IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司の特許一覧

特表2024-507514キシリトール発酵液の精製システム及びその方法
<>
  • 特表-キシリトール発酵液の精製システム及びその方法 図1
  • 特表-キシリトール発酵液の精製システム及びその方法 図2
  • 特表-キシリトール発酵液の精製システム及びその方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】キシリトール発酵液の精製システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   C13B 20/14 20110101AFI20240213BHJP
   C12P 7/18 20060101ALN20240213BHJP
【FI】
C13B20/14
C12P7/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550085
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 CN2022125221
(87)【国際公開番号】W WO2023124396
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111641269.4
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】甄 ▲ニー▼
(72)【発明者】
【氏名】羅 家星
(72)【発明者】
【氏名】胡 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】呉 強
(72)【発明者】
【氏名】楊 武龍
(72)【発明者】
【氏名】曾 方明
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AC05
4B064AF04
4B064CA11
4B064CC15
4B064CE11
4B064DA16
(57)【要約】
本発明は、キシリトール発酵液の精製システムに関し、配管を介して連通している、発酵タンク、発酵後タンク、セラミックメンブレンフィルタ、ナノろ過メンブレンフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換カラム、蒸発タンク、結晶化タンク、遠心分離機、及び乾燥器を含み、発酵後タンクは、発酵タンクで得た発酵液を貯蔵して静置し上澄み発酵液を得ることに用いられ、セラミックメンブレンフィルタ、ナノろ過メンブレンフィルタ、活性炭フィルタ、及びイオン交換カラムは、上澄み発酵液から不純物を除去してキシリトールイオン交換液を得ることに用いられ、蒸発タンク及び結晶化タンクは、キシリトールイオン交換液を蒸発させて結晶化し、キシリトール糖ペーストを得ることに用いられ、遠心分離機は、キシリトール糖ペーストを分離してキシリトール結晶を得ることに用いられ、乾燥器は、キシリトール結晶を乾燥させてキシリトール結晶を得ることに用いられる。本発明はまた、該システムを用いた方法を開示する。本発明は、活性炭の使用量を大幅に低下させ、液体材料のpHを上げて、導電率を顕著に低減させ、後続のイオン交換工程の負荷を低減させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キシリトール発酵液の精製システムであって、
順次配管を介して連通している、発酵タンク、発酵後タンク、セラミックメンブレンフィルタ、ナノろ過メンブレンフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換カラム、蒸発タンク、結晶化タンク、遠心分離機、及び乾燥器を含み、発酵後タンクは、発酵タンクで得たキシリトール発酵液を貯蔵して静置し分離し、沈殿物と上澄み発酵液をそれぞれ得ることに用いられ、セラミックメンブレンフィルタ、ナノろ過メンブレンフィルタ、活性炭フィルタ、及びイオン交換カラムは、順次上澄み発酵液をろ過除して不純物を除去し、キシリトールイオン交換液を得ることに用いられ、蒸発タンク及び結晶化タンクは、キシリトールイオン交換液を蒸発させて結晶化し、キシリトール糖ペーストを得ることに用いられ、遠心分離機は、キシリトール糖ペーストを分離してキシリトール結晶と母液をそれぞれ得ることに用いられ、乾燥器は、キシリトール結晶を乾燥させて、精製したキシリトール結晶生成物を得ることに用いられる、ことを特徴とするキシリトール発酵液の精製システム。
