(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】安定なオイルボディ溶液を調製する高pH共抽出方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240213BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20240213BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20240213BHJP
A23D 7/005 20060101ALI20240213BHJP
A23D 7/02 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A23L5/00 L
A23C9/13
A23L23/00
A23D7/005
A23D7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550228
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022054783
(87)【国際公開番号】W WO2022180208
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ハッソン, ジュワンロ
(72)【発明者】
【氏名】サガロヴィツ, ローラン
(72)【発明者】
【氏名】シャファー, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ディオニシ, ファビオラ
(72)【発明者】
【氏名】レッサー, マーティン, エルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】バロ, リリアン
【テーマコード(参考)】
4B001
4B026
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B001AC20
4B001BC04
4B001BC08
4B001BC99
4B026DG20
4B026DL05
4B026DP03
4B026DP10
4B035LC16
4B035LG31
4B035LP01
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4B036LF19
4B036LH27
4B036LP01
4B036LP05
4B036LP07
4B036LP24
(57)【要約】
本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、a)種子材料と非種子植物材料との懸濁液を調製するステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過して、オイルボディ溶液を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルボディ溶液の調製方法であって、
a.種子材料と非種子植物材料との水相中懸濁液、好ましくは緩衝液中懸濁液を調製するステップであって、前記種子材料及び非種子植物材料が50:50~95:5の乾燥重量比で存在する、ステップと、
b.前記懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、
c.前記懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、
d.前記スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、
e.前記スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、
f.任意選択で、前記オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記種子材料が、13%~30%のタンパク質含有量及び8%~27%の炭水化物含有量を有し、前記非種子植物材料が、4%~25%のタンパク質含有量及び16%~35%の炭水化物含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記種子材料のオメガ3含有量が、前記種子材料の油含有量の10%~60%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記種子材料及び非種子植物材料が、以下の植物源の組み合わせ:
a.ヘンプ及びプラム、
b.ヘンプ及びカボチャ、
c.チア及びレンズマメ、
d.亜麻及びプラム、又は
e.クルミ及びレンズマメ、に由来する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)が、前記種子材料及び前記非種子植物材料を約pH6.5~pH10の緩衝液に別々に懸濁し、続いて混合して懸濁液を形成することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップa)における前記懸濁液が、90℃~120℃に加熱され、続いて4℃~30℃に冷却される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記懸濁液が、少なくとも1時間、4℃~30℃に冷却される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁液が、粉砕によって機械的に破壊されてスラリーを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(i)前記スラリーを、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過し、第1の濾液から分離された第1のリテンテートを得る、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(i)前記第1のリテンテートをpH6.5~10の緩衝液に添加し、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過して、第2の濾液から分離された第2のリテンテートを得て、(ii)前記第1の濾液と前記第2の濾液とを合わせてオイルボディ溶液を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
