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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】形状記憶合金アクチュエータの管理
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/71 20150101AFI20240213BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20240213BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
E05F15/71
B60R7/04 C
B60R7/06 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547045
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022017688
(87)【国際公開番号】W WO2022182862
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/200,292
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリヤンダ,アニーシュ
(72)【発明者】
【氏名】セオドア,シャキール
【テーマコード(参考)】
2E052
3D022
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052AA09
2E052BA05
2E052CA10
2E052DA03
2E052DA08
2E052DB03
2E052DB08
2E052EA03
2E052EB01
2E052LA07
2E052LA08
3D022CA07
3D022CA08
3D022CB01
3D022CD29
(57)【要約】
形状記憶合金アクチュエータを管理するための技術が記載される。一例のシステムは、車両に含まれる区画を開放するように構成された形状記憶合金(SMA)アクチュエータを含み、SMAアクチュエータは、SMA材料から形成されたワイヤを含み、ワイヤは、ワイヤの温度に基づいて位置または配向が調整されるように構成されている。システムはコントローラをさらに含み、コントローラは1つまたは複数のセンサと通信し、センサは車両に関連付けられた温度測定値を取得するように構成されている。コントローラは、ルックアップテーブルにアクセスするように構成され、ルックアップテーブルは、温度測定値を動作パラメータにマッピングし、ルックアップテーブルに基づいて動作パラメータを決定し、動作パラメータの実施を引き起こして区画を開放させ、動作パラメータは、ワイヤの温度の調整に関連付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に含めるように構成されたシステムであって、
前記車両に含まれる区画を開放させるように構成された形状記憶合金(SMA)アクチュエータであって、前記SMAアクチュエータは、SMA材料から形成されたワイヤを含み、前記ワイヤは、前記ワイヤの温度に基づいて位置または配向が調整されるように構成される、形状記憶合金(SMA)アクチュエータと、
1つまたは複数のセンサと通信しているコントローラであって、前記センサが、前記車両と関連付けられた温度測定値を取得するように構成されており、
温度測定値を動作パラメータにマッピングするルックアップテーブルにアクセスし、
前記ルックアップテーブルに基づいて動作パラメータを決定し、
前記動作パラメータを実施させて前記区画を開放させ、前記動作パラメータは前記ワイヤの前記温度の調整に関連付けられるように構成された、コントローラとを備える、システム。
【請求項2】
前記SMAアクチュエータはラックアンドピニオン機構である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記区画は、前記車両のグローブボックスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記区画は、前記車両のセンターコンソールである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ワイヤはプーリに接続され、前記プーリは、前記ワイヤに関連付けられた張力の増大を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ワイヤは、前記構成要素のラッチ機構と一直線上にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記動作パラメータは、前記ワイヤにわたって電圧を印加する時間量を含み、前記コントローラは、電流が前記ワイヤの加熱を引き起こすように前記電圧の印加を引き起こす、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、複数のルックアップテーブルから前記ルックアップテーブルにアクセスし、前記複数のルックアップテーブルの個々のルックアップテーブルは、それぞれの地理的地域に関連付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ルックアップテーブルは、前記車両の内部温度および外部温度に関連付けられた温度情報をマッピングする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記SMAアクチュエータの電源ケーブルへの電圧または電力の開始を介して前記動作パラメータを実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
車両であって、
前記車両に位置決めされた1つまたは複数のセンサと、
前記車両に含まれる区画を開放させるように構成された形状記憶合金(SMA)アクチュエータであって、前記SMAアクチュエータは、SMA材料から形成されたワイヤを含み、前記ワイヤは、前記ワイヤの温度に基づいて位置または配向が調整されるように構成される、形状記憶合金(SMA)アクチュエータと、
