(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】神経変性疾患に対するバイオマーカに関する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20240214BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240214BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20240214BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527275
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 IB2021000754
(87)【国際公開番号】W WO2022090804
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523161217
【氏名又は名称】アナカリプシス セラピューティクス,アイケーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライドアウト,ハーディー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA11
2G045CA25
2G045DA36
2G045FB03
(57)【要約】
【解決手段】複数のバイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を判断することにより、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがある個体において臨床決定を下すための方法を本明細書において提供する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、前記神経変性疾患または障害に進行する危険性がある個体において臨床決定を下すための方法であって、
a)前記神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、前記神経変性疾患または障害に進行する危険性がある前記個体から得られた生体試料に対してアッセイを行って、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を判断する工程と、
b)LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29の前記レベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて前記臨床決定を下す工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記臨床決定が、前記個体に対する予後を判断することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記臨床決定が、臨床試験に対する前記個体の適格性を判断することである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記臨床決定が、臨床試験を設計することである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記臨床試験が、前臨床試験、第I相臨床試験、第II相臨床試験および第III相臨床試験からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記臨床決定が、薬物スクリーニングに関係している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記臨床決定が、用量設定に関係している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記臨床決定が、臨床試験における薬物の効能を判断することである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記臨床決定が、治験化合物の標的結合を測定することである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記臨床決定が、治験化合物の臨床試験のための除外基準、選定基準またはそれら両方を判断することである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記臨床決定が、前記個体が前記神経変性疾患または障害を発症する危険性を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記臨床決定が、前記個体における前記神経変性疾患または障害の病期を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記臨床決定が、前記個体における前記神経変性疾患または障害の重症度を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記臨床決定が、神経変性疾患または障害治療を判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記臨床決定が、前記神経変性疾患または障害治療のエンドポイントを判断することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29の前記レベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて、前記神経変性疾患または障害治療に対する前記個体の反応性を判断することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記神経変性疾患または障害治療に対する前記個体の反応性を判断することが、前記神経変性疾患または障害治療に対する有害反応の可能性を判断することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記神経変性疾患または障害治療に対する前記個体の反応性を判断することが、前記神経変性疾患または障害治療に対する有益反応の可能性を判断することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29の前記レベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて、前記神経変性疾患または障害治療を修正することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記個体が前記神経変性疾患または障害治療を受けた後、前記個体からの生体試料に工程(a)から(c)を繰り返すことと、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29の前記レベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化の監視により、前記神経変性疾患または障害治療の有効性を監視することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記神経変性疾患または障害治療は、小分子、免疫療法、遺伝子治療、非薬物療法、抗体、抗原結合フラグメント、RNA阻害剤(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物、および、それらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記アッセイでは、総タンパク質、リン酸化タンパク質または凝集タンパク質を測定する、請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記凝集タンパク質が、アモルファス凝集、オリゴマー、フィブリルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レベルが濃度である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記レベルが、総タンパク質に対するリン酸化の比率である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記LRRK2が総LRRK2である