【請求項2】
前記イオン交換カラムは、アニオン交換カラムとカチオン交換カラムを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のキシリトール発酵液の精製システム。
【請求項3】
キシリトール発酵液の精製方法であって、
請求項1又は2に記載のキシリトール発酵液の精製システムを使用しており、
トウモロコシ穂軸を原料として、不純物除去、リンス、酸分解処理を行って、発酵原液材料を得て、キシロース濃度>500g/Lとなるまで発酵原液材料を濃縮させた後、遺伝子組み換え菌を用いて発酵させ、キシリトール発酵液を得て、キシリトール発酵液を静置して、沈殿物と上澄み発酵液をそれぞれ得るステップ1と、
上澄み発酵液をセラミックメンブレンでろ過して、菌体及び大粒子不純物を含まないセラミックメンブレン排出液体材料を得て、該ステッププロセスのパラメータとして供給温度を36℃~48℃、ろ過圧力を0.2MPa~0.4MPaにするステップ2と、
セラミックメンブレン排出液体材料をナノろ過フィルタに送って、ナノろ過メンブレンでろ過し、分子量>400Daの不純物分子を分画し、透光性が20%~40%のナノろ過液を得て、ナノろ過における供給温度を36℃~48℃、ろ過圧力を2.5MPa~3.3MPaにするステップ3と、
得たナノろ過液を活性炭で活性炭ろ過した後、カチオン交換カラム、アニオン交換カラムの順にイオン交換処理を行い、キシリトールイオン交換液を得て、活性炭の使用量を0.5%~1.0%、イオン交換液の導電率<20μs/cmにするステップ4と、
屈折78%~82%となるまでキシリトールイオン交換液を蒸発させて濃縮させ、その後、降温して結晶化し、キシリトール糖ペーストを得て、糖ペーストを遠心分離して、キシリトール結晶及び母液を得て、キシリトール結晶を乾燥し、精製したキシリトール結晶生成物を得るステップ5と、を含む、ことを特徴とするキシリトール発酵液の精製方法。
【請求項4】
母液をキシリトールイオン交換液と混合したものを濃縮させて、回収し利用するステップ6をさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載のキシリトール発酵液の精製方法。
【請求項5】
ステップ1では、発酵原液材料は、固形分が10%~13%、導電率が14000μs/cm~16000μs/cm、pHが6.0~6.8である、ことを特徴とする請求項3に記載のキシリトール発酵液の精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キシリトールを製造する技術分野に属し、特にキシリトール発酵液の精製システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キシリトールは五炭素糖アルコールの一種であり、現在、工業化生産ではキシリトールの化学水素化による製造が多く、生物法による転化は反応条件が温和であるが、現在もいくつかの技術的ボトルネックが存在している。現在、生物法によるキシリトールの製造は、トウモロコシ穂軸やわらなどのバイオマス資源を原料とし、酸により加水分解してヘミセルロース加水分解液を得るのが一般的である。酸分解後の加水分解液は、キシロース濃度が低いため、直接生物発酵の原料とすることはできないため、原料の加水分解液を濃縮する必要があり、蒸発濃縮が一般的な方法である。この過程で、原料中の糖、蛋白類やその他の物質がメイラード反応を起こして原液材料の色が濃くなる可能性がある。このプロセスで製造された原料を発酵させると、最終発酵液の色が濃くなり、その後の発酵液の精製工程に大きな支障をきたすことになる。公開番号CN108949839Aの特許は、高純度キシリトール及びその製造方法を記載しており、発酵液に対して除菌、脱色、イオン交換、濃縮、結晶化乾燥を行って、最後にキシリトール結晶製品を得るが、その脱色プロセスには活性炭による脱色が採用されており、活性炭の添加量は20%であり、化学法による添加量の約100倍であり、工業化の生産コストが高すぎ、また、廃炭が大量発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、脱色や光透過率を確保した上、活性炭の使用量を明らかに低減させ、また、液体材料のpHを向上させ、導電率を顕著に低下させ、後続のイオン交換における負荷を低減させるキシリトール発酵液の精製システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下のように達成される。