(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】分散的光ファイバ検知システム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240213BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240213BHJP
G08G 1/015 20060101ALI20240213BHJP
G01D 5/353 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
G08G1/01 C
G08G1/04 A
G08G1/015 A
G01D5/353 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550266
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2022017026
(87)【国際公開番号】W WO2022178281
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521040466
【氏名又は名称】ファイバー センス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンジー、ナサニエル ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2F103
5H181
【Fターム(参考)】
2F103CA07
2F103EC09
5H181AA01
5H181CC01
5H181CC03
5H181DD01
5H181DD04
5H181EE02
5H181EE03
5H181FF10
5H181MB02
5H181MB07
(57)【要約】
分散的光ファイバ検知(DFOS)システムおよび方法は、1以上の光ファイバに光データを記録し、記録された光データから物理パラメータを計算し、DFOSデータに基づいて1つまたは複数の光ファイバの上またはそばを通過する車両の位置を計算する。表面の下または隣接して位置する少なくとも1つの光ファイバを使用して、物体によって物体の下の表面上に及ぼされる力を決定する方法は、力に応答して少なくとも1つの光ファイバ内のひずみから生じるDFOSデータを測定し、測定されたDFOSデータと力の間の少なくとも1つの関係を決定し、測定されたDFOSデータと力を決定するための少なくとも1つの関係とを処理して力を決定することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が前記物体の下の表面に及ぼす力を、前記表面の下または隣接して位置する少なくとも1つの光ファイバを使用して決定する方法であって、
前記力に応答する前記少なくとも1つの光ファイバのひずみから生じる分散的光ファイバ検知(DFOS)データを測定し、
測定された前記DFOSデータと前記力との間の少なくとも1つの関係を決定し、
測定された前記DFOSデータと前記少なくとも1つの関係を処理して前記力を決定する、ことを含む方法。
【請求項2】
前記力を決定することが、前記力の大きさおよび位置を含む力分布を決定することを含み、前記方法が、前記力分布に基づいて前記物体の物体情報を導出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体情報は、前記物体のフットプリント領域と前記物体の質量分布のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物体情報は、前記物体の速度、前記物体の加速度、前記物体の運動量、前記物体の速さ、前記物体の識別情報、前記物体の進行方向のうちの少なくとも1つを含む、請求項2~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
測定された前記DFOSデータと前記力との間の前記少なくとも1つの関係は、DFOSデータと、DFOS測定値と力分布との間の物理的関係とのうちの少なくとも1つを使用して、機械学習ネットワークを訓練することによって決定される、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
測定された前記DFOSデータと前記力との間の前記少なくとも1つの関係が、前記表面上の少なくとも1つの位置と前記少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメントとの間の媒体の少なくとも1つの伝達関数に対応する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面上の前記少なくとも1つの位置が、前記表面上のノードのメッシュまたは行列に対応する複数の位置を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記DFOSデータと前記少なくとも1つの伝達関数が、前記少なくとも1つの光ファイバ上の前記少なくとも1つの検知セグメント上のノードのメッシュ内の特定の位置における前記力の分布を決定するために使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記力の分布を決定することは、少なくとも1つの統計的最適化方法を使用することと、前記少なくとも1つの伝達関数に関連する行列を反転させることと、を含み、前記少なくとも1つの伝達関数に関連する前記行列を反転させることは、DFOSを実行する前に実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの統計的最適化方法が、DFOSを実行しながらリアルタイムで実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記表面上の少なくとも1つの位置と前記少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメントとの間の前記媒体の前記少なくとも1つの伝達関数を決定することが、前記媒体の材料、前記表面上の前記少なくとも1つの位置に対する前記少なくとも1つの光ファイバの形状、及び局所地質情報のうちの少なくとも2つに基づく、請求項6~請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
DFOSを実行するために前記少なくとも1つの光ファイバの少なくとも1つのゲージ長さを選択することをさらに含み、前記ゲージ長さは、前記少なくとも1つの光ファイバ上の前記少なくとも1つのセグメントに対応する、請求項6~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記物体が車両を含む、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記物体情報は、前記車両の車軸の数と前記車両の占有率の少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記表面が複数の車線を含む、請求項1~請求項14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記複数の車線の車線量子化を決定することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
物体が前記物体の下の表面に及ぼす力を決定する方法であって、
前記表面の下又は前記表面に隣接して位置する光ファイバにおけるDFOSデータを測定し、
測定した前記DFOSデータに基づいて力を計算する、ことを含む方法。
【請求項18】
前記DFOSデータの測定にはひずみの測定が含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記DFOSデータの測定には、地震動の測定が含まれる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記力の計算に応答して警告を発生することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記表面上の前記物体の位置を決定することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記物体と前記光ファイバとの間の水平オフセットを計算することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
測定された前記DFOSデータを記憶テーブルに保存することをさらに含む、請求項17~請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
計算された前記力を記憶テーブルに記憶することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
表面上の物体を検出する方法であって、
前記表面の実質的に下又は隣接して位置する光ファイバにおけるDFOSデータを測定し、
測定された前記DFOSデータに基づいて力を計算し、
前記力が前記物体によって前記表面に及ぼされることを決定する、ことを含む方法。
【請求項26】
前記DFOSデータは、ひずみ及び地震動のうちの少なくとも1つを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記表面上で検出された前記物体の特性を推定することをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記特性が、前記物体のX位置と前記物体のY位置のうちの少なくとも1つを含む請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記表面は、道路、車道、駐車場、ガレージフロア、空港誘導路、走行路、建物又は倉庫の床、軌道、歩道、野外、農場のうち少なくとも1つを含み、
前記物体は車両を含み、
前記特性は、車両位置及び車両特性のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記道路は複数の車線を含み、
前記車両位置は、前記道路に沿った前記車両の位置と車線位置を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記特性には車両特性が含まれる、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記車両特性は、前記車両のフットプリント領域、前記車両の車軸の数、前記車両の質量、前記車両の速度、前記車両の加速度、前記車両の運動量、前記車両の質量分布、前記車両の占有率、前記車両の速度、前記車両の移動方向のうちの少なくとも1つを含む、請求項25~請求項31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記車両は、乗用車、オートバイ、スクータ、軽トラック/SUV、トラック、重機、4輪ATVのいずれかである、請求項25~請求項32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定する方法であって、
1つまたは複数の光ファイバが前記表面に埋め込まれた状態で定量的な分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行し、前記表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定する、方法。
【請求項35】
前記表面は、長さに沿って延在し、幅を有する道路を含み、
