(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】自動車両用の障害物回避システムを作動させるための方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546259
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022051699
(87)【国際公開番号】W WO2022175034
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ, ジェオフレ
(72)【発明者】
【氏名】コステ, クレメント
(72)【発明者】
【氏名】ド, アン-ラン
(72)【発明者】
【氏名】フィリペ, アンリ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】レヒム, マロワン
(72)【発明者】
【氏名】グエン, ホア デュック
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
本発明は、障害物回避システム(10)をトリガする方法であって、潜在的な障害物を形成する少なくとも1つの物体(C1)を検出するステップと、自動車両が物体にぶつかるまでに残っている時間を決定するステップと、物体を回避するために行われる進路逸脱(E
left、E
right)を決定するステップと、パラメータの値およびそれぞれの進路逸脱の値に従って回避システムを作動させるステップと、を含む、方法に関する。本発明によると、決定するステップは、自動車両における道路に従って配向された基準系における道路に対する自動車両の横速度と、物体における道路に従って配向された基準系における道路に対する物体の横速度との間の差異を計算することと、差異に従ってそれぞれの進路逸脱を決定することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走る自動車両(10)用の障害物回避システム(AES)をトリガする方法であって、
前記自動車両(10)の周囲にある少なくとも1つの物体(C1、C2)を検出し、それぞれの検出された物体(C1、C2)に関するデータを取得するステップと、
前記少なくとも1つの物体(C1、C2)について、取得した前記データに応じて、前記自動車両が前記物体(C1、C2)にぶつかり得るまでに残っている時間に関するパラメータ(TTC)を決定するステップと、
前記少なくとも1つの物体(C1、C2)を回避するために行われる少なくとも1つの進路逸脱(E
left、E
right)を決定するステップと、
前記パラメータ(TTC)の値、およびそれぞれの進路逸脱(E
left、E
right)の値に従って、前記少なくとも1つの物体(C1、C2)を回避するために前記障害物回避システム(AES)を作動させるステップと、を含み、
少なくとも1つの進路逸脱(E
left、E
right)を決定する前記ステップは、
一方での、前記自動車両(10)における前記道路の接線に従って配向された第1の基準系(X
LineEgo、Y
LineEgo)における前記道路に対する前記自動車両(10)の横速度(Vy
Ego/LineEgo)と、他方での、前記物体(C1、C2)における前記道路の接線に従って配向された第2の基準系(X
LineObj、Y
LineObj)における前記道路に対する前記物体(C1、C2)の前記横速度(Vy
Obj/LineObj)との間の偏差に応じて、相対横速度(VRelRoute
Lat)を計算することと、
前記相対横速度(VRelRoute
Lat)に応じてそれぞれの進路逸脱(E
left、E
right)を決定することとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記進路逸脱(E
left、E
right)はまた、前記パラメータ(TTC)に応じて、且つ、前記物体(C1、C2)の速度ベクトルと前記物体(C1、C2)における前記道路の前記接線との間に形成される角度(Angle
Obj/LineObj)に応じて、決定される、請求項1に記載のトリガする方法。
【請求項3】
前記パラメータ(TTC)を決定する前記ステップは、
前記自動車両(10)と前記物体(C1、C2)との間の円弧距離(L
AB)を計算することと、
一方での、前記第1の基準系(X
LineEgo、Y
LineEgo)における前記道路に対する前記自動車両(10)の縦速度(Vx
Ego/LineEgo)と、他方での、前記第2の基準系(X
LineObj、Y
LineObj)における前記道路に対する前記物体(C1、C2)の縦速度(Vx
Obj/LineObj)との間の偏差に応じて相対縦速度(VRelRoute
Long)を計算することと、
一方での、前記第1の基準系(X
LineEgo、Y
LineEgo)における前記道路に対する前記自動車両(10)の縦加速度(Ax
Ego/LineEgo)と、他方での、前記第2の基準系(X
LineObj、Y
LineObj)における前記道路に対する前記物体(C1、C2)の縦加速度(Ax
Obj/LineObj)との間の偏差に応じて相対縦加速度(ARelRoute
Long)を計算することと、
前記相対縦速度(VRelRoute
Long)、前記相対縦加速度(ARelRoute
Long)、および前記円弧距離(L
AB)に応じて、前記パラメータ(TTC)を決定することと、を含む、請求項1また2記載のトリガする方法。
【請求項4】
前記進路逸脱(E
left、E
right)に応じて前記物体(C1、C2)を回避するのに必要な操縦時間(TTS)を計算するステップが提供され、前記障害物回避システム(AES)の前記作動は前記操縦時間(TTS)に従って行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載のトリガする方法。
【請求項5】
前記操縦時間(TTS)および前記パラメータ(TTC)に応じて、総合安全において前記物体(C1、C2)を回避するのに残っている時間に対する臨界時間(Tcrit)を計算するステップが提供され、前記障害物回避システム(AES)の前記作動は前記臨界時間(Tcrit)に従って行われる、請求項4に記載のトリガする方法。
【請求項6】
前記障害物回避システム(AES)が、いくつかの物体(C1、C2)が検出されたときに前記自動車両(10)の運転者による介入なく前記回避を行うように、前記障害物回避システム(AES)を作動させるために、
それぞれの物体(C1、C2)について、前記物体(C1、C2)を左に回避する臨界時間(Tcrit)および前記物体(C1、C2)を右に回避する臨界時間(Tcrit)を計算することと、
それぞれの物体(C1、C2)について、2つの計算した前記臨界時間(Tcrit)のうちのより大きい臨界時間(Tcrit)を選択することと、その後、
選択された前記臨界時間の中から最も低い臨界時間(Tcrit)を選ぶことと、が具備され、
前記障害物回避システム(AES)の前記作動は選ばれた前記臨界時間(Tcrit)に従って行われる、請求項5に記載のトリガする方法。
【請求項7】
前記障害物回避システム(AES)が、いくつかの物体(C1、C2)が検出されたときにハンドルに対する前記自動車両(10)の前記運転者によるアクションを仮定して、前記回避を行うように、前記障害物回避システム(AES)を作動させるために、
それぞれの物体(C1、C2)について、前記物体(C1、C2)を左に回避する臨界時間(Tcrit)および前記物体(C1、C2)を右に回避する臨界時間(Tcrit)を計算することと、
左への回避を行うために計算した前記臨界時間(Tcrit)のうちのより小さい臨界時間(Tcrit)を選択することと、
右への回避を行うために計算した前記臨界時間(Tcrit)のうちの最も小さい臨界時間(Tcrit)を選択することと、が具備され、
