IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーワイディー カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図1
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図2
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図3
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図4
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図5
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図6
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図7
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図8
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図9
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図10
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図11
  • 特表-電池パック及び電気自動車 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20240213BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20240213BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240213BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/211
H01M50/204 401D
H01M50/569
H01M50/271 B
H01M50/289
H01M50/583
H01M50/548 301
H01M50/505
H01M50/50 201Z
H01M50/51
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540647
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2022084078
(87)【国際公開番号】W WO2022206840
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202120653607.5
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】高健
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】鄂从吉
(72)【発明者】
【氏名】熊柏▲鈞▼
(72)【発明者】
【氏名】姜勇▲軍▼
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC05
5H040DD07
5H040DD26
5H040JJ03
5H043AA13
5H043AA19
5H043CA08
5H043CA21
5H043DA02
5H043FA04
5H043FA22
5H043FA32
5H043FA40
5H043GA03
5H043HA11F
5H043JA06F
5H043JA21F
5H043LA22F
(57)【要約】
電池パック(100)及び電気自動車(1000)を提供する。電池パック(100)は、筐体(10)と、封止カバー(20)と、電池列(30)と、サンプリング構造(40)と、電池管理システムに接続される電池情報収集器(50)とを含む。電池列(30)とサンプリング構造(40)は、筐体(10)内に設置され、電池列(30)は、電気的に接続された複数の電池(301)を含み、サンプリング構造(40)は、複数のサンプリング線(401)を含み、サンプリング線(401)は、第1端部(4011)が対応する電池(301)に接続され、第2端部(4012)が電池情報収集器(50)に接続される。筐体(10)に開口部(101)が設置され、電池情報収集器(50)は、筐体(10)の開口部(101)に設置され、封止カバー(20)は、電池情報収集器(50)の外側に位置し、筐体(10)の開口部(101)を封止する。電池情報収集器(50)は、筐体(10)の開口部(101)に設置されるため、筐体(10)の内部空間を占用することがない。封止カバー(20)によって筐体(10)の封止を実現するだけでなく、電池情報収集器(50)の封止を実現することもでき、製造コストを低減することに有利となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(10)と、封止カバー(20)と、電池列(30)と、サンプリング構造(40)と、電池管理システムに接続される電池情報収集器(50)とを含む電池パック(100)であって、
