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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】エレクトロポレーション用緩衝液
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20240213BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240213BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240213BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240213BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240213BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20240213BHJP
   C12N 5/071 20100101ALN20240213BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20240213BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20240213BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20240213BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12N5/10
C12M1/00 A
A61K35/17
A61P43/00 111
C12N5/0783
C12N5/071
C12N1/00 U
A61P37/02
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550575
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022018154
(87)【国際公開番号】W WO2022183109
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/154,050
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/184,908
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508087044
【氏名又は名称】プレシゲン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バトマン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】スローン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,テャド
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B029AA24
4B029BB11
4B029CC01
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA03
4B065BB02
4B065BB14
4B065BB38
4B065BC01
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA04
4C087NA13
4C087ZB07
4C087ZB26
4C087ZC02
(57)【要約】
溶媒、糖、塩化物塩、及び緩衝剤を含む、エレクトロポレーション緩衝液。特定の実施形態では、溶媒が、水であり、糖が、グルコース又はマンニトールであり、塩化物塩が、塩化カリウム(KCl)又は塩化マグネシウム(MgCl)であり、緩衝剤が、リン酸ナトリウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)である。エレクトロポレーションの方法であって、単離された真核細胞、細胞に対して外因性である生体物質、及び前述の緩衝液を含む懸濁液に電流を印加することを含む、方法。そのような方法を使用して産生された、組換え細胞。1つ以上のチャンバと、1つ以上のチャンバ内に電界を生成するように構成された1つ以上の電極対であって、各電界が、1つのチャンバに対応する、電極対と、フローチャネルと、を備える、エレクトロポレーション装置。前述のエレクトロポレーション装置を利用することを含む、エレクトロポレーションのための方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒、糖、塩化物塩、及び緩衝剤を含む、緩衝液。
【請求項2】
前記溶媒が、水であり、前記糖が、グルコース又はマンニトールであり、前記塩化物塩が、塩化カリウム(KCl)又は塩化マグネシウム(MgCl)であり、前記緩衝剤が、リン酸ナトリウム、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項3】
水、グルコース又はマンニトール、KCl、MgCl、及びリン酸ナトリウムから本質的になる、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項4】
約10mM~約50mMの量のグルコース又はマンニトールを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項5】
約1mM~約30mMの量のKClを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項6】
約5mM~約50mMの量のMgClを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項7】
約50mM~約160mMの量のリン酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項8】
約1mM~約30mMの量のHEPESを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項9】
総緩衝液体積の約0体積%~約2.5体積%の量のDMSOを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項10】
水、約25mM~約35mMの量のグルコース又はマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、及び約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の緩衝液。
【請求項11】
水、約25mM~約35mMの量のグルコース又はマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、及び約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウムから本質的になる、請求項10に記載の緩衝液。
【請求項12】
水、約25mM~約35mMの量のグルコース若しくはマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウム、並びに約5mM~約10mMの量のHEPES、及び/又は前記緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOから本質的になる、請求項10に記載の緩衝液。
【請求項13】
エレクトロポレーションの方法であって、単離された真核細胞、前記細胞に対して外因性である生体物質、及び請求項1に記載の緩衝液を含む懸濁液に電流を印加することを含む、方法。
【請求項14】
前記真核細胞が、ヒト細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生体物質が、核酸、ポリペプチド、ペプチド、及び/又はリボ核タンパク質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法を使用して産生された、組換え細胞。
【請求項17】
前記細胞が、組換えT細胞である、請求項16に記載の組換え細胞。
【請求項18】
疾患又は障害の治療のための医薬品の調製における、請求項17に記載の組換えT細胞の使用。
【請求項19】
1つ以上のチャンバと、前記1つ以上のチャンバ内に電界を生成するように構成された1つ以上の電極対であって、各電界が、1つのチャンバに対応する、電極対と、フローチャネルと、を備える、エレクトロポレーション装置。
【請求項20】
請求項19に記載のエレクトロポレーション装置を利用することを含む、エレクトロポレーションのための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流を使用して生物学的に活性な物質を細胞に送達することができる緩衝液、緩衝液を使用して生物学的に活性な物質を細胞に導入するための方法、及び緩衝液を含むキットに関する。
【0002】
参照による援用
本明細書における全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が各々参照によりその全体が援用されると具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に援用される。本明細書で定義される用語と援用される参照における用語との間に矛盾がある場合、本明細書で定義される用語が優先される。
【背景技術】
【0003】
外因性生体物質を細胞に導入するための主な方法は、エレクトロポレーション(EP)である。この方法は、細胞の特性及び機能の遺伝子操作、改変、又は他の操作のために一般的に使用されている。エレクトロポレーションの間、生体物質は緩衝液に溶解され、次いで、電流を利用して細胞内に導入される。このプロセスでは、細胞膜は、短い電気パルスの作用によって透過性にされ、したがって、生物学的に活性な物質が細胞に入ることを可能にし、このプロセスは「トランスフェクション」として知られている。
【0004】
エレクトロポレーションの間、生体物質が細胞内にトランスフェクトされる効率及び/又はトランスフェクトされた細胞のその後の生存率は、望ましくないほど低くなり得る。この低いトランスフェクション効率及び/又は低いエレクトロポレーション後生存率は、以下を含むいくつかの要因に起因し得る:エレクトロポレーション条件(例えば、印加電圧、細胞取り扱いの持続時間及び性質);使用される緩衝液の組成;導入される生体物質の性質;宿主細胞集団の健康状態、年齢、及び固有の生存率;細胞型;細胞密度(溶液中);細胞コンフルエンシー;細胞分裂速度、細胞脆弱性、細胞周期相(例えば、増殖、分裂、又は静止細胞);接触阻害に対する細胞感受性など。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くのエレクトロポレーション緩衝液は、望ましくないトランスフェクション効率を提供し、及び/又は望ましくないほど多数の化学成分を含み、そのうちのいくつかは、細胞生存率又はトランスフェクション効率に有害であり得る。したがって、当該技術分野では、簡素化及び/又は最適化されたエレクトロポレーション緩衝液、すなわち、含有する全体的な成分がより少ないが、それでも高いトランスフェクション効率及び対応してトランスフェクト細胞の高い生存率を達成することができる緩衝液の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、エレクトロポレーション(EP)緩衝液が提供され、これは、市販の多くのエレクトロポレーション緩衝液よりも少ない化学成分を含むが、驚くほど高いトランスフェクション効率及びエレクトロポレーション後細胞生存率を達成することができる。緩衝液は、細胞への生体物質の取り込みを最大化しながら、細胞への害を最小化するように最適化された化学成分の相乗的な組み合わせ及び濃度を提供することによってこれを達成する。
【0007】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、エレクトロポレーションによって細胞集団をトランスフェクトすることができる。特定の実施形態では、細胞は、真核細胞である。特定の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。特定の実施形態では、細胞は、免疫細胞、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、及び/又はリンパ球(例えば、B細胞及びT細胞)である。
【0008】
したがって、本発明は、部分的には、溶媒、糖、1つ以上の塩化物塩、及び1つ以上の緩衝剤を含む緩衝液に関する。いくつかのそのような実施形態では、溶媒は、水であり、糖は、グルコース又はマンニトールであり、1つ以上の塩化物塩は、塩化カリウム(KCl)及び/若しくは塩化マグネシウム(MgCl)を含み、かつ/又は1つ以上の緩衝剤は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、NaHPO(二塩基性リン酸ナトリウム)、NaHPO(一塩基性リン酸ナトリウム)、及び/若しくはNaHPOとNaHPO(本明細書では、NaHPO/NaHPO若しくはリン酸ナトリウムと互換的に称される)との組み合わせを含む。特定の実施形態では、緩衝液は、DMSO及び/又はHEPESを含まない。
【0009】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、グルコース及び/又はマンニトール、KCl及び/又はMgCl、並びにリン酸ナトリウムを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、グルコース及び/又はマンニトール、KCl及び/又はMgCl、リン酸ナトリウム、並びにHEPES及び/又はDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0010】
いくつかの実施形態では、緩衝液中のグルコースは、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約10mM~約20mM、又は約25mM~約35mMの量で存在する。特定の実施形態では、グルコースは、約25mM~約35mMの量で存在する。特定の実施形態では、グルコースは、約30mM又は約31mMの量で存在する。
【0011】
いくつかの実施形態では、緩衝液中のマンニトールは、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約10mM~約20mM、又は約25mM~約35mMの量で存在する。特定の実施形態ではマンニトールは、約25mM~約35mMの量で存在する。特定の実施形態では、マンニトールは、約30mM又は約31mMの量で存在する。
【0012】
いくつかの実施形態では、緩衝液中のKClは、約1mM~約30mM、約2mM~約25mM、約3mM~約20mM、約4mM~約15mM、約5mM~約15mM、又は約5mM~約10mMの量で存在する。特定の実施形態では、KClは、約5mM~約15mMの量で存在する。特定の実施形態では、KClは、約5mM又は約10mMの量で存在する。
【0013】
いくつかの実施形態では、緩衝液中のMgClは、約5mM~約50mM、約6mM~約45mM、約7mM~約40mM、約8mM~約35mM、約9mM~約30mM、約10mM~約25mM、又は約15mM~約25mMの量で存在する。特定の実施形態では、MgClは、約10mM又は約15mMの量で存在する。
【0014】
いくつかの実施形態では、緩衝液中のリン酸ナトリウムは、約50mM~約160mM、約60mM~約150mM、約70mM~約140mM、約75mM~約130mM、約80mM~約125mM、約90mM~約125mM、又は約90mM~約120mMの量で存在する。特定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、約90mM~約120mMの量で存在する。特定の実施形態では、リン酸ナトリウムは、約90mM又は約105mMの量で存在する。
【0015】
いくつかの実施形態では、緩衝液中のHEPESは、約1mM~約30mM、約2mM~約25mM、約3mM~約20mM、約4mM~約15mM、又は約5mM~約10mMの量で存在する。特定の実施形態では、HEPESは、約5mM~約10mMの量で存在する。特定の実施形態では、HEPESは、約5mM又は約10mMの量で存在する。
【0016】
いくつかの実施形態では、緩衝液中に存在するDMSOの量は、緩衝液の総体積の0体積%~約2.5体積%、約0.1体積%~約5体積%、約1体積%~約5体積%、約2体積%~約5体積%、約3体積%~約5体積%、又は約4体積%~約5体積%の量で存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、約25mM~約35mMの量のグルコース及び/又はマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、及び約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウムを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約25mM~約35mMの量のグルコース及び/又はマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウム、並びに0mM~約10mM若しくは約5mM~約10mMの量のHEPES、及び/又は緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0018】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、約30mMのグルコース又はマンニトール、約10mMのKCl、約20mMのMgCl、約105mMのリン酸ナトリウム、及び約5mMのHEPESを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約30mMのグルコース又はマンニトール、約10mMのKCl、約20mMのMgCl、約105mMのリン酸ナトリウム、約5mMのHEPES、及び緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0019】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、約31mMのグルコース又はマンニトール、約5mMのKCl、約15mMのMgCl、及び約90mMのリン酸ナトリウムを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約31mMのグルコース又はマンニトール、約5mMのKCl、約15mMのMgCl、及び約90mMのリン酸ナトリウム、並びに約5mM~約10mMの量のHEPES、及び/又は緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0020】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、約30mMのグルコース又はマンニトール、約5mMのKCl、約15mMのMgCl、約90mMのリン酸ナトリウム、及び約10mMのHEPESを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約30mMのグルコース又はマンニトール、約5mMのKCl、約15mMのMgCl、約90mMのリン酸ナトリウム、約10mMのHEPES、及び緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0021】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、細胞内浸透圧よりも低い浸透圧を有する。特定のそのような実施形態では、浸透圧は、約275mOsm/kg HO~約350mOsm/kg HOであり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、約10.0ms/cm~約15.0ms/cmの導電率を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、約7.0~約7.1のpHを有する。