前記車両情報は、前記道路の長さに沿った個々の車両位置を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記車両情報は、前記道路の幅に沿った個々の車両位置を含む、請求項34~請求項35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記車両情報は車両フットプリント領域を含む、請求項34~請求項36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記車両情報は、車両の車軸の数を含む、請求項34~請求項37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記車両情報は、車両の質量を含む、請求項34~請求項38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記車両情報は、車両の質量分布を含む、請求項34~請求項39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記車両情報は、車両の乗員を含む、請求項34~請求項40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記車両情報は、車両の荷重を含む、請求項34~請求項41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記車両情報は、前記車両の速度と前記車両の進行方向の少なくとも一方を含む、請求項34~請求項41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
道路を走行する個々の車両を追跡する方法であって、
前記個々の車両の車両情報を推定するために、前記道路に沿って埋設された1つまたは複数の光ファイバを用いた分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行し、
推定された前記車両情報を組み合わせて、前記個々の車両の追跡情報を生成する、方法。
【請求項45】
前記追跡情報の生成は、車線量子化を計算することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記追跡情報の生成は、2つの車両の間のX方向の距離を算出することを含む。請求項44~請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記追跡情報の生成は、2つの車両の間のY方向の距離を算出することを含む、請求項44~請求項46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
生成された前記追跡情報に基づいて1つ以上の警告を生成することをさらに含む、請求項44~請求項47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記1つ以上の警告を記憶装置に保存する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
DFOSを実行するためのゲージ長を選択する方法であって、
検出すべき表面上の物体の、光ファイバと実質的に平行な方向の長さを識別し、
前記物体の重みを推定し、
前記表面の下の第1の深さの材料のモデルに基づいて、前記物体によって変形される前記表面の面積の寸法を計算し、
計算された前記寸法に基づいてゲージ長を選択する、方法。
【請求項51】
前記ゲージ長の選択は、さらに、
前記光ファイバに注入される光のパルス幅、
前記光ファイバの全長、
光の周波数、及び、
前記光ファイバの屈折率、のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記表面の変形のBoussinesq 近似を含む請求項50に記載の方法。
【請求項53】
請求項1~請求項52のいずれか1項に記載の方法のいずれかを実行するように構成されたDFOSを実行するためのシステム。
【請求項54】
DFOSを実行するためのシステムであって、
レーザ光を光ケーブルに出射し、前記光ケーブルから送信される光を受光する装置と、
請求項1~請求項52のいずれか1項に記載の方法のいずれかを実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサと、を含むシステム。
【請求項55】
光源と、
前記光源によって生成された光を変調するように構成された変調器と、
受光器と、
少なくとも前記光源と前記受光器を制御するように構成されたコントローラと、
光ファイバと、を含むDFOS機器を含み、
前記DFOS機器は前記光ファイバに光学的に接続されている、システム。
【請求項56】
前記光源はレーザである、請求項55に記載のシステム、
【請求項57】
前記コントローラは、DFOSを実行するためのゲージ長を選択する方法を実行するようにさらに構成され、前記方法が、
検出すべき表面上の物体の、光ファイバと実質的に平行な方向の長さを識別し、
前記物体の重みを推定し、
前記表面の下の第1の深さの材料のモデルに基づいて、前記物体によって変形される前記表面の面積の寸法を計算し、
計算された前記寸法に基づいてゲージ長を選択することを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項58】
前記コントローラは、道路を走行する個々の車両を追跡する方法を実行するようにさらに構成され、前記方法は、
前記個々の車両の車両情報を推定するために、前記道路に沿って埋設された1つまたは複数の光ファイバを用いた分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行し、
推定された前記車両情報を組み合わせて、前記個々の車両の追跡情報を生成することを含む、請求項55に記載のシステム
【請求項59】
前記コントローラは、表面上の1つ以上の車両の車両情報を推定する方法を実行するようにさらに構成され、前記方法は、
1つまたは複数の光ファイバが前記表面に埋め込まれた状態で定量的な分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行し、前記表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定することを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項60】
前記コントローラは、表面上の物体を検出する方法を実行するようにさらに構成され、前記方法は、
前記表面の実質的に下又は隣接して位置する光ファイバにおけるDFOSデータを測定し、
測定された前記DFOSデータに基づいて力を計算し、
前記力が前記物体によって前記表面に及ぼされることを決定することを含む、請求項55に記載のシステム。
【請求項61】
前記コントローラは、前記物体の下の表面に前記物体によって及ぼされる力を決定する方法を実行するようにさらに構成され、前記方法は、
前記表面の下又は前記表面に隣接して位置する光ファイバにおけるDFOSデータを測定し、
測定した前記DFOSデータに基づいて力を計算することを含む、請求項55に記載のシステム
【請求項62】
光源と、
前記光源によって生成された光を変調するように構成された変調器と、
受光器と、
少なくとも前記光源と前記受光器を制御するように構成されたコントローラを含み、
前記コントローラは、請求項1~請求項52の何れか1項に記載の方法を実行するように構成されている、DFOS機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国の利益を主張する。2021年2月19日に出願された仮出願第63/151,332号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
離散車両検出/分析/追跡は、とりわけ、自律車両ナビゲーション、インテリジェント輸送、およびインフラストラクチャを含む将来のデジタル都市アプリケーションにとって有益である。本文脈における離散とは、交通を、個々の車両物体の集合として、その位置及び特性情報を、空間及び時間を通じて、リアルタイムで(例えば、>1ポイント/秒)、高精度で(例えば、<1%の偽陽性率)、高分解能で(例えば、<10メートル)、広いエリアにわたって(例えば、2つ以上の都市ブロック)、そして、可能経路のより広いグリッド内の任意の経路に沿って分解及び追跡することができるものとして表すことを意味する。車両位置情報は、路面に対する3D位置を含む。車両特性情報には、車両のフットプリント(領域)、質量、質量分布、車軸数が含まれる。この種の車両情報システム(「VIS」)は、例えば、特定の車両の履歴の推定、車両の挙動の測定、および過去の交通事象の再構築、または新しい詳細レベルの交通傾向の予測を可能にする粒度で車両情報を照会する特殊な能力を有する。
【0003】
離散車両検出/分析/追跡システムの開発に対する幾つかの障壁は、(1)隙間なしの街路レベルの情報取得を防止する、ビル、トンネル、橋、木、ハイウェイのオーバーパスによって提示される遠隔センシング/画像ベースのアプローチのための物理的な視線の問題、(2)大規模ネットワークにわたる情報を分析し、それでもリアルタイムの分析を提供しようとする単点センサの技術的問題、(3)例えば車両間通信における送信信号の望ましくない傍受の影響を受けやすいこと、(4)カメラベースのアプローチまたは携帯電話ベースのアプローチのための個人識別情報(顔、民族性、性別、ライセンスプレート)の収集に対する許容性、又は場合によっては法的禁止、(5)実際の検知領域にわたって隙間なしのカバレージを達成するために離散センサを使用する場合に必要なリソースのレベル、等を含む。
【0004】
分散的光ファイバ検知(「DFOS」)の分野における幾つかの進歩が、過去の10年にわたって行われており、これらが合わさって、高精細度車両情報システム(「HD-VIS」)のための正確で定量的な地震動検知アレイとして電気通信のために一般に使用される線形インフラストラクチャに沿ってすでに埋設されている光ファイバを探査することができるようになった。車両は、DFOSによって検出することができる多くの異なるタイプの地震動を生成する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、都市などの地理的エリアの実質的に全カバレージを有する領域における検出、分析、及び/又は追跡を可能にする方法、システム、及び装置を提供する。しかし、本発明は、全カバレージ、隙間なしのグリッドに限定されず、他のカバレージエリアを定義することができる。
【0006】
本開示の実施形態は、HD-VISなどのための現存するアプローチに伴う問題に対処する。いくつかの実施形態では、本開示は、線形インフラストラクチャに沿って埋め込まれた光ファイバを用いて定量的DFOSを使用して、単一または複数車線の道路に沿った、およびそれを横切る個々の車両位置を含む車両位置情報を推定するためのシステム、装置、および方法を含む。
【0007】
さらなる態様では、本開示は、個々の車両のフットプリント(領域)、車軸数、車軸の相対位置、質量、質量分布、速度、加速度、運動量、および/または占有率および/または車両積載量の推定を含む車両の特性情報を推定するために、線形インフラに沿って埋設された光ファイバを使用して定量的DFOSを使用するシステム、装置、および方法を含む。
【0008】
さらなる実施形態では、本開示は、複数の車両位置情報および/または車両特性情報を組み合わせて、車両履歴、挙動、パターン、予測、または集約した個々の車両情報を複数車両レベルの傾向まで推定または推論するシステム、装置、および方法を含む。
