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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】エアロゾル前駆体製剤
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/167 20200101AFI20240213BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240213BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240213BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240213BHJP
【FI】
A24B15/167
A24F40/10
A24F40/40
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551162
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022051443
(87)【国際公開番号】W WO2022180491
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,255
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タラスキー,カレン・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】フィグラー,ジェームズ・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルバーディング,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ガーネット,キャロリン
【テーマコード(参考)】
4B043
4B162
【Fターム(参考)】
4B043BB08
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC11
4B043BC18
4B043BC20
4B043BC22
4B043BC28
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AB28
4B162AC16
4B162AC17
4B162AC32
4B162AC34
4B162AD02
4B162AD03
4B162AD15
4B162AD16
4B162AD23
(57)【要約】
本開示は、2つ以上の有機酸を含む、エアロゾル送達装置に使用するのに適した液体エアロゾル前駆体組成物を提供する。例えば、1つのそのような組成物は、少なくとも1つのエアロゾル形成剤と、ニコチンと、安息香酸と、乳酸と、レブリン酸とを含み、安息香酸は、少なくとも0.15の、安息香酸対ニコチンのモル比で存在し、乳酸は、少なくとも0.2の、乳酸対ニコチンのモル比で存在し、レブリン酸は、少なくとも0.12の、レブリン酸対ニコチンのモル比で存在する。本開示は、そのような組成物を組み込んだ装置及びキットをさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエアロゾル形成剤と、ニコチンと、安息香酸と、乳酸と、レブリン酸とを含む、エアロゾル送達装置に使用するのに適した液体エアロゾル前駆体組成物であって、安息香酸が、少なくとも0.15の、安息香酸対ニコチンのモル比で存在し、乳酸が、少なくとも0.2の、乳酸対ニコチンのモル比で存在し、及びレブリン酸が、少なくとも0.12の、レブリン酸対ニコチンのモル比で存在する、液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項2】
安息香酸対ニコチンのモル比が0.5以下である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項3】
乳酸対ニコチンのモル比が0.5以下である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項4】
レブリン酸対ニコチンのモル比が0.6以下である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項5】
安息香酸対ニコチンのモル比が0.18~0.5である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項6】
乳酸対ニコチンのモル比が0.23~0.5である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項7】
レブリン酸対ニコチンのモル比が0.15~0.55である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項8】
ニコチンに対して0.3モル当量未満の乳酸と、ニコチンに対して0.3モル当量未満の安息香酸とを含む、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項9】
レブリン酸対ニコチンのモル比が、乳酸対ニコチンのモル比よりも高く、及び/又は安息香酸対ニコチンのモル比よりも高い、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項10】
レブリン酸対ニコチンのモル比が、乳酸対ニコチンのモル比よりも高く、及び安息香酸対ニコチンのモル比よりも高い、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項11】
酸対ニコチンの合計モル比が少なくとも0.7である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項12】
ニコチンが、液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約0.5~約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項13】
エアロゾル形成剤が、少なくとも1つの多価アルコールを含む、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項15】
エアロゾル形成剤が、1つ以上の多価アルコールを含み、及び前記1つ以上の多価アルコールが、液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約50重量%以上の量で存在する、請求項13に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項16】
エアロゾル形成剤が、グリセリン及びプロピレングリコールを含み、並びに液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、前記グリセリンが、約40重量%以上の量で存在し、及び前記プロピレングリコールが、約5重量%以上の量で存在する、請求項15に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項17】
液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、グリセリンが、約45重量%~約70重量%の量で存在し、プロピレングリコールが、約6重量%~約40重量%の量で存在する、請求項16に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項18】
液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約5重量%以下の水を含む、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項19】
液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約3重量%以下の水を含む、請求項18に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項20】
リン酸、酢酸及びピルビン酸のうちの1つ以上を実質的に含まないか、又は完全に含まない、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項21】
液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約30重量%以下の総量で1つ以上の香味料をさらに含む、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項22】
液体エアロゾル前駆体組成物のpHが、約5~約7.5である、請求項1に記載の液体エアロゾル前駆体組成物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の液体エアロゾル前駆体組成物を収容するチャンバを囲むハウジングと、
前記チャンバと流体連通し、及び前記液体エアロゾル前駆体組成物を加熱してエアロゾルを形成するように構成された熱源と、
前記エアロゾルをエアロゾル送達装置の吸い口端に運ぶように配置されたエアロゾル経路と
を備える、エアロゾル送達装置。
【請求項24】
熱源が電動加熱要素を備え、及びエアロゾル送達装置が、前記加熱要素に電子的に接続された電源をさらに備える、請求項23に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項25】
電源によって加熱要素に伝達される電力を制御するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項24に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項26】
制御本体と、
各カートリッジが、請求項1~22のいずれか一項に記載の液体エアロゾル前駆体組成物を収容するチャンバを囲むハウジングを備える1つ以上のカートリッジと
を備えるキット。
【請求項27】
1つ以上の充電構成要素、又は1つ以上の電池をさらに備える、請求項26に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの物質をユーザに送達するように設計された喫煙品などのエアロゾル提供システム、及びその中で使用するための製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
使用のためにタバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品の改良品又は代替品として、多くのエアロゾル提供システム、特に不燃性エアロゾル提供システムが長年にわたって提案されてきた。これらのシステムは、一般に、少なくとも1つの物質をユーザに送達するように、例えば、特定の「消費者の瞬間」を満足させるように設計される。この目的のために、物質は、ユーザに生理学的効果、ユーザに感覚的効果、又はその両方を与える成分を含み得る。物質は、一般に、活性物質、香味、エアロゾル形成剤材料、及び充填剤のような他の機能性材料などの一連の成分の1つ以上の成分を含有し得るエアロゾル生成材料中に存在し得る。
【0003】
エアロゾル提供システムには、例えば、「電子タバコ(electronic cigarette)」、「電子タバコ(e-cigarette)」又は電子ニコチン送達システム(ENDS)として一般的に知られる蒸気製品、並びにタバコ加熱製品(THP)及びカーボンチップ付きタバコ加熱製品(carbon-tipped tobacco heating product)(CTHP)を含む加熱式製品が含まれる。これらの製品の多くは、装置及び消耗品を含むシステムの形態をとり、送達されるべき物質が由来する材料を含むのは消耗品である。典型的には、装置は再使用可能であり、(一部の消耗品は再充填可能であるが)消耗品は使い捨てである。したがって、多くの場合、消耗品は装置とは別個に販売され、多くの場合、マルチパックで販売される。さらに、サブシステム、及び装置又は消耗品のいくつかの個々の構成要素は、専門製造業者から供給され得る。
【0004】
当技術分野では、官能特性が向上したエアロゾル提供システムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の例示的な実装形態は、エアロゾル送達装置に使用するための製剤(液体エアロゾル前駆体組成物)に関する。そのような製剤は、ニコチン及び少なくとも1つのエアロゾル形成剤に加えて、複数の酸(例えば、2つ以上の有機酸又は3つ以上の有機酸を含む)を有利に含む。本明細書で実証されるように、複数の有機酸を使用すると、そのような製剤を含むエアロゾル送達装置の使用に関連する肯定的な官能特性がもたらされ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0007】
実施形態1:少なくとも1つのエアロゾル形成剤と、ニコチンと、安息香酸と、乳酸と、レブリン酸とを含む、エアロゾル送達装置に使用するのに適した液体エアロゾル前駆体組成物であって、安息香酸が、少なくとも0.15の、安息香酸対ニコチンのモル比で存在し、乳酸が、少なくとも0.2の、乳酸対ニコチンのモル比で存在し、及びレブリン酸が、少なくとも0.12の、レブリン酸対ニコチンのモル比で存在する、液体エアロゾル前駆体組成物。
【0008】
実施形態2:安息香酸対ニコチンのモル比が0.5以下である、実施形態1の液体エアロゾル前駆体組成物。
【0009】
実施形態3:乳酸対ニコチンのモル比が0.5以下である、実施形態1又は2の液体エアロゾル前駆体組成物。
【0010】
実施形態4:レブリン酸対ニコチンのモル比が0.6以下である、実施形態1~3のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0011】
実施形態5:安息香酸対ニコチンのモル比が0.18~0.5である、実施形態1~4のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0012】
