IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシーの特許一覧

特表2024-507569照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法
<>
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図1
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図2
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図3
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図4
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図5
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図6
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図7
  • 特表-照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】照射体およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   G21H 1/04 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
G21H1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551658
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022070784
(87)【国際公開番号】W WO2022183180
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,628
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ヘイベル、マイケル、ディー
(57)【要約】
本願では、照射体(102)およびその他のガンマ線源を用いた発電のための装置、システム、および方法を開示する。様々な態様において、照射体ベースの発電デバイス(100)を開示する。当該発電デバイスは、照射体(102)を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成された放射体材料を含む放射体層(104)と、当該放射体層(104)を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成された電気絶縁材料を含む電気絶縁層(108)と、当該電気絶縁層(108)を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成された集電体材料を含む集電体層(110)とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射体ベースの発電デバイスであって、
照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成された放射体材料を含む放射体層と、
当該放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成された電気絶縁材を含む電気絶縁層と、
当該電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成された集電体材料を含む集電体層と、
当該照射体、当該放射体層、またはそれらの組み合わせに電気的に結合された正端子接続部と、
当該集電体層に電気的に結合された負端子接続部とを備える照射体ベースの発電デバイス。
【請求項2】
照射体をさらに備える、請求項1の発電デバイス。
【請求項3】
前記照射体が減損した照射体を備える、請求項2の発電デバイス。
【請求項4】
前記照射体が、コバルト-60、セシウム-137、またはそれらの組み合わせを含む、請求項2の発電デバイス。
【請求項5】
前記放射体材料がタングステンを含む、請求項1の発電デバイス。
【請求項6】
前記電気絶縁材が酸化マグネシウムを含む、請求項1の発電デバイス。
【請求項7】
熱捕集接続部をさらに備える、請求項1の発電デバイス。
【請求項8】
複数の照射体ベースの発電デバイスを含む照射体ベースの発電システムであって、
当該複数の発電デバイスの各々は、
照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたデバイス放射体材料を含むデバイス放射体層と、
当該デバイス放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたデバイス電気絶縁材を含むデバイス電気絶縁層と、
当該デバイス電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたデバイス集電体材料を含むデバイス集電体層と、
当該照射体、当該デバイス放射体層、またはそれらの組み合わせに電気的に結合されたデバイス正端子接続部と、
当該デバイス集電体層に電気的に結合されたデバイス負端子接続部とを備え、
当該照射体ベースの発電システムはさらに、
当該複数の発電デバイスの当該デバイス正端子接続部の各々に電気的に結合されたシステム正端子接続部と、
当該複数の発電デバイスの当該デバイス負端子接続部の各々に電気的に結合されたシステム負端子接続部とを備えることを特徴とする、照射体ベースの発電システム。
【請求項9】
請求項8の発電システムであって、
前記複数の照射体ベースの発電デバイスを少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたシステム放射体材料を含むシステム放射体層と、
当該システム放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたシステム電気絶縁材を含むシステム電気絶縁層と、