【0009】
さらなる実施形態では、本開示は、歩行者、列車、電車、電車、昇降クレーン、自転車、動物を含む、道路上の車両以外の、光ファイバに隣接する表面に力を及ぼす任意の移動物体に上記の実施形態を適用することができるシステム、装置、および方法を含む。
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら実施形態を詳細に説明するが、ここで、同様の参照番号は同様の要素を表す。付随する図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。いくつかの図は、他の基礎となる特徴をより明確に示す目的で、選択された特徴の省略によって簡略化されている場合がある。一部の図における要素のこのような省略は、対応する書面の説明において明示的に開示され得る場合を除き、例示的な実施形態のいずれかにおける特定の要素の存在または不在を必ずしも示していない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】開示される主題の実施形態による、レーザ光を送受信するDFOS機器の一例を示す図である。
【
図2A】開示された主題の実施形態によるプロセスフローの一例を示す図である。
【
図2B】開示された主題の実施形態によるDFOSデータを記録するプロセスフローの一例を示す図である。
【
図2C】開示された主題の実施形態による、検出および位置特定のためのプロセスの例を示す図である。
【
図2D】開示された主題の実施形態による、検出および位置特定のためのプロセスの例を示す図である。
【
図3】開示される主題の実施形態による、道路上の仮想車両位置を示す図を示す。
【
図4A】開示された主題の実施形態に従って収集された例示的なデータを示す図である。
【
図4B】開示された主題の実施形態に従って収集された例示的なデータを示す図である。
【
図5】開示された主題の実施形態による補助DFOSデータ記録の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、DFOS機器100は、光ファイバ150に光を照射し、戻るエネルギー110を時間の関数として記録する。光は、簡単なパルス、チャープパルス、連続波など、どのようなものでもよい。実施形態では、光はレーザ光である。更なる態様では、レーザ光線は赤外又は近赤外の周波数領域にある。光ファイバ検知経路から戻るエネルギーは、光ファイバの長さに沿った光散乱特性の結果としてレイリー散乱された可能性があり、または戻りエネルギーは、入射波長からの何らかのブリルオイン遷移またはラマン遷移によって引き起こされた可能性がある。戻ってくる光は、光学的に、デジタル的に、またはその両方で分析することができる。このプロセスの出力は、本明細書ではDFOSデータまたはDFOS記録と呼ばれるデータセットであり、これは、ファイバ内のすべてのセンサ位置における特定の時間サンプルの光ファイバの状態に関する値を含む。
【0013】
図1に示されるように、ファイバ150は、道路140の下又はその近くに埋設することができる。1つまたは複数の自動車130が道路140上を走行し、自動車130の存在、位置、移動、および他の属性を、以下で説明するようにDFOS機器100によって特定することができる。
【0014】
一実施形態では、DFOS機器は、WO 2018/045433 A1に記載されている分散音響検知のためのユニットなどのインテロゲータユニット(「IU」)とすることができ、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0015】
DFOSの場合によっては物理的な固定長センサ位置が存在しない。原則として、ゲージ長は、1つのDFOS値が感受される光ファイバに沿った距離である。一実施形態では、パルスレイリーベースのDFOSの1つのタイプでは、ゲージ長は10mとすることができ、記録されたデータはひずみとすることができる。この場合、ゲージ長さ10mが、変位によってひずみが生じる基準長さとなる。ゲージ長は、測定の品質、測定の利得、空間エイリアシングなしで分析することができる最も微細な空間サイズ、および記録されたDFOSデータボリュームを含む、測定の多くの側面に影響を及ぼす可能性がある。ゲージの長さはハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて設定できる。ゲージ長がソフトウェアで設定されている場合は、複数のゲージ長でDFOSデータを記録することができる可能性がある。
【0016】
DFOS測定は、光ファイバ150の動き/変形、したがって光ファイバの周囲の動き/変形を検知する。例えば、地震の間、地震波が地表面を伝播するにつれて、土壌は圧縮及び希薄化を受け、この運動は光ファイバ150に伝達される。
【0017】
連続した光ファイバが存在し、一端をDFOS装置100に接続することができるいかなる場所においてDFOS測定が可能である。ファイバは、任意の配向で敷設することができ、又はDFOS測定の各ゲージ長さに2つ以上の運動/変形成分を導入するように螺旋状に中央シリンダの周りに巻き付けることさえできる。DFOS測定には、異なる目的で敷設された既存の光ファイバを利用することができる。複数のファイバを直列に接続し、1つの機器でDFOSに使用することができ、または複数のDFOSチャネル(同じまたは別々のDFOS機器で分析される)を使用して、同じ周辺内のDFOSデータを記録することができる。
【0018】
以下は、本発明の実施形態においてDFOSをどのように使用することができるかの非限定的な例である。また、長さ25kmの2つの光ファイバ(ファイバ1、ファイバ2)は、都市型のデータセンタに収納された同一のDFOS装置100からの独立したチャンネルを用いて照明することができる。ファイバ1は、深さ1.25mの中央値よりも下の街路140に水平に埋め込まれたファイバケーブル束内の標準的なダークファイバ(すなわち、デジタル通信に使用されないファイバ)とすることができる。ファイバ2は、光ファイバとすることができ、その経路は、ファイバ1と同じ街路140の右側の道路縁に位置する。ファイバ1とファイバ2のほとんどは、都市全体で位置が大きく異なるが、この街路を共有している。ファイバ選択、接続、及び較正プロセスの後、DFOSデータの記録が開始される。DFOSデータセットの新しい時間サンプルは、ゲージ長(空間分解能)が3mのすべてのセンサについて0.001秒ごとに記録することができる。
【0019】
また、
図2Aの概念的なワークフローに示されるように、DFOS記録上では、様々なプロセス(以下、方法とも称する)を実行することができる。これらの方法は、リアルタイムまたは擬似リアルタイムで、あるいは記録されたデータ上で実行することができる。この方法は、任意の検出ステップを含み、続いて、車両、ならびに車両に関連する位置および特性を、時間および空間を通じて、位置特定、特徴付け、および追跡する。
【0020】
図2Aを参照すると、図示されたフローチャートは、本発明の様々な実施形態による、DFOSを使用して車両を検出し追跡するための全体的なプロセスを示している。プロセスはS200で開始し、S210に進み、ここでDFOSデータが記録される。S210のさらなる詳細は、
図2Bに示され、以下で論じられる。
【0021】
ここで
図2Bを参照すると、S210のフローチャートは、DFOSデータを準備し、次いで記録するプロセスを示す。S212で開始して、光ファイバ及びファイバチャネルが選択される。このプロセスは、例えば、都市又は高速道路に沿った特定のガラス繊維及びその埋め込み経路を選択することを含む。劣悪な品質のファイバ経路は、DFOSデータ品質を劣化させる可能性があり、したがって、光路品質は、光時間領域反射率計(OTDR)を使用してこの段階で評価することができ、挿入損失も測定することができる。この段階で考慮されるその他の情報には、街路の市街地図から得られる経路の詳細、橋や高速道路などの既存のインフラストラクチャの地図、街路レベルの写真、航空写真、ファイバネットワークを構築した図面、ネットワークに関する情報などが含まれる。光ファイバを選択する際の他の考慮すべき事項は、道路からの距離、埋設深さ、設置環境、導管、埋め戻し、年齢、及び経路の地質情報である。いくつかの実施形態では、新しい専用ファイバをインストールして、自分自身のファイバを提供し、この選択ステップを達成することができ、これは、ファイバ、インストール、および経路の主要な知識の利点を有する。
【0022】
S212で行われる別の判定は、光ファイバが現在の電気通信信号伝送を有するか、または将来の電気通信伝送を有する予定であるかどうかである。DFOSに潜在的に使用されるものと同じファイバ内に電気通信伝送がある場合、これを依然として利用することができるが、異なるファイバの代わりにこのファイバを選択する際に考慮すべき重要な商業的またはロジスティック上の考慮事項がある可能性がある。さらなる考慮事項は、記録することができる潜在的なDFOSデータの点での特定の光ファイバの商業的価値である。実施形態では、予備DFOS測定値若しくはデータセット、又は非DFOS測定源からのファイバ経路の位置に関する情報が、光ファイバを選択するために使用される。例えば、候補光ファイバの集合のDFOSデータセットをサンプリングし、データ分析プロセスを実行して、データセットを、車両、特定のタイプの物体識別、他の人間若しくはインフラストラクチャ若しくは自然現象を伴う用途、又はファイバが結合されているかどうかに基づいて有用であるファイバの部分を分離するために使用され得る用途、又は光ファイバケーブルの各位置での何らかの他の信号対雑音(若しくは別の品質)評価のための用途の可能性を有するアレイの部分に識別又は他の方法でセグメント化することが可能である。この種の分析は、潜在的な商業的価値の測定をもたらすことができ、したがって、後続の処理ステップで使用される光ファイバの選択を導くことができる。上記の考慮事項のすべてを組み合わせて、DFOSインテロゲータに接続され、DFOSデータを記録するために使用される選択されたファイバ(または複数のファイバ)に最終的に到達することができる。
【0023】
そして、S214において、DFOSデータの記録が開始される。データはまた、位置に関連付けられるか、またはジオタグ付けされる。ファイバの位置が、ファイバの経路に関する利用可能な情報に基づいて正確に分かっている場合、ファイバ内の各位置に対するジオロケーション情報(緯度、経度、深さ)のこの「ジオタギング」または割り当ては、それが利用可能でない場合よりも行うのが容易である。入手可能な情報の品質は、処理精度に重大な影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外部音響源(スレッジハンマーまたは他の衝突源など)を使用してタップ試験を実施し、音響信号が、DFOS測定を行うために使用されている光ファイバネットワークの予想される位置を超えて生成される。音響信号発生の位置は、GPS又は他の高精度位置特定方法を用いて記録される。音響信号からの地震波は、DFOSデータセットに記録され、DFOSデータセットのチャネルへのその物理的位置の登録を可能にする。次いで、線形補間を、ネットワーク内の物理的にジオタグ付けされた位置の間で、必要とされる精度のレベルまで適用することができ、したがって、ジオタグ付けの精度を改善する。
【0024】
