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特表2024-507597ポリ尿素を形成するための組成物、ポリ尿素を形成するための方法及びポリ尿素を形成するためのキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(54)【発明の名称】ポリ尿素を形成するための組成物、ポリ尿素を形成するための方法及びポリ尿素を形成するためのキット
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20240213BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240213BHJP
   C08L 75/02 20060101ALI20240213BHJP
   C08K 5/1565 20060101ALI20240213BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/32 050
C08L75/02
C08K5/1565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552247
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 GB2022050408
(87)【国際公開番号】W WO2022180364
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】2102682.8
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325381
【氏名又は名称】フォスター,リチャード ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,リチャード ジョン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK011
4J002EL106
4J002FD206
4J002GH01
4J002GL00
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA05
4J034CA14
4J034CC09
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DB07
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034MA12
4J034QB11
4J034RA07
4J034RA10
(57)【要約】
本発明は、ポリ尿素を形成するための組成物に関する。本発明はまた、ポリ尿素を形成するための方法にも関する。本発明はまた、ポリ尿素を形成するためのキットにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ尿素を形成するための組成物であって:
イソシアネート;
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂;並びに、
環状アルキレンカーボネート;
を含み、1重量%未満の溶剤を含む、前記組成物。
【請求項2】
前記イソシアネートが前記環状アルキレンカーボネートを含み;前記樹脂が前記環状アルキレンカーボネートを含み;又は、前記イソシアネート及び前記樹脂の両方が、前記環状アルキレンカーボネートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記環状アルキレンカーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート若しくはグリセロールカーボネート、又はこれらの環状アルキレンカーボネートのうちのいずれか2、3、4若しくは5つの混合物である、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
5重量%~50重量%の環状アルキレンカーボネートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
10重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、15重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、20重量%~30重量%の環状アルキレンカーボネートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリオールをさらに含み;任意選択的に、前記ポリオールが、前記組成物を形成する前に前記樹脂と共に含まれ且つ前記イソシアネートと共に含まれていない、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリオール対アミンの比が:
ポリオール0.5重量部(又は10重量部)、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン99.5重量部(又は90重量部)、から、
ポリオール50重量部、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン50重量部まで
である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
0.5重量%未満の溶剤;又は、0.1重量%未満の溶剤;又は、0.01重量%未満の溶剤;又は、0.001重量%未満の溶剤;又は、0重量%の溶剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
溶剤が、メチルプロキシトールアセテート、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、キシレン及び二塩基酸エステルのうちのいずれか1、2、3、4又は5つを指す、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記イソシアネートが:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及び/又はトルエンジイソシアネート(TDI);のうちのいずれか1、2、3、4又は5つであり;任意選択的に、前記イソシアネートが:Tolonate(商標)HDT、Tolonate(商標)HDT-LV、Tolonate(商標)HDT-LV2、BASONAT(登録商標)HI100NG
、BASONAT(登録商標)HI2000NG、DESMODUR(登録商標)ultraN3300、及び/又はDESMODUR(登録商標)ultraN3600;の1つ以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンが、ポリアスパラギン酸樹脂であり;任意選択的に、前記ポリアスパラギン酸樹脂が:Feiyang(商標)FeisparticF420、Desmophen(登録商標)NH1220、Desmophen(登録商標)NH1420、Desmophen(登録商標)NH1442、Teraspartic(商標)277、Teraspartic(商標)292、及び/又はTeraspartic(商標)230;の1つ以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリオールが:ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、グリセロール、グリセロールカーボネート、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオール;の1つ以上であり;任意選択的に、前記ポリオールがポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールである、請求項6~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
二部型組成物であり、前記イソシアネート及び前記樹脂がポリ尿素の形成前に分離されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
5~60重量%のイソシアネート;
30~65重量%の樹脂、及び
10~30重量%の環状アルキレンカーボネート;
