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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】分離装置及び分離方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/14 20060101AFI20240213BHJP
   B01D 61/18 20060101ALI20240213BHJP
   B01D 65/08 20060101ALI20240213BHJP
   B01D 61/20 20060101ALI20240213BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240213BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
B01D61/14 500
B01D61/18
B01D65/08
B01D61/20
C12N5/071
C12M1/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541843
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2022074606
(87)【国際公開番号】W WO2023141944
(87)【国際公開日】2023-08-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522022694
【氏名又は名称】深▲せん▼匯芯生物医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN HUIXIN LIFE TECHNOLOGIES CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 816814, Bldg4 (complex building), Yesun Intelligent Community No. 1301-74, Guanguang Rd., Xinlan Community, Guanlan St., Longhua Dist. Shenzhen, Guangdong 518110, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】楊 一杰
(72)【発明者】
【氏名】陳 欲超
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4D006
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB11
4B029CC01
4B029DG10
4B029HA06
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BD14
4B065BD18
4B065CA46
4D006GA06
4D006GA07
4D006KA31
4D006KB30
4D006MA03
4D006PA01
4D006PB09
4D006PB20
4D006PB70
4D006PC38
(57)【要約】
本願は、分離チップと、振動系と、差圧駆動系と、周波数変換モジュールと、コントローラと、を備える分離装置を提供する。分離チップは、サンプルプールと、サンプルプールの両側に位置する第1チャンバと、第2チャンバとを含む。振動系は、2つの超音波発生器と、第1のチャンバの外面および第2のチャンバの外面に貼り合わされるように、2つの超音波発生器をそれぞれ分離チップに向けて移動させる押さえアセンブリと、を備える。周波数変換モジュールは、差圧駆動系を制御して第1チャンバと第2チャンバとで交互に圧力差を発生させる。コントローラは、差圧駆動系が第1チャンバまたは第2チャンバに圧力差の発生を停止しているときに、2つの超音波発生器を振動させるように制御する。本願が提供する分離装置は、超音波発生器と分離チップの組み立てが便利で、分離チップのコストが低く、かつ分離効率が高く、濾過膜の目詰まりを効果的に予防することができる。なお、本願は、分離方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルから目標粒子を分離して精製する分離装置であって、
サンプルプールと、前記サンプルプールの一側に位置する少なくとも1つの第1チャンバと、前記サンプルプールの前記少なくとも1つの第1チャンバから離れた側に位置する少なくとも1つの第2チャンバとを備え、隣接する2つの前記第1チャンバの間及び前記サンプルプールに隣接する前記第1チャンバと前記サンプルプールとの間は、いずれも第1濾過膜を介して連通し、隣接する2つの前記第2チャンバの間、及び前記サンプルプールに隣接する前記第2チャンバと前記サンプルプールとの間は、いずれも第2濾過膜を介して連通し、各前記第1濾過膜及び各前記第2濾過膜の孔径が目標粒子の粒径よりも小さい分離チップと、
押さえアセンブリと、前記押さえアセンブリ上に設けられた2つの超音波発生器とを備え、2つの前記超音波発生器を前記分離チップに接近させる端面が、最も外側の前記第1チャンバの外面と、最も外側の前記第2チャンバの外面とにそれぞれ貼り合わされるように、前記押さえアセンブリが2つの前記超音波発生器を前記分離チップに向かって移動させる、振動系と、
差圧駆動系と、
前記差圧駆動系で前記第1チャンバおよび前記第2チャンバにそれぞれ接続され、前記差圧駆動系を制御して前記第1チャンバおよび前記第2チャンバに交互に圧力差を発生させる周波数変換モジュールと、
前記差圧駆動系が前記第1チャンバまたは前記第2チャンバの圧力差の発生を停止する時、2つの前記超音波発生器を振動させるように制御してそれぞれ超音波振動波を発生させるコントローラと、を備えることを特徴とする、分離装置。
【請求項2】