いくつかの実施形態では、ジオタギングは、測定されたデータが道路または橋の近くにあることを理解するために、人間またはインフラストラクチャ、あるいは車両ノイズや橋の共振などの自然現象に依存することによって達成される。橋は、その上を通過する車両による音響エネルギーの増加源となることが期待され、橋の位置は正確に知られているため、既知の地理情報を有する測定可能なデータを提供する。このアプローチは、多くの場合、完了するのに多くの日数を必要とし得る、音響信号を生成するために、人間がネットワークのフィールド位置の周りを移動するのに必要とされる時間および労力を軽減するという利点を有する。他の実施形態では、ジオタギングは、DFOSデータセットをDFOSデータの特性に基づいて異なる空間的にクラスタ化されたチャネルにクラスタ化またはセグメント化するために、k-meansなど、教師なしまたは教師あり機械学習アルゴリズムを使用することによって達成される。この場合の特性は、特定の周波数範囲内のノイズの振幅、ゼロ交差の数、特定の周波数範囲内のエネルギーの昼/夜比、特定の周波数範囲内のエネルギーの平日/週末比、DFOSデータから導出することができる別の統計値、又は検出された車両の数などの派生測定値、若しくは結合の品質の測定値などのデータに関連することができる。例えば、光ファイバネットワークが400メートルの大きなバスターミナルに沿って走り、次いで左に走り、600メートルの静かな街路を下る場合、DFOSデータセットをこれらの2つのクラスタにセグメント化し、ファイバの一般的な位置の街路マップなどの追加情報を使用して、DFOSデータチャネルが物理的にどこに位置するかの高精度マップを確立することが可能である。
【0025】
DFOSデータを記録するために光ファイバをジオタギングし較正するプロセスの第2の部分は、DFOSデータを較正することである。データセットの光学的及び環境的ノイズレベルは、光学的設定、ファイバ条件、設置、ファイバ経路、及びファイバ深さに依存して変化し得る。このステップでは、DFOSデータは、この変動を考慮するために調整される。このノイズフロアの変動性を記録し、その後、将来の検知用途でそれを利用することが可能である。いくつかの実施形態では、較正を省略することができる。
【0026】
S216で、DFOS測定が開始され、DFOSデータが、光ファイバを適切に選択し、物理ファイバ位置を確立し、場合によっては上述のように光ファイバ雑音レベルも評価した後に記録される。
【0027】
光ファイバ選択及びジオタギング/較正を含むDFOS測定セットアップに続いて、DFOS測定が開始される。検出及び位置特定プロセスS220は、DFOS測定データを操作し、道路メッシュ内の力の位置および特性を表す道路占有(および他の情報)の最良適合解を出力する。次に、S230において、道路占有情報がクラスタ化されるか、または他の方法で関連付けられ、一意の車両識別情報が確立され、それによって、S240において、それらの一意の識別情報に基づいて個別の車両の追跡を可能にする。この段階で、車両の情報を経時的に追跡し、問い合わせることができる。プロセス全体は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでデータおよび処理を記録することによって無期限に継続することができ、またはプロセスを以前に記録されたデータに適用して、S250でプロセスが終了するまでの後の時点で車両トラフィックを再構成することができる。
【0028】
この検出方法では、DFOSデータを用いて道路上に車両が存在するか否かを判定し、道路が占有されているか否かを警告することができる。また、この方法の出力により、タイムサンプル毎に実行し、車両の位置を返す方法など、他の方法を実行させることもできる。まず、上記の検知方法を利用し、車両を検知した場合にのみ位置特定方法を実行することで、計算資源の節約を図ることができる。言い換えると、道路上に1つ以上の車両が存在するという証拠があるまで、位置特定方法を実行することを回避することができる。
【0029】
車両は、車両の位置から数キロメートル離れた場所までの周囲を乱す可能性がある。例えば、車両が道路に埋め込まれた光ファイバの周辺に存在する場合、車両の外乱は、光ファイバを取り囲む媒体を様々に摂動させ、この摂動が車両の周辺に存在することを警告する根拠となる。
【0030】
車両がその周辺を乱す1つの方法は質量荷重によるもので、車両の質量が車両の質量荷重に比例した力で路盤とその周辺を変形させる。この力は、タイヤ-道路接触部に加えられる。非伝播変形場は、車両の周辺に存在し、車両が存在しない場合には存在しない。この現象は、地盤変形、静的荷重、静的ひずみ、又は測地荷重と称することができる。この応答は、高い車両速度および低い車両速度で観察され、したがって、ゆっくりと移動する物体でさえも識別するのに有用であり得る。
【0031】
さらに、車両自体が、地面および空気を通じて音響波および弾性波として伝播する振動を生成する可能性がある。これらの振動は、振動モータ、可動機械部品、ベルト、ステレオ、車輪、車軸、タイヤ、タイヤ-道路接触子、及び/又は車両に固定された追加の構成要素、及び/又は車両のサスペンション上の車両の質量の運動によって生成することができる。この種の振動は、因果的に車両のすぐ近くから離れて伝播する可能性がある(車両が静止している場合、時間の経過と共に車両の位置から外に移動する)。この現象は、地震動、地震波伝播、動的ひずみ、又は振動場と称することができる。振動の振幅は、一般に、車両速度と共に増加すると識別される。
【0032】
上記のタイプの車両外乱のいずれかを、検出プロセスS220で使用して、車両がDFOSセンサの周辺にある場合はいつでも、車両の存在または特性についての警告を送信することができる。車両の位置を推定する方法は、任意の時間サンプルにわたって実行することができるので、車両の位置を特定する前に車両を検出する必要はないが、1つまたは複数の車両の検出後に位置特定を続けることだけがより効率的である。
【0033】
いくつかの実施形態では、古典的なしきい値アルゴリズムが使用され、それは、例えば、DFOS電力スペクトル密度、またはおそらくはある信号周波数範囲でフィルタリングされ、かつ/またはセンサ位置の指定された時間または範囲にわたって何らかの方法で平均された信号エネルギーの異なる統計的尺度が、指定されたしきい値を超えて上昇したときに警告を送信する。所与の時間サンプルにおける警告の送信は、バイナリフラグ(警告または警告なし)であるため、警告の送信は、車両の存在または不在の指示であり、したがって、1つまたは複数の車両によって引き起こされる可能性がある。警告が複数の車両によって引き起こされた場合、アルゴリズムに変更はない。
【0034】
図2Cおよび
図2Dを参照すると、検出および位置特定プロセスS220と代替プロセスS220’が示されている。高レベルでは、このプロセスは、位置特定方法と呼ばれるが、検出も含む。位置特定方法においては、DFOSデータからの測地荷重信号を用いて、記録を最も良く説明する道路メッシュ内の特定の位置における力の分布(例えば、車両の位置)を解く。位置特定方法の結果は、データベースに格納され得るデータセットとなり、ここでは、さらなる分析のために、補助特性を有する道路占有のモデルが表にされる。
【0035】
S221で、この方法は、後に力の分布、道路占有率、および/または副次的特性の予測を行うために使用されるモデルを訓練する。これが達成される1つの方法は、ラベル付きDFOSデータを用いた機械学習または人工知能の当業者によく知られた教師ありエンコーダまたはオートエンコーダアーキテクチャを使用することである。例えば、完全に接続された複数のレイヤ、MAXプーリング、及び他のタイプのレイヤを含む畳み込みニューラルネットワークは、以前に収集された入力DFOSデータが与えられると、S221で真の結果のラベルで訓練される。S221におけるモデルを訓練する反復プロセスは、最終モデルが新しい又はラベル付けされていないデータを提示された場合に予測力を有するように、レイヤ重み関数を改善することを目的とする。この場合、ラベルは、車両の位置、車両の大きさ、車両の重量、単位時間当たりに通過する車両の数などであってもよい。ラベルは、現場で人の手で記録された車両の人間の視覚/聴覚観察結果から収集されてもよいし、カメラ又はビデオを用いて記録されてもよいし、又はオーディオ若しくはカメラ若しくはビデオ記録に適用されたコンピュータ視覚アルゴリズムの出力、若しくはラベルを確立する別のセンサの出力であってもよい。モデルは、ランダム重みおよびバイアス項を有する層ノードからなる開始場所から、または前の訓練(すなわち、転送学習)によって確立された重みおよびバイアス項を使用して訓練することができ、ラベル付きDFOSデータ(追加の層および/または微調整)を使用して、または使用しないで、さらなる訓練を行うことができる。
【0036】
S221の第2の定式化は、エンコーダまたはオートエンコーダモデルを訓練するために強化学習を使用することである。この場合、DFOS測定値と、道路メッシュ内の特定の位置における力分布(例えば、車両位置)との間の物理的関係、又は道路占有率若しくは補助特性を、訓練の対象とすることができる。また、ラベル付けされたデータを提供してもよいし、提供しなくてもよい。
【0037】
次いで、S223で、プロセスは、バンドパスフィルタリングなどの、訓練されたモデルへの入力のためのデータを準備する一連の信号処理ルーチンを適用することによって、DFOSデータをフィルタリングすることを続ける。このフィルタリングステップは、データセット内の望ましくないノイズを除去するために1つまたは複数のオートエンコーダをさらに適用することを含むことができる。
【0038】
S225に進むと、プロセスは、DFOSシステムによって得られる測定値を最もよく説明する1つまたは複数の車両の位置および他の特性の予測を行う。
【0039】
ここで
図2Dを参照すると、検出および位置特定のプロセスの代替実施形態が示されている。この実施形態は、すでに上述したS223から始まる。S224を続けると、DFOSデータは、データのバンドパスフィルタリングなどの一連の信号処理ルーチンを使用してフィルタリングされる。このフィルタリングステップは、データセット内の望ましくないノイズを除去するために1つまたは複数のオートエンコーダをさらに適用することを含むことができる。次いで、S224に続き、プロセスは、道路力に対するフィルタリングされたDFOSデータを反転させる。この行列反転プロセスは、計算効率のために事前に計算された、道路上の力を光ファイバケーブル上の結果として生じる効果に関連付ける方程式の線形システムの反転形式を利用する。次に、S226において、振幅又は近接度に基づいて類似していると考えられる出力力又は力の分布をグループ化する。S224の結果が現在の道路力の推定値である場合、S226の結果は現在の車両の推定値である。
【0040】
概念的には、車両は、
図3に示されるように、1つまたは複数の道路メッシュノードを中心とする垂直力または垂直力の集合として任意の車両の総質量を分配する点荷重の集合として、3Dデカルト座標系で近似することができる。この座標系は、x=ファイバ軸に沿ってセンサ位置だけインクリメントしたもの、y=車線オフセット軸、z=深さ、ここでz=0は路面である、として定義される。光ファイバケーブルは、一般に道路に沿って敷設されるので、慣例によりこの配向を採用することができるが、ケーブルが異なる方向に配向された場合、DFOS軸を回転させることができ、またはこの方法を拡張して、地面変形の異なる成分を捕捉することができる。この方法は、車両を支持する車輪の数及び車両の質量を考慮に入れて、道路メッシュノードが垂直力又は垂直力と水平力の組み合わせで作用されると仮定することができる。また、各力は、タイヤ・路面接触の中心に位置する微小点で作用するものとするが、これをより現実的な接触面積に拡張することができる。
