(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】コラーゲンマトリックス及びN-ヒドロキシルスクシンイミド官能化ポリエチレングリコールステープルライン強化材
(51)【国際特許分類】
A61L 31/04 20060101AFI20240213BHJP
A61L 17/08 20060101ALI20240213BHJP
A61L 17/14 20060101ALI20240213BHJP
A61L 24/00 20060101ALI20240213BHJP
A61L 24/10 20060101ALI20240213BHJP
A61L 24/04 20060101ALI20240213BHJP
A61L 15/26 20060101ALI20240213BHJP
A61L 15/32 20060101ALI20240213BHJP
A61L 15/58 20060101ALI20240213BHJP
A61L 15/64 20060101ALI20240213BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20240213BHJP
A61L 31/12 20060101ALI20240213BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20240213BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
A61L31/04 120
A61L17/08
A61L17/14 100
A61L24/00 260
A61L24/00 300
A61L24/10
A61L24/04 200
A61L15/26 100
A61L15/32 300
A61L15/58 100
A61L15/64 100
A61L31/06
A61L31/12
A61L31/10
A61L31/14 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550659
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022017291
(87)【国際公開番号】W WO2022182646
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ダラー, ジャスティン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, ケビン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フルガム, ティム
(72)【発明者】
【氏名】フォーリー, ジョン
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA03
4C081AA12
4C081AA14
4C081AC02
4C081AC04
4C081BA11
4C081BA12
4C081BB04
4C081CA182
4C081CD121
4C081DA02
4C081DC02
4C081DC03
(57)【要約】
本明細書では、外科用ステープルライン強化材料並びにその製法及び使用を開示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープルラインを処置するための方法であって、ラインに自己拡張ポリマーで被覆された生体適合性基材を適用するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記生体適合性基材がコラーゲンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自己拡張ポリマーがPEGを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記PEGがNHS-PEGを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記外科用ラインが肥満の手術に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記外科用ラインが胃の手術に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記外科用ラインが肺の手術に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外科用ラインが腸の手術に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記腸の手術が小腸の手術を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
外科用ステープルラインを処置するための装置であって、前記装置が生体適合性マトリックス及び自己拡張ポリマーを備える、装置。
【請求項11】
前記生体適合性マトリックスがコラーゲンを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記自己拡張ポリマーがPEGを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記PEGがNHS-PEGを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