を含み又はこれらからなり、1重量%未満の溶剤を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
イソシアネート対樹脂の重量%比が:
2重量部の樹脂対1重量部のイソシアネート;から
6重量部の樹脂対5重量部のイソシアネートまで
である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
5重量%未満の添加剤をさらに含みまたはさらにこれからなり;任意選択的に、前記添加剤が、空気放出剤、湿潤剤及び/又は水分捕捉剤のうちの1つ以上である、請求項14又は請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ポリ尿素を形成するためのキットであって:
イソシアネートを含む第1レセプタクル;並びに
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂を含む第2レセプタクル;
を含み、前記第1レセプタクル、前記第2レセプタクル、又は前記第1レセプタクル及び前記第2レセプタクルの両方が、環状アルキレンカーボネートを含んでおり;
前記第1レセプタクル及び前記第2レセプタクルが、それぞれ、1重量%未満の溶剤を含む、前記キット。
【請求項18】
ポリ尿素を形成する方法であって:
イソシアネート;
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂;並びに、
環状アルキレンカーボネート;
を組み合わせることを含み、前記イソシアネート、前記樹脂及び前記環状アルキレンカーボネートが、それぞれ、1重量%未満の溶剤を含む、前記方法。
【請求項19】
表面を形成する方法であって、床の上に請求項18に記載のポリ尿素を形成することを含み;任意選択的に、前記床がセメント質の床である、前記方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法によって得られる又は得られ得るポリ尿素。
【請求項21】
請求項19に記載の方法によって得られる又は得られ得る表面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ尿素を形成するための組成物に関する。本発明はまた、ポリ尿素を形成するための方法にも関する。本発明はまた、ポリ尿素を形成するためのキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ尿素、例えばポリ尿素コーティングは、典型的には高粘度成分を用いて作られるため、成分が有用な稠度となるように粘度を低下させるために多量の溶剤を含むことを必要とする。高粘度成分と共に含まれる公知の溶剤として、メチルプロキシトールアセテート、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、キシレン及び二塩基酸エステルが挙げられる。
【0003】
ポリ尿素(特に、二成分コンクリートプライマー)の一例は、Sika(登録商標)によって現在販売されているSika(登録商標)コンクリートプライマーである。Sika(登録商標)コンクリートプライマーは、二成分の、迅速に硬化する、高固体の、溶剤ベースのポリ尿素プライマーである。Sika(登録商標)コンクリートプライマーは、セメント質基材における結合剤として使用される。Sika(登録商標)コンクリートプライマーは、およそ30分以内(温度、湿度及び圧力条件による)に基材をシールして下塗りする。Sika(登録商標)コンクリートプライマーは、およそ30重量%の溶剤を含み、この溶剤は、塗布後、硬化の際に蒸発する。
【0004】
環境法は、ポリ尿素、例えばポリ尿素コーティングに存在する溶剤の量の低減を要求している。加えて、消費者は、より環境を意識するようになっており、溶剤不含製品の需要が高まっている。
【0005】
ポリ尿素、及びポリ尿素を形成するための組成物における溶剤の量の低減は、より低粘度の原料を使用することによって達成されている。例えば、およそ700mPasの粘度を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)イソシアネートトリマーは、およそ2500mPas以上の粘度を有するものに取って代わっている。加えて、一部の供給者が、水ベースの系を現在提供している。
【0006】
ポリ尿素(及びポリ尿素前駆体)における溶剤の存在を低減又は排除することを目的とした戦略は、ポリ尿素の有益な物性の低減を頻繁に引き起こしてきた。例えば、水ベースのポリ尿素コーティングは、多くの場合において、溶剤を含む混合物から形成されるポリ尿素コーティングよりも耐久性が低い。加えて、低粘度成分(例えば、ポリ尿素コーティングを形成するための混合物に含まれているヘキサメチレンジイソシアネート(HDI))は、対応する高粘度成分よりも典型的には50%以上高価である。
【0007】
いくつかの公知のポリ尿素コーティングは、歴史上の製品と比較して低減された溶剤量を有する。しかし、利用可能なポリ尿素コーティングは、健康及び安全、並びに環境的問題を依然として提示しており、閉鎖されたエリア及び/又は食品が存在するところで使用するには危険である。
【0008】
ポリ尿素コーティングは、樹脂成分及びイソシアネート(硬化剤)成分を一緒に混合することによって典型的には形成される。当該二成分は、一緒に容易に反応するものであり、ポリ尿素コーティングが例えば表面に塗布されるときにのみ混合される。典型的には、イソシアネート成分は、高度に粘性であり、いくつかの溶剤を含む。樹脂成分は、典型的
には、イソシアネート成分よりも粘性が低く、いくつかの溶剤を任意選択的に含み得る。
【0009】
ポリ尿素における、例えばポリ尿素コーティングにおける溶剤の存在を低減又は排除することが有益であろう。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、ポリ尿素を形成するための二成分組成物であって、当該二成分が実質的に溶剤不含である、当該組成物を開示する。
【0011】
本発明の態様を以下の条項に記載する:
1. ポリ尿素を形成するための組成物であって:
イソシアネート;
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂;並びに、
環状アルキレンカーボネート;
を含み、1重量%未満の溶剤を含む、上記組成物。
【0012】
2. イソシアネートが環状アルキレンカーボネートを含み;樹脂が環状アルキレンカーボネートを含み;又は、イソシアネート及び樹脂の両方が環状アルキレンカーボネートを含む、条項1に記載の組成物。
【0013】
3. 環状アルキレンカーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート若しくはグリセロールカーボネート、又はこれらの環状アルキレンカーボネートのうちのいずれか2、3、4若しくは5つの混合物である、条項1又は条項2に記載の組成物。
【0014】
4. 5重量%~50重量%の環状アルキレンカーボネートを含む、条項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【0015】
5. 10重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、15重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、20重量%~30重量%の環状アルキレンカーボネートを含む、条項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【0016】
6. ポリオールをさらに含み;任意選択的に、ポリオールが、組成物を形成する前に樹脂と共に含まれ且つイソシアネートと共に含まれていない、条項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【0017】
7. ポリオール対アミンの比が:
ポリオール0.5重量部(又は10重量部)、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン99.5重量部(又は90重量部)、から、
ポリオール50重量部、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン50重量部まで
である、条項6に記載の組成物。
【0018】
