(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】磁気浮上装置
(51)【国際特許分類】
H01F 7/20 20060101AFI20240213BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01F7/20 E
H01F7/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547692
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021033455
(87)【国際公開番号】W WO2022245361
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523101925
【氏名又は名称】エスアールアイ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、フォンニン
(72)【発明者】
【氏名】シェイ、エドワード クアン ション
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チュンシェン
(57)【要約】
本発明は、上下に対向して間隔をあけて配置された少なくとも2つの第1磁気作用部を含む基体と、それぞれ該少なくとも2つの第1磁気作用部と磁気作用して該浮上体を該少なくとも2つの第1磁気作用部の間に浮遊させる少なくとも2つの第2磁気作用部を含む浮上体と、を含む、磁気浮上装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上装置であって、
上下に対向して間隔をあけて配置された少なくとも2つの第1磁気作用部基体と、
それぞれ前記少なくとも2つの第1磁気作用部と磁気作用して、前記浮上体を前記少なくとも2つの第1磁気作用部の間に浮遊させる少なくとも2つの第2磁気作用部を含む浮上体と、を含む、
磁気浮上装置。
【請求項2】
前記基体は、ベースと、前記ベースに接続され、前記ベースから上方へ延在するアームフレームと、を含み、前記少なくとも2つの第1磁気作用部は、それぞれ前記ベース及び前記アームフレームに設けられる、請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの第1磁気作用部及び前記少なくとも2つの第2磁気作用部は、前記浮上体の中心を通る軸線を画定する、請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項4】
前記浮上体は、球状若しくは非球状体、又は規則若しくは不規則形体である、請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの第1磁気作用部は、上下に対向して間隔をあけて配置された少なくとも1つの第1上部磁気作用部及び少なくとも1つの第1下部磁気作用部を含み、前記少なくとも2つの第2磁気作用部は、少なくとも1つの第2上部磁気作用部及び少なくとも1つの第2下部磁気作用部を含み、前記少なくとも1つの第1上部磁気作用部と前記少なくとも1つの第2上部磁気作用部は互いに吸引し、前記少なくとも1つの第1下部磁気作用部と前記少なくとも1つの第2下部磁気作用部は、互いに反発又は吸引する、請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1上部磁気作用部及び前記少なくとも1つの第2上部磁気作用部のうちの一方は、円弧面又は先端を含み、前記少なくとも1つの第1上部磁気作用部及び前記少なくとも1つの第2上部磁気作用部は、前記円弧面又は先端をもって実質的に点接触する、請求項5に記載の磁気浮上装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1上部磁気作用部と前記少なくとも1つの第2上部磁気作用部は間隔を空けて、接触しない、請求項5に記載の磁気浮上装置。
【請求項8】
前記基体は、ベースと、前記ベースに接続され、前記ベースから上方へ延在するアームフレームと、を含み、前記少なくとも2つの第1磁気作用部は、それぞれ前記ベース及び前記アームフレームに設けられ、
前記少なくとも1つの第1上部磁気作用部は、少なくとも1つの永久磁石を含み、前記少なくとも1つの第2上部磁気作用部は、少なくとも1つの永久磁石を含み、前記ベースには前記少なくとも1つの第1下部磁気作用部が設けられ、前記少なくとも1つの第1下部磁気作用部は、少なくとも1つの電磁石を含み、前記少なくとも1つの第2下部磁気作用部は、少なくとも1つの永久磁石を含み、
前記アームフレームは、前記ベースに取り外し可能に組付けられ、前記アームフレームの長さが調整可能であり、
前記ベースには、少なくとも1つの磁気センシング素子がさらに設けられ、前記少なくとも1つの磁気センシング素子は前記少なくとも1つの電磁石のコイルに接続され、
前記少なくとも2つの第1磁気作用部及び前記少なくとも2つの第2磁気作用部は、前記浮上体の中心を通る軸線を画定し、
前記浮上体は、球状若しくは非球状体、又は規則若しくは不規則形体である、請求項7に記載の磁気浮上装置。
【請求項9】
間隔を空けて配置された前記少なくとも2つの第1磁気作用部の間の間隔を調整可能である、請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項10】
