(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ルラシドンを含むミクロスフェア製剤ならびにその製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20240213BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20240213BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240213BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240213BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240213BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240213BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K9/50
A61K47/34
A61K47/32
A61K47/04
A61P25/18
A61P25/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550249
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 US2022070807
(87)【国際公開番号】W WO2022183196
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511135835
【氏名又は名称】オークウッド ラボラトリーズ,エル.エル.シー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、コリン
(72)【発明者】
【氏名】バイヤー、グリフィン
(72)【発明者】
【氏名】リッチー、トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】スミス、マーク
(72)【発明者】
【氏名】デリシア、ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA61
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD08F
4C076DD22Z
4C076EE06F
4C076EE24
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC80
4C086GA07
4C086GA10
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA38
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA12
4C086ZA18
(57)【要約】
ルラシドンを含む延長放出ミクロスフェア製剤が提供される。一態様では、ミクロスフェア製剤は、ルラシドンが約30日間の期間にわたってヒトにおいてインビボで放出されることを特徴とする。製剤を製造および使用する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロスフェア製剤であって、
ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、
ルラシドンと、
生分解性ポリマーと、
を含み、
各ポリマーミクロスフェアは、前記ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、
前記ポリマーミクロスフェアは、25μm(D
50)未満の平均粒径を有する、上記ミクロスフェア製剤。
【請求項2】
前記ルラシドンがルラシドンHClを含む、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項3】
前記生分解性ポリマーが酸末端ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項4】
前記生分解性ポリマーが、約75:約25のラクチド:グリコリドを有する酸末端ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項5】
各ポリマーミクロスフェアが、前記ポリマーミクロスフェアの55重量%~約70重量%のルラシドン薬物負荷を有する、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項6】
前記ポリマーミクロスフェアが照射されている、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項7】
請求項1に記載のミクロスフェア製剤を含む、医薬組成物。
【請求項8】
統合失調症および/または抑うつの処置に使用するための、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項9】
前記ルラシドンの約75%~100%が、対象への注射の約30日間の期間にわたって放出されるが、前記ルラシドンの約20%以下が、前記対象への注射の約24時間以内に放出されていることを特徴とする、請求項1に記載のミクロスフェア製剤。
【請求項10】
請求項1に記載のミクロスフェア製剤を製造する方法であって、
(i)前記ルラシドンを、約75~約25のコモノマー比を有する酸末端ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む前記生分解性ポリマーと、約2対約1の溶媒比のジクロロメタンおよびベンジルアルコールを含む有機溶媒系の存在下で接触させて、分散相を形成する工程と、
(ii)前記分散相を、水および界面活性剤を含む連続相とホモジナイザ内で合わせて、エマルジョンを形成する工程と、
(iii)前記エマルジョンから前記有機溶媒を除去して、有機溶媒を本質的に含まないミクロスフェア製剤を形成する工程と、
(iv)前記実質的に有機溶媒を含まないミクロスフェア製剤を凍結乾燥に供する工程と、
を含む、上記方法。
【請求項11】
前記界面活性剤がポリビニルアルコールを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記界面活性剤がポリビニルアルコールを含み、前記合わせることの前の前記水相中のポリビニルアルコール濃度が約0.35重量%である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記連続相が緩衝液をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記連続相が緩衝液をさらに含み、前記緩衝液が約7~約8のpHを有するリン酸緩衝液である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
