(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】エアロゾル発生アセンブリ用の加熱システム及び関連するエアロゾル発生アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240213BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20240213BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240213BHJP
H05B 6/06 20060101ALI20240213BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
A24F40/42
H05B6/06 383
H05B6/10 381
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547135
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022052663
(87)【国際公開番号】W WO2022167559
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】パリー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バンコ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジグムンド,ブラニスラフ
【テーマコード(参考)】
3K059
4B162
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB26
3K059AC03
3K059AD03
3K059AD04
4B162AA03
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4B162AD08
4B162AD15
4B162AD22
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、コイル(72)と、サセプタと、電池により提供される直流電流からコイル(72)に交流電流を発生させるように構成された発振回路(76)とを含む、エアロゾル発生アセンブリ用の加熱システムに関する。発振回路(76)は、2つのパワートランジスタ(Q1A、Q1B)と、各パワートランジスタ(Q1A、Q1B)ごとに、バイアス線(LA、LB)とを含む少なくとも1つの電力回路(82)を含む。各パワートランジスタ(Q1A、Q1B)は、対応するバイアス線(LA、LB)に接続されたゲート端子であって、対応するソース端子及びドレイン端子間の電流を制御することが可能なゲート端子を含む。発振回路(76)は、両方のバイアス線(LA、LB)に接続されたマイクロコントローラ(83)であって、バイアス線(LA、LB)の各々に電圧信号を発生させることが可能なマイクロコントローラ(83)をさらに含む。少なくとも1つの電力回路(82)は、マイクロコントローラ(83)に接続された出力端子(T)を画定する分圧器(90)をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流を提供するための電池(32B)と、気化性材料を貯蔵するための貯蔵部分(66)とを含み、前記電池(32B)は、第1の電池端子(V
+)と第2の電池端子(V
-)とを含む、エアロゾル発生アセンブリ(10)用の加熱システム(34)であって、
前記加熱システム(34)は、
前記貯蔵部分(66)の近傍に配置され、前記第1の電池端子(V
+)に接続されたコイル(72)と、
前記貯蔵部分(66)内に配置されたサセプタ(74)と、
前記電池(32B)により提供される前記直流電流から前記コイル(72)に交流電流を発生させるように構成された発振回路(76)であって、前記サセプタ(74)は、前記コイル(72)との磁気相互作用に続いて前記気化性材料を加熱することが可能である、前記発振回路(76)と
を含み、
前記発振回路(76)は、少なくとも1つの電力回路(82)を含み、前記少なくとも1つの電力回路(82)は、2つのパワートランジスタ(Q1A、Q1B)と、各パワートランジスタ(Q1A、Q1B)ごとに、バイアス線(LA、LB)とを含み、
各パワートランジスタ(Q1A、Q1B)は、前記コイル(72)を前記第2の電池端子(V
-)に接続するソース端子及びドレイン端子と、前記対応するバイアス線(LA、LB)に接続されたゲート端子であって、前記各パワートランジスタ(Q1A、Q1B)のゲート端子にかかる電圧に応じて前記対応するソース端子及びドレイン端子間の電流を制御することが可能な前記ゲート端子とを含み、
前記発振回路(76)は、両方のバイアス線(LA、LB)に接続されたマイクロコントローラ(83)であって、前記バイアス線(LA、LB)の各々に電圧信号を発生させることが可能な前記マイクロコントローラ(83)をさらに含み、
前記少なくとも1つの電力回路(82)は、前記マイクロコントローラ(83)に接続された出力端子(T)を画定する分圧器(90)をさらに含み、前記マイクロコントローラ(83)は、前記出力端子(T)にかかる電圧を解析することにより前記発振回路(76)の動作を検証することが可能である、
加熱システム(34)。
【請求項2】
各バイアス線(LA、LB)は、バイアス抵抗器(R5A、R5B)を含む、請求項1に記載の加熱システム(34)。
【請求項3】
前記発振回路(76)は、前記コイル(72)と並列に接続されたコンデンサ(CH)であって、2つのコンデンサ端子を含む前記コンデンサ(CH)をさらに含む、請求項1又は2に記載の加熱システム(34)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電力回路(82)は、前記コンデンサ端子を前記第2の電池端子(V