当該システム電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたシステム集電体材料を含むシステム集電体層とを備え、当該システム集電体層は前記システム負端子接続部に電気的に結合されていることを特徴とする発電システム。
【請求項10】
前記システム放射体材料がタングステンを含む、請求項9に記載の発電システム。
【請求項11】
前記システム電気絶縁材が酸化マグネシウムを含む、請求項9の発電デバイス。
【請求項12】
システム熱捕集接続部をさらに備える、請求項9の発電システム。
【請求項13】
前記複数の発電デバイスの各々が前記照射体を備える、請求項8の発電システム。
【請求項14】
前記照射体が減損した照射体を備える、請求項13の発電システム。
【請求項15】
前記照射体が、コバルト-60、セシウム-137、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13の発電システム。
【請求項16】
照射体ベースの発電システムであって、
複数の照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたシステム放射体材料を含むシステム放射体層と、
当該システム放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたシステム電気絶縁材を含むシステム電気絶縁層と、
当該システム電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたシステム集電体材料を含むシステム集電体層と、
当該システム放射体層に電気的に結合されたシステム正端子接続部と、
当該システム集電体層に電気的に結合されたシステム負端子接続部とを備える、照射体ベースの発電システム。
【請求項17】
前記システム放射体材料がタングステンを含む、請求項16の発電システム。
【請求項18】
前記システム電気絶縁材が酸化マグネシウムを含む、請求項16の発電デバイス。
【請求項19】
システム熱捕集接続部をさらに備える、請求項16の発電システム。
【請求項20】
複数の前記照射体をさらに備える、請求項16の発電システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、参照によりその全てが本願に組み込まれる2021年2月25日に出願された「ELECTRIC POWER SUPPLY DEVICE CONSTRUCTED USING DEPLETED CO-60 SOURCES AND METHOD OF MANUFACTURING AND USING SAME」と題する米国仮特許出願第63/153,628号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概して、例えば減損したコバルト-60(Co-60)照射体などのガンマ線源を用いて発電するための装置、システム、および方法に関する。本願で説明する装置、システム、および方法を用いて生成される出力は、電力、熱、またはそれらの組み合わせの形態であってよい。
【発明の概要】
【0003】
以下の概要は、本願で開示する態様に特有のいくつかの革新的な特徴を理解しやすくするためのものであり、完全な記述を意図するものではない。本願で開示する様々な態様を完全に理解するには、明細書、請求項、および要約書の全体を総合的にとらえる必要がある。
【0004】
様々な態様において、照射体ベースの発電デバイスを開示する。いくつかの態様において、照射体ベースの発電は、照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成された放射体材料を含む放射体層と、当該放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成された電気絶縁材を含む電気絶縁層と、当該電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成された集電体材料を含む集電体層と、当該照射体、当該放射体層、またはそれらの組み合わせに電気的に結合された正端子接続部と、当該集電体層に電気的に結合された負端子接続部とを備える。
【0005】
様々な態様において、照射体ベースの発電システムを開示する。いくつかの態様において、照射体ベースの発電システムは、複数の照射体ベースの発電デバイスを含む。当該複数の発電デバイスの各々は、照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたデバイス放射体材料を含むデバイス放射体層と、当該デバイス放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたデバイス電気絶縁材を含むデバイス電気絶縁層と、当該デバイス電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたデバイス集電体材料を含むデバイス集電体層と、当該照射体、当該デバイス放射体層、またはそれらの組み合わせに電気的に結合されたデバイス正端子接続部と、当該デバイス集電体層に電気的に結合されたデバイス負端子接続部とを備える。当該照射体ベースの発電システムは、当該複数の発電デバイスの当該デバイス正端子接続部の各々に電気的に結合されたシステム正端子接続部と、当該複数の発電デバイスの当該デバイス負端子接続部の各々に電気的に結合されたシステム負端子接続部とをさらに含むことができる。
【0006】
様々な態様において、照射体ベースの発電システムを開示する。いくつかの態様において、照射体ベースの発電システムは、複数の照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたシステム放射体材料を含むシステム放射体層と、当該システム放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたシステム電気絶縁材を含むシステム電気絶縁層と、当該システム電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたシステム集電体材料を含むシステム集電体層と、当該システム放射体層に電気的に結合されたシステム正端子接続部と、当該システム集電体層に電気的に結合されたシステム負端子接続部とを備える。
【0007】
