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特表2024-507592釣合いトーションばね力を備えた高オフセットベルトテンショナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】釣合いトーションばね力を備えた高オフセットベルトテンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/12 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552083
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2022017598
(87)【国際公開番号】W WO2022182809
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/153,982
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512309299
【氏名又は名称】デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DAYCO IP HOLDINGS,LLC
【住所又は居所原語表記】16000 Common Road,Roseville MI 48066 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・イー・ラヌッティ
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BB05
3J049BB15
3J049BB25
3J049BC03
3J049BH01
3J049CA01
(57)【要約】
高オフセットベルトテンショナは、ピボット管を含むサポートベースと、サポートベースに連結されてピボット軸の周りを回転するアームと、を有する。フラットワイヤトーションばねは、ピボット管に取り付けられた内側ばねフックと、ハブ荷重力と釣合いをとる位置でアームの第1の端部に取り付けられた外側ばねフックと、を有する。トーションばねは、ベルト係合方向におけるアームの掃引全体にわたってアームと共に動く方向にアームに対してばね力を与える。ハブ荷重力の第1の平面は、ばね力の第2の平面から軸方向にオフセットされており、支点は、アームの第1の端部と弾2の端部との間に規定され、支点から第1の平面までの第1の軸方向直線距離は、支点から第2の平面までの第2の軸方向直線距離以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高オフセットベルトテンショナであって、
ピボット軸を規定するピボット管を有するサポートベースと、
前記ピボット軸の周りを回転するように前記サポートベースに連結されたアームであって、前記アームは、前記サポートベースと向かい合う下方面およびカップを部分的に画定する上方面を有するピボット管受けの第1の端部と、前記第1の端部から軸方向にオフセットされた第2の端部と、を有し、前記第2の端部が、プーリ回転軸を規定する、アームと、
前記ピボット管に取り付けられた内側ばねフックと、ハブ荷重力の釣合せ位置で前記アームの前記第1の端部に取り付けられた外側ばねフックと、を有するフラットワイヤトーションばねであって、前記アームにベルト係合方向に付勢して前記アームにばね力をかけるフラットワイヤトーションばねと、
を備え、
前記アームに作用する前記ばね力の方向が、前記アームに対して同じ箇所にとどまり、前記ベルト係合方向における前記アームの掃引全体にわたって前記アームと共に動き、
前記ハブ荷重力の平面が、前記ばね力の平面から軸方向にオフセットされており、
支点が、前記アームの前記第1の端部と前記第2の端部との間に規定され、前記支点からハブ荷重力の前記平面までの第1の軸方向直線距離(C)が、前記支点から前記ばね力(H)の前記平面までの第2の軸方向直線距離より大きいか、またはほぼ同じである、高オフセットベルトテンショナ。
【請求項2】
前記アームの前記第1の端部およびアームプレートによって前記アームの前記第1の端部と動作可能に係合したダンパブッシングの内部に着座したピボットブッシングを備える、請求項1に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項3】
前記アームプレートが、ばねプレートまたは軸方向に付勢する部材として作用するときには、その表面積全体にわたって様々な反り高さを有し、最大の反り高さは、前記ハブ荷重と反対側の位置に来るように配置され、それによって、前記ハブ荷重と反対側の前記位置において最大の力を与える、請求項2に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項4】
前記アームプレートが、前記アームプレートと一体成形された前記ダンパブッシングを備える、請求項2に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項5】
前記アームプレートおよび前記ダンパブッシングが、不動であり、前記アームが、それらに対して回転する、請求項4に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項6】
前記アームプレートが前記アームプレートを貫いて内周を画定する穴を有しており、前記内周が前記ピボット管とエンドキャップとの間に着座し、前記ダンパブッシングは前記アームの前記第1の端部の下方面と接しており、前記アームプレートは円錐形をなし、それによって前記ダンパブッシングに付勢して前記アームと摩擦係合させる、請求項5に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項7】