順次配管を介して連通している、発酵タンク、発酵後タンク、セラミックメンブレンフィルタ、ナノろ過メンブレンフィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換カラム、蒸発タンク、結晶化タンク、遠心分離機、及び乾燥器を含み、発酵後タンクは、発酵タンクで得たキシリトール発酵液を貯蔵して静置し分離し、沈殿物と上澄み発酵液をそれぞれ得ることに用いられ、セラミックメンブレンフィルタ、ナノろ過メンブレンフィルタ、活性炭フィルタ、及びイオン交換カラムは、順次上澄み発酵液をろ過除して不純物を除去し、キシリトールイオン交換液を得ることに用いられ、蒸発タンク及び結晶化タンクは、キシリトールイオン交換液を蒸発させて結晶化し、キシリトール糖ペーストを得ることに用いられ、遠心分離機は、キシリトール糖ペーストを分離してキシリトール結晶と母液をそれぞれ得ることに用いられ、乾燥器は、キシリトール結晶を乾燥させて、精製したキシリトール結晶生成物を得ることに用いられる、ことを特徴とするキシリトール発酵液の精製システムを提供する。
【0005】
さらに、前記イオン交換カラムは、アニオン交換カラムとカチオン交換カラムを含む。
【0006】
本発明は以下のように達成される。前記キシリトール発酵液の精製システムを使用しており、
トウモロコシ穂軸を原料として、不純物除去、リンス、酸分解処理を行って、発酵原液材料を得て、キシロース濃度>500g/Lとなるまで発酵原液材料を濃縮させた後、遺伝子組み換え菌を用いて発酵させ、キシリトール発酵液を得て、キシリトール発酵液を静置して、沈殿物と上澄み発酵液をそれぞれ得るステップ1と、
上澄み発酵液をセラミックメンブレンでろ過して、菌体及び大粒子不純物を含まないセラミックメンブレン排出液体材料を得て、該ステッププロセスのパラメータとして供給温度を36℃~48℃、ろ過圧力を0.2MPa~0.4MPaにするステップ2と、
セラミックメンブレン排出液体材料をナノろ過フィルタに送って、ナノろ過メンブレンでろ過し、分子量>400Daの不純物分子を分画し、透光性が20%~40%のナノろ過液を得て、ナノろ過における供給温度を36℃~48℃、ろ過圧力を2.5MPa~3.3MPaにするステップ3と、
得たナノろ過液を活性炭で活性炭ろ過した後、カチオン交換カラム、アニオン交換カラムの順にイオン交換処理を行い、キシリトールイオン交換液を得て、活性炭の使用量を0.5%~1.0%、イオン交換液の導電率を<20μs/cmにするステップ4と、
屈折78%~82%となるまでキシリトールイオン交換液を蒸発させて濃縮させ、その後、降温して結晶化し、キシリトール糖ペーストを得て、糖ペーストを遠心分離して、キシリトール結晶及び母液を得て、キシリトール結晶を乾燥し、精製したキシリトール結晶生成物を得るステップ5と、を含む、キシリトール発酵液の精製方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
従来技術と比べて、本発明のキシリトール発酵液の精製システム及びその方法は、以下の特徴がある。
1.該プロセスで処理すると、脱色部分の光透過率が90%以上に達する。
【0008】
2.処理液体材料のpHを向上させ、イオンの一部を吸着して導電率を明らかに低減させ、後続のイオン交換における負荷を低減させる。
【0009】
3.一次結晶により製造されたキシリトール結晶製品は、国家基準の要件を満たし、結晶表面が規則的で滑らかであり、純度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のキシリトール発酵液の精製システムの好適な実施例の原理概略図である。
図2】本発明のキシリトール発酵液の精製システム及び方法の流れの概略図である。
図3】本発明の実施例1で製造されたキシリトール結晶製品のHPLC純度分析スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下では、図面及び実施例を参照して、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、ここで説明される特定実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0012】