感圧接着剤をさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
外科用ステープルラインの処置における使用のためのキットであって、
自己拡張ポリマーで被覆された生体適合性基材、及び
少なくとも1つの投与装置、緩衝液、注射器、チューブ、カテーテル、鉗子、ハサミ、滅菌パッド又はローション、
を含む、キット。
【請求項16】
前記生体適合性基材がコラーゲンを含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記自己拡張ポリマーがPEGを含む、請求項15に記載のキット。
【請求項18】
前記自己拡張ポリマーがNHS-PEGを含む、請求項16に記載のキット。
【請求項19】
外科用ステープルラインを処置するための装置を製造する方法であって、前記装置が生体適合性マトリックス及び自己拡張ポリマーを含み、前記方法が、
a)乾燥形態の生体材料を含む生体適合性マトリックスを用意するステップと、
b)pH5未満の水溶液、又はエタノール、アセトン、若しくは塩化メチレンに基づいた水を含まない有機溶媒ベースの溶液中の自己拡張ポリマー材料を用意するステップと、
c)前記マトリックスを自己拡張ポリマー溶液に接触させるステップと、及び
d)前記材料を乾燥させるステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
外科用ステープルラインを処置するための装置を製造する方法であって、前記装置が生体適合性マトリックス及び自己拡張ポリマーを含み、前記方法が、
a)乾燥形態の生体材料のマトリックスを用意するステップと、
b)1つの自己拡張ポリマー材料を乾燥粉末の形態で用意するステップと、
c)マトリックスに自己拡張ポリマー材料を固定するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本開示は、手術時の出血の防止における使用のための材料の製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]外科的切開部を閉鎖することは、患者の良好な転帰を達成するために非常に重要である。外科用ステープルは皮膚の創傷を閉鎖するために縫合糸の代わりに使用される特殊なステープルである。縫合糸を差し置いてのステープルの使用は、局所的な炎症反応を緩和し、創傷の幅を縮小し、及び創傷を閉鎖するのに必要な時間を短縮する。
【0003】
[003]また現在のシステムは、切開部閉鎖及び創傷治癒を支援するためにさらなる材料を採用することができる。例えば、ベリタス(VERITAS)(登録商標)コラーゲンマトリックス(PSDV)強化材を備えたペリ-ストリップスドライ(PERI-STRIPS DRY)(登録商標)は、ステープルライン強化材が必要な場合に、外科用ステープラを使用して、軟組織欠損を外科的に修復するための人工器官として使用することを目的としている。コラーゲンマトリックスは、牛の心膜由来の生物学的異種移植片であり、材料本来の柔軟性と強度を維持しながら、(組織学的な特徴に基づく)高レベルの生体適合性を提供する独自の組織処理によって産生される。無細胞の非架橋コラーゲンマトリックスとして、ベリタス(登録商標)コラーゲンマトリックスは、組織修復を通じて周囲の組織への継ぎ目のない一体化を促進するために開発された。
【0004】
[004]現在の方法及び装置は効果的であるが、現在の市販製品には欠けている付着性、止血性及び密閉性に関して改善が必要である。例えば、世界的に行われている肥満手術の数は増加し続けている。2014年の国際肥満代謝疾患外科連盟(IFSO)の調査によると、最もよく行われている2つの技法である、スリーブ状胃切除術(SG)又はRoux-en-Y胃バイパス術(RYGB)(それぞれ45.9%及び39.6%)を要する合計579,517の手術が行われた。複数の連続的又は交差的なステープルライン及び吻合(胃-腸、腸-腸)が存在するため、各手術では特定の術後合併症が発生しやすくなる。肥満外科手術の後に最も頻繁に起こる術後合併症は、出血、漏出、及び吻合部の狭窄である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005]したがって、改良されたシステム、装置及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[006]本開示は、外科用ステープルライン強化システム、装置及び方法の新規な種類を提供する。開示された実施形態は、現在の技術と比較して、付着性、止血性、及び密閉性の向上を実現する。実施形態では、生体適合性マトリックス又は基板、例えば非架橋ウシ心膜などのコラーゲンマトリックス材料は、使用前に、例えばNHS-PEG(N-ヒドロキシルスクシンイミド官能化ポリエチレングリコール)被覆物などの自己拡張ポリマーの添加によって修飾され、現在の市販製品には欠けている付着性、止血性及び密閉性の向上を実現する。このNHS-PEGの強化は、公知の接着剤を塗布したバットレス材料を改良したものである。
