(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】格納除染装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/28 20060101AFI20240213BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20240213BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20240213BHJP
G01T 1/167 20060101ALI20240213BHJP
G01T 1/16 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G21F9/28 511B
G21F9/28 531B
G21F9/00 A
G21F3/00
G21F9/28 501Z
G21F9/28 551Z
G21F9/00 Z
G01T1/167 C
G01T1/16 A
G01T1/167 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547580
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2022052266
(87)【国際公開番号】W WO2022167386
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523296818
【氏名又は名称】ソレタンシュ・フレシネ・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】Soletanche Freyssinet S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】デイビス-ジョンストン,エイドリアン
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA09
2G188AA19
2G188BB17
2G188DD06
(57)【要約】
外面(16、116、416)を除染するための除染装置(1、101、434)が提供される。除染装置は、可動プラットフォーム(4、104、204)及び可動プラットフォーム上に取り付けられる格納構造(6、106、406)を有する。格納構造は、少なくとも1つの開口と、開口の周囲に配置されたそれぞれの接触面(22、122)とを有する。接触面は、格納構造が外面の近接して位置決めされたときに、外面と接触して作業容積を画定するように配置される。除染装置は、外面を除染するように配置された除染デバイス(8、108、301、306)を含む。除染デバイスは、作業容積内に配置され、少なくとも1つの開口を通じて外面にアクセスするように配置される。また、外面に吸引力を加えるために格納構造内に部分真空を発生させるための真空システムもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を除染するための除染装置であって、
可動プラットフォームと、
前記可動プラットフォーム上に取り付けられた格納構造であって、
少なくとも1つの開口と、
前記少なくとも1つの開口の周囲に配置されたそれぞれの接触面であって、
前記格納構造が外面に近接して位置決めされたときに、前記外面と接触して作業容積を画定するように配置される、接触面とを含む格納構造と、
前記外面を除染するように配置された除染デバイスであって、前記作業容積内に配置され、前記少なくとも1つの開口を通じて前記外面にアクセスするように配置された除染デバイスと、
前記外面に吸引力を加えるように構成された前記格納構造内に部分真空を生成するための真空システムとを備える、除染装置。
【請求項2】
前記接触面は、前記開口の周りで実質的に連続している、請求項1に記載の除染装置。
【請求項3】
前記接触面が可撓性である、請求項1又は2に記載の除染装置。
【請求項4】
前記格納構造は、前記接触面に向かって延在するフードを備える、請求項1、2、又は3に記載の除染装置。
【請求項5】
前記フードが、蛇腹形状を有する1つ以上の壁を備える、請求項4に記載の除染装置。
【請求項6】
前記可撓性フードは、第1の平面と第2の平面との間で前記接触面を回転させるように配置され、前記第1の平面は前記第2の平面に平行ではない、請求項4又は5に記載の除染装置。
【請求項7】
前記真空システムは、前記外面の前記除染によって生成される廃棄物のための吸引バリア及び/又は引込みを提供する、請求項1~6のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項8】
前記接触面が1つ以上の摩擦パッドを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項9】
前記接触面は、前記1つ以上の摩擦パッドを介して前記格納構造を前記外面に保持するように配置されている、請求項8に記載の除染装置。
【請求項10】
前記可動プラットフォームは、浮遊デバイスを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項11】
前記格納構造は、前記外面の除染によって生成される廃棄物へのアクセスを可能にするためのハッチ又はドアを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項12】
前記格納構造は、前記接触面に接続された本体を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項13】
前記格納構造の前記本体は、シールドを含む人間のオペレータによる占有のためのモジュールを含む、請求項12に記載の除染装置。
【請求項14】
前記除染デバイスは、超高圧水圧解体ツール、機械的破砕ツール、ドライアイスブラストツール、グリットブラストツール、レーザ加工ツール、ニトロ噴射ツール、化学除去ツール、及び高圧水噴射ツールのうちの1つ以上を備える除染ツールを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項15】
前記除染デバイスは、前記格納構造に対して移動可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項16】
前記除染装置は、前記制御された除染デバイスが取り付けられるフレームを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項17】
前記除染デバイスは、前記外面の層を前記外面内への少なくとも閾値深さまで掘削又は除去するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項18】
前記除染装置は、複数の接触面と、前記複数の接触面をそれぞれ備える複数のフードとを備え、前記フードの各々は、前記格納構造の前記本体と前記それぞれの接触面との間に延在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項19】
前記接触面が1つ以上のヒンジを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項20】
前記除染装置は、前記外面内又は外面上の汚染物質に関連する物理的又は化学的特性を感知及び/又は検出するための少なくとも1つのセンサ及び/又は検出器を備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項21】
センサ及び/又は検出器フィードバックシステムを備える、請求項20に記載の除染装置。
【請求項22】
前記除染装置は、前記格納構造内の前記除染デバイスの動作を制御するための制御室を備えるか、又は制御室と連通している、請求項1~21のいずれか一項に記載の除染装置。
【請求項23】
前記制御室が、前記格納構造の構成要素を制御するための制御装置を備える、請求項22に記載の除染装置。
【請求項24】
外面を除染するための除染装置であって、
可動プラットフォームと、
前記可動プラットフォーム上に取り付けられた格納構造であって、
少なくとも1つの開口と、
前記少なくとも1つの開口の周囲に配置されたそれぞれの接触面であって、
前記格納構造が外面に近接して位置決めされたときに、前記外面と共にバリアを形成して作業容積を画定するように配置される、接触面とを含む格納構造と、
前記外面を除染するように配置された除染デバイスであって、前記作業容積内に配置され、前記少なくとも1つの開口を通じて前記外面にアクセスするように配置された除染デバイスとを備える除染装置。
【請求項25】
外面を除染するための除染装置であって、
格納構造であって、
少なくとも1つの外側開口と、
前記少なくとも1つの外側開口の周囲に配置されたそれぞれの外側接触面であって、