【0024】
本発明はまた、部分的には、エレクトロポレーションの方法に関し、単離された真核細胞、細胞に対して外因性である生体物質、及び本発明の緩衝液を含む懸濁液に電流を印加することを含む。懸濁液への電流の印加は、細胞への生体物質の導入を容易にする。いくつかの実施形態では、真核細胞は、ヒト細胞である。特定の実施形態では、生体物質は、核酸、ポリペプチド、ペプチド、及び/又はリボ核タンパク質を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも2×10個の細胞、少なくとも3×10個の細胞、少なくとも4×10個の細胞、少なくとも5×10個の細胞、少なくとも6×10個の細胞、少なくとも7×10個の細胞、少なくとも8×10個の細胞、少なくとも9×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも2×10個の細胞、少なくとも3×10個の細胞、少なくとも4×10個の細胞、少なくとも5×10個の細胞、少なくとも6×10個の細胞、少なくとも7×10個の細胞、少なくとも8×10個の細胞、少なくとも9×10個の細胞、少なくとも1×1010個の細胞、少なくとも2×1010個の細胞、少なくとも3×1010個の細胞、少なくとも4×1010個の細胞、少なくとも5×1010個の細胞、少なくとも6×1010個の細胞、少なくとも7×1010個の細胞、少なくとも8×1010個の細胞、少なくとも9×1010個の細胞、少なくとも1×1011個の細胞、少なくとも2×1011個の細胞、少なくとも3×1011個の細胞、少なくとも4×1011個の細胞、少なくとも5×1011個の細胞、少なくとも6×1011個の細胞、少なくとも7×1011個の細胞、少なくとも8×1011個の細胞、少なくとも9×1011個の細胞、少なくとも1×1012個の細胞、少なくとも2×1012個の細胞、少なくとも3×1012個の細胞、少なくとも4×1012個の細胞、少なくとも5×1012個の細胞、少なくとも6×1012個の細胞、少なくとも7×1012個の細胞、少なくとも8×1012個の細胞、又は少なくとも9×1012個の細胞が、エレクトロポレーションプロセスに関与する。
【0026】
本発明はまた、部分的には、トランスフェクション効率を増加させる方法に関し、本方法は、単離された真核細胞及び細胞に対して外因性である生体物質を、本発明の緩衝液と組み合わせて、それによって、懸濁液を形成することと、懸濁液に電流を印加し、それによって、細胞への生体物質の導入を容易にすることと、を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法を使用する場合のトランスフェクション効率は、対照緩衝液を使用する場合の方法よりも少なくとも1.35倍高いことが測定される。特定の実施形態では、生体物質は、核酸、ポリペプチド、ペプチド、及び/又はリボ核タンパク質を含む。特定の実施形態では、細胞は、リンパ球、例えば、T細胞である。
【0027】
本発明はまた、部分的には、トランスフェクトされた細胞の回収率を増加させる方法に関し、本方法は、単離された真核細胞及び細胞に対して外因性である生体物質を、本発明の緩衝液と組み合わせて、それによって、懸濁液を形成することと、懸濁液に電流を印加し、それによって、細胞への生体物質の導入を容易にすることと、を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法を使用する場合のトランスフェクトされた細胞の回収率は、対照緩衝液を使用する場合の方法よりも少なくとも1.53倍高いことが測定される。特定の実施形態では、生体物質は、核酸、ポリペプチド、ペプチド、及び/又はリボ核タンパク質を含む。特定の実施形態では、細胞は、リンパ球、例えば、T細胞である。
【0028】
本発明はまた、本発明の緩衝液を利用する方法を使用して生成された組換え細胞にも部分的に関連する。いくつかの実施形態では、細胞は、組換えヒト免疫細胞である。特定の実施形態では、細胞は、組換えリンパ球である。特定の実施形態では、細胞は、組換えT細胞である。
【0029】
本発明はまた、部分的には、本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生された組換えT細胞を使用する免疫療法の方法に関する。
【0030】
本発明はまた、部分的には、本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生されたキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を使用する免疫療法の方法に関する。
【0031】
本発明はまた、疾患又は障害の治療のための医薬品の調製における本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生された組換えT細胞の使用に関する。
【0032】
本発明はまた、疾患又は障害の治療のための医薬品の調製における本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生されたCAR T細胞の使用に関する。
【0033】
本発明はまた、部分的には、エレクトロポレーションで使用するためのキットに関する。いくつかの実施形態では、キットは、本発明の緩衝液と、点滴器、ピペット、又はキュベットと、を含む。特定の実施形態では、キットは、緩衝液及び他の成分を安全に輸送するための好適な包装を更に含む。
【0034】
本発明はまた、部分的には、エレクトロポレーション装置に関し、1つ以上のチャンバと、1つ以上のチャンバ内に電界を生成するように構成された1つ以上の電極対であって、各電界が1つのチャンバに対応する、電極対と、フローチャネルと、を備える。いくつかの実施形態では、装置は、入口ポートと、出口ポートと、入口ポート及び出口ポートをフローチャネルに接続する隣接するフローチャネルと、を更に備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、回収プロセス中にフローチャネルから1つ以上のチャンバのうちの少なくとも1つに液体媒体をポンピングするためのポンプを更に備え、液体媒体が、入口ポートで得られる。特定の実施形態では、ポンプは、1つ以上のチャンバをフローチャネルに接続する1つ以上のバルブを更に備え得る。特定の実施形態では、1つ以上のバルブは、一度に1つずつ開くことが可能であり得る。特定の実施形態では、1つ以上のバルブは、流体の一方向の流れのみを可能にする。特定の実施形態では、1つ以上のバルブの各々は、1つ以上のチャンバのうちの1つのチャンバに対応する。特定の実施形態では、1つ以上のバルブは、ピンチバルブ又はピンチタイプのバルブである。特定の実施形態では、1つ以上のバルブは、ばね運動、レバー運動、又はピストン運動を使用して動作する。特定の実施形態では、1つ以上のチャンバの各々は、1つ以上のバルブに向かって狭くなる形状を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置はまた、1つ以上のチャンバに通じるその表面上の1つ以上の開口部と、1つ以上のチャンバ間の気流を接続する1つ以上の開口部の下の気流チャネルと、を含み得る。特定の実施形態では、エレクトロポレーション装置は、空気流チャネルをエレクトロポレーション装置の外部に接続するベント又はエアフィルタを更に含む。特定の実施形態では、エレクトロポレーション装置は、1つ以上の開口部を覆うように構成されたシールを更に含む。
【0037】
エレクトロポレーション装置のいくつかの実施形態では、1つ以上のチャンバの各々は、チャンバの一方の側に配置された第1の電極と、そのチャンバの反対側に位置する第2の電極と、を含む、一対の電極を備える。特定のそのような実施形態では、各電極は、その対応するチャンバの内側の内部部分と、その対応するチャンバの外側の外部部分と、を備える。特定の実施形態では、内部部分は、楕円形の面を有し得、金コーティングを備える。特定の実施形態では、各電極対は、電気回路に接続するように構成される。特定の実施形態では、1つ以上のチャンバの各々は、約0.1mm~約20mm、約0.5mm~約10mm、約1mm~約7mm、又は約1mm~約4mmのギャップ距離を含む。特定の実施形態では、各チャンバは、約4mm未満のギャップ距離を含む。
【0038】
エレクトロポレーション装置のいくつかの実施形態では、1つ以上のチャンバの各々は、少なくとも約50μL、少なくとも約100μL、少なくとも約150少なくとも約μL、少なくとも約200μL、少なくとも約250μL、少なくとも約300μL、少なくとも約350μL、少なくとも約400μL、少なくとも約450μL、少なくとも約150μL、少なくとも約500μL、少なくとも約550μL、少なくとも約600μL、少なくとも約650μL、少なくとも約700μL、少なくとも約750μL、少なくとも約800μL、少なくとも約850μL、少なくとも約900μL、少なくとも約950μL、又は少なくとも約1000μL(1.0mL)の体積を格納するように構成され得る。特定のそのような実施形態では、チャンバは、少なくとも約250μL又は少なくとも約500μLの体積を格納するように構成される。特定の実施形態では、1つ以上のチャンバは、組み合わせて、エレクトロポレーションのための液体懸濁液中に、少なくとも約500μL、少なくとも約1.0mL、少なくとも約1.2mL、少なくとも約1.4mL、少なくとも約1.6mL、少なくとも約1.8mL、少なくとも約2.0mL、少なくとも約2.2mL、少なくとも約2.4mL、少なくとも約2.6mL、少なくとも約2.8mL、少なくとも約3.0mL、少なくとも約3.2mL、少なくとも約3.4mL、少なくとも約3.6mL、少なくとも約3.8mL、少なくとも約4.0mL、少なくとも約4.2mL、少なくとも約4.4mL、少なくとも約4.6mL、少なくとも約4.8mL、少なくとも約5.0mL、少なくとも約5.2mL、少なくとも約5.4mL、少なくとも約5.6mL、少なくとも約5.8mL、少なくとも約6.0mL、少なくとも約6.2mL、少なくとも約6.4mL、少なくとも約6.6mL、少なくとも約6.8mL、又は少なくとも約7.0mLの細胞を格納するように構成される。特定のそのような実施形態では、1つ以上のチャンバは、組み合わせて、エレクトロポレーションのための液体懸濁液中に、少なくとも2mL、少なくとも2.4mL、少なくとも3.2mL、少なくとも4mL、少なくとも4.8mL、少なくとも5.6mL、又は少なくとも6.4mLの細胞を格納するように構成される。
【0039】
本発明はまた、部分的には、本発明の装置を使用するエレクトロポレーションのための方法にも関連する。いくつかの実施形態では、本方法は、一対の電極を使用して、チャンバに電界を生成することを含む。特定の実施形態では、本方法は、装置の1つ以上のチャンバに接続された1つ以上のバルブを開き、それによって、細胞回収プロセスを実行することを更に含む。本方法の特定の実施形態では、各バルブは、一度に1つずつ開かれる。特定の実施形態では、本方法は、1つ以上のバルブに接続された1つ以上のフローチャネルを使用して、緩衝液及び細胞を1つ以上の出口ポートに輸送することを更に含む。特定の実施形態では、本方法は、1つ以上のポンプを使用して、フローチャネルから少なくとも1つのチャンバに液体媒体をポンプすることを更に含み、液体媒体が、1つ以上の入口ポートで得られる。特定の実施形態では、本方法は、2つ以上のチャンバをフローチャネルに排出することを更に含む。特定の実施形態では、本方法は、緩衝液を含む1つ以上のチャンバに通じるエレクトロポレーション装置の1つ以上の開口部に細胞を堆積させることと、各開口部にシールを適用することと、エレクトロポレーション装置をドッキングステーションに挿入することによって、1つ以上の電極対を少なくとも1つの回路に接続することと、を更に含む。
【0040】
本発明はまた、部分的には、本発明の緩衝液及びUltraPorator(商標)デバイスを使用するエレクトロポレーションの方法に関する。
【0041】
本発明はまた、部分的には、本発明のエレクトロポレーション装置における本発明の緩衝液の使用に関する。特定の実施形態では、使用は、本発明のエレクトロポレーション方法を含む。
【0042】
本発明はまた、部分的には、エレクトロポレーションのためのシステムに関し、本発明の緩衝液と、本発明の装置と、を含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、表2及び3から選択される緩衝液(例えば、表2に示される緩衝液1、緩衝液2、又は緩衝液3)を含む。特定の実施形態では、装置は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置を含む。特定の実施形態では、システムは、細胞(例えば、T細胞などのリンパ球)をトランスフェクトするために使用される。特定の実施形態では、システムは、同じ装置及び市販のエレクトロポレーション緩衝液を含むシステムと比較して、より高い細胞トランスフェクション効率を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。以下の説明には図面を伴い、全てが、記載される緩衝液及び使用方法がどのように具現化され得るかを理解するのに有用であり得る非限定的な実施例によって与えられる。
【0044】
図1】3つのドナー(ドナー1、2、及び3と呼ばれる)から採取された細胞に対する、対照エレクトロポレーション緩衝液とともに、3つのエレクトロポレーション緩衝液(緩衝液1、2、及び3と呼ばれる)の収率(%)を示すグラフである。
図2】ドナー1の細胞に対する、3つの試料エレクトロポレーション緩衝液(緩衝液1、2、及び3)並びに対照エレクトロポレーション緩衝液の全体的なエレクトロポレーション性能を示すグラフである。エレクトロポレーション性能の結果は、生存率(%)、回収率(%)、トランスフェクション(%)、及び収率(%)に関して提供される。
図3】ドナー2の細胞に対する、3つの試料エレクトロポレーション緩衝液(緩衝液1、2、及び3)並びに対照エレクトロポレーション緩衝液のエレクトロポレーション性能を示すグラフである。エレクトロポレーション性能の結果は、生存率(%)、回収率(%)、トランスフェクション(%)、及び収率(%)に関して提供される。
図4】ドナー3の細胞に対する、3つの試料エレクトロポレーション緩衝液(緩衝液1、2、及び3)並びに対照エレクトロポレーション緩衝液のエレクトロポレーション性能を示すグラフである。エレクトロポレーション性能の結果は、生存率(%)、回収率(%)、トランスフェクション(%)、及び収率(%)に関して提供される。
図5】ドナー1及びドナー2の細胞に対する、3つの試料エレクトロポレーション緩衝液(緩衝液1、2、及び3)並びに対照エレクトロポレーション緩衝液のエレクトロポレーション性能を示すグラフである。エレクトロポレーション性能の結果は、CAR2構築物の取り込みの収率(%)に関して提供される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
最小成分エレクトロポレーション緩衝液、使用方法、及びキットが提供される。緩衝液は、その中に溶解又は懸濁される生体物質を電流を介して細胞集団に導入することを容易にすることができる。より詳細に説明されるように、開示される緩衝液の実施形態は、対照緩衝液と比較して、改善されたトランスフェクション効率、細胞生存率、及び/又は細胞収率で細胞集団に生体物質を導入することができる。更に、開示された最小緩衝液成分が、高いトランスフェクション効率に十分であることは予想外である。緩衝液の最小成分は、エレクトロポレーション緩衝液の品質を生成及び制御するリソースを節約する。
【0046】
本発明をより詳細に説明する前に、本発明は、説明される特定の場合に限定されるものではないことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0047】
範囲及び定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似又は同等の任意の方法及び材料も、本発明の実施又は試験において使用され得るが、代表的な例示的な方法及び材料がここに記載される。
【0048】
値の範囲が提供される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの各介在値、及び記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立して、より小さい範囲内に含まれてもよく、また、記載された範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記載された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0049】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「1つ以上」という語句はまた、少なくとも1つを意味し、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」及び「それらの任意の組み合わせ」という用語、並びにそれらの文法的等価物は、互換的に使用され得る。単に例示的な目的のために、以下の「A、B、及び/又はC」又は「A、B、C、又はそれらの任意の組み合わせ」という語句は、「個別的にA、個別的にB、個別的にC、A及びB、B及びC、A及びC、並びにA、B、及びC」を意味することができる。