実施形態6:乳酸対ニコチンのモル比が0.23~0.5である、実施形態1~5のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0013】
実施形態7:レブリン酸対ニコチンのモル比が0.15~0.55である、実施形態1~6のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0014】
実施形態8:ニコチンに対して0.3モル当量未満の乳酸と、ニコチンに対して0.3モル当量未満の安息香酸とを含む、実施形態1~7のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0015】
実施形態9:レブリン酸対ニコチンのモル比が、乳酸対ニコチンのモル比よりも高く、及び/又は安息香酸対ニコチンのモル比よりも高い、実施形態1~8のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0016】
実施形態10:レブリン酸対ニコチンのモル比が、乳酸対ニコチンのモル比よりも高く、及び安息香酸対ニコチンのモル比よりも高い、実施形態1~9のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0017】
実施形態11:酸対ニコチンの合計モル比が少なくとも0.7である、実施形態1~10のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0018】
実施形態12:ニコチンが、液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約0.5~約10重量%の量で存在する、実施形態1~11のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0019】
実施形態13:エアロゾル形成剤が、少なくとも1つの多価アルコールを含む、実施形態1~12のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0020】
実施形態14:エアロゾル形成剤が、少なくとも1つの多価アルコールを含み、並びに少なくとも1つの多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~13のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0021】
実施形態15:エアロゾル形成剤が、1つ以上の多価アルコールを含み、及び1つ以上の多価アルコールが、液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約50重量%以上の量で存在する、実施形態1~14のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0022】
実施形態16:エアロゾル形成剤が、グリセリン及びプロピレングリコールを含み、並びに液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、グリセリンが、約40重量%以上の量で存在し、及びプロピレングリコールが、約5重量%以上の量で存在する、実施形態1~15のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0023】
実施形態17:エアロゾル形成剤が、グリセリン及びプロピレングリコールを含み、並びに液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、グリセリンが、約40重量%~約70重量%、又は約45重量%~約70重量%の量で存在し、及びプロピレングリコールが、約5重量%~約40重量%、又は約6重量%~約40重量%(例えば、約6重量%~約26重量%)の量で存在する、実施形態1~16のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0024】
実施形態18:液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約5重量%以下の水を含む、実施形態1~17のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0025】
実施形態19:液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約3重量%以下の水を含む、実施形態1~18のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0026】
実施形態20:プロピレングリコールを実質的に含まないか、又は完全に含まない、実施形態1~15のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0027】
実施形態21:エアロゾル形成剤がグリセリンを含み、及びグリセリンが、液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、少なくとも約50重量%(例えば、約70重量%~約90重量%)の量で存在する、実施形態20の液体エアロゾル前駆体組成物。
【0028】
実施形態22:液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%の水をさらに含む、実施形態20又は21の液体エアロゾル前駆体組成物。
【0029】
実施形態23:液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、少なくとも約60重量%(例えば、少なくとも約70重量%又は少なくとも約75重量%)の水を含む、実施形態1~15のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0030】
実施形態24:液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約30重量%以下(例えば、約5重量%~約30重量%約5重量%~約20重量%、又は約5重量%~約15重量%)のグリセリンをさらに含む、実施形態23の液体エアロゾル前駆体組成物。
【0031】
実施形態25:リン酸、酢酸及びピルビン酸のうちの1つ以上を実質的に含まないか、又は完全に含まない、実施形態1~24のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0032】
実施形態26:液体エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約30重量%以下の総量で1つ以上の香味料をさらに含む、実施形態1~25のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0033】
実施形態27:約5~約7.5のpHを有する、実施形態1~26のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物。
【0034】
実施形態28:実施形態1~27のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物を収容するチャンバを囲むハウジングと、チャンバと流体連通し、及び液体エアロゾル前駆体組成物を加熱してエアロゾルを形成するように構成された熱源と、エアロゾルをエアロゾル送達装置の吸い口端に運ぶように配置されたエアロゾル経路とを備える、エアロゾル送達装置。
【0035】
実施形態29:熱源が電動加熱要素を備え、及びエアロゾル送達装置が、加熱要素に電子的に接続された電源をさらに備える、実施形態28のエアロゾル送達装置。
【0036】
実施形態30:電源によって加熱要素に伝達される電力を制御するように構成されたコントローラをさらに備える、実施形態28又は29のエアロゾル送達装置。
【0037】
実施形態31:制御本体と、各カートリッジが、実施形態1~27のいずれかの液体エアロゾル前駆体組成物を収容するチャンバを囲むハウジングを備える1つ以上のカートリッジとを備えるキット。
【0038】
実施形態32:1つ以上の充電構成要素、又は1つ以上の電池をさらに備える、実施形態31のキット。
【0039】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下に簡単に説明する添付の図面とともに、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本開示は、そのような特徴若しくは要素が本明細書に記載の特定の例示的な実装形態において明示的に組み合わされているか、又はそうでなければ列挙されているかどうかにかかわらず、本開示に記載された2つ、3つ、4つ又はそれ以上の特徴又は要素の任意の組合せを含む。本開示は、本開示の文脈が明らかに他のことを指示しない限り、その態様及び例示的な実装形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴又は要素が組合せ可能に見えるように全体的に読み取られることを意図している。
【0040】
したがって、この概要は、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、いくつかの例示的な実装形態を要約する目的のためにのみ提供されることが理解されるであろう。したがって、上記の例示的な実装形態は単なる例であり、決して本開示の範囲又は趣旨を狭めると解釈されるべきではないことが理解されるであろう。他の例示的な実装形態、態様及び利点は、いくつかの説明された例示的な実装形態の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0041】
本開示の態様は上述の一般的な用語で記載しており、添付の図面をこれから参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本開示のいくつかの例示的な実装形態によるエアロゾル提供システムのブロック図である。
図2】いくつかの例示的な実装形態による、蒸気製品の形態のエアロゾル提供システムを示す。
図3】いくつかの例示的な実装形態による、蒸気製品の形態のエアロゾル提供システムを示す。
図4】いくつかの例示的な実装形態による、エアロゾル提供システムのエアロゾル生成器を実装するために使用され得るネブライザを示す。
図5】いくつかの例示的な実装形態による、タバコ加熱製品(THP)の形態のエアロゾル提供システムを示す。
図6】いくつかの例示的な実装形態による、タバコ加熱製品(THP)の形態のエアロゾル提供システムを示す。
図7】いくつかの例示的な実装形態による、タバコ加熱製品(THP)の形態のエアロゾル提供システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示のいくつかの実装形態は、これから、本開示のすべての実装形態ではなく一部が示されている添付の図面を参照して、以下でさらに完全に説明される。実際、本開示の様々な実装形態は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実装形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実装形態は、本開示が徹底的及び完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0044】
別段の言及がない限り、又は文脈から明らかでない限り、第1、第2などへの言及は、特定の順序を意味すると解釈されるべきではない。別の特徴の上にあると記載されている特徴は(別段の言及がない限り、又は文脈から明らかでない限り)、代わりに下にあってもよく、逆もまた同様である。同様に、別の特徴の左側にあると記載されている特徴は、代わりに右側にあってもよく、逆もまた同様である。また、本明細書では定量的尺度、値、形状的関係などを参照することがあるが、別段の記載がない限り、これらのすべてではないにしてもいずれか1つ以上のものは、技術的な許容範囲などによるものなど、起こり得る許容可能な変形例を説明するように絶対的又は近似的であり得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、別段の言及がない限り、又は文脈から明らかでない限り、オペランドのセットの「又は」は「包括的又は」であり、それによって、オペランドのすべてが真である場合に偽である「排他的又は」とは対照的に、オペランドのうちの1つ以上が真である場合及び場合にのみ真である。したがって、例えば、「[A]又は[B]」は、[A]が真である場合、又は[B]が真である場合、又は[A]及び[B]の両方が真である場合に真である。さらに、冠詞「a」及び「an」は、別段の言及がない限り、又は単数形を対象とすることが文脈から明らかでない限り、「1つ以上」を意味する。さらに、別段の言及がない限り、用語「データ」、「コンテンツ」、「デジタルコンテンツ」、「情報」、及び同様の用語は、時には区別なく使用され得ることを理解されたい。
【0046】
本開示は、例えば、エアロゾル送達装置に使用するのに適したエアロゾル前駆体組成物124(本明細書では「エアロゾル生成材料」とも呼ばれる)を提供し、エアロゾル前駆体組成物は、2つ以上又は3つ以上の異なる有機酸の組合せを含む有機酸成分136を含む。特に、エアロゾル前駆体に有機酸を組み込んで、液体エアロゾル前駆体組成物と組み合わせられ得る(又は液体エアロゾル前駆体組成物内に含有され得る)ニコチンなどの薬剤の香味、感覚又は感覚刺激特性に影響を与えてもよい。ある特定の実施形態では、有機酸の組合せを含むエアロゾル前駆体組成物は、本明細書で以下にさらに完全に説明されるように、そこから生成されるエアロゾルに関連する驚くほど改善された香味特性をもたらし得る。
【0047】