前記電池列(30)及び前記サンプリング構造(40)は、前記筐体(10)内に設置され、前記電池列(30)は、電気的に接続された複数の電池(301)を含み、前記サンプリング構造(40)は、複数のサンプリング線(401)を含み、前記サンプリング線(401)の第1端部(4011)は、対応する前記電池(301)に接続され、前記サンプリング線(401)の第2端部(4012)は、前記電池情報収集器(50)に接続され、
前記筐体(10)に開口部(101)が設置され、前記電池情報収集器(50)は、前記筐体(10)の開口部(101)に設置され、前記封止カバー(20)は、前記電池情報収集器(50)の外側に位置し、前記筐体(10)の開口部(101)を封止する、ことを特徴とする電池パック(100)。
【請求項2】
前記筐体(10)内には、前記筐体(10)の内部空間を複数の収容キャビティ(70)に仕切る仕切り板(60)が設置され、
前記収容キャビティ(70)内に前記電池列(30)及び前記サンプリング構造(40)が設置され、
同一の前記収容キャビティ(70)内の前記サンプリング線(401)の第1端部(4011)は、対応する前記電池(301)に接続され、
前記収容キャビティ(70)内の少なくとも一部の前記サンプリング線(401)の第2端部(4012)は、前記電池情報収集器(50)に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック(100)。
【請求項3】
前記サンプリング線(401)の第2端部(4012)に接続端子(402)が設置され、前記電池情報収集器(50)に複数のパッド(501)が設置され、
前記接続端子(402)と前記パッド(501)とは、一対一で対応するように溶接される、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック(100)。
【請求項4】
複数のヒューズ(90)をさらに含み、
前記サンプリング線(401)の第2端部(4012)に接続端子(402)が設置され、前記電池情報収集器(50)に複数のパッド(501)が設置され、
前記ヒューズ(90)は、第1端部が対応する前記接続端子(402)に溶接され、第2端部が対応する前記パッド(501)に溶接される、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック(100)。
【請求項5】
前記電池情報収集器(50)における同一の前記収容キャビティ(70)内のサンプリング線(401)に対応して接続されるパッド(501)は、前記筐体(10)の高さ方向である第1方向に沿って複数列に配置され、
前記電池情報収集器(50)において複数の収容キャビティ(70)内のサンプリング線(401)に対応して接続されるパッド(501)は、前記筐体(10)の長さ方向又は前記筐体(10)の幅方向である第2方向に沿って配列される、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池パック(100)。
【請求項6】
前記サンプリング線(401)の第2端部(4012)に第1折曲部(404)が設置され、前記接続端子(402)は、前記第1折曲部(404)に設置され、前記電池情報収集器(50)は、前記第1折曲部(404)の一側に設置される、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電池パック(100)。
【請求項7】
複数の前記収容キャビティ(70)は、第2方向に沿って順に配列され、
前記電池列(30)を構成する複数の前記電池(301)は、第3方向に沿って順に配列され、かつ直列に接続され、
前記第2方向は、前記筐体(10)の長さ方向であり、前記第3方向は、前記筐体(10)の幅方向であり、
或いは、前記第2方向は、前記筐体(10)の幅方向であり、前記第3方向は、前記筐体(10)の長さ方向である、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック(100)。
【請求項8】
前記電池(301)は、第1電極(302)と第2電極(303)とを含み、
前記第1電極(302)と前記第2電極(303)とは、前記第3方向に沿って前記電池(301)の反対に位置する両側に配置され、直列に接続された2つの電池(301)のうちの一方の電池(301)の第1電極(302)と他方の電池(301)の第2電極(303)とは、直接又は導電シートを介して接続され、
前記サンプリング線(401)の第1端部(4011)にサンプリング端子(403)が設置され、前記サンプリング線(401)は、対応する前記サンプリング端子(403)を介して対応する前記電池(301)の第1電極(302)に接続され、