濾過又は遠心分離後のステップe)における溶液中のオイルボディの、静的光散乱を用いて測定された平均D[3;2]粒径が、4μm~26μmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記オイルボディ溶液の総固形分%が、1~15%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法により得られた、オイルボディ溶液又はその粉末。
【請求項14】
オイルボディ溶液であって、前記溶液が、静的光散乱を使用して測定される4μm~26μmの平均D[3:2]粒径を有し、前記溶液が6.5~10のpHを有する、オイルボディ溶液。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のオイルボディ溶液又は粉末を含む、食品製品であって、前記食品製品が、植物性ミルク、冷蔵代替乳製品、ソース、又はディップであり、前記冷蔵代替乳製品がヨーグルト類似物である、食品製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
異味及び異臭を生じる脂質酸化は食品製品において強い制約となる。オイルボディは、植物において、主に種子及び堅果から生じる、天然の脂質貯蔵形態である。オイルボディは、球状の構造、並びにタンパク質、脂質及びリン脂質の固有の組み合わせを有する。この固有の構造は、脂質を酸化から保護し、また安定なエマルジョン特性を有する。
【0002】
オイルボディは、オメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を保護するために使用することができる。抽出された植物オイルボディ同士は比較的弱い静電反発力を有しており、この静電反発力により物理的に不安定となり、多くの食品において適用が制限される。
【0003】
オイルボディ調製物の安定性を改善するために、様々なタイプの成分がオイルボディ調製物に添加されてきた。Iwanaga et al,J.Agric.Food Chem.56:2240-2245 (2008) は、ペクチンでコーティングされたオイルボディが、コーティングされていないオイルボディと比較して同様の又は改善された安定性を有することを報告している。国際公開第2017/066569号は、2つの異なる供給源からの異なるD50サイズ分布のオイルボディを含有するオイルボディ組成物に関する。オイルボディは別々に調製され、次いで、異なるサイズ分布のオイルボディを含有するオイルボディ調製物を有するように組み合わされる。オイルボディ調製物を安定化するために保存剤を使用することが提案されている。
【0004】
食品用途のためにオイルボディの完全性を維持する天然のクリーンラベルの安定化系を開発することに対する明確なニーズが存在する。
【0005】
[発明の概要]
本願発明者らは、先行技術の方法よりも長期間にわたってオイルボディの完全性を維持する天然の安定化系を開発した。この系は、最小限の処理で、食品用途のためPUFA酸化からの保護をもたらす。この系は、クリーンラベルである原材料リストという消費者による要求を満たし、レシチン及びマルトデキストリンなどの添加剤の使用を回避する。本発明は、種子と、タンパク質、多糖類及び抗酸化物質を豊富に含む植物原料との特定の組み合わせを使用して、物理的安定性及び化学的安定性の両方をもたらす。特に安定なオイルボディ溶液は、種子及び非種子植物材料の以下の組み合わせ:ヘンプ(hemp)及びプラム、ヘンプ及びカボチャ、亜麻及びプラム、チア及びレンズマメ、並びにクルミ及びレンズマメ、が本発明の方法において使用される場合に得られる。
【0006】
第一の態様では、本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、
a.種子材料と非種子植物材料とを含む懸濁液を調製するステップと、
b.必要に応じて、懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、
c.懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、
d.スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、
e.スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0007】
第2の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法によって得られた、オイルボディ溶液又はその粉末に関する。
【0008】
第3の態様では、本発明は、本明細書に記載されるオイルボディ溶液又はその粉末を含む、食品製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の不均質なチアオイルボディ溶液である。
【
図2】実施例4の植物材料中に蓄積されたヘンプオイルボディである。
【
図3】実施例5の植物材料中に蓄積されたヘンプオイルボディである。
【
図4】実施例7の均質なクルミオイルボディである。
【0010】
[発明が解決しようとする課題]
本発明の方法は、液体処方物及び粉末処方物中で安定な植物抽出物の形成を可能にする。
【0011】
