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特表2024-507611ウェアラブル型熱伝達器具ならびに関連システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ウェアラブル型熱伝達器具ならびに関連システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61F7/00 310J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521554
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 US2022070787
(87)【国際公開番号】W WO2022183183
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】17/183,313
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522031733
【氏名又は名称】ブルーエックスサーマル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】モナザミ レザ
(72)【発明者】
【氏名】ジャハニ サハール
(72)【発明者】
【氏名】アンセルモ ニコラス キース
(72)【発明者】
【氏名】ハント ウィリアム ダブリュ
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099AA02
4C099CA03
4C099CA04
4C099CA05
4C099CA07
4C099CA08
4C099CA09
4C099CA10
4C099CA11
4C099CA12
4C099GA02
4C099GA08
4C099JA01
4C099NA02
4C099PA02
(57)【要約】
ウェアラブル型熱伝達器具ならびに関連システムおよび方法が明細書に開示される。幾つかの実施形態では、代表的な熱伝達器具は、(i)各々が第1の側部および第2の側部を備えた熱電部品を有し、(ii)熱交換器および流体分配ネットワークのアレイを含む熱伝達システムを有し、個々の流体分配ネットワークがそれぞれ対応の熱電部品の第2の側部に熱結合されるとともに熱交換器に流体結合され、(iii)熱電部品の第1の側部に結合された状態で少なくとも個々の熱電部品相互間に延びている可撓性支持ユニットを有し、可撓性支持ユニットは、標的領域からの熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル型の熱伝達器具であって、
アレイ状に配列されるとともに互いに間隔を置いて配置された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱結合されるよう構成された第1の側部および前記第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
凝縮器およびアレイ状の蒸発器を含む熱伝達システムを有し、個々の蒸発器は、それぞれ対応の前記熱電部品の前記第2の側部に熱結合されるとともに前記凝縮器に流体結合され、前記蒸発器の各々は、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)前記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、前記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、前記毛管力は、前記作動流体を前記チャンバの前記入口領域から前記チャンバの前記出口領域に駆動し、
前記熱電部品の前記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性かつ生体適合性の可撓性接触部材を含む可撓性支持ユニットを有し、前記接触部材は、前記哺乳動物の前記標的野からの熱伝達/前記哺乳動物の前記標的野への熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器である、熱伝達器具。
【請求項2】
前記可撓性支持ユニットは、前記熱電部品に結合され、前記可撓性支持ユニットは、前記可撓性支持ユニットが前記哺乳動物に取り付けられると、前記熱電部品が前記標的野に隣接して配置されるよう構成されている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項3】
前記可撓性支持ユニットは、前記哺乳動物に取り付けられると、圧縮力を前記標的野に及ぼすよう構成されている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項4】
個々の熱電部品および対応の蒸発器はひとまとまりとして、前記熱電部品を通る前記接触部材からの熱流方向に沿って測定して25mm以下の高さを有する、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項5】
(i)前記熱伝達システムを前記熱電部品の前記第2の側で40℃~-20℃の第1の温度に設定するとともに/あるいは(ii)前記熱電部品を作動させて、前記接触部材を10秒以内に20℃~40℃の第2の温度に加熱するよう構成されたコントローラをさらに有する、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項6】
前記微小特徴部は、5ミクロン~250ミクロンだけ互いに間隔を置いて配置されている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項7】
前記可撓性支持ユニットは、前記熱電部品が前記標的野に隣接して位置するように前記哺乳動物によって着用されるよう構成された可撓性弾性材料を有し、前記熱電部品および前記蒸発器は、前記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持される、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項8】
前記熱電部品に電気的に結合された携帯型電源をさらに有し、前記熱伝達システムは、前記哺乳動物によって携帯可能に着用されるよう構成されている、請求項7記載の熱伝達器具。
【請求項9】
前記可撓性支持ユニットは、前記標的野に巻き付けられるよう構成された弾性包帯、および前記弾性包帯を保持するとともに圧縮力を前記哺乳動物に及ぼすよう構成された締結具付きのストラップを有する、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項10】
前記熱電部品は、前記伝達器具の第1の領域のところに位置する第1の熱電部品、および前記伝達器具の第2の異なる領域のところに位置する第2の熱電部品を含み、前記伝達器具は、(i)前記第1の熱電部品および前記第2の熱電部品に作動可能に結合されたコントローラ、および(ii)前記コントローラ、前記第1の熱電部品および前記第2の熱電部品に作動可能に結合された電源をさらに有し、前記電源は、前記コントローラから受け取った信号に基づいて、第1の電流を前記第1の熱電部品に提供するとともに、第2の異なる電流を前記第2の熱電部品に提供するよう構成されている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項11】
前記熱伝達システムは、(i)前記アレイ状の蒸発器と流体連通状態にあり、かつ前記作動流体を前記蒸発器の各々の前記チャンバの前記入口領域に供給するよう構成された作動流体分配通路、および(ii)前記アレイ状の蒸発器と流体連通状態にあり、かつ前記蒸発器の各々の前記チャンバの前記出口領域から蒸気を収集するよう構成された蒸気収集通路を含む、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項12】
前記可撓性支持ユニットは、前記接触部材を覆って設けられた裏材料をさらに有し、前記熱電部品は、前記裏材料内に埋め込まれている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項13】
前記可撓性支持ユニットは、複数のポケットを備えた裏材料をさらに有し、前記熱電部品は、前記裏材料の前記ポケット内に設けられている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項14】
前記蒸発器の半径方向外方に位置決めされた圧力調節部材をさらに有し、前記圧力調節部材は、前記標的野に加えられた圧縮力を増大させるとともに/あるいは減少させるよう構成されている、請求項1記載の熱伝達器具。
【請求項15】
哺乳動物の疼痛および/または腫脹を治療する器具であって、
アレイ状に配列されるとともに互いに間隔を置いて配置された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱結合されるよう構成された第1の側部および前記第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
熱交換器およびアレイ状の流体分配ネットワークを含む熱伝達システムを有し、個々の流体分配ネットワークは、それぞれ対応の前記熱電部品の前記第2の側部に熱結合されるとともに前記熱交換器に流体結合され、前記流体分配ネットワークの各々は、入口領域、出口領域、および作動流体を受け入れるよう構成されたチャネルを少なくとも部分的に画定するよう互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、前記作動流体は、前記入口領域から前記出口領域に流れて熱を前記微小特徴部から吸収し、
前記熱電部品に結合された可撓性支持ユニットを有し、前記可撓性支持ユニットは、前記哺乳動物に取り付けられると前記熱電部品が前記標的野に隣接して配置するよう構成され、前記可撓性支持ユニットは、圧縮力を前記標的野に及ぼすように構成され、
前記標的野と関連した温度を測定するよう前記熱電部品に対して位置決めされた温度センサを有し、
前記熱電部品に結合されたコントローラを有し、前記コントローラは、前記熱電部品および前記熱伝達システムを作動させて、前記熱伝達システムが前記熱電部品の前記第2の側部を第1の温度に冷却するとともに、前記熱電部品が前記標的野の前記温度を所定の期間内に第2の温度に変化させるよう構成されている、器具。
【請求項16】
前記熱伝達システムは、二相熱伝達システムであり、
前記流体分配ネットワークは、各々が前記入口領域および前記出口領域を備えたチャンバを有する蒸発器を含み、
前記熱交換器は、凝縮器であり、
作動中、前記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、前記毛管力は、前記作動流体を前記チャンバの前記入口領域から前記チャンバの前記出口領域に駆動する、請求項15記載の器具。
【請求項17】
前記熱伝達システムは、(i)前記アレイ状の蒸発器に流体結合され、かつ前記作動流体を前記蒸発器の各々の前記チャンバの前記入口領域に供給するよう構成された作動流体分配通路、および(ii)前記アレイ状の蒸発器に流体結合され、かつ前記蒸発器の各々の前記チャンバの前記出口領域から蒸気を収集するよう構成された蒸気収集通路を含む、請求項16記載の器具。
【請求項18】
前記所定の期間は、20秒以下である、請求項15記載の器具。
【請求項19】
前記可撓性支持ユニットは、前記熱電部品の前記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性かつ生体適合性の可撓性接触部材を有し、前記接触部材は、前記哺乳動物の前記標的野からの熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器である、請求項15記載の器具。
【請求項20】
前記接触部材は、金属シートから成る、請求項15記載の器具。
【請求項21】
前記可撓性支持ユニットは、前記哺乳動物に取り付けられると、圧縮力を前記標的野に及ぼすよう構成されている、請求項15記載の器具。
【請求項22】
前記可撓性支持ユニットは、前記哺乳動物によって着用されるよう構成された可撓性弾性材料を有し、前記熱電部品および前記蒸発器は、前記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持されるようになっている、請求項23記載の器具。
【請求項23】
哺乳動物から熱伝達器具に熱を伝達する方法であって、前記方法は、
ウェアラブル型の熱伝達器具を用意するステップを含み、前記熱伝達器具は、
各々が第1の側部および前記第1の側部と反対側の第2の側部を備えた熱電部品を有し、
各々がその対応の前記熱電部品の前記第2の側部に熱結合されるとともに、熱交換器に流体結合された流体分配ネットワークのアレイを有し、作動中、前記流体分配ネットワーク内にある作動流体が、前記対応の熱電部品から熱を吸収するよう構成され、
前記熱電部品の前記第1の側部に結合されるとともに、少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる可撓性支持ユニットを有し、前記可撓性支持ユニットは、前記哺乳動物からの熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であり、
前記哺乳動物の標的野上を覆って前記熱伝達器具を配置して、(i)前記可撓性支持ユニットが前記標的野の周りに少なくとも部分的に設けられて圧縮力を前記標的野に及ぼすようにするとともに、(ii)熱伝達器具の前記熱電部品が前記標的野に熱的に結合されるようにするステップを含み、
前記熱伝達器具に作動的に結合されたコントローラにより、前記熱伝達器具の温度制御を開始し、それにより熱が前記哺乳動物の前記標的野から前記熱伝達器具に伝達するようにするステップを含む、方法。
【請求項24】
前記可撓性支持ユニットは、前記熱電部品の前記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性の可撓性部材を有し、前記熱電部品は、前記接触部材を介して前記標的野に熱的に結合される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記標的野を覆って前記熱伝達器具を配置する前記ステップは、前記接触部材を前記哺乳動物に直接当てるステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記温度制御を開始する前記ステップは、前記熱電部品を-20℃~20℃の温度に設定して前記標的野を熱の作用で治療するステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記温度制御を開始する前記ステップは、第1の作動モードを開始するステップを含み、前記方法は、前記熱伝達器具により熱を前記標的野に提供する第2の作動モードを開始するステップをさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記可撓性支持ユニットは、前記熱電部品が前記標的野に隣接して位置するように前記哺乳動物によって着用されるよう構成された弾性材料を有し、前記熱電部品および前記流体分配ネットワークは、前記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持される、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記流体分配ネットワークは、蒸発器を有し、前記蒸発器は各々、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)前記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、前記温度制御を開始することにより、前記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、前記毛管力は、前記作動流体を前記チャンバの前記入口領域のところの液相の状態から前記チャンバの前記出口領域のところの気相の状態に駆動する、請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記標的野は、前記哺乳動物の腕、脚、下半身、または上半身の領域を含み、前記標的野を覆って前記熱伝達器具を配置する前記ステップは、前記可撓性支持ユニットが前記標的野に完全に巻き付けられるよう前記熱伝達器具を配置するステップを含む、請求項23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、ユーザによって着用されるよう構成された熱伝達器具ならびに関連システムおよび方法に関する。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2021年2月23日に出願された米国特許出願第17/183,313号(発明の名称:WEARABLE HEAT TRANSFER DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS )の優先権および権益主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0003】
本願は、2020年7月22日に出願された米国特許出願第16/936,358号(発明の名称:THERMAL MANAGEMENT DEVICE AND SYSTEM)に関し、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0004】