或いは、前記サンプリング線(401)の第1端部(4011)にサンプリング端子(403)が設置され、前記サンプリング線(401)は、対応する前記サンプリング端子(403)を介して対応する前記電池(301)の第2電極(303)に接続され、
或いは、前記サンプリング線(401)の第1端部(4011)にサンプリング端子(403)が設置され、前記サンプリング線(401)は、対応する前記サンプリング端子(403)を介して対応する前記導電シートに接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の電池パック(100)。
【請求項9】
前記サンプリング線(401)の第1端部(4011)に第2折曲部(405)が設置され、前記サンプリング線(401)の第2折曲部(405)は、直列に接続された2つの電池の間に位置し、前記サンプリング端子(403)は、前記第2折曲部(405)に設置される、ことを特徴とする請求項8に記載の電池パック(100)。
【請求項10】
前記筐体(10)の第3方向に沿う端部に前記開口部(101)が設置され、前記電池情報収集器(50)の長さは、第2方向に沿って延在し、前記電池情報収集器(50)の幅は、第1方向に沿って延在し、前記第1方向は、前記筐体(10)の高さ方向であり、前記第2方向と前記第3方向のうちの一方は、前記筐体(10)の長さ方向であり、他方は、前記筐体(10)の幅方向である、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電池パック(100)。
【請求項11】
前記サンプリング構造(40)は、複数の前記サンプリング線(401)を被覆する保護層(406)をさらに含み、
前記保護層(406)及び複数の前記サンプリング線(401)は、FPC又はFFCとして構成される、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電池パック(100)。
【請求項12】
電池管理システムと接続ハーネスとをさらに含み、
前記封止カバー(20)は、前記筐体(10)の開口部(101)を封止するベース(201)と、封止された収容空間を形成するように前記ベース(201)に接続されるカバー本体(202)とを含み、
前記電池管理システムは、前記収容空間内に位置し、
前記接続ハーネスは、前記ベース(201)を貫通して前記電池管理システムと前記電池情報収集器(50)とを接続する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電池パック(100)。
【請求項13】
前記電池は、パウチ電池である、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電池パック(100)。
【請求項14】
車体(200)と、請求項1~13のいずれか一項に記載の電池パック(100)とを含み、
前記電池パック(100)は、前記車体に固定されるか、又は、前記電池パック(100)の筐体(10)は、前記車体の一部として構成される、ことを特徴とする電気自動車(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照出願)
本開示は、2021年3月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202120653607.5で、出願名称が「電池パック及び電気自動車」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の分野に関し、特に電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、サンプリング構造は、電池の電圧及び/又は温度などの情報を収集し、収集した情報を電池情報収集器に伝送し、電池情報収集器による変換処理を経た後に電池管理システムに送信する。
【0004】
現在、電池情報収集器は、通常、電池パックのケースの外側に配置されているが、このような配置方法は、電池パックの全体構造の寸法の増大を招くだけでなく、電池情報収集器を個別に封止する必要も生じるため、電池パックのコストの増加を招く。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、少なくとも従来技術における課題の1つを解決することを目的とする。そのため、本開示の第1態様に係る電池パックは、筐体と、封止カバーと、電池列と、サンプリング構造と、電池管理システムに接続される電池情報収集器とを含み、
前記電池列及び前記サンプリング構造は、前記筐体内に設置され、前記電池列は、電気的に接続された複数の電池を含み、前記サンプリング構造は、複数のサンプリング線を含み、前記サンプリング線は、第1端部が対応する前記電池に接続され、第2端部が前記電池情報収集器に接続され、
前記筐体に開口部が設置され、前記電池情報収集器は、前記筐体の開口部に設置され、前記封止カバーは、前記電池情報収集器の外側に位置し、前記筐体の開口部を封止する。