【0041】
図3を参照すると、一例としての図は、ファイバが深さzで埋設され、3車線が道路平行方向に距離y=1、y=2、y=3だけファイバからオフセットされた、3車線の単方向道路上の仮想的な車両位置を示している。この例では、デカルト座標系は、光ファイバ経路に沿ったx軸、深さ方向のz軸、及び道路オフセット軸のy軸を有する。この手法では、DFOSセンサiに記録されたDFOS情報が、水平面(xy)のF
jのソースベクトルで表される乗り物による地震動・変形の線形結合によって、一意に完全に記述されるという考え方を利用している。DFOSセンサiの信号をF
jがどのように生成するかを記述した物理モデルは、伝達関数G
ij.で表される。
【0042】
いくつかの実施形態では、車線位置は、車線量子化とすることができ、その結果、特定のY位置の代わりに、またはそれに加えて、追跡される車両について離散車線が識別される。Y方向の車両の正確な位置は、車両の車輪間隔及び車両がとる特定の経路によって変化するが、多車線道路上のどの特定の車線が車両によって占有されているかを示す閾値又はY位置の範囲を選択することができる。車両が車線を変更すると、車線量子化に基づいて、ある車線から別の車線への移動を検出することができる。
【0043】
道路メッシュは、本方法を実行する前に決定され、本方法によって車両を配置することができるx-y平面(路面)内の可能な位置のすべてを含むように設計される(形状の描写については
図3を参照されたい)。y軸における道路メッシュの合計範囲は、1つの車線、複数の車線、及び/又は道路を超えた追加の領域を含むことができる。x軸における道路メッシュの全範囲は、完全なファイバ検知経路、又はxにおけるファイバ検知経路の部分集合を含むことができる。道路メッシュの粒度は可変であり、解の所望の解像度、方法の計算上の要求、または関連する考慮事項に依存する。一例として、メッシュノードのインクリメントは、各道路メッシュノードが個々の車両の総質量によって引き起こされる垂直力を表すように、単一の車両のサイズに設定することができる。あるいは、メッシュノードのインクリメントを、数メートル以下のわずかに微細なサイズに設定することができ、任意の1回のサンプルで解かれる力は、車両の前後荷重の一部を支える個々の車軸に加えられる垂直力を表すことになる。第3の例は、各々が車両の総荷重の一部を支える個々のタイヤ-道路接触力を表すために、道路メッシュをより微細にすることができることである。道路メッシュのインクリメントは、一様である必要はない。道路メッシュのインクリメントは、x軸とy軸で異なっていてもよい。道路メッシュは、車線内の車両の位置、車両の車輪間の非占有空間、2つの車両間の非占有空間、車両のグループに起因する合計力、および/または道路の一部分に対する合計力を解決するために、オーバーサンプリングまたはアンダーサンプリングされ得る。ファイバ経路は、道路メッシュ内に位置する必要はない。
【0044】
ここで、路盤140及び周辺領域は、車両の質量に応じて変形するものとする。本発明の一実施形態は、DFOSセンサにおける任意の1つのDFOS計測(ui)が、道路メッシュ内のソースベクトル(Fj)によって表される占有力によって引き起こされる地面変形の線形結合によって一意の方法で完全に記述されるという概念を利用する。DFOS(ui)を用いて容易に得られる応答をソース(Fj)がどのように生成するかを記述した物理モデルは、伝達関数(Gij)で表される。Gijはまた、位置Fjの力が前方モデル化の意味でDFOSアレイの位置(ui)の地面反応とどのように関係するかを記述するため、前方演算子とも呼ばれる。
【0045】
本来のDFOS測定量(ui)は、特定のDFOS装置100のハードウェア、及び受光に適用される任意のプロセスに応じて、いくつかの異なった量のうちの任意のものとすることができる。道路メッシュに加えられる力をDFOS測定値に関連付ける異なる理論式は、異なる場合でも等しく有効であろう。したがって、本来のDFOS測定量は、静的ひずみ、動的ひずみ、ひずみ速度、加速度、速度、変位、または光ファイバの形状の単成分または多成分測定、あるいは異なる量とすることができる。この種の天然DFOS測定量またはその派生数値は、任意のソース力(Fj)に関連付けることができる。
【0046】
一実施形態では、DFOS測定量はひずみであり、ファイバは上記のように同一線上の水平配向で配向され、その結果、それぞれのDFOSセンサで記録されたひずみは、指定されたDFOSゲージ長さ(L)の空間分解能を有するインライン水平ひずみ成分(ε
xx)となる。本例では、全ての力が垂直力であり、道路メッシュが1mの粒度で設計されているものとする。ゲージ長の表記法が使用され、ここでDFOSセンサは(x
L)を中心とし、これは、以下のひずみが、式(1)のように、ゲージ長さの両端(x
0=x
L-L/2およびx
1=x
L+L/2はゲージ長さの端点)における2つの変位(D)の差を基準ゲージ長さで割ったものに等しいことを示す。
【数1】
【0047】
この例では、静磁場理論(例えば、Boussinesq-Flamant)を使用して、DFOSセンサ位置の一部にわたる記録された変形を、式(2)のような式を使用して、近傍内のF
z(x、y)のすべての垂直力点荷重の大きさおよび位置に関連付けることができる。
【数2】
ここで、μはせん断係数(地下の性質)、νはポアソン比(地下の他の性質)、xは道路メッシュノードとセンサの間のx軸に沿った分離長、yは道路メッシュノードとセンサの間のy軸に沿った分離長、zは道路表面とファイバセンサの深さの間の深さの分離長、
は道路メッシュノードからDFOSセンサの終点までの3D分離長を表し、センサゲージ長のどの端部を引いたかによってインクリメントされる。道路を占める力F
z(x、y)の真の集合は、厳密なものとすることができ、それぞれの道路メッシュノードのエントリを有する道路メッシュ座標の関数と考えることができる。
【0048】
車両の位置を突き止める方法の妥当性と有用性を実証することによって、前の例がさらに拡張される。式[2]に対する最良適合解は、ここではモデルF~
z(x、y)と呼ばれるFz(x、y)に対して解かれ、これは、式[2]において道路Fz(x、y)の真の組の力の荷重を近似する。
【0049】
これを行う1つの方法は、上記の括弧で囲まれた項(x依存性を持つ項)をx=0に関するテイラー級数として展開し、DFOS観察対象(εxx)に使用して最適な解を見つけることである(F~
z)。
【0050】
括弧で囲まれた項目
のx=0でのテイラー展開は、以下のとおりである。
【0051】
次に、式[2]を、選択された精度(ここではO(x)
5)まで標準形式に書き換える。
【数4】
ここで、様々な次数のx依存性を有する項は、以下に等しい係数A、B、Cを有する。
【数5】
【0052】
式[4]の係数は、y、z、L、μ、νにのみ依存する。これら3つの係数は単なる例である。式[4]におけるこれらの項のいくつかを追加または除去して、それぞれ精度の次数を改善または低減することが可能である。なお、モデルF~
zは、この級数切り捨ての結果としてのFzの近似値となる。精度を下げることは、計算負荷を下げるためのトレードオフである。
【0053】
次に、伝達関数(G
ij)を考慮し、記録されたDFOS計測(u
i)を最も良く説明する道路メッシュノードを占める力を含む最良適合モデル(F
~
j)を求める課題の一般化形式を論じる。行列形式では、一般化された問題は次の形式をとる。
【数7】
【0054】
また、モデルベクトル(F
~
j)は、統計的最適化手法の1つまたは複数の組合せを用いて解くことができる。最適化法は、妥当なパラメータモデル空間によって制限される最良適合解または解のファミリを求め、正則化または重み付けを使用して、(F
~
j)の探索を助ける条件を導入することができる。いくつかの方法は、シングルパラメータまたはマルチパラメータグリッドサーチ、単純最小二乗法、最大尤度法、重み付き最小二乗法、ガウス過程法、マルコフ連鎖モンテカルロ法、ベイズ推定法、ニューラルネットワーク、教師ありまたは教師なし学習、ディープラーニング、または類似の過程を含む。一例として、式(8)のように、簡単な最小二乗法を使用することが可能である。
【数8】
【0055】
ここで、式[8]で説明した最適化手法は、DFOS測定、道路ファイバ形状、局所地理の知見のみに基づいてDFOS測定ステップ(事前計算)を行う前に行列(Gij
TGij)を反転させることができるため、リアルタイムで時間ステップごとに実施することができる。また、この方法は、十分に並列であり、光ファイバセグメント毎に行列演算を細分化することによって、追加の計算効率を可能にする。
【0056】
S220またはS220’の位置特定方法は、モデル解をより迅速に見つけるために、複数のコンピュータプロセッサにわたって細分することができることを理解されたい。この計算は、前項で説明した計算効率のために、並列に分割することができる。伝達関数(Gij)の細分化は、測地荷重信号近傍の総面積を考慮した方法で行うことができる。
【0057】
一実施形態では、車両は、車両の経路のすぐ下の1mの深さに埋め込まれた共線光ファイバを使用して検出可能と考えられる量だけ、おそらく1マイクロストレイン以下またはそれ以上、半径45m内の周辺媒体を変形させるように、道路位置を占める。DFOSゲージの長さが3mであり、重なり合うゲージを使用して各DFOSセンサを形成しなかった場合、車両の位置を中心とする15個のDFOSセンサのみが、この特定の車両の測地荷重場を検出することになる。モデル部分集合を任意のプロセッサで推定する際に15を超えるセンサを含めることは、追加される追加情報の観点から非効率的であろう。この知見は、伝達関数(Gij)、解析されるDFOSデータ、及び解かれる路面の一部をどのように部分集合化するかを含む、課題をどのように細分化するかを決定するために使用される。この概念は、問題の幾何学的形状、DFOS法の検出限界、及びゲージ長さに依存する。
【0058】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、DFOSデータの測定および分析の一例が示されている。
図4Aでは、実施例として9.5秒のDFOS記録が、実施例の光ファイバに沿って行われる。3.53km~3.32kmの主要な移動特徴410は、ファイバ経路から1.9mオフセットした第1車線を走行する4輪乗用車の地震動である。横白線は、移動特徴410中のデータの時間サンプルを示し、
図4Bに示されている。
図4Bでは、DFOSデータは、
図4Aに示される時間の間、連続した光ファイバセンサ位置で記録された黒い円として表される。4つの異なる車線位置を中心とした様々なオフセットでの荷重によるひずみの物理モデルが示されている。最良適合モデルは、車両を1.8mオフセット(y=1.8m)に位置付ける。
【0059】
時間サンプルで位置特定方法を適用した結果は、道路上の力の分布に対応するモデルとなる。いくつかの実施形態では、位置特定方法から出力される各モデルは、追加の照会および計算のために、表1(以下)に示されるもののような表に纏められたデータベースに保存される。
【表1】
【0060】
表1は、解ベクトルを表形式データベースに保存する例を示す。この方法を一度にDFOSデータに適用した結果が、その時点での道路占有の最良適合モデルを表すことができる解ベクトルとなる。ここに示されるような表に纏められたデータベースに解ベクトルを保存する方法は、追加の照会/計算を可能にする。道路占有メッシュの選択された解像度に応じて、解ベクトルは、個々の車輪、車軸、完全車両、または車両のグループの粒度での車両に関する情報を含むことができる。各時間サンプルにおいて、1つまたは複数の行を、この粒度または類似のいずれかを表すデータベースに追加することができる。各行エントリの列は、緯度および経度、相対水平位置、水平位置の変化、車線位置、車線位置の変化、力の振幅、力の振幅の変化、または他の解の情報などの位置および/または特性情報を含むことができる。表に纏められたデータベースをそれぞれに使用することができる。