開示されるエアロゾル前駆体組成物内に含まれ得る有機酸の特定の例には、限定するものではないが、レブリン酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、安息香酸、フマル酸、それらの組合せなどの酸が挙げられる。ニコチンを含むエアロゾル前駆体組成物に有機酸成分136を含めることにより、塩形態のニコチンを含むプロトン化液体エアロゾル前駆体組成物を提供してもよい。
【0048】
開示されるエアロゾル前駆体組成物内に含まれ得る有機酸の追加の例には、置換安息香酸がある。様々な置換安息香酸が公知であり、様々な実施形態で使用され得る。置換安息香酸は、安息香酸のベンゼン環上に1つ以上の置換基を有することができ、置換基は、例えば、オルト、パラ及び/又はメタ置換基であり得る。置換基の非限定的な例には、例えば、ヒドロキシル基、ハロ基(例えば、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基及びヨード基)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピルなど)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)が挙げられ得、置換安息香酸の具体例には、限定するものではないが、2-ヒドロキシ安息香酸(サリチル酸)、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、2-メトキシ安息香酸、2-エトキシ安息香酸、3,5-ジメチル安息香酸、2,3-ジヒドロキシ安息香酸(ピロカテク酸)、3,5-ジヒドロキシ安息香酸(α-レソルシル酸)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(ゲンチジン酸)、3,4-ジヒドロキシ安息香酸(プロトカテク酸)、4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸(バニリン酸)、3-ヒドロキシ-4-メトキシ安息香酸(イソバニリン酸)、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)、2-ヒドロキシ-6-メチル安息香酸(6-メチルサリチル酸)、2,4-ジヒドロキシ-6-メチル安息香酸(オルセリン酸)、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシ安息香酸(シリンガ酸)及び[3,4-ジヒドロキシ-5-[(3,4,5-トリヒドロキシベンゾイル)オキシ]安息香酸](ジ没食子酸)が挙げられる。一実施形態では、置換安息香酸の類似体が、開示される製剤による有機酸として使用され、例えば、フェニル環がナフタレンによって置換されている。そのような酸の一例には、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸がある。本明細書に記載される任意の実施形態では、上に開示されるあらゆる酸を含む置換安息香酸は、安息香酸を置換することができる。
【0049】
開示されるエアロゾル前駆体組成物内の有機酸成分136として、有機酸の任意の組合せを使用することができる。ある特定の実施形態では、2つ以上の有機酸又は3つ以上の有機酸を含むエアロゾル前駆体組成物が提供される。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、レブリン酸及び安息香酸を含む。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、乳酸及び安息香酸を含む。特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、乳酸及びレブリン酸を含む。ある特定の実施形態では、リン酸、酢酸及び/又はピルビン酸は、エアロゾル前駆体組成物に意図的に添加されない。したがって、本明細書に提供される特定のエアロゾル前駆体組成物は、リン酸、酢酸及びピルビン酸のうちの1つ以上を実質的に含まない、又は完全に含まないと記載され得る。「実質的に含まない」とは、特定の酸が意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、0.001重量%未満、若しくは0.0001重量%未満、又はさらには0重量%のリン酸、酢酸及びピルビン酸のうちの1つ以上を有することを特徴とすることができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、2つの有機酸を含むエアロゾル前駆体(例えば、「二酸」製剤)が提供される。ある特定の実施形態では、上で言及された酸の様々な組合せが使用され得る。いくつかのそのような実施形態では、特に乳酸及び安息香酸を含む二酸エアロゾル前駆体が提供される。
【0051】
ある特定の実施形態では、3つの有機酸を含むエアロゾル前駆体組成物(例えば、本明細書では「三酸」製剤と呼ばれる)が提供される。ある特定の実施形態では、上で言及された酸のうちの3つの様々な組合せ、例えば、レブリン酸、コハク酸及び乳酸;レブリン酸、コハク酸及びピルビン酸;レブリン酸、コハク酸及び安息香酸;レブリン酸、コハク酸及びフマル酸;レブリン酸、乳酸及びピルビン酸;レブリン酸、乳酸及び安息香酸;レブリン酸、乳酸及びフマル酸;レブリン酸、ピルビン酸及び安息香酸;レブリン酸、ピルビン酸及びフマル酸;レブリン酸、安息香酸及びフマル酸;コハク酸、乳酸及びピルビン酸;コハク酸、乳酸及び安息香酸;コハク酸、乳酸及びフマル酸;コハク酸、ピルビン酸及び安息香酸;コハク酸、ピルビン酸及びフマル酸;コハク酸、安息香酸及びフマル酸;乳酸、ピルビン酸及び安息香酸;乳酸、ピルビン酸及びフマル酸;並びに乳酸、安息香酸及びフマル酸を使用することができる。特定の一実施形態では、液体エアロゾル前駆体は、安息香酸、乳酸及びレブリン酸を含む。
【0052】
エアロゾル前駆体組成物が2つ以上(3つ以上を含む)の有機酸を含む場合、互いに対する成分有機酸のモル比、及びニコチン(同じくエアロゾル前駆体組成物内に含まれる)のモル比に対するそれらのモル比は変化し得る。いくつかの実施形態では、これらのモル比は、本明細書で以下にさらに詳細に説明されるように、エアロゾル提供装置102内のエアロゾル前駆体組成物から生成された蒸気に関連する味特性を改質するように調整され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、開示されるエアロゾル前駆体組成物は、有利には、有機酸成分136の有機酸対ニコチンのモル比によって部分的に説明され得る。一般に、エアロゾル前駆体組成物内の全有機酸対ニコチンの合計モル比は、約0.5以上である。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物中の全有機酸対ニコチンの合計モル比は、少なくとも0.7である。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物中の全有機酸対ニコチンの合計モル比は、少なくとも0.71、少なくとも0.72、少なくとも0.73、少なくとも0.74、少なくとも0.75、少なくとも0.76、少なくとも0.77、少なくとも0.78、少なくとも0.79、少なくとも0.8、少なくとも0.81、少なくとも0.82、少なくとも0.83、少なくとも0.84、少なくとも0.85、少なくとも0.86、少なくとも0.87、少なくとも0.88、少なくとも0.89、少なくとも0.9、少なくとも0.91、少なくとも0.92、少なくとも0.93、少なくとも0.94又は少なくとも0.95である。開示されるエアロゾル前駆体組成物の様々な実施形態内の有機酸成分136(組成物内の全有機酸を含む)対ニコチンのモル比の例示的な範囲には、0.7~1.5、0.7~1.2、0.7~1.0、0.7~0.95、0.7~0.9、0.7~0.85、0.7~0.8、0.75~1.5、0.75~0.1、0.75~1.0、0.75~0.95、0.75~0.90、0.8~1.5、0.8~1.2、0.8~1.0、0.8~0.95、0.85~1.5、0.85~1.2、0.85~1.0、又は0.85~0.90が含まれる。
【0054】
いくつかの実施形態では、有機酸成分134は、総有機酸含有量に基づいて、ニコチンと等モル未満であるような量(例えば、ニコチンに対して約0.7モル当量、約0.8モル当量又は約0.9モル当量)で含まれる。いくつかの実施形態では、有機酸成分134は、総有機酸含有量に基づいて、ニコチンと等モル未満であるような量(例えば、ニコチンに対して約1.1モル当量、約1.2モル当量、約1.3モル当量又は約1.4モル当量)で含まれる。いくつかの実施形態では、有機酸成分134は、総有機酸含有量に基づいて、ニコチンとほぼ等モル(すなわち、ニコチンに対して約1モル当量)である。
【0055】
三酸製剤では、特に、有機酸成分136の有機酸は、互いに対してほぼ等モル量で提供され得るか、又は有機酸のうちの1つ以上は、他の酸よりも少ない若しくは多い量で提供され得る。3つ以上の有機酸を組み込むいくつかの実施形態では、全有機酸がほぼ等モル量で含まれる。3つ以上の有機酸を組み込むいくつかの実施形態では、2つの有機酸が互いに対してほぼ等モル量で含まれ、第3の有機酸がそれよりも少ないモル量で含まれる。3つ以上の有機酸を組み込むいくつかの実施形態では、2つの有機酸が互いに対してほぼ等モル量で含まれ、第3の有機酸がそれよりも多いモル量で含まれる。3つ以上の有機酸を組み込むいくつかの実施形態では、各有機酸は異なるモル量で含まれる。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるエアロゾル前駆体組成物は、安息香酸を含み、安息香酸:ニコチンのモル比は、少なくとも0.15、例えば、少なくとも0.16、少なくとも0.18、少なくとも0.20、少なくとも0.22、少なくとも0.24又は少なくとも0.25である。いくつかの実施形態では、安息香酸:ニコチンのモル比は0.5以下であり、例示的な安息香酸:ニコチンのモル比の範囲は、0.15~0.50、0.16~0.50、0.18~0.50、0.20~0.50、0.25~0.50、0.15~0.45、0.15~0.40、0.15~0.35、0.15~0.30、又は0.15~0.25である。
【0057】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、乳酸を含み、乳酸:ニコチンのモル比は、少なくとも0.20、例えば、少なくとも0.22、少なくとも0.23、少なくとも0.24、少なくとも0.25、少なくとも0.26、少なくとも0.28又は少なくとも0.30である。いくつかの実施形態では、乳酸:ニコチンのモル比は0.5以下であり、例示的な乳酸:ニコチンのモル比の範囲は、0.20~0.50、0.22~0.50、0.23~0.50、0.25~0.50、0.26~0.50、0.28~0.50、0.20~0.40、0.20~0.35、又は0.20~0.30である。いくつかの実施形態では、乳酸:ニコチンのモル比は、約0.4~約0.6、例えば、少なくとも約0.40、少なくとも約0.42、少なくとも約0.44、少なくとも約0.46又は少なくとも約0.48、例えば、約0.45~約0.55、又は0.48~約0.52である。
【0058】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、レブリン酸を含み、レブリン酸:ニコチンのモル比は、少なくとも0.12、例えば、少なくとも0.14、少なくとも0.15、少なくとも0.16、少なくとも0.18、少なくとも0.20、少なくとも0.22、少なくとも0.24、少なくとも0.25、少なくとも0.26、少なくとも0.28又は少なくとも0.30である。いくつかの実施形態では、乳酸:ニコチンのモル比は0.6以下であり、例示的な乳酸:ニコチンのモル比の範囲は、0.12~0.60、0.14~0.60、0.15~0.60、0.16~0.60、0.18~0.60、0.20~0.60、0.12~0.55、0.14~0.55、0.15~0.55、0.16~0.55、0.18~0.55、0.20~0.55、0.12~0.50、0.14~0.50、0.15~0.50、0.16~0.50、0.18~0.50、0.20~0.50、0.20~0.55、0.20~0.50、0.25~0.60、又は0.25~0.50である。
【0059】
特定の一実施形態では、乳酸及び安息香酸を含む2つの有機酸を含むエアロゾル前駆体組成物(例えば、「二酸」製剤)が提供される。互いに対する2つの有機酸の比は変化し得、各々がほぼ等しいモル比であるか、又は一方若しくは他方の方が多い量である。いくつかのそのような実施形態では、乳酸のモル比が安息香酸のモル当量以上であるような量の乳酸を提供することが有利である。いくつかの実施形態では、乳酸のモル当量が安息香酸のモル当量未満であるような量の乳酸を提供することが有利である。いくつかの実施形態では、乳酸及び安息香酸の各々は、少なくとも約0.4、少なくとも約0.45又は少なくとも約0.5の、酸:ニコチンのモル比で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態では、安息香酸はニコチンに対して約0.4モル当量以上で含まれ、乳酸はニコチンに対して約0.5モル当量以上で含まれる。特定の例示的な二酸製剤には、約0.4の、乳酸対ニコチンのモル比と、約0.46の、安息香酸対ニコチンのモル比とを有する製剤;約0.5の、乳酸対ニコチンのモル比と、約0.5の、安息香酸対ニコチンのモル比とを有する製剤;及び約0.54の、乳酸対ニコチンのモル比と、約0.46の、安息香酸対ニコチンのモル比とを有する製剤が含まれる。
【0061】
特定の一実施形態では、少なくとも0.15の、安息香酸対ニコチンのモル比を有する安息香酸;少なくとも0.2の、乳酸対ニコチンのモル比を有する乳酸;及び少なくとも0.12の、レブリン酸対ニコチンのモル比を有するレブリン酸を含む3つの有機酸を含むエアロゾル前駆体組成物が提供され、そのようなモル比は、存在する有機酸の総量がエアロゾル前駆体組成物中に存在するニコチンの総量に対して等モルである濃度までである。ある特定の実施形態では、乳酸及び安息香酸の一方又は両方は、0.30未満、例えば、0.15~0.28、又は0.15~0.25の、酸対ニコチンのモル比を有する。
