(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】精製小麦胚製品を抽出及び単離するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/152 20160101AFI20240213BHJP
【FI】
A23L7/152
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551273
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022017715
(87)【国際公開番号】W WO2022182883
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515166831
【氏名又は名称】アーデント ミルズ、エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】523319232
【氏名又は名称】トリティカ バイオサイエンシーズ, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】TRITICA BIOSCIENCES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, クリス
【テーマコード(参考)】
4B025
【Fターム(参考)】
4B025LB03
4B025LG04
4B025LP20
4B025LT09
(57)【要約】
精製小麦胚製品を製造する方法が開示される。一実施形態では、精製小麦胚製品を製造することは、複数の小麦粒を衝突面に向かって加速させるステップと、複数の小麦粒の各々を衝突面に対して衝突させるステップと、衝突させるステップに応答して、小麦胚の少なくとも一部を小麦粒から取り出すステップであり、取り出された胚が無傷である、ステップと、取り出された小麦胚をふすま及び胚乳から分離して、中間精製小麦胚製品を製造するステップとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間精製小麦胚製品を製造する方法であって、
複数の小麦粒を衝突面に向かって加速させるステップであり、前記小麦粒の各々が小麦胚、ふすま及び胚乳を含む、ステップと;
前記複数の小麦粒の各々を前記衝突面に対して衝突させるステップと;
前記衝突させるステップに応答して、前記小麦胚の少なくとも一部を前記小麦粒から取り出すステップであり、前記取り出された胚が無傷である、ステップと;
前記取り出された小麦胚を前記ふすま及び前記胚乳から分離して、中間精製小麦胚製品を製造するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記小麦粒の各々が、第1の端部と第2の端部との間に延びる長軸を有し、前記小麦胚が前記第1の端部に位置し、
前記衝突させるステップの前に、各小麦粒が前記第1の端部又は前記第2の端部で前記衝突面に衝突するように、前記小麦粒を配向させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各小麦粒が、前記小麦粒の前記長軸と一致する衝突方向で、前記衝突面に衝突する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加速させるステップが、インペラを介して行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インペラが、放射状に配置された複数の羽根を含み、前記配向させるステップが、前記羽根に形成された溝に沿って前記小麦粒を加速させることを含み、前記溝のサイズ及び形状が、小麦粒の長軸に垂直な断面に対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記加速させるステップが、チューブ及び圧縮ガス源を介して行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記チューブが、小麦粒の長軸に垂直な断面に対応する直径を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記衝突させるステップが、前記複数の小麦粒の各々を前記衝突面に対して1回のみ衝突させることを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記衝突させるステップが、前記小麦粒を前記衝突面に対して29~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記衝突させるステップが、前記小麦粒を前記衝突面に対して38~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記衝突させるステップが、前記小麦粒を前記衝突面に対して48~72m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記衝突面が、前記衝突させるステップの間、静止面である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記加速させるステップに応答して且つ前記衝突させるステップの前に、各小麦粒が発射体になる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記中間精製小麦胚製品が、少なくとも91重量%の無傷の小麦胚を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記中間精製小麦胚製品がトリチンを本質的に含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
無傷の取り出された胚が生存可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記中間精製小麦胚製品が分解物を本質的に含まない、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記衝突させるステップの前に、前記小麦粒の含水率を所定の水分レベルに調整するステップを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の水分レベルが11~18重量%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の水分レベルが13~15重量%である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記所定の水分レベルが13.5~14重量%である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記衝突させるステップが、500×g~2500×gの遠心加速度により前記小麦粒を加速させることを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記衝突させるステップが、1000×g~1650×gの遠心加速度により前記小麦粒を加速させることを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記分離するステップが、前記取り出された小麦胚を前記ふすま及び前記胚乳からスクリーニングすることを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記分離するステップが、前記ふすま及び前記胚乳から前記小麦胚を光学的に色選別することを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記分離するステップが、前記小麦胚を水性液体中で浮遊させることを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記中間精製小麦胚製品が、少なくとも99.9重量%の無傷の小麦胚を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記衝突面には、角、刃、及び/又は鋭利な部材がない、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