前記ダンパブッシングが、前記アームの前記第1の端部の前記カップに着座し、前記アームプレートが、前記ピボット管に固定された状態で取り付けられ、前記ダンパブッシングを前記アームと動作可能に係合させて回転させるように保持する、請求項2に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項8】
前記ダンパブッシングが、前記サポートベースの方へ軸方向に延びるフランジを有し、前記フランジが、前記ピボット管に対して着座する、請求項7に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項9】
前記ダンパブッシングの本体の摩耗面が、前記アームプレートに対して着座し、前記本体が、グリース保持用の複数の樋を備える、請求項8に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項10】
前記ピボットブッシングの前記フランジの最外面に隣接して着座したリングシール部材を備える、請求項9に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項11】
前記アームが、その径方向最外面において、径方向に突出したエンクロージャを、前記外側ばねフックの周りに保護的な向きに位置させる位置に有しており、前記エンクロージャの底が、開いている、請求項2に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項12】
前記ピボットブッシングが、軸方向に延びる本体を有しており、径方向内向きまたは径方向外向きに延びるフランジを前記本体の第1の端部に備える、請求項11に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項13】
前記ピボットブッシングが、前記本体を軸方向に貫いて延びるスリットを有し、それによって、少なくともその第2の端部の拡張を可能にする、請求項12に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項14】
前記ピボットブッシングが、前記サポートベースと前記アームの前記第1の端部の前記下方面との間に前記フランジと共に着座する、請求項13に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項15】
前記ピボットブッシングが、前記本体の外側面から突き出たキーを有しており、前記キーが、前記アームのキー溝内に着座することによって一緒に回転する、請求項14に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項16】
前記ピボットブッシングが、径方向外向きに延びるタブを前記キーと反対側に有しており、前記エンクロージャが、前記径方向外向きに延びるタブをその中に受け入れている、請求項15に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項17】
前記スリットが、前記ピボットブッシングの前記キーを通して配置される、請求項15に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項18】
前記ピボットブッシングが、前記アームの前記カップとエンドキャップとの間に前記フランジと共に着座する、請求項12に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項19】
前記ピボットブッシングの前記フランジの最外面に隣接して着座したリングシール部材を備える、請求項18に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【請求項20】
前記サポートベースが、前記アームの予め選択された最大回転角度を規定するアーム行程制限機構を有し、前記アームが、前記アーム行程制限機構と係合する嵌合機構を有し、前記アーム行程制限機構が、前記ピボット管または前記サポートベースのベースにおける円弧形スロットである、請求項1に記載の高オフセットベルトテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、高オフセットベルトテンショナに関し、より詳細には、ベルトテンショナのアームと動作可能に結合された外側ばねフックと、サポートベースと動作可能に結合された内側ばねフックとを具備し、外側ばねフックがトーションばね力によってハブ荷重力を釣り合わせる位置にあるフラットワイヤばねを備える高オフセットベルトテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来型のフラットワイヤZED型ベルトテンショナの構造では、ばねケースによって画定されたピボット管の周りに着座したアーム軸に取り付けられた内側ばねフックがあり、外側ばねフックは、ばねケースの外側壁に取り付けられている(図10参照)。この構造では、ばねの内側部分は、アームと一緒に動き(すなわち、アームの動きとともに巻きおよび巻戻しが行われ)、一方、外側フックは、ベルトテンショナの不動部材、すなわち、ばねケースに結合されているため、不動のままである。ここでは、ばねケースが、エンジン部品またはエンジンマウントなど、非回転部品に取り付けられているため、アームに作用するばね力の方向は、ばねケースに対して同じ箇所にとどまる。そのため、ばね力の方向は直接ピボットに向かう。テンショナアームが自由アーム位置から据付位置に移動しても、力の方向は変わらない。ばねは、アームの枢動点を規定するばねケースのアーム軸に巻かれ、したがって、ピボットを常に内向きに押す力がかかる。