【0061】
しきい値未満のモデル出力は、単にノイズであると仮定し、廃棄することができる。道路占有メッシュの選択された解像度に応じて、モデル出力は、個々の車輪、車軸、完全車両、または車両のグループの粒度での車両に関する情報を含むことができる。各時間サンプルにおいて、1つまたは複数の行を、この粒度または類似のいずれかを表すデータベースに追加することができる。各行エントリの列は、緯度及び経度、相対水平位置、車線位置、力振幅、又は最適化方法から導出される他のモデル解情報などの特性情報を含むことができる。
【0062】
また、
図5に示されるように、車両の位置のみならず、車両の位置を示すDFOSデータを記録し、解析することも可能とされている。5~30Hzの信号周波数範囲内で長さ約0.25kmの光ファイバセグメント(ゼロフェーズバターワースバンドパスフィルタ)にわたって2.5秒間に記録されたひずみを
図5に示す。ここでのエネルギーは、車両に関連し、位置特定方法で使用される静的荷重データの物理学とは無関係であるため、補助的なものとして説明される。このタイプの補助データを使用して、追加の特性値を開発し、車両のアイデンティティをさらに確認し、かつ/または特定の場所に移動する車両に関する貴重な洞察を提供し、車両の特性と場所の間の相関を形成することができる。このような相関データは、ターゲット広告及び他の用途にとって価値がある。
【0063】
次に、表2(以下)に示されるように、補助モデル特性をモデル出力表形式データベースに追加することができる。
【表2】
【0064】
表2は、解の出力から新しい特性を計算する例、すなわち、保存時、または保存前後に表に纏められたデータベースエントリに追加の列を追加することができる例を示す。例えば、合計の力の大きさが垂直質量に起因すると仮定することによって、各力に関連する質量を計算することができる。第2の例は、道路上の水平位置の変化を用いて瞬時速度を算出できることである。追加の新しい特性は、ピーク周波数、最大振幅、または別の統計的尺度など、元のまたは処理されたDFOSデータセットを使用して計算された特性を含むことができる。
【0065】
1つのタイプの補助特性情報は、位置特定方法からのモデル出力特性を使用して計算される特性とすることができる。例えば、このモデルは、重力加速度の定数(9.8m/s2)を使用して比例質量を計算するために使用することができる力の大きさを含むことができる。このとき付加可能な第2の種類の新たな属性情報は、DFOSデータに含まれるが、上述した位置特定方法では使用されない外部情報である。例えば、最大周波数、周波数分散、特定の周波数での最大値、または同様のメトリックなどの車両の振動場に関する統計的尺度を収集し、表に纏められたデータ内の新しい属性として記憶することができる。
【0066】
位置特定方法からのモデル出力と並べてこれらの補助モデル属性を保存することは、計算するのにコストがかからないが、S230の関連付け法および/またはS240の追跡法の間に有用であり得る。追加モデル属性情報は、車両、車軸、又は車輪に関する特性情報を含むことができる。この概念は、車両フィンガープリンティングと呼ばれる。
【0067】
ここでは伝播周波数の振幅の速度独立性に対する車両重量場振幅の速度依存性があることが理解されよう。この認識は、航空機のタクシー又は交通信号灯で減速する自動車のようなゆっくりと移動する物体に対する優れた軌道性能を維持する重量分野の技法で有益である。タイヤ接触騒音に関連する伝播周波数の振幅は、車両速度の三次関数に比例(スケーリング)する。言い換えると、車両が歩行ペースまで減速すると、約10~80Hzの間の周波数の振幅が大幅に減少する。
【0068】
車両関連づけ方法(S230)では、DFOSデータを用いて開発された最近の時刻サンプルのモデル属性の表形式データベースを用いて個々の車両を区別し、車両IDと呼ばれる新規のモデル属性を割り当てている。
【0069】
複数の連続する時間サンプルからのモデル出力は、任意の車両の動き、DFOS方法論、および表面下を通じた力の伝達がすべて因果的であるため、非常に類似している可能性があり、これは、類似の特性値を有する類似のDFOSデータが、空間内の局所領域内で、短い持続時間で生成されることを意味する。一例として、車両が検知が行われている街路を上って走行している場合、道路占有メッシュ内のモデル力は、時間の関数として道路を上下に平行移動することができる。質量、質量分布、振動場範囲の最大周波数、周波数分散、総電力、または表にされたエントリに関連する別の統計量などの非位置モデル特性も同様であるべきである。特定の車両特性は、時間不変(変化しない)であり、例えば、車両のタイヤ道路接触点の水平分離(すなわち、ホイールベース及びトラック幅)、車軸数、及び総面積は、時間と共に変化せず、この情報を使用して、別個の車両を一意に識別することもできる。この概念を使用して、複数の時間サンプルにわたる表に纏められたデータセットが、表に纏められたデータベース属性列(複数可)によってソートおよび/またはグループ化され、次いで、表3(以下)に示されるように、1つの一意の車両識別子に関連するものとして割り当てられる。
【表3】
【0070】
表3は、S230で起こるように、表に纏められたデータベースをソートし、車両IDを関連付ける例を表す。任意の車両の動きは因果的であり、類似の特徴を有し、前の時間サンプルの近傍に、おそらく道路上を上下に平行移動されただけのDFOSデータを生成することになるので、複数の時間サンプルからの解出力は非常に類似する可能性がある。この概念を使用して、表に纏められたデータベースは、複数の時間サンプルにわたってデータベース列(複数可)によってソートおよび/またはグループ化され、次いで一意の車両IDが割り当てられる。解ベクトルが個々の車軸又は車輪エントリからなる場合のように、道路占有メッシュが完全な車両の一部の粒度に設定される場合、車輪挙動を分析するために、すべての車輪の行を互いに関連付けるか、又は別々に保つことができる。ひとたび確立されると、時間および空間を通じたエントリの位置および属性情報がリンクされ、したがって、例えば、車両位置履歴照会、車両位置予測、車両挙動分析照会、または車両挙動変化分析照会を可能にする。
【0071】
同様の特性の関連付けは、現在道路を占めている未知の車両の集合に関連する、表に纏められた値の最近の時間範囲に適用されるいくつかの異なる類似性またはクラスタリングアルゴリズムのいずれかを使用して数値的に達成することができる。数値的関連付けの1つの例示的な方法は、1つまたは複数の特性のいずれかを使用して、1×1または1×Nの意味で各モデルと他のすべてのモデルとの間の類似性を測定することである。この類似性試験は、計算的に費用がかかる(モデルの数の二乗に比例する(N2)可能性があるが、S230の車両関連づけ方法の一例を提供する。車両間れ付け法として使用することができる数値アプローチの他の例には、kriging、Kalmanフィルタリング、k-meansクラスタリングまたはランダムフォレストを含む教師あり学習アルゴリズムまたは教師なし学習アルゴリズムを含めることができ、ここでクラスタの数は指定されるか、または反復的に決定される。また、モデルが個々の車軸又は車輪のエントリから構成される場合など、道路占有メッシュを車両全体の一部の粒度とする場合は、車輪の挙動を解析するために、全ての車輪の列を車両として互いに関連付けたり、別々に保持したりすることができる。
【0072】
車両関連付け方法によって確立されると、DFOSデータから展開された車両の位置および属性情報は、時間および空間を通じてリンクされ、関連付けは、表に纏められたデータベース内のこれらのエントリに、本明細書では車両IDと呼ばれる新規の一意の属性を割り当てるために警告を送信する。車両ID関連付けは、固有の属性を提供し、この属性を使用して、個々の車両の表に纏められたデータベースをソート、フィルタ、または照会し、S240で時間の経過と共にそれらを追跡することができる。
【0073】
S240の車両追跡方法では、個々の車両、ならびに関連するDFOS由来の車両位置および特性情報が、車両の過去、現在、および/または将来の状態に関する情報について照会され、分析される。本明細書で論じる用途の多くは、自律車両または人間のドライバを有する車両に適用することができる。
【0074】
上記の方法出力を使用すると、完全に関連付けられたDFOS由来の車両データベースを使用して、個々のレベルで車両を追跡することが可能である。これは、既知の位置および時間から確立された特定の車両IDを使用してデータベースをフィルタリングし、次いで、時間によって結果をソートすることを含む。追跡方法がリアルタイムで実装されている場合、現在の車両IDの新しい関連付けをデータベースに更新し、使用することができます。
【0075】
ソートされた車両IDデータに適用される簡単な形状及び計算法、例えば、車両速度、車両加速度、周辺車両からの車両距離、車線内の車両位置、及び来るべき交差点までの車両距離を用いて、データベースの現在の状態における新たな車両特性を計算することができる。この情報を使用して、複数の個々の車両から統計的な意味で構築される交通流または渋滞または速度の集約モデルを開発することができ、したがって、今日存在する他の方法よりも精度が良好になる。
【0076】
また、このデータベースを使用し、潜在的に最尤推定技法または異なる最適化推定技法と組み合わせて、車両の履歴状態を分析することも可能である。この技術の使用事例の1つは、個々の車両の履歴記録を判定して、車両が速度限界を超えたかどうかを判定することである。また、このユースケースの他の例として、犯罪に巻き込まれた被疑車両の車両移動履歴情報を、殺人・誘引事件調査チーム(いわゆるカリフォルニア州のAmber Alerts)に提供することが挙げられる。被疑者の車両は、一般に、たった1つまたはほんの数カ所の場所および時間で知られているが、この時間および位置の前後の車両の移動は未知である。また、犯罪現場を離れた後に、ヒット・アンド・ランの被疑者を追跡することも可能である。要約すると、DFOS記録及び車両データベースを使用して、例えば確率的な意味で履歴情報を記入することが可能である。
【0077】
また、完全に関連付けられたDFOS由来の車両データベースを使用して、車両の将来の状態を予測することも可能である。例えば、カルマンフィルタ、ニューラルネットワーク、ベイズ推定器、又は同様のものを、所与の特定の車両IDに対する履歴及び現在の車両状態情報を用いて実施することができ、次いで、車両の最も可能性の高い次の位置又は位置の複数を推定することができ、この推定値を制御ループで反復的に精緻化することができる。このユースケースは、例えば、速度が速すぎる場合に交差点又は他の車両に近づいているときに車両に警告を送信することを含む多くの用途を有する。いくつかの実施形態では、複数の車両位置が分析されて、人間の運転者または自律車両に対する状況認識が作成され、ナビゲーションおよび衝突回避の助けとなる。
【0078】
