とは独立して別々に利用することができる。例えば、本明細書に記載の振動ダンパーは、本明細書に記載された発電ガスタービンの燃焼器用の軸方向燃料ステージング導管で実施することに限定されない他の用途を有することができる。本明細書に記載の振動ダンパーは、ガスタービン又は流体導管が振動を受ける他の様々な産業において、様々な流体の供給に実装及び利用することができる。
【0045】
技術的方法を様々な特定の実施形態によって説明してきたが、当業者であれば、この技術的方法は、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内で変更を加えて実施できることを認識する。
【0046】
本発明のさらなる態様は、以下の実施形態によって提供される。
【0047】
[実施形態1]
ガスタービン燃焼器の流体導管用の振動ダンパーであって、前記振動ダンパーは、前記流体導管に固定された取付け部、及び減衰部であって、減衰ワッシャの積層体と、前記減衰ワッシャの積層体の上に存在するブッシュと、前記減衰ワッシャの積層体及び前記ブッシュの周りに固定されたスプリングクリップと、前記ブッシュ及び前記減衰ワッシャの積層体を貫通するように配置された段付きボルトであって、前記取付け部に係合する段付きボルトとを含む減衰部を含む、振動ダンパー。
【0048】
[実施形態2]
前記ブッシュは、円筒部と、前記円筒部から突出するロッキングキーとを含み、前記スプリングクリップは、ロッキング凹部と開口部を画定する上面を含み、前記開口部及び前記ロッキング凹部は、前記円筒部及び前記ロッキングキーに対応する大きさに形成されており、前記開口部及び前記ロッキング凹部は、前記スプリングクリップの上面が前記円筒部及びロッキングキーに嵌合するように、配置されている、実施形態1に記載の振動ダンパー。
【0049】
[実施形態3]
前記減衰ワッシャの積層体の各減衰ワッシャは、中央開口部を有する環状本体部と、前記本体部の底面から突出するピンと、前記本体部を貫通するように画定されたロッキング開口部とを含み、前記ロッキング開口部は、前記環状本体部の直径方向において、前記ピンの反対側にある、実施形態1又は2に記載の振動ダンパー。
【0050】
[実施形態4]
前記ピンは第1の直径を有し、前記ロッキング開口部は前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する、実施形態1~3のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0051】
[実施形態5]
第1の減衰ワッシャのピンは、隣接する第2の減衰ワッシャのロッキング開口部に挿入され、前記第2の減衰ワッシャのピンは、前記第2の減衰ワッシャに隣接する第3の減衰ワッシャのロッキング開口部に挿入され、前記減衰ワッシャの積層体の、前記第1の減衰ワッシャの反対側に位置する最後の減衰ワッシャのピンは、前記スプリングクリップの底面を貫通するように画定されたロッキング開口部に配置される、実施形態1~4のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0052】
[実施形態6]
前記段付きボルトは、前記減衰ワッシャの積層体の減衰ワッシャの中央開口部を貫通するように配置された円筒形本体部を有する、実施形態1~5のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0053】
[実施形態7]
前記スプリングクリップは、上面と、曲面によって前記上面に接続された底面とを有し、前記上面及び前記底面の各々は、各面を貫通する開口部を画定し、前記開口部は互いに位置合わせされる、実施形態1~6のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0054】
[実施形態8]
前記底面は、平坦状であり、前記取付け部の接続本体部に配置されるように構成される、実施形態1~7のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0055】
[実施形態9]
前記上面は、曲がった部分に接続された又は前記曲がった部分に隣接する第1の部分と、前記曲がった部分に対して遠位に位置する第2の部分とを含み、前記第1の部分は、前記曲がった部分から開口部に向かって半径方向の内側に傾斜しており、前記第2の部分は、前記開口部から半径方向の外側に且つ前記ブッシュから離れる方向に傾斜する、実施形態1~8のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0056】