そのため、ばねブッシングが経年で摩耗するにつれて、軸方向のばね力は、ベルトシーブから遠ざかる方にアームを移動させる。こうした従来型のベルトテンショナでは、圧力を減らし、その位置合せ制御を改善するために、ピボット管に大きなブッシングが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9,249,866号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ばね力がピボットから径方向外側に遠ざかるように動いてトーションばね力の釣合いをとるための機械的優位性を高めるとともに、ベルトテンショナの寿命にわたって耐摩耗性が改善されるように設計の改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すべての態様において、ピボット軸を規定するピボット管を有するサポートベースと、ピボット軸の周りを回転するようにサポートベースに連結されたアームであって、サポートベースと向かい合う下方面およびカップを部分的に画定する上方面を有するピボット管受けの第1の端部と、第1の端部から軸方向にオフセットされた第2の端部とを有し、第2の端部が、プーリ回転軸を規定する、アームと、ピボット管に取り付けられた内側ばねフックと、ハブ荷重力の釣合せ位置でアームの第1の端部に取り付けられた外側ばねフックとを有するフラットワイヤトーションばねであって、アームにベルト係合方向に付勢してアームにばね力をかけるフラットワイヤトーションばねとを備える高オフセットベルトテンショナが開示される。アームに作用するばね力の方向は、アームに対して同じ箇所にとどまり、ベルト係合方向におけるアームの掃引全体にわたってアームと共に動く。ハブ荷重力の平面は、ばね力の平面から軸方向にオフセットされる。そして、支点は、アームの第1の端部と第2の端部との間に規定され、支点からハブ荷重力の平面までの第1の軸方向直線距離(C)は、支点からばね力(H)の平面までの第2の軸方向直線距離より大きいか、またはほぼ同じである。
【0006】
1つの態様では、高オフセットベルトテンショナは、アームの第1の端部およびアームプレートによってアームの第1の端部と動作可能に係合したダンパブッシングの内部に着座したピボットブッシングを有する。アームプレートは、ばねプレートまたは軸方向に付勢する部材として作用するときには、その表面積全体にわたって様々な反り高さを有する。最大の反り高さは、ハブ荷重と反対側の位置に来るように配置され、それによって、ハブ荷重と反対側の位置において最大の力を与える。
【0007】
もう1つの態様では、アームプレートは、アームプレートと一体成形されたダンパブッシングを備える。アームプレートおよびダンパブッシングは、不動であり、アームは、それらに対して回転する。アームプレートは、アームプレートを貫いて内周を画定する穴を有しており、内周はピボット管とエンドキャップとの間に着座し、ダンパブッシングはアームの第1の端部の下方面と接する。ここでは、アームプレートは円錐形をなしており、それによってダンパブッシングに付勢してアームと摩擦係合させる。ダンパブッシングは、アームの第1の端部のカップに着座し、アームプレートは、ピボット管に固定された状態で取り付けられて、ダンパブッシングをアームと動作可能に係合させて回転させるように保持する。ダンパブッシングは、サポートベースの方へ軸方向に延びるフランジを有し、フランジは、ピボット管に対して着座する。ダンパブッシングの本体の摩耗面は、アームプレートに対して着座し、本体は、グリース保持用の複数の樋を備える。高オフセットベルトテンショナは、ピボットブッシングのフランジの最外面に隣接して着座したリングシール部材を備える。
【0008】
すべての態様において、高オフセットベルトテンショナのアームは、その径方向最外面において、径方向に突出したエンクロージャを、外側ばねフックの周りに保護的な向きに位置させる位置に備える。エンクロージャは底が開いている。ピボットブッシングは、軸方向に延びる本体を有しており、径方向内向きまたは径方向外向きに延びるフランジを本体の第1の端部に備える。ピボットブッシングは、本体を軸方向に貫いて延びるスリットを有し、それによって、少なくともその第2の端部の拡張を可能にする。スリットは、径方向外向きに延びるタブであるそのキーを通して配置することができる。ピボットブッシングは、サポートベースとアームの第1の端部の下方面との間にフランジと共に着座する。ピボットブッシングは、本体の外側面から突き出たキーを有しており、キーが、アームのキー溝内に着座することによって一緒に回転する。ピボットブッシングは、径方向外向きに延びるタブをキーと反対側に有しており、エンクロージャは、径方向外向きに延びるタブをその中に受け入れている。
【0009】
1つの実施形態では、ピボットブッシングはアームのカップとエンドキャップとの間にフランジと共に着座する。高オフセットベルトテンショナは、ピボットブッシングのフランジの最外面に隣接して着座したリングシール部材を備える。
【0010】
すべての態様において、サポートベースは、アームの予め選択された最大回転角度を規定するアーム行程制限機構を有することができ、アームは、アーム行程制限機構と係合する嵌合機構を有する。行程制限機構は、ピボット管またはサポートベースのベースにおける円弧形スロットである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】アームプレートを取り外した状態の、第1の実施形態の高オフセットベルトテンショナを上から見た斜視図である。
図2】アームプレートを含めた、図1の高オフセットベルトテンショナを上から見た分解斜視図である。
図3図1の高オフセットベルトテンショナの本体の長手方向断面図である。