-)に接続する2つの接続線(CLA、CLB)と、各接続線(CLA、CLB)ごとに、前記パワートランジスタ(Q1A、Q1B)の一方のパワートランジスタ(Q1A、Q1B)の前記ゲート端子を前記対応する接続線(CLA、CLB)に接続するバイパス線(BLA、BLB)とをさらに含む、請求項3に記載の加熱システム(34)。
【請求項5】
各接続線(CLA、CLB)は、このパワートランジスタ(Q1A、Q1B)における負の電圧エクスカーションを防止するために、前記対応するバイパス線と前記対応するコンデンサ端子との間に直列に接続されたダイオード(D1A、D1B)及び防止抵抗器(R34A、R34B)を含む、請求項4に記載の加熱システム(34)。
【請求項6】
前記分圧器(90)は、前記第2の電池端子(V
-)と前記対応するバイパス線(BLA、BLB)との間の前記接続線(CLA、CLB)の一方に組み込まれる、請求項4又は5に記載の加熱システム(34)。
【請求項7】
前記分圧器(90)のない前記接続線(CLA、CLB)は、前記対応するバイパス線(BLA、BLB)と前記第2の電池端子(V
-)との間に接続された負荷抵抗器(R1A)をさらに含む、請求項6に記載の加熱システム(34)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電力回路(82)は、各パワートランジスタ(Q1A、Q1B)ごとに、前記対応するパワートランジスタ(Q1A、Q1B)の一対の端子間に接続されたコンデンサをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱システム(34)。
【請求項9】
前記一対の端子は、ソース端子及びゲート端子である、請求項8に記載の加熱システム(34)。
【請求項10】
前記コイル(72)には、正弦波信号により電力が供給される、請求項1~9のいずれか一項に記載の加熱システム(34)。
【請求項11】
前記コイル(72)は、前記貯蔵部分(66)の周囲に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の加熱システム(34)。
【請求項12】
前記発振回路(76)と並列に前記電池(32B)に接続されたバーストリザーバ(93)であって、並列に接続された少なくとも2つのコンデンサ(CDL2、CDL4)を含む前記バーストリザーバ(93)をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱システム(34)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の加熱システム(34)を含むエアロゾル発生アセンブリ(10)。
【請求項14】
エアロゾル発生デバイス(12)とカートリッジ(14)とをさらに含み、前記電池(32B)は、前記エアロゾル発生デバイス(12)内に配置され、前記貯蔵部分(66)は、前記カートリッジ(14)内に配置される、請求項13に記載のエアロゾル発生アセンブリ(10)。
【請求項15】
前記コイル(72)及び前記発振回路(76)は、前記エアロゾル発生デバイス(12)内に配置される、請求項14に記載のエアロゾル発生アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生アセンブリ用の加熱システムに関する。
【0002】
本発明はまた、かかる加熱システムに関連するエアロゾル発生アセンブリに関する。エアロゾル発生アセンブリは、例えば、エアロゾル発生デバイスとカートリッジとを含み得る。
【背景技術】
【0003】
異なるタイプのエアロゾル発生デバイスが当該技術分野において既に知られている。一般に、かかるデバイスは、例えば液体又は固体を含むことができる気化性材料を貯蔵するための貯蔵部分を含む。加熱システムは、前記気化性材料を加熱してエアロゾルを発生させるよう配置された1つ以上の電気作動式抵抗加熱要素から形成される。エアロゾルは、デバイスの入口と出口との間に延在する流路内に放出される。出口は、エアロゾルが送達されるようにユーザが吸入するマウスピースとして配置され得る。
【0004】
いくつかのエアロゾル発生デバイスでは、気化性材料は、着脱可能なカートリッジ内に貯蔵される。従って、気化性材料が消費された場合、カートリッジを容易に取り外して交換することができる。着脱可能なカートリッジをデバイス本体に取り付けるために、例えばねじ込み接続を用いることができる。
【0005】
かかるデバイス内の気化性材料を加熱するために、異なるタイプの加熱システムを使用することができる。例えば、液体の気化性材料の場合、加熱システムは、流路内に配置された抵抗であって、液体の気化性材料と連通する芯に巻き付けられた抵抗により形成され得る。従って、芯により運ばれた気化性材料を、流路内に配置された抵抗により蒸発させることができる。別の例によれば、加熱システムは、例えば固体の気化性材料であり得る気化性材料に直接接触する加熱板を含む。従って、この板は、気化性材料を加熱して蒸気を形成することができる。
【0006】
加熱システムの別の例によれば、気化性材料は、気化性材料に接触して配置されたサセプタ要素により加熱することができる。このサセプタ要素は、デバイスの電池に接続されたコイルと磁気結合され、従って、誘導加熱により気化性材料を加熱することが可能である。発生する熱の熱源は、磁気ヒステリシス損失及び/又は渦電流損失メカニズムである。この場合、コイルは、コイルに交流電流を発生させることを可能にする自励発振回路を介して電池に接続される。通常、この電流を制御し、結果として気化性材料の温度を制御するために、コントローラが設けられる。この最後のタイプの加熱システムは概して固体の気化性物質と共に使用され、かかるシステムを組み込んだエアロゾル発生デバイスは「加熱非燃焼式」デバイスとして知られている。実際に、これらの加熱システムは、気化性材料を燃やすのではなく加熱することが可能でなければならない。追加的に、より良好なユーザ体験をもたらすために、気化性材料を予め定められた加熱プロファイルに従って加熱することができる。