前記浮上体には、少なくとも1つの信号を送信可能な電子部品がさらに設けられ、前記少なくとも1つの電子部品は、電気信号、光信号、音信号又は/及び振動信号を送信可能な電子部品である、請求項1に記載の磁気浮上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に物品は、複数の部材が相互に結合されて一体化されるものが多い。このような物品は、一定の形態を持ち、各部材間の配置を変更することができず、構造の形態を任意に調整したり、その他の機能部材を組み合わせたりすることができず、装飾用の場合は、やや不自然である。
【0003】
一定の形態を持つ上記の物品と異なり、磁気浮上装置は、磁気の吸引又は反発の原理を利用して、磁気作用により装置の1つの部材を空中に浮遊させる。一般には、従来の磁気浮上装置は、ベースと、浮上体と、を含む。該ベースには、通常、電磁石が設けられ、一方、該浮上体には、永久磁石が設けられ、該電磁石に通電すると磁場が生じ、該浮上体の永久磁石の磁場と該電磁石による磁場とが互いに反発して浮遊する。しかし、該浮上体は、該電磁石による磁場が不安定になること、該浮上体の重心がずれることや、環境条件が変化する(例えば気体の流れ、環境中の電磁など)ことにより不安定になる傾向があり、このような問題は、特に該浮上体が非球状体である場合に顕著になる。
【0004】
そこで、上記の問題を解決するために、新規で進歩性のある磁気浮上装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、磁気作用を利用して高い安定性を維持し、且つ揺れにくい磁気浮上装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成させるために、本発明は、上下に対向して間隔をあけて配置された少なくとも2つの第1磁気作用部を含む基体と、それぞれ該少なくとも2つの第1磁気作用部と磁気作用して、該浮上体を該少なくとも2つの第1磁気作用部の間に浮遊させる少なくとも2つの第2磁気作用部を含む浮上体と、を含む、磁気浮上装置を提供する。
本発明は、以下の説明及び図面と組み合わせてより明らかになる。説明の目的のため、図面には、本発明による好ましい実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~3には、本発明一好ましい実施例が示されており、本発明の磁気浮上装置1は、基体10と、浮上体20と、を含む。
【0009】
該基体10は、上下に対向して間隔をあけて配置された少なくとも2つの第1磁気作用部11を含む。該浮上体20は、少なくとも2つの第2磁気作用部21を含み、該少なくとも2つの第2磁気作用部21は、それぞれ該少なくとも2つの第1磁気作用部11と磁気作用して、該浮上体20を該少なくとも2つの第1磁気作用部11の間に浮遊させる。それにより、該浮上体20の両側はいずれも磁気作用を受けて、安定性を高く維持し且つ揺れにくくなる。
【0010】
該基体10は、ベース12と、該ベース12に接続され、該ベース12から上方へ延在する之アームフレーム13と、を含み、該少なくとも2つの第1磁気作用部11は、それぞれ該ベース12及び該アームフレーム13に設けられる。該少なくとも2つの第1磁気作用部11及び該少なくとも2つの第2磁気作用部21は、該浮上体20の中心を通る軸線Aを画定する。
該浮上体20は、球状若しくは非球状体、又は規則若しくは不規則形体であってもよく、また、該浮上体20は、中実又は中空であってもよい。本実施例では、該浮上体20は、非球状であって、詳細には、該軸線Aに沿って延伸する細長体、例えば円柱体である。該浮上体20は、好ましくは、中空のもの、又は二層中空筒壁を有するものであり、展示アイデア(例えば、写真、ピクチャや他のアイデア)を載置することができる。細長体の場合、その重心が下方にあるので、上方の部分が比較的不安定であり、長さ方向の両側における磁気作用により、この細長体が安定化され得る。1つの可能な実施形態では、該細長体は、該軸線Aの周りに安定的に回転することができ、ここで、該少なくとも2つの第1磁気作用部11及び該少なくとも2つの第2磁気作用部21の間の交互磁気作用により、該浮上体20が浮遊しながらほぼ摩擦抵抗力なしで、長時間にわたって自転することが可能である。
【0011】
具体的には、該少なくとも2つの第1磁気作用部11は、上下に対向して間隔をあけて配置された少なくとも1つの第1上部磁気作用部111及び少なくとも1つの第1下部磁気作用部112を含み、該少なくとも2つの第2磁気作用部21は、少なくとも1つの第2上部磁気作用部211及び少なくとも1つの第2下部磁気作用部212を含む。該少なくとも1つの第1上部磁気作用部111と該少なくとも1つの第2上部磁気作用部211は、互いに吸引し、該少なくとも1つの第1下部磁気作用部112と該少なくとも1つの第2下部磁気作用部212は、互いに反発又は吸引する(吸引力が該浮上体20を浮遊させるのに十分であればよい)。また、特に、該少なくとも2つの第1磁気作用部11と該少なくとも2つの第2磁気作用部21との間の吸引作用は該浮上体20にとって非常に重要な安定化の役割を果たす。
【0012】
本実施例では、該少なくとも1つの第1上部磁気作用部111は、少なくとも1つの永久磁石を含み、該少なくとも1つの第2上部磁気作用部211は、少なくとも1つの永久磁石を含む。該ベース12には、該少なくとも1つの第1下部磁気作用部112が設けられ、該少なくとも1つの第1下部磁気作用部112は、少なくとも1つの電磁石を含み、該少なくとも1つの第2下部磁気作用部212は、少なくとも1つの永久磁石を含む。該少なくとも1つの永久磁石及び該少なくとも1つの電磁石は、それぞれ直接露出してもよく、又は非磁性シールド材で覆われてもよい。
該ベース12には、少なくとも1つの磁気センシング素子121(例えば、ホール効果センサー)がさらに設けられ、該少なくとも1つの磁気センシング素子121は、該少なくとも1つの電磁石之コイル122に接続され、制御回路を通じて、該少なくとも1つの磁気センシング素子121により検知された磁場の変化に応じて、該少なくとも1つの電磁石の磁気強度を制御することができる。これにより、該浮上体20に作用する磁気の大きさを調整し、該浮上体20の浮遊位置を安定的に維持することができる。該制御回路は、該磁気浮上装置1の内部に設けられるか、又は該磁気浮上装置1から独立した外部に設けられてもよく、該制御回路は、有線又は無線の方式で該少なくとも1つの電磁石を制御することができる。好適には、該アームフレーム13は、該ベース12に取り外し可能に組付けられ、このようにして、着脱や収納が容易になり、挿着、ロック、係合や他の可能な接合方式が利用可能である。
間隔を空けて配置された該少なくとも2つの第1磁気作用部11の間の間隔は調整可能であり、例えば、該アームフレーム13の長さは、調整可能であり(伸縮したり、複数のセグメントを接合したり、可撓性にしたり、他の調整手段にしたりする)、これにより、該少なくとも1つの第1上部磁気作用部111と該少なくとも1つの第2上部磁気作用部211との距離や磁気作用力を、該浮上体20の重量、サイズ、浮遊の高さに応じて、簡便且つ迅速に適切に調整することができる。
【0013】
本実施例では、該少なくとも1つの第1上部磁気作用部111と該少なくとも1つの第2上部磁気作用部211は、間隔を空けて接触せず、該浮上体20が回転することを必要とする場合、摩擦抵抗力がない。
図4及び
図5に示す他の実施例では、該少なくとも1つの第1上部磁気作用部111及び該少なくとも1つの第2上部磁気作用部211のうちの一方は、円弧面211a又は先端211bを含んでもよく、該少なくとも1つの第1上部磁気作用部111及び該少なくとも1つの第2上部磁気作用部211は、該円弧面211a又は先端211bをもって実質的に点接触し、その摩擦抵抗力も極めて小さく、さらには無視してもよい。該浮上体は、該先端の形状に合わせた形態として構成されてもよく、例えば、該浮上体は、クリスマスツリー、三角錐や類似の形態として構成されてもよく、この場合、該先端は、該浮上体の最上端となる。
該浮上体20には、信号を送信可能な電子部品22がさらに少なくとも1つ設けられる。例えば、該少なくとも1つの電子部品22は、電気信号、光信号、音信号又は/及び振動信号を送信可能な電子部品であり、機能アプリケーション、メッセージや通知などを提供する。例えば、該電子部品22は、外部装置(例えば、携帯電話、コンピュータなど)と電波信号を受送信し、例えば時間や外部へ提供使用とする任意の情報を外部へ提供するトランシーバを含んでもよい。該電子部品22は、光を発する発光素子を含んでもよい。該電子部品22は、音を発生させるスピーカー(例えば、ブルートゥース(登録商標)スピーカーであってもよいが、これに限定されない)を含んでもよい。該電子部品22は、振動を発生させるバイブレータを含んでもよい。
【0014】
本発明の1つの可能な実施例では、該浮上体には、該電子部品に必要な電力を提供する電池や充電モジュールがさらに設けられてもよく、該充電モジュールは、無線又は有線の形態であってもよく、該ベースには、無線充電モジュールが設けられてもよく、該浮上体の充電モジュールは該電池を充電してもよい。該磁気浮上装置は、該磁気浮上装置に必要な電力(電磁石に必要な電力も含んでもよい)を提供する光電変換モジュール(ソーラーパネル)をさらに含んでもよく、該光電変換モジュールは、該基体及び該浮上体の少なくとものうちの1つの任意の部位に配置されてもよく、独立して外部に設けられて該磁気浮上装置に接続されてもよい。該磁気浮上装置には、該磁気浮上装置が外部に電気的に接続されて、設計、制御又は/及びデータ伝送を行う電気インターフェース、例えばUSB、電源、データ伝送などのためのインターフェースがさらに少なくとも1つ設けられてもよい。
【0015】
本発明の特定の実施例は説明のために詳細に記載したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく各種の修正や改良を行ってもよい。このため、本発明は、添付の特許請求の範囲のみにより限定される。
【符号の説明】
【0016】
1 磁気浮上装置
10 基体
11 第1磁気作用部
111 第1上部磁気作用部
112 第1下部磁気作用部
12 ベース
121 磁気センシング素子
122 コイル
13 アームフレーム
20 浮上体
21 第2磁気作用部
211 第2上部磁気作用部
211a 円弧面
211b 先端
212 第2下部磁気作用部
22 電子部品
A 軸線
【国際調査報告】