本開示の上記および他の目的、特徴および性質、関連する構造要素の操作方法および機能、部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、いずれも本明細書の一部を構成する添付図面を参照して以下の説明および添付の特許請求の範囲を読めばより明白になるであろう。様々な図面の中で使用している同じ参照符号は、対応する構成要素を指している。ただし、添付図面はもっぱら例示および解説のためのものであり、本願で開示する態様の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願に記載する様々な態様ならびにその目的および利点は、以下の添付図面と併せて以下の説明を参照することにより、最も理解が深まるであろう。
【0009】
図1】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、電源素子の軸方向断面図である。
【0010】
図2】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、図1の電源素子の半径方向断面図である。
【0011】
図3】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、照射体を含む照射体ベースの発電デバイスの概略断面図である。
【0012】
図4】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、例示的な照射体の部分断面図である。
【0013】
図5】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、複数の照射体ベースの発電デバイスを含む照射体ベースの発電システムの平面概略図である。
【0014】
図6】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、図5の照射体ベースの発電システムの概略断面図である。
【0015】
図7】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、複数の照射体線源を含む照射体ベースの発電システムの平面概略図である。
【0016】
図8】本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、図7の照射体ベースの発電システムの概略断面図である。
【0017】
同一の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部品を指している。本願に記載された実施例は、本発明の様々な態様の一形態を示すものであり、かかる例示は、本開示のいかなる態様についてもその範囲を限定的に解釈するものでないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願に記載され、添付の図面に例示されているような態様の全体的構造、機能、製造、および使用について深く理解できるよう、数多くの具体的な詳細事項を記載する。本願に記載された態様が不明瞭になることを避けるため、よく知られた操作、構成部品、および要素については詳述しない。読者においては、本願で説明および図示する態様が非限定的な例であり、したがって、本願で開示する特定の構造および機能の詳細が代表的かつ例示的であり得ることを理解されたい。これらの実施形態は、本願の特許請求の範囲から逸脱することなく変形・変更される可能性がある。
【0019】
以下の説明において、同一参照記号は、いくつかの図面を通して同一のまたは対応する部品を指すものである。また、以下の説明において、前方、後方、左、右、上、下、上方へ、下方へなどの用語は便宜的に使用するものであり、限定的に解釈するものでないことを理解されたい。
【0020】
原子炉の燃料要素から放出される放射線は、放射性物質を生成するために利用することができる。例えば、コバルトの非放射性同位体であるコバルト-59(本願では「Co-59」とも称する)を原子炉炉心内で放射線に曝すことにより、コバルト-59からコバルト-60(本願では「Co-60」とも称する)を生成することができる。コバルト-60は、原子力産業や他の産業で様々な用途に使われている。
【0021】
原子力産業の文脈では、コバルト-59から生成したコバルト-60を利用して、原子炉の様々な運転に供する電力を生成することができる。例えば、図1図2はそれぞれ、本開示の少なくとも一つの非限定的な態様に基づく、コバルト-60を用いて発電を行う電源素子100の軸方向断面図および半径方向断面図を示している。電源素子内で発生する電流の主な発生源は、運転中の原子炉炉心内で核分裂および核分裂生成物から発生するガンマ線が、中空のコバルト-59ワイヤ102上の白金被覆104内で生成させるコンプトンおよび光電効果による散乱電子である。電源素子100が、典型的な原子炉運転サイクル中の比較的短い期間、運転中の原子炉炉心内に置かれた後、コバルト-59が中性子を吸収して生じるコバルト-60の崩壊によって生成されるガンマ線およびベータ線が、中央の導線106を介して伝達される出力電流に追加的に寄与し始める。最終的に、コバルト-59から生成されるコバルト-60の量は、原子炉が停止したときや、電源素子100が炉心から取り外されたときでも、様々な炉内計装装置(図示せず)への電力供給に必要な電流を供給するのに十分な量となる。アルミナ絶縁材などの絶縁材108を、外鞘110と白金被覆104との間、および組立体全体と外鞘110との界面の周辺に介在させることができる。
【0022】
別の態様では、図1および図2に関連して上述した動作原理は、他の電源素子材料でも実現可能である。したがって、本願に記載された概念は、コバルト-59およびコバルト-60の使用に限定されるものではない。コバルト59の代わりに、当初は放射性ではない他の物質を使用して発電することもできる。電源素子100は、あらゆるタイプの原子炉に使用することができ、原子炉炉心で放出される放射線を利用して発電することにより、原子炉の運転効率を高めることができる。電源素子100に関連する追加的な詳細および用途は、その全体が参照により本願に組み込まれる「IN-CORE INSTRUMENTATION THIMBLE ASSEMBLY」と題する米国特許広報第10.438,708号に記載されている。
【0023】