図4図3に示す線4-4に沿って切り取った横断方向断面図であって、サポートベースに結合された内側フックと、アームに結合された外側フックとを備えるフラットワイヤばねを示した図である。
図5】第1の実施形態のダンパブッシングを上から見た斜視図である。
図6】第1の実施形態のピボットブッシングの底部斜視図である。
図7図1の高オフセットベルトテンショナの底部斜視図である。
図8図7の円A内のタブの拡大図である。
図9図7の円B内のキーの拡大図である。
図10】従来の高オフセットベルトテンショナの長手方向断面図である。
図11図1の高オフセットベルトテンショナの長手方向断面図である。
図12】アームプレートとアームとの間に着座したダンパブッシングおよびリングシールの一部分の長手方向断面拡大図である。
図13】第1の実施形態のサポートベースを上から見た斜視図である。
図14】第2の実施形態の高オフセットベルトテンショナを上から見た分解斜視図である。
図15図14の高オフセットベルトテンショナの長手方向断面図である。
図16図10の従来のテンショナのピボットブッシングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細説明は、本発明の一般的な原理を示したものであり、その例は、添付の図面において追加的に図示する。各図面において、同様の参照符号は、同一または機能的に類似した要素を示している。
【0013】
図1図3を参照しながら、ベルトシステムのベルト(B)に所定量の張力を与えるための高オフセットベルトテンショナ100であって、トランスミッションのベルトシステムのように、エンジンシステムにしばしば見られる高オフセットベルトテンショナ100の第1の実施形態について例を示す。高オフセットベルトテンショナはZed型ベルトテンショナとも呼ばれる。図10および図11に符号で示されているように、高オフセットベルトテンショナでは、プーリ回転軸(X1)に対して横断方向をなすハブ荷重力(IN)と一致する平面(P1)が、ねじりばね力(IN)と一致するテンショナ100の本体102の平面(ばね力の平面)上方で軸方向にオフセットされる。テンショナ100は、ピボット軸(X2)の周りを枢動するアーム106であって、そのピボット軸(X2)を規定するピボット管110を有するサポートベース108に枢動可能に取り付けられたアーム106と、ここではフラットワイヤばね112であるトーションばねであって、アーム106とサポートベース108との間に動作可能に連結されたトーションばねとを備える。ベルトテンショナ100には、ベルトテンショナをエンジンシステムに取り付けるためにピボット管110に受け入れて通すボルト190が含まれる。図2に示すように、ベルトテンショナ100をエンジンシステムに設置するときまでボルト190を(部品もあわせて)定位置に保持するためにボルト保持具192が用意される。図3を見ると最もわかりやすいが、アーム106は、ピボット管を受け入れる第1の端部120であって、サポートベース108と向かい合う下方面121を有する第1の端部120と、ばねケース123を画定する外周壁119と、カップ124を部分的に画定する上方面122であって、プーリ回転軸(X1)を画定する第1の端部から軸方向にオフセットされた第2の端部130を有する上方面122とを備える。
【0014】
プーリ132は、プーリ132のハブを通して延びてアーム106の第2の端部130のねじ穴131に入り込むボルト134によってアーム106の第2の端部130に対して回転可能に取り付けられる。プーリ132は第2の端部130に転がり軸受136によってジャーナルの形で連結されることが好ましい。ワッシャ形のダストカバー138は、転がり軸受136を何かの破片や汚染因子から守るために、転がり軸受136とボルト134のヘッドとの間に同軸に取り付けられる。図1を見ると最もよくわかるように、プーリ132の底を何かの破片や汚染因子に対して密閉するため、Vリング、Xリング、Oリング形シールのような環状シール139を転がり軸受136およびアームの第2の端部と動作可能に係合するように着座させる。
【0015】
図2図4を参照すると、トーションばね112は、ベルト係合方向を表す矢印Z(図4)によって示された方向にアーム106に対してねじりばね力を加え、それによってアーム106の第2の端部130はトランスミッションベルトB(図1)に対して対応する張力がかかるようにする。アーム106およびサポートベース108は、ダイキャスト製アルミニウムまたはその他の金属で、さらに十分な強度があれば何らかのプラスチックで製作することができる。トーションばね112は鋼製とすることができるが、そのような部品を製作するためにそれ以外の適当な代替材料(または材料/部品の組合せ)も企図される。ここでは、ねじりばね112はフラットワイヤばねであり、図2に示すように、フラットワイヤばねの巻きの間にばねテープ113が配置される。ばねテープ113は、ばねテープ113がフラットワイヤばねの巻きの間になるようにフラットワイヤばね112に隣接する形で巻かれ、任意選択として、フラットワイヤばね112とアーム106の内壁の間を占めるだけの長さのものであることもできる。ばねテープ113を使用することにより、ばねの摩耗やそれ以外の摩擦による悪影響を抑え、ばねの破損を減らすことができる。
【0016】