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記LRRK2がpS935-LRRK2である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記LRRK2がpS1292-LRRK2である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記アルファシヌクレインが、総アルファシヌクレインである、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記アルファシヌクレインが、pS129アルファシヌクレインである、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記アルファシヌクレインが、凝集アルファシヌクレインである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記Rab8aが総Rab8aである、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記Rab8aがpT72-Rab8aである、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記Rab10が総Rab10である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記Rab10がpT73-Rab10である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記Rab12が総Rab12である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記Rab12がpS106-Rab12である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記Rab29が総Rab29である、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記Rab29がpT71-Rab29である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29のレベルを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記アッセイがイムノアッセイである、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記アッセイが、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、化学発光法、吸光度およびクロマトグラフィーからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記アッセイが酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質に対する抗体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質に対する抗体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29に対する抗体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記ELISAが、単一のウェル内の総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29に対する抗体を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記生体試料が、全血、特定の血球サブタイプ、血漿、血清、尿、脳脊髄液、涙液、唾液、皮膚およびエクソソームからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記特定の血球サブタイプが、末梢血単核細胞(PBMC)、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および赤血球からなる群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記神経変性疾患または障害が、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核症候群、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、多発性硬化症(MS)、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、脊髄小脳失調症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ハンチントン病(HD)、レビー小体病、フリードライヒ運動失調症およびシヌクレイノパチーからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記神経変性疾患または障害が、パーキンソン病である、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記パーキンソン病が、家族性パーキンソン病である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記パーキンソン病が、散発性パーキンソン病である、請求項52に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2020年10月30日提出のギリシャ出願第20200100660号の利益を主張するものであり、上記出願は、参照により全体として組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書において、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体における臨床決定を下すための方法であって、a)神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体から生体試料を得る工程と、b)生体試料に対してアッセイを行って、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を判断する工程と、c)LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づき臨床決定を下す工程とを含む方法を提供する。本明細書において、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体における臨床決定を下すための方法であって、a)神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体から得られた生体試料に対してアッセイを行って、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を判断する工程と、b)LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づき臨床決定を下す工程とを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、個体に対する予後を判断することである方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、臨床試験に対する個体の適格性を判断することである方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、臨床試験を設計することである方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床試験が、前臨床試験、第I相臨床試験、第II相臨床試験および第III相臨床試験からなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、薬物スクリーニングに関係している方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、用量設定に関係している方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、臨床試験における薬物の効能を判断することである方