第1の態様では、本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、
種子材料と非種子植物材料とを含む懸濁液を調製するステップであって、懸濁液のpHが6より大きく、好ましくは6.5~10である、ステップと、懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0012】
更なる態様では、本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、
種子材料と非種子植物材料とを含む懸濁液を調製するステップと、懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0013】
更なる態様では、本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、
a.種子材料と非種子植物材料との水相中懸濁液を調製するステップであって、該種子材料及び非種子植物材料が50:50~95:5の乾燥重量比で存在する、ステップと、
b.懸濁液のpHを6より大きく、好ましくは6.5~10に調整するステップと、
c.懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、
d.スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、
e.スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、
f.任意選択で、オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0014】
好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、異なる植物源に由来する。
【0015】
本方法で使用される種子及び非種子植物材料の特定の範囲のタンパク及び糖質の含有量は、オイルボディの安定化を改善する。いくつかの実施形態では、種子材料は、13%~30%のタンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態では、種子材料は、8%~27%の炭水化物含有量を有する。いくつかの実施形態では、非種子植物材料は、4%~25%のタンパク質含有量を有する。いくつかの実施形態では、非種子植物材料は、16%~35%のタンパク質含有量を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、種子材料のオメガ3及びオメガ6の総含有量は、種子材料の総油含有量の10%~60%である。
【0017】
種子及び非種子又は原料の特定の組み合わせが、オイルボディ安定化の改善をもたらすことが見出された。
【0018】
好ましくは、種子材料は、植物源のヘンプ、チア、亜麻、ヒマワリ、ゴマ、スイカ、エグシ、菜種及びクルミから選択される。好ましくは、種子材料は、植物源のヘンプ、亜麻、及びチアから選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、非種子植物材料は、植物源のカボチャ、プラム、クコ、ナツメ、アロエベラ、リンゴ、クリ、レンズマメ、フラジョレ、ヒヨコマメ、ムング豆、キノア、エンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆、ジャガイモの皮、オクラ、長芋(ignames)、タロイモ、ウスベニタチアオイから、並びにフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及びクレソン由来の粘質物から選択される。
【0020】
好ましくは、非種子植物材料は、植物源のカボチャ、プラム、クリ、レンズマメ、フラジョレ、ムング豆、キノア、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆、オクラ、タロイモ、ウスベニタチアオイから、並びにフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及びクレソン由来の粘質物から選択される。
【0021】
より好ましくは、非種子植物材料は、植物源であるプラム、カボチャ、又はレンズマメから選択される。プラムは、好ましくは新鮮なプラムである。カボチャは、好ましくは新鮮なカボチャである。
【0022】
特定の種子と非種子植物材料との組み合わせは、特に安定なオイルボディ溶液を提供する。
【0023】
好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、以下の植物源の組み合わせ:
i.ヘンプ及びプラム
ii.ヘンプ及びカボチャ
iii.亜麻及びプラム
iv.チア及びレンズマメ
v.クルミ及びレンズマメ、に由来する。
【0024】
より好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、以下の植物源の組み合わせ:
i.ヘンプ及びプラム
ii.ヘンプ及びカボチャ、に由来する。
【0025】
一実施形態では、種子材料及び非種子植物材料は、それぞれ、亜麻及びプラムに由来する。一実施形態では、種子材料及び非種子植物材料は、それぞれ、チア及びレンズマメに由来する。一実施形態では、種子材料及び非種子植物材料は、それぞれ、クルミ及びレンズマメに由来する。好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、それぞれ、ヘンプ及びプラムに由来する。好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、それぞれ、ヘンプ及びカボチャに由来する。
【0026】
好ましくは、種子及び非種子植物材料は、約80:20の乾燥重量比で懸濁液中に存在する。好ましくは、種子及び非種子植物材料の緩衝液に対する比は、約1:6(w/v)である。