また、車両のデータや道路の位置を挙動パターンとして解析することも可能である。1つの場合では、単一の車両又は運転者の挙動をその挙動について分析することができる。例えば、長時間の走行、異常低速走行、急加速、スウェーブ走行、スペースの限られた追従車両(テールゲーティング)などで、車両が制限速度を超えていることが確認された場合は、車両が無謀運転しており、他の車両にとって危険であることを示す警告を送信し、テキストメッセージで地域内の他の車両に警告することができる。このパターンを検出するモデルは、以前のインスタンスからラベル付けされた同様の危険な挙動の以前のパターンに対して訓練され、次いで、識別された挙動が表示されているときを検出するために展開される畳み込みニューラルネットワークとして実装され得る。
【0079】
別の実施形態では、一方向道路上で誤った方向を走行する車両を検出することができるなど、道路位置を、共通の挙動または珍しい挙動について分析することができる。そのような挙動を検知すると、システムは、交通当局にルーティングされる警告、および/または通過するドライバに警告を出力する交通標識を生成することができる。他の実施形態では、上記の方法およびシステムは、有料道路または可逆方向道路などの道路の制御されたセグメント上の車両を検出して、任意の車両が存在し、特定の方向に走行しているかどうかを確認する。
【0080】
開示される主題のさらなる実施形態は、以下のとおりである。第1のさらなる実施形態によれば、表面の下または隣接して位置する少なくとも1つの光ファイバを使用して、物体によって物体下の表面に及ぼされる力を決定する方法であって、力に応答して少なくとも1つの光ファイバのひずみから生じる分散的光ファイバ検知(DFOS)データを測定し、測定されたDFOSデータと力との間の少なくとも1つの関係を決定し、測定されたDFOSデータと少なくとも1つの関係を処理して力を決定することを含む方法が提供される。
【0081】
第2の更なる実施形態によれば、第1の更なる実施形態の方法が提供され、ここで、力を決定することは、力の大きさ及び位置を含む力分布を決定することを含み、方法は、力分布に基づいて物体の物体情報を導出することを更に含む。
【0082】
第3のさらなる実施形態によれば、第2のさらなる実施形態の方法が提供され、ここで、物体情報は、物体のフットプリント領域と物体の質量分布のうちの少なくとも1つを含む。
【0083】
第4のさらなる実施形態によれば、第2~第3のさらなる実施形態のいずれか1つの方法であって、物体情報は、物体の速度(velocity)、物体の加速度、物体の運動量、物体の速さ(speed)、物体の識別情報、及び物体の進行方向のうちの少なくとも1つを含む、方法が提供される。
【0084】
第5のさらなる実施形態によれば、第1~第4のさらなる実施形態のいずれか1つの方法が提供され、ここで、測定されたDFOSデータと力との間の少なくとも1つの関係は、DFOSデータと、DFOS測定値と力分布との間の物理的関係とのうちの少なくとも1つを使用して機械学習ネットワークを訓練することによって決定される。
【0085】
第6のさらなる実施形態によれば、第1~第4のさらなる実施形態のいずれか1つの方法が提供され、ここで、測定されたDFOSデータと力との間の少なくとも1つの関係は、表面上の少なくとも1つの位置と少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメントとの間の媒体の少なくとも1つの伝達関数に対応する。
【0086】
第7のさらなる実施形態によれば、第6のさらなる実施形態の方法が提供され、ここで、表面上の少なくとも1つの位置は、表面上のノードのメッシュまたはマトリックスに対応する複数の位置を含む。
【0087】
第8のさらなる実施形態によれば、第7のさらなる実施形態の方法が提供され、ここで、DFOSデータおよび少なくとも1つの伝達関数は、少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメント上のノードのメッシュ内の特定の位置での力分布を決定するために使用される。
【0088】
第9のさらなる実施形態によれば、第6のさらなる実施形態の方法が提供され、力分布を決定することは、少なくとも1つの統計的最適化方法を使用することと、少なくとも1つの伝達関数に関連する行列を反転することと、を含み、少なくとも1つの伝達関数に関連する行列の反転は、DFOSを実行する前に実行される。
【0089】
第10のさらなる実施形態によれば、第9のさらなる実施形態の方法が提供され、ここで、少なくとも1つの統計的最適化方法は、DFOSを実行しながらリアルタイムで実行される。
【0090】
第11のさらなる実施形態によれば、第6~第10のさらなる実施形態のうちの任意の1つの方法が提供され、ここで、表面上の少なくとも1つの位置と少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメントとの間の媒体の少なくとも1つの伝達関数の決定は、媒体の材料(複数可)、表面上の少なくとも1つの位置に対する少なくとも1つの光ファイバの形状、および局所地質情報のうちの少なくとも2つに基づく。
【0091】
第12のさらなる実施形態によれば、第6から第11のさらなる実施形態のいずれか1つの方法が提供され、この方法は、DFOSを実行するための少なくとも1つの光ファイバの少なくとも1つのゲージ長さを選択することをさらに含み、ゲージ長さは、少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つのセグメントに対応する。
【0092】
第13のさらなる実施形態によれば、第1~第12のさらなる実施形態のいずれか1つの方法であって、物体が車両を含む方法が提供される。
【0093】
第14のさらなる実施形態によれば、第13のさらなる実施形態の方法が提供され、ここで、物体情報は、車両の車軸の数と車両の占有率のうちの少なくとも1つを含む。
【0094】
第15のさらなる実施形態によれば、表面が複数の車線を含む、第1~第14のさらなる実施形態のいずれか1つの方法が提供される。
【0095】
第16のさらなる実施形態によれば、第15のさらなる実施形態の方法が提供され、この方法は、複数の車線の車線量子化を決定することをさらに含む。
【0096】
第17のさらなる実施形態によれば、物体によって物体の下の表面に及ぼされる力を決定する方法であって、表面の下または表面に隣接して位置する光ファイバ内のDFOSデータを測定し、測定されたDFOSデータに基づいて力を計算する、ことを含む方法が提供される。
【0097】
第18のさらなる実施形態によれば、DFOSデータの測定がひずみの測定を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0098】
第19のさらなる実施形態によれば、DFOSデータの測定が地震動の測定を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0099】
第20のさらなる実施形態によれば、力の計算に応答して警告を生成することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0100】
第21のさらなる実施形態によれば、表面上の物体の位置を決定することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0101】
第22のさらなる実施形態によれば、物体と光ファイバとの間の水平オフセットを計算することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0102】
第23のさらなる実施形態によれば、測定されたDFOSデータを記憶テーブルに記憶することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0103】
第24のさらなる実施形態によれば、計算された力を記憶テーブルに記憶することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0104】
第25のさらなる実施形態によれば、表面の実質的に下または隣接して位置する光ファイバ内のDFOSデータを測定し、測定されたDFOSデータに基づいて力を計算し、力が物体によって表面上に及ぼされることを決定すること、を含む方法が提供される。
【0105】
第26のさらなる実施形態によれば、DFOSデータがひずみおよび地震動のうちの少なくとも1つを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0106】
第27のさらなる実施形態によれば、表面上で検出された物体の特性を推定することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0107】
第28のさらなる実施形態によれば、特性が物体のX位置と物体のY位置のうちの少なくとも1つを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0108】
第29のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供され、ここで、表面は、道路、車道、駐車場、ガレージフロア、空港誘導路、走行路、建物又は倉庫の床、軌道、歩道、野外、及び農場のうちの少なくとも1つを含み、物体は、車両を含み、特性は、車両位置及び車両特性のうちの1つを含む。
【0109】
第30のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供され、ここで、道路は複数の車線を含み、車両位置は、道路に沿った車両の位置および車線位置を示す。
【0110】
第31のさらなる実施形態によれば、特性が車両特性を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0111】
第32のさらなる実施形態によれば、車両特性が、車両のフットプリント領域、車両の車軸数、車両の質量、車両の速度、車両の加速度、車両の運動量、車両の質量分布、車両の占有率、車両の速度、車両の移動方向のうちの少なくとも1つを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0112】
第33のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供され、ここで、車両は、乗用車、オートバイ、スクータ、軽トラック/SUV、トラック、重機、および4輪ATVのうちの1つである。
【0113】
第34のさらなる実施形態によれば、表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定する方法が提供され、この方法は、表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定するために、表面に沿って埋め込まれた1つまたは複数の光ファイバを用いて定量分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行するステップを含む。
【0114】
第35のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供され、ここで、表面は、長さに沿って延在し、幅を有する道路を含み、車両情報は、道路の長さに沿った個々の車両位置を含む。
【0115】
第36のさらなる実施形態によれば、車両情報が道路の幅に沿った個々の車両位置を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0116】
第37のさらなる実施形態によれば、車両情報が車両フットプリント領域を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0117】
第38のさらなる実施形態によれば、車両情報が車両の車軸の数を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0118】