8. 0.5重量%未満の溶剤;又は、0.1重量%未満の溶剤;又は、0.01重量%未満の溶剤;又は、0.001重量%未満の溶剤;又は、0重量%の溶剤を含む、条項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【0019】
9. 溶剤が、メチルプロキシトールアセテート、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、キシレン及び二塩基酸エステルのうちのいずれか1、2、3、4又は5つを指す、条
項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【0020】
10. イソシアネートが:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及び/又はトルエンジイソシアネート(TDI);のうちのいずれか1、2、3、4又は5つであり;任意選択的に、イソシアネートが:Tolonate(商標)HDT、Tolonate(商標)HDT-LV、Tolonate(商標)HDT-LV2、BASONAT(登録商標)HI100NG、BASONAT(登録商標)HI2000NG、DESMODUR(登録商標)ultraN3300、及び/又はDESMODUR(登録商標)ultraN3600;の1つ以上である、条項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【0021】
11. 1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンが、ポリアスパラギン酸樹脂であり;任意選択的に、ポリアスパラギン酸樹脂が:Feiyang(商標)FeisparticF420、Desmophen(登録商標)NH1220、Desmophen(登録商標)NH1420、Desmophen(登録商標)NH1442、Teraspartic(商標)277、Teraspartic(商標)292、及び/又はTeraspartic(商標)230;の1つ以上である、条項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【0022】
12. ポリオールが:ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、グリセロール、グリセロールカーボネート、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオール;の1つ以上であり;任意選択的に、ポリオールがポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールである、条項6~11のいずれか一項に記載の組成物。
【0023】
13. 二部型組成物であり、イソシアネート及び樹脂がポリ尿素の形成前に分離されている、条項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【0024】
14. 5~60重量%のイソシアネート;
30~65重量%の樹脂、及び
10~30重量%の環状アルキレンカーボネート;
を含み又はこれらからなり、1重量%未満の溶剤を含む、条項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【0025】
15. イソシアネート対樹脂の重量%比が:
2重量部の樹脂対1重量部のイソシアネート;から
6重量部の樹脂対5重量部のイソシアネートまで
である、条項14に記載の組成物。
【0026】
16. 5重量%未満の添加剤をさらに含みまたはさらにこれからなり;任意選択的に、添加剤が、空気放出剤、湿潤剤及び/又は水分捕捉剤のうちの1つ以上である、条項14又は条項15に記載の組成物。
【0027】
17. ポリ尿素を形成するためのキットであって:
イソシアネートを含む第1レセプタクル;並びに
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂を含む第2レセプタクル;
を含み、第1レセプタクル、第2レセプタクル、又は第1レセプタクル及び第2レセプタ
クルの両方が、環状アルキレンカーボネートを含んでおり;
第1レセプタクル及び第2レセプタクルが、それぞれ、1重量%未満の溶剤を含む、上記キット。
【0028】
18. イソシアネートが環状アルキレンカーボネートを含み;樹脂が環状アルキレンカーボネートを含み;又は、イソシアネート及び樹脂の両方が環状アルキレンカーボネートを含む、条項17に記載のキット。
【0029】
19. 環状アルキレンカーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート若しくはグリセロールカーボネート、又はこれらの環状アルキレンカーボネートのうちのいずれか2、3、4若しくは5つの混合物である、条項17又は条項18に記載のキット。
【0030】
20. 5重量%~50重量%の環状アルキレンカーボネートを含む、条項17~19のいずれか一項に記載のキット。
【0031】
21. 10重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、15重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、20重量%~30重量%の環状アルキレンカーボネートを含む、条項17~20のいずれか一項に記載のキット。
【0032】
22. ポリオールをさらに含む、条項17~21のいずれか一項に記載のキット。
【0033】
23. ポリオール対アミンの比が:
ポリオール0.5重量部(又は10重量部)、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン99.5重量部(又は90重量部)、から、
ポリオール50重量部、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン50重量部まで
である、条項22に記載の方法。
【0034】
24. 組成物が:0.5重量%未満の溶剤;又は、0.1重量%未満の溶剤;又は、0.01重量%未満の溶剤;又は、0.001重量%未満の溶剤;又は、0重量%の溶剤を含む、条項17~23のいずれか一項に記載のキット。
【0035】
25. 溶剤が、メチルプロキシトールアセテート、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、キシレン及び二塩基酸エステルのうちのいずれか1、2、3、4又は5つを指す、条項17~24のいずれか一項に記載のキット。
【0036】
26. イソシアネートが:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及び/又はトルエンジイソシアネート(TDI);のうちのいずれか1、2、3、4又は5つであり;任意選択的に、イソシアネートが:Tolonate(商標)HDT、Tolonate(商標)HDT-LV、Tolonate(商標)HDT-LV2、BASONAT(登録商標)HI100NG、BASONAT(登録商標)HI2000NG、DESMODUR(登録商標)ultraN3300、及び/又はDESMODUR(登録商標)ultraN3600;の1つ以上である、条項17~25のいずれか一項に記載のキット。
【0037】
27. 1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンが、ポリアスパラギン酸樹脂であり;任意選択的に、ポリアスパラギン酸樹脂が:Feiyang(商標)FeisparticF420、Desmophen(登録商標)NH1220
、Desmophen(登録商標)NH1420、Desmophen(登録商標)NH1442、Teraspartic(商標)277、Teraspartic(商標)292、及び/又はTeraspartic(商標)230;の1つ以上である、条項17~26のいずれか一項に記載のキット。
【0038】
28. ポリオールが:ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、グリセロール、グリセロールカーボネート、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオール;の1つ以上であり;任意選択的に、ポリオールがポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールである、条項22~27のいずれか一項に記載のキット。
【0039】
