(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】多孔質層構造を有する多層積分ジオグリッドとその作製方法および利用方法
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20240213BHJP
B32B 5/32 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
E02D17/20 103
B32B5/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544466
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2021064556
(87)【国際公開番号】W WO2022182412
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522301474
【氏名又は名称】テンサー インターナショナル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ、カバノフ
(72)【発明者】
【氏名】マノイ、クマール、ティアギ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、マーク、ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、カーソン
(72)【発明者】
【氏名】トム-ロス、ジェンキンス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、エドワード、ウォーラー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、ジョン、ギャラガー
【テーマコード(参考)】
2D044
4F100
【Fターム(参考)】
2D044DB00
4F100AA08
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100BA02
4F100CA24
4F100DC11A
4F100DC11B
4F100DJ00A
4F100DJ00B
4F100DJ01A
4F100DJ01B
4F100EH20
4F100EJ38
4F100GB90
(57)【要約】
1つ以上の多孔質層を含む多層一体型ジオグリッドは、一連の開口部を有する部分的に配向した多層接合部により相互に連結された複数の配向性多層ストランドを有する。1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、共押出または積層された多層ポリマー出発シートから製造される。一体型ジオグリッドは多層構造を有し、その少なくとも1つの外層が多孔質構造を有する。多孔質層構造により、多層一体型ジオグリッドは荷重時の層の垂直圧縮性が向上し、その結果、土壌、骨材またはその他の粒子状材料を安定化し、かつ強化するための多層一体型ジオグリッドの使用に性能上の利点をもたらす強化された材料特性が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材と連結し、安定化し、かつ強化するための多層一体型ジオグリッドであって、
部分的に配向した接合部によって相互に連結され、それらの間に一連の開口部を有する複数の配向性ストランドを含み、
前記一体型ジオグリッドが、それぞれポリマー材料の複数の層を有し、
前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、土壌または骨材と前記一体型ジオグリッドとの間の初期相互作用および適合性を改善して、土壌または骨材の密度および圧縮後の特性を最大化する多孔質構造を有する、
前記多層一体型ジオグリッド。
【請求項2】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が、約20%~約70%の空隙容積を有する、請求項1に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項3】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が、約20%~約60%の圧縮率を有する、請求項1または2に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項4】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が発泡構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項5】
前記発泡が発泡剤またはガス注入を伴う、請求項4に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項6】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が、粒子状充填剤を含む構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項7】
前記粒子状充填剤が炭酸カルシウムである、請求項6に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項8】
前記多層一体型ジオグリッドが、共押出された多層ポリマーシートから製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項9】
前記多層一体型ジオグリッドが、積層された多層ポリマーシートから製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項10】
前記配向性ストランドが二軸延伸されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項11】
前記多層一体型ジオグリッドが、前記第1の多孔質外層、非多孔質内層および前記第2の多孔質外層を有し、前記第1の多孔質外層と前記第2の多孔質外層とが、前記非多孔質内層の反対側の平面上に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項12】
前記一体型ジオグリッドが、三軸一体型ジオグリッド、長方形一体型ジオグリッドまたは六角形一体型ジオグリッドである、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項13】
多層一体型ジオグリッドを製造するための出発材料であって、各層がポリマー材料の複数の層を有する多層ポリマーシートを含み、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、前記多層一体型ジオグリッドの第1の外層および第2の外層に多孔質構造を形成することができる拡張構造であって、前記多層ポリマーシートが、該シートが二軸延伸されたときに開口部を提供する穴部または凹部を有する、前記出発材料。
【請求項14】
前記多層ポリマーシートが共押出される、請求項13に記載の出発材料。
【請求項15】
前記多層ポリマーシートが積層されている、請求項13に記載の出発材料。
【請求項16】
前記多層ポリマーシートが、前記第1の外層、多孔質構造を形成することができる拡張構造を有しない内層、および前記第2の外層を含み、前記第1の外層と前記第2の外層とが、前記内層の反対側の平面上に配置される、請求項13~15のいずれか一項に記載の出発原料。
【請求項17】
前記第1の外層が約0.5mm~約4mmの厚さを有し、前記内層が約0.5mm~約4mmの厚さを有し、かつ前記第2の外層が約0.5mm~約4mmの厚さを有する、請求項16に記載の出発材料。
【請求項18】
前記多層ポリマーシートが約2mm~約12mmの初期厚さを有する、請求項13~17のいずれか一項に記載の出発材料。
【請求項19】
前記多層ポリマーシートが約4mm~約10mmの初期厚さを有する、請求項18に記載の出発材料。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッドを埋め込むことによって強化された粒子状材料の塊を含む、土壌構造物。
【請求項21】
請求項1~12のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッドを粒子状材料の塊に埋め込むことを含む、粒子状材料の塊を強化する方法。
【請求項22】
多層一体型ジオグリッドを製造する方法であって、
それぞれポリマー材料の複数の層を有する多層ポリマーシートを提供する工程であって、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の外層および前記第2の外層に多孔質構造を形成することができる拡張構造を有する前記工程;
前記多層ポリマーシートにパターン化された複数の穴部または凹部を設ける工程;および
前記パターン化された複数の穴部または凹部を有する多層ポリマーシートを二軸配向して、部分的に配向した接合部によって相互に連結された複数の配向性ストランドを提供し、前記穴部または凹部をグリッド開口として構成する工程
を含み、
前記第1の外層および第2の外層が多孔質構造を有する、前記方法。
【請求項23】
前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が発泡構造を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が粒子状充填剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記多層ポリマーシートを提供する工程が共押出である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記多層ポリマーシートを提供する工程が積層である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記多層一体型ジオグリッドが、前記第1の多孔質外層、非多孔質内層、および前記第2の多孔質外層を含み、前記第1の多孔質外層と前記第2の多孔質外層とが、前記非多孔質内層の反対側の平面上に配置される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の多孔質外層が広範な仕様のポリマーの構成材料を有し、前記非多孔質内層が高分子量ポリオレフィンの構成材料を有し、かつ前記第2の多孔質外層が広範な仕様のポリマーの構成材料を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記多層ポリマーシートが少なくとも2mmの初期厚さを有する、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記多層一体ジオグリッドが、三軸一体型ジオグリッド、長方形一体型ジオグリッドまたは六角形一体型ジオグリッドである、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
多孔質構造を有する1つ以上の層を有する多層一体型ジオグリッドを製造する方法であって、
多孔質構造を有する1つ以上の層およびその中にパターン化された複数の穴部または凹部を有する多層ポリマーシートである出発材料を二軸延伸して、多孔質構造を有する1つ以上の層を有し、複数の配向性ストランド、複数の部分的に配向した接合部、および複数のグリッド開口部を有する多層一体型ジオグリッドを提供する工程;および
前記一体型ジオグリッドを粒子状材料の塊に埋め込む工程
を含む、前記方法。
【請求項32】
内部に一連の開口部を有する外部の六角形の繰り返しパターンを形成する、相互に連結された複数の第1の配向性ストランドおよび部分的に配向した複数の接合部を含む多層一体型ジオグリッドであって、
前記外部の六角形のそれぞれが、第2の配向性ストランドを有する小さな内部の六角形を支持し取り囲み、
前記外部の六角形の前記第1の配向性ストランドおよび前記部分的に配向した複数の接合部が、前記多層一体型ジオグリッドの全体にわたり連続的に延びる複数の線形ストランドを形成し、
前記一体型ジオグリッドが、それぞれ該ジオグリッドの全体にわたって延びるポリマー材料の複数の層を有し、かつ
前記複数の層の少なくとも1つの層が多孔質構造を有する、
前記多層一体型ジオグリッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月23日に出願された「Multi-Axial Integral Geogrid and Methods of Making and Used Same」と題する米国特許出願第17/355,843号、および2021年6月24日に出願された「Multi-Axial Integral Geogrid and Methods of Making and Using Same」と題する国際特許出願第PCT/US2021/038863号に関連し、優先権の利益を主張し;両出願は、2020年6月24日に出願された「Multi-Axial Integral Geogrid and Methods of Making and Using Same」と題する米国特許仮出願第63/043,627号、2021年2月26日に出願された「Multilayer Integral Geogrids Having a Cellular Layer Structure, and Methods of Making and Using Same」と題する米国特許仮出願第63/154,209号、および2021年2月26日に出願された「Horizontal Mechanically Stabilizing Geogrid with Improved Geotechnical Interaction」と題する米国仮特許出願第63/154,588号にさらに関連し、優先権を主張する。本出願は、同時に提出された「Horizontal Mechanically Stabilizing Geogrid with Improved Geotechnical Interaction」と題する特許出願にも関連する。前記出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、概して、構造物または建築物の強化および安定化、ならびに他の地盤工学的目的に用いられる一体型ジオグリッドおよび他の配向性グリッドに関する。より具体的には、本発明は、一体型ジオグリッドの垂直圧縮性および摩擦特性を向上させる、多孔質構造を有する1つ以上の層を含む多層構造を有する一体型ジオグリッドに関する。本発明はまた、より多様で幅広い品質の骨材と連結し、かつ安定化する能力、ならびに本明細書に開示される他の望ましい特性を有する、そのような一体型ジオグリッドにも関する。本発明はまた、例えば密度、剛性、強度および延性等の強化されたエンジニアリング挙動および特性を特徴とする、本発明の一体型ジオグリッドを組み込んだ土壌構造物にも関する。
【0003】
本発明はまた、1つ以上の多孔質層を有するそのような多層一体型ジオグリッドを製造する方法にも関する。最後に、本発明は、土壌および粒子の強化および安定化のためのそのような多層一体型ジオグリッドの使用、およびそのような強化および安定化の方法に関する。
【0004】
本発明の目的上、「一体型ジオグリッド」という用語は、一体型ジオグリッド、および必要な厚さを有し、内部に穴部または凹部が作製または形成されているシートまたはシート様の形状のポリマー出発材料を配向(すなわち、延伸)することにより作製される他の一体型グリッド構造を含むことを意図する。
【背景技術】
【0005】
2.関連技術の説明
一体型ジオグリッド等の、実質的に平行な配向性ストランドおよびそれらの間の接合部の様々な幾何学的パターンにより画定されるメッシュ開口部を有するポリマー一体型グリッド構造は、35年以上にわたり製造および販売されている。このようなグリッドは、特定の穴部または凹部のパターンを有する一体型鋳造出発シートを押し出して成形し、その後、制御された一軸延伸または二軸延伸およびシート、および穴部または凹部により形成されたメッシュ開口部を画定する部分的に配向した接合部を高度に配向したストランド(以下、リブとも呼ばれる)に配向させることによって製造される。このようにシートを一軸方向または二軸方向に延伸および配向させると、ストランドの引張強度および弾性率が変化する。これらの一体型配向ポリマーグリッド構造は、土壌、土、砂、粘土、砂利等の任意の適切な形状の粒子状材料を、道路または他の切土や盛土の脇、路面の下、滑走路の路面等の任意の適切な場所に保持または安定化するために用いることができる。
【0006】
より高いレベルの強度対重量比を達成したり、製造プロセスにおいてより速い加工速度を達成したりするために、様々な穴部の形状やパターンが実験されてきた。配向は、制御された温度および歪み速度の下で行われる。このプロセスの変数には、延伸比、分子量、分子量分布およびポリマーの分岐または架橋の程度等が含まれる。
【0007】
このような一体型ジオグリッドおよび他の一体型グリッド構造の製造および使用は、周知の技術によって達成することができる。Mercerの米国特許第4,374,798号、Mercerの同第4,590,029号、MercerおよびMartinの同第4,743,486号、同第4,756,946号およびMercerの同第5,419,659号に詳細に記載されているように、出発ポリマーシート材料が最初に押し出され、次いでパンチされて、必要な定義された穴部または凹部のパターンが形成される。次いで、パンチされたシート材料を必要に応じて延伸し、配向させることにより、一体型ジオグリッドが形成される。
【0008】
このような一体型ジオグリッド、すなわち一軸一体型ジオグリッドおよび二軸一体型ジオグリッド(総称して「一体型ジオグリッド」、または個別に「一軸一体型ジオグリッド」または「二軸一体型ジオグリッド」)は、いずれも1970年代後半に、上述したMercerによって発明され、過去35年間にわたって多大な商業的成功を収め、土壌、道路の下部舗装、および粒子状または微粒子状の材料で作られたその他の土木国学的な構造物を強化する技術の全体にわたり革命をもたらした。
【0009】
Mercerは、好ましくは厚さ1.5mm(0.059055インチ)~4.0mm(0.15748インチ)程度であって、概念上の実質的な正方形グリッドまたは長方形グリッドの行および列に中心を有する穴部または凹部のパターンを有する、比較的厚い実質的に単平面のポリマー出発シートから出発し、該出発シートを一軸または二軸で延伸して、ストランドの配向を接合部まで拡張することによって、完全に新しい実質的に単平面の一体型ジオグリッドを形成し得ることを発見した。Mercerによって説明されているように、「単平面」とは、シート状材料のすべての区画が該シート状材料の正中面に関して対称であることを意味する。
【0010】
Hureauの米国特許第3,252,181号、Hureauの同第3,317,951号、Hureauの同第3,496,965号、Berettaの同第4,470,942号、Berettaの同第4,808,358号、およびBerettaの同第5,053,264号では、穴部または凹部の必要なパターンを有する出発材料が、円筒状ポリマー押出しと組み合わせて形成され、かつ実質的な単平面が、拡張するマンドレル上に押出物を通過させることにより達成される。次いで、拡張された円筒を長手方向に切り、平らな実質的に単平面の出発シートを作製する。