【0007】
従って、エアロゾル発生デバイスには正確な温度制御が不可欠であると考えることができる。当該技術分野において、自励発振回路を組み込んだ一部の加熱システムは、そのような制御を行うことができない。例えば、気化性材料が加熱される速度があまりにも遅くなるか又は逆にあまりにも速くなる可能性がある。これにより、気化性材料が燃える及び/又は質の悪いユーザ体験がもたらされる可能性がある。他の加熱システムは、デバイスのコストを増加させ且つデバイスの設計に影響を及ぼし得る複雑な構造を呈し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的の1つは、コストを増加させること又はエアロゾル発生デバイスの設計に影響を及ぼすことなく、気化性材料の正確な温度制御を行うことが可能である、組み込まれた自励発振回路を備えた加熱システムを提案することである。
【0009】
この目的で、本発明は、直流電流を提供するための電池と、気化性材料を貯蔵するための貯蔵部分とを含み、電池は、第1の電池端子と第2の電池端子とを含む、エアロゾル発生アセンブリ用の加熱システムに関する。
【0010】
加熱システムは、
- 貯蔵部分の近傍に配置され、第1の電池端子に接続されたコイルと、
- 貯蔵部分内に配置されたサセプタと、
- 電池により提供される直流電流からコイルに交流電流を発生させるように構成された発振回路であって、サセプタは、コイルとの磁気相互作用に続いて気化性材料を加熱することが可能である、発振回路と
を含み、
- 発振回路は、少なくとも1つの電力回路を含み、少なくとも1つの電力回路は、2つのパワートランジスタと、各パワートランジスタごとに、バイアス線とを含み、
- 各パワートランジスタは、コイルを第2の電池端子に接続するソース端子及びドレイン端子と、対応するバイアス線に接続されたゲート端子であって、各パワートランジスタのゲート端子にかかる電圧に応じて対応するソース端子及びドレイン端子間の電流を制御することが可能なゲート端子とを含み、
- 発振回路は、両方のバイアス線に接続されたマイクロコントローラであって、各バイアス線の各々に電圧信号を発生させることが可能なマイクロコントローラをさらに含み、
- 少なくとも1つの電力回路は、マイクロコントローラに接続された出力端子を画定する分圧器をさらに含み、マイクロコントローラは、出力端子にかかる電圧を解析することにより発振回路の動作を検証することが可能である。
【0011】
これらの特徴により、マイクロコントローラは、オン状態とオフ状態のスイッチング(オンとオフは、ヒータへの電力を制御する中間的なことも意味するので、起動状態及び/又は停止状態のみを意味するわけではない)のために効率良く使用することができる。マイクロコントローラは、ユーザの指示により、及び/又はシステムの動作中に何らかの異常を検出したときに、システムを停止及び起動することができる。マイクロコントローラはまた、コイルに流れる交流電流の最適なプロファイルを確保し、従って、自励発振回路からヒータまでの正確な平均電力潮流制御を可能にすることができる。よって、正確な温度制御を確実にする。
【0012】
追加的に、発振回路に追加された分圧器は、周波数解析と、回路が動作を正しく開始しており、安定した短絡状態に維持されていないかを検証する簡単な方法とを可能にする。これにより、発振回路の動作を監視して発振回路の損傷を防止することが可能となる。
【0013】
発振回路により使用される構成要素は、システムの構造を複雑にするものではなく、その結果、システムのコストを増加させず、アセンブリの設計に影響を及ぼさない。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、各バイアス線は、バイアス抵抗器を含む。
【0015】
これらの特徴により、パワートランジスタの最適なスイッチング点を確保するように抵抗器の寸法を決定することが可能である。従って、トランジスタが実行するスイッチングは効率的である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、発振回路は、コイルと並列に接続されたコンデンサであって、2つのコンデンサ端子を含むコンデンサをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの電力回路は、コンデンサ端子を第2の電池端子に接続する2つの接続線と、各接続線ごとに、パワートランジスタの一方のゲート端子を対応する接続線に接続するバイパス線とをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、各接続線は、このパワートランジスタにおける負の電圧エクスカーションを防止するために、対応するバイパス線と対応するコンデンサ端子との間に直列に接続されたダイオード及び防止抵抗器を含む。
【0019】
これらの特徴により、制御不能な状態でトランジスタのうちの1つをオフにする可能性がある負の電圧エクスカーションを回避することが可能である。追加的に、これらの特徴により、不可逆的な損傷につながる可能性のある、トランジスタの高過ぎるゲート・ソース間電圧のリスクを軽減することが可能である。最後に、スイッチングプロセスをさらに最適化するように防止抵抗器の寸法を決定することが可能である。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、分圧器は、第2の電池端子と対応するバイパス線との間の接続線の一方に組み込まれる。
【0021】