2つの前記超音波振動波の振動周波数は、15KHz~80KHzであり、
1つの前記超音波振動波の周期内で、2つの前記超音波振動波のデューティ比は、10%~90%であることを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
2つの前記超音波振動波の振動周波数と前記デューティ比との差が30%以下であることを特徴とする、請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
2つの前記超音波発生器のオン又はオフの1周期における前記オンの割合は、10%~100%であることを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
【請求項5】
2つの前記超音波振動波は同一水平面上に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
【請求項6】
前記超音波発生器は、前記分離チップに近接して設けられたホーンと、前記ホーンに接続された圧電セラミックアセンブリと、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
【請求項7】
前記ホーンは、順次接続された第1ホーンと、第2ホーンと、第3ホーンと、前記圧電セラミックモジュールに接続された連結部とを備え、前記第1ホーンにおける前記第2ホーンから離れた端面が前記第1チャンバの外面又は前記第2チャンバの外面に貼り合わされ、前記ホーンが延在する方向に垂直な方向に沿った前記第2ホーンのサイズは、前記第1ホーン及び前記第3ホーンのサイズよりも小さいことを特徴とする、請求項6に記載の分離装置。
【請求項8】
前記圧電セラミックモジュールは、複数の積層された圧電セラミックシートと、複数の前記圧電セラミックシートと間隔をあけて設けられた複数の電極シートと、複数の前記圧電セラミックシートと複数の前記電極シートとがカバーされる絶縁チューブと、前記絶縁チューブを貫通して前記ホーンに着脱可能に接続される接続体とを備えることを特徴とする、請求項6に記載の分離装置。
【請求項9】
前記超音波発生器は、前記圧電セラミックユニットにおける前記ホーンから離れた端に設けられた調整体をさらに備え、
前記接続体は、前記調整体をさらに接続することを特徴とする、請求項8に記載の分離装置。
【請求項10】
液体サンプルから目標粒子を分離して精製する分離方法であって、
請求項1~9の何れか一項に記載の分離装置を備え、
前記サンプルプールに液体サンプルを供給する工程と、
2つの前記超音波発生器における前記分離チップに接近する端面が、最も外側の前記第1チャンバの外面と、最も外側の前記第2チャンバ13の外面とにそれぞれ貼り合わされるように、前記押さえアセンブリを制御して2つの前記超音波発生器を前記分離チップに向かって移動させる工程と、
前記少なくとも1つの第1チャンバに圧力差を発生することにより、前記サンプルプール内の液体サンプル中の粒径が前記第1濾過膜の孔径よりも小さい成分を圧力差により前記少なくとも1つの第1チャンバに入る工程と、
前記少なくとも1つの第1チャンバにおける圧力差の発生を停止し、2つの前記超音波発生器を振動させるように制御して超音波振動波を発生させる工程と、
前記少なくとも1つの第2チャンバに圧力差を発生することにより、前記サンプルプール内の液体サンプル中の粒径が前記第2濾過膜の孔径よりも小さい成分を圧力差により前記少なくとも1つの第2チャンバに入る工程と、
前記少なくとも1つの第2チャンバにおける圧力差の発生を停止し、2つの前記超音波発生器を振動させるように制御して超音波振動波を発生させる工程と、を含むことを特徴とする、分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、エクソソームの分離技術分野に関し、特に、液体サンプルから対象粒子を分離するための分離装置及び分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エクソソーム(exosome)は、細胞間のコミュニケーションの担体として母細胞からのタンパク質、核酸、代謝小分子などの特異的な成分を担持し、生細胞から大量に分泌され続け、直径が30~150nmである二重リン脂質膜構造小胞である。多くの研究により、エクソソームは、免疫エスケープ、血管新生、腫瘍転移、腫瘍薬剤耐性などを含む、腫瘍の成長における多くの事象に関与していることが示されている。エクソソームは、より早く、持続的にがん細胞により放出されて、患者の血液循環系に入り、その脂質二重膜構造は、担持されたタンパク質と包接された核酸系物質とを効果的に保護できる。エクソソームは、血液、尿、腹水、組織液、涙、唾液、及び脳脊髄液等を含む多くの臨床サンプルに広く安定的に存在している。中でも、血液と尿中のエクソソームの数が多く、臨床サンプリングが容易である。そのため、エクソソームは、体外診断の研究および腫瘍の臨床検出分野における重要な研究対象であると考えられ、腫瘍の早期診断、腫瘍の転移・再発評価、腫瘍の不均一性評価、腫瘍の発生、成長と治療効果の動的検出、薬剤耐性変異検出、個別化用薬などの方面で大きな臨床価値を発揮することが期待されている。
【0003】
現在、エクソソームの臨床応用の主な障害は、複雑な生体流体からエクソソーム及びその亜群を如何に分離するかである。従来の分離プロセスは、煩雑であり、分離時間が長く、分離効率が低く、また、濾過膜が目詰まりしやすく、分離フラックスが低く、純度が低いなどの問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の以上の欠点を解決するためには、分離装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一方、本願は、上記分離装置を用いてエクソソームの分離を行う分離方法も提供する。
【0006】