29. 第1レセプタクル及び第2レセプタクルが、ポリ尿素の形成前に流体連通していない、条項17~28のいずれか一項に記載のキット。
【0040】
30. 5~60重量%のイソシアネート;
30~65重量%の樹脂、及び
10~30重量%の環状アルキレンカーボネート;
を含み又はこれらからなり、組成物が1重量%未満の溶剤を含む、条項17~29のいずれか一項に記載のキット。
【0041】
31. イソシアネート対樹脂の重量%比が:
2重量部の樹脂対1重量部のイソシアネート;から
6重量部の樹脂対5重量部のイソシアネートまで
である、条項30に記載のキット。
【0042】
32. 5重量%未満の添加剤をさらに含みまたはさらにこれからなり;任意選択的に、添加剤が、空気放出剤、湿潤剤及び/又は水分捕捉剤のうちの1つ以上である、条項30又は条項31に記載のキット。
【0043】
33. ポリ尿素を形成する方法であって:
イソシアネート;
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂;並びに、
環状アルキレンカーボネート;
を組み合わせることを含み、イソシアネート、樹脂及び環状アルキレンカーボネートが、それぞれ、1重量%未満の溶剤を含む、上記方法。
【0044】
34. イソシアネートが環状アルキレンカーボネートを含み;樹脂が環状アルキレンカーボネートを含み;又は、イソシアネート及び樹脂の両方が環状アルキレンカーボネートを含む、条項33に記載の方法。
【0045】
35. 環状アルキレンカーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート若しくはグリセロールカーボネート、又はこれらの環状アルキレンカーボネートのうちのいずれか2、3、4若しくは5つの混合物である、条項33又は条項34に記載の方法。
【0046】
36. 5重量%~50重量%の環状アルキレンカーボネートを組み合わせることを含む、条項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
37. 10重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、15重量%~40重量%の環状アルキレンカーボネート;又は、20重量%~30重量%の環状アルキレンカーボネート;を組み合わせることを含む、条項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
38. ポリオールを他の成分;任意選択的に、樹脂成分と組み合わせることをさらに含む、条項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
39. ポリオール対アミンの比を:
ポリオール0.5重量部(又は10重量部)、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン99.5重量部(又は90重量部)、から、
ポリオール50重量部、対、1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミン50重量部まで
で組み合わせることを含む、条項38に記載の方法。
【0050】
40. 0.5重量%未満の溶剤;又は、0.1重量%未満の溶剤;又は、0.01重量%未満の溶剤;又は、0.001重量%未満の溶剤;又は、0重量%の溶剤;を組み合わせることを含む、条項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
41. 溶剤が、メチルプロキシトールアセテート、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、キシレン及び二塩基酸エステルのうちのいずれか1、2、3、4又は5つを指す、条項33~40のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
42. イソシアネートが:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及び/又はトルエンジイソシアネート(TDI);のうちのいずれか1、2、3、4又は5つであり;任意選択的に、イソシアネートが:Tolonate(商標)HDT、Tolonate(商標)HDT-LV、Tolonate(商標)HDT-LV2、BASONAT(登録商標)HI100NG、BASONAT(登録商標)HI2000NG、DESMODUR(登録商標)ultraN3300、及び/又はDESMODUR(登録商標)ultraN3600;の1つ以上である、条項33~41のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
43. 1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンが、ポリアスパラギン酸樹脂であり;任意選択的に、ポリアスパラギン酸樹脂が:Feiyang(商標)FeisparticF420、Desmophen(登録商標)NH1220、Desmophen(登録商標)NH1420、Desmophen(登録商標)NH1442、Teraspartic(商標)277、Teraspartic(商標)292、及び/又はTeraspartic(商標)230;の1つ以上である、条項33~42のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
44. ポリオールが:ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、グリセロール、グリセロールカーボネート、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオール;の1つ以上であり;任意選択的に、ポリオールがポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールである、条項38~43のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
45. イソシアネート及び樹脂がポリ尿素の形成前に分離されている、条項38~44のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
46. 5~60重量%のイソシアネート;
30~65重量%の樹脂、及び
10~30重量%の環状アルキレンカーボネート;
を組み合わせることを含み又はこれらからなり、組成物が1重量%未満の溶剤を含む、条項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
47. イソシアネート対樹脂の重量%比が:
2重量部の樹脂対1重量部のイソシアネート;から
6重量部の樹脂対5重量部のイソシアネートまで
である、条項46に記載の方法。
【0058】
48. 5重量%未満の添加剤を合わせることをさらに含み又はさらにこれからなり;任意選択的に、添加剤が、空気放出剤、湿潤剤及び/又は水分捕捉剤のうちの1つ以上である、条項46又は条項47に記載の方法。
【0059】
49. 表面を形成する方法であって、床の上に条項33~48のいずれか一項に記載のポリ尿素を形成することを含み;任意選択的に、床がセメント質の床である、上記方法。
【0060】
50. 条項33~48のいずれか一項に記載の方法によって得られる又は得られ得るポリ尿素。
【0061】
51. 条項49の方法によって得られる又は得られ得る表面。
【0062】
本発明の実施形態を添付の図を参照して説明する。添付の図は、システム、方法の様々な実施形態、及び、本開示の様々な他の態様の実施形態を示す。当業者は、図において示されている要素境界(例えば、ボックス、ボックス群又は他の形状)が当該境界の一例を提示するものであることを認識するであろう。いくつかの例において、1つの要素が複数の要素として設計されている場合があり又は複数の要素が1つの要素として設計されている場合があってよい。いくつかの例において、1つの要素の内的構成要素として示されている要素が、別では外的構成要素として実施されてよく、逆もまた然りである。さらに、要素は、スケール通りに描かれていなくてもよい。以下の図を参照して非限定的且つ非包括的な説明を記載する。図における構成要素は、必ずしもスケール通りではなく、代わりに、示している原理に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、Tolonate(商標)HDTイソシアネートを用いて硬化させたFeisparticF420ポリアスパラギン酸樹脂において、プロピレンカーボネートの百分率を増加させることによる効果を示すグラフである。