中間濾過小麦胚製品を製造する方法であって、
小麦胚、ふすま及び胚乳を含む複数の小麦粒を得るステップでと;
前記複数の小麦粒の各々を衝突面に向かって加速させるステップと;
前記複数の小麦粒の各々を前記衝突面に対して衝突させるステップと;
前記衝突させるステップに応答して、前記小麦胚の少なくとも一部を前記小麦粒から取り出すステップであり、前記取り出された胚が無傷である、ステップと;
前記取り出された小麦胚を前記ふすま及び前記胚乳から分離するステップと;
前記取り出された小麦胚を粉砕して、粉砕小麦胚を製造するステップと;
前記粉砕小麦胚を濾過して、中間濾過小麦胚製品を製造するステップと;
を含む方法。
【請求項30】
前記小麦粒の各々が、第1の端部と第2の端部との間に延びる長軸を有し、前記小麦胚が、前記第1の端部に位置し、
前記衝突させるステップの前に、各小麦粒が前記第1の端部又は前記第2の端部で前記衝突面に衝突するように、前記小麦粒を配向させるステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
各小麦粒が、前記小麦粒の前記長軸と一致する衝突方向で、前記衝突面に衝突する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記衝突させるステップが、前記複数の小麦粒の各々を前記衝突面に対して1回のみ衝突させることを含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記衝突させるステップが、前記小麦粒を前記衝突面に対して29~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記衝突させるステップが、前記小麦粒を前記衝突面に対して38~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記衝突させるステップが、前記小麦粒を前記衝突面に対して48~72m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記衝突面が、前記衝突させるステップの間、静止面である、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記加速させるステップに応答して且つ前記衝突させるステップの前に、各小麦粒が発射体になる、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記中間濾過小麦胚製品が分解物を本質的に含まない、請求項29~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記中間濾過小麦胚製品がトリチンを本質的に含まない、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記分離するステップが、前記取り出された小麦胚を前記ふすま及び前記胚乳からスクリーニングすることを含む、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
スクリーニングステップが、前記小麦胚を前記ふすま及び前記胚乳から単離するために、1300~600ミクロンの間の粒子をスクリーニングすることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
スクリーニングステップが、前記小麦胚を前記ふすま及び前記胚乳から単離するために、1180~680ミクロンの間の粒子をスクリーニングすることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記分離するステップが、前記小麦胚を水性液体中で浮遊させることを含む、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記粉砕するステップが、ブレンドステップの前に、前記小麦胚を凍結することを含む、請求項29~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
凍結ステップが、前記小麦胚を液体窒素と接触させることを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記粉砕するステップが、前記小麦胚を抽出液とブレンドしてスラリーを生成することを含む、請求項29~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
精製ステップが、前記スラリーをデカントすることを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
デカントステップが、前記スラリーを遠心分離すること及び上澄み液をデカントすることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
濾過ステップが、前記上澄み液をカラムフィルターに通すことを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記カラムフィルターがゲルカラムフィルターである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記衝突面には、角、刃、及び/又は鋭利な部材がない、請求項29~50のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願との相互参照]
[0001]本特許出願は、2021年2月25日に出願された米国特許出願第63/153,739号に基づく利益及び優先権を主張し、本明細書と矛盾しない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[背景技術]
[0002]無細胞タンパク質合成は、in vitroタンパク質合成又はCFPSとしても知られており、無細胞系で、すなわち生細胞を使用せずに、生物学的機構を使用してタンパク質を製造することである。in vitroタンパク質合成環境は、細胞の生存性を維持するために必要な細胞壁や恒常性条件に制約されない。したがって、CFPSは、膜タンパク質の共翻訳可溶化、タンパク質製造の最適化、非天然アミノ酸の組み込み、選択的及び部位特異的標識など、多くの用途に有利な翻訳環境への直接アクセスと制御を可能にする。系のオープンな性質により、pH、酸化還元電位、温度、シャペロンなどの様々な発現条件をスクリーニングすることができる。
【0003】
[0003]現在、市販の無細胞系は、「従来の」大腸菌、ウサギ網状赤血球溶解物、及び小麦胚芽抽出物系から、最近の昆虫やヒト細胞抽出物、精製された組換え成分から再構成された定義された系に至るまで、様々な材料源から入手可能である。それぞれの無細胞系には一定の長所と短所があるが、無細胞系の多様性により、様々な下流用途向けに幅広いタンパク質のin vitro合成が可能である。ポストゲノム時代において、無細胞タンパク質合成は急速に、タンパク質のハイスループット機能及び構造研究のための好ましいアプローチとなり、また、in vitroタンパク質進化及び合成生物学のための多用途ツールとなった。
【0004】