標準的なベルトテンショナの構成(図10参照)と比較しながら、図2図4を改めて見てみると、フラットワイヤトーションばね112は、ピボット管110に取り付けられた内側ばね端部114と、ハブ荷重力と釣合いをとる位置でアーム106に取り付けられた外側ばね端部116とを備える。この構造では、フラットワイヤばね112の外側部位がアームと一緒に動く一方で、内側ばねフック114は、固定されて回転不能なサポートベース108のピボット管110に取り付けることが可能となる。そのため、アーム106に作用するばね力の方向はアーム106に対して同じ箇所にとどまり、ベルト力に向かうアームの掃引全体にわたってアーム106と共に移動することになる。図11の符号で、支点(G)はアームの第1の端部120と第2の端部130との間に規定され、支点(G)からハブ荷重力の平面(P1)までの第1の軸方向直線距離(C)は、支点からばね力の平面までの第2の軸方向直線距離(H)よりも長い。内側および外側のばね端部114、116は曲げることができ、それによって、フック、中子などを画定して、それぞれのピボット管およびアームに対するばねの結合を強めることができる。
【0017】
図10に示す従来のテンショナでは、ピボット管上/ピボット管位置のトーションばね力(IN)をもち、支点とトーションばね力(CからD)の間の距離は非常に小さい。この状態における軸方向ばね力はアームを基準点(A)の方に付勢しており、ばねブッシングが摩耗するとアームはベルトシーブから離れるようになる。それに対して、ここで開示する実施形態では、トーションばね力(E)はピボット管から遠ざかるように移動されている。ばね力がピボット管から離れるように、そしてプーリから離れるように移動させることの利点は、プーリでかかる力を相殺することの機械的メリットを一段と高めることにある。ばねが動くことで力の方向および大きさも調整される。
【0018】
ここに開示する実施形態では、アーム106の当接箇所126(図4)は、高オフセットベルトテンショナで力の間のバランスをとるために求められるものが何であるかによって調整することができるという融通性がある。また、支点からトーションばね力(H)までの距離は大きめで、それによって(C)を(D)の半分の距離まで減らす。支点半径(B)も(A)と同じ長さに近く、(B)は可能な限り大きい。この状態で軸方向のばね力は基準点Aから遠ざかっていく。すなわち、アームはベルトシーブの方に摩耗していく。パッケージング面およびコスト面での制約から、この構造のピボットブッシングは、すでに見てきたもののように(C)にセンタリングされてはいない。
【0019】
表面積を全体的に広くして圧力速度(PV)を遅くすることで、長い軸受寿命が得られるようにするため、ピボットブッシングは、図16に示すような従来技術で知られる図10のテンショナのピボットブッシングよりもその長さおよび直径が大きくなっている。この第1の実施形態では、ピボットブッシング150とダンパブッシング172の一部分は両者あわせて1つのピボットブッシングとして表面積に寄与して合計表面積が2890.5mmとなっており、図10および図16の高オフセットベルトテンショナの円筒形ブッシングの表面積が2030mm2であるのと比べて1.4倍になっている。さらに、ダンパブッシング172のばねブッシングの接触表面積は、図10のテンショナのばねブッシングの表面積に対しておよそ2倍に増えている(851mmに対して1692mmの接触表面積)。
【0020】
改めて図1図4および図7を参照すると、アーム106は、その径方向最外面に径方向に突出したエンクロージャ140を有しており、エンクロージャ140はその位置で外側ばね端部116を囲む保護向きに置かれる。エンクロージャ140は開放底142を有しており、組立て作業時、本体102の構成要素が、アーム106のピボット管受け端部120によって画定されるばねケース123内に軸方向に着座するとき、フラットワイヤばね112の外側ばね端部116およびピボットブッシング150のタブ152がその中に軸方向に着座できるようにされている。図4を見ると最もよくわかるように、ばねケース123はエンクロージャ140と位置合せされた開口部125を内部に有する。開口部125はばね当接機構126を画定し、それに対して外側ばね端部116が動作可能に着座してベルトに張力が加わる方向にアーム106に付勢する。
【0021】
ばねケース123に着座した構成要素としては、各図の紙面上のそれぞれの向きに関して、図2の左から右に順に、図3では上から下に順に、トーションばね112(前出のもの)、ベルビルワッシャのような軸方向付勢部材160、ピボットブッシング150、サポートベース108がある。続いて図2図3および図6図9を見ると、ピボットブッシング150は、軸方向に延びる本体151と、径方向内向きに延びるフランジ153とを備える。本体151は、径方向外向きに延びるタブ152と、それに対向して径方向外向きに突き出たキー154とを備える。タブ152は、エンクロージャ140内に収まる一方、軸方向に延びてタブ152の境界を画定するリブ157であって、エンクロージャ内のストッパ141に対して着座するリブ157を備える。ピボットブッシング150は、軸方向にキー154を貫いて延びるスリット156を有しており、それによってキーの若干の拡張が可能となり、キー154はアーム106のばねケース123のスロット、すなわちキー溝127に受け止められて共に回転することができる。ピボットブッシング150は、フランジ153によって、サポートベース108とアーム106の第1の端部120の下方面121の間、より具体的には軸方向付勢部材160およびサポートベース108に対して着座する。本体151の内面158は、グリースを保持するための軸方向の樋159を複数備える。
【0022】
ピボットブッシング150は典型的には耐摩耗性プラスチックによって形成される。フランジ153は、図7の底面図を見ると一番わかりやすいように、全体で軸受面およびピボットブッシングの働きをなすとともに、ばねケース123を封止する役割も果たし、それによって外部の汚染因子からトーションばねを保護する。それに加えて、構成要素を汚染因子から保護するために、Vリング、Xリング、Oリングシールなどの二次的なシールを用意してもよい。この実施形態におけるピボットブッシング150は耐摩耗性プラスチックであるが、それ以外の適当なブッシング材料や軸受構造を用いることは本発明の範囲内に含まれる。ピボットブッシングは、ピボット軸沿いおよびピボット軸周りのテンショナ各要素の回転および並進運動のための軸受面を提供する。