第39のさらなる実施形態によれば、車両情報が車両の質量を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0119】
第40のさらなる実施形態によれば、車両情報が車両の質量分布を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0120】
第41のさらなる実施形態によれば、車両情報が車両の占有率を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0121】
第42のさらなる実施形態によれば、車両情報が車両の荷重を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0122】
第43のさらなる実施形態によれば、車両情報が、車両の速度および車両の進行方向のうちの少なくとも1つを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0123】
第44のさらなる実施形態によれば、道路上を移動する個々の車両を追跡する方法が提供され、この方法は、個々の車両の車両情報を推定するために道路に沿って埋め込まれた1つまたは複数の光ファイバを用いて分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行することと、推定された車両情報を組み合わせて個々の車両のそれぞれの追跡情報を生成することと、を含む。
【0124】
第45のさらなる実施形態によれば、追跡情報の生成が車線量子化を計算することを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0125】
第46のさらなる実施形態によれば、追跡情報の生成が、X方向の2つの車両間の距離を計算することを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0126】
第47のさらなる実施形態によれば、追跡情報の生成が、Y方向の2つの車両間の距離を計算することを含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。第48のさらなる実施形態によれば、生成された追跡情報に基づいて1つまたは複数の警告を生成することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。第49のさらなる実施形態によれば、1つまたは複数の警告を記憶装置に記憶することをさらに含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0127】
第50のさらなる実施形態によれば、DFOSを実行するためのゲージ長さを選択する方法であって、光ファイバと実質的に平行な方向の、検出される表面上の物体の長さを識別し、物体の重量を推定し、表面の下の第1の材料の深さのモデルに基づいて、物体によって変形される表面の面積の寸法を計算し、計算された寸法に基づいて、ゲージ長さを選択する、ことを含む方法が提供される。
【0128】
第51のさらなる実施形態によれば、ゲージ長の選択が、光ファイバに注入される光のパルス幅、光ファイバの全長、光の周波数、および光ファイバの屈折率のうちの少なくとも1つにさらに基づく、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0129】
第52のさらなる実施形態によれば、モデルが表面の変形のBoussinesq 近似を含む、先行するさらなる実施形態のいずれかの方法が提供される。
【0130】
第53のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかによる方法のいずれかを実行するように構成されたDFOSを実行するためのシステムが提供される。
【0131】
第54のさらなる実施形態によれば、DFOSを実行するためのシステムが提供され、このシステムは、レーザ光を光ケーブルに放射し、光ケーブルによって送信された光を受信するように構成された装置と、第1から第52のさらなる実施形態に係る方法のいずれかを実行するように構成された1つまたは複数のプロセッサと、を含む。
【0132】
第55のさらなる実施形態によれば、光源と、光源によって生成された光を変調するように構成された変調器と、受光器と、少なくとも光源と受光器を制御するように構成されたコントローラと、光ファイバとを含むDFOS機器を含むシステムが提供され、DFOS機器は光ファイバに光学的に結合される。
【0133】
第56のさらなる実施形態によれば、光源がレーザである、先行するさらなる実施形態のいずれかのシステムが提供される。
【0134】
第57のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかのシステムが提供され、コントローラは、DFOSを実行するためのゲージ長を選択する方法を実行するようにさらに構成され、この方法は、検出される表面上の物体の、光ファイバと実質的に平行な方向の長さを識別し、物体の重量を推定し、表面の下の第1の深さの材料のモデルに基づいて物体によって変形される表面の面積の寸法を計算し、計算された寸法に基づいてゲージ長を選択すること、を含む。
【0135】
第58のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかのシステムが提供され、コントローラは、道路上を移動する個々の車両を追跡する方法を実行するようにさらに構成され、この方法は、道路に沿って埋め込まれた1つまたは複数の光ファイバを用いて分散的光ファイバ検知(DFOS)を実行して個々の車両の車両情報を推定し、推定された車両情報を組み合わせて個々の車両のそれぞれの追跡情報を生成すること、を含む。
【0136】
第59のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかのシステムが提供され、ここで、コントローラは、表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定する方法を実行するようにさらに構成され、この方法は、表面に沿って埋め込まれた1つまたは複数の光ファイバを用いて定量分布光ファイバ検知(DFOS)を実行して、表面上の1つまたは複数の車両の車両情報を推定すること、を含む。
【0137】
第60のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかのシステムが提供され、コントローラは、表面上の物体を検出する方法を実行するようにさらに構成され、この方法は、表面の実質的に下または隣接して位置する光ファイバ内のDFOSデータを測定し、測定されたDFOSデータに基づいて力を計算し、力が表面上の物体によって及ぼされることを決定すること、を含む。
【0138】
第61のさらなる実施形態によれば、先行するさらなる実施形態のいずれかのシステムが提供され、コントローラは、物体によって物体の下の表面に及ぼされる力を決定する方法を実行するようにさらに構成され、この方法は、表面の下または表面に隣接して位置する光ファイバ内のDFOSデータを測定し、測定されたDFOSデータに基づいて力を計算すること、を含む。
【0139】
第62のさらなる実施形態によれば、光源と、光源によって生成された光を変調するように構成された変調器と、受光器と、少なくとも光源と受光器を制御するように構成されたコントローラと、を含むDFOS機器が提供され、コントローラは、さらなる第1~第52の実施形態の方法のいずれかを実行するように構成される。
【0140】
別のさらなる実施形態によれば、表面の下または隣接して位置する少なくとも1つの光ファイバを使用して、物体によって物体の下の表面に及ぼされる力を決定する方法が提供される。
【0141】
この方法は、表面上の少なくとも1つの位置と少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメントとの間の媒体の少なくとも1つの伝達関数を決定し、力に応答して少なくとも1つの光ファイバ内のひずみから生じる分散的光ファイバ検知(DFOS)データを測定し、測定されたDFOSデータと少なくとも1つの伝達関数を処理して力を決定すること、を含む。
【0142】
この実施形態の変形形態によれば、力を決定することは、力の大きさおよび位置を含む力分布を決定することを含み、方法は、力分布に基づいて物体の物体情報を導出することをさらに含む。さらなる変形例によれば、物体情報は、物体のフットプリント領域と物体の質量分布のうちの少なくとも1つを含む。
【0143】
また、他の変形例によれば、物体情報は、物体の速度(velocity)、物体の加速度、物体の運動量、物体の速さ(speed)、及び物体の進行方向の少なくとも1つを含む。
【0144】
さらなる変形形態によれば、表面上の少なくとも1つの位置は、表面上のノードのメッシュまたは行列に対応する複数の位置を含む。
【0145】
さらなる変形形態によれば、DFOSデータおよび少なくとも1つの伝達関数は、少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメント上のノードのメッシュ内の特定の位置での力分布を決定するために使用される。
【0146】
さらなる変形形態によれば、力分布を決定することは、少なくとも1つの統計的最適化方法を使用することを含む。
【0147】
さらなる変形形態によれば、少なくとも1つの統計的最適化方法は、DFOSを実行しながらリアルタイムで実行される。
【0148】
先行する変形形態のいずれかのさらなる変形形態によれば、方法は、少なくとも1つの伝達関数に関連する行列を反転させることをさらに含む。
【0149】
さらなる変形例によれば、少なくとも1つの伝達関数に関連する行列の反転は、DFOSを実行する前に実行される。
【0150】
さらなる変形形態によれば、表面上の少なくとも1つの位置と少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つの検知セグメントとの間の媒体の少なくとも1つの伝達関数の決定は、媒体の物質(複数可)、表面上の少なくとも1つの位置に対する少なくとも1つの光ファイバの形状、および局所地質情報のうちの少なくとも2つに基づく。
【0151】
先行する変形形態のいずれかのさらなる変形形態によれば、本方法は、DFOSを実行するための少なくとも1つの光ファイバの少なくとも1つのゲージ長さを選択することをさらに含み、ゲージ長さは、少なくとも1つの光ファイバ上の少なくとも1つのセグメントに対応する。
【0152】
さらなる変形例によれば、物体は車両を含む。また、他の変形例によれば、物体情報は、車両の車軸数と車両の占有率の少なくとも一方を含む。
【0153】
さらなる変形例によれば、表面は複数の車線を含む。
【0154】
先行する変形形態のいずれかのさらなる変形形態によれば、方法は、複数の車線の車線量子化を決定することをさらに含む。
【0155】
したがって、本開示によれば、分散型光ファイバ検知システム、装置、および方法が提供されることが明らかである。多くの代替形態、修正形態、および変形形態が、本発明によって可能にされる。開示された実施形態の特徴は、本発明の範囲内で組み合わせ、再配置、省略などして、追加の実施形態を生成することができる。さらに、ある特徴は、他の特徴の対応する使用なしに有利に使用されることがある。したがって、出願人は、本発明の精神および範囲内にあるそのような代替形態、修正形態、均等形態、および変形形態のすべてを包含することを意図している。
【国際調査報告】