コバルト-60は、原子力産業以外の様々な用途のために、原子力発電所で生産されることがある。例えば、コバルト-60は、医療器具の滅菌、食品の保存・衛生のための照射、その他多くの目的に使用できる。セシウム-137(本願では「Cs-137」とも称する)のような他のガンマ線放出同位体も同様に、原子力発電所で生産され、照射体に使用されることがある。したがって、本願で使用する「照射体」という用語は、ガンマ線を放出する放射性同位を有する物質を含むあらゆる物体を意味することができる。
【0024】
コバルト-60やその他の照射体は、原子力産業以外でも多くの用途があるため、そのような物質が商業目的で原子力発電所で生産される可能性がある。これらの照射体は、製造当初は数千キュリー(Ci)の放射能を持つことがある。しかし、これらの照射体は時間とともに放射能が減衰し(例えば数百キュリーの放射能範囲まで)、最終的に、減損した照射体は一部の用途で有用性を失う。本願において、「減損した照射体」という用語は、製造当初に比べて放射能が低下した照射体を意味する。いくつかの態様において、減損した照射体は、15,000Ci未満、4,000Ci未満、3,000Ci未満、2,000Ci未満、1,500Ci未満、1,000Ci未満、500Ci未満、500~15,000Ciの間、500~3,000Ciの間、500~2,500Ciの間、500~2,000Ciの間、500~1,500Ciの間、500~1,000Ciの間、50~2,000Ciの間、50~1,000Ciの間、約500Ci、約1,000Ci、約1,500Ci、約2,000Ci、約2,500Ci、および/または500~3,000Ciの間の放射能を有することができる。
【0025】
現在の規制では、減損した照射体を適切に廃棄または保管することが義務付けられているが、これは、原子力発電施設などの照射体製造業者にとって極めて大きな経済的負担となり得る。この費用は、場合によっては最終的に、コバルト-60やその他の照射体を製造する商業的利益を上回ることもあり得る。したがって、当初の目的に対して減損した照射体をその後使用するための装置、システム、方法が必要とされている。本開示は、照射体および減損した照射体(例えば減損したコバルト-60照射体)などのガンマ線源を用いて発電するための装置、システム、および方法を提供する。
【0026】
図3は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、照射体300を含む照射体ベースの発電デバイス200の概略断面図である。いくつかの態様では、照射体300はコバルト-60照射体であってよい。別の態様では、照射体300は減損したコバルト-60照射体であってよい。さらに別の態様では、照射体300は、セシウム-137などの、ガンマ線を放出できる任意の照射源であってよい。
【0027】
発電デバイス200は、放射体層202、電気絶縁層204、および集電体(コレクタ)層206を含む。照射体300は、摺動可能に放射層202内に挿入(207)されるか、あるいは別の様式で放射層202内に配置される。放射体層202は、放射体層材料を含むことができる。一態様において、放射体層材料は、原子番号が30より大きい高Z物質であり、かかる物質の原子番号は、例えば40、50、60、または70より大きくてもよい。別の態様では、放射体層材料は、タングステン、その他の高Z物質、またはそれらの組み合わせであってよい。いくつかの態様では、放射体層202は集電体層206に比べて薄い。照射体300から放出されたガンマ線は、放射体層202と相互作用してデルタ線(すなわち、高エネルギー電子)を放出させることができる。デルタ線は、図1および図2に関して上述した電源素子において採用された原理と同様の、コンプトンおよび光電効果による散乱に基づいて発生させることができる。
【0028】
なおも図3を参照すると、電気絶縁層204は、放射体層202と接触し、かつ/または放射体層202を取り囲んでもよい。さらに、電気絶縁層204は、酸化マグネシウムなどの電気絶縁材を含んでよい。電気絶縁層204は、放射体層202から放出されたデルタ線が電気絶縁層204を透過できるように薄い層として構成することができる。
【0029】
集電体層206は、電気絶縁層204と接触し、かつ/または電気絶縁層204を取り囲んでもよい。集電体層206は、電気絶縁層204を通過するデルタ線を捕集するように構成された材料を含む外鞘として構成することができ、かかる材料は例えば、デルタ線を捕集するように構成された金属材料であってよい。集電体層206によって捕集されたデルタ線は、照射体300と集電体層206との間に電位差を生じさせる。
【0030】
発電デバイス200は、集電体層206にネジ止め、溶接、またはその他の方法で取り付けられる(209)遮蔽蓋208を含んでよい。遮蔽蓋208は、集電体層206と同様の材料を含むことができ、集電体層206と電気的に接触することができる。遮蔽蓋208は、その中を貫通する正端子接続部210を含む。正端子接続部208は、照射体300と電気的に接触し、遮蔽蓋208から絶縁されている(204)。発電デバイスはまた、集電体層206と電気的に接触する負端子接続部212を含むことができる。したがって、集電体層206と照射体300との間の電位差を利用して、負荷抵抗214によって定まる電流を生成することができる。このように、発電デバイス200を用いることにより、照射体300を使用する発電が可能になる。
【0031】
集電体層206によって捕集されたデルタ線は、集電体層206で熱を発生させることもある。この熱は、熱捕集接続部216を使用して捕集することができる。捕集された熱エネルギーは、熱電変換法によって発電するために利用することができる。
【0032】
さらに図3を参照すると、いくつかの態様において、発電デバイス200は、放射体層202を持たずに、電気絶縁層204および集電体層206を含むことができる。この態様において、照射体300は、タングステンなどの原子番号が30より大きい高Z物質の薄い層で作られた管または同様の筐体内に配置またはその他の方法で固定することができ(図3には示されていない)、かかる物質の原子番号は、例えば40、50、60、または70より大きくてもよい。このような構成の発電デバイス200によって、電力を捕集するのに必要な管構成を簡素化できる可能性がある。さらに、このような構成の発電デバイス200によって、照射体300の放射能が有用なレベル以下に低下した場合に、照射体300を容易に交換することができる。