【0062】
ある特定の実施形態では、約0.21の、安息香酸対ニコチンのモル比を有する安息香酸;約0.29の、乳酸対ニコチンのモル比を有する乳酸;及び約0.50の、レブリン酸対ニコチンのモル比を有するレブリン酸を含む3つの酸を含むエアロゾル前駆体組成物が提供される。ある特定の実施形態では、約0.46の、安息香酸対ニコチンのモル比を有する安息香酸;約0.26の、乳酸対ニコチンのモル比を有する乳酸;及び約0.18の、レブリン酸対ニコチンのモル比を有するレブリン酸を含むエアロゾル前駆体組成物が提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、乳酸よりも高いモル比でレブリン酸を含むこと、又は安息香酸よりも高いモル比でレブリン酸を含むことが有利であり得る。ある特定の実施形態では、レブリン酸は、乳酸及び安息香酸の各々よりも高いモル比で含まれる。いくつかの実施形態では、安息香酸は、乳酸及び安息香酸の各々よりも高いモル比で含まれる。
【0064】
エアロゾル前駆体組成物124は、一般に、上記の有機酸成分136(2つ以上の有機酸を含む)に加えて、活性物質126、香味料128、エアロゾル形成剤材料130又は他の機能性材料132などのいくつかの成分の各々のうちの1つ以上を含む。
【0065】
活性物質126は、生理活性材料であってよく、生理活性材料は、覚醒度の改善、集中力の改善、エネルギーの増加、スタミナの増加、穏やかさの増加、又は睡眠の改善などの生理学的反応を達成又は増強することが意図された材料である。活性物質は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、精神賦活剤から選択され得る。活性物質は、天然に存在していてもよいか、又は合成的に得られてもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、GABA(γ-アミノ酪酸)、L-テアニン、タウリン、テイン、ビタミン、例えば、B6若しくはB12(コバラミン)若しくはC、メラトニン、カンナビノイド、テルペン、又はそれらの成分、由来物若しくは組合せを含み得る。活性物質は、タバコ、カンナビス又は別の植物の1つ以上の成分、由来物又は抽出物を含み得る。
【0066】
ある特定の実施形態では、活性物質126は、ニコチンを含む。そのようなエアロゾル前駆体組成物に含まれるニコチンの量は変化し得、ある特定の実施形態では、エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約0.5~約10重量%である。いくつかの実施形態では、ニコチンの量は、エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約1~約6重量%、例えば、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%又は約5重量%のニコチンであり得る。
【0067】
活性物質126が由来物又は抽出物を含むいくつかの例では、活性物質は、1つ以上のカンナビノイド若しくはテルペンであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0068】
本明細書で述べるように、活性物質126は、1つ以上の植物性物質若しくはその成分、由来物若しくは抽出物を含み得るか、又はそれらに由来し得る。本明細書で使用される場合、用語「植物性」は、限定するものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種子、花、果実、花粉、外皮、殻などを含む、植物に由来する任意の材料を含む。又は、材料は、合成的に得られた、植物に天然に存在する活性化合物を含んでもよい。材料は、液体、気体、固体、粉末、ダスト、破砕粒子、顆粒、ペレット、細断片、細片、シートなどの形態であってよい。植物性物質の例には、タバコ、ユーカリ、スターアニス、麻、ココア、カンナビス、フェンネル、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ゲッケイジュ、カンゾウ(licorice)(カンゾウ(liquorice))、マッチャ、マテ、ミカン果皮、パパイヤ、バラ、セージ、茶、例えば、緑茶若しくは紅茶、タイム、クローブ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ビャクシン、エルダーフラワー、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、クルクマ、ウコン、ビャクダン、コリアンダー葉、ベルガモット、オレンジの花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミアン、マヨラマ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、クワ、人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ又はそれらの任意の組合せがある。ミントは、以下のミント品種、すなわち、メンタ・アルベンティス(Mentha Arventis)、メンタ品種(Mentha c.v.)、エジプシャンミント(Mentha niliaca)、メンタ・ピペリタ(Mentha piperita)、メンタ・ピペリタ・シトラタ品種(Mentha piperita citrata c.v.)、メンタ・ピペリタ品種(Mentha piperita c.v.)、メンタ・スピカタ・クリスパ(Mentha spicata crispa)、メンタ・カルディフォリア(Mentha cardifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、メンタ・スアベオレンス・バリエガタ(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、スペアミント品種(Mentha spicata c.v.)及びマルバハッカ(Mentha suaveolens)から選択され得る。
【0069】
さらに他の例では、活性物質126は、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)/オキシトリプタン/グリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia simplicifolia)、アセチルコリン、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、アシュワガンダ(ウィザニア・ソムニフェラ(Withania somnifera))、バコパ・モニエラ(Bacopa monniera)、ベータアラニン、ベータ-ヒドロキシ-ベータ-メチルブチレート(HMB)、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、サイコ、シナモン、シチコリン、コチニン、クレアチン、クルクミン、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、ドーパミン、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラータ(Dorstenia Odorata)、精油、GABA、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、グルタミン酸、ホップ、カエンプフェリア・パルビフローラ(kaempferia parviflora)(タイ人参)、キャバ、L-カルニチン、L-アルギニン、ラベンダー油、L-コリン、カンゾウ、L-リジン、L-テアニン、L-トリプトファン、ルテイン、マグネシウム、L-トレオン酸マグネシウム、ミオイノシトール、ナルドスタキス・キネンシス(nardostachys chinensis)、ニトレート、ビオラ・オドラータ(Viola odorata)の油性抽出物、酸素、フェニルアラニン、ホスファチジルセリン、ケルセチン、レスベラトロール、ライゾマ・ガストロディアエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ(Rhodiola)、ロディオラ・ロゼア(Rhodiola rosea)、ローズ精油、S-アデノシルメチオニン(SAMe)、スケレチウム・トルトゥオスム(sceletium tortuosum)、シザンドラ(schisandra)、セレン、セロトニン、タツナミソウ、スペアミント抽出物、カンショウ、テオブロミン、ウコン、トゥルネラ・アフロディシアカ(Turnera aphrodisiaca)、チロシン、ビタミンA、ビタミンB3若しくはイェルバ・マテのうちの1つ以上であり得るか、又はそれらを含み得る。
【0070】
いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル生成材料124は、香味料128を含む。本明細書で使用される場合、用語「香味料」及び「香味」は、地方条例が許可する場合、成人消費者向けの製品に所望の味、芳香又は他の体性感覚(somatosensorial sensation)を作り出すために使用され得る材料を指す。香味料には、天然に存在する香味材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成的に得られた材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、カンナビス、カンゾウ(licorice)(カンゾウ(liquorice))、アジサイ、オイゲノール、オオガシワ(Japanese white bark magnolia leaf)、カモミール、コロハ、クローブ、メープル、マッチャ、メントール、ハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ウコン、インドのスパイス、アジアのスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、熱帯果実、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、クワ、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、カート、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カッシア、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、フェンネル、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、メンタ属の任意の種由来のミント油、ユーカリ、スターアニス、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ゲッケイジュ、マテ、ミカン果皮、バラ、茶、例えば、緑茶又は紅茶、タイム、ビャクシン、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、コリアンダー葉、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミアン、マヨラマ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味増強剤、苦味受容部位遮断剤、感覚受容部位活性化剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール又はマンニトール)、並びに他の添加物、例えば、木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性物質又は呼気清涼化剤が含まれ得る。香味料は、模倣成分、合成成分若しくは天然成分又はそれらのブレンドであり得る。香味料は、任意の好適な形態、例えば、油などの液体、粉末などの固体、又は気体であり得る。
【0071】
いくつかの例示的な実装形態では、香味料128は、芳香若しくは味覚神経に加えて、又はその代わりに、通常化学的に誘導され、第5脳神経(三叉神経)の刺激によって知覚される体性感覚を実現することが意図された感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、刺痛効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。好適な熱効果剤は、限定するものではないが、バニリルエチルエーテルであってよく、好適な冷却剤は、限定するものではないが、ユーコリプトール(eucolyptol)又はWS-3であってよい。
【0072】
香味料128は、様々な量でエアロゾル前駆体組成物内に含まれ得、様々な量は、例えば、エアロゾル前駆体組成物の使用に関連する所望の官能特性、及び香味料の物理的特性(限定するものではないが、香味料の揮発性、及び香味料の物理的形態を含む)に依存し得る。いくつかの実施形態では、香味料128(単一の香味料、又は2つ以上の香味料の組合せを含む)は、エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下又は約5重量%以下の総量でエアロゾル前駆体組成物内に含まれる。香味料含有量の例示的な範囲は、エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づいて、約2重量%~約40重量%、約2重量%~約30重量%、約2重量%~約20重量%、約2重量%~約10重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約40重量%、又は約15重量%~約30重量%である。
【0073】