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、治験化合物の標的結合を測定することである方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、治験化合物の臨床試験のための除外基準、選定基準またはそれら両方を判断することである方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、個体が神経変性疾患または障害を発症する危険性を判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、個体における神経変性疾患または障害の病期を判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、個体における神経変性疾患または障害の重症度を判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、神経変性疾患または障害治療を判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、臨床決定が、神経変性疾患または障害治療のエンドポイントを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて、神経変性疾患または障害治療に対する個体の反応性を判断することをさらに含む方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害治療に対する個体の反応性を判断することが、神経変性疾患または障害治療に対する有害反応の可能性を判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害治療に対する個体の反応性を判断することが、神経変性疾患または障害治療に対する有益反応の可能性を判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて、神経変性疾患または障害治療を修正することをさらに含む方法を提供する。さらに、本明細書において、個体が神経変性疾患または障害治療を受けた後、個体からの生体試料により工程(a)から(c)を繰り返すことと、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化を監視することにより、神経変性疾患または障害治療の有効性を監視することと、をさらに含む方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害治療は、小分子、免疫療法、遺伝子治療、非薬物療法、抗体、抗原結合フラグメント、RNA阻害剤(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物、および、それらの組み合わせからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイでは、総タンパク質、リン酸化タンパク質または凝集タンパク質を測定する方法を提供する。さらに、本明細書において、凝集タンパク質が、アモルファス凝集、オリゴマー、フィブリルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、レベルが濃度である方法を提供する。さらに、本明細書において、レベルが、総タンパク質に対するリン酸化の比率である方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2が総LRRK2である方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2がpS935-LRRK2である方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2がpS1292-LRRK2である方法を提供する。さらに、本明細書において、アルファシヌクレインが、総アルファシヌクレインである方法を提供する。さらに、本明細書において、アルファシヌクレインが、pS129アルファシヌクレインである方法を提供する。さらに、本明細書において、アルファシヌクレインが、凝集アルファシヌクレインである方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab8aが総Rab8aである方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab8aがpT72-Rab8aである方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab10が総Rab10である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab10がpT73-Rab10である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab12が総Rab12である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab12がpS106-Rab12である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab29が総Rab29である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab29がpT71-Rab29である方法を提供する。さらに、本明細書において、工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29のレベルを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイがイムノアッセイである方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイが、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、化学発光法、吸光度法およびクロマトグラフィーからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイが酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)である方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、単一のウェル内の総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、生体試料が、全血、特定の血球サブタイプ、血漿、血清、尿、脳脊髄液、涙液、唾液、皮膚およびエクソソームからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、特定の血球サブタイプが、末梢血単核細胞(PBMC)、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および赤血球からなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害が、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核症候群、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、多発性硬化症(MS)、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、脊髄小脳失調症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ハンチントン病(HD)、レビー小体病、フリードライヒ運動失調症およびシヌクレイノパチーからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害が、パーキンソン病である方法を提供する。さらに、本明細書において、パーキンソン病が、家族性パーキンソン病である方法を提供する。さらに、本明細書において、パーキンソン病が、散発性パーキンソン病である方法を提供する。
【0003】