かなり多量の熱流束が多様な工学用途で作られており、温度を許容できる動作範囲内に維持するためにこれら熱流束を取り出して放散させることができる改良型で高効率の熱放散システムが要望されている。かかる要望は、ウェアラブル型器具の分野に存在し、かかるウェアラブル型器具は、例えばこの器具を着用しているユーザの疼痛または腫脹に対して手当てするために標的野から熱を放散させるよう構成されている。しかしながら、かかる要望にもかかわらず、業界で所望される熱伝達性能と、現行の器具およびシステムで簡単に利用できる熱伝達性能との間には、相当なギャップが存在する。例えば、現行の単一相または二相システムは、腫脹および術後の治療に適当な熱流束を提供するには必然的に大型であって重量がある。しかしながら、かかるシステムは、ウェアラブル型器具では使い心地が悪く、しかも大きすぎて膝、肩、足首、脚、腕、背中、頭、首、および/または肘の領域を含むある特定の解剖学的特徴の複雑な輪郭では役に立たない場合が多い。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一観点によれば、ウェアラブル型の熱伝達器具であって、
アレイ状に配列されるとともに互いに間隔を置いて配置された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱結合されるよう構成された第1の側部および第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
凝縮器およびアレイ状の蒸発器を含む熱伝達システムを有し、個々の蒸発器は、それぞれ対応の熱電部品の第2の側部に熱結合されるとともに凝縮器に流体結合され、蒸発器の各々は、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、毛管力は、作動流体をチャンバの入口領域からチャンバの出口領域に駆動し、
熱電部品の第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性かつ生体適合性の可撓性接触部材を含む可撓性支持ユニットを有し、接触部材は、哺乳動物の標的野からの熱伝達/哺乳動物の標的野への熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であることを特徴とする伝達器具が提供される。
【0006】
本発明の別の観点によれば、哺乳動物の疼痛および/または腫脹を治療する器具であって、
アレイ状に配列されるとともに互いに間隔を置いて配置された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱結合されるよう構成された第1の側部および第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
熱交換器およびアレイ状の流体分配ネットワークを含む熱伝達システムを有し、個々の流体分配ネットワークは、それぞれ対応の熱電部品の第2の側部に熱結合されるとともに熱交換器に流体結合され、流体分配ネットワークの各々は、入口領域、出口領域、および作動流体を受け入れるよう構成されたチャネルを少なくとも部分的に画定するよう互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、作動流体は、入口領域から出口領域に流れて熱を微小特徴部から吸収し、
熱電部品に結合された可撓性支持ユニットを有し、可撓性支持ユニットは、哺乳動物に取り付けられると熱電部品が標的野に隣接して配置するよう構成され、可撓性支持ユニットは、圧縮力を標的野に及ぼすように構成され、
標的野と関連した温度を測定するよう熱電部品に対して位置決めされた温度センサを有し、
熱電部品に結合されたコントローラを有し、コントローラは、熱電部品および熱伝達システムを作動させて、熱伝達システムが熱電部品の第2の側部を第1の温度に冷却するとともに熱電部品が標的野の温度を所定の期間内に第2の温度に変化させるよう構成されていることを特徴とする器具が提供される。
【0007】
本発明のさらに別の観点によれば、哺乳動物から熱伝達器具に熱を伝達する方法であって、本方法は、
ウェアラブル型の熱伝達器具を用意するステップを含み、熱伝達器具は、
各々が第1の側部および第1の側部と反対側の第2の側部を備えた熱電部品を有し、
各々がその対応の熱電部品の第2の側部に熱結合されるとともに熱交換器に流体結合された流体分配ネットワークのアレイを有し、作動中、流体分配ネットワーク内にある作動流体が、対応の熱電部品から熱を吸収するよう構成され、
熱電部品の第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる可撓性支持ユニットを有し、可撓性支持ユニットは、哺乳動物からの熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であり、
哺乳動物の標的野を覆って熱伝達器具を配置し、(i)可撓性支持ユニットが標的野の周りに少なくとも部分的に設けられて圧縮力を標的野に及ぼすようにするとともに(ii)熱伝達器具の熱電部品が標的野に熱的に結合されるようにするステップを含み、
熱伝達器具に作動的に結合されたコントローラにより、熱伝達器具の温度制御を開始し、それにより熱が哺乳動物の標的野から熱伝達器具に伝達するようにするステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0008】
本明細書において開示する技術の特徴、観点、および利点は、以下の図面を参照すると良好に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本技術の実施形態に従って哺乳動物の一部分周りに設けられた熱伝達器具の部分概略断面図である。
図1B】本技術の実施形態に従って哺乳動物の一部分周りに設けられた熱伝達器具の部分概略断面図である。
図2】本技術の実施形態に係る図1Bの熱伝達器具の部分概略平面図である。
図3】本技術の実施形態に係る図1Bに示されている熱伝達器具の一部分の部分概略拡大断面図である。
図4A】本技術の実施形態に係る熱伝達器具の一部分の部分概略断面等角図である。
図4B】本技術の実施形態に係る熱伝達器具の一部分の部分概略断面等角図である。
図5A】本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具の単一相熱伝達システムの部分概略平面図である。
図5B図5Aの熱伝達システムの部分概略断面側面図である。
図6A】本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具の部分概略断面図である。
図6B図6Aの熱伝達器具の部分概略平面図である。
図7】本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具の部分概略断面図である。
図8】本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具の部分概略断面図である。
図9】本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具の部分概略断面図である。
図10A】本技術の実施形態に従って哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図10B】本技術の実施形態に従って図10Aの熱伝達器具を含む熱伝達システムの部分略図である。
図10C】本技術の実施形態に従って図10Aの熱伝達器具を含む熱伝達システムの部分略図である。
図10D】本技術の実施形態に従って図10Aの熱伝達器具を含む熱伝達システムの部分略図である。
図11】本技術の実施形態に従って一標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図12】本技術の実施形態に従って別の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図13】本技術の実施形態に従って別の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図14】本技術の実施形態に従って別の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図15】本技術の実施形態に従って別の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図16】本技術の実施形態に従って別の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図17】本技術の実施形態に従って別の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図18】本技術の実施形態に従って種々の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図19】本技術の実施形態に従って種々の標的野のところで哺乳動物によって着用されている熱伝達器具の部分略図である。
図20A】本技術の実施形態に係る熱伝達器具の概略分解組立等角図である。
図20B】組立形態にある図20Aの熱伝達器具の等角図である。
図21A】本技術の実施形態に係る図20Aおよび図20Bの熱伝達器具に結合された眼用器具の部分概略正面図である。
図21B図21Aの眼用器具の等角図である。
図22】本技術の実施形態に係る熱伝達器具が組み込まれたシステムを示す概略ブロック図である。
図23】本技術の実施形態に係る熱伝達器具により哺乳動物を治療する方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者であれば理解されるように、図面に示された特徴は、説明の目的のためであり、異なりかつ/あるいは追加の特徴およびその配置を含む変形が可能である。
【0011】
I.概観
熱伝達器具は、一般に、高熱流束動作の効率的な温度管理を可能にする潜在能力を備えている。例えば、二相熱伝達器具は、この器具内で用いられて熱を伝達するとともに気相と液相との間で移行する作動流体の蒸発の際の潜熱を利用することができる。作動流体の液相および気相を作動流体の飽和温度の近くに維持することができるので、二相熱伝達器具は、熱源へのより効率的な熱伝達および/または熱源からのより効果的な熱伝達を実施可能にする。
【0012】
しかしながら、これらの利点にもかかわらず、相変化型熱伝達器具の甚大な潜在能力は実現されていない。一例として、大抵のかかる器具は、沸騰についての空間的および時間的ランダムネス(でたらめさ)によって制限される熱交換機構を利用している。沸騰(または蒸気の泡)は、作動流体の流れに対して相当大きな抵抗をもたらし、さらに加熱面上に乾燥領域を作り、かくして、熱伝達効率を減少させる。さらに、かかる器具は、多くの場合、蒸発器の「ドライアウト(dry-out)」および/または過熱による損傷に直面する。具体的には、作動流体の流れに対する高い抵抗に起因して、蒸発質量を補充するために蒸発部位には十分な液体が送られず、ドライアウトおよび関連過熱損傷が続いて起こる場合が多い。
【0013】
熱伝達器具一般の上述の欠点に加えて、ユーザによって着用可能な現行の熱伝達器具はまた、用途が制限されている。標的組織領域を熱的に、例えば低温で治療するために用いられる大抵の普及しているウェアラブル型熱伝達器具は、氷浴循環スリーブおよびアイス/ゲルパックである。氷浴スリーブに関し、低温流体をポンプによって標的野に巻き付けられたスリーブ中に循環させ、すると、熱がスリーブを横切って伝導してより低温の流体によって吸収されるので組織温度が低下する。次に、加熱された流体を氷浴中に流すことによって冷却し、組織から奪われた熱を氷が溶ける際に氷によって吸収される。氷浴中の氷がいったん溶けると、氷浴の温度が上昇し始め、循環中の流体は次第に温かくなる。この時点で、標的組織領域を冷却して疼痛を軽減するシステムの有効性が減少し始め、ユーザまたは介護者は、氷浴を空にして氷と水を追加して治療を再開しなければならない。アイス/ゲルパックは、同様な課題をユーザおよび介護者に課す。
【0014】
これらのウェアラブル型器具の両方は、相当大きな欠点を有し、かかる欠点としては、(i)組織に対する温度制御が行われないこと、(ii)冷却のための期間または能力が制限されていること、(iii)連続冷却療法を受けるには必ず器具を調節しまたは管理しなければならないこと、および(iv)例えば液体流に陽圧が加えられることおよび/またはアイスパックが固いことに起因して器具に可撓性がなく、この場合、ユーザにとって不快な装着具合が生じることが挙げられる。この最後の欠点は、器具とユーザとの間における熱伝達量をさらに制限する場合があり、と言うのは、器具の不撓性により最適な装着が阻止されるとともに/あるいは器具とユーザとの間の最適な熱的接触が阻止されるからである。その結果、現行のウェアラブル型器具は、哺乳動物の標的野を適切に熱により治療することができず、また、基礎症状(例えば、疼痛、腫脹、熱中症、血液灌流の減少、神経連絡の減少、脳卒中など)を治療する上で一般的に言って、非効率的である。
【0015】
本発明の実施形態は、多くの特徴のうちでとりわけ、より安全であり、良好な温度制御を可能にし、しかも例えば可撓性でありかつ現行の関連器具よりも軽量でありかつ薄手であることによって器具とユーザ/哺乳動物との熱的接触の促進を可能にする熱管理器具およびシステムを提供することによって、上述の問題のうちの少なくとも幾つかを解決する。例えば、本明細書においてどこか他の場所でさらに詳細に説明するように、本発明の実施形態は、(i)哺乳動物の標的野に熱的に結合された熱電部品、(ii)個々の熱電部品に熱的に結合された熱伝達システムまたはユニット、および(iii)熱電部品に結合されるとともに哺乳動物の標的野を覆ってかつ/あるいはこの周りに設けられるよう構成された可撓性支持ユニットを含むのがよい。幾つかの実施形態では、可撓性支持ユニットは、哺乳動物の一部分に巻き付けられるとともにこの部分に加わる圧縮力を生じさせるよう締結され、熱電部品(TEC)は、標的野を熱的に治療するよう配置されるようになっている。TECは各々、これに作動可能に結合されたコントローラによって個々に制御されるのがよい(例えば、特定の温度に設定されるのがよい)。したがって、器具の個々の領域は、他の領域に対して異なる温度に設定でき、かくして、器具が付着状態でまたは包囲状態で設けられる哺乳動物の対応の標的野を個別的に治療することができる。冷却モードにあるとき、熱は、標的野に流れるとともに/あるいは標的野からTECに流れることができ、そして熱伝達システムに流れることができる。
【0016】
以下に詳細に説明するように、熱伝達システムは、TECから熱を奪うよう構成された流体分配ネットワークを含むのがよい。幾つかの実施形態では、流体分配ネットワークは、液体分配通路および蒸気収集通路を含む二相閉ループ系に流体結合されているチャンバを備えた蒸発器を含むのがよい。かかる実施形態では、作動流体は、蒸発器チャンバのチャネル内において液相から気相に移行することができ、それにより、比較的効率の高い熱伝達が起こることができるようにする。このようにする際、本発明の実施形態は、哺乳動物の標的野が、例えば、迅速かつ制御された冷却を受けることができるようにし、それにより、ある特定の基礎症状、例えば疼痛、腫脹、熱中症、血液灌流の減少、神経連絡の減少、脳卒中などを治療する一方で、表皮組織および/または真皮組織に対する損傷を軽減することができる。
【0017】
図中、同一の参照符号は、概ね類似しているかつ/あるいは同一の要素を指している。図示の細部、寸法形状、および他の特徴のうちの多くは、本技術の特定の実施形態についての例示に過ぎない。したがって、他の実施形態は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の細部、寸法形状、および特徴を有することができる。さらに、当業者であれば理解されるように、種々の開示する技術の別の実施形態を以下に説明する細部のうちの幾つかを省いて実施することができる。
【0018】
II.熱伝達器具ならびに関連システムおよび方法
図1Aは、本技術の実施形態に従って哺乳動物10の一部分の周りに設けられた熱伝達器具50(以下「器具50」)の部分概略断面側面図である。図示の実施形態に示すように、器具50は、(i)哺乳動物10の一部分または標的野(例えば、皮膚、組織、腕、脚、膝、足首、足、肩、頭、首、顔面、肘または任意他の身体部分領域)に少なくとも部分的に巻き付けられた可撓性支持ユニット105、(ii)可撓性支持ユニット105を覆って設けられかつ哺乳動物10に熱的に結合された複数の熱電部品またはモジュール110(「TEC110」)、および(iii)TEC110に熱的に結合されるとともに熱をTEC110から奪うよう構成された熱伝達システムまたはユニット115を有する。本明細書のどこか他の場所でさらに詳細に説明するように、熱伝達システム15としては、単一相熱伝達システムまたは二相熱伝達システム(例えば、蒸発冷却システムまたはプール沸騰システム)が挙げられる。作用を説明すると、TEC110を特定の温度に設定するのがよく、かくして、TECは、哺乳動物10の標的野を加熱するとともに/あるいは冷却するよう構成されているのがよい。器具50が例えば冷却モードにあるとき、熱流(HF)が哺乳動物10から可撓性支持ユニット105に、個々のTEC110に、そして熱伝達システム115に伝達される。かかる仕方で哺乳動物10から熱が奪われているとき、標的野上に冷却ゾーン15が生じ、そして哺乳動物の冷却深さ(D1)まで延びるのがよい。深さ(D1)は、少なくとも1ミリメートル(mm)、2mm、3mm、4mm、もしくは5mm、または1mmから5mmまでの範囲内、あるいはその任意の増分範囲(例えば、1.5mmから3mmまでの範囲)内にあるのがよい。冷却ゾーン5は、器具50が加熱モードにあるときの加熱ゾーンに対応するのがよい。本明細書のどこか他の場所でさらに詳細に説明するように、標的野をかかる制御された仕方で冷却(または加熱)することにより、器具50および本技術の他の実施形態は、現行の従来型熱伝達器具が治療することができないやり方で標的野を効果的に熱の作用で治療することができる。