前記1つまたは複数のセンサと通信しているコントローラであって、前記センサが、前記車両と関連付けられた温度測定値を取得するように構成されており、
温度測定値を動作パラメータにマッピングするルックアップテーブルにアクセスし、
前記ルックアップテーブルに基づいて動作パラメータを決定し、
前記動作パラメータを実施させて前記区画を開放させ、前記動作パラメータは前記ワイヤの前記温度の調整に関連付けられるように構成されたコントローラとを備える、車両。
【請求項12】
前記SMAアクチュエータはラックアンドピニオン機構である、請求項11に記載の車両。
【請求項13】
前記区画は、前記車両のグローブボックスである、請求項11に記載の車両。
【請求項14】
前記区画は、前記車両のセンターコンソールである、請求項11に記載の車両。
【請求項15】
前記ワイヤは、前記構成要素のラッチ機構と一直線上にある、請求項11に記載の車両。
【請求項16】
前記1つまたは複数のセンサは、前記車両内の温度を測定するように構成された第1のセンサと、前記車両の外部の温度を測定するように構成された第2のセンサとを含む、請求項11に記載の車両。
【請求項17】
前記ルックアップテーブルは、前記車両の内部温度および外部温度に関連付けられた温度情報をマッピングする、請求項11に記載の車両。
【請求項18】
前記コントローラは、前記区画を開放することに関連付けられたユーザ入力の受信に基づいて前記ルックアップテーブルにアクセスするように構成され、前記ユーザ入力は、前記車両のディスプレイを介して受信される、請求項11に記載の車両。
【請求項19】
車両に含まれるコントローラを介して実施される方法であって、前記コントローラは、形状記憶合金(SMA)アクチュエータを介して前記車両の区画を開放させるように構成され、
前記区画の開放に関連付けられたユーザ入力を反映する情報を取得するステップと、
前記車両に関して位置決めされた1つまたは複数のセンサからセンサ情報を取得するステップであって、前記センサ情報は、少なくとも、前記車両に関連付けられた温度情報を反映する、ステップと、
1つまたは複数のデータ構造に基づいて動作パラメータを決定するステップであって、前記データ構造は温度情報を動作パラメータにマッピングし、前記動作パラメータは、前記SMAアクチュエータに含まれるSMA要素の前記温度の調整に関連付けられる、ステップと、
前記SMA要素の温度が上昇するように、前記動作パラメータを実施させるステップと、を含む方法。
【請求項20】
前記動作パラメータは、前記ワイヤにわたって電圧を印加する時間量を含み、前記コントローラは、電流が前記ワイヤの加熱を引き起こすように前記電圧の印加を引き起こす、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年2月26日に出願された「MANAGING SHAPE MEMORY ALLOY ACTUATORS」と題する米国仮特許出願第63/200,292号の利益を主張し、その開示は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両に関し、より詳細には、車両における形状記憶合金の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に説明すると、電気自動車、燃焼機関車、ハイブリッド車などの様々な車両は、動作を容易にするために様々なセンサおよび構成要素で構成することができる。例えば、車両は、車両内の区画へのアクセスを提供するため、または構成要素の状態を変更するために利用することができる1つまたは複数のアクチュエータまたは制御装置を用いて構成することができる。一例として、車両は、保管用に設計され、蓋またはカバーを介してアクセス可能な区画を含むことができる。蓋またはカバーは、区画へのアクセスを可能にするために人間の操作を必要とする物理的、機械的制御装置に関連付けられてもよい。別の例として、蓋またはカバーは、人間の操作を必要とせずに区画へのアクセスを提供するやり方で制御することができるアクチュエータ機構に関連付けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】一例の車両に含まれる一例の形状記憶合金アクチュエータ(SMAアクチュエータ)を含む、様々な構成要素の論理的代表のブロック図である。
【0005】
図2】一例のSMAアクチュエータの動作パラメータを決定するためのプロセスのフローチャートである。
【0006】
図3】SMAワイヤ、電源/コントローラ、およびプーリを含む機構の基本図である。
【0007】
図4】本開示の態様によるラックアンドピニオン実装形態を実施する一例のSMAアクチュエータを示すブロック図である。
図5】本開示の態様によるラックアンドピニオン実装形態を実施する一例のSMAアクチュエータを示すブロック図である。
図6】本開示の態様によるラックアンドピニオン実装形態を実施する一例のSMAアクチュエータを示すブロック図である。
【0008】
図7】本明細書に記載される技術による一例の車両のブロック図である。
【0009】
本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。図面のうちの1つまたは複数に示されている同様の要素を識別するために同様の参照番号が使用されており、その中の表示は、本開示の実施形態を説明するためのものであり、本開示を限定するためのものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
序論
本開示は、形状記憶合金(SMA)ベースのアクチュエータ(本明細書ではSMAアクチュエータとも呼ばれる)の構成および管理のための技術を記載する。具体的には、一例として、本開示は、区画または車両内の他の要素の開放を生じさせるか、そうでなければそれらの開放を可能にするためのSMAアクチュエータの使用を記載する。例えば、以下でより詳細に説明するように、車両内のグローブボックスを開放するためにSMAアクチュエータを使用することができる。別の例として、SMAアクチュエータは、車両に含まれるセントラルコンソールまたはセンターコンソール(例えば、車両の運転者と乗員との間に位置決めされた区画)の開放、車両のドアに関連付けられたドアの解放などに使用されてもよい。