[0004]ウサギ網状赤血球溶解物や小麦胚芽抽出物を含む真核生物抽出物から現在入手可能な収量により、無細胞タンパク質合成の利用は、タンパク質工場の基礎ではなく、分析ツールの用途に限定されている。小麦は低コストですぐに入手できるため、小麦胚をベースとした合成は、工業規模の無細胞タンパク質合成の基礎として魅力的な選択肢となる。しかし、胚芽リボソームは、微量レベルであってもタンパク質合成を効果的に阻害する小麦胚乳に含まれるタンパク質であるトリチンの影響を受けやすいため、生存可能な小麦胚芽抽出物の入手可能性は極めて限られている。小麦胚芽を製造する従来の方法では、最終的な小麦胚芽製品が胚乳粒子で著しく汚染される。前述のように、トリチンを含有する胚乳断片による小麦胚芽の汚染は、無細胞タンパク質合成の媒体としての小麦胚芽の有用性を著しく妨げる。さらに、先行技術の方法では、破砕された平坦な小麦胚が得られる。収穫された小麦粒の中の小麦胚は、本来休眠状態にあり、活動こそしていないが、まだ生きている。小麦粒を破砕するプロセスで胚は死滅し、化学的分解プロセスがほぼ即座に始まる。したがって、小麦胚芽由来のタンパク質合成化合物は、高濃度のトリチンを含むだけでなく、タンパク質合成にも有害な分解物を含むという問題がある。
【0005】
[0005]カンザス州立大学のElieser S.Posnerは、上記の従来の小麦胚芽の製造プロセスに加え、従来の小麦精練デバイスの回転インパクタを用いてランダムな衝突方向で小麦粒を繰り返し叩くことにより、小麦粒から小麦胚を分離する方法を開発した。Posnerは次のように説明している。「スカラーに入った小麦の粒は、回転インパクタによって叩かれ、直径2mmの穴があいた金属製ドラムの底に投げつけられる。機械は可変速モーターによって駆動される。スカラーを通して試料をリサイクルすることで、異なる精練長さを実現した。」(「A Technique for Separation of Wheat Germ by Impacting and Subsequent Grinding」、Journal of Cereal Science 13(1991)49~70、E.S.POSNER及びY.Z.LI)。
【0006】
[0006]Posnerは複数のランダムな衝突に対して最適化された衝突速度を開発した。「この機械は可変速モーターによって駆動され、直径2ミリメートルの開口部を有するスクリーンを備えていた。このユニットでは、毎秒21.2メートルの先端速度が最適であることがわかったが、毎秒18~25メートルの速度を使用することも可能であった。」(米国特許第4,986,997号)。
【0007】
[0007]しかし、以下にさらに詳述するように、回転するインペラで小麦粒を繰り返し叩くPosnerの方法では、胚にとって致命的な亀裂、欠け、破損のある分離小麦胚が生じる。したがって、Posnerのプロセスは胚の内部で分解プロセスを開始させる。さらに、Posnerのプロセスは、一般に、無細胞タンパク質合成の目的には不十分な純度の小麦胚中間製品をもたらす。
【0008】
[0008]したがって、先行技術の処理技術に固有の欠陥のために、大規模な無細胞タンパク質合成の基礎としての小麦の巨大な可能性は、数十年にわたって実現されなかった。小麦に含まれる成分を用いて、高度に特異的で純粋なタンパク質を工業的規模で製造することは、画期的な技術である。
【0009】
[0009]したがって、小麦胚の単離及び精製の新しい方法が必要である。このような新しい方法は、大規模生産に適していると同時に、トリチン及び分解物のレベルを極めて低く抑えることができるはずである。
【0010】
[発明の概要]
[0010]本明細書では、精製小麦胚製品を抽出及び単離するためのシステム及び方法を提供する。開示されるシステム及び方法は、小麦胚をベースとしたプロセスの主な障害を克服し、無細胞タンパク質合成をベンチトップから工業的規模に移行させる可能性を引き出す。開示されたシステム及び方法は、トリチン汚染レベルが極めて低い小麦胚を工業的な量で生産することができる。
【0011】
[0011]一実施形態では、中間精製小麦胚製品を製造する方法は、複数の小麦粒を衝突面に向かって加速させるステップと、複数の小麦粒の各々を衝突面に対して衝突させるステップと、衝突ステップに応答して、小麦胚の少なくとも一部を小麦粒から取り出すステップであり、取り出された胚が無傷である、ステップと、取り出された小麦胚をふすま及び胚乳から分離して、中間精製小麦胚製品を製造するステップと、を含む。小麦粒の各々は、小麦胚、ふすま、及び胚乳を含み得る。
【0012】
[0012]小麦粒は、第1の端部と第2の端部との間に延びる長軸を有し、小麦胚は第1の端部に位置すると説明し得る。本方法は、衝突ステップの前に、各小麦粒が第1の端部又は第2の端部で衝突面に衝突するように、小麦粒を衝突方位に配向させることを含み得る。
【0013】
[0013]本方法は、小麦粒の長軸と一致する衝突方向で、各小麦粒を衝突面に対して衝突させることを含み得る。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、加速ステップは、インペラを介して行われる。いくつかの実施形態では、インペラは、放射状に配置された複数の羽根を含む。いくつかの実施形態では、配向させるステップは、羽根に形成された溝に沿って小麦粒を加速させることを含み得る。
【0015】
[0015]代替の実施形態では、加速ステップは、チューブ及び圧縮ガス源を介して行われてもよい。チューブの直径は、小麦粒の長軸に垂直な断面に対応することができる。圧縮ガス源を利用して、エアライフルと同様に、チューブから小麦粒を押し出すことができる。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、衝突ステップは、複数の小麦粒の各々を衝突面に対して1回のみ衝突させることを含む。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、衝突ステップは、小麦粒を衝突面に対して29~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む。いくつかの実施形態では、衝突ステップは、小麦粒を衝突面に対して38~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む。いくつかの実施形態では、衝突ステップとは、小麦粒を衝突面に対して48~72m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、本方法は、衝突ステップの前に、小麦粒の含水率を所定の水分レベルに調整するステップを含む。一実施形態では、所定の水分レベルは11~18重量%である。一実施形態では、所定の水分レベルは13~15重量%である。一実施形態では、所定の水分レベルは13.5~14重量%である。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、衝突面は、衝突ステップの間、静止面である。いくつかの実施形態では、衝突面には、角、刃、及び/又は鋭利な部材がない。
【0020】
[0020]いくつかの実施形態では、加速ステップに応答して且つ衝突ステップの前に、各小麦粒は発射体になる。
【0021】
[0021]いくつかの実施形態では、中間精製小麦胚製品は、少なくとも91重量%の無傷の小麦胚を含む。いくつかの実施形態では、中間精製小麦胚製品は、トリチンを本質的に含まない。いくつかの実施形態では、無傷の取り出された胚は生存可能である。いくつかの実施形態では、中間精製小麦胚製品は、分解物を本質的に含まない。
【0022】
[0022]一実施形態では、衝突ステップは、500×g~2500×gの遠心加速度により小麦粒を加速させることを含む。一実施形態では、衝突ステップは、1000×g~1650×gの遠心加速度により小麦粒を加速させることを含む。
【0023】
[0023]一実施形態では、分離ステップは、取り出された小麦胚をふすま及び胚乳からスクリーニングすることを含む。一実施形態では、スクリーニングステップは、ふすま及び胚乳から小麦胚を光学的に色選別することを含む。一実施形態では、分離ステップは、小麦胚を水性液体中で浮遊させることを含む。一実施形態では、中間精製小麦胚製品は、少なくとも99.9重量%の無傷の小麦胚を含む。
【0024】