【0006】
本開示のいくつかの実施例において、前記筐体内には、前記筐体の内部空間を複数の収容キャビティに仕切る仕切り板が設置され、前記収容キャビティ内に前記電池列及び前記サンプリング構造が設置され、同一の前記収容キャビティ内の前記サンプリング線の第1端部は、対応する前記電池に接続され、少なくとも一部の前記収容キャビティ内の前記サンプリング線の第2端部は、前記電池情報収集器に接続される。
【0007】
本開示のいくつかの実施例において、前記サンプリング線の第2端部に接続端子が設置され、前記電池情報収集器に複数のパッドが設置され、前記接続端子と前記パッドとは、一対一で対応するように溶接される。
【0008】
本開示のいくつかの実施例において、前記電池パックは、複数のヒューズをさらに含み、前記サンプリング線の第2端部に接続端子が設置され、前記電池情報収集器に複数のパッドが設置され、前記ヒューズは、第1端部が対応する前記接続端子に溶接され、第2端部が対応する前記パッドに溶接される。
【0009】
本開示のいくつかの実施例において、前記電池情報収集器における同一の前記収容キャビティ内のサンプリング線に対応して接続されるパッドは、前記筐体の高さ方向である第1方向に沿って複数列に配置され、
前記電池情報収集器において複数の収容キャビティ内のサンプリング線に対応して接続されるパッドは、前記筐体の長さ方向又は前記筐体の幅方向である第2方向に沿って配列される。
【0010】
本開示のいくつかの実施例において、前記サンプリング線の第2端部に第1折曲部が設置され、前記接続端子は、前記第1折曲部に設置され、前記電池情報収集器は、前記第1折曲部の一側に設置される。
【0011】
本開示のいくつかの実施例において、複数の前記収容キャビティは、第2方向に沿って順に配列され、前記電池列を構成する複数の前記電池は、第3方向に沿って順に配列され、かつ直列に接続され、前記第2方向は、前記筐体の長さ方向であり、前記第3方向は、前記筐体の幅方向であり、或いは、前記第2方向は、前記筐体の幅方向であり、前記第3方向は、前記筐体の長さ方向である。
【0012】
本開示のいくつかの実施例において、前記電池パックは、第1電極と第2電極とを含み、前記第1電極と前記第2電極とは、前記第3方向に沿って前記電池の反対に位置する両側に配置され、直列に接続された2つの電池のうちの一方の電池の第1電極と他方の電池の第2電極とは、直接又は導電シートを介して接続され、
前記サンプリング線の第1端部にサンプリング端子が設置され、前記サンプリング線は、対応する前記サンプリング端子を介して対応する前記電池の第1電極に接続され、或いは、前記サンプリング線の第1端部にサンプリング端子が設置され、前記サンプリング線は、対応する前記サンプリング端子を介して対応する前記電池の第2電極に接続され、
或いは、前記サンプリング線の第1端部にサンプリング端子が設置され、前記サンプリング線は、対応する前記サンプリング端子を介して対応する前記導電シートに接続される。
【0013】
本開示のいくつかの実施例において、前記サンプリング線の第1端部に第2折曲部が設置され、前記サンプリング線の第2折曲部は、直列に接続された2つの電池の間に位置し、前記サンプリング端子は、前記第2折曲部に設置される。
【0014】
本開示のいくつかの実施例において、前記筐体の第3方向に沿う端部に前記開口部が設置され、前記電池情報収集器の長さは、第2方向に沿って延在し、前記電池情報収集器の幅は、第1方向に沿って延在し、前記第1方向は、前記筐体の高さ方向であり、前記第2方向と前記第3方向のうちの一方は、前記筐体の長さ方向であり、他方は、前記筐体の幅方向である。
【0015】
本開示のいくつかの実施例において、前記サンプリング構造は、複数の前記サンプリング線を被覆する保護層をさらに含み、前記保護層及び複数の前記サンプリング線は、FPC又はFFCとして構成される。
【0016】
本開示のいくつかの実施例において、前記電池パックは、電池管理システムと接続ハーネスとをさらに含み、前記封止カバーは、前記筐体の開口部を封止するベースと、封止された収容空間を形成するように前記ベースに接続されるカバー本体とを含み、前記電池管理システムは、前記収容空間内に位置し、前記接続ハーネスは、前記ベースを貫通して前記電池管理システムと前記電池情報収集器とを接続する。
【0017】
本開示のいくつかの実施例において、前記電池は、パウチ電池である。
【0018】
別の態様において、本開示に係る電気自動車は、車体と、上記いずれかの実施例に記載の電池パックとを含み、前記電池パックは、前記車体に固定されるか、又は、前記電池パックの筐体は、前記車体の一部として構成される。
【0019】