キットであって、
ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、
(i)ルラシドンと、
(ii)生分解性ポリマーと、
を含み、
各ポリマーミクロスフェアは、前記ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、前記ポリマーミクロスフェアは、25μm(D
50)未満の平均粒径を有する、上記キット。
【請求項16】
前記生分解性ポリマーが、約75:約25のラクチド:グリコリドを有する酸末端ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
各ポリマーミクロスフェアが、前記ポリマーミクロスフェアの55重量%~約70重量%のルラシドン薬物負荷を有する、請求項15に記載のキット。
【請求項18】
前記ポリマーミクロスフェアが照射されている、請求項15に記載のキット。
【請求項19】
統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつを処置する方法であって、
約30日ごとの投与スケジュールで、ミクロスフェア製剤を前記対象に関節内、筋肉内、または皮下注射によって投与することを含み、前記ミクロスフェア製剤は、
ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、
(1)ルラシドンと、
(2)生分解性ポリマーと、
を含み、
各ポリマーミクロスフェアは、前記ポリマーミクロスフェアの約55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、
前記ポリマーミクロスフェアは、25μm(D
50)未満の平均粒径を有する、上記方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記生分解性ポリマーが、約75:約25のラクチド:グリコリドを有する酸末端ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を含み、
各ポリマーミクロスフェアは、前記ポリマーミクロスフェアの55重量%~約70重量%のルラシドン薬物負荷を有する、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年2月1日に出願された米国仮特許出願第63/267,403号、および2021年2月24日に出願された米国仮特許出願第63/152,943号の優先権を主張し、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般構造:
【化1】
を特徴とするルラシドン(化学式C
28H
36N
4O
2S、CAS番号367514-87-2)は、統合失調症および双極性障害を有する人における抑うつを処置するために使用される公知の抗精神病薬である。ルラシドンは現在、錠剤(商品名Latuda(登録商標)で市販されている)で経口投与されている。しかしながら、この経路による長期維持処置は、各投与後の血漿中の薬物濃度の急激な上昇および低下に起因する離脱症状を引き起こすため、問題がある。患者のコンプライアンスおよび乱用の可能性もまた、この処置方法の欠点である。
【0003】
統合失調症の処置のための既存の製品であるRisperdal(登録商標)Consta(登録商標)は、リスペリドンがポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、75:25にミクロ封入されている2週間放出ミクロスフェア製剤である。しかしながら、一部の患者は、Risperdal(登録商標)Consta(登録商標)の使用による副作用を経験し、別の処置選択肢を必要とする場合がある。
【0004】
したがって、延長放出ルラシドン封入ミクロスフェア製剤、特に、薬物負荷が高く、粒径が小さく、初期バースト放出が低いミクロスフェア製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ルラシドンを含むミクロスフェア製剤が提供される。ミクロスフェア製剤は、ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する。一態様では、ミクロスフェア製剤は、ルラシドンの少なくとも50%が、対象への注射の約30日間(すなわち、30日間の±10%、すなわち27日間~33日間)の期間にわたって放出されることを特徴とする。別の態様では、ミクロスフェア製剤は、低い初期バースト放出を有すること、すなわち、対象への注射の約24時間以内にルラシドンの20%以下が放出されることを特徴とする。別の態様では、ミクロスフェア製剤は、照射によって滅菌される。
【0006】
一態様では、ミクロスフェア製剤は、(A)(i)生分解性ポリマー、(ii)一次溶媒、(iii)ルラシドン、および(iv)共溶媒を混合して、分散相を形成することと、(B)(i)水、(ii)界面活性剤、および場合により(iii)緩衝液を混合して、連続相を形成することと、(C)分散相を連続相とホモジナイザ内で合わせることと、を含む方法によって製造されてもよい。別の態様では、本方法は、照射によってミクロスフェア製剤を滅菌することをさらに含む。
【0007】
一態様では、統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつを処置する方法が提供される。本方法は、本明細書に記載される方法に従って製造されたミクロスフェア製剤を、それを必要とする患者に関節内、筋肉内、または皮下注射によって投与することを含んでもよく、製剤は、約30日ごとの投与スケジュールで患者に投与される。
【0008】
別の態様では、統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつの処置のための医薬品の製造における、ポリマーミクロスフェアを含むミクロスフェア製剤であって、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する、上記ミクロスフェア製剤の使用が開示される。
【0009】