【0007】
[007]開示された実施形態は、生体適合性マトリックス、自己拡張ポリマー、及び組織表面の間の共有結合を含み、この共有結合は、例えば、コラーゲンマトリックス上にNHS-PEGの表面被覆物を付加することによって得られ、止血特性は、自己拡張ポリマーの膨潤によって生じるステープルライン及びコラーゲンマトリックスバットレスに沿った圧縮の増大によって達成される。使用中に、NHS-PEGは、生体適合性マトリックス及び組織と結合するヒドロゲル層を形成し、さらに自己架橋することで処置領域への付着性を高め、滑りや位置ずれを防止する。
【0008】
[008]ステープルラインに沿った自己拡張ポリマーとコラーゲンマトリックスの組み合わせから生じる付着性及び圧縮力の増加により、密閉性が向上する。自己拡張ポリマー及びコラーゲンマトリックスの特性の組み合わせにより、組織、特に脆弱な組織又は病変組織(例えば、気腫性肺実質、硬変肝実質、炎症性腸又は変性腸など)に使用される場合のステープルラインバットレスの有用性が向上する。開示された特性を有する既存のステープルライン強化技術は存在していないので、このことは、ステープルライン強化材が必要な場合に外科用ステープラを使用して軟組織欠損を修復するために重要且つ新規な改良である。
【0009】
[009]開示された実施形態は、生体適合性マトリックス、例えばNHS-PEGである自己拡張ポリマーで被覆された、例えばコラーゲンマトリックスを含む。
【0010】
[010]開示された実施形態は、自己拡張ポリマー、例えばコラーゲンマトリックスである生体適合性マトリックスに共有結合した、例えばNHS-PEGを含む。
【0011】
[011]開示された実施形態は、例えばコラーゲンマトリックスである生体適合性マトリックスを含むステープルライン強化材料、及び、例えばNHS-PEGである自己拡張ポリマーを含む。
【0012】
[012]開示された実施形態は、例えばNHS-PEGである自己拡張ポリマーで被覆された、例えばコラーゲンマトリックスである生体適合性マトリックスを生成する方法を含む。
【0013】
[013]開示された実施形態は、ステープルライン強化材が有利である場合に、外科用ステープラを使用して軟組織欠損の外科的修復に使用する方法を含む。
【0014】
[014]実施形態は、線形又は円形のステープルライン、又はそれらの組み合わせでの使用を含むことができる。開示された実施形態は、腹部及び胸壁の修復、筋皮弁の強化、及びヘルニアの修復などの軟組織欠損の外科的修復のための使用方法を含む。開示された実施形態は、失血、1回又は複数回の輸血の必要性、合併症、及び修正手術などの手術成績を改善し、入院期間を短縮することができる。
【0015】
[015]実施形態では、適用されると、体液がNHS-PEG被覆物を溶解する。次いで、四腕のNHS-PEGが組織タンパク質のNH
2基と反応する。アミド共有結合が形成され、PEGと組織タンパク質とが架橋される。反応中に、NHS分子が放出される(
図1を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】開示された実施形態の作用を示す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[017]開示された実施形態は、改良されたステープルライン強化技術に、ステープルラインに沿って向上した付着力及び圧縮力を提供する。
【0018】
[018]定義:
[019]「投与(administration)」又は「投与すること(to administer)」とは、止血システム、装置、物質薬剤、又はそれらの組み合わせを被検者に与える(すなわち、投与する)ステップを意味する。本明細書に開示された材料は、多くの適切な経路を介して投与することができる。
【0019】
[020]「止血剤」とは、出血時の血餅の成長を開始し安定させることができる薬剤であり、フィブリン、トロンビン、トラネキサム酸(TXA)などの小分子、トロンビン受容体活性化ペプチド(TRAP)などのペプチド、カオリンなどの無機材料、及び発泡フォームなどの機械的手段を挙げることができる。
【0020】
[021]「患者」とは、医療又は獣医学的ケアを受けているヒト又は非ヒトの被検者を意味する。
【0021】
[022]「治療有効量」とは、処置目標を達成するために必要な薬剤、材料、又は組成物のレベル、量又は濃度を意味する。
【0022】
[023]「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、又は「処置(treatment)」とは、失血を軽減すること、又は傷ついた組織若しくは損傷した組織を治癒することなどによって、所望の治療結果を達成するために、症状、疾患、障害、若しくは状態を緩和するか、又は軽減すること(ある程度の軽減、大幅な軽減、ほぼ完全な軽減、及び完全な軽減を含む)、解決すること、又は予防(一時的又は永久的)することを意味する。
【0023】
[024]生体適合性基材/マトリックス
[025]開示された実施形態は、存在する求核基(例えば、アミン、チオールなど)を含む生体適合性マトリックス又は基材を含む。さらなる実施形態は、多孔質、例えば、自己拡張ポリマー付着を可能にするのに十分な表面欠陥を有する基材を利用し、支持強化層として機能させることができる、多孔質である基材を含む。