【0011】
一例として、SMAは、第1の温度範囲内にあるときに変形することができるが、第2の温度範囲まで加熱されるとその変形前の形状に戻ることができる合金である。SMAを使用してアクチュエータの一部を形成することができ、SMAはアクチュエータの起動または作動を可能にする。例えば、SMAは、電流(例えば、ジュール加熱)を使用して加熱されてSMAを変形前の形状に戻すことができる。したがって、理解され得るように、SMAは、SMAの加熱、冷却の連続によって、位置、配向、形状などを調整することができる。
【0012】
車両に関して、後述するように、SMAは、区画または他の要素の開放に関連付けられた機構に組み込まれてよい。例えば、1つまたは複数のワイヤをSMA材料から形成されてよい。この例では、1つまたは複数のワイヤが、ラッチ機構または爪と係合する機械的構成要素に接続されてもよい。一例として、ワイヤ張力、およびそれに関連付けられた力は、機械的構成要素と一直線上にあってよい。区画の開放を開始するために、特定の温度が取得されてよい。例えば、温度は、車両の内部客室の温度を表してよい。別の例として、温度は、内部温度と外部温度との組み合わせを表す場合もある。この温度に基づいて、(例えば、ルックアップテーブルまたは他のデータ構造に基づいて、関数に基づいてなど)作動時間、または他の動作パラメータが識別または選択されてよい。作動時間は、電圧(例えば、定電圧)がSMA材料(例えば、上記の1つまたは複数のワイヤ)に印加されるべき時間量を示し得る。例えば、電力が1つまたは複数のワイヤに電力を印加されてよい。この電圧の印加は、電流(例えば、可変電流)を介してSMA材料の加熱を引き起こす。異なる作動時間の使用の一例の技術的利点は、温度に応じてSMA材料がより多く加熱される、またはより少なく加熱されることを確実にすることを含む。このようにして、SMA材料の寿命を延ばすことができる。
序論-SMAアクチュエータ
【0013】
より具体的には、本開示の1つまたは複数の態様は、車両内で利用される1つまたは複数のSMAベースのアクチュエータの動作パラメータの管理に関する。SMAベースのアクチュエータに関連付けられた制御構成要素は、ユーザインターフェース制御のユーザ操作を示す信号の受信、または処理構成要素からの信号の受信など、SMAベースのアクチュエータの作動に対応する入力を取得する。例えば、ユーザインターフェース制御は、ディスプレイ上に提示されたユーザインターフェースを介して提供されてもよい。一例の制御構成要素は、車両に含まれるプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。一例のユーザインターフェース制御は、ユーザ入力(例えば、タッチセンサ式ディスプレイのタッチまたは物理的制御の調整)を表してもよい。
【0014】
上述の制御構成要素は、客室温度、周囲温度、履歴アクチュエータ起動情報などの車両の動作に関連付けられた入力を取得してよい。これらの実施形態によれば、制御構成要素は、処理された入力のセットに基づいて、作動時間(例えば、電圧をSMAベースのアクチュエータに印加する時間)、電力レベル、動作時間または他の動作パラメータなどの、1つまたは複数のSMAベースのアクチュエータの動作パラメータにアクセスする、または動作パラメータを決定することができる。例えば、制御構成要素は、入力に応じて動作パラメータを決定することができる。指定された動作パラメータは、SMAベースのアクチュエータのより早い回復を可能にするために、SMAベースのアクチュエータの動作中の不要な熱の発生を緩和または抑制することを考慮して選択することができる。
【0015】
さらに、いくつかの実施形態では、車両は、SMAベースのアクチュエータからの追加の熱への長時間の曝露に基づいた損傷または変形を受ける可能性のある、横板または他の覆いと関連付けられてもよい。したがって、指定された動作パラメータは、そのような損傷をもたらすSMAアクチュエータの長期の動作の緩和または抑止を考慮してさらに選択され得る、またはさらに指定されてよい。
【0016】
例示的には、制御構成要素は、情報源からの情報を動作パラメータにマッピングするルックアップテーブルの形態の論理制御を利用することができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、車両に関連付けられた温度に基づいて、電圧(例えば、定電圧)をSMAアクチュエータに印加するためのそれぞれの時間量(例えば、作動時間)を示すことができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、異なるSMAアクチュエータに印加されるべき電流または電力のそれぞれの測定値を示すことができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、車両内の周囲温度などのセンサ情報を、SMAアクチュエータに印加されるべき電流または電力のそれぞれの測定値にマッピングすることができる。任意選択で、ルックアップテーブルは、異なるSMAアクチュエータまたは異なるSMAアクチュエータ材料の情報を示す場合がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、個々のセンサ値/動作状態をSMAベースのアクチュエータの動作パラメータにマッピングすることができる。例えば、ルックアップテーブルは、動作状態の選択を制御していると判定されたセンサ値/動作状態をマッピングすることができる。他の実施形態では、ルックアップテーブルは、個々のセンサ値/動作状態を組み合わせて動作パラメータを決定することができる。センサ値は、ルックアップテーブルにマッピングされた絶対値、値の範囲、バイナリ表示(例えば、オンまたはオフ)、あるいは非数値カテゴリ(例えば、高、中、または低)として指定することができる。