【0033】
図4は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、例示的な照射体300の部分断面図である。照射体300は照射体材料302を含む。照射体材料302は、例えばコバルト-60やセシウム-137のような、ガンマ線を放出できる放射性同位体を有する任意の材料としてよい。いくつかの態様において、照射体300は、医療機器の滅菌のために、保存・衛生の目的で食品を照射するために、または他の目的のために以前に使用された照射体のような、減損した照射体であってもよい。例えば、照射体300は、ノルディオン社製の照射体カプセルと同様のものであってもよい。照射体300は、減損した照射体であってもよいが、本来の目的(医療用滅菌、食品照射など)での耐用年数の終了時点でも、減損した照射体のガンマ線放射能レベルは数百キュリーほどあることが予想される。この程度の放射能でも、図3に即して上述した発電デバイス200に適用した場合、単位長さ当たり数ミリアンペア以上の電流を発生させることができる。さらに、図6~8に即して以下で詳述するように、複数の発電デバイスおよび/または照射体をグループ化することにより、発電システム400および/または500を用いて所望の電気出力を得ることができる。別の態様では、照射体300は減損した照射体でなくてもよい。例えば、原子力発電施設で製造された照射体300を、本願で説明する発電デバイスおよびシステムで直接使用することができる。
【0034】
引き続き図4を参照すると、照射体300は、被照射物質302を収容するように構成された内側カプセル304を含むことができる。さらに、照射体300は、内側カプセル304を取り囲む本体管306および端部キャップを含んでよい。いくつかの態様において、照射体300は、被照射物質302を固定するために必要に応じて、被照射物質302、内側カプセル304、および/または端部キャップ308のいずれかの間に1つ以上のスペーサ310を含んでよい。
【0035】
図5および図6は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、複数の照射体ベースの発電デバイス200を含む照射体ベースの発電システム400の概略図である。図5は発電システム400の平面図であり、図6は発電システム400のA-A断面図である。主に図5および図6、さらには図3も参照すると、発電システム400は、複数の照射体ベースの発電デバイス200をグループ化することにより、所望の電力レベルを得ている。発電システム400は、発電デバイス200のアレイを含み、発電デバイス200の正端子接続部210の各々は、発電システム400の正端子接続部402に結合される。図5には64個の発電デバイス200が描かれているが、発電システム400では任意の個数の発電デバイス200を用いることができる。発電システム400はまた、集電体層404と遮蔽蓋406とを含むことができ、遮蔽蓋406は、集電体層404に載置されるか、または他の方法で集電体層404に取り付けられる(407)。遮蔽蓋406を集電体層404に取り付ける(407)ことに伴い、正端子接続部402が遮蔽蓋406を貫通してもよい。集電体層404および遮蔽蓋406は、上述の集電体層206材料と同様の材料であってもよい。集電体層404は遮蔽蓋に電気的に結合されてもよい。さらに、発電デバイス200の負端子接続部212は、集電体層404および/または遮蔽蓋406に電気的に結合されてもよい。遮蔽蓋406は、負端子接続部408を含んでよい。さらに、正端子接続部402は遮蔽蓋406から電気的に絶縁されていてもよい。このように、発電システム400は、発電デバイス200の各々を電気的に並列接続し、個々の発電デバイス200の電力レベルよりも高い電力レベルが得られるように構成することができる。
【0036】
引き続き主に図5および図6、さらには図3も参照すると、発電システム400は、放射体層410および電気絶縁層412を含むことができる。放射体層410および電気絶縁層412は、それぞれ放射体層202および電気絶縁層204と同様のものでよい。したがって、個々の発電デバイス200のいずれかからガンマ線が放出されると、放射体層410によるデルタ線の放出が引き起こされる可能性がある。放射体層410から放出されたデルタ線は、電気絶縁層412を透過し、集電体層404に捕集される。これにより、集電体層404と放射体層410との間に電位差が生じる。したがって、発電システム400は、放射体層に結合された正端子接続部402を含むことにより、個々の発電デバイス200から放出されるガンマ線を利用して追加の電力を生成することができる。
【0037】
集電体層404によって捕集されたデルタ線は、集電体層404で熱を発生させることもある。この熱は、熱捕集接続部414を用いて捕集され、熱電変換法によって発電するために利用することができる。
【0038】
図7および図8は、本開示の少なくとも1つの非限定的な態様に基づく、複数の照射体300を含む照射体ベースの発電システム500を概略的に示す。図7は発電システム500の平面図であり、図6は発電システム500のB-B断面図である。主に図7および図8、さらには図4を参照すると、発電システム500は、複数の照射体300をグループ化して発電を行う。図7および図8には、64個の照射体が描かれているが、発電システム500には、任意の個数の照射体300を使用することができる。発電システム500内の照射体300は、放射体層510、電気絶縁層512、および集電体層504の中に収められている。放射体層510、電気絶縁層512、および集電体層504は、それぞれ、図3に関して上述した放射体層202、電気絶縁層204、および集電体層206と同様のものであってよい。発電システム500は、集電体層504に載置されるか、または他の方法で集電体層504に取り付けられる(507)ように構成された遮蔽蓋506を含んでよい。遮蔽蓋506は、集電体層504と同様の材料で作ることができる。したがって、照射体300によって放出されたガンマ線によって、放射体層510からのデルタ線の放出が生じ得る。放射体層510から放出されたデルタ線は、電気絶縁層512を通過し、集電体層504に捕集される。これにより、集電体層504と放射体層510との間に電位差が生じる。
【0039】