本明細書において、a)神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体から生体試料を得る工程と、b)生体試料に対してアッセイを行って、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を判断する工程とを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイでは、総タンパク質、リン酸化タンパク質または凝集タンパク質を測定する方法を提供する。さらに、本明細書において、凝集タンパク質が、アモルファス凝集、ダイマー、オリゴマー、フィブリルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、レベルが濃度である方法を提供する。さらに、本明細書において、レベルが、総タンパク質に対するリン酸化の比率である方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2が総LRRK2である方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2がpS935-LRRK2である方法を提供する。さらに、本明細書において、LRRK2がpS1292-LRRK2である方法を提供する。さらに、本明細書において、アルファシヌクレインが、総アルファシヌクレインである方法を提供する。さらに、本明細書において、アルファシヌクレインが、pS129アルファシヌクレインである方法を提供する。さらに、本明細書において、アルファシヌクレインが、凝集アルファシヌクレインである方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab8aが総Rab8aである方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab8aがpT72-Rab8aである方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab10が総Rab10である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab10がpT73-Rab10である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab12が総Rab12である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab12がpS106-Rab12である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab29が総Rab29である方法を提供する。さらに、本明細書において、Rab29がpT71-Rab29である方法を提供する。さらに、本明細書において、工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、工程b)が、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29のレベルを判断することを含む方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイがイムノアッセイである方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイが、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、化学発光法、吸光度法およびクロマトグラフィーからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、アッセイが酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)である方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、ELISAが、単一のウェル内の総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29に対する抗体を含む方法を提供する。さらに、本明細書において、生体試料が、全血、特定の血球サブタイプ、血漿、血清、尿、脳脊髄液、涙液、唾液、皮膚およびエクソソームからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、特定の血球サブタイプが、末梢血単核細胞(PBMC)、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および赤血球からなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害が、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核症候群、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、多発性硬化症(MS)、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、脊髄小脳失調症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ハンチントン病(HD)、レビー小体病、フリードライヒ運動失調症およびシヌクレイノパチーからなる群より選択される方法を提供する。さらに、本明細書において、神経変性疾患または障害が、パーキンソン病である方法を提供する。さらに、本明細書において、パーキンソン病が、家族性パーキンソン病である方法を提供する。さらに、本明細書において、パーキンソン病が、散発性パーキンソン病である方法を提供する。
【0004】
参照による組み込み
本明細書において記載される公報、特許および特許出願はすべて、個々の公報、特許または特許出願の各々が、参照により組み込まれると特定して個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本特許または本出願ファイルは、少なくとも1枚のカラー図面を含んでいる。カラー図面付きの本特許または特許出願公開公報のコピーは、申請および所定の手数料の納付により庁から提供される。
【
図1】本明細書に記載されている方法の概略図である。
【
図2A】末梢血単核細胞(PBMC)抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性を示す図である。
【
図2B】末梢血単核細胞(PBMC)抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性を示す図である。
【
図2C】末梢血単核細胞(PBMC)抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性を示す図である。
【
図2D】末梢血単核細胞(PBMC)抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性を示す図である。
【
図2E】末梢血単核細胞(PBMC)抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性を示す図である。
【
図2F】末梢血単核細胞(PBMC)抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性を示す図である。
【
図3A】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図3B】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図3C】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図3D】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図3E】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図3F】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図3G】細胞株およびヒトPBMCにおけるpS935-LRRK2のELISAを示す図である。
【
図4】健康な対照被験者または特発性パーキンソン病(PD)の被験者もしくはPDを有する場合とそうでない場合のG2019S LRRK2突然変異キャリアから得られたPBMCの抽出物におけるThr73のRab10(上部パネル)および総Rab10(下部パネル)のリン酸化のウェスタンブロットを示す図である。
【
図5A】PBMC抽出物からのウェスタン免疫ブロットのバンド強度の定量化を示す図である。