【0019】
図1Bは、哺乳動物10の一部分の周りに設けられた熱伝達器具100(以下「器具100」)の部分概略断面図である。器具100は、図1Aおよび器具50を参照して説明した特徴のうちの全てまたは幾つかを有するのがよい。図1Bに示すように、熱伝達システム115は、二相熱伝達システムであり、この熱伝達システムは、各々が対応のTEC110に熱的に結合されたアレイ状の流体分配ネットワークまたは蒸発器120、作動流体を液相(WFL)で蒸発器120の各々に(例えば、蒸発器120の各々の対応の入口132のところで)提供するよう構成された液体分配通路130、蒸発器120の各々から(例えば、蒸発器の各々の対応の出口142のところで)作動流体を気相(WFV)の状態で受け入れるよう構成された蒸気収集通路140、および熱交換器または凝縮器160を有するのがよい。凝縮器160は、蒸気収集通路140から蒸気作動流体(WFV)を受け入れて凝縮させ、そして凝縮させた液体作動流体(WFL)を液体分配通路130に提供するよう構成されている。幾つかの実施形態では、凝縮器160は、受動的に空冷されまたは1つ以上のポンプにより提供された冷却用流体により積極的に冷却される。熱伝達システム115は、閉ループ二相システムから成るのがよく、かかる閉ループ二相システムでは、熱伝達システム15を通る作動流体の流れは、TEC110から個々の蒸発器120に伝達される熱によって駆動される。幾つかの実施形態では、熱伝達システムは、1つ以上のポンプを含むのがよく、熱伝達システム115を通る作動流体の流れは、ポンプによって駆動される。他の実施形態では、熱伝達システム115を通る作動流体の流れは、重力によって駆動される。例えば、重力によって駆動される場合、凝縮器160は、熱伝達システム115の他の部分(例えば、蒸発器115)の上方に物理的に位置決めされるのがよく、その結果、重力は、作動流体を蒸発器に循環させるのに足るほどの力をもたらすことができ、作動流体は、蒸発して蒸気収集通路140経由で凝縮器160に戻る。追加的にまたは代替的に、本明細書のどこか他の場所で詳細に説明するように、熱伝達システムを通る作動流体の流れは、作動流体の液相をチャンバの入口からチャンバの出口に向かって駆動する蒸発器のチャンバ内に存在するチャネルを形成する微小特徴部(例えば、ピラー、ピンまたは壁)により生じる毛管力によって駆動されるのがよい。追加的にまたは代替的に、幾つかの実施形態では、熱伝達システム115は、過剰量の液体作動流体(WFL)を収容するよう構成されたバッファ容器またはリザーバを有するのがよく、その目的は、例えば液体作動流体(WFL)を連続的に供給することができるが過剰分の液体作動流体が流れることがないようにすることにある。バッファ容器は、器具100がより極端な温度(例えば、45℃、-20℃など)で動作しているときに特に有益である。幾つかの実施形態では、バッファ容器および凝縮器160は、単一の一体型ユニットを構成するのがよい。
【0020】
図1Bに示すように、個々の蒸発器120(および液体分配通路130および蒸気収集通路140の対応の領域)は、互いに異なる向きを有するのがよい。例えば、蒸発器120のうちの幾つかは、重力に実質的に平行に設けられ、他の蒸発器は、重力に対して角度をなして設けられ、さらに別の蒸発器は、重力に実質的に垂直に設けられる。したがって、幾つかの実施形態では、熱伝達システム115は、これらの互いに異なる向きにもかかわらず作動することができかつ/あるいは器具100に作用する重力の影響を実質的に受けないと言ってよい。すなわち、熱伝達システム115およびその個々の要素(例えば、蒸発器120)は、重力に対するこれらの向きとは無関係に作動することができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、熱伝達システム115は、作動流体が液相と気相との間で移り変わる二相システムか、作動流体が冷却および加熱を繰り返す液相に留まる単一相システムかのいずれかとして作動するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、熱伝達システム115は、例えば、供給される液体作動流体の量に応じて、二相システムと単一相システムとの間で移行するのがよい。より多くの液体作動流体が供給されると、循環中の作動流体の吸収熱容量が増大し、そして蒸発をほとんど生じずまたは全く生じないようにすることができる。
【0022】
可撓性支持ユニット105は、TEC110の各々に熱的に結合されるとともに各TEC相互間に延びている。可撓性支持ユニット105は、TEC110相互間の領域において哺乳動物10の標的野への熱伝達および/または標的野からの熱伝達を促進する熱拡散器として働く熱伝導性かつ/あるいは可撓性の接触部材を有するのがよい。追加的にまたは代替的に、可撓性支持ユニット105は、伝導性材料および/または生体適合性材料を有するのがよく、かかる材料としては、金属、金属合金、被膜、ポリマー、シリコーン、および/またはそれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、接触部材は、この接触部材の第1の側に設けられていて、個々のTEC110と接触状態にある金属シート(板金)または金属材料、および接触部材の第2の反対側の側部に位置していて哺乳動物10と接触状態にある非金属シートまたは材料を含むのがよい。幾つかの実施形態では、可撓性支持ユニット105は、標的野に巻き付けられるよう構成された弾性包帯または材料から成る。弾性包帯を締結具で固定することができ、締結具は、弾性包帯を保持して圧縮力を哺乳動物10の標的野に及ぼすよう構成されている。図1Bに示すように、TEC110は各々、可撓性支持ユニット105を覆って設けられ、可撓性支持ユニット105は、哺乳動物10周りに設けられる。幾つかの実施形態では、可撓性支持ユニット105は、個々のTEC110の相互間にのみ延びており、TEC110は、哺乳動物10を直接覆って(例えば、哺乳動物10と直接的な接触関係をなして)設けられている。幾つかの実施形態では、可撓性支持ユニット105を丸ごと省いてもよく、TECは、哺乳動物10を覆ってまたは直接覆って設けられる。
【0023】
TEC110は、TEC110の一方の側部からTEC110の第2の反対側の側部に熱を移動させるよう構成された半導体を利用した電子部品を有するのがよい。TEC110は、標的野と器具100のインターフェースのところで、正確であって制御可能でありかつ/あるいは局所化された温度制御を行うことができる。図1Aに示すように、TEC110は、哺乳動物10に熱的に結合されており、これらTECは、哺乳動物10の隣接標的野を冷却するとともに/あるいは加熱するようコントローラ(例えば、コントローラ2294、図22)によって特定の温度および/または所定の温度分布(例えば、一定温度分布、温度サイクル分布、および/または時間ベースの分布)に設定されるのがよい。TEC110を例えば、特定の温度に設定するには、当該温度に対応した電流をTEC110に流すのがよい。例えば、第1のTEC110を第1の温度に設定するには、第1の電流を第1のTEC110に流すのがよく、第2のTEC110を第1の温度とは異なる第2の温度に設定するには、第1の電流とは異なる第2の電流を第2のTEC110に流すのがよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、個々のTEC110は、コントローラによって個々に制御される。例えば、個々のTEC110は、例えば所望された場合に局所的かつ可変制御をもたらすために他の個々のTEC110とは独立して制御されるのがよい。したがって、器具100が哺乳動物周りに設けられると、器具100の互いに異なる領域を個々の領域にとって所望の治療に応じて異なる温度で加熱するとともに/あるいは冷却するのがよい。例えば、器具が腕または脚に巻きつけられると、骨領域に隣接して位置する個々のTEC110またはTEC110のグループを第1の温度に設定するのがよく、より筋性の領域に隣接して位置する他のTEC110またはTEC110の他のグループを、これよりも高い第2の温度に設定するのがよい。このようにする際、哺乳動物10は、ある特定の標的野のところでのみ所望の治療を受けることができる。
【0025】
TEC110をどのように作動させるかの一例として、幾つかの実施形態では、哺乳動物10に向いたTEC110の第1の側部または蒸発器120に向いたTEC110の第2の側部を、45℃から-20℃までの範囲内の温度(例えば、40℃、35℃、20℃、5℃、0℃、-5℃、-10℃、-15℃など)に設定するのがよい。幾つかの実施形態では、TEC110は、単独でまたは蒸発器120との組み合わせ状態で、TEC110の第2の側部が第1の温度または第1の温度範囲に設定されまたは保持されるよう構成されるのがよく、TEC110の第1の側部が通常の表面体温から第2の温度または第2の温度範囲に冷却されるよう制御される。かかる実施形態では、第2の温度または第2の温度範囲は、第1の温度または第1の温度範囲よりも高くてもよく、あるいは低くてもよい(例えば、5℃、10℃、20℃、30℃、または40℃高くてもよく、あるいは低くてもよい)。追加的にまたは代替的に、TEC110の第2の側部のところの温度を設定すると、TEC110の第1の側部は、所定の時間内に、例えば、10秒以下、20秒以下、30秒以下、40秒以下、もしくは60秒以下、または10秒から60秒までの範囲内、あるいは、これら相互間の任意の増分範囲内で所定の温度に達するよう構成されているのがよい。本明細書のどこか他の場所で開示するように、TEC110の作動は、標的野、TEC110の第1の側部、またはTECの第2の側部の温度を検出するよう構成された1つ以上のセンサから受け取った信号に基づくのがよい。
【0026】
TEC110は、加熱モードまたは冷却モードで作動でき、あるいは標的野のところの温度を制御するために冷却と加熱との間で循環的に切り替えて作動可能である。個々のTEC110を横切る熱流量は、その2つの側部相互間の温度差および/または電源(例えば、電源2292、図22)から個々のTEC110に提供される電力入力の関数であるのがよい。モードおよび/またはモードの操作は、例えば、所定のサイクル時間および/または温度センサーフィードバックに基づいて選択されるのがよい。加熱モードにあるとき、TEC110は、TEC110の第1の側面を加熱することによって哺乳動物10の標的野に熱を提供することができ(例えば、可撓性支持ユニット105経由で)、それにより、TEC110の第2の側部を冷却させる。蒸発器120は、TEC110の第2の側部のそれ以上の冷却を緩和するよう制御されるのがよい(例えば、ターンオフされる)。幾つかの実施形態では、器具100は、コントローラにより制御できるとともに哺乳動物10の隣接する標的野を加熱するよう構成された追加の抵抗加熱器をさらに有するのがよい。
【0027】
冷却モードにあるとき、蒸発器120は、TEC110の高温の第2の側部から熱を奪い、それによりTEC110の第1の側部が哺乳動物10の隣接標的野を冷却することができるようにするよう構成されている。したがって、冷却モードでは、熱が、哺乳動物10の標的野からTEC110に向かって半径方向外向きに流れ、次に蒸発器120に流れる。上述したように、TEC110は、冷却モードと加熱モードとの間で循環して切り替わることも可能であり、それにより、標的野への血流および潅流を促進することができる。幾つかの実施形態では、冷却および/または加熱モードのパラメータは、安全性の検討事項、例えば最大加熱または冷却温度および/または最大加熱または冷却時間(例えば、15分、20分など)に基づきまたはこれらによって制限される。個々のTEC110に関する追加の細部が本明細書のどこか他の場所に提供される(例えば、図3および図4を参照して)。
【0028】
図示の実施形態に示すように、器具100は、8個の別々のTEC110を有する。他の実施形態では、TEC110の実際の個数は、器具100の特定の最終用途および器具100からみて必要な加熱/冷却能力要件に応じて、これよりも多くてもよく、あるいは少なくてもよい(例えば、2個、3個、5個、10個、20個、30個、またはそれ以上)。追加的にまたは代替的に、TEC110は、図1に示す構成とは異なる構成のものであってよい。例えば、図1に示すように標的野周りに(例えば、哺乳動物10の周囲周りに)設けられる個々のTEC110に加えて、個々のTEC110は、互いに上下に積み重ねられてもよく、それによりTEC110のその特定のスタックの加熱および/または冷却能力が増大する。かかる実施形態では、第1のTEC110の上に積み重ねられた第2のTEC110は、第1のTEC110と接触状態にある一方の側部、および蒸発器120と接触状態にあるもう1つの反対側の側部を有するのがよい。TEC110の積み重ね構成は、哺乳動物10の標的野のところのより極端な温度(例えば、0℃未満、-10℃未満、または-20℃未満)が所望される場合には特に有益であるといえる。このようにTEC110の個数および配置状態を変えることができることにより、器具100をより様々な最終用途に合わせて自由に設定することができる。
【0029】
上述したように、蒸発器120は各々、TEC110のうちの対応のTECまたは多数のTECを覆って配置される。液体分配通路130および蒸気収集通路140は、蒸発器120の各々または具体的には蒸発器120のチャンバに流体結合される。例えば、個別的な蒸発器120に関し、液体作動流体(WFL)は、液体分配通路130から蒸発器120のチャンバの入口132(例えば、複数の入口のうちの1つ)に供給される。液体作動流体(WFL)が熱を吸収しているとき、この液体作動流体は、蒸発して蒸気作動流体(WFV)になり、そして蒸発器120のチャンバの出口142(例えば、複数の出口のうちの1つ)を通って蒸気収集通路140に方向づけられる。蒸気収集通路140および液体分配通路130は各々、凝縮器160および閉ループ系の一部に流体結合される。したがって、蒸気収集通路140からの蒸気作動流体(WFV)は、液体作動流体(WFL)よりも高い圧力で凝縮器160中に流れ、凝縮した液体作動流体(WFL)は、それにより、凝縮器160から液体収集通路130に駆動され、かかる液体作動流体は、この液体収集通路130を通って蒸発器120の各々に連続サイクルで流れる。凝縮器160は、図1に概略的に示されているが、幾つかの実施形態では、液体分配通路130および蒸気収集通路140の各々(例えば、熱伝達システムの最も外側の要素)に対して半径方向に周辺に、かつ断熱部材150の半径方向内方に位置決めされるのがよい。幾つかの実施形態では、凝縮器160は、蒸発器120の上方に物理的に位置決めされるのがよく、その結果、凝縮器160から提供される凝縮液体作動流体(WFL)は、追加のヘッド圧力を有し、これは、蒸発器120を通る液体作動流体(WFL)の良好な循環を可能にすることができるので有利である。
【0030】
図示するとともに図1を参照してかつ本明細書のどこか他の場所で説明した閉ループ系により本技術の実施形態は、従来型熱伝達器具と比較して強化された熱処理(例えば、強化された冷却)を提供することができる。加うるに、本技術の実施形態の閉ループ系は、過熱、ドライアウトなどに関して上述した問題を軽減し、と言うのは、本システム内の気泡が制限され、蒸発器120への液体作動流体(WFL)の供給が設計によって連続的かつ容易に利用できるからである。
【0031】
図示の実施形態に示すように、器具100は、熱伝達システムに対して周辺に設けられ、かつ器具100の他の要素を全体としてまたは部分的に包囲した断熱部材または最も外側の層150をさらに有するのがよい。断熱部材150は、器具100から周囲環境へのかつ/あるいは周囲環境から器具100への熱放散を阻止しまたは抑止することができる。追加的にまたは代替的に、断熱部材150は、器具100の最も外側の要素を形成することができる。実際、断熱部材150は、ユーザ(例えば、哺乳動物10)と、より極端な温度になる場合のある器具100の他の要素との間の保護バリアとしての役目を果たすことも可能である。
【0032】
幾つかの実施形態では、断熱部材150は、追加の機能を有することができかつ/あるいは他の機能を担うことができる。例えば、幾つかの実施形態では、断熱部材150は、哺乳動物10の標的野上の器具100から加えられる接触圧力を増大させるとともに/あるいは減少させるよう調節可能な圧力で圧縮空気(または他の流体)を収容するよう構成されているのがよい。かかる圧力を変えると、標的野への血流量および/または標的野からの血流量を変えることができ、これは、腫脹および/または疼痛を治療するのに有益であるといえる。例えば、幾つかの実施形態では、器具100は、哺乳動物10の標的野を器具100の他の部材に断熱部材150を介して供給される印加圧力で所定期間にわたって(例えば、15~20分間)冷却することができ、次に、熱冷却を終了して印加圧力を所定期間にわたって(例えば、5~10分間)減少させることができる。印加圧力を減少させることによって、標的野が冷却状態にある間、標的野への血流を促進する。追加的にまたは代替的に、器具の印加圧力および器具が標的野に加えている圧縮力を調節できることにより、器具100を取り外して再び締結する必要性をなくすことができる。
【0033】
図2は、本技術の実施形態に係る図1の器具100の平面図である。器具100(図1に示す)の要素の幾つかの部分は、器具100の要素の層状配置構造を示すために図2から省かれている。図2に示すように、器具100は、半径方向外向きの方向に見て、可撓性支持ユニット105、蒸発器120、液体分配通路130、蒸気収集通路140、および断熱部材150を有する。例示の目的で、凝縮器160(図1)は、図2には示されておらず、TEC110は、蒸発器120で覆われている。
【0034】
