(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】電力供給部が光電陰極の上流に配置されている画像増強装置
(51)【国際特許分類】
H01J 31/50 20060101AFI20240213BHJP
F41G 1/32 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01J31/50 D
F41G1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547117
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 FR2022050167
(87)【国際公開番号】W WO2022167749
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510165507
【氏名又は名称】フォトニス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ・デ・ラ・トーレ・ノエツェル
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ・ロドリゲス-ペレス
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・フェルナンデス・グティエレス
(57)【要約】
画像増強装置(300)が、
- 少なくとも1つの光電陰極(310)、マイクロチャネルプレート(320)、および変換要素(330)が、この順番で次々に配置された増強管(350)と、
- 少なくとも1つのそれぞれの分極電圧を増強管(350)の要素の各々に供給するように構成される電力供給モジュール(360)と
を備える。
本発明によれば、電力供給モジュール(360)は、マイクロチャネルプレートの反対の光電陰極の側で、光電陰極の上流に位置付けられる領域において延びる。
したがって、空間は、画像増強装置(300)における光子および電子の進行の方向において、増強管(350)の下流に位置付けられて解放される。これは、例えば接眼レンズ(380)をより近くにさせることで、画像増強装置(300)の大きさを縮小することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
増強管(350)と電力供給モジュール(360;360’;560)とを備える画像増強装置(300;300’;500;600)であって、前記増強管(350)は、
入射光子ビームを初期電子ビームへと変換するように構成される少なくとも1つの光電陰極(310)と、
使用中、入射電子の受け入れに応答して複数の二次電子を発生させるように構成され、前記初期電子ビームを受け入れ、応答して、増強された電子ビームを発生させるように構成されるマイクロチャネルプレート(320)と、
変換要素(330;530)であって、前記増強された電子ビームを受け入れ、応答して、前記光電陰極(310)と前記変換要素(330;530)との間に位置付けられる前記マイクロチャネルプレート(320)で、増強された光子ビームを放出するように構成される、変換要素(330;530)と、
前記増強管(350)の外側に位置付けられる合焦面と、前記増強管(350)の入力またはその内側に位置付けられる初期画像形成面(P1)とを光学的に結合するように構成される、対物レンズと呼ばれるレンズの第1のセット(370)と、
を備え、
前記電力供給モジュール(360;360’;560)は、少なくとも1つのそれぞれのバイアス電圧を、光電陰極(310)、前記マイクロチャネルプレート(320)、および前記変換要素(330;530)の各々に供給するように構成され、
前記電力供給モジュール(360;360’;560)は、前記対物レンズ(370)の周辺において、前記マイクロチャネルプレートの反対の前記光電陰極の側で、前記光電陰極(310)の完全に上流に位置付けられる領域において延びることを特徴とする画像増強装置(300;300’;500;600)。
【請求項2】
前記電力供給モジュール(360;360’;560)は、前記対物レンズ(370)のいずれの側においても、前記対物レンズ(370)の光学軸(BB’)と平行な軸に沿って、前記対物レンズ(370)を越えて突出しないことを特徴とする、請求項1に記載の画像増強装置(300;300’;500;600)。
【請求項3】
前記電力供給モジュール(360;560)は、前記光電陰極(310)の反対に延びる貫通開口(361)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像増強装置(300;500;600)。
【請求項4】
前記電力供給モジュール(360;560)は輪状の形とされることを特徴とする、請求項3に記載の画像増強装置(300;500;600)。
【請求項5】
前記画像増強装置(300;300’;500;600)は、前記画像増強装置における光子および電子の伝播の方向において、前記変換要素(330;530)の下流に配置される光ファイバ束(340;540;640)を、前記光ファイバ束(340;540;640)の光ファイバが、それ自体において、前記光ファイバ束の入力において供給される画像を枢動するように配置される状態で、および、前記変換要素(330;530)の反対の側における前記光ファイバ束の出力面が、増強画像形成面(P2)と呼ばれる表面を形成する状態で、さらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像増強装置(300;300’;500;600)。