いくつかの実施形態では、これらの値は、「香味パッケージ」、すなわち、担体液体に溶解した香味(本明細書に開示される香味料が最終製剤に組み込まれる非限定的な方法である)に基づいて報告される。担体液体は、例えば、1つ以上のエアロゾル形成剤材料を含むことができる。典型的には、そのような香味パッケージ内のエアロゾル形成剤材料の量は、香味料の量よりも重量/重量ベースで多い。したがって、様々な製剤内で単独で考えられる香味料の関連する量(香味パッケージ内の関連するエアロゾル形成剤材料を除く)は、最終製剤に基づいて、例えば、最大約20重量%、最大約15重量%、最大約10重量%又は最大約8重量%(例えば、約0.5重量%~約20重量%、約0.5重量%~約15重量%、約0.5重量%~約10重量%、又は約0.5重量%~約8重量%)であり得る。
【0074】
エアロゾル形成剤材料130は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤材料は、少なくとも1つの多価アルコールを含む。いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル形成剤材料は、グリセリン(glycerine)(グリセリン(glycerin))、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤材料130は、少なくとも1つの多価アルコールを含む。そのような多価アルコールには、限定するものではないが、グリセリン、プロピレングリコール及びそれらの混合物が含まれる。
【0075】
エアロゾル形成剤材料130は、様々な量で存在することができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤材料は、エアロゾル前駆体組成物136の総重量に基づいて、約50重量%以上、約60重量%以上又は約70重量%以上の量で存在する。
【0076】
いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤材料は、グリセリン及びプロピレングリコールを含む。これらの成分は、組み合わせて、例えば、参照量(例えば、エアロゾル前駆体組成物136の総重量に基づいて約50重量%以上)で存在することができ、互いに対して様々な比で存在することができ、いずれかの成分が、意図される用途に応じて支配的である。いくつかの実施形態では、グリセリン及びプロピレングリコールは、エアロゾル形成剤材料130がプロピレングリコール含有量よりも高いグリセリン含有量を含むように存在する。例えば、グリセリンは、エアロゾル前駆体組成物136の総重量に基づいて約40重量%以上(例えば、約40%~約70%、又は約45%~約70%)の量で存在することができ、プロピレングリコールは、エアロゾル前駆体組成物136の総重量に基づいて約5重量%以上(例えば、約5%~約40%、約5%~約35%、約5%~約30%、約6%~約26%、約6%~約30%、約6%~約35%、又は約6%~約40%)の量で存在することができる。いくつかのそのような実施形態では、液体エアロゾル前駆体組成物中の水の量は、例えば、エアロゾル前駆体組成物136の総重量に基づいて、エアロゾル前駆体組成物が約10重量%以下の水、8重量%以下の水、約6重量%以下の水、約5重量%以下の水、約4重量%以下の水、又は約3重量%以下の水を含むように制限される。
【0077】
いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物124は、顕著な量の水を含む。
【0078】
例えば、いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤材料130が、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、又は少なくとも約10重量%の水、例えば、約5重量%~約25重量%の水を含むエアロゾル前駆体組成物124が提供される。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、製剤化されたエアロゾル前駆体組成物124は、エアロゾル前駆体組成物136の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%の水、例えば、約8重量%~約20重量%、又は約8重量%~約15重量%の水を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、例えば、エアロゾル前駆体組成物124の総重量に基づいて、約50重量%以上、約60重量%以上又は約70重量%以上、例えば、約70重量%~約90重量%の多価アルコールの量で、上で言及された少なくとも1つの多価アルコールをさらに含む。特定の実施形態では、そのような組成物中の少なくとも1つの多価アルコールは、例えば、エアロゾル前駆体組成物124がプロピレングリコールを実質的に含まないか、又は完全に含まないように、プロピレングリコール以外の多価アルコールである。例えば、そのような実施形態では、少なくとも1つの多価アルコールは、グリセリンを含み得る。約5%以上の水と約50%以上の多価アルコール(例えば、グリセリン)とを含むいくつかのそのような実施形態では、上記で言及された酸は、ニコチンに対して合計約1.5モル当量の酸で組み込まれる。
【0079】
さらなる実施形態では、エアロゾル形成剤材料130が、主に水、例えば、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%又は少なくとも約85重量%、例えば、約75重量%~約95重量%、又は約85重量%~約95重量%を含むエアロゾル前駆体組成物124が提供される。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、製剤化されたエアロゾル前駆体組成物124は、少なくとも約60重量%の水、少なくとも約65重量%の水、少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約75重量%の水、例えば、約60重量%~約85重量%の水、約70重量%~約85重量%の水、又は約75重量%~約85重量%の水を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、例えば、エアロゾル前駆体組成物124の総重量に基づいて、約30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下又は約15重量%以下、例えば、約5重量%~約30重量%、又は約5重量%~約15重量%の量で、上で言及された少なくとも1つの多価アルコールをさらに含む。特定の実施形態では、そのような組成物中の少なくとも1つの多価アルコールは、例えば、エアロゾル前駆体組成物124がプロピレングリコールを実質的に含まないか、又は完全に含まないように、プロピレングリコール以外の多価アルコールである。例えば、そのような実施形態では、少なくとも1つの多価アルコールは、グリセリンを含み得る。約65%以上の水と約50%以上の多価アルコール(例えば、グリセリン)とを含むいくつかのそのような実施形態では、上記で言及された酸は、ニコチンに対して合計約1モル当量の酸で組み込まれる。
【0080】
ある特定の実施形態では、含水量の参照値は、製剤に意図的に添加された水を示す(例えば、製剤が貯蔵される環境及び包装に応じて、追加の水が経時的に意図せずに組み込まれる場合がある)。
【0081】
1つ以上の他の機能性材料132は、pH調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤及び/又は酸化防止剤のうちの1つ以上を含み得る。好適な結合剤には、例えば、ペクチン、グアーガム、フルーツペクチン、シトラスペクチン、タバコペクチン、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガム、アルジネート、デンプン、加工デンプン、誘導体化デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、タマリンドガム、デキストラン、プラロン(pullalon)、コンニャク粉又はキサンタンガムが含まれる。
【0082】
エアロゾル前駆体組成物124のpHは、変化し得、例えば、有機酸成分134の含有量及び組成に依存し得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物のpHは、約4~約7.5、例えば、約5~約7.5、例えば、約5.5~約7.5である。
【0083】
本開示によるエアロゾル送達装置は、以下に詳細に説明されるように、様々な実施形態をとり得る。ただし、典型的には、消費者によるエアロゾル送達装置の使用は、範囲が同様である。エアロゾル前駆体組成物の上記の説明は、本明細書に提供されるさらなる開示に照らして当業者には明らかである軽微な変更を介して、記載される様々な実施形態に適用可能である。ただし、使用の説明は、エアロゾル前駆体組成物124の使用を限定することを意図するものではなく、本明細書の開示のすべての必要な要件を満たすために提供される。
【0084】
本明細書に記載のエアロゾル前駆体組成物124は、消耗品104の物品内に含まれ得、その一部又は全部は、ユーザによる使用中に消費されることが意図されている。エアロゾル提供システム100は、1つ以上の消耗品を含んでもよく、各消耗品は、1つ以上の液体エアロゾル前駆体組成物(本明細書に記載される通りであり得るか、又は代替タイプの組成物であり得る)を含んでもよい。エアロゾル提供システムがハイブリッド製品であるいくつかの例では、エアロゾル提供システムは、エアロゾルを生成するための液体エアロゾル前駆体組成物を含んでもよく、エアロゾルは、第2の固体エアロゾル生成材料を通過して、ユーザに到達する前に追加の成分を捕捉してもよい。これらのエアロゾル生成材料は、別個に取外し可能であり得る単一の消耗品又はそれぞれの消耗品内にあってもよい。
【0085】
エアロゾル前駆体組成物124は、例えば、任意の他の方法で加熱されるか、照射されるか、又はエネルギーを与えられるとエアロゾルを生成することができる。エアロゾル前駆体組成物は、例えば、固体、半固体、液体又はゲルの形態であってよい。ある特定の好ましい実施形態では、エアロゾル前駆体組成物124は液体エアロゾル前駆体組成物である。エアロゾル前駆体組成物は、代替的に「モノリシック固体」(すなわち、非繊維状)と呼ばれ得る「非晶質固体」を含んでもよい。いくつかの例では、非晶質固体は乾燥ゲルであり得る。非晶質固体は、その中に液体などの何らかの流体を保持し得る固体材料である。いくつかの例では、エアロゾル前駆体組成物は、約50重量%、60重量%又は70重量%の非晶質固体~約90重量%、95重量%又は100重量%の非晶質固体を含んでもよい。
【0086】
本開示の例示的な実装形態は、一般に、少なくとも1つの物質をユーザに送達するように、例えば、特定の「消費者の瞬間」を満足させるように設計された送達システムに関する。物質は、ユーザに生理学的効果、ユーザに感覚的効果、又はその両方を与える成分を含み得る。
【0087】
上で言及されたように、3つの異なる有機酸を含む有機酸成分136を使用することによって、送達システム内のエアロゾル前駆体組成物から形成されたエアロゾルの官能特性が改質され得、いくつかの実施形態では、驚くべき(例えば、肯定的な)官能/味特性がそのような有機酸成分の含有に関連する。
【0088】
本明細書に提供される開示されるエアロゾル前駆体組成物用の送達システムは、多くの形態をとってもよい。好適な送達システムの例には、エアロゾル生成材料を燃焼させることなくエアロゾル生成材料から1つ以上の物質又は化合物を放出するように設計された電動エアロゾル提供システムなどのエアロゾル提供システムが挙げられる。これらのエアロゾル提供システムは、不燃性エアロゾル提供システム、エアロゾル送達装置などと呼ばれることもあり得、エアロゾル生成材料は、例えば、固体、半固体、液体又はゲルの形態であってよく、ニコチンを含有しても含有しなくてもよい。
【0089】
好適なエアロゾル提供システムの例には、蒸気製品、加熱式製品、ハイブリッド製品などが挙げられる。蒸気製品は、「電子タバコ(electronic cigarette)」、「電子タバコ(e-cigarette)」又は電子ニコチン送達システム(ENDS)として一般に知られているが、エアロゾル生成材料はニコチンを含む必要はない。多くの蒸気製品は、液体材料を加熱してエアロゾルを生成するように設計されている。他の蒸気製品は、加熱することなく、又は二次加熱のみを用いてエアロゾル生成材料をエアロゾルに分解するように設計されている。加熱式製品には、タバコ加熱製品(THP)及びカーボンチップ付きタバコ加熱製品(CTHP)が含まれ、多くは、固体材料を燃焼させることなく固体材料を加熱してエアロゾルを生成するように設計されている。
【0090】
ハイブリッド製品は、エアロゾル生成材料の組合せを使用し、そのうちの1つ又は複数が加熱され得る。エアロゾル生成材料の各々は、例えば、固体、半固体、液体又はゲルの形態であってよい。いくつかのハイブリッド製品は、液体又はゲルのエアロゾル生成材料から生成されたエアロゾルが第2の材料(タバコなど)を通過して、ユーザに到達する前に追加の成分を捕捉することを除いて、蒸気製品に類似している。いくつかの例示的な実装形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル生成材料と、固体エアロゾル生成材料とを含む。固体エアロゾル生成材料は、例えば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0091】
図1は、本明細書に提供されるエアロゾル前駆体組成物を組み込んだ、いくつかの例示的な実装形態によるエアロゾル提供システム100のブロック図である。様々な例では、エアロゾル提供システムは、蒸気製品、加熱式製品又はハイブリッド製品であってよい。エアロゾル提供システムは、例えば、エアロゾル提供装置102と、エアロゾル提供装置とともに使用するための消耗品104(物品と呼ばれることもある)とを含むいくつかの構成要素の各々のうちの1つ以上を含む。エアロゾル提供システムはまた、エアロゾル生成器106を含む。様々な実装形態では、エアロゾル生成器は、エアロゾル提供装置又は消耗品の一部であってよい。他の実装形態では、エアロゾル生成器は、エアロゾル提供装置及び消耗品とは別個であり得、エアロゾル提供装置及び/又は消耗品と取外し可能に係合してもよい。