前記障害物回避システム(AES)の前記作動は、前記自動車両(10)の前記運転者が回避を開始する瞬間に応じて、および2つの選択された前記臨界時間(Tcrit)のうちの1つ、すなわち、前記自動車両(10)の前記運転者が回避を開始する側での回避と関連付けられる前記臨界時間(Tcrit)に応じて行われる、請求項5に記載のトリガする方法。
【請求項8】
検出された物体(C1、C2)をフィルタ処理するステップであって、検出された物体(C1、C2)をフィルタ処理する前記ステップ中に、
それぞれの物体(C1、C2)とレーン分離線(NL、L、R、NR)との間の距離(Lane
DY)が決定され、
前記横相対速度(VRelRoute
Lat)が前記距離(Lane
DY)から推測される閾値を上回る前記物体(C1、C2)が選択される、検出された物体(C1、C2)をフィルタ処理するステップが提供され、
前記臨界時間(Tcrit)を計算する前記ステップは選択された前記物体に対してのみ実施される、請求項5から7のいずれか一項に記載のトリガする方法。
【請求項9】
検出された物体(C1、C2)をフィルタ処理するステップであって、検出された物体(C1、C2)をフィルタ処理する前記ステップ中に、
前記物体(C1、C2)の位置が道路の車線に対して決定され、
前記道路の車線上にあり、前記パラメータ(TTC)が所定の閾値を下回る前記物体(C1、C2)が選択される、検出された物体(C1、C2)をフィルタ処理するステップが提供され、
前記臨界時間(Tcrit)を計算する前記ステップは前記選択された物体に対してのみ実施される、請求項1から8のいずれか一項に記載のトリガする方法。
【請求項10】
少なくとも1つの駆動輪と、コンピュータ(C10)によって制御される作動装置によって操舵されるのに適しているそれぞれの駆動輪のための操舵システムと、を備える、自動車両(10)であって、前記コンピュータ(C10)は、請求項1から9のいずれか一項に記載のトリガする方法を実施するのに適していることを特徴とする、自動車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、自動車両による障害物の検出および回避に関する。
【0002】
本発明は、とりわけ有利には、自動車両の運転の援助という文脈において、適用可能である。
【0003】
本発明は、より詳細には、道路を走る自動車両用の障害物回避システムをトリガするための方法であって、
- 自動車両の周囲にある少なくとも1つの物体を検出し、それぞれの検出された物体に関するデータを取得するステップと、
- 上記の少なくとも1つの物体について、取得したデータに応じて、自動車両が上記の物体にぶつかり得るまでに残っている時間に関するパラメータを決定するステップと、
- 上記の少なくとも1つの物体を回避するために行われる少なくとも1つの進路逸脱を決定するステップと、
- 上記のパラメータの値、および上記の少なくとも1つの物体と関連付けられたそれぞれの進路逸脱の値に応じて、上記の少なくとも1つの物体を回避するために障害物回避システムを作動させるステップと、を含む方法に関する。
【0004】
本発明は、この方法を実施するのに適したコンピュータを備えた自動車両にも関する。
【背景技術】
【0005】
現状技術
自動車両を安全なものにするために、後者は現在、運転支援システムまたは自律運転システムを備えている。
【0006】
これらのシステムの中で、とりわけ知られているシステムは、自動車両の従来のブレーキシステムにただ作用することによって、該車両が取ったレーンにある障害物とのいずれの衝突も回避するように設計される自動非常ブレーキシステム(略語のAEBの方が知られている)である。
【0007】
しかしながら、これらの非常ブレーキシステムが(例えば、別の車両が該自動車両のあまりにもすぐ後ろに続いている場合)衝突を回避することを可能にしない、または使用不可能である状況がある。
【0008】
これらの状況について、車両の操舵に作用することによって、車両がその進路から逸れるようにすることによって障害物を回避することを可能にする自動回避システム(「高度回避操舵」または「自動非常操舵」を表す略語AESの方がよく知られている)が開発されている。
【0009】
このAFS機能を効果的にするために、最適な回避進路の計算に関係している自動車両の周囲のその部分を確実に検出することが必要である。
【0010】
より具体的には、車両のセンサによって感知される周囲において、検出された要素のAES機能の意味の範囲内で関連性を判定するために情報の分類を行うことは、必須である。
【0011】
この目的に向けて一般的に使用される1つのパラメータは、衝突余裕時間(TTC)と呼ばれる。
【0012】
第2のパラメータは、検出された物体にぶつかることなくこの物体の脇に移るために行われる逸脱によって形成される。
【0013】
これらのパラメータの評価は、一般的に、仮説の簡略化を使用することによって(例えば、障害物が直線において移動していると想定することによって)行われ、これは検出不良をもたらし、それによって、AFS機能はタイミング良くトリガされなくなる。
【発明の概要】
【0014】
この欠点を改善するために、本発明は、導入部で定義されたような方法であって、横逸脱を決定するステップは:
- 一方での、自動車両における道路の接線に従って配向された基準系における道路に対する自動車両の横速度と、他方での、上記の物体における道路の接線に従って配向された基準系における道路に対する物体の横速度との間の偏差に応じて、相対横速度を計算することと、
- 相対横速度に応じてそれぞれの進路逸脱を決定することと、を含む方法を提案するものである。
【0015】
相対横速度は、ここでは、2つの項の間の逸脱に応じて定義される。この相対横速度は、実際には、取られる道路に対して、自動車両と物体との間の相対横速度成分である。「取られる道路に対して」という表現は、2つの項が2つの別個の基準系において計算されることを意味する。
【0016】
よって、本発明により、横逸脱の決定は、道路の曲率、車両の進行方向、および検出された物体の進行方向を考慮に入れることによって行われる。道路が非常に湾曲しており、自動車両および検出された物体が別個の車線での道路の湾曲部をたどる場合、ある事例では、物体が自動車両の軸線に位置することになっても、計算された横逸脱が重大であることは、実際に理解されていることである。
【0017】
従って、本発明は、危険な状況の誤った検出を回避すること可能にする。本発明はまた、本当に危険な状況をかなり前もって検出することを可能にする。
【0018】
個々に、または全ての技術的に可能な組み合わせに従って得られる、本発明による方法のその他の利点および非限定的な特徴は、以下になる。
- 上記の進路逸脱は、また、上記のパラメータに応じて、および/または、物体の速度ベクトルと上記の物体における道路の接線との間に形成される角度に応じて、決定される。
- 上記のパラメータを決定するステップは、自動車両と上記の物体との間の円弧距離を計算することと、一方での、第1の基準系における道路に対する自動車両の縦速度と、他方での、第2の基準系における道路に対する物体の縦速度との間の偏差に応じて相対縦速度を計算することと、一方での、第1の基準系における道路に対する自動車両の縦加速度と、他方での、第2の基準系における道路に対する物体の縦加速度との間の偏差に応じて相対縦加速度を計算することと、相対縦速度、相対縦加速度、および円弧距離に応じて、上記のパラメータを決定することと、を含む。
- 上記の進路逸脱に応じて上記の物体を回避するのに必要な操縦時間を計算するステップが提供され、障害物回避システムを作動させることは上記の操縦時間に従って行われる。
- 操縦時間および上記のパラメータに応じて、総合安全において上記の物体を回避するのに残っている時間に対する臨界時間を計算するステップが提供され、障害物回避システムの作動は上記の臨界時間に従って行われる。