【0051】
本明細書で使用される場合、参照数値及びその文法的等価物に関連して「約」という用語は、数値自体と、その数値からプラス又はマイナス10%の値の範囲とを含む。例えば、「約10」の量は、10及び9~11の任意の量を含む。例えば、参照数値に関連して「約」という用語はまた、その値からプラス又はマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の範囲の値を含むことができる。いくつかの場合では、全体にわたって開示される数値は、「約」という用語に具体的に言及することなく、その数値を「約」とすることができる。例えば、「約45mM、40mM、35mM」などの語句は、「約45mM、約40mM、約35mM」などを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は、核酸(例えば、1つ以上の遺伝子産物(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子産物)をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター)のレシピエントとして使用され得る、又は使用されている原核細胞又は真核細胞を指し、核酸によって遺伝子改変された元の細胞の任意の子孫を含む。「組換え細胞」又は「遺伝子組換え細胞」は、外因性核酸が導入された細胞である。
【0053】
本明細書で使用される場合、「生体物質(biological material)」という用語は、生体源に由来する物質を指す。本発明による「生体物質」は、単離又は精製された核酸(一本鎖又は二本鎖のいずれかにかかわらず、RNA及びDNAを含み、それらのハイブリッド形態及びキメラ形態も含む)、タンパク質、ペプチド、リボ核タンパク質(RNP)、又は他の天然ポリマーからなり得る。生体物質は、目的の特定の核酸を含む動物、植物、細菌、酵母、又はウイルス性の物質であり得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語及びその文法的等価物は、参照元とは異なる供給源に由来することを意味する。例えば、「外因性」核酸を含む免疫細胞は、免疫細胞自体ではない供給源からの核酸を含む免疫細胞である。核酸は、異なる免疫細胞由来又はいくつかの他の細胞由来であってもよい。核酸は、異なる生物又は更には種、例えば、真核生物、細菌、植物、又は酵母の供給源に由来してもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「組換え」という用語及びその文法的等価物は、特定の生体物質(例えば、核酸又はペプチド)が、天然のシステムに見られる内因性の生体物質と区別可能な構築物をもたらす、クローニング、制限、及び/又はライゲーションステップの様々な組み合わせの産物であることを意味する。一般に、構造コード配列をコードするDNA配列は、cDNA断片及び短いオリゴヌクレオチドリンカーから又は一連の合成オリゴヌクレオチドから組み立てられて、細胞に含まれる組換え転写単位又は無細胞転写及び翻訳システムから発現され得る合成核酸を提供することができる。そのような配列は、典型的には、真核生物遺伝子に存在する内部非翻訳配列又はイントロンによって中断されないオープンリーディングフレームの形態で提供され得る。関連する配列を含むゲノムDNAは、組換え遺伝子又は転写単位の形成にも使用することができる。非翻訳DNAの配列は、オープンリーディングフレームから5’側又は3’側に存在してもよく、そのような配列は、コード領域の操作又は発現を妨げず、実際には、様々なメカニズムによって所望の産物の産生を調節するように作用することができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「組換え核酸」という用語は、天然に存在しない核酸を指し、例えば、ヒトの介入を介して、別途分離された配列の2つのセグメントの人工的な組み合わせによって作製される。この人工的な組み合わせは、多くの場合、化学合成又は単離された核酸セグメントの人工的な操作(例えば、遺伝子工学技術)のいずれかによって達成される。これは、典型的には、配列認識部位を導入又は除去しながら、同じアミノ酸又は保存アミノ酸をコードする冗長コドン(redundant codon)でコドンを置き換えるように行われる。あるいは、所望の機能の核酸セグメントを一緒に結合して、所望の機能の組み合わせを生成するように行われる。この人工的な組み合わせは、多くの場合、化学合成又は単離された核酸セグメントの人工的な操作(例えば、遺伝子工学技術)のいずれかによって達成される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、化合物、核酸、ポリペプチド、又は細胞が天然に存在する環境とは異なる環境にある化合物、核酸、ポリペプチド、又は細胞を指す。
【0058】
本開示を読むと当業者には明らかであろうように、本明細書に記載及び例証される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の様々な場合のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個のコンポーネント及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0059】
エレクトロポレーション(EP)緩衝液
本明細書に開示される緩衝液は、これらの緩衝液が他の既知のエレクトロポレーション緩衝液と比較して含まれる成分が少ないにもかかわらず、トランスフェクション能力の向上を含む改善された特性を有することが見出された。
【0060】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水などの溶媒を含む。いくつかの実施形態では、水は、精製及び/又は滅菌され得る。例えば、水は、脱イオン化(例えば、容量性脱イオン化又は電気脱イオン化)、逆浸透、炭素濾過、精密濾過、限外濾過、及び/又は紫外線滅菌を受け得る。いくつかの実施形態では、水は、脱イオン化される。いくつかの実施形態では、水は、「注射用水」と呼ばれる品質の水であり、「注射用滅菌水」としても知られている。注射用水は、一般に、蒸留又は逆浸透によって作製される。注射用水は、「HO」と化学的に示され、約5.0~約7.0、好ましくは約5.5のpHを有する、滅菌された非発熱性の溶質を含まない水の調製物である。
【0061】
いくつかの実施形態では、溶媒は、総緩衝液体積の0.1~99.9体積%を構成する。例えば、溶媒は、総緩衝液体積の少なくとも約0.1体積%、1体積%、5体積%、10体積%、15体積%、20体積%、25体積%、30体積%、35体積%、40体積%、45体積%、50体積%、55体積%、60体積%、65体積%、70体積%、75体積%、80体積%、85体積%、90体積%、95体積%、99体積%、又は99.1体積%を構成し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、溶質、例えば、糖又は糖に由来する有機化合物(例えば、糖アルコール)を含む。緩衝液が糖を含む実施形態では、糖は、単糖、二糖、及び/又は多糖を含み得る。いくつかの実施形態では、糖は、単糖、例えば、グルコース、フルクトース、及び/又はガラクトースを含む。いくつかの実施形態では、糖は、二糖、例えば、スクロース、ラクトース、及びマルトースを含む。いくつかの実施形態では、糖は、多糖、例えば、セルロース又はデンプンを含む。緩衝液が糖アルコールを含む実施形態では、糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルト、マルチトール、及び/又は水素化デンプン加水分解物(HSH)を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、糖は、約50ミリモル濃度(mM)未満の量で存在する。例えば、糖は、約45mM、40mM、35mM、30mM、25mM、20mM、15mM、10mM、又は5mM未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、糖は、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約10mM~約20mM、約20mM~約40mM、約25mM~約35mM、約26mM~約36mM、約26mM~約34mM、約27mM~約35mM、約27mM~約33mM、約28mM~約34mM、約28mM~約32mM、約29mM~約33mM、約29mM~約31mM、約30mM~約32mM、約29.1mM~約30.9mM、約30.1mM~約31.9mM、約29.2mM~約30.8mM、約30.2mM~約31.8mM、約29.3mM~約30.7mM、約30.3mM~約31.7mM、約29.4mM~約30.6mM、約30.4mM~約31.6mM、約29.5mM~約30.5mM、約30.5mM~約31.5mM、約29.6mM~約30.4mM、約30.6mM~約31.4mM、約29.7mM~約30.3mM、約30.7mM~約31.3mM、約29.8mM~約30.2mM、約30.8mM~約31.2mM、約29.9mM~約30.1mM、又は約30.9mM~約31.1mMの範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、糖は、約25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、又は35mMの量で存在する。
【0064】
いくつかの実施形態では、糖は、グルコースである。これらの実施形態では、グルコースは、約50ミリモル濃度(mM)未満の量で存在し得る。例えば、グルコースは、約45mM、40mM、35mM、30mM、25mM、20mM、15mM、10mM、又は5mM未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、グルコースは、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約10mM~約20mM、又は約25mM~約35mMの範囲の量で存在する。特定の実施形態では、グルコースは、約20mM~約40mM、約25mM~約35mM、約26mM~約36mM、約26mM~約34mM、約27mM~約35mM、約27mM~約33mM、約28mM~約34mM、約28mM~約32mM、約29mM~約33mM、約29mM~約31mM、約30mM~約32mM、約29.1mM~約30.9mM、約30.1mM~約31.9mM、約29.2mM~約30.8mM、約30.2mM~約31.8mM、約29.3mM~約30.7mM、約30.3mM~約31.7mM、約29.4mM~約30.6mM、約30.4mM~約31.6mM、約29.5mM~約30.5mM、約30.5mM~約31.5mM、約29.6mM~約30.4mM、約30.6mM~約31.4mM、約29.7mM~約30.3mM、約30.7mM~約31.3mM、約29.8mM~約30.2mM、約30.8mM~約31.2mM、約29.9mM~約30.1mM、又は約30.9mM~約31.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、グルコースは、約25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、又は35mMの量で存在する。特定の実施形態では、グルコースは、約30mM又は31mMの量で存在する。
【0065】
いくつかの実施形態では、糖は、マンニトールである。これらの実施形態では、マンニトールは、約50ミリモル濃度(mM)未満の量で存在し得る。例えば、マンニトールは、約45mM、40mM、35mM、30mM、25mM、20mM、15mM、10mM、又は5mM未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約10mM~約50mM、約10mM~約40mM、約10mM~約20mM、又は約25mM~約35mMの範囲の量で存在する。特定の実施形態では、マンニトールは、約20mM~約40mM、約25mM~約35mM、約26mM~約36mM、約26mM~約34mM、約27mM~約35mM、約27mM~約33mM、約28mM~約34mM、約28mM~約32mM、約29mM~約33mM、約29mM~約31mM、約30mM~約32mM、約29.1mM~約30.9mM、約30.1mM~約31.9mM、約29.2mM~約30.8mM、約30.2mM~約31.8mM、約29.3mM~約30.7mM、約30.3mM~約31.7mM、約29.4mM~約30.6mM、約30.4mM~約31.6mM、約29.5mM~約30.5mM、約30.5mM~約31.5mM、約29.6mM~約30.4mM、約30.6mM~約31.4mM、約29.7mM~約30.3mM、約30.7mM~約31.3mM、約29.8mM~約30.2mM、約30.8mM~約31.2mM、約29.9mM~約30.1mM、又は約30.9mM~約31.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、マンニトールは、約25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、30mM、31mM、32mM、33mM、34mM、又は35mMの量で存在する。特定の実施形態では、グルコースは、約30mM又は31mMの量で存在する。
【0066】
いくつかの実施形態では、EP緩衝液は、1つ以上の塩化物塩、例えば、塩化カリウム(KCl)及び/又は塩化マグネシウム(MgCl)を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、1つ以上の緩衝剤、例えば、二塩基性リン酸ナトリウム(NaHPO)、一塩基性リン酸ナトリウム(NaHPO)、又はNaHPOとNaHPOとの組み合わせ(互換的に、NaHPO/NaHPO若しくはリン酸ナトリウムと称される)を更に含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン若しくはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(「Tris」)、及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)のうちの1つ以上を更に含む。他の実施形態では、緩衝液は、市販のエレクトロポレーション(EP)緩衝液に一般的に見出される1つ以上の緩衝剤が特に除外される。例えば、いくつかの実施形態では、緩衝液は、DMSO、Tris、及び/又はHEPESのうちの1つ以上を除外する。
【0068】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、溶媒、1つ以上の塩化物塩、及び1つ以上の緩衝剤を含む。いくつかのそのような実施形態では、溶媒は、水であり、糖は、グルコース又はマンニトールであり、1つ以上の塩化物塩は、KCl及び/若しくはMgClを含み、並びに/又は1つ以上の緩衝剤は、HEPES、DMSO、及び/又はリン酸ナトリウムを含む。特定の実施形態では、緩衝液は、DMSO及び/又はHEPESを含まない。いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、グルコース及び/又はマンニトール、KCl及び/又はMgCl、並びにリン酸ナトリウムを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、グルコース及び/又はマンニトール、KCl及び/又はMgCl、リン酸ナトリウム、並びにHEPES及び/又はDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0069】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、及びNaHPO/NaHPOを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、NaHPO/NaHPO、及びHEPESを含む。他の実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、NaHPO/NaHPO、HEPES、及びDMSOを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、及びNaHPO/NaHPOから本質的になる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、NaHPO/NaHPO、及びHEPESから本質的になる。他の実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、NaHPO/NaHPO、HEPES、及びDMSOから本質的になる。
【0071】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、及びNaHPO/NaHPOからなる。いくつかの実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、NaHPO/NaHPO、及びHEPESからなる。他の実施形態では、緩衝液は、水(HO)、グルコース、KCl、MgCl、NaHPO/NaHPO、HEPES、及びDMSOからなる。
【0072】
いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約6.0~8.0、6.5~8.0、7.0~8.0、7.5~8.0、6.0~7.5、6.0~7.0、6.0~6.5、6.5~7.5、又は6.5~7.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、又は8.0のpHを有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝剤を含む緩衝液は、約6.0~8.0、6.5~8.0、7.0~8.0、7.5~8.0、6.0~7.5、6.0~7.0、6.0~6.5、6.5~7.5、又は6.5~7.0の範囲のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、又は8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、NaHPO及び/又はNaHPOの一方又は両方を含む。緩衝液が両方の緩衝剤を含む実施形態では、2つの比(すなわち、NaHPO/NaHPO)は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、9:1、8:1、7:1、6:1 5:1、4:1、3:1、2:1、又は2:3であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、NaHPO/NaHPOは、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、NaHPO/NaHPOは、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9のpHを有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、NaHPO及びNaHPO(「NaHPO/NaHPO」又は「リン酸ナトリウム」とも称される)の混合物は、緩衝液中に、約50mM及び160mM、60mM~150mM、70mM~140mM、75mM~130mM、80mM~125mM、90mM~125mM、90mM~120mM、90mM~115mM、又は90mM~105mMの範囲の量で存在し得る。特定の実施形態では、NaHPO/NaHPOは、約90mM~約120mMの量で存在する。特定の実施形態では、NaHPO/NaHPOは、約95mM~約115mM、約100mM~約110mM、約101mM~約109mM、約102mM~約108mM、約103mM~約107mM、約104mM~約106mM、約104.1mM~約105.9mM、約104.2mM~約105.8mM、約104.3mM~約105.7mM、約104.4mM~約105.6mM、約104.5mM~約105.5mM、約104.6mM~約105.4mM、約104.7mM~約105.3mM、約104.8mM~約105.2mM、又は約104.9mM~約105.1mMの量で存在する。特定の実施形態では、NaHPO/NaHPOは、約80mM~約100mM、約85mM~約95mM、約86mM~約94mM、約87mM~約93mM、約88mM~約92mM、約89mM~約91mM、約89.1mM~約90.9mM、約89.2mM~約90.8mM、約89.3mM~約90.7mM、約89.4mM~約90.6mM、約89.5mM~約90.5、約89.6mM~約90.4mM、約89.7mM~約90.3mM、約89.8mM~約90.2mM、又は約89.9mM~約90.1mMの量で存在する。特定の実施形態では、NaHPO/NaHPOは、約90mM又は約105mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、NaHPO/NaHPOは、少なくとも50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、又は100mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、NaHPO/NaHPOは、80mM、81mM、82mM、83mM、84mM、85mM、86mM、87mM、88mM、89mM、90mM、91mM、92mM、93mM、94mM、95mM、96mM、97mM、98mM、99mM、100mM、101mM、102mM、103mM、104mM、105mM、106mM、107mM、108mM、109mM、110mM、111mM、112mM、113mM、114mM、115mM、116mM、117mM、118mM、119mM、又は120mMの量で存在する。特定の実施形態では、NaHPO/NaHPOは、90mM又は105mMの量で存在する。
【0077】
緩衝液がKClを含む実施形態では、KClは、約30mM未満の量で存在し得る。例えば、KClは、約25mM、20mM、15mM、10mM、又は5mM未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、KClは、約1mM~約30mM、約2mM~約25mM、約3mM~約20mM、約4mM~約15mM、約5mM~約10mM、又は約5mM~約15mMの範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、KClは、0~約15mM、0~約10mM、約1mM~約9mM、約2mM~約8mM、約3mM~約7mM、約4mM~約6mM、約4.1mM~約5.9mM、約4.2mM~約5.8mM、約4.3mM~約5.7mM、約4.4mM~約5.6mM、約4.5mM~約5.5mM、約4.6mM~約5.4mM、約4.7mM~約5.3mM、約4.8mM~約5.2mM、又は約4.9mM~約5.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、KClは、0~約20mM、約5mM~約15mM、約6mM~約14mM、約7mM~約13mM、約8mM~約12mM、約9mM~約11mM、約9.1mM~約10.9mM、約9.2mM~約10.8mM、約9.3mM~約10.7mM、約9.4mM~約10.6mM、約9.5mM~約10.5mM、約9.6mM~約10.4mM、約9.7mM~約10.3mM、約9.8mM~約10.2mM、又は約9.9mM~約10.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、KClは、約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、又は15mMの量で存在する。特定の実施形態では、KClは、約5mM~約15mMの量で存在する。特定の実施形態では、KClは、約5mM又は10mMの量で存在する。
【0078】
いくつかの実施形態では、KClは、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、KClは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9のpHを有する。
【0079】
緩衝液がMgClを含む実施形態では、MgClは、約50mM未満の量で存在し得る。例えば、MgClは、約45mM、35mM、30mM、25mM、20mM、15mM、10mM、又は5mM未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、MgClは、約5mM~約50mM、約6mM~約45mM、約7mM~約40mM、約8mM~約35mM、約9mM~約30mM、約10mM~約25mM、又は約15mM~約25mMの範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、MgClは、約5mM~約25mM、約10mM~約20mM、約11mM~約19mM、約12mM~約18mM、約13mM~約17mM、約14mM~約16mM、約14.1mM~約15.9mM、約14.2mM~約15.8mM、約14.3mM~約15.7mM、約14.4mM~約15.6mM、約14.5mM~約15.5mM、約14.6mM~約15.4mM、14.7mM~約15.3mM、14.8mM~約15.2mM、又は約14.9mM~約15.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、MgClは、約10mM~約30mM、約15mM~約25mM、約16mM~約24mM、約17mM~約23mM、約18mM~約22mM、約19mM~約21mM、約19.1mM~約20.9mM、約19.2mM~約20.8mM、約19.3mM~約20.7mM、約19.4mM~約20.6mM、約19.5mM~約20.5mM、約19.6mM~約20.4mM、約19.7mM~約20.3mM、約19.8mM~約20.2mM、又は約19.9mM~約20.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、MgClは、約5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、21mM、22mM、23mM、24mM、25mM、26mM、27mM、28mM、29mM、又は30mMの量で存在する。特定の実施形態では、MgClは、約15mM又は20mMの量で存在する。特定の実施形態では、MgClは、約10mM又は約15mMの量で存在する。
【0080】
いくつかの実施形態では、MgClは、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、MgClは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9のpHを有する。
【0081】
緩衝液がHEPESを含む実施形態では、HEPESは、約30mM未満の量で存在し得る。例えば、HEPESは、約25mM、20mM、15mM、10mM、5mM、4mM、3mM、2mM、1mM、0.5mM、又は0.1mM未満の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、HEPESは、約1mM~約30mM、約2mM~約25mM、約3mM~約20mM、約4mM~約15mM、約5mM~約10mMの範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、HEPESは、0~約15mM、0~約10mM、約1mM~約9mM、約2mM~約8mM、約3mM~約7mM、約4mM~約6mM、約4.1mM~約5.9mM、約4.2mM~約5.8mM、約4.3mM~約5.7mM、約4.4mM~約5.6mM、約4.5mM~約5.5mM、約4.6mM~約5.4mM、約4.7mM~約5.3mM、約4.8mM~約5.2mM、又は約4.9mM~約5.1mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、HEPESは、0~約20mM、約5mM~約15mM、約6mM~約14mM、約7mM~約13mM、約8mM~約12mM、約9mM~約11mM、約9.1mM~約10.9mM、約9.2mM~約10.8mM、約9.3mM~約10.7mM、約9.4mM~約10.6mM、約9.5mM~約10.5mM、9.6mM~約10.4mM、約9.7mM~約10.3mM、約9.8mM~約10.2mM、又は約9.9mM~約10.1mMの量で存在する。特定の実施形態では、HEPESは、約5mM~約10mMの量で存在する。いくつかの実施形態では、HEPESは、約0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、又は15mMの量で存在する。特定の実施形態では、HEPESは、0mM、約5mM、又は約10mMの量で存在する。
【0082】
いくつかの実施形態では、HEPESは、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、HEPESは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9のpHを有する。
【0083】
緩衝液がDMSOを含む実施形態では、DMSOは、総緩衝液体積の5体積%、4体積%、3体積%、2体積%、1体積%、0.9体積%、0.8体積%、0.7体積%、0.6体積%、0.5体積%、0.4体積%、0.3体積%、0.2体積%、又は0.1体積%以下の量で存在し得る。いくつかの実施形態では、DMSOは、総緩衝液体積の約0体積%~約2.5体積%存在する。いくつかの実施形態では、DMSOは、総緩衝液体積の約0.1体積%~5体積%、1体積%~5体積%、2体積%~5体積%、3体積%~5体積%、又は4体積%~5体積%の範囲の量で存在する。
【0084】
いくつかの実施形態では、DMSOは、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、DMSOは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9のpHを有する。他の実施形態では、DMSOは、緩衝液に全く含まれない。
【0085】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、HEPESなどの1つ以上の他の成分に加えて、又はその代わりに、Trisを含んでもよい。特定の実施形態では、Trisは、約1mM~1M、10mM~500mM、25mM~250mM、又は50mM~100mMの範囲の量で存在する。特定の実施形態では、Trisは、約1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、又は100mMの量で存在する。
【0086】
特定の実施形態では、緩衝液中のTrisのpHは、HClなどの1つ以上の塩を添加することによって調節され得る。いくつかの実施形態では、Trisは、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、Trisは、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、又は7.9のpHを有する。他の実施形態では、DMSOは、緩衝液に全く含まれない。
【0087】
特定の実施形態では、緩衝液は、50mM以下の量の糖、25mM以下の量のHEPES、160mM以下の量のNaHPO/NaHPO、10mM以下の量のKCl、20mM以下の量のMgCl、及び総緩衝液体積の5体積%以下の量のDMSOを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、単糖及び/又は糖アルコールを含み得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、マンニトール及び/又はグルコースである。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、グルコースである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、DMSOを含まない。
【0088】
特定の実施形態では、緩衝液は、少なくとも約15mMの量の糖、25mM以下の量のHEPES、少なくとも約90mMの量のNaHPO/NaHPO、少なくとも約2mMの量のKCl、少なくとも15mMの量のMgCl、及び総緩衝液体積の5体積%以下の量のDMSOを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、単糖及び/又は糖アルコールを含み得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、マンニトール及び/又はグルコースである。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、グルコースである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、DMSOを含まない。
【0089】
特定の実施形態では、緩衝液は、約15mM~約35mMの範囲の量の糖、約5mM~約10mMの範囲の量のKCl、約10.5mM~約20mMの範囲の量のMgCl、約90mM~約105mMの範囲の量のNaHPO/NaHPO、25mM以下の量のHEPES、及び総緩衝液体積の5体積%以下の量のDMSOを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、単糖及び/又は糖アルコールを含み得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、マンニトール及び/又はグルコースである。これらの実施形態のいくつかにおいて、糖は、グルコースである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、DMSOを含まない。
【0090】
特定の実施形態では、緩衝液は、約15mMの量のグルコース、約6mMの量のKCl、約10.5mMの量のMgCl、約105mMの量のNaHPO/NaHPO、約15mMの範囲の量のHEPES、及び総緩衝液体積の約2.5体積%の量のDMSOを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、約25mM~約35mMの量のグルコース及び/又はマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、及び約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウムを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約25mM~約35mMの量のグルコース及び/又はマンニトール、約5mM~約15mMの量のKCl、約15mM~約25mMの量のMgCl、約90mM~約120mMの量のリン酸ナトリウム、並びに0mM~約10mM若しくは約5mM~約10mMの量のHEPES、及び/又は緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0092】
特定の実施形態では、緩衝液は、水、約25mMの量のグルコース及び/又はマンニトール、約15mMの量のKCl、及び約25mMの量のMgCl、約120mMの量のNaHPO/NaHPO、並びに約10mMの量のHEPESを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、DMSOは、緩衝液から特に除外される。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約25mMの量のグルコース及び/又はマンニトール、約15mMの量のKCl、及び約25mMの量のMgCl、約120mMの量のNaHPO/NaHPO、約10mMの量のHEPES、並びに緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0093】
特定の実施形態では、緩衝液のpHは調整され得る。いくつかの実施形態では、緩衝液は、6.5~8のpHに調整される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約7.0~7.6のpHに調節される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、又は約7.0~約7.2のpHに調整される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約6.9~7.2又は約7.0~7.1のpHに調整される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約7.0~約7.1のpHを有する。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、又は8.0のpHに調整される。特定の実施形態では、緩衝液は、約7.0又は7.1のpHに調整される。