【0027】
水相は、好ましくは緩衝液である。緩衝液は、任意のアルカリ性緩衝液、例えば、リン酸緩衝液又はNa2CO3緩衝液、例えば、約0.05MのNa2CO3緩衝液であり得る。好ましくは、緩衝液は約pH9.5である。
【0028】
好ましくは、ステップa)における懸濁液は、例えば85~105℃で、例えば約95℃で、例えば約15分間熱処理される。
【0029】
好ましくは、種子及び非種子植物材料は、好ましくは約1時間、好ましくは室温で浸漬される。
【0030】
レンズマメが非種子植物材料であるいくつかの実施形態では、レンズマメを別に粉砕し、粉砕種子懸濁液に添加してもよい。
【0031】
本発明の方法は、ブレンドステップ、熱処理ステップ、及び濾過ステップの組み合わせを用いる。先行技術の方法に対する利点は、オイルボディの完全性が維持され、熱処理がオイルボディ-タンパク質-多糖複合体を強化すると見られることである。
【0032】
いくつかの実施形態では、ステップa)は、種子材料及び非種子植物材料を約pH6.5~pH10の緩衝液に別々に懸濁し、続いて混合して懸濁液を形成することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、ステップa)における懸濁液は、90℃~120℃に加熱され、続いて4℃~30℃に冷却される。
【0034】
いくつかの実施形態では、懸濁液は、例えば、機械的に破壊してスラリーを形成する前に、少なくとも1時間、4℃~30℃に冷却される。
【0035】
いくつかの実施形態では、懸濁液は、粉砕によって機械的に破壊されて、スラリーを形成する。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステップe)において、スラリーを、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過し、第1の濾液から分離された第1のリテンテートを得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、i)第1のリテンテートをpH6.5~10の緩衝液に添加し、200μm以下の孔径を有するフィルターを使用して濾過して、第2の濾液から分離された第2のリテンテートを得て、(ii)第1の濾液と第2の濾液とを合わせてオイルボディ溶液を形成する。
【0038】
オイルボディ溶液は、例えば85℃~105℃、例えば約95℃で熱処理され得る。
【0039】
本発明は更に、オイルボディ溶液又はその粉末、例えば、本明細書に記載の方法によって得られた、オイルボディ溶液又はその粉末に関する。
【0040】
いくつかの実施形態では、該オイルボディ溶液は、静的光散乱を使用して測定された平均D[3:2]粒径が4μm~26μmであった。Dx(90)μm、Dx(50)μm、Dx(10)μm平均粒径も静的光散乱を使用して測定された。
【0041】
一実施形態では、Dx(90)μmは50~500μmである。一実施形態では、Dx(50)μmは5~250mμである。一実施形態では、Dx(10)μmはμm1~55である。一実施形態では、スパンは1~10である。スパンは、本明細書に記載されるように定義される。好ましい粒径は、実施例に示される粒径からの変動が30%を超えない。
【0042】
好ましくは、静的光散乱は、Mastersizer 3000を使用して測定される。溶液中の全ての粒子のサイズを測定する。
【0043】
オイルボディ溶液の%TS(総固形分)含有量を測定した。一実施形態では、溶液の総固形分%は、25%未満、好ましくは1%~25%、好ましくは1%~20%、好ましくは1%~15%である。
【0044】
本発明は更に、本明細書に記載のオイルボディ溶液若しくはその粉末を含む、食品製品、又は本明細書に記載の方法に従って作製されたオイルボディ溶液若しくはその粉末を含む、食品製品に関する。
【0045】
好ましくは、食品製品は、植物性ミルク、ソース、ディップ、アイスクリーム、菓子、冷蔵代替乳製品、及びベビーフード、好ましくは植物性ミルク、ソース、又はディップから選択される。食品製品は、液体形態であっても粉末形態であってもよい。
【0046】
好ましくは、食品製品はベジタリアン食品製品又はビーガン食品製品である。
【0047】
[発明を実施するための形態]
組成が重量%(重量パーセント)を単位として本明細書に記載される場合、これは、別途記載のない限り、レシピの合計の重量%を意味する。
【0048】
本明細書で使用する場合、「約」は、数値範囲に含まれる複数の数を指すものと理解される。一実施形態では、「約」は、言及された数の-30%~+30%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-20%~+20%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-10%~+10%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-5%~+5%の範囲を指す。一実施形態では、「約」は、言及された数の-1%~+1%の範囲を指す。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。
【0049】
本明細書に記載される「機械的破壊」は、例えば、粉砕、微粉化、ハンマーミル粉砕、又はコロイドミル粉砕であり得る。
【0050】
体積基準のサイズ分布の「スパン」は、スパン=(D90-D10)/D50として定義される。スパン値は、10パーセント点と90パーセント点とがどの程度離れているかの指標を与え、中点で正規化される。
【0051】
用語「ビーガン」は、動物製品又は動物由来の製品を全く含まない食用組成物を指す。
【0052】
用語「ベジタリアン」は、魚などの食肉を含まない食用組成物を指す。
【0053】