【0024】
[026]実施形態において、生体適合性マトリックスは、ヒト患者、特にヒト患者の創傷被覆又は体積欠損(例えば、臓器内)の充填に投与するために使用可能であり、ヒト患者への投与の過程で悪影響を誘発しない任意のマトリックスであり得る。生体適合性マトリックスとは、生体組織(例えば、創傷面に露出しているヒト組織)を脅かす、毒する、妨げる、又は悪影響を与える材料や成分を含まない生体適合性マトリックスである。このようなマトリックスの例は、ニット衣料、パッチ及びスポンジなどの「古典的な」創傷被覆材である。
【0025】
[027]実施形態では、生体適合性マトリックスは止血マトリックスである、すなわち、このようなマトリックス材料自体はすでに止血特性を有する。このようなマトリックス材料は、当技術分野において入手可能であり、例えば、コラーゲン、ゼラチン又はキトサンを含む。さらに適切なマトリックスは、生体材料、好ましくはタンパク質、生体高分子又は多糖マトリックス、特にコラーゲン、ゼラチン、フィブリン、デンプン又はキトサンマトリックス;又は合成ポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)など、を含むことができる。
【0026】
[028]実施形態では、生体適合性マトリックスは生分解性がある、すなわち、しばらくすると患者の身体に自然に吸収される。実施形態では、材料(マトリックスを含む)は生体適合性がある、すなわち、材料が投与される患者に悪影響を及ぼさないものである。このような生分解性材料は、体内で止血が達成される状況、すなわち、手術後に部位が閉鎖される外科手術の過程において特に適している。
【0027】
[029]したがって、生体適合性マトリックスは、タンパク質又は多糖類などの生体高分子、例えばコラーゲン、ゼラチン、フィブリン、多糖類(例えばヒアルロン酸、キトサン及びその誘導体)、コラーゲン、キトサンなどの生体材料から選択される生体材料であり得る。
【0028】
[030]開示された生体適合性マトリックスは、例えば三次元的に絡み合った繊維を有するコラーゲン性結合組織の形態である哺乳類の供給源を含む、任意の適切な供給源から得ることができる。このような組織は一般に、漿膜及び線維漿膜を含む。特に好ましい実施形態では、組織源はウシの心膜、腹膜、大腿筋膜、硬膜、真皮、及び小腸粘膜下組織から選択される。さらに好ましい実施形態では、組織はウシの心膜であり、生体適合性、厚さ、並びに他の物理的及び生理学的特性の最適な組み合わせで処置される組織に提供するように、処理される。
【0029】
[031]実施形態では、開示されたマトリックスは、再吸収可能且つ再構築可能な方法で移植可能な材料として特定の用途を有する、非架橋の、脱細胞化し、及び精製した哺乳動物組織(例えば、ウシの心膜)を含んでもよい。
【0030】
[032]さまざまな実施形態では、マトリックスは組換えポリマーを含む。特に、組換えポリマーは、例えば、組換えヒトI型コラーゲン、組換えヒトIII型コラーゲン、又はそれらの組み合わせなどの組換えヒトコラーゲンであり得る。一実施形態では、マトリックスは、組換えヒトIII型コラーゲンを含む。別の実施形態では、マトリックスは、組換えヒトI型コラーゲンを含む。例えば、組換えヒトゼラチンは、組換えヒトIII型コラーゲンに由来する場合がある。さらに別の実施形態では、マトリックスは、組換えヒトI型コラーゲンに由来する組換えゼラチンを含む。さらなる実施形態では、マトリックスは、コード化ポリヌクレオチドの発現によって直接生成される組換えゼラチンを含む。
【0031】
[033]実施形態では、開示されたコラーゲンマトリックスは、コラーゲンマトリックスの利用可能なアミン基の大部分を、組織を生体内に移植して使用するのに十分な程度までアルキル化することを含むプロセスによって処理される。組織は、元から存在するアミン基の80%以上、好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上が反応するのに十分な程度にコラーゲンマトリックスのアミンをアルキル化することによって処理されることが好ましい。アルキル化の有効性と程度は、さまざまな手段で測定することができる。
【0032】
[034]本明細書に記載のマトリックス及び基材は、止血材を必要とする患者の治療に使用可能な任意の適切な形状を、すなわち、平面形状(三次元の広がりが他の2つの次元に比べて比較的小さい(例えば、1/10又は1/20未満))としてか、又は三次元の形状(例えば、スポンジ、ペースト、空洞インプラントなど)として有することができる。本明細書に記載される止血材料の平面又は三次元の実施形態は、例えば、スポンジ、織布若しくは不織布、円筒若しくは円錐(例えば抜歯用)、又は可撓性若しくは非可撓性の足場、又はシートなどの予め形成された形状であり得る。さらに、止血材料は柔軟性があり得、さまざまな形状の異なる組織及び場所に応用するのに適し得る。
【0033】
[035]自己拡張ポリマー