【0094】
特定の実施形態では、緩衝液の導電率は、約7.0ミリシーメンス/センチメートル(ms/cm)~約16.0ms/cm、約9.0ms/cm~約16.0ms/cm、約11.0ms/cm~約16.0ms/cm、又は約13.0ms/cm~約16.0ms/cmである。いくつかの実施形態では、緩衝液の導電率は、約7.0ms/cm~約15.0ms/cm、約9.0ms/cm~約15.0ms/cm、約11.0ms/cm~約15.0ms/cm、又は約13.0ms/cm~約15.0ms/cmである。いくつかの実施形態では、緩衝液は、約10.0ms/cm~約15.0ms/cmの導電率を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、緩衝液の導電率は、約13.3ms/cm~約15.3ms/cm、約13.4ms/cm~約15.2ms/cm、約13.5ms/cm~約15.1ms/cm、約13.6ms/cm~約15.0ms/cm、約13.7ms/cm~約14.9ms/cm、約13.8ms/cm~約14.8ms/cm、約13.9ms/cm~約14.7ms/cm、約14.0ms/cm~約14.6ms/cm、約14.1ms/cm~約14.5ms/cm、又は約14.2ms/cm~約14.4ms/cmである。いくつかの実施形態では、緩衝液の導電率は、約10.6ms/cm~約12.6ms/cm、約10.7ms/cm~約12.5ms/cm、約10.8ms/cm~約12.4ms/cm、約10.9ms/cm~約12.3ms/cm、約11.0ms/cm~約12.2ms/cm、約11.1ms/cm~約12.1ms/cm、約11.2ms/cm~約12.0ms/cm、約11.3ms/cm~約11.9ms/cm、約11.4ms/cm~約11.8ms/cm、又は約11.5ms/cm~約11.7ms/cmである。いくつかの実施形態では、緩衝液の導電率は、約11.8ms/cm~約13.8ms/cm、約11.9ms/cm~約13.7ms/cm、約12.0ms/cm~約13.6ms/cm、約12.1ms/cm~約13.5ms/cm、約12.2ms/cm~約13.4ms/cm、約12.3ms/cm~約13.3ms/cm、約12.4ms/cm~約13.2ms/cm、約12.5ms/cm~約13.1ms/cm、約12.6ms/cm~約13.0ms/cm、又は約12.7ms/cm~約12.9ms/cmである。いくつかの実施形態では、緩衝液の導電率は、約7.0ms/cm、約7.1ms/cm、約7.2ms/cm、約7.3ms/cm、約7.4ms/cm、約7.5ms/cm、約7.6ms/cm、約7.7ms/cm、約7.8ms/cm、約7.9ms/cm、約8.0ms/cm、約8.1ms/cm、約8.2ms/cm、約8.3ms/cm、約8.4ms/cm、約8.5ms/cm、約8.6ms/cm、約8.7ms/cm、約8.8ms/cm、約8.9ms/cm、約9.0ms/cm、約9.1ms/cm、約9.2ms/cm、約9.3ms/cm、約9.4ms/cm、約9.5ms/cm、約9.6ms/cm、約9.7ms/cm、約9.8ms/cm、約9.9ms/cm、約10.0ms/cm、約10.1ms/cm、約10.2ms/cm、約10.3ms/cm、約10.4ms/cm、約10.5ms/cm、約10.6ms/cm、約10.7ms/cm、約10.8ms/cm、約10.9ms/cm、約11.0ms/cm、約11.1ms/cm、約11.2ms/cm、約11.3ms/cm、約11.4ms/cm、約11.5ms/cm、約11.6ms/cm、約11.7ms/cm、約11.8ms/cm、約11.9ms/cm、約12.0ms/cm、約12.1ms/cm、約12.2ms/cm、約12.3ms/cm、約12.4ms/cm、約12.5ms/cm、約12.6ms/cm、約12.7ms/cm、約12.8ms/cm、約12.9ms/cm、約13.0ms/cm、約13.1ms/cm、約13.2ms/cm、約13.3ms/cm、約13.4ms/cm、約13.5ms/cm、約13.6ms/cm、約13.7ms/cm、約13.8ms/cm、約13.9ms/cm、約14.0ms/cm、約14.1ms/cm、約14.2ms/cm、約14.3ms/cm、約14.4ms/cm、約14.5ms/cm、約14.6ms/cm、約14.7ms/cm、約14.8ms/cm、約14.9ms/cm、約15.0ms/cm、約15.1ms/cm、約15.2ms/cm、約15.3ms/cm、約15.4ms/cm、約15.5ms/cm、約15.6ms/cm、約15.7ms/cm、約15.8ms/cm、約15.9ms/cm、又は約16.0ms/cmである。特定の実施形態では、緩衝液の導電率は、約11.6、12.8、又は14.3である。
【0096】
いくつかの実施形態では、緩衝液の浸透圧は、トランスフェクトされる細胞の浸透圧(すなわち、「細胞内浸透圧」としても知られている)よりも低い。いくつかの実施形態では、緩衝液の浸透圧は、約250ミリオスモル/キログラム(mOsm/kg)HO~約1255mOsm/kg HO、約250mOsm/kg HO~約1100mOsm/kg HO、約250mOsm/kg HO~約900mOsm/kg HO、約250mOsm/kg HO~約700mOsm/kg HO、約250mOsm/kg HO~約500mOsm/kg HO、約250mOsm/kg HO~約400mOsm/kg HO、又は約250mOsm/kg HO~約360mOsm/kg HOの範囲である。いくつかの実施形態では、浸透圧は、約360mOsm/kg HO~約1255mOsm/kg HO、約360mOsm/kg HO~約1100mOsm/kg HO、約360mOsm/kg HO~約900mOsm/kg HO、約360mOsm/kg HO~約700mOsm/kg HO、約360mOsm/kg HO~約500mOsm/kg HO、約360mOsm/kg HO~約400mOsm/kg HOである。特定のそのような実施形態では、浸透圧は、約275mOsm/kg HO~約350mOsm/kg HOであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、浸透圧は、約330mOsm/kg HO~約350mOsm/kg HO、約335mOsm/kg HO~約345mOsm/kg HO、約336mOsm/kg HO~約344mOsm/kg HO、約337mOsm/kg HO~約343mOsm/kg HO、約338mOsm/kg HO~約342mOsm/kg HO、約339mOsm/kg HO~約341mOsm/kg HO、約339.1mOsm/kg HO~約340.9mOsm/kg HO、約339.2mOsm/kg HO~約340.8mOsm/kg HO、約339.3mOsm/kg HO~約340.7mOsm/kg HO、約339.4mOsm/kg HO~約340.6mOsm/kg HO、約339.5mOsm/kg HO~約340.5mOsm/kg HO、約339.6mOsm/kg HO~約340.4mOsm/kg HO、約339.7mOsm/kg HO~約340.3mOsm/kg HO、約339.8mOsm/kg HO~約340.2mOsm/kg HO、又は約339.9mOsm/kg HO~約340.1mOsm/kg HOである。いくつかの実施形態では、浸透圧は、約270mOsm/kg HO~約290mOsm/kg HO、約275mOsm/kg HO~約285mOsm/kg HO、約276mOsm/kg HO~約284mOsm/kg HO、約277mOsm/kg HO~約283mOsm/kg HO、約278mOsm/kg HO~約282mOsm/kg HO、約279mOsm/kg HO~約281mOsm/kg HO、約279.1mOsm/kg HO~約280.9mOsm/kg HO、約279.2mOsm/kg HO~約280.8mOsm/kg HO、約279.3mOsm/kg HO~約280.7mOsm/kg HO、約279.4mOsm/kg HO~約280.6mOsm/kg HO、約279.5mOsm/kg HO~約280.5mOsm/kg HO、約279.6mOsm/kg HO~約280.4mOsm/kg HO、約279.7mOsm/kg HO~約280.3mOsm/kg HO、約279.8mOsm/kg HO~約280.2mOsm/kg HO、又は約279.9mOsm/kg HO~約280.1mOsm/kg HOである。いくつかの実施形態では、浸透圧は、約282mOsm/kg HO~約302mOsm/kg HO、約287mOsm/kg HO~約297mOsm/kg HO、約288mOsm/kg HO~約296mOsm/kg HO、約289mOsm/kg HO~約295mOsm/kg HO、約290mOsm/kg HO~約294mOsm/kg HO、約291mOsm/kg HO~約293mOsm/kg HO、約291.1mOsm/kg HO~約292.9mOsm/kg HO、約291.2mOsm/kg HO~約292.8mOsm/kg HO、約291.3mOsm/kg HO~約292.7mOsm/kg HO、約291.4mOsm/kg HO~約292.6mOsm/kg HO、約291.5mOsm/kg HO~約292.5mOsm/kg HO、約291.6mOsm/kg HO~約292.4mOsm/kg HO、約291.7mOsm/kg HO~約292.3mOsm/kg HO、約291.8mOsm/kg HO~約292.2mOsm/kg HO、又は約291.9mOsm/kg HO~約292.1mOsm/kg HOである。
【0098】
いくつかの実施形態では、浸透圧は、約250mOsm/kg HO、255mOsm/kg HO、260mOsm/kg HO、270mOsm/kg HO、275mOsm/kg HO、約280mOsm/kg HO、約285mOsm/kg HO、約290mOsm/kg HO、約300mOsm/kg HO、約305mOsm/kg HO、約310mOsm/kg HO、約315mOsm/kg HO、約320mOsm/kg HO、約325mOsm/kg HO、約330mOsm/kg HO、約335mOsm/kg HO、約340mOsm/kg HO、約345mOsm/kg HO、約350mOsm/kg HO、約355mOsm/kg HO、約360mOsm/kg HO、約365mOsm/kg HO、約370mOsm/kg HO、約375mOsm/kg HO、約380mOsm/kg HO、約385mOsm/kg HO、約390mOsm/kg HO、約395mOsm/kg HO、又は約400mOsm/kg HOである。特定の実施形態では、浸透圧は、約280mOsm/kg HO、約292mOsm/kg HO、約340mOsm/kg HO、又は約362mOsm/kg HOである。
【0099】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、
水と、
約20mM~約40mM、約25mM~約35mM、約26mM~約34mM、約27mM~約33mM、約28mM~約32mM、約29mM~約31mM、約29.1mM~約30.9mM、約29.2mM~約30.8mM、約29.3mM~約30.7mM、約29.4mM~約30.6mM、約29.5mM~約30.5mM、約29.6mM~約30.4mM、約29.7mM~約30.3mM、約29.8mM~約30.2mM、約29.9mM~約30.1mM、又は約30mMの量のグルコース及び/又はマンニトールと、
0~約20mM、約5mM~約15mM、約6mM~約14mM、約7mM~約13mM、約8mM~約12mM、約9mM~約11mM、約9.1mM~約10.9mM、約9.2mM~約10.8mM、約9.3mM~約10.7mM、約9.4mM~約10.6mM、約9.5mM~約10.5mM、約9.6mM~約10.4mM、約9.7mM~約10.3mM、約9.8mM~約10.2mM、約9.9mM~約10.1mM、又は約10mMの量のKClと、
約10mM~約30mM、約15mM~約25mM、約16mM~約24mM、約17mM~約23mM、約18mM~約22mM、約19mM~約21mM、約19.1mM~約20.9mM、約19.2mM~約20.8mM、約19.3mM~約20.7mM、約19.4mM~約20.6mM、約19.5mM~約20.5mM、約19.6mM~約20.4mM、約19.7mM~約20.3mM、約19.8mM~約20.2mM、約19.9mM~約20.1mM、又は約20mMの量のMgClと、
約95mM~約115mM、約100mM~約110mM、約101mM~約109mM、約102mM~約108mM、約103mM~約107mM、約104mM~約106mM、約104.1mM~約105.9mM、約104.2mM~約105.8mM、約104.3mM~約105.7mM、約104.4mM~約105.6mM、約104.5mM~約105.5mM、約104.6mM~約105.4mM、約104.7mM~約105.3mM、約104.8mM~約105.2mM、約104.9mM~約105.1mM、又は約105mMの量のNaHPO/NaHPOと、
0~約10mM、約1mM~約9mM、約2mM~約8mM、約3mM~約7mM、約4mM~約6mM、約4.1mM~約5.9mM、約4.2mM~約5.8mM、約4.3mM~約5.7mM、約4.4mM~約5.6mM、約4.5mM~約5.5mM、約4.6mM~約5.4mM、約4.7mM~約5.3mM、約4.8mM~約5.2mM、約4.9mM~約5.1mM、又は約5mMの量のHEPESと、を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0100】
特定の実施形態では、緩衝液は、約6.0~約8.0、約6.1~約7.9、約6.2~約7.8、約6.3~約7.7、約6.4~約7.6、約6.5~約7.5、約6.6~約7.4、約6.7~約7.3、約6.8~約7.2、約6.9~約7.1、又は約7.0のpHに調整される。特定の実施形態では、緩衝液は、約13.3ms/cm~約15.3ms/cm、約13.4ms/cm~約15.2ms/cm、約13.5ms/cm~約15.1ms/cm、約13.6ms/cm~約15.0ms/cm、約13.7ms/cm~約14.9ms/cm、約13.8ms/cm~約14.8ms/cm、約13.9ms/cm~約14.7ms/cm、約14.0ms/cm~約14.6ms/cm、約14.1ms/cm~約14.5ms/cm、約14.2ms/cm~約14.4ms/cm、又は約14.3ms/cmの導電率を有する。特定の実施形態では、緩衝液は、約330mOsm/kg HO~約350mOsm/kg HO、約335mOsm/kg HO~約345mOsm/kg HO、約336mOsm/kg HO~約344mOsm/kg HO、約337mOsm/kg HO~約343mOsm/kg HO、約338mOsm/kg HO~約342mOsm/kg HO、約339mOsm/kg HO~約341mOsm/kg HO、約339.1mOsm/kg HO~約340.9mOsm/kg HO、約339.2mOsm/kg HO~約340.8mOsm/kg HO、約339.3mOsm/kg HO~約340.7mOsm/kg HO、約339.4mOsm/kg HO~約340.6mOsm/kg HO、約339.5mOsm/kg HO~約340.5mOsm/kg HO、約339.6mOsm/kg HO~約340.4mOsm/kg HO、約339.7mOsm/kg HO~約340.3mOsm/kg HO、約339.8mOsm/kg HO~約340.2mOsm/kg HO、約339.9mOsm/kg HO~約340.1mOsm/kg HO、又は約340mOsm/kg HOの導電率を有する。
【0101】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、水、約30mMの量のグルコース、約10mMの量のKCl、約20mMの量のMgCl、約105mMの量のNaHPO/NaHPO、及び約5mMの量のHEPESから本質的になるか、又はそれからなる。特定のそのような実施形態では、緩衝液は、約7.0のpH、約14.3ms/cmの導電率、及び約340mOsm/kg HOの浸透圧を有する。いくつかの実施形態では、DMSOは、緩衝液から特に除外される。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約30mMの量のグルコース、約10mMの量のKCl、約20mMの量のMgCl、約105mMの量のNaHPO/NaHPO、約5mMの量のHEPES、及び緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0102】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、
水と、
約26mM~約36mM、約27mM~約35mM、約28mM~約34mM、約29mM~約33mM、約30mM~約32mM、約30.1mM~約31.9mM、約30.2mM~約31.8mM、約30.3mM~約31.7mM、約30.4mM~約31.6mM、約30.5mM~約31.5mM、約30.6mM~約31.4mM、約30.7mM~約31.3mM、約30.8mM~約31.2mM、約30.9mM~約31.1mM、又は約31mMの量のグルコース及び/又はマンニトールと、
0~約15mM、0~約10mM、約1mM~約9mM、約2mM~約8mM、約3mM~約7mM、約4mM~約6mM、約4.1mM~約5.9mM、約4.2mM~約5.8mM、約4.3mM~約5.7mM、約4.4mM~約5.6mM、約4.5mM~約5.5mM、約4.6mM~約5.4mM、約4.7mM~約5.3mM、約4.8mM~約5.2mM、約4.9mM~約5.1mM、又は約5.0mMの量のKClと、
約5mM~約25mM、約10mM~約20mM、約11mM~約19mM、約12mM~約18mM、約13mM~約17mM、約14mM~約16mM、約14.1mM~約15.9mM、約14.2mM~約15.8mM、約14.3mM~約15.7mM、約14.4mM~約15.6mM、約14.5mM~約15.5mM、約14.6mM~約15.4mM、14.7mM~約15.3mM、14.8mM~約15.2mM、約14.9mM~約15.1mM、又は約15mMの量のMgClと、