さらに、ルックアップテーブルは、センサ値/動作状態がより大きな影響を有することができるように、またはそうでなければ、特定の入力情報の影響が決定された動作パラメータに影響を及ぼすようなやり方で、順序付けられるように、重み付け値を組み込むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、制御構成要素によって利用されるルックアップテーブルは、個々の車両に対して具体的に構成することができる。あるいは、ルックアップテーブルは、車両の種類、地理的位置、ユーザタイプなどによって、一セットの車両にとって共通である場合もある。例えば、北東地域に関連付けられた車両は、共通のルックアップテーブルで構成されてよく、一方で南地域に関連付けられた車両は、異なる共通のルックアップテーブルで構成されてよい。さらに、他の実施形態では、車両は、地理的位置、ユーザ、カレンダー時間などに従って適用することができる一セットのルックアップテーブルで構成されてもよい。例えば、車両は、冬の月、夏の月、および春の月の間に異なるルックアップテーブルを選択するように構成され得る。ルックアップテーブルは、制御構成は静的に構成されてもよく、これは定期的に更新することができる。他の実施形態では、ルックアップテーブルは、より動的であってもよく、この場合、車両に関連付けられた通信機能を介して更新の頻度を促進させることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルをプログラム実装形態で構成することができる。そのようなプログラムによる実装形態は、マッピング論理、決定木のシーケンス、または同様の論理の形態であり得る。他の実施形態では、制御構成要素は、SMAベースのアクチュエータのより洗練された動作を必要とし得るか、またはSMAベースのアクチュエータの動作効率を考慮して機械学習実装形態を組み込む場合もある。
【0020】
上記に加えて、本開示の1つまたは複数の異なる態様は、ラックアンドピニオン機構によるSMAアクチュエータの構成に関する。例示的には、ラックアンドピニオン実装形態は、ワイヤベースのSMA材料を接続するためのSMAプレートを含んでよい。SMAプレートは、SMA材料によって提供される張力に基づいて回転するように構成されたピニオンギアを保持してよい。ピニオンギアは、内側爪および外側爪から形成されるか、またはそれらから構成される爪機構に係合してよい。ピニオンギアの回転は、SMAプレートの水平軸に対する内側爪および外側爪の横方向移動を引き起こしてよい。内側爪および外側爪は、爪の移動をリセットするために内側ばねおよび外側ばねによって補助されてもよい。
【0021】
様々な態様が例示的な実施形態および特徴の組み合わせに従って説明されるが、当業者は、これらの例、および特徴の組み合わせが本質的に例示的であり、限定として解釈されるべきではないことを理解するであろう。
【0022】
利用される車両制御に対するいくつかの手法は、信号の受信時に高い瞬間力を提供するように構成されたソレノイド式アクチュエータに関する。ソレノイドによる解決策は、動作中に騒音が大きくなる可能性があり、比較的重い構成要素(例えば、210グラム)である。さらに、大量生産車両の状況では、ソレノイド式アクチュエータは、一般に、カバーまたは蓋を開放するなどの限られた機能に対して、高価で複雑な構成要素である。
【0023】
一般に、形状記憶合金(SMA)は、異なる結晶構造間で外観を変えてコマンドに対して能動的に変位することができる金属化合物である。最も広く使用されているSMA化合物は、2つの有効な結晶構造を有するニッケル-チタン系である。第1の結晶構造は、より低い温度構造によって特徴付けることができ、SMAが延伸特性を有することを可能にするより緩い充填結晶構造を呈するマルテンサイト状態に関する。第2の結晶構造は、より高温の構造によって特徴付けることができ、SMAが引張特性を有することを可能にするより密な充填結晶構造を呈するオーステナイト状態に関する。動作中、SMA材料は、典型的には、例えば抵抗性に基づく加熱を引き起こす、SMA材料にわたる電圧(例えば、SMA材料に印加される電圧)の印加を介して電流を供給される。抵抗率に基づく加熱は、マルテンサイト状態からオーステナイト状態への結晶構造の変化を能動的に誘発する。電流が除去されると、加熱源はSMA材料から除去され、これにより、冷却閾値が達成されると、SMAはマルテンサイト状態に戻る。
【0024】
車両に組み込むことができるSMAベースのアクチュエータの状況では、上述の冷却閾値は、アクチュエータの動作不能性、またはSMAベースのアクチュエータを組み込む機構の動作における非効率性をもたらす可能性がある。これに加えて、SMAベースのアクチュエータの連続動作または長期の動作は、SMAベースのアクチュエータ、またはSMAベースのアクチュエータに直接隣接する車両表面の部分に損傷または変形を引き起こす可能性がある。
ブロック図
【0025】
図1は、車両100の様々な構成要素を論理的に表すブロック図である。図1に例示されるように、車両100は、車両100の動作に利用するためのSMAアクチュエータ102を含む。図1には単一のSMAアクチュエータ102のみが示されているが、車両100は、以下に説明するように、各々が、定義された機能および制御論理を有する任意の数のSMAアクチュエータを組み込む場合がある。SMA-アクチュエータ102の構成の例を、グローブボックスアクチュエータ機構に従って以下に説明する。しかしながら、本出願の態様は、グローブボックス用のアクチュエータの特定の実施態様に限定されず、図示された例は限定として解釈されるべきではない。
【0026】
SMAアクチュエータ102などの個々のSMAアクチュエータは、1つまたは複数の制御構成要素(例えば、制御構成要素104)によって制御されてよい。制御構成要素104は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)または他のコントローラなどの任意のマイクロプロセッサベースのコントローラに対応し得る。制御構成要素104は、SMAアクチュエータ102の動作パラメータの選択を容易にする論理を含むか、またはそのような論理をイネーブルすることができる。スタンドアロン構成要素として例示されているが、制御構成要素104は、多機能コントローラの機能として実装されてもよい。