【請求項6】
前記画像増強装置は透明支持部をさらに備え、前記変換要素は、前記透明支持部の1つの面の少なくとも一部分を覆う被覆によって形成され、前記透明支持部の他の面が、増強画像形成面と呼ばれる表面を形成することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像増強装置。
【請求項7】
前記画像増強装置(300;300’;500)は、前記増強画像形成面(P2)と、前記増強管(350)の外側に位置付けられる画像面とを光学的に結合するように構成される、接眼レンズと呼ばれるレンズの第2のセット(380;580)をさらに備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の画像増強装置(300;300’;500)。
【請求項8】
前記画像増強装置(500)は、補完画像を提供するように構成される補完画像形成モジュール(51)だけでなく、前記接眼レンズと前記増強画像形成面(P2)との間で延び、前記補完画像と、前記増強画像形成面(P2)において形成される増強された画像とを重ね合わせるように構成される部分的反射要素(52)をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の画像増強装置(500)。
【請求項9】
前記画像増強装置(600)は、前記増強画像形成面(P2)から直接的または間接的に由来する増強された画像を側方へずらすように構成されるオフセット要素(61)をさらに備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の画像増強装置(600)。
【請求項10】
前記オフセット要素(61)は、周囲景色の透明性における視野で、前記オフセット要素によってずらされる前記増強された画像の重なり合いを可能にするために、可視領域において少なくとも部分的に透明であることを特徴とする、請求項9に記載の画像増強装置(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、薄暗い景色、特に夜の景色の観察のために使用される画像増強装置の分野である。
【背景技術】
【0002】
画像増強装置は、光電陰極によって動作させられる光子-電子変換、二次放出による電子の数の増加、および、蛍光面と呼ばれる発光スクリーンによって動作させられる最終的な電子-光子変換を通じた連続的な光増幅の原理に基づく。
【0003】
図1は、先行技術による画像増強装置100を概略的に示している。画像増強装置は、次の順番で次々に配置された以下の要素、すなわち、
- 光電陰極110と、
- マイクロチャネルプレート120、または「マイクロチャネルプレート」を表すMCPと、
- 電子-光子変換要素130と
を備える。
【0004】
光電陰極110は、画像増強装置100の入力側に配置されている。使用中、光電陰極110は第1の分極電圧によって極性が与えられる。このステージは、光電効果によって、入射光子ビームを初期電子ビームへと変換することができる。
【0005】
マイクロチャネルプレート120は、多数のマイクロチャネルが交差するガラスから作られる構成要素である。使用中、マイクロチャネルプレート120は第2の分極電圧によって極性が与えられる。このステージは、二次放出によって電荷の増加を可能にする。内側の場が、マイクロチャネルプレートの2つの面(入力および出力)の間に印加される前記第2の分極電圧の印加によって作り出される。電子がマイクロチャネルに入り、その壁に当たるとき、これはいくつかのいわゆる二次電子の放出を引き起こす。二次電子は、マイクロチャネルプレート120における内側の場によって加速され、マイクロチャネルの壁にさらに当たり、これは新たな二次電子の放出を引き起こす。したがって、これはカスケード現象から成る。画像増強装置100では、マイクロチャネルプレート120は、光電陰極110によって放出される初期電子ビームを受け入れ、増強された電子ビームを応答して送るように構成されている。光電陰極から到達する初期電子ビームの各々の電子は、増強された電子ビームの複数の電子の放出を発生させる。
【0006】
次に、電子-光子変換要素130は単に「変換要素」と呼ばれる。使用中、電子-光子変換要素130は第3の分極電圧によって極性が与えられる。電子-光子変換要素130は、増強された電子ビームを受け入れ、応答して、増強された光子ビームを放出するように構成されている。増強された電子ビームにおける各々の電子は、増強された光子ビームのそれぞれの光子の起源にある。したがって、増強された光子ビームにおける光の分布は、光電陰極においての入射光子ビームにおける光の分布に対応し、マイクロチャネルプレートにおけるカスケード放出によって相当に増幅される。したがって、光電陰極において供給された低い光レベルの画像は、その画像における対象物を裸眼で見分けるのに十分な光輝を伴う画像へと変換される。好ましくは、変換要素130は蛍光面から成る。
【0007】
光電陰極110、マイクロチャネルプレート120、および変換要素130は、軸(Ox)に沿ってこの順番で次々に延びる。したがって、マイクロチャネルプレート120は光電陰極110と変換要素130との間に位置付けられる。画像増強装置における光子および電子の流れの方向を定めることが可能であり、その方向は、本明細書では、光電陰極110から変換要素130に向かって配向された軸(Ox)に対応する。
【0008】