[0024]一実施形態では、中間濾過小麦胚製品を製造する方法は、小麦胚、ふすま及び胚乳を含む複数の小麦粒を得るステップと;複数の小麦粒の各々を衝突面に向かって加速させるステップと;複数の小麦粒の各々を衝突面に対して衝突させるステップと;衝突ステップに応答して、小麦胚の少なくとも一部を小麦粒から取り出すステップであり、取り出された胚が無傷である、ステップと;取り出された小麦胚をふすま及び胚乳から分離するステップと;取り出された小麦胚を粉砕して、粉砕小麦胚を製造するステップと;粉砕小麦胚を濾過(filtering)して、中間濾過(filtered)小麦胚製品を製造するステップと、を含む。
【0025】
[0025]一実施形態では、本方法は、衝突ステップの前に、各小麦粒が第1の端部又は第2の端部で衝突面に衝突するように、小麦粒を配向させるステップを含む。一実施形態では、各小麦粒は、小麦粒の長軸と一致する衝突方向で、衝突面に衝突する。
【0026】
[0026]一実施形態では、衝突ステップは、複数の小麦粒の各々を衝突面に対して1回のみ衝突させることを含む。一実施形態では、衝突ステップは、小麦粒を衝突面に対して29~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む。一実施形態では、衝突ステップは、小麦粒を衝突面に対して38~86m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む。一実施形態では、衝突ステップは、小麦粒を衝突面に対して48~72m/sから選択される衝突速度で衝突させることを含む。
【0027】
[0027]一実施形態では、衝突面は、衝突ステップの間、静止面である。一実施形態では、加速ステップに応答して且つ衝突ステップの前に、各小麦粒は発射体になる。
【0028】
[0028]一実施形態では、中間濾過小麦胚製品は、分解物を本質的に含まない。一実施形態では、中間濾過小麦胚製品は、トリチンを本質的に含まない。
【0029】
[0029]一実施形態では、分離ステップは、取り出された小麦胚をふすま及び胚乳からスクリーニングすることを含む。一実施形態では、スクリーニングステップは、小麦胚をふすま及び胚乳から単離するために、1300~600ミクロンの間の粒子をスクリーニングすることを含む。一実施形態では、スクリーニングステップは、小麦胚をふすま及び胚乳から単離するために、1180~680ミクロンの間の粒子をスクリーニングすることを含む。
【0030】
[0030]一実施形態では、分離ステップは、小麦胚を水性液体中で浮遊させることを含む。
【0031】
[0031]一実施形態では、粉砕ステップは、ブレンドステップの前に、小麦胚を凍結することを含む。
【0032】
[0032]一実施形態では、凍結ステップは、小麦胚を液体窒素と接触させることを含む。
【0033】
[0033]一実施形態では、粉砕ステップは、小麦胚を抽出液とブレンドしてスラリーを生成することを含む。
【0034】
[0034]一実施形態では、精製ステップは、スラリーをデカント(decant)することを含む。
【0035】
[0035]一実施形態では、デカントステップは、スラリーを遠心分離すること及び上澄み液をデカントすることを含む。
【0036】
[0036]一実施形態では、濾過ステップは、上澄み液をカラムフィルターに通すことを含む。一実施形態では、カラムフィルターはゲルカラムフィルターである。
【0037】
[0037]任意特定の理論に拘泥するものではないが、本明細書では、本明細書に開示されるデバイス及び方法に関する基礎的な原理の信念又は理解について議論することができる。いかなる機構論的説明又は仮説の最終的な正しさにかかわらず、本発明の実施形態は、それにもかかわらず、機能し有用であり得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】先行技術の小麦粉製粉プロセスを示す第1の模式図である。
【
図3】先行技術の小麦粉製粉プロセスを示す第2の模式図である。
【
図4】先行技術の方法によって製造された小麦胚芽の写真である。見てわかるように、小麦胚芽は、破砕された小麦胚、破砕された小麦ふすま、及び破砕された胚乳から構成される。破砕されたふすま粒子は、破砕された胚とともに埋め込まれている。
【
図5】本開示に従って精製小麦胚製品を製造する方法の模式図である。
【
図6】本開示の方法により単離された無傷で生存可能な小麦胚の写真である。小麦胚は、サイズを示すために0.1mm×0.1mmのグリッド上に置かれている。
【
図7】本開示の方法により単離された無傷で生存可能な小麦胚(左)と、先行技術の方法により製造された小麦胚芽(右)とを並べて比較した写真である。
【
図8】従来の小麦胚芽の成分:破砕され、平坦化された胚(左上)、平坦化された胚乳(右上)及び平坦化されたふすま(左下)の写真である。
【
図9】0.1mm×0.1mmのグリッド上に示された、先行技術の方法によって製造された、破砕され平坦化された小麦胚(上)、及び無傷で生存可能な胚芽(下)の写真である。
【
図10】0.1mm×0.1mmのグリッド上に示された、本開示の方法によって抽出され単離された無傷で生存可能な小麦胚(左)及び先行技術の市販の小麦胚芽(右)の写真である。
【
図11】本開示による衝突粉砕のための装置の写真である。
【
図12】本開示による衝突粉砕のための装置の写真である。
【
図13】水分対衝突速度の研究の結果を示す図である。
図13は、データを包括的に示している。
【
図14】水分対衝突速度の研究の結果を示す図である。
図14は、データを包括的に示している。
【
図15】水分対衝突速度の研究の結果を示す図である。
図15では、目的の画分で回収された材料の量が、粉砕された材料全体に対するパーセンテージとして報告されている。
【
図16】水分対衝突速度の研究の結果を示す図である。
図16は、一定の水分レベルで衝突速度を増加させた場合の組成への影響を示すグラフである。
【
図17】水分対衝突速度の研究の結果を示す図である。
図17は、胚の総収率対衝突速度を示すグラフである。
【
図18】水分対衝突速度の研究の結果を示す図である。
図18は、衝突速度と水分レベルを変化させた場合の、生存可能な胚芽の実際の収率を示すグラフである。
【
図19】衝突前の粉砕研磨試験の結果を示す図である。
【
図20】本開示による中間精製小麦胚製品の定量的画像分析に使用される画像である。
【
図21】本開示による中間精製小麦胚製品の定量的画像分析に使用される画像である。
【
図22】トレーニング画像に基づいてピクセルを分類するために機械学習を使用した、イラスティック(ilastic)による定量的画像分析を示す図である。
【
図23】トレーニング画像に基づいてピクセルを分類するために機械学習を使用した、イラスティック(ilastic)による定量的画像分析を示す図である。
【
図24】トレーニング画像に基づいてピクセルを分類するために機械学習を使用した、イラスティック(ilastic)による定量的画像分析を示す図である。
【
図25】トレーニング画像に基づいてピクセルを分類するために機械学習を使用した、イラスティック(ilastic)による定量的画像分析を示す図である。
【
図26】Posner先行技術プロセスの製品の写真である。
【
図27】本開示による衝突粉砕及び乾式処理の製品の写真である。
【
図28】本開示による衝突及び乾式処理に湿式後処理を加えた製品の写真である。
【
図29】本開示の乾式プロセスによって収集された胚のランダムに選択された群についての胚生存性の試験を示す写真である。
【
図30】Posnerプロセスによって収集された胚の群についての同一の実験の結果を示す写真である。
【
図31】Posnerプロセスに使用される原料小麦粒の生存性を試験する対照実験の写真である。
【
図32】Posnerプロセスによって生じる胚芽粒子の損傷の写真である。
【
図33】Posner試料の画像処理の結果を示す図である。
【