これらの特徴は、マイクロコントローラが処理できるように電圧を低下させるのに役立つことによりシステムの状態を監視することを可能にする。これにより、システムのスイッチング状態に対応する電圧を読み取ることが可能となる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、分圧器のない接続線は、対応するバイパス線と第2の電池端子との間に接続された負荷抵抗器をさらに含む。
【0023】
これらの特徴により、分圧器の動作を最適化することが可能である。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの電力回路は、各パワートランジスタごとに、対応するパワートランジスタの一対の端子間に接続されたコンデンサをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、前記一対の端子は、ソース端子及びゲート端子である。
【0026】
これらの特徴により、電力回路内で広範なトランジスタを使用して発振回路内でトランジスタに一貫した動作をさせることが可能である。従って、トランジスタにより実行されるスイッチングプロセスを最適化することが可能である。実際に、それ自体公知であるように、トランジスタは概して、トランジスタの端子間に寄生容量を生じさせる。これらの容量は、回避又は防止することが困難である。そのため、一対の端子間に実際のコンデンサを配置することにより、既知の応答と寄生容量に対するある程度の保護とを提供することが可能となる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、コイルには、正弦波信号により電力が供給される。
【0028】
これらの特徴により、サセプタが発生させる熱を正確に制御することができる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、コイルは、貯蔵部分の周囲に配置される。
【0030】
これらの特徴により、コイルからのエネルギーをサセプタに効率良く伝達することができる。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、加熱システムは、発振回路と並列に電池に接続されたバーストリザーバであって、並列に接続された少なくとも2つのコンデンサを含むバーストリザーバを含む。
【0032】
これらの特徴により、非常に大きな電流が必要とされる蒸気吸入セッションの開始時に起こる可能性のある高い電圧降下から電池を保護することが可能である。追加的に、これにより、回路に電流を非常に急速に供給することが可能となる。これは、電池のみの使用では常に可能であるとは限らない。なぜなら、電池の応答時間は、必要に応じて必ずしも速いとは限らないからである。
【0033】
本発明はまた、上で説明したような加熱システムを含むエアロゾル発生アセンブリに関する。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、エアロゾル発生アセンブリは、エアロゾル発生デバイスとカートリッジとをさらに含み、電池は、エアロゾル発生デバイス内に配置され、貯蔵部分は、カートリッジ内に配置される。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、コイル及び発振回路は、エアロゾル発生デバイス内に配置される。
【0036】
これらの特徴により、着脱可能なカートリッジを含むアセンブリ内に加熱システムを配置することが可能である。
【0037】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、且つ添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明によるエアロゾル発生アセンブリであって、本発明による加熱システムを含むエアロゾル発生アセンブリを示す概略図である。
【
図2】
図1の加熱システムであって、発振回路を含む加熱システムを示す概略図である。
【
図3】
図1の加熱システムの例示的な配置の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載される構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行できることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0040】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生デバイス」又は「デバイス」という用語は、エアロゾル発生ユニット(例えば、ユーザが吸入するための、例えばマウスピースにあるデバイスの出口に送達される前に、エアロゾルに凝縮する蒸気を発生させるエアロゾル発生要素)により、蒸気吸入のためのエアロゾルを含むエアロゾルをユーザに送達するための蒸気吸入デバイスを含み得る。デバイスは、携帯可能であり得る。「携帯可能」とは、ユーザが保持して使用するデバイスを指し得る。デバイスは、例えば、可変の時間量にわたってヒータシステムを作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生させるように適合され得、その発生は、トリガにより制御され得る。トリガは、蒸気吸入ボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが作動させるものであり得る。吸入センサは、(タバコ、葉巻、又はパイプなどの従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にするために、吸入強度及び吸入持続時間に対する感度が高いものであり得る。デバイスは、ヒータ及び/又は加熱されるエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、その温度をエアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度に維持するための温度調節制御部を含み得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体の1つ以上として気化性材料の浮遊物を含み得る。前記浮遊物は、空気を含む気体の状態であり得る。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指すか又は蒸気を含み得る。エアロゾルは、気化性材料の1つ以上の成分を含み得る。