本文を通じて、「上流」および「下流」という用語は、画像増強装置における光子および電子の流れの方向に言及している。
【0009】
光電陰極110、マイクロチャネルプレート120、および変換要素130のすべてが、非常に低い圧力が広がっている封止された室、または増強管150の内部で延びている。増強管150における圧力レベルは、当業者によって「超高真空」と呼ばれている。増強管150の内部には、ここでは、超高真空圧力の下で2つの領域151、152が延びている。前記領域151、152は、光電陰極110とマイクロチャネルプレート120との間と、マイクロチャネルプレート120と変換要素130との間とでそれぞれ延びている。この場合、光電陰極110は、ポート孔111にわたって堆積させられた被覆から成り、前記ポート孔は増強管150の入力窓を形成している。
【0010】
図1に示されている例では、画像増強装置は光ファイバ配列140をさらに備え、光ファイバ配列140は、変換要素130がマイクロチャネルプレート120と光ファイバ配列140との間に位置付けられるように、変換要素130の下流で延びる。そのため、増強管150は、光電陰極110と反対のその端において、光ファイバ配列140の端のうちの一方によって閉じられている。変換要素130は発光ミクロン粒子の多層の形態になっている。各々の発光粒子は、マイクロチャネルプレート120の側において、光ファイバ配列140の1つまたは複数の光学繊維にわたって延びている。
【0011】
光ファイバ配列140は、入力画像を反転させる(つまり、180°回転させる)ように構成されている。別の言い方をすれば、光ファイバ配列の入力において供給された画像は、光ファイバ配列の入力と出力との間で、軸(Ox)の周りで180°回転させられる。前記画像は、ここでは軸(Ox)に沿って、光ファイバ配列140の一端から他端へとさらに移転させられる。(マイクロチャネルプレート120の側における)光ファイバ配列の入力における光ファイバの配置と、(マイクロチャネル120の反対の側における)光ファイバ配列の出力における光ファイバの配置とは、180°=πの角度での円対称性に従って、互いに対して対称である。光ファイバ配列140は、使用中に、使用者によって「上下が正しく」見られるように、変換要素130において得られた増強された画像を180°枢動させることを可能にする。したがって、問題は、後で言及される対物レンズ170によって付与される画像反転を相殺することである。
【0012】
光電陰極110、マイクロチャネルプレート120、変換要素130、および光ファイバ配列140を含む組立体が、対物レンズ170と接眼レンズ180との間に挿入される。
【0013】
対物レンズ170は、1つまたは複数の屈折光学またはレンズのセットから成る。対物レンズ170は、合焦面と対象物表面との間の光学的結合を実行するように構成されており、対象物表面には、観察および/または撮像される景色があり、初期画像形成面P1が増強管150の入力またはその内側に位置付けられる。この場合、初期画像形成面P1は、光電陰極110の活性表面全体に、光電陰極110にわたって直接的に延びる。
【0014】
接眼レンズ180は、1つまたは複数の屈折光学またはレンズのセットから成る。接眼レンズ180は、増強画像形成面P2と、増強管150の外側に位置付けられる画像面との間に光学的結合を実行するように構成されている。
【0015】
増強画像形成面P2は、使用中、増強された画像が、変換要素130から放出された光子によって形成される表面に言及している。適切な場合、増強画像形成面P2は、この条件を満たし、増強管150の光学出力153に最も近い表面である。増強管150の光学出力153は、使用中、変換要素130によって放出された増強された光子ビームが自由空間に出て行くのに通る接合部分に言及している。この場合、増強管150の光学出力153は、マイクロチャネルプレート120と反対の側における光ファイバ配列140の一端によって形成される。そのため、増強画像形成面P2は、マイクロチャネルプレート120と反対の側において、光ファイバ配列140の光ファイバの出力面を通過する。面P2に形成される増強された画像は、変換要素130において形成され、光ファイバ配列140によってずれされて枢動させられる画像に対応する。
【0016】
好ましくは、画像面は、接眼レンズ180を通じて見る静止した目について、使用者により明確に見られる表面に対応する。最適な視覚的快適性のために、接眼レンズ180の視度は調整されてもよい。使用中、使用者は自身の目を光ファイバ配列140の反対の側において接眼レンズ180の後に置く。画像面と目の網膜とは、網膜と角膜との間の目の要素と、適切な場合、コンタクトレンズなどの視力矯正光学とによって形成される視覚系によって、光学的に結合される。正視している目について、画像面は無限に延びる。
【0017】
光電陰極110、マイクロチャネルプレート120、および変換要素130の各々は電力供給モジュール160に接続され、電力供給モジュール160は、それらにそれぞれの分極電圧(第1、第2、および第3の分極電圧とそれぞれ呼ばれる)を供給する。電力供給モジュール160は、入力において、例えば電池などの低電圧電源(図示されていない)に接続される。電力供給モジュール160は、このように受け入れられた低電圧を、第1、第2、および第3の分極電圧をそれぞれ形成する少なくとも1つの高い電圧へと変換し、これらの分極電圧を光電陰極110、マイクロチャネルプレート120、および変換要素130の各々へと供給するように構成される。
【0018】