図34】乾式プロセス材料の定量的画像分析の結果を示す図である。
【
図35】湿式後プロセスの画像処理の結果を示す図である。
【0039】
[化学化合物及び命名法に関する記述]
[0063]一般に、本明細書で使用される用語及び語句は、当業者に公知の標準的なテキスト、雑誌の参考文献、及び文脈を参照することによって見出すことができる、当該技術分野で認識されている意味を有する。以下の定義は、本発明の文脈におけるそれらの特定の使用を明確にするために提供される。
【0040】
[0064]一実施形態では、合金又は合金の前駆体などの本発明の組成物又は化合物は、単離されるか、又は実質的に精製される。一実施形態では、単離された又は精製された化合物は、当該技術分野で理解されるように、少なくとも部分的に単離されるか、又は実質的に精製される。一実施形態では、本発明の実質的に精製された組成物、化合物又は製剤は、95%、任意選択で一部の用途では99%、任意選択で一部の用途では99.9%、任意選択で一部の用途では99.99%、任意選択で一部の用途では99.999%の純度の化学的純度を有する。
【0041】
[発明の詳細な説明]
[0065]以下の説明では、本発明の正確な性質を完全に説明するために、本発明のデバイス、デバイス構成要素、及び方法の多数の具体的詳細が記載される。しかし、本発明は、これらの具体的詳細がなくても実施できることは、当業者には明らかである。
定義
[0066]本明細書で使用される場合、「小麦胚芽」という用語は、小麦胚と同じ意味で使用されることがあるか、又は代替的に、破砕された小麦胚、ふすま及び胚乳粒子の混合物を指すために使用されることがある。
【0042】
[0067]本明細書で使用される場合、「生存可能な小麦胚」という用語は、適切な条件下で小麦の芽に発芽することができる、無傷の、生きている小麦胚を指す。
【0043】
[0068]本明細書で使用される場合、「トリチンを本質的に含まない」という用語は、タンパク質合成が測定上妨げられないような十分に低い濃度のトリチンを有することを意味する。
【0044】
[0069]本明細書で使用される場合、「発射体」という用語は、重力及び空気抵抗の影響下で自由に移動できる力の発揮によって推進される物体である。
【0045】
[0070]本明細書で使用される場合、「衝突方位」という用語は、小麦粒が受ける衝突に対する小麦粒の方位を指す。特に有用な衝突方位には、本明細書では第1の端部及び第2の端部とも呼ばれる、小麦粒の丸みを帯びた「ノーズ」又は「テール」で衝突が起こるように、小麦粒の長軸を配向させることが含まれる。
【0046】
[0071]本明細書で使用される場合、「衝突方向」という用語は、衝突面に対する衝突の開始時に小麦粒が進行する方向を指す。特に有用な衝突方向には、小麦粒が長軸と一致した方向に移動して衝突が生じるように、小麦粒の長軸を配向させることが含まれる。例えば、衝突方向は、長軸に平行な方向から10度以下の範囲内であってもよい。
【0047】
[0072]本明細書で使用される場合、「衝突速度(impact speed)」又は「衝突速度(impact velocity)」という用語は、小麦粒が衝突面に衝突する直前の瞬間に移動している速度を指す。
【0048】
[0073]本明細書で使用される場合、「単回衝突粉砕」という用語は、小麦粒が加速され、衝突面に対して1回のみ衝突する、小麦粒の衝突粉砕を指す。
【0049】
[0074]ここで
図1を参照すると、小麦粒の一例が示されている。見てわかるように、小麦粒には、種皮とアリューロン層からなる外側の皮、つまりふすまが含まれる。ふすまは胚とデンプン質の胚乳の両方を取り囲み、保護している。胚には、子葉、芽、小花柄及び幼根が含まれる。胚は小麦粒の一部であり、リボソームなどの目的のタンパク質合成機構を含む。胚乳にはデンプンが含まれ、胚が成長し、土壌に定着し、地表に芽を出して光合成を開始できるまでのエネルギーを供給する。寄生生物が胚乳を消費するのを防ぐための保護手段として、胚乳にはタンパク質合成を阻害するタンパク質であるトリチンも含まれている。無細胞タンパク質合成の状況では、微量のトリチンでもタンパク質合成を阻害する可能性がある。したがって、小麦胚の無細胞タンパク質合成の可能性を引き出すことは、胚からの本質的に完全な胚乳の分離に依存する。
【0050】
[0075]さらに、
図1に示すように、小麦粒は、第1の端部と第2の端部との間に延びる長軸を有し、小麦胚は第1の端部に位置すると説明し得る。
【0051】
[0076]次に、
図2及び
図3を参照すると、先行技術の小麦処理方法が図示されている。見てわかるように、従来の小麦処理では、1つ又は複数のローラーミルを使用して、小麦粒全体を破砕して平らにし、次いで、得られた平らにした粒子を一連のふるいによってサイズごとに、少なくとも小麦粉画分、ふすま画分及び小麦胚芽画分に分離する。
【0052】
[0077]
図4は、
図2及び
図3の方法によって製造された代表的な市販の小麦胚芽の拡大写真を示す。見てわかるように、小麦胚芽は、かなりの量のふすま(薄茶色)及び胚乳(白色)とともに、破砕された胚(淡黄色)を含む。特に、胚乳の小粒子は、胚と分離不可能なほどに粉々に粉砕されており、いくら後処理をしても胚乳を全て取り除くことはできないことがわかる。したがって、トリチンを含有する胚乳粒子の存在が避けられないため、先行技術の小麦胚芽は、無細胞タンパク質合成プラットフォームの供給源としての使用には本質的に不向きである。
【0053】
[0078]さらに、
図4に示すように、胚はローラーミル処理によって破砕され、したがって、胚を生存不能にし、リボソーム及び他のタンパク質合成機構及び成分の化学的分解プロセスを開始させる。
【0054】
[0079]しかし、適切な条件下では、小麦胚は高速衝突によってふすま及び胚乳からきれいに分割され得ることが発見された。驚くべきことに、本開示の衝突処理では、胚の大部分を無傷で生存可能な状態にすることができ、同時に胚から胚乳を完全に又はほぼ完全に除去することも容易になる。
【0055】
[0080]次に
図5参照すると、高度に改良された精製小麦胚製品を製造する方法の一実施形態の模式図が示されている。図示の方法では、小麦粒は水分調整され、次に遠心インパクタに供給する前に研磨精練される。インパクタでは、小麦粒が衝突面に衝突し、それによって小麦胚が胚乳とふすまから取り出される。上述したように、本開示の衝突処理では、胚の大部分を無傷で生存可能な状態にすることができる。次いで、小麦胚を、1つ又は複数の分離ステップを経て、ふすま及び胚乳から分離して、中間精製小麦胚製品を製造することができる。
【0056】
[0081]図示の実施形態では、分離プロセスは、ふるい分け、吸引、スクリーニング及び色選別のステップを含む。ふるい分けステップでは、インパクタで生成された破断小麦粒ストリームを、例えば、gryo-whipシフターによってサイズ別に選別して、上の粗い画分と下の細かい画分を除去し、粗製の乾燥胚製品を残すことができる。吸引ステップでは、次いで、無傷の胚の少なくとも一部を含むふるい分けステップからの中間画分(粗製の乾燥胚製品)を空気吸引によって処理して、より重い胚からふすま粒子を除去し、それによって胚濃縮物を製造することができる。スクリーニングステップでは、胚濃縮物は、1つ又は複数の振動スクリーナーによってスクリーニングされてもよい。例えば、胚濃縮物は、微粉を除去するために直径約0.033インチの丸い穿孔を有する第1の振動スクリーナーによってスクリーニングされてもよい。次に、第1の振動スクリーナーの上部に残された胚を、約0.08×0.03インチの長方形の穴を有する第2の振動スクリーナーに供給して、胚がスクリーンを通過できるようにし、粗ふすまをスクリーンの上部に残すことができる。
【0057】
[0082]胚製品の純度をさらに向上させるために、第2のスクリーナーを通過した画分を色選別機に供給し、そこでふすま及び胚乳粒子を除去し、高度に精製された胚製品を残すことができる。
【0058】