別の態様では、統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつの処置のための医薬品として使用するために、ポリマーミクロスフェアを含むミクロスフェア製剤であって、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する、上記ミクロスフェア製剤が提供される。
【0010】
別の態様では、キットが提供され、キットは、ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアを製造する方法を示す概略図である。
【0012】
【
図2】ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの顕微鏡像である。
【0013】
【
図3】ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0014】
【
図4】非照射および照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0015】
【
図5】非照射および照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0016】
【
図6】非照射および照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0017】
【
図7】非照射および照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0018】
【
図8】非照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0019】
【
図9】照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0020】
【
図10】非照射および照射ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアを使用したイヌにおける薬物動態試験の結果を示すグラフである。
【0021】
【
図11】ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ルラシドンを含むミクロスフェア製剤が提供される。一態様では、ミクロスフェア製剤は、ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する。一態様では、ミクロスフェア製剤は、ルラシドンが約30日間の期間にわたって放出されることを特徴とする。
【0023】
一態様では、ミクロスフェア製剤は、(A)(i)生分解性ポリマー、(ii)一次溶媒、(iii)ルラシドン、および(iv)共溶媒を混合して、分散相を形成することと、(B)(i)水、(ii)界面活性剤、および場合により(iii)緩衝液を混合して、連続相を形成することと、(C)分散相を連続相とホモジナイザ内で合わせることと、を含む方法によって製造されてもよい。
【0024】
ルラシドン
一態様では、ルラシドンは、特定の疎水性log Pow=5.6(25℃)、pKa=7.6、8.5、水溶性0.224mg/mL、ジクロロメタンへの溶解度24.43mg/g、およびベンジルアルコールへの溶解度69.19mg/gを有する、Procos S.p.A.によって供給されるルラシドンHClである。
【0025】
生分解性ポリマー
一態様では、分散相は、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(「PLGA」)、ポリ(L-ラクチド)(「PLA」)、またはポリ(D,L-ラクチド)(「PLDA」)などの生分解性ポリマーを含んでもよいが、他の好適な生分解性ポリマーを使用してもよいことが企図される。生分解性ポリマーは、疎水性または親水性であってもよい。一態様では、生分解性ポリマーは疎水性である。別の態様では、生分解性ポリマーは、約0.14dL/g~約0.29dL/gを含み、0.19dL/g、0.20dL/g、0.21dL/g、0.29dL/g、および0.56dL/gを含む、約0.14dL/g~約0.56dL/gの固有粘度を有する。一態様では、生分解性ポリマーは、IV=0.19を有する、Ashland製のViatel(商標)DLG7502A、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、酸末端、ラクチド:グリコリド75:25(「7502A」)を含む。一態様では、生分解性ポリマーは、IV=0.29を有する、Ashland製のViatel(商標)DLG7503A、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、酸末端、ラクチド:グリコリド75:25(「7503A」)を含む。一態様では、生分解性ポリマーは、IV=0.21dL/gを有する、Evonik Rohm GmbH製のResomer(登録商標)RG752H、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、酸末端、ラクチド:グリコリド75:25(「752H」)を含む。一態様では、生分解性ポリマーは、IV=0.56を有する、Ashland製のViatel(商標)DLG7507A、ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、酸末端、ラクチド:グリコリド75:25(「7507A」)を含む。
【0026】
分散相
一態様では、分散相は一次溶媒を含む。一態様では、一次溶媒はジクロロメタン(DCM)を含む。分散相はまた、一次溶媒中のルラシドンの溶解度を最適化することができる最大約50重量%の共溶媒を含んでもよい。一態様では、共溶媒は、ベンジルアルコール(BA)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、エタノール、N-メチルピロリドン、酢酸エチル、またはDCMを含有する分散相中のルラシドンの溶解度を増加させる任意の他の溶媒であってもよい。一態様では、一次溶媒はDCMを含み、共溶媒はBAを含む。一態様では、DCM対BAの比は約2:約1である。有機溶媒は、それらの調製中にミクロスフェアから除去される。ミクロスフェアが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「ICH Harmonised Guideline,Impurities:Guideline for Residual Solvents Q3C(R8),Current Step 4 version 2021年4月22日付」に記載されている基準を満たす場合、ミクロスフェアは有機溶媒を「本質的に含まない」。
【0027】
連続相