[実施形態10]
前記底面は、前記減衰ワッシャの積層体の底部の減衰ワッシャからのロッキングピンを受け入れるように構成されたロッキング開口部を画定する、実施形態1~9のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0057】
[実施形態11]
前記取付け部は、第1のクランププレートと第2のクランププレートとを含み、前記第1のクランププレート及び前記第2のクランププレートの各々は、フランジが両側に配置された中央弧状部分を有し、前記第1のクランププレートの中央弧状部分は、完全な円形の環状体が画定されるように、前記第2のクランププレートの中央弧状部分に対して位置合わせされ、前記完全な円形の環状体は前記流体導管に適合する大きさに形成されている、実施形態1~10のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0058】
[実施形態12]
各フランジは、フランジを貫通する開口部であって、キャップヘッドねじを受け入れる開口部を画定し、第1のキャップヘッドねじは、第1のクランププレートの第1の開口部及び第2のクランププレートの対応する第1の開口部を貫通し、第2のキャップヘッドねじは、第1のクランププレートの第2の開口部及び第2のクランププレートの対応する第2の開口部を貫通する、実施形態1~11のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0059】
[実施形態13]
キャップヘッドねじの遠位端は、第1及び第2のクランププレートのそれぞれの開口部を貫通するように配置された後、所定の位置に溶接される、実施形態1~12のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0060】
[実施形態14]
前記第2のクランププレートは、前記第2のクランププレートの中央弧状部分から外側又は上方に延在する接続本体部であって、ねじ付き開口部を含む接続本体部を有し、前記ねじ付き開口部は、前記接続本体部の上端部から前記第2のクランププレートの中央弧状部分の内面まで延在する、実施形態1~13のうちのいずれかの実施形態に記載の振動ダンパー。
【0061】
[実施形態15]
ガスタービン燃焼器用の流体導管であって、前記流体導管は、
互いに接続された複数の管であって、振動を受ける複数の管を含み、振動ダンパーが、前記複数の管のうちの1つの管に取り付けられており、前記振動ダンパーは、前記流体導管に固定された取付け部、及び減衰部であって、減衰ワッシャの積層体と、前記減衰ワッシャの積層体の上に存在するブッシュと、前記減衰ワッシャの積層体及び前記ブッシュの周りに固定されたスプリングクリップと、前記ブッシュ及び前記減衰ワッシャの積層体を貫通するように配置された段付きボルトであって、前記取付け部に係合する段付きボルトとを含む減衰部を含む、流体導管。
【0062】
[実施形態16]
前記複数の管は3つの管を含み、前記3つの管はT字接合部で結合される、実施形態15に記載の流体導管。
【0063】
[実施形態17]
前記複数の管は、ガスタービンのケーシングを通って燃料供給部と流体連通する第1の管と、前記第1の管と流体連通する第2の管であって、燃焼器に取り付けられた第1の軸方向燃料ステージング噴射器に結合される第2の管と、前記第1の管と流体連通する第3の管であって、前記燃焼器の第2の軸方向燃料ステージング噴射器に結合される第3の管とを含む、実施形態15又は16に記載の流体導管。
【0064】
[実施形態18]
前記複数の管は、高圧、高温のプレナムを画定する圧縮機吐出ケーシング内に配置されている、実施形態15~17のうちのいずれかの実施形態に記載の流体導管。
【0065】
[実施形態19]
前記振動ダンパーは、前記第1の管のT字接合部に隣接するように配置される、実施形態15~18のうちのいずれかの実施形態に記載の流体導管。
【0066】
[実施形態20]
前記第1の管は、前記T字接合部から延在する第1の部分と、前記第1の部分から延在する曲がった肘部分と、前記曲がった肘部分から延在する第3の部分とを含み、前記振動ダンパーは、前記曲がった肘部分から約1インチ離れた第3の部分に配置される、実施形態15~19のうちのいずれかの実施形態に記載の流体導管。
【符号の説明】
【0067】
40 流体導管
100 振動ダンパー
102 取付け部
104 減衰部
130 積層体
132 減衰ワッシャ
140 スプリングクリップ
150 ブッシュ
160 段付きボルト
【国際調査報告】