【0042】
本明細書で使用される場合、「気化性材料」、又は「前駆体」、又は「エアロゾル形成物質」、又は「物質」という用語は、エアロゾルを形成するように空気中で気化可能な任意の材料を指すために用いられる。気化は、一般に、400℃未満、好ましくは350℃までの温度などの気化性材料の沸点までの温度上昇により得られる。気化性材料は、例えば、エアロゾル発生液、ゲル、ワックス、又は発泡体など、エアロゾル発生固体であって、ロッドの形態であり得、処理されたタバコ材料、再構成タバコ(RTB)の圧着シート若しくは配向ストリップ、又はこれらの任意の組み合わせを含むエアロゾル発生固体を含むか又はそれらからなり得る。気化性材料は、ニコチン、カフェイン、又は他の有効成分の1つ以上を含み得る。有効成分は、液体であり得る担体で運ばれ得る。担体は、プロピレングリコール又はグリセリンを含み得る。香料も含まれ得る。香料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)、又は類似物を含み得る。
【0043】
図1を参照すると、本発明によるエアロゾル発生アセンブリ10は、エアロゾル発生デバイス12と、気化性材料を貯蔵するように構成されたカートリッジ14とを含む。この
図1の例では、カートリッジ14は、以下で詳細に説明するように、エアロゾル発生デバイス12のペイロード区画室に挿入できる着脱可能なカートリッジである。この場合、例えば、気化性材料が使い果たされたときに、カートリッジ14を交換するか又はカートリッジ14に補充することができる。別の実施形態(図示せず)によれば、カートリッジは、エアロゾル発生デバイスのペイロード区画室により形成され得る。従って、気化性材料が使い果たされたときに、カートリッジに補充することができる。
【0044】
図1に示すように、エアロゾル発生デバイス12は、電池端部22とマウスピース端部24との間にデバイス軸線Xに沿って延在するデバイスハウジング21を含む。
【0045】
デバイスハウジング21は、デバイス12に電力を供給するように設計された電力ブロック32と、電力ブロック32により電力が供給される加熱システム34の少なくとも一部と、コントローラ36とを含むエアロゾル発生デバイス12の内部の境界を定める。デバイスハウジング21はまた、デバイス12の内部に配置され又は/及びデバイスハウジング21の少なくとも1つの壁により少なくとも部分的に画定され得るペイロード区画室38を画定する。追加的に、
図1の例では、デバイスハウジング21は、マウスピース40をマウスピース端部24に画定する。マウスピース40は、ペイロード区画室38と流体連通し、エアロゾル発生デバイス12をカートリッジ14と共に動作させたときにエアロゾルをユーザに送達するように構成された空気流出口を画定する。別の実施形態によれば、マウスピース40は、カートリッジ14に組み込むことができる。デバイスハウジング21は、当該技術分野で知られるデバイス12の異なる機能を果たす他の内部構成要素をさらに含み得る。
【0046】
図1は、エアロゾル発生デバイス12の様々な構成要素の概略図のみを提示し、必ずしもこれら構成要素の実際の物理的配置及び寸法を示すわけではないことに留意すべきである。特に、そのような配置は、エアロゾル発生デバイス12の設計及びその構成要素の技術的特徴に従って選択され得る。
【0047】
電力ブロック32は、電池32B(
図2に示す)と電池充電器とを含む。電池32Bは、例えば、外部供給源により提供される電源を用いて充電され所定の電圧の直流電流DCを供給するように設計された公知の電池である。電池32Bは、例えば正電圧端子V
+である第1の電池端子と、例えば負電圧端子V
-である第2の電池端子とを画定する。電池充電器は、電池を外部供給源に接続することが可能であり、この目的で、(例えばmini-USBコネクタのような)電力コネクタ、又は無線充電コネクタを含む。電池充電器はまた、外部供給源から電池に送達される電力を、例えば所定の充電プロファイルに従って、制御することが可能である。そのような充電プロファイルは、例えば、その充電レベルに応じて、電池の充電電圧を定めることができる。
【0048】
コントローラ36は、エアロゾル発生デバイス12の動作を制御することが可能である。詳細には、コントローラ36は、気化性材料から蒸気を発生させるために、電力ブロック32から加熱システム34に電力を供給するように構成される。コントローラ36は、蒸気吸入ボタンを用いてユーザにより又は例えばユーザのパフの検出のようなトリガイベントに続いて作動させることができる。コントローラ36は、それ自体が公知であるデバイス12の他の任意の追加の機能を果たし得る。そのような機能は、例えば、外部デバイスに対するデバイス12の通信能力、維持能力、解析能力などに関係し得る。
【0049】
ペイロード区画室38は、カートリッジ14を受け入れるように設計された空洞を画定する。本発明の好ましい実施形態では、空洞は円筒形状を有する。