第1の態様は、液体サンプルから目標粒子を分離して精製する分離装置を提供し、当該分離装置は、分離チップと、振動系と、差圧駆動系と、周波数変換モジュールと、コントローラと、を備える。前記分離チップは、サンプルプールと、前記サンプルプールの一側に位置する少なくとも1つの第1チャンバと、前記サンプルプールの前記少なくとも1つの第1チャンバから離れた側に位置する少なくとも1つの第2チャンバとを備え、隣接する2つの前記第1チャンバの間及び前記サンプルプールに隣接する前記第1チャンバと前記サンプルプールとの間は、いずれも第1濾過膜を介して連通し、隣接する2つの前記第2チャンバの間、及び前記サンプルプールに隣接する前記第2チャンバと前記サンプルプール11との間は、いずれも第2濾過膜を介して連通し、各前記第1濾過膜及び各前記第2濾過膜の孔径が目標粒子の粒径よりも小さい。前記振動系は、押さえアセンブリと、前記押さえアセンブリ上に設けられた2つの超音波発生器とを備え、2つの前記超音波発生器を前記分離チップに接近させる端面が、最も外側の前記第1チャンバの外面と、最も外側の前記第2チャンバの外面とにそれぞれ貼り合わされるように、前記押さえアセンブリが2つの前記超音波発生器を前記分離チップに向かって移動させる。前記周波数変換モジュールは、前記差圧駆動系で前記第1チャンバおよび前記第2チャンバにそれぞれ接続され、前記差圧駆動系を制御して前記第1チャンバおよび前記第2チャンバに交互に圧力差を発生させる。前記コントローラは、前記差圧駆動系が前記第1チャンバまたは前記第2チャンバの圧力差の発生を停止する時、2つの前記超音波発生器を振動させるように制御してそれぞれ超音波振動波を発生させる。
【0007】
本願の実施形態では、2つの前記超音波振動波の振動周波数は、15KHz~80KHzであり、1つの前記超音波振動波の周期内で、2つの前記超音波振動波のデューティ比は、10%~90%である。
【0008】
本願の実施形態では、2つの前記超音波振動波の振動周波数と前記デューティ比との差が30%以下である。
【0009】
本願の実施形態では、2つの前記超音波発生器のオン/オフの1周期における前記オンの割合は、10%~100%である。
【0010】
本願の実施形態では、2つの超音波発生器30は同一水平面上に位置している。
【0011】
本願の実施形態では、前記超音波発生器は、前記分離チップに近接して設けられたホーンと、前記ホーンに接続された圧電セラミックアセンブリと、を備える。
【0012】
本願の実施形態では、前記ホーンは、順次接続された第1ホーンと、第2ホーンと、第3ホーンと、前記圧電セラミックモジュールに接続された連結部とを備え、前記第1ホーンにおける前記第2ホーンから離れた端面が前記第1チャンバの外面又は前記第2チャンバの外面に貼り合わされ、前記ホーンが延在する方向に垂直な方向に沿った前記第2ホーンのサイズは、前記第1ホーン及び前記第3ホーンのサイズよりも小さい。
【0013】
本願の実施形態では、前記圧電セラミックモジュールは、複数の積層された圧電セラミックシートと、複数の前記圧電セラミックシートと間隔をあけて設けられた複数の電極シートと、複数の前記圧電セラミックシートと複数の前記電極シートとがカバーされる絶縁チューブと、前記絶縁チューブを貫通して前記ホーンに着脱可能に接続される接続体とを備える。
【0014】
本願の実施形態では、前記超音波発生器は、前記圧電セラミックユニットにおける前記ホーンから離れた端に設けられた調整体をさらに備え、前記接続体は、前記調整体をさらに接続する。
【0015】
第2の態様は、液体サンプルから目標粒子を分離して精製する分離方法を提供する。
【0016】
前記方法は、上記の分離装置を提供し、前記サンプルプールに液体サンプルを供給する工程と、
【0017】
2つの前記超音波発生器における前記分離チップに接近する端面が、最も外側の前記第1チャンバの外面と、最も外側の前記第2チャンバ13の外面とにそれぞれ貼り合わされるように、前記押さえアセンブリを制御して2つの前記超音波発生器を前記分離チップに向かって移動させる工程と、
前記少なくとも1つの第1チャンバに圧力差を発生することにより、前記サンプルプール内の液体サンプル中の粒径が前記第1濾過膜の孔径よりも小さい成分を圧力差により前記少なくとも1つの第1チャンバに入る工程と、
前記少なくとも1つの第1チャンバにおける圧力差の発生を停止し、2つの前記超音波発生器を振動させるように制御して超音波振動波を発生させる工程と、
前記少なくとも1つの第2チャンバに圧力差を発生することにより、前記サンプルプール内の液体サンプル中の粒径が前記第2濾過膜の孔径よりも小さい成分を圧力差により前記少なくとも1つの第2チャンバに入る工程と、
前記少なくとも1つの第2チャンバにおける圧力差の発生を停止し、2つの前記超音波発生器を振動させるように制御して超音波振動波を発生させる工程と、を含む。
【0018】
本願の分離装置は、分離チップと超音波発生器とを別個に設け、使用時に押さえアセンブリにより2つの超音波発生器を連動して分離チップに貼り合わせ、分離チップに超音波振動波を与えて、分離チップを振動させることにより、第1濾過膜と第2濾過膜の目詰まりを防止し、分離効率及び分離純度を向上させる等の目的を達成し、分離チップに振動子を設ける必要がなく、分離チップの作製の難易度およびコストが低減される。
【0019】
超音波発生器30は、分離チップ10に合わせる特定の構造及びパラメータを有し、発生した超音波振動波は第1濾過膜14及び第2濾過膜15に付着した粒子の脱落を確保し、濾過膜の目詰まりを防止し、濾過効率及び濾過純度の向上などの目的を実現する。
【0020】
押さえアセンブリは、2つの超音波発生器30を連動させて、2つの超音波発生器30をそれぞれ分離チップに貼り合わせたり離間させたりすることができ、連動中の操作が簡単で、超音波発生器を分離チップに密着させて、分離チップを破壊することなく、超音波振動波を第1濾過膜及び第2濾過膜に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、本願の実施例において必要な図面を簡単に説明するが、以下に説明する図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって創造的な労働を行わずに、これらの図面から他の図面が得られることは明らかである。
