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特表2024-507601火災伝播に対する保護機能を有するバッテリ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】火災伝播に対する保護機能を有するバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/383 20210101AFI20240214BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/35 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/367 20210101ALI20240214BHJP
   H01M 50/22 20210101ALN20240214BHJP
【FI】
H01M50/383
H01M50/204 401F
H01M50/296
H01M50/342 201
H01M50/35 101
H01M50/227
H01M50/231
H01M50/204 101
H01M50/367
H01M50/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580301
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2022054599
(87)【国際公開番号】W WO2022180140
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21159573.1
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518431934
【氏名又は名称】ポラリウム・エナジー・ソリューションズ・エービー
【住所又は居所原語表記】Solnavagen 3H (6tr), 113 63 Stockholm, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン、クルバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス、リンドグレン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012BB01
5H040AA37
5H040NN00
5H040NN03
(57)【要約】
バッテリ装置(3)が提供される。バッテリ装置は、底面、底面と反対側の上面、2つの側面、前面、及び前面と反対側の背面を含む複数の側面(10a~10f)を有し、複数の側面は、密閉容器を形成するために組み立てられ、密閉容器内に配置されるバッテリセルパック(20)を具備する。ケーシングは、複数の側面のうち少なくとも1つの側面に配置された少なくとも1つの排出口(31)を有する。密閉容器は、バッテリセルパックの故障時に発生する加熱されたガスが、少なくとも1つの排出口を経由する以外にケーシングから出ることを防止するように構成されている。バッテリ装置は、前記少なくとも1つの排出口に配置され、前記ケーシングから炎がでることを少なくとも制限するためのフィルタ(13)と、前記バッテリ装置を負荷、他のバッテリ装置又は外部電源に接続するための端子と、をさらに具備し、少なくとも1つの排出口はケーシングの背面に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ装置(3)であって、
底面、前記底面の反対側の上面、2つの側面、前面、及び前記前面の反対側の背面を含む複数の側面(10a~10f)を有し、前記複数の側面が密閉容器を形成するため組み立てられたケーシング(10)と、
前記密閉容器内に配置されたバッテリセルパック(20)と、を具備し、
前記ケーシングが、前記複数の側面のうちの少なくとも1つの側面に配置された少なくとも1つの排出口(31)を含み、
前記密閉容器は、前記バッテリセルパックの故障時に発生する加熱されたガスが、前記少なくとも1つの排出口を経由する以外に前記ケーシングから出ることを防止するように構成され、
前記少なくとも1つの排出口に、前記ケーシングから炎がでることを少なくとも制限するためのフィルタ(13)が配置され、
前記バッテリ装置を負荷、他のバッテリ装置又は外部電源に接続するための端子が前記前面に配置され、前記少なくとも1つの排出口が前記ケーシングの前記背面に配置される、
バッテリ装置。
【請求項2】
前記複数の側面は、前記密閉容器と区画室を形成するために組み立てられ、前記端子は、前記区画室の内部に配置される、請求項1のバッテリ装置。
【請求項3】
前記フィルタは、難燃性及び耐熱性の材料により構成される、請求項1又は2のバッテリ装置。
【請求項4】
前記ケーシングの前記複数の側面は、耐熱性の材料及び/又は難燃材料を含む、請求項1乃至3のいずれかのバッテリ装置。
【請求項5】
前記ケーシングの前記複数の側面(10a~10f)は、複数の縁部(11)に沿って共に組み立てられ、前記複数の縁部にシール要素が配置される、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項6】
前記ケーシングの前記複数の側面は、前記密閉容器を形成するため気密に溶接される、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項7】
前記密閉容器は、前記ケーシングの前記複数の側面によって区画される、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項8】
前記前面の前方に配置された前面パネル(12)をさらに具備する、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項9】
前記バッテリセルパックは、前記バッテリセルパックと前記ケーシングの前記上面との間又は前記バッテリセルパックと前記ケーシングの前記底面との間に位置する少なくとも通路を介して加熱されたガスが前記排出口に向かうように前記ケーシング内に配置される、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項10】
前記ケーシングは、前記ケーシングの前記背面に位置する1つの排出口を含む、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの排出口は、前記ケーシングの前記背面の面積の少なくとも25%を占める、請求項10のバッテリ装置。
【請求項12】
前記バッテリセルパックは、リチウムイオン系のバッテリセルの配列を含む、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項13】
前記バッテリセルパックは、前記密閉容器の容積の約40~90%を占める、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【請求項14】
前記バッテリ装置は、前記バッテリセルパックが前記外部電源によって充電される充電モード及び前記バッテリ装置によって前記負荷に電力が供給される放電モードで動作するように構成される、先行する請求項のいずれか1つのバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火災伝播に対する保護機能を有する(又は熱暴走に対する保護機能を有する)バッテリ装置に関する。より具体的には、本開示は、バッテリ装置の故障時に発生する加熱されたガスが、ケーシングの少なくとも1つの排出口を経由する以外、ケーシングから漏れ出ることを防止するように構成された密閉容器を形成するように組み立てられたケーシングを備えるバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界中でバッテリ装置の需要が急増している。自動車、モバイル機器、及び電源障害又は停電時に必要な機能をサポートするためのバックアップ用として、効率的なバッテリが必要とされている。
【0003】
バッテリ装置内に配置されたバッテリセルパックに重大な異常が発生した場合、熱暴走を起こすことがある。このとき、バッテリセルパックの内部で燃焼ガスや火炎が発生し、バッテリ装置の他の構成要素に影響を与える可能性がある。バッテリパックの熱暴走による燃焼ガスや炎は、バッテリパックや機器全体の発火や爆発につながる可能性がある。さらに、バッテリ装置に隣接する機器を保護することにも関心がある。したがって、熱暴走事象を処理することができ、及び/又は、バッテリ装置内及び/又はバッテリ装置からバッテリ装置に隣接する機器に火災が伝播するリスクを低減することができるバッテリ装置を提供することが興味あることであろう。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、上述のリスク及び/又は欠点の少なくとも幾つかを緩和することができるバッテリ装置を提供することである。この目的及び他の目的の少なくとも1つを達成するために、独立請求項に従ったバッテリ装置が提供される。好ましい実施形態は、従属請求項によって定義される。
【0005】
第1の態様によれば、バッテリ装置が提供される。バッテリ装置は、ケーシングと、バッテリセルパックと、フィルタとを含んでいてもよい。ケーシングは、複数の側面を有してもよい。複数の側面は、底面と、前記底面とは反対側の上面と、2つの横面と、前面と、前記前面とは反対側の背面とを含んでもよい。複数の側面は、密閉された容器を形成するように組み立てられてもよい。バッテリセルパックは、ケーシング内、具体的には、密閉容器内に配置されてもよい。ケーシングは、少なくとも1つの排出口を含み、排出口は、ケーシングの複数の側面のうちの少なくとも1つに配置されてもよい。ケーシングの複数の側面は、密閉容器を形成するように組み立てられてもよい。密閉容器は、バッテリセルパックの故障時に発生する加熱されたガスが、少なくとも1つの排出口を経由する以外にケーシングの外に漏れ出ることを防止するように構成されていてもよい。少なくとも1つの排出口に、ケーシングから少なくとも炎が漏れるのを制限するためのフィルタが配置されてもよい。バッテリ装置を負荷、別のバッテリ装置又は外部電源に接続するための端子が、前面側に配置されてもよい。少なくとも1つの排出口は、ケーシングの背面側に配置されてもよい。
【0006】
バッテリセルパックは、複数のバッテリセルを含んでもよい。また、バッテリセルパックは、セルパック又はバッテリセルのアセンブリと呼ばれてもよい。さらに、「ケーシング」という用語によって、例えば、バッテリ装置のハウジング、シャーシ、フレーム、チャンバ、筐体又は本体がさらに意味される。
【0007】
バッテリセルパックの故障は、例えば、バッテリセルパック又はバッテリセルパックの少なくとも1つのバッテリセルの熱暴走、及び/又はバッテリセルパックの少なくとも1つのバッテリセルの発火、又はバッテリセルパックの少なくとも1つのバッテリセルによる発火を含んでもよい。誤作動は、バッテリ装置のケーシング内の熱の伝播及び/又は燃焼煙及び/又はガスの存在をもたらし、それによってケーシング内の温度及び/又は圧力を上昇させる可能性がある。
【0008】
第1態様に係るバッテリ装置は、ケーシングの複数の側面が組み合わされて密閉容器を形成し、故障時に発生する加熱されたガスは、排出口が配置された側面からのみケーシング(又は密閉容器)を出る点において、このような故障の発生に対してより効率的に対処し得る。したがって、本バッテリ装置は、バッテリ装置からの加熱されたガスの改善された排出を提供する。また、本バッテリ装置は、加熱されたガスが排出口においてのみケーシングから出るという点で、加熱されたガスを排出する制御された方法を提供する。さらに、排出口には、例えばバッテリ装置の誤作動によって引き起こされる火災から生じる炎を処理するためのフィルタが設けられている。このような故障の取り扱いの改善は、ひいては、バッテリ装置の他の部分及び/又はバッテリ装置に隣接し、若しくはその近くに位置する他の装置への熱(又は火)の伝播の危険性を低減させ得る。本発明のバッテリ装置の密閉容器は、加熱されたガスを封じ込め、したがって、例えば隣接するバッテリ装置のような他の機器に向かってケーシングから出ることを防止できる。同様に、排出口に配置されたフィルタは、炎、火花、及び/又は、例えば加熱された金属粒子のような加熱又は燃焼粒子がケーシングから出ることを制限するように構成されており、それによって、バッテリ装置からバッテリ装置に隣接する機器への火災伝播の危険性も低減する。
【0009】
排出口は、例えばバッテリ装置が配置されている部屋の周囲空気のようなバッテリ装置の外部の換気空間に結合されてもよい。上述のように、バッテリ装置内で例えば加熱されたガスの発生を引き起こすバッテリセルパックの故障は、ケーシング内の圧力を上昇させ、ケーシングの複数の側面が組み立てられて密閉容器を形成すると、このような加熱されたガスは、排出口(複数可)を介してケーシングから出るように強制されるであろう。
【0010】
「排出口」という用語によって、さらに、例えば、ダクト、出口、ベント及び/又は開口を意味する。さらに、密閉容器は、気密容器又はガス密閉容器と呼ばれることもある。
【0011】
フィルタは、難燃性及び耐熱性の材料から構成されてもよい。難燃性及び耐熱性の材料は、化学物質及び/又は化合物を含んでいてもよく、これにより、フィルタの難燃性を高めることができる。難燃性及び耐熱性の材料は、少なくとも1500℃の温度に少なくとも300秒間耐えることができるものであってもよい。
【0012】
ケーシングの複数の側面は、耐熱性の材料及び難燃材料を含んでもよい。
【0013】
ケーシングの材料は、例えば、ケーシングの難燃性を高める可能性のある化学物質及び/又は化合物を含んでいてもよい。しかし、ケーシングの熱質量が、ケーシングが溶融するのを防ぐか、少なくともそのリスクを低減することができるので、温度及び/又は難燃性に関するケーシングの材料に対する要求は、フィルタの場合よりも低くてもよい。ケーシングの材料は、例えば、アルミニウム及び/又は鋼を含むことができる。しかし、他の材料、特に他の金属又は金属合金を想定することができる。
【0014】
ケーシングの複数の側面は、複数の接合部に沿って一緒に組み立てられてもよく、複数の接合部にシール要素(例えば、シール材、シーラント又はガスケットなど)が配置されてもよい。
【0015】
用語「ジョイント」によって、さらに、例えば、継ぎ目、交差部、接合部、結合部、ヒンジ、又は縁を意味する。接合部は、ケーシングの側面が接している及び/又は隣接している部分に沿って定義されてもよい。例えば、ケーシングの側面は、接合部に沿ってケーシングの別の側面と接していてもよい。次いで、ケーシングの複数の側面は、例えば、ネジ、ボルト、釘、リベット、ナット、カップリング、又はスタッドなどの締結手段又はファスナーによって一緒に取り付けられてもよい。次いで、シール要素又はシーラントが、そのような接合部に配置されてもよい。シーラントは、ケーシングの複数の側面を組み立てる、又は一緒に取り付けるために使用される締結手段又はファスナーに配置されてもよい。シーラントは、接合部を気密及び/又はガス密にするようにシールするための材料を含んでもよい。シーラントは、シリコーン、エポキシ、石膏、及び接合材のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0016】
密閉容器を形成するためのシール要素又はシーラントの使用の代替として、ケーシングの複数の側面は、互いに気密に溶接されてもよい。幾つかの変形例において、ケーシングの複数の側面は、気密溶接(側面の幾つかについて)と、上述したようなファスナー及びシーラントの使用(ケーシングの他の側面について)との組み合わせを使用して密閉容器を形成するために一緒に組み立てられてもよい。
【0017】
密閉容器は、ケーシングの複数の側面によって区切られていてもよい。用語「区切られた(delimited)」によって、例えば、制限された(restricted)、制約された(constrained)、束縛された(bound)、がさらに意味される。ケーシングの複数の側面のうち少なくとも1つの側面は、第1の部分と第2の部分とから構成されてもよい。複数の側面のうちの1つの側面の第1の部分は、密閉容器を形成するために組み立てられてもよい。例えば、ケーシングの底面、上面、及び側面の各々は、第1の部分及び第2の部分から構成されてもよく、底面、上面、及び側面の第1の部分、並びにケーシングの背面及び前面の第1の部分は、密封容器を形成するように組み立てられてよい。底面、上面、及び側面の第2部分は、前面を越えて延在して、例えば区画室(compartment)(密封容器とは異なるが、密封容器に隣接する可能性もある)を形成してもよい。区画室は、例えば、電子デバイス、電気接続部及び/又は電気回路を含んでもよい。したがって、ケーシングの前面が、区画室とバッテリセルパックとの間に配置されてもよい。このような区画は、バッテリパックが配置されている密閉容器内で発生する熱及び/又は発火からバッテリ装置の電子デバイス、電気接続部及び/又は端子をさらに保護してもよい。
【0018】
バッテリ装置は、複数の側面のうちの1つの側面の前面に配置された前面パネルをさらに備えてもよい。前面パネルは、例えば、電気接続部、電子装置、及び/又は回路を含んでいてもよい。ケーシングの複数の側面のうちの1つの側面におけるフロントパネルの配置は、例えば、上記のようにケーシングの前面の前方に、電子機器が配置される区画を形成してもよい。これにより、バッテリパックの故障時に、加熱されたガスや故障に起因する火炎、火花、残留物などが密閉容器内に収容されるため、フロントパネル及びこのような区画に配置された電子機器を保護することができる。
【0019】
さらに、本開示の文脈において、ケーシングは、より一般的には、上面、底面、及び多数の側面を含んでいてもよい。側面の数は、ケーシングの形状に応じて、任意の数、例えば、4つ以上であってもよい。しかし、ケーシングは、多くの場合、6つの側面(上面、底面、前面、背面及び2つの側面)を有していてもよい。前面パネルが配置されるケーシングの側面は、前面であってもよく、排出口が配置されるケーシングの側面は、したがって、ケーシングの背面(前面パネルが配置され得る前面とは反対側の面)であってもよい。
【0020】
バッテリセルパックは、加熱されたガス(及び炎)が、バッテリセルパックとケーシングの上面との間、又はバッテリセルパックとケーシングの底面との間に位置する少なくとも1つの通路(又は空間)を介して排出口に向かうようにケーシング内に配置されてもよい。バッテリセルパックは、例えば、ケーシングの底面側に配置されてもよいし、ケーシング内に(半)吊り下げられた状態で配置されてもよい。バッテリセルパックは、例えば、バッテリセルパックをケーシングの底面に取り付けるための例えば(プラスチック)ピンを用いて、引き上げられた位置に配置されてもよい。それによって、バッテリセルパックとケーシングの底面との間に通路(又は空間)が存在してもよい。バッテリセルパックは、代替案として、バッテリセルパックを側面、前面及び背面のうちの1つ以上に取り付けるための例えば(プラスチック)ピンを用いて、(側面及び/又は前面及び背面に対して)吊り下げ位置又は中間位置に配置されてもよい。
【0021】
バッテリセルパックは、ケーシングの底面に配置及び/又は取り付けられてもよい。密閉型ケーシングは、バッテリセルパックとケーシングの側面、背面及び前面のうちの少なくとも1つとの間に少なくとも空間を含んでもよい。ケーシングの底面に配置されたバッテリセルパックは、バッテリ装置のケーシングから加熱された気体をより効率的に排出することができる場合がある。
【0022】
前面パネル及び/又は接続用端子と排出口とは、バッテリ装置のケーシングの反対側に配置されてもよい。これにより、バッテリセルパックの異常時に発生する加熱されたガスは、前面パネル及び/又は接続用端子から離れる方向に排気される。したがって、フロントパネル及び/又は接続用端子をさらに保護することができ、バッテリ装置の動作上の安全性をさらに高めることができる。
【0023】
ケーシングは、ケーシングの背面に配置された単一の排出口を含んでもよい。単一の排出口は、ケーシングの背面を貫通して配置されてもよい。単一の出口は、背面の中央部に配置されてもよい。
【0024】
フィルタは、ケーシングの背面に配置されてもよい。フィルタは、単一の排出口の全体を覆うように配置されてもよい。複数の側面のうちの1つの側面は、内面と外面とを含み、内面は、外面の反対側でもよい。内面は、ケーシングの内側に面する側の面(以下、内向き面と称する場合がある)であってもよく、外面は、ケーシングの外側に面する側の面(以下、外向き面と称する場合がある)であってもよい。フィルタは、ケーシングの背面の内向き面に配置されてもよいし、ケーシングの背面の外向き面に配置されてもよい。
【0025】
幾つかの変形例において、ケーシングは複数の排出口を含んでもよく、複数の排出口のうちの少なくとも幾つかの排出口はケーシングの側面に配置され、他の排出口はケーシングの別の側面に配置される。例えば、ケーシングは、ケーシングの背面に設けられた少なくとも1つの排出口と、ケーシングの上面に設けられた少なくとも1つの排出口とを含んでもよい。少なくとも1つの排出口は、バッテリセルパックのバッテリセルの故障時に発生する加熱されたガスを改善し、場合によっては最も効率的に排出できるように配置されてもよい。例えば、2つの隣接するバッテリ装置は、それぞれ、互いに対して異なる位置(例えば、底面に対して異なるレベル、又は底面から異なる距離)にある少なくとも1つの排出口を含んでいてもよい。
【0026】
少なくとも1つの排出口は、ケーシングの背面の面積の少なくとも25%を占めてもよい。好ましくは、排出口は、ケーシングの背面の面積の少なくとも40%を占めてもよい。少なくとも1つの排出口は、ケーシングの背面の面積の35%と80%との間を占めてもよい。
【0027】
バッテリセルパックは、密閉容器の体積の約40~90%を占めてもよい。上述したように、バッテリセルパックは、ケーシングの底部に配置されてもよく、さらには、底部とバッテリセルパックとの間に加熱ガス用の通路が設けられるように、及び/又は上部とバッテリセルパックとの間に他の通路が設けられるように、中間位置に配置されてもよい。
【0028】
バッテリセルパックは、リチウムイオンベースのバッテリセルの配列を含んでもよい。バッテリセルパックは、再充電可能なバッテリセルの配列を含んでもよい。
【0029】
上述したように、バッテリ装置は、例えば、バッテリ装置の前面パネルに設けられた電気端子を含んでもよい。電気端子は、外部電源(別のバッテリ装置又は主電源など)及び負荷(例えば基地局の電気機器など)への接続に適合されてもよい。バッテリ装置は、バッテリセルパックが外部電源によって充電される充電モードと、バッテリ装置によって負荷に電力が供給される放電モードとで動作するように構成される。
【0030】
上述した実施形態は、特に、例えば無線通信基地局における電気通信において、主電源が停止した場合にバックアップバッテリとして動作するように構成されたバッテリ装置に関する。
【0031】
上述した実施形態に記載された特徴の全ての可能な組み合わせを使用する他の実施形態が想定され得ることに留意されたい。したがって、本開示は、本明細書に記載された特徴の全ての可能な組み合わせにも関する。本明細書に記載された任意の実施形態は、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができ、本開示は、特徴の全ての組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
図1図1は、1つ以上の例示的な実施形態によるバッテリ装置の斜視図
図2図2は、1つ以上の例示的な実施形態によるバッテリ装置の斜視図
図3図3は、1つ以上の例示的な実施形態によるバッテリ装置の分解斜視図
図4図4は、1つ以上の例示的な実施形態によるバッテリ装置の斜視図
図5図5は、1つ以上の例示的な実施形態によるバッテリ装置の断面図 全ての図は概略的なものであり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明の実施形態を解明するために必要な部分のみを示し、他の部分は省略されてもよく、単に示唆されているだけであってもよい。 同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が当業者に本発明の範囲を伝えるように、例示として提供されている。図面において、同一の参照数字は、特に断らない限り、同一又は類似の機能を有する同一又は類似の構成要素を示す。
【0034】
図1は、1つ又は複数の例示的な実施形態によるバッテリ装置1の概略図である。
【0035】
図1に示されるバッテリ装置1は、ケーシング10を備えている。図1に描かれたケーシング10は、幅と長さとが等しい直方体の立方体である。立方体形状のケーシング10の高さは、ケーシング10の幅及び長さよりも小さい。しかしながら、本発明概念は、図1に示すような形状を具備するケーシング10に限定されるものではない。例えば、ケーシング10は、任意の幾何学的な3次元(3D)形状を有していてもよい。ケーシング10は、底面10e(図示せず、図3及び図5参照)、上面10f、2つの側面10c、10d、前面10b及び背面10aを具備している。上面10fは、ケーシング10の上方に配置されているように示されている(即ち、まだ組み立てられていない)。しかしながら、図面における上面10fの配置は、純粋に、バッテリ装置1の内部部品の一部の図示を容易にするためである。
【0036】
バッテリ装置1は、バッテリセルパック20をさらに備える。バッテリセルパック20は、ケーシング10内に配置されている。バッテリセルパック20は、複数のバッテリセルと、複数のバッテリセルを保持するためのフレームとを含んでいてもよい。つまり、バッテリセルパック20は、バッテリセルの配列を具備している。例えば、バッテリセルパック20は、リチウムイオン系のバッテリセルの配列を具備してもよい。バッテリセルは、円筒の形状を有していてもよい。バッテリセルは、例えば、フレームに起立した状態で配置されてもよい。
【0037】
図1に示すように、バッテリセルパック20は、ケーシングの底面10eに配置されてもよい。バッテリセルパックは、ケーシングの全容積を占めていなくてもよく、ケーシングの側面10c、10d、前面10b、背面10a、及び上面10fとバッテリセルパック20との間に位置する空間があってもよい。
【0038】
ケーシング10の側面10a~10fは、密閉容器を形成するように組み立てられる。密閉容器(その内部にバッテリパック20が配置される)は、バッテリパック20の異常時に加熱されたガスが、ケーシング10の一側面に設けられた排出口31を経由する以外、ケーシング10の外部に出ないように構成されている。本実施形態において、排出口31は、ケーシング10の背面10aに配置されている。
【0039】
側面10d、10dは、ケーシング10の内部に面する底面10eの内面、及び底面10eの対向する縁に沿って組み立てられてもよく、ここで縁は、底面10eの側方縁と理解することができる。前面10b及び背面10aは、底面10eの内面上で、底面10eの縁に沿って組み立てられており、その縁は、それぞれ、底面10eの前縁及び後縁と理解することができる。換言すると、側面、前面及び背面10a~10dは、底面10eの内面上で、底面10eのそれぞれの縁に沿って組み立てられている。
【0040】
側面、前面及び背面10a~10dは、直方体(又は箱)を形成するため、底面10eと直角を成していてもよい。上面10fは、側面、前面及び背面10a~10dの上に組み立てられている。したがって、側面、前面及び背面10a~10dは、底面10e及び上面10fのそれぞれの縁の間に組み立てられてもよい。すなわち、ケーシング10の側面10a~10fは、複数の縁部11に沿って組み立てられていてもよい。
【0041】
側面10a~10fは、複数の異なる方法で組み立てられてもよい。側面10a~10dは、ジョイント、接着剤、ネジ、プラグ、クリップ、ナット、ボルト、側面の1つ以上に形成されたトラック(側面の縁は、例えば、底面に形成されたトラック内で滑動し得る)又はそれらの任意の組み合わせによって底面10e及び/又は上面10fに組み立てられてもよい。例えば、側面10c、10dは、ジョイント(例えば、溝、溝接合部、又は半割継手(halved joint)など)を用いて底面10eに組み立てられてもよい。側面10c、10dは、例えば、接着剤、ネジ、プラグ、ナット及び/又はボルトを用いて、底面10eにさらに組み立てられてもよい。側面10a~10fは、隣接する側面10a~10fに沿った隙間の発生を回避する、又は少なくとも発生を低減するような方法で一緒に組み立てられてよい。言い換えれば、側面10a~10fは、互いの間に気密接続を形成するように組み立てられてよい。加えて、又は代替案として、側面10a~10f、又はそれらの少なくとも一部は、密閉容器を形成するために一緒に溶接されてもよい。側面10a~10fの間の気密接続は、気密及び/又はガス気密であってもよい。また、上記のように複数の側面を締結手段やファスナーを用いて組み立てる場合、密閉容器を形成するためにシール材(以下、シーラントとも言う)を採用してもよい。それにより、ケーシング10の排出口31は、バッテリセルパック20の異常時に発生する加熱ガスの唯一の出口とすることができる。
【0042】
図1に示す排出口31は、ケーシング10の背面10aに設けられた孔又は開口部によって形成される。排出口31は、ケーシング10のどの面に配置されてもよいことが理解されよう。図1に示す例において、排出口31は、矩形形状を有する。しかしながら、排出口31は、例えば、円形や三角形など、実質的に任意の幾何学的形状を有していてもよい。
【0043】
さらに、ケーシング10は、排出口31と同じ面、例えば背面、又はケーシング10の別の側面10b~10fに配置された少なくとも1つの追加の排出口を含んでいてもよい。排出口31は、例えば、背面10aの中央部に配置されてもよい。排出口31は、背面10aの面積の約40%を占めてもよい。しかしながら、排出口31は、実質的に任意の大きさを有していてもよい。例えば、ケーシング10は、背面10aに配置された複数の排出口31を含んでもよく、複数の排出口の総面積は、背面10aの面積の少なくとも25%に相当する。
【0044】
バッテリ装置1は、排出口31に配置されたフィルタ13を備えている。フィルタ13は、少なくとも炎(バッテリパック20のバッテリセルの異常時に発生し、火災に至る可能性がある)がケーシング10の外に出ることを制限するために設けられている。フィルタ13は、排出口31を完全に覆うように配置されている。したがって、バッテリパック20の故障に起因する加熱されたガスは、排出口31を介してケーシング10から排出され、フィルタ13は、火災に起因する火炎及び/又は残渣がケーシング10から出ることを防止する。
【0045】
幾つかの変形例において、フィルタ13が排出口31を完全に覆うために、フィルタ13は、排出口31の面積よりも背面10aの大きな面積を覆っていてもよい。したがって、フィルタは、排出口31に隣接する背面10aの一部(又は排出口31の周囲の背面のある面)に重なってもよい。フィルタ13は、内面がケーシング10の内側に向いた背面10aの内面に配置されていてもよいし、外面がケーシングの外側に向いた背面10aの外面に配置されていてもよい。フィルタ13は、ケーシング10の排出口31及び/又は背面10aに取り付けられてもよい。フィルタ13は、例えば、接着剤、ネジ、クリップ、ボルト、ナット、又はこれらの組み合わせを用いて、ケーシング10に取り付けられてもよい。
【0046】
図1に示すバッテリ装置1は、例えば、バッテリセルパック20を他の装置又はシステムに電気的に接続するための電気端子を含んでいてもよい。電気端子は、例えば、ケーシング10の前面10bを貫通して配置されてもよい。
【0047】
ところで、バッテリ装置1は、通信システムにおける基地局のバックアップ用バッテリとして使用されてもよい。したがって、バッテリ装置1は、バッテリセルパック20のセルを充電するための電力供給装置(例えば主電源)(バッテリ装置の充電モード)及び電力を供給するための基地局の装置(バッテリ装置の放電モード)に電気的に結合されてもよい。
【0048】
図2は、1つ又は複数の例示的な実施形態によるバッテリ装置1の断面の概略図である。
図2に示すバッテリ装置2は、図1を参照して説明したバッテリ装置1に対応する特徴、要素、及び/又は機能を含んでいてもよい。図1及び図2において、同一の参照数字は、同一の又は類似の機能を有する同一の又は類似の構成要素を示している。
【0049】
図1及び図2に示すバッテリ装置1及び2の相違点は、図2に示すバッテリ装置2のケーシング10の前面10bに、(別体の)フロントパネル12が配置されていることである。
【0050】
前面10bは、底面10eの内面(図示せず、図3及び図5参照)に配置され、その内面がケーシング10の内部に面している。前面10bは、背面10aと平行に配置されている。前面10bは、底面10eの前縁から距離をおいて配置されている。したがって、前面10bと背面10aとの間の距離は、底面10eの長さよりも小さい。前面10bは、側面10c,10dの間に配置されている。側面10a~10fは、密閉容器を形成するために組み立てられ、密閉容器は、ケーシングの側面10a~10fによって区画される。これにより、密閉容器は、前面10b、背面10a、及び側面10c、10dの少なくとも一部と、底面10eの一部と、上面10fの一部によって形成される。
【0051】
前面10b及び背面10aと共に密閉容器を形成する側面10c、10d、底面10e及び上面10fの部分は、それぞれ側面10c、10d、底面10e及び上面10fの第1部分として理解することができる。側面10c、10d、底面10e及び上面10fは、更に、第2部分を含んでいてもよい。側面10c、10d、底面10e及び上面10fの第2部分は、ケーシング10の前面10bから延在している。第2部分は、密閉容器とは異なるが、密閉容器に隣接して配置される区画室を形成してもよい。すなわち、区画室は、1つの面が開いている、又は欠けている直方体である。バッテリ装置2の区画室は、バッテリ装置2を負荷、別のバッテリ装置又は外部電源に接続するための前面パネル12及び/又は端子を受け入れるように配置されている。前面パネル12及び/又は端子は、前面10bの前に配置されてもよい。それにより、前面パネル12及び/又は端子は、バッテリセルパック20の故障の際に発生する加熱されたガス及び/又は炎から前面10bによって保護される。なお、区画室は、側面10c、10d、底面10e及び上面10fのうちの少なくとも1つの第2部分によって形成されてもよい。
【0052】
図3は、1つ又は複数の例示的な実施形態によるバッテリ装置3の分解斜視図である。