図2図2は、Tolonate(商標)HDTイソシアネートを用いて硬化させたFeisparticF420ポリアスパラギン酸樹脂及びプロピレンカーボネートにおいて、PTMEGポリオールの百分率を増加させることによる効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本開示のいくつかの実施形態が、全てのその特徴を示して、ここで詳細に考察される。語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、及び「含む(including)」、並びにこれらの他の形態は、これらの語のいずれか1つに続く項目(複数可)が、かかる項目(複数可)の排他的
な列挙であるということは意味されていないという点、又はかかる項目(複数可)のみに限定されることは意味されていないという点において、意味において等価であり且つオープンエンドであることが意図される。
【0065】
本明細書において使用されているとき及び添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明らかに指示しない限り、複数の参照を含むということにも注意されなければならない。本明細書に記載されているものと同様又は等価であるいずれのシステム及び方法も本開示の実施形態の実用又は試験において使用することができるが、好ましいシステム及び方法をここで説明する。
【0066】
本開示の実施形態を、同様の数字がいくつかの図全体を通して同様の要素を表しており且つ例としての実施形態が示されている添付の図を参照して、以下においてより完全に説明する。特許請求の範囲の実施形態は、しかし、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本明細書に記載されている例は非限定例であり、他の起こり得る例の中での単なる例である。
【0067】
本発明を説明するのに使用される用語のいくつかを以下に記載する:
【0068】
「ポリ尿素」は、1つ以上のイソシアネート成分及び1つ以上の樹脂成分(任意選択的に、当該樹脂成分はアミン末端の樹脂成分である)間の反応によって形成されるエラストマーを指す。ポリ尿素は、式(-C(=O)-NH-R-NH-C(=O)-NH-R’-NH-):式中、nは任意の整数である;を有し得る。
【0069】
「イソシアネート」及び「イソシアネート成分」は、式OCN-R-NCOの化合物を指す。イソシアネート成分は、任意の二官能性若しくは多官能性脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、又はこれらのそれぞれのプレポリマーを含有していてよい。いくつかの例において、イソシアネート成分は、1つ以上の環状アルキレンカーボネートを含む。イソシアネート成分の非限定例として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)が挙げられる。市販のイソシアネートの非限定例は:Vencorex(商標)Chemicalsによって現在販売されているTolonate(商標)HDTイソシアネート(2,400mPasの粘度を有する);Vencorex(商標)Chemicalsによって現在販売されているTolonate(商標)HDT-LV(1,200mPasの粘度を有する);Vencorex(商標)Chemicalsによって現在販売されているTolonate(商標)HDT-LV2(600mPasの粘度を有する)であり;BASONAT(登録商標)HI100NGは、BASFによって現在販売されている(商標)HDIトリマー(2,500~4,000mPasの粘度を有する)であり;BASONAT(登録商標)HI2000NGは、BASFによって現在販売されているHDIトリマー(900~1,500mPasの粘度を有する)であり;DESMODUR(登録商標)ultraN3300は、Covestro Deutschland AGによって現在販売されているHDIトリマー(3,000mPasの粘度を有する)であり;DESMODUR(登録商標)ultraN3600は、Covestro Deutschland AGによって現在販売されているHDIトリマー(1,200mPasの粘度を有する)である。
【0070】
「樹脂」及び「樹脂成分」は、式HN-R’-NHの1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む混合物を指す。「樹脂」又は「樹脂成分」は、ポリアスパラギン酸樹脂であり得る。いくつかの例において、樹脂成分は、1つ以上
の環状アルキレンカーボネートを含む。「樹脂」又は「樹脂成分」は、1つ以上のポリオール化合物を任意選択的にさらに含み;ポリオール化合物は、2、3、4つ以上の第1級ヒドロキシル基を含んでいる。市販の樹脂の非限定例は:Shenzhen Feiyang Protech Corp.,Ltd.によって現在販売されているFeiyang(商標)FeisparticF420ポリアスパラギン酸樹脂;Covestro Deutschland AGによって現在販売されているDesmophen(登録商標)NH1220;Covestro Deutschland AGによって現在販売されているDesmophen(登録商標)NH1420;Covestro Deutschland AGによって現在販売されているDesmophen(登録商標)NH1442;Pflaumer Brothers Inc.,New Jersey,USAによって現在販売されているTeraspartic(商標)277;Pflaumer Brothers Inc.,New Jersey,USAによって現在販売されているTeraspartic(商標)292;及びPflaumer Brothers Inc.,New Jersey,USAによって現在販売されているTeraspartic(商標)230である。
【0071】
「環状アルキレンカーボネート」は、エチレンオキシド、プロピレン及び/又はブチレンオキシド、並びに二酸化炭素の反応から形成される環状有機エステルを指す。環状アルキレンカーボネートは、立体障害型アミン、例えば、ポリアスパラギン酸樹脂において、並びにイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)を含む)において数年間安定である。環状アルキレンカーボネートの例として、限定されないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びグリセロールカーボネートが挙げられる。
【0072】
「ポリオール」は、複数のヒドロキシル(-OH)基を有する有機化合物を指し、かかる有機分子は、いずれの他の官能基も含まない。高分子化学において、ポリオールは、多くの場合、架橋剤として作用する。ポリオールの非限定例は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールである。ポリオールの他の非限定例として、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、グリセロール、グリセロールカーボネート、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ブタンジオール及び/又は1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。
【0073】
「脂肪族」は、ヒュッケル則に従ういずれのπ系も有さない炭化水素(線状、分岐状又は環状であり得る)を指す。脂肪族基の例として、アルキル基、ハロアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。
【0074】
「芳香族」は、ヒュッケル則に従う1つ以上のπ系を有する炭化水素(線状、分岐状又は環状であり得る)を指す。芳香族基の例として、アリール基が挙げられる。
【0075】
本明細書において使用されているとき、任意の「R」基(複数可)、例えば、限定することなく、R及びR’は、示されている原子に付着され得る置換基を表す。R基は、置換又は非置換であってよい。
【0076】
