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特表2024-507487通信リンク動作特性テストシステム及びテスト方法
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  • 特表-通信リンク動作特性テストシステム及びテスト方法 図1
  • 特表-通信リンク動作特性テストシステム及びテスト方法 図2
  • 特表-通信リンク動作特性テストシステム及びテスト方法 図3
  • 特表-通信リンク動作特性テストシステム及びテスト方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】通信リンク動作特性テストシステム及びテスト方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20240213BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20240213BHJP
   H04B 3/46 20150101ALI20240213BHJP
【FI】
G01R31/28 H
H04L25/02 V
H04L25/02 301
H04B3/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547855
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2022111593
(87)【国際公開番号】W WO2023138037
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210059599.0
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522308967
【氏名又は名称】シャンハイ トサン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Shanghai TOSUN Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room904,No.4801 Caoan RD.,Jiading District, Shanghai,201804 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ チュ
(72)【発明者】
【氏名】シェ ユェイン
(72)【発明者】
【氏名】ムォ マン
【テーマコード(参考)】
2G132
5K029
【Fターム(参考)】
2G132AA15
2G132AB08
2G132AD03
2G132AD15
2G132AE11
2G132AE23
2G132AL07
5K029AA08
5K029DD24
5K029KK31
(57)【要約】
本発明は通信テスト技術分野に属し、具体的には通信リンク動作特性のテストシステム及びテスト方法に関する。ここで、通信リンク動作特性のテストシステムは、リレー組合せ回路基板、アナログモジュール、及びインタフェースモジュールを含む。上記アナログモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられる。上記インタフェースモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられ、上記インタフェースモジュールは被測定部品に接続することに適する。上記リレー組合せ回路基板上の各リレーを開閉することにより、上記被測定部品を上記アナログモジュールに必要なデバイスに接続し、上記アナログモジュールが模擬する動作環境で上記被測定部品をテストする。これにより、様残な動作状態条件に対応することができ、上記被測定部品の複数種類の信号特性及び各動作状態条件での動作特性をテスト・検証し、複数種類の差動通信技術に対し、手動テストで発生し得る漏れを回避することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー組合せ回路基板と、アナログモジュールと、インタフェースモジュールと、を含み、
前記アナログモジュールは、前記リレー組合せ回路基板に設けられ、
前記インタフェースモジュールは、前記リレー組合せ回路基板に設けられ、被測定部品に接続することに適し、
前記リレー組合せ回路基板上の各リレーを開閉することにより、前記被測定部品を前記アナログモジュールに必要なデバイスに接続し、前記アナログモジュールが模擬する動作環境で前記被測定部品をテストする
ことを、特徴とする通信リンク動作特性のテストシステム。
【請求項2】