典型的には、種子材料は13%~30%のタンパク質含有量を有する。例えば、チアは15%~24%のタンパク質含有量を有し得、亜麻は20%~30%のタンパク質含有量を有し得、ヘンプは25%~30%のタンパク質含有量を有し得、クルミは13%~18%のタンパク質含有量を有し得る。
【0054】
典型的には、種子材料は8%~27%の炭水化物含有量を有する。例えば、チアは25%~41%の炭水化物含有量を有し得、亜麻は25%~28%の炭水化物含有量を有し得、ヘンプは25%~27%の炭水化物含有量を有し得、クルミは8%~13%のタンパク質含有量を有し得る。
【0055】
亜麻は一年生植物である。亜麻仁には2つの主要な品種の色、すなわち褐色又は黄色がある。これらの品種のほとんどは、同様の栄養特性を有する。亜麻は、オメガ-3及び他の栄養素を豊富に含む。亜麻はリグニン、タンパク質、及び繊維の供給源である。亜麻は、約1.55g/100gの糖含有量、約37g/100gの脂肪含有量、約16%のオメガ3含有量、約4.3%のオメガ6含有量、及び約3.2g/100gの飽和脂肪含有量を有し得る。
【0056】
チア、すなわちSalvia hispanica L.は、オメガ3脂肪酸が豊富な食物であるその種子のために商用栽培されている一年生植物である。チアの遺伝子型は多数あるが、主に2種類、すなわち黒チア及び白チアが存在する。黒チア及び白チアの組成は異なり得る(Tzotzol(黒チア)では油分32%、Iztac II(白チア)では油分27%)。脂肪含有量は、30g~34g/100gであり得る。オメガ3含有量は、約17%であり得る。オメガ6含有量は、約5%であり得る。飽和脂肪含有量は、約3.3g/100gであり得る。
【0057】
ヘンプは、環境に優しく、持続可能性の高い作物と見なされている。タンパク質含有量は約30%であり得、油含有量は約30%であり得、繊維(デンプン)含有量は約25%であり得る。
【0058】
典型的には、非種子植物材料は4%~25%のタンパク質含有量を有する。カボチャは、約10%のタンパク質含有量を有し得る。プラムは、約4%のタンパク質含有量を有し得る。レンズマメは、約25%のタンパク質含有量を有し得る。
【0059】
典型的には、非種子植物材料は16%~35%の炭水化物含有量を有する。カボチャは、約25%の炭水化物含有量を有し得る。プラムは、約35%の炭水化物含有量を有し得る。レンズマメは、約16%の炭水化物含有量を有し得る。
【0060】
以下の原料:豆類(レンズマメ、フラジョレ、ヒヨコマメ、ムング豆、キノア、エンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆)、豆果(ジャガイモの皮)、及び種子(モリンガ、オート麦)、より好ましくは、豆類(レンズマメ、フラジョレ、ムング豆、キノア、ソラマメ)、豆果(オクラ)、及び種子(モリンガ、オート麦)は、チア及び亜麻のオイルボディを安定化するのに適し得る。例えば、レンズマメが特に適している。
【0061】
以下の原料:果実(プラム、クコ、ナツメ、アロエベラ、リンゴ、クリ、豆果(カボチャ、オクラ、長芋、タロイモ、ウスベニタチアオイ)、及び種子(フェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、クレソン)、より好ましくは果実(プラム、クリ、豆果(カボチャ、オクラ、タロイモ、ウスベニタチアオイ)、及び種子(フェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、クレソン)は、ヘンプのオイルボディの安定化に適し得る。例えば、プラム又はカボチャが特によく適している。
【0062】
種子材料のオメガ3含有量は、好ましくは種子材料の油含有量の10%~60%である。非種子植物材料のオメガ3含有量は、好ましくは非種子植物材料の油含有量の10%~60%である。
【0063】
典型的には、種子材料のオメガ6含有量は、種子材料の油含有量の15%~65%である。
【0064】
本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、a)チア材料とレンズマメ材料との水相中懸濁液、好ましくは緩衝液中懸濁液を調製するステップであって、チア材料及びレンズマメ材料が50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)任意選択で、オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0065】
本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、a)ヘンプ材料とプラム材料との水相中懸濁液、好ましくは緩衝液中懸濁液を調製するステップであって、ヘンプ材料及びプラム材料が50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊してスラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)任意選択で、オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0066】
本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、a)ヘンプ材料とカボチャ材料との水相中懸濁液、好ましくは緩衝液中懸濁液を調製するステップであって、ヘンプ材料及びカボチャ材料が50:50~95:5の乾燥重量比で存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)任意選択で、オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0067】