【0023】
図2図3および図7を見ると、サポートベース108はその外側底面182から突き出た位置決めピン180を備えている。図13を見ると最もよくわかるように、ピボット管110はスプライン付き端部184で終わっている。そのスプライン付き端部184に隣接して、ピボット管110内に引っ込んだアーム行程制限スロットがある。アーム行程制限スロット186は、ピボット軸周りの所定の数の回転角で間隔を空けた第1のストップショルダおよび第2のストップショルダ187、189によって規定される。ピボット管は、内側ばね端部114に対して、それとの結合またはその受入れのためのばね当接機構198も有している。ばね当接機構198はピボット管110の突起または窪みとすることができる。図示した実施形態では、ばね当接機構198は、ピボット管110によって規定されるピボット軸X2と平行な向きの垂直スロットである。この実施形態の利点の1つは、サポートベース108は素のピボット管110で製作することが可能で、その後、アーム行程制限スロット186およびばね当接機構198を、アームの回転角度や、ばね当接機構の位置および/または位置決めピン180の位置に対するスロットの相対的な向きについて必要とされるあらゆる仕様に従って機械加工してピボット管110に仕上げることができるところにある。
【0024】
次に図1図3図5および図12を見ると、高オフセットベルトテンショナ100は、アーム106との動作可能な係合でアーム106のカップ124に着座して摩擦による対称形の減衰をもたらすダンパ組立170を備える。ダンパ組立は、アーム106と一緒に回転するようにアーム106にキーで固定したダンパブッシング172と、ピボット管110のスプライン付き端部184と固定されて結合されたアームプレート174とを備える。ダンパブッシング172は、径方向に延びる環状プレート173と、ピボット管110の周りに枢動的に係合するようにサポートベース108に向けて軸方向に延びるフランジ175とを備える。外周に隣接して径方向に延びる環状プレート173の上方面178は、アームプレート174と動作可能に係合する環状摩耗面176を有する。摩耗面176は環状樋177を有しており、径方向最外面には、その上方面から下方面に向けて斜角が付けられて、汚染因子が上方面内およびピボット管110と係合したフランジ175内のグリース溝186に至るのを防ぐベベル179を有する。ダンパブッシング172の内径は、アームのアームストップ188をまたぐキー溝186を備える(図1および図2参照)。図12に示すように、ダンパブッシングの底面は、アーム106と共に回転するためのダンパブッシングのさらなる位置決めのために相方の爪199bに対して嵌合可能となるか、またはその逆のタブ199aを含むことができる。
【0025】
また、任意選択として、図2図3および図12に示すように、高オフセットベルトテンショナは、ダンパブッシング172の最外面に径方向外向きに並置された環状シール部材196であって、アームプレート174の下に着座して、何かの破片および/または汚染因子を防ぐもう1つのバリアを追加する環状シール部材196を含むことができる。環状シール部材196はXリング、VリングまたはOリングのシールとすることができる。
【0026】
次に図14および図15を参照しながら、ベルトシステムのベルト(B)に対して所定量の張力を与えるための高オフセットベルトテンショナ200であって、トランスミッションのベルトシステムのようにエンジンシステムでしばしば見られる高オフセットベルトテンショナ200の第2の実施形態について例を示す。この実施形態では、第1の実施形態の構成要素と同じ構成要素に対しては、同じ符号が与えられている。それら構成要素についての詳細は第1の実施形態ですでに記載したとおりである。変更された特長または新規の特長については200番台の符号が与えられている。テンショナ200は、ピボット軸(X2)の周りを枢動するアーム106であって、そのピボット軸(X2)を規定するピボット管210を有するサポートベース208に枢動可能に取り付けられたアーム106と、ここではばねテープ113を含んだフラットワイヤばね112であるトーションばねであって、アーム106とサポートベース208との間に動作可能に連結されたトーションばねとを備える。ベルトテンショナ200には、ベルトテンショナをエンジンシステムに取り付けるためにピボット管210に受け入れて通すボルト190が含まれる。ベルトテンショナ200をエンジンシステムに設置するときまでボルト190を(構成要素もあわせて)定位置に保持するためにボルト保持具192が用意される。アーム106は、サポートベース208と向かい合う内部ショルダ211によって規定される下方面を有するピボット管受けの第1の端部120と、ばねケース212を規定する外周壁119と、ばねケース212に対して反対側を向いたカップ214とを備える。カップ214は、アーム106の上方面218内に引き込まれた外側環状リップ216を有する。アーム106は、プーリ回転軸(X1)を規定する第1の端部に対して軸方向にオフセットされた第2の端部130を有する。プーリ132は、第1の実施形態についてすでに説明したものと同様にして、アーム106の第2の端部130に対して回転可能に取り付けられる。
【0027】