約80mM~約100mM、約85mM~約95mM、約86mM~約94mM、約87mM~約93mM、約88mM~約92mM、約89mM~約91mM、約89.1mM~約90.9mM、約89.2mM~約90.8mM、約89.3mM~約90.7mM、約89.4mM~約90.6mM、約89.5mM~約90.5、約89.6mM~約90.4mM、約89.7mM~約90.3mM、約89.8mM~約90.2mM、約89.9mM~約90.1mM、又は約90mMの量のNaHPO/NaHPOと、を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0103】
特定の実施形態では、緩衝液は、約6.1~約8.1、約6.2~約8.0、約6.3~約7.9、約6.4~約7.8、約6.5~約7.7、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、約7.0~約7.2、又は約7.1のpHに調整される。特定の実施形態では、緩衝液は、約10.6ms/cm~約12.6ms/cm、約10.7ms/cm~約12.5ms/cm、約10.8ms/cm~約12.4ms/cm、約10.9ms/cm~約12.3ms/cm、約11.0ms/cm~約12.2ms/cm、約11.1ms/cm~約12.1ms/cm、約11.2ms/cm~約12.0ms/cm、約11.3ms/cm~約11.9ms/cm、約11.4ms/cm~約1.8ms/cm、約11.5ms/cm~約11.7ms/cm、約11.6ms/cmの導電率を有する。特定の実施形態では、緩衝液は、約270mOsm/kg HO~約290mOsm/kg HO、約275mOsm/kg HO~約285mOsm/kg HO、約276mOsm/kg HO~約284mOsm/kg HO、約277mOsm/kg HO~約283mOsm/kg HO、約278mOsm/kg HO~約282mOsm/kg HO、約279mOsm/kg HO~約281mOsm/kg HO、約279.1mOsm/kg HO~約280.9mOsm/kg HO、約279.2mOsm/kg HO~約280.8mOsm/kg HO、約279.3mOsm/kg HO~約280.7mOsm/kg HO、約279.4mOsm/kg HO~約280.6mOsm/kg HO、約279.5mOsm/kg HO~約280.5mOsm/kg HO、約279.6mOsm/kg HO~約280.4mOsm/kg HO、約279.7mOsm/kg HO~約280.3mOsm/kg HO、約279.8mOsm/kg HO~約280.2mOsm/kg HO、約279.9mOsm/kg HO~約280.1mOsm/kg HO、又は約280mOsm/kg HOの浸透圧を有する。
【0104】
特定の実施形態では、緩衝液は、水、約31mMの量のグルコース、約5mMの量のKCl、及び約15mMの量のMgCl、並びに約90mMの量のNaHPO/NaHPOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定のそのような実施形態では、緩衝液は、約7.1のpH、約11.6ms/cmの導電率、及び約280mOsm/kg HOの浸透圧を有する。いくつかの実施形態では、HEPES及びDMSOのうちの1つ以上は、緩衝液から特に除外される。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約31mMの量のグルコース、約5mMの量のKCl、及び約15mMの量のMgCl、約90mMの量のNaHPO/NaHPO、並びに約5mM~約10mMの量のHEPES、及び/又は緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれからなる。
【0105】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、
水と、
約20mM~約40mM、約25mM~約35mM、約26mM~約34mM、約27mM~約33mM、約28mM~約32mM、約29mM~約31mM、約29.1mM~約30.9mM、約29.2mM~約30.8mM、約29.3mM~約30.7mM、約29.4mM~約30.6mM、約29.5mM~約30.5mM、約29.6mM~約30.4mM、約29.7mM~約30.3mM、約29.8mM~約30.2mM、約29.9mM~約30.1mM、又は約30mMの量のグルコース及び/又はマンニトールと、
0~約15mM、0~約10mM、約1mM~約9mM、約2mM~約8mM、約3mM~約7mM、約4mM~約6mM、約4.1mM~約5.9mM、約4.2mM~約5.8mM、約4.3mM~約5.7mM、約4.4mM~約5.6mM、約4.5mM~約5.5mM、約4.6mM~約5.4mM、約4.7mM~約5.3mM、約4.8mM~約5.2mM、約4.9mM~約5.1mM、又は約5.0mMの量のKClと、
約5mM~約25mM、約10mM~約20mM、約11mM~約19mM、約12mM~約18mM、約13mM~約17mM、約14mM~約16mM、約14.1mM~約15.9mM、約14.2mM~約15.8mM、約14.3mM~約15.7mM、約14.4mM~約15.6mM、約14.5mM~約15.5mM、約14.6mM~約15.4mM、14.7mM~約15.3mM、14.8mM~約15.2mM、約14.9mM~約15.1mM、又は約15mMの量のMgClと、
約80mM~約100mM、約85mM~約95mM、約86mM~約94mM、約87mM~約93mM、約88mM~約92mM、約89mM~約91mM、約89.1mM~約90.9mM、約89.2mM~約90.8mM、約89.3mM~約90.7mM、約89.4mM~約90.6mM、約89.5mM~約90.5、約89.6mM~約90.4mM、約89.7mM~約90.3mM、約89.8mM~約90.2mM、約89.9mM~約90.1mM、又は約90mMの量のNaHPO/NaHPOと、
0~約20mM、約5mM~約15mM、約6mM~約14mM、約7mM~約13mM、約8mM~約12mM、約9mM~約11mM、約9.1mM~約10.9mM、約9.2mM~約10.8mM、約9.3mM~約10.7mM、約9.4mM~約10.6mM、約9.5mM~約10.5mM、9.6mM~約10.4mM、約9.7mM~約10.3mM、約9.8mM~約10.2mM、約9.9mM~約10.1mM、又は約10mMの量のHEPESと、を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0106】
特定の実施形態では、緩衝液は、約6.1~約8.1、約6.2~約8.0、約6.3~約7.9、約6.4~約7.8、約6.5~約7.7、約6.6~約7.6、約6.7~約7.5、約6.8~約7.4、約6.9~約7.3、約7.0~約7.2、又は約7.1のpHに調整される。特定の実施形態では、緩衝液は、約11.8ms/cm~約13.8ms/cm、約11.9ms/cm~約13.7ms/cm、約12.0ms/cm~約13.6ms/cm、約12.1ms/cm~約13.5ms/cm、約12.2ms/cm~約13.4ms/cm、約12.3ms/cm~約13.3ms/cm、約12.4ms/cm~約13.2ms/cm、約12.5ms/cm~約13.1ms/cm、約12.6ms/cm~約13.0ms/cm、約12.7ms/cm~約12.9ms/cm、又は約12.8ms/cmの導電率を有する。特定の実施形態では、緩衝液は、約282mOsm/kg HO~約302mOsm/kg HO、287mOsm/kg HO~約297mOsm/kg HO、約288mOsm/kg HO~約296mOsm/kg HO、約289mOsm/kg HO~約295mOsm/kg HO、約290mOsm/kg HO~約294mOsm/kg HO、約291mOsm/kg HO~約293mOsm/kg HO、約291.1mOsm/kg HO~約292.9mOsm/kg HO、約291.2mOsm/kg HO~約292.8mOsm/kg HO、約291.3mOsm/kg HO~約292.7mOsm/kg HO、約291.4mOsm/kg HO~約292.6mOsm/kg HO、約291.5mOsm/kg HO~約292.5mOsm/kg HO、約291.6mOsm/kg HO~約292.4mOsm/kg HO、約291.7mOsm/kg HO~約292.3mOsm/kg HO、約291.8mOsm/kg HO~約292.2mOsm/kg HO、約291.9mOsm/kg HO~約292.1mOsm/kg HO、又は約292mOsm/kg HOの導電率を有する。
【0107】
特定の実施形態では、緩衝液は、水、約30mMの量のグルコース、約5mMの量のKCl、及び約15mMの量のMgCl、約90mMの量のNaHPO/NaHPO、並びに約10mMの量のHEPESを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。特定のそのような実施形態では、緩衝液は、約7.1のpH、約12.8ms/cmの導電率、及び約292mOsm/kg HOの浸透圧を有する。いくつかの実施形態では、DMSOは、緩衝液から特に除外される。特定の実施形態では、緩衝液は、水、約30mMの量のグルコース、約5mMの量のKCl、及び約15mMの量のMgCl、約90mMの量のNaHPO/NaHPO、約10mMの量のHEPES、並びに緩衝液の総体積の約2.5体積%以下の量のDMSOを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0108】
いくつかの実施形態では、緩衝液は、表2及び3に示される例示的な緩衝液のうちの1つ以上から選択される。特定の実施形態では、緩衝液は、緩衝液1、緩衝液2、又は緩衝液3から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置及びカートリッジ(又は、カセット)と併せて使用される。WO2021/096936(2020年11月11日出願)及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号(2020年11月11日出願)を参照されたい(これらの各々は、参照により本明細書に援用される)。この装置は、様々な遺伝子療法及び細胞療法の迅速な製造を可能にするように設計されている。UltraPorator(商標)は、1回の操作で大量の細胞をエレクトロポレーションするための高スループット、半閉鎖型エレクトロポレーションシステムである。UltraPorator(商標)システムは、処理時間及び汚染リスクを大幅に削減することにより、現在のエレクトロポレーションデバイスに比べて進歩している。例えば、UltraPoratorは、インビボでがん抗原を標的とするように再プログラムされたT細胞のUltraCAR-T(商標)製造などの、分散型キメラ抗原受容体(CAR)T細胞製造のためのスケールアップ及び商業化ソリューションとして利用され得る。
【0110】
本発明の緩衝液は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置及び/又はカートリッジ(又はカセット)における緩衝液を使用してエレクトロポレーションを実施する場合、高い細胞トランスフェクション効率を生み出すのに驚くほど効果的である。WO2021/096936号(2020年11月11日出願)及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい。
【0111】
方法及びそれらの方法を使用して産生された組換え細胞
本発明の別の態様では、本発明による緩衝液を利用して、電流を介して、細胞に生物学的に活性な物質(例えば、DNA又はRNA)を導入する方法(すなわち、エレクトロポレーション)が提供される。本方法は、単離された真核細胞、細胞に対して外因性である生体物質、及び本発明の緩衝液を含む懸濁液に電流を印加することを含む。この懸濁液は、本発明の緩衝液に、ヒトから得られた細胞を外因性生体物質とともに組み合わせることによって形成される。電気の適用は、細胞への生体物質の導入を容易にする。いくつかの実施形態では、真核細胞は、ヒト細胞である。特定の実施形態では、生体物質は、核酸、ポリペプチド、ペプチド、及び/又はリボ核タンパク質を含む。特定の実施形態では、細胞は、リンパ球、例えば、T細胞である。
【0112】
特定の実施形態では、電圧パルスは、最大1~10kV*cm-1の電界強度、5~250μsの持続時間、及び少なくとも2A*cm-2の電流密度を有し得る。特定の実施形態では、電圧パルスは、生物学的に活性な物質(例えば、DNA)を動物及びヒト細胞の細胞核に直接トランスフェクトすることを可能にする。特定の実施形態では、電圧パルスに続いて、中断することなく、2~14A*cm-2、好ましくは最大5A*cm-2の電流密度、及び1~100msの持続時間を有する電流フローも適用され得る。
【0113】
本発明による方法を使用して、細胞(動物細胞の核を含む)への生物学的に活性な物質のトランスフェクションを最適化することができる。この場合、生物学的に活性な物質(例えば、核酸、ポリペプチドなど)を、高効率で静止動物細胞又は分裂動物細胞に導入することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、細胞は、緩衝液に10分未満曝露される。例えば、細胞は、9分間未満、8分間未満、7分間未満、6分間未満、5分間未満、4分間未満、3分間未満、2分間未満、又は1分間未満、緩衝液に曝露され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、本方法は、初代ヒト血液細胞、ヒト血液の多能性前駆細胞、並びに初代ヒト線維芽細胞及び内皮細胞に生物学的活性物質を導入するために使用される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト血液細胞、例えば、免疫細胞であってもよい。特定の実施形態では、免疫細胞は、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、及びリンパ球(B細胞及びT細胞)、又はそれらのいくつかの組み合わせである。いくつかの実施形態では、リンパ球は、T細胞である。特定の実施形態では、細胞は、患者から得られる。
【0116】
いくつかの実施形態では、生体物質は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、RNP、又はそれらのいくつかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、生体物質は、細胞に対して異種である。いくつかの実施形態では、生体物質は、部分的又は完全に合成である。
【0117】
いくつかの実施形態では、核酸は、DNA又はRNAから選択される。いくつかの実施形態では、DNAは、cDNAを含み得る。いくつかの実施形態では、RNAは、mRNA、tRNA、rtRNA、lncRNA、sRNA、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、核酸は、組換え核酸である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ポリペプチド、タンパク質、酵素、抗体、抗体断片、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、組換えペプチドである。
【0118】
本発明の緩衝液を利用する方法は、特に他のエレクトロポレーション緩衝液を利用する方法と比較して、望ましく高いトランスフェクション収率をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクション収率は、対照(従来技術)緩衝液によるトランスフェクション収率の少なくとも約1.1倍である。例えば、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクション収率は、対照(従来技術)緩衝液の収率よりも、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、2.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5.0倍高い可能性がある。いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクション収率は、対照(従来技術)緩衝液の収率よりも、5倍を超える、例えば、6、7、8、9、又は10倍高い可能性がある。特定の実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクション収率は、対照(従来技術)緩衝液の収率よりも、1.35、1.41、1.46、1.97、1.98、2.05、2.12、2.40、又は2.44倍高い。いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクション収率は、対照緩衝液を使用した場合よりも少なくとも1.35倍高い。
【0119】
本発明の緩衝液を利用する方法は、特に他のエレクトロポレーション緩衝液を利用する方法と比較して、望ましく高いトランスフェクト細胞の回収収率をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクトされた細胞の回収収率は、対照(従来技術)緩衝液を用いたトランスフェクト細胞の回収収率の少なくとも約1.1倍である。例えば、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクト細胞の回収収率は、対照(従来技術)の緩衝液の収率よりも、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、2.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5.0倍高い可能性がある。いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクト細胞の回収収率は、対照(従来技術)緩衝液の収率よりも5倍を超える可能性がある。特定の実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクト細胞の回収収率は、対照(従来技術)緩衝液の収率よりも、1.53、1.66、1.72、1.80、2.06、2.17、2.23、2.34、又は2.61倍高い。いくつかの実施形態では、本発明の緩衝液を用いたトランスフェクト細胞の回収収率は、対照緩衝液を使用した場合よりも少なくとも1.53倍高い。
【0120】