図1】従来技術による分離チップの構成模式図である。
図2】本願の一実施形態による分離装置の模式図である。
図3】本願の一実施形態による分離チップが振動系及び差圧駆動系に接続される構成模式図である。
図4】本願の一実施形態による分離チップと超音波発生器とを貼り合わせた構成模式図である。
図5】本願の一実施形態による超音波発生器の構成模式図である。
図6】本願の一実施形態による超音波発生器の断面図である。
図7A】本願の一実施形態による超音波発生器の振動過程の図である。
図7B】本願の一実施形態による超音波発生器の振動過程の図である。
図7C】本願の一実施形態による超音波発生器の振動過程の図である。
図7D】本願の一実施形態による超音波発生器の振動過程の図である。
図8】本願の一実施形態による振動系及び差圧駆動系の構成模式図である。
図9】本願の別の実施形態による分離チップの構成模式図である。 下記の具体的な実施形態は、上記の図面と併せて本願を更に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の実施例の図面と共に、本願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する、説明する実施例は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは言うまでもない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得られる全ての他の実施例は、すべて本願の範囲に属する。
【0023】
なお、アセンブリは別のアセンブリに「固定する」や「取り付ける」と記載される場合、別のコンポーネント上に直接存在するまたは中央のアセンブリが存在してもよい。1つのアセンブリが別のアセンブリに「設けられる」と記載される場合、別のコンポーネント上に直接設置するまたは中央のアセンブリが同時に存在してもよい。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つまたは複数の関連する項目のすべてと任意の組み合わせを含む。
【0024】
図1に示すように、分離チップ10’は、サンプルプール11’と、サンプルプール11’が対向する両側に位置し、第1濾過膜14’を介してサンプルプール11’と連通する第1チャンバ12’及び第2濾過膜15’を介してサンプルプール11’と連通する第2チャンバ13’と、を備える。サンプルプール11’は、液体サンプルを収容するためのものである。第1濾過膜14’及び第2濾過膜15’のそれぞれの孔径は、目標粒子の粒径よりも小さい。第1チャンバ12’には、第1チャンバ12’と外部とを連通する第1開口121’が設けられている。第2チャンバ13’には、第2チャンバ13’と外部とを連通する第2開口131’が設けられている。上記の濾過効率が低く、濾過膜が目詰まりやすい等の問題を解決するために、分離チップ10’の第1チャンバ11’及び第2チャンバ12’の外面、並びに第1濾過膜13’及び第2濾過膜14’に振動子16’を固定し、振動子16’の振動によって濾過膜の目詰まり防止、濾過効率、フラックス及び純度の向上等を実現する。しかしながら、分離チップ10’に振動子16’を取り付けること、特に第1濾過膜13’および第2濾過膜14’に振動子16’を取り付けることは非常に困難であり、回路の引き出し線を制御するのは困難で、リークのリスクがあり、また振動過程において振動子16’が脱落しやすく、使用に影響して量産化が困難であると同時に、使い捨て分離チップ10’のコストも増加してしまう。
【0025】
図2図4を参照すると、上述の分離チップ10’の問題を解決するために、本願の一実施形態は、分離チップ10と、振動系70と、差圧駆動系50と、周波数変換モジュール40と、コントローラ60と、を備える分離装置100を提供する。分離チップ10は、サンプルプール11と、前記サンプルプール11の一側に位置する少なくとも1つの第1チャンバ12と、前記サンプルプール11の前記少なくとも1つの第1チャンバ12から離れた側に位置する少なくとも1つの第2チャンバ13とを備え、隣接する2つの前記第1チャンバ12の間及び前記サンプルプール11に隣接する前記第1チャンバ12と前記サンプルプール11との間は、いずれも第1濾過膜14を介して連通し、隣接する2つの前記第2チャンバ13の間、及び前記サンプルプール11に隣接する前記第2チャンバ13と前記サンプルプール11との間は、いずれも第2濾過膜15を介して連通し、各前記第1濾過膜14及び各前記第2濾過膜15の孔径が目標粒子の粒径よりも小さい。前記振動系70は、押さえアセンブリ20と、押さえアセンブリ20の上に設けられた2つの超音波発生器30とを備えている。前記押さえアセンブリ20は、2つの前記超音波発生器30の前記分離チップ10に接近する端面が、最も外側の前記第1チャンバ12の外面と、最も外側の前記第2チャンバ13の外面とにそれぞれ貼り合わされるように、2つの前記超音波発生器30を前記分離チップ10に向かって移動させる。前記周波数変換モジュール40は、前記差圧駆動系50で前記第1チャンバ12および前記第2チャンバ13にそれぞれ接続されており、前記差圧駆動系50を制御して前記第1チャンバ12および前記第2チャンバ13に交互に圧力差を発生させるためのものである。コントローラ60は、前記差圧駆動系50が前記第1チャンバ12または前記第2チャンバ13の圧力差の発生を停止するとき、2つの前記超音波発生器30を振動させてそれぞれ超音波振動波を発生させるよう制御する。本願は、分離チップ10と超音波発生器30を個別に設け、使用時に2つの超音波発生器30を移動させて分離チップ10に貼り合わせ、分離チップ10に超音波振動波を与えて、分離チップ10を振動させることにより、第1濾過膜14と第2濾過膜15の目詰まりを防止し、分離効率及び分離純度を向上させる等の目的を達成している。さらに、分離チップ10に振動子を設ける必要がなく、分離チップ10の作製の難しさとコストが低減される。