[036]開示された実施形態は、生体適合性マトリックス、例えばPEGなどの、例えば自己拡張ポリマーで例えば被覆された、マトリックスを含む。実施形態は、ペンタエリスリトールポリエチレングリコールエーテルテトラスクシンイミジルグルタレート(NHS-PEG)で被覆された生体適合性マトリックス、タンパク質、ペプチド又は任意の他の表面をそれらの利用可能なアミノ基で修飾するために使用できるアミノ(-NH2)反応性PEG誘導体を含む。NHSエステルは、pH7~8.5で第一級アミン基と反応して、安定なアミド結合を形成する。
【0034】
[037]開示されたマトリックス及び基材は、フィブリノーゲン、トロンビン又はトロンビン前駆体を含む、血液凝固の活性化因子又は前駆賦活体をさらに含むことができる。トロンビン又はトロンビンの前駆体は、トロンビン活性を有し、血液と接触した場合か、又は患者への適用後にそれぞれトロンビン活性を誘導するタンパク質として理解される。トロンビン活性は、トロンビン活性(NIHユニット)又は対応するNIHユニットを生じさせるトロンビン同等の活性として表される。開示された実施形態における活性は、100~10,000、好ましくは500~5,000であり得る。トロンビン活性を有するタンパク質は、例えば、アルファトロンビン、メイゾトロンビン、トロンビン誘導体、又は組換えトロンビンを含むことができる。適切な前駆体は、例えば、プロトロンビン、任意選択でリン脂質と一緒に第Xa因子、第IXa因子、活性化プロトロンビン複合体、FEIBA、内因性若しくは外因性凝固の任意の活性化因子又は前駆賦活体、又はそれらの混合物を含むことができる。
【0035】
[038]開示された実施形態は、さらなる生理学的物質と一緒に使用することができる。例えば、実施形態では、マトリックスは、薬理活性物質をさらに含み、物質中には、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、又はプラスミン阻害剤、又は線維素溶解薬の不活化因子などの抗線溶薬が含まれる。
【0036】
[039]さらなる薬理活性物質として、抗菌薬又は抗真菌剤などの抗生物質を、例えばスポンジ中に均一に分布する成分としてマトリックスと一緒に使用することができる。さらに、成長因子及び/又は鎮痛剤などの生理活性物質も存在する可能性がある。
【0037】
[040]さらに、スポンジの吸収を調節、すなわち加速又は阻害することができる特定の酵素又は酵素阻害剤との組み合わせが開示されている。特定の酵素又は酵素阻害剤との組み合わせの中とは、コラーゲン分解酵素、コラーゲン分解酵素のエンハンサー又は阻害剤である。また、開示されたマトリックスとともに適切な防腐剤を使用することもできる。
【0038】
[041]市販品/キット
[042]本ステープルライン強化材料は、当分野で行われている通常の工程、例えば適切な滅菌工程及び包装工程により商品として完成させることができる。例えば、本材料は、UV/可視照射(200~500nm)によって、例えば、異なる吸収波長(例えば、Irgacure184、2959)、好ましくは水溶性開始剤(Irgacure2959)を使用して、処理することができる。このような照射は、1~60分間の照射時間で通常行われるが、特定の方法に応じて、より長い照射時間が適用されてもよい。本開示による材料は、使用するまで無菌性を保つように最終的に滅菌包装され、適切な容器(箱など)に(例えば、特定の製品情報リーフレットを追加することによって)包装することができる。
【0039】
[043]開示された実施形態は、患者へのステープルライン強化材料の投与に必要な他の成分と組み合わせたキットの形態で提供することもできる。キットは、注射器、チューブ、カテーテル、鉗子、ハサミ、滅菌パッド又はローションなどの、止血材料を投与するための手段、又は止血材料の投与を準備するための手段をさらに含んでもよい。
【0040】
[044]外科手術並びに/又は傷害の処置及び/若しくは創傷の処置における使用のための開示されたキットは、開示された止血材料及び少なくとも1つの投与装置、例えば緩衝液、注射器、チューブ、カテーテル、鉗子、ハサミ、ガーゼ、滅菌パッド又はローションを含むことができる。
【0041】
[045]実施形態において、緩衝液は、抗菌剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、抗線溶剤、特にアプロチニン又はECEA、成長因子、ビタミン、細胞、又はそれらの混合物をさらに含む。或いは、キットは、抗菌剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、抗線溶剤、特にアプロチニン又はECEA、成長因子、ビタミン、細胞、又はそれらの混合物をさらに含むこともできる。
【0042】
[046]キットは、治療するために設計された特定の欠損に基づいて、さまざまな形で設計されている。
【0043】
[047]製造の方法
[048]開示された基材及びマトリックスに、PEG、例えばNHS-PEGなどの自己拡張ポリマーを被覆させるか、又は含浸させるか、又はその両方を行わせることができ、例えば、マトリックス及び自己拡張ポリマーは、自己拡張ポリマーの反応性が保持されるように相互に会合させ、マトリックスの表面に自己拡張ポリマーを被覆させるか、又はマトリックスに自己拡張ポリマーを含浸させるか、又はその両方を行わせる。適切な自己拡張ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばNHS-PEGなどのポリアルキレンオキシドポリマーを含むことができる。