図1の例では、ペイロード区画室38は、デバイスハウジング21の1対の平行壁41、42間にデバイス軸線Xに沿って延在する。同じ例では、ペイロード区画室38は、平行壁41、42間にデバイス軸線Xに沿って延在する少なくとも1つの側壁43によりさらに境界が定められる。この場合、ペイロード区画室38は、カートリッジ14をペイロード区画室38に挿入するために使用される開口部をさらに画定し得る。開口部は、例えばデバイス軸線Xに直交して延在し得、特にペイロード区画室38を含むデバイスハウジング21の固定部から離れる方向にデバイスハウジング21の着脱可能部を移動させたときに形成される。着脱可能部は、例えば、マウスピース24と壁42とを含むことができる。着脱可能部は、ヒンジ又はねじで固定部に取り付けることができる。マウスピース40がカートリッジ14に組み込まれる実施形態では、ペイロード区画室38への開口部は、例えば、デバイス10のマウスピース端部24においてデバイス軸線Xに直交して延在することができる。この場合、カートリッジ14を、デバイス軸線Xに従ってペイロード区画室38に挿入することができる。カートリッジ14がペイロード区画室38により形成される実施形態では、ペイロード区画室38の開口部は、ペイロード区画室38に気化性材料を補充するために使用することができる。
【0050】
平行壁41、42の各々は、例えばデバイス軸線Xに直交する。壁41は、電池端部22に隣接し、デバイスハウジング21内に形成された空気流路とカートリッジ14との間の空気流通路に適した孔を画定する。壁42は、マウスピース端部24に隣接し、カートリッジ14とマウスピース40の空気流出口との間の空気流通路に適した孔を画定する。
【0051】
図1に示すように、カートリッジ14は、以下でさらに詳細に説明するように、カートリッジハウジング51と、エアロゾル発生デバイス12内に含まれない加熱システム34の部分とを含む。カートリッジハウジング51は、デバイス端部とマウスピース端部との間にカートリッジ軸線Yに沿って延在し、これらの端部において、カートリッジ軸線Yに直交する2つの平行壁61、62と、平行壁61、62間にカートリッジ軸線Yに沿って延在する少なくとも1つの側壁63とを画定する。本発明の好ましい実施形態では、カートリッジハウジング51は、円筒形状を有する。この場合、平行壁61、62は、円形状とすることができる。カートリッジハウジング51の壁61、62、63は、例えばプラスチック材料のような誘電材料で作製される。有利には、本発明によれば、壁61、62、63は、適切な工業プロセスにより作製される単一部品を形成することができる。カートリッジハウジング51の壁61、62、63は、エアロゾル形成前駆体を貯蔵するように構成された貯蔵部分66の境界を定める。
【0052】
図1の例では、カートリッジ14がエアロゾル発生デバイス12のペイロード区画室38内に受け入れられたときに、カートリッジ軸線Yは、デバイス軸線Xと一致し、カートリッジハウジング51の平行壁61、62は、ペイロード区画室38の平行壁41、42に接触する。詳細には、この場合、壁61は、壁41に接触し、壁41の対応する孔に面する空気流入口を画定して、カートリッジ14内への空気流の流入を可能にする。同様に、壁62は、壁42に接触し、壁42の対応する孔に面する空気流出口を画定して、カートリッジ14からの空気流の排出を可能にする。
【0053】
図2は、加熱システム34をより詳細に示す。この
図2を参照すると、加熱システム34は、カートリッジ14がペイロード区画室38内に受け入れられたときに貯蔵部分66の近傍に配置されるコイル72と、貯蔵部分66内に配置されたサセプタ74と、電池32Bにより提供される直流電流からコイル72に交流電流を発生させるように構成された発振回路76とを含む。
【0054】
コイル72及びサセプタ74はそれぞれ、サセプタ74がコイル72との磁気相互作用に続いて気化性材料を加熱することが可能であるように配置される。かかる配置の特定の例が
図3に示されている。
【0055】
この
図3を参照すると、同じく
図1において破線で確認できる、コイル72は、カートリッジ14がペイロード区画室38内に受け入れられたときに、カートリッジ軸線Yに沿ってカートリッジ14の貯蔵部分66の周囲に配置されるように意図されている。詳細には、
図1及び
図3の例では、コイル72は、カートリッジハウジング51の側壁63の周囲に、好ましくは、側壁63の全長にわたって大きく延在するように意図されている。この目的で、コイル72は、ペイロード区画室38の側壁43に組み込まれるか、又はこの側壁43から突出してデバイス軸線Xに沿ってペイロード区画室38の周囲に延在する。従って、コイル72は、デバイス12に組み込まれ、カートリッジ14がペイロード区画室38内に受け入れられたときに、コイル72は、カートリッジハウジング51の側壁63の周囲に、ひいてはカートリッジ14の貯蔵部分66の周囲に延在する。
【0056】
サセプタ74は、カートリッジ14の貯蔵部分66内に、好ましくはカートリッジ軸線Yに沿って配置される。サセプタ74は、導電性材料、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金などの金属材料、又は軟鋼などの強磁性材料で作製される。サセプタ74の形状及び寸法は、コイル72との磁気結合を、ひいてはエネルギー伝達効率を最適化するように選択される。サセプタ74の形状及び寸法はまた、カートリッジの形態に応じて選択される。
図3の例によれば、サセプタ74は、カートリッジ軸線Yに沿って延在する直方体形状を有する。別の例によれば、サセプタ74は、同じくカートリッジ軸線Yに沿って延在する細管形状を有する。例えば、管は、30μm~150μmの、例えば実質的に50μmに等しい壁厚を画定することができる。製造プロセスを簡略化するために、より大きな壁厚を選択することができる。両方の例によれば、サセプタ74の長さは、5mm~13mmの間、有利には7mm~11mmの間で選択することができる。一般的な場合、サセプタ74の形状は、コイル72により生成される電磁場をより良好に集中させるように選択される。例えば、磁場の強度が幾何学的中心において最も低い、円形状を有するコイル72の場合、サセプタ74の形状は、コイル72の巻線により近接するように選択される。いくつかの実施形態によれば、サセプタ74は、実質的に同じ形状及び寸法又は異なる形状及び/若しくは寸法を有するいくつかの別個の要素から作製することができる。