【0026】
図4図6を参照すると、超音波発生器30は、分離チップ10に近接して設けられたホーン(horn)31と、ホーン31に接続された圧電セラミックアセンブリ32と、を備える。前記コントローラ60は、前記圧電セラミックアセンブリ32に信号的に接続され、横方向(すなわち、ホーン31の長手方向)の超音波振動波を発生するように前記圧電セラミックアセンブリ32のオン・オフを制御する。横方向の超音波振動波は第1チャンバ12と第2チャンバ13の外側壁とに介して分離チップ10全体に伝達され、分離チップ10を高周波振動させて第1濾過膜14と第2濾過膜15とを高周波振動させる。2つの超音波振動波は、共に液体サンプルを摂動させて音響流効果(acoustic streaming)を発生させ、濾過膜への目標粒子の目詰まりや凝集を防ぎ、濾過膜の膜孔に吸着された目標粒子を濾過膜の膜孔から速やかに分離して、還流した液体サンプル中に再懸濁することができ、濾過膜の膜孔の目詰まりを防止して、高効率な分離を実現することができる。
【0027】
一実施形態では、上記の目的を達成するため、2つの超音波発生器30が発生する超音波振動波の振動周波数は、15KHz~80KHz程度であり、1つの前記超音波振動波の周期内で、2つの前記超音波振動波のデューティ比は、10%~90%程度であり、2つの超音波振動波の振動周波数とデューティ比とを上記範囲内に制御することにより、実際に出力される総パワーの大きさに直接影響し、総合的な振動効果と目標粒子へのダメージの影響を与えることができる。このような周波数範囲内及びデューティ比範囲内に実際に出力される超音波振動波の総パワーが、分離チップ10の筐体を透過して内部の第1濾過膜14及び第2濾過膜15に伝達されるのに好適であり、一定の振幅で濾過膜を振動させることができ、濾過膜に吸着した目標粒子をより速やかに分離して液体サンプルに戻しやすくするとともに、超音波振動波が液体サンプルを摂動して音響流効果を生じさせ、凝集した粒子を分散させ、濾過膜の目詰まりを防止し、濾過効率を向上させることができる。また、上記周波数およびデューティ比の範囲内の超音波振動波が出力する総パワーは適度であり、目標粒子にダメージを与えず、分離・精製の品質を保証している。
【0028】
一実施形態では、2つの前記超音波振動波の振動周波数と前記デューティ比との差が30%以下であり、2つの前記超音波発生器30がそれぞれ分割チップ10の対向する両側に設けられているため、発生する超音波振動波の伝達方向が逆となり、2つの前記超音波振動波の振動周波数とデューティ比を近づけさせ、分割チップ10の振動過程における安定性をより高くすることができ、また、第1チャンバ12と第2チャンバ13内の液流による音響流効果が近くなり、2つの前記超音波振動波のエネルギーをより大きく重ね合わせ、目標粒子に対する共振を形成することができ、濾過膜の目詰まりをさらに防止し、分離効率の向上を実現することができる。
【0029】
一実施形態では、2つの超音波発生器30は同一水平面上に位置している。すなわち、2つの超音波振動波が逆方向に伝播し、互いに重なり合うことができ、濾過膜の目詰まりをさらに防止し、分離効率の向上を実現することができる。
【0030】
一実施形態では、2つの前記超音波発生器30のオン/オフの1周期における前記オンの割合は、10%~100%である。2つの超音波発生器30のオンとオフの比率を制御することで、出力の総パワーの大きさに直接影響し、異なる目標粒子(一般的には、大きさや質量が異なる目標粒子)を濾過膜から脱離させるパワー出力を満足させ、異なる目標粒子による濾過膜の目詰まりを防止し、濾過効率を向上させることができる。
【0031】
図4図6を再び参照すると、前記ホーン31は、順次接続された、第1ホーン311と、第2ホーン312と、第3ホーン313と、前記圧電セラミックモジュール32に接続された連結部314とを備え、前記第1ホーン311の前記第2ホーン312から離れた端面は、前記第1チャンバ12の外面又は前記第2チャンバ13の外面に貼り合わされる。前記指標を満たす超音波振動波を得るために、前記ホーン31が延在する方向に垂直な方向に沿った前記第2ホーン312のサイズh2は、前記第1ホーン311のサイズh1及び前記第3ホーン313のサイズh3よりも小さい。本実施例では、第1ホーン311、第2ホーン312及び第3ホーン313は、いずれも円柱型の構造であり、前記第2ホーン312の長さは略10~18mm、好ましくは15mm、直径は略3~5mm、好ましくは4.5mmである。前記第1ホーン311は、長さが略4~7mm、好ましくは5mm、直径が略5.5~6.5mm、好ましくは6mmである。前記第3ホーン313の長さは、略13~17mm、好ましくは15mm、直径は略5.5~6.5mm、好ましくは6mmである。図7A図7Dに示すように、前記超音波発生器30が超音波振動波を発生するシミュレーション写真であり、前述のサイズのホーン31は、幅方向の微小な歪みを発生させることができ、歪み量は約0.04nm程度であり、このときの超音波振動波は、前述した要求を満たすことができ、分離チップ10内の液体サンプルを摂動する目的を実現し、第1濾過膜14及び第2濾過膜15に付着した目標粒子を濾過膜から効果的に脱離させることができる。
【0032】