器具100は、1つ以上のセンサ180a~180f(ひとまとめに「センサ180」という)を有するのがよく、これらセンサは、概略的に図示されている。図2に示すように、器具100は、断熱部材150に設けられていて、断熱部材150の所望のパラメータ(例えば、温度、圧力など)を測定するよう構成された第1のセンサ180a、蒸気収集通路140に設けられていて、蒸気収集通路140の所望のパラメータを測定するよう構成された第2のセンサ180b、液体分配通路130に設けられていて、液体分配通路130の所望のパラメータを測定するよう構成された第3のセンサ180c、可撓性支持ユニット105に設けられていて、可撓性支持ユニット105の所望のパラメータを測定するよう構成された第4のセンサ180d、蒸発器120に設けられていて、蒸発器120の所望のパラメータを測定するよう構成された第5のセンサ180e、および哺乳動物10上に配置されていて、哺乳動物10の所望のパラメータを測定するよう構成された第6のセンサ180fを有するのがよい。器具100の最終用途に応じて他のセンサもまた設けることができる。例えば、1つ以上の他のセンサが、例えばTEC110に設けられ、TEC110の所望のパラメータを測定するよう構成されるのがよく、それにより、例えば、TEC110の個々の性能または異常な動作を測定することができる。センサ180の各々は、コントローラと連絡状態にあるのがよく、かかるセンサを用いると、コントローラを介して器具100の安全性(例えば、過冷却および/または高圧ゾーンの生成を阻止する)、有効性、および動作状態を確認するとともに/あるいは改善することができる。
【0035】
図3は、本技術の実施形態に係る図1および図2に示した熱伝達器具100の一部分の拡大断面図である。図3に示す器具100は、図1または図2では見えないある特徴を示している。例えば、図3に示すように、器具100のTEC110は、可撓性支持ユニット105に隣接してTEC110の第1の側部に位置する第1の熱電フェース312、蒸発器120に隣接してTEC110の第2の反対側の側部に位置する第2の熱電フェース316、および第1のフェース312と第2のフェース316との間に延びる複数の熱電レッグまたはピラー314を有する。幾つかの実施形態では、第2のフェース316は、省かれてもよいが、レッグ314は、蒸発器120と直接的な接触状態にある。図3に示すように、TEC110ならびに蒸発器120、液体分配通路130、および蒸気収集通路140を含む熱伝達システムは、1mm以下、3mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、25mm以下、もしくは30mm以下、または1ミリメートル(mm)から30mmまでの範囲内、もしくはこれらの数値相互間の任意の増分範囲の寸法(D3)を有するのがよく、TEC110および蒸発器120は、1mm以下、3mm以下、5mm以下、10mm以下、15mm以下、25mm以下、または30mm以下、または1ミリメートル(mm)から30mmまでの範囲内、もしくはこれらの数値相互間の任意の増分範囲の寸法(D4)を有するのがよい。
【0036】
幾つかの実施形態では、TEC110(例えば、第1のフェース312、第2のフェース316、および/またはレッグ314)は、全体として不撓性である剛性材料から成るのがよい。かかる実施形態では、個々のTEC110のフットプリントを制限して器具100(または本明細書のどこか他の場所で開示する任意の他の熱伝達器具)の全体的な可撓性を維持し、そして器具100が標的野(例えば、膝)周りにぴったりと密着することができ、またはその幾何学的形状に合致することができるようにすることが望ましい場合がある。すなわち、かかる実施形態のTEC110のフットプリント、この場合、器具100の剛性部分のフットプリントを制限することによって、器具100は、哺乳動物と器具100のTEC110との熱的接触状態を向上させるために、例えば可撓性支持ユニット105から見て、標的野周りにぴったりと密着しまたはその幾何学的形状に合致するのに十分な可撓性を有することができる。幾つかの実施形態では、TECは、2mm2以下、3mm2以下、4mm2以下、5mm2以下、6mm2以下、7mm2以下、8mm2以下、または9mm2以下、または2mm2から9mm2までの範囲内、もしくはこれらの数値相互間の任意の増分範囲のフットプリント(例えば、可撓性支持ユニット105を覆う)を有するのがよい。
【0037】
幾つかの実施形態では、個々のTEC110の第1のフェース312、第2のフェース316、および/またはレッグ314は、例えば、器具が哺乳動物によって着用されるときにTEC110が標的野に良好に合致することができるようにするために可撓性材料から成るのがよい。TEC110が剛性材料で作られている実施形態と比較して、例えば、TEC110の第1のフェース312(すなわち、高温側)について可撓性材料を用いることにより、TEC110のフットプリントを広くすることができ、と言うのは、器具100の可撓性は、もはやTEC110によって制限されないからである。そのようにする際、熱容量が比較的大きなTEC110は、熱伝達能力を高くすることができるとともに/あるいは器具100の製造費を減少させることができる。
【0038】
図3に示すように、蒸発器120は、チャンバ320、チャンバ320内に設けられたベースサブストレートまたは部材322、ベース部材322から突き出た複数の微小特徴部324、および隣り合う微小特徴部324相互間に形成されかつこれらによって定められるチャネル326を有するのがよい。蒸発器120は、一体の構造体(例えば、単一の部品)から成るのがよく、かくして、蒸発器は、ベース部材322とチャネル326とに沿って延びる連続表面を有する。図3に示すように、液体作動流体(WFL)は、チャネル326内に位置し、かかる液体作動流体は、メニスカスを形成するのがよく、このメニスカスは、1つには液体作動流体(WFL)および微小特徴部324の特性、またはより具体的には微小特徴部324の熱容量および微小特徴部324の互いに対する配列(例えば、間隔)に起因して生じる。理論に束縛されるものではないが、メニスカスは、隣接する微小特徴部壁とのインターフェースのところに薄膜部分を形成し、この薄膜部分は、蒸発を促進し、かくして、TEC110から蒸発器120への、液体作動流体(WFL)への、そして蒸気作動流体(WFV)への効率的な熱伝達を可能にする作用を説明すると、微小特徴部324の熱容量および/または配列は、液体作動流体(WFL)に加わる毛管力を生じさせ、それにより、液体作動流体(WFL)は、チャンバ320の第1の端のところの入口領域132からチャンバ320の反対側の第2の端のところの出口領域142に動き、この液体作動流体は、出口領域142から蒸気作動流体(WFV)として出る。個々の微小特徴部324は、5ミクロン~250ミクロンの横方向寸法(D1)を有するのがよく、かかる微小特徴部は、隣の微小特徴部324から5~1000ミクロンの横方向寸法(D2)だけ間隔を置いて位置するのがよい。
【0039】
図示の実施形態に示すように、微小特徴部324は、TEC110から遠ざかる状態でベース部材322から延びている。他の実施形態では、蒸発器120は、ベース部材322が液体分配通路130または断熱部材150に隣接して位置するとともに微小特徴部がTEC110に向かってベース部材322から延びる状態で逆の向きに設けられてもよい。かかる実施形態では、蒸発器120は、TEC110に隣接して位置していて、液体作動流体(WFL)を収容するリザーバを有し、微小特徴部324の端部分は、液体作動流体(WFL)内に浸漬されている。作用を説明すると、微小特徴部324は、液体作動流体(WFL)に加わる毛管力を生じさせるとともに蒸気作動流体(WFV)を生じさせ、かかる蒸気作動流体は、チャンバ320から漏れ出て蒸気収集通路140内に集まる。
【0040】
図4Aは、本技術の実施形態に係る熱伝達器具100の一部分の断面等角図である。図4AにはTEC110および蒸発器120だけが示されており、器具100の他の要素は、説明の目的上省かれている。図4Aに示すように、蒸発器120は、連続した細長い壁によって画定された微小特徴部324を有し、これら微小特徴部は、多数の列をなして配列された連続した細長いチャネル326を画定している。チャネル326は、互いに実質的に同一であるのがよく、かつその長さに沿って一様な幅を有するのがよい。幾つかの実施形態では、チャネル326は、その長さに沿って変化する幅を有してもよく、例えば、これらチャネルが蒸発器チャンバの入口または出口に近づくにつれて幅が狭くなる。追加的にまたは代替的に、個々のチャネルは、隣り合うチャネルとは異なっていてもよい(例えば、広くてもよく狭くてもよい)。理論に束縛されるものではないが、かかるチャネル設計により、液体作動流体の流れに追加の望ましい圧力勾配を生じさせることができる。図4Bは、本技術の実施形態にかかるよる熱伝達器具100の一部分の断面図であり、この場合、微小特徴部324は、行および列をなして配列されたピラーもしくはピンであり、あるいは、微小特徴部324相互間の空間にチャネル326を画定する他の適当な配列状態となっている。図4Bに示すピン型微小特徴部324は、直線断面を有するが、これら微小特徴部は、円形または他の断面形状(例えば、六角形、八角形など)を有してもよい。また、図4Aおよび図4Bに示すように、微小特徴部324により画定されたチャネル326内の液体作動流体(WFL)は、入口領域132から出口領域142に流れ、かかる液体作動流体は、蒸気作動流体(WFV)としてチャンバ320を出る。
【0041】
図5Aは、ウェアラブル型熱伝達器具(例えば、器具50、図1A)の単一相熱伝達システム515の部分概略平面図であり、図5Bは、図5Aの熱伝達システム515の部分概略断面側面図である。上述した(例えば、図1A図4Bを参照して)熱伝達システムまたはその幾つかの部分と同様に、熱伝達システム515は、TEC110を覆って設けられ、この熱伝達システムは、これらTECから熱を奪うよう構成されている。図5A図5Bを一緒に参照すると、熱伝達システム515は、1つ以上のTEC110を覆って設けられたベース部材またはサブストレート522を含むのがよい。サブストレート522は、流体分配ネットワークまたはマニホールド525のチャネル526を少なくとも部分的に構成する複数の微小特徴部524(たとえば、サブストレートの露出表面積を増大させるよう構成されたピンまたは他の構造部材)を有するのがよい。微小特徴部524およびチャネル526は、本明細書のどこか他の場所で説明したそれぞれの微小特徴部324およびチャネル326の特徴および/または機能を有するのがよい。チャネル526は、サブストレート522および/または微小特徴部524から熱を吸収するために液体作動流体(WFL)を受け入れるよう構成されている。液体作動流体(WFL)は、第1の温度で個々の流体分配ネットワーク525、およびこれら流体分配ネットワークの中間または中央領域のところに位置決めされた入口528に提供されるのがよく、そして、第1の温度よりも低い第2の温度で流体分配ネットワーク525から流体分配ネットワーク525の反対側の側部に位置する周辺領域のところに設けられている出口530a,530b(ひとまとめに「周辺領域530」という)のところで出る。液体作動流体(WFL)を中間領域のところに提供することによって、流体分配ネットワーク525は、液体作動流体(WFL)を第1の側部に供給して、加熱状態の液体作動流体(WFL)を第2の反対側の側部から取り出した流体分配ネットワークと比較して、より一様な冷却を行うことができる。図5Aおよび図5Bに示すように、流体分配ネットワーク525は、流体分配ネットワーク525の各側部に入口および出口530a,530bをそれぞれ1つだけ有する。他の実施形態では、流体分配ネットワーク525は、多数の入口および/または多数の出口を有してもよい。
【0042】
熱伝達システム515は、(i)加熱状態の液体作動流体(WFL)を例えば第1の温度に冷却する熱交換器560、および(ii)液体作動流体(WFL)を熱伝達システム515全体にわたって循環させるよう構成された1つ以上のポンプ565をさらに含むのがよい。熱交換器560は、本明細書のどこか他の場所で説明した熱交換器160と同一の特徴および機能を有するのがよい。
【0043】
図6Aは、本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具600(「器具600」)の断面図であり、図6Bは、本技術の実施形態に係る器具600の平面図である。器具600は、器具600が哺乳動物の一部分または標的野周りに少なくとも部分的に着用されるとともに巻き付けられるよう構成されているという点で、上述の器具100と類似であるといえる。図6Aおよび図6Bを一緒に参照すると、器具600は、可撓性支持ユニット105、可撓性支持ユニット105を覆って設けられるとともにこれに熱的に結合されたTEC110、およびTEC110に熱的に結合された熱伝達システムを有する。器具600の熱伝達システムは、TEC110のうちの1つを覆った状態でこれに熱的に結合された第1のアレイをなす微小特徴部624a、およびTEC110のうちの別の1つを覆って設けられかつこれに熱的に結合された第2のアレイをなす微小特徴部624bを備えた流体分配ネットワーク620(例えば、蒸発器)を有する。各流体分配ネットワーク620の第1および第2のアレイをなす微小特徴部624a,624bは、共通のチャンバ内に位置するのがよい。アレイ状の微小特徴部624a,624bは、図示するとともに上述した微小特徴部324(図3および図4)または微小特徴部524(図5Aおよび図5B)と全体的として同一であるのがよい。
【0044】
図6Aおよび図6Bの熱伝達システムはまた、冷却用流体を流体分配ネットワーク620に提供する作動流体入口通路630、および加熱状態の流体を流体分配ネットワーク620から収集する作動流体出口通路640を有する。流体分配ネットワーク620が蒸発器を含む実施形態に関し、作動流体入口通路630は、液体作動流体を蒸発器の入口領域に提供するよう構成された液体分配通路であるのがよく、作動流体出口通路640は、蒸気作動流体(WFV)を蒸発器の出口領域から収集するよう構成された蒸気収集通路を含むのがよい。作動流体入口通路630および作動流体出口通路640は、流体分配ネットワーク620に対して横方向周辺に位置決めされるのがよい。図6Bに示すように、作動流体入口通路630および作動流体出口通路640は、熱交換器660(例えば、凝縮器160または熱交換器560)に流体結合されるのがよく、熱交換器660は、(i)加熱状態の作動流体を作動流体出口通路640から受け取ってこれを冷却し、そして(ii)冷却した作動流体を作動流体入口通路630に供給するよう構成されている。図6Aに示すように、器具600は、流体分配ネットワーク620の半径方向外方に位置決めされ、かつ器具600の他の要素を完全にまたは部分的に包囲した断熱部材150をさらに有するのがよい。
【0045】
図6Aに示すように、器具600は、流体分配ネットワーク620と可撓性支持ユニット105との間に設けられ、かつTEC110を少なくとも部分的に包囲した可撓性の裏材料またはマトリックス材料605をさらに含むのがよい。換言すると、TEC110は、可撓性マトリックス605内に埋め込まれている。可撓性マトリックス605は、弾性材料を含むとともに/あるいは可撓性支持ユニット105の可撓性と類似の可撓性を備えるのがよい。幾つかの実施形態では、可撓性マトリックス605は、非伝導性断熱材料、例えば、フォーム、ゲル、または複合材および/または膨張可能な材料を含むのがよい。幾つかの実施形態では、可撓性マトリックス605は、ユーザによって着用されると、追加の構造的支持作用を器具600に提供することができる。
【0046】
図7は、本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具700(「器具700」)の断面図である。器具700は、図6Aおよび図6Bを参照して説明した特徴と全体として同一の特徴を有し、この器具は、可撓性支持ユニット105、可撓性マトリックス605、可撓性マトリックス605内に埋め込まれたTEC110、流体分配ネットワーク720、液体作動流体を流体分配ネットワーク720に提供するよう構成された作動流体入口通路630、作動流体(例えば、蒸気作動流体(WFV))を流体分配ネットワーク720から収集するよう構成された作動流体出口通路640、および流体分配ネットワーク720の半径方向外方に位置する断熱部材150を有するのがよい。流体分配ネットワーク720は、上述した流体分配ネットワーク620(図6Aおよび図6B)、流体分配ネットワーク520(図5Aおよび図5B)、および/または蒸発器120(図1~4)の機能と概ね類似していてよく、そしてこれらの機能を有するのがよい。流体分配ネットワーク620に対し、流体分配ネットワーク720は、互いに間隔を置いて設けられた多数のアレイ部分を備えていない。したがって、流体分配ネットワーク720は、流体分配ネットワーク620のフットプリントよりも比較的小さいフットプリントを有することができ、かくして、器具700は、比較的より可撓性でありかつ/あるいは曲げ可能である。実際には、これにより、ユーザへの器具700の良好な装着が可能でありかつ/あるいはTEC110とユーザの標的野との良好な熱的接触を保証することができる。
【0047】