【0011】
別の一体型ジオグリッドは、本特許出願の譲受人であるジョージア州アトランタのTensar International Corporation, Inc.(以下、「Tensar」)の関連会社であるTensar International Limitedに譲渡された、Walshの米国特許第7,001,112号(以下「Walsh’112号特許」)に記載されている。Walsh’112号特許は、二軸延伸一体型ジオグリッドを含む配向ポリマー一体型ジオグリッドを開示しており、この一体型ジオグリッドにおいては、配向性ストランドが、各角において部分的に配向した接合部を備える三角形のメッシュ開口部を形成し、各接合部において6本の高度に配向したストランドが会合している(以下、本明細書において「三軸一体型ジオグリッド」と称する場合がある)。Walsh’112号特許の三軸一体型ジオグリッドは、Tensarによって商品化されて大きな成功を収めた。
【0012】
さらに別の一体型ジオグリッドは、Walshの米国特許第9,556,580号、Walshの同第10,024,002号、およびWalshの同第10,501,896号に開示されており、これらはすべて、本特許出願の譲受人の別の関連会社であるTensar Technologies Limitedに譲渡されている。上述したWalshの米国特許第9,556,580号、同第10,024,002号および同第10,501,896号には、高いアスペクト比として当業者に知られている、すなわちストランド断面の幅に対するストランド断面の厚さまたは高さの比が1.0超である一体型ジオグリッドが開示されている。多軸一体型ジオグリッドの性能は、アスペクト比が1.0超であるリブを有するジオグリッド構造を用いることにより向上させ得ることが示されているが、アスペクト比の増大には必要なポリマーの総量が増大するため、ジオグリッドの重量およびコストが増大する。
【0013】
従来、一体型ジオグリッドの製造に用いられるポリマー材料は、高分子量のホモポリマーまたはコポリマーのポリプロピレン、および高密度、高分子量のポリエチレンであった。最終製品および/または製造効率において望ましい効果を達成するために、紫外線阻害剤、カーボンブラック、加工助剤等の様々な添加剤がこれらのポリマーに添加される。
【0014】
また、同じく伝統的に、そのような一体型ジオグリッドの製造のための出発材料は、典型的には、単層構造、すなわち均質なポリマー材料の単層を有する実質的に単平面のシートであった。
【0015】
上述した従来の出発材料から製造される一体型ジオグリッドは一般に十分な特性を示すが、土壌構造物に組み込まれた場合に、ジオシンセティック強化等の特定の用途の要求に適した比較的高い程度の剛性を提供するか、または特定のジオシンセティック用途に望ましい他の特性を備える一体型ジオグリッドを製造することは、構造的にも経済的にも有利である。
【0016】
したがって、一体型ジオグリッドの製造に関連するプロセスの制約に適しているだけでなく、一体型ジオグリッドが製造され、使用される場合において、従来のジオグリッド出発材料に関連するものよりも高度な土壌構造の剛性を提供するか、または従来の単層一体型ジオグリッドでは得ることができない、例えば密度、強度および延性等の他の特性を提供する出発材料に対するニーズが存在する。
【0017】
さらに、上述した従来の出発材料から従来の構成で製造される一体型ジオグリッドは、一般に十分な特性を示し得るが、ジオシンセティック強化等の特定の供給用途の要求に適したより広い種類および範囲の品質の骨材と結合し、かつ安定化する性能を有する構造および幾何学的形状を備えるか、または特定のジオシンセティック用途に望ましい他の特性を備える一体型ジオグリッドを製造することは、構造的にも経済的にも有利である。
【0018】
本発明は、シート形成を開始する方法や、出発材料を一体型ジオグリッドまたはグリッド構造へ配向する方法に関係なく、すべての一体型グリッドに適用され得ることが意図される。上述した米国特許第3,252,181号、同第3,317,951号、同第3,496,965号、同第4,470,942号、同第4,808,358号、同第5,053,264号、同第7,001,112号、同第9,556,580号、同第10,024,002号および同第10,501,896号の主題は、その開示内容全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本出願に明示的に組み込まれる。これらの特許は例示として引用され、包括的に考慮されたり、または一体型ポリマーグリッド材料の製造に関する当該技術分野で知られる他の技術を除外するように考慮されたりするものではない。
【0019】
現在の単層一体型ジオグリッドで利用可能な機能的特性にもかかわらず、従来技術の一体型ジオグリッドを超える性能の改善は未だに達成されていない。このような機能強化の1つは、同じくTensar International Limitedに譲渡された米国特許出願第15/766,960号(以下「’960号出願」;米国特許出願公開第2018/0298582A1号として公開)に開示されている。この’960号出願には、一体型ジオグリッドの製造のための出発材料として、共押出多層ポリマーシートの様々な実施形態が開示されている。共押出多層出発材料構造のおかげで、共押出多層シートの構成要素は、押出しおよび延伸後に、土壌ジオシンセティック強化において性能上の利点を提供する強化された材料特性を有する一体型ジオグリッドを生成する。
【0020】
’960号出願に開示される一つの実施形態は、配向一体型ジオグリッドの中間層が拡張または「発泡」した構造を有する共押出三層出発シートから製造される三層一体型ジオグリッドである。’960号出願によると、拡張または発泡した多層構造の唯一の利点は、原材料コストの削減およびジオグリッド重量の削減であり、「発泡層自体の望ましい物理的および化学的特性を含み得る」。拡張または発泡した多層構造に関連する他の利点は開示されていない。’960号出願の主題は、その開示内容全体が本明細書に記載されているかのように、参照により本出願に明示的に組み込まれる。
【0021】
現在までのところ、現在の生産/加工技術で製造される現在の一体型ジオグリッド製品は、望ましい特性および特徴を備えた多軸ジオグリッド製品を生成することができるが;しかしながら、現在の加工/生産技術では、ジオグリッド全体の断面内で材料の種類を変更することができない。その結果、性能を向上させる望ましい物理的、機械的および幾何学的特性を強化するには、ポリマーの量を大幅に増大する必要がある。
【0022】
さらに、現在の加工/生産技術では、パフォーマンスを向上させる特定のパラメータが増大または強化される一方で、変更するとパフォーマンスが低下する他のパラメータを同時に制御するか、または変更しないという能力が制限される。
【0023】
さらに、現在の加工/生産技術では、性能を最大化する手段としてジオグリッド構造の異なる部分に異なるポリマー材料を用いることは行われていない。
【0024】
したがって、骨材とジオグリッドとの間の「初期適合性」を良好なものとし、圧縮完了後の骨材密度を最大化し、それにより圧縮後および「使用中」の荷重時の初期段階において通常発生し得る残存骨材の移動や再配置を最小限に抑制された一体型ジオグリッドの必要性が存在する。さらに具体的には、荷重時における層の圧縮性を向上させることにより、上述した特性を有する一体型ジオグリッドの必要性が存在する。「初期適合性」という用語は、本明細書において、圧縮完了後の骨材密度の最大化を意味し、これにより、圧縮後および「使用中」の荷重時の初期段階において通常発生し得る骨材の潜在的な移動または位置調整を最小限に抑制することを意味する。
【発明の概要】
【0025】
したがって、本発明の目的は、機能的性能を改善する多軸一体型ジオグリッド構造の特定の物理的、機械的および幾何学的特性を強化することによって、例えば、他の新しい物理的、機械的および幾何学的特性を改変および/または組み込むことによって、多軸一体型ジオグリッドから改善された機能的性能を提供することである。一体型ジオグリッド構造の特定の位置において望ましい機械的および物理的特性を有する様々なポリマー材料の量を、慎重に、物理的に配置および操作することによって、またジオグリッド構造の他のすべての物理パラメータを最適化することによって、大幅な性能の向上を達成することができる。
【0026】
本発明の別の目的は、多層一体型ジオグリッドであって、それらの層のポリマーを、固体、すなわち連続構造から多孔質構造、すなわち本明細書に記載の方法によって作製された複数の空隙、空洞、細孔、亀裂、気泡、穴または他のタイプの開口部、すなわち多孔質状開口部が分布した構造に変換することによって、必要なポリマーの量が低減されるように層が改変された多層一体型ジオグリッドを提供することである。
【0027】
より具体的には、’960号出願の出願後、驚くべきことに、本明細書に記載されるように、多孔質構造を有する層について特定のパラメータがジオグリッドに含まれる場合、多孔質構造を有する多層一体型ジオグリッドの骨材と層との間の初期適合性の改善が達成され得ることが見出だされた。これらのパラメータとしては以下のものが挙げられる。
1.本発明による1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドのリブの最小の厚さまたは高さが、好ましくは約0.5mm~約6mm、より好ましくは約1.15mm~約4mmである。
2.本発明による1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドのリブのアスペクト比が、好ましくは約0.75~約3.0、より好ましくは約1~約2である。
3.伸張後の1つ以上の多孔質層の最も薄い高さ(おそらくストランドまたはリブの中点)における初期の高さまたは厚さが、約0.1mm~約4mm、より好ましくは約0.5~約3mmである。
4.1つ以上の多孔質層の多孔質開口部が、該1つ以上の多孔質層の少なくとも20体積%、好ましくは約30%~約50%を含む。
5.1つ以上の多孔質層が、荷重時において、最小の「圧潰性」または少なくとも20%、好ましくは約30%~約50%の高さ減少を有する。
6.1つ以上の多孔質層が、最終的な一体型ジオグリッドの全高の少なくとも10%、好ましくは約20%~約35%の高さまたは厚さを有する。
【0028】
本発明による1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドに上述した物理的特性を含めることにより、圧縮完了後の骨材とジオグリッドとの間の初期適合性が向上される。そして、初期適合性が向上することによって、「使用中」の荷重時の初期段階において圧縮中および圧縮後に通常発生し得る残存骨材の移動または再配置が低減する。したがって、道路やその他の輸送面、または骨材や土壌層が、建設時により安定して改善され、使用中または荷重時に発生する変形や動きが軽減される。
【0029】
より具体的には、本発明は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを用いることによって、圧縮性ポリマーの層が骨材粒子を入れ子にして、骨材の最大特性を促進および維持するように機能するため、向上した微細相互作用が提供される。
【0030】
さらに、ポリマーを慎重に変更して、多層一体型ジオグリッドの製造に用いられる押出シートの1つ以上の層で用いられるポリマーの密度および/または体積を低減することにより、従来の一体型ジオグリッドと同等の物理的寸法を有するが、ポリマー材料の使用量が削減され、したがってコストが削減された一体型ジオグリッド構造を作製することができる。
【0031】
したがって、上述した目的を達成するために、本発明は、多層構造を有し、その少なくとも1つの層が多孔質構造を有する一体型ジオグリッドを対象とする。これらの多層ジオグリッドは、本明細書において、多くの場合、多孔質構造を有する少なくとも1つの層を有する一体型ジオグリッド、またはより単純に「1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッド」または「1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッド」と呼ばれる。1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドのおかげで、本発明の多層一体型ジオグリッドは、荷重時の層の圧縮性の向上、および他の望ましい特性を提供する。
【0032】
より具体的には、多孔質構造を有する層は、分布した複数の多孔質開口部、すなわち空隙、空洞、細孔、亀裂、気泡、穴または他のタイプの開口部を含む。多孔質構造は、層の発泡構造と関連付けられてもよく、層全体に分布する粒子状充填剤と関連付けられてもよく、あるいは多孔質層に多孔質開口部を形成する他の任意の方法であってもよい。
【0033】
そして、3つ以上の層を有する本発明の実施形態の場合、多孔質構造を有するその圧縮性層は、多層一体型ジオグリッドの少なくとも2つの外(または外側または「キャップ」)層として配置されることが好ましい。2つの外層を圧縮可能にすることには、独特の地質力学的利点がある。重要な利点の1つは、圧縮可能な外層により、骨材が開口部を突き抜けて開口部内に閉じ込められるだけでなく、一体型ジオグリッド表面の外層に埋め込まれることにより、本明細書において「クラッシュフィット(crush-fit)」現象と呼ばれることがある現象が引き起こされる。骨材が一体型ジオグリッドの多孔質外層の表面に「クラッシュフィット」されているため、一体型ジオグリッドは、多孔質外層の表面の強化された摩擦特性によって骨材の動きに抵抗することにより、かつ骨材粒子が多孔質外層の表面に部分的に押しつぶされることによって起こる結合作用によって、荷重時の骨材の横方向の拘束を強化することができる。
【0034】
多孔質外層の押しつぶされやすい特性により、塑性変形と弾性変形がもたらされるため、骨材は外層に押し込まれ、その表面に結合する。同時に、外層の表面が押し戻され、骨材と多層一体型ジオグリッドとの間の結合および「クラッシュフィット」が強化される。そして、本発明の特定の実施形態によれば、多孔質外層の押しつぶされやすい特性は、周囲の土壌と化学結合を形成する潜在能を有する可能性がある。本明細書に記載の改善された表面形状と強化された人工外層構造とを組み合わせることにより、本発明による多層一体型ジオグリッドは、骨材の閉じ込めおよび横方向の拘束の改善による性能の向上をもたらす。
【0035】
本発明による多層一体型ジオグリッドの主な特性は、多孔質層の圧縮性または破砕性である。例えば、上述した三層の実施形態において、2つの外側の多孔質層の圧縮性は、骨材を一体型ジオグリッドの表面に定着させるために重要である。理想的には、各圧縮層は、粒子状材料に埋め込まれるプロセスに耐えるのに十分な耐久性を有し(すなわち、他の層からの層間剥離または細断に抵抗するという点において)、荷重時で少なくとも約20%圧縮する。さらに、圧縮層は少なくとも約85%反発する。本発明の基本概念は、多孔質層が、埋め込み中に骨材を収容するのに十分な圧縮性を有するだけでなく、圧縮性多孔質層が骨材を押し戻して多層一体型ジオグリッドを所定の位置に「結合」するため、「反発」することもできるということである。粉砕および反発は、骨材の横方向の拘束を改善する摩擦および結合の特性によって性能を向上させると考えられている。
【0036】
さらに、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの構造には、共押出された層、または積層された層が含まれていてもよい。多孔質構造を有する層における多孔質開口部の生成は、押出/積層中、または延伸/配向中、またはそれらの両方において発生する可能性がある。
【0037】
そして、多孔質構造を有する層を有し、部分的に配向した多層接合部によって相互に連結された複数の配向性多層ストランドを有し、かつそれらの間に一連の開口部を有する、結果として得られる多層一体型ジオグリッドは、本明細書に記載されているような様々な繰り返し幾何学パターンのいずれかで構成され得る。
【0038】
本発明によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを作製するための出発材料は、出発材料が二軸延伸されたときに成形される一連の開口部を提供する穴部または凹部をその中に有する多層ポリマー出発シートを含む。多層ポリマー出発シートは、多孔質構造を形成することができる1つ以上の層を含む。本明細書では、2つの好ましい実施形態について詳細に説明する。本発明による第1の好ましい実施形態において、多孔質構造を形成することができる層は、層の押出および/または出発シートの延伸/配向の際に、最終的な多層ジオグリッドの一部として多孔質層を形成する発泡剤を含む(以下、「発泡実施形態」と言う場合がある。)。
【0039】
本発明による第2の好ましい実施形態において、多孔質構造を形成することができる層は、出発シートの延伸/配向の際に、最終的な多層ジオグリッドの一部として層内に多孔質構造を生成する、層内に分布した粒子状充填剤を含む(以下、「フィラー実施形態」と言う場合がある。)。好ましい実施形態によれば、多層ポリマー出発シートの層は共押出しされてもよく、または互いに積層されてもよい。
【0040】
本明細書で詳細に説明する2つの好ましい実施形態に加えて、本発明は、多孔質層にある多孔質開口部が本明細書に記載のパラメータに適合する限り、気体注入等の当業者によって考案され得る1つ以上の多孔質層の多孔質開口部を作製する他の方法も企図している。
【0041】
本発明の特定の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、部分的に配向した多層配向接合部によって相互に連結され、それらの間に一連の開口部を有する複数の配向多層ストランドを含む。一つの実施形態によれば、三層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する2つの外層の間に介在する非多孔質層を有する。別の実施形態によれば、多層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する2つの層の間に介在する非多孔質層の繰り返しパターンを有する。さらに別の実施形態によれば、多層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する隣接層と関連付けられた非多孔質層を有する。
【0042】