【
図5B】PBMC抽出物からのウェスタン免疫ブロットのバンド強度の定量化を示す図である。
【
図6】PBMC抽出物に対して行われたウェスタン免疫ブロットを示す図である。
【
図7A】さまざまな希釈倍率(1:27、1:9および1:3)での総LRRK2の定量化を示す図である。
【
図7B】さまざまな希釈倍率(1:27、1:9および1:3)でのpS935-LRRK2の定量化を示す図である。
【
図7C】さまざまなCSF試料条件でのpS935-LRRK2レベルの定量化を示す図である。
【
図8】MLi-2処理後のpS935-LRRK2レベルを示す図である。
【
図9】過剰発現したWTヒトLRRK2の検出における2種類の希釈剤を比較したデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
神経変性疾患および障害は、中枢神経系または末梢神経系の構造および機能の進行性変性により特徴づけられる疾患および障害の異種群を含む。効果的な処置および臨床意思決定には、関連するタンパク質マーカーのレベルおよび変化を正確に検出することが必要である。本明細書において、神経変性疾患および障害に関連するバイオマーカと、神経変性疾患および障害に関連するバイオマーカを検出する方法、ならびに、神経変性疾患または障害を有する疑いがあるか、これを有する個体のための臨床決定用に当該バイオマーカを用いる方法とを説明する。
【0007】
特定の用語
本開示を通して、さまざまな実施形態が範囲形式で表示されている。範囲形式での記載は、便宜および簡潔さのために過ぎず、いかなる実施形態の範囲に対しても確固たる限定とは解釈されるべきでないことは理解されねばならない。よって、範囲の記載は、文脈上明らかに別の意味に解されるのでない限り、あり得るすべての部分範囲、および、その範囲内の下限の単位の小数第1位まで個々の数値を特定して開示したものと考えられねばならない。例えば、1から6までといった範囲の記載は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までなどといった部分範囲、および、その範囲内の、例えば、1.1、2、2.3、5および5.9などの個々の数値を特定して開示したものと考えられねばならない。これは、範囲の広さに関わらず該当する。これらの介在範囲の上限および下限は、より狭い範囲に独立して含まれていてもよく、かつ、本発明内にも包含されているが、記述された範囲において特定して除外された任意の限界に従うものとする。記述された範囲がこれら限界の一方または両方を含む場合、それら含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、文脈上明らかに別の意味に解されるのでない限り、本発明に含まれる。
【0008】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のものであり、いかなる実施形態をも限定する意図はない。本明細書において用いられているように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別の意味を示すのでない限り、複数形をも含むものと意図されている。さらに、本明細書で用いられる場合、「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、記述されている特徴、整数、工程、動作、構成要素および/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、構成要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことは理解されるであろう。本明細書において用いられているように、「および/または」という用語は、関連する列挙項目のうちの1つ以上のあらゆるすべての組み合わせを含む。
【0009】
特定して記述されているか、文脈上明白でない限り、本明細書において用いられているように、ある数字または数字の範囲に関する「約」という用語は、記述されている数字およびそのプラスマイナス10%の数字、または、ある範囲に対して挙げられている値の挙げられている下限を10%下回る数字および挙げられている上限を10%上回る数字を意味するものと理解される。
【0010】
「個体」、「患者」または「被験者」という用語は、言い換え可能に用いられる。用語はいずれも、医療従事者(例えば、医師、正看護師、ナースプラクティショナー、医師助手、用務職員またはホスピス職員)の(例えば、常時または断続的)監督によって特徴づけられる状況を必要とせず、これに限定もされない。さらに、これらの用語は、ヒトまたは動物の被験者を指す。
【0011】
「処置する(Treating)」または「処置(treatment)」は、治療上の処置と予防のまたは防止する手段との両方を指し、その目的は、対象となる病態または障害の進行を防止するか、停止させるか、減速(減少)させることである。処置の必要な人々には、すでに障害を有する人々のみならず、障害を生じやすい人々、または障害が防止されるべき人々も含まれる。例えば、被験者または哺乳動物は、以下の場合にADに対する「処置」が成功したとされる。すなわち、ある治療量の治療薬の投与を受けた後、被験者が、ADの1つ以上の症状の観測可能かつ/または測定可能な低減もしくは軽減または消失、罹患率および/または死亡率の低下、ならびに生活の質の問題の改善を示す場合である。
【0012】
本明細書において用いられている「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫活性部分、例えば、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指す。この用語はまた、2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖と、全長抗体およびその部分を含むさまざまな形式とを含む抗体を指す。例えば、免疫グロブリン分子、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、F(ab)2、Fv、scFv、IgGΔCH2、F(ab’)2、scFv2CH3、F(ab)、VL、VH、scFv4、scFv3、scFv2、dsFv、Fv、scFv-Fc、(scFv)2、ジスルフィド結合したFv、単一ドメイン抗体(dAb)、「ナノボディ」、ダイアボディ、多重特異性抗体、二重特異性抗体、抗イディオタイプ抗体、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)、(限定はされないが、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMを含む)任意のアイソタイプ、修飾抗体、および、(限定はされないが、非枯渇性IgG抗体、T-bodyまたは抗体のその他のFcもしくはFab変異体を含む)合成抗体を含むものである。
【0013】
他に定義されない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本明細書に記載される方法および組成物が属する分野における当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等のあらゆる方法および材料を、本明細書に記載される方法および組成物の実用や試験にも使用可能であるが、代表的かつ例示的な方法および材料を以下に説明する。
【0014】
本開示の方法
パーキンソン病(PD)といった神経変性疾患または障害は、複雑な疾患および障害であり、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがある個体において臨床決定を下すには、正確かつ包括的なバイオマーカが必要である。本明細書において、PDといった神経変性疾患または障害に関連するバイオマーカと、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがある個体における臨床決定への使用に対して高精度かつ特化したバイオマーカを検出する方法とを説明する。
【0015】