図1及び図2の両方を参照して、本発明のキシリトール発酵液の精製システムの好適な実施例が示されており、前記システムは、順次配管を介して連通している、発酵タンク1、発酵後タンク2、セラミックメンブレン(セラミック膜)フィルタ3、ナノろ過メンブレンフィルタ4、活性炭フィルタ5、イオン交換カラム6、蒸発タンク7、結晶化タンク8、遠心分離機9及び乾燥器10を含む。図における矢印は、システム内の材料の流動方向を示す。
【0013】
発酵後タンク2は、発酵タンク1で得たキシリトール発酵液を貯蔵して静置し層化し、沈殿物と上澄み発酵液Aをそれぞれ得ることに用いられる。セラミックメンブレンフィルタ3、ナノろ過メンブレンフィルタ4、活性炭フィルタ5、及びイオン交換カラム6は、順次上澄み発酵液Aをろ過して不純物を除去し、キシリトールイオン交換液を得ることに用いられ、蒸発タンク7及び結晶化タンク8は、キシリトールイオン交換液を蒸発させて結晶化し、キシリトール糖ペーストを得ることに用いられ、遠心分離機9は、キシリトール糖ペーストを分離してキシリトール結晶と母液をそれぞれ得ることに用いられ、乾燥器10は、キシリトール結晶を乾燥させて、精製したキシリトール結晶Bの製品を得ることに用いられる。
【0014】
前記イオン交換カラム6は、カチオン交換カラム61とアニオン交換カラム62を含む。
【0015】
また、図1及び図2の両方を参照して、本発明は、前記キシリトール発酵液の精製システムを使用しており、下記のステップ1~ステップ6を含む、キシリトール発酵液の精製方法を提供する。
ステップ1:トウモロコシ穂軸などのバイオマス資源を原料として、不純物除去、リンス、酸分解処理を行って、発酵原液材料を得て、キシロース濃度>500g/Lとなるまで発酵原液材料を濃縮させた後、遺伝子組み換え菌を用いて発酵させ、キシリトール発酵液Aを得て、キシリトール発酵液Aを静置して、後沈殿物と上澄み発酵液をそれぞれ得る。発酵原液材料は、固形分が10%~13%、導電率が14000μs/cm~16000μs/cm、pHが6.0~6.8である。沈殿物は別途処理する。
【0016】
ステップ2:上澄み発酵液をセラミックメンブレンでろ過して、菌体及び大粒子不純物を含まないセラミックメンブレン排出液体材料を得て、該ステッププロセスのパラメータとして供給温度を36℃~48℃、ろ過圧力を0.2MPa~0.4MPaにする。
【0017】
ステップ3:セラミックメンブレン排出液体材料をナノろ過フィルタに送って、ナノろ過メンブレンでろ過し、分子量>400Daの不純物分子を分画し、透光性が20%~40%のナノろ過液を得て、ナノろ過における供給温度を36℃~48℃、ろ過圧力を2.5MPa~3.3MPaにする。
【0018】
ステップ4:得たナノろ過液を活性炭で活性炭ろ過し、その後、カチオン交換カラム61、アニオン交換カラム62の順にイオン交換処理を行い、キシリトールイオン交換液を得て、活性炭の使用量を0.5%~1.0%、イオン交換液の導電率を<20μs/cmにする。
【0019】
ステップ5:屈折78%~82%となるまでキシリトールイオン交換液を蒸発させて濃縮させ、その後、降温して結晶化し、キシリトール糖ペーストを得て、糖ペーストを遠心分離して、キシリトール結晶及び母液を得て、キシリトール結晶を乾燥し、精製したキシリトール結晶Bの製品を得る。
【0020】
ステップ6:母液をキシリトールイオン交換液と混合したものを濃縮させて、回収し利用する。
【0021】
以下、特定実施例によって本発明的キシリトール発酵液の精製システム及びその方法をさらに説明する。
(実施例1)
【0022】
本発明のキシリトール発酵液の精製システム及びその方法の第1実施例は、下記のステップを含む。
【0023】
ステップ11:キシリトール発酵液の製造
トウモロコシ穂軸などのバイオマス資源を原料として、不純物除去、リンス、酸分解を行い、発酵原液材料を得た。さらに、発酵原液材料に対して不純物除去、脱色などのステップを行って、キシロース濃度>500g/Lとなるまで濃縮さえた。その後、遺伝子組み換え菌で発酵させて、固形分が11%、導電率値が16000μs/cm、pH6.2のキシリトール発酵液を得た。発酵液には発酵微生物に加えて、コーンシロップの大粒子などの不純物が含まれており、発酵液は色が濃く、光透過率が0%である。
【0024】