前記アナログモジュールは、プログラマブルオシロスコープ、マルチメータ、波形発生器、プログラマブル電源装置、四象限波形増幅器、プログラマブル調整抵抗/容量負荷及び外接分岐を含む
ことを、特徴とする請求項1に記載の通信リンク動作特性のテストシステム。
【請求項3】
前記インタフェースモジュールは、H_inインタフェース、L_inインタフェース、GND_inインタフェース、DUT_BATインタフェース、及びDUT_GNDインタフェースを含み、
前記H_inインタフェースは、前記被測定部品の通信線の差動信号のハイレベルに接続され、
前記L_inインタフェースは、前記被測定部品の前記通信線の前記差動信号のローレベルに接続され、
前記GND_inインタフェースは、前記被測定部品の通信GNDに接続され、
前記DUT_BATインタフェースは、前記被測定部品の給電信号に接続され、
前記DUT_GNDインタフェースは、前記被測定部品のGND信号に接続される
ことを、特徴とする請求項1に記載の通信リンク動作特性のテストシステム。
【請求項4】
被測定部品に必要な動作環境を判断し、
前記動作環境に対応するデバイスを接続して前記被測定部品を測定する
ことを、特徴とする請求項1に記載の通信リンク動作特性のテストシステムを採用する通信リンク動作特性のテスト方法。
【請求項5】
前記動作環境に対応する前記デバイスを接続して前記被測定部品を測定する方法は、
(1)前記動作環境が正常動作状態テストの場合、前記被測定部品の前記通信線の前記差動信号のハイレベル信号、前記通信線の前記差動信号のローレベル信号及び通信GND信号を同時に前記オシロスコープ及び通信送受信機に接続し、
(2)前記通信送受信機をエンベデッドコントローラに接続し、
(3)前記エンベデッドコントローラを産業用コンピュータに接続し、同時に前記プログラマブル電源を前記被測定部品の前記給電信号及び前記GND信号に接続し、前記プログラマブル電源を前記産業用コンピュータに接続し、
(4)この際、前記被測定部品は前記プログラマブル電源によって正常に給電され、、同時に、前記産業用コンピュータは前記エンベデッドコントローラによって前記差動通信リンクを使用して前記被測定部品と通信し、前記オシロスコープは前記差動信号波形をキャプチャすることによって、ネットワーク信号特性を取得する、ことを含む
ことを、特徴とする請求項4に記載の通信リンク動作特性のテスト方法。
【請求項6】
前記動作環境に対応する前記デバイスを接続して前記被測定部品を測定する方法は、
(1)前記動作環境が終端抵抗テストである場合、マルチメータにより、前記被測定部品のH_in端及びL_in端のGNDに対する抵抗及び差動抵抗を測定し、
(2)全てのテストは、パワーオフ及びパワーオンの両方の状態で行われ、
(3)前記パワーオフテストでは、前記被測定部品には給電せず、前記マルチメータによって抵抗値を読み取り、
(4)前記パワーオンテストでは、抵抗R=(直列抵抗値)*(前記H_inの電圧又は前記L_inの電圧)/(前記被測定部品の給電電圧-前記H_inの電圧又は前記L_inの電圧)を計算する、ことを含む
ことを、特徴とする請求項4に記載の通信リンク動作特性のテスト方法。
【請求項7】
前記動作環境に対応する前記デバイスを接続して前記被測定部品を測定する方法は、
(1)前記動作環境が短絡/断線テストである場合、直列及び並列抵抗を0Ωに設定し、リレー切り替えにより、前記短絡テストの場合は、H_inをL_in、DUT_BAT、及びDUT_GNDと、前記断線テストの場合は、前記L_inを前記H_in、前記DUT_BAT、及び前記DUT_GNDとそれぞれ短絡させることができ、
(2)前記リレーをオフすることにより、前記H_in又は前記L_inを断線させることができ、
(3)前記短絡動作状態時及び前記断線動作状態時に、前記オシロスコープによって動作特性をキャプチャし、前記被測定部品のフォールトトレラント能力を測定する、ことを含む
ことを、特徴とする請求項4に記載の通信リンク動作特性のテスト方法。
【請求項8】
前記動作環境に対応する前記デバイスを接続して前記被測定部品を測定する方法は、
(1)前記動作環境がコモンモード/差動モード干渉テストである場合、前記被測定部品の前記通信線の前記差動信号の前記ハイレベル信号、前記通信線の前記差動信号の前記ローレベル信号及び前記通信GND信号を前記通信送受信機に接続し、前記通信線の前記差動信号の前記ハイレベル信号を前記オシロスコープに接続し、
(2)前記被測定部品の前記通信線の前記差動信号の前記ハイレベル信号の間、及び前記通信GND信号と前記通信送受信機の間に、前記波形追従モジュールを接続し、
(3)前記通信送受信機を前記エンベデッドコントローラに接続し、