本明細書において使用されているとき、「アルキル」は、完全飽和(二重又は三重結合なし)炭化水素基を含む直鎖又は分岐状の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~26個の炭素原子を有していてよい(本明細書に出現する場合は常に、数値範囲、例えば「1~26」は、所与の範囲における各整数を指し;例えば、「1~26個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の原
子、6個の炭素原子、7個の炭素原子、8個の炭素原子、9個の原子、10個の炭素原子、11個の炭素原子、12個の炭素原子、13個の炭素原子、14個の炭素原子、15個の炭素原子、16個の炭素原子、17個の炭素原子、18個の炭素原子、19個の炭素原子、20個の炭素原子、21個の炭素原子、22個の炭素原子、23個の炭素原子、24個の炭素原子、25個の炭素原子又は26個の炭素原子からなっていてよいことを意味するが、本定義は、数値範囲が表記されていない用語「アルキル」の出現もカバーする)。アルキル基は、1~10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルであってもよい。アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであることもできる。化合物のアルキル基は、「C-Cアルキル」又は同様の表記で表記されていてよい。ほんの一例として、「C-Cアルキル」は、アルキル鎖に1~6個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、並びにt-ブチル、ペンチル(直鎖及び分岐鎖)並びにヘキシル(直鎖及び分岐鎖)から選択される。典型的なアルキル基として、何ら限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、ペンチル(直鎖及び分岐鎖)並びにヘキシル(直鎖及び分岐鎖)が挙げられる。アルキル基は、一置換若しくは多置換又は非置換であってよい。典型的な置換基は、-OH、-O-C1~6(任意選択的に、ハロ、例えば、-F、-Cl、-Br又は-I)アルキル、-SH、-S-C1~6アルキル、-N、-NO、-ハロ(例えば、-F、-Cl、-Br又は-I)、-COOH、及び/又は-COOR(式中、Rは置換又は非置換C-C26アルキルである)から選択され得る。
【0077】
本明細書において使用されているとき、「ハロアルキル」、例えば、「クロロアルキル」は、完全飽和(二重又は三重結合なし)炭化水素基及び少なくとも1つのハロゲン原子、例えば、「クロロアルキル」の場合には塩素原子(任意選択的に、1、2、3、4、5又は6つ以上のハロ原子、例えば、塩素原子)を含む直鎖又は分岐状の炭化水素鎖を指す。用語「ハロアルキル」は、フルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル及びヨードアルキルを包含する。ハロアルキル基、例えば、クロロアルキル基は、1~26個の炭素原子を有していてよい(本明細書においてこれが本明細書に出現する場合は常に、数値範囲、例えば「1~26」は、所与の範囲における各整数を指し;例えば、「1~26個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、6個の炭素原子、7個の炭素原子、8個の炭素原子、9個の原子、10個の炭素原子、11個の炭素原子、12個の炭素原子、13個の炭素原子、14個の炭素原子、15個の炭素原子、16個の炭素原子、17個の炭素原子、18個の炭素原子、19個の炭素原子、20個の炭素原子、21個の炭素原子、22個の炭素原子、23個の炭素原子、24個の炭素原子、25個の炭素原子又は26個の炭素原子からなっていてよいことを意味するが、本定義は、数値範囲が表記されていない用語「アルキル」の出現もカバーする)。クロロアルキル基は、1~10個の炭素原子を有する中程度のサイズのクロロアルキルであってもよい。クロロアルキル基は、1~6個の炭素原子を有する低級クロロアルキルであることもできる。化合物のクロロアルキル基は、「C-Cクロロアルキル」又は同様の表記で表記されていてよい。ほんの一例として、「C-Cクロロアルキル」は、アルキル鎖において1~6個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキル鎖は、それぞれ少なくとも1つの塩素原子を有する、クロロメチル、クロロエチル、クロロプロピル、クロロ-イソ-プロピル、クロロ-n-ブチル、クロロ-イソ-ブチル、クロロ-sec-ブチル、並びにクロロ-t-ブチル、クロロペンチル(直鎖及び分岐鎖)並びにクロロヘキシル(直鎖及び分岐鎖)から選択される。典型的なクロロアルキル基として、何ら限定されないが、クロロメチル、クロロエチル、クロロプロピル、クロロイソプロピル、クロロブチル、クロロイソブチル、クロロ-第3級ブチル、クロロペンチル(直鎖及び分岐鎖)並びにクロロヘキシル(直鎖及び分岐鎖)が挙げられる。類似的に、それぞれフルオロアルキル、ブロモアルキル又はヨードアルキル基は、ハロアルキルのこの定義の範囲内に含まれる。ハロアルキル基、例えば、クロロア
ルキル基は、一置換若しくは多置換又は非置換であってよい。典型的な置換基は、-OH、-O-C1~6(任意選択的に、ハロ、例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)アルキル、-SH、-S-C1~6アルキル、-N、-NO、-ハロ(例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)、-COOH、及び/又は-COOR(式中、Rは置換若しくは非置換C-C26アルキルである)から選択され得る。
【0078】
本明細書において使用されているとき、「シクロアルキル」は、完全飽和(二重又は三重結合なし)の単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の環から構成されているとき、当該環は、縮合形式で一緒に結合していてよい。シクロアルキル基は、環(複数可)に3~10個の原子又は環(複数可)に3~8個の原子を含有し得る。シクロアルキル基は、非置換又は置換であってよい。典型的なシクロアルキル基として、何ら限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。典型的な置換基は、-OH、-O-C1~6(任意選択的に、ハロ、例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)アルキル、-SH、-S-C1~6アルキル、-N、-NO、-ハロ(例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)、-COOH、及び/又は-COOR(式中、Rは置換若しくは非置換C-C26アルキルである)から選択され得る。
【0079】
本明細書において使用されているとき、「アリール」は、全ての環を通して完全に非局在化されたπ電子系を有する炭素環式(全て炭素)単環式又は多環式環状芳香族環系(2つの炭素環式環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基における炭素原子数は、多様であり得る。例えば、アリール基は、C-C14アリール基、C-C10アリール基、又はCアリール基であり得る。アリール基の例として、限定されないが、ベンゼン、ナフタレン及びアズレンが挙げられる。アリール基は、一置換若しくは多置換又は非置換であってよい。典型的な置換基は、-OH、-O-C1~6(任意選択的に、ハロ、例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)アルキル、-SH、-S-C1-6アルキル、-N、-NO、-ハロ(例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)、-COOH、及び/又は-COOR(式中、Rは置換若しくは非置換C-C26アルキルである)から選択され得る。
【0080】