[0083]いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって製造される胚製品は、トリチンを本質的に含まない可能性がある。したがって、工業的に有用な量の純粋な又はほぼ純粋な小麦胚が製造され得る。胚製品は、低温又は極低温条件下でさらに処理及び/又は保存することができ、製品の貯蔵寿命を大幅に延長できる。
【0059】
[0084]さらに、見てわかるように、本プロセスは、ローラー粉砕又は他の類似の破砕操作を伴わない可能性がある。したがって、開示される方法によって製造される得られる精製胚製品は、
図6に示されるように、胚乳をほとんど含まない、無傷で生存可能な小麦胚から完全に又はほとんど完全に構成され得る。
【0060】
[0085]本開示の精製胚製品と先行技術の小麦胚芽との並べた比較を
図7に示す。見てわかるように、先行技術の小麦胚芽はかなりの量のふすま及び胚乳を含むが、精製胚製品は含まない。
【0061】
[0086]
図8は、平坦化されたローラー粉砕された胚(左上)、胚乳(右上)及びふすま(下)を示す。見てわかるように、ローラー粉砕プロセスは胚を破壊する。
【0062】
[0087]
図9及び
図10は、本開示の方法によって単離された無傷で生存可能な胚と、先行技術の方法によって製造された小麦胚との並べた比較を示す。
【0063】
[0088]
図11~
図12を参照すると、単回衝突小麦胚分割に有用な装置の一実施形態が示されている。見てわかるように、この装置は、放射状羽根150を有するインペラ100を含む。放射状羽根150には、溝が形成されている。装置はまた、インペラ100の半径方向端部から間隔をおいて配置された衝突面200を含む。インペラが回転している間に、インレット300に小麦粒を投入することができる。次に、小麦粒は、羽根150の溝160に沿って加速され、インペラ100の端部から飛び出し、インペラ100と衝突面200の間の隙間を横切って、最後に衝突面200に衝突する。分割された胚は、ふすま及び胚乳とともに、さらなる分離及び処理のために装置の底部に集められる。
【0064】
[0089]衝突方位は、胚生存性を依然として維持しながら胚の分割を達成する上で重要なファクターであることが発見された。したがって、溝160のサイズ及び形状は、小麦粒の長軸に垂直な断面に対応することができる。例えば、溝160の半径は、小麦粒の長さよりも小さく、小麦粒の幅よりも大きくなるように選択することができる。したがって、小麦粒は、長軸が小麦粒の進行方向と一致する方位になるように、溝160に自動整列することができる。このようにして、小麦粒が衝突面に向かって移動する発射体になるとき、フットボールがらせんを描くように投げられたときのように、小麦粒は転がり回ることなく安定した方位に移動することができる。したがって、衝突方向及び衝突方位が制御され、胚に致死的な損傷を与えることなく、信頼性が高く再現可能な胚の分割をもたらすことができる。
【0065】
[0090]さらに、見てわかるように、衝突面200には、角、刃、及び/又は鋭利な部材がない。鋭利な形状のない平坦な衝突面は、胚に亀裂、欠け又は他の損傷を与えることなく、効果的な胚の分割を可能にすることが見出された。したがって、胚の生存性は、分割プロセスを通じて維持され得る。衝突面は、セラミック、鉄鋼、又は他の任意の適切な硬さの材料で構成することができる。
【0066】
[0091]いくつかの実施形態では、本方法は、衝突ステップの前に、種子休眠前処理をさらに含むことができる。前処理では、天然の植物ホルモン、及びジベレリン(GA3)、インドール酢酸、その他のオーキシンなどの補因子を使用して、小麦種子を休眠状態から戻すことができる。前処理溶液は、セルロース分解酵素、及び抗生物質ペプチドなどの他の化合物をさらに含んでもよい。この前処理組成物は、生存可能な小麦胚の抽出を促進するためのテンパリング補助剤として作用し得る。
【0067】
実施例1-水分と衝突速度の相互依存性
[0092]適切な水分レベルと適切な衝突速度は相互に依存していることが見出された。具体的には、水分が少ないと小麦粒がより脆くなる傾向がある一方、水分が多いと小麦粒がより弾力的になる傾向があることが見出された。したがって、水分が少なすぎると、小麦粒から胚を分割するのに必要な衝突速度であっても、胚の破断や損傷を引き起こす可能性がある。一方、水分が多すぎると、その時点で小麦粒の全ての構造が粉砕されてパルプになる、粉砕速度までのどのような速度でも、小麦粒からの胚の分割を妨げることがある。したがって、有用な結果を得るためには、所定の衝突速度範囲と同様に、所定の水分範囲が必要な場合がある。
【0068】
[0093]いくつかの実施形態では、水分を目標範囲内に調整することができるが、達成された水分レベルと目標水分レベルとの間にいくらかの差が存在する可能性がある。したがって、潜在的に時間のかかる第2の水分レベル調整を行うのではなく、衝突速度を調整することができる。水分レベルがやや高い場合、胚の分割率と胚の損傷率のバランスをとるために、多少高い衝突速度が必要となる場合があり、またその逆も同様である。
【0069】
[0094]次に
図13~
図18を参照すると、水分と衝突速度の相互依存性研究の結果が示されている。水分レベルは11.8%~18%の範囲で、衝突速度は9.6m/s~105.3m/sの範囲で調査した。研究の目的上、衝突速度はインペラの先端速度と等しいと仮定する。すなわち、小麦粒がインペラの先端と衝突面の間の隙間を横切って移動するときの空力抵抗による小麦粒発射体の減速は、移動距離が短いため、その大きさは小さいと想定されているため、無視されている。
【0070】
[0095]報告された胚芽収率は、回収された材料の割合と粉砕された材料の割合に基づいている。これは、材料の乾燥を引き起こす空気と攪拌の使用による水分損失についてデータを正規化するために行われる。ふるい分け、粉塵、流出による材料の物理的損失は、全ての試料間で本質的に一定に保たれた。
【0071】
[0096]衝突粉砕の後、材料をふるい分け、粒度別に製品を分離する。胚芽を含む目的の画分は、粉砕された製品全体のごく一部である。この画分は3つの主成分:ふすま、胚乳、胚芽からなる。衝突速度の増加には、2つの測定可能な影響がある。1)目的の画分の胚芽の量に比べてふすまと胚乳の比率が増加する。2)衝突速度が増加すると、目的の画分が増加する。非常に速い速度では、目的の画分はふすまと胚乳のみを含み、胚芽はプロセスによって完全に破壊される。
【0072】
[0097]データからわかるように、11.8%の低水分レベルでは、胚の分割は約29m/sで観察され始めた。約29m/sの衝突速度では、18%を除く全ての調査された水分レベルで胚の分割が観察された。約38m/sで、より低い水分範囲で有用な胚の分割が観察された。48~72m/sの範囲では、水分18%を除くほぼ全ての水分レベルで有用な胚の分割が観察された。約86m/sで、小麦粒は全ての調査された水分レベルにわたって衝突面に対して粉砕し始めた。
【0073】
[0098]
図15を参照すると、目的の画分で回収された材料の量が、粉砕された材料全体に対するパーセンテージとして報告されている。
図15のグラフは、衝突速度の全てのレベルにおいて、目的の画分に放出される材料の量が含水率とともに減少することを示している。
【0074】
[0099]
図16に示すように、13.5%の一定水分で、38.28~57.42の間の衝突速度では、胚芽(胚)が目的の画分の大部分であるため、好ましい混合物を生成する。71.7m/sを超えると、追加の胚芽収量が下流の処理に悪影響を及ぼす。
【0075】
[0100]
図17に示すように、組成とともに、生存可能な胚芽の総収量は、最適な衝突速度の重要なファクターである。衝突速度が38.3m/s未満では、プロセスから意味のある量の製品は得られない。71.8m/sまでの速度で収量が増加するが、この速度を超えると、下流の処理の条件が不利になる。例えば、胚の生存性が損なわれる可能性がある。