引き続き図7および図8を参照すると、発電システム500は、放射体層510に結合された正端子接続部502と、遮蔽蓋506に結合された負端子接続部508とを含むことができる。図5および図6の発電システム400に関して上述した正端子接続部402と同様に、正端子接続部502は、遮蔽蓋506を貫通し(509)、遮蔽蓋506から電気的に絶縁されていてもよい。このように、発電システム500は、個々の照射体から放出されるガンマ線から電力を生成するように構成することができる。
【0040】
集電体層504によって捕集されたデルタ線は、集電体層504で熱を発生させることもある。この熱は、熱捕集接続部514を用いて捕集され、熱電変換法によって発電するために利用することができる。
【0041】
本願で説明する様々な発電デバイスおよびシステムの発電能力を、以下の例で説明する。
【0042】
[例1]
減損したコバルト-60照射体の放射能は、一般的に500~2,000キュリー(Ci)である。計算の便宜上、線源の放射能を約1,000Ciと仮定した。Mirion ISTが提供したデータによると、タングステン自己給電型検出器(SPD)のコバルト-60ガンマ線感度は、9×10-18A/(R/hr)/mm以上である。この計算の便宜上、タングステン層(SPD)の感度は約9×10-18A/(R/hr)/mmであると仮定した。上述の発電デバイス200と同様の装置で発生する電流を計算するためには、コバルト-60照射体の線源に関連するガンマ(γ)線量率(R/hr)が必要である。放射線遮蔽計算ツールRadProを使用し、放射能1,000Ciのコバルト-60の想定距離1mmにおけるガンマ(γ)線線量率(R)を計算し、R=1.3×1011R/hrを得た。
【0043】
この計算では、総電流を計算するために、コバルト-60照射体を取り囲むタングステン層(例示的な放射体層202)の表面積も必要である。Co-60線源を取り囲むタングステン層の表面積は、Co-60ペレットが含まれる長さにわたる照射体の表面積と同じであると仮定した。Co-60線源を取り囲むタングステン層の表面積(A)は、A=π・D・L=π・(9.65)・(406)=12,308.4mmと計算される。
【0044】
タングステンSPDの感度情報を用いると、予想される電子流(Iγ)は、Iγ=(9×10-18)(1.3×1011)(12,308.4)=0.0144A/デバイス[1,000Ci]という関係式を用いて計算できる。
【0045】
125Vで動作するようにRが調整されている場合、対応する電力(P)は、P=V・I=(125)(0.0144)=1.8Wと計算される。
【0046】
[例2]
したがって、個々の発電デバイスを組み合わせて、図5および図6に示すような発電システムを構成すると、125Vで動作する556個のカプセル封入されたCo-60線源を使用して、1kWの電力を生成できる計算となる。この例では、発電システムは、一辺が約25インチの正方形で、高さが約12インチの構造物に収まる。
【0047】
[例3]
図7および図8に示す発電システムでは、個々のコバルト-60照射体が発電デバイス内に封入されていないため、線源アレイの外縁部以外に位置するコバルト-60線源による寄与が実質的に失われる可能性がある。しかし、タングステン層が受ける線量率は、封入型設計におけるタングステンの線量率と本質的に同じであり、R=1.3×1011R/hrとなる。
【0048】
25インチ×25インチ×12インチの寸法の箱を使用する例では、箱の有効面積は1.593×10mm(側面+上面+底面)となる。
【0049】
電子流(Iγ)の値は、Iγ=(9×10-18)(1.3×1011)(1.593×10)=1.86Aという式で計算できる。
【0050】
125Vで動作するようにRが調整されている場合、対応する電力(P)は、P=V・I=(125)(1.86)=232.5Wと計算される。
【0051】
要約すると、例1および例2の封入型設計では、25インチ×25インチ×12インチの構造体により1kWを生産することができる。ガンマ線捕集設計(図5および図6の発電システムと同様)を含む例示された箱構造の設計を用いる場合、約232.5Wの追加の電力を得ることができる。例3に記載されているように、例示されたガンマ線捕集箱のみを使用し、コバルト-60照射体線源をカプセル封入しない場合、25インチ×25インチ×12インチの箱から約232.5Wの電力を得ることができる。
【0052】
[例4]
別の方策として、コバルト-60照射体をタングステンなどの高Z金属材料の管に入れ、照射体の入った管を、図3の発電デバイス200から放射体層202を除いたものと同様の発電デバイスに入れる方法が考えられる。この方策によれば、発電デバイスの構造を単純化し、電力を捕集するために必要な管構成を簡素化できる可能性がある。原理的に、この方法は、放射能が有用なレベル以下に低下したときに、デバイスのコアであるCo-60線源を容易に交換することができる。
【0053】
本願に記載された発電デバイスおよび発電システムの様々な態様を、以下の条項にて提示する。
【0054】
[条項1]照射体ベースの発電デバイスであって、照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成された放射体材料を含む放射体層と、当該放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成された電気絶縁材を含む電気絶縁層と、当該電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成された集電体材料を含む集電体層と、当該照射体、当該放射体層、またはそれらの組み合わせに電気的に結合された正端子接続部と、当該集電体層に電気的に結合された負端子接続部とを備える照射体ベースの発電デバイス。
【0055】
[条項2]照射体をさらに備える条項1の発電デバイス。
【0056】
[条項3]前記照射体が減損した照射体を備える、条項1~2のいずれかに記載の発電デバイス。
【0057】
[条項4]前記照射体が、コバルト-60、セシウム-137、またはそれらの組み合わせを含む、条項1~3のいずれかに記載の発電デバイス。
【0058】
[条項5]前記放射体材料がタングステンを含む、条項1~4のいずれかに記載の発電デバイス。
【0059】
[条項6]前記電気絶縁材が酸化マグネシウムを含む、条項1~5のいずれかに記載の発電デバイス。