【0057】
図4には、発振回路76の電気回路図が示されている。この
図4を参照すると、発振回路76は、少なくとも1つの電力回路82と、電力回路82の動作を制御することが可能なマイクロコントローラ83とを含む。発振回路76は、回路76を電池32Bに接続するスイッチであって、例えばコントローラ36又はマイクロコントローラ83により制御されるスイッチをさらに含み得る。このスイッチは、
図4に示すトランジスタQ1により形成され得る。
【0058】
マイクロコントローラ83は、以下でさらに詳細に説明する分圧器によって提供される信号を解析することにより発振回路76の動作を監視することが可能である。マイクロコントローラ83はまた、(「きれいな」正弦波信号を得るためにスイッチングを十分に同期させる)発振回路76のスイッチング性能を改善することも可能である。この目的で、マイクロコントローラ83は、マイクロコントローラ83に接続されたバイアス線に微量の電圧を印加するか又はバイアス線にかかる微量の電圧を除去することができ、バイアス線については以下でさらに詳細に説明する。換言すれば、マイクロコントローラ83は、発振回路76により実行されるスイッチングプロセスを最適化するために、バイアス線の各々に電圧信号を発生させることが可能である。
【0059】
電力回路82は、2つのパワートランジスタQ1A、Q1Bと、各パワートランジスタQ1A、Q1Bごとに、マイクロコントローラ83に接続されたバイアス線LA、LBとを含む。各パワートランジスタQ1A、Q1Bは、例えば、コイル72を第2の電池端子V-に接続するソース端子及びドレイン端子と、対応するバイアス線LA、LBに接続されたゲート端子とを含むMOSFETトランジスタである。ゲート端子は、このゲート端子に印加される電圧に応じて、対応するソース端子及びドレイン端子間の電流を制御することが可能である。
【0060】
本発明の特定の例によれば、パワートランジスタQ1Aに関して
図5に示すように、各パワートランジスタQ1A、Q1Bには、例えば各パワートランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続されるコンデンサ(
図4には図示せず)が設けられる。詳細には、この図によれば、コンデンサC
GSは、ゲート端子Gとソース端子Sとの間に設けられる。このコンデンサは、物理的にパワートランジスタQ1Aの非常に近くに配置することができ、従って、良好なスイッチング容量を確保する一方で広範なトランジスタの使用を可能にすることができる。実際に、ゲート端子及びソース端子のような一対の端子間に実際のコンデンサを配置することにより、既知の応答とトランジスタQ1Aにより発生する寄生容量に対するある程度の保護とを提供することが可能となる。
【0061】
各バイアス線LA、LBは、バイアス抵抗器R5A、R5Bを含む。追加的に、バイアス線LAは、トランジスタQ2を介して第1の電池端子V+に接続することができる。このトランジスタQ2は、電力供給(発振)のオンとオフのスイッチングと、電力潮流の制御(PWM電力制御)とに使用される。トランジスタQ2は、トランジスタQ1に接続されるゲート端子を画定することができる。従って、オン/オフ状態のスイッチングの際に、トランジスタQ1がマイクロコントローラ83により制御される場合、トランジスタQ1は、トランジスタQ2のオン/オフ状態のスイッチングのためにも、トランジスタQ2のゲート端子に電力を供給する。各バイアス抵抗器R5A、R5Bは、例えばツェナーダイオードを示す。これらのバイアス抵抗器R5A、R5Bの値は、対応するパワートランジスタQ1A、Q1Bにより実行されるスイッチングプロセスを最適化するように選択される。
【0062】
詳細には、バイアス抵抗器R5A、R5Bの値は、対応するパワートランジスタQ1A、Q1Bのスイッチングの適切なタイミングを確保する方法で選択される。実際に、それ自体公知であるように、対応するトランジスタに与えられる電圧と、トランジスタが物理的に受け取る電圧との間に遅れが生じる。この遅れは、対応する抵抗器R5A、R5Bの抵抗値に比例する時定数に強く依存する。それゆえ、抵抗器R5A、R5Bの値は、きれいな正弦波信号を得るために適切な(タイミングの良い)スイッチングを確実にする、適切な遅れ値を「設定」する方法で選択される。本発明の特定の実施形態では、抵抗器R5A、R5Bの値は、所与のゲート電圧(V
GS)に達するのに必要な時間を解析することにより解析的に選択することができる。この時間は、次式によりモデル化することができる。
【数1】
式中、
R
Gは、実効ゲート抵抗、すなわち、対応する抵抗器R5A、R5Bの抵抗値にゲート駆動回路の抵抗を加えたものであり、
C
issは、トランジスタの実効入力容量(例えば、
図5の例では、結果として得られるコンデンサC
GSの容量)であり、
V
gsは、実ゲート・ソース間電圧であり、V
GSは、最大ゲート・ソース間電圧(駆動回路が設定する電圧、又はこの場合、特に発振回路76により設定される電圧)である。
【0063】
次式を使用して、特定の閾値に達するのに必要な時間を求める(及びR5A又はR5Bの値を調節する)ために電圧V
gsをモデル化することができる。
【数2】
【0064】
本発明の特定の例では、抵抗器R5A、R5Bの値は、トランジスタQ1A、Q1Bのスイッチング点を最適化するために、例えば500オームのような値から始まり、例えば両方の抵抗器に対して180オームの値で終わるいくつかの値をテストすることにより選択される。
【0065】