【0053】
図3に示すバッテリ装置3は、図1及び図2を参照して説明したバッテリ装置1及び2にそれぞれ対応する特徴、要素及び/又は機能を含んでいてもよい。図1図2及び図3における同一の参照数字は、同一又は類似の機能を有する、同一又は類似の構成要素を示している。
【0054】
図3に示すバッテリ装置3は、上面10fを具備していない。ただし、図3において上面10fがないのは、純粋にバッテリ装置3の内部部品の図示を容易にするためである。
【0055】
底面10eは、図3に表されるように、軸Lに平行な方向において測定された長さを有する。底面10eは、同じく図3に表されるように、軸Wに平行な方向に測定された幅を有する。軸Lと軸Wとは、互いに垂直である。前面10bは、前面10bの長手方向の延長線上に、底板10eの幅よりも短い長さを有している。前面10bは、前面10bの長手方向の端部と底面10eの横方向の端部との間に距離があるように配置されてもよく、距離は、軸Wに平行な方向で測定される。この距離は、側面10c、10dが底面10e上に配置されるための空間を提供する。距離は、側面10c、10dの厚さに実質的に等しくてもよい。さらに、前面10bは、底面10eの前縁から距離を置いて配置されてもよく、距離は、軸Lに平行である方向で測定される。前面10bと底面10eの前縁との間の距離は、少なくとも部分的に、電子機器を受け入れるための区画室を形成する。区画室は、前面パネル12を受け入れるように構成されてもよい。
【0056】
前面パネル12は、別のバッテリ装置、負荷、又は外部電源のような何らかの電気機器に電気的に接続するための端子を含んでいてもよい。前面パネル12は、バッテリセルパック20によって発生する熱を放散させるために設けられたヒートシンクを含んでいてもよい。
【0057】
バッテリ装置3は、バッテリセルパックをフロントパネル12に接続するための電気接続部及び/又は配線、及び/又は他の装置に電気接続するための端子をさらに備えてもよい。電気接続部及び/又は配線は、少なくとも部分的に、区画室内に配置されてもよい。さらに、電気接続部及び/又は配線は、前面10bを介してバッテリセルパック20に結合されてもよい。電気接続部及び/又は配線は、絶縁されていてもよい。すなわち、電気接続部及び/又は配線は、バッテリセルパック20の故障の際に保護されてもよい。
【0058】
ケーシング10の側面10c、10dは、ネジ、ナット又はボルトを受け入れるように構成された、ネジ穴を含んでいる。フロントパネル12は、ケーシング10の側面10c,10dのネジ穴に挿入されて締結されるネジ、ナット又はボルトによってケーシングに締結され得る。
【0059】
図4は、1つ又は複数の例示的な実施形態によるバッテリ装置4の斜視図である。
図4に示すバッテリ装置4は、図1図3を参照して説明したバッテリ装置1~3に対応する特徴、要素及び/又は機能を含んでいてもよい。図1図4において、同一参照数字は、同一又は同様の機能を有する、同一又は同様の構成要素を示している。
【0060】
図4に示すバッテリ装置4と、図1図3にそれぞれ示すバッテリ装置1~3との相違点は、図4に示すバッテリ装置4が、シーラント50をさらに備えることである。シーラント50は、ケーシング10の接合部11が密閉されるように、ケーシング10の複数の接合部11に配設されている。さらに、シーラントは、例えば、ネジやナットを受けるためのネジ穴や、電気接続や配線のためのビアなど、ケーシングの開口部及び/又は開放部に配置されてもよい。シーラント50は、ケーシング20の内側及び/又は外側に配置されてもよい。これにより、ケーシングの複数の側面が組み合わされることによって形成される密閉容器の密閉度を向上させるために、シーラント50がケーシング10に配設されてもよい。シーラント50は、流体の通過を阻止するための物質であってもよい。シーラントは、例えば、メカニカルシールであってもよい。シーラント50は、接着剤を含んでもよい。シーラント50は、シリコン、ポリウレタン、ポリサルファイド、シラン変性ポリマー、ブチル、ビチューメン、合成ゴム、アクリレートディスパージョン、及び/又はシリコーンエマルジョンから構成されてもよい。さらに、シーラント50は、シーリングテープ、シーリングパテ、及び/又は、シーリングプロファイルであってもよい。
【0061】
図5は、1つ又は複数の例示的な実施形態によるバッテリ装置5の断面図である。
【0062】
バッテリ装置5は、背面10a、前面10b、底面10e及び上面10fを有するケーシング10を具備する。ケーシングは、2つの側面10c、10dをさらに備えることが理解されよう。しかしながら、側面10c,10dが無いのは、純粋に、バッテリ装置5の内部部品の図示を容易にするためである。ケーシング10の側面10a~10fは、密閉容器を形成するために組み立てられ、密閉容器は、ケーシング10の側面10a~10fによって区画される。
【0063】
バッテリ装置5は、バッテリセルパック20を含んでいる。図5に示す実施形態において、バッテリセルパック20は、バッテリセルパック20と上面10f、前面10b及び背面10aとの間に位置する通路又は空間を介して、加熱されたガス及び火炎がケーシングの背面10aに配置された排出口31に向かうようにケーシング10の底面10eに配置される。しかし、本実施例において、バッテリセルパック20はケーシングの底面に配置されるように示されているが、例えばケーシング内で(半)吊り下げられた位置や持ち上げられた位置など、異なる位置に配置されてもよい。すなわち、バッテリセルパックは、代替的に、ケーシング10の底面10e及び上面10fのいずれか一方と物理的に接触しないように配置されてもよい。また、バッテリセルパックは、ケーシングの底面から上げられていてもよいし、ケーシングの他の1つ又は複数の側面に例えば(プラスチック)ピンを用いて取り付けられていてもよい。
【0064】
バッテリ装置5は、排出口31に配置されたフィルタ13を具備している。フィルタ13は、少なくとも火炎がケーシング10から出ることを制限するように構成されている。
【0065】
図5に示すバッテリセルパック20は、バッテリセルパック20の少なくとも1つ(又は幾つか)のバッテリセルの熱暴走時、又はより一般的には、少なくとも1つ(又は幾つか)のバッテリセル及び/又はバッテリセルパック20の誤動作により、加熱されたガス及び場合によっては火炎が発生する場合を例示している。加熱ガス及び/又は炎は、図5において、バッテリセルの幾つかから発生するものとして示されている。バッテリセルパック20のセルは、加熱されたガス及び/又は炎が、バッテリセルパックと上面10fとの間の空間に上向きに配置されている。ケーシング10の側面10a~10fが組み立てられて密閉容器を形成すると、加熱されたガス及び火炎は、ケーシング10の排出口31の方に向けられる。
【0066】
加熱されたガスは、密閉容器によって、排出口31を除いてケーシング10の外に出ることが防止されている。炎及び/又は加熱された金属粒子のような残渣は、フィルタ13によって、ケーシング10から出ることが制限される。
【0067】
本発明を添付図面及び前述の説明で例示したが、このような例示は、例示的又は例示的であり、制限的なものではないと考えられ、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形は、請求された発明を実施する当業者によって、図面、開示、及び添付の請求項の検討から理解され、実施されることができる。添付の特許請求の範囲において、単語「具備する」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0068】
実施形態のリスト
1. 複数の側面(10a~10f)を有するケーシング(10)と、
前記ケーシング内に配置されたバッテリセルパック(20)と、を具備し、
前記ケーシングは、前記複数の側面のうちの少なくとも1つに配置された少なくとも1つの排出口(31)を備え、
前記ケーシングの複数の側面は、前記バッテリセルパックの故障時に発生する加熱されたガスが前記少なくとも1つの排出口を除いて前記ケーシングの外に出ることが防止されるように構成された密閉容器を形成するように組み立てられ、
前記フィルタ(13)は、少なくとも火炎が前記ケーシングから出ることを制限するため前記少なくとも1つの排出口に配置される
バッテリ装置(3)。
【0069】
2. 前記フィルタは、難燃性及び耐熱性の材料により構成される、実施形態1のバッテリ装置。
【0070】
3. 前記ケーシングの前記複数の側面は、耐熱性の材料及び/又は難燃材料を含む、実施形態1又は2のバッテリ装置。
【0071】
4. ケーシングの複数の側面(10a~10f)は、複数の縁部(11)に沿って共に組み立てられ、前記複数の縁部にシール要素が配置される、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
【0072】
5. 前記ケーシングの複数の側面は、密閉容器を形成するため気密に溶接される、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
【0073】
6. 前記密閉容器は、前記ケーシングの前記複数の側面によって区画される、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
【0074】
7. 前記複数の側面のうちの1つの側面の前面に配置された前面パネル(12)をさらに具備する、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
【0075】
8. 前記ケーシングの前記複数の側面は、底面、前記底面と反対側の上面、2つの側面、前面、及び前記前面と反対側の背面を含む、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
9. 前記バッテリセルパックは、前記バッテリセルパックと前記ケーシングの前記上面との間又は前記バッテリセルパックと前記ケーシングの前記底面との間に位置する少なくとも通路を介して加熱されたガスが前記排出口に向かうように前記ケーシング内に配置される、実施形態8のバッテリ装置。
【0076】
10. 前記バッテリ装置を負荷、別のバッテリ装置又は外部電源に接続するための端子は、前記前面に配置され、前記少なくとも1つの排出口は、前記ケーシングの前記背面に配置される、実施形態8又は9のバッテリ装置。
【0077】
11. 前記ケーシングは、前記ケーシングの前記背面に配置された1つの排出口を含む、実施形態8~10のいずれか1つのバッテリ装置。
【0078】
12. 前記少なくとも1つの排出口は、前記ケーシングの前記背面の面積の少なくとも25%を占める、実施形態11のバッテリ装置。
【0079】
13. 前記バッテリセルパックは、リチウムイオンベースのバッテリセルの配列を含む、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
【0080】
14. 前記バッテリセルパックは、前記密閉容器の体積の約40~90%を占める、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
【0081】
15. 外部電源及び負荷に接続するための電気端子をさらに含み、バッテリ装置は、前記バッテリセルパックが前記外部電源によって充電される充電モード及びバッテリ装置によって前記負荷に電力が供給される放電モードで動作するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つのバッテリ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】