図8は、本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具800(「器具800」)の断面図である。器具800は、図7を参照して上述した特徴と概ね類似した特徴を有し、かかる器具は、可撓性支持ユニット105、可撓性マトリックス605、可撓性マトリックス605内に埋め込まれたTEC110、流体分配ネットワーク720、液体作動液(WFL)を流体分配ネットワーク720に提供するよう構成された作動流体入口通路630、作動流体(例えば蒸気作動流体(WFV))を流体分配ネットワーク720から収集するよう構成された作動流体出口通路640、および流体分配ネットワーク720の半径方向外方に位置する断熱部材150を有するのがよい。器具800は、熱伝達システムを包囲した状態で断熱部材150と可撓性マトリックス505との間に位置決めされた可撓性支持材料850をさらに含むのがよい。換言すると、流体分配ネットワーク720、液体分配通路530、および/または蒸気収集通路540は、可撓性支持材料850内に埋め込まれるのがよい。可撓性支持材料850は、弾性材料から成るのがよくかつ/あるいは可撓性支持ユニット105または可撓性マトリックス505の可撓性と類似の可撓性を有するのがよい。幾つかの実施形態では、可撓性支持材料850は、非伝導性断熱材料、例えばフォーム、ゲル、および/または複合材から成るのがよい。実際には、可撓性支持材料850は、ユーザによって着用されると、追加の構造的支持作用を器具800に提供するよう構成されている。
【0048】
図9は、本技術の実施形態に係るウェアラブル型熱伝達器具900の断面図である。器具900は、図7を参照して上述した特徴と概ね類似した特徴を有し、かかる器具は、可撓性支持ユニット105、可撓性支持ユニット105上に埋め込まれるとともにこれに熱的に結合されたTEC110、各々がTEC110の各々上に対応関係をなして埋め込まれるとともにこれに熱的に結合された流体分配ネットワーク720、液体作動液(WFL)を流体分配ネットワーク720に提供するよう構成された作動流体入口通路630、および蒸気作動流体(WFV)を流体分配ネットワーク720から収集するよう構成された作動流体出口通路640を有するのがよい。図9に示すように、器具900は、TEC110を包囲した状態で可撓性支持ユニット105を覆って設けられた可撓性裏材料またはマトリックス905をさらに含むのがよい。可撓性マトリックス905は、個々の流体分配ネットワーク120および個々のTEC110を入れるよう構成されたポケット909(例えば、開口部または空所)を有するのがよい。可撓性マトリックス905は、弾性材料から成るのがよくかつ/あるいは可撓性支持ユニット105の可撓性と類似の可撓性を有するのがよい。幾つかの実施形態では、可撓性マトリックス905は、非伝導性断熱材料、例えばフォーム、ゲル、および/または複合材から成るのがよい。実際には、可撓性マトリックス905は、ユーザによって着用されると、追加の構造的支持作用を器具900に提供するよう構成されている。有利には、器具900は、可撓性マトリックス905がそれ自体断熱バリアとして働くことができるので、可撓性マトリックス905の半径方向外方に断熱層または部材を備えなくてもよい。
【0049】
III.治療野用のウェアラブル型熱伝達器具
本明細書において開示すウェアラブル型熱伝達器具は、頭、首、胸部、肩、背上部、背下部、上腕、下腕、手首、腰部、上脚、下脚、足、手などを含む種々の標的野および/または身体部分用に設計されているのがよい。かかる器具は、ファスナー、接着剤、ストラップ、テープ(例えば、ベルクロ(登録商標))、ベルト、または関連分野において知られるとともに用いられている任意他の手段を利用して、標的野上に配置されるのがよい。標的野のうちの幾つかが図10A図19に示されており、これらの図は、哺乳動物10によって着用されている熱伝達器具の種々の部分略図である。図10A図19に示す器具は、本明細書において説明した器具(例えば、器具50,100,600,700,800,900)のうちの任意のものに対応するのがよく、かくして、これら器具は各々、本明細書のどこか他の場所で説明した要素(例えば、可撓性支持ユニット、TEC、流体分配ネットワーク、蒸発器など)のうちの幾つかまたは全てを有することができる。これらの図を参照すると、図10Aに示す器具1000は、哺乳動物10の膝領域周りに設けられ、図11に示す器具1100は、哺乳動物10の肩領域を覆って設けられ、図12に示す器具1200は、哺乳動物10の足首および/または下脚領域周りに設けられ、器具1300は、哺乳動物10の頭および首領域周りに設けられ、器具1400は、哺乳動物10の頭、首および顔面(例えば、鼻)領域周りに設けられ、器具1500は、哺乳動物10の首領域周りに設けられ、器具1600は、哺乳動物10の手首および/または下腕領域周りに設けられ、器具1700は、哺乳動物10の肘領域周りに設けられ、器具1800は、哺乳動物10の下半身および上半身領域周りに設けられ、器具1900は、哺乳動物10の下半身、上半身、および頭領域周りに設けられている。
【0050】
図10B図10Dは、熱伝達システム1090の部分略図であり、この熱伝達システムは、熱伝達器具1000および複数のサブシステムまたは他の器具要素を含む。図10B図10Dを参照して説明するシステムは、器具1000に加えて、本明細書に開示する器具(例えば、器具50,100,400,500,600,700,800,900,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900)のうちの任意のものに適用可能であり、またはこれと一体化できる。サブシステムおよび/または器具要素は、哺乳動物10に(例えば、腰領域のところで)固定されたパッケージ1050に組み込み可能である。器具1000は、熱交換器1060および1つ以上のポンプ1062を有するのがよく、かかる熱交換器およびポンプは、両方ともパッケージ1050内に収納可能である。熱交換器1060は、例えば、器具1000の熱伝達システムが二相システムである場合には凝縮器(例えば、凝縮器160)、または例えば、器具1000の熱伝達システムが単一相システムである場合には液/気熱交換器(例えば、熱交換器560)を有するのがよい。熱交換器1060を身体的に見て器具1000の上方に配置することにより、追加のヘッド圧力を器具1000に供給された作動流体に及ぼすことができ、そして器具1000の流体分配ネットワークへの作動流体の適切な流れを保証するのに役立つことができるので、有利である。1つ以上のポンプ1062は、器具1000の熱交換器1060および熱伝達システムに流体結合されるのがよく、また、熱伝達システムを通る作動流体の適切な流れを保証することができる。
【0051】
熱伝達システム1090は、器具1000に作動可能に結合されていて、TEC110(図10C)に電力を供給するよう構成された電源1092をさらに含むのがよい。電源1092により、TEC110を加熱および/または冷却の目的で特定の温度に設定することができる。幾つかの実施形態では、電源1092は、携帯型エネルギー貯蔵装置(例えば、バッテリ)を含むのがよい。
【0052】
熱伝達システム1090は、器具1000、電源1092、および他のサブシステムに作動可能に結合されたコントローラおよび/または電子部品1094をさらに含むのがよい。幾つかの実施形態では、コントローラおよび/または電子部品1094は、コントローラ1094がリモートユーザインターフェース(例えば、モバイル器具および/またはリモートネットワークに設けられている)および/または器具1000と通信(例えば、ワイヤレス通信)することができるようにする送信機および/または受信機を含むのがよい。幾つかの実施形態では、コントローラ1094は、器具1000を複数の作動モードのうちの1つ(例えば、冷却モード、加熱モード、または両方のモード)で作動させるとともに/あるいは器具1000を作動させるよう設定されたプロセス値(例えば、設定温度)を提供するよう構成されているのがよい。幾つかの実施形態では、コントローラ2294は、40℃から-20℃までの範囲にある設定温度(例えば、35℃、20℃、0℃、-10℃など)を器具1000に提供することができ、したがって、TEC(例えば、TECの第1の側部または第2の側部)は、その設定温度で作動するよう構成される。追加的にまたは代替的に、コントローラ1094は、器具1000に設けられているセンサ(例えば、センサ180a~180f、図2)から入力を受け取り、受け取った入力も基づいてこの器具を制御するよう構成されているのがよい。例えば、コントローラ1094は、作動中の器具のなんらかの異常を確認することができ、そして器具の異常の指標を自動的に生じさせるとともに/あるいはこの器具の作動パラメータを調節することができる。追加的にまたは代替的に、コントローラ1094は、人工知能および/または機械学習を利用して、例えば同一のユーザまたはユーザのグループについて利用された先の治療に基づいて、電力および/または他の制御パラメータを調節することができる。
【0053】
幾つかの実施形態では、熱伝達システム1090は、パッケージ1050から器具1000に延びる導管1080を含むのがよい。導管1080は、(i)例えば、熱交換器1060および/または1つ以上のポンプ1062から器具1000の流体分配ネットワークまで延びるとともに熱交換器1060および/または1つ以上のポンプ1062から器具1000の流体分配ネットワークに流体結合する流体輸送ライン、(ii)例えば、電源1092からTECまで延びるとともに電源1092をTECに作動可能に結合する電力ライン、および/または(iii)例えば、コントローラを器具1000に設けられたセンサまで延びるとともにコントローラを器具1000に設けられたセンサに作動可能に結合する他の電線を有するのがよい。幾つかの実施形態では、導管1080は、図10Dに示すとともに参照して説明する場合には、省かれている。追加的にまたは代替的に、幾つかの実施形態では、導管1080が設けられてもよい。
【0054】
図10Cは、図10Bに示すとともに図10Bを参照して説明したシステム1090の別の図であるが、この図では、説明の目的上、器具1000の外側カバーが省かれている。したがって、他の図を参照して上述したTEC110、可撓性支持ユニット105、および熱伝達システム115は、概略的に示されている。
【0055】
図10Dは、図10Bおよび図10Cに示すとともにこれらの図を参照して説明したシステム1090と概ね類似したもう1つのシステム1098を示しているが、パッケージ1050およびそのコンポーネント(例えば、熱交換器1060、ポンプ1062、電源1092、および/またはコントローラ1094)は、例えば、身体的に見てTECまたは器具部品の大部分の上方で器具1000内に埋め込まれている。
【0056】
図10Cおよび図10Dをそれぞれ参照して説明したシステム1090,1098は、単一の器具に作動可能に結合されるものとして示されている。幾つかの実施形態では、システム1090またはシステム1098は、例えば、哺乳動物10の異なる標的野上にまたはこれらの周りに設けられた多数の器具に作動可能に結合されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、システム1090(またはシステム1098)は、膝領域周りに設けられた第1の器具および肩領域を覆って設けられた第2の器具に作動可能に結合されるのがよい。幾つかの実施形態では、システム1090(またはシステム1098)は、第2の器具から独立した第1の器具(およびこれに設けられている個々のTEC110)を個別的に制御することができ、またはその逆の関係が成り立つ。
【0057】
図10A図19に示す器具の各々は、標的野で生じる多くの基礎症状、とりわけ例えば、疼痛、腫脹、ほてり(例えば、癌患者について)、血液灌流の減少、神経連絡の減少、および/または脳卒中を治療するために使用できる。さらに、図10A図19に示す器具の各々は、治療の特定の領域野に基づいて設計できる。すなわち、器具を図10A図19に示すように、標的野の幾何学的形状に合致させるような設計に加えて、他の特徴(例えば、厚さ、可撓性、TECの密度、標的野に加えられる圧縮力など)を標的野に基づいて設計に組み込むことができる。例えば、哺乳動物10の膝領域周りに設けられる器具1000は、最も大きな曲げを生じることが予想される器具1000の膝関節野のところに増大した可撓性を有するよう設計されるのがよく、かくして、当該野に隣接して設けられるTECを少なくするのがよい。幾つかの実施形態では、設計は、特定の器具により提供されることが予想される治療に基づくのがよい。例えば、哺乳動物10の頭領域周りに設けられる器具1300,1400は、脳卒中を生じて脳卒中イベントに続く頭領域の比較的迅速な冷却を必要とする患者を治療する上で(例えば、救急車内または病院で)特に有用であるといえる。したがって、器具1300,1400は、最近脳卒中または他の関連病態が出た患者を熱の作用で治療するよう構成された作動モードを備えるようにあらかじめプログラムされるのがよい。
【0058】
IV.眼領域熱伝達器具ならびに関連システムおよび方法
眼領域のところの哺乳動物の組織、またはより具体的には目の下の組織を冷却することにより、よく見られる眼の疾患症状について効果的な治療を行うことができ、かかる眼疾患症状としては、既知の眼疾患症状のうちでとりわけ、目の下の腫れ、目の下の涙袋(たるみまたは膨らみ)、目の周りのくま、および目のくぼみが挙げられる。例えば、目の腫れは、眼窩周囲浮腫の結果であって、目の下に流体の蓄積を生じさせるが、かかる目の腫れを治療するには、当該野を冷却して炎症を抑えるのがよい。目の下の涙袋は、目の下における脂肪の蓄積の結果であり、かかる目の下の涙袋を低温脂肪分解(cryolipolysis)と呼ばれている手技によって治療することができ、低温脂肪分解法は、5℃未満の温度を及ぼして対応の脂肪細胞を凍結して死滅させる。目の周りのくまを減少させるには、目の周りの皮膚の下の拡張した血管を冷却することによって収縮させるのがよく、冷却は、血管収縮に影響を及ぼして当該血管を絞って目の周りのくまを目立たないようにさせる。目の周りの丸いくぼみは、長時間のコンピュータやスマホを使った長時間の作業に起因する筋肉の緊張を理由として生じ、目の周りを冷却することにより、これら筋肉を弛緩させて眼筋に加わる負担を減少させるのを助けることができ、その結果、くぼみをなくすことがでる。
【0059】
冷却の利点は、一般的に知られているが、かかる冷却を行うために利用可能な冷却製品は、限られており、しかもあまり効果的ではない。保冷剤は、例えば、眼領域用の主要な冷却製品であるが、肝腎の特徴をもたらすわけではなく、かかる特徴としては、(i)十分な冷却容量、(ii)冷却治療を種々の温度で実施できること、および(iii)応答型温度制御システムが挙げられる。加うるに、保冷剤は、かさばっており、かくして、良好な熱的接触関係をなして、例えば目の下のような狭い野上に配置することが困難である。
【0060】
本技術の実施形態は、コンパクトであり、軽量であり、しかもユーザ/哺乳動物の眼疾患症状部のところに配置されるよう構成された熱伝達器具および/またはシステムを用いた眼領域の冷却と関連したこれらの問題および他の問題に取り組む。本明細書のどこか他の場所にさらに詳細に説明するように(例えば、図20A図21Bを参照して)、かかる熱伝達器具では、冷却容量を向上させることができ、器具とユーザ/哺乳動物との熱接触状態を向上させることができ、しかも隣接の目の下の野の温度を正確に制御することができる。
【0061】
図20Aは、熱伝達器具2000(以下「器具2000」)の概略等角分解組立図であり、図20Bは、組立形態にある図20Aの器具2000の等角図である。図20Aおよび図20Bを一緒に参照すると、器具2000は、(i)哺乳動物10の眼領域の標的野に当てて配置されるとともにこれに熱的に結合されるよう構成された熱伝導性部材またはプレート2005、(ii)熱伝導性部材2005に載せられるとともにこれに熱的に結合された複数のTEC110、(iii)熱伝導性部材2005、標的野、および/または個々のTEC110の温度を検出するよう構成された1つ以上のセンサ180、および(iv)TEC110に熱的に結合されるとともに熱伝導性部材2005を覆って設けられた熱伝達システム2015を有するのがよい。図20Aおよび図20Bに示すように、熱伝導性部材2005および/または熱伝達システム2015は、器具2000を目の下にかつ目の比較的近くに配置するとともにこれが目の形状と相補することができるようにする三日月形を有するのがよい。幾つかの実施形態では、熱伝導性部材2005および/または熱伝達システム2015の上面および下面は、凹状の形状を有するのがよい。図20Aおよび図20Bに示すように、熱伝導性部材2005および/または熱伝達システム2015は、例えば、器具2000の全体的フットプリントを制限するよう同一の形状を有するのがよい。
【0062】
熱伝導性部材2005は、TEC110の各々相互間に熱的に結合されるとともにTEC相互間に延びている。熱伝導性部材2005は、TEC110相互間の領域内の標的野へのかつ/あるいは標的野からの熱伝達を促進する熱拡散器として働くことができる。熱伝導性部材2005は、金属、金属合金、被膜、ポリマー、シリコーン、および/またはこれらの組み合わせを含む伝導性材料および/または生体適合性材料から成るのがよい。幾つかの実施形態では、熱伝導性部材2005は、可撓性支持ユニット105に対応するのがよく、かくして、図1Aおよび図1Bを参照して上述した特徴および機能のうちの任意のものを有することができる。
【0063】
熱伝達システムまたはユニット2015は、図20Aおよび図20Bに概略的に示されており、かかる熱伝達システムまたはユニット2015は、上記の図1A図4を参照して説明した熱伝達システム115または上記の図5Aおよび図5Bを参照して説明した熱伝達システム515と概ね類似したまたは同一の特徴を有するのがよい。したがって、熱伝達システム2015は、単一相または二相の熱伝達システムであるのがよい。二相システムを構成する実施形態に関し、熱伝達システム2015は、各々が対応のTEC110に熱的に結合されたアレイをなす流体分配ネットワーク(例えば、蒸発器120、図1B)、作業液体を液相(WFL)で蒸発器の各々に提供するよう構成された液体分配通路(例えば、液体分配通路130、図1B)、作動流体を気相(WFV)で蒸発器の各々から受け入れるよう構成された蒸気収集通路(例えば、蒸気収集通路140、図1B)、および凝縮器(例えば、凝縮器160、図1B)を有するのがよい。熱伝達システムは、閉ループ二相システムから成るのがよく、この場合、このシステムを通る作動流体の流れは、TEC110から個々の蒸発器に伝達された熱によって、および/またはポンプ、重力、もしくは他の手段によって駆動される。幾つかの実施形態では、熱伝達システムを通る作動流体の流れは、蒸発器のチャンバ内に位置して作動流体の液相をチャンバの入口からチャンバの出口に向かって駆動するチャネルを画定する微小特徴部(例えば、ピラー、ピン、または壁)によって誘起される毛管力によって駆動されるのがよい。