図5図6とを参照すると、前記圧電セラミックモジュール32は、複数の積層された圧電セラミックシート321と、複数の前記圧電セラミックシート321と間隔をあけて設けられた複数の電極シート322と、複数の前記圧電セラミックシート321と複数の前記電極シート322とがカバーされる絶縁チューブ323と、前記絶縁チューブ323を貫通して前記ホーン31に着脱可能に接続される接続体324とを備える。圧電セラミックシートと電極シート322を複数組重ねて使用することにより、発生する超音波振動波の周波数が前記範囲内となるように超音波振動波の周波数を調整することができ、濾過膜の目詰まり防止および分離効率の向上を実現することができる。
【0033】
一実施例では、圧電セラミックシート321と電極シート322の数は4つであり、4つの電極シート322のうち離間した2つの電極シート322はそれぞれ電源の正極に接続され、他の2つの電極シート322は電源の負極に接続される。
【0034】
図5図6とを再び参照すると、前記超音波発生器30は、前記圧電セラミックユニット32の前記ホーン31から離れて設けられた調整体33をさらに有し、前記接続体324は、前記調整体33をさらに接続する。この調整体33は主に錘、振動数を調整する役割を果たし、個々の超音波発生器30が前記設計された振動周波数になるように調整体33の重量を設計する。
【0035】
図4を参照すると、前記分離チップ10のサンプルプール11の相対する両側にそれぞれ1つの第1チャンバ12と第2チャンバ13とが設けられ、第1濾過膜14と第2濾過膜15の孔径は同じでも異なっていてもよく、実際に分離すべき目標粒子のサイズに応じて定められる。
【0036】
図3及び図8を参照すると、前記押さえアセンブリ20は、台座21と、移動機構22と、駆動機構23とを備える。前記移動機構22は、前記駆動機構23の駆動軸231に設けられている。前記駆動機構23の駆動軸231は、前記移動機構22を前記駆動軸231に沿って移動させ、各前記超音波発生器30を分離チップ10に向かって移動させて、第1チャンバ12と第2チャンバ13の外面に貼り合わされるように回動する。本願は、1つの押さえアセンブリ20を用いて2つの超音波発生器30の連動を実現することができ、不要な位置決め機構を削減し、設備構成を簡略化することができる。
【0037】
前記移動機構22は、前記台座21上に設けられた第1スライドレール221と、前記第1スライドレール221上に設けられた2つの第1スライダ222と、前記第1スライダ222毎に設けられた第1取付板223と、前記第1取付板223毎に設けられた第2スライドレール224と、前記第2スライドレール224上に摺動的に設けられた第2スライダ225と、前記第2スライダ225に設けられた第2取付板226と、弾性体227と、を備える。1つの前記超音波発生器30は1つの第2取付板226に設けられており、前記弾性体227の両端は、前記第1取付板223及び前記第2取付板226にそれぞれ接続されている。
【0038】
第1取付板223の各々には、1つの超音波発生器30が設けられている。前記駆動機構23は、前記駆動軸231を回転して駆動可能であり、前記2つの第1取付板223及びその上の超音波発生器30を分離チップ10の表面に接触するように対向移動させ、接触すると、超音波発生器30が分離チップ10の反作用力により分離チップ10から離れる方向に移動して弾性材227を圧縮し、駆動機構23が第1取付板223を分離チップ10に向かってさらに移動させると、弾性材227の弾性力により超音波発生器30を押して分離チップ10に押し付ける。超音波発生器30を分離チップ10から分離させる必要がある場合は、駆動軸231を逆回転させればよい。弾性体227を設けることで、超音波発生器30を分離チップ10に弾性的に接続させることができ、分離チップ10の剛性的な接続を回避し、挟持過程において超音波発生器30が分離チップ10に損傷を与えるリスクを低減することができる。
【0039】
さらに、前記弾性体227はバネであり、弾性体227のフック(Hooke)弾性係数と超音波発生器30の対向移動距離を調節することで、超音波発生器30による分離チップ10の挟持力を制御している。本実施例では、両超音波発生器30が相対運動する距離は6mm程度、弾性体227のバネフック係数は1200N/mであり、分離チップ10が受ける片側挟持力は約3.2Nである。
【0040】
図9を参照すると、他の実施例では、分離チップ10aにおいて、前記第1チャンバ12および前記第2チャンバ13の数は、いずれも複数であってもよく、実際の必要に応じて設計してもよいことが理解できる。また、実際に分離チップ10aのサイズや構造ニーズに応じて、複数の第1チャンバ12または複数の第2チャンバ13が並列に設けられてもよいし(図9に示されるように)、並んで設けられてもよい。隣接する2つの第1チャンバ12の間と、サンプルプール11に隣接する第1チャンバとサンプルプール11との間とは、1つの第1濾過膜14に介して連通しており、各第1濾過膜14の孔径は、複数のサイズの目標粒子を同時に分離することを目的として異なるように設計することができる。同様に、複数の第2濾過膜15の孔径も異なっていてもよい。複数の第1チャンバ12と複数の第2チャンバ13の分離チップ10aは、内部の濾過膜の数が多いため、特に小径の濾過膜が目詰まりし易く、内部に複数の第1濾過膜14及び複数の第2濾過膜15が取り付けられるため、各濾過膜の目詰まりを防止する総出力パワー要求を達成するように、2つの超音波発生器30の前記パラメータを調整し、さらに濾過効率を向上させ、精製品質を保証することができ、濾過膜に振動子を取り付ける必要がなくなり、分離チップ10の構造が簡単化され、分離チップ10aの製造難易度およびコストが低減される。また、前記超音波発生器30は汎用性が高く、多種類の構造仕様の分離チップ10(10a)に適用可能であり、超音波発生器30は分離チップ10(10a)と分離して配置され、超音波分離が必要な場合、超音波発生器30を分離チップ10(10a)の外表面に貼り合わすだけでよく、作業が簡単である。
【0041】