本明細書において使用されているとき、「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有する直鎖又は分岐状の炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有していてよいが、本定義は、数値範囲が表記されていない用語「アルケニル」の出現もカバーする。アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルケニルであってもよい。アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する低級アルケニルであることもできる。アルケニル基は、「C2-4アルケニル」又は同様の表記で表記されていてよい。ほんの一例として、「C2-4アルケニル」は、アルケニル鎖において2~4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルケニル鎖は、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、プロペン-3-イル、ブテン-1-イル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ブテン-4-イル、1-メチル-プロペン-1-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、1-エチル-エテン-1-イル、2-メチル-プロペン-3-イル、ブタ-1,3-ジエニル、ブタ-1,2,-ジエニル、及びブタ-1,2-ジエン-4-イルからなる群から選択される。典型的なアルケニル基として、何ら限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルなどが挙げられる。アルケニル基は、一置換若しくは多置換又は非置換であってよい。典型的な置換基は、-OH、-O-C1-6(任意選択的に、ハロ、例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)アルキル、-SH、-S-C1-6アルキル、-N、-NO、-ハロ(例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)、-COOH、及び/又は-COOR(式中、Rは置換若しくは非置換C-C26アルキルである)から選択され得る。
【0081】
本明細書において使用されているとき、「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有する直鎖又は分岐状の炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有していてよいが、本定義は、数値範囲が表記されていない用語「アルキニル」の出現もカバーする。アルキニル基は、2~9個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキニルであってもよい。アルキニル基は、2~4個の炭素原子を有する低級アルキニルであることもできる。化合物のアルキニル基は、「C2-4アルキニル」又は同様の表記で表記されていてよい。ほんの一例として、「C2-4アルキニル」は、アルキニル鎖において2~4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキニル鎖は、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、ブチン-3-イル、ブチン-4-イル、及び2-ブチニルからなる群から選択される。典型的なアルキニル基として、何ら限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルなどが挙げられる。アルキニル基は、一置換若しくは多置換又は非置換であってよい。典型的な置換基は、-OH、-O-C1-6(任意選択的に、ハロ、例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)アルキル、-SH、-S-C1-6アルキル、-N、-NO、-ハロ(例えば、-F、-Cl、-Br若しくは-I)、-COOH、及び/又は-COOR(式中、Rは置換若しくは非置換C-C26アルキルである)から選択され得る。
【0082】
「プレポリマー」は、一緒に反応して中間体分子塊状態(すなわち、最終ポリマー形態ではない)となったモノマー又はモノマー系を指す。プレポリマーは、反応性基による、完全に硬化された高分子量状態へのさらなる重合が可能である。
【0083】
ポリ尿素の形成
本発明によると、ポリ尿素を形成するための組成物であって:
イソシアネート;
1つ以上の二官能性及び/又は1つ以上の多官能性ヒンダードアミンを含む樹脂;並びに、
環状アルキレンカーボネート;
を含み、1重量%未満の溶剤を含む上記組成物が提供される。
【0084】
本発明者は、驚くべきことに、溶剤を除去すること、並びに、溶剤(全体若しくは一部)を、樹脂における、イソシアネートにおける、又は樹脂及びイソシアネートにおける環状アルキレンカーボネートと置き換えることが、ポリ尿素の溶剤不含形成につながることを発見した。環状アルキレンカーボネートは、混合物の粘度を低減する作用をし、また、樹脂成分とイソシアネート成分との間の反応にも関与する。理論によって拘束されることを望まないが、環状アルキレンカーボネートは、触媒反応して、ポリ尿素の形成の効率を改良する。理論によって拘束されることを望まないが、ヒンダードアミンとイソシアネートとの反応によって形成される尿素基が、アルキレンカーボネートを反応させてポリマーマトリクスとする触媒として作用すると見受けられる。
【0085】
本発明者は、さらに、1つ以上のポリオールを、樹脂、イソシアネート、又は樹脂及びイソシアネートに任意選択的に添加することにより、有益な特性を有するポリ尿素を生じさせることを発見した。理論によって拘束されることを望まないが、ポリオールの添加は、ポリ尿素において架橋を形成すること及び/又は反応混合物内でポリウレタンを形成することで、反応生成物の特性をさらに修飾するとされている。
【0086】
本発明によるポリ尿素は、空気放出剤、湿潤剤及び水分捕捉剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤を任意選択的に含む。これらの添加剤は、ポリ尿素の所望の特性に応じて添加される。
【実施例
【0087】
実施例において使用した材料
Feiyang(商標)FeisparticF420ポリアスパラギン酸樹脂
この樹脂の化学名は、N,N’-(メチレンジ-4,1-シクロヘキサンジイル)ビスアスパラギン酸テトラエチルエステルである。このポリアスパラギン酸樹脂は、CAS登録番号136210-30-5を有する。Feiyang(商標)F420は、Shenzhen Feiyang Protech Corp.,Ltdによって現在販売されている、この化学式を有する溶剤不含アミン官能性樹脂である。
【0088】
プロピレンカーボネート
プロピレンカーボネートは、以下の式を有する有機化合物である:
【0089】
【化1】
【0090】
プロピレンカーボネートは、CAS番号108-32-7を有する。実施例において使用するプロピレンカーボネートをMegachem Ltd.,Caldicot,UKから購入した。
【0091】
Tolonate(商標)HDTイソシアネート
Tolonate(商標)HDTイソシアネートは、中程度の粘度の、溶剤不含脂肪族ポリイソシアネートである。Tolonate(商標)HDTイソシアネートは、Vencorex(商標)Chemicalsによって現在販売されている。このイソシアネートは、2,400mPasの粘度を有し、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(HDIホモポリマー)をベースとする。
【0092】
ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール
ポリテトラヒドロフランとしても知られているポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールは、式(CO)OHを有する化学化合物である。これは、テトラヒドロフランのポリマーとして、又は1,4-ブタンジオールに由来するポリエーテルとして見なされ得る。ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールはCAS番号25190-06-1を有する。実施例において使用されるポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールをGantrade Europe Ltd.,UKから購入した。
【0093】
実験1
目的
Tolonate(商標)HDTイソシアネートを用いて硬化したFeiyang(商標)F420ポリアスパラギン酸樹脂を含有する樹脂組成物において、アルキレンカーボネートの量を増加させることによる効果を調べる。
【0094】
方法