本開示の有益な効果は、以下のとおりである。本開示に係る電池パックの筐体には開口部が設置され、電池情報収集器は、筐体の開口部に設置されている。こうすることで、筐体の内部空間が占用されなくなり、電池パックの空間利用率の向上に有利となる。封止カバーは、電池情報収集器の外側に設置され、筐体の開口部を封止する。このように、封止カバーによって筐体の封止を実現するだけでなく、電池情報収集器の封止を実現することもできるため、封止構造部材の数を減少させ、電池パックの製造コストを低減することに有利となる。これとともに、電池パックの構造設計のコンパクト性を向上させることもでき、電池パックの全体寸法を低減することに有利となる。また、サンプリング線によって電池の関連情報を収集し、当該サンプリング情報を電池情報収集器に伝送し、電池情報収集器による処理を経た後に電池管理システムに伝送することができるため、電池の動作状態を監視し、電池パックの使用の安全性を向上させることが可能となる。
【0020】
本開示の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本開示の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施例に係る電池パックの概略構成図である。
図2】本開示の実施例に係る電池パックの分解図である。
図3】本開示の実施例に係る電池パックの別の分解図である。
図4図3におけるA部の部分拡大図である。
図5】本開示の実施例に係るサンプリング線と電池との接続を示す概略図である。
図6図5の分解図である。
図7図6におけるB部の部分拡大図である。
図8】本開示の一実施例に係るサンプリング線と電池情報収集器との接続を示す概略図である。
図9図8におけるC部の部分拡大図である。
図10】本開示の別の実施例に係るサンプリング線と電池情報収集器との接続を示す概略図である。
図11図10におけるD部の部分拡大図である。
図12】本開示の実施例に係る電気自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。説明される実施例の例は図面において示されるが、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは、同一又は類似の機能を有する部品を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的なものであり、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものであると理解すべきではない。
【0023】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものにすぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を制限するものであると理解すべきではない。
【0024】
図1図7に示すように、本開示は、筐体10と、封止カバー20と、電池列30と、サンプリング構造40と、電池管理システムに接続される電池情報収集器50とを含む電池パック100を提供する。電池列30及びサンプリング構造40は、筐体10内に設置され、電池列30は、電気的に接続された複数の電池301を含み、サンプリング構造40は、複数のサンプリング線401を含む。サンプリング線401は、第1端部4011が対応する電池301に接続され、第2端部4012が電池情報収集器50に接続される。筐体10に開口部101が設置され、電池情報収集器50は、筐体10の開口部101に設置され、封止カバー20は、電池情報収集器50の外側に位置し、筐体10の開口部101を封止する。
【0025】
電池情報収集器50の外側とは、電池情報収集器50の筐体10の内部空間から離れる側を指す。サンプリング線401は、第一端部が対応する電池301に接続され、第2端部4012が電池情報収集器50に接続されている。こうすることで、サンプリング線401は、電池301の関連情報を収集し、当該情報を電池情報収集器50に伝送し、電池情報収集器50による変換処理を経た後、電池管理システムに伝送することができるため、電池301の動作状態を監視し、電池パック100の使用の安全性を向上させることが可能となる。
【0026】
本開示に係る電池パック100の筐体10には開口部101が設置され、電池情報収集器50は、筐体10の開口部101に設置されている。こうすることで、筐体10の内部空間が占用されなくなり、電池パック100の空間利用率の向上に有利となる。封止カバー20は、電池情報収集器50の外側に設置され、筐体10の開口部101を封止する。このように、封止カバー20によって筐体10の封止を実現できるだけでなく、電池情報収集器50の封止を実現することもできるため、封止構造部材の数を減少させ、電池パック100の製造コストを低減することに有利となる。これとともに、電池パック100の構造設計のコンパクト性を向上させることもでき、電池パック100の全体寸法を低減することに有利となる。
【0027】