前記格納構造が外面に近接して位置決めされたときに、前記外面と共にバリアを形成して作業容積を画定するように配置される、外側接触面とを含む格納構造と、前記外面を除染するように構成された除染デバイスであって、前記作業容積内に配置され、前記外側開口を通じて前記外面にアクセスするように構成される、除染デバイスとを備え、
前記除染デバイスは、内側開口と、前記内側開口の周囲に配置された内側接触面とを備え、
前記内側接触面は、前記外面と前記除染デバイスとの間に内側バリアを形成するように配置され、
前記除染デバイスは、除染ツールを備え、前記除染ツールは、前記内側開口を通じて前記外面にアクセスするように配置される、除染装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の表面から汚染された材料を除去するための装置に関する。
【0002】
材料の汚染は、それが望まれない表面上への材料(汚染物質)の物理的又は化学的移動のために生じる。一部の汚染物質は、表面に強く付着している可能性があり、したがって、材料の多孔質構造によって吸収されることによって、又は材料と化学的に反応することによって、例えば腐食によって、除去することが困難である可能性がある。集中的な除染操作によるそのような「固定された汚染物質」の除去は、汚染物質が微粒子、ガス、又はエアロゾルのいずれかとして空気中に運ばれることをもたらし得る。
【0003】
表面、例えば建物の壁、床、又は天井から汚染された材料を除去することによる構造物の除染は、修復シナリオにおいて、特に原子力設備を解体するときに頻繁に行われる作業である。汚染(例えば、放射性)物質が存在すると、構造物の修復又は解体、及び結果として生じる廃棄物の処分が複雑になる可能性がある。
【0004】
多くの産業は、放射性物質、毒性化学物質、アスベスト、生物学的活性物質、及び有害廃棄物を含むものなどの産業除染プロセス中に毒性又は有害な物質の放出を抑制又は制御する必要がある。これは、危険なエアロゾル生成を(例えば、粉塵又は液滴の形態で)引き起こし得る、高圧水噴射又は破砕などのより集中的な除染動作中に特に当てはまる。現在の除染作業の性質は、周囲環境の(再)汚染をもたらす可能性があり、特にそれらが有毒又は有害な物質を含む場合、人間のオペレータが存在することが危険であることを意味し得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、物理的、化学的、又は生物学的汚染物質を含む表面から汚染物質及び/又は汚染物質を含む物質をこのように除去するための改良された装置を提供することである。
【0006】
第1の態様から、本発明は、外面を除染するための除染装置であって、
可動プラットフォームと、
可動プラットフォーム上に取り付けられた格納構造であって、少なくとも1つの開口と、
少なくとも1つの開口の周囲に配置されたそれぞれの接触面であって、
格納構造が外面に近接して位置決めされたときに、外面と共にバリアを形成して作業容積を画定するように配置される、接触面とを含む格納構造と、
外面を除染するように配置された除染デバイスであって、作業容積内に配置され、少なくとも1つの開口を通じて外面にアクセスするように配置された除染デバイスとを備える除染装置を提供する。
【0007】
本発明は、外面を除染するための除染装置を提供する。この装置は、可動プラットフォーム上に取り付けられた格納構造を有する。格納構造は、(例えば、その中に画定される)1つ以上の開口を有し、各開口は、開口の周囲にそれぞれの接触面を有する。外面は、格納構造の外部の(除染される)表面、例えば、汚染された構造又は建物の壁又は床又は天井であるため、そのように呼ばれる。
【0008】
接触面が外面に隣接して位置決めされる場合、接触面を外面と接触させて、外面と格納構造との間にバリア(例えば、シール)を形成することができる。これは、接触面及び格納構造によって画定される開口内の外面の部分によって画定される、(例えば、封止された)作業容積を形成する効果を有する。
【0009】
除染デバイスは、(例えば、封止された)作業容積内で動作して、外面を除染する。典型的には、汚染除去は、外面から汚染物質又は汚染物質を含む材料を除去することを含む。格納構造は、除染プロセスから生じる任意の廃棄物(例えば、エアロゾルを含む)のための格納(すなわち、格納構造の内側)を提供することが理解されるであろう。
【0010】
したがって、本発明の少なくとも好ましい実施形態によれば、(例えば、封止された)作業容積内の外面を除染することによって、除染プロセスによって生成された廃棄物(例えば、外面から除去された汚染物質又は汚染された材料)の大部分(好ましくは、実質的に全て)を格納構造内に格納できることが分かるであろう。これは、汚染された材料又は汚染物質を周囲環境に放出することなく、(例えば、封止された)容積内の外面の安全な除染を達成するのに役立ち、汚染された材料又は汚染物質は環境を汚染し得る。
【0011】
更に、有毒又は危険な汚染された材料を格納構造内に格納することによって、領域(例えば、(例えば、封止された)作業容積の外側)にいる可能性がある任意の人間が、いったん汚染された材料が外面から除去された後に汚染物質と接触することを実質的に防止することができる。
【0012】
例えば、従来の除染装置では、除染プロセスから生じるエアロゾルが放出される可能性がある。場合によっては、エアロゾルが吸入され得る危険がある。汚染物質がアスベスト、放射性物質、又は任意の他の毒性物質若しくは危険物質を含む場合、吸入は、慢性若しくは急性疾患、又は死亡さえも引き起こし得る。したがって、本発明によるいくつかの実施形態はまた、除染デバイスと周囲環境との間にバリア(例えば、シール)を提供することによって、そのような物質の吸入の可能性を防止するのに役立つ。
【0013】
除染デバイス自体は、格納構造の少なくとも1つの開口の周囲のバリアに加えて、例えば汚染物質の除去によって生成される廃棄物の放出を防止するのに役立つバリアを備えてもよい。これは、それ自体新規であり、発明性があると考えられ、したがって、第2の態様から、本発明は、外面を除染するための除染装置であって、
格納構造であって、少なくとも1つの外側開口と、
少なくとも1つの外側開口の周囲に配置されたそれぞれの外側接触面であって、
格納構造が外面に近接して位置決めされたときに、外面と共に外側バリアを形成して作業容積を画定するように配置される、外側接触面とを含む格納構造と、外面を除染するように構成された除染デバイスであって、作業容積内に配置され、外側開口を通じて外面にアクセスするように構成される、除染デバイスとを備え、除染デバイスは、内側開口と、内側開口の周囲に配置された内側接触面とを備え、内側接触面は、外面と除染デバイスとの間に内側バリアを形成するように配置され、除染デバイスは、除染ツールを備え、除染ツールは、内側開口を通じて外面にアクセスするように配置される、除染装置を提供する。
【0014】
したがって、本発明の第2の態様によれば、(例えば、封止された)作業容積内の外面を除染することによって、かつ内側バリア(例えば、内側シール)を有する(例えば、除染ツールが作業している外面の領域の周りに直接)除染デバイスを用いて、内側バリア内に格納されていない可能性がある廃棄物(例えば、汚染物質)を外側バリア(例えば、外側シール)内に格納できることが分かる。
【0015】
除染デバイスが(例えば、シールされた)作業容積内に配置されているために、内側バリア(例えば、内側シール)は、外側バリア(例えば、外側シール)内にある(外側バリアによって囲まれている)ことが理解されるであろう。内側バリア及び外側バリアの両方を有することは、例えば、2つのバリア(例えば、シール)のうちの1つが漏出又は故障した場合であっても、外面の除染が(例えば、封止された)容積内で安全に達成され得ることを確実にするのに役立つ。内側バリア(例えば、シール)を有することは、(内側バリアの外側の)それらの領域の中に放出される廃棄物の量を低減することによって、(例えば、封止された)作業容積及び格納構造の内部の汚染を低減することに更に役立ち得る。
【0016】
内側バリア及び外側バリアの両方を備える実施形態では、内側バリアは、外面の除染中に生成される廃棄物の大部分を格納し得る(好ましくは格納する)。しかしながら、内側バリアによって格納されないいくらかの廃棄物(例えば、塵又はエアロゾル)が存在し得る。したがって、外側バリアは、内側バリアによって格納及び/又は除去されなかった残りの廃棄物を格納及び/又は除去するための二次バリアとして機能する。廃棄物は、吸引によって除去されてもよく、例えば、格納構造の本体内/格納構造の本体内の廃棄物モジュール内に輸送されてもよい。
【0017】
本発明の第2の態様による一組の実施形態では、除染装置は、格納構造が取り付けられる可動プラットフォームを更に備え得る。
【0018】
本発明の第2の態様及び実施形態は、必要に応じて、本明細書に記載されている好ましい特徴及び任意選択の特徴のいずれか1つ又は複数又は全てを含むことができる、好ましくは適宜含むことが当業者には理解されよう。例えば、第2の態様の外側開口は、第1の態様の開口であり得ることが理解されるであろう。同様に、第2の態様の外側バリア及び外側接触面は、それぞれ、第1の態様のバリア及び接触面であり得る。