フラットワイヤトーションばね112は、ピボット管210に取り付けられた内側ばね端部114と、ハブ荷重力と釣合いをとる位置でアーム106に取り付けられる外側ばね端部116とを有する。この構造は、ハブ荷重の釣合いをとることに関してすでに取り上げたものと同じ利点をすべて有する。図15で与えられている符号に従うと、支点(G)は、アームの第1の端部120と第2の端部130との間に規定され、支点(G)からハブ荷重力の平面(P)までの第1の軸方向直線距離(C)は、支点からばね力の平面までの第2の軸方向直線距離(H)よりも短いが、第1の実施形態におけるよりも距離Dの半分に近く、これは改善である。この実施形態では、トーションばねの力(E)はピボット管から遠ざかるように移動しており、支点半径(B)は(A)と同じ長さに一段と近づいており((B)が最大限大きくなるように)、第1の実施形態と比べると、同じ利点を確保しつつ、これもまた改善となっている。さらに、構成要素の数も減っている。
【0028】
再び図14および図15を参照すると、この実施形態では、アーム行程制限スロット220はピボット管210からサポートベース208の本体209の外周へと移動している。アーム行程制限スロット220は、アーム106の予め選択された最大回転角度を規定し、アームは、アーム行程制限スロットと係合する嵌合機構221を有する(図15において最もよくわかる)。図15に示す構成要素に関してここで使用する限りにおいて、外および内は回転軸X2に関してのものであり、回転軸に対して近位またはより近位であるときには「内」、回転軸に対して遠位またはより遠位であるときには「外」という。
【0029】
ピボットブッシング250は、第1の実施形態のタブおよびキーの突起をなくして単純化された構造になっており、そのため、円筒形の本体251と、本体251の第1の端部で径方向内側または外側に延びるフランジ253とがあるだけになっている。図14では、フランジ253は径方向外側に向かって延びており、それがカップ214のリップ216に対して着座し、円筒形の本体251がカップ214の内面に着座することは図15の組立図に見られるとおりである。ピボットブッシング250は、ボルト190によってサポートベース208に固定されて結合されたエンドキャップ230によってアーム106と動作可能に係合して保持され、その結果、アームはピボットブッシング250に対して回転するようにされる。ピボットブッシング250は、フランジ253および本体251を通して軸方向に延びるスリット256を有することができ、それによって拡張可能となっている。任意選択で、ピボットブッシング250のフランジ253の径方向最外面に隣接して環状シール部材196を着座させ、何かの破片や汚染因子から保護する。環状シール部材196はVリングシール、Xリングシール、Oリングなどとすることができる。
【0030】
減衰機構240は、特許文献1によって教示されているように、ダンパブッシング材料244が一体成形されたばねプレート242の単一構成要素の形に単純化されている。第1の実施形態も、一体成形による減衰機構を有してよい。減衰機構240は、焼入れしたほぼ平坦な金属ワッシャ(反りなしばねプレートと呼ぶ)の上にまずダンパブッシング材料244をオーバーモールド成形することによって製造する。この一体成形された構成部品は、その後、変形ワークピースによって、反りなしばねプレートを、図15において最もよくわかる、その好ましい円錐形へ変形させられなければならない。反りなしばねプレートの向きがテンショナの回転軸X2に対して垂直な向きから、回転軸X2の方へ90°未満で円錐形に角度を付けられた向きに変化することで、減衰材料がアーム106のショルダ211と動作的に係合できるようになる。ばねプレート242の付勢機能(変形後のばねプレートのほぼ円錐形の形状によるもの)は、ショルダ211、すなわち摩擦面に対して環状突起を押し当てるように作用するが、ここではそれを反らせ力と呼ぶ。ダンパブッシング材料244は、内部ショルダ211との減衰的な摩擦係合のために内部ショルダ211内に画定されるアームの面に向かい合う外面を有しており、これは、駆動ベルト(B)が被るねじれによるアーム106の激しい枢動運動を減衰するように働く。
【0031】
ダンパブッシング材料244のこの外面は、そこからアーム106のショルダ211の方へ突き出た環状突起を有する。ショルダ211は、アームの面内に樋を有することができ、そこにダンパブッシング材料244の突起が着座することで減衰的な摩擦係合が行われる。典型的には、円環状の突起は、ばねプレートの外径を規定する外縁に隣接する。突起は、ダンパ組立の長手方向断面で見ると、‘866特許において開示されているような円弧形の輪郭を有することができる。突起の円弧形の輪郭は半径が一定であっても、変化する半径であってもよい。1つの実施形態では、円弧形の輪郭は半円形の円弧である。もう1つの実施形態では、円弧形の輪郭は楕円弧である。もう1つの実施形態では、円弧形の輪郭は小葉形である。突起-樋構造では、環状突起は、樋の箇所によって与えられる単一の箇所に向かう反らせ力を保つ。そして、環状突起の位置により、ばねプレート242の円錐形の形状によってもたらされる減衰機構240の反らせ力は、全般的には、ダンパ組立の外径を規定する縁部にあり、より詳細には、ばねプレート242の外径を規定する縁部にあって、ダンパブッシングとアームとの係合を促す付勢力をもたらす。
【0032】
再び図11および図15を参照すると、軸方向付勢部材160、242(242はばねプレートとも呼ばれる)のそれぞれの反り高さは変形の過程でばねプレート全体にわたって様々であってよく、それによってアームにかかる力は、ハブ荷重と反対の矢印194、294で表された第1の位置でより大きく(最大の反り高さ)、そのため、第1の位置と反対の第2の位置であって、ハブ荷重と反対でない第2の位置で作用する力と比べていっそう力をバランスさせることになる。第2の位置は、図11および図15でそれぞれ矢印195、295によって表されている。
【0033】