図1図3および図4を参照すると、差圧駆動系50は、分離チップ10の第1チャンバ12と第2チャンバ13とに交互に圧力差を発生させるためのものである。差圧駆動系50は、2つの独立した差圧駆動系であってもよいし、設計された1つの差圧駆動系であってもよい。このうち、液体サンプルの特性に応じて、適切な圧力差を選択し、本願の分離チップ10が分離する必要がある液体サンプルに基づいて、差圧駆動系50の圧力差が-10KPaから-50KPaの範囲内であることを選択し、すなわち、第1チャンバ12または第2チャンバ13とサンプルプール11との間に交互に上記範囲内の圧力差を発生させ、目標粒子の分離の効率を高めることができ、また、濾過膜の目詰まりも効果的に防止することができる。差圧駆動系50は、マイクロ真空ポンプやマイクロ抽気ポンプなどの機器を含んでもよい。差圧駆動系50と分離チップ10との間は、気密性の良い中継管53によって接続可能であることが理解できる。一実施形態では、差圧駆動系50は、第1真空ポンプ51と、第2真空ポンプ52とを備え、第1真空ポンプ51と分離チップ10の第1開口121とが一方の中継管53によって接続され、第2真空ポンプ52と分離チップ10の第2開口131とが他方の中継管53によって接続される。
【0042】
差圧駆動系50と分離チップ10との接続を実現する過程では、2つの前記中継管53を押さえアセンブリ20に設け、押さえアセンブリ20が連動する過程では、中継管53が超音波発生器30と同時に分離チップ10との接続を実現するようにしてもよい。一実施例では、1つの前記中継管53は、1つの前記第1取付板223に設けられ、対応する前記超音波発生器30の下方に位置する。前記駆動機構23は、前記駆動軸231を回転するように駆動し、2つの中継管53をそれぞれ分離チップ10の第1開口121と第2開口131とに連通るように2つの前記中継管53を対向移動させ、ひいては前記分離チップ10と第1真空ポンプ51と第2真空ポンプ52とのそれぞれの連通を実現する。
【0043】
ある実施例では、前記中継管53の前記分離チップ10に近接する一端には弾性チューブ54が設けられている。分離チップ10と真空機器とを接続する過程において、中継管53は分離チップ10の開口との封止接続が必要であるため、前記弾性チューブ54を追加することで、中継管53が分離チップ10に連通した後に開口での封止を実現することができる。本実施例においては、前記弾性チューブ54の材質が可変性軟性材料(例えばゴム)であり、弾性チューブ54の圧縮量を調節して密封効果を達成することができる。具体的には、弾性チューブ54の圧縮量は、弾性チューブ54のショア硬度と、駆動機構23の駆動力とによって決まる。
【0044】
図3を参照すると、押さえアセンブリ20は、超音波発生器30及び中継管53の移動時における移動距離を測定して、超音波発生器30及び中継管53の分離チップ10への圧力を制御する変位検知アセンブリ24をさらに備える。前記変位検知アセンブリ24は、前記第1接続シート241と、第2接続シート242と、前記第1接続シート241に設けられたフォトカプラ243とを備え、前記第1接続シート241および前記第2接続シート242はそれぞれ、2つの前記第1取付板223に固定されており、前記第2接続シート242の前記第1接続シート241に近接する一端は前記フォトカプラ243を摺動接続している。前記駆動機構23は、第1接続シート241と第2接続シート242を駆動軸231に沿って移動させるものであり、フォトカプラ243は、第1接続シート241と第2接続シート242の相対移動距離を検知するものである。このような変位検知アセンブリ24により超音波発生器30と中継管53との移動距離を検知することで、超音波発生器30と中継管53と分離チップ10の接続をより良好に制御することができ、最適な接続効果を実現することができる。
【0045】
図2図4を参照すると、周波数変換モジュール40は、差圧駆動系50と電気的に接続されており、周波数変換モジュール40は、差圧駆動系50に供給する電源電圧を制御して、第1チャンバ12と第2チャンバ13内とで交互に圧力差を生じさせることができる。一実施形態において、周波数変換モジュール40は、周波数変換器41と、周波数変換器41に接続された制御弁42とを備える。制御弁42は、電磁弁、回転弁を含むがこれらに限定されない、液体回路変換器であってもよい。制御弁42は、第1真空ポンプ51及び第2真空ポンプ52のいずれか一方にそれぞれ連通して、第1真空ポンプ51と第2真空ポンプ52とを交互に繰り返し作動させる。例えば、制御弁42を第1真空ポンプ51に連通させ、周波数変換器41が第1真空ポンプ51を作動させるように制御して、第1開口121を通して抽気することにより第1チャンバ12内に圧力差が生じ、サンプルプール11中の液体サンプル中の液体と第1濾過膜14の孔径よりも小さいサイズの成分とが圧力差により第1濾過膜14を通過して第1チャンバ12に入り、その後、周波数変換器41が第1真空ポンプ51の運転を停止する制御して、その後、制御弁42を第2真空ポンプ52と連通するように切り換え、周波数変換器41が第1真空ポンプ51を作動させるように制御して、第2開口131を抽気することにより第2チャンバ12内に圧力差が生じ、サンプルプール11内の液体サンプル中の液体とサイズが第2濾過膜15の孔径よりも小さい成分とが圧力差によって第2濾過膜15を通過して第2チャンバ13に入り、さらにその後、周波数変換器41が第2真空ポンプ52の運転を停止する制御して、上記の手順を複数回繰り返す。
【0046】
コントローラ60は、第1チャンバ12の吸引が停止されたときに、2つの超音波発生器30を振動させて、2つの超音波振動波を発生させるように制御する。コントローラ60は、第2チャンバ13の吸引が停止されたときに、2つの超音波発生器30を振動させて、2つの超音波振動波を発生させるように制御する。ここで、コントローラ60は、第1真空ポンプ51と第2真空ポンプ52とに電気的に接続可能であり、第1真空ポンプ51又は第2真空ポンプ52の運転停止中に、第1真空ポンプ51が第1チャンバ12で吸引を停止したと判定したり、第2真空ポンプ52が第2チャンバ13で吸引を停止したと判定したりすると、2つの超音波発生器30に振動開始を通知することができる。