- 障害物回避システムが、いくつかの物体が検出されたときに自動車両の運転者による介入なく回避を行うように、障害物回避システムを作動させるために、それぞれの物体について、上記の物体を左に回避する臨界時間および上記の物体を右に回避する臨界時間を計算することと、それぞれの物体について、2つの計算した臨界時間のうちのより大きい臨界時間を選択することと、その後、選択された臨界時間の中から最も低い臨界時間を選ぶことと、が具備され、障害物回避システムの作動は上記の選ばれた臨界時間に従って行われる。
- 障害物回避システムが、いくつかの物体が検出されたときにハンドルに対する自動車両の運転者によるアクションを仮定して、回避を行うように、障害物回避システムを作動させるために、それぞれの物体について、上記の物体を左に回避する臨界時間および上記の物体を右に回避する臨界時間を計算することと、左への回避を行うために計算した臨界時間のうちの最も小さい臨界時間を選択することと、右への回避を行うために計算した臨界時間のうちの最も小さい臨界時間を選択することと、が具備され、障害物回避システムの作動は、自動車両の運転者が回避を開始する瞬間に応じて、および2つの選択された臨界時間のうちの1つ、すなわち、自動車両の運転者が回避を開始する側での回避と関連付けられる臨界時間に応じて行われる。
- 検出された物体をフィルタ処理するステップであって、検出された物体をフィルタ処理するステップ中に、それぞれの物体とレーン分離線との間の距離が決定され、横相対速度が上記の距離から推測される閾値を上回る物体が選択される、検出された物体をフィルタ処理するステップが提供され、臨界時間を計算するステップは選択された物体に対してのみ実施される。
- 検出された物体をフィルタ処理するステップであって、検出された物体をフィルタ処理するステップ中に、物体の位置が道路の車線に対して決定され、道路の車線上にありパラメータが所定の閾値を下回る物体が選択される、検出された物体をフィルタ処理するステップが提供され、臨界時間を計算するステップは選択された物体に対してのみ実施される。
- それぞれの物体とレーン分離線との間の距離を決定するために、それぞれのループ上で次第に短くなっていく区間でレーン分離線をメッシングすることと、物体と、レーン分離線のそれぞれのメッシュとの間の距離を計算することと、物体に最も近いメッシュを決定することと、該区間をこのメッシュの中心にもう一度置くこととを伴うループ反復プロセスが使用される。
【0019】
本発明はまた、少なくとも1つの駆動輪と、コンピュータによって制御される作動装置によって操舵されるのに適しているそれぞれの駆動輪のための操舵システムとを備える自動車両であって、コンピュータは上記のようなトリガする方法を実施するのに適している、自動車両に関する。
【0020】
明らかに、本発明の異なる特徴、変形、および実施形態は、それらが互換性がないまたは互いに排他的でない限り、さまざまな組み合わせに従って互いに関連付け可能である。
【0021】
下記の説明によって、非限定的な例として挙げられる添付の図面を考慮して、本発明を構成するものおよび本発明を生じさせることができるやり方に関してよく理解できるであろう。
【0022】
下記のような図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による自動車両、および2つの別個の車線上を走行する2台の目標車の概略図である。
【
図2】
図1の自動車両、および2台の目標車のうちの1台の概略図である。
【
図3】目標車のうちの1台の位置を決定するプロセスの第2のステップを示す、
図2に示されるものと同様の図である。
【
図4】本発明の文脈において使用される4つの基準系を示す、
図2に示されるものと同様の図である。
【
図6】
図1の目標車のうちの1台、およびこの車線の概略図である。
【
図7】本発明による自動車両、および近接して走行している3台の車を伴う構成の一例の概略図である。
【
図8】本発明による自動車両、および近接して走行している3台の車を伴う構成の別の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、自動車両10に対する潜在的な障害物を形成する2つの「物体」がある道路上を走る自動車両10を表す。ここで、これら2つの物体は車C1、C2によって形成される。変形として、これらは他のタイプの物体(歩行者、サイクリストなど)とすることができる。対象の物体は好ましくは移動している。
【0025】
以下、本明細書において、自動車両10は、本発明を実施するものとなり、「EGO車両10」と呼ばれることになる。
【0026】
EGO車両10は、従来、車室の境界を定めるシャシーと、少なくとも2つが駆動輪である車輪と、パワートレインと、ブレーキシステムと、駆動輪の向きに作用することを可能にする従来の操舵システムとを備える。
【0027】
対象の例では、操舵システムは、ハンドルの向きに応じて、および/または、場合によっては、コンピュータC10によって発行される設定値に応じて、駆動輪の向きに作用することを可能にする操舵支援作動装置によって制御される。
【0028】
コンピュータC10は、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのメモリと、異なる入力インターフェースおよび出力インターフェースとを備える。
【0029】
この入力インターフェースにより、コンピュータC10は、異なるセンサから発信される入力信号を受信することができる。
【0030】
例えば提供されるそのようなセンサは、
- EGO車両のこの車線に対する位置を登録することを可能にする前面搭載カメラなどのデバイスと、
- EGO車両10の進路に位置する障害物を検出することを可能にするレーダまたはライダ遠隔検出器などのデバイスと、
- EGO車両側の周囲を観測することを可能にするレーダまたはライダ遠隔検出器などの少なくとも1つの横型デバイスと、
を含む。
【0031】
よって、コンピュータC10は、EGO車両10の周囲に存在する物体に関するデータをいくつかのセンサから受信する。従来、データは、それぞれの物体に関する信頼できるマージデータを提供するように一緒に組み合わせられる。
【0032】
この出力インターフェースにより、コンピュータC10は、操舵支援作動装置に設定値を送信するのに適している。
【0033】
よって、車両が、運転条件によって正当性が示される場合、障害物回避進路を最適にたどることを確実にすることを可能にする。
【0034】
このメモリにより、コンピュータC10は、後述される方法の文脈において使用されるデータを記憶する。
【0035】
該メモリは、とりわけ、プロセッサによって実行されると、コンピュータが以下に説明される方法を実施できるようにする命令を含むコンピュータプログラムで構成されるコンピュータアプリケーションを記憶する。
【0036】
これらのプログラムはとりわけ、障害物回避軌道を計算するように、およびEGO車両10がこの進路をたどるように制御するように、またはEGO車両10がこの進路をたどるようにEGO車両10を制御する際に運転者を支援するように設計される「AESシステム」を含む。AESシステムは、運転者の支援なく進路をたどる自律モードと、障害物を回避する際にAESシステムが運転者を支援し、運転者が操縦を自由に行えるままである手動モードとを有する。このAESシステムは当業者にはよく知られているため、ここでは詳細に説明しない。
【0037】
コンピュータプログラムはまた、(EGO車両の進路および該車両の周囲に存在する物体を仮定すると)AESシステムを作動させなければならないかどうかを決定し、これを作動させる最良の瞬間を待機することを可能にするAESシステム作動ソフトウェアを含む。この作動ソフトウェアは、ここでは、本発明の主題をより具体的に形成するものである。
【0038】
このソフトウェアは、EGO車両10が動くとすぐにアクティブになる。
【0039】
該ソフトウェアは規則的な時間ステップでループ状に実施される。
【0040】
該プログラムは、EGO車両10およびその周囲に関するデータの取得の予備ステップと、その後の9つの主ステップとを含む。これらの連続するステップはさらにまた、1つずつ記載され得る。
【0041】