【0064】
TEC110は、図1B図4を参照して説明したTEC110の特徴および機能のうちの任意のものを有することができる。したがって、器具2000のTEC110は、標的眼野と器具2000のインターフェースのところで、正確であって制御可能でありかつ/あるいは局所化された温度制御を行うことができる。上述したように、TEC110は、哺乳動物10に熱的に結合されており、これらTECは、哺乳動物10の隣接標的眼野を冷却するとともに/あるいは加熱するようコントローラ(例えば、コントローラ2294、図22)によって特定の温度および/または所定の温度分布(例えば、一定温度分布、温度サイクル分布、および/または時間ベースの分布)に設定されるのがよい。幾つかの実施形態では、個々のTEC110は、例えば所望された場合に局所的かつ可変制御をもたらすために他の個々のTEC110とは独立してコントローラによって制御されるのがよい。例えば、哺乳動物10に向いたTEC110の第1の側部または熱伝達システム2015に向いたTEC110の第2の側部は、10℃から-5℃までの範囲内の温度(例えば、5℃、0℃など)に設定することができる。幾つかの実施形態では、TEC110は、所定の時間内(例えば、10秒以内、20秒以内、30秒以内、60秒以内、120秒以内、240秒以内または600秒以内)で所望の温度に達するよう構成されているのがよい。
【0065】
TEC110は、加熱モードまたは冷却モードで作動でき、あるいは、標的野のところの温度を制御するために冷却と加熱との間で循環的に切り替えて作動可能である。個々のTEC110を横切る熱流量は、その2つの側部相互間の温度差および/または電源(例えば、電源1892、図18)から個々のTEC110に提供される電力入力の関数であるのがよい。モードおよび/またはモードの操作は、所定のサイクル時間および/または例えばセンサ180からの温度センサーフィードバックに基づいて選択されるのがよい。加熱モードにあるとき、TEC110は、TEC110の第1の側面を加熱することによって哺乳動物10の標的野に熱を提供することができ(例えば、熱伝導性部材2005を介して)、それによりTEC110の第2の側部が冷える。幾つかの実施形態では、器具2000は、コントローラにより制御できるとともに哺乳動物10の隣接標的眼野を加熱するよう構成された追加の抵抗加熱器(図20Aには示さず)をさらに有するのがよい。冷却モードにあるとき、熱伝達システム2015の蒸発器は、TEC110の高温の第2の側部から熱を奪い、それによりTEC110の第1の側部が哺乳動物10の隣接標的眼野を冷却することができるようにするよう構成されている。したがって、冷却モードでは、熱が、哺乳動物10の標的眼野からTEC110に向かって半径方向外向きに流れ、次に熱伝達システム2015の蒸発器に流れる。上述したように、TEC110は、冷却モードと加熱モードとの間で循環して切り替わることも可能であり、それにより、標的眼野への血流および潅流を促進することができる。個々のTEC110に関する追加の細部が本明細書のどこか他の場所に提供される(例えば、図1B図3および図4を参照して)。
【0066】
センサ180は、図2を参照して説明したセンサ180の特徴および機能のうちの任意のものを有することができる。したがって、器具2000のセンサ180は、熱伝導性部材2005、個々のTEC110、および/または標的眼野の所望のパラメータ(例えば、温度、圧力など)を測定するよう構成されているのがよい。センサ180の各々は、コントローラと連絡状態にあるのがよく、かかるセンサを用いると、コントローラを介して器具2000の安全性(例えば、過冷却および/または高圧ゾーンの生成を阻止する)、有効性、および動作状態を確認するとともに/あるいは改善することができる。
【0067】
器具2000は、任意のファスナー、接着剤、ストラップ、テープ(例えば、ベルクロ(登録商標))、ベルト、または他の既知の手段を用いて、哺乳動物10の標的眼野のところに配置できる。しかしながら、目の下の皮膚が比較的敏感で薄いので、圧力を加える任意の締結具(例えば、真空、ストラップ、ベルクロ(登録商標)など)を用いると、皮膚または組織に対して損傷が生じる場合がある。また、器具2000は、頭のわずかな運動で位置が変わる場合があり、ユーザ/哺乳動物が治療中に動かないようにすることは、現実的ではない場合がある。したがって、図21Aおよび図21Bに示すように、器具2000は、器具2000を結合する眼用器具を用いて、標的眼野に当てて配置するのがよい。眼用器具は、標的眼野のところでの哺乳動物10と器具2000との熱的接触具合を向上させるよう構成されているのがよい。
【0068】
図21Aは、図20Aおよび図20Bの器具2000に結合された眼用器具2100の部分概略正面図であり、図21Bは、図21Aの眼用器具2100の等角図である。図21Aに示すように、眼用器具2100は、哺乳動物10によって着用され、この眼用器具は、器具2000に結合されたフレームを有するのがよい。眼用器具が哺乳動物10によって着用されると、1つの器具または複数の器具2000は、当該器具2000を哺乳動物10と熱的接触関係をなして配置するために眼用器具2100のフレームと哺乳動物10との間に配置される。このようにする際、器具2000は、器具2000が変位する恐れなく、哺乳動物が自分の頭を動かす自由度を有する状態で、器具2000により治療を実施可能にするよう定位置に保持されるのがよい。幾つかの実施形態では、フレームは、器具2000の熱伝達システム615(図20Aおよび図20B)の全てまたは一部を含むことができる。例えば、上述した熱伝達システム2015の液体分配通路、蒸気収集通路、および/または凝縮器部分が眼用器具2100のフレーム中に組み込まれるのがよい。
【0069】
図21Bに示すように、眼用器具2100は、種々の哺乳動物10に対応するとともに、器具2000との良好な熱的接触状態の実現を可能にするよう調節されるのがよい。例えば、眼用器具2100のフレームは、B1によって示されたx軸に沿って、かつ/あるいはB2によって示されたy軸に沿って調節されるのがよい。追加的にまたは代替的に、眼用器具2100への器具2000の結合状態(例えば、眼用器具2100に対する器具2000の位置)は、A1によって示されるy軸に沿って、かつ/あるいはA2によって示されるx軸に沿って調節できるのがよい。そのようにする際、器具2000は、標的眼野との最適な熱的接触を可能にするよう配置されるのがよい。
【0070】
図1図21Bを参照して本明細書のどこか他の場所で説明した熱伝達器具100,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2000のうちの任意の1つを極めて多くの他のかつ/あるいはより複雑なシステム中に組み込むことができ、その代表的な例が図22に概略的に示されたシステム2290である。システム2290は、熱伝達器具(例えば、熱伝達器具100,500,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2000)、器具に(例えば、器具のTECに)作動的に結合された電源2292(例えば、携帯型電源、バッテリーなど)、器具および電源2292に作動的に結合されたコントローラ2294(例えば、プロセッサ)、コントローラ2294および電源2292に作動的に結合されたユーザインターフェース2296、ならびに他のサブシステムを有するのがよい。システム2290は、多種多様な機能、例えば、メモリへの記憶、データ処理、および/または他の適当な機能のうちの任意のものを実行することができる。
【0071】
コントローラ2294は、複数の作動モード(例えば、冷却モード、加熱モード、または両方のモード)のうちの1つのモードで器具を動作させるとともに/あるいは器具を作動させるよう設定されたプロセス値(例えば、設定温度)を提供するよう構成されているのがよい。例えば図1を参照して上述したように、コントローラ2294は、40℃から-20℃までの範囲にある設定温度(例えば、35℃、20℃、0℃、-10℃など)を器具に提供することができ、したがって、TEC110(例えば、TECの第1の側部または第2の側部)は、当該設定温度で作動するよう構成される。追加的にまたは代替的に、コントローラ2294は、器具に設けられているセンサ(例えば、センサ180a~180f、図2)から入力を受け取り、受け取った入力も基づいてこの器具を制御するよう構成されているのがよい。例えば、コントローラ2294は、作動中の器具のなんらかの異常を確認することができ、そして器具の異常の指標を自動的に生じさせるとともに/あるいはこの器具の作動パラメータを調節することができる。追加的にまたは代替的に、コントローラ2294は、人工知能および/または機械学習を利用して、例えば同一のユーザまたはユーザのグループについて利用された先の治療に基づいて、電力および/または他の制御パラメータを調節することができる。
【0072】
ユーザインターフェース2296は、ディスプレイ、および/またはユーザがモバイル器具(例えば、スマホ、タブレット、ウォッチ、ラップトップなど)または他のコンピューティング器具により器具を利用することができるようにするアプリケーションまたはプログラムを含むのがよい。ユーザインターフェース2296は、複数の予めプログラムされた熱管理手順を含むとともに/あるいはユーザが所望のアプリケーションに基づいて冷却および加熱パラメータを調節することができるようにするのがよい。
【0073】
図23は、本技術の実施形態に従って熱伝達器具により哺乳動物を治療する(例えば、疼痛、腫脹、ほてり、血液灌流の減少、神経連絡の減少、および/または脳卒中に関して)方法2300を示す流れ図である。方法2300は、熱伝達器具(例えば、器具100,500,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2000)を用意するステップ(プロセス部分2302)、および哺乳動物の標的を覆って熱伝達器具を配置するステップ(プロセス部分2304)を含むのがよい。熱伝達器具を、標的野を覆って配置するステップは、例えば、器具または器具の可撓性支持ユニットが標的野に加わる圧縮力をもたらして、器具のTECを標的野と熱的接触関係をなすよう位置決めするように器具を、標的野を覆って締結するステップを含むのがよい。
【0074】
方法2300は、コントローラ(例えば、コントローラ2294、図22)により温度制御および/または熱伝達器具の作動モードを開始し、それにより熱が哺乳動物の標的野から熱伝達器具に伝わるようにし、あるいはその逆の関係が成り立つようにするステップ(プロセス部分2306)をさらに含むのがよい。作動モードを開始するステップは、冷却モード、加熱モード、または冷却モードと加熱モードの両方を開始するステップを含むのがよい。温度制御を開始するステップは、TEC(例えば、TEC110、図1A図1B図3図9)が、器具が標的野を所定の時間(例えば、10秒、20秒、30秒、40秒、60秒、または120秒)内で加熱しまたは冷却するよう構成された温度で作動するための温度または器具が標的野を所定の時間(例えば、10秒、20秒、30秒、40秒、60秒、または120秒)内で加熱しまたは冷却するよう構成された温度を提供するステップを含むのがよい。幾つかの実施形態では、温度は、40℃から-20℃までの範囲(例えば、35℃、20℃、0℃、-10℃など)に設定されるのがよい。
【0075】
V.結論
当業者には明らかなように、本発明の基盤となる原理から逸脱することなく、上述の実施形態の細部に対する変更を行うことができる。幾つかの場合、周知の構造および機能は、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にするのを避けるために、細部について図示しておらずまたは説明していない。方法のステップが特定の順序で本明細書において提供されている場合があるが、変形実施形態は、ステップを異なる順序で実施することができる。同様に、特定の実施形態との関連で開示した本技術のある特定の観点を互いに組み合わせることができまたは他の実施形態では省くことができる。さらに、本技術のある特定の実施形態と関連した利点をこれら実施形態との関連で説明している場合があるが、他の実施形態もまた、かかる利点を奏することができ、全ての実施形態が必ずしもかかる利点または本技術の範囲に属する本明細書において開示した他の利点を奏する必要はない。したがって、本開示内容および関連技術は、本明細書において明示的に示されておらずまたは説明されていない他の実施形態を含むことができ、本発明は、特許請求の範囲の記載による場合を除き、限定されない。
【0076】
原文明細書全体を通じて、単数形“a”、“an”、および“the”は、別段の明示の指定がなければ、複数形を含む。2つ以上のアイテムのリストを参照して用いられる場合の「および/または」という用語は、(a)リスト中の任意の単一のアイテム、(b)リスト中のアイテム全て、または(c)リスト中のアイテムの任意の組み合わせを含むものと解されるべきである。加うるに、原文明細書で用いられている“comprising”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)、“including”(「~を含む」)、および“having”(「~を備える」)は、少なくとも記載した特徴を含むことを意味するものと解されるべきであり、したがって、どのように多くの同一の特徴であってもおよび/または追加の形式の他の特徴であっても、これらが排除されることはない。
【0077】
本明細書において、「1つの実施形態」、「一実施形態」、「幾つかの実施形態」または類似の表現について言及した場合、これらは、当該実施形態と関連して説明した特定の特徴、構造、作用、または特性を、本技術の少なくとも1つの実施形態に含むことができるということを意味している。かくして、本明細書にかかる語句または表現が記載されているからとって、かかる記載は、必ずしも全てが同一の実施形態に言及しているわけではない。さらに、種々の特定の特徴、構造、作用、または特性を1つ以上の実施形態において任意の適当な仕方で組み合わせることができる。
【0078】
別段の指定がなければ、明細書および特許請求の範囲に用いられている数値を表す全ての数は、あらゆる場合において「約」または「ほぼ」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。「約」または「ほぼ」という用語は、ある値について用いられている場合、記載された値の10%以内を意味するものと解されるべきである。したがって、異なる指定がなければ、以下の説明および特許請求の範囲に記載された数値で表されるパラメータは、本技術によって得ようとする所定の特性に応じて様々であってよい近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の桁数に照らしてかつ通常の四捨五入法を適用することによって解されるべきである。加うるに、本明細書において開示した全ての範囲は、この範囲に含まれる任意の数全ての部分範囲を含むものと理解されるべきである。例えば、「1から10まで」の範囲は、最小値1と最大値10との間(端の値を含む)任意かつ全ての部分範囲、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を含む任意かつ全ての部分範囲、例えば、5.5~10を含む。
【0079】
上述の本開示内容は、任意の請求項が特許請求の範囲に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要条件とする意図を反映するものと解されてはならない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の観点は、任意の単一の上記において開示した実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。かくして、この詳細な説明(明細書)に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明中に明示的に組み込まれ、各請求項は、それ自体別個の実施形態として成り立つ。本開示は、独立形式の請求項およびこれらの従属形式の請求項の全ての並べ替えを含む。
【0080】
本技術につき例えば以下に記載する種々の観点に従って説明する。本技術の観点の種々の実施態様項を便宜上、番号を付与した実施態様(1、2、3など)として記載している。これらは、実施態様項として提供されており、本技術を限定するものではない。注目されるように、従属形式の実施態様項の任意のものを任意の組み合わせの状態で組み合わせることができ、そしてそれぞれの独立形式の実施態様項に組み込むことができる。他の実施態様項を同様な仕方で提供することができる。
〔実施態様項1〕 ウェアラブル型の熱伝達器具であって、
アレイ状に配列されるとともに互いに間隔を置いて配置された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱結合されるよう構成された第1の側部および上記第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