いくつかの実施例において、図3図6に示すように、筐体10内には、筐体10の内部空間を複数の収容キャビティ70に仕切る仕切り板60が設置され、収容キャビティ70内に電池列30とサンプリング構造40が設置され、同一の収容キャビティ70内のサンプリング線401の第1端部4011は、対応する電池301に接続され、少なくとも一部の収容キャビティ70内のサンプリング線401の第2端部4012は、電池情報収集器50に接続される。このように、複数の収容キャビティ70内のサンプリング線401によって収集された情報を、1つの電池情報収集器50によって変換処理することができるため、電池パック100における電池情報収集器50の数を減少させることができ、電池パック100のコストを低減することに有利となる。図3に示すように、5つの収容キャビティ70内のサンプリング線401は、1つの電池情報収集器50に接続される。当然ながら、他の実施例において、全ての収容キャビティ70内のサンプリング線401は、1つの電池情報収集器50に接続されてもよい。
【0028】
いくつかの実施例において、図10及び図11に示すように、サンプリング線401の第2端部4012に接続端子402が設置され、電池情報収集器50に複数のパッド501が設置され、接続端子402とパッド501とは、一対一で対応するように溶接される。溶接手段を利用することで、サンプリング線401と電池情報収集器50との接続の信頼性を保証することができる。また、このような手段は簡便であり、コストを低減することに有利となる。当然ながら、他の実施例において、サンプリング線401は、差し込みの手段によって電池情報収集器50に接続される場合もある。
【0029】
別のいくつかの実施例において、図9に示すように、電池パック100は、複数のヒューズ90をさらに含み、サンプリング線401の第2端部4012に接続端子402が設置され、電池情報収集器50に複数のパッド501が設置され、ヒューズ90は、第1端部が対応する接続端子402に溶接され、第2端部が対応するパッド501に溶接される。ヒューズ90によって、サンプリング線401と電池情報収集器50との接続を実現するだけでなく、過電流保護機能を果たすこともできる。こうすることで、構造部材の数を減少させることができるため、電池パック100のコストを低減することに有利となるとともに、サンプリング回路全体の安全性を保証することも可能となる。
【0030】
図9に示すように、電池情報収集器50は、サンプリング構造40の一側に設置され、電池情報収集器50のサンプリング構造40に面する側に複数のパッド501が設置され、サンプリング構造40に複数の貫通孔407が設置され、接続端子402は、サンプリング構造40の電池情報収集器50から離れる側に設置され、ヒューズ90は、貫通孔407を貫通してパッド501に溶接される。
【0031】
いくつかの実施例において、図3図4及び図9に示すように、電池情報収集器50における同一の収容キャビティ70内のサンプリング線401に対応して接続されるパッド501は、筐体10の高さ方向である第1方向に沿って複数列に配置される。電池情報収集器50において複数の収容キャビティ70内のサンプリング線401に対応して接続されるパッド501は、筐体10の長さ方向又は筐体10の幅方向である第2方向に沿って配列される。このように設置すると、電池情報収集器50におけるパッド501の配列をよりコンパクトにすることができるため、電池情報収集器50の寸法を小さくし、コストを削減することに有利となる。
【0032】
第1方向は、図3におけるZ方向であり、電池情報収集器50の幅方向は、第1方向と一致することができる。第2方向は、図3におけるX方向であり、電池情報収集器50の長さ方向は、第2方向と一致することができる。
【0033】
なお、電池パック100が電気自動車1000の車体200に取り付けられる場合、筐体10の高さ方向は、電気自動車1000の高さ方向と一致し、筐体10の長さ方向は、電気自動車1000の長さ方向と一致し、筐体10の幅方向は、電気自動車1000の長さ方向と一致することができる。或いは、筐体10の長さ方向は、電気自動車1000の幅方向と一致し、筐体10の幅方向は、電気自動車1000の長さ方向と一致することができる。
【0034】
いくつかの実施例において、図3図4及び図5に示すように、複数の収容キャビティ70は、第2方向に沿って順に配列され、電池列30を構成する複数の電池301は、第3方向に沿って順に配列され、かつ直列に接続され、第2方向は、筐体10の長さ方向であり、第3方向は、筐体10の幅方向であり、或いは、第2方向は、筐体10の幅方向であり、第3方向は、筐体10の長さ方向である。第2方向は,図3におけるX方向であり、第3方向は,図3におけるY方向である。
【0035】
図5及び図7に示すように、電池301は、第1電極302と第2電極303とを含み、第1電極302と第2電極303とは、第3方向に沿って電池301の反対側に位置する両側に配置され、直列に接続された2つの電池301のうちの一方の電池301の第1電極302と他方の電池301の第2電極303とは、直接又は導電シートを介して接続される。
【0036】