【0027】
上述したように、センサ106は、車両100内に構成された様々な動作または環境情報源を取得する、生成する、または処理することができるハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサの第1のサブセット106Aは、生の収集されたデータを制御構成要素104に、ならびに異なる機能のための他の制御装置に提供することができる。例えば、第1のサブセットは、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスを介して制御構成要素104に情報を提供してもよい。他の実施形態では、生センサデータを処理し、処理されたデータを入力として(例えば、CANバスを介して)制御構成要素104に提供するために、1つまたは複数のコントローラ108をセンサ106Bに関連付けてもよい。例示として、センサ106、コントローラ構成要素108、または他の処理ユニットによって制御構成要素104に提供される情報は、周囲温度、客室温度、湿度、乗客検出などの車両100の動作に関連付けることができる。したがって、いくつかの実施形態では、センサ106A~106Bは、温度情報(例えば、車両100の客室または内部の周囲温度、外部温度など)を取得または測定してよい。
【0028】
制御構成要素104は、車両100内に既に設置された、かつ1つまたは複数の代替の機能を有する既存のセンサまたは構成要素に対応することができる情報源の集合を利用してよい。例えば、制御構成要素104は、客室温度(例えば、異なるセンサからの複数の客室温度測定値、または1つのセンサからの単一の客室温度測定値)と外部温度との組み合わせを利用して、SMAアクチュエータ102の動作パラメータを決定することができる。別の例として、制御構成要素104は、単一のセンサまたは温度読み取り値(例えば、客室温度)を利用して動作パラメータを決定することができる。これらの例では、動作パラメータは、過剰な熱の発生を緩和しようと試みながら、SMAアクチュエータ102が結晶構造状態を変化させることを可能にし得る。他の例および用途も同様に適用されてよい。
【0029】
別の例では、制御構成要素104は、上記の参照情報のいずれかと、SMAアクチュエータ102の以前の利用に関する履歴情報との組み合わせを利用することができる。この例では、制御構成要素104は、SMAアクチュエータ102の以前の使用からの残留熱の可能性に基づいて代替の動作パラメータを選択するか、または選択された動作パラメータを修正することができる。履歴情報は、SMAアクチュエータ102の温度測定を必要としないようなやり方で利用することができる。したがって、SMAアクチュエータ102の選択された動作パラメータは、入力された情報の組み合わせに基づいて異なる可能性がある。
【0030】
例示的には、制御構成要素104は、識別されたセンサからの情報をSMAアクチュエータ102の動作パラメータにマッピングすることができるルックアップテーブルを利用することができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、個々のセンサ値/動作状態をSMAアクチュエータ102の動作パラメータを決定するためにマッピングすることができる。他の実施形態では、ルックアップテーブルは、個々のセンサ値/動作状態を組み合わせて動作パラメータを決定することができる。センサ値は、ルックアップテーブルにマッピングされた絶対値、値の範囲、バイナリ表示(例えば、オンまたはオフ)、あるいは非数値カテゴリ(例えば、高、中、または低)として指定することができる。さらに、ルックアップテーブルは、センサ値/動作状態がより大きな影響を及ぼし得るように、重み付け値を組み込むことができる。
【0031】
一例として、制御構成要素104は、車両100のキャビン内の現在の温度(例えば、内部温度)を取得してよい。現在の温度は、任意選択的に、閾値時間(例えば、5秒、1分)にわたって平均化されてもよい。現在の温度に基づいて、1つまたは複数の動作パラメータ(例えば、特定の電圧をSMAアクチュエータに印加する時間量、SMAアクチュエータに印加されるべきエネルギーの尺度、または例えば特定の時間量の間にSMAアクチュエータ102に印加されるべき電流もしくは電力の尺度)が決定されてよい。任意選択で、現在の温度は外部温度によって調整されてもよい。例えば、外部温度がSMAアクチュエータ102の現在の温度に影響を及ぼすように、SMAアクチュエータ102は車両100内に位置決めされてよい。この例では、内部温度は外部温度に基づいて調整され得る。一例として、外部温度は、外部温度が内部温度と異なる程度に基づいて内部温度を上方または下方に調整させてよい。この例では、理解され得るように、SMAアクチュエータ102に影響を及ぼす温度は、未調整の内部温度よりも高くなり得るので、内部温度よりも高い外部温度は、内部温度を上方に調整させる可能性がある。同様に、内部温度よりも低い外部温度は、内部温度を下方に調整させる可能性がある。
【0032】
いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、現在の温度および外部温度を1つまたは複数の動作パラメータにマッピングすることができる。制御構成要素104は、任意選択で、ルックアップテーブルに含まれる最も近い現在の客室温度および外部温度を選択してもよい。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、現在の客室温度と、外部温度とから形成される組み合わせ温度を示す場合がある。例えば、各SMAアクチュエータは、ルックアップテーブルの一部に関連付けられてもよい。この例では、この部分に含まれる組み合せ温度は、SMAアクチュエータが客室温度および外部温度の影響を受ける程度に基づいて決定されてよい。
【0033】