分散相は、水と、場合により緩衝液、界面活性剤、またはその両方とを含む水性連続相と合わせてもよい。
【0028】
一態様では、緩衝液を連続相に添加して、溶液のpHを約7.0~約8.0に維持してもよい。一態様では、緩衝液は、リン酸緩衝液または炭酸緩衝液であってもよい。一態様では、緩衝液は、10mMリン酸または炭酸緩衝液であってもよく、約7.6の系のpHレベルを作成および維持するために使用されてもよい。
【0029】
界面活性剤成分は、水中で約0.35重量%~約1.0重量%の量で連続相中に存在してもよい。一態様では、界面活性剤成分は、水中で0.35重量%の濃度のポリビニルアルコール(「PVA」)を含む。
【0030】
いくつかの態様では、ホモジナイザへの分散相流量は、約20mL/分および約25mL/分を含む約10mL/分~約30mL/分であってもよい。いくつかの態様では、ホモジナイザへの連続相流量は、約2L/分であってもよい。したがって、一態様では、連続相:分散相比は、約100:1および約80:1を含む約66:1~約200:1であってもよい。
【0031】
連続相は、室温または室温より上もしくは下で提供されてもよい。いくつかの態様では、連続相は、約40℃、約37℃、約35℃、約30℃、約25℃、約20℃、約15℃、約10℃、約5℃、約0℃、およびこれらの値のいずれかの間の任意の範囲または値で提供されてもよい。
【0032】
ホモジナイザ
簡潔にするために、および本方法はいずれにも等しく適用可能であるので、「ホモジナイザ」という語句は、分散相および連続相を均質化することができる、分散相および連続相を乳化することができる、またはその両方を行うことができるシステムまたは装置を企図しており、このシステムおよび装置は当技術分野で公知である。例えば、一態様では、ホモジナイザは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第11,167,256号に記載されているように使用されるインラインSilversonホモジナイザ(英国ウォーターサイドのSilverson Machinesから市販されている)またはLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムである。一態様では、ホモジナイザは膜乳化剤である。一態様では、ホモジナイザは、約1,600RPM、約2,500RPM、および約3,500RPMを含む、約1,000~約4,000回転/分(RPM)のインペラ速度で動作する。
【0033】
薬物負荷
百分率として表される、薬物対ポリマー比における各ポリマーミクロスフェアの薬物負荷は、55wt/wt%超~約70wt/wt%、約60wt/wt%~約70wt/wt%、約60wt/wt%~約65wt/wt%、約65wt/wt%~約70wt/wt%の範囲、55wt/wt%超、および60wt/wt%超であってもよい。
【0034】
粒径
一態様では、ポリマーミクロスフェアは、10μm(D50)~30μm(D50)、約20μm(D50)未満、25μm(D50)未満、および14μm(D50)~25μm(D50)の平均粒径を有してもよい。
【0035】
延長放出
ミクロスフェア製剤は、ヒトにおいて約30日間のインビボ放出持続時間を有することを特徴とする。一態様では、ミクロスフェア製剤は、対象への注射の約30日間の期間にわたって、ルラシドンの少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または100%、およびこれらの値のいずれかの間の任意の範囲が放出されることを特徴とする。例えば、一態様では、ミクロスフェア製剤は、ルラシドンの約75%~100%が、対象への注射の約30日間の期間にわたって放出されることを特徴とする。別の態様では、ミクロスフェア製剤は、低い初期バースト放出を有すること、すなわち、対象への注射の約24時間以内にルラシドンの約20%以下が放出されることを特徴とする。
【0036】
治療上の利益
ルラシドンを含むルラシドンミクロスフェア製剤を使用して処置されてもよい可能性のある状態には、統合失調症および双極性障害を有する人における抑うつが含まれる。一態様では、統合失調症および抑うつは、ルラシドンを含むミクロスフェア製剤を使用して処置されてもよく、ミクロスフェア製剤は、30日ごとに投与される。
【0037】
一態様では、統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつを処置する方法が提供される。本方法は、本明細書に記載される方法に従って製造されたミクロスフェア製剤を、それを必要とする患者に関節内、筋肉内、または皮下注射によって投与することを含んでもよく、製剤は、約30日ごとの投与スケジュールで患者に投与される。
【0038】
別の態様では、統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつの処置のための医薬品の製造における、ポリマーミクロスフェアを含むミクロスフェア製剤であって、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する、上記ミクロスフェア製剤の使用が開示される。
【0039】
別の態様では、統合失調症および/または双極性障害を有することが疑われる対象における抑うつの処置のための医薬品として使用するために、ポリマーミクロスフェアを含むミクロスフェア製剤であって、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する、上記ミクロスフェア製剤が提供される。
【0040】
別の態様では、キットが提供され、キットは、ポリマーミクロスフェアを含み、各ポリマーミクロスフェアは、(i)ルラシドンと、(ii)生分解性ポリマーと、を含み、各ポリマーミクロスフェアは、ポリマーミクロスフェアの55重量%超のルラシドンの薬物負荷を含み、ポリマーミクロスフェアは、25μm(D50)未満の平均粒径を有する。
【0041】
例
例1-ルラシドンを含むポリマーミクロスフェアの一般的調製
ミクロスフェア形成相。
図1を参照し、ポリマーマトリックス(PLGAポリマーなど)を有機溶媒系(DCMおよびBAなど)に溶解し、続いてルラシドンを添加し、完全に溶解するまで混合することによって、分散相(「DP」)10を形成する。DP10を、0.2μmの滅菌PTFEまたはPVDFメンブレンフィルタ(例えば、PallまたはSartoriousAGから市販されているEMFLON)を用いて濾過し、規定の流量でインラインSilversonホモジナイザ(英国ウォーターサイドのSilverson Machinesから市販されている)またはLevitronix i100(米国特許第11,167,256号に記載されているような)などのホモジナイザ30にポンプ輸送する。水、界面活性剤、および緩衝液を含む連続相(「CP」)20もまた、規定の流量でホモジナイザ30にポンプ輸送する。ホモジナイザ30の速度は、一般に、所望のポリマーミクロスフェアサイズ分布を達成するために固定される。代表的な連続「上流」ミクロスフェア形成相は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,945,126号に記載されている。