【0092】
様々な例では、エアロゾル提供システム100、並びにエアロゾル提供装置102及び消耗品104を含むその構成要素は、再使用可能又は使い捨てであってよい。いくつかの例では、エアロゾル提供装置及び消耗品の両方を含むエアロゾル提供システムは、使い捨てであってよい。いくつかの例では、エアロゾル提供装置は再使用可能であってよく、消耗品は再使用可能(例えば、再充填可能)又は使い捨て(例えば、交換可能)であってよい。さらに別の例では、消耗品は、再充填可能及び交換可能であってよい。エアロゾル生成器106がエアロゾル提供装置又は消耗品の一部である例では、エアロゾル生成器は、エアロゾル提供装置又は消耗品と同様に再使用可能又は使い捨てであり得る。
【0093】
いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル提供装置102は、電源110と回路112とを有するハウジング108を含んでもよい。電源は、エアロゾル提供装置、ひいてはエアロゾル提供システム100に電源を提供するように構成される。電源は、例えば、電力源、例えば、非充電式電池若しくは充電式電池、固体電池(SSB)、リチウムイオン電池、スーパーキャパシタなどであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0094】
回路112は、エアロゾル提供装置102、ひいてはエアロゾル提供システム100の1つ以上の機能(サービスと呼ばれることもある)を可能にするように構成されてもよい。回路は電子部品を含み、いくつかの例では、電子部品のうちの1つ以上は、プリント回路基板(PCB)などの回路基板として形成されてもよい。
【0095】
いくつかの例では、回路112は、エアロゾル提供装置102、ひいてはエアロゾル提供システム100を作動させるためにユーザによって直接的又は間接的に操作され得る少なくとも1つのスイッチ114を含む。スイッチは、ユーザによって手動で操作され得る押しボタン、接触感応面などであり得るか、又はそれらを含み得る。追加的又は代替的に、スイッチは、エアロゾル提供装置若しくはエアロゾル提供システムの使用を示す1つ以上の処理変数を感知するように構成されたセンサであり得るか、又はそれを含み得る。一例には、ユーザが消耗品104を吸引した際の空気流、又は空気流によって引き起こされた圧力変化を検出するように構成された流量センサ、圧力センサ、圧力スイッチなどがある。
【0096】
スイッチ114は、ユーザインタフェース機能を提供してもよい。いくつかの例では、回路112は、スイッチとは別個の、又はスイッチである若しくはスイッチを含むユーザインタフェース(UI)116を含んでもよい。UIは、ユーザとエアロゾル提供装置102との間の相互作用を可能にするための1つ以上の入力装置及び/又は出力装置を含んでもよい。スイッチに関して上述したように、好適な入力装置の例には、押しボタン、接触感応面などが含まれる。1つ以上の出力装置は、一般に、視覚的、聴覚的又は触感的/触覚的であり得る、人間が知覚可能な形態で情報を提供するように構成された装置を含む。好適な出力装置の例には、発光ダイオード(LED)、量子ドット系LEDなどの光源が含まれる。好適な出力装置の他の例には、ディスプレイ装置(例えば、電子視覚ディスプレイ)、タッチスクリーン(接触感応面とディスプレイ装置との統合)、スピーカ、振動モータなどが含まれる。
【0097】
いくつかの例では、回路112は、1つ以上の例示的な実装形態による、データ処理、アプリケーション実行又は他の処理、制御若しくは管理サービスを行うように構成された処理回路118を含む。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサコア、マイクロプロセッサ、コプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は、例えば、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、それらのいくつかの組合せなどのような1つ以上の集積回路を含む様々な他の演算装置若しくは処理装置などの様々な形態で具体化されたプロセッサを含み得る。いくつかの例では、処理回路は、プロセッサに結合又は統合されたメモリを含み得、データ、プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム命令、それらのいくつかの組合せなどを格納してもよい。
【0098】
また、示されるように、いくつかの例では、ハウジング108、したがってエアロゾル提供装置102はまた、消耗品104に係合して、それを保持し、それによって、エアロゾル提供装置を消耗品と結合するように構成されたカプラ120及び/又はレセプタクル122を含んでもよい。カプラは、圧入(又は締り嵌め)接続、ねじ接続、磁気接続などによって消耗品の対応するカプラと接続するように構成されたコネクタ、ファスナなどであり得るか、又はそれらを含み得る。レセプタクルは、消耗品、若しくは消耗品の少なくとも一部を受容及び収容するように構成されたリザーバ、タンク、容器、キャビティ、受容チャンバなどであり得るか、又はそれらを含み得る。
【0099】
いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル生成材料124は、支持体上又は支持体内に存在して基材134を形成してもよい。支持体は、例えば、紙、カード、板紙、厚紙、再構成材料(例えば、再構成タバコ、再構成麻などの再構成植物材料から形成された材料)、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属若しくは金属合金であり得るか、又はそれらを含み得る。いくつかの例では、支持体は、エアロゾル生成材料内に、又はエアロゾル生成材料の片側若しくは両側に埋め込まれ得るサセプタを含む。
【0100】
別個に示されていないが、いくつかの例示的な実装形態では、消耗品104は、エアロゾル生成材料124、又はエアロゾル生成材料を有する基材134に係合して、それを保持するように構成されたレセプタクルをさらに含んでもよい。レセプタクルは、エアロゾル生成材料又は基材を受容及び収容するように構成されたリザーバ、タンク、容器、キャビティ、受容チャンバなどであり得るか、又はそれらを含み得る。消耗品は、エアロゾル生成材料をエアロゾル生成器106に輸送するように構成されたエアロゾル生成材料移送構成要素(液体輸送要素とも呼ばれる)を含んでもよい。エアロゾル生成材料移送構成要素は、毛細管作用によってエアロゾル生成材料を吸い上げるか、又は他の方法で輸送するように適合されてもよい。いくつかの例では、エアロゾル生成材料移送構成要素は、エアロゾル生成材料を輸送するためのマイクロ流体チップ、マイクロポンプ又は他の好適な構成要素を含んでもよい。
【0101】
エアロゾル生成器106(噴霧器、エアロゾル化器又はエアロゾル生成構成要素とも呼ばれる)は、エアロゾル生成材料124にエネルギーを与えてエアロゾルを生成するか、又は他の方法でエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される。さらに具体的には、いくつかの例では、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料にエネルギーを与えてエアロゾルを生成するために、回路112の制御下で電源110によって電力供給されてもよい。
【0102】
いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル生成器106は、電源からの電気エネルギーが熱エネルギーに変換される電気加熱を行うように構成された電気ヒータであり、エアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成するように熱エネルギーに曝される。電気加熱の好適な形態の例には、抵抗(ジュール)加熱、誘導加熱、誘電加熱及びマイクロ波加熱、放射加熱、アーク加熱などが挙げられる。好適な電気ヒータのさらに具体的な例には、ワイヤコイル、平板、プロング、マイクロヒータなどの抵抗加熱要素が挙げられる。
【0103】
いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル生成器106は、加熱することなく、又は二次加熱のみを用いてエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される。例えば、エアロゾル生成器は、増加した圧力、振動又は静電エネルギーのうちの1つ以上にエアロゾル生成材料を曝すように構成されてもよい。これらのエアロゾル生成器のさらに具体的な例には、ジェットネブライザ、超音波ネブライザ、振動メッシュ技術(VMT)ネブライザ、表面弾性波(SAW)ネブライザなどが挙げられる。
【0104】
ジェットネブライザは、圧縮ガス(例えば、空気、酸素)を使用してエアロゾル生成材料124をエアロゾルに分解するように構成され、超音波ネブライザは、超音波を使用してエアロゾル生成材料をエアロゾルに分解するように構成される。VMTネブライザは、メッシュと、振動するように駆動され得、メッシュにエアロゾル生成材料をエアロゾルに分解させてもよいピエゾ材料(例えば、圧電材料、圧磁材料)とを含む。SAWネブライザは、表面弾性波又はレイリー波を使用してエアロゾル生成材料をエアロゾルに分解するように構成される。
【0105】
いくつかの例では、エアロゾル生成器106はサセプタを含み得るか、又はサセプタは基材134の一部であってよい。サセプタは、エアロゾル生成器とは別個であり得るか、又はエアロゾル生成器の一部であり得る磁場生成器によって生成された変動磁場による浸透によって加熱可能な材料である。サセプタは、変動磁場による浸透が加熱材料の誘導加熱を引き起こすように、導電性材料であってよい。加熱材料は、変動磁場による浸透が加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こすように、磁性材料であってよい。いくつかの例では、サセプタは、これらの例のサセプタが両加熱機構によって加熱可能であるように、導電性及び磁性の両方であってよい。
【0106】
別個に示されていないが、エアロゾル提供装置102又は消耗品104のいずれか、又は両方は、エアロゾル改質剤を含んでもよい。エアロゾル改質剤は、例えば、エアロゾルの味、香味、酸性度又は別の特性を変化させることによって、エアロゾル生成材料124から生成されたエアロゾルを改質するように構成された物質である。様々な例では、エアロゾル改質剤は、添加剤又は吸着剤であってよい。エアロゾル改質剤は、例えば、香味料、着色料、水又は炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル改質剤は、固体、半固体、液体又はゲルであってよい。エアロゾル改質剤は、粉末、糸又は顆粒の形態であってよい。エアロゾル改質剤は、濾過材料を含まなくてもよい。いくつかの例では、エアロゾル改質剤は、エアロゾル改質剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル改質剤放出構成要素内で提供されてもよい。
【0107】
エアロゾル提供装置102と、消耗品104と、エアロゾル生成器106とを含むエアロゾル提供システム100及びその構成要素は、いくつかの異なるフォームファクタのいずれかによって、上記のものに対して追加の又は代替の構成要素によって製造され得る。
【0108】
図2及び図3は、蒸気製品の形態の、いくつかの例示的な実装形態ではエアロゾル提供システム100に対応し得るエアロゾル提供システム200を示す。示されるように、エアロゾル提供システム200は、エアロゾル提供装置202(制御本体又は電源ユニットとも呼ばれる)と消耗品204(カートリッジ又はタンクとも呼ばれる)とを含んでもよく、これらはそれぞれエアロゾル提供装置102及び消耗品104に対応し得る。エアロゾル提供システム、特に消耗品はまた、エアロゾル生成器106に対応し、抵抗(ジュール)加熱によって電気エネルギーを熱エネルギーに変換するように構成された金属ワイヤコイルのような加熱要素などの電気ヒータ306の形態のエアロゾル生成器を含んでもよい。エアロゾル提供装置及び消耗品は、機能的な関係で恒久的に又は取外し可能に位置合わせされ得る。図2及び図3は、それぞれ、結合構成のエアロゾル提供システムの斜視図及び部分切欠側面図を示す。
【0109】
図2、及び図3に示す切欠図に見られるように、エアロゾル提供装置202及び消耗品204は、それぞれ、いくつかのそれぞれの構成要素を含む。図3に示される構成要素は、エアロゾル提供装置及び消耗品内に存在してもよい構成要素の代表であり、本開示に包含される構成要素の範囲を限定することを意図するものではない。
【0110】
エアロゾル提供装置202は、電源310を含んでもよいハウジング208(エアロゾル提供装置シェルと呼ばれることもある)を含んでもよい。ハウジングはまた、センサ314の形態のスイッチを有する回路312と、エアロゾル提供システム200を使用すると照明され得る光源316を含むユーザインタフェースと、処理回路318(制御構成要素とも呼ばれる)とを含んでもよい。ハウジングはまた、消耗品204に係合して、それを保持するように構成された消耗品受容チャンバ322の形態のレセプタクルを含んでもよい。また、消耗品は、本明細書に記載のエアロゾル前駆体組成物124に対応し得、有機酸成分に加えて、活性物質、香味料、エアロゾル形成剤材料又は他の機能性材料などのいくつかの成分の各々のうちの1つ以上を含み得るエアロゾル前駆体組成物324を含み得る。
【0111】
図3にも見られるように、エアロゾル提供装置202はまた、回路、ひいてはエアロゾル提供装置を消耗品204、特に消耗品上の電気接点338と電気的に結合するように構成された、消耗品受容チャンバ322内に配置された電気コネクタ336を含んでもよい。これに関して、電気コネクタ及び電気接点は、エアロゾル提供装置と消耗品との接続インタフェースを形成してもよい。また、示されるように、エアロゾル提供装置は、エアロゾル提供装置を1つ以上の外部装置と接続するための外部電気コネクタ340を含んでもよい。好適な外部電気コネクタの例には、USBコネクタ、AppleのLightningコネクタなどの独自のコネクタなどが挙げられる。