【0044】
[049]実施形態において、自己拡張ポリマー成分の分子量は、500~50,000の範囲であり得、最も好ましくは約10,000であり得る。
【0045】
[050]開示された実施形態は、含浸された形態と被覆された形態との組み合わせを含むことができる。マトリックス上の自己拡張ポリマー成分の被覆の量は、約1mg/cm2~約20mg/cm2、より好ましくは約2mg/cm2~約14mg/cm2であり得る。自己拡張ポリマーの濃度は、例えば、含浸されたマトリックスの場合、約5mg/cm3~約100mg/cm3、又は約100mg/cm3~約70mg/cm3であり得る。
【0046】
[051]さらなる製造の方法は、例えば、乾燥形態の生体材料のマトリックスを用意するステップと、少なくとも1つの反応性自己拡張ポリマー材料を乾燥粉末の形態で用意するステップと、自己拡張ポリマー材料がマトリックスの少なくとも1つの表面に存在するように生体材料及び自己拡張ポリマー材料を接触させるステップと、自己拡張ポリマー材料をスポンジ上に固定するステップと、を含むことができる。固定するプロセスは、30℃~80℃、好ましくは60℃~65℃の温度で、固定に十分な時間、好ましくは1分~10分間、特に4分程度、溶融することによって達成することができる場合がある。さらに別の態様では、実施形態は、止血ステープルライン強化材料を製造するための方法を含み、その方法は、生体材料のマトリックスを乾燥形態で用意するステップと、反応性自己拡張ポリマー材料を溶液の形態で用意するステップと、生体材料に自己拡張ポリマー材料が含浸されるように生体材料及び自己拡張ポリマー材料を接触させるステップと、含浸された生体材料を乾燥するステップと、を含むことができる。
【0047】
[052]さらなる実施形態は、
a.生体材料のマトリックスを乾燥形態で用意するステップと、
b.1つの自己拡張ポリマー材料を乾燥粉末の形態で用意するステップと、
c.bの材料が、前記生体材料の少なくとも1つの表面に存在するようにa及びbを接触させるステップと、
d.aのマトリックス上でbの材料を固定するステップと、
を含むステープルライン強化材料を製造する方法に関する。
【0048】
[053]固定は、予熱したオーブン内で、例えば、30℃~80℃の間、好ましくは60℃~65℃の間の温度で、固定に十分な時間、例えば、1分~10分の間、好ましくは約4分、スポンジ上でポリマー成分を溶融することによって達成できる。或いは、赤外線ヒーター又はその他の熱源を使用して固定を行うことができる。パッドとヒーターの間の距離、ヒーターの強度、及び赤外線照射への曝露時間を調整して、最小限の熱曝露で被覆物の溶融を達成する。
【0049】
[054]さらなる実施形態は、
a.乾燥形態の生体材料のマトリックスを含むマトリックスを用意するステップと、
b.1つの反応性自己拡張ポリマー材料を溶液、例えば、pH5未満、好ましくは約3の水溶液、又は水を含まない有機溶媒ベースの溶液、例えば、エタノール、アセトン、塩化メチレンなどの溶液の形態で用意するステップと、
c.aの材料にbを含侵させるようにa及びbを接触させ、ステップcで得られた材料を乾燥するステップと、
を含むステープルライン強化材料を製造する方法に関する。
【0050】
[055]含浸を達成するための接触は、自己拡張ポリマー溶液をスポンジの上に置き、吸収に十分な時間、例えば、約2分~約2時間、好ましくは30分、自己拡張ポリマー溶液を前記マトリックスに染み込ませることによって行うことができる。
【0051】
[056]乾燥とは、凍結乾燥又は空気乾燥を含むことができ、揮発性流体成分を除去することを含むことができる。
【0052】
[057]使用方法
[058]開示された実施形態の使用方法は、損傷部位又は外科的な手術の部位などの、出血を減少させることが望ましい部位への適用を含むことができる。例えば、開示された実施形態は、ステープルライン強化材が必要な場合は、外科用ステープラを使用して軟組織欠損の外科的修復に使用する方法を含む。実施形態は、線形又は円形のステープルライン、又はそれらの組み合わせでの使用を含むことができる。例えば、開示された実施形態は、胃、肥満、及び小腸、腸間膜、結腸、及び結腸直腸の手術中にステープルラインの強化のための使用方法を含む。
【0053】
[059]開示された実施形態は、腹壁及び胸壁の修復、筋皮弁の補強、及びヘルニア(例えば、横隔膜、大腿骨、切開部、鼠径部、腰部、傍結腸ストーマ(paracolostomy)、陰嚢、臍帯)の修復、経膣骨盤臓器脱を除く骨盤底の再建、直腸瘤を除く直腸脱の修復、などの軟組織欠損の外科的修復のためのインプラントとしての使用の方法及び軟組織欠損の外科的修復のためのインプラントとして使用する方法を含む。
【0054】
[060]開示された実施形態は、心臓、神経、泌尿器、及び内分泌関連の外科的な手術と関連して使用することができる。
【0055】
[061]開示された実施形態は、任意の適切な形態、例えば、平らなシート又はテクスチャード加工されたシート又は細長い布切れ(strip)として提供され得る。
【0056】
[062]これらの方法は、以下の実施例でさらに説明される。
【実施例】
【0057】
[063]以下の非限定的な実施例は、代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするために、例示のみを目的として提供される。非限定的な実施例は、本明細書で示される実施形態のいずれかを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0058】
実施例1
ステープルライン強化材の使用
[064]箱の熱インジケーターを確認する。熱インジケーターが作動した場合は製品を使用してはいけない。
【0059】
[065]箱からパウチを取り出す。
【0060】
[066]外側のパウチを検査する。外側のパウチが損傷している場合、又はシールが完全でない場合は、使用してはいけない。
【0061】
[067]外側のパウチを開き、内側のパウチを滅菌フィールドに無菌的に移す。
【0062】
[068]内側のパウチを開け、NHS-PEGで被覆されたコラーゲン基材を平らな鉗子で取り出す。
【0063】
[069]被覆された生体適合性基材は、いつでも使用できる。装置をすぐに使用しない場合は、室温の滅菌生理食塩水のボールに入れて湿った状態を保つ。注意:装置は常に湿っている必要があり、必要に応じて、装置を室温の生理食塩水の中に最長1時間静置する。
【0064】
[070]外科医の判断による室温で、インプラント前に生理食塩水及び抗生物質に最大1時間浸漬することができる。
a.インプラント指示書:
i.無菌技術を使用して、患者のニーズを満たすように装置の構成を調整する。
ii.装置は健康で、良好な血管新生組織に可能な限り接触して配置する必要があり、インプラントの周縁部が隣接する健康な血管新生組織と確実に接触するように、適切に重なり合うことが推奨される。
iii.装置は、縫合糸、ステープル、仮縫い、又は外科医が選択したその他の方法によって宿主組織の所定の位置に固定され、縫合するときは、装置の端から少なくとも2~3mmの位置に縫合糸を配置する必要がある。
iv.装置のあらゆる未使用分を廃棄する。
【0065】
実施例2
外科手術での使用
[071]18歳の男性が胸壁ユーイング肉腫と診断された。元の病変の大きさは、9×7.5×6.5cmで、D8の右肋椎角の胸壁、第8肋骨後部、及びその上に隣接する傍脊柱筋に浸潤していると記載されている。4サイクルのネオアジュバント化学療法(エトポシドとイホスファミド、ビンクリスチン又はアドリアマイシン及びシクロホスファミドを交互に投与)が投与され、目に見える腫瘤が大幅に減少する(最大直径で5cmまで減少)。外科手術では、肋骨7~9の後部の一括切除と、対応する身体の部分的な脊椎切除を行い、脊椎を安定させる。
【0066】
[072]肋間神経根の脊髄内結紮は完了したが、硬膜の最小限の断裂が認められ、組織接着剤で封鎖する。欠損の部位及び幾何学的特徴を考慮すると、無細胞のNHS-PEGで被覆されたコラーゲンマトリックスの25cm×12cmのパッチを唯一の再構成材料として使用する。パッチを伸長し、スタビライザー及び周囲の肋骨に固定する。事前に持ち上げた広背筋と僧帽筋の皮弁を、パッチを覆うように使用するので、それにより許容可能な胸壁の剛性及び締め付けが確保される。術後の経過は順調である。外科手術から2か月後の胸部CTスキャンでは、満足のいく術後の結果を示す。診断から8か月後、手術から3か月後の経過観察の時点で、患者は健康で、病気もない。
【0067】
実施例3
外科手術での使用
[073]患者は、腸に関連した外科手術を受ける。外科手術後、NHS-PEG被覆物を含む開示されたコラーゲン基材を切開領域に適用し、次いで、外科用ステープルを用いて外科的切開部を閉鎖する。
【0068】
実施例4
外科手術での使用
[074]患者は、肺に関連した外科手術を受ける。外科手術後、NHS-PEG被覆物を含む開示された基材を切開領域に適用し、次いで、外科用ステープルを用いて外科的切開部を閉鎖する。
【0069】
実施例5
外科手術での使用
[075]患者は、肝臓に関連した外科手術を受ける。外科手術後、NHS-PEG被覆物を含む開示された基材を切開領域に適用し、次いで、外科用ステープルを用いて外科的切開部を閉鎖する。
【0070】
[076]最後に、本明細書の態様は、特定の実施形態を参照することによって強調されているが、当業者であれば、これらの開示された実施形態が、本明細書に開示された主題の原理の単なる例示にすぎないことを容易に理解するであろうことを理解されたい。したがって、開示された主題は、本明細書に記載された特定の方法論、実施計画書、及び/又は試薬などに決して限定されないことを理解されたい。したがって、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、開示された主題のさまざまな修正又は変更、又は代替構成を行うことができる。最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、特許請求の範囲によってのみ定義される本開示の範囲を限定するものではない。したがって、本開示の実施形態は、正確に図示され説明されたものに限定されるものではない。
【0071】
[077]本明細書では、本明細書に記載の方法及び装置を実行するための発明者に知られている最良のモードを含む特定の実施形態について説明する。もちろん、これらの説明された実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。したがって、本開示は、適用される法律によって認められる、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題のすべての修正及び等価物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、あらゆる可能な変形における上述の実施形態の任意の組み合わせが本開示に包含される。
【0072】
[078]本開示の代替実施形態、要素、又はステップのグループ分けは、制限と理解すべきでない。各グループメンバーは、個別に言及して特許請求することができるか、又は他のグループメンバーとの任意の組み合わせにおいて言及して特許請求することができる。利便性及び/又は特許性の点から、あるグループの1つ又は複数のメンバーを、あるグループに組み入れることができるか、又はあるグループから削除することができると予想される。いずれかのこのような組み入れ又は削除が行われる場合、本明細書はグループを修正されたものとして含み、したがって、添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの記載要件を満たすものとする。
【0073】
[079]特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている、特徴、品目、量、パラメータ、性状、用語などを表すすべての数字は、「およそ(about)」という言葉でいかなる場合も修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書に使用されている「およそ(about)」という用語は、このように修飾された特徴、品目、量、パラメータ、特性を意味し、又は用語が、示された特徴、品目、量、パラメータ、特性、又は用語の、プラス又はマイナス10パーセント上及び下の値の範囲を包含することを意味する。したがって、異議を唱えない限り、本明細書及び添付する特許請求の範囲に示す数値パラメータは、変化させてもよい近似値である。控えめに言っても、特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとするものではなく、それぞれの数値表示は、報告された有効数字の数を考慮して、通常の四捨五入の適用によって、少なくとも解釈されなければならない。それにもかかわらず、本開示の広い範囲を示す数値的範囲及び数値は、近似値であるが、具体例に示す数値的範囲及び数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、数値的範囲又は数値は、それぞれの試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。本明細書の値の数値的範囲の列挙は、範囲内に入る各個別の数値を個別に参照する簡略化された方法としての役割を果たすことを単に意図している。本明細書中に指示がない限り、数値的範囲の各個別の数値は、あたかも個別に本明細書に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。
【0074】
[080]「a」、「an」「the」という用語、及び本開示に記載する文脈(特に、次に示す特許請求の範囲の文脈)で使用される同様の指示語は、本明細書中に指示がないか、又は、その他に、文脈で明確に否定されない限り、単数と複数の両方を網羅するように、解釈される。本明細書中に指示がないか、又は、その他に、文脈で明確に否定されない限り、本明細書に記載される方法はすべて、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書に提供される任意の使用、及びすべての実施例、又は例示的な用語(例えば、「例えば(such as)」)の使用は、本開示を単にうまく説明することを意図するにすぎず、これ以外の特許請求の範囲に記載する発明の範囲において限定をもたらさない。本明細書中の用語は、本発明の実施にとって不可欠な特許請求の範囲に記載されていない任意の構成要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0075】
[081]本明細書に開示された具体的な実施形態は、~からなる、又は~から実質的になるという語を使用して、特許請求の範囲でさらに限定してもよい。特許請求の範囲において使用する場合、出願時の、又は補正によって追加したかどうかを問わず、「~からなる(consisting of)」という移行語(transition term)は、特許請求の範囲で指定されていない、任意の構成要素、ステップ、又は成分を排除する。「~から実質的になる」という移行語は、指定された材料又はステップ、及び基本的及び新規な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないものに、特許請求の範囲を限定する。このように、特許請求された本開示の実施形態は、本明細書に本質的に又は明らかに記載され、利用可能である。
【国際調査報告】