本発明はまた、部分的には、トランスフェクション効率を増加させる方法に関し、本方法は、単離された真核細胞及び細胞に対して外因性である生体物質を、本発明の緩衝液と組み合わせて、それによって、懸濁液を形成することと、懸濁液に電流を印加し、それによって、細胞への生体物質の導入を容易にすることと、を含む。
【0121】
本発明はまた、部分的には、トランスフェクトされた細胞の回収率を増加させる方法に関し、本方法は、単離された真核細胞及び細胞に対して外因性である生体物質を、本発明の緩衝液と組み合わせて、それによって、懸濁液を形成することと、懸濁液に電流を印加し、それによって、細胞への生体物質の導入を容易にすることと、を含む。
【0122】
本発明の別の態様では、組換え細胞が提供される。これらの細胞は、本明細書に記載される方法を使用して産生され、診断及び/又は分析方法、並びにエクスビボ遺伝子療法(例えば、免疫療法及び/又はCAR-T療法)のための生物学的産物の産生に非常に好適である。いくつかの実施形態では、組換え免疫細胞は、本発明の方法を使用して産生される。いくつかの実施形態では、細胞は、組換えヒト免疫細胞である。特定の実施形態では、細胞は、組換えリンパ球である。特定の実施形態では、細胞は、組換えT細胞である。特定の実施形態では、組換え免疫細胞は、改変T細胞である。いくつかの実施形態では、改変T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR-T細胞は、治療目的で患者に投与される。
【0123】
本発明はまた、部分的には、本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生された組換えT細胞を使用する免疫療法の方法に関する。
【0124】
本発明はまた、部分的には、本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生されたキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を使用する免疫療法の方法に関する。
【0125】
本発明はまた、疾患又は障害の治療のための医薬品の調製における本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生された組換えT細胞の使用に関する。
【0126】
本発明はまた、疾患又は障害の治療のための医薬品の調製における本発明の緩衝液を利用する方法を使用して産生されたCAR T細胞の使用に関する。
【0127】
エレクトロポレーション装置及びその使用方法
本発明の別の態様では、エレクトロポレーション装置、並びに装置の使用が提供される。いくつかの実施形態では、装置は、エレクトロポレーションプロセス中に緩衝液及び細胞を格納するように構成された1つ以上のチャンバと、エレクトロポレーションプロセス中に1つ以上のチャンバ内に電界を生成するように構成された1つ以上の電極対であって、各電界が1つのチャンバに対応する、電極対と、エレクトロポレーションプロセス後の細胞回収プロセス中に細胞を輸送するように構成されたフローチャネルと、を備える。いくつかの実施形態では、装置は、入口ポートと、出口ポートと、入口ポート及び出口ポートをフローチャネルに接続する隣接するフローチャネルと、を更に備える。
【0128】
いくつかの実施形態では、装置は、1つのチャンバ、2つのチャンバ、3つのチャンバ、4つのチャンバ、5つのチャンバ、6つのチャンバ、7つのチャンバ、8つのチャンバ、9つのチャンバ、10のチャンバ、又は10以上のチャンバを備える。特定の実施形態では、装置は、連続流又はマイクロ流体システムを利用する。
【0129】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、回収プロセス中にフローチャネルから少なくとも1つのチャンバに液体媒体をポンピングするためのポンプを更に備え、液体媒体が、入口ポートで得られる。いくつかの実施形態では、ポンプは、1つ以上のチャンバをフローチャネルに接続する1つ又は複数のバルブを備える。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバルブは、一度に1つずつ開かれる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバルブは、流体の一方向の流れのみを可能にする。いくつかの実施形態では、各バルブは、1つのチャンバに対応する。いくつかの実施形態では、チャンババルブに対応する各バルブは、ピンチバルブ又はピンチタイプのバルブである。いくつかの実施形態では、バルブの各々は、ばね運動、レバー運動、又はピストン運動を使用して動作する。
【0130】
いくつかの実施形態では、1つ以上のチャンバは、所与のチャンバを含み、電極対の各電極は、所与のチャンバの対向する両側に位置し、電極対の各電極は、所与のチャンバの内側の内部部分及び所与のチャンバの外側の外部部分の両方を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、入口ポートと、出口ポートと、入口ポート及び出口ポートをフローチャネルに接続する1つ以上の隣接するフローチャネルと、を更に備える。
【0132】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、回収プロセス中にフローチャネルから少なくとも1つのチャンバに液体媒体をポンピングするためのポンプを更に備え、液体媒体が、入口ポートで得られる。
【0133】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、1つ以上のチャンバに通じる1つ以上の開口部を含む表面と、開口部の下にあり、チャンバ間に気流を接続する気流チャネルと、を更に備える。
【0134】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、空気流チャネルをエレクトロポレーション装置の外部に接続するベント又はエアフィルタを更に含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、1つ以上の開口部を覆うように構成されたシールを更に含む。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置の各チャンバは、それぞれのバルブに向かって狭くなる形状を備える。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置は、一対の電極を更に含み、電極対の各電極は、各チャンバの対向する両側に位置する。電極対における2つの電極間の距離は、「ギャップ距離」又は「分離距離」と称される。この距離は、チャンバの幅にわたる。
【0136】
いくつかの実施形態では、1つ以上のチャンバの各々は、約0.1ミリメートル(mm)~約20mm、約0.5mm~約10mm、約1mm~約7mm、又は約1mm~約4mmのギャップ距離を含む。いくつかの実施形態では、ギャップ距離は、約0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、5.5mm、6.0mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、又は8.0mmである。いくつかの実施形態では、ギャップ距離は、約2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、3.0mm、3.1mm、3.2mm、3.3mm、3.4mm、3.5mm、3.6mm、3.7mm、3.8mm、3.9mm、又は4.0mmである。いくつかの実施形態では、ギャップ距離は、約4mm未満、約3.5mm未満、約3.0mm未満、約2.5mm未満、約2.0mm未満、約1.5mm未満、又は約1.0mm未満である。いくつかの実施形態では、約4.0mm未満のギャップ距離は、本明細書に提供される緩衝液のエレクトロポレーション性能を改善する。
【0137】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置の電極対の各電極は、所与のチャンバの内側の内部部分と、所与のチャンバの外側の外部部分と、を含み、各電極対は、電気回路に接続するように構成される。いくつかの実施形態では、所与のチャンバの内側の内部部分は、楕円形の面を有し、金コーティングを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置の各チャンバは、少なくとも約50マイクロリットル(μL)、少なくとも約100μL、少なくとも約150少なくとも約μL、少なくとも約200μL、少なくとも約250μL、少なくとも約300μL、少なくとも約350μL、少なくとも約400μL、少なくとも約450μL、少なくとも約150μL、少なくとも約500μL、少なくとも約550μL、少なくとも約600μL、少なくとも約650μL、少なくとも約700μL、少なくとも約750μL、少なくとも約800μL、少なくとも約850μL、少なくとも約900μL、少なくとも約950μL、又は少なくとも約1000μL(1.0mL)の体積を格納するように構成される。
【0139】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーション装置のチャンバは、組み合わせて、エレクトロポレーションのための液体懸濁液中に、少なくとも約500μL、少なくとも約1.0ミリリットル(mL)、少なくとも約1.2mL、少なくとも約1.4mL、少なくとも約1.6mL、少なくとも約1.8mL、少なくとも約2.0mL、少なくとも約2.2mL、少なくとも約2.4mL、少なくとも約2.6mL、少なくとも約2.8mL、少なくとも約3.0mL、少なくとも約3.2mL、少なくとも約3.4mL、少なくとも約3.6mL、少なくとも約3.8mL、少なくとも約4.0mL、少なくとも約4.2mL、少なくとも約4.4mL、少なくとも約4.6mL、少なくとも約4.8mL、少なくとも約5.0mL、少なくとも約5.2mL、少なくとも約5.4mL、少なくとも約5.6mL、少なくとも約5.8mL、少なくとも約6.0mL、少なくとも約6.2mL、少なくとも約6.4mL、少なくとも約6.6mL、少なくとも約6.8mL、又は少なくとも約7.0mLの細胞を格納するように構成される。
【0140】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションプロセスに関与する細胞は、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも2×10個の細胞、少なくとも3×10個の細胞、少なくとも4×10個の細胞、少なくとも5×10個の細胞、少なくとも6×10個の細胞、少なくとも7×10個の細胞、少なくとも8×10個の細胞、少なくとも9×10個の細胞、少なくとも1×10個の細胞、少なくとも2×10個の細胞、少なくとも3×10個の細胞、少なくとも4×10個の細胞、少なくとも5×10個の細胞、少なくとも6×10個の細胞、少なくとも7×10個の細胞、少なくとも8×10個の細胞、少なくとも9×10個の細胞、少なくとも1×1010個の細胞、少なくとも2×1010個の細胞、少なくとも3×1010個の細胞、少なくとも4×1010個の細胞、少なくとも5×1010個の細胞、少なくとも6×1010個の細胞、少なくとも7×1010個の細胞、少なくとも8×1010個の細胞、少なくとも9×1010個の細胞、少なくとも1×1011個の細胞、少なくとも2×1011個の細胞、少なくとも3×1011個の細胞、少なくとも4×1011個の細胞、少なくとも5×1011個の細胞、少なくとも6×1011個の細胞、少なくとも7×1011個の細胞、少なくとも8×1011個の細胞、少なくとも9×1011個の細胞、少なくとも1×1012個の細胞、少なくとも2×1012個の細胞、少なくとも3×1012個の細胞、少なくとも4×1012個の細胞、少なくとも5×1012個の細胞、少なくとも6×1012個の細胞、少なくとも7×1012個の細胞、少なくとも8×1012個の細胞、又は少なくとも9×1012個の細胞からなる群から選択される集団を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置及びカートリッジを含む(WO2021/096936及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい)。上記のように、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置は、様々な遺伝子療法及び細胞療法のための迅速な製造を可能にするように設計されている。装置は、インビボでがん抗原を標的とするように再プログラムされたT細胞のUltraCAR-T(商標)製造などの分散型CAR T細胞製造のためのスケールアップ及び商業化ソリューションとして利用され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、エレクトロポレーションの方法において使用され、本方法は、一対の電極を使用してチャンバ内に電界を生成することによってエレクトロポレーションプロセスを実行することであって、チャンバが、エレクトロポレーションプロセス中に緩衝液及び細胞を格納するように構成される、実行することと、チャンバに接続されたバルブを開くこと並びにバルブに接続されたフローチャネルを使用して緩衝液及び細胞を出口ポートに輸送することによって細胞回収プロセスを実行することであって、チャンバ、電極対、バルブ、出口ポート、及びフローチャネルが各々、エレクトロポレーション装置内に位置する、実行することと、を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、細胞回収プロセスを実行するステップは、ポンプの使用により、フローチャネルからチャンバに液体媒体をポンピングすることを更に含み、液体媒体が、入口ポートで得られ、入口ポート及び出口ポートが、エレクトロポレーション装置内の隣接するフローチャネルによってフローチャネルに接続される。
【0144】
いくつかの実施形態では、細胞回収プロセスは、チャンバをフローチャネルに排出することを更に含み、チャンバ内の圧力は、チャンバと別のチャンバとの間に延びる空気フローチャネルに接続されたベント又はエアフィルタを介して維持される。
【0145】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションの方法は、緩衝液を保持するチャンバにつながる開口部に細胞を堆積させることと、開口部にシールを適用することと、例えば、エレクトロポレーション装置をドッキングステーションに挿入することによって、電極対を少なくとも1つの回路に接続することと、を更に含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、本方法は、表2及び3に示される例示的な緩衝液のうちの1つ以上を利用する。特定の実施形態では、本方法は、緩衝液1、緩衝液2、又は緩衝液3を利用する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本方法は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置で実施される(WO2021/096936及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい)。特定の実施形態では、本方法は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置で実行され、表2及び3に示される例示的な緩衝液のうちの1つ以上を利用する。特定の実施形態では、本方法は、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置で実行され、(表2に示される)緩衝液1、緩衝液2、又は緩衝液3を利用する。
【0148】
エレクトロポレーションシステム
本発明の別の態様では、エレクトロポレーションのためのシステムが提供される。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションのためのシステムは、本明細書に記載されるエレクトロポレーション装置と、本明細書に記載されるエレクトロポレーション緩衝液と、を含む。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションシステムは、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置及びカートリッジを含む(WO2021/096936及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい)。上記のように、UltraPorator(商標)エレクトロポレーション装置は、様々な遺伝子療法及び細胞療法のための迅速な製造を可能にするように設計されている。デバイスは、インビボでがん抗原を標的とするように再プログラムされたT細胞のUltraCAR-T(商標)製造などの分散型CAR T細胞製造のためのスケールアップ及び商業化ソリューションとして利用され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションのためのシステムは、表2及び3に示される例示的な緩衝液のうちの1つ以上に由来する緩衝液を更に含む。特定の実施形態では、エレクトロポレーションのためのシステムは、緩衝液1、緩衝液2、又は緩衝液3から選択される緩衝液を含む。UltraPorator(商標)デバイス及び緩衝液1、2、又は3のうちの1つを含むシステムは、UltraPorator(商標)デバイス及び対照緩衝液を含むシステムと比較して、驚くほど高い細胞トランスフェクション効率をもたらすことが見出されている。
【0150】
キット
本発明の別の態様では、キットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、本発明の緩衝液と、点滴器、ピペット、又はキュベットと、を含む。キットは、本明細書に記載される緩衝液のうちのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、表2及び3に示される例示的な緩衝液のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、キットは、緩衝液1、緩衝液2、又は緩衝液3から選択される緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本発明による緩衝液及び他の好適な試薬で満たされた1つ以上の容器及び/又はデバイスを含む。例えば、キットは、目的の核酸を含むベクターを更に含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、点滴器、ピペット、及び/又はキュベットを含み得る。いくつかの実施形態では、緩衝液は、アリコートされた容器に包装されてもよく、又は原液として包装されてもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、キットは、緩衝液及び任意の追加の試薬及び/又はデバイスを安全に輸送するための包装を更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、緩衝液の内容物及び任意の追加の試薬に関する情報を含む。更に、キットは、書面資料、例えば、ユーザマニュアル又はよくある質問への回答を含み得る。