予備ステップの間、コンピュータC10は、EGO車両10の前面搭載カメラによって取得された少なくとも1つの画像を受信する。コンピュータC10はまた、遠隔検出器からデータを受信する。これらの画像およびデータは次いでマージされる。
【0042】
この段階では、コンピュータC10は、従って、EGO車両10の正面にある道路の画像、および、とりわけ、EGO車両10の周囲において検出され、EGO車両10の周囲にあるそれぞれの物体を特徴付けるマージデータを有する。この周囲は、ここでは、EGO車両の周りにある地帯とみなされ、車両のセンサはデータを取得するように設計される。
【0043】
図1の例では、EGO車両は、中央車線V
C、または2つの他の車線V
R、V
Lがあるどちらかの側を走っている。
【0044】
コンピュータC10はさらにまた、これらの車線VC、VR、VLの分離線NL、L、R、NRの位置および形状を決定しようする。
【0045】
そのために、ここでは、これらの線のそれぞれは、多項式形の等式によってモデル化される。ここで、選定された多項式は三次であり、それによって、以下のように書き込むことが可能である:
[数1]
yLine=d.x3+c.x2+b.x+a
【0046】
この等式では、
- 項yLineは、対象のレーン分離線の横座標を表し、
- 項xは、この線の縦座標を表し、
- 項a、b、c、およびdは、EGO車両の前面搭載カメラによって見られる線の形状に応じて決定された(または、EGO車両が移動している場所の詳細なマッピングを含むナビゲーションシステムにおいてコンピュータC10によって取得された)多項式の係数である。
【0047】
実際には、これらの項は、データのマージによって供給される。これらによって、可視化条件が良好である時におよそ100メートルくらいの距離までレーン分離線の形状をモデル化することが可能である。
【0048】
この段階では、以下、この説明において、「縦」とみなされる用語は、対象の基準系の横軸上のベクトルの成分に対応することになり、「横」とみなされる用語は、対象の基準系(ここでは常に正規直交であるとみなされる基準系)の縦軸によるベクトルの成分に対応することになることに留意されたい。
【0049】
等式[数1]は、ここでは、EGO車両10に属し、
図1に表される基準系(X
EGO、Y
EGO)で示される。この基準系は、その横軸がEGO車両10の縦軸上で延在するように配向される。該基準系は、EGO車両10の正面のレーダの中心に置かれる。
【0050】
変形として、レーン分離線の幾何学的形状の他のより単純なまたはより複雑なモデリングが使用可能である。
【0051】
係数a、b、c、dがそれぞれのレーン分離線に対して決定されると、コンピュータC10は、必要に応じて、障害物回避システムAESをトリガするために、検出された物体がEGO車両にとってどれだけ危険であるかを感知することが可能になる方法の9つのステップを実施することができる。
【0052】
第1のステップは、EGO車両を対象の物体(車C1、C2のうちの1つ)から分離する距離を決定することにある。
【0053】
ここで計算される距離はユークリッド距離ではない。実際は、この目標は、EGO車両10および物体がぶつかり合わないうちに走行しなければならない距離を決定するために道路の形状を考慮に入れることである。
【0054】
コンピュータC10は、従って、ここでは、円弧距離LABを計算する。
【0055】
そのために、例えば、文献の仏国特許出願公開第3077547号に詳述されるように、コンピュータは以下の等式を使用することができる。
[数2]
【0056】
ここで、
- LABは、(EGO車両の位置および対象の物体の位置に対応する)2つの点AとBとの間の円弧の距離であり、
- xAは、(レーダにおける)EGO車両の縦位置であり、
- xBは、基準系(XEGO、YEGO)における対象の物体の縦位置である。
【0057】
第2のステップは、それぞれのレーン分離線およびマージデータの等式を仮定して、道路の車線に対するそれぞれの検出された物体の位置を決定することにある。
【0058】
コンピュータC10では、それぞれの検出された物体の特性点(以降「アンカーポイント」)の、EGO車両に属する基準系(XEGO、YEGO)における座標を認識している。この特性点は、典型的には、前面搭載カメラによって、またはレーダ遠隔検出器によって見られる物体の中心である。ここでは、この特性点は、車C1、C2のグリルの中間であるとみなされることになる。
【0059】
2つの物体(2台の車C1、C2)が検出された
図1の例では、アンカーポイントの座標としてそれぞれ、(X_rel1、Y_rel1)および(Xrel2、Y_Rel2)が参照される。
【0060】
この
図1では、基準系(X
EGO、Y
EGO)の縦軸上にはまた、以下の値が表されている。
- 横座標値X_rel1におけるレーン分離線NLについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_NL_1
- 横座標値X_rel2におけるレーン分離線NLについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_NL_2
- 横座標値X_rel1におけるレーン分離線Lについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_L_1
- 横座標値X_rel2におけるレーン分離線Lについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_L_2
- 横座標値X_rel1におけるレーン分離線Rについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_R_1
- 横座標値X_rel2におけるレーン分離線Rについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_R_2
- 横座標値X_rel1におけるレーン分離線NRについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_NR_1
- 横座標値X_rel2におけるレーン分離線NRについての等式[数1]の項yLineの値であるY_road_NR_2
【0061】
さらにまた、これらの値を車C1、C2の横座標Y_rel1、Y_rel2と比較することによって、これら2台の車のそれぞれが位置する車線を決定することが可能である。
【0062】
例として、車C1の横座標Y_rel1はここでは、値Y_road_R_1とY_road_L_1との間にあり、これは、この車がレーン分離線LとRとの間に位置することを意味する。
【0063】
この段階において、コンピュータC10では、よって、それぞれの検出された物体が位置する車線VL、VC、VRを認識することができる。
【0064】
第3のステップは、レーン分離線に対するそれぞれの物体の運動学を特徴付けるパラメータを決定することを目的とする。
【0065】
以下、このステップの説明では、説明を明確にするために、これらの物体のうちの1つ(車C1)のみに関心を集中させる。
【0066】
このステップは、コンピュータC10が、レーン分離線のうちの1つに対する物体の位置を決定する第1のサブステップを含む。対象のレーン分離線は、中央車線を対象の物体が位置する車線から分離することを優先するものである。
【0067】
変形として、対象のレーン分離線は、別の線、例えば、とりわけ、物体の車線とEGO車両10の車線との間で検出される線がない場合は、レーン境界線(
図2および
図3を参照)とすることができる。
【0068】
このレーン分離線の区間を有限個Nの点に離散化した後、対象の物体に最も近い点を選択するという考えがある。毎回低減され選択された点のいずれかの側にある区間でレーン分離線を再離散化することによってこの動作を数回行うことで、最終的に、対象の物体に最も近い車線の点の良好な推定が見出される。
【0069】
実際には、
図2が示すように、コンピュータは、レーン分離線RをEGO車両10の基準系における座標(X