いくつかの実施例において、サンプリング線401の第1端部4011にサンプリング端子403が設置され、サンプリング線401は、対応するサンプリング端子403を介して対応する電池301の第1電極302に接続される。
【0037】
別のいくつかの実施例において、上記実施例と異なる点は、サンプリング線401が対応するサンプリング端子403を介して対応する電池301の第2電極303に接続されることである。
【0038】
別のいくつかの実施例において、上記実施例と異なる点は、サンプリング線401が対応するサンプリング端子403を介して対応する導電シートに接続されることである。
【0039】
いくつかの実施例において、図3及び図5に示すように、複数の収容キャビティ70内のサンプリング構造40は、第2方向に沿って配列され、同一の収容キャビティ70内のサンプリング構造40は、電池列30の第1方向に沿う一側に設置され、第1方向は、筐体10の高さ方向であり、第2方向は、筐体10の長さ方向又は幅方向である。
【0040】
いくつかの実施例において、図6図9に示すように、サンプリング線401の第2端部4012に第1折曲部404が設置され、接続端子402は、第1折曲部404に設置され、電池情報収集器50は、第1折曲部404の一側に設置される。サンプリング線401には、このような折曲構造の設計を使用することで、電池情報収集器50との溶接に有利となる。
【0041】
いくつかの実施例において、図6及び図7に示すように、サンプリング線401の第1端部4011に第2折曲部405が設置され、サンプリング線401の第2折曲部405は、直列に接続された2つの電池301の間に位置し、サンプリング端子403は、第2折曲部405に設置される。このような構造設計を使用することで、サンプリング線401と第1電極302、第2電極303又は導電シートとの接続を容易にしている。
【0042】
いくつかの実施例において、図9に示すように、保護層406に複数の回避口が設置され、サンプリング線401の対応する回避口に露出する部分は、接続端子402を構成する。
【0043】
別のいくつかの実施例において、図11に示すように、サンプリング構造40は、複数のサンプリング線401を被覆する保護層406をさらに含み、サンプリング線401の第1部分は、接続端子402を形成するように保護層406から延出する。サンプリング線401は、金属導体である。
【0044】
いくつかの実施例において、図6及び図7に示すように、サンプリング構造40は、複数のサンプリング線401を被覆する保護層406をさらに含み、サンプリング線401の第2部分は、サンプリング端子403を形成するように保護層406から延出する。
【0045】
別のいくつかの実施例において、サンプリング線401の第2部分は、保護層406から露出し、サンプリング端子403に溶接される。
【0046】
サンプリング線401は、金属導体であり、接続端子402は、金属シートである。また、サンプリング線401は、金属箔をエッチング又は型抜きすることにより形成されてもよい。
【0047】
いくつかの実施例において、サンプリング構造40は、複数のサンプリング線401を被覆する保護層406をさらに含み、保護層406及び複数のサンプリング線401は、FPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブル回路基板)又はFFC(Flexible Flat Cable、フレキシブルフラットケーブル)として構成される。
【0048】
FPCは、金属箔と、金属箔の両側を被覆する保護膜とを含み、金属箔をエッチングすることで複数のサンプリング線401が形成され、保護膜によって保護層406が構成される。
【0049】
FFCは、複数の金属導体と、金属導体の両側を被覆する絶縁膜とを含み、金属導体は、2つの絶縁膜の間に接着され、サンプリング線401を構成し、絶縁膜は、保護層406を構成する。
【0050】
いくつかの実施例において、収容キャビティ70内に1つのサンプリング構造40と複数の電気的に接続された電池列30が設置され、同一の収容キャビティ70内のサンプリング線401は、複数の電池列30を構成する電池301に対応して接続される。このように、同一の収容キャビティ70内のサンプリング線401によって当該収容キャビティ70内の電池301をサンプリングすることができるため、各収容キャビティ70内のサンプリング線401の配置を簡略化することに有利となる。
【0051】
いくつかの実施例において、同一の収容キャビティ70内の複数の電池列30は、第2方向に沿って順に配列され、かつ直列に接続される。
【0052】
なお、2つの電池列30を直列に接続する2つの電池301の接続は、電池列30において直列に接続される2つの電池301の接続方式と類似し、サンプリング線401と2つの電池列30を直列に接続する2つの電池301との間の接続方式は、サンプリング線401と電池列30において直列に接続される2つの電池301の接続方式と類似するため、ここでは説明を省略する。例えば、同一の収容キャビティ70内に2つの電池列30が設置され、同一の収容キャビティ70内の2つの電池列30は、第1方向に沿って順に配列され、かつ直列に接続される。