ルックアップテーブルに基づいて識別または決定された時間量の間、SMAアクチュエータ102にわたって定電圧を供給することに関して、いくつかの実施形態では、定電圧は、0.2アンペア、0.3アンペア、0.8アンペアなどの電流をSMAアクチュエータ102にわたって流すようにしてよい。電流に関する一例として、SMAアクチュエータ102が高温である(例えば、内部温度および/または外部温度に基づいて決定された第1の閾値温度よりも高い)場合、このとき、低温(例えば、第2の閾値温度未満)であるSMAアクチュエータ102と比較して、より少ない量の電流がSMAアクチュエータ102にわたって流れてよい。
【0034】
ルックアップテーブルの使用に関して、いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、SMAアクチュエータに関連付けられた寿命を延ばすための動作パラメータの決定を可能にし得る。例えば、ルックアップテーブルは、SMAアクチュエータがそのオーステナイト構造に関連付けられた温度範囲内に入るまで、SMAアクチュエータにその温度を上昇させる動作パラメータの決定または選択を可能にすることができる。したがって、SMAアクチュエータが低温であるような車両100が低温である(例えば、内部)場合、このとき、制御構成要素104は、より温度が高いSMAアクチュエータと比較して、電流による長時間の電圧、したがって長時間の加熱を引き起こす可能性がある。
【0035】
ルックアップテーブルが上述されているが、理解され得るように、マップ情報が使用され得る追加のデータ構造が使用されてもよい。任意選択的に、温度の入力に基づいて電圧(例えば、1ボルト、2ボルトなどの定電圧)を印加する時間量を出力する関数(例えば、線形関数または非線形関数)が使用されてもよい。例えば、温度は、内部温度と、外部温度との組み合わせを表してもよい。別の例として、内部温度および外部温度が関数に入力されてもよい。
フローチャート
【0036】
図2は、一例のSMAアクチュエータ(例えば、SMAアクチュエータ102)の動作パラメータを決定するための一例のプロセス200のフローチャートである。プロセス200は、個々のSMAアクチュエータ102の動作パラメータを決定し、決定された動作パラメータに対応する制御信号を生成するように構成された制御構成要素104などによって、個々のSMAアクチュエータ102ごとに実施されてよい。あるいは、プロセス200は、車両または一セットの車両100に配置された一セットのSMAアクチュエータ102に対して実施されてもよい。
【0037】
ブロック202において、制御構成要素104は、識別されたSMAアクチュエータ102の起動信号を取得する。例示的には、起動信号は、様々な構成要素から生成され、異なる事象または基準に対応することができる。一例では、車両内のユーザ(例えば、運転者または同乗者)は、グローブボックスまたはセンターコンソールを「開放する」ようにするためのユーザインターフェースベースの制御など、SMAアクチュエータ102の起動に相関する、車両内のユーザインターフェースを操作してよい。別の例では、ユーザは、車両100および制御構成要素104への情報の送信を引き起こす遠隔制御装置またはモバイル装置などの追加の装置を操作してもよい。
【0038】
他の例では、論理ユニットなどのいくつかの処理構成要素は、信号の生成を引き起こすために車両動作または乗客との相互作用を評価してもよい。例えば、ビジョンシステムは、命令として解釈され得る構成要素に対するユーザの物理的注意を検出し得る。同様に、オーディオシステムは、構成要素を開放させるために可聴コマンドを解明してよい。さらに、論理ユニットはまた、SMAアクチュエータ102の動作を引き起こす要望または必要性に関連付けることができる速度、送信状態、ウインドシールドワイパの動作状態などの車両の動作状態に基づいて信号の送信を引き起こすこともできる。
【0039】
ブロック204において、制御構成要素104は、複数のセンサ106、コントローラ108などから一セットの情報源を取得する。任意選択的に、制御構成要素104は、個々のセンサ(例えば、内部客室温度センサ)から情報を取得してよい。情報源は、個々のセンサ/コントローラによって、または設定されたスケジュールに従って、制御構成要素104に連続して提供されてもよい。あるいは、制御構成要素104は、閾値の満足度などの決定論的基準(例えば、最低温度設定)に基づいて、入力についてセンサ/コントローラを定期的にポーリングしてもよい。いくつかの実施形態では、センサ106は、生の収集されたデータを制御構成要素104に、ならびに異なる機能のための他の制御装置に提供することができる。他の実施形態では、コントローラ108は、センサ106に関連付けられ、生センサデータを処理し、処理されたデータを入力として制御構成要素104に提供してもよい。
【0040】
ブロック206において、制御構成要素104は、適切なルックアップテーブルを決定するか、またはルックアップテーブルにアクセスする。いくつかの実施形態では、制御構成要素104によって利用される1つまたは複数のルックアップテーブルは、個々の車両に対して具体的に構成することができる。あるいは、ルックアップテーブルは、車両の種類、地理的位置、ユーザタイプなどによって、一セットの車両にとって共通である場合もある。例えば、北東地域に関連付けられた車両は、共通のプテーブルで構成されてよく、一方で南地域に関連付けられた車両は、異なる共通のテーブルで構成されてよい。さらに、他の実施形態では、車両100は、地理的位置、ユーザ、カレンダー時間などに従って適用することができる一セットのテーブルで構成されてもよい。例えば、車両は、冬の月の間、夏の月または春の月と異なるルックアップテーブルを選択するように構成されてよい。ルックアップテーブルは、制御構成は静的に構成されてもよく、これは定期的に更新することができる。他の実施形態では、ルックアップテーブルは、より動的であってもよく、この場合、車両に関連付けられた通信機能を介して更新の頻度を促進させることができる。複数のルックアップテーブルが提供されていない場合、または制御構成要素がそれ以外で、選択基準を処理するように構成されていない場合、単一のルックアップテーブルをブロック206の一部として自動的に取り出すことができる。
【0041】