ステップ12:キシリトール発酵液6Lをセラミックメンブレンでろ過した。メンブレンユニットによって>50nmの菌体及び大粒子不純物を分画し、その処理においては、平均通過量は2L/h、ろ過圧力は0.2MPa、液体材料温度は45℃であり、処理後の液体材料の導電率値は13460μs/cmに下がり、液体材料のpHは6.4である。
【0025】
ステップ13:セラミックメンブレン排出液体材料をナノろ過メンブレンでろ過して脱色した。この工程には分画量>400Daのナノろ過メンブレンが使用される。処理温度は45℃、ろ過圧力は3.3MPa、通過量は約6L/hである。ナノろ過により脱色すると、液体材料は、光透過率が0%から33%に上がり、pHが6.8に上がり、導電率値が7588μs/cmに下がる。
【0026】
ステップ14:(2)工程で処理した後、系に0.5%の活性炭粉を添加して活性炭でろ過することで二次脱色処理を行った。条件:60℃で2h脱色する。二次脱色液は、pHが6.9であり、導電率値が6865μs/cmに下がり、液体材料の光透過率が92.4%である。
【0027】
ステップ15:(3)で処理された二次脱色液をイオン交換工程に供してイオン交換処理を行い、イオン交換中に排出材料の導電率を<50μs/cmに制御し、水押し出しにより段階的な収率を向上させる。
【0028】
ステップ16:イオン交換による排出液体材料を屈折82%となるまで蒸発濃縮させ、後続の降温結晶化を行い、遠心分離して乾燥し、キシリトール結晶を得た。
【0029】
製造したキシリトール結晶についてHPLCにより測定した結果、製品は、純度が99.71%に達し、白色の外観をしており、顕微鏡で観察した結果、結晶が角柱状の形態を呈し、結晶表面が規則的で滑らかであり、微細な結晶が大粒子の表面に吸着するものが少なく、残りの指標はすべて国家基準の要件を満たす。図3は、キシリトール結晶製品のHPLC純度分析スペクトルである。
(実施例2)各分画量のナノろ過メンブレンに関する試験
【0030】
キシリトール発酵液の脱色用のナノろ過メンブレンの選択及びテストの方法
分画孔径がそれぞれ200Da、400Da、及び600Daのナノろ過メンブレンを用いて脱色効果を試験し、液体材料の脱色効果及び後続の二次脱色における活性炭の添加量の2つの面で総合的に評価し、孔径の適切なナノろ過メンブレンを選択した。
【0031】
(1)セラミックメンブレンからの排出液体材料30Lを10Lずつ3等分し、セラミックメンブレンによる排出液体材料は、光透過率が0%、pHが約6.47である。
【0032】
(2)分画量が200Daのナノろ過メンブレンによる脱色試験
液体材料10Lをナノろ過装置に入れて、処理圧力を3.3MPa、通過量を約4L/h、液体材料の温度を45℃にした。ナノろ過した液体材料の光透過率は約48%である。この工程における収率は<50%である。200Daナノろ過メンブレンで処理した後、0.5%の活性炭を添加して処理すると、液体材料の光透過率は96%に上昇する。
【0033】
(3)分画量が400Daのナノろ過メンブレンによる脱色試験
液体材料10Lをナノろ過装置に入れて、処理圧力を3.3MPa、通過量を約6L/h、液体材料の温度を45℃にした。ナノろ過した液体材料の光透過率は約35%である。この工程における収率は>90%である。400Daナノろ過メンブレンで処理した後、0.5%の活性炭を添加して処理すると、液体材料の光透過率は92%に上昇する。
【0034】
(4)分画量が600Daのナノろ過メンブレンによる脱色試験
液体材料10Lをナノろ過装置に入れて、処理圧力を3.3MPa、通過量を約6L/h、液体材料の温度を45℃にした。ナノろ過した液体材料の光透過率は約17.06%である。この工程における収率は>90%である。600Daナノろ過メンブレンで処理した後、約2%の活性炭を添加して処理すると、液体材料の光透過率は90%以上に上昇する。
【0035】
(5)200Da、400Da及び600Daの各分画量のメンブレンによる脱色効果を比較した結果、脱色効果と後続の活性炭の添加量とを合わせると、400Da孔径分画のナノろ過メンブレンは、効果が最も良好であり、収率が高く、活性炭の二次添加量が少ない。
【0036】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる全ての修正、等同置換及び改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
【国際調査報告】