【0042】
ミクロスフェア処理相。形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザ30を出て、溶媒除去容器(「SRV」)40に入る。水性媒体中の溶媒レベルを最小限に抑えるために、ミクロスフェア形成中にSRV40に水を添加してもよい。DP10が排出された後、CP20および水流量を停止し、洗浄工程を開始する。溶媒除去は、水洗および中空糸フィルタ(CytivaからHFFとして市販されている)50を使用して達成される。代表的な「下流」ミクロスフェア処理相は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,270,802号に記載されている。
【0043】
洗浄したミクロスフェアを回収し、凍結乾燥機(Virtis)で凍結乾燥してあらゆる水分を除去する。得られたミクロスフェアは、自由流動性の灰白色バルク粉末である。
【0044】
例2-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号1
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、400gの752Hポリマー(IV=0.21dL/g)を4,000gのDCMおよび2,000gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(600g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、3,000RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAおよびリン酸緩衝液(pH=7.6)を含むCPもまた、規定の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0045】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。得られたミクロスフェアは、9.2(D50)の平均粒径および66.7%の薬物負荷を有していた。
【0046】
例3-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号2
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、400gの752Hポリマー(IV=0.21dL/g)を4,000gのDCMおよび2,000gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(600g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、4,000RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAおよびリン酸緩衝液(pH=7.6)を含むCPもまた、規定の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0047】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。得られたミクロスフェアは、14.8(D50)の平均粒径および65.5%の薬物負荷を有していた。
【0048】
図2は、バッチ番号2からのルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの顕微鏡像である。
【0049】
図3は、バッチ番号1からの経時的な累積ルラシドン放出をバッチ番号2と比較したグラフである。
【0050】
例4-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号3および3I
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、120gの7502Aポリマー(IV=0.20dL/g)を800gのDCMおよび400gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(180g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、25mL/分の流量で、2,500RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAおよび10mMリン酸緩衝液(pH=7.6)を含むCPもまた、2L/分(CP:DP=80:1)の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0051】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。
【0052】
粉末の一部を周囲温度下で25kGyのガンマ線照射に供した。非照射部(バッチ番号3)は、22μm(D50)の平均粒径、60.4wt%の薬物負荷、および16.9kDaの分子量を有していた。照射部(バッチ番号3I)は、21μm(D50)の平均粒径、60.2wt%の薬物負荷、および15.8kDaの分子量を有していた。ミクロスフェアは、5.9mgの残留DCMおよび0.6mgの残留BAを含有していた。
【0053】
図4は、バッチ番号3および3Iからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を比較したグラフである。
図4は、バッチ番号3および3Iが低い初期バースト放出を有し、ミクロスフェア製剤の放出プロファイルが照射によるポリマーミクロスフェアの滅菌によって悪影響を受けないことを実証している。
【0054】
例5-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号4および4I