【0019】
外面は、汚染物質を格納し得る任意の表面であってもよい。一組の実施形態において、除染される外面は、建物又は現場の壁又は床である。例えば、外面は、使用済み燃料池の壁及び/又は床であってもよい。この場合、(使用済み燃料池の壁及び/又は床の)汚染物質は、放射性であり得る。
【0020】
外面は、任意の材料を含んでもよい。一組の好ましい実施形態では、外面は、例えば放射性物質(例えば放射性核種)で汚染されたコンクリートを含む。外面は、屋内又は屋外に位置してもよい。本発明の少なくとも好ましい実施形態は、特に、例えば換気がなく、密閉空間にあるため、エアロゾルが局所環境に長く留まる可能性がある屋内で実施される場合に、除染手順の安全性を改善するのに役立つ。
【0021】
一組の実施形態では、格納構造は、接触面に接続された本体を備える。接触面は、展開可能であるように配置されてもよく、例えば、接触面は、格納構造の本体から離れて除染される外面に向かう方向に展開されるように配置されてもよい。
【0022】
格納構造の本体は、任意の適切な又は所望の形状及びサイズであってもよい。好ましい一組の実施形態では、格納構造の本体は、少なくとも高さ1m、幅2m、深さ2mである。
【0023】
好ましくは、格納構造の本体は、1つ以上の壁及び屋根を備える。格納構造は、組み立てられるか、又は構築されてもよく、次いで、除染される外面は、格納構造に近接して配置されてもよい。好ましくは、外側格納構造は、除染される外面の近くに、例えば、可動プラットフォームの上部に、建設又は構築される。これにより、汚染された産業環境における外面がその場で除染されることを可能にし、毒性又は有害物質が構造又は現場から制御不能に放出されるリスクを低減するのに役立つ。格納構造の本体は、床を備えてもよく、又は格納構造の本体の基部は、例えば、可動プラットフォームが作業容積の床を形成するように開放していてもよい。
【0024】
格納構造の本体は、モジュール式であってもよく、すなわち、個別のモジュールを備えてもよい。したがって、一組の実施形態では、格納構造の本体は、例えば、英国特許出願公開第2376701(A)号に記載されているような本出願人のModuCon(商標)システムなどのモジュール構造を含む。そのようなモジュール構造は、任意の適切かつ所望のサイズの外側格納構造を迅速かつ容易に組み立てることを可能にし得る、多用途で、容易に運搬可能で、使用が簡単なシステムを提供するのに役立つ。
【0025】
したがって、好ましくは、格納構造の本体は、予め製作された構成要素(例えば、壁、屋根、及び/又は床などのパネル)を含み、これらは次いで、格納構造の本体を形成するために(例えば、除染される外面の近傍で)互いに接合される。次いで、そのようなモジュール式構造は、例えば、外面が除染されると、格納構造がそれ自体で除染及び/又は分解されることを可能にし得る。
【0026】
したがって、一組の実施形態では、格納構造は一時的格納構造である。
【0027】
除染装置自体が、新しい環境で使用する前に除染される必要があり得ることが理解されるであろう。したがって、一組の実施形態では、格納構造の内面及び/又は外面(例えば、パネル)は、除去可能なコーティングを含む(例えば、除去可能なコーティングで被覆される)。これは、格納構造の汚染除去を容易にするのに役立つ。除去可能なコーティングは、刷毛塗り、ロール塗り、又は噴霧によって塗布されてもよい。したがって、一組の実施形態では、格納構造上にたまたま存在する汚染物質は、コーティングによって捕捉され、その後、コーティングを剥離することによって除去され得る。
【0028】
好ましくは、格納構造の本体(例えば、その構成要素)は、(例えば、難燃性)ガラス強化プラスチックを含む。
【0029】
好ましくは、格納構造の構成要素は、格納構造の内側からの任意の汚染物質の漏出を防止するのに役立つように一緒に封止される。一実施形態では(例えば、システムが外面を除染するために使用される場合)、格納構造又はそのモジュールのうちの1つは、(例えば、放射能用の)シールドを備える。これは、格納構造(又はそのモジュール)内に実質的に全ての毒性又は有害物質を収容するのに役立つ。
【0030】
一実施形態では、格納構造は、窓、1つ以上の電源、照明、換気、及び濾過システムのうちの1つ以上(例えば、全て)を含む。換気及び/又は濾過システムは、例えば、任意の毒性又は有害物質を換気及び/又は濾過システム内に捕捉することによって、格納構造内にそのような材料を格納するのに役立つ。
【0031】
格納構造は、廃棄物収集のための、例えば、除染プロセスによって生成された廃棄物を受け入れる及び/又は貯蔵するためのモジュールを備えてもよい。一組の実施形態では、格納構造は、例えば汚染された廃棄物の除去を可能にするために、除染プロセスによって生成された廃棄物へのアクセスを可能にするハッチ又はドアを備える。好ましくは、ハッチ又はドアは、格納構造の本体上又は本体内に位置する。
【0032】
格納構造は、例えば、除染装置の動作を制御するために、又は除染装置の保守若しくは修理のために、人を格納構造内に収容するように構成されてもよい。
【0033】
したがって、一組の実施形態では、格納構造の(例えばモジュール式の)本体は、人間のオペレータによる占有のためのモジュール(人間に安全なモジュール)、例えば制御室を備えてもよい。
【0034】
そのようなモジュールは、人間のオペレータにとって安全であるべきであり、したがって、一組の実施形態では、人間に安全なモジュールは、シールドを備える。シールドは、エアロゾル又は煙霧が人間に安全なモジュールに入るのを防止するのを助けるように構成されてもよく、及び/又は放射線放出汚染物質の場合、シールドは放射線シールドを含む。
【0035】
一組の実施形態では、格納構造は、防護服、例えば空気供給スーツを着た作業者によってアクセス可能であるように構成される。例えば、格納構造は、格納構造の本体の一端にアクセス可能なモジュール(例えば、減圧室/更衣室)を備えてもよい。これは、作業者が構造内で手動操作を実行して外面を除染することを可能にし得る(例えば、人間の作業者が、内部で高圧水噴射又は強力な高圧クリーナを用いる)。
【0036】
格納構造の少なくとも1つの開口は、少なくとも1つの開口の周囲に配置された接触面によって画定される。好ましくは、接触面は開口の周囲で実質的に連続している。これは、格納構造の外面と接触面との間の開口の周囲に実質的に連続したバリア(例えば、シール)を提供するのに役立つ。
【0037】
接触面は、任意の適切な又は所望の形状又はサイズの開口を提供するように構成されてもよい。好ましい一組の実施形態では、開口は実質的に矩形である。好ましい一組の実施形態では、開口の平面における開口の最大寸法は、1m~3mである。
【0038】
接触面は剛性であってもよい。好ましい一組の実施形態では、接触面は可撓性である。可撓性接触面は、任意選択的に、例えば、平坦でない(例えば、角部又は曲線を含む)外面を有するバリア(例えば、シール)を形成するために、形状を変化させるように構成されてもよい。接触面は、任意の適切な材料を含むことができる。好ましくは、接触面は、ポリマー材料、例えば合成ゴムを含む。
【0039】
好ましい一組の実施形態では、格納構造は、開口を画定する接触面に向かって(例えば、格納構造の本体から)延びるフードを備える。フードは、好ましくは、格納構造(例えば、格納構造の本体)の開放部分と、開口を画定する接触面との間に延在する。
【0040】
フードは剛性であってもよい。好ましい一組の実施形態では、フードは可撓性である。フードは、任意選択的に、例えば、平坦でない(例えば、角部又は曲線を含む)外面を有するバリア(例えば、シール)を形成するために、形状を変化させるように構成されてもよい。フードは、任意の適切な材料を含むことができる。好ましくは、フードは、ポリマー材料、例えばゴム、例えば接触面と同じ材料を含む。
【0041】
フードは、例えば、格納構造の本体から離れて、除染される外面に向かって、機械的に展開可能であってもよい。フードの(例えば、断面)形状は、任意の好適かつ所望の形状であってもよい。一組の実施形態において、フードは、(例えば、接触面の平面に平行な平面において)実質的に一定の断面を有し、例えば、フードはトンネル状である。好ましくは、フードの断面(例えば、接触面の平面に平行な平面における)は、実質的に(例えば、丸みを帯びた角部を有する)矩形である。
【0042】
好ましい一組の実施形態では、フードは、蛇腹形状を有する1つ以上の壁を備える。蛇腹形状は、フードに可撓性を提供するのに役立つ。
【0043】
蛇腹状のフードは、装置が使用されていないときに折り畳まれた構成を有してもよい(例えば、折り畳まれた構成に収納されてもよい)。これにより、非使用時に装置をよりコンパクトにすることができる。使用時、フードは、外面に向かって少なくとも部分的に(例えば、完全に)広がる(すなわち、展開される)ように構成され得る。蛇腹状のフードによって与えられる可撓性は、除染される外面が完全に平坦でない(例えば、湾曲している)場合、又は開口の平面に平行な平面内にない場合(少なくともフードが後退している場合)に、バリア(例えば、シール)が形成されるのを助ける。