【0060】
[条項7]熱捕集接続部をさらに備える、条項1~6のいずれかに記載の発電デバイス。
【0061】
[条項8]複数の照射体ベースの発電デバイスを備える照射体ベースの発電システムであって、当該複数の発電デバイスの各々は、照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたデバイス放射体材料を含むデバイス放射体層と、当該デバイス放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたデバイス電気絶縁材を含むデバイス電気絶縁層と、当該デバイス電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたデバイス集電体材料を含むデバイス集電体層と、当該照射体、当該デバイス放射体層、またはそれらの組み合わせに電気的に結合されたデバイス正端子接続部と、当該デバイス集電体層に電気的に結合されたデバイス負端子接続部とを備え、当該照射体ベースの発電システムはさらに、当該複数の発電デバイスの当該デバイス正端子接続部の各々に電気的に結合されたシステム正端子接続部と、当該複数の発電デバイスの当該デバイス負端子接続部の各々に電気的に結合されたシステム負端子接続部とを備えることを特徴とする、照射体ベースの発電システム。
【0062】
[条項9]条項8に記載の発電システムであって、前記複数の照射体ベースの発電デバイスを少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたシステム放射体材料を含むシステム放射体層と、当該システム放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたシステム電気絶縁材を含むシステム電気絶縁層と、当該システム電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたシステム集電体材料を含むシステム集電体層とを備え、当該システム集電体層は前記システム負端子接続部に電気的に結合されていることを特徴とする発電システム。
【0063】
[条項10]前記システム放射体材料がタングステンを含む、条項8~9のいずれかに記載の発電システム。
【0064】
[条項11]前記システム電気絶縁材が酸化マグネシウムを含む、条項8~10のいずれかに記載の発電システム。
【0065】
[条項12]システム熱捕集接続部をさらに備える、条項8~11のいずれかに記載の発電システム。
【0066】
[条項13]前記複数の発電デバイスの各々が前記照射体を備える、条項8~12のいずれかに記載の発電システム。
【0067】
[条項14]前記照射体が減損した照射体を備える、条項8~13のいずれかに記載の発電システム。
【0068】
[条項15]前記照射体が、コバルト-60、セシウム-137、またはそれらの組み合わせを含む、条項8~14のいずれかに記載の発電システム。
【0069】
[条項16]照射体ベースの発電システムであって、複数の照射体を少なくとも部分的に取り囲むように構成され、且つガンマ線への曝露に応答してデルタ線を放出するように構成されたシステム放射体材料を含むシステム放射体層と、当該システム放射体層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を透過させるように構成されたシステム電気絶縁材を含むシステム電気絶縁層と、当該システム電気絶縁層を取り囲むように構成され、且つデルタ線を捕集するように構成されたシステム集電体材料を含むシステム集電体層と、当該システム放射体層に電気的に結合されたシステム正端子接続部と、当該システム集電体層に電気的に結合されたシステム負端子接続部とを備える照射体ベースの発電システム。
【0070】
[条項17]前記システム放射体材料がタングステンを含む、条項16に記載の発電システム。
【0071】
[条項18]前記システム電気絶縁材が酸化マグネシウムを含む、条項16~17のいずれかに記載の発電システム。
【0072】
[条項19]システム熱捕集接続部をさらに備える、条項16~18のいずれかに記載の発電システム。
【0073】
[条項20]複数の前記照射体をさらに備える、条項16~19のいずれかに記載の発電システム。
【0074】
通常、本願において、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、一般に「非限定的(open)」な用語として意図されていることが、当業者であればわかるであろう(例えば、用語「含めて(including)」は「含めるがそれに限定しない」と解釈し、用語「有する(having)」は「少なくとも~を有する」と解釈し、用語「含む(includes)」は「含むがそれに限定しない」と解釈すべきである等)。さらに当業者は、導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は当該請求項において明示的に記載されるものであり、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないものと理解するであろう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、請求項の記載事項を導くために、「少なくとも1つ(at least one)」および「1つ以上(one or more)」という導入句を使用する場合がある。しかしながら、そのような句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞によって請求項の記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」または「少なくとも1つの」といった導入句と「a」または「an」といった不定冠詞が共に含まれる場合であっても、かかる導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つだけ含む請求項に限定されることが示唆される、と解釈すべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈すべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するために定冠詞を使用している場合にも当てはまる。