ブロック208において、制御構成要素104は、センサ入力を評価して、候補動作パラメータを形成し得る1つまたは複数の動作パラメータを識別する。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルの評価は、単一の動作パラメータのみがルックアップテーブルの評価から生じ得るように決定論的であってよい。他の実施形態では、ルックアップテーブルの評価は、2つ以上の異なる動作パラメータ(例えば、競合時間、競合電力レベルなど)がルックアップテーブルの評価から生じ得るように非決定的である場合もある。前述のように、動作パラメータは、電圧、電力レベル、電流レベル、動作時間、電源などを印加する時間を含むことができる。
【0042】
ブロック210において、制御構成要素104は、任意選択的に、エラーチェック、閾値比較、競合解消、正規化などを行うために、識別された動作パラメータを処理することができる。例えば、制御構成要素104は、ルックアップテーブル評価から複数の動作パラメータが得られる場合、最も低い動作パラメータを選択することを選んでよい。別の例では、制御構成要素104は、動作値または動作パラメータの他の統計的処理を平均化することを選んでもよい。例えば、制御構成要素論理は、一定期間にわたってSMAアクチュエータ102の動作を追跡することができる履歴情報を含むことができる。周囲温度に基づくルックアップテーブルの評価は、SMAアクチュエータ102が典型的には固定された一定期間の間、動作すべきであることを示し得る。しかしながら、この実施形態では、動作パラメータのさらなる処理は、SMAアクチュエータ102の以前の動作が、SMAアクチュエータ102または他の構成要素にいくらかの残留熱をもたらした可能性が高いことを考慮し得る。したがって、いくつかの実施形態では、可能性として、制御構成要素104によって選択された動作パラメータは、同じ(または実質的に同様の)入力パラメータに基づいて異なる可能性がある。
【0043】
ブロック212において、制御構成要素104は、制御信号の送信の省略を含む、選択され処理された動作パラメータに従ってSMAアクチュエータ102の動作を引き起こす情報または制御信号を送信する。例えば、制御構成要素104は、SMAアクチュエータの電源ケーブルへの電力の開始を引き起こしてよい。電力は、動作パラメータに従って印加されてもよい。例えば、電流(例えば、変動電流)が特定の時間量にわたってSMAアクチュエータにわたって流れるように、特定の時間量にわたって電圧が印加されてよい。例によって制約されることなく、制御構成要素104は、電力を制御することに関連付けられたマイクロコントローラを介して電力または電流を開始させてよい。いくつかの実施形態では、制御構成要素104は、電源に接続され、SMAアクチュエータ102に電圧を印加させてもよい。プロセス200は、継続的な監視のための実施形態ではブロック202に戻るか、またはプロセス200の開始を待つことができる。
一例の実施形態
【0044】
前述のように、本開示の1つまたは複数の異なる態様は、グローブボックス、センターコンソール、または他の同様の構成要素/区画と組み合わせて利用するための制御機構によるSMAアクチュエータ102の構成に関する。例示的な一実施形態では、SMAアクチュエータ102は、ワイヤ張力およびその関連付けられた力が、ラッチ機構または爪と係合する機械的構成要素と一直線になるようなやり方で実装されるワイヤ形態のSMAに対応する。
【0045】
図3は、SMAワイヤ300、電源/コントローラ302、およびプーリ304を含むそのような機構の基本図を表す。プーリ304の利用は、張力の増大およびSMAアクチュエータ102のパッケージングを可能にする。SMAワイヤ300は、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595およびその間の寸法を含む、450mm~600mmの範囲内などの様々な長さとすることができる。例示的には、SMAワイヤ300は、さらに0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.011、0.012、0.013、0.014およびそれらの間の値を含む、0.005から0.15の範囲の厚さを有することができる。これらの値は例示的なものであり、SMAワイヤの寸法の可能な値の全範囲を表すものではないことを認識されたい。さらに、他の実施形態では、SMA材料は、ばね、コイル、リンクおよびカスタムソリッドの形態であり得る。
【0046】
図4図6は、本出願の態様によるラックアンドピニオン実装形態を実施するSMAアクチュエータ102を説明するブロック図である。
【0047】
図4に例示されるように、SMAアクチュエータ102は、SMA材料(図示せず)を接続するためのSMAプレート400を含む。SMAプレート400は、SMA材料(例えば、図6に例示されるワイヤ402)によって提供される張力に基づいて回転するピニオンギア408を保持する。一例として、ワイヤは、SMA材料(例えば、ワイヤ)がマルテンサイト状態からオーステナイト状態に加熱されることに基づいて回転を引き起こしてよい。例えば、ワイヤは、張力が与えられるように形状または配向が変更されてもよい。図3で考察したように、プーリの利用、ばね410、412の特性に対する修正などを通して、張力をさらに増加させることができる。ピニオンギア408は、内側爪404と外側爪406とからなる爪機構に係合する。ピニオンギア408の回転は、SMAプレート400の水平軸に対する内側爪404および外側爪の406横方向移動を引き起こす。内側爪404および外側爪406は、爪の移動をリセットするために、内側ばね410および外側ばね412によって補助される。
【0048】
図5は、図4に記載のSMAアクチュエータ102を例示し、制御信号をSMAワイヤ(例えば、図6に示すワイヤ402)に提供するための電力ケーブル420をさらに例示している。図5はまた、ピニオンギア408と係合するための内側爪404上の歯405を例示している。外側爪406も同様の歯(図示せず)を含む。
【0049】
図6は、SMAワイヤ402を含むSMAプレート400の反対の面を例示している。