電力供給モジュール160および増強管150は、概して管の形態で、筐体190の内部で一緒に延びる。
【0019】
図1に示されているように、電力供給モジュール160は光ファイバ配列140の周りで延びる。
【0020】
図1は、接眼レンズ180のバックフォーカス、または、別の言い方をすれば、(本明細書において、光ファイバ配列140の出力における)増強画像形成面P2と、(変換要素130の反対に位置付けられる接眼レンズ180の境界面181のレベルにおける)接眼レンズ180との間に必要とされる距離を記号で表す矢印101も示している。バックフォーカス101は、接眼レンズ180に、増強画像形成面P2と、使用者によってはっきりと見られる画像面との間に光学的結合を達成させることができる距離に対応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、先行技術による画像増強装置と比較して縮小した大きさを有することができる画像増強装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、増強管と電力供給モジュールとを備える画像増強装置であって、増強管が、
- 入射光子ビームを初期電子ビームへと変換するように構成される少なくとも1つの光電陰極と、
- 使用中、入射電子の受け入れに応答して複数の二次電子を発生させるように構成され、前記初期電子ビームを受け入れ、応答して、増強された電子ビームを発生させるように構成されるマイクロチャネルプレートと、
- 変換要素であって、増強された電子ビームを受け入れ、応答して、光電陰極と変換要素との間に位置付けられるマイクロチャネルプレートで、増強された光子ビームを放出するように構成される、変換要素と、
- 少なくとも1つのそれぞれの電圧を、光電陰極、マイクロチャネルプレート、および変換要素の各々に供給するように構成される電力供給モジュールと
を備え、
電力供給モジュールは、マイクロチャネルプレートの反対の光電陰極の側で、光電陰極の上流に位置付けられる領域において延びる、画像増強装置で達成される。
【0023】
変換要素は「光子-電子変換要素」と呼ばれてもよい。
【0024】
使用中、マイクロチャネルプレートにおける各々の入射電子は、好ましくは10個より多くの、大量の二次電子の放出を発生させる。
【0025】
図1に示されている種類の画像増強装置の大きさを縮小するための1つの解決策は、光ファイバ配列の長さを短縮することにある。実際、近年の開発は、入力画像を反転させることができ、一貫した画像品質を確保することができる光学的な伝達およびコントラストの要件を保ちつつ、短縮した長さを有するファイバの配列の製作を可能とした。
【0026】
図2は、光ファイバ配列140’が短縮した長さを有する点のみにおいて、
図1のものと異なる画像増強装置100’を示している。先行技術と同様に、変換要素130’は光ファイバ配列の入力において延び、増強画像形成面P2は光ファイバ配列140’の出力において位置付けられる。光ファイバ配列140’の短縮した長さのため、増強画像形成面P2は、筐体190’の出口に対して相当に後退させられる。増強画像形成面P2と接眼レンズ180’との間の必要な距離を保つために、筐体190’と接眼レンズ180’とを互いにより近付けることが必要である。接眼レンズ180’は、最大で、接眼レンズ180’が筐体190’の出口縁191’に押し付けられる最も端の位置まで、筐体190’に近付けることができる。筐体190’の出口縁191’は、対物レンズ170から最も離れた筐体190’の縁に言及している。光ファイバ140’の束の長さの短縮が相当である場合、この最も端の位置においてであっても、増強画像形成面P2と接眼レンズ180’との間の距離が接眼レンズのバックフォーカス101’に等しくなることを得ることは不可能である(
図2参照)。そのため、当業者は、増強画像形成面P2と筐体190’の出口縁191’との間の距離を短縮するために、筐体190’の長さLを短縮するという考えを持つ可能性がある。しかしながら、当業者は、電力供給モジュール160’の大きさによって制限される。この問題を克服するための明らかな解決策は、電力供給モジュール160’を小形化することにある。
【0027】
そのため、本発明の発端における考えは、画像増強装置における異なる要素の配置全体を再検討することと、電力供給モジュールの寸法を変えるだけの代わりに、電力供給モジュールを移動させることとにある。本発明によれば、電力供給モジュールは、画像増強装置における光子および電子の流れの方向に従って、光電陰極の上流側(つまり、マイクロチャネルプレートと反対の光電陰極の側)に位置付けられる領域に向けて移動させられる。この新たな場所は、制約なく、増強画像形成面P2を筐体190’の出口縁191’のより近くにさせることができる。そのため、短縮した長さを伴う光ファイバの束を有する一方で、増強画像形成面と接眼レンズとの間で必要とされる距離と適合することが可能になる。さらに、電力供給モジュールが小形化されるのではなく移動させられるため、電力供給モジュールが小形化された内部構成要素を組み込むために全体で変更されることは必要ではない。
【0028】
電力供給モジュールを移動させることは、当業者にとって明らかな解決策ではない。当業者、むしろ、以前の配置を保つように促され、具体的には、画像増強装置において異なる筐体およびキャップをサイズ変更する必要性を回避するように、および、電力供給モジュールの周りだけでなく、コネクタ(非常に小さい電流を運ぶ高電圧電力供給線)の周りでの電気的絶縁の問題を再検討する必要性を回避するように促される。