i、Y
i)のN個の点に離散化することによって開始する。これらの点は、この線に沿って規則的に分散され(実際には、軸X
EGOに沿った2つの連続した点の間の区間は常に同じである)、点のうちの最初の点は、EGO車両と(ゼロ横軸と)同じ高さに、またはそれらの点から第1の所定の距離分離れたところにあり、点のうちの最後の点は、EGO車両から第2の所定の距離分離れたところにある。
【0070】
さらにまた、車C1のアンカーポイントのここに示される座標(X
rel;Y
rel)を認識していることで、コンピュータは、それによって、以下の等式を使用して、レーン分離線Rのそれぞれの離散点と、車C1のアンカーポイントとの間のユークリッド距離Bird
Distanceを推測することができる。
[数3]
【0071】
ユークリッド距離BirdDistanceが最も小さい離散点は、車C1に最も近い離散点である。従って、座標(XS、YS)のこの点が選択される。
【0072】
さらにまた、
図3が示すように、この離散化演算は、より小さい区間でより微細な離散化によって繰り返される。区間の境界は、好ましくは、座標の点(X
S-1、Y
S-1)および(X
S+1、Y
S+1)によって形成される。離散点の数は好ましくは、さらにまたNに等しい。その上、この新たな演算によって、新たな座標の点(X
S、Y
S)を選択することが可能である。
【0073】
ある特定の数(例えば、10)のループの後に、または2つの離散点の間の区間が十分小さい(例えば、10cm未満)時、コンピュータはこれらのループ演算の繰り返しを停止する。
【0074】
選択されている最後の点は、「投影点F」と呼ばれる。これは、車C1にもっと近い分離線の点の良好な近似であるとみなされる。
【0075】
この点の横軸XSの値はDistanceXprojと呼ばれる。
【0076】
投影点Fと車C1との間のユークリッド距離BirdDistanceの値は、DistTarget2Laneと呼ばれる。
【0077】
第2のサブステップは、コンピュータC10が、道路に属し、このEGO車両10と同じ高さにある基準系におけるEGO車両の速度、および、道路に属し、車C1と同じ高さにある基準系におけるその車C1の速度を決定することにある。
【0078】
このサブステップでは、投影点Fから、道路がこの時点では接線をたどることによる仮説が立てられることになる。従って、この道路は車C1からまっすぐであるとみなされる。
【0079】
計算をよく理解してもらうために、
図4は、この説明において以下に使用される4つの基準系を示す。
【0080】
第1の基準系は、EGO車両に属する、既に提示した基準系(XEGO、YEGO)である。
【0081】
この基準系がEGO車両10と同時に進むことは、留意されたい。従って、測定の時点で、第1の基準系と一致するが調整されているとみなされる、絶対基準系(Xabs、Yabs)も表される。
【0082】
別の基準系は(XlineEGO、YlineEGO)と示され、これは、レーン分離線Rに属し、この横軸がこの線に対して接線方向であるように配向され、EGO車両のレーダの中心に置かれる(このレーダの横軸は第2の基準系においてゼロである)。
【0083】
さらに別の基準系は(XObj、YObj)と示され、これは、車C1に属し、この横軸が車C1の進行方向と整合されるように配向され、この車C1のアンカーポイントの中心に置かれる。
【0084】
最後の基準系は(XLineObj、YLineObj)と示され、これは、レーン分離線Rに属し、この横軸がこの線に対して接線方向であるように配向され、車C1のアンカーポイントの中心に置かれる。
【0085】
図5において、これらの基準系を分離する角度が表されている。
- Angle
lineEGO/EGOは、基準系(X
EGO、Y
EGO)から基準系(X
lineEGO、Y
lineEGO)に切り替えることを可能にする。
- Angle
lineObj/EGOは、基準系(X
EGO、Y
EGO)から基準系(X
LineObj、Y
LineObj)に切り替えることを可能にする。
- Angle
Obj/EGOは、基準系(X
EGO、Y
EGO)から基準系(X
Obj、Y
Obj)に切り替えることを可能にする。
- Angle
Obj/LineObjは、基準系(X
LineObj、Y
LineObj)から基準系(X
Obj、Y
Obj)に切り替えることを可能にする。
【0086】
項AngleLineX/EGOは、(基準系(XEGO、YEGO)に示される)横点Xにおいて、基準系(XEGO、YEGO)の横軸、およびレーン分離線Rに対する接線を分離する角度を示すためにより一般的に使用されることになる。
【0087】
さらにまた、以下のように書き込むことが可能である。
[数4]
AngleLineX/Ego=arctan(d(yLine(x))/dx)
【0088】
【0089】
さらにまた、x=0とすると、以下のように書き込むことが可能である。
[数6]
AngleLineX/Ego=AngleLineEgo/Ego=arctan(b)
【0090】
横点x=DistanceXprojでは、以下のように書き込むことが可能である。
[数7]
AngleObj/LineObj=AngleObj/Ego-AngleLineObj/Ego
【0091】
コンピュータでは、以下の式によって基準系(XLineEGO、YLineEGO)におけるEGO車両10の速度の縦成分VxEGO/LineEgOおよび横成分VyEGO/LineEGOを計算することができる。
[数8]
VxEgo/LineEgo=VEgo/abs*cos(AngleVEgo/Ego-AngleLineEgo/Ego)
[数9]
VyEgo/LineEgo=VEgo/abs*sin(AngleVEgo/Ego-AngleLineEgo/Ego)
【0092】
これらの式において、
- VEGO/absは、例えば、車両の車軸にあるセンサによって測定された絶対基準系(Xabs、Yabs)におけるEGO車両10の速度であり、
- AngleVEgo/Egoは、基準系(XEGO、YEGO)の横軸に対するEGO車両10の速度ベクトルの角度である。この角度はここではゼロと想定される。
【0093】
コンピュータはまた、絶対基準系における車C1の速度Vobj/absの縦成分VxObj/absおよび横成分VyObj/absを計算することができる。そのために、以下の式を使用する。
[数10]
VxObj/abs=VxObj/Ego+VxEgo/abs
[数11]
VyObj/abs=Vyobj/Ego+VyEgo/abs
【0094】
これらの式では、
- VxEGO/absおよびVyEGO/absは、絶対基準系(Xabs、Yabs)の横軸および縦軸に沿ったEGO車両10の速度の成分であり、
- VxObj/EGOおよびVyObj/EGOは、基準系(XEGO、YEGO)の横軸および縦軸に沿ったEGO車両10に対する車C1の速度の成分である。
【0095】
さらにまた、以下のように書き込むことが可能である。
[数12]
【0096】
下記の2つの等式が示すように、角度AngleLineObj/EgoおよびAngleLineEgo/Egoにより、車C1の「レーン分離線Rをたどる」、投影点Fにおけるこの線に対する相対速度の成分VxObj/lineObj、VyObj/lineObjを決定することが可能であり、これによって情報をよりよく表すことが可能になる。
[数13]
Vxobj/LineObj=VObj/abs*cos(AngleVObj/Obj+AngleObj/Ego-AngleLineObj/Ego)
[数14]
VyObj/LineObj=Vobj/abs*sin(AngleVObj/Obj+AngleObj/Ego-AngleLineObj/Ego)
【0097】
これら2つの等式では、AngleVObj/Objは、車C1の、その車に属する基準系における速度ベクトルの角度であり、AngleObj/Egoは、基準系(XEGO、YEGO)における車のヨー角である。
【0098】