【0044】
一組の実施形態では、フードは、第1の平面内の第1の外面及び第2の平面内の第2の外面を除染するための可撓性(例えば、蛇腹状)フードを備え、例えば、第1の平面は第2の平面に平行ではなく、例えば、第1の平面は第2の平面に直交する。したがって、好ましくは、フードは、第1の平面と第2の平面との間で接触面を回転させるように構成され、第1の平面は、第2の平面に平行ではない。
【0045】
格納構造(例えば、格納構造の本体)と接触面(開口を画定する)との間に延在する可撓性フードを有することにより、接触面を格納構造(例えば、格納構造の本体)に対してある範囲の方向に移動させることができる。したがって、バリア(例えば、シール)は、除染装置に近接する一定範囲の外面上に(格納構造の本体に対して一定範囲の角度で)形成されてもよい。
【0046】
そのような一組の実施形態では、第1の表面を除染した後、(例えば蛇腹状の)フードは、接触面を第2の表面に向けるように(可撓性フードを折り畳むことによって)曲げて配置されてもよい。例えば、使用済み燃料池の除染中に、同じフード(及び例えば除染ツール)を使用して壁及び床の両方を除染することが望ましい場合があり、これはこの可撓性によって助けられる。別の例では、部屋の内部の除染のために、壁、床、及び天井を除染することが必要な場合がある。
【0047】
接触面と外面との間のバリア(例えば、シール)は、任意の好適かつ所望の様式で形成されてもよい。好ましい一組の実施形態では、格納構造(例えば、格納構造の接触面)は、外面上の接触面の吸引バリア(例えば、吸引シール)を提供するように構成される。
【0048】
格納構造(例えば、格納構造の接触面)は、例えば、任意の適切かつ所望の方法で、(例えば、封止された)作業容積の少なくとも一部と周囲環境との間に圧力差を生成することによって、吸引バリア(例えば、吸引シール)を提供するように構成されてもよい。
【0049】
一組の実施形態では、除染装置は、外面に吸引力を印加するために、格納構造(例えば格納構造の作業容積)内に部分真空を生成するための真空システムを備える。これは、それ自体新規であり、発明性があると考えられ、したがって、第3の態様から、本発明は、外面を除染するための除染装置であって、
可動プラットフォームと、
可動プラットフォーム上に取り付けられた格納構造であって、少なくとも1つの開口と、少なくとも1つの開口の周囲に配置されたそれぞれの接触面であって、
格納構造が外面に近接して位置決めされたときに、外面と接触して作業容積を画定するように配置される、接触面とを含む格納構造と、
外面を除染するように配置された除染デバイスであって、作業容積内に配置され、少なくとも1つの開口を通じて外面にアクセスするように配置された除染デバイスと、外面に吸引力を印加するために、格納構造内に部分真空を生成するための真空システムとを備える除染デバイスを提供する。
【0050】
したがって、本発明の第3の態様によれば、(例えば、封止された)作業容積内の外面を除染することによって、及び格納構造内に部分真空を提供するための真空システムを有することによって、例えば、接触面が外面と接触するときに、吸引力が外面に加えられ得ることが分かる。
【0051】
吸引力は、外面及び/又は接触面と外面との間の吸引バリアの除染によって生成された廃棄物のための引込み(例えば格納構造を通る空気流)を提供し得る。真空システムによって生成される引込みは、汚染物質の除去によって(例えば、廃棄物を外面から格納構造内に引き込むことによって)生成される廃棄物(例えば、固体、液体、及びエアロゾル)の放出を防止するのに役立ち得る。外面と接触面との間の(すなわち、それらが接触しているときの)吸引バリア(例えば、吸引シール)はまた、(例えば、格納構造の外部の周囲環境に放出されることからの)廃棄物の放出を防止するのに役立ち得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、空気の引込みは、例えば、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタ又はオフガス処理を含む、例えば、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムを通じて、外部環境から「作業容積」の中へ空気を取り込む真空システムによって生成される。いくつかの実施形態では、格納構造内に部分真空を生成するための真空システムは、接触面を外面に一時的に封止するのに十分な大きさの吸引力を外面に加えるように構成されることによって、表面と開口との間に封止が形成されることを可能にする。
【0053】
本発明の第3の態様及び実施形態は、必要に応じて、本明細書に記載されている好ましい特徴及び任意選択の特徴のいずれか1つ又は複数又は全てを含むことができる、好ましくは適宜含むことが当業者には理解されよう。
【0054】
真空システムは、部分真空、よって圧力差を生成するための真空ポンプを備えてもよい。真空システムはまた、除染デバイスによって生成された(及び、例えば放出された)任意の廃棄物(例えばエアロゾル)を外面から、例えば格納ユニットの本体内に、例えば廃棄物収集のためのモジュール内に引き込むために使用されてもよい。真空システムは、(例えば、封止された)作業容積から汚染物質又は汚染された材料を除去するための真空ホースを(例えば、(例えば、封止された)作業容積内に)備えてもよい。
【0055】
内側バリアを備える実施形態では、除染デバイス(例えば除染デバイスの内側接触面)は、内側吸引バリア(例えば内側吸引シール)を提供するように構成されてもよい。除染デバイス(例えば除染装置の内側接触面)は、例えば除染デバイスの少なくとも一部と(例えば封止された)作業容積との間に任意の適切かつ所望の方法で圧力差を生成することによって、内側吸引バリア(例えば内側吸引シール)を提供するように構成されてもよい。一組の実施形態では、除染デバイスは、外面に吸引力を印加するために、除染デバイス(例えば除染装置の接触面)内に部分真空を生成するための真空システムを備える。
【0056】
除染デバイスの真空システム(例えば、格納構造のための真空システムの一部を含んでもよい)は、部分真空、したがって圧力差を生成するための真空ポンプを含んでもよい。真空システムはまた、除染デバイスによって生成された(例えば、放出された)任意の廃棄物(例えば、エアロゾル)を外面から、例えば、廃棄物収集のためのモジュール内に引き込むために使用されてもよい。真空システムは、内側バリア内から汚染物質又は汚染された材料を除去するための真空ホース(例えば、除染デバイス(例えば除染デバイスのフード)内)を備えてもよい。
【0057】
一組の実施形態では、(格納構造及び/又は除染デバイスの)接触面は、1つ以上の摩擦パッドを含む。1つ以上の摩擦パッドは、好ましくは、(外面と接触しているときに)比較的高い摩擦係数を有する材料、例えば、高い表面粗さを有する材料を含む。したがって、そのような一組の実施形態では、接触面は、1つ以上の摩擦パッドを介して格納構造(例えば格納構造のフード)を外面に保持するように配置される。
【0058】
一組の好ましい実施形態において、1つ以上の摩擦パッドは、開口の周囲の少なくとも80%にわたって延在する。バリア(例えば、シール)が、外面上の接触面によって形成されるとき、1つ以上の摩擦パッドは、その(例えば、封止された)位置からの除染装置の移動を制限するのに役立ち得る。したがって、1つ以上の摩擦パッドは、バリア(例えば、シール)が定位置にある間(例えば、吸引中)、位置の確実な「係止」を達成するのに役立つ。
【0059】
接触面によって画定される作業容積は、除染デバイスが開口を通じて除染される外面にアクセスすることを可能にする。したがって、除染デバイスは、好ましくは、格納構造内に位置する。(例えば、封止された)作業容積は、除染デバイスを取り囲むのに十分な大きさであるべきである。一組の実施形態では、(例えば、封止された)作業容積は、除染デバイス及び任意の追加の調査機器(例えば、検出器又はセンサ)を取り囲むのに十分な大きさである。
【0060】
除染デバイスは、好ましくは除染ツールを備える。汚染物質又は汚染物質を含む材料を外面から除去するために、任意の適切な所望の除染ツールを使用することができる。一組の実施形態では、除染ツールは、(超高圧(UHP))水圧解体ツール、機械的破砕ツール、ドライアイスブラストツール、グリットブラストツール、レーザ加工ツール、ニトロ噴射ツール、化学除去ツール(例えば、化学試薬を使用する)、及び/又は高圧水噴射ツールのうちの1つ以上を備える。例えば、UHP水圧解体遠隔操作車両は、外面の水平及び垂直の破砕のために使用され得る。
【0061】