図14で最もよくわかるように、反りなしばねプレート242は、内径を画定するその内周面から径方向内向きに延びる複数の歯246を備えることができる。それらの歯246は、ピボット管210の上端でピボット管210の外周面に埋め込まれることで、減衰機構240がピボット管210に確実に取り付けられる。すべての態様において、内径を画定するばねプレート242の外周はピボット管210とキャップ230との間に挟まれ、それによって減衰機構240は不動状態、つまり非回転となる。そのため、アーム106は減衰機構240に対して回転する。
【0034】
アーム、ピボットベースおよび/またはキャップは、中実の鋼、アルミニウムまたは粉体の金属などの金属材料によって製作されることが多い。ばねプレート242は、実施形態の一例としては、焼入れ鋼板であり、ダンパブッシング材料244は典型的には耐摩耗性プラスチックである。耐摩耗性プラスチックは、66ナイロン、6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、69ナイロン、612ナイロン、610ナイロン、ポリアミド46ナイロン;ポリエーテルイミド(PEI);ポリスルホン(PSU);ポリエーテルスルホン(PES);ポリオキシメチレン(POM)、すなわちアセタール類;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリフェニレンスルファイド(PPS);ポリフタルアミド(PPA)、すなわちアモデル;ポリフェニレンオキサイド(PPO);アモルファスナイロンなどを含むが、これらに限定されない、あらゆるポリアミド(PA)とすることができる。
【0035】
ここで検討してきたベルトテンショナには様々な利点があり、その多くはすでに説明してきたとおりである。この段落では幾つかの追加的な利点を示す。フラットワイヤばねは、回転角あたりのトルクの低さと、丸形ワイヤばねよりも変動が少ない点において有利である。フラットワイヤばねは丸形ワイヤばねと比べて共鳴問題も少なく、ばねの巻きの間にばねテープを使用することでさらに一段とノイズを減らすことができる。さらに、フラットワイヤばねではテンショナの軸方向高さ(H)が小さくなり、多様な原動機構成でテンショナの設置を行う上で有利となることができる。
【0036】
通常の張力のもとでは、アーム106に取り付けられたプーリをベルトが押すと、アームはピボット軸X2の周りを回転し、それによってトーションばね112を巻き上げる。巻き上げられたねじりばねは、アーム106に対してばねトルクを加え、それによってアームおよびプーリをベルトに対して動かし、保持し、または押す。アーム106がピボット軸X2の周りに回転してトーションばね112を巻き上げると、テンショナ構成要素と減衰機構150および170または230、240および250の間の摩擦接触が張力を緩める方向にアームの回転を減らすか、または最小化するように作用する。減衰機構とアームのここでの動作可能係合は摩擦による対称的な減衰をもたらす。
【0037】
各実施形態は、その適用または使用において、図面および説明で例示された部品およびステップの構造および構成の詳細に限定されるものでないことが留意されるべきである。例示した実施形態、構造および変形の特徴が、それ以外の実施形態、構造、変形および変更において実装され、採り入れられること、それが様々な方法で実行され、実施されることは可能である。さらに、別段の指示がある場合を除き、本明細書において用いられた用語および表現は、本発明の例示的な実施形態について説明する目的で読者の便宜のために選ばれたものであり、本発明を限定することを目的とするものではない。
【0038】
本発明について、その好ましい実施形態を参考にしながら詳細に説明したが、添付する請求項に規定された本発明の範囲から外れることなく、変更や変形が可能であることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0039】
100 高オフセットベルトテンショナ
102 本体
106 アーム
108 サポートベース
110 ピボット管
112 トーションばね、フラットワイヤばね
113 ばねテープ
114 内側ばね端部
116 外側ばね端部
119 外周壁
120 第1の端部
121 下方面
122 上方面
123 ばねケース
124 カップ
126 当接機構
127 キー溝
130 第2の端部
132 プーリ
134 ボルト
136 転がり軸受
139 環状シール
140 エンクロージャ
141 ストッパ
150 ピボットブッシング
151 本体
152 タブ
153 フランジ
154 キー
156 スリット
157 リブ
158 内面
159 樋
160 軸方向付勢部材
170 ダンパ組立
172 ダンパブッシング
173 環状プレート
174 アームプレート
175 フランジ
176 環状摩耗面
177 環状樋
180 位置決めピン
182 外側底面
184 スプライン付き端部
186 アーム行程制限スロット、キー溝
187 ストップショルダ
188 アームストッパ
189 ストップショルダ
190 ボルト
192 保持具
196 環状シール部材
198 ばね当接機構
199a タブ
199b 爪
200 高オフセットベルトテンショナ
208 サポートベース
209 本体
210 ピボット管
211 ショルダ
212 ばねケース
214 カップ
216 外側環状リップ
218 上方面
220 アーム行程制限スロット
221 嵌合機構
230 エンドキャップ
240 減衰機構
242 ばねプレート
244 ダンパブッシング材料
246 歯
250 ピボットブッシング
251 本体
253 フランジ
256 スリット
138 ダストカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】