実際には、ここでは、物体の速度ベクトルがそのヨー角と同一直線上にあることで、角度AngleVObj/Objがゼロであることが想定される。
【0099】
EGO車両とゼロの横点におけるレーン分離線Rとの間の、および車C1と投影点Fにおけるレーン分離線Rとの間の、「レーン分離線Rをたどる」相対加速度を決定するために、同様のプロセスが適用される。
【0100】
よって、コンピュータは、以下の式によって、基準系(XLineEGO、YLineEGO)におけるEGO車両10の加速度の縦成分AxEGO/LineEGOおよび横成分AyEGO/LineEGOを計算することができる。
[数15]
AxEgo/LineEgo=AEgo/abs*cos(AngleVEgo/Ego-AngleLineEgo/Ego)
[数16]
AyEgo/LineEgo=AEgo/abs*sin(AngleVEgo/Ego-AngleLineEgo/Ego)
【0101】
コンピュータはまた、以下の式によって、基準系(XLineObj、YLineObj)における車C1の加速度の縦成分AxObj/LineObjおよび横成分AyObj/LineObjを計算することができる。
[数17]
AxObj/LineObj=AObj/abs*cos(AngleVObj/Obj+AngleObj/Ego-AngleLineObj/Ego)
[数18]
AyObj/LineObj=AObj/abs*sin(AngleVObj/Obj+AngleObj/Ego-AngleLineObj/Ego)
【0102】
これらの式では、
- AEGO/absは、絶対基準系におけるEGO車両10の絶対加速度であり、
- AObj/absは、絶対基準系における車C1の絶対加速度である。
【0103】
計算された速度および計算された加速度は、次いで、以下に定義される4つの等式を使用して、取られる道路に対する、EGO車両および車C1の、相対速度および相対加速度の、縦成分VRelRouteLongi、ArelRouteLongi、および横成分VrelRouteLat、ArelRouteLatを得るために組み合わせ可能である。
【0104】
実際には、EGO車両と車C1との間の相対速度の縦成分VRelRouteLongiは、一方での、EGO車両における車線に属する基準系(XLineEGO、YLineEGO)において示されるEGO車両の速度の縦成分と、他方での、車C1における車線に属する基準系(XLineObj、YLineObj)において示される車C1の速度の縦成分との間の偏差に等しいとみなされる。
【0105】
同様に、EGO車両と車C1との間の相対速度の横成分VRelRouteLatは、一方での、EGO車両における車線に属する基準系(XLineEGO、YLineEGO)において示されるEGO車両の速度の横成分と、他方での、車C1における車線に属する基準系(XLineObj、YLineObj)において示される車C1の速度の横成分との間の偏差に等しいとみなされる。
【0106】
従って、以下のように書き込むことが可能である。
[数19]
VRelRouteLongi=VxObj/LineObj-VxEgo/LineEgo
[数20]
VRelRuteLat=VyObj/LineObj-VyEgo/LineEgo
【0107】
加速度の成分は、同様に計算可能である。
[数21]
ARelRouteLongi=AxObj/LineObj-AxEgo/LineEgo
[数22]
ARelRouteLat=AyObj/LineObj-AyEgo/LineEgo
【0108】
この説明において以下に詳細に明らかになるように、相対速度の使用によって、別の状況では得ることが困難と思われる衝突の危険性に関する指示を提供することが可能である。
【0109】
この段階において、コンピュータC10が、(投影点Fにおける)レーン分離線と車C1のアンカーポイントとの間の距離DistTarget2Laneの値を認識していることが想起され得る。
【0110】
第3のサブステップの間、コンピュータC10は、投影点Fと、レーン分離線Rに最も近い車C1の点P
proxとの間の距離Lane
DYを決定する(
図6を参照)。
【0111】
ここで、以下の等式によってこの距離を計算する。
[数23]
【0112】
この等式では、Widthという項は車C1の幅に対応する。
【0113】
計算の集合はさらにまた、第4のサブステップの間、対象の物体(車C1)との衝突余裕時間TTC、すなわち、車C1がその速度を維持する場合、EGO車両が車C1にぶつかるのに必要な時間を決定することを可能にする。
【0114】
実際は、この段階において、コンピュータでは、等式[数2]により、EGO車両10を車C1から分離する円弧の長さLABを認識している。コンピュータではまた、等式[数19]により、道路の形状に関する、EGO車両10と車C1との間の相対速度の縦成分VRelRouteLongiを認識している。最後に、コンピュータでは、等式[数21]により、対応する加速度の縦成分ARelRouteLongiを認識している。
【0115】
これらの縦成分の使用によって、道路が湾曲しており車両が平行な進路を取っていない時、衝突余裕時間TTCの良好な近似を得ることが可能になる。
【0116】
ここで、コンピュータC10は、次いで、以下の等式を使用して求められる衝突余裕時間TTCを決定する。
[数24]
【0117】
この等式の正当性の2つの条件が最初に検証されなければならないことは留意されたい。これらの条件は以下のようになる。
[数25]
【0118】
他方では、相対加速度の縦成分ARelRoute
Longiがゼロである場合、以下のように書き込むことが可能である。
[数26]
【0119】
要約すれば、この段階において、コンピュータは、マージデータの使用により、異なる物体がその周囲に位置することを特徴付け、多くの潜在的な障害物がこの進路に位置するような利用可能な異なるパラメータを有し、とりわけ、それぞれの物体について、
- 衝突余裕時間TTC(等式[数24])、
- (ステップ2の間に決定される)道路上の物体の位置、および
- (データマージステップで供給される)物体の存在を確認する情報
が利用可能である。
【0120】
さらにまた、第4のステップでは、コンピュータC10は、AES機能の実施に関係しているもの(すなわち、潜在的な障害物を形成するもの)のみを検討するために利用可能であるパラメータに応じて、異なる検出された物体の第1のフィルタ処理を行う。
【0121】
フィルタ処理動作は、よって、関係のある物体(以下、「ターゲット」と呼ばれる)はその存在がデータのマージにおいて有効であり、その位置が潜在的に危険であり(この例では、それは要するに、物体が車線のうちの1つに位置することを検証することになる)、その衝突余裕時間TTCが所定の閾値を下回るとみなされることにある。
【0122】
いくつかのターゲットが同じ車線上で検出される場合、制限された数(例えば、4の)ターゲット、すなわち、EGO車両10までの距離が最も小さいターゲットを検討することも可能である。
【0123】
第5のステップは、コンピュータC10が、これらのターゲットのそれぞれに対して、後者が道路に対してその進路を維持した場合、このターゲットを右および左に回避することが必要である逸脱(または「重複」)を特定することにある。
【0124】
図7において、逸脱が以下の表で定義されている3つのターゲットの一例が表されている。
[表1]
【0125】
これらの右逸脱E
leftおよび左逸脱E
rightの決定は、EGO車両10の進路およびマージデータを仮定して行われる。
図7には、それぞれのターゲットが、EGO車両10が進入を望まない、ターゲットより大きい安全地帯に対応し得る長方形で同類として一まとめにされていることが分かる。
【0126】
図7の例は、EGO車両およびターゲットが直線で移動している場合に対応する。
【0127】
道路がまっすぐではない場合、以下の情報:
- 取られる道路に沿った、EGO車両と対象のターゲットとの間の相対速度の横成分VRelRouteLat(等式[数20])、