当業者であれば、エアロゾルが生成されるいくつかの実施形態では、外面から除去された汚染物質又は汚染された材料の少なくとも大部分(例えば、実質的に全て)が格納構造内に格納され得ることを理解するであろう。除染(例えば、高圧水噴射)中に、外面から除去された汚染物質又は汚染された材料は、外部環境において、例えばエアロゾルの形態で浮遊するようになる場合がある。したがって、(例えば、封止された)作業容積は、除染中に放出される汚染物質又は汚染された材料が外部環境(すなわち、格納構造の外部の環境)に逃げるのを防止するのに役立つ。例えば、本発明の少なくとも好ましい実施形態を使用する場合、除去プロセス中に浮遊する場合がある汚染された材料(例えば、塵)が、堆積によって外面を再汚染することを実質的に防止することができる。
【0062】
一組の実施形態では、除染デバイスは、例えば格納構造に対して(格納構造内で)移動可能である。除染デバイスは、遠隔操作されてもよい。一組の実施形態では、除染デバイスは、遠隔操作車両に取り付けられる。一組の実施形態において、除染デバイスは、フード、プラットフォーム、又は格納構造の床又は壁に取り付けられる。一組の実施形態では、除染装置はフレームを備え、例えば、(例えば、外面がx-y平面に延在する場合)遠隔制御除染デバイスがフレームに沿って又はフレームを横切って移動することを可能にするように、(例えば、遠隔)制御除染デバイスが(例えば、移動可能に)取り付けられている。一組の実施形態では、除染デバイスは、支持フレームに取り付けられた1つ以上のレール(又は歯付き(ギア)ラック(複数可))に移動可能に取り付けられる。
【0063】
除染デバイスは、除染される外面から汚染物質を除去するように、(例えば、封止された)作業容積内で動作する。これは典型的には、外面の層を除去することによって達成される。いくつかの実施形態では、除去される層は、(質量、体積、又は汚染物質自体に特有の他の尺度(例えば、放射能)に関して)少なくとも90%の汚染物質を含む層である。簡単に言えば、外面の一部(例えば、層)を削り取って、危険材料又は毒性材料を除去する。
【0064】
一組の好ましい実施形態では、除染デバイスは、外面の層を、例えば外面の元のレベルから、外面内への少なくとも閾値深さまで掘削又は除去するように構成される。一組の実施形態では、(例えば、外面から除去される層の)閾値深さは、10mm~50mm、例えば、20mm~30mm、例えば、約25mmである。閾値深さは、(質量、体積、又は汚染物質自体に特有の他の尺度(例えば放射能)に換算して)外面に存在する汚染物質の目標量(例えば、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも99%)を除去するために外面が掘削又は除去されるべき深さとして設定されてもよい。
【0065】
除染デバイスは、特定の速度、例えば、少なくとも閾値深さまで表面の層を掘削又は除去するのに適した速度で外面に対して移動するように構成されてもよい。一組の実施形態では、閾値深さ(したがって、例えば、特定の速度)は、(質量、体積、又は汚染物質自体に特有の他の尺度(例えば、放射能)に換算して)汚染物質のかなりの(又は目標の)割合を除去するために、表面のどれだけ(すなわち、どの深さまで)が除去されるべきかによって決定される。これは、汚染物質の表面への浸透深さを決定又は予測することが可能である実施形態において有用である。これは、除染装置が十分な量の汚染物質及び/又は汚染された材料を除去すること、例えば、外面内又は外面上に存在する汚染物質の量及び/又は強度を安全なレベルまで低減することを助けることができる。
【0066】
一組の実施形態では、除染デバイスは、閾値深さよりも10%~15%大きい深さを有する層を掘削及び/又は除去するように構成される。例えば、閾値深さが25mmである場合、除染デバイスは、外面の最初の28mmを除去することができ、外面が完全に除染されることを確実にするのに役立つ。これは、閾値深さの決定における不確実性が補償されることを可能にし、危険が除染装置によって十分に除去され得る可能性を高めるのに役立つという利点を有する。
【0067】
格納構造を支持するための可動プラットフォームが存在する。可動プラットフォームの本体は、平坦な上面(その上に格納構造が取り付けられる)を備えることが好ましい。可動プラットフォームは、好ましくは立方体形状を含む。可動プラットフォームは、1m~5mの幅を有してもよい。可動プラットフォームは、その幅の1~5倍の長さを有してもよい。可動プラットフォームは、その厚さの3~6倍の幅を有してもよい。
【0068】
一組の実施形態において、可動プラットフォームはモジュール式であり、例えば、互いに接続された複数の(例えば、コンクリート)ブロックから形成される。プラットフォームは、格納構造へのアクセスを可能にするために、(例えば、傾斜路及び手すりを用いて)通路に接続されてもよい。
【0069】
プラットフォームは、水平方向(すなわち、横方向又は前後方向)に移動可能であってもよい。一組の好ましい実施形態では、プラットフォームは、垂直方向(すなわち、上下、又は換言すれば、プラットフォームの平面に垂直な方向)に移動可能である。
【0070】
プラットフォームは、機械的に持ち上げられてもよく、例えば、プラットフォームは、移動式昇降作業プラットフォームを備えてもよい。機械的に持ち上げられるプラットフォームは、それ自体を機械的に持ち上げるためのシザーリフトを備えるか、又はシザーリフトに接続されてもよい。この構成は、プラットフォームの正及び負の垂直方向の両方への平行移動を可能にし得る。
【0071】
プラットフォームは、漸進的に垂直に(上又は下に)移動されるように構成されてもよい。プラットフォームは、例えば、新しい高さでの水平除染のための時間を与えるために、プラットフォームの高さを変更する間に休止があり得るように移動可能に配置され得る。これは、プラットフォームが再び移動させられる前に、除染デバイスが、新たに露出した壁を除染するための十分な時間を有することを可能にし得る。
【0072】
好ましい一組の実施形態では、可動プラットフォームは、浮遊デバイス(例えば、1つ以上のブイ及び/又はポンツーン)を備える。そのようなプラットフォームは、例えば水上に浮くように構成されてもよい。浮遊デバイスは、プラットフォームが沈まないようにするのに役立ち得る。このような一組の実施形態では、除染される外面は、プール又は池の壁及び/又は床であってもよい。
【0073】
可動プラットフォームは、水位の変化と共に移動するように構成されてもよい。水位は、漸進的に変更(例えば、低減)されてもよい。一組の例示的な実施形態において、水位は、500mm~1000mm刻みで、例えば600mm~800mm刻みで、例えば約700mm刻みで低減される。新しい高さでの水平除染のための時間を可能にするために、水位を変更する間に休止があってもよい。一組の例示的な実施形態において、700mmの水が除去される毎に、このレベルからアクセス可能な外面は、28mmの深さまで除去される。
【0074】
一組の実施形態では、プラットフォームはコンクリートを含む。汚染が放射性である場合、コンクリートを含むプラットフォームを有することは、格納構造に対して良好な放射線シールドを提供する。そのような実施形態では、格納構造内に配置された電子機器は、放射線の損傷からより良好に保護される。これは、プラットフォーム上に人間のオペレータがいる場合(例えば、メンテナンス中)に、受ける放射線量を安全なレベルまで低減するために有利であり得る。更に、コンクリートを含むプラットフォームは、(例えば、プラスチックプラットフォームと比較して)剛性及び安定性を有するプラットフォームを提供するのに役立つ。
【0075】
一組の実施形態では、格納構造は、複数の開口と、複数の開口のそれぞれの周囲に配置された複数の接触面(すなわち、各開口の接触面)とを備える。上述したように、格納構造の本体と(少なくとも1つの開口を画定する)接触面との間に延在する除染装置の部分は、フードとして知られ得る。格納構造が複数の開口及び複数の接触面を備える場合、格納構造は、各接触面のためのフードを備えることが好ましい。好ましくは、格納構造は、各フードを介して外面を除染するように構成された少なくとも1つの除染デバイスを備える。したがって、好ましくは、格納構造は、複数の接触面をそれぞれ有する複数のフードを備え、各フードは、格納構造の本体とそれぞれの接触面との間に延在する。
【0076】
複数のフード及び複数の除染デバイスを有することは、除染手順がより迅速に完了されることを可能にし得、及び/又は外面のより多くがアクセスされることを可能にし得る。少なくとも1つのフードは、格納構造の本体の任意の表面から、例えば、下(例えば、床)又は上(例えば、屋根)から延在してもよい。一組の実施形態において、1つ以上のフードは、格納構造の本体の側面(例えば、壁)から延在する。これは、除染される外面が壁である場合、より良好なアクセスを提供し得る。
【0077】