【0029】
電力供給モジュールのこの新たな場所は、画像増強装置における光子および電子の流れの方向に依存して、変換要素の下流側に位置付けられる空間を解放する。空間を解放することで、画像増強装置の大きさを縮小することを可能にする。例えば、この空間を解放することは、変換要素と、接眼レンズなどの補助要素との間の距離を短縮することを可能にする。この技術的な利点は、変換要素の下流の光ファイバの束の存在において見出されるが、このような光ファイバの束の不在においても見出せる。
【0030】
有利には、電力供給モジュールは、
図1を参照して記載されているように、対物レンズの周辺の周りで延びる。対物レンズの直径は、増強管の直径より小さい可能性があり、画像増強装置の全体の直径を増加させることなく電力供給モジュールを収容するために、対物レンズの周りの空間を利用することが可能である。
【0031】
好ましくは、電力供給モジュールは増強管の外側で延びる。
【0032】
好ましくは、本発明による装置は、増強管の外側に位置付けられる合焦面と、増強管の入力またはその内側に位置付けられる初期画像形成面とを光学的に結合するように構成される、対物レンズと呼ばれるレンズの第1のセットをさらに備え、電力供給モジュールは対物レンズの周辺において延びる。
【0033】
有利には、電力供給モジュールは、対物レンズのいずれの側においても、対物レンズの光学軸と平行な軸に沿って、対物レンズを越えて突出しない。
【0034】
好ましくは、電力供給モジュールは、光電陰極の反対に延びる貫通開口を備える。電力供給モジュールは輪状の形を有してもよい。
【0035】
有利な実施形態によれば、本発明による装置は、画像増強装置における光子および電子の伝播の方向において、変換要素の下流に配置される光ファイバの束を、光ファイバの束の光ファイバが、それ自体において、光ファイバの束の入力において供給される画像を枢動するように配置される状態で、および、変換要素の反対の側における光ファイバの束の出力面が、増強画像形成面と呼ばれる表面を形成する状態で、さらに備える。
【0036】
他の有利な態様によれば、本発明の装置は透明支持部をさらに備え、変換要素は、前記透明支持部の1つの面の少なくとも一部分を覆う被覆によって形成され、透明支持部の前記面が、増強画像形成面と呼ばれる表面を形成する状態である。
【0037】
本発明による装置は、増強画像形成面と、増強管の外側に位置付けられる画像面とを光学的に結合するように構成される、接眼レンズと呼ばれるレンズの第2のセットをさらに備え得る。本発明による装置は、補完画像を提供するように構成される補完画像形成モジュールだけでなく、接眼レンズと増強画像形成面との間で延び、補完画像と、増強画像形成面において形成される増強された画像とを重ね合わせるように構成される部分的反射要素をさらに備え得る。
【0038】
有利な変形によれば、本発明による装置は、増強画像形成面から直接的または間接的に由来する増強された画像を側方へずらすように構成されるオフセット要素をさらに備え得る。オフセット要素は、周囲景色の透明性における視野で、オフセット要素によってずらされる増強された画像の重なり合いを可能にするために、可視領域において少なくとも部分的に透明であり得る。
【0039】
本発明は、添付の図面を参照して、限定なく指示のためだけに提供された実施形態の記載を読むことで、より良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】先行技術による画像増強装置を概略図である。
【
図2】縮小した長さを伴う光ファイバ配列を組み込む画像増強装置の概略図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による画像増強装置の概略図である。
【
図4A】本発明による画像増強装置における電力供給モジュールの配置の例の概略図である。
【
図4B】本発明による画像増強装置における電力供給モジュールの配置の例の概略図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による画像増強装置の概略図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態による画像増強装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
さらなる明確性のために、正規直交基準系(Oxyz)の軸が図には示されている。この場合、軸(Ox)は、本発明による画像増強装置における光の伝播の方向に対応する。
【0042】
図3は、本発明の第1の実施形態による画像増強装置300を、断面に従って概略的に示している。画像増強装置300は、
図1の実施形態と比較して、その違いのみについて説明される。
【0043】
この場合、電力供給モジュール360が光ファイバ配列340の周りで延びておらず、光ファイバ配列340は縮小した長さを有する。
【0044】
電力供給モジュール360は、光電陰極310の上流に位置付けられる領域において、つまり、マイクロチャネルプレート320および変換要素330と反対の光電陰極310の側において、対物レンズ370の周辺において延びている。
【0045】
先のものと同様に、光電陰極310、マイクロチャネルプレート320、および変換要素330は、導入部において記載されているように、増強管350の内側で延びている。増強管350自体は、光ファイバ配列340と共に、筐体390の内側で延びている。光電陰極310、マイクロチャネルプレート320、および変換要素330の各々は、ここでは、平面(Oyz)と平行な平面において延びている。