(4)前記エンベデッドコントローラを前記産業用コンピュータに接続し、同時に前記プログラマブル電源を前記被測定部品の前記給電信号及び前記GND信号に接続し、前記プログラマブル電源を前記産業用コンピュータに接続し、
(5)前記波形追従モジュールを前記通信送受信機と前記被測定部品の前記GNDとの間に直列に接続することで、コモンモード干渉を生成し、
(6)前記波形追従モジュールを前記H_inと前記L_inとの間に直列に接続することで、差動モード干渉を生成し、
(7)当該コモンモード干渉と当該差動モード干渉の動作状態の下で、前記オシロスコープによって動作特性をキャプチャし、前記被測定部品のフォールトトレラント能力を測定する、ことを含む
ことを、特徴とする請求項4に記載の通信リンク動作特性のテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信テスト技術分野に属し、具体的には通信リンク動作特性のテストシステム及びテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通信の現場で一般的に用いられている通信技術として、485、CAN、FlexRay、車載イーサネット等が挙げられ、そのインタフェースとして差動信号伝送方式が用いられている。差動信号伝送方式は二つの相補的な電気信号を用いて情報伝達を行う方法であり、各電気信号の生成原理が異なるため、その電気パラメータの細部には差異があるが、いずれもツイストペア線を物理的伝送媒体とし、電気信号自体が及ぼす外界への干渉を低減することができるだけでなく、外界の干渉源との容量結合及び誘導結合を低減することができる。
【0003】
各通信技術の詳細な特徴の差異や、製品が導入される各環境の差異が大きいことから、一般的に、開発者は特定の通信技術に対してテストを行う。しかし、工業及び車載現場における作業環境は複雑であり、通信の過程において、短絡/断線/電位ずれ/波形品質劣化等の通信技術分野において共通の問題に遭遇することがある。そのため、製品のエラー耐性能力及び信号特性をテストし、潜在的な問題を明らかにする必要がある。
したがって、上記の技術的問題を踏まえた、新たな通信リンク動作特性のテストシステム及びテスト方法を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、通信リンク動作特性のテストシステム及びテスト方法を提供することである。
上記技術的問題を解決するために、本発明は通信リンク動作特性のテストシステムを提供し、リレー組合せ回路基板と、アナログモジュールと、インタフェースモジュールと、を含み、
上記アナログモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられ、
上記インタフェースモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられ、被測定部品に接続することに適し、
上記リレー組合せ回路基板上の各リレーを開閉することにより、上記被測定部品を上記アナログモジュールに必要なデバイスに接続し、上記アナログモジュールが模擬する動作環境で上記被測定部品をテストする。
【0005】
さらに、上記アナログモジュールは、プログラマブルオシロスコープ、マルチメータ、波形発生器、プログラマブル電源装置、四象限波形増幅器、プログラマブル調整抵抗/容量負荷及び外接分岐を含む。
【0006】
さらに、上記インタフェースモジュールは、H_inインタフェース、L_inインタフェース、GND_inインタフェース、DUT_BATインタフェース、及びDUT_GNDインタフェースを含み、
上記H_inインタフェースは、上記被測定部品の通信線の差動信号のハイレベルに接続され、
上記L_inインタフェースは、上記被測定部品の上記通信線の上記差動信号のローレベルに接続され、
上記GND_inインタフェースは、上記被測定部品の上記通信GNDに接続され、
上記DUT_BATインタフェースは、上記被測定部品の給電信号に接続され、
上記DUT_GNDインタフェースは、上記被測定部品のGND信号に接続される。
【0007】
第二態様では、本発明はさらに上記通信リンク動作特性のテストシステムを採用する通信リンク動作特性のテスト方法を提供し、上記通信リンク動作特性のテスト方法は、上記被測定部品に必要な動作環境を判断し、上記動作環境に対応する上記デバイスを接続して上記被測定部品を測定すること、を含む。
【0008】
さらに、上記動作環境に対応する上記デバイスを接続して上記被測定部品を測定する方法は、
(1)前記動作環境が正常動作状態テストの場合、前記被測定部品の前記通信線の前記差動信号の前記ハイレベル信号、前記通信線の前記差動信号の前記ローレベル信号及び前記通信GND信号を同時に前記オシロスコープ及び通信送受信機に接続し、
(2)前記通信送受信機をエンベデッドコントローラに接続し、
(3)前記エンベデッドコントローラを産業用コンピュータに接続し、同時に前記プログラマブル電源を前記被測定部品の前記給電信号及び前記GND信号に接続し、前記プログラマブル電源を前記産業用コンピュータに接続し、
(4)この際、前記被測定部品は前記プログラマブル電源によって正常に給電され、同時に、前記産業用コンピュータは前記エンベデッドコントローラによって前記差動通信リンクを使用して前記被測定部品と通信し、前記オシロスコープは前記差動信号波形をキャプチャすることによって、ネットワーク信号特性を取得する、ことを含む。
【0009】
さらに、上記動作環境に基づいて対応するデバイスを接続して被測定部品を測定する方法は、
(1)上記動作環境が終端抵抗テストである場合、マルチメータにより、上記被測定部品の上記H_in端及び上記L_in端の上記GNDに対する抵抗及び差動抵抗を測定し、
(2)全てのテストは、パワーオフ及びパワーオンの両方の状態で行われ、
(3)上記パワーオフテストでは、上記被測定部品には給電せず、上記マルチメータによって抵抗値を読み取り、
(4)上記パワーオンテストでは、抵抗R=(直列抵抗値)*(上記H_inの電圧又は上記L_inの電圧)/(上記被測定部品の給電電圧-上記H_inの電圧又は上記L_inの電圧)を計算する、ことを含む。
【0010】
さらに、上記動作環境に対応する上記デバイスを接続して上記被測定部品を測定する方法、
(1)上記動作環境が短絡/断線テストである場合、直列及び並列抵抗を0Ωに設定し、リレー切り替えにより、上記短絡テストの場合は、上記H_inを上記L_in、上記DUT_BAT、及び上記DUT_GNDと、上記断線テストの場合は、上記L_inを上記H_in、上記DUT_BAT、及び上記DUT_GNDとそれぞれ短絡させることができ、
(2)上記リレーをオフすることにより、上記H_in又は上記L_inを断線させることができ、
(3)上記短絡動作状態時及び上記断線動作状態時に、上記オシロスコープによって動作特性をキャプチャし、上記被測定部品のフォールトトレラント能力を測定する、ことを含む。
【0011】
さらに、上記動作環境に対応する上記デバイスを接続して上記被測定部品を測定する方法は、
(1)上記動作環境がコモンモード/差動モード干渉テストである場合、上記被測定部品の上記通信線の上記差動信号の上記ハイレベル信号、上記通信線の上記差動信号の上記ローレベル信号及び上記通信GND信号を上記通信送受信機に接続し、上記通信線の上記差動信号の上記ハイレベル信号を上記オシロスコープに接続し、
(2)上記被測定部品の上記通信線の上記差動信号の上記ハイレベル信号の間、及び上記通信GND信号と上記通信送受信機の間に、上記波形追従モジュールを接続し、
(3)上記通信送受信機を上記エンベデッドコントローラに接続し、
(4)上記エンベデッドコントローラを上記産業用コンピュータに接続し、同時に上記プログラマブル電源を上記被測定部品の上記給電信号及び上記GND信号に接続し、上記プログラマブル電源を上記産業用コンピュータに接続し、
(5)上記波形追従モジュールを上記通信送受信機と上記被測定部品の上記GNDとの間に直列に接続することで、コモンモード干渉を実現し、
(6)上記波形追従モジュールを上記H_inと上記L_inとの間に直列に接続することで、差動モード干渉を実現し、
(7)当該コモンモード干渉と当該差動モード干渉の動作状態の下で、上記オシロスコープによって動作特性をキャプチャし、上記被測定部品のフォールトトレラント能力を測定する、ことを含む。
【0012】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明は、リレー組合せ回路基板、アナログモジュール、及びインタフェースモジュールを含む。上記アナログモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられる。上記インタフェースモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられ、上記インタフェースモジュールは被測定部品に接続することに適する。上記リレー組合せ回路基板上の各リレーを開閉することにより、上記被測定部品を上記アナログモジュールに必要なデバイスに接続し、上記アナログモジュールが模擬する動作環境で上記被測定部品をテストする。これにより、様々な動作条件に対応し、被測定部品の複数種類の信号特性及び各動作条件での動作特性をテスト・検証し、様々な差動通信技術に対応することができる結果、手動テストで発生し得るテスト漏れを回避することができる。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は以下の明細書に記載され、且つ、一部は明細書から明らかになり、又は本発明を実施することによって理解される。本発明の目的及び他の利点は明細書及び図面に記載された構造によって実現及び想到される。
【0014】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下では好適な実施例を挙げ、且つ添付図面と合わせ、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下では具体的な実施形態又は従来技術の説明に用いる必要がある図面を簡単に紹介する。以下の説明における図面は、明らかに本発明に含まれるいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力を要しない範囲で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を想到することができる。
【0016】
図1】本発明の通信リンク動作特性のテストシステムの回路概略図である。
図2】本発明の正常動作状態のテスト回路の概略図である。
図3】本発明の終端抵抗テスト回路の概略図である。
図4】本発明のコモンモード干渉/差動モード干渉のテスト回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下では図面を参照しながら本発明の技術的解決手段を明瞭かつ完全に説明する。言うまでもなく、以下に説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例を網羅している訳ではない。当業者は、本発明の実施例に基づき、創造的な労力を要しない範囲で得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0018】
図1に示すように、本実施例は、通信リンク動作特性のテストシステムを提供する。当該テストシステムは、リレー組合せ回路基板、アナログモジュール、及びインタフェースモジュールを含む。上記アナログモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられる。上記インタフェースモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられ、上記インタフェースモジュールは被測定部品に接続することに適する。上記リレー組合せ回路基板上の各リレーを開閉することにより、上記被測定部品をアナログモジュールに必要なデバイスに接続し、アナログモジュールが模擬する動作環境で上記被測定部品をテストする。これにより、様々な動作条件に対応することが可能となり、被測定部品から送信される複数種類の信号の特性及び各動作条件での動作特性をテスト・検証し、様々な種類の差動通信技術に対応できるため、手動テストで発生し得るテスト漏れを回避することができる。また、様々な現場における異常動作条件をシミュレーションし、通信動作特性を測定できることに加え、コネクタ老朽化、接地電位オフセット等の電気故障条件で被測定部品のフォールトトレラント能力を検証し、高い安全性が求められる場合のテスト方法を提供できるため、手動テストで発生し得るテスト漏れを回避し、テスト効率を向上させることができる。
【0019】
本実施例において、上記アナログモジュールは、プログラマブルオシロスコープ、マルチメータ、波形発生器、プログラマブル電源装置、四象限波形増幅器、四象限電源、プログラマブル調整抵抗/容量負荷及び外接分岐などの特殊な動作状態のアナログ装置を含む。
【0020】
本実施例において、本テストシステムは、被測定部品に面する正面と、標準測定装置に面する背面と、に分けられる。上記インタフェースモジュールは、H_inインタフェース、L_inインタフェース、GND_inインタフェース、DUT_BATインタフェース、及びDUT_GNDインタフェースを含む。H_inインタフェースは、被測定部品の通信線の差動信号のハイレベルに接続される。L_inインタフェースは、被測定部品の通信線の差動信号のローレベルに接続される。GND_inインタフェースは、被測定部品の通信GNDに接続される。DUT_BATインタフェースは、被測定部品の給電信号に接続される。DUT_GNDインタフェースは、被測定部品のGND信号に接続される。
【0021】
本実施例の具体的な回路図は図1に示すとおりである。H_inインタフェースはリレーを介して直列抵抗に接続された後、被測定部品に接続されることで被測定部品に給電する。また、H_inインタフェースはリレーを介して並列抵抗及び他の直列抵抗に接続される。また、H_inインタフェースはリレーを介して可変容量(variable capacitance)に接続された後、GND_inインタフェースに接続され、更に、リレー介して他の可変容量に接続される。L_inインタフェースはリレーを介して直列抵抗及び並列抵抗に接続され、直列抵抗に接続された後で、リレーを介してGND_inインタフェースに接続される。L_inインタフェースはリレーを介して可変容量に接続され、GND_inインタフェースに接続される。H_inインタフェース及びL_inインタフェースはリレーを介して通信送受信機に接続される。GND_inインタフェースはリレーを介して通信送受信機に接続される。H_inインタフェースはリレーを介してダイオードに接続され、その後リレーを介して波形追従モジュールに接続される。L_inインタフェースはリレーを介して抵抗に接続され、その後リレーを介して波形追従モジュールに接続される。送受信機はリレーを介して波形追従モジュールに接続される波形追従モジュールはリレーを介してGND_inインタフェース及び通信送受信機に接続される。通信送受信機には終端抵抗と差動分岐が接続される。マルチメータの電圧レンジはリレーを介してH_inインタフェース、L_inインタフェース及び被測定部品に接続され各々を給電する。マルチメータの電流レンジはリレーを介してH_inインタフェース、L_inインタフェースに接続される。マルチメータGNDはリレーを介してL_inインタフェース及びGND_inインタフェースに接続される。オシロスコープ通路1はリレーを介してH_inインタフェース及びH送受信機側に接続される。オシロスコープ通路2はリレーを介してL_inインタフェース及びL送受信機側に接続される。オシロスコープGNDはリレーを介してGND_inインタフェース及び送受信機GNDに接続される。被測定部品電源はリレーを介してプログラマブル電源に接続され、その後にリレーを介して送受信機GNDに接続される。エンベデッドコントローラは隔離通信インタフェース及びIOリレー制御に接続される。
【0022】
本実施例において、上記の通信リンク動作特性のテストシステムを利用する通信リンク動作特性のテスト方法を更に提供する。当該テスト方法は、被測定部品に必要な動作環境を判断すること、及び動作環境に対応するデバイスを接続して被測定部品を測定することを含む。
【0023】
図2に示すように、本実施例において、上記動作環境に対応するデバイスを接続して被測定部品を測定する方法は以下を含む:(1)動作環境が正常動作状態のテストである場合、被測定部品の通信線の差動信号のハイレベル信号、通信線の差動信号のローレベル信号及び通信GND信号を同時にオシロスコープ及び通信送受信機に接続する。(2)通信送受信機をエンベデッドコントローラに接続する。(3)エンベデッドコントローラを産業用コンピュータに接続し、同時にプログラマブル電源を被測定部品の給電信号及びGND信号に接続し、プログラマブル電源を産業用コンピュータに接続する。(4)通信送受信機をH_inインタフェース、L_inインタフェース及びGND_inインタフェースに同時に接続する。
これにより、被測定部品には正常に電力が供給され、プログラマブル電源によって動作環境が提供される。同時に産業用コンピュータはエンベデッドコントローラによって差動通信リンクを介して被測定部品と通信し、オシロスコープは差動信号の波形をキャプチャすることによって、ネットワーク信号特性(例えば、信号極値、高/低値、波形オーバーシュート、信号上昇/下降速度、ビット時間精度等)を取得することで、被測定装置の一貫性を検証する。また、正常動作状態に基づき、カスタマイズされたテストスクリプトを使用することで、アプリケーション通信層のデータ、ネットワーク管理等の通信内容の正確性及びロバスト性を検証することができる。
【0024】
図3に示すように、本実施例において、上記動作環境対応するデバイスを接続して被測定部品を測定する方法は以下を含む:(1)動作環境が終端抵抗テストである場合、マルチメータにより、被測定部品のH_in端及びL_in端のGNDに対する抵抗及び差動抵抗を測定する。(2)上記テストは、パワーオフとパワーオンの両方の状態で行われるテストを含む。(3)パワーオフのテストにおいて、被測定部品には給電せず、マルチメータによって抵抗値を読み取る。(4)パワーオンテストにおいて、抵抗R=(直列抵抗値)*(H_inの電圧又はL_inの電圧)/(被測定部品の給電電圧-H_inの電圧又はL_inの電圧)を計算する。(5)H対GND抵抗に対するパワーオフテストにおいて、H_inインタフェースはマルチメータ抵抗レンジに接続され、GND_inインタフェースはマルチメータGNDに接続され、H_inインタフェースとGND_inインタフェースは抵抗Rに接続される。(6)L対GND抵抗に対するパワーオフテストにおいて、L_inインタフェースはマルチメータ抵抗レンジに接続され、GND_inインタフェースはマルチメータGNDに接続され、L_inインタフェースとGND_inインタフェースは抵抗Rに接続される。(7)H対L抵抗に対するパワーオフテストにおいて、H_inインタフェースはマルチメータ抵抗レンジに接続され、L_inインタフェースはマルチメータGNDに接続され、L_inインタフェースとH_inインタフェースは抵抗Rに接続される。(8)H対GND抵抗に対するパワーオンテストにおいて、H_inインタフェースは直列抵抗に接続された後、被測定部品に接続されて被測定部品を給電し、直列抵抗はマルチメータ電圧レンジに並列して接続され、GND_inインタフェースはマルチメータGNDに接続され、H_inインタフェースとGND_inインタフェースとの間には抵抗Rが接続され、DUT_BATインタフェース及びDUT_GNDインタフェースはプログラマブル電源に接続される。(9)L対GND抵抗に対するパワーオンテストにおいて、L_inインタフェースは直列抵抗に接続された後、被測定部品に接続されて被測定部品を給電し、直列抵抗はマルチメータ電圧レンジに並列して接続、GND_inインタフェースはマルチメータGNDに接続され、L_inインタフェースとGND_inインタフェースとの間には抵抗Rが接続され、DUT_BATインタフェース及びDUT_GNDインタフェースはプログラマブル電源に接続される。(10)H対L抵抗に対するパワーオンテストにおいて、H_inインタフェースは直列抵抗に接続された後、被測定部品に接続されて被測定部品を給電し、直列抵抗はマルチメータ電圧レンジに並列して接続され、L_inインタフェースはマルチメータGNDに接続され、L_inインタフェースとH_inインタフェースとの間には抵抗Rが接続され、DUT_BATインタフェース及びDUT_GNDインタフェースはプログラマブル電源に接続される。
【0025】
本実施例において、上記動作環境に対応するデバイスを接続して被測定部品を測定する方法は以下を含む:(1)動作環境が短絡/断線テストである場合、直列及び並列抵抗を0Ωに設定し、リレーを切り替えることより、短絡テストの場合はH_inをL_in、DUT_BAT、DUT_GNDに、断線テストの場合はL_inをH_in、DUT_BAT、DUT_GNDにそれぞれ短絡した状態にすることができる。(2)リレーをオフすることにより、H_in又はL_inを断線状態にすることができる。(3)短絡動作状態時及び断線動作状態時に、オシロスコープによって動作特性をキャプチャし、被測定部品のフォールトトレラント能力を測定する。
【0026】
図4に示すように、本実施例において、上記動作環境に対応するデバイスを接続して被測定部品を測定する方法は以下を含む:(1)動作環境がコモンモード/差動モード干渉テストである場合、被測定部品の通信線の差動信号のハイレベル信号、通信線の差動信号のローレベル信号及び通信GND信号を通信送受信機に接続する。(2)通信線の差動信号のハイレベル信号をオシロスコープに接続し、H_inインタフェース、L_inインタフェース及びGND_inインタフェースを、通信送受信機に接続する。(3)被測定部品の通信線の差動信号のハイレベル信号の間、及び通信GND信号と通信送受信機の間に波形追従モジュールを接続する。(4)通信送受信機をエンベデッドコントローラに接続する。(5)エンベデッドコントローラを産業用コンピュータに接続し、同時にプログラマブル電源を被測定部品の給電信号及びGND信号に接続し、プログラマブル電源を産業用コンピュータに接続する。(6)波形追従モジュールを送受信機と被測定部品のGNDとの間に直列に接続し、コモンモード干渉を生成する。(7)波形追従モジュールをH_inとL_inの間に直列に接続することで、差動モード干渉を生成する。(8)当該コモンモード干渉と当該差動モード干渉の動作状態下で、オシロスコープによって動作特性をキャプチャし、被測定部品のフォールトトレラント能力を測定する。
【0027】
本実施例において、様々なテスト要求に応じて互いに異なるテストを組み合わせることができる。例えば、終端抵抗検証->正常動作状態->短絡/断線故障注入->正常動作状態のテスト経路が挙げられる。当該テスト経路では、被測定部品が短絡故障した場合のフォールトトレラント能力を検証することができる。他には、終端抵抗検証->正常動作状態->コモンモード/差動モード故障注入->正常動作状態のテスト経路が挙げられる。当該テスト経路では、被測定部品が信号干渉故障した場合のフォールトトレラント能力を検証することができる。他には、終端抵抗検証->正常動作状態->短絡/断線故障及びコモンモード/差動モード故障を同時に注入->正常動作状態->終端抵抗検証のテスト経路が挙げられる。当該テスト経路では、被測定部品に複雑な故障が発生した場合の許容能力及びフォールトトレラント能力を検証することに加え、被測定部品の故障を除去した後の部品電気特性回復能力を検証することができる。このように、本発明は、様々な動作条件に対応することができ、被測定部品の複数種類の信号特性及び各動作条件下での動作特性をテスト・検証し、複数種類の差動通信技術に対して、手動テストで発生し得るテスト漏れを回避することができる。
【0028】
以上をまとめると、本発明は、リレー組合せ回路基板、アナログモジュール、インタフェースモジュールであって、上記アナログモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられる。上記インタフェースモジュールは上記リレー組合せ回路基板に設けられ、上記インタフェースモジュールは被測定部品に接続することに適する。リレー組合せ回路基板上の各リレーを開閉することにより、被測定部品をアナログモジュールに必要なデバイスに接続し、アナログモジュールが模擬する動作環境で被測定部品をテストする。これにより、異なる動作条件に対応することができ、被測定部品の複数種類の信号特性及び各動作状態条件での動作特性をテスト・検証し、複数種類の差動通信技術に対し、手動テストで発生し得るテスト漏れを回避することができる。
【0029】
本願の提供するいくつかの実施例において、当然のことながら、開示されている装置及び方法は、他の方式によって実現することもできる。上記で説明した装置の実施例は単なる例示であり、例えば、図面におけるフローチャート及びブロック図は本発明に基づく複数の実施例における装置、方法及びコンピュータプログラム製品によって実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、所定の論理機能を実行するための一つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表す。なお、いくつかの代替的な実現方式において、ブロックに表記された機能は図面に表記された順序と異なる順序で実行されてもよい。例えば、二つの連続するブロックは、実際には実質的に並行して実行される場合があり、関連する機能に応じて、逆の順序で実行される場合もある。また、ブロック図及び/又はフローチャートの各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャートのブロックの組み合わせは、所定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースのシステムで実現されてもよいし、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されてもよいことに留意されたい。
【0030】
また、本発明の各実施例における各機能モジュールは一つに統合されたコンポーネントとして独立して構成されていてもよいし、各モジュールが単独で存在してもよいし、二つ又は二つ以上のモジュールが統合されたコンポーネントして独立して構成されていてもよい。
【0031】
上記機能は、ソフトウェア機能モジュールの形式で実装し、且つ独立した製品として販売又は使用する場合、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に保存することができる。このような理解に基づき、本発明の技術的解決手段の本質的な部分、又は従来技術に寄与する部分はソフトウェア製品として具現化することができる。当該コンピュータソフトウェア製品は一つの記憶媒体に記憶され、複数のコマンドを含んでおり、当該複数のコマンドによって、一つのコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置等であってもよい)に本発明の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させる。前述の記憶媒体は以下を含む:Uディスク、リムーバブルディスク、リードオンリーメモリ(ROM,Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM,Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスク等の各種のプログラムコードを記憶できる媒体。
【0032】
上述した本発明による好ましい実施例に基づいて、上述した説明内容から、当業者は本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な変更及び修正を行うことができる。本発明の技術的範囲は明細書の内容に限定されず、特許請求の範囲に基づいてその技術的範囲を確定しなければならない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】