【0053】
当然ながら、同一の収容キャビティ70内の複数の電池列30は、第2方向に沿って順に配列され、かつ並列に接続されてもよい。
【0054】
いくつかの実施例において、図2図4に示すように、筐体10の第3方向に沿う端部に開口部101が設置され、電池情報収集器50の長さは、第2方向に沿って延在し、電池情報収集器50の幅は、第1方向に沿って延在し、第1方向は、筐体10の高さ方向であり、第2方向と第3方向のうちの一方は、筐体10の長さ方向であり、他方は、筐体10の幅方向である。
【0055】
いくつかの実施例において、図2に示すように、電池パック100は、電池管理システムと接続ハーネスとをさらに含み、封止カバー20は、筐体10の開口部101を封止するベース201と、封止された収容空間を形成するようにベース201に接続されるカバー本体202とを含み、電池管理システムは、収容空間内に位置し、接続ハーネスは、ベース201を貫通して電池管理システムと電池情報収集器50とを接続する。このように、封止カバー20によって筐体10の封止を実現するだけでなく、電池管理システムの封止を実現することもできるため、封止構造部材の数を減少させることができ、コストを低減することに有利となる。
【0056】
いくつかの実施例において、図2図4に示すように、電池パック100は、筐体10の開口部101に設置される絶縁ブラケット80をさらに含み、電池情報収集器50は、絶縁ブラケット80の外側に固定される。絶縁ブラケット80の外側とは、絶縁ブラケット80の筐体10の内部空間から離れる側を指す。
【0057】
いくつかの実施例において、電池301は、パウチ電池である。当然ながら、他の実施例において、電池301は、円筒形電池であってもよい。又は、電池301のケースは、金属ケースであってもよい。
【0058】
別の態様において、図12に示すように、本開示は、車体200及び上記電池パック100を含む電気自動車1000をさらに提供する。電池パック100は、車体200に固定されるか、又は、電池パック100の筐体10は、車体200の一部として構成される。本開示に係る電気自動車1000における電池パック100の筐体10には開口部101が設置され、電池情報収集器50は、筐体10の開口部101に設置されている。こうすることで筐体10の内部空間が占用されなくなり、電池パック100の空間利用率の向上に有利となる。封止カバー20は、電池情報収集器50の外側に設置され、筐体10の開口部101を封止する。このように、封止カバー20によって筐体10の封止を実現できるだけでなく、電池情報収集器50の封止を実現することもできるため、封止構造部材の数を減少させ、電池パック100の製造コストを低減することに有利となる。これとともに、電池パック100の構造設計のコンパクト性を向上させることもでき、電池パック100の全体寸法を低減することに有利となる。また、サンプリング線401によって電池301の関連情報を収集し、当該サンプリング情報を電池情報収集器50に伝送し、電池情報収集器50による処理を経た後に電池管理システムに伝送することができるため、電池301の動作状態を監視し、電池パック100の使用の安全性を向上させることが可能となる。
【0059】
なお、本開示の説明において、説明すべきものとして、別に明確な規定と限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、又は電気的な接続であってもよく、直接的な連結であっても、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本開示における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0060】
本明細書の説明では、用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などを参照する説明は、当該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0061】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0062】
1000 電気自動車
100 電池パック
200 車体
10 筐体
101 開口部
20 封止カバー
201 ベース
202 カバー本体
30 電池列
301 電池
302 第1電極
303 第2電極
40 サンプリング構造
401 サンプリング線
402 接続端子
403 サンプリング端子
404 第1折曲部
405 第2折曲部
406 保護層
407 貫通孔
4011 第1端部
4012 第2端部
50 電池情報収集器
501 パッド
60 仕切り板
70 収容キャビティ
80 絶縁ブラケット
90 ヒューズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】