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、120gの7502Aポリマー(IV=0.20dL/g)を800gのDCMおよび400gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(180g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、25mL/分の流量で、3,500RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAおよび10mMリン酸緩衝液(pH=7.6)を含むCPもまた、2L/分(CP:DP=80:1)の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0055】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。
【0056】
粉末の一部を周囲温度下で25kGyのガンマ線照射に供した。非照射部(バッチ番号4)は、15μm(D50)の平均粒径、60.5wt%の薬物負荷、および16.9kDaの分子量を有していた。照射部(バッチ番号4I)は、15μm(D50)の平均粒径、60.0wt%の薬物負荷、および15.9kDaの分子量を有していた。ミクロスフェアは、4.7mgの残留DCMおよび0.3mgの残留BAを含有していた。
【0057】
図5は、バッチ番号4および4Iからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を比較したグラフである。
図5は、バッチ番号4および4Iが低い初期バースト放出を有し、ミクロスフェア製剤の放出プロファイルが照射によるポリマーミクロスフェアの滅菌によって悪影響を受けないことを実証している。
【0058】
例6-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号5および5I
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、120gの7503Aポリマー(IV=0.29dL/g)を800gのDCMおよび400gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(180g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、25mL/分の流量で、3,500RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAおよび10mMリン酸緩衝液(pH=7.6)を含むCPもまた、2L/分(CP:DP=80:1)の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0059】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。
【0060】
粉末の一部を周囲温度下で25kGyのガンマ線照射に供した。非照射部(バッチ番号5)は、18μm(D50)の平均粒径、58.7wt%の薬物負荷、および29.9kDaの分子量を有していた。照射部(バッチ番号5I)は、18μm(D50)の平均粒径、58.8wt%の薬物負荷、および27.2kDaの分子量を有していた。ミクロスフェアは、5.0mgの残留DCMおよび0.4mgの残留BAを含有していた。
【0061】
図6は、バッチ番号5および5Iからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を比較したグラフである。
図6は、バッチ番号5および5Iが低い初期バースト放出を有し、ミクロスフェア製剤の放出プロファイルが照射によるポリマーミクロスフェアの滅菌によって悪影響を受けないことを実証している。
【0062】
例7-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号6および6I
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、120gの752Hポリマー(IV=0.21dL/g)を800gのDCMおよび400gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(180g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、25mL/分の流量で、3,500RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAおよび10mMリン酸緩衝液(pH=7.6)を含むCPもまた、2L/分(CP:DP=80:1)の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0063】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。
【0064】
粉末の一部を周囲温度下で25kGyのガンマ線照射に供した。非照射部(バッチ番号6)は、16μm(D50)の平均粒径、59.4wt%の薬物負荷、および15.6kDaの分子量を有していた。照射部(バッチ番号6I)は、16μm(D50)の平均粒径、60.1wt%の薬物負荷、および14.9kDaの分子量を有していた。ミクロスフェアは、5.2mgの残留DCMおよび0.3mgの残留BAを含有していた。
【0065】
図7は、バッチ番号6および6Iからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を比較したグラフである。
図7は、バッチ番号6および6Iが低い初期バースト放出を有し、ミクロスフェア製剤の放出プロファイルが照射によるポリマーミクロスフェアの滅菌によって悪影響を受けないことを実証している。
【0066】
図8は、バッチ番号3、4、5、および6からの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を比較したグラフである。
図9は、バッチ番号3I、4I、5I、および6Iからの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を比較したグラフである。
【0067】
例8-バッチ番号3、3I、4、4I、5、5I、6、および6Iのイヌにおける薬物動態試験
イヌにおける持効性ルラシドン製剤の皮下注射用量後のルラシドンの薬物動態プロファイルを試験した。イヌは、100mg/mLのルラシドン濃度を有する、示されたバッチ番号の10mg/kg用量を受けた。血液試料を1、3、6、24、48、96、168、264、360、480、600、720、840、960、1080、1200、1320、1440、1560、および1680時間の時点で採取した。
図10は、バッチ番号3、3I、4、4I、5、5I、6、および6Iについて測定されたルラシドンの平均血中濃度(ng/mL)を時間の関数として示すグラフである。
【0068】
例9-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号7
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、15gの7502Aポリマー(IV=0.19dL/g)を133.3gのDCMおよび66.70gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(35g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、25mL/分の流量で、3,500RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAを含む(が緩衝液を含まない)CPもまた、2L/分(CP:DP=80:1)の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0069】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。
【0070】
バッチ番号7は、16μm(D
50)の平均粒径、63%の薬物負荷(70%の標的薬物負荷に基づいた封入効率=91%)、および16.6kDaの分子量を有していた。ミクロスフェアは、検出可能な残留DCMを含有せず、0.7mgの残留BAを含有していた。
図11は、バッチ番号7からの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0071】
例10-ルラシドン封入ポリマーミクロスフェアの調製-バッチ番号8
例1に記載され、
図1に例示される一般的な手順に従って、DPを、3.0gの7507Aポリマー(IV=0.56dL/g)を26.67gのDCMおよび13.33gのBA(DCM/BA(2:1))に溶解し、その後、ルラシドン(7.0g)を添加し、完全に溶解するまで混合することによって形成した。DPを濾過し、25mL/分の流量で、3,500RPMで動作するLevitronix(登録商標)BPS-i100一体型ポンプシステムにポンプ輸送した。0.35%PVAを含む(が緩衝液を含まない)CPもまた、2L/分(CP:DP=80:1)の流量でホモジナイザにポンプ輸送した。
【0072】
形成されたまたは形成中のミクロスフェアは、ホモジナイザを出て、SRVに入った。脱イオン水をSRVに添加した。溶媒除去を、水洗および中空糸フィルタを使用して達成した。バルク懸濁液を濾過によって回収し、凍結乾燥させて、自由流動性粉末を得た。
【0073】
バッチ番号8は、18μm(D
50)の平均粒径、59%の薬物負荷(70%の標的薬物負荷に基づいた封入効率=84%)、および62.0kDaの分子量を有していた。ミクロスフェアは、検出可能な残留DCMを含有せず、3.3mgの残留BAを含有していた。
図11は、バッチ番号8からの経時的なインビトロ累積ルラシドン放出を示すグラフである。
【0074】
使用の際に、ミクロスフェアを、投与(注射)のために希釈剤に懸濁してもよい。希釈剤は、一般に、増粘剤、等張化剤、および界面活性剤を含んでもよい。増粘剤は、カルボキシメチルセルロース-ナトリウム(CMC-Na)または他の好適な化合物を含んでもよい。希釈剤の粘度が3cps以上になるように、適切な粘度グレードおよび好適な濃度のCMC-Naを選択してもよい。一般に、約10cpsの粘度が好適である。しかし、懸濁液中のミクロスフェアの沈降を最小限に抑えるために、より大きなミクロスフェアにはより高い粘度の希釈剤が好ましい場合がある。
【0075】
粒子沈降のない均一なミクロスフェア懸濁液は、注射による薬物投与中に一貫した送達用量をもたらす。生物系により近い希釈剤の等張性、約290ミリオスモル(mOsm)を有するために、溶質、例えばマンニトール、塩化ナトリウム、または任意の他の許容される塩を使用してもよい。希釈剤はまた、組成物のpHを維持するための緩衝塩を含有してもよい。典型的には、pHは、必要に応じて緩衝液含有量を調整することによって、生理学的に適切なpH付近に維持される(pH約7~約8)。
【0076】
本明細書に開示される態様は、網羅的であること、または限定的であることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の態様または本態様に対する修正を行うことができることを認識するであろう。本開示の態様は、本明細書に一般的に記載され、図に示されているように、多種多様な異なる構成で配置、置換、組合せ、分離、および設計することができ、それらはすべて本明細書で企図される。
【0077】
特に指定されない限り、「a」、「an」、「the」、「1つ以上の(one or more of)」、および「少なくとも1つ(at least one)」は、区別なく使用される。単数形「a」、「an」および「the」は、それらの複数形を含む。端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、同等でオープンエンドであることを意図している。「から本質的になる」という語句は、組成物または方法が追加の成分および/または工程を含んでもよいが、追加の成分および/または工程が、特許請求される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。「からなる群から選択される」という語句は、列挙された群の混合物を含むことを意味する。
【0078】
「各」という用語に言及する場合、「すべて、例外なく」を意味するものではない。例えば、ポリマーミクロスフェアを含むミクロスフェア製剤に言及し、「各ポリマーミクロスフェア」が特定のAPI含有量を有すると言われる場合、10個のポリマーミクロスフェアが存在し、2つ以上のポリマーミクロスフェアが特定のAPI含有量を有する場合、その2つ以上のポリマーミクロスフェアのサブセットは限定を満たすことを意図している。
【0079】
数字に関連する「約」という用語は、単に略記であり、数字の±10%を含むことを意図している。これは、「約」が、独立した数字を修飾しているか、または数字の範囲の端のいずれかもしくは両方で数字を修飾しているかにかかわらず当てはまる。言い換えると、「約10」は、9~11を意味する。同様に、「約10~約20」は、9~22および11~18を企図する。「約」という用語がない場合、正確な数字が意図される。言い換えると、「10」は10を意味する。
【国際調査報告】