図1は、本明細書に記載されている方法の概略を例示する図である。試料採取工程101において、個体から生体試料を採取する。個体は、神経変性疾患または障害(例えば、パーキンソン病)を有していてもよい。いくつかの例において、個体は、神経変性疾患または障害(例えば、パーキンソン病)を有する疑いがある。いくつかの例において、個体は、そのような神経変性疾患または障害を発症する潜在的な遺伝的素因を有していてもよい。いくつかの例において、個体は、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核症候群、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、多発性硬化症(MS)、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、脊髄小脳失調症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ハンチントン病(HD)、レビー小体病、フリードライヒ運動失調症およびシヌクレイノパチーからなる群より選択される神経変性疾患または障害を有する。いくつかの例において、生体試料は、全血、特定の血球サブタイプ、血漿、血清、尿、脳脊髄液、涙液、唾液、皮膚およびエクソソームからなる群より選択される。いくつかの例において、生体試料は、エクソソームを含まない試料である。いくつかの例において、特定の血球サブタイプは、末梢血単核細胞(PBMC)、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および赤血球からなる群より選択される。次いで、試料処理工程103において、生体試料を分析する。いくつかの例において、試料処理工程は、生体試料からの血球分離またはエクソソーム分離を含む。いくつかの例において、エクソソームは、血漿、血清、尿および脳脊髄液からなる群より抽出される。いくつかの例において、試料処理工程は、タンパク質の抽出を含む。いくつかの例において、試料処理工程は、界面活性剤(例えば、サポニン)または洗剤の使用を含む。いくつかの例において、試料処理工程103に続き、アッセイ工程105において、バイオマーカについて生体試料を分析する。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、アッセイでは、総タンパク質、リン酸化タンパク質または凝集タンパク質を測定する。いくつかの例において、凝集タンパク質は、アモルファス凝集、ダイマー、オリゴマー、フィブリルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの例において、レベルは、濃度である。いくつかの例において、レベルは、総タンパク質に対するリン酸化の比率である。いくつかの例において、LRRK2は、総LRRK2である。いくつかの例において、LRRK2は、pS935-LRRK2である。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29を分析する。さまざまなアッセイを用いることができる。いくつかの場合、アッセイは、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、単一分子ELISA、化学発光法、吸光度法およびクロマトグラフィーからなる群より選択される。いくつかの場合、アッセイは、イムノアッセイである。いくつかの例において、アッセイは、ELISAアッセイである。いくつかの場合、アッセイでは、1ミリリットル当たり少なくとももしくは約0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または20マイクログラム(ug/mL)を上回るタンパク質を検出する。いくつかの場合、アッセイでは、約0.0001から約10、0.0001から約5、0.0001から約1、0.0001から約0.1、0.0002から約10、0.0002から約5、0.0002から約1、0.0002から約0.1、0.0005から約10、0.0005から約5、0.0005から約1、0.0005から約0.1、0.001から約10、0.001から約5、0.001から約1、0.001から約0.1、0.005から約10、0.005から約5、0.005から約1、0.0005から約0.1、0.01から約10、0.01から約5、0.01から約1、0.01から約0.1、0.05から約10、0.05から約5、0.05から約1または0.05から約0.1の範囲を検出する。アッセイによるデータを収集および解析してもよい。いくつかの例において、アッセイによるデータを臨床スコアとともに用いる。いくつかの例において、データ、臨床スコアまたはそれら両方に基づき臨床決定を下す。バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を用いて、臨床決定を下すことができる。アッセイの結果を用いて、個人の診断、予後、薬物療法または予防治療を該個体のために判断するのに役立ててもよい。いくつかの例において、臨床決定は、臨床試験における医薬品開発に関する。例えば、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を、臨床試験の設計に影響させるよう用いる。臨床試験の設計について考慮すべき事項は、規模、選定基準、除外基準およびそれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。いくつかの例において、バイオマーカを用いて、治療に対する治療上の反応を予測する。いくつかの例において、バイオマーカを、縦断的研究に影響させるために用いる。いくつかの例において、臨床試験のアウトカムとしてバイオマーカを用いる。いくつかの例において、臨床試験における代替エンドポイントとしてバイオマーカを用いる。バイオマーカは、処置の適用タイミングを判断するために用いられてもよい。臨床試験は、前臨床試験、第I相臨床試験、第II相臨床試験および第III相臨床試験からなる群より選択されてもよい。
【0016】
本明細書において、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体における臨床決定を下すための方法であって、a)神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがあるか、これに進行する危険性がある個体から生体試料を得る工程と、b)生体試料に対してアッセイを行って、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を判断する工程と、c)LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づき臨床決定を下す工程とを含む方法を開示する。いくつかの例において、LRRK2は、総LRRK2である。いくつかの例において、LRRK2は、pS935-LRRK2である。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29を分析する。
【0017】
本明細書において、神経変性疾患または障害を有するか、有する疑いがある個体に対して臨床決定を下すための方法であって、該臨床決定が、個体に対する予後を判断することである方法を提供する。予後は、患者の疾患のアウトカム、回復の見込みまたは疾患がどのように進行するかを判断することを含み得る。
【0018】
いくつかの例において、臨床決定は、個体が神経変性疾患または障害を発症する可能性または危険性を判断することを含む。いくつかの例において、神経変性疾患または障害を発症する可能性または危険性は、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づくものであり、神経変性疾患または障害を発症する可能性が高まるのは、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方が、対照個体のコホートから由来する基準レベル、翻訳後修飾またはそれら両方と比較して上昇した時である。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、バイオマーカは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質である。
【0019】