【0076】
[0101]
図18は、衝突速度と水分レベルを変化させた場合の、生存可能な胚芽の実際の収量を示すグラフである。このグラフは、最適な速度と水分がマトリックスであり、速度を範囲内で変更して、様々な条件に対して生存可能な胚芽収量を補正し、最適化できることを示している。
【0077】
実施例2-表面研磨
[0102]小麦粒からの小麦胚の分割を改善するための潜在的手段として、単回衝突粉砕の前の機械的な表面研磨を調査した。
【0078】
[0103]
図19 機械的な表面研磨は含水率の上昇によって促進されるため、この研究は含水率14%で実施した。含水率の上昇を補うために、試料は57.4m/sという高い衝突速度で粉砕された。見てわかるように、機械的な表面研磨により、分割された胚の収量が向上した。
【0079】
[0104]理論に拘泥するものではないが、表面研磨により外側のふすま保護層の少なくとも一部が除去及び/又は弛緩され、その後の単回衝突粉砕をより効果的に導いたという仮説が成り立つ。
【0080】
実施例3-定量的画像分析
[0105]定量的画像分析法を開発して、損傷した胚及びおそらく生存不可能な胚の量を含む、プロセスの結果の定量化を可能にした。画像中の物体の色と大きさに基づいて離散粒子の種類と状態を定量化する機械学習画像分析アルゴリズムが記録された。
【0081】
[0106]
図20及び
図21を参照すると、アルゴリズムの一実施形態が示されている。示すように、上記に開示した方法から製造された粒子の画像が得られる。物体は、胚乳、ふすま又は胚として識別された。次に、胚粒子が破損しているかどうかを判定するために、胚粒子を分析した。開発された一般規則は、サイズが2200ピクセル未満の胚芽と識別された物体は、破損した胚芽粒子に由来するというものである。この尺度を使用すると、プロセス中に受けた材料の種類と損傷の量を定量化できる。無傷の胚芽粒子は、大無傷A)4169ピクセル~小無傷B)2415ピクセルの範囲であり、破損した断片は、小破損C)1251ピクセル~大破損D)2203ピクセルの範囲に及ぶ可能性がある。この相対的なサイズ比較と目視検査は、各処理技術からの複合試料について測定された粒度分布に意味を与える。
【0082】
[0107]
図22~
図25は、トレーニング画像に基づいてピクセルを分類するために機械学習を使用した、イラスティック(ilastic)による定量的画像分析を示している。トレーニングから、ピクセルはその組成に基づいて物体にグループ化され、サイズと存在量に基づいて詳細な統計が報告される。
【0083】
[0108]分析から取得したこの試料画像では、生の入力(
図22)に3つの成分の画像が含まれている。さらなる分析では、3つの成分は別々に分類される。場合によっては、粒子は3つの材料の何らかの組み合わせである。
図23は、
図22の3つの主成分のうち、1.胚芽に分類されたピクセルを示す。
図24は、
図22の3つの主成分のうち、2.ふすまに分類されたピクセルを示す。
図25は、
図22の3つの主成分のうち、3.胚乳に分類されたピクセルを示す。
【0084】
実施例4-比較データ対Posnerプロセス
[0109]Posnerが開発した先行技術の製品及びプロセスとの比較データを得るために、Posnerがカンザス州立大学で使用したのとまったく同じForster水平実験室用スカラーへのアクセスが確保された。「衝突及びその後の粉砕による小麦胚芽の分離技術(A Technique for Separation of Wheat Germ by Impacting and Subsequent Grinding)」、Journal of Cereal Science 13(1991)49~70、E.S.POSNER及びY.Z.LI、並びに米国特許第4,986,997号に説明されているプロセスを再現した。次に、再現されたPosnerプロセスの製品を、上記で詳述した画像分析技術によって分析した。
【0085】
[0110]
図26は、Posnerプロセスの製品の写真を示す。
図27は、本開示による衝突粉砕及び乾式処理の製品の写真を示す。具体的には、本研究では、乾式処理には、単回衝突粉砕、ふるい分け、空気分離、及び色選別が含まれる。
図28は、衝突及び乾式処理に湿式後処理を加えた製品の写真を示す。この研究では、湿式後処理には、単回衝突粉砕、ふるい分け、空気分離、色選別、及びその後の液体密度分離が含まれる。
【0086】
[0111]画像分析:3つの試料(各プロセス技術から1つ)を同一条件下で画像化した。各試料について、約0.25mgの材料を画像に使用した。画像は、画像のトリミングを行わずに、同じ設定で一緒に色調整された。各分類ルーチンでは、画像ごとに正確な総ピクセル数を使用した。分類されたピクセルは、組成と最近傍によって物体にグループ化された。各物体の各サイズが計算され、形状組成と位置に関する関連統計が収集された。
【0087】
【0088】
[0113]表1からわかるように、Posnerプロセスは61%の胚純度を達成したのに対し、本開示の乾式プロセスでは91%の胚純度を達成し、本開示の湿式後プロセスでは99.93%の胚純度を達成した。
【0089】
[0114]
胚生存性:
図29は、本開示の乾式プロセス(単回衝突粉砕、ふるい分け、空気分離、及び色選別)によって収集された胚のランダムに選択された群についての胚生存性の試験を示す。胚は植物成長培地で48時間発芽させた。見てわかるように、48時間の発芽の後、ほぼ全ての胚の発根と成長によって示されるように、生存性は疑いもなく明らかである。
図30は、Posnerプロセスによって収集された胚の群についての同一の実験の結果を示す。見てわかるように、Posnerプロセスの胚は、同じ48時間の発芽の後、同じ成長培地で一個も発芽しなかったので、生存性は全く欠如しているように見える。
【0090】
[0115]Posnerプロセス胚の発芽失敗に関する他の説明を排除するために、Posnerプロセスに使用される原料小麦粒の試料を、Posner装置で処理せずに発芽させた。結果を
図31に示す。見てわかるように、植物成長培地で48時間発芽させた後、小麦粒の100%が発根した。したがって、Posnerプロセスが生存性の喪失の原因であると結論づけることができる。
【0091】
[0116]ここで
図32を参照すると、Posnerプロセスの鋭い回転ビーターによるランダムな向きの繰り返し衝突によって生じる典型的な胚芽粒子の損傷を示す画像が示されている。白いボックスは、完全な破損、欠け、亀裂、生存性の消滅、発芽の阻害など、胚が受けた損傷の一部を強調している。発芽調査によると、この損傷はPosnerプロセスで得られた胚のほとんど又は全てにとって致命的であると考えられる。
【0092】
[0117]
図33はPosner試料の画像処理の結果を示す。胚芽粒子の大きさの分布は、
図32で視覚的に見ることができるものを統計的に示している。これは、多数の破損した胚芽粒子と欠けた胚芽粒子であり、さらに残ったふすまや胚乳からの大量の汚染である。Posner法は約60%の胚芽を生成し、これは商用に製造された小麦胚芽と一致し、Posnerによって報告された脂肪とタンパク質の割合とも一致する。以下の表2は、胚芽(胚)のPosner分布の統計分析を示している。
【0093】
【0094】
[0119]
図34及び表3は、HRS品種Murdochを使用した乾式プロセス材料の定量的画像分析の結果を示している。上記で詳述したように、最小の無傷の胚芽粒子は約2000ピクセルであるという理解に基づけば、乾式プロセス法では破損した胚芽粒子は5%未満である。Posner法では破損したサイズの胚芽粒子は約36%である。Posner胚のいずれもが発芽しなかったことから、破損していないPosner胚でさえ、処理中に致死的な損傷を受けると推測される。
【0095】
【0096】
[0121]
図35及び表4は、湿式後プロセスの画像処理の結果を示し、その結果、99.9%の純度の無傷の胚芽粒子が得られ、2,000ピクセルより小さいサイズの粒子は3つだけであった。