一組の実施形態において、接触面は、1つ以上のヒンジを含む。このようにして、除染装置が外面の角部に近接して配置されるとき、ヒンジは、(例えば、フードが展開されるにつれて)接触面が形状を変化させて、角部内又は縁部の周囲に嵌合し、(例えば、封止された)作業容積を画定することを可能にする。例えば、開放ヒンジ機構は、接触面の外縁部が後方に(例えば、格納構造に向かって)移動して角部の内側に嵌合することを可能にしてもよく、閉鎖機構は、接触面の外縁部が前方に移動して縁部の周りに嵌合することを可能にしてもよい。このような実施形態は、手作業で除染するために人間の作業者の器用さを典型的に必要とする角部及び縁部の除染を可能にするのに役立ち得る。
【0078】
接触面が1つ以上の摩擦パッドを備える実施形態では、1つ以上の摩擦パッドは1つ以上のヒンジを備えてもよい。例えば、1つ以上の摩擦パッドは、接触面が曲面上又は角部の周りにバリア(例えば、シール)を形成することを可能にする一組のヒンジを備えてもよい。
【0079】
一組の実施形態では、除染装置は、外面内又は外面上の汚染物質に関連する物理的又は化学的特性を感知及び/又は検出するための少なくとも1つのセンサ及び/又は検出器を備える。例えば、汚染物質がガンマ放出放射性物質である場合、センサ及び/又は検出器は、ガンマカメラ(又は分光計)であってもよい。これらのセンサ及び/又は検出器のうちの1つ以上を有することは、汚染物質に関連付けられる物理的又は化学的特性が、検出される、例えば、測定されることを可能にする(例えば、放射性汚染物質の線量率)。特に、これは、汚染された表面のホットスポット識別、及び任意選択で除染技術効率の定期的な評価を可能にするのに役立つ。
【0080】
好ましくは、汚染物質に関連する物理的又は化学的特性の位置は、少なくとも1つのセンサ及び/又は検出器によって判定され得る。センサ及び/又は検出器は、物理的又は化学的特性のキャプチャされた測定データ及び/又はキャプチャされたビデオ画像データを取得するように構成されてもよい。したがって、汚染物質に関連する物理的又は化学的特性の位置及び測定値の(視覚的)記録を構築することができる。これは、汚染物質が、例えば汚染された環境から、除染装置によって正確に識別され、処分されることを可能にするのに役立つ。
【0081】
少なくとも1つのセンサ及び/又は検出器は、格納構造の本体上に取り付けられてもよい。一組の実施形態では、少なくとも1つのセンサ及び/又は検出器のうちの少なくとも1つは、作業容積内に取り付けられる。
【0082】
一組の実施形態では、除染装置は、例えば、少なくとも1つのセンサ及び/又は検出器からの出力を受信するように構成された(例えば、センサ及び/又は検出器)フィードバックシステムを備える。好ましくは、(例えば、センサ及び/又は検出器)フィードバックシステムは制御ユニットを備え、センサ及び/又は検出器からキャプチャされたデータは制御ユニットによって処理される。これは、除染プロセスのためのフィードバックを提供し得る。例えば、除染デバイスの移動は、汚染物質に関連する物理的又は化学的特性の測定された位置及び/又は強度に基づいて制御されてもよい。このフィードバックシステムは、除染装置が外面の領域を「見失う」可能性を低減する。
【0083】
一組の実施形態において、除染装置は、例えば除染装置及び/又は除染デバイスの水平移動を可能にするために、追跡システムを備える。プラットフォーム(提供される場合)は、好ましくは、除染の間、静止しており、(例えば、フード及び)除染デバイスは、(例えば、線形追跡システムを使用して)外面に沿って水平に駆動され得る。
【0084】
除染デバイスによる外面への侵入の深さは、追跡速度によって制御されてもよく、すなわち、追跡速度は、除染装置及び/又は除染デバイスの構成要素の移動速度である。例えば、センサ及び/又は検出器は、外面(例えば、格納構造の(例えばフード)内)を監視するように配置され得る。(例えば、1つ以上のセンサ/検出器から)取得されたデータは、必要とされる侵入深さを達成するように追跡速度(例えば、水平移動の速度)を調整するために(例えば、制御ユニットによって)使用され得る。
【0085】
一組の実施形態では、除染装置(例えばその除染デバイス)は遠隔制御される。そのような実施形態は、人間が(例えば、長期間にわたって)入るには危険すぎると考えられる過酷な汚染環境を除染することを可能にし得ることが理解されるであろう。例えば、放射性環境では、人間のオペレータは、比較的短時間で、個人の最大許容放射線量にさらされる可能性があり、従来の手動除染を安全に実行することを妨げる。本発明のいくつかの実施形態による遠隔制御された除染装置は、人間のオペレータが、外面の中又は上に存在し得る汚染物質に暴露されることを防止するのに役立ち得る。
【0086】
一組の実施形態では、除染装置は、(例えば、遠隔制御される)除染装置(例えば、格納構造内の除染デバイス(複数可)、可動プラットフォーム、センサ/検出器、及び/又は接触面)の動作を制御するための制御室(例えば、格納構造から離れた)を備えるか、又は制御室と通信する。これは、(例えば、人間の)オペレータが、除染デバイスから離れて除染を実行することを可能にし(例えば、(例えば、遠隔制御された)除染デバイスを使用して)、それにより、オペレータが除染されている外面に自分自身をさらすことを回避するのに役立つ。
【0087】
制御室は、格納構造に対して任意の適切な位置又は所望の位置に位置することができる。一組の実施形態では、制御室及び格納構造は物理的に分離されている。一組の実施形態では、格納構造の本体は、制御室を(例えば、専用制御モジュールとして)備える。
【0088】
一実施形態では、制御室は、格納構造から離れて(すなわち、異なる位置に)配置される。これは、異なる部屋、異なる建物、異なる現場、異なる地理的位置(例えば、都市又は国)などにあってもよい。好ましくは、制御室は、格納構造の遠隔制御される構成要素を制御するための制御装置を備える。制御装置は、読み出し装置、例えば、(例えば、格納構造内のカメラ(複数可)によってキャプチャされた画像を示すための)ディスプレイスクリーン、及び/又は(例えば、格納構造内のセンサ(複数可)によってキャプチャされた測定値を示すための)センサ及び/又は検出器ディスプレイを含んでもよい。これは、制御室内の任意のオペレータ(複数可)が、遠隔制御された除染デバイス、接触面(例えば、フード)、及び/又は可動プラットフォームを見て、適宜制御することを可能にするのに役立ち得る。
【0089】
制御室は、例えば、格納構造内の遠隔制御される構成要素を能動的に制御する(例えば、操作する)ための、1つ以上の入力制御デバイスを含んでもよい。例えば、入力制御デバイスは、除染デバイス、接触面(例えばフード)、及び/又は可動プラットフォーム(例えばその動き)を制御するためのジョイスティック(又は触覚コントローラなどの同様の操作デバイス)を含んでもよい。
【0090】
したがって、好ましくは、制御室は、除染装置(及び、例えば、除染装置の構成要素のうちの1つ以上(例えば、全て))とデータ通信しており、例えば、制御室は、除染装置(の構成要素のうちの1つ以上(例えば、全て))からデータ信号を受信し、除染装置(の構成要素のうちの1つ以上(例えば、全て))にデータ信号を送信するように構成される。これは、除染デバイス、1つ以上のセンサ及び/又は検出器、並びに可動プラットフォームを含むが、それらに限定されない。したがって、好ましくは、制御室及び/又は除染装置(例えば、それぞれ)は、適宜、1つ以上の(例えば、有線又は無線)データ送信機及び/又は受信機を備える。除染装置の構成要素は、制御室のオペレータ(複数可)によって常に能動的かつ直接的に制御されてもよく、例えば、制御室のオペレータ(複数可)は、除染装置の完全な制御を有してもよい。
【0091】
一組の実施形態では、除染される外面は、例えば、1つ以上のセンサを使用して、最初に調査される。これにより、除染される外面を特徴付けることができる。次いで、物体又は構造は、その特徴付けから収集された情報を使用して除染され得る。これは、除染プロセスが少なくとも部分的に自動化されることを可能にし得る。
【0092】
一実施形態では、キャプチャされたデータを使用して、除染される外面のモデルが構築される。モデルはまた、少なくとも部分的に自動的に、除染デバイス(複数可)のうちの1つ以上(例えば、全て)を制御するために使用されてもよい。例えば、除染される外面の場所、形状、及びサイズ(並びに任意選択で単位面積当たりの線量率)が既知である場合、除染装置の構成要素(例えば、接触面、除染デバイス、及び/又は可動プラットフォーム)は、例えば、外面上又は外面内の検出された汚染物質の分布に基づいて、2つの位置の間で自動的に移動するように制御され得る。例えば、センサ又は検出器(例えば、ガンマカメラ)からのフィードバックが、除染ツールの(移動/追跡)速度を制御するために使用されてもよい。
【0093】
これは、オペレータ(複数可)が除染装置の全ての構成要素に対して連続的な制御を行わなければならないことを回避するのに役立つ。しかしながら、オペレータ(複数可)が、除染装置の構成要素に対して少なくとも一部の制御を行い、それらの動作が完全に自動化されないことが有用であり得る。したがって、好ましくは、様々なカメラ(複数可)、センサ(複数可)、検出器(複数可)などが、それぞれのデータをキャプチャし、それを、除染装置の構成要素の動作を制御する際にオペレータ(複数可)が使用するために制御室に送信するように構成されてもよい。