【0075】
また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、通常「少なくとも記載された数」を意味すると解釈すべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載事項(two recitations)」が記載されている場合、通常少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCのすべてなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、「A、B、またはCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、ならびに/またはAとBとCの全てなどを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。一般的に、2つ以上の選択的な用語を表す選言的な語および/または句は、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、当該用語のうちの1つ、当該用語のいずれか、または当該用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることも、当業者には理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、一般的に「A」、「B」、または「AおよびB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0076】
「一態様(one aspect)」、「ある態様(an aspect)」、「ある(実施)例(an exemplification)」、「一(実施)例(one exemplification)」などへの参照は、その態様に関連して記載される特定の特徴物、構造、または特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することは、特記に値する。したがって、本願の全体を通じて様々な箇所に見られる句「一態様では(in one aspect)」、「ある態様では(in an aspect)」、「ある(実施)例では(in an exemplification)」、および「一(実施)例では(in one exemplification)」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。さらに、特定の特徴物、構造、または特性は、1つ以上の態様において任意の適当な様式で組み合わせることができる。
【0077】
本願で参照され、かつ/または任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示資料は、組み込まれる資料が本願と矛盾しない範囲で、参照により本願に組み込まれる。そのため、必要な範囲において、本願に明瞭に記載された開示内容は、それと矛盾のある、参照により本願に組み込まれた資料に優先するものとする。既存の定義、見解、または本願に記載されたその他の開示内容と矛盾する任意の内容またはその一部は、参照により本願に組み込まれるが、組み込まれる内容と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0078】
「含む、備える(comprise)」の語およびその派生語(「comprises」、「comprising」など)、「有する(have)」の語およびその派生語(「has」、「having」など)、「含む(include)」の語およびその派生語(「includes」、「including」など)、「包有する(contain)」の語およびその派生語(「contains」、「containing」など)は、非限定的な連結動詞である。すなわち、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「包有する」システムは、当該1つ以上の要素を有しているが、当該1つ以上の要素のみを有することに限定されるものではない。同様に、1つ以上の特徴物を「備えている」、「有する」、「含む」、または「包有する」システム、装置、または機器の要素は、当該1つ以上の特徴物を有しているが、当該1つ以上の特徴物のみを有することに限定されるものではない。
【0079】
本開示で使用される「実質的に(substantially)」、「およそ(about)」、または「約(approximately)」という用語は、特に指定がない限り、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差を意味し、これは値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存する。特定の実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、または「約」は、標準偏差の1、2、3、または4倍の範囲内を意味する。特定の実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、または「約」は、所定の値から50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.05%以内の範囲を意味する。
【0080】
要約すると、本願に記載された概念を採用することによって得られる多くの利点を記載してきた。1つ以上の形態に関する上述の記載は、例示と説明の目的で提示されているものであり、開示された正確な形態を網羅的または限定的に示すことを意図するものではない。上記の教示に照らして、改修または変形が可能である。当該1つ以上の形態は、原理および実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な改修例と共に、想到される特定の用途に適するものとして、当業者が利用できるようにするために選択・説明したものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲によって、全体的な範囲が定義されることを意図している。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】