いくつかの例において、神経変性疾患または障害を発症する可能性または危険性が、少なくとももしくは約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または95%を上回る割合で高まるのは、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方が、対照個体のコホートに由来する基準レベル、翻訳後修飾またはそれら両方と比較して上昇した時である。いくつかの例において、神経変性疾患または障害を発症する可能性または危険性が、少なくとももしくは約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍または10倍を上回る倍率で高まるのは、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方が、対照個体のコホートに由来する基準レベル、翻訳後修飾またはそれら両方と比較して上昇した時である。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、バイオマーカは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質である。
【0020】
いくつかの例において、神経変性疾患または障害を発症する可能性または危険性を判断するための本明細書に記載の方法は、神経学的検査、精神的試験または脳画像診断(例えば、MRI、CTまたはPETスキャン)を含む方法と比較して改善している。
【0021】
いくつかの例において、臨床決定は、神経変性疾患または障害の重症度を判断することを含む。いくつかの例において、疾患の重症度は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方と相関関係にある。いくつかの例において、疾患の重症度は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方と相関関係にある。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、疾患の重症度は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方と相関関係にある。
【0022】
本明細書において、さまざまな神経変性疾患または障害が想定されている。いくつかの実施形態において、神経変性疾患または障害は、パーキンソン病、多系統萎縮症(MSA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核症候群、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、多発性硬化症(MS)、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、脊髄小脳失調症(SCA)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、ハンチントン病(HD)、レビー小体病、フリードライヒ運動失調症およびシヌクレイノパチーからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、神経変性疾患または障害は、パーキンソン病である。いくつかの実施形態において、パーキンソン病は、家族性パーキンソン病である。いくつかの実施形態において、パーキンソン病は、散発性パーキンソン病である。
【0023】
本明細書において、個体における臨床決定を下すための方法であって、該臨床決定は、臨床試験に関係している方法を説明する。いくつかの例において、バイオマーカを用いて、臨床試験に関する臨床決定を下す。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、LRRK2は、pS935-LRRK2である。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、バイオマーカは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質である。
【0024】
いくつかの例において、臨床決定は、臨床試験に対する個体の適格性を判断することを含む。いくつかの例において、該方法を用いて、臨床試験を設計する。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、臨床試験における個体の登録基準に影響する。バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を用いて、臨床試験の規模、除外基準、選定基準またはそれらの組み合わせを判断してもよい。臨床試験においてテストされる治療は、疾患または病態を処置するために規制機関により認可承認された薬物を含む従来の処置とすることができる。あるいは、臨床試験においてテストされる治療は、非認可もしくは非承認薬物または薬物候補である薬剤であるか、いくつかの場合、臨床試験が実施される地域と同じ地域において売り出されていない認可承認された薬剤である。
【0025】
一般に、臨床試験は、数ある中で、(例えば、病態を初期に、または、その再発をいかにして防止するかといった)防止試験と、(例えば、病態の検出といった)スクリーニング試験と、(例えば、病態を診断するためのテストもしくは手順を研究または比較する)診断試験と、(例えば、新たな処置、治療、それらの組み合わせ、または、医療介入の新たなアプローチをテストする)処置試験と、行動試験と、(例えば、快適さおよび/または生活の質を向上させる方法を探り、測定または評価する)生活の質試験と、(例えば、代わりとなる効果的な処置が開発されていない場合の拡張参加または最終手段といった)特例使用試験とに分類されてきた。加えて、試験設計は、数ある中で、(例えば、参加者が試験に参加または試験を離脱する場合、設計により定められた固定基準にしたがった)固定試験と、(例えば、試験中に生成したデータを用いて、試験を設計し、かつ、中間データを用いて、試験の進行とともに該試験を修正する、例えば、投与量、試料サイズ、薬物(治療用)、患者選定基準などを修正してもよく、しばしばベイジアン実験設計を適用して、試験の進行を評価する)適応試験と、「複雑な革新的設計(complex innovative design)」(CID;適応、ベイジアンおよびその他の新規な統計的アプローチの使用を含む;例えば、米国FDAのCIDパイロットプログラムおよびCIDウェブページ、ならびに、これらの試験において用いられている例および戦略として他の規制機関により用いられている対応する説明を参照のこと)とに分類されてもよい。これらの特徴のいずれかまたはすべてが、本明細書に含まれてもよい。
【0026】
臨床試験のさまざまな特徴には、(例えば、参加者が、さまざまな研究群に無作為に割り当てられる場合といった)無作為化、(例えば、参加者が、選択肢となる処置のいずれを自らが受けるのか知らない場合といった)盲検、(例えば、参加者も研究者も、選択肢となる処置のいずれを自らが受けるのか知らない場合といった)二重盲検、または、(例えば、交互の期間において、複数の処置を(または処置間で)切り替えうる)ダブルダミーが含まれうる。
【0027】
バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて個体における臨床決定を下すための本明細書に記載の方法は、臨床試験において用いられる薬物の作用機序を判断することを含んでもよい。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、個体または個体のサブセットが、それらの特定の遺伝子構造からするとなぜ反応がよいのかを理解するために用いられる。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、所与の個体に対して、その個体の疾患特性を考慮して適切な治療を選択するために用いてもよい。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、所与の個体に対して、複数の治療が選択可能なときに適切な治療を選択するために用いられる。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、所与の個体に対して、その個体の疾患特性を考慮して特定の治療を選択すべきでないときを決定するために用いてもよい。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、例えば、まず初めに選ばれる特定の薬物を用いるなど慎重に選択された治療を患者が受けた際に、臨床上の寛解または優れた反応を達成するために用いられる。いくつかの例において、臨床決定は、治験化合物の標的結合を測定することである。いくつかの例において、臨床決定は、治験化合物の臨床試験のための除外基準、選定基準またはそれら両方を判断することである。