【0112】
様々な例では、消耗品204は、タンク部分及びマウスピース部分を含む。タンク部分及びマウスピース部分は、一体化されてもよいか、若しくは恒久的に一緒に固定されてもよいか、又はタンク部分自体がマウスピース部分を画定してもよい(又は逆もまた同様である)。他の例では、タンク部分とマウスピース部分とは別個であり得、互いに取外し可能に係合してもよい。
【0113】
消耗品204、タンク部分及び/又はマウスピース部分は、長手方向軸(L)、長手方向軸に垂直な第1の横軸(T1)、及び長手方向軸に垂直であり、第1の横軸に垂直な第2の横軸(T2)に関して別個に画定されてもよい。消耗品は、エアロゾル生成材料324を保持するように構成されたリザーバ344(タンク部分内)を囲むハウジング342(消耗品シェルと呼ばれることもある)から形成され得る。いくつかの例では、消耗品は、図示される例の電気ヒータ306などのエアロゾル生成器を含んでもよい。いくつかの例では、エアロゾル提供装置202上の電気コネクタ336と、消耗品上の電気接点338とは、電気ヒータをエアロゾル提供装置の電源310及び/又は回路312と電気的に接続してもよい。
【0114】
示されるように、いくつかの例では、リザーバ344は、リザーバハウジング内に貯蔵されたエアロゾル生成材料324を電気ヒータ306に吸い上げるか、又は他の方法で輸送するように適合されたエアロゾル生成材料移送構成要素346と流体連通してもよい。エアロゾル生成材料移送構成要素の少なくとも一部は、電気ヒータに近接して(例えば、直接隣接して、隣接して、近接して、又は比較的近接して)配置されてもよい。エアロゾル生成材料移送構成要素は、電気ヒータとリザーバに貯蔵されたエアロゾル生成材料との間に延在してもよく、電気ヒータの少なくとも一部は、リザーバの近位端の上方に配置されてもよい。本開示の目的のために、この特定の文脈における用語「上方」は、実質的に長手方向軸(L)に沿った方向でリザーバ及び/又は消耗品204の近位端に向かうことを意味すると解釈されるべきであることを理解されたい。エアロゾル生成材料移送構成要素の他の構成も、本開示の範囲内で企図される。例えば、いくつかの例示的な実装形態では、エアロゾル生成材料移送構成要素は、リザーバの遠位端に近接して配置されてもよく、及び/又は長手方向軸(L)を横切って配置されてもよい。
【0115】
電気ヒータ306とエアロゾル生成材料移送構成要素346とは、流体接続された別個の要素として構成されてもよく、電気ヒータとエアロゾル生成材料移送構成要素とは、組み合わされた要素として構成されてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、電気ヒータは、エアロゾル生成材料移送構成要素に一体化されてもよい。さらに、電気ヒータ及びエアロゾル生成材料移送構成要素は、本明細書で他の様式で記載されるような任意の構造から形成されてもよい。いくつかの例では、弁が、リザーバ344と電気ヒータとの間にバルブが配置されてもよく、リザーバから電気ヒータに送らされる又は送達されるエアロゾル生成材料324の量を制御するように構成されてもよい。
【0116】
形成されたエアロゾルを消耗品204から排出することを可能にするために、開口部348がハウジング342に(例えば、マウスピース部分の吸い口端に)存在してもよい。
【0117】
上に示されるように、エアロゾル提供装置202の回路312は、いくつかの電子部品を含んでもよく、いくつかの例では、電子部品を支持し電気的に接続するPCBなどの回路基板から形成されてもよい。センサ314(スイッチ)は、回路基板上に配置されたこれらの電子部品のうちの1つであってよい。いくつかの例では、センサは、それが取り付けられ得るそれ自体の回路基板又は他の基部要素を備えてもよい。いくつかの例では、フレキシブル回路基板が利用されてもよい。フレキシブル回路基板は、様々な形状に構成されてもよい。いくつかの例では、フレキシブル回路基板は、ヒータ基板と組み合わされるか、ヒータ基板上に積層されるか、又はヒータ基板の一部若しくは全部を形成してもよい。
【0118】
いくつかの例では、リザーバ344は、エアロゾル前駆体組成物324を貯蔵するための容器であってよい。いくつかの例では、リザーバは、基材を有する繊維質リザーバであり得るか、又はそれを含み得、エアロゾル生成材料は支持体上又は支持体内に存在する。例えば、この例では、リザーバは、ハウジング342の内部を取り囲むチューブの形状に実質的に形成された不織繊維の1つ以上の層を備えることができる。エアロゾル生成材料は、リザーバ内に保持されてもよい。例えば、リザーバによって液体成分が吸着して保持されてもよい。リザーバは、エアロゾル生成材料移送構成要素346と流体接続してもよい。エアロゾル生成材料移送構成要素は、毛細管作用を介して、又はマイクロポンプを介して、リザーバに貯蔵されたエアロゾル生成材料を電気ヒータ306に輸送してもよい。したがって、電気ヒータは、エアロゾル生成材料移送構成要素とともに加熱構成にある。
【0119】
使用時に、ユーザがエアロゾル提供システム200を吸引すると、センサ314によって空気流が検出され、電気ヒータ306が作動されてエアロゾル生成材料324にエネルギーを与えてエアロゾルを生成する。エアロゾル提供システムの吸い口端を吸引すると、周囲空気がエアロゾル提供システムに入り、エアロゾル提供システムを通過する。消耗品204では、吸い込まれた空気は、電気ヒータから吹き飛ばされるか、吸引されるか、そうでなければ引き出され、エアロゾル提供システムの吸い口端の開口部348から出るエアロゾルと組み合わされる。
【0120】
ここでも、図2及び図3に示すように、エアロゾル提供システム200のエアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料324を加熱してエアロゾルを生成するように設計された電気ヒータ306である。他の実装形態では、エアロゾル生成器は、加熱することなく、又は二次加熱のみを用いてエアロゾル生成材料を分解するように設計されている。図4は、いくつかのこれらの他の例示的な実装形態による、エアロゾル提供システムのエアロゾル生成器を実装するために使用され得るネブライザ400を示す。
【0121】
図4に示すように、ネブライザ400は、互いに固定され得るメッシュプレート402とピエゾ材料404とを含む。ピエゾ材料は、振動するように駆動され得、メッシュプレートにエアロゾル生成材料をエアロゾルに分解させてもよい。いくつかの例では、ネブライザはまた、メッシュプレートの寿命を延ばすためにメッシュプレートのピエゾ材料とは反対側に配置された支持構成要素、及び/又はメッシュプレートとピエゾ材料との間の界面接触を促進するためにメッシュプレートとピエゾ材料との間に補助構成要素を含んでもよい。
【0122】
様々な例示的な実装形態では、メッシュプレート402は、様々な異なる構成を有してもよい。メッシュプレートは、平坦な外形、ドーム形状(エアロゾル生成材料に対して凹状又は凸状)、又は平坦部分及びドーム部分を有してもよい。メッシュプレートは、メッシュプレートの穿孔部分にわたって実質的に均一であり得るか、又はサイズが変化し得る複数の穿孔406を画定する。穿孔は、円形開口部又は非円形開口部(例えば、楕円形、長方形、三角形、正多角形、不規則な多角形)であってよい。三次元では、穿孔は、固定された円形断面を有する円筒形穿孔の場合のような固定断面、又は可変円形断面を有する円錐台穿孔の場合のような可変断面を有してもよい。他の実装形態では、穿孔は、四角形又は角錐であってよい。
【0123】
ピエゾ材料404は、圧電材料若しくは圧磁材料であり得るか、又はそれらを含み得る。圧電材料は、振動電気信号を生成して圧電材料を駆動して振動させるように構成された回路に結合されてもよい。圧磁材料の場合、回路は、一対の逆相振動電気信号を生成して、一対の磁石を駆動して、圧磁材料を駆動して振動させる逆相振動磁場を生成してもよい。
【0124】
ピエゾ材料404はメッシュプレート402に固定されてもよく、ひいては、ピエゾ材料の振動がメッシュプレートを振動させてもよい。メッシュプレートは、エアロゾル生成材料に十分に近接して、エアロゾル生成材料と接触してもよいか、若しくはエアロゾル生成材料に浸漬されてもよいか、又はそうでなければエアロゾル生成材料移送構成要素を介してエアロゾル生成材料を受容してもよい。次いで、メッシュプレートの振動は、エアロゾル生成材料をエアロゾルに分解する穿孔406をエアロゾル生成材料に通過させてもよい。さらに具体的には、いくつかの例では、エアロゾル生成材料は、振動メッシュプレート402の穿孔406を通って駆動され、エアロゾル粒子をもたらしてもよい。メッシュプレートがエアロゾル生成材料と接触しているか、又はエアロゾル生成材料に浸漬されている他の例では、振動メッシュプレートは、エアロゾル生成材料の表面でエアロゾルの形成を引き起こす超音波をエアロゾル生成材料内に生成してもよい。
【0125】
上述のように、ハイブリッド製品はエアロゾル生成材料の組合せを使用し、いくつかのハイブリッド製品は、1つのエアロゾル生成材料から生成されたエアロゾルが第2のエアロゾル生成材料を通過して追加の成分を捕捉してもよいことを除いて、蒸気製品に類似している。したがって、ハイブリッド製品の形態の別の同様のエアロゾル提供システムは、図2及び図3の蒸気製品と同様に(電気ヒータ306又はネブライザ400を用いて)構築されてもよい。ハイブリッド製品は、エアロゾル生成材料324からのエアロゾルが通過して、エアロゾル提供システムの吸い口端の開口部348を通過する前に追加の成分を捕捉する第2のエアロゾル生成材料を含んでもよい。
【0126】
図5図6及び図7は、加熱式製品の形態の、いくつかの例示的な実装形態ではエアロゾル提供システム100に対応し得るエアロゾル提供システム500を示す。示されるように、エアロゾル提供システムは、エアロゾル提供装置502(制御本体又は電源ユニットとも呼ばれる)と消耗品504(エアロゾル源部材とも呼ばれる)とを含んでもよく、これらはそれぞれエアロゾル提供装置102及び消耗品104に対応し得る。エアロゾル提供システム、特にエアロゾル提供装置はまた、エアロゾル生成器106に対応し、電気ヒータ706の形態のエアロゾル生成器を含んでもよい。エアロゾル提供装置及び消耗品は、機能的な関係で恒久的に又は取外し可能に位置合わせされ得る。図5は、結合構成のエアロゾル提供システムを示し、図6は、分離構成のエアロゾル提供システムを示す。図7は、結合構成のエアロゾル提供システムの部分切欠側面図を示す。
【0127】
図5図6及び図7に見られるように、エアロゾル提供装置502及び消耗品504は、それぞれ、いくつかのそれぞれの構成要素を含む。図に示される構成要素は、エアロゾル提供装置及び消耗品内に存在してもよい構成要素の代表であり、本開示に包含される構成要素の範囲を限定することを意図するものではない。
【0128】
エアロゾル提供装置502は、電源710を含んでもよいハウジング708(エアロゾル提供装置シェルと呼ばれることもある)を含んでもよい。ハウジングはまた、センサ714の形態のスイッチを有する回路712と、エアロゾル提供システム500を使用すると照明され得る光源716を含むユーザインタフェースと、処理回路718(制御構成要素とも呼ばれる)とを含んでもよい。いくつかの例では、回路の電子部品の少なくともいくつかは、電子部品を支持し電気的に接続する回路基板又はフレキシブル回路基板から形成されてもよい。
【0129】
ハウジング708はまた、消耗品504に係合して、それを保持するように構成された消耗品受容チャンバ722の形態のレセプタクルを含んでもよい。消耗品は、エアロゾル前駆体組成物124に対応し得、上記の有機酸成分に加えて、活性物質、香味料、エアロゾル形成剤材料又は他の機能性材料などのいくつかの成分の各々のうちの1つ以上を含み得るエアロゾル前駆体組成物624を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル前駆体組成物は、基材634を形成するために支持体上又は支持体内に存在してもよい。
【0130】
エアロゾル提供システム500の結合構成では、消耗品504は、様々な程度で受容チャンバ722内に保持されてもよい。いくつかの例では、消耗品の半分未満又は約半分が受容チャンバ内に保持されてもよい。他の例では、消耗品の半分超が受容チャンバ内に保持されてもよい。さらに他の例では、消耗品の実質的に全体が受容チャンバ内に保持されてもよい。
【0131】
図6及び図7に示すように、本開示の様々な実装形態では、消耗品504は、エアロゾル提供装置502に挿入するためのサイズ及び形状の被加熱端636と、ユーザが吸引してエアロゾルを生成する吸い口端638とを含んでもよい。様々な実装形態では、被加熱端の少なくとも一部は、エアロゾル生成材料624を含んでもよい。
【0132】
いくつかの例示的な実装形態では、消耗品504の吸い口端608は、酢酸セルロース又はポリプロピレンなどの材料から作製されたフィルタ640を含んでもよい。フィルタは、追加的又は代替的に、タバコ含有材料のストランドを含有してもよい。いくつかの例では、消耗品の少なくとも一部は、追加の構造、支持及び/又は耐熱性を提供するのに有用な任意の材料から形成され得る外部上巻き材料に包まれてもよい。いくつかの例では、消耗品の吸い口端での上巻きの過剰な長さは、エアロゾル生成材料624をユーザの口から単に分離するように、又はフィルタ材料を配置するための空間を提供するように、又は消耗品に対する吸引に影響を与えるように、又は吸引中に消耗品を出るエアロゾルの流れ特性に影響を与えるように機能し得る。
【0133】
電気ヒータ706は、抵抗(ジュール)加熱、誘導加熱、誘電加熱及びマイクロ波加熱、放射加熱、アーク加熱などによってエアロゾル生成材料624の電気加熱を行ってもよい。電気ヒータは、様々な異なる構成を有してもよい。いくつかの例では、電気ヒータの少なくとも一部は、エアロゾル提供装置502に挿入された際に、エアロゾル生成材料を含む消耗品504の少なくとも一部を囲み得るか、又は少なくとも部分的に囲み得る。他の例では、電気ヒータの少なくとも一部は、消耗品がエアロゾル提供装置に挿入された際に、消耗品を貫通してもよい。いくつかの例では、基材634材料は、エアロゾル生成材料内に、又はエアロゾル生成材料の片側若しくは両側に埋め込まれ得るサセプタを含んでもよい。
【0134】
電気ヒータ706は、エアロゾル提供装置502の一部として示されているが、代わりに、消耗品504の一部であってよい。いくつかの例では、電気ヒータ、又は電気ヒータの一部は、エアロゾル生成材料624と組み合わされてもよいか、包装されてもよいか、又は一体化されてもよい(例えば、エアロゾル生成材料624内に埋め込まれてもよい)。
【0135】
示されるように、いくつかの例では、電気ヒータ706は、ハウジング708の係合端に近接して延在してもよく、エアロゾル生成材料624を含む消耗品504の被加熱端636の一部を実質的に囲むように構成されてもよい。電気ヒータ706は、外側シリンダ742と、外側シリンダによって囲まれて受容チャンバ722を形成するプロングなどの1つ以上の抵抗加熱要素744とであり得るか、又はそれらを含み得、電気ヒータ706は、エアロゾル提供装置の受容基部746からエアロゾル提供装置のハウジング708の開口部748まで延在してもよい。いくつかの例では、外側シリンダは、外側シリンダ内の抵抗加熱要素によって生成された熱を維持し、さらに具体的には、エアロゾル生成材料内の抵抗加熱要素によって生成された熱を維持するようにステンレス鋼から構成された二重壁真空管であってよい。
【0136】
電気ヒータ706と同様に、抵抗加熱要素744は、様々な異なる構成を有してもよく、1つの抵抗加熱要素から複数の抵抗加熱要素まで数が変化してもよい。示されるように、抵抗加熱要素は、エアロゾル提供装置502の受容基部746から延在してもよい。いくつかの例では、抵抗加熱要素は、エアロゾル提供装置に挿入された際に、消耗品504の被加熱端636のほぼ半径方向中心に、又はほぼ半径方向中心の周りに配置されてもよい。いくつかの例では、抵抗加熱要素は、消耗品の被加熱端に貫通し、エアロゾル生成材料と直接接触してもよい。他の例では、抵抗加熱要素は、消耗品の被加熱端の内面によって画定されたキャビティの内側に(ただし、直接接触しないように)配置されてもよい。
【0137】
いくつかの例では、電気ヒータ706の抵抗加熱要素744は、電源によって生成された電流が抵抗加熱要素を通過し得るように、電源710を含む電気回路に接続されてもよい。次いで、抵抗加熱要素に電流が流れると、抵抗加熱要素が抵抗(ジュール)加熱による熱を生成させてもよい。
【0138】
他の例では、外側シリンダ742と抵抗加熱要素744とを含む電気ヒータ706は、誘導加熱を行うように構成されてもよく、ここで、外側シリンダは、電源710を含む電気回路に接続されてもよく、抵抗加熱要素は、別の電気回路に接続されてもよい。この構成では、外側シリンダ及び抵抗加熱要素は、外側シリンダが誘導送信機であり、抵抗加熱要素が誘導受信機である変圧器として機能してもよい。これらの例のいくつかでは、外側シリンダ及び抵抗加熱要素は、エアロゾル提供装置502の一部であってよい。これらの例の他の例では、外側シリンダはエアロゾル提供装置の一部であってよく、抵抗加熱要素は消耗品504の一部であってよい。
【0139】
外側シリンダ730には、電源710から交流電流が直接供給されてもよいか、又は(回路712の一部としての)インバータが電源からの直流電流を交流電流に変換するように構成される電源から交流電流が間接的に供給されてもよい。交流電流は、外側シリンダを駆動して振動磁場を生成し、これにより、抵抗加熱要素744に渦電流が誘導される。渦電流は、次いで、抵抗加熱要素に抵抗(ジュール)加熱による熱を生成させる。これらの例では、抵抗加熱要素は、抵抗加熱要素に近接して配置されたエアロゾル生成材料624からエアロゾルを形成するために無線で加熱されてもよい。
【0140】
様々な例示的な実装形態では、エアロゾル提供装置502は、ハウジング708(及び場合によっては受容基部746)内に空気取入口750(例えば、1つ以上の開口部又はアパーチャ)を含んで、受容チャンバ722内への空気流を可能にしてもよい。ユーザが消耗品504の吸い口端638を吸引すると、空気流は、空気取入口を通って受容チャンバに引き込まれ、消耗品に入り、エアロゾル生成材料624を通って引き込まれ得る。空気流は、センサ714によって検出され得、電気ヒータ706が作動されてエアロゾル生成材料にエネルギーを与えてエアロゾルを生成し得る。空気流は、エアロゾル提供システムの吸い口端の開口部から吹き飛ばされるか、吸引されるか、そうでなければ引き出されるエアロゾルと組み合わされてもよい。フィルタ640を含む例では、エアロゾルと組み合わされた空気流は、吸い口端のフィルタの開口部から引き出されてもよい。
【0141】
本開示はまた、エアロゾル前駆体組成物を調製する方法であって、有機酸成分136を、活性物質126、香味料128、エアロゾル形成剤材料130又は他の機能性材料132などのいくつかの成分の各々のうちの1つ以上と組み合わせることを含む方法を提供する。エアロゾル前駆体組成物124の成分は、様々な順序で組み合わせられ得、いくつかの実施形態では、2つ以上の成分を予混合し、予混合形態で一緒に組成物に添加することができる。他の実施形態では、成分を組成物に独立して添加することができる。一実施形態では、有機酸成分136の有機酸の少なくとも1つは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるDullらの米国特許出願公開第2019/0116863号明細書に記載されているように、例えば、水中でニコチンと最初に組み合わされ、続いて、他の成分と組み合わされる。
【0142】
さらに、本開示は、本明細書に記載の様々な構成要素を提供するキットを提供する。例えば、キットは、1つ以上のエアロゾル生成構成要素/カートリッジ(本明細書に提供される液体エアロゾル前駆体組成物を含む少なくとも1つのそのような構成要素を含む)を有する制御本体を備えてもよい。さらなる実施形態では、キットは、複数のエアロゾル生成構成要素/カートリッジを備えてもよい。上記の実施形態では、エアロゾル生成構成要素又は制御本体は、それらに含まれる加熱部材を備えていてもよい。キットは、1つ以上の充電構成要素及び/又は1つ以上の電池をさらに備えてもよい。キットは、追加のキット構成要素のうちの1つ以上を収容するケース(又は他の梱包、輸送若しくは保管構成要素)をさらに含み得る。ケースは、再使用可能な硬質容器又は軟質容器であり得る。さらに、ケースは、単なる箱又は他の梱包構造であってよい。
【0143】
上記の説明及び関連する図面に示された教示の利益を有し、本開示が関連する当業者には、本開示の多くの変更及び他の実装形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実装形態に限定されるものではなく、変更及び他の実装形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的及び説明的な意味でのみ使用され、限定のために使用されない。
【実施例
【0144】
実験
【0145】
[実施例1]:例示的な製剤及び調製
表1の以下の一般的な成分及び量に従って、エアロゾル前駆体組成物を調製する。割合は、エアロゾル前駆体組成物の総重量に基づく重量単位で報告される。
【0146】
【表1】
【0147】
表1に提供される成分及び量に基づいて、様々なエアロゾル前駆体組成物を調製する。安息香酸を最初にエアロゾル形成剤材料と組み合わせる。追加のエアロゾル形成剤材料中のニコチンをそこに添加する。この混合物に、乳酸、レブリン酸及び水を添加する。次いで、追加のエアロゾル形成剤材料を添加することができ、香味料を一般に最後にこの混合物に添加する。得られた溶液を完全に混合する。そのような製剤の調製は、この正確な添加順序に限定されず、実施例1の成分は、本開示から逸脱することなくいくつかの方法で組み合わせることができることに留意されたい。
【0148】
[実施例2]:比較官能パネル
一般的な方法
本明細書に記載されるように、特に2つの有機酸を含有する製剤と3つの有機酸を含有する製剤とを比較するために、様々な例示的な製剤に対して略式官能パネルを行った。実施例1で提供される一般的な方法によって様々な三酸エアロゾル前駆体組成物を調製し、対応する二酸(又は一酸)エアロゾル前駆体組成物を比較製剤として同様に調製した。本明細書で以下にさらに詳細に記載されるように、様々な量のニコチン及び有機酸並びに様々な種類の香味料を含む同等のベース調製物(エアロゾル形成剤としてのプロピレングリコール及びグリセリン、並びに水を含む)を使用して、各製剤を調製した。
【0149】
各エアロゾル前駆体組成物を電子タバコ内にe-リキッド(e-liquid)として導入し、参加者に、各e-リキッド製剤を吸煙(vape)し、いくつかの要因についてランク付けするように求めた。参加者に、各e-リキッドを0~100の尺度でランク付けするように求め、0が最も悪く、100が最も良く、「それほど良くない」の評価は50であった(本明細書では以下「平均官能スコア」と呼ぶ)。次いで、参加者に、e-リキッドの全体的な味、及び後味を1~5の尺度で評価するように求めた。参加者に、各e-リキッドの以下の特徴、すなわち、滑らかさの量(及び参加者の滑らかさの理想的な量)、えぐさの量(及び参加者のえぐさの理想的な量)、喉への影響の量(及び参加者の喉への影響の理想的な量)、及び後味の量の各々を1~7の尺度でランク付けするように求めた(1は「低」であり、7は「高」である)。参加者のランク付けを以下に示すようにまとめた。
【0150】
官能試験1:
5つの異なる香味料を用いて実施例1の一般的な方法に従って、3.5%のニコチン(対応量のプロピレングリコール、グリセリン及び水を含む)と、2つの有機酸(ニコチンに対して0.4モル当量の乳酸、及びニコチンに対して0.5モル当量の安息香酸を含む)とを含有する製剤の第1のセットを調製した。同じ5つの香味料を用いて、わずかに多い乳酸含有量を有する(ニコチンに対して0.5モル当量の乳酸、及びニコチンに対して0.5モル当量の安息香酸を含む)同等の製剤の第2のセットを同様に調製した。最後に、同じ5つの香味料を用いて、3つの有機酸を含有する(乳酸、安息香酸及びレブリン酸をそれぞれ0.25、0.5及び0.25モル当量含む)同等の製剤の第3のセットを調製した。e-リキッドのこのセットに関する上述の略式官能パネルの結果を表2に示す。
【0151】
【表2】
【0152】
表2に示すように、香味4及び香味5の両方について、レブリン酸の添加と乳酸の減少と(すなわち、三酸製剤)は、レブリン酸を含まない試験されたe-リキッドのうちの少なくとも1つと比較して、平均官能スコアを改善した。
【0153】
表2のこのデータはまた、二酸製剤の様々な実施形態でさらに多量の乳酸を含めることに関連する特定の利点を示す。具体的には、示されるように、大部分の香味について、0.5/0.5の乳酸/安息香酸を含む製剤は、それよりも少ない乳酸(0.4/0.5)を含む対応する製剤よりも平均官能スコアに関して良好に採点された。このデータは、特に乳酸のモル当量が安息香酸のモル当量と少なくとも同じくらい高い場合、乳酸を増加させることが二酸製剤では有利であることを示唆している。
【0154】
官能試験2:
5つの異なる香味料を用いて実施例1の一般的な方法に従って、5%のニコチン(対応量のプロピレングリコール、グリセリン及び水を含む)と、2つの有機酸(ニコチンに対して0.44モル当量の乳酸、及びニコチンに対して0.46モル当量の安息香酸を含む)とをいずれも含有する製剤の第1のセットを調製した。同じ5つの香味料を用いて、3つの有機酸を含有する(乳酸、安息香酸及びレブリン酸をそれぞれ0.40、0.46及び0.14モル当量含む)同等の製剤の第2のセットを調製した。最後に、5つの香味料のうちの1つを用いて、それぞれ0.29、0.21及び0.50モル当量の乳酸、安息香酸及びレブリン酸を含有する同等の製剤を調製した。e-リキッドのこのセットに関する上述の略式官能パネルの結果を表3に示す。
【0155】
【表3】
【0156】
表3の一番上のエントリーに示すように、最も低い乳酸及び安息香酸の量と最も高いレブリン酸の量とを有するe-リキッドは、香味に関係なく、他のすべての試験されたe-リキッドと比較して、優れた平均官能スコアを達成した。乳酸及び安息香酸の量を顕著に減少させずに少量のレブリン酸のみを添加しても、一般に、ほとんどの香味の官能スコアは改善されなかった。この一番上のエントリーは、滑らかさ、えぐさ、喉への影響、及び後味の理想的で認識された特性に関する本質的に同じランク付けに基づいて、参加者によって理想的であると認められた。
【0157】
官能試験3:
様々な比の3つ2つの有機酸(乳酸、安息香酸及びレブリン酸)を用いて、実施例1で上に概説した方法に従って、単一の香味とともに様々な量のニコチンを含有する製剤のセットを調製した。e-リキッドのこのセットに関する上述の略式官能パネルの結果を表4に示す。
【0158】
【表4】
【0159】
表4のデータによって示されるように、ニコチンレベルが低下するにつれて、安息香酸量を減少させ、レブリン酸量を増加させると、一般に、e-リキッドの全体的な官能スコアが改善された。
【0160】
官能試験4:
同じモル比の3つの有機酸(乳酸、安息香酸及びレブリン酸)を用いて、実施例1で上に概説した方法に従って、様々なベリー香味料とともに5%ニコチンを含有する2つの製剤を調製した。これらの製剤と、唯一の有機酸として乳酸を用いて調製した市販のベリー香味料を含む同等の製剤とを比較した。e-リキッドのこのセットに関する上述の略式官能パネルの結果を表5に示す。
【0161】
【表5】
【0162】
表5のデータによって示されるように、三酸製剤(第1及び第2のエントリー)は、乳酸のみを含む製剤よりも平均官能スコアが顕著に良好に採点された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】