図4を参照すると、電力回路82は、2つの接続線CLA、CLBと、各接続線CLA、CLBごとに、パワートランジスタQ1A、Q1Bの一方のゲート端子を対応する接続線CLA、CLBに接続するバイパス線BLA、BLBとをさらに含む。バイアス線LA、LBの各々は、例えば、対応するバイパス線BLA、BLBに接続される。各接続線CLA、CLBは、コイル72と並列に接続されたコンデンサCHの端子の一方を第2の電池端子V
-に接続する。
【0066】
各接続線CLA、CLBは、対応するパワートランジスタQ1A、Q1Bにおける負の電圧エクスカーションを防止するために、ダイオードD1A、D1B及び防止抵抗器R34A、R34Bを含む。各ダイオードD1A、D1B及び各防止抵抗器R34A、R34Bは、対応するバイパス線BLA、BLBとコンデンサCHの対応する端子との間に直列に接続される。
【0067】
バイアス抵抗器R5A、R5Bの場合と同様に、防止抵抗器R34A、R34Bの値は、スイッチングプロセスを最適化するために、対応するトランジスタQ1A、Q1Bの寄生容量に基づいて選択される。従って、前述の式を使用してこれらの値を解析的に推定することが可能である。本発明の特定の例では、これらの値は、いくつかの値をテストすることにより選択される。保持値は、例えば、両方の抵抗器で10オームに等しい値とすることができる。
【0068】
接続線CLA、CLBの一方、例えば接続線CLBは、マイクロコントローラ83に接続された出力端子Tを画定する分圧器90をさらに含む。
図4に示すように、分圧器90は、ダイオードD1B及び防止抵抗器R34Bと直列に第2の電池端子V
-に接続される。詳細には、分圧器90は、対応するバイパス線BLA、BLBと第2の電池端子V
-との間に接続することができる。
図4の例では、他の接続線CLA、すなわち分圧器90のない接続線は、分圧器90と並列に接続された負荷抵抗器R1Aを含む。換言すれば、負荷抵抗器R1Aは、対応するバイパス線BLAと第2の電池端子V
-との間に接続される。抵抗器R1Aの抵抗値は、スイッチング速度と、回路がオフにされる必要がある場合に不必要にオンにされることから保護される回路の能力との間のトレードオフとして選択される。この抵抗値は、典型的には、キロオームの範囲内にあり、例えば2.2キロオームに実質的に等しく選択することができる。
【0069】
分圧器90は、直列に接続された2つの分圧抵抗器R1B及びR1Cを含み、出力端子Tは、これらの抵抗器の間に配置される。これらの抵抗器R1B及びR1Cの抵抗値は、マイクロコントローラ83の出力電圧が3.3V又は5Vのいずれかであり得ることを確実する方法で選択することができる。回路内の電圧は概して高い(例えば8Vよりも大きい)ので、マイクロコントローラ83により許容されるレベルまで電圧を下げるために、抵抗器R1B及びR1Cが必要である。このような分圧器90を備えて、マイクロコントローラ83は、スイッチングエッジを読み取り、発振回路76が正しく動作を開始しており、安定した短絡状態に維持されていないことを検証することが可能である。この目的で、マイクロコントローラ83は、分圧器90の出力端子Tから発せられる信号に一貫性があること、すなわち、オン/オフ状態のスイッチングが同じ/比較可能な期間内に起こることを監視し得る。
【0070】
本発明の一実施形態では、加熱システム34は、発振回路76と並列に電池32Bに接続されたバーストリザーバ93をさらに含み得る。
図4に示すように、バーストリザーバ93は、並列に接続された少なくとも2つのコンデンサCDL2、CDL4を含む。バーストリザーバ93のコンデンサは、加熱の開始当初(例えば、数マイクロ秒の範囲)に非常に大きな電流で電池32Bを補助するように寸法が決定される。これは、加熱システム34による加熱を円滑に開始するのに役立つ。追加的に、バーストリザーバ93は、特にトランジスタQ1A、Q1Bがスイッチングする非常に短い瞬間に、発振回路76に電流を提供する高い共振周波数(約500kHz)を確保する。一般的な場合、バーストリザーバの静電容量の合計値は、220uF以下として選択することができる。コンデンサCDL2、CDL4の並列接続は、電池をより良好に補助するのに役立つ、結果として得られるバーストリザーバの内部抵抗の減少を可能にする。結果として得られるバーストリザーバの全容量及び内部抵抗は、電池(又は電池パック)の内部抵抗及び動的応答に応じて選択される。バーストリザーバの内部抵抗が低いほど、このリザーバからの補助が少なくて済む。
【0071】
図6は、発振回路76から発せられた結果信号ACを示す。分かるように、この信号は、正弦波信号を提示し、コイル72に電力を供給するために使用される所定の電圧プロファイルを形成する。結果信号ACは、第1の信号SAと第2の信号SBとで構成され、両方の信号は、電力回路82により選択的に生成される。
【0072】
ここで、エアロゾル形成アセンブリ10の動作について説明する。初めに、カートリッジ14がエアロゾル発生デバイス12から抜き取られることが考えられる。カートリッジは、例えば、エアロゾル発生デバイス12とは別に購入し、消耗品として使用することができる。ユーザがアセンブリ10の動作を起動しようとするときに、ユーザはまず、カートリッジ14をエアロゾル発生デバイス12のペイロード区画室38に挿入する。この位置では、コイル72は、カートリッジ14の貯蔵部分66の周囲に配置され、従って、サセプタ74は、コイル72の内側に配置される。次いで、ユーザは、例えばスイッチを作動させることにより、又はパフを行うことにより、コントローラ36の動作を起動する。これにより、発振回路76の動作、特にマイクロコントローラ83の動作が起動される。電力回路82は、自励発振プロセスを実行して、コイル72に交流電流ACを生じさせる。このプロセスは、分圧器90を使用してマイクロコントローラ83により監視される。コイル72は、熱に変換される電流をサセプタ74上に誘導する。熱は前駆体に伝達される。この熱は、コイル72に流れる交流電流を制御することにより正確に制御することができる。
【国際調査報告】