本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、a)クルミ材料とレンズマメ材料との水相中懸濁液、好ましくは緩衝液中懸濁液を調製するステップであって、クルミ材料及びレンズマメ材料が50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)任意選択で、オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0068】
本発明は、オイルボディ溶液の調製方法であって、a)亜麻材料とプラム材料との水相中懸濁液、好ましくは緩衝液中懸濁液を調製するステップであって、亜麻材料及びプラム材料が50:50~95:5、好ましくは約80:20の乾燥重量比で存在する、ステップと、b)懸濁液のpHを6.5~10、好ましくは約9.5に調整するステップと、c)懸濁液を機械的に破壊して、スラリーを形成するステップと、d)スラリーを、6.5~10、好ましくは約9.5のpHを有する緩衝液で希釈するステップと、e)スラリーを濾過又は遠心分離して、オイルボディ溶液を形成するステップと、f)任意選択で、オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成するステップと、を含む、方法に関する。
【0069】
ステップa)において使用される温度範囲は、90℃~100℃、又は92℃~98℃、又は94℃~96℃、又は約95℃である。抽出のために使用される温度範囲は4℃~30℃、好ましくは約20℃である。保存のために使用される温度範囲は4℃~12℃である。オイルボディ溶液を凍結乾燥させて、粉末を形成してもよい。
【0070】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られた、オイルボディ溶液又はその粉末に関する。オイルボディ溶液は、植物源のヘンプ、チア、亜麻、ヒマワリ及びクルミ由来の種子材料と、植物源のカボチャ、プラム、クコ、ナツメ、アロエベラ、リンゴ、クリ、レンズマメ、フラジョレ、ヒヨコマメ、ムング豆、キノア、エンドウマメ、ソラマメ、インゲンマメ、黒豆及び白豆、ジャガイモの皮、オクラ、長芋、タロイモ、ウスベニタチアオイ由来の非種子材料、並びにフェヌグリーク、イエローマスタード、バジル、タマリン、及びクレソンからの粘質物由来の非種子材料とから製造される。
【0071】
好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、以下の植物源の組み合わせ:チア及びレンズマメ、ヘンプ及びプラム、ヘンプ及びカボチャ、又はクルミ及びレンズマメに由来する。最も好ましくは、種子材料及び非種子植物材料は、以下の植物源の組み合わせ:ヘンプ及びプラム;並びにヘンプ及びカボチャ、に由来する。
【0072】
好ましくは、オイルボディ溶液は、静的光散乱を使用して測定される4μm~26μmの平均D[3:2]粒径を有する。好ましくは、溶液は6.5~10のpHを有する。
【0073】
一実施形態では、Dx(90)μmは50~500μmである。一実施形態では、Dx(50)μmは5~250μmである。一実施形態では、Dx(10)μmは1~55μmである。一実施形態では、スパンは1~10である。スパンは、本明細書に記載されるように定義される。所与の溶液に対する好ましい粒径は、実施例に示されるD[3:2]の粒径からの変動が30%を超えないものとすべきである。
【0074】
一実施形態では、オイルボディクリームは、発酵した植物ベースの製品、例えばヨーグルト代替物へと変換される。一実施形態では、オイルボディのクリームを含む植物組成物又はオイルボディのクリームそのものが、少なくとも1つの細菌培養物と共に添加されて、発酵性混合物を形成する。細菌培養物は、1種又は複数種の乳酸産生細菌を含み得る。発酵性混合物は、例えば45℃で、例えば4時間~6時間維持される。
【0075】
本発明は更に、本明細書に記載のオイルボディ溶液又は粉末を含む、食品製品に関する。好ましくは、食品製品は、植物性ミルク、ソース、ディップ、アイスクリーム、菓子、冷蔵代替乳製品、及びベビーフード、好ましくは植物性ミルク、冷蔵代替乳製品、ソース、又はディップから選択される。冷蔵代替乳製品は、好ましくはヨーグルト類似物であってもよい。食品製品は、液体形態であっても粉末形態であってもよい。
【0076】
[実施例]
実施例1:チア種子からのオイルボディ溶液の製造
種子を0.05M Na2CO3緩衝液pH9.5(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬した。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0077】
【0078】
実施例2:チア及びレンズマメからのオイルボディ溶液の製造
種子を0.05M Na2CO3緩衝液pH9.5(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。それらを室温で1時間浸漬させた後、得られたスラリーを、Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して30秒間粉砕した。予め粉砕し(Retch GM200,ドイツ)、<500μmに篩い分けした(Retch GM200 Jet,Germany)レンズマメを、粉砕種子溶液に添加した(レンズマメ/チア種子の比20:80、w/w)。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0079】
【0080】
実施例3:ヘンプ種子からのオイルボディ溶液の製造
種子をpH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0081】
【0082】
実施例4:ヘンプ及びプラムからのオイルボディ溶液の製造