一例の車両
【0050】
図7は、車両700(例えば、車両100)のブロック図を例示している。車両700は、車両700の移動を引き起こす1つまたは複数の電気モータ702を含んでよい。電気モータ702は、例えば、誘導モータ、永久磁石モータなどを含んでよい。当業者に知られているように、バッテリ704(例えば、各々が多数のバッテリを含む1つまたは複数のバッテリパック)を使用して電気モータ702に電力を供給してよい。
【0051】
車両700は、車両のギア(例えば、推進方向)を設定するために使用可能な推進システム706をさらに含む。電気車両に関して、推進システム706は、推進方向を変更するために電気モータ702の動作を調整してよい。
【0052】
これに加えて、車両は、本明細書に記載のコントローラ104を含む。コントローラ104は、上述したように、1つまたは複数のセンサ106からの情報に基づいて、SMAアクチュエータ102に特定の区画(例えば、グローブボックス)を開放させてよい。例えば、コントローラ104は、センサ106または関連するコントローラ108と通信する車両700のコントローラエリアネットワーク(CAN)バスから温度測定値(例えば、内部測定値、外部測定値)を取得してよい。例えばデータ構造(例えば、ルックアップテーブル)を使用して温度測定値に基づいて、あるいは関数(例えば、線形関数または非線形関数)に基づいて、コントローラ104は、作動時間(例えば、SMAアクチュエータ102にわたって定電圧を印加する時間)または(例えば、特定の時間量の間に)SMAアクチュエータ102に印加されるべき電流もしくは電力の特定の尺度を識別してよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、ユーザ(例えば、乗客または運転者)は、ディスプレイ708(例えば、タッチセンサ式ディスプレイ)を使用して、区画を開放することを示すユーザ入力を提供してもよい。ユーザ入力に応答して、コントローラ104は、ユーザ要求を示す情報を受信してよく、SMAアクチュエータ102を介して区画を開放させてよい。
【0054】
前述の開示は、本開示を開示された正確な形態または特定の使用分野に限定することを意図していない。したがって、本明細書に明示的に記載されているか、暗示されているかにかかわらず、本開示に対する様々な代替の実施形態および/または修正が本開示に照らして可能であることが企図されている。このように本開示の実施形態を説明してきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく形態および詳細に変更を行うことができることを認識するであろう。したがって、本開示は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0055】
上記の明細書では、特定の実施形態を参照して本開示を説明してきた。しかしながら、当業者が理解するように、本明細書に開示される様々な実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の方法で修正または実施することができる。したがって、この説明は、例示と見なされるべきであり、開示されたグローブボックス作動アセンブリの様々な実施形態を作成し使用するやり方を当業者に教示する目的である。本明細書に示され説明される開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。同等の要素、材料、プロセスまたはステップは、本明細書に代表的に示され記載されたものに置き換えられてもよい。さらに、本開示の特定の特徴は、本開示のこの説明の利益を得た後に当業者に明らかになるように、他の特徴の使用とは無関係に利用されてよい。本開示を記載および特許請求するために使用される「含む(including)」、「備える(comprising)」、「組み込む(incorporating)」、「から成る(consisting of)、」、「有する(have)」、「である(is)」などの表現は、非排他的な方法で解釈されること、すなわち、明示的に記載されていない項目、構成要素または要素も存在することを許容することを意図している。単数形への言及はまた、複数形に関連すると解釈されるべきである。
【0056】
さらに、本明細書に開示された様々な実施形態は、例示的かつ説明的な意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものと解釈されるべきではない。すべての結合についての言及(例えば、取り付けられた、固定された、結合された、接続されたなど)は、読者の本開示の理解を助けるためにのみ使用され、特に本明細書に開示されるシステムおよび/または方法の位置、配向、または使用に関して限定を生じさせるものではない。したがって、結合についての言及がある場合、それは広く解釈されるべきである。さらに、そのような接合についての言及は、2つの要素が互いに直接接続されていることを必ずしも意味しない。
【0057】
これに加えて、限定するものではないが、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「一次」、「二次」、「主たる」などのすべての数値用語、あるいは任意の他の通常の用語および/または数値用語もまた、本開示の様々な要素、実施形態、変形形態および/または修正形態の読者の理解を助けるために、識別子としてのみ解釈されるべきであり、特に、任意の要素、実施形態、変形形態および/または修正形態の、別の要素、実施形態、変形形態および/または修正形態に対する、または別の要素、実施形態、変形形態および/または修正形態を優先する順序または好みに関して、いかなる限定も生みだすことはない。
【0058】
特定の用途に応じて有用であるように、図面/図に描かれた要素のうちの1つまたは複数は、より分離された、またはより統合されたやり方で実装することもできる、あるいは特定のケースにおいては除去される、または動作不能とされる場合もあることも理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】