凝縮器およびアレイ状の蒸発器を含む熱伝達システムを有し、個々の蒸発器は、それぞれ対応の上記熱電部品の上記第2の側部に熱結合されるとともに上記凝縮器に流体結合され、上記蒸発器の各々は、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)上記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、上記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、上記毛管力は、上記作動流体を上記チャンバの上記入口領域から上記チャンバの上記出口領域に駆動し、
上記熱電部品の上記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性かつ生体適合性の可撓性接触部材を含む可撓性支持ユニットを有し、上記接触部材は、上記哺乳動物の上記標的野からの熱伝達/上記哺乳動物の上記標的野への熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であることを特徴とする熱伝達器具。
〔実施態様項2〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品に結合され、上記可撓性支持ユニットは、上記可撓性支持ユニットが上記哺乳動物に取り付けられると、上記熱電部品が上記標的野に隣接して配置されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1記載の熱伝達器具。
〔実施態様項3〕 上記可撓性支持ユニットは、上記哺乳動物に取り付けられると、圧縮力を上記標的野に及ぼすよう構成されていることを特徴とする実施態様項1または2記載の熱伝達器具。
〔実施態様項4〕 上記熱伝達システムは、上記蒸発器を含む二相熱伝達ユニットであり、上記熱電部品と上記二相熱伝達ユニットはひとまとまりとして、上記熱電部品を通る上記接触部材からの熱流方向に沿って測定して1mm~25mmの高さを有することを特徴とする実施態様項1~3のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項5〕 (i)上記二相熱伝達システムを上記熱電部品の上記第2の側で40℃~-20℃の第1の温度に設定するとともに/あるいは(ii)上記熱電部品を作動させて、上記接触部材を1~10秒で20℃~40℃の第2の温度に加熱するよう構成されたコントローラをさらに有することを特徴とする実施態様項4記載の熱伝達器具。
〔実施態様項6〕 上記二相熱伝達ユニットは、上記熱電部品からの熱流方向に測定して1mm~8mmの厚さを有することを特徴とする実施態様項4記載の熱伝達器具。
〔実施態様項7〕 上記微小特徴部は、10ミクロン~1,000ミクロンだけ互いに間隔を置いて配置されている、実施態様項1~6のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項8〕 上記チャンバは、上記チャンバの上記入口領域から上記出口領域まで延びる上記微小特徴部の壁によって画定されたチャネルを含むことを特徴とする実施態様項1~7のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項9〕 上記微小特徴部は、上記チャンバ内に設けられたピンであることを特徴とする実施態様項1~8のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項10〕 上記微小特徴部は、5ミクロン~250ミクロンだけ互いに間隔を置いて配置されていることを特徴とする実施態様項1~9のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項11〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品が上記標的野に隣接して位置するよう上記哺乳動物によって着用されるよう構成された可撓性弾性材料から成り、上記熱電部品および上記蒸発器は、上記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持されることを特徴とする実施態様項1~10のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項12〕 上記熱電部品に電気的に結合された携帯型電源をさらに有し、上記熱伝達システムは、上記哺乳動物によって携帯可能に着用されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項11記載の熱伝達器具。
〔実施態様項13〕 上記電源は、上記可撓性支持ユニットに取り付けられていることを特徴とする実施態様項12記載の熱伝達器具。
〔実施態様項14〕 上記電源は、上記可撓性支持ユニットとは別体であって、導電線によって上記熱電部品に電気的に結合されていることを特徴とする実施態様項12記載の熱伝達器具。
〔実施態様項15〕 上記可撓性支持ユニットは、上記標的野に巻き付けられるよう構成された弾性包帯および上記弾性包帯を保持して圧縮力を上記哺乳動物に及ぼすよう構成された締結具付きのストラップを有することを特徴とする実施態様項1~14のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項16〕 上記接触部材は、金属シートを含むことを特徴とする実施態様項1~15のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項17〕 上記接触部材は、(a)上記熱電部品の上記第1の側部に取り付けられた第1の側部と、第2の側部とを備えた金属シート、および(b)上記金属シートの上記第2の側部に設けられた非金属接触材料を含むことを特徴とする実施態様項1~16のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項18〕 上記熱伝達ユニットは、上記アレイ状の蒸発器と流体連通状態にあり、かつ上記作動流体を上記蒸発器の各々の上記チャンバの上記入口領域に供給するよう構成された作動流体分配通路を有することを特徴とする実施態様項1~17のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項19〕 上記アレイ状の蒸発器と流体連通状態にあり、かつ上記蒸発器の各々の上記チャンバの上記出口領域から蒸気を収集するよう構成された蒸気収集通路をさらに含むことを特徴とする実施態様項18記載の熱伝達器具。
〔実施態様項20〕 上記可撓性支持ユニットは、上記接触部材を覆って設けられた裏材料をさらに有し、上記熱電部品は、上記裏材料内に埋め込まれていることを特徴とする実施態様項1~19のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項21〕 上記可撓性支持ユニットは、複数のポケットを画定する裏材料をさらに有し、上記熱電部品は、上記裏材料の上記ポケット内に設けられていることを特徴とする実施態様項1~20のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項22〕 上記蒸発器の半径方向外方に位置決めされた圧力調節部材をさらに有し、上記圧力調節部材は、上記標的野に加えられた圧縮力を増大させるとともに/あるいは減少させるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~21のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項23〕 上記熱伝達器具は、疼痛、腫脹、ほてり、血液灌流の減少、神経連絡の減少、または脳卒中のうちの少なくとも一つを含む基礎症状を治療するよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~22のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項24〕 上記熱伝達器具は、上記哺乳動物の腕、脚、背中、肩、頭、または首領域に巻き付けられ、または上記哺乳動物の腕、脚、背中、肩、頭、または首領域に装着されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~23のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項25〕 上記熱伝達器具は、作動中、上記標的領域を少なくとも1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmの冷却深さまで冷却するよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~24のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項26〕 個々の熱電部品は、他の個々の熱電部品とは異なる向きを有することを特徴とする実施態様項1~25のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項27〕 個々の蒸発器は、他の個々の蒸発器とは異なる向きを有することを特徴とする実施態様項1~26のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項28〕 ウェアラブル型の熱伝達器具であって、
アレイ状に配列されるとともに互いに間隔を置いて配置された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱結合されるよう構成された第1の側部および上記第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
熱交換器およびアレイ状の流体分配ネットワークを含む熱伝達システムを有し、個々の流体分配ネットワークは、それぞれ対応の上記熱電部品の上記第2の側部に熱結合されるとともに上記熱交換器に流体結合され、上記流体分配ネットワークの各々は、入口領域、出口領域、および作動流体を受け入れるよう構成されたチャネルを少なくとも部分的に画定するよう互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、上記作動流体は、上記入口領域から上記出口領域に流れて熱を上記微小特徴部から吸収し、
上記熱電部品の上記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性の可撓性接触部材を含む可撓性支持ユニットを有し、上記接触部材は、上記哺乳動物の上記標的野からの熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であることを特徴とする熱伝達器具。
〔実施態様項29〕
上記熱伝達システムは、二相熱伝達システムであり、
上記流体分配ネットワークは、各々が上記入口領域および上記出口領域を備えたチャンバを有する蒸発器を含み、
上記熱交換器は、凝縮器であり、
作動中、上記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、上記毛管力は、上記作動流体を上記チャンバの上記入口領域から上記チャンバの上記出口領域に駆動することを特徴とする実施態様項28記載の熱伝達器具。
〔実施態様項30〕 上記蒸発器と上記熱電部品はひとまとまりとして、上記熱電部品を通る上記接触部材からの熱流方向に沿って測定して1mm~25mmの高さを有することを特徴とする実施態様項29記載の熱伝達器具。
〔実施態様項31〕
(i)上記熱電部品の上記第2の側を40℃~-20℃の第1の温度に設定するとともに/あるいは(ii)上記熱電部品を作動させて、上記接触部材を40℃~-20℃の第2の温度に熱的に処理するよう構成されたコントローラをさらに有することを特徴とする実施態様項29記載の熱伝達器具。
〔実施態様項32〕 個々の蒸発器は、上記熱電部品からの熱流方向に測定して8mm以下の厚さを有することを特徴とする実施態様項29記載の熱伝達器具。
〔実施態様項33〕 上記熱伝達システムは、上記アレイ状の蒸発器に流体結合されていて、上記作動流体を上記蒸発器の各々の上記チャンバの上記入口領域に供給するよう構成された作動流体分配通路を含むことを特徴とする実施態様項29記載の熱伝達器具。
〔実施態様項34〕 上記アレイ状の蒸発器に流体結合され、かつ上記蒸発器の各々の上記チャンバの上記出口領域から蒸気を収集するよう構成された蒸気収集通路をさらに含むことを特徴とする実施態様項33記載の熱伝達器具。
〔実施態様項35〕 上記チャネルは、上記入口領域から上記出口領域まで延びる上記微小特徴部の壁によって画定されることを特徴とする実施態様項1~34のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項36〕 上記流体分配ネットワークの上記入口領域は、上記流体分配ネットワークの中間領域のところに位置決めされ、上記出口領域は、上記流体分配ネットワークの第1の側部に位置する第1の出口、および上記第1の側部とは反対側の上記流体分配ネットワークの第2の側部に位置する第2の出口を有することを特徴とする実施態様項1~35のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項37〕 上記熱伝達システムは、上記熱交換器および上記流体分配ネットワークに流体結合されたポンプをさらに含み、上記ポンプは、上記作動流体を上記熱伝達システム全体にわたって圧送するように構成されていることを特徴とする実施態様項1~36のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項38〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品に結合され、上記可撓性支持ユニットは、上記可撓性支持ユニットが上記哺乳動物に取り付けられると、上記熱電部品が上記標的野に隣接して配置されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~37のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項39〕 上記可撓性支持ユニットは、上記哺乳動物に取り付けられると、圧縮力を上記標的野に及ぼすよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~38のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項40〕 上記微小特徴部は、10ミクロン~1,000ミクロンだけ互いに間隔を置いて配置されていることを特徴とする実施態様項1~39のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項41〕 上記微小特徴部は、上記チャンバ内に設けられたピンであることを特徴とする実施態様項1~40のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項42〕 上記微小特徴部は、5ミクロン~250ミクロンだけ互いに間隔を置いて配置されていることを特徴とする実施態様項1~41のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項43〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品が上記標的野に隣接して位置するよう上記哺乳動物によって着用されるよう構成された可撓性弾性材料から成り、上記熱電部品および上記蒸発器は、上記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持されることを特徴とする実施態様項1~42のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項44〕 上記熱電部品に電気的に結合された携帯型電源をさらに有し、上記システムは、上記哺乳動物によって携帯可能に着用されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~43のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項45〕 上記電源は、上記可撓性支持ユニットに取り付けられていることを特徴とする実施態様項44記載の熱伝達器具。
〔実施態様項46〕 上記電源は、上記可撓性支持ユニットとは別体であって、導電線によって上記熱電部品に電気的に結合されていることを特徴とする実施態様項44記載の熱伝達器具。