一つの実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、長方形の開口部を画定する配向性ストランドを相互に連結する部分的に配向した接合部の繰り返し幾何学パターンを有する長方形ジオグリッドである。別の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、三角形の開口部を画定する配向性ストランドを相互に連結する部分的に配向した接合部の繰り返し六角形幾何学パターンを有する三軸ジオグリッドである。また、さらに別の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、外部の六角形を形成する配向性ストランドを相互に連結する部分的に配向した接合部の繰り返し幾何学的パターンを有するジオグリッドであり、外部の六角形はそれぞれ、内部の六角形の形状に形成され、本明細書において「六角形パターン内の繰り返し流動六角形」と呼ばれるより小さい六角形の開口部を画定する内部の相互に連結された6つの構造を取り囲み、支持する。「六角形パターン内の繰り返し流動六角形」を有する本発明のこの実施形態は、本明細書において「六角形」実施形態とも呼ばれることがある。
【0043】
本発明のさらに別の実施形態によれば、土壌構造物は、1つ以上の多孔質層を有し、前の段落で説明したタイプの繰り返し幾何学的パターンを有する多層一体型ジオグリッドを埋め込むことによって強化および安定化された粒子状材料の塊を含む。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの出発材料を作製する方法は、最終的な多層ジオグリッドの一部として多孔質構造を有する層を形成することができる1つ以上の層を有する多層ポリマー出発シートを提供する工程、および配向性多層ストランドを相互に連結し、出発材料が二軸延伸されるときに開口部を画定する、部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンを提供する穴部または凹部を提供する工程を含む。
【0045】
本発明の別の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを作製する方法は、最終的な多層ジオグリッドの一部として多孔質構造を有する層を形成することができる1つ以上の層を有する多層ポリマー出発シートを提供する工程、内部に穴部または凹部を設ける工程、および内部に穴部または凹部を有する多層ポリマーシートを二軸延伸して、配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンを提供して、その内部に開口部を画定する工程を含む。
【0046】
また、本発明のさらに別の実施形態によれば、粒子状材料の塊を延伸する方法は、1つ以上の多孔質層を有し、かつ開口部を画定する配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した接合部の繰り返し幾何学的パターンを有する多層一体型ジオグリッドを粒子状材料の塊に埋め込むことを含む。
【0047】
したがって、本発明の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを提供し、荷重時の層の圧縮率が増大した一体型ジオグリッドを提供することである。1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する2つの層の間に介在する非多孔質層を有していてもよく、多孔質構造を有する2つの層の間に介在する非多孔質層の繰り返しパターンを有していてもよく、または、多孔質構造を有する隣接層と結合している非多孔質層を有していてもよい。
【0048】
したがって、本発明の別の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを作製するための出発材料を提供することである。多層ポリマー出発シートは、多孔質構造を形成することができる1つ以上の層を含む。本発明による第1の実施形態、すなわち発泡実施形態において、多孔質構造を形成することができる層は、層の押出しおよび/または出発シートの延伸/配向の際に、最終的な多層ジオグリッドの一部として多孔質層を形成する発泡剤を含む。本発明による第2の実施形態、すなわち充填剤の実施形態において、多孔質構造を形成することができる層は、出発シートの延伸/配向の際に、最終的な多層ジオグリッドの一部として層内に多孔質構造を形成する、層内に分布した粒子状充填剤を含む。
【0049】
本発明の別の目的は、1つ以上の多孔質層を有し、かつ部分的に配向した多層接合部によって相互に連結された複数の配向性多層ストランドを有し、それらの間に多層ポリマー出発シートから製造される一連の開口部を有する多層一体型ジオグリッドを提供することである。1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、長方形の開口部を画定する配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学パターンを有する長方形ジオグリッド、三角形の開口部を画定する配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンを有する三軸ジオグリッド、または外部の六角形を画定する配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンを有するジオグリッドであり得、そのそれぞれが内部の配向した六角形、すなわち「六角形パターン内の繰り返し流動六角形」を取り囲み、支持する。
【0050】
本発明の関連する目的は、従来のジオグリッド構造に関連する形状よりも、より広い種類および範囲の品質の骨材と結合し、安定化させることができる形状を提供すると同時に、強化された圧縮性および他の望ましい特性を提供することである。
【0051】
本発明のさらに別の目的は、1つ以上の多孔質層を有し、本明細書に記載の繰り返し幾何学的パターンを有する多層一体型ジオグリッドを埋め込むことによって強化され、安定化された粒子状材料の塊を含む土壌構造物を提供することである。
【0052】
本発明のさらに別の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドのための出発材料を製造する方法であって、最終的な多層ジオグリッドの一部として多孔質構造を有する層を形成することができる1つ以上の層を有する多層ポリマー出発シートを提供する工程、および配向性多層ストランドを相互に連結し、出発材料が二軸延伸されるときに開口部を画定する、部分的に配向した多層接続部の繰り返し幾何学的パターンを提供する穴部または凹部を提供する工程を含む方法を提供することである。
【0053】
多層ポリマー出発シートは、複数の層を共押出することによって、または複数の層を互いに積層することによって製造され得る。
【0054】
本発明の別の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを作製する方法であって、最終的な多層ジオグリッドの一部として多孔質構造を有する層を形成することができる1つ以上の層を有する多層ポリマー出発シートを提供する工程、内部に穴部または凹部を設ける工程、および多層ポリマー出発シートを二軸延伸して、配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンおよび開口部を提供する工程を含む方法を提供することである。上述した長方形開口部または三角形開口部一体型ジオグリッドを作製する方法は、上述した米国特許第4,374,798号、同第4,590,029号、同第4,743,486号、同第5,419,659号、同第7,001,112号、同第9,556,580号、同第10,024,002号および同第10,501,896号、ならびに他の特許に記載されているような、公知のジオグリッド製造方法を用いることができる。配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンを有し、そのそれぞれが内側の配向した六角形を取り囲んで支持する外側六角形を画定する、上述した一体型ジオグリッドを作製する方法は、以下に説明するような製造方法を用いることができる。
【0055】
より具体的には、本発明の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを製造する方法であって、まず層を形成することができる多層ポリマー出発シートの層中に発泡体構造を提供し、次いで、多層ポリマー出発シートを配向して発泡材料を延伸し、多孔質構造を形成することにより、多孔質構造を有する層が形成される方法を提供することである。
【0056】
同様に、本発明の別の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドを製造する方法であって、まず層を形成することができる多層ポリマー出発シートの層中に粒子状充填剤を分布させ、次いで、多層ポリマー出発シートを配向して粒子状充填剤の分布を拡大させ、粒子状充填剤がポリマー層材料から部分的に分離するときに多孔質構造を形成することにより、多孔質構造を有する層が形成される方法を提供することである。
【0057】
また、本発明のさらに別の目的は、粒子状材料の塊を強化する方法であって、1つ以上の多孔質層を有し、配向性多層ストランドを相互に連結する部分的に配向した多層接合部の繰り返し幾何学的パターンおよび開口部を有する多層一体型ジオグリッドを、粒子状材料の塊に埋め込むことを含む方法を提供することである。
【0058】
本発明による1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドに関連する多くの利点は、本質的に様々である。
【0059】
本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドが多層構造を有するだけでなく、その少なくとも1つの層が多孔質構造を有することにより、一体型ジオグリッドは荷重時の多層一体型ジオグリッドの圧縮率を高めることができる。
【0060】
また、本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの多層の性質により、従来の単層一体型ジオグリッドと比較して、一体型ジオグリッドにより全体的により大きな骨材結合がもたらされる。さらに、1つ以上の多孔質層のおかげで、本発明の多層一体型ジオグリッドは、より良好な圧縮およびより高い密度をもたらす構造的適合性、すなわち初期の弾力性または柔軟性によって特徴付けられ、なおかつ多層一体型ジオグリッドの初期の弾力性の結果として、土壌構造物に組み込まれた場合に最終的な一体型ジオグリッドの大きな複合剛性を有する。
【0061】
さらに、本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの特定の実施形態は、従来の一体型ジオグリッドと比較して、すべてのストランドにおいてより高いアスペクト比を提供する。本発明の一体型ジオグリッドの特定の実施形態に関連するより高いアスペクト比により骨材の連動性が増大するため、本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、骨材の様々なアスペクト比によりよく適応することができる。
【0062】
要約すると、本発明による多層一体型ジオグリッドの多孔質層は、一体型ジオグリッド製品において独特の物理的および機械的な特性および挙動を生み出す。多層一体型ジオグリッド中に骨材を配置して圧縮する際、リブおよびノード(node)の圧縮可能な多孔質状の外層の性質と、ジオグリッドの他の科学的に設計された側面により、骨材とジオグリッドとの間の初期適合性が向上し、圧縮完了後の骨材の密度が向上し、圧縮後および使用中の荷重時の初期段階において通常発生し得る残存骨材の移動または再配置が低減されると考えられる。拘束することを意図するものではないが、現在は、本発明による多層一体型ジオグリッドの上述した初期適合性が、ジオグリッドの使用中に生じる変形量を低減する重要な要因であると考えられている。本発明に関連する初期適合性の利点は、例えば、本発明による多層一体型ジオグリッドの安定した状態を達成するために必要なパスが大幅に少ない実験室の輸送装置における試験結果によって証明される。さらに、本発明による多層一体型ジオグリッドの様々な実施形態は、従来技術のジオグリッドよりも少ない材料でリブ高さの向上が達成され、従来技術のジオグリッドよりも少ない材料でアスペクト比の増大が達成されることを特徴とする。面内リブの可撓性および柔軟性の増大、および面外剛性の増大により、本発明の多層一体型ジオグリッドは、改善されたジオグリッド/骨材相互作用、ひいては改善された結合をもたらす。
【0063】
したがって、1つ以上の多孔質層のおかげで、本発明の多層一体型ジオグリッドは、荷重時の層圧縮性の増大だけでなく、骨材安定化製品としての骨材の結合および拘束の増大も提供する。
【0064】
これらは、後で明らかになる他の目的および利点とともに、以下にさらに詳細に説明する構造および動作の詳細に含まれており、本明細書の一部を形成する添付図面を参照し、全体を通して同様の参照番号は同様の部分を指す。添付図面は本発明を説明することを目的としているが、必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】
図1は、本発明の一つの実施形態による多孔質構造を備えた2つの外層を備える三軸三層一体型ジオグリッドの断面の斜視図であり、その断面図が最前面に強調されている。
【
図2】
図2は、穴部または凹部が形成される前の、
図1に示す三軸多層一体型ジオグリッド用の単一平面三層ポリマー出発シートを示す。
【
図3】
図3は、
図1に示す三軸三層一体型ジオグリッドを形成するための穴部が設けられた、
図2に示す出発シートの上面透視平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す出発シートの一部分の斜視断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態による、2つの外層と多孔質構造を有する最内層とを有する三軸五層一体型ジオグリッド用の単一平面五層ポリマー出発シートの、穴部または凹部が形成される前の状態を示す。
【
図6】
図6は、
図5に示す出発シートに関連付けられる、2つの外層と多孔質構造とを有する最内層を有する三軸五層一体型ジオグリッドの一部の斜視断面図である。
【
図7】
図7は、本発明のさらに別の実施形態による多孔質構造を有する2つの外層を有する長方形の三層一体型ジオグリッドの平面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す多孔質構造を有する2つの外層を有する長方形の三層一体型ジオグリッドの斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7に示す多孔質構造を有する2つの外層を有する長方形の三層一体型ジオグリッドを形成するための穴が形成された出発シートの上面透視平面図である。
【
図10】
図10は、本発明のさらに別の実施形態による多孔質構造を有する2つの外側層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドの平面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す多孔質構造を有する2つの外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドの斜視図である。
【
図12】
図12は、
図10に示す多孔質構造を有する2つの外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドを形成するための穴が形成された出発シートの上面斜視図である。
【
図13】
図13は、1つの多孔質層および1つの非多孔質層を有する六角形の二層一体型ジオグリッドの斜視図である。
【
図14】
図14は、穴部または凹部が形成される前の、
図13に示す六角形の二層一体型ジオグリッド用の単平面二層ポリマー出発シートを示す。
【
図15】
図15は、
図13に示す六角形の二層一体型ジオグリッドを形成するための穴部が形成された出発シートの上面透視平面図である。
【
図17】
図17A~17Eは、荷重時における、本発明による多孔質構造を有する2つの外層を有する三層一体型ジオグリッドの圧縮メカニズムの仮説を示す。
【
図18】
図18A~18Cは、荷重時における、本発明による多孔質構造を有する2つの外層を有する三層一体型ジオグリッドの2つの外層の柔軟性リブ機構の仮説を示し、一体型ジオグリッドの垂直方向および水平方向の両方の柔軟性を示す。
【
図19】
図19は、従来の単層一体型ジオグリッドの出発シートにおける非弾性リブの挙動と、本発明の多孔質構造を有する2つの外層を有する多層一体型ジオグリッドの出発シートの弾性リブの挙動との比較を示すグラフである。
【
図20】
図20は、
図1および6に示すような三軸多層一体型ジオグリッドの三角形の幾何学的特徴に関連付けられた等方性特性を示す。
【
図21】
図21は、3方向の連続的なリブに関連する等方性特性を示し、これは、
図10、11および13に示すような六角形の多層一体型ジオグリッドの構造的幾何学的特徴である。
【
図22】
図22は、三軸ジオグリッド上の、
図10、11および13に示すような六角形多層一体型ジオグリッドに関連付けられた中空六角形のオーバーレイを示す。
【
図23】
図23は、
図10、11および13に示すような六角形の多層一体型ジオグリッドに関連付けられた、中空の六角形および6つのリブ要素を示す。
【
図24】
図24は、
図10、11および13に示すような六角形の多層一体型ジオグリッドの様々なストランド長さを示す部分平面図である。
【
図25】
図25は、
図10および
図11に示したのと同様の本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドについての、表面変形に対するリブ高さの増大の影響を示す。
【
図26】
図26は、
図25に示した試験結果に関連する、リブ高さの増大が表面変形に及ぼす影響のプロットである。
【
図27】
図27は、
図25および26に示した試験結果に関連する、リブ高さの増大が表面変形に及ぼす影響をまとめた表である。
【
図28】
図28は、本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能なリブ高さの増大と、固体単層ジオグリッドにより達成可能なリブ高さとのプロットである。
【
図29】
図29は、本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な単位面積当たりの質量の減少と、固体単層ジオグリッドにより達成可能な単位面積当たりの質量とのプロットである。
【
図30】
図30は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な性能の向上と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な性能とのプロットである。
【
図31】
図31は、
図30に示した試験結果において用いられた、圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドおよび六角形の固体単層ジオグリッドに関連する構造データを要約した表である。
【
図32】
図32は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な性能の向上と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な性能との別のプロットである。