【0046】
先のものと同様に、出力縁391が筐体390において定められており、光ファイバ配列340の側方に位置付けられ、接眼レンズ380を向いている。筐体390の出力縁391は、ここでは、マイクロチャネルプレート320の平面と平行な平面(yOz)において延びている。
【0047】
導入部において記載されているような増強画像形成面P2は、ここでは、光ファイバ配列340の出力端に位置付けられている。具体的には、増強画像形成面P2は、マイクロチャネルプレート320と反対の光ファイバの側において、光ファイバ配列340の光ファイバの出力面を通過する面から成る。増強画像形成面P2は、ここでは非平面の表面であり、そのトポロジは、接眼レンズ380に属する第1の境界面381のトポロジに従い、前記第1の境界面381は変換要素330の側に位置付けられる。
【0048】
電力供給モジュール360は、光ファイバ配列340の周りでは延びておらず、光電陰極310の上流に位置付けられる領域で延びている。したがって、光ファイバ配列340の短縮した長さLfであっても、筐体390の出力縁391は光ファイバ配列340の出力端341に近い。したがって、筐体390の出力縁391は増強画像形成面P2に近い。したがって、短縮した長さLfを伴う光ファイバ配列340であるにも拘らず、増強画像形成面P2と、接眼レンズ380に属する第1の境界面381との間の距離は、(導入部において定められているような)接眼レンズ380のバックフォーカス301と等しい。
【0049】
電力供給モジュール360は、ここでは、平面(Oyz)と平行な平面におけるこれらの正射影において、光電陰極310の周辺で延びている。
【0050】
この場合、光ファイバ配列340は筐体390の若干外側へ突出する。したがって、増強画像形成面P2は筐体390の外側で延びる。
【0051】
電力供給モジュール360は、ここでは、増強管350および筐体390の外側に位置付けられている。電力供給モジュール360は、ここでは、軸(Ox)に従って測定される長さLcを有し、長さLcは、同じ軸に従って測定される対物レンズ370の長さLbより完全に小さい。さらに、電力供給モジュール360は、(対物レンズ370の光学軸BB’と平行な)軸(Ox)に沿って、対物レンズ370を越えて突出していない。
【0052】
図4Aは、平面(yOz)と平行で、電力供給モジュール360を貫く平面AA’における断面による画像増強装置300を示している。
図4Aは、電力供給モジュール360が360°の角度にわたって対物レンズ370を包囲していることを示している。別の言い方をすれば、電力供給モジュール360には貫通開口361が設けられており、貫通開口361の内側で対物レンズ370が延びている。貫通開口361は光電陰極310の反対に位置付けられている。好ましくは、貫通開口361は、光電陰極310の平面(Oyz)に対して直交し、好ましくは光電陰極310の中心を貫く回転の軸を伴う軸対称の円筒形を有する。この場合、限定されることはないが、電力供給モジュール360は、第1の軸対称の円筒として成形され、第1の軸対称の円筒と同心の第2の軸対称の円筒として成形された貫通開口361によって中心において開放している。別の言い方をすれば、電力供給モジュール360は輪状の形を有する。図示されていない変形において、電力供給モジュール360は、先に記載されているような軸対称の円筒として成形された貫通開口が設けられた任意の形を有する。なおも他の変形によれば、中心における開口は、軸対称の円筒形を有していないが、光を光電陰極310まで通過させることができる任意の形を有する。
【0053】
図4Bに示されている変形300’では、電力供給モジュール360’は、180°以下の角度にわたって対物レンズ370’を包囲しているだけである。
【0054】
多くの他の形態の電力供給モジュールが、本発明の範囲から逸脱することなく実施でき、具体的には、電力供給モジュールが光学軸BB’に中心付けられていない形態で実施され得る。
【0055】
好ましくは、電力供給モジュール360は、平面(Oyz)における電力供給モジュール360の正射影において、筐体390を越えて突出しない。別の言い方をすれば、平面(yOz)における電力供給モジュール360の正射影は、同じ平面における筐体390の正射影の内側に記される。この目的のために、対物レンズ370の最大直径は筐体390の外径より厳密に小さく、電力供給モジュール360は、対物レンズ370の縁と、筐体390の外径と同じ直径を伴う管とによって画定される空間において延びる。したがって、電力供給モジュール360が画像増強装置の全体の大きさを増加させないこと、具体的には、画像増強装置の直径を増加させないことが、確保される。
【0056】
電力供給モジュールの新たな配置が、増強管の出力における光ファイバ配列の不在においても利点を有する2つの実施形態が、以後において記載されている。具体的には、これらの実施形態において、電力供給モジュールの新たな配置は、補助要素を挿入するための空間を解放し、画像増強装置に新たな機能を追加することを、常に小さくされた大きさで可能にする。
【0057】
図5は、本発明による画像増強装置500の第2の実施形態を示しており、電力供給モジュールによって解放された空間が、その大きさを増加させることなく装置に追加の機能を追加するために使用されている。
【0058】
画像増強装置500は、増強管の出力において光ファイバ配列を備えておらず、補完画像の生成および重ね合わせの手段を備える点のみにおいて、