〔実施態様項47〕 上記可撓性支持ユニットは、上記標的野に巻き付けられるよう構成された弾性包帯および上記弾性包帯を保持して圧縮力を上記哺乳動物に及ぼすよう構成された締結具付きのストラップを有することを特徴とする実施態様項1~46のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項48〕 上記接触部材は、金属シートを含むことを特徴とする実施態様項1~47のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項49〕 上記接触部材は、(a)上記熱電部品の上記第1の側部に取り付けられた第1の側部と、第2の側部とを備えた金属シート、および(b)上記金属シートの上記第2の側部に設けられた非金属接触材料を含むことを特徴とする実施態様項1~48のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項50〕 上記可撓性支持ユニットは、上記接触部材を覆って設けられた裏材料をさらに有し、上記熱電部品は、上記裏材料内に埋め込まれていることを特徴とする実施態様項1~49のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項51〕 上記可撓性支持ユニットは、複数のポケットを構成する裏材料をさらに有し、上記熱電部品は、上記裏材料の上記ポケット内に設けられていることを特徴とする実施態様項1~50のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項52〕 上記蒸発器の半径方向外方に位置決めされた圧力調節部材をさらに有し、上記圧力調節部材は、上記熱伝達器具により上記標的組織に加えられる上記圧縮力を増加させるとともに/または減少させるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~51のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項53〕 上記熱伝達器具は、疼痛、腫脹、ほてり、血液灌流の減少、神経連絡の減少、または脳卒中のうちの少なくとも1つを含む基礎症状を治療するよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~52のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項54〕 上記熱伝達器具は、上記哺乳動物の腕、脚、背中、肩、頭、または首領域に巻き付けられ、または上記哺乳動物の腕、脚、背中、肩、頭、または首領域に装着されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~53のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項55〕 作動中、上記熱伝達器具は、上記標的野を少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、または少なくとも5mmの冷却深さまで冷却するよう構成されていることを特徴とする実施態様項1~54のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項56〕 個々の熱電部品は、他の個々の熱電部品とは異なる向きを呈することを特徴とする実施態様項1~55のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項57〕 個々の流体分配ネットワークは、他の個々の流体分配ネットワークとは異なる向きを呈することを特徴とする実施態様項1~56のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項58〕 哺乳動物の疼痛および/または腫脹を治療する器具であって、
互いに間隔を置いた状態でアレイをなして配列された熱電部品を有し、個々の熱電部品は、哺乳動物の標的野に熱的に結合されるよう構成された第1の側部および上記第1の側部とは反対側の第2の側部を有し、
凝縮器およびアレイ状の蒸発器を含む熱伝達システムを有し、個々の蒸発器は、対応の熱電部品の上記第2の側部に熱結合されるとともに、上記凝縮器に流体結合され、上記蒸発器の各々は、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)上記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、上記微小特徴部は、上記作動流体に加わる毛管力を生じさせ、上記毛管力は、上記チャンバの上記入口領域から上記チャンバの上記出口領域に駆動し、
熱電部品に結合された可撓性支持ユニットを有し、上記可撓性支持ユニットは、上記哺乳動物に取り付けられると、上記熱電部品が上記標的組織に隣接して位置するように配置され、上記可撓性支持ユニットは、圧縮力を上記標的野に及ぼすよう構成され、
上記標的野と関連した温度を測定するよう上記熱電部品に対して位置決めされ温度センサを有し、
上記熱電部品に結合されたコントローラを有し、上記コントローラは、上記熱電部品および上記熱伝達システムを作動させるよう構成され、その結果、上記熱伝達システムは、上記熱電部品の上記第2の側部を第1の温度に冷却するとともに、上記熱電部品は、上記標的野を0.5~20秒以内に第2の温度まで変化させるようになっており、上記第2の温度は、上記第1の温度の±40℃~-20℃であることを特徴とする熱伝達器具。
〔実施態様項59〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品の上記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性の生体適合性の可撓性接触部材を有し、上記接触部材は、上記哺乳動物の上記標的野からの熱伝達および上記哺乳動物の上記標的野への熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であることを特徴とする実施態様項58記載の熱伝達器具。
〔実施態様項60〕 上記接触部材は、金属シートを含むことを特徴とする実施態様項58または59のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項61〕 上記可撓性支持ユニットは、上記哺乳動物に取り付けられると圧縮力を上記標的野に及ぼすよう構成されていることを特徴とする実施態様項58~60のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項62〕 上記熱伝達システムは、上記蒸発器を含む二相熱伝達ユニットであり、上記熱電部品と上記二相熱伝達ユニットは、一緒になった状態で、上記熱電部品を通る上記接触部材からの熱流方向に沿って測定して1mm~25mmの高さを有することを特徴とする実施態様項58~61のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項63〕 (i)上記二相熱伝達ユニットを上記熱電部品の上記第2の側部のところで40℃~-20℃の第1の温度に設定するとともに/あるいは(ii)上記熱電部品を作動させて、上記接触部材を1~10秒で20℃~40℃の第2の温度まで加熱するよう構成されたコントローラをさらに有することを特徴とする実施態様項62記載の熱伝達器具。
〔実施態様項64〕 上記二相熱伝達ユニットは、上記熱電部品からの上記熱流の方向で測定して1mm~8mmの厚さを有することを特徴とする実施態様項62記載の熱伝達器具。
〔実施態様項65〕 上記チャンバは、上記チャンバの上記入口領域から上記チャンバの上記出口領域まで延びる上記微小特徴部の壁によって画定されたチャネルを有することを特徴とする実施態様項58~64のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項66〕 上記微小特徴部は、上記チャンバ内に設けられたピンであることを特徴とする実施態様項58~65のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項67〕 上記微小特徴部は、5ミクロン~250ミクロンだけ互いに間隔を置いて配置されていることを特徴とする実施態様項58~66のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項68〕 上記可撓性支持ユニットは、上記哺乳動物によって着用されるよう構成された可撓性弾性材料から成り、上記熱電部品および上記蒸発器は、上記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持されることを特徴とする実施態様項58~67のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項69〕 上記可撓性支持ユニットは、上記標的野に巻き付けられるよう構成された弾性包帯および上記弾性包帯を保持して圧縮力を上記哺乳動物に及ぼすよう構成された締結具付きのストラップを有することを特徴とする実施態様項58~68のうちいずれか一に記載の熱伝達器具。
〔実施態様項70〕 熱を哺乳動物に伝達するとともに/あるいは熱を哺乳動物から伝達する方法であって、
熱伝達器具を用意するステップを含み、上記熱伝達器具は、
各々が、第1の側部、および上記第1の側部と反対側の第2の側部を備えた熱電部品を有し、
各々が対応の熱電部品の上記第2の側部に熱結合されるとともに、凝縮器に流体結合された蒸発器のアレイを有し、作動中、上記蒸発器内にある作動流体が液相から気相に移って、対応の上記熱電部品からの熱伝達を可能にし、
上記熱電部品の上記第1の側部に結合されるとともに少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる可撓性支持ユニットを有し、上記可撓性支持ユニットは、上記哺乳動物からの熱伝達を促進するよう構成された熱拡散器であり、
上記哺乳動物の標的野を覆って上記熱伝達器具を配置するステップを含み、(i)上記可撓性支持ユニットが上記標的野周りに少なくとも部分的に設けられて、圧縮力を上記標的野に及ぼし、(ii)上記熱伝達器具の上記熱電部品が上記標的野に熱的に結合されるようになっており、
上記熱伝達器具に作動的に結合されたコントローラにより、上記熱伝達器具の作動モードを開始し、それにより、熱が上記哺乳動物の上記標的野から上記熱伝達器具に伝わって、上記標的野を冷却することを特徴とする方法。
〔実施態様項71〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品の上記第1の側部に結合されるとともに、少なくとも個々の熱電部品相互間に延びる熱伝導性の可撓性部材を有し、上記熱電部品は、上記接触部材により上記標的野に熱的に結合されていることを特徴とする実施態様項70記載の方法。
〔実施態様項72〕 上記標的野を覆って上記熱伝達器具を配置する上記ステップは、上記接触部材を上記哺乳動物に直接当てて配置するステップを含むことを特徴とする実施態様項70または71記載の方法。
〔実施態様項73〕 上記作動モードを開始する上記ステップは、上記熱伝達ユニットを-20℃~40℃の温度に設定するステップを含むことを特徴とする実施態様項70または71のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項74〕 上記作動モードを開始することにより、上記熱伝達器具は、上記標的野を1~10秒で-20℃~40℃の温度まで冷却するステップを含むことを特徴とする実施態様項70~73のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項75〕 上記作動モードは、第1の作動モードであり、上記方法は、第2の作動モードを開始するステップをさらに含み、上記第2の作動モード中、熱が上記熱伝達器具により上記標的野に提供されることを特徴とする実施態様項74記載の方法。
〔実施態様項76〕 上記可撓性支持ユニットは、上記熱電部品が上記標的野に隣接して位置するよう上記哺乳動物によって着用されるよう構成された弾性材料から成り、上記熱電部品および上記蒸発器は、上記可撓性支持ユニットによって直接的にか間接的にかのいずれかの仕方で支持されることを特徴とする実施態様項70~75のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項77〕 上記可撓性支持ユニットは、(a)上記熱電部品の上記第1の側部に取り付けられた第1の側部と、第2の側部とを備えた金属シート、および(b)上記金属シートの上記第2の側部に設けられた非金属接触材料を含むことを特徴とする実施態様項70~76のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項78〕 上記蒸発器は各々、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)上記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、上記作動を開始することにより、上記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、上記毛管力は、上記作動流体を上記チャンバの上記入口領域のところの液相の状態から上記チャンバの上記出口領域のところの気相の状態に駆動することを特徴とする実施態様項70~77のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項79〕 上記標的野は、上記哺乳動物の腕、脚、下半身、または上半身の領域を含み、上記標的野を覆って上記熱伝達器具を配置する上記ステップは、上記可撓性支持ユニットが上記標的野に完全に巻き付けられるよう上記熱伝達器具を配置するステップを含むことを特徴とする実施態様項70~78のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項80〕 哺乳動物の眼領域のところに配置されるよう構成されたウェアラブル型熱伝達システムであって、上記システムは、
上記眼領域の標的野と熱的接触状態にある熱伝導性部材を含み、
互いに間隔を置いて配置されるとともに、上記熱伝導性部材を覆って設けられた熱電部品を有し、個々の熱電部品は、上記熱伝導性部材に熱的に結合された第1の側部、および上記第1の側部と反対側の第2の側部を有し、
上記熱伝導性部材を覆って設けられた熱伝達ユニットを含み、上記熱伝達ユニットは、上記熱伝導性部材と上記熱伝達ユニットの少なくとも一部との間に位置し、上記熱伝達ユニットは、各々が対応の熱電部品を覆って設けられた流体分配ネットワーク、および上記流体分配ネットワークに流体結合された熱交換器を有し、上記熱伝達システムは、熱を上記熱電部品から奪うよう構成されていることを特徴とする熱伝達システム。
〔実施態様項81〕 上記熱伝導性部材は、上記哺乳動物の目の下の領域上に直接配置されるよう構成されていることを特徴とする実施態様項80記載の熱伝達システム。
〔実施態様項82〕 上記熱伝導性部材は、金属、金属合金、ポリマー、および/またはシリコーンから成るプレートであることを特徴とする実施態様項80または81記載の熱伝達システム。
〔実施態様項83〕 上記流体分配ネットワークは各々、蒸発器を有し、上記蒸発器の各々は、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)上記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、上記微小特徴部は、上記作動流体に加わる毛管力を生じさせ、上記毛管力は、上記作動流体を上記チャンバの上記入口領域から上記チャンバの上記出口領域に駆動することを特徴とする実施態様項80~82のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項84〕 上記熱電部品は各々、携帯型電源およびコントローラに接続され、その結果、個々の熱電部品を10℃~0℃の所望の温度で作動させるよう設定することができることを特徴とする実施態様項80~83のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項85〕 上記熱伝達システムは、目の下の腫れ、目の下の涙袋、目の周りのくま、または目のくぼみのうちの少なくとも一つを治療するよう構成されていることを特徴とする実施態様項80~84のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項86〕 上記熱伝導性部材または上記熱伝達ユニットのうちの少なくとも一方は、三日月の形をしていることを特徴とする実施態様項80~85のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項87〕 上記熱伝導性部材の上面および/または下面は、凹状の形状を有することを特徴とする実施態様項80~86のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項88〕 上記TECまたは上記標的野のうちの少なくとも一方の温度を測定するよう構成されたセンサをさらに含むことを特徴とする実施態様項80~87のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項89〕 上記熱伝導性部材、上記熱電部品、および上記熱伝達ユニットは、熱伝達器具を構成し、上記熱伝達システムは、上記哺乳動物によって着用されるとともに、上記熱伝達器具に取り付けられるよう構成されたフレームを有する眼用器具をさらに含み、上記フレームが上記哺乳動物によって着用されると、上記熱伝達器具は、上記標的野のところに位置決めされることを特徴とする実施態様項80~88のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
〔実施態様項90〕 上記流体分配ネットワークは各々、蒸発器を含み、上記蒸発器の各々は、(a)入口領域および出口領域を備えたチャンバ、および(b)上記チャンバ内に互いに間隔を置いて配置された微小特徴部を有し、作動中、上記微小特徴部は、作動流体に加わる毛管力を生じさせ、上記毛管力は、上記作動流体を上記チャンバの上記入口領域から上記チャンバの上記出口領域に駆動し、
上記熱伝達ユニットは、(i)上記蒸発器と流体連通状態にあり、かつ上記液体作動流体を上記蒸発器の各々の上記チャンバに供給するよう構成された液体分配通路、および(ii)上記蒸発器と流体連通状態にあり、かつ上記作動流体を上記蒸発器の各々の上記チャンバから収集するよう構成された蒸気収集通路を有し、
上記熱伝達システムは、上記哺乳動物によって着用されるよう構成されたフレームを有する眼用器具をさらに含み、上記液体分配通路または上記蒸気収集通路のうちの少なくとも一部は、上記フレーム上にまたは上記フレーム内に設けられることを特徴とする実施態様項80~89のうちいずれか一に記載の熱伝達システム。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
【国際調査報告】