【0028】
バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を用いて、臨床決定を下すことができ、該臨床決定は、処置サイクル中に薬物の投薬およびスケジュールを判断することを含む。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を用いて、治療上の有効性を判断する。治療上の有効性は、薬物を含め治療が個体においてどれほどうまく奏功したか、または、個体が処置サイクル中もしくはその最後に処置にどれほどよく反応したかを含んでもよい。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、初めの選択が合理的な治療上の有効性を達成できなかった場合、例えば、機構原理などに基づき次善の選択として考慮されうる代替の治療(薬物)を選択するために用いられる。
【0029】
いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、臨床試験における代替エンドポイントとして用いられる。臨床試験の代替エンドポイントは、患者がどのように感じ、機能し、もしくは、生存するかを直接測定する臨床上意義深いエンドポイントの代わりとして用いられる研究室測定または身体的兆候として定義されてもよい。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、疾患の臨床初期または発症前段階における処置の承認を加速させるための代替エンドポイントとして用いられる。
【0030】
バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、調査研究において用いることができる。いくつかの実施形態において、調査研究は、縦断的研究である。いくつかの実施形態において、調査研究は、横断的研究である。
【0031】
バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、検査が処置に対する治療上の反応を予測するか否かを判断するために用いてもよい。例えば、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、ポジティブまたはネガティブベースライン検査が治療上の反応を予測するか否かを判断するために用いてもよい。
【0032】
本明細書では、いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて臨床試験のための個体を選択することが説明されている。いくつかの例において、1つ以上のバイオマーカは、臨床試験のための個体を選択するために用いられる。
【0033】
バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて臨床試験のための個体を選択した後、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化を監視することができる。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化は、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または95%を超える減少または増加である。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化は、少なくとももしくは約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍または10倍を超える減少または増加である。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年後または2年を超えた後に減少または増加する。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化は、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年後または2年を超えた後に、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または95%を超えて減少または増加する。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化は、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年後または2年を超えた後に、少なくとももしくは約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍または10倍を超えて減少または増加する。
【0034】
バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化は、神経変性疾患または障害のための治療後に監視することができる。いくつかの例において、治療は、小分子、免疫療法、遺伝子治療、非薬物療法、抗体、抗原結合フラグメント、RNA阻害剤(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物からなる群より選択される。
【0035】
いくつかの例において、臨床決定は、神経変性疾患または障害に対する治療のためのエンドポイントを判断することを含む。いくつかの例において、治療に対する個体の反応性は、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づく。治療に対する個体の反応性を判断することは、治療に対する有害反応の可能性を判断することを含んでもよい。いくつかの例において、治療に対する個体の反応性を判断することは、治療に対する有益反応の可能性を判断することを含む。
【0036】
本明細書において説明する方法は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づく治療を修正するために用いられてもよい。いくつかの例において、治療は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて修正される。いくつかの例において、治療は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質に基づいて修正される。例えば、1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、個体からの生体試料において1回目に測定し、次いで、1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、個体が治療を受けた後に2回目の測定を行う。いくつかの例において、1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を測定することは、1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方の変化の監視により治療の有効性を監視するために用いられる。該変化は、増加であってもよい。いくつかの例において、該変化は、減少である。
【0037】
本明細書では、いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて神経変性疾患または障害に対する治療をいつ導入すべきかを判断するための方法を説明する。バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、症状改善のために処置を導入すること、臨床的進行を減速させること、神経変性疾患または障害の臨床的徴候を防止すること、および、それらの組み合わせからなる群より選択される決定を判断するために用いられてもよい。
【0038】
いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて臨床試験のために選択される個体は、神経変性疾患または障害の症状を示す。いくつかの例において、該症状は、認知変化を含む。認知症状の例として、限定はされないが、精神的退化、思考および理解の困難、夕方の混乱、妄想、見当識障害、健忘症、作り話をすること、精神的錯乱、集中力欠如、新たな記憶形成ができないこと、簡単な計算ができないこと、および、ありふれたものを認識できないことが挙げられる。いくつかの例において、該症状は、認知症を含む。いくつかの例において、該症状は、行動に関するものである。いくつかの例において、行動症状は、攻撃、不穏、セルフケアