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特表2024-507509複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シート
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/505 20100101AFI20240213BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240213BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240213BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/36 C
H01B1/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550064
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2021140525
(87)【国際公開番号】W WO2023082435
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111319825.6
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492196
【氏名又は名称】遠景動力技術(江蘇)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Dynamics Technology(Jiangsu)Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.66 Shentai Road,Shengang Street,Jiangyin City,Wuxi City,Jiangsu Province,214443 China
(71)【出願人】
【識別番号】522492200
【氏名又は名称】遠景睿泰動力技術(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】AESC Intelligent Innovation Dynamics Technology (Shanghai) Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room 101,Building No.2,No.2555 Xiupu Road,Kangqiao Town,Pudong New District,Shanghai,201315 China
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】莫 方杰
(72)【発明者】
【氏名】孫 化雨
【テーマコード(参考)】
5G301
5H050
【Fターム(参考)】
5G301CA12
5G301CA16
5G301CA18
5G301CA25
5G301CA28
5G301CA30
5G301CD01
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA14
5H050HA17
(57)【要約】
本願は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シートを提供する。前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体でコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物を含む。ここで、前記リチウムイオン伝導体と前記リチウムニッケルマンガン酸化物の質量比は(0.01~1):(99.99~99)である。前記リチウムイオン伝導体は、リチウムの金属塩を含み、かつ、前記リチウムイオン伝導体のリチウムイオン拡散速度は10-5mS/cmよりも大きい。本願により提供される複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン輸送性能を有するリチウムイオン伝導体を含み、リチウムイオンの移動速度を加速し、材料の動力学性能を改善し、電池の直流内部抵抗値を低減する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン伝導体でコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物を含み、
前記リチウムイオン伝導体と前記リチウムニッケルマンガン酸化物の質量比は(0.01~1):(99.99~99)であり、
前記リチウムイオン伝導体は、リチウムの金属塩を含み、かつ、前記リチウムイオン伝導体のリチウムイオン拡散速度は10-5mS/cmよりも大きい、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料。
【請求項2】
前記リチウムイオン伝導体は、LiWO、LiCoO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料。
【請求項3】
前記リチウムイオン伝導体は、LiWO及び/又はLi1.3Al0.3Ti1.7(POを含む、請求項2に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料。
【請求項4】
前記リチウムニッケルマンガン酸化物の化学式はLiNiMn2-xであり、ここで、0.2≦x≦0.8であり、好ましくは、LiNi0.5Mn1.5である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料。
【請求項5】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、二次球体の形態及び/又は単結晶の形態を含み、
好ましくは、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料が二次球体の形態であるとき、粒径D50が18μmから35μmであり、
好ましくは、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料が単結晶の形態であるとき、粒径D50が5μmから16μmである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料。
【請求項6】
リチウム源、ニッケル源、マンガン源とコーティング材料を混合し、前駆体材料を得ることと、
前記前駆体材料を焼結して、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得ることと、を含む、請求項1乃至5中のいずれか一項に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法。
【請求項7】
前記リチウム源は、リチウムの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩又はリン酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ニッケル源は、ニッケルの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩又はリン酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記マンガン源は、マンガンの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩又はリン酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記コーティング材料は、リチウムイオン伝導体前駆体及び/又はリチウムイオン伝導体を含み、
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体前駆体は、LiWO前駆体及び/又はLiCoO前駆体を含み、
好ましくは、前記LiWO前駆体は、Wの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩,好ましくは、WO、WO又はHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、
好ましくは、前記LiCoO前駆体は、Coの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩,好ましくは、CoO、CoCO又はCoOOHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記焼結温度は620℃から880℃であり、
好ましくは、前記焼結時間は15時間から40時間である、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
リチウムニッケルマンガン酸化物とコーティング材料を混合し、混合物を得ることと、
前記混合物を焼結して、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得ることと、を含む、請求項1乃至5中のいずれか一項に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング材料は、リチウムイオン伝導体前駆体及び/又はリチウムイオン伝導体を含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記リチウムイオン伝導体前駆体は、LiWO前駆体及び/又はLiCoO前駆体を含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記LiWO前駆体は、Wの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせ、好ましくは、WO、WO又はHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、
前記LiCoO前駆体は、Coの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせ、好ましくは、CoO、CoCO又はCoOOHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記リチウムイオン伝導体は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項17】
前記焼結温度は350℃から700℃であり、
好ましくは、前記焼結時間は6時間から25時間である、請求項12乃至16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を含む、リチウムイオン電池用正極シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、リチウムイオン電池の技術分野に関し、例えば、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料に関し、特に、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シートに関する。
【背景技術】
【0002】
スピネルリチウムニッケルマンガン酸化物は、その相対的に高い反応電位(>4.6V)と相対的に高い理論比容量(>140mAh/g)により、高エネルギー密度のパワー電池システムに応用されている。しかしながら、反応電位が高すぎるため(>4.6V)、正極材料と電解質の間の副反応を低減するために、合成される粒子サイズが相対的に大きくなることが多く、リチウムイオンの材料内部の移動が遅くなり、動力学性が相対的に劣ることとなっていた。
【0003】
どのようにして材料の動力学性能を有効に改善し、材料表面におけるリチウムイオンの拡散を促進し、材料のリチウムイオンの移動速度を加速し、電池の直流内部抵抗値を低減するかは、リチウムニッケルマンガン酸化物材料にとって早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【0004】
以下は、詳細な説明に記載する主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0005】
関連技術に存在する不足を補うために、本願の実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シートを提供し、相対的に速いリチウムイオン輸送能力を有するリチウムイオン伝導体を表面にコーティングすることにより、材料の動力学性能を効果的に改善し、電池の直流内部抵抗値を低減する。
【0006】
第1の態様では、本願の実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体でコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物を含み、
前記リチウムイオン伝導体とリチウムニッケルマンガン酸化物の質量比は(0.01~1):(99.99~99)であり、
前記リチウムイオン伝導体は、リチウムの金属塩を含み、かつ、前記リチウムイオン伝導体のリチウムイオン拡散速度は10-5mS/cmよりも大きい。
【0007】
前記リチウムイオン伝導体とリチウムニッケルマンガン酸化物の質量比は(0.01~1):(99.99~99)であり、例えば、0.01:99.99、0.1:99.9、0.2:99.8、0.5:99.5又は1:99であって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0008】
前記リチウムイオン伝導体のリチウムイオン拡散速度は10-5mS/cmよりも大きく、例えば、1.2×10-5mS/cm、2×10-5mS/cm、1×10-4mS/cm、1×10-3mS/cm又は1×10-2mS/cmであって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0009】
前記リチウムイオン伝導体は、LiWO、LiCoO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含む。典型的だが非限定的な組み合わせは、LiWOとLiCoOの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi1.5Al0.5Ge1.5(POの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li0.34La0.56TiOとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、又はLi1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせを含む。
【0010】
本願により提供されるリチウムイオン伝導体をリチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の表面にコーティングして複合材料を形成し、リチウムイオン伝導体の存在により、リチウムニッケルマンガン酸化物の表面におけるリチウムイオンの拡散を促進し、リチウムイオンの移動速度を加速するので、電池の直流抵抗値を効果的に低減し、電池の動力性能を向上させることができる。
【0011】
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体は、LiWO及び/又はLi1.3Al0.3Ti1.7(POを含む。
【0012】
好ましくは、前記リチウムニッケルマンガン酸化物の化学式はLiNiMn2-xであり、ここで、0.2≦x≦0.8であり、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8であって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用され、好ましくは、LiNi0.5Mn1.5である。
【0013】
好ましくは、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、二次球体の形態及び/又は単結晶の形態を含む。
【0014】
好ましくは、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料が二次球体の形態であるとき、粒径D50は18μmから35μmであり、例えば、18μm、20μm、25μm、30μm又は35μmであって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0015】
好ましくは、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料が単結晶の形態であるとき、粒径D50は5μmから16μmであり、例えば、5μm、8μm、10μm、15μm又は16μmであって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0016】
第2の態様では、本願の実施例は、第1の態様に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法を提供し、前記製造方法は、
リチウム源、ニッケル源、マンガン源とコーティング材料を混合し、前駆体材料を得ることと、
前記前駆体材料を焼結して、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得ることと、を含む。
【0017】
本願により提供される複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、コーティング材料とリチウム源、ニッケル源、マンガン源を混合し、一段階で共焼結することによって製造することができる。
【0018】
好ましくは、前記リチウム源は、リチウムの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩又はリン酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、典型的だが非限定的な組み合わせは、リチウムの酸化物と水酸化物の組み合わせ、リチウムの硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、リチウムの酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、リチウムの水酸化物と硝酸塩の組み合わせ、リチウムの硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、リチウムの酸化物、水酸化物と硝酸塩の組み合わせ、リチウムの酸化物、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、リチウムの硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、リチウムの酸化物、水酸化物、硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、リチウムの水酸化物、硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、又は、リチウムの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせを含む。
【0019】
好ましくは、前記ニッケル源は、ニッケルの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩又はリン酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、典型的だが非限定的な組み合わせは、ニッケルの酸化物と水酸化物の組み合わせ、ニッケルの硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、ニッケルの酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、ニッケルの水酸化物と硝酸塩の組み合わせ、ニッケルの硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、ニッケルの酸化物、水酸化物と硝酸塩の組み合わせ、ニッケルの酸化物、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、ニッケルの硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、ニッケルの酸化物、水酸化物、硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、ニッケルの水酸化物、硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、又は、ニッケルの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせを含む。
【0020】
好ましくは、前記マンガン源は、マンガンの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩又はリン酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、典型的だが非限定的な組み合わせは、マンガンの酸化物と水酸化物の組み合わせ、マンガンの硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、マンガンの酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、マンガンの水酸化物と硝酸塩の組み合わせ、マンガンの硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、マンガンの酸化物、水酸化物と硝酸塩の組み合わせ、マンガンの酸化物、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、マンガンの硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、マンガンの酸化物、水酸化物、硝酸塩と酢酸塩の組み合わせ、マンガンの水酸化物、硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせ、又は、マンガンの酸化物、水酸化物、硝酸塩、酢酸塩とリン酸塩の組み合わせを含む。
【0021】
好ましくは、前記コーティング材料は、リチウムイオン伝導体前駆体及び/又はリチウムイオン伝導体を含む。
【0022】
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体前駆体は、LiWO前駆体及び/又はLiCoO前駆体を含む。
【0023】
好ましくは、前記LiWO前駆体は、Wの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、例えば、Wの酸化物と水酸化物の組み合わせ、Wの炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、Wの酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Wの酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Wの水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Wの水酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Wの酸化物、水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Wの水酸化物、炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、又は、Wの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩の組み合わせ、好ましくは、WO、WO又はHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせであって良い。
【0024】
好ましくは、前記LiCoO前駆体は、Coの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、例えば、Coの酸化物と水酸化物の組み合わせ、Coの炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、Coの酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Coの酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Coの水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Coの水酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Coの酸化物、水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Coの水酸化物、炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、又はCoの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩の組み合わせ、好ましくは、CoO、CoCO又はCoOOHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせであって良い。
【0025】
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、例えば、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi1.5Al0.5Ge1.5(POの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li0.34La0.56TiOとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、又はLi1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせであって良い。
【0026】
前記焼結温度は620℃から880℃であり、例えば、620℃、650℃、700℃、750℃、800℃又は880℃であって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0027】
好ましくは、前記焼結時間は15時間から40時間であり、例えば、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間又は40時間であって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0028】
本願に記載されるコーティングは、点状コーティング及び/又は面状コーティングを含む。本願の第2の製造方法では、640℃から670℃の温度温度及び22時間から27時間の焼結時間が好ましく、Li1.3Al0.3Ti1.7(POは、正極材料に“点状コーティング”と“面状コーティング”の形態を兼備させ、それは表面で快速リチウムイオンを急速に移動させる特性を有すると同時に、材料主体を保護する。
【0029】
前記点状コーティングとは、正極材料の表面にコーティング物が点状に分散していることをいう。
【0030】
前記面状コーティングとは、正極材料の表面にコーティング物が面状に分布していることをいう。
【0031】
第3の態様では、本願の実施例は、第1の態様による複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法を提供し、前記製造方法は、
リチウムニッケルマンガン酸化物とコーティング材料を混合し、混合物を得ることと、
前記混合物を焼結して、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得ることと、を含む。
【0032】
本願により提供される複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、コーティング材料と完成品リチウムニッケルマンガン酸化物材料を混合し、焼結した後、コーティングの正極材料を製造することもできる。
【0033】
好ましくは、前記コーティング材料は、リチウムイオン伝導体前駆体及び/又はリチウムイオン伝導体を含む。
【0034】
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体前駆体は、LiWO前駆体及び/又はLiCoO前駆体を含む。
【0035】
好ましくは、前記LiWO前駆体は、Wの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、例えば、Wの酸化物と水酸化物の組み合わせ、Wの炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、Wの酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Wの酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Wの水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Wの水酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Wの酸化物、水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Wの水酸化物、炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、又は、Wの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩の組み合わせ、好ましくは、WO、WO又はHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせであって良い。
【0036】
好ましくは、前記LiCoO前駆体は、Coの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、例えば、Coの酸化物と水酸化物の組み合わせ、Coの炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、Coの酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Coの酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Coの水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Coの水酸化物と酢酸塩の組み合わせ、Coの酸化物、水酸化物と炭酸塩の組み合わせ、Coの水酸化物、炭酸塩と酢酸塩の組み合わせ、又はCoの酸化物、水酸化物、炭酸塩又は酢酸塩の組み合わせ、好ましくは、CoO、CoCO又はCoOOHのいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせであって良い。
【0037】
好ましくは、前記リチウムイオン伝導体は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512のいずれか1つまたは少なくとも2つの組み合わせを含み、例えば、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi1.5Al0.5Ge1.5(POの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(POとLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li0.34La0.56TiOとLi6.5LaZr1.5Ta0.512の組み合わせ、Li6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせ、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOの組み合わせ、又はLi1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512の組み合わせであって良い。
【0038】
前記焼結温度は350から700℃であり、例えば、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃又は700℃であって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0039】
前記焼結時間は6時間から25時間であり、例えば、6時間、10時間、15時間、20時間又は25時間であって良いが、列挙される数値に限定されるものではなく、数値範囲内のその他の列挙されていない数値も同様に適用される。
【0040】
本願に記載されるコーティングは、点状コーティング及び/又は面状コーティングを含む。本願の第3の製造方法では、640℃から660℃の焼結温度及び22時間から26時間の焼結時間が好ましく、Li1.3Al0.3Ti1.7(POは、正極材料に“点状コーティング”と“面状コーティング”の形態を兼備させ、それは表面で快速リチウムイオンを急速に移動させる特性を有すると同時に、主体材料を保護する。
【0041】
第4の態様では、本願の実施例は、第1の形態に記載の複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を含むリチウムイオン電池用正極シートを提供する。
【0042】
本願に記載の数値範囲は、以上で列挙した点値を含むだけでなく、さらに列挙していない前記数値範囲内の任意の点値も含み、頁数及び簡潔な説明の観点から、本願は前記範囲が含む具体的な点値を網羅的に列挙することはしない。
【0043】
関連技術と比較して、本願の実施例の有利な効果は次のとおりである。
【0044】
(1)本願の実施例により提供される複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、相対的に速いリチウムイオン輸送能力を有するリチウムイオン伝導体を含み、リチウムイオン伝導体はリチウムニッケルマンガン酸化物の表面にコーティングされ、材料の動力学性能を効果的に改善し、電池の直流内部抵抗値を低減する。
【0045】
(2)本願の実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の2種の製造方法を提供し、相対的に速いリチウムイオン輸送能力を有するリチウムイオン伝導体のコーティングを効果的に実現し、材料の安定性を向上させ、かつ、材料は優れた電気化学的性能を示し、製造工程が簡単で、生産効率が高い。
【0046】
詳細な説明を読んで理解すると、他の側面も理解できる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
従来技術において、リチウムニッケルマンガン酸化物にリチウムイオン伝導体をコーティングすることに関する一般的方法としては、酸化ジルコニアとリチウム源を反応させて得られるLiZrO又はLiLa3.5Zr1.510などのジルコニア含有リチウムイオン伝導体を用いた溶液共沈法を含む。前記方法で得られるリチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、正極材料と電解液の副反応を低減するために、合成される粒子サイズが相対的に大きくなることが多く、リチウムイオンの材料内部の移動が遅くなり、動力学性が相対的に劣ることとなって、低温下の直流内部抵抗値およびレート性能が低い。
【0048】
上記の技術的課題を解決するために、本願は、リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シートを提供し、相対的に速いリチウムイオン輸送能力を有するリチウムイオン伝導体を表面にコーティングすることにより、材料の動力学性能を効果的に改善し、電池の直流内部抵抗値を低減する。
【0049】
以下の具体的な実施形態を通じて本願はさらに詳細に説明される。ただし、以下の実施例は専ら本願の簡易な例にすぎず、本願の保護範囲を代表または制限するものではなく、本願の保護範囲は特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【0050】
実施例1
【0051】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体LiWOでコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を含み、前記リチウムイオン伝導体LiWOとリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5の質量比は0.5:99.5である。
【0052】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(NO、Mn(NO、LiNOとWOを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を、温度700℃の条件で25時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が25μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は、点状コーティングと面状コーティングである。
【0053】
実施例2
【0054】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体Li1.3Al0.3Ti1.7(POでコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を含み、前記リチウムイオン伝導体Li1.3Al0.3Ti1.7(POとリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5の質量比は0.8:99.2である。
【0055】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(OH)、Mn(OH)、LiOHとLi1.3Al0.3Ti1.7(POを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が650℃の条件で35時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が10μmの単結晶の形態であり、コーティング状態は点状コーティングである。
【0056】
実施例3
【0057】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体LiCoOがコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を含み、前記リチウムイオン伝導体LiCoOとリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5の質量比は0.2:99.8である。
【0058】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。NiO、MnO、LiOとCoOを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が880℃の条件で15時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が18μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は面状コーティングである。
【0059】
実施例4
【0060】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体でコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を含み、前記リチウムイオン伝導体は、質量比が1:1のLi1.5Al0.5Ge1.5(POとLi0.34La0.56TiOであり、前記リチウムイオン伝導体とリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5の質量比は1:99である。
【0061】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。LiNi0.5Mn1.5とLi1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiOを混合し、混合物を得る。得られた混合物を温度が350℃の条件で25時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が35μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティングである。
【0062】
実施例5
【0063】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体でコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を含み、前記リチウムイオン伝導体は、質量比が1:1のLi6.5LaZr1.5Ta0.512とLi6.5LaZr1.5Nb0.512であり、前記リチウムイオン伝導体とリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5の質量比は0.01:99.99である。
【0064】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。LiNi0.5Mn1.5とLi6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512を混合し、混合物を得る。得られた混合物を温度が700℃の条件で6時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50は5μmの単結晶の形態であり、コーティング状態は点状コーティング及び面状コーティングである。
【0065】
実施例6
【0066】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、リチウムイオン伝導体Li1.3Al0.3Ti1.7(POがコーティングされたリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を含み、前記リチウムイオン伝導体Li1.3Al0.3Ti1.7(POとリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5の質量比は0.8:99.2である。
【0067】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(OH)、Mn(OH)、LiOHとLi1.3Al0.3Ti1.7(POを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が620℃の条件で40時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が10μmの単結晶の形態であり、コーティング状態は点状コーティングである。
【0068】
実施例7
【0069】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、前記リチウムニッケルマンガン酸化物の化学式がLiNi0.2Mn1.8であることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例1と同一である。
【0070】
実施例8
【0071】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、前記リチウムニッケルマンガン酸化物の化学式がLiNi0.8Mn1.2であることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例1と同一である。
【0072】
実施例9
【0073】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の成分、含有量は実施例1と同一である。
【0074】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。
【0075】
LiNi0.5Mn1.5とWOを混合し、混合物を得る。得られた混合物を温度が400℃の条件で15時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が20μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティングである。
【0076】
実施例10
【0077】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、コーティング材料がWOであることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例1と同一である。
【0078】
実施例11
【0079】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、コーティング材料がWOであることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例8と同一である。
【0080】
実施例12
【0081】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、コーティング材料がHであることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例1と同一である。
【0082】
実施例13
【0083】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、コーティング材料がHであることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例8と同一である。
【0084】
実施例14
【0085】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の成分、含有量は実施例2と同一である。
【0086】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。LiNi0.5Mn1.5とLi1.3Al0.3Ti1.7(POを混合し、混合物を得る。得られた混合物を温度が400℃の条件で15時間時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が18μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティングである。
【0087】
実施例15
【0088】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、リチウムイオン伝導体がLi1.5Al0.5Ge1.5(POであることを除き、その他の成分及び含有量は実施例1と同一である。
【0089】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(NO、Mn(NO、LiNOとLi1.5Al0.5Ge1.5(POを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が700℃の条件で25時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が25μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティング及び面状コーティングである。
【0090】
実施例16
【0091】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、リチウムイオン伝導体がLi0.34La0.56TiOであることを除き、その他の成分及び含有量は実施例1と同一である。
【0092】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(NO、Mn(NO、LiNOとLi0.34La0.56TiOを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が700℃の条件で25時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が25μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティング及び面状コーティングである。