図3の実施形態と異なる。
【0059】
補完画像の生成はおよび重ね合わせの手段は、ここでは、補完画像形成モジュール51と、部分的反射鏡52とを備える。
【0060】
部分的反射鏡52は接眼レンズ580と増強画像形成面P2との間で延びている。部分的反射鏡52は、入射光の一部分を反射し、入射光の他の部分を伝達する。この場合、部分的反射鏡52は半反射性鏡である。部分的反射鏡52は平面(Oyz)に対して角度αで傾斜させられており、ここではα=45°である。図示されていない変形では、部分的反射鏡52は、スプリッタキューブまたはスプリッタブレードといった任意の他の部分的反射要素によって置き換えられる。
【0061】
さらに、補完画像形成モジュール51は、いわゆる補完画像を生成するように、および、ここでは軸(Oz)に沿って、部分的反射鏡52の方向に補完画像を投影するように、構成される。補完画像形成モジュール51は、表示画面を備え、具体的には、OLED(有機発光ダイオード)に基づく画面を備える。補完画像形成モジュール51は、表示画面に接続され、前記画面を制御および電力供給するために必要な電子機器だけでなく、(画面に表示される補完画像に関するデータを受信するために)外部とデータを交換するために必要な電子機器を組み込む処理装置をさらに備え得る。
【0062】
補完画像形成モジュール51は、部分的反射鏡52の周辺において延び、具体的には、先行技術では電力供給モジュール560によって占められていた領域の少なくとも一部分を占める。
【0063】
部分的反射鏡52は、補完画像形成モジュール51によって投影される補完画像と、増強画像形成面P2において形成される増強された画像とを重ね合わせるように構成される。この目的のために、補完画像形成モジュール51は、補完画像を投影し、軸(Oz)に従って伝播する一方で部分的反射鏡52に45°の入射で到達するように構成される。使用中、この補完画像は、接眼レンズ580の方向において少なくとも部分的に反射される。さらに、光ファイバ540の束の出力端に形成される増強された画像は、軸(Ox)に従って伝播する一方で部分的反射鏡52に45°の入射で到達する。使用中、この増強された画像は、接眼レンズの方向において少なくとも部分的に伝達される。したがって、装置500の光(および電子)の流れの方向における部分的反射鏡52の下流で、補完画像は増強された画像に重ね合わされる。
【0064】
有利には、補完画像は、増強された画像の寸法と同様の寸法を有する。例えば、補完画像は図記号から成る。例えば、追加のセンサによって提供される測定に関する記号を、増強された画像に重ね合わせることが可能である(例えば、主要点、目標十字線などを表示する)。
【0065】
この場合、増強画像形成面P2は、増強された画像の補完画像都の重ね合わせを単純化するために、平面状の表面である。しかしながら、本発明は、例えば凹んだ表面といった、増強画像形成面P2が非平面状である変形も網羅している。
【0066】
図6は、
図3の実施形態と比較して、その違いだけについて説明される、本発明による画像増強装置600の第3の実施形態を示している。
【0067】
この実施形態では、画像増強装置600は、増強管の出力において光ファイバ配列を含んでおらず、実像重ね合わせ手段を備える。
【0068】
実像重ね合わせ手段は、ここではオフセット要素61と合焦光学62とを備える。ここでは、オフセット要素61は増強画像形成面P2と合焦光学62との間で延びている。
【0069】
合焦光学62は、ここでは、軸(Ox)と平行なその光学軸と、増強画像形成面P2の側に位置付けられるその反射面とを伴う凹んだ反射鏡から成る。合焦光学62は、増強画像形成面P2に形成された増強された画像P2を無限へと投影するように構成されている。この場合、画像は、増強画像形成面P2の方向において、無限へと投影される。
【0070】
オフセット要素61は、ここでは増強画像形成面P2に接して固定される。この配置は、電力供給モジュールの前方への移動によって解放された空間のおかげで可能とされる。
【0071】
ここでもまた、なおも限定なく、増強画像形成面P2は、オフセット要素61との表面接触を容易にするために、平面状の表面である。
【0072】
オフセット要素61は、増強画像形成面P2を覆い、この表面を越えて、いわゆる観察領域ROまで側方へ突出する導波路をここでは備える。前記導波路には注入要素と抽出要素とが設けられる。例えば、注入要素および抽出要素は、導波路の表面にエッチングされたそれぞれの回析要素から成る。この場合、図示されていない注入要素は、合焦光学の側において、増強画像形成面P2と反対に延びる。さらに、図示されていない抽出要素は、ここでは、合焦光学の側において、観察領域ROへと延びる。
【0073】
オフセット要素61は、可視領域において少なくとも部分的に透明である。例えば、オフセット要素61は、400nmから700nmまでの範囲である波長の範囲にわたって、95%以上である透過係数を有する。
【0074】