80gのヘンプ+33gの新鮮なプラム(60%乾燥物質、33gの新鮮なプラムからの総乾燥物質:20g、80:20の比)を、pH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(1:6 w/vの比)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0083】
【0084】
実施例5:ヘンプ及びカボチャからのオイルボディ溶液の製造
80gのヘンプ+200gの新鮮なカボチャ(10%乾燥物質、200gの新鮮なカボチャからの総乾燥物質:20g、80:20の比)を、pH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(1:6 w/vの比)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。静的光散乱を使用して測定したところ、オイルボディの粒径D[3:2]は4.06μmであった。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥し、得られた粉末を4℃で保存した。
【0085】
【0086】
実施例6:亜麻種子からのオイルボディ溶液の製造
種子をpH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,USA)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,Germany)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0087】
【0088】
実施例7:亜麻及びプラムからのオイルボディ溶液の製造
80gのヘンプ+33gの新鮮なプラム(60%乾燥物質、33gの新鮮なプラムからの総乾燥物質:20g、80:20の比)を、pH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(1:6 w/vの比)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。pH9.5のNa2CO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。溶液は、他の実施例の溶液よりも大きな平均サイズを有していた。これはおそらくオイルボディの凝集によるものであった。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0089】
【0090】
実施例8:クルミからのオイルボディ溶液の製造
クルミをpH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。得られたスラリーを、Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して30秒間粉砕した。pH9.5のNaCO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0091】
【0092】
実施例9:クルミ及びレンズマメからのオイルボディ溶液の製造
クルミをpH9.5の0.05M NaCO3緩衝液(1M HClで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。得られたスラリーを、Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して30秒間粉砕した。予め粉砕し(Retch GM200,ドイツ)、<500μmに篩い分けした(Retch GM200 Jet,Germany)レンズマメを、粉砕種子溶液に添加した(レンズマメ/クルミ種子の比20:80、w/w)。pH9.5のNaCO3緩衝液を添加して、1:10 w/vに到達させた。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,Germany)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。リテンテートを再び上記のように、すなわち、Na2CO3緩衝液と室温で30分間混合した後(比率1:4、w/v)濾過して抽出した。2つの濾液を合わせ、最終的なオイルボディ溶液を得た。最終的なオイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。最後に、最終的なオイルボディ溶液を40℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0093】
【0094】
実施例10:スラリーの再生利用によるヘンプ及びカボチャからのオイルボディ溶液の製造
ヘンプ種子及びカボチャ(比率80:20)をpH6.5のmilli-Q水(1M HCLで調整)に懸濁し(比率1:6、w/v)、水浴にて95℃で15分間熱処理した。次いで、それらを室温で1時間浸漬させた。Waringブレンダーを速度1(1800rpm)(Waring Blendor,米国)で使用して、得られたスラリーを30秒間粉砕した。Heidolphオーバーヘッドミキサー(RZR 2021,ドイツ)を用い、混合物を室温で1時間混合し、次いで、孔径200μmのチーズクロスを使用して濾過した。オイルボディ溶液を水浴にて95℃で10分間熱処理した後、室温で静置した。スラリーを、Retsch GM200を使用して10秒間粉砕し、次いでこのスラリーを、異なる比率、例えば1:5の比率(スラリー:オイルボディ溶液)でオイルボディ溶液と混合した。最後に、混合物を4℃で保存するか、又は凍結乾燥して得られた粉末を4℃で保存した。
【0095】
実施例11:TS含有量及び粒径の測定
オイルボディ溶液は、以下の測定総固形分を有していた:
【0096】
【0097】
以下の粒径測定は、Malvern製のMastersizer 3000(SDSなし、RI 1.54&abs.指数0.01、分散剤水 RI 1.33)により記録した。
【0098】
【国際調査報告】