【0094】
本明細書で説明される任意の態様又は実施形態の特徴は、適切な場合には、本明細書で説明される任意の他の態様又は実施形態に適用され得る。異なる実施形態又は実施形態のセットを参照する場合、これらは必ずしも明確ではないが、重複し得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
ここで、特定の本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照しながら、ほんの一例として説明する。
【
図1】は、本発明の一実施形態による除染装置を概略的に示す。
【
図2】は、本発明の別の実施形態による除染装置を概略的に示す。
【
図3】は、本発明の実施形態と共に使用するためのプラットフォームの例を概略的に示す。
【
図4A】は、本発明の実施形態と共に使用するための除染デバイスの例を示す。
【
図4B】は、本発明の実施形態と共に使用するための除染デバイスの例を示す。
【
図5】は、隅部に嵌合するためのヒンジ機構を有する本発明の一実施形態による除染装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
原子力発電によって提示される重要な課題は、放射性廃棄物の安全な貯蔵及び浄化である。核燃料プール又は池は、使用済み燃料棒を冷却及び貯蔵する1つの方法を提供する。これらの池は、水で満たされており、典型的には、壁及び床上に厚いコンクリート層で裏打ちされている。それらは、短寿命同位体が崩壊する時間を与えるのに十分長い間、即時「冷却」を提供し、ロッドから放出される電離放射線を減少させる。水及びコンクリートは、ロッドが乾燥貯蔵又は再処理のために他の場所に送られるまで、(例えば、原子力施設の作業員を保護するために)適切なシールドを提供する。
【0097】
ウラン-235(燃料棒に使用される)の最も問題のある核分裂生成物の1つは、セシウム-137である。セシウム-137は、高度に水溶性であり、約30年の半減期を有する。セシウム-137及びストロンチウム-90などの放射性核種は、使用済み燃料棒から池水に放出され得る。時間の経過と共に、放射性同位元素で汚染された水がコンクリートの表面層に吸収される。つまり、使用済み燃料及び水が除去されても、放射性核種が多孔性コンクリートマトリックス内に捕捉されるため、残っている池の壁及び床が汚染され続ける。
【0098】
原子力発電所を閉鎖する際、使用済み燃料池は、最終的な解体及び廃炉の前に、それらのコンクリート壁及び床を浄化する必要がある。汚染水及び汚染コンクリートの両方が、現場から除去されるべきである。汚染コンクリートを除去することは、環境並びに近くの労働者の健康及び安全にとって危険であり得る。例えば水噴射によるコンクリートの破断又は破壊は、汚染された廃棄物を空中浮遊させ、汚染されたエアロゾルが周囲環境、特に屋外池に放出される可能性がある。
【0099】
図1は、本発明の一実施形態による除染装置1を概略的に示す。ここで、除染装置1は、使用済み燃料池の(例えば壁の)表面から汚染コンクリートを除去するために使用されている。そのような使用済み燃料池の浄化のための放射線学的目標は、典型的には、1mの距離でR2放射線ゾーンレベル(25μSv/時未満)に達することである。これは、除染される外面の層を除去する(又は単純に「削る」)ことによって達成され得る。
【0100】
図1に示されるこの実施形態では、除染装置1は、本体6及びフード2(すなわち、波形又は蛇腹状トンネルによって画定される)を備える格納構造と、除染ツールと、プラットフォーム4とを備える。
【0101】
格納構造のフード2は、(すなわち、
図1に示すように)使用済み燃料池の壁16と接触するように配置され、(ポンツーン)プラットフォーム4によって支持される。プラットフォーム4は、浮遊デバイス(例えば、ブイ又はポンツーン)26を有し、プラットフォーム4が水18に浮くのを助け、プラットフォーム4が壁16に衝突するのを防ぐ。フード2は、格納構造の開口又は穴を取り囲む接触面22を(フード2の遠位端に)有する。フード2内には、除染デバイス8と、真空システム(図示せず)に接続された真空ホース12とがある。
【0102】
格納構造の本体6へのアクセスを必要とし得る任意のオペレータ又は保守/修理作業者の安全のために、手すり15が設けられている。2つのガンマカメラ14a、14bが、格納構造の本体6の上部に取り付けられている。
【0103】
汚染され、除染される必要がある外面16の場合、プラットフォーム4及び格納構造は、外面16に近接して組み付けられる。格納構造は、任意の数のフード及び除染デバイスを有し得ることが理解される。しかしながら、ここでは、除染装置は、単一のフード2及び除染デバイス8を有する。フード2及び除染デバイス8が位置する格納構造の面は、除染される外面16に面するように配置される。
【0104】
蛇腹状のフード2は、最初は格納構造の近くに折り畳まれていてもよい。除染プロセスの開始時に、フード2は、格納構造の本体6の側部から展開されるように配置される。フード2の移動は、例えば、本体6内の制御室又は除染装置1、3から離れた制御室の制御システムによって遠隔制御されてもよい。フード2の移動又は展開は、除染される外面16に向かって広がることによるフード2の拡張を伴う。
【0105】
フード2の波形性質は、フード2が多くの方向に曲がることを可能にする。したがって、フード2は、必要に応じて外面(例えば、使用済み燃料池の床)に向かって曲げることができる。これは、除染装置1が、単一のフード2及び除染デバイス8で除染され得る外面の数を増加させることを可能にする。
【0106】
フード2が拡張されて外面16と接触すると、フード2の接触面22と外面16との間にバリア(例えばシール)が形成される。(吸引)バリア(例えばシール)は、真空ホース12を介してフード2内の圧力を低下させるように制御される真空システム(図示せず)によって生成される。
【0107】
フード2の接触面22によって提供されるバリア(例えば、外側バリア(例えば、外側シール))は、格納構造内に(例えば、シールされた)作業容積を画定し、その中に除染デバイス8が位置する。除染プロセスは、この作業容積内で除染デバイス8を動作させることによって外面16上で実行される。
【0108】
除染デバイス8は、フード2の外側接触面22によって提供される外側バリアに加えて、内側バリアを提供する内側接触面24を有するカバー9を備える。このことは、更に、廃棄物が周囲環境に放出されるのを防ぐのに役立つ。例えば、内側バリア(例えば、内側シール)は、より多くの固体/凝集体廃棄物の放出を防止することができ、外側バリア(例えば、外側シール)は、より多くのエアロゾル廃棄物の放出を防止することができる。
【0109】
除染装置1、3の構成要素(例えば、フード2、除染デバイス8、ガンマカメラ14a、14b)は、1つ以上の有線又は無線リンクを介して制御システムに接続され得る。除染デバイス8の動作は、制御ライン34a、34b、34cを介して制御される。
【0110】
図4A又は
図4Bに示すように、例えばフレーム302、308を介して除染デバイス8を格納構造の本体6に取り付けるために、支持部材32が使用される。支持部材32は、格納式又は静的であってもよく、除染デバイスのカバー9内から廃棄物を除去するための真空ホース(主真空ホース12に加えて)を備えてもよい。制御ライン34aの1つがフレーム11上の除染ツール13に接続されていることが分かる。ツール13は、フレーム11に摺動可能に取り付けられる。フレーム11は、カバー9内でツールを(例えば、水平方向及び垂直方向に)移動させるための機構を提供する。
【0111】
真空ホース12は、(例えば、密閉された)作業環境内からエアロゾルを除去し、それらを格納構造の本体6まで短距離(例えば、0m~10m、例えば、0.1m~5m)輸送するように配置される。これは、長いホースに沿ってエアロゾルを輸送することによって引き起こされる問題を防止するのに役立つ。例えば、埃の蓄積は、より長いホースにおいて閉塞を引き起こす可能性がある。
【0112】
フード2(外側バリアを形成する接触面22を有する)は、除染(例えば、噴射)プロセスによって生成されるエアロゾルを捕捉する。この例では、フード2及び除染デバイス8のための別個の真空システムが存在する。フード2のために提供される真空システムは、エアロゾルのための引込み:を生成し、フード2と外面16(池壁)との間にバリア(例えば、シール)(及び公称接着)を提供する。
【0113】
外面16が使用済み燃料池壁である場合(
図1のように)、池の水は、除染プロセス中に徐々に除去されてもよい。これは、有利なことに、水が除染中にいくらかのシールドを提供し続けることを可能にする。
【0114】