- 角度AngleObj/LineObj、および
- 衝突余裕時間TTC
を考慮に入れることによって、計算を改良することが提案される。
【0128】
これらのうちの最初の情報によって、車線の形状を仮定すると、EGO車両とターゲットとの間の実際の横速度を考慮に入れることが可能になる。
【0129】
このパラメータの利益をよく理解してもらうために、相対する方向に、EGO車両およびターゲットが2つの別個の車線上を走行しながら、これら2つの車線の曲率を十分に保つ一例が検討可能である。さらにまた、理論上、事故の危険性がゼロであることは理解されたい。この例では、ターゲットに対するEGO車両の相対速度の横成分VRelRouteLatがゼロになることで、計算される逸脱がゼロになり、これによって理論的にゼロの衝突の危険性という考えが明確に示される。
【0130】
換言すれば、横成分VRelRouteLatおよび衝突余裕時間TTCは、右逸脱Erightおよび左逸脱Eleftの計算に関する相対的な横速度および縦速度の影響に重点を置くことを可能にする。
【0131】
同様に、AngleObj/LineObj情報によって、車両の長さおよび幅に重きを置くことによって、対象のターゲットの衝突面のより精確な値を決定することが可能になる。
【0132】
これらの右逸脱Erightおよび左逸脱Eleftの計算は、ここでは、文献の仏国特許出願公開第1907351号において説明されるのと同様のやり方で行われるが、これらの計算によって、上記の3つのタイプの情報を考慮に入れることができることは除く。
【0133】
よって、ターゲットの半値幅の計算は、AngleObj/LineObj情報に応じて行われることになる。この半値幅は次いで、それぞれの逸脱に対する予備値を計算するために使用され、この値はターゲットを回避するための安全の範囲を考慮に入れていない。横成分VRelRouteLatには、その一部分に対して、所望の逸脱を得るためにこの予備逸脱にさらにまた加えられる衝突余裕時間TTCを乗じる。
【0134】
換言すれば、文献の仏国特許出願公開第1907351号でこの逸脱を計算することが検討される場合、横座標dVyの計算時に、横成分VRelRouteLatと衝突余裕時間TTCとの積を使用することが必要である。使用される座標Ya(ここでは座標Yrelに対応する)は、その一部分に対して、データのマージから生じた座標、および角度AngleObj/LineObjのコサインによるターゲットの長さの積に等しい項の和に等しいとみなされることになる。
【0135】
よって、次いで、以下のように書き込むことが可能である。
[数27]
【0136】
この等式では、erは横測定誤差を補償することを可能にする項であり、Longはターゲットの長さである。
[数28]
【0137】
データのマージが使用される場合、項erは、データのマージから生じた誤差も考慮に入れる。この項は、あらかじめ定められ、コンピュータのメモリに記憶される。
【0138】
第6のステップは、コンピュータが、ターゲットの中から、他のものより重要なターゲットを区別するための第2のフィルタ処理を行うことにある。
【0139】
ターゲットは、回避されるAES機能の作動を必要とする場合に重要であるとみなされる。最重要ターゲット(MCTターゲット)は、最も早いAES機能の作動を必要とするものになる。
【0140】
ターゲットは、その位置が、たどるべき回避進路を決定することを考慮に入れなければならないような場合に「中程度に危険」とみなされる。よって、中程度に危険なターゲットは、AES機能の作動を妨げる可能性がある。
【0141】
それぞれの検出されたターゲットを独立的に(および、それ故に、その周囲から独立して)連続して検討する考えがある。
【0142】
初めに、コンピュータC10は、EGO車両10の車線上にあるターゲット全てが重要であるとみなす。
【0143】
EGO車両10が取ったレーンに隣接するレーン上に位置するターゲットに関して、コンピュータは、これらがさらなる基準を守るかどうかを確かめる。
【0144】
ここで、これらの基準は、以下のパラメータ:
- 円弧距離LAB、
- 投影点Fと、レーン分離線に最も近いターゲットの点との間の距離LaneDY(等式[数23])、および
- 投影点Fにおけるレーン分離線に対するターゲットの速度の横成分VyObj/lineObj(等式[数14])
と関連がある。
【0145】
図8には、EGO車両10が取ったレーンに隣接している2つのレーン上に位置する3つのターゲットC4、C5、C6が表されている。
【0146】
それぞれのターゲットが重要か否かを決定するために、コンピュータは、以下の2つの条件i)およびii)を満たすかどうかを確かめる。
【0147】
第1の条件i)をチェックするために、コンピュータは、ターゲットと、対象のレーン分離線との間の距離LaneDYを計算する(等式[数23])ことから始める。それによって、ターゲットが、対象のレーン分離線にむしろ近い、または、それどころか、このレーン分離線から離れているかどうかを知ることができる。
【0148】
コンピュータC10は、そのことから、VyseuilMinと示される最小横速度閾値を推測する。
【0149】
さらにまた、成分VyObj/lineObjが最小閾値VyseuilMinを超える場合、(ターゲットを重要とみなす)第1の条件が確認される。その他の場合、ターゲットは単に、中程度に危険とみなされる。
【0150】
従って、使用される閾値がターゲットと対象のレーン分離線との間の距離に応じる変数であることで、この距離が短くなるにつれて、衝突の危険性が大きくなるという事実を考慮に入れることが可能になることは、留意されたい。
【0151】
使用される閾値はまた、ターゲットが先行する時間ステップにおいて(重要であるかまたは重要でないか)特徴付けられたやり方に依存することが可能になる。実際、ターゲットの特徴付けはそれぞれの時間ステップに関して変化しない考えであり、これは、マージされるデータの測定における雑音に起因する。そのために、ターゲットについて、非重要から重要に切り替えるために使用される閾値は、(ヒステリシス関数式に)ターゲットについて、重要から非重要に切り替えるために使用される閾値より高い。
【0152】
この条件i)は、さらにまた、別のやり方で明確に示され得る。よって、
図8の例では、さらにまた、EGO車両の車線側で、対象のレーン分離線に実質的に平行であるがこのレーン分離線から離れている仮想レーン分離線を定義するように選定することが可能である。
【0153】
さらにまた、対象の横速度を乗じる「TimeToCross」パラメータに応じて逸脱が選定される。例えば、「TimeToCross」パラメータが1秒であるとして、対象の横速度が1.2m/sである場合、1.2mの逸脱が得られる。次いで、この線を横切ることは条件i)の確認に対応する。
【0154】
この仮想線の形状が基準レーン分離線に平行であり得る、または該線には、ターゲットからEGO車両との中距離までのみ平行であり得、さらには、基準線に近づけるためにEGO車両の方にゆっくりと広くなっている可能性があることに留意されたい。
【0155】
第2の条件ii)によって、あり得る感知誤差から生じるターゲットのみならず、過度に大きいまたは異常な横速度を有するターゲットを考慮に入れないようにすることが可能である。そのために、コンピュータは、横成分VyObj/lineObjの絶対値を所定の最大閾値VyseuilMaxと比較する。この成分が最大閾値を上回る場合、第2の条件は確認されず、ターゲットは中程度に危険とみなされる。最大閾値は、過剰な値を有する時がある誤った検出を考慮しないように制限的なものでなければならない。
【0156】
この最大閾値は、好ましくは2m/sを上回る、優先的には3m/sに等しい。
【0157】
条件i)およびii)のうちの1つおよび/またはもう1つを満たしていないターゲットは、中程度に危険なターゲットとみなされる。その他のターゲットは重要であるとみなされる。
【0158】