プロピレンカーボネート(PC)の量を、100部(重量基準)の全樹脂当たり0から60部(重量基準)まで10%刻みで増加させた。
【0095】
各場合において、以下の手順を実施した:
1.樹脂を25℃及び大気圧で混合ポット内に秤量した。
2.プロピレンカーボネートを、シリンジを使用して混合ポット内に秤量した。
3.Tolonate(商標)HDTも、シリンジを使用して混合ポット内に秤量した

4.混合物を、医療用舌圧子を使用して混合した。
5.Elcometer(登録商標)2300RV1-L粘度計を使用して、6rpmでL2スピンドルを用いて粘度を測定した。この設定において、粘度計は、300~5,000mPasの範囲の粘度を測定することができた。
【0096】
結果
表1:プロピレンカーボネートの量を増加させることによる効果。
【0097】
【表1】
【0098】
表2:プロピレンカーボネートの量を増加させることによる効果。
【0099】
【表2】
【0100】
図1は、表1及び2からの結果を示す。
【0101】
観察
PCの量を増加させることにより、硬化時間が増加し、硬度が低減した。初期硬度は、PCを用いずに作製するときよりも低い。しかし、生成物は、数日間にわたって硬化し続けて非常に硬くなる。
【0102】
PCを使用したとき(溶剤を使用しない)の粘度の低減が有益である。PCは従来の溶剤のようには揮発しないため、環境への懸念を軽減する。PCを使用することに関連するコストは従来の溶剤よりもむしろ低い(PCは、ポリアスパラギン酸樹脂又はHDTイソシアネートではPCでの価格の3倍超であることと比較して、キロ当たり1.50ポンドのコストである)。
【0103】
PCは、大気から抽出されるCOによって作製され得る。そのため、ポリ尿素を形成するための常套的な反応成分よりもむしろ、PCの使用は、大気に放出される正味の炭素を低減するという追加の利益が伴う。
【0104】
実験2
配合中のアミンの量を低減して、当該アミンを第1級ヒドロキシル基含有ポリオールである程度まで置き換えることによる効果を調べる。
【0105】
方法
ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)のブレンドは、ポリアスパラギン酸樹脂と同じ平均分子量で作製した。これは、実験を通して成分の比率は変化しても、成分の合計量は一定のままにするためである。
【0106】
F420樹脂及びポリオールの割合を10%(重量基準)の増加分で変化させた。
【0107】
各場合において、以下の手順を実施した:
1.樹脂を25℃及び大気圧で混合ポット内に秤量した。
2.PTMEGを、シリンジを使用して混合ポット内に秤量した。
3.Tolonate(商標)HDTも、シリンジを使用して混合ポット内に秤量した。
4.プロピレンカーボネートを、シリンジを使用して混合ポット内に秤量した。
5.混合物を、医療用舌圧子を使用して混合した。
6.Elcometer(登録商標)2300RV1-L粘度計を使用して、6rpmでL2スピンドルを用いて粘度を測定した。この設定において、粘度計は、300~5,000mPasの範囲の粘度を測定することができた。
【0108】
結果
表3:PTMEG(ポリオール)の量を増加させることによる効果。
【0109】
【表3】
【0110】
図1は、表3からの結果を示す。
【0111】
観察
配合物中のポリオールの割合を40%(重量基準)に増加させることで、その反応性を増加させ、4500mPasに達するまでのその時間を低減させた。4500mPasは、測定される最高粘度である、なぜなら、4500mPasより高い粘度では、混合物が、表面に塗布するには粘性が高すぎるからである。
【0112】
40%(重量基準)超のポリオールを含有するサンプルは、完全に硬化できず、100%のポリオールを含むサンプルは、14日を超えても安定な粘度を有して液体のままであった。
【0113】
ポリオールだけ(且つプロピレンカーボネートなし)の添加は、所望の生成物ではないポリウレタンの形成を結果として引き起こし得る。
【0114】
プロピレンカーボネートを添加することにより、硬化の速度は低減するが、生成物は最終的に(同程度に)硬化する。
【0115】
ポリオールを任意選択的に添加することにより、生成物はより弾性であり且つコストがより低い。多くのポリオールは、ポリアスパラギン酸樹脂のコストの半分である。
【0116】
Vencorex(商標)Chemicalsによって現在販売されているX Flo-100は、ポリ尿素を軟化させると言われている高価な緩徐硬化性イソシアネートである。プロピレンカーボネートは、僅かなコストで、X Flo-100の完全な又は部分的な代わりとして使用することができる。
【0117】
実験3
目的
ポリオールを任意選択的に添加する場合に、ポリオールの体積よりもむしろ配合物のOH%が硬化を加速させるか否かを調べる。
【0118】
ポリアスパラギン酸コーティングにおける水の混入は、これらコーティングの硬化を加速させること、及び、水がイソシアネート成分と反応するときにこれらのコーティング内でCOの気泡を形成させる可能性もあることが知られている。
【0119】
方法
30%のポリオールを用いて上記実験2-70/30を繰り返したが、PTMEGポリオールは以下に置き換えた:
a. グリセロールカーボネート(UBE Corporation Europe,S.A.によって供給されている)
b. 1,4ブタンジオール+グリセリンカーボネート50/50(a.及びc.と同様に供給されている)
c. 1,4ブタンジオール(Gantrade,Europe Ltd.によって供給されている)
d. PTMEG+ブタンジオール(両方がGantrade,Europe Ltd.によって供給されている)
e. 水
f. ポリカプロラクトントリオール(Gantrade、Europe Ltd.によって供給されている)
g. CaradolET250-04、ポリオキシプロピレントリオール(ShellChemicalsによって供給されている)
【0120】
各試薬の量を算出して、配合物中の同様の百分率の-OH基を付与した。
【0121】
結果
70/30の実験2(上記)を選択したポリオールによって繰り返した。70%のアミン基対30%のヒドロキシル基の一定の比を維持するように各量を算出した。
【0122】
表4:FeiyangF420におけるアミン基の30%を様々なポリオールで置き換えTolonate(商標)HDTによって硬化させたことによる硬化速度への効果。
【0123】
【表4】
【0124】
観察
最も有力な加速硬化は、硬化性のイソシアネートとの架橋反応の追加の利益を付与したグリセロールカーボネートによって観察された。
【0125】
例としての商業的組成物
以下の表は、例としての商業的組成物における成分を詳述する:
表5:例としての商業的配合物。
【0126】
【表5】
【0127】
上記の例と比較して追加の成分(空気放出剤及び水分捕捉剤)をこの商業的コーティングに含むことにより、確実に、コーティングが特定の表面の必要性にしたがって機能した。これらの添加剤は、上記に詳述した実験には含まなかった。
【0128】
本発明による他の例としての商業的組成物は:
5~60重量%のイソシアネート;
30~65重量%の樹脂、及び
10~30重量%の環状アルキレンカーボネート;
を含み又はこれらからなり、1重量%未満の溶剤を含む。例としての商業的組成物は:空気放出剤、湿潤剤及び水分捕捉剤;の1つ以上を更に含んでいてよく、又はこれらからさらになっていてよい。空気放出剤、湿潤剤及び水分捕捉剤の1つ以上は、組成物中に6重量%以下で存在する。
【0129】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されているとき、用語「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」並びにこれらの変形は、特定の特徴、工程又は整数が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴、工程又は構成要素の存在を排除すると解釈されてはならない。
【0130】
具体的な形態で、或いは、開示されている機能を実施するための手段、又は開示されている結果を達成するための方法若しくはプロセスの観点で表されている、上記の詳細な説明、又は以下の特許請求の範囲、又は添付の図に開示されている特徴は、必要に応じて、これらの多様な形態で本発明を実現するために、別個で又はかかる特徴の任意の組み合わせで利用されてよい。
図1
図2
【国際調査報告】