池の水18は、(例えば、ポンプ(図示せず)を介して)徐々に除去され、その結果、水位は、例えば、一度に700mmずつ徐々に降下する。水が特定の距離20(例えば、700mm)だけ下降すると、浮遊プラットフォーム4は同じ距離20だけ自動的に下降する。水が特定の距離だけ、例えば700mmだけ減少した後、除染デバイス8は再び外面16と接触するように移動させられ、カバー9内の除染ツールは外面16の層を除去するように働く。
【0115】
除染ツールが外面に作用している間、池から水は除去されず、プラットフォーム4は一定のレベルに留まる。これにより、除染デバイス8は、例えば28mmの深さまで、作業容積内の外面の層を除去するために、水平方向に(又は2つの方向、例えば水平方向及び垂直方向に)作業するのに十分な時間が与えられる。
【0116】
高圧水噴射を使用して、例えば、外面(池壁)16内の鉄筋又はその他の鋳鋼品を損傷することなく、コンクリート微粉及び骨材を研磨することができる。高流量真空システムは、例えば、フード2内の真空ホース12又は除染デバイス8のカバー9内(例えば、支持部材32内)に位置する別の真空ホースを介して、作業面から水及び固体を捕捉及び除去する。
【0117】
除染中、外面の層(例えば、約28mmの深さまで)は、除染デバイス8によって外面16から除去され得る。これは、例えば、超高圧水圧解体遠隔操作車両による、シェービング方法の使用を含み得る。
【0118】
放射性セシウムの約99%は、使用済み燃料池の外面の最初の25mm内に存在する。外面の28mmまで除去することによって、危険は安全なレベルまで除去され得る。
【0119】
格納構造はモジュール式であってもよく、いくつかの例では、廃棄物(固体)収集のためのモジュールがモジュール式格納構造の本体6内に収容されてもよい。pHが中性の水を池に戻すことができるように、水処理システムが本体6内に収容されてもよい。
【0120】
除染ツール13若しくはデバイス8及び/又は周囲のフード2は、線形追跡システムを使用して(例えば、特定の追跡速度で)外面16に沿って水平に駆動されてもよい。除染ツール13又はデバイス8による外面16への貫通の深さは、追跡速度(すなわち、これらの構成要素の移動)によって制御され得る。これは、キャプチャされたデータに基づいて遠隔的に及び/又は自動的に制御され得る。例えば、プラスチックシンチレータ放射線(ガンマ)検出器14a、14bは、フード2の後方の破砕された壁を監視し得る。放射測定データは、収集され、噴射動作の位置に関連付けられてもよく、外面(例えば、池の壁)16の線量マップを生成するために使用されてもよい。
【0121】
ガンマカメラ14a、14bは、外面(例えば、フード2の後方)を監視することができ、このデータを使用して追跡速度(例えば、除染デバイスの水平移動の速度)を調整して、外面16への必要な侵入深さを達成することができる。ガンマカメラ14a,14bは、代替的に、フード2内に、又は更には除染デバイス8のカバー9内に位置していてもよい。
【0122】
図2は、除染装置の別の実施形態を概略的に示す。
図2は、
図1の実質的に全ての特徴を有する。
図2に示される除染装置101と
図1に示される実施形態との間の差異は、浮遊ポンツーンプラットフォーム4が、機械的に可動なプラットフォーム104によって置き換えられていることである。床130に取り付けられたシザーリフト105が、プラットフォーム104を支持している。
【0123】
図2では、池は乾燥しており(例えば、既に脱水されている)、可動プラットフォーム支持体(シザーリフト)105は、池の床130上に取り付けられている。可動プラットフォーム支持体105は、プラットフォーム104の垂直移動を可能にする。プラットフォーム104は、(
図1に示されるように)モジュール式であってもよいが、この例では、プラットフォーム104は、コンクリートの1つの固体ブロックから構成される。厚いコンクリートプラットフォームは、プラットフォームの上又は格納構造内のデバイス/電子機器及び潜在的なオペレータ(複数可)に放射線シールドを提供する。
【0124】
図2に示される除染装置101は、プラットフォームが浮遊する水が存在しない外面(例えば、116)を除染するのに、例えば、建物の壁若しくは床又は排水された使用済み燃料池を除染するのに有用である。
【0125】
図3は、
図1及び
図2に示される実施形態と共に使用され得るプラットフォームを概略的に示す。
図3では、プラットフォーム204はモジュール式であり、3つのコンクリートブロック204a、204b、204cを備える。プラットフォーム204へのアクセスを可能にするために、通路240(傾斜路)が設けられている。これは、そうでなければプラットフォーム204にアクセスすることが困難であり得るため、外面が池の壁(例えば、16、116)である場合に特に有用である。プラットフォーム204及び通路240の上部の溝付き層248は、その上を歩くときに滑りやすくなるのを防止する。
【0126】
【0127】
図4Aでは、除染デバイス301はカバー303を備える。カバー303は、除染ツール(図示せず)を取り囲み、フレーム302に摺動可能に取り付けられる。動作中、カバー303(及びその中の除染ツール)は、除染される外面(
図1又は
図2の除染装置の格納構造内)に対して保持される。
【0128】
ツール及びカバー303は、追跡システムによって判定される速度でフレーム302に沿って(例えば、水平又は垂直のいずれかに)平行移動されてもよい。追跡システムは、除去されなければならない外面の深さに基づいてツールの速度を変更することができる。この速度はまた、使用される除染技術に依存し得る。この例では、除染デバイス301は、ツールが水噴射を含むロボット水圧解体技術を使用するように構成される。水は、ホース305を通じて送達され、非常に高い圧力/流量でツールから放出される。
【0129】
図4Bに示される除染デバイス306は、除染(例えば、ロボット水圧解体)デバイスの別の例である。
図4Aに示す除染デバイス301とは対照的に、
図4Bの除染デバイス306は、水平移動及び垂直移動の両方を可能にする。
【0130】
例えば、デバイス306全体(除染ツール及びその周囲カバー307を含む)の水平移動は、除染ツールが取り付けられた車両310を移動させることによって達成される。車両310は、電動連続軌道309を有する。連続軌道309は、設置面積サイズを増加させ、したがって、除染デバイス306の安定性を増加させる。除染ツール及びその周囲のカバー307の垂直移動は、ツール及びカバー307を、それが摺動可能に取り付けられているフレーム308に沿って移動させることによって達成される。
【0131】
好ましくは、超高圧乾燥水圧破砕ツールを使用して汚染除去を行う。このような超高圧(例えば、3000バール超)ポンプシステムは、従来の水圧解体システムによって使用される水の体積の一部を使用するために有利である。
【0132】
図5は、フード402の接触面422が摩擦パッド433及びヒンジ機構435を備える、本発明の更なる実施形態の簡略化された概略図を示す。
図5に示す除染装置434は、フード402が格納構造の本体406に接続された状態で示されている。この例では、除染される外面416は角部を含む。摩擦パッド433のヒンジ機構435は、可撓性接触面422がバリア(例えば、シール)を提供するために必要とされる形状に操作されることを可能にする。
【0133】
接触面にヒンジ式摩擦パッド433を追加することにより、フード402を外面416(池壁)の角部に嵌め込むことができ、接触面422が確実なバリア(例えばシール)を形成することを確保するのに役立つ。
図1又は
図2の除染装置は、
図5に示されるような接触面を含んでもよい。
【0134】
典型的な除染技術(例えば、水噴射及び破砕)から生成される廃棄物は、しばしば高度に汚染されている。既存の除染技術は、典型的には、かなりのエアロゾル流出をもたらし、本明細書に説明される除染装置によって提供されるバリア(例えば、シール)がなければ、高度に汚染された浮遊廃棄物を周囲環境に放出するであろう。これは、除染されている表面の再汚染を引き起こし、また、有毒又は危険な汚染物質を局所環境の周囲に拡散させる。
【0135】
本発明の実施形態は、上述の問題の少なくともいくつかに対処する。そのような問題は、特に、乾式除染技術、すなわち、空中浮遊粉塵(又はエアロゾル)の発生及び長いホースを介した粉塵の輸送に関連する。更に、本発明による除染装置5は、汚染物質からの追加のシールド及び保護を提供する。
【0136】
放射性物質で汚染されている可能性のある使用済み燃料池の壁及び床の除染に関する実施形態を説明することによって本発明を例示してきたが、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明は、任意の他の適切な状況において、例えば、有毒化学物質、アスベスト、生物学的活性物質及び有害廃棄物で汚染された表面に対して使用することができることが当業者には理解されよう。更に、添付の特許請求の範囲内で、多くの変形及び修正が可能である。
【国際調査報告】