使用中、表面P2において形成される増強された画像は、オフセット要素61を通過する一方で合焦光学62まで伝播する。合焦光学のレベルにおいて、光は平衡にされ、反対方向に戻されるように送られる。別の言い方をすると、増強された画像は、無限へと投射され、反対方向に戻すように送られる。したがって、合焦光学62によって戻すように送られる光は、先に述べられているような注入要素のレベルにおいて、オフセット要素61へと戻る。したがって、光は、導波路においてオフセット要素61の内部を突き抜け、光学的案内を開始する。導波路において、光は軸(Oz)に沿って観察領域ROまで案内される。光は、前述の抽出要素のレベルに到達するとき、導波路から抽出される。抽出された光は、導波路へと初期に注入された光のように、平行にさせられる。したがって、オフセット要素61は、増強された画像を入力において受け入れ、この増強された画像を側方へずらして観察領域ROへと持って行き、この増強された画像をオフセット要素61の外側へと抽出するように構成される。オフセット要素61を用いて側方へずらされる増強された画像は、増強画像形成面P2から直接的または間接的に由来する画像である。この場合、増強された画像は、面P2において形成され、合焦光学62によって無限へと投影される増強された画像に対応するため、前記面P2から間接的に由来する。
【0075】
使用中、使用者は、自身の目を、増強された画像が無限へと投射されることになり、ずれ要素61において流れた観察領域ROの反対において、オフセット要素61の反対に置く。したがって、使用者は、オフセット要素61によって持ってこられた増強された画像と、オフセット要素61を通じた透明において見られる外部の景色とを、重ね合わせて視覚化する。したがって、画像増強装置600は、増強された画像と自然な視覚での画像との重ね合わせに対応する光景を提供するための拡張現実視装置を形成する。
【0076】
この実施形態では、画像増強装置600は、光ファイバの束の出力に直接的に配置される接眼レンズを備えていない。
【0077】
有利には、オフセット要素61は、光ファイバ640の出力面への直接接合または近接結合によって、光ファイバ640の束に固定される。
【0078】
図示されていない変形において、合焦光学は増強画像形成面P2とオフセット要素との間で延びる。そのため、合焦光学は1つまたは複数の屈折レンズから成る。ここでもまた、合焦光学は、増強画像形成面P2に形成された増強された画像を無限へと投影するように構成される。ここでもまた、画像は、ここでも面P2と反対の合焦光学の側において、オフセット要素の方向に投影される。このように無限へと投影された画像は、オフセット要素に入り、オフセット要素から抽出される観察領域へと持ってこられる。合焦光学のバックフォーカスは非常に短くなり得る。そのため、本発明は、電力供給モジュールの前方への移動によって解放される空間のおかげで、平面P2に十分に近くで合焦光学に接近することを可能にする。
【0079】
本発明は、先に記載されていた例に限定されない。例えば、図示されていない変形において、画像増強装置は、光ファイバ配列を備えていないが、ガラスブロックなどの透明支持部を備える。この場合、変換要素は、前記透明支持部の1つの面にわたる一体品で一体的に延びる被覆の形態である。透明支持部は、変換要素によって放出される光子の波長に対して透明である。そのため、増強画像形成面は、変換要素を形成する被覆が透明支持部において延びる表面と一致する。画像の「上下が正しく」の反転が、屈折光学によって達成される。先に記載されている本発明の異なる実施形態および変形は、この変形と容易に組み合わせることができる。
【0080】
なおも他の変形によれば、増強装置は、光電陰極側において増強管の光学入力を形成する光ファイバの束を備える。この場合、前述したような初期画像形成面P1は、光電陰極と反対の側における光ファイバの束の一端によって形成される。この実施形態は、変換要素側における増強管の出力において、光ファイバの束の存在と組み合わせされてもよいし、組み合わされなくてもよい。この実施形態は、先に記載されている例、変形、および実施形態の各々と組み合わせることができる。
【0081】
なおも他の変形によれば、電力供給モジュールは、増強管と光ファイバの束とを受け入れる筐体の内側に位置付けられ得る。
【0082】
本発明は、使用者のそれぞれの目に各々が専用とされる、本発明による2つの画像増強装置を含むツイン式システムも網羅する。
【0083】
本発明による装置は、薄暗い景色、または暗い景色を観察するための暗視視力の分野で有利な使用を見出せる。
【0084】
本発明は、どちらかといえば、電子の入射の流れを電気測定信号へと変換することができる光電陰極またはCMOSセンサの使用に基づいて、マイクロチャネルプレートのない暗視視力装置に適合され得る。このような装置において、分極電圧を光電陰極に供給することができる電力供給モジュールは、装置における光の流れおよび電子の流れの方向において、どちらかといえば光電陰極の上流に配置され得る。
【符号の説明】
【0085】
51 補完画像形成モジュール
52 部分的反射鏡
61 オフセット要素
62 合焦光学
100’ 画像増強装置
101’ バックフォーカス
130’ 電子-光子変換要素
140’ 光ファイバ配列、光ファイバ
160’ 電力供給モジュール
180’ 接眼レンズ
190’ 筐体
191’ 出口縁
300、300’ 画像増強装置
301 バックフォーカス
310 光電陰極
320 マイクロチャネルプレート
330 変換要素
340 光ファイバ配列
341 出力端
350 増強管
360 電力供給モジュール
361 貫通開口
370、370’ 対物レンズ
380 接眼レンズ
381 第1の境界面
390 筐体
391 出力縁
500 画像増強装置
540 光ファイバ
560 電力供給モジュール
580 接眼レンズ
600 画像増強装置
640 光ファイバ
AA’ 平面
BB’ 光学軸
L 筐体190’の長さ
Lb 対物レンズ370の長さ
Lc 電力供給モジュール360の長さ
Lf 光ファイバ配列340の長さ
RO 観察領域
P2 増強画像形成面
【国際調査報告】