【0093】
実施例17
【0094】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、リチウムイオン伝導体がLi6.5LaZr1.5Ta0.512であることを除き、その他の成分及び含有量は実施例1と同一である。
【0095】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(NO、Mn(NO、LiNOとLi6.5LaZr1.5Ta0.512を混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が700℃の条件で25時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が25μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティング及び面状コーティングである。
【0096】
実施例18
【0097】
本実施例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、リチウムイオン伝導体がLi6.5LaZr1.5Nb0.512であることを除き、その他の成分及び含有量は実施例1と同一である。
【0098】
前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料の製造方法は、次の工程を含む。Ni(NO、Mn(NO、LiNOとLi6.5LaZr1.5Nb0.512を混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が700℃の条件で25時間焼結し、前記複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得る。得られた複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料は、粒径D50が25μmの二次球体の形態であり、コーティング状態は点状コーティング及び面状コーティングである。
【0099】
比較例1
【0100】
本比較例は、実施例1のリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を提供する。
【0101】
前記リチウムニッケルマンガン酸化物の製造方法は、次の工程を含む。Ni(NO、Mn(NOとLiNOを混合し、前駆体材料を得る。得られた前駆体材料を温度が700℃の条件で25時間焼結し、前記リチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5を得た。
【0102】
比較例2
【0103】
本比較例は、複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を提供するが、LiWOとリチウムニッケルマンガン酸化物LiNi0.5Mn1.5が質量比1.5:98.5であることを除き、その他の成分及び製造方法は実施例1と同一である。
【0104】
実施例1から18と比較例1から2で得られた正極材料をそれぞれ導電性カーボンブラック、導電性カーボンチューブ、N-メチルピロリドン溶媒及びポリフッ化ビニリデンと質量比99:1:0.5:40:1で混合して正極片を製造する。得られた正極片を1Ahパウチ電池に実装する。化成及びエージング後、25℃において、0.33Aのレートで4.9V電圧まで充電し、0.33Aで3.1Vまで放電し、容量C。を得た後、電池を4.9Vまでフル充電する。
【0105】
低温DCR試験:電池を0℃の恒温箱に入れ、1時間維持した後、電池の充電状態を50%SOCに調整し、その後、電池を4C(Cに基づく)の電流密度で30秒放電し、その放電前後の電圧差値を電流密度で割ったものが、電池の前記温度及び充電状態(SOC)における直流抵抗値(DCR)である。
【0106】
低温容量保持率:電池を-20℃の恒温箱に入れ、1時間維持した後、0.33A電流で3.1Vまで放電し、容量Cを得る。C/Cは、即ち、電池の低温容量保持率である。
【0107】
サイクル容量維持率:25℃で、電池を0.33A充電/1A放電する方法で充放電サイクルを実施し、サイクル電圧区間は3.1Vから4.9Vであり、初回の1A放電容量をCと記録し、第200回目の1A放電容量をCと記録し、C/Cは、電池のサイクル容量維持率である。
【0108】
エネルギー密度の算出:C×放電プラトー電圧/電池重量。
【0109】
以上の結果は、表1に示す通りである。
【0110】
【表1】
【0111】
表1の結果から次のことが分かる。
【0112】
(1)実施例1から実施例6より分かるように、本願により提供される複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料及びその製造方法ならびにリチウムイオン電池用正極シートは、相対的に速いリチウムイオン輸送能力を有するリチウムイオン伝導体を表面にコーティングすることにより、材料の動力学性能を効果的に改善し、電池の直流内部抵抗値を低減し、得られる正極材料は、低い直流内部抵抗値、高い容量、高い容量保持率及び高いエネルギー密度を具える。
【0113】
(2)実施例1と実施例7、8の比較より分かるように、本願により提供されるリチウムニッケルマンガン酸化物LiNiMn2-xは、0.2≦x≦0.8であり、相対的に速いリチウムイオン輸送能力を有するリチウムイオン伝導体を表面にコーティングすることにより、材料の動力学性能を効果的に改善し、電池の直流内部抵抗値を低減し、得られる正極材料は低い直流内部抵抗値、高い容量、高い容量保持率及び高いエネルギー密度を具える。
【0114】
(3)実施例1と実施例9の比較、実施例2と実施例13の比較より分かるように、本願により提供される2種の製造方法は、いずれも低い抵抗及び高いレート性能を有する複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を得ることができる。
【0115】
(4)実施例1と実施例10から実施例13の比較より分かるように、本願により提供されるWO、WO又はHをコーティング材料とすることで、低い抵抗及び高いレート性能を有する複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を製造することができる。
【0116】
(5)実施例1と実施例15から実施例18の比較より分かるように、本願により提供されるリチウムイオン伝導体LiWO、LiCoO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO、Li0.34La0.56TiO、Li6.5LaZr1.5Ta0.512又はLi6.5LaZr1.5Nb0.512をコーティング材料とすることで、低い抵抗及び高いレート性能を有する複合リチウムニッケルマンガン酸化物の正極材料を製造することができる。
【0117】
(6)実施例1と比較例1より分かるように、コーティングリチウムイオン伝導体でコーティングしない場合、製造得らえる正極材料の低温抵抗値は高くレート性能が低く、これは本願により提供されるリチウムイオン伝導体をコーティング材料とすることで、低温抵抗値が低くレート性能高い正極材料を製造し、電池の安定性を向上し、電池のサイクル性能を向上することするのに有利であることを示す。
【0118】
(7)実施例1と比較例2より分かるように、コーティングリチウムイオン伝導体とリチウムニッケルマンガン酸化物の質量比が(0.01-1):(99.99-99)の範囲にない場合、得られる正極材料の低温抵抗値が高くレート性能が低く、これは本願により提供されるリチウムイオン伝導体の含有量が低温抵抗値が高くレート性能が低い正極材料の製造し、電池の安定性を向上し、電池のサイクル性能を向上するのに有利であることを示す。
【0119】
以上に記載した具体的実施例は、本願の目的、技術的試案及び有益な効果をさらに詳細に説明するものである。理解したい点として、以上は本願の具体的実施例であるにすぎず、本願を限定することを意図するものではなく、本願の精神及び原則の範囲で行われる任意の修正、同等置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲にあたるものとする。
【国際調査報告】