感知したターゲットを、重要ターゲットとしておよび中程度に危険なターゲットとして分類することによって、計算時間を短縮することが可能になる。その上、ターゲットのこの分類によって、AESシステムを作動させるか否かの決定が簡略化され、行った決定は人間の運転者にとって正当なものであり得る。
【0159】
図8において、ターゲットC4のみが2つの条件i)およびii)を満たすとみなされ得るが、これは、他の2つのターゲットのいずれも条件i)も満たさないからである。
【0160】
第7のステップは、コンピュータC10が、それぞれの重要ターゲットについて、2つの別個の関係のある種類の情報を組み入れて、運転者に対するAES機能の侵入性を最小限に抑えることによる障害物回避を保証する臨界時間Tcritを決定することにある。
【0161】
このパラメータを計算する利益は、とりわけ、重要ターゲットから最重要ターゲットMCTがどれかを見出すことが可能になることである。
【0162】
このパラメータがどのように得られるかを説明する前に、AES回避システムが、全体的に自動で(この場合、回避進路の後に、操舵支援作動装置が自律的に作動する)、または、半自動的に(この場合、運転者によって手動で回避が行われ、操舵支援作動装置は、運転者が回避をトリガすると、運転者が回避進路をたどることを支援するように制御される)動作させることができることが想起され得るであろう。以下、本明細書において、これら2つの方法をそれぞれ指定するために、自律モードおよび手動モードが使用されることになる。
【0163】
手動モードでの回避は、自律モードでの回避よりも潜在的に効果が少ない。よって、AESシステムによって計算される回避進路は、手動モードおよび自律モードでは同じにならない。(クロソイド形状の)この回避進路の計算が本発明の主題ではないことは留意されたい。この進路の形状が、車両の動的性能レベルおよび(手動モードでの)運転者の能力に応じて計算されることが、明瞭に想起されるであろう。
【0164】
いずれにせよ、計算された逸脱Eright、Eleftを仮定すると、手動モードおよび自律モードで、重要ターゲットを右および左に回避するために4つの回避進路(4つのクロソイド)を構成することが可能である。
【0165】
これらのクロソイドは、車両の最大動的能力に左右される曲率を有する。これらのクロソイドの形状はその後、EGO車両10の速度に応じて、データベースにおいて読み込まれる。
【0166】
これらの決定された逸脱および回避進路を仮定すると、これらから、左または右への回避操縦を行うためにそれぞれのモードで必要とされる時間に対応する4つのTTS操縦時間(
図7を参照)を推測することが可能である。
【0167】
これらのTTS操縦時間が得られるやり方について、ここでは説明されないが、それは、EGO自動車両10の動的特性、および運転者の性能レベルに左右されることになるからである。実際には、これらのTTS操縦時間は、検査バッテリを使用して確立されたデータベースに読み込み可能である。
【0168】
それぞれの重要ターゲットについての衝突余裕時間TTCおよびTTS操縦時間を認識することで、コンピュータは、これらから、式を使用して臨界時間Tcritを推測することができる。
[数29]
Tcrit=TTC-TTS
【0169】
この臨界時間は従って、AES機能を作動させ、対象の手動モードまたは自動モードで、対象の重要ターゲットとの衝突を、該ターゲットを対象の側に回避することによって回避することが依然可能である最後の瞬間にゼロになる。
【0170】
よって、この臨界時間Tcritは、対象のターゲットに対する3つの不可欠な情報の種類:該ターゲットを回避すべき側、システム(および運転者)の性能、およびターゲットとの衝突余裕時間TTCを有する。
【0171】
第8のステップでは、さらにまた、重要ターゲットを分類し、最重要ターゲットMCTを見出すために計算される臨界時間Tcritを使用することを検討する。
【0172】
運転者が(例えば、自律モードを作動できなかったため)手動モードで操縦を自由に行える場合、コンピュータは、右への回避の場合に臨界時間が最も低く、左への回避の場合に臨界時間が最も低い重要ターゲットを選択する。
【0173】
さらにまた、運転者が回避操縦を開始することをコンピュータC10が検出するとすぐ、コンピュータC10は、選択された2つの臨界時間に応じて、運転者の操縦を支援するためにAESシステムを作動させることを決定することができる。
【0174】
そのために、コンピュータは、運転者が(右へのまたは左への)回避操縦を開始する時にハンドルを回す側を決定した後、2つの選択された臨界時間から、運転者が回避操縦を開始する側に対応する臨界時間を選ぶ。
【0175】
最重要ターゲットMCTは、この選ばれた臨界時間に対応するターゲットである。
【0176】
自律モードでは、コンピュータは別のやり方で進める。実際、EGO車両10が障害物(単数または複数)を回避しなければならない側を決定することが必要である。
【0177】
さらにまた、それぞれの重要ターゲットについて、最良の回避する側を決定してから、次に、最重要ターゲットMCTを決定する考えがある。
【0178】
コンピュータがどのように進めるかをよく理解してもらうためには、
図7を参照することが可能である。
【0179】
この例では、上述されたパラメータの値が計算されており、これによって、以下の表を構成することが可能になる。
[表2]
【0180】
ターゲットC3が左にのみ回避可能であり、その他は右にのみ回避可能であることに気付くであろう。
【0181】
実際には、コンピュータは、それぞれの重要ターゲットについて、臨界時間Tcritが最も高い側を選択する。
【0182】
次いで、コンピュータは、正しく選択された臨界時間の中から、最も低い臨界時間を選ぶ。
【0183】
その後、コンピュータは、最重要ターゲットMCTが、臨界時間Tcritが選ばれたものであるとみなす。ここではそれはターゲットC3である。
【0184】
第9のステップは、コンピュータC10が、AES機能を、必要な場合で最適な瞬間にトリガすることにある。
【0185】
この特定の場合、自律モードにおいて、AES機能は、選ばれた臨界時間Tcritが所定の閾値を下回る、例えば、0秒に等しくなるとすぐにトリガされる。
【0186】
他方では、手動モードにおいて、このAES機能のトリガは異なって適用される。
【0187】
状況に合ったやり方での回避において運転者を伴ってAES機能をトリガする考えがある。
【0188】
実際は、運転者がハンドルを動かし始めるのが早すぎる場合、運転者の操縦は不急とみなされることになるが、これは、状況がこの瞬間でのこのタイプの運転者からのアクションを必要としないからである。AESシステムはその後作動することはない。
【0189】
同様に、今にも衝突しようとしている場合、および自律モードが前もって作動させることができなかった場合、AESシステムが運転者に何等かの支援を提供できるには遅すぎるとみなす可能性がある。衝撃を最小限に抑えるためには、別の安全システムに託されることになる。
【0190】
よって、手動モードにおいて、運転者によって行われる回避アクションが検出される場合にAESシステムが作動することになる時間間隔を決定することが必要になる。
【0191】
この時間間隔には2つの境界が定められることになる。
【0192】
運転者が回避操縦を開始する場合に該運転者が支援されることになる第1の境界は、厳密に0を上回る臨界時間Tcritに対応することになる。
【0193】
AESシステムをトリガするには遅すぎるとみなされることになる第2の境界は、0以下の、好ましくは厳密に0未満の臨界時間Tcritに対応する。
【0194】
よって、AES機能を作動させるために、コンピュータは、選ばれた臨界時間Tcritがこれら2つの境界の間にあるかどうかを決定し、そのような場合にのみ、AES機能を作動させる。
【0195】
本発明は説明され、表された実施形態に全く限定されることはなく、むしろ、当業者は、本発明に従うものにはいずれの変形も加えることができる。
【国際調査報告】