【
図33】
図33は、
図32に示した試験結果において用いられた、圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドおよび六角形の固体単層ジオグリッドに関連する構造データを要約した表である。
【
図34】
図34は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な圧縮率の改善と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な圧縮率とのプロットである。
【
図35】
図35は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド、および
図34に示した試験結果において用いられた六角形の固体単層ジオグリッドに関連する一定の圧縮性を生み出すのに必要な力をまとめた表である。
【
図36】
図36は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な剛性と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な剛性とのプロットである。
【
図37】
図37は、
図36に示した試験結果において用いられた、圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド、および六角形の固体単層ジオグリッドに関連する応力および歪みをまとめた表である。
【
図38】
図38は、
図10および
図11に示すような六角形の三層一体型ジオグリッドの様々なストランド長さ、ならびに、
図21に示すのと同様に、左機械方向、右機械方向および横方向に関連付けられた連続的なリブを示す部分平面図である。
【
図39】
図39は、
図38に示す六角形の三層一体型ジオグリッドを製造するために用いられる出発シートに関連する穴部の可能なサイズおよび間隔の平面図である。
【
図40】
図40は、
図11に示す本発明の実施形態による多孔質構造を有する2つの外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドの部分断面の側面断面図である。
【
図41】
図41は、本発明の様々な実施形態による一体型ジオグリッドの圧縮率を測定するために用いられる実験装置を示す。
【
図42】
図42は、
図41に示す装置を用いた、本発明による一体型ジオグリッドの様々な実施形態と、多孔質構造を有する層を有しない一体型ジオグリッドとの圧縮率の比較を示すグラフを示す。
【
図43】
図43は、
図41に示す装置を用いた、本発明による一体型ジオグリッドの様々な実施形態と、多孔質構造を有する層を有しない他の一体型ジオグリッドとの圧縮率の比較を示すグラフを示す。
【
図44】
図44は、本発明の様々な実施形態による一体型ジオグリッドの変位を測定するために用いられる別の実験装置であるプレートロードテストリグ(「PLTR」)を示す。
【
図45】
図45は、
図44に示す装置を用いた、本発明による一体型ジオグリッドの様々な実施形態と、多孔質構造を有する層を有しない他の一体型ジオグリッドとの変位の比較を示すグラフを示す。
【
図46】
図46は、
図44に示す装置を用いた、本発明による一体型ジオグリッドの様々な実施形態の変位と、多孔質構造を有する層を有しない他の一体型ジオグリッドとの変位の比較を示す別のグラフを示す。
【
図47】
図47は、多孔質構造を有する層を有する2つの一体型ジオグリッドについて、リブのアスペクト比と表面変形との関係における圧縮率の影響の比較を示すグラフを示す。
【
図48】
図48は、多孔質構造を有する層を有する他の2つの一体型ジオグリッドについて、リブのアスペクト比と表面変形との関係における圧縮率の影響の比較を示すグラフを示す。
【
図49】
図49は、多孔質構造を有する層を有しない2つの一体型ジオグリッドについて、リブのアスペクト比が表面変形に影響を与える能力についてのベース形状の比較を示すグラフを示す。
【
図50】
図50は、同様に圧縮可能な一体型ジオグリッドにおけるベース形状の利点の比較を示す表を示す。
【
図51】
図51は、同様に圧縮可能な一体型ジオグリッドにおけるリブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対するベース形状の影響の比較を示すグラフを示す。
【
図52】
図52は、単一のベース形状について、多層一体型ジオグリッドにおける多孔質構造を有する層の位置の表面変形に対する影響の比較を示す表を示す。
【
図53】
図53は、
図52に関連する単一のベース形状について、リブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対する多孔質構造を有する層の位置の影響の比較を示すグラフを示す。
【
図54】
図54は、
図52に関連する単一のベース形状について、多層一体型ジオグリッドにおける多孔質構造を有する層の位置の表面変形に対する影響の比較を示す別の表を示す。
【
図55】
図55は、
図52に関連する単一のベース形状について、リブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対する多孔質構造を有する層の位置の影響の比較を示す別のグラフを示す。
【
図56】
図56は、
図52に関連する単一のベース形状を有する本発明による一体型ジオグリッドと、多孔質構造を有する層を有しない従来技術のジオグリッドとについて、多孔質構造を有する層の表面変形に対する影響の比較を示す表を示す。
【
図57】
図57は、
図52に関連する単一のベース形状を有する本発明による一体型ジオグリッドと、多孔質構造を有する層を有しない従来技術のジオグリッドとについて、リブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対する多孔質構造を有する層の圧縮率の影響の比較を示すグラフを示す。
【
図58】
図58は、本発明の軟質発泡体の実施形態についての、圧縮力対変位データを示すグラフを示す。
【
図59】
図59は、本発明の硬質発泡体の実施形態についての、圧縮力対変位データを示すグラフを示す。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0066】
本発明の好ましい実施形態のみを詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の説明または図面に示す構成要素の構造および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。以下に説明するように、本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0067】
また、好ましい実施形態を説明する際には、明確化を目的として専門用語が用いられる。各用語は、当業者によって理解される最も広い意味を意図しており、同様の目的を達成するために同様の方法で動作するすべての技術的等価物を含むことを意図している。
【0068】
本明細書で用いられる場合、「多孔質」という用語は、一般に受け入れられている定義に従って用いられ、すなわち、複数の空隙、空洞、細孔、亀裂、気泡、穴、または本明細書の方法によって生成される他のタイプの開口部が内部に分布している材料に関する。同様に、「非多孔質」という用語は、本明細書に記載の方法によって生成される、空隙、空洞、細孔、気泡、穴または他のタイプの開口部を含まない材料、すなわち、一般に連続的または実質的に固体である構造を有する材料を意味する。多孔質構造を提供する、本明細書に記載の方法によって生成される上述した空隙、空洞、細孔、亀裂、気泡、穴または他のタイプの開口部は、本明細書において「多孔質開口部」と呼ばれることがある。
【0069】
また、本明細書において用いられる「共押出された」、「共押出しする」および「共押出」という用語は、一般に受け入れられている定義に従って用いられ、すなわち、一緒に押出され単一のダイとして成形されて多層シートを形成する2つ以上のポリマー材料から始まるプロセスに関する。
【0070】
また、本明細書において用いられる「積層された」、「積層する」および「積層」という用語は、一般に受け入れられている定義に従って用いられ、すなわち、1つの製造プロセスで個別に製造される、別の製造プロセスで互いに結合または接着することにより2つ以上の層の多層シートを生成する2つ以上のポリマー材料シートから始まるプロセスに関する。
【0071】
また、本明細書において用いられる「クラッシュフィット」という用語は、十分な力が加えられた場合に、上または上部の任意のより強力なおよび/またはより硬い材料の形状および質感に一致するように適合し、物理的に適応し、かつ再形成されるような十分に圧縮可能な材料を表すために用いられる。
【0072】
本発明の一つの好ましい実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する2つの外層の間に介在して三層一体型ジオグリッドを形成する非多孔質層を有する。本発明の別の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する2つの層の間に介在する非多孔質層の繰り返しパターンを有する。本発明のさらに別の実施形態によれば、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、多孔質構造を有する隣接する単層と関連付けられた非多孔質層を有する。
【0073】
より具体的には、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、部分的に配向した多層接合部によって相互に連結され、それらの間に一連の開口部を有する複数の配向性多層ストランドを含み、それぞれの配向性多層ストランドおよびそれぞれの部分的に配向した多層接合部は1つ以上の多孔質層を含む複数の層を有し、かつ複数の層は、それぞれの配向性多層ストランドおよびそれぞれの部分的に配向した多層接合部に沿って接触している。
【0074】
さらにより具体的には、1つ以上の多孔質層は、その中に複数の空隙、空洞、細孔、気泡、穴または他のタイプの開口部の分布を含む。この多孔質構造は、層の発泡構造と関連付けることができ、または最終的な多層一体型ジオグリッドにおいて多孔質層の拡張を発生させるために層全体に分布する微粒子充填剤と関連付けることもできる。
【0075】
また、本明細書において用いられるように、上述した1つ以上の多孔質層を説明するために用いられる「拡張」という用語は、本発明による多層一体型ジオグリッドを形成する様々な段階中に多孔質層が拡張する能力を指す。上述した1つ以上の多孔質層を説明するために用いられる「拡張された」という用語は、ジオグリッドを配向させるための延伸による多層一体型ジオグリッドの形成後の、多孔質層、すなわち多孔質開口部に存在する複数の空隙、空洞、細孔、亀裂、気泡、穴または他の種類の開口部の関連する変形(サイズの拡張を含む)を含む多孔質層の構造を意味する。
【0076】
さらに、多層構造は、共押出された層、または積層された層を含んでもよい。多孔質構造を有する層の拡張は、押出/積層中、延伸/配向中、またはそれらの両方において発生する可能性がある。また、得られる多層一体型ジオグリッドは、1つ以上の多孔質層を有し、部分的に配向した多層接合部によって相互に連結された複数の配向性多層ストランドを有し、かつそれらの間に一連の開口部を有し、本明細書に記載されているように、様々な繰り返し幾何学的パターンのいずれかで構成することができる。
【0077】
図1に示すように、本発明の一つの実施形態による三層一体型ジオグリッド200(ここでは三軸一体型ジオグリッド)は、第1の多孔質外層210と第2の多孔質外層230との間に配置された第3の層、すなわち非多孔質内層220を含む。
【0078】
上記で示したように、第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230は、その中に多孔質開口部250の分布を含む。多孔質の開口部250は、第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230の発泡構造に関連付けられていてもよく、最初に多孔質開口部が出発シートの共押出中に形成され、その後、形成中に変形される、すなわち穴部を有する出発シートを一体型ジオグリッドの形成中に延伸することによりサイズが拡張される多孔質開口部に関連付けられていてもよい。あるいは、多孔質開口部250は、第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230内に分布する粒子状充填剤と関連付けられていてもよく、穴部を有する出発シートを一体型ジオグリッドの形成中に延伸することにより粒子状充填剤に隣接して形成される多孔質状開口部に関連付けられていてもよい。
【0079】
第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230の発泡実施形態によれば、本発明は、発泡剤を用いて、拡張した第1多孔質外層210および拡張した第2多孔質外層230、すなわちそれぞれが多孔質発泡構造を有するものを提供することを含みえる。すなわち、共押出(後述する)によって一体型ジオグリッドの層を製造する本発明の一つの実施形態によれば、1つの可能なプロセスは、化学発泡剤と、拡張した第1の多孔質外層210および拡張した第2の多孔質外層230を形成するために押出されるポリマーとを混合することである。ポリマーを溶融するために発生する熱により化学発泡剤が分解され、その結果、ガスが放出される。次いで、ガスはポリマー溶融物中に分布し、ダイから出る際に拡張する。その結果、第1の外層210および第2の外層230が発泡して多孔質層、すなわち複数の多孔質開口部を有する層が形成される。化学発泡と同様に、第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230の形成をもたらすガスの注入も、本発明のこの実施形態による発泡プロセスとみなされる。
【0080】
第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230の粒子状充填剤の実施形態によれば、本発明は、粒子状充填剤の分散液を用いて、拡張した第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230、すなわちそれぞれが多孔質構造を有するものを提供する。第1の多孔質外層210および第2の多孔質外層230にそのような粒子状充填剤を含めることにより、より厚い、すなわちより嵩高なプロファイルを有する製品が作製され、特定の使用用途において一体型ジオグリッドの性能の向上につながり得る。多層一体型ジオグリッドが用いられる使用用途に応じて、このような粒子状充填剤としては、例えば、CaCO3(炭酸カルシウム)、含水ケイ酸マグネシウム(タルク)、CaSiO3(珪灰石)、硫酸カルシウム(石膏)、珪藻土、二酸化チタン、ナノフィラー(ナノクレイ等)、多層カーボンナノチューブ(「MWCNT」)、単層カーボンナノチューブ(「SWCNT」)、天然繊維または合成繊維、金属繊維、ガラス繊維、ドロマイト、シリカ、マイカおよびアルミニウム水和物が挙げられる。
【0081】
発泡実施形態および充填材実施形態の両方によれば、第1の多孔質外層210の構成材料および第2の多孔質外層230の構成材料は、互いに同じであってもよく、または互いに異なっていてもよいが、同じ材料であることが好ましい。一般に、非多孔質内層220の構成材料は、第1の多孔質外層210の構成材料および第2の多孔質外層230の構成材料とは異なる。
【0082】
本発明の企図される実施形態には、1つ以上の発泡層が1つ以上の固体層と組み合わせて用いられるもの、1つ以上の充填層が1つ以上の固体層と組み合わせて用いられるもの、および1つ以上の発泡層および1つ以上の充填層が1つ以上の固体層と組み合わせて用いられるものが含まれる。
【0083】
図2は、穴部または凹部が形成される前の、
図1に示す1つ以上の多孔質層200を有する三層一体型ジオグリッド用の単一平面三層ポリマー出発シート100を示す。
【0084】
図2に示すように、多層ポリマー出発シート100は、本発明の三層シートの実施形態である。すなわち、好ましくは、シート100は、第1の拡張外層110、第2の拡張外層130、および非多孔質内層120を含む。第1の拡張外層110および第2の拡張外層130は、非多孔質内層120の反対側の平面上に、好ましくは単一平面または実質的に単一平面の構成で配置される。さらに、シート100の三層構成が説明の目的で示されているが、本発明は、様々な構成で配置された複数の層、様々な厚さの組み合わせを有する複数の層、および様々な構成材料を有する複数の層を有するシートの使用を企図しており、いずれも一体型ジオグリッドが用いられる特定の用途によって決定される。例えば、シート100の三層構成が説明の目的で示されているが、本発明は三層よりも多く有するシートの使用も企図している。一般に、層の構成、層の厚さ、および層の構成材料は、一体型ジオグリッドの製造を容易にするだけでなく、所望の程度の圧縮率、剛性およびその他の性能特性を有する一体型ジオグリッドを提供するように選択される。
【0085】
さらに、本発明の別の実施形態によれば、多層一体型ジオグリッドは2つの層、すなわち、多孔質構造を有する単一の隣接層と関連付けられた非多孔質層を有していてもよい。ジオグリッドは通常、粘土、シルトまたは砂等の土壌層の上に設置される。上述した材料はすべて「細粒」材料、すなわち、ジオグリッド開口部のサイズの非常に小さい粒子サイズによって特徴付けられる材料である。そして、典型的には、「大きい」(すなわち、直径0.25インチ~3インチ)粒子の粒状骨材がジオグリッドの上に設置される。圧縮性層、すなわち多孔質層は、粒状骨材が圧縮性層の上に配置されるように最適に配置されると仮定される。圧縮性層が細粒土壌と接触していることはそれほど重要ではないと考えられている。したがって、このような二層一体型ジオグリッドは、設置時に底部に固体層、上部に圧縮性層を有することになる。
【0086】
図13(下記で詳述する)に示すように、本発明の多層一体型ジオグリッド1500は、多孔質構造を有する単一の隣接層と関連付けられた上述の非多孔質層を有する。すなわち、本発明による二層一体型ジオグリッド1500は、2つの多孔質層の間に非多孔質層を配置する代わりに、1つの多孔質層1510および1つの非多孔質層1520を有する。
図14に示すように、本発明の二層一体型ジオグリッドの実施形態に関連する二層ポリマー出発シート1700は、拡張外層1710および非多孔質層1720を含む。
【0087】
上述したように、本発明による三層一体型ジオグリッドの出発材料として用いられる三層ポリマー出発シート100は、好ましくは貫通打ち抜き加工されるが、その代わりに形成された凹部を用いることもできる。シートに凹部が形成される実施形態によれば、凹部はシート100の両面、すなわちシートの表裏の両方に設けられる。さらに、凹部は多層シートの各層にまで延びている。
【0088】
本発明の好ましい実施形態によれば、三層ポリマー出発シート100の全体の厚さは約2mm~約12mmであり、本発明のより好ましい実施形態によれば、シート100の全体の厚さは約4mm~約10mmである。
【0089】
シート層の個々の厚さに関して、本発明の好ましい実施形態によれば、第1の拡張外層110の厚さは約0.5mm~約4mmであり、非拡張内層120の厚さは約0.5mm~約4mmであり、第2の拡張外層130の厚さは約0.5mm~約4mmであり、出発シート100の全体の厚さは約2mm~約12mmであることに留意されたい。また、本発明のより好ましい実施形態によれば、第1の拡張外層110の厚さは約1mm~約3mmであり、非拡張内層120の厚さは約1mm~約3mmであり、第2の拡張外層130の厚さは約1mm~約3mmである。
【0090】
一般に、出発シートの層は本質的にポリマーである。第1の拡張外層110、非多孔質内層120および第2の拡張外層130のポリマー材料は、互いに同じであってもよく、または互いに異なっていてもよい。好ましくは、第1の拡張外層110の構成材料と第2の拡張外層130の構成材料とは、互いに同じである。より好ましくは、非多孔質内層120の構成材料は、第1の拡張外層110の構成材料および第2の拡張外層130の構成材料のいずれとも異なる。
【0091】
例えば、構成材料には、高分子量ポリオレフィン、および広い分子量分布のポリマーが含まれ得る。ポリマー科学の当業者に知られているように、「高分子量」ポリオレフィンという用語は、ASTM D 1238-20によって決定されるメルトフローレート(「MFR」;メルトフローインデックス(「MFI」)としても知られる)が1未満である樹脂を意味する。同様に知られているように、「広い分子量分布」ポリマーという用語は、サイズが異なり、分子量分布グラフ上で広い二項分布曲線によって示される分子鎖を有する樹脂を意味する。さらに、ポリマー材料は、バージンストック(virgin stock)であってもよく、または、例えば、産業廃棄物または消費者使用後のリサイクルポリマー材料等のリサイクル材料であってもよい。また、上述した高分子量ポリオレフィンおよび広範な仕様のポリマーよりも低コストの1つ以上のポリマー層の使用も企図される。
【0092】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1の拡張外層110の構成材料および第2の拡張外層130の構成材料は、例えばバージンポリプロピレン(「PP」)またはリサイクルポリプロピレン等、例えば産業廃棄物PPまたは他のリサイクルPP等の広範な仕様のポリマーである。本明細書において用いられる場合、広範な仕様のポリマーという用語は、ASTM D 1238-20によって測定されるMFR(またはMFI)が1~6であり、かつASTM D 4218-20によって測定される灰分が6%未満であるポリマーを意味する。また、同様の好ましい実施形態によれば、非多孔質内層120の構成材料は、例えばPP等の高分子量ポリオレフィンである。しかしながら、一体型ジオグリッドの特定の用途に応じて、ポリプロピレン以外の構成材料を有するポリマー構成要素が多層ポリマー出発シート100に含まれてもよい。
【0093】
本発明によれば、多層ポリマー出発シート100は、上述した’960号出願に開示されているような層の共押出によって、または別々に製造された層の積層によって製造することができる。例えば、別々に製造された層の積層は、別々に製造された各層の一方の表面を再加熱して軟化し、再加熱して軟化した表面が互いに隣接するように一方を他方に重ね、次いで圧力を加えて別々に製造されたシートを相互に融着させることによって達成することができる。
【0094】
図3は、
図1に示す三軸三層一体型ジオグリッド200を形成するために設けられた穴部140有する、
図2に示す多層ポリマー出発シート100の上面透視平面図である。
図4は、
図3に示す三層ポリマー出発シート100の一部分の斜視断面図である。
【0095】
図4に示す穴部140のサイズおよび間隔は、Walshの’112号特許に開示されているとおりである。
図1によれば、同じくWalshの’112号特許に開示されているように、1つ以上の多孔質層を有する三軸三層一体型ジオグリッド200は、高度に配向したストランド205および部分的に配向した接合部235を含む。三層ポリマー出発シート100(
図3に示す)の第2の拡張外層130は、ストランド205および接合部235の第2の多孔質外層230へと延伸され、配向されている。同様に、三層ポリマー出発シート100の第1の拡張外層110は、ストランド205および接合部235の第2の多孔質外層210へと延伸され、配向されている。第2の拡張外層130および第1の拡張外層110が延伸および配向されると、非多孔質内層120も、ストランド205および接合部235の両方の中間層220へと延伸され、配向される。
【0096】
上記で示したように、多層ポリマー出発シート100の三層構造は説明の目的で示されているが、本発明はまた、3つ以上の層を有する1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッド、および三層よりも多い出発シート100の使用も企図している。
【0097】
例えば、出発シートは、
図5に示す多層ポリマー出発シート400のような五層構成であり得る。出発シート400は、中間拡張層420、第1の非多孔質内層410、第2の非多孔質内層430、第1の拡張外層440、および第2の拡張外層450を含む。第1の非多孔質内層410および第2の非多孔質内層430は、中間拡張層420の反対側の平面上に、好ましくは単一平面または実質的に単一平面上に配置される。第1の拡張外層440および第2の拡張外層450はそれぞれ、第1の非多孔質内層410および第2の非多孔質内層430の反対側の平面上に、好ましくは単一平面または実質的に単一平面上に配置される。
【0098】
図5に示す本発明の特定の実施形態において、多層ポリマー出発シート400は、中間拡張層420を形成する第1の材料、第1の非多孔質内層410を形成する第2の材料、第2の非多孔質内層430を形成する第3の材料、第1の拡張層440を形成する第4の材料、および第2の拡張外層450を形成する第5の材料を共押出または積層することによって作製される。
【0099】
一般に、中間拡張層420、第1の非多孔質内層410、第2の非多孔質内層430、第1の拡張外層440、および第2の拡張外層450のポリマー材料は、互いに同じであってもよく、または互いに異なっていてもよい。例えば、中間拡張層420は第1の構成材料を有してもよく、第1の非多孔質内層410および第2の非多孔質内層430は第2の構成材料を有してもよく、第1の拡張外層440および第2の拡張外層450は第3の構成材料を有してもよい。要約すると、シート400から作製された多孔質構造を有する層を有する五層一体型ジオグリッドが用いられる特定の使用用途に応じて、上述した五層の構成材料の様々な組み合わせを採用することができる。
【0100】
図6は、
図5に示す五層ポリマー出発シート400と関連する3つ以上の多孔質層を有する三軸五層一体型ジオグリッド500の断面の斜視図である。3つ以上の多孔質層を有する三軸五層一体型ジオグリッド500は、高度に配向した多層ストランド505および部分的に配向した多層接合部535を含む。シート400に穴部が設けられた後、シート400の第1の拡張外層440および第2の拡張外層450は、それぞれ延伸され、多層ストランド505および多層接合部535の第1の多孔質外層540および第2の多孔質外層550に配向される。同様に、シート400の第1の非多孔質内層410および第2の非多孔質内層430は、それぞれ延伸され、ストランド505および接合部535の第1の非多孔質内層510および第2の非多孔質内層530に配向される。また、第1の拡張外層440および第2の拡張外層450、ならびに第1の非多孔質内層410および第2の非多孔質内層430は延伸および配向されているため、中間拡張層420も同時に延伸され、多層ストランド505および多層接合部535の両方の中間多孔質層520に配向される。
【0101】
また、多層ポリマー出発シート100(すなわち、三層の実施形態)と同様に、五層を有する多層ポリマー出発シート400は、発泡された、または充填剤を有する拡張層を有していてもよく、共押出または積層によって形成されてもよい。
【0102】
本発明の好ましい実施形態によれば、五層一体型ジオグリッド500の全体の厚さは約1mm~約6mmであり、本発明のより好ましい実施形態によれば、五層一体型ジオグリッド500の全体の厚さは約1.5mm~約3.5mmである。
【0103】
五層一体型ジオグリッド500の層の個々の厚さに関して、本発明の好ましい実施形態によれば、第1の多孔質外層540の厚さは約0.1mm~約2mmであり、第2の多孔質外層550の厚さは約0.1mm~約2mmであり、第1の非多孔質外層510の厚さは約0.1mm~約2mmであり、第2の非多孔質内層530の厚さは約0.1mm~約2mmであり、中間非多孔質層520の厚さは約0.1mm~約2mmである。
【0104】
ここで、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの幾何学的形状に目を向けると、本発明は、三角形(「三軸」等)、長方形および六角形の少なくとも3種の一般的なカテゴリを企図する。
【0105】
三軸拡張多層一体型ジオグリッド200の幾何学的形状は、
図1(三層)および
図6(五層)に示すとおりである。
【0106】
1つ以上の多孔質層を有する長方形の多層一体型ジオグリッド700の幾何学的形状を
図7に示す。1つ以上の多孔質層を有する長方形の多層一体型ジオグリッド700は、高度に配向した多層ストランド705および部分的に配向した多層接合部710を含む。
図8に示すように、2つ以上の多孔質層を有する長方形の三層一体型ジオグリッド700は、第1の多孔質外層710および第2の多孔質外層730との間に配置された第3の層、すなわち非多孔質内層720を含む。本明細書に記載の三角形の幾何学的形状のように、第1の多孔質外層710および第2の多孔質外層730は、その内部に多孔質開口部750の分布を含む。多孔質開口部750は、第1の多孔質外層710および第2の多孔質外層730の発泡構造と関連付けられてもよく、または第1の多孔質外層710および第2の多孔質外層730に分布した粒子状充填剤と関連付けられてもよい。
【0107】
三層ポリマー出発シート600(後述する)の第2の拡張外層630は、多層ストランド705および多層接合部740の第2の多孔質外層730へと延伸および配向されている。同様に、多層ポリマー出発シート600の第1の拡張外層610は、多層ストランド705および多層接合部740の第1の多孔質外層710へと延伸および配向されている。第2の多孔質外層730および第1の多孔質外層710が延伸および配向されるため、非多孔質内層620も同時に多層ストランド705および多層接合部740の両方の非多孔質内層720へ延伸および配向される。
【0108】
図9は、
図7および
図8に示す長方形の三層一体型ジオグリッド700を形成するために設けられた穴部640を有する三層ポリマー出発シートセクション600の上面透視平面図である。多層ポリマー出発シート600は、第1の拡張外層610と第2の拡張外層630との間に設けられた第3の層、すなわち非多孔質内層620を含む。本明細書に記載の三角形幾何学的形状のように、第1の拡張外層610および第2の拡張外層630は、
図7および
図8に示す最終的な一体型ジオグリッド700において多孔質開口部650の分布を形成する。
【0109】
また、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの三角形幾何学的実施形態のように、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの長方形実施形態は、発泡された多孔質層、または粒子状充填剤を含む多孔質層を有する。また、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの長方形実施形態の出発シートは、三角形実施形態について本明細書で上述したものと同じであり、共押出または積層によって形成され得る。
【0110】
また、最後に、1つ以上の多孔質層を有する六角形多層(ここでは三層)一体型ジオグリッド1100の幾何学的形状は、
図10および
図11に示すとおりである。1つ以上の多孔質層を有する六角形多層一体型ジオグリッドの開発のきっかけは、それがジオシンセティック強化等の使用用途の要求に適したより広い種類および範囲の品質の骨材と結合し、かつ安定化する性能を有する構造および幾何学的形状を備えるか、または特定のジオシンセティック用途に望ましい他の特性を備える一体型ジオグリッドを製造するために、構造的および経済的に有利であるという点にある。
【0111】
1つ以上の多孔質層を有する六角形多層一体型ジオグリッドは、骨材の支持および相互作用を実質的に強化する一方で、三軸幾何学的形状の等方性特性を保持することによって、三軸一体型ジオグリッドを改良するように設計されている。三軸幾何学的形状および他の従来技術の幾何学的形状に対する六角形多層一体型ジオグリッドの重要な改良点は、少なくとも2つの重要な設計特徴に関連している。第1に、幾何学的形状に関して、六角形の多層一体型ジオグリッドは、3つのリブ方向のそれぞれで1つおきのリブを連続リブとして保持することにより、三軸幾何学的形状の360度特性を保持する。しかしながら、六角形の多層一体型ジオグリッドは、非連続リブに沿った1つおきのノードを非機能要素(ノード)から機能的特徴(6つの新しいリブ要素を含む新しい開いた六角形)に変換する。これらの6つの新しいリブ要素は、1つの非機能的ノードではなく機能的特徴になる。開いた六角形および6つのリブ要素により、六角形の多層一体型ジオグリッドが骨材と相互作用し、骨材を支持できる程度が大幅に向上する。さらに、六角形の多層一体ジオグリッド形状は三方向に連続したリブを提供し、360度の強度および安定性を実現する。これは、上記で説明したように、非機能的ノードを機能的要素に変換したり、より高いリブを組み込むことによってマクロ相互作用を改善したりすることを含む様々な方法で行われる。
【0112】
第2に、本発明の一つの実施形態によれば、共押出された六角形の多層一体型ジオグリッドでは、本明細書に記載される多層構造および発泡体または充填剤の強化が利用される。すなわち、共押出された多層構造および外側の二層の多孔質構造により、本発明は、骨材粒子を入れ子にして、骨材の最大特性を促進および維持するように設計された圧縮性ポリマーの最上層および最下層に関連する微細相互作用を提供する。この高度な共押出プロセス技術は、同時押出による層間の接着力の向上、層間の適切な相対速度およびせん断速度を維持しながらの多孔質構造の生成の制御、および多層シートを作製する単一工程プロセスによるコスト削減等の、生産および製造における他の利点ももたらす。すなわち、これらの設計上の特徴を六角形の多層一体型ジオグリッドに組み合わせることにより、三軸ジオグリッドよりも大幅に優れた性能を得ることができ、わずかなコスト増大のみでこの新しく斬新なジオグリッドを製造できるようにする様々な生産および製造上の利点がもたらされる。
【0113】
従来のジオグリッド構造に関連する形状よりも広い種類および範囲の品質の骨材と結合し、かつ安定化する上述した性能を達成すると同時に、様々な程度の局所的な面外剛性および面内剛性を提供するために、本発明の1つ以上の多孔質層を有する六角形の多層一体型ジオグリッドは、相互に連結された配向性多層ストランドの繰り返しパターン、および外層六角形の繰り返しパターンを形成する部分的に配向した多層接合部を有し、それぞれが配向した多層内側六角形を支持し取り囲んで、多軸一体型ジオグリッドの3つの異なる形状の開口部を規定する。さらなる強度と安定性を提供するために、外側六角形の幾何学的形状は、多軸一体型ジオグリッド全体にわたって3つの異なる方向に連続的に伸びる直線状のストランドを形成する。
【0114】
このように形成されると、内側の多層六角形は6つの配向性多層ストランドを含み、外側六角形の部分的に配向した多層接合部から内側六角形のそれぞれの角まで延伸する6つの配向性多層接続ストランドによって支持されて、配向した多層三重ノードを形成する。多層三重ノードは、多層接合よりもはるかに高いレベルの配向性を有しており、完全に配向する傾向がある。この構成は、外側の多層六角形構造に対して浮いている、すなわち浮遊している内側の多層六角形を作り出す。この構造により、骨材の配置および圧縮中に、内側の多層六角形が上または下に移動して、一体型ジオグリッドの主平面に対して「浮遊する」または曲がる(つまり、変形する)ことが可能になり、一体型ジオグリッドが骨材に結合および安定化する機能が強化される。上述したように、上述の一体型ジオグリッド構造は、本明細書では、「六角形パターン内に繰り返し浮遊六角形を有する」多層一体型ジオグリッド、または単に「六角形」多層一体型ジオグリッドと呼ばれる。
【0115】
ここで
図10および
図11を参照すると、1つ以上の多孔質層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド1100は、内部に一連の開口部を有する複数の相互に連結された配向性多層ストランド、相互に連結された配向性多層ストランドの六角形パターン内の繰り返し浮遊六角形、および開口部を含み、多軸一体型ジオグリッドの全体にわたって連続的に延びる直線状多層ストランドを含む。多軸一体物の全体にわたって連続的に延びるこれらの直線状多層ストランドは、強軸ストランドを構成する。より具体的には、1つ以上の多孔質層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド1100は、各外側六角形1110内に浮遊内側六角形1130の繰り返しパターンを含む。外側六角形1110は、部分的に配向した多層接続部1115により相互に連結された複数の外側配向性多層ストランドまたはリブ1120を含む。内側六角形1130は、多層三重ノード1135により相互に連結された複数の配向性多層接続ストランド1145および1150を含み、六角形の中央開口部1170を画定する。外側六角形1110は、複数の多層支持ストランド1140および1160により、より小さい内側六角形1130に接続され、複数の台形開口部1180を画定する。3つの隣接する外側六角形1110のパターンのそれぞれの中心には、三角形開口部1190がある。示すように、接合部1115は、三重ノード1135よりもはるかに大きい。
【0116】
本発明の六角形幾何学的形状実施形態の別の態様では、支持ストランド1140および1160は、部分的に配向した接合部1115から内側に延び、浮遊内側六角形1130(または本明細書記載されているそのような他の内部幾何学的構成)の三重ノード1135と連結し、このような支持ストランドによって支持され、「人工不連続部」または「浮動人工不連続部」を構成する。
【0117】
図10から明らかなように、本発明の1つ以上の多孔質層を有する六角形三層一体型ジオグリッド1100の別の特徴は、繰り返し外側六角形パターンの外側多層ストランド1120の直線的に連続する性質である。すなわち、配向性多層ストランド1120は、
図10および
図11の矢印120A、120Bおよび120Cで示す互いに約120°離れた3つの異なる方向に多軸一体型ジオグリッドの全体にわたって連続的に延びるため、部分的に配向した多層接合部1115を介して直線的に連続している。多軸一体物の全体にわたって連続的に延びるこれらの直線状多層ストランドは、強軸ストランドを構成する。当業者であれば、穴部が設けられた出発シートの幾何学的形状の適切な対応する回転が行われる場合には、延伸後に同じ基本幾何学的形状の異なる配向が可能であることを理解するであろう。多層ストランド1120の直線的に連続する性質は、本発明の1つ以上の多孔質層を有する六角形多層一体型ジオグリッドに、強化された強度および面内剛性の両方を提供する。
【0118】
好ましくは、その最も厚い寸法(接合部1115において)で2つの外側多孔質層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド1100の厚さは、約0.5~100μmであり、より好ましくは、そのような多軸拡張三層一体型ジオグリッド1100の厚さは約4~約8mmである。
【0119】
一体型ジオグリッドの幾何学的形状に関して、
図20は、
図1および6に示すような三軸多層一体型ジオグリッドの三角形幾何学的特徴に関連付けられた等方性特性を示す。また、
図21は、3方向の連続的なリブに関連する等方性特性を示し、これは、
図10、11および13に示すような六角形の多層一体型ジオグリッドの構造幾何学的特徴である。
【0120】
さらに、
図22は、三軸ジオグリッド上の、
図10、11および13に示すような六角形多層一体型ジオグリッドに関連付けられた中空六角形のオーバーレイを示す。また、
図23は、
図10、11および13に示すような六角形の多層一体型ジオグリッドに関連付けられた中空六角形および6つのリブ要素を示す。
【0121】
図24は、
図10、11および13に示すような六角形多層一体型ジオグリッドの様々なストランド長さを示す部分平面図である。
【0122】
さらに、
図38は、
図10および
図11に示すような六角形の三層一体型ジオグリッドの様々なストランド長さ、ならびに、
図21に示すのと同様に、左機械方向、右機械方向および横方向に関連付けられた連続的なリブを示す部分平面図である。
図39は、
図38に示す六角形の三層一体型ジオグリッドを製造するために用いられる出発シートに関連する穴部の可能なサイズおよび間隔の平面図である。
図40は、
図11に示す本発明の実施形態による多孔質構造を有する2つの外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドの部分断面の側面断面図である。
【0123】
ここで、より具体的には、
図24に戻ると、
図24に示す本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドの一つの実施形態では、多層一体型ジオグリッドは、1~4mmの広い範囲、好ましくは2~3mmの範囲、好ましくは1.97mmの寸法を有するリブAの高さを有する。リブAの幅は、0.75~3mmの広い範囲、好ましくは1~2mmの範囲、好ましくは1.6mmの寸法を有する。リブAの長さは、30~45mmの広い範囲、好ましくは35~40mmの範囲、好ましくは37mmの寸法を有する。リブAのアスペクト比は、1:1~3:1の広い範囲、好ましくは1.5:1~1.8:1の範囲、好ましい値1.7:1を有する。
【0124】
リブBの高さは、1~3mmの広い範囲、好ましくは1.5~2.5mmの範囲、好ましくは1.6mmの寸法を有する。リブBの幅は、0.75~3.5mmの広い範囲、好ましくは1~3mmの範囲、好ましくは1.8mmの寸法を有する。リブBの長さは、15~25mmの広い範囲、好ましくは18~22mmの範囲、好ましくは21mmの寸法を有する。リブBのアスペクト比は、0.75:1~2:1の広い範囲、好ましくは1.2:1~1.4:1の範囲、好ましい値1.3:1を有する。
【0125】
リブCの高さは、1~4mmの広い範囲、好ましくは2~3mmの範囲、好ましくは2.7mmの寸法を有する。リブCの幅は、0.75~3.5mmの広い範囲、好ましくは1~2.5mmの範囲、好ましくは1.6mmの寸法を有する。リブCの長さは、15~30mmの広い範囲、好ましくは20~25mmの範囲、好ましくは23mmの寸法を有する。リブCのアスペクト比は、1:1~3:1の広い範囲、好ましくは1.5:1~2.5:1の範囲、好ましい値1.7:1を有する。
【0126】
リブDの高さは、1.5~4mmの広い範囲、好ましくは2~3.5mmの範囲、好ましくは2.3mmの寸法を有する。リブDの幅は、1~4mmの広い範囲、好ましくは1.5~2.5mmの範囲、好ましくは1.5mmの寸法を有する。リブDの長さは、10~30mmの広い範囲、好ましくは15~25mmの範囲、好ましくは18mmの寸法を有する。リブDのアスペクト比は、1:1~3:1の広い範囲、好ましくは1.4:1~1.7:1の範囲、好ましい値1.6:1を有する。
【0127】
リブEの高さは、1~4mmの広い範囲、好ましくは1.5~3.0mmの範囲、好ましくは1.9mmの寸法を有する。リブEの幅は、0.75~3.5mmの広い範囲、好ましくは1~3mmの範囲、好ましくは1.7mmの寸法を有する。リブEの長さは、15~30mmの広い範囲、好ましくは20~25mmの範囲、好ましくは22mmの寸法を有する。リブEのアスペクト比は、0.75:1~2:1の広い範囲、好ましくは1:1~1.5:1の範囲、好ましい値1.3:1を有する。主要なノードの厚さは1.5~10mmの広い範囲、好ましくは3~8mmの範囲、好ましくは5.1mmの寸法を有する。
【0128】
また、
図40に示すように、内側の非多孔質層の反対側の表面上に配置された第1および第2の圧縮可能な多孔質外層を有する本発明による六角形三層一体型ジオグリッドの一つの実施形態では、多層一体型ジオグリッドは、1~3mmの広い範囲、好ましくは1.5~2.5mmの範囲、好ましくは1.7mmの寸法を有する下部接合部(すなわち、接合部1115;
図11を参照)のキャップ厚さ(寸法「A」);1~3mmの広い範囲、好ましくは1.5~2.5mmの範囲、好ましくは1.7mmの寸法を有する上部接合部のキャップの厚さ(寸法「B」);1~3mmの広い範囲、好ましくは1.5~2.5mmの範囲、好ましくは1.7mmの寸法を有する中心接合部のコア厚さ(寸法「C」);0.4~1mmの広い範囲、好ましくは0.5~0.8mmの範囲、好ましくは0.7mmの寸法を有するリブA(
図24を参照)の下部キャップ厚さ(寸法「D」);0.4~1mmの広い範囲、好ましくは0.5~0.8mmの範囲、好ましくは0.7mmの寸法を有するリブAの上部キャップ厚さ(寸法「F」);および0.4~1mmの広い範囲、好ましくは0.5~0.8mmの範囲、好ましくは0.6mmの寸法を有するリブAの中心コア厚さ(寸法「E」)を有する。
【0129】
図12は、
図10および
図11に示す2つの外側多孔質層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド1100を形成するための穴部が形成された三層ポリマー出発シート1300の上面斜視図である。第1の拡張外層1310と第2の拡張外層1330との間に配置された第3の層、すなわち非多孔質内層1320を含む。
【0130】
また、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの三角形および長方形の幾何学的実施形態のように、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッド1100の六角形実施形態は、発泡された多孔質層、または微粒子充填剤を含む多孔質層を有する。また、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの六角形実施形態の出発シートは、三角形および長方形の幾何学的実施形態について本明細書で先に開示したものと同じであり、共押出または積層によって形成することができる。
【0131】
本発明による1つ以上の多孔質層を有する六角形の多層一体型ジオグリッド1100の出発材料として用いられる多層ポリマー出発シート1300は、好ましくは貫通した穴部が設けられるが、代わりにその中に形成された凹部を用いることも可能である。シートに凹部が形成されている出発材料の実施形態によれば、凹部はシートの両側、すなわちシートの表面および裏面の両方に設けられる。
【0132】
図12に示すように、三層ポリマー出発シート1300は、配向されるときに、
図10および11に示す六角形拡張三層一体型ジオグリッド1100の六角形パターン内に浮遊六角形を提供する穴部1320および間隔1330の繰り返しパターン1310を含む。
【0133】
より具体的には、本発明による好ましい六角形三層一体型ジオグリッドは、
図38に示すとおりであり、これはまた、左機械方向(「MD左」)、右機械方向(「MD右」)、および横方向(「TD」)に関連する連続的ストランド(または「リブ」)を示す。
図38に示すように、本発明による一体型ジオグリッドの六角形実施形態の外側六角形繰り返し単位の「平面を横切る」(本明細書では「A/F」と呼ばれることもある)寸法は、外側六角形の平行する強軸ストランド、すなわち左機械方向、右機械方向および横方向のそれぞれに互いに平行に延びる強軸ストランド間の距離である。さらにより具体的には、
図10、11および38に示す本発明の六角形実施形態の描写によれば、A/F寸法は、平行するストランド1120のいずれかの間、すなわち、左機械方向、右機械方向および横方向のそれぞれにおける距離である。
図38に示す六角形三層一体型ジオグリッドの好ましい一つの実施形態によれば、A/F寸法、すなわち、外側六角形のストランド1120(
図10および
図11も参照)に関連する1つの多層接合部1115から、外側六角形の平行なストランド1120に関連する反対側の多層接合部1115までの距離は約80mmである。また、同じ実施形態について、平面寸法、すなわち内側の六角形(
図11を参照)の1つの多層三重ノード1135から内側六角形の反対側の多層三重ノード1135までの距離は約33mmである。本発明による多層一体型ジオグリッドのこの好ましい実施形態では、出発シートの合計厚さは、2~12mmの広い範囲、好ましくは4~8mmの範囲、好ましくは5.5μmの寸法を有する。穴部のサイズ/直径は2~7mmの広い範囲、好ましくは3~5mmの範囲、好ましくは3.68mmの寸法を有する。第1の延伸方向の主ピッチは、5~9mmの広い範囲、好ましくは6~8mmの範囲、好ましくは6.7088mmの寸法を有する。第1の延伸方向の副ピッチは、1~4mmの広い範囲、好ましくは2~3mmの範囲、好ましくは2.58mmの寸法を有する。第1の延伸方向における第2の主/副ピッチは4~8mmの広い範囲、好ましくは5~7mmの範囲、好ましくは5.934mmの寸法を有する。第2の延伸方向の主ピッチは4~8mmの広い範囲、好ましくは5~7mmの範囲、好ましくは6.192mmの寸法を有する。
【0134】
また、一般に、三層ポリマー出発シート1300は本質的にポリマーである。例えば、構成材料には、高分子量ポリオレフィン、および広範な仕様のポリマーが含まれ得る。さらに、ポリマー材料は、バージンストックであってもよく、または、例えば、産業廃棄物または消費者使用後のリサイクルポリマー材料等のリサイクル材料であってもよい。また、上述した高分子量ポリオレフィンおよび広範な仕様のポリマーよりも低コストの1つ以上のポリマー層の使用も企図される。本発明の好ましい実施形態によれば、高分子量ポリオレフィンはポリプロピレンである。
【0135】
本発明の好ましい実施形態によれば、六角形三層一体型ジオグリッド1100の多層ストランド1120、1140、1145、1150および1160は、高いアスペクト比として当業者に知られているもの、すなわち、上述したWalshの特許、すなわち米国特許第9,556,580号、同第10,024,002号および同第10,501,896号による、多層ストランド断面の幅に対する多層ストランド断面の厚さまたは高さの比が1.0超であるものである。本発明にとって必須というわけではないが、ストランドまたはリブのアスペクト比は高いことが好ましい。したがって、本発明の多軸一体型ジオグリッドは、ジオグリッドと骨材との間の適合性を高め、その結果、骨材の連結、横方向の拘束、および閉じ込めが改善される。
【0136】
本明細書に記載されるように、3つ以上の層を有する上述の実施形態を有する代わりに、本発明による1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、単一の隣接する多孔質層に関連付けられた非多孔質層を有してもよい。すなわち、
図13に示すように、本発明による六角形二層一体型ジオグリッド1500は、1つの多孔質層1510および1つの非多孔質層1520を有する。六角形二層一体型ジオグリッド1500の残りの要素は、多層構造が2つの層、すなわち多孔質層1510および非多孔質層1520のみを有する点を除いて、上述したとおりである。
【0137】
図14に示すように、本発明の二層一体型ジオグリッドの実施形態に関連する二層ポリマー出発シート1700は、拡張層1710および非多孔質層1720を含む。拡張層1710および非多孔質層1720は、好ましくは単一平面または実質的に単一平面の構成で配置される。
図15は、
図13に示す六角形の二層一体型ジオグリッド1500を形成するために設けられた穴部1940のパターンを有する二層ポリマー出発シート1900の上面透視平面図である。
【0138】
より具体的には、
図13によれば、1つの多孔質層を有する六角形の二層一体型ジオグリッド1500は、各外側六角形1510内に浮遊内側六角形1530の繰り返しパターンを含む。外側六角形1510は、部分的に配向した多層接続部1515により相互に連結された複数の外側配向性多層ストランドまたはリブ1520を含む。内側六角形1530は、多層三重ノード1535により相互に連結された複数の配向性多層接続ストランド1545および1550を含み、六角形の中心開口部1570を画定する。外側六角形1510は、複数の台形開口部1580を画定する複数の多層支持ストランド1540および1560により、より小さい内側六角形1530に接続される。3つの隣接する外側六角形1510のパターンのそれぞれの中心は、三角形開口部1590がである。示すように、接合部1515は、三重ノード1535よりもはるかに大きい。
【0139】
本発明はまた、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの上述した様々な実施形態を製造する方法にも関する。
【0140】
より具体的には、本発明の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの製造方法であって、多孔質構造を有する層が、最初に発泡構造体、すなわち複数の多孔質開口部を多層ポリマー出発シートの層に提供し、次いで多層ポリマー出発シートを二軸配向して発泡材料を拡張し、発泡材料の変形した多孔質開口部の分布を作り出すことによって作製される製造方法を提供することである。
【0141】
同様に、本発明の別の目的は、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの製造方法であって、多孔質構造を有する各層が、最初に多層ポリマー出発シートの層に粒子状充填剤を分布させ、次いで多層ポリマー出発シートを二軸延伸して粒子状充填剤の分布を拡張し、粒子状充填剤がポリマー層材料から部分的に分離するときに多孔質開口部の分布を作り出すことによって作製される製造方法を提供することである。
【0142】
例えば、1つ以上の多孔質層を有する上述した三軸多層一体型ジオグリッド200を作製する方法は:多層ポリマー出発シート100を提供する工程;例えばWalshの112号特許の開示に従って、選択されたパターンで多層ポリマー出発シート100に複数の穴部または凹部を形成する工程;およびパターン化された複数の穴部または凹部を内部に有する多層ポリマー出発シートを二軸延伸および配向させて、1つ以上の多孔質層を有し、部分的に配向した多層接合部間に相互に連結された複数の配向性多層ストランドを有する多層一体型ジオグリッドを形成し、グリッド開口部としての穴部または凹部を作製する工程を含む。
【0143】
一般に、多層ポリマー出発シート100が穴部または凹部を備えて作製されると、1つ以上の多孔質層を有する三軸多層一体型ジオグリッド200を、上記で特定した特許に記載の方法および当業者に公知の方法に従ってシート100から製造することができる。
【0144】
また、1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの多軸「六角形パターン内の繰り返し浮遊六角形」実施形態を作製する方法に関して、この方法は、ポリマーシート1300を提供する工程;パターン化された複数の穴部または凹部1310をポリマーシート1300に設ける工程;およびパターン化された複数の穴部または凹部1310を内部に有するポリマーシート1300を配向させて、内部に一連の開口部1170、1180および1190、相互に連結された配向性多層ストランドの外側六角形1110パターン内の繰り返し浮遊六角形1130、および開口部を有し、多孔質構造1100を有する層を有する多軸多層一体型ジオグリッドの全体にわたって連続的に延びる3つの直線状多層ストランドを含む、複数の相互に連結された配向性多層ストランド1120、1140、1145、1150および1160を提供する工程を含む。
【0145】
一般に、出発シート1300が穴部または凹部を備えて作製されると、1つ以上の多孔質層を有する多軸多層一体型ジオグリッド1100を、上記で特定した特許に記載の方法および当業者に公知の方法に従って出発シート1300から製造することができる。
【0146】
共押出を用いる代わりに多層一体型ジオグリッドの層を積層することに関して、共押出への近似は以下の方法の1つによって得ることができるが、得られる製品はおそらく、好ましい共押出の実施形態に関連する利点をすべて有するわけではない。第1に、別個の成形出発シートの別々の層を別個の単層として押出成形することができ、各層は必要な押出材料レシピを有する。次いで、押出後のプロセスでは、これらの層は、下記のプロセスのいずれかによって結合されて、一体的に成形された共押出材料に近似され得る。例えば、糊付け/結合プロセスを用いることができ、それにより、例えばパディングローラープロセスによって、結合されるべきシートの表面に適切な接着剤が適用され、次いで、シートが適切な圧力および/または熱の下で強制的に一緒にされて、結合を生じる。別のアプローチでは、加熱/ラミネートプロセスを用いることができ、それにより、例えば誘導加熱ローラーまたはガスによって、結合されるべきシートの表面に適切な熱源が適用され、次いで、シートが適切な圧力および/または熱の下で強制的に一緒にされて、結合を生じる。さらに別のアプローチでは、機械的溶接/接合プロセスを使用することができ、それにより、例えば超音波溶接または摩擦溶接によって連続局所溶接が実行される。そして、さらに別のアプローチでは、化学的溶接/結合プロセスを用いることができ、それにより、例えばパディングローラープロセスによって、結合されるべきシートの表面に適切な溶媒が導入され、次いで、シートが適切な圧力および/または熱の下で強制的に一緒にされて、結合を生じる。
【0147】
上記で示したように、外側六角形1110およびより小さい内側六角形1130の六角形幾何学的形状は、本発明の浮遊幾何学的構成を提供するための好ましい実施形態である。しかしながら、本発明の範囲内で他の幾何学的形状も可能である。例えば、幾何学的形状は、外側の長方形または正方形の各内側の角を、より小さい内側の長方形または正方形の対応する外側の角に接続する4つの支持または接続ストランドを備えた長方形または正方形であってもよい。あるいは、幾何学的形状は、外側の三角形の隣接する内側の角と、より小さい内側の三角形の外側の角との間に3本の支持または接続ストランドのみを備えた三角形とすることもできる。
【0148】
前の段落で説明した本発明の長方形または正方形の実施形態では、外側のそれぞれの長方形または正方形に対してジオグリッド全体にわたって連続的に延びる2本の直線状ストランドが存在することが好ましく、そのような連続的ストランドは互いから約90°の角度で延びる。三角形の実施形態では、本明細書において詳細に説明する好ましい六角形の実施形態の直線状ストランド1120と同様に、それぞれの外側三角形について互いから約120°延びる3つの直線状ストランドが存在する可能性がある。
【0149】
また、本発明から逸脱することなく、異なる幾何学的形状も可能である。例えば、内側の幾何学的形状は、本明細書に開示される好ましい実施形態と同様の6本の支持ストランドを備えた好ましい外側の六角形内で支持された円形リングであってもよい。したがって、外側の繰り返し構造および内側または内部の浮遊構造の幾何学的形状は、同一の幾何学的形状に限定されないことが意図されている。
【0150】
図17A~17Eは、荷重時の第1の多孔質外層1710および第2の多孔質外層1730の多孔質開口部に関連する、本発明による1つ以上の多孔質層を有する三層一体型ジオグリッドの圧縮メカニズムの仮説を示す。
図17Aに示すように、荷重が加えられる前は、多孔質開口部1750およびその周囲のポリマー1740は乱れていない。荷重が始まると(
図17B)、多孔質開口部1750の周囲のポリマー1740が圧縮し始める。荷重が続くと(
図17C)、多孔質開口部1750の周囲のポリマー1740は降伏を停止し、多孔質開口部1750は圧縮し始める。さらに荷重が続くと(
図17D)、多孔質開口部1750はさらに圧縮され、多孔質開口部の周囲のポリマー1740が再び変形し始める。そして最後に、
図17Eに示すように、荷重が除去されると、多孔質開口部1750がある程度潰れているため、多孔質開口部の周りにあるポリマー1740の永久変形と共に、多孔質開口部の永久変形が残りながら、拡張された多層一体型ジオグリッドのリブは減圧される。
【0151】
図18A~18Cは、1つ以上の多孔質層を有する三層一体型ジオグリッドの拡張多孔質層の柔軟なリブ機構の仮説を示す。柔軟なリブ機構の仮説は、第1の多孔質外層1810および第2の多孔質外層1830における多孔質開口部の存在とも関連しており、荷重がかかった状態での一体型ジオグリッドの垂直方向および水平方向の両方の柔軟性を実証している。
図18Aに示すように、荷重が加えられる前は、多孔質開口部1850および多孔質開口部1850の周囲のポリマー1840は乱れていない。荷重が加えられると(
図18B)、多孔質開口部1850が変形し始めるにつれて、系が弾性圧縮を受け始める。最後に、
図18Cに示すように、多孔質開口部1850が圧縮され、緻密化し始めると、系は降伏を停止する。したがって、三層一体型ジオグリッドの第1多孔質外層1810および第2多孔質外層1830に存在する多孔質開口部1850によって、荷重下における一体型ジオグリッドの垂直方向および水平方向の両方の柔軟性が達成される。
【0152】
図19は、従来の一体型ジオグリッドの出発シートにおける非弾性リブの挙動と、1つ以上の多孔質層を有する本発明の多層一体ジオグリッドの出発シートの弾性リブの挙動との比較を示すグラフである。明らかなように、垂直方向および水平方向に柔軟な1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドのリブは、より最適な骨材の位置決めおよび緻密化を容易にする。拡張された多層一体型ジオグリッドのこの機能により、リブが骨材系の「破壊者」になることなく、「大きな」リブを用いることができるようになる。
【0153】
ここで、本発明の性能上の利点を実証する追加の実験結果に目を向けて、
図25、26および27を参照されたい。
図25は、
図10および11に示すのと同様の、本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドを示し、トラッキング試験中の表面変形に対するリブ高さの増大の影響を示す。
図25に関連する3つの試験片のそれぞれにおける唯一の違いは、出発シートの厚さであり、当然のことながら、これによって一体型ジオグリッドの結果として得られるリブの高さが決定される。
図26は、
図25に示す試験結果に関連する、リブ高さの増大が表面変形に及ぼす影響をプロットした図である。また、
図27は、
図25および26に示す試験結果に関連する、リブ高さの増大が表面変形に及ぼす影響をまとめた表である。
図25、26および27に示すトラフィック試験の結果から明らかなように、リブの高さが増大するにつれて、一体型ジオグリッドの表面変形は有利に減少する。
【0154】
さらに、本発明による多孔質構造を有する層を有する一体型ジオグリッドは、他の有利な特徴を有する。
図28は、本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能なリブ高さの増大と、固体単層ジオグリッドにより達成可能なリブ高さの増大とのプロットである。また、
図28の結果に関連するものと同じ一体型ジオグリッドについて、
図29は、本発明による六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な単位面積当たりの質量の減少と、固体単層ジオグリッドにより達成可能な単位面積当たりの質量の減少とのプロットである。
図28および29から明らかなように、本発明による多孔質構造を有する外側「キャップ」層を有する一体型ジオグリッドは、固体単層ジオグリッドにより達成可能な平均リブ高さの10%を超える平均リブ高さを有するのに対し、単位重量は固体単層ジオグリッドよりも11%軽量である。
【0155】
ここで、本発明の性能上の利点を実証する追加の実験的トラフィック結果に目を向けて、
図30および31を参照されたい。
図30は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な性能の向上と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な性能の向上とのプロットである。
図31は、
図30に示す試験結果において用いられた、圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドおよび六角形の固体単層ジオグリッドに関連する構造データを要約した表である。各試験片に関連付けられた出発シートは、圧縮可能な多孔質外層を有する三層一体型ジオグリッドの場合は6.2mm、固体単層ジオグリッドの場合は6.3mmの厚さを有していた。
図30および31に示すトラフィック試験結果から明らかなように、圧縮可能な多孔質外層を有する三層一体型ジオグリッドは、固体単層ジオグリッドよりも表面変形が有利に少なかった。実際、変形を制限するためのトラフィック試験パスの数に関して、圧縮可能な多孔質外層を有する本発明の三層一体型ジオグリッドは、固体単層ジオグリッドより約9倍優れている。
【0156】
同様に、
図32および33は、本発明の性能上の利点を実証する実験的トラフィック結果を示している。
図32は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な性能の向上と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な性能の向上との別のプロットである。
図33は、
図32に示した試験結果において用いられた、圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドおよび六角形の固体単層ジオグリッドに関連する構造データを要約した表である。
図32および33の結果における各試験片に関連する出発シートはより厚く、圧縮可能な多孔質外層を有する三層一体型ジオグリッドの厚さは7.5mmであり、固体単層ジオグリッドの厚さは7.5mmであった。
図32および33に示すトラフィック試験結果から明らかなように、圧縮可能な多孔質外層を有する三層一体型ジオグリッドは、固体単層ジオグリッドよりも表面変形が有利に少なかった。実際、変形を制限するためのトラフィック試験パスの数に関して、圧縮可能な多孔質外層を有する本発明の三層一体型ジオグリッドは、固体単層ジオグリッドより約5倍優れている。
【0157】
ここで、本発明の一体型ジオグリッドの圧縮率に目を向けると、
図34は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な圧縮率の改善と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な圧縮率の改善とのプロットである。また、
図35は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド、および
図34に示す試験結果において用いられた六角形の固体単層ジオグリッドに関連する一定の圧縮性を生み出すのに必要な力とをまとめた表である。
図34および35に示す結果は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する三層一体型ジオグリッドが、固体単層ジオグリッドよりも圧縮に必要な力が大幅に少ないことを示している。より具体的には、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する三層一体ジオグリッドは、固体単層ジオグリッドよりも圧縮に12%~54%の量の力を必要とする。
【0158】
また、
図36および37は、本発明の性能上の利点を実証する応力-歪みの実験結果を示す。
図36は、本発明による圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッドにより達成可能な剛性と、六角形の固体単層ジオグリッドにより達成可能な剛性とのプロットである。
図37は、
図36に示す試験結果において用いられた、圧縮可能な多孔質外層を有する六角形の三層一体型ジオグリッド、および
図36に示す試験結果において用いられた六角形の固体単層ジオグリッドに関連する応力および歪みをまとめた表である。グリッドAおよびCは、本発明による三層圧縮性多孔質外層構造を有する試験片である。グリッドEは、固体単層構造を有する試験片である。
図36および37から明らかなように、本発明による三層圧縮性多孔質外層構造については、剛性または強度のいずれにも損失はなかった。
【0159】
また、さらなる圧縮率の比較に目を向けると、
図41は、一体型ジオグリッド1100試験片の圧縮率を測定するために用いられる実験装置を示す。この装置は、幅1.6mmの金属プローブ1910を用い、一体型ジオグリッド1100試験片を圧縮するために125Nの力を加える。
図42に示すように、本発明による多孔質構造を有する層を有する一体型ジオグリッド試験片、すなわちNX750、NX850およびNX950の圧縮率は、多孔質構造を有する層を有さない試験片、すなわちTX160およびHexagonal Monoの圧縮率よりも実質的に大きい。
【0160】
また、
図43に示すように、本発明による多孔質構造を有する層を有する一体型ジオグリッド試験片、すなわちHexagonal UK7.5mm、NX750、NX850、Hexagonal UK5.45mm、NGA4.5mm、およびNGB5mmの圧縮率および反発能力はいずれも、多孔質構造を有する層を有さない試験片、すなわちTX5、TX7、BX1200MD、BX1100MD、BX1100TD、TX160およびBX1200TDよりも実質的に大きい。
【0161】
図44は、一体型ジオグリッド試験片の変位を測定するために用いられる圧縮率の決定に関連する別の実験装置であるプレートロードテストリグ(「PLTR」)を示す。試験では、一体型ジオグリッド試験片が4インチの骨材層と発泡層の間に積層され、鋼板が発泡層の下に配置される。一体型ジオグリッド試験片の圧縮率を決定するには、骨材/一体型ジオグリッド/発泡体の積層体に1,000ポンドの力を10サイクルにわたって加える。次いで、一体型ジオグリッド試験片を装置から取り出し、リブの圧縮率と表面の損傷を確認する。
【0162】
図44に示す装置を用いた試験から、軟質発泡体および硬質発泡体を用いたときの様々な一体型ジオグリッド試験片の平均変位をそれぞれ
図45および
図46に示す。上述した試験において用いられる「軟質発泡体」および「硬質発泡体」の意味については、それぞれ
図58および59は、そのような軟質および硬質の発泡体の実施形態についての圧縮力対変位のデータを示すグラフを示す。
図58および59に示すデータを生成するには、3インチ×3インチの正方形の金属板を備えた装置を、サンプルの角度に対応できるスイベルジョイントを介して力測定装置(例えば、インストロン試験機等)に接続し、発泡試験片が10mm/分の速度で圧縮できるように取り付ける。この装置は、水平プレート上に試験片を支持するように配置される。
【0163】
図45および46から明らかなように、本発明による多孔質構造を有する層を有する一体型ジオグリッド試験片、すなわちNX750、NX850、NGAおよびNGBの変位は、多孔質構造を有しない試験片、すなわちTX5、TX160およびTX7の変位よりも有利に小さい。
【0164】
また、トラフィック試験に目を移すと、
図47~57は、使用時に一体型ジオグリッドの構造の変形に影響を与える可能性がある様々な一体型ジオグリッド構造の特徴およびパラメータを反映する実験データを示す。
図47~51およびそれぞれの関連説明は、単に背景情報として、すなわち、発明者の研究開発努力がどのようにして本発明の実施形態として本明細書に記載される一体型ジオグリッド構造に至ったかを説明する手段として、本明細書に提示される。本発明の上述した実施形態に関連する実験データは、
図52~57に示されている。
【0165】
背景情報に関して、
図47は、2つの一体型ジオグリッド、すなわち、単層一体型ジオグリッドと1つの層が多孔質構造を有する共押出多層一体型ジオグリッドとについてのリブのアスペクト比と表面変形との関係における圧縮率の影響の比較を示す。
図47は、トラフィック中に、少なくとも方向的に、ある程度の圧縮性を備えた共押出多層構造を有する一体型ジオグリッドが、表面変形とリブのアスペクト比との間の関係に関して何らかの利点があることを示す。すなわち、ある程度の圧縮性を有する共押出多層構造では、非常に高いアスペクト比に頼ることなく、より低い表面変形を得ることが有益となり得る。
【0166】
しかしながら、
図48を参照すると、2つの一体型ジオグリッド、すなわち、単層一体型ジオグリッドと1つの層が多孔質構造を有する共押出多層一体型ジオグリッドとについてのリブのアスペクト比と表面変形との関係における圧縮率の影響の別の比較は、
図47に示す利点が、一体型ジオグリッドの形状によってはそれほど顕著ではない可能性があることを示す。
図47の試験で用いられた一体型ジオグリッドの平面寸法は66mmであるが、
図48の試験で用いられた一体型ジオグリッドの平面寸法は80mmである。実質的に、
図48のデータは、材料の特性および形状の両方を最適化することで何らかの利点が得られることを示しており、これは、一般に、典型的なジオグリッド用途において見られる大部分の粒状材料には、66mm形状よりも80mm形状の方が適しているためである。
【0167】
ここで、形状のみの比較に目を向けると、
図49は、多孔質構造の層を有しない2つの一体型ジオグリッド、すなわち本明細書に記載の三軸一体型ジオグリッドと六角形一体型ジオグリッドについて、リブアスペクト比が表面変形に影響を与える能力に対するベース形状の影響を示す。
図49は、トラフィック中に、少なくとも方向的に、六角形の幾何学的形状を有する一体型ジオグリッドが、表面変形とリブのアスペクト比との関係に関して何らかの利点があることを示す。すなわち、六角形の幾何学的形状では、非常に高いアスペクト比に頼ることなく、より低い表面変形を得ることが有益となり得る。最後に、背景情報に関して、
図50は、同様に圧縮可能な一体型ジオグリッド製品におけるベース形状の利点の比較を示す。すなわち、
図50は、トラフィック中に、非多孔質構造の第1の外層と第2の外層との間に配置された多孔質構造を有する単一の内層をそれぞれ有する三軸一体型ジオグリッドおよび六角形一体型ジオグリッドについて、六角形の形状を用いると、リブのアスペクト比が低くなり、表面の変形が少なくなるという点で有利である。同様に、
図51は、同様に圧縮可能な一体ジオグリッド、すなわち、上述した三軸一体ジオグリッドおよび六角形一体ジオグリッドにおけるリブアスペクト比と表面変形との間の関係に対するベース形状の影響の比較をグラフとして提供する。
【0168】
ここで、本発明の様々な実施形態に関連するトラフィックデータに目を向けると、
図52~57に示す実験結果は、本明細書に記載される多孔質構造の第1および第2の外層および非多孔質構造の内層を有する一体型ジオグリッドによって達成される利点を実証している。
【0169】
図52は、単一のベース形状について、多層一体型ジオグリッドにおける多孔質構造を有する層の位置の表面変形に対する影響の比較を示す。
図53は、
図52に関連する単一のベース形状について、リブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対する多孔質構造を有する層の位置の影響の比較をグラフとして提供する。
図52および53から明らかなように、多孔質構造の外層と非多孔質構造の内層とを有する本発明による一体型ジオグリッドは、内層として多孔質構造層を有する一体型ジオグリッドよりもトラフィック中の表面変形が少ない。
【0170】
また、
図54は、
図52に関連する単一のベース形状について、多層一体型ジオグリッドにおける多孔質構造を有する層の位置の表面変形に対する影響のさらに別の比較を提供する。関連する
図55は、
図52に関連する単一のベース形状について、リブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対する多孔質構造を有する層の位置の影響の別のグラフ比較を示す。
図54および55で報告された実験では、外側多孔質構造層を有する三層一体型ジオグリッドの性能が、2つの「挟まれた」内側多孔質構造層を有する五層一体型ジオグリッド、および多孔質構造を有しない単層を有する一体型ジオグリッドの両方と比較される。
図54および55から明らかなように、上述した3つの一体型ジオグリッド構造のうち、多孔質構造の外層と非多孔質構造の内層とを有する本発明による一体型ジオグリッドは、トラフィック中の表面変形が最も少ない。
【0171】
最後に、
図56および57は、本発明による一体型ジオグリッドの様々な特徴を一体型ジオグリッドに組み込むことの複合的な有益な効果を反映する実験データを示す。
図56は、
図52に関連する単一のベース形状を有する本発明による一体型ジオグリッドと、多孔質構造を有する層を有しない従来技術のジオグリッドとについて、多孔質構造を有する層の表面変形に対する影響の比較を提供する。また、関連する
図57は、
図52に関連する単一のベース形状を有する本発明による一体型ジオグリッドと、多孔質構造を有する層を有しない従来技術のジオグリッドとについて、リブのアスペクト比と表面変形との間の関係に対する多孔質構造を有する層の圧縮率の影響をグラフで比較したものである。
図56および57は、共押出によって形状および材料特性の両方を最適化し、圧縮多孔質構造を有する層を正確に配置することによって、本発明による一体型ジオグリッドが骨材の表面変形に関して約25%の減少をもたらすことを示す。さらに、上述した結果は、従来技術のジオグリッドの厚さの12~28%の出発シート厚さで達成される。
【0172】
要約すると、本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、多層構造を有するだけでなく、多孔質開口部の分布の結果としてその少なくとも1つの層が多孔質構造を有することによって、一体型ジオグリッドにより、荷重下での層の圧縮性が向上する。
【0173】
本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの多層の性質により、従来の単層一体型ジオグリッドと比較して、一体型ジオグリッドによる全体的により大きな骨材結合がもたらされる。さらに、1つ以上の多孔質層のおかげで、本発明の多層一体型ジオグリッドは、構造的コンプライアンス、すなわち初期の弾力性または柔軟性によって特徴付けられ、より良好な圧縮および高密度をもたらし、なおかつ多層一体型ジオグリッドの初期の弾力性の結果として、土壌構造物に組み込まれた場合に最終的な一体型ジオグリッドの大きな複合剛性を有する。
【0174】
さらに、本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドの特定の実施形態は、従来の一体型ジオグリッドと比較して、すべてのストランドにおいてより高いアスペクト比を提供する。本発明の一体型ジオグリッドの特定の実施形態に関連するより高いアスペクト比により骨材の連動性を増大するため、本発明の1つ以上の多孔質層を有する多層一体型ジオグリッドは、骨材の様々なアスペクト比によりよく適応することができる。
【0175】
本発明の第1の態様は、骨材と連結し、安定化し、かつ強化するための多層一体型ジオグリッドであって、部分的に配向した接合部によって相互に連結され、それらの間に一連の開口部を有する複数の配向性ストランドを備え、前記一体型ジオグリッドが、それぞれポリマー材料の複数の複数の層を有し、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が多孔質構造を有する。多孔質構造は、土壌または骨材と一体型ジオグリッドとの間の初期相互作用および適合性を改善して、土壌または骨材の密度および/または圧縮後の追加特性を最大化する。
【0176】
第1の多孔質外層および第2の多孔質外層は、約20%~約70%の空隙容積を有し得る。第1の多孔質外層および第2の多孔質外層は、約20%~約60%の圧縮率を有し得る。第1の多孔質外層および第2の多孔質外層は、発泡構造を有していてもよい。発泡は、発泡剤またはガス注入に関連し得る。第1の多孔質外層および第2の多孔質外層は、粒子状充填剤を含む構造を有していてもよい。粒子状充填剤は炭酸カルシウムであってもよい。多層一体型ジオグリッドは、共押出された多層ポリマーシートから製造され得る。多層一体型ジオグリッドは、積層された多層ポリマーシートから製造され得る。配向性ストランドは二軸延伸されていてもよい。多層一体型ジオグリッドは、第1多孔質外層、非多孔質内層および第2多孔質外層を有し得、第1の多孔質外層と第2多孔質外層とは、非多孔質内層の反対側の平面上に配置され得る。多層一体型ジオグリッドは、三軸一体型ジオグリッドであり得る。多層一体型ジオグリッドは、長方形の一体型ジオグリッドであり得る。多層一体型ジオグリッドは、六角形一体型ジオグリッドであり得る。
【0177】
本発明の第2の態様は、多層一体型ジオグリッドを製造するための出発材料に関し、前記出発材料は、各層がポリマー材料の複数の層を有する多層ポリマーシートを含み、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、前記多層一体型ジオグリッドの第1の外層および第2の外層に多孔質構造を形成することができる拡張構造であって、前記多層ポリマーシートが、該シートが二軸延伸されたときに開口部を提供する穴部または凹部を有する。
【0178】
多層ポリマーシートは共押出され得る。多層ポリマーシートは積層され得る。多層ポリマーシートは、第1の外層、多孔質構造を形成することができる拡張構造を有しない内層、および第2の外層を含み、第1の外層と第2の外層とは、内層の反対側の平面上に配置され得る。実施形態において、第1の外層は約0.5mm~約4mmの厚さを有し、内層は約0.5mm~約4mmの厚さを有し、かつ第2の外層は約0.5mm~約4mmの厚さを有する。多層ポリマーシートは約2mm~約12mmの初期厚さを有し得る。多層ポリマーシートは、約4mm~約10mmの初期厚さを有し得る。
【0179】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様による多層一体型ジオグリッドを埋め込むことによって強化された粒子状材料の塊を含む土壌構造物に関する。
【0180】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様による多層一体型ジオグリッドを粒状材料の塊に埋め込むことを含む、粒状材料の塊を強化する方法に関する。
【0181】
本発明の第5の態様は、多層一体型ジオグリッドを作製する方法であって、それぞれポリマー材料の複数の層を有する多層ポリマーシートを提供する工程であって、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の外層および前記第2の外層に多孔質構造を形成することができる拡張構造を有する前記工程;前記多層ポリマーシートにパターン化された複数の穴部または凹部を設ける工程;および前記パターン化された複数の穴部または凹部を有する多層ポリマーシートを二軸配向して、部分的に配向した接合部によって相互に連結された複数の配向性ストランドを提供し、前記穴部または凹部をグリッド開口として構成する工程
を含み、前記第1の外層および第2の外層が多孔質構造を有する方法に関する。
【0182】
多層一体型ジオグリッドの第1の多孔質外層および第2の多孔質外層は、発泡構造を有し得る。多層一体型ジオグリッドの第1の多孔質外層および第2の多孔質外層は、粒子状充填剤を含み得る。多層ポリマーシートを提供する工程は共押出であり得る。多層ポリマーシートを提供する工程は積層であり得る。多層一体型ジオグリッドは、第1多孔質外層、非多孔質内層、および第2多孔質外層を含んでもよく、第1多孔質外層と第2多孔質外層とは、非多孔質内層の反対側の平面上に配置される。実施形態において、第1の多孔質外層は広範な仕様のポリマーの構成材料を有し、非多孔質内層は高分子量ポリオレフィンの構成材料を有し、かつ第2の多孔質外層は広範な仕様のポリマーの構成材料を有し得る。多層ポリマーシートは、少なくとも2mmの初期厚さを有し得る。多層一体型ジオグリッドは、長方形の一体型ジオグリッドであり得る。多層一体型ジオグリッドは、長方形の一体型ジオグリッドであり得る。多層一体型ジオグリッドは、六角形の一体型ジオグリッドであり得る。
【0183】
本発明の第6の態様は、多孔質構造を有する1つ以上の層を有する多層一体型ジオグリッドを製造する方法であって、多孔質構造を有する1つ以上の層およびその中にパターン化された複数の穴部または凹部を有する多層ポリマーシートである出発材料を二軸延伸して、多孔質構造を有する1つ以上の層を有し、複数の配向性ストランド、複数の部分的に配向した接合部、および複数のグリッド開口部を有する多層一体型ジオグリッドを提供する工程;および前記一体型ジオグリッドを粒子状材料の塊に埋め込む工程
を含む方法に関する。
【0184】
本発明の第7の態様は、内部に一連の開口部を有する外部の六角形の繰り返しパターンを形成する、相互に連結された複数の第1の配向性ストランドおよび部分的に配向した複数の接合部を含む多層一体型ジオグリッドであって、前記外部の六角形のそれぞれが、第2の配向性ストランドを有する小さな内部の六角形を支持し取り囲み、前記外部の六角形の前記第1の配向性ストランドおよび前記部分的に配向した複数の接合部が、前記多層一体型ジオグリッドの全体にわたり連続的に延びる複数の線形ストランドを形成し、前記一体型ジオグリッドが、それぞれ該ジオグリッドの全体にわたって延びるポリマー材料の複数の層を有し、かつ前記複数の層の少なくとも1つの層が多孔質構造を有する多層一体型ジオグリッドに関する。
【0185】
上述した内容は、本発明の原理を説明するためだけのものであると考えられる。さらに、当業者であれば多くの修正および変更に容易に想到し得るため、本発明を説明および図示した正確な構成および動作に限定することは望ましくない。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材と連結し、安定化し、かつ強化するための多層一体型ジオグリッドであって、
部分的に配向した接合部によって相互に連結され、それらの間に一連の開口部を有する複数の配向性ストランドを含み、
前記一体型ジオグリッドが、それぞれポリマー材料の複数の層を有し、
前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、土壌または骨材と前記一体型ジオグリッドとの間の初期相互作用および適合性を改善して、土壌または骨材の密度および圧縮後の特性を最大化する多孔質構造を有する、
前記多層一体型ジオグリッド。
【請求項2】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が、約20%~約70%の空隙容積を有する、請求項1に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項3】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が、約20%~約60%の圧縮率を有する、請求項1または2に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項4】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が発泡構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項5】
前記発泡が発泡剤またはガス注入を伴う、請求項4に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項6】
前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が、粒子状充填剤を含む構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項7】
前記粒子状充填剤が炭酸カルシウムである、請求項6に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項8】
前記多層一体型ジオグリッドが、共押出された多層ポリマーシートから製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項9】
前記多層一体型ジオグリッドが、積層された多層ポリマーシートから製造される、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項10】
前記配向性ストランドが二軸延伸されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項11】
前記多層一体型ジオグリッドが、前記第1の多孔質外層、非多孔質内層および前記第2の多孔質外層を有し、前記第1の多孔質外層と前記第2の多孔質外層とが、前記非多孔質内層の反対側の平面上に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項12】
前記一体型ジオグリッドが、三軸一体型ジオグリッド、長方形一体型ジオグリッドまたは六角形一体型ジオグリッドである、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッド。
【請求項13】
多層一体型ジオグリッドを製造するための出発材料であって、各層がポリマー材料の複数の層を有する多層ポリマーシートを含み、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、前記多層一体型ジオグリッドの第1の外層および第2の外層に多孔質構造を形成することができる拡張構造であって、前記多層ポリマーシートが、該シートが二軸延伸されたときに開口部を提供する穴部または凹部を有する、前記出発材料。
【請求項14】
前記多層ポリマーシートが共押出される、請求項13に記載の出発材料。
【請求項15】
前記多層ポリマーシートが積層されている、請求項13に記載の出発材料。
【請求項16】
前記多層ポリマーシートが、前記第1の外層、多孔質構造を形成することができる拡張構造を有しない内層、および前記第2の外層を含み、前記第1の外層と前記第2の外層とが、前記内層の反対側の平面上に配置される、請求項13~15のいずれか一項に記載の出発原料。
【請求項17】
前記第1の外層が約0.5mm~約4mmの厚さを有し、前記内層が約0.5mm~約4mmの厚さを有し、かつ前記第2の外層が約0.5mm~約4mmの厚さを有する、請求項16に記載の出発材料。
【請求項18】
前記多層ポリマーシートが約2mm~約12mmの初期厚さを有する、請求項13~17のいずれか一項に記載の出発材料。
【請求項19】
前記多層ポリマーシートが約4mm~約10mmの初期厚さを有する、請求項18に記載の出発材料。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッドを埋め込むことによって強化された粒子状材料の塊を含む、土壌構造物。
【請求項21】
請求項1~12のいずれか一項に記載の多層一体型ジオグリッドを粒子状材料の塊に埋め込むことを含む、粒子状材料の塊を強化する方法。
【請求項22】
多層一体型ジオグリッドを製造する方法であって、
それぞれポリマー材料の複数の層を有する多層ポリマーシートを提供する工程であって、前記複数の層のうちの少なくとも第1の外層および第2の外層が、前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の外層および前記第2の外層に多孔質構造を形成することができる拡張構造を有する前記工程;
前記多層ポリマーシートにパターン化された複数の穴部または凹部を設ける工程;および
前記パターン化された複数の穴部または凹部を有する多層ポリマーシートを二軸配向して、部分的に配向した接合部によって相互に連結された複数の配向性ストランドを提供し、前記穴部または凹部をグリッド開口として構成する工程
を含み、
前記第1の外層および第2の外層が多孔質構造を有する、前記方法。
【請求項23】
前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が発泡構造を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記多層一体型ジオグリッドの前記第1の多孔質外層および前記第2の多孔質外層が粒子状充填剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記多層ポリマーシートを提供する工程が共押出である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記多層ポリマーシートを提供する工程が積層である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記多層一体型ジオグリッドが、前記第1の多孔質外層、非多孔質内層、および前記第2の多孔質外層を含み、前記第1の多孔質外層と前記第2の多孔質外層とが、前記非多孔質内層の反対側の平面上に配置される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の多孔質外層が広範な仕様のポリマーの構成材料を有し、前記非多孔質内層が高分子量ポリオレフィンの構成材料を有し、かつ前記第2の多孔質外層が広範な仕様のポリマーの構成材料を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記多層ポリマーシートが少なくとも2mmの初期厚さを有する、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記多層一体ジオグリッドが、三軸一体型ジオグリッド、長方形一体型ジオグリッドまたは六角形一体型ジオグリッドである、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
粒子状材料の塊を延伸する方法であって、
多孔質構造を有する少なくとも第1の外層および第2の外層を有する多層一体型ジオグリッドを提供する工程であって、前記多孔質構造を有する
第1の外層および第2の外層、およびその中にパターン化された複数の穴部または凹部を有する多層ポリマーシートである出発材料を二軸延伸して、
前記多孔質構造を有する
第1の外層および第2の外層を有し、複数の配向性ストランド、複数の部分的に配向した接合部、および複数のグリッド開口部を有する多層一体型ジオグリッドを提供する
ことを含む、前記提供する工程;および
前記一体型ジオグリッドを粒子状材料の塊に埋め込む工程
を含む、前記方法。
【請求項32】
内部に一連の開口部を有する外部の六角形の繰り返しパターンを形成する、相互に連結された複数の第1の配向性ストランドおよび部分的に配向した複数の接合部を含む多層一体型ジオグリッドであって、
前記外部の六角形のそれぞれから内部へ延び、前記外部の六角形のそれぞれの内側で、中空の第2の配向しストランドおよび三重ノードを有する小さな内部の六角形を支持する支持リブであって、前記三重ノードのそれぞれが前記支持リブの1つと、前記内部の六角形の2つの配向性ストランドとを相互に連結する支持リブ、
前記外部の六角形の前記第1の配向性ストランドおよび前記部分的に配向した複数の接合部が、前記多層一体型ジオグリッドの全体にわたり連続的に延びる複数の線形ストランドを形成し、
前記一体型ジオグリッドが、それぞれ該ジオグリッドの全体にわたって延びるポリマー材料の複数の層を有し、かつ
前記複数の層の少なくとも1つの層が多孔質構造を有する、
前記多層一体型ジオグリッド。
【国際調査報告】