【0047】
本願の実施例は、上記分離チップ10に適用される液体サンプル中の目標粒子を分離する方法であって、以下の工程を含む方法をさらに提供する。
【0048】
ステップS1では、本願の分離チップ10が提供され、当該分離チップ10のサンプルプール11に液体サンプルが供給される。
【0049】
ステップS2では、2つの前記超音波発生器30の前記分離チップ10に接近する端面が、最も外側の前記第1チャンバ12の外面と、最も外側の前記第2チャンバ13の外面とにそれぞれ貼り合わされるように、前記押さえアセンブリ20を制御して2つの前記超音波発生器30を前記分離チップ10に向かって移動させる。
【0050】
押さえアセンブリ20は、超音波発生器30に接続されるとともに、2つの中継管53をそれぞれ第1開口121と第2開口131と連通させ、さらに第1開口121と第2開口131を差圧駆動系50にそれぞれ接続させる。
【0051】
ステップS3では、第1開口121に介して第1チャンバ12を吸引し、第1チャンバ12内に圧力差を生じさせる。
【0052】
差圧駆動系50は、第1開口121に介して前記少なくとも1つの第1チャンバ12を吸引し、前記少なくとも1つの第1チャンバ12内に圧力差を生じさせる。サンプルプール11内の液体サンプル内の液体と、サイズが第1濾過膜14の孔径よりも小さい成分とは、圧力差により第1濾過膜14に向けて移動し、第1濾過膜14を介して少なくとも1つの第1チャンバ12に入る。
【0053】
ステップS4では、前記少なくとも1つの第1チャンバ12の吸引を停止し、2つの前記超音波発生器30を振動させて超音波振動波を発生させる。同時に、通第2開口131に介して第2チャンバ13を吸引し、前記少なくとも1つの第2チャンバ13内に圧力差を生じさせる。
【0054】
ここで、超音波振動波は、液体サンプル、第1濾過膜14、及び第2濾過膜15を高周波振動させることができ、濾過膜の膜孔に吸着された目標粒子を濾過膜の膜孔から速やかに分離して、還流された液体サンプル中に再懸濁させることができ、目標粒子の凝集を防止することもできる。同時に、差圧駆動系50は、第2開口131を介して第2チャンバ13を吸引し、第2チャンバ13内に圧力差を生じさせる。第1濾過膜14の表面に付着した成分は、気流及び/又は液流サンプルプール11においてサンプルプール11における液体サンプル中の液体と第2濾過膜15の孔径よりも小さいサイズの成分とが圧力差により第2濾過膜15に向けて移動し、第2濾過膜15を介して少なくとも1つの第2チャンバ13に入れてもよい。
【0055】
ステップS5では、前記少なくとも1つの第2チャンバ13の吸引を停止し、2つの前記超音波発生器30を振動させて超音波振動波を発生させる。
【0056】
そして、ステップS3~ステップS5は、複数回循環され、液体サンプルの濾過膜の径よりも小さい成分が除去され、濾過膜の径よりも大きい成分がサンプルプール11に閉じ込められることにより、分離精製効果をより優れたものとすることができる。
【0057】
本願の分離装置100は、分離チップ10と超音波発生器30とを別個に設け、使用時に押さえアセンブリ20により2つの超音波発生器30を連動して分離チップ10に貼り合わせ、分離チップ10に超音波振動波を与えて、分離チップ10を振動させることにより、第1濾過膜14と第2濾過膜15の目詰まりを防止し、分離効率及び分離純度を向上させる等の目的を達成し、分離チップ10に振動子を設ける必要がなく、分離チップ10の作製の難易度およびコストが低減される。
【0058】
超音波発生器30は、分離チップ10に合わせる特定の構造及びパラメータを有し、発生した超音波振動波は第1濾過膜14及び第2濾過膜15に付着した粒子の脱落を確保し、濾過膜の目詰まりを防止し、濾過効率及び濾過純度の向上などの目的を実現する。
【0059】
押さえアセンブリ20は、2つの超音波発生器30を連動させて、2つの超音波発生器30をそれぞれ分離チップ10に貼り合わせたり離間させたりすることができ、連動中の操作が簡単で、超音波発生器30を分離チップ10に密着させて、分離チップ10を破壊することなく、超音波振動波を第1濾過膜14及び第2濾過膜15に伝達することができる。
【0060】
このように、2つの中継管53を押さえアセンブリ20に設けることにより、連動過程において、超音波発生器30と差圧駆動系50と分離チップ10との接続を同時に実現することができ、接続構造の簡単化、構造の複雑度と操作の難易度を低減できる。
【符号の説明】
【0061】
100 分離装置
10、10’ 分離チップ
11、11’ サンプルプール
12、12’ 第1チャンバ
121 第1開口
13、13’ 第2チャンバ
131’ 第2開口
14、14’ 第1濾過膜
15、15’ 第2濾過膜
16’ 振動子
70 振動系
20 押さえアセンブリ
21 台座
22 移動機構
221 第1スライドレール
222 第1スライダ
223 第1取付板
224 第2スライドレール
225 第2スライダ
226 第2取付板
227 弾性体
23 駆動機構
231 駆動軸
24 変位検知アセンブリ
241 第1接続シート
242 第2接続シート
243 フォトカプラ
30 超音波発生器
31 ホーン
311 第1ホーン
312 第2ホーン
313 第3ホーン
314 接続部
32 圧電セラミックアセンブリ
321 圧電セラミックシート
322 電極シート
323 絶縁チューブ
324 接続体
33 調整体
40 周波数変換モジュール
41 周波数変換器
42 制御弁
50 差圧駆動系
51 第1真空ポンプ
52 第2真空ポンプ
53 中継管
54 弾性チューブ
60 コントローラ
h1、h2、h3 サイズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
【国際調査報告】