【0097】
【0098】
[参照による取り込み及び変形に関する記述]
[0123]本出願中の全ての参考文献、例えば、発行又は付与された特許又は等価物を含む特許文献、特許出願刊行物、及び非特許文献文書又は他の出典資料は、各参考文献が本出願の開示と少なくとも部分的に矛盾しない範囲で、個々に参照により組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる(例えば、部分的に矛盾している参考文献は、その参考文献の部分的に矛盾している部分を除き、参照により組み込まれる)。
【0099】
[0124]本明細書で使用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、このような用語及び表現の使用には、示され、説明された特徴又はその一部の等価物を排除する意図はないが、本発明の特許請求の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態、例示的な実施形態、及び任意選択の特徴によって具体的に開示されたが、本明細書に開示された概念の改変及び変形は、当業者に委ねることができ、そのような改変及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。本明細書で提供される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本発明が、本説明に示されるデバイス、デバイス構成要素、方法ステップの多数の変形を用いて実施され得ることは、当業者には明らかである。当業者には明らかであるが、本発明の方法に有用な方法及びデバイスは、多数の任意選択の構成及び処理要素及びステップを含み得る。
【0100】
[0125]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞及び当業者に公知のその等価物を含む。同様に、「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。また、「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、互換的に使用できることに留意されたい。「請求項XX~YYのいずれかの」(ここで、XX及びYYは請求項番号を指す)という表現は、代替形態で複数の従属請求項を提供することを意図しており、いくつかの実施形態では、「請求項XX~YYのいずれか一項のように」という表現と交換可能である。
【0101】
[0126]置換基の群が本明細書に開示される場合、その群のメンバーの任意の異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーを含めて、その群の全ての個々のメンバー、及び全てのサブ群が別々に開示されることが理解される。マーカッシュ群又は他のグループ分けが本明細書で使用される場合、その群の全ての個々のメンバー、並びにその群の可能な全ての組み合わせ及びサブ組み合わせは、本開示に個々に含まれることが意図される。化合物の特定の異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーが、例えば、式又は化学名で特定されないように化合物が本明細書に記載される場合、その記載は、個々に又は任意の組み合わせで記載される化合物の各異性体及びエナンチオマーを含むことが意図される。さらに、別段の指定がない限り、本明細書に開示される化合物の全ての同位体変異体は、本開示に包含されることが意図される。例えば、開示される分子中の任意の1つ又は複数の水素は、重水素又はトリチウムで置換され得ることが理解される。分子の同位体変異体は、一般に、分子のアッセイにおける標準物質として、及び分子又はその使用に関連する化学的及び生物学的研究において有用である。このような同位体変異体の作製方法は当技術分野で公知である。当業者であれば同じ化合物に異なる名称を付けることができることが知られているため、化合物の特定の名称は、例示的なものであることが意図されている。
【0102】
[0127]本明細書で開示される特定の分子は、1つ又は複数のイオン性基[プロトンを除去することができる基(例えば、-COOH)若しくは付加することができる基(例えば、アミン)、又は4級化することができる基(例えば、アミン)]を含み得る。このような分子及びその塩の全ての可能なイオン形態は、本明細書の開示に個々に含まれることが意図される。本明細書の化合物の塩に関して、当業者は、幅広い種類の入手可能な対イオンの中から、所与の用途のための本発明の塩の調製に適切なものを選択することができる。特定の用途では、塩を調製するために所与のアニオン又はカチオンを選択すると、その塩の溶解度が増加又は減少する可能性がある。
【0103】
[0128]本明細書に記載又は例示される全てのデバイス、システム、製剤、成分の組み合わせ、又は方法は、特に明記しない限り、本発明を実施するために使用することができる。
【0104】
[0129]本明細書において、例えば、温度範囲、時間範囲、又は組成若しくは濃度範囲などの範囲が与えられる場合は常に、全ての中間範囲及びサブ範囲、並びに与えられた範囲に含まれる全ての個々の値が、本開示に含まれることが意図される。本明細書の記載に含まれる範囲又はサブ範囲の任意のサブ範囲又は個々の値は、本明細書の特許請求の範囲から除外され得ることが理解される。
【0105】
[0130]本明細書で言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が関連する当業者の技術レベルを示すものである。本明細書で引用される参考文献は、その出版日又は出願日現在の技術水準を示すために、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、必要に応じて、この情報を本明細書で使用して、先行技術にある特定の実施形態を除外できることが意図される。例えば、組成物が特許請求される場合、本明細書に引用された参考文献に実施可能な程度の開示が提供される化合物を含む、出願人の発明以前に当技術分野で公知であり入手可能な化合物は、ここでは組成物の請求項に含まれることを意図していないことを理解されたい。
【0106】
[0131]本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用される場合、「からなる」は、請求項の要素に指定されていない要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的且つ新規な特性に実質的に影響を与えない材料又はステップを除外しない。本明細書の各例において、「含む」、「から本質的になる」、及び「からなる」という用語のいずれも、他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素や制限も存在しない状態で適切に実施することができる。
【0107】
[0132]当業者であれば、特に例示したもの以外の出発物質、生体物質、試薬、合成方法、精製方法、分析方法、アッセイ方法、及び生物学的方法を、過度の実験に頼ることなく本発明の実施に用いることができることを理解する。このような材料及び方法の当技術分野で公知の全ての機能的等価物は、本発明に含まれることが意図される。使用された用語及び表現は、説明の用語として使用されたものであり、限定を意味するものではなく、このような用語及び表現の使用において、示され、説明された特徴又はその一部の等価物を排除する意図はないが、本発明の特許請求の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されたが、当業者は、本明細書に開示された概念の改変及び変形に頼ることができ、そのような改変及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【国際調査報告】