【実施例
【0152】
以下の非限定的な実施例は、記載される実施形態を更に説明するために提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0153】
実施例1:リン酸ナトリウム緩衝剤の調製
一塩基性リン酸対二塩基性リン酸の比率への影響を調べるために、異なる比率の0.2M NaHPO-HOの代替緩衝剤を0.2M NaHPOと組み合わせて試験し、エレクトロポレーション(EP)緩衝液の性能に対するその比率の影響を評価した。表1は、NaHPO対NaHPOの比率及びそれらに対応するpHを提供する。NaHPO-HO(27.6g/L)の第1の0.2Mストック溶液及びNaHPO(28.4g/L)の第2の0.2Mストック溶液を調製した。表1に提供されるように、第1のストック溶液を第2のストック溶液と組み合わせた。次いで、得られた混合物を更に200mLの総体積に希釈して、室温で必要なpHの0.1Mリン酸緩衝液を生成した。
【表1】
【0154】
上記のような様々なリン酸ナトリウム緩衝剤を、約50mM~約160mMの量の緩衝液中で評価した。結果は、リン酸ナトリウム緩衝剤のpHが約pH6.85~約pH7.7の範囲内にある場合、性能に悪影響を及ぼさなかったことを示す。
【0155】
実施例2:例示的な緩衝液の調製(1~37)
表2及び3は、調製した例示的な緩衝液の組成を示す。緩衝液1~20は、グルコースを含み(表2)、緩衝液21~37は、マンニトールを含む(表3)。これらの緩衝液のうちの3つ(本明細書では緩衝液1、2、及び3と称される)を、その後、対照緩衝液(Mirus Bio(商標)Ingenio(商標)エレクトロポレーション溶液、カタログ番号MIR-50117;Mirus Bio LLC、Madison,WI,USA)(「対照1」)に対して試験した。実施例3を参照されたい。
【表2】

【表3】
【0156】
実施例3:緩衝液1、2、及び3の特性
表4は、実施例2で調製した3つの例示的な緩衝液(緩衝液1、2、及び3)、並びに対照緩衝液(Mirus Bio(商標)Ingenio(商標)エレクトロポレーション溶液、カタログ番号MIR-50117;Mirus Bio LLC、Madison,WI,USA)(「対照1」)の組成、pH、導電率、及び浸透圧を提供する。
【表4】
【0157】
実施例4:緩衝液1、2、及び3を使用したCAR構築物のドナー細胞へのトランスフェクション
緩衝能の機能としてのエレクトロポレーション中の細胞のトランスフェクション及び生存率を試験するために、3人のドナーから初代ヒトリンパ球を得た。標準的なアフェレーシス・ロイコパック及びPBMC濃縮を使用して、リンパ球を単離した。A.Garcia et al.,“Leukopak PBMC Sample Processing for Preparing Quality Control Material to Support Proficiency Testing Programs,”J.Immunol.Methods.409:99-106(July 2014)、D.M.Ward,“Conventional Apheresis Therapies:A Review,”J.Clin.Apheresis 26:230-238、L.Trajman,“Leukopak101:A Brief Review of Apheresis,”を参照されたい(これらの各々は、参照により本明細書に援用される)。
【0158】
およそ等しい数のリンパ球を、緩衝液1、2、3及び対照緩衝液に懸濁し、次いで、実質的に同一のエレクトロポレーション条件下で、第1のキメラ抗原受容体(CAR1)をコードする核酸ベクターでトランスフェクトした。緩衝液1、2、及び3の組成を表2に示す。使用した対照緩衝液は、Mirus Bio(商標)Ingenio(商標)エレクトロポレーション溶液(カタログ番号MIR-50117;Mirus Bio LLC、Madison,WI,USA)(「対照1」)であった。UltraPorator(商標)デバイスを使用して、エレクトロポレーションを実行した(WO2021/096936及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい)。エレクトロポレーションの直後に、試料を回収培地フラスコに移した。
【0159】
実験の結果を、表5に示す。これらの結果は、フローサイトメトリー、生存率分析、及び細胞計数を含む標準的な分析技術を使用して得た。(例えば、G.De Libero,“T Cell Protocols”,Springer Protocols,2d ed.(2009)を参照、参照により本明細書に援用される)。「生存率」は、エレクトロポレーション前の生存細胞の割合(%)を提供し、「細胞の回収率」は、エレクトロポレーション後も生存していた細胞の割合(%)であり、「トランスフェクション」は、核酸でトランスフェクトされた細胞の割合(%)であり、「トランスフェクト細胞の収率」は、回収され、トランスフェクトされた生体物質を含有する細胞の割合(%)である。
【表5】
【0160】
表5に示すように、3つの緩衝液(緩衝液1、2、及び3)は、対照緩衝液よりも有意に高い収率(%)を有した。図1及び図2を参照すると、例えば、ドナー1から採取したリンパ球において、緩衝液1、2、及び3は、トランスフェクション収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも2.05、1.98、及び2.44倍高くなり、対応するトランスフェクト細胞の回収収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも2.23、2.06、及び2.61倍高くなった。図1及び図3を参照すると、ドナー2から採取したリンパ球において、緩衝液1、2、及び3は、トランスフェクション収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも1.35、1.46、及び1.41倍高くなり、対応するトランスフェクト細胞の回収収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも1.53、1.72、及び1.66倍高くなった。図1及び図4を参照すると、ドナー3から採取したリンパ球において、緩衝液1、2、及び3は、トランスフェクション収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも1.97、2.40、及び2.12倍高くなり、対応するトランスフェクト細胞の回収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも1.80、2.34、及び2.17倍高くなった。
【0161】
実施例5:緩衝液1、2、及び3を使用したCAR構築物のドナー細胞へのトランスフェクション
実施例4と同様に、ほぼ等しい数のリンパ球を、緩衝液1、2、3及び対照緩衝液に懸濁した。緩衝液1、2及び3の組成を表2に示し、リン酸ナトリウム緩衝剤の調製を実施例2に示す。使用した対照緩衝液は、Mirus Bio(商標)Ingenio(商標)エレクトロポレーション溶液(カタログ番号MIR-50117;Mirus Bio LLC、Madison,WI,USA)(「対照1」)であった。
【0162】
次いで、懸濁されたリンパ球を、実質的に同一のエレクトロポレーション条件下で、第2のキメラ抗原受容体構築物(CAR2)をコードする核酸ベクターでトランスフェクトした。UltraPorator(商標)デバイスを使用して、エレクトロポレーションを実行した(WO2021/096936及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい)。エレクトロポレーションの直後に、試料を回収培地フラスコに移した。
【0163】
表6に示される実験の結果は、実施例4に提供されるように、フローサイトメトリー及び細胞計数を含む標準的な分析技術を使用して得られた。
【表6】
【0164】
表6に示すように、CAR2構築物でうまくトランスフェクトされ回収されたリンパ球の割合(%)は、緩衝液1、2、及び3の各々を使用すると、対照緩衝液を使用した場合よりも有意に高かった。具体的には、図5を参照すると、緩衝液1、2、及び3は、(ドナー1から採取されたリンパ球の)トランスフェクト細胞の収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも2.41、2.51、及び1.89倍高くなった。同様に、緩衝液1、2、及び3は、(ドナー2から採取されたリンパ球の)トランスフェクト細胞の収率が、それぞれ、対照緩衝液よりも1.37、1.87、及び1.64倍高くなった。
【0165】
実施例6:UltraPorator(商標)デバイスにおけるトランスフェクション及びトランスフェクト細胞の収率
トランスフェクション効率(トランスフェクション%)及び生存率(トランスフェクト細胞の収率(%))の評価のために、初代ヒトリンパ球細胞を、2人のドナーから採取し、UltraPorator(商標)デバイスでエレクトロポレーションすることができる。およそ等しい数のリンパ球を、緩衝液1、2、3、又は市販の緩衝液(例えば、以下の6つの市販の緩衝液のうちの1つなど)に懸濁することができる:a)対照緩衝液2:Bio-Rad Gene Pulser(登録商標)エレクトロポレーション緩衝液(カタログ番号165-2676、Hercules,CA,USA);b)対照緩衝液3:Neon(登録商標)トランスフェクションシステム緩衝液(カタログ番号MPK-10025、USA);c)対照緩衝液4:Celetrix(登録商標)エレクトロポレーション緩衝液(カタログ番号1207、Manassas,VA 20109 U.S.);d)対照緩衝液5:BTXpress(登録商標)高性能エレクトロポレーション溶液(カタログ番号45-0803、Holliston,MA 01746);e)対照緩衝液6:Miltenyi Biotec CliniMACS(登録商標)エレクトロポレーション緩衝液(カタログ番号170-076-625、San Jose,CA 95134);及びf)対照緩衝液7:Cole-Parmer Eppendorf真核細胞のためのエレクトロポレーション緩衝液(製造番号940002001、品番EW-36205-60、Vernon Hills,IL 60061)。
【0166】
細胞を、実質的に同一のエレクトロポレーション条件下で、CAR構築物(例えば、CAR1又はCAR2)を含む同じ核酸ベクターでトランスフェクトする。任意の既知のエレクトロポレーションデバイス、例えば、Bio-Rad Gene Pulser(登録商標)、Neon(登録商標)トランスフェクションシステム、Celetrix(登録商標)エレクトロポレーター、NepaGene(登録商標)エレクトロポレーター、Bulldog Bio(登録商標)高電圧エレクトロポレーター、CytoFlex(登録商標)エレクトロポレーター、CliniMACS(登録商標)エレクトロポレーター、Eppendorf(登録商標)エレクトロポレーター、又は文献に記載のものを含む任意の他の既知の若しくは市販のエレクトロポレーションデバイスを使用して、トランスフェクションを実行することができる。例えば、J.Gehl,“Electroporation:Theory and methods,perspectives for drug delivery,gene therapy and research.”Acta Physiol.Scand.,177:437-447(2003)、M.S.Venslauskas,et al.,“Mechanisms of transfer of bioactive molecules through the cell membrane by electroporation,”Eur.Biophys.J.Biophys.,44:277-289(2015)、J.Shi,at al.,“A Review on Electroporation-Based Intracellular Delivery,”Molecules,23(11):3044(2018)、M.B.Fox,et al.,“Electroporation of cells in microfluidic devices:a review,”Analytical & Bioanalytical Chem.,385:474(2006)、S.Movahed et al.,“Microfluidics cell electroporation,”Microfluidics and Nanofluidics,10:703-734(2011)、C.A.Lissandrello,et al.,“High-throughput continuous-flow microfluidic electroporation of mRNA into primary human T cells for applications in cellular therapy manufacturing,”Sci.Reports,10:18045(2020),J.J.Sherba,et.Al,“The effects of electroporation buffer composition on cell viability and electro-transfection efficiency,”Sci Rep,10:3053(2020)を参照されたい(これらの各々は、参照により本明細書に援用される)。更に、UltraPorator(商標)デバイスを使用して、エレクトロポレーションを実行することができる(WO2021/096936及び米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号を参照されたい)。緩衝液中でエレクトロポレーションした直後に、試料を回収培地に移すことができる。
【0167】
表7は、UltraPorator(商標)デバイスで実行した場合の、これらの実験から得られ得る予想されるトランスフェクション効率及びトランスフェクト細胞の収率を示す。これらは、実施例4に提供されるように、フローサイトメトリー及び細胞計数を含む標準的な分析技術を使用して得ることができる。
【表7】
【0168】
表7に示すように、緩衝液1、2、及び3は、各々、対照緩衝液2~7と比較して、統計的に有意に高いトランスフェクション収率(%)及びトランスフェクト細胞の収率(%)を有することが予想される。トランスフェクション収率(%)及びトランスフェクト細胞の収率(%)は、(対照緩衝液と比較して)5%高い~50%超高い範囲であり得る。
【0169】
参考文献
G.De Libero,“T Cell Protocols”,Springer Protocols,2d ed.(2009).
A.Garcia et al.,“Leukopak PBMC Sample Processing for Preparing Quality Control Material to Support Proficiency Testing Programs,”J.Immunol.Methods.409:99-106(July 2014).
M.B.Fox,et al.,“Electroporation of cells in microfluidic devices:a review,”Analytical & Bioanalytical Chem.,385:474(2006).
J.Gehl,“Electroporation:Theory and methods,perspectives for drug delivery,gene therapy and research.”Acta Physiol.Scand.,177:437-447(2003).
C.A.Lissandrello,et al.,“High-throughput continuous-flow microfluidic electroporation of mRNA into primary human T cells for applications in cellular therapy manufacturing,”Sci.Reports,10:18045(2020).
S.Movahed et al.,“Microfluidics cell electroporation,”Microfluidics and Nanofluidics,10:703-734(2011).
J.J.Sherba,et.Al,“The effects of electroporation buffer composition on cell viability and electro-transfection efficiency,”Sci Rep,10:3053(2020).
J.Shi,at al.,“A Review on Electroporation-Based Intracellular Delivery,”Molecules,23(11):3044(2018).
L.Trajman,“Leukopak 101:A Brief Review of Apheresis”(M.S.Venslauskas,et al.,“Mechanisms of transfer of bioactive molecules through the cell membrane by electroporation,”Eur.Biophys.J.Biophys.,44:277-289(2015)として入手可能).
D.M.Ward,“Conventional Apheresis Therapies:A Review,”J.Clin.Apheresis 26:230-238.
PCT/US2020/059984(2020年11月11日出願、Shuyuan Zhang et.al,WO2021/096936として公開、名称“Electroporation apparatus and method”).
米国特許付与前出願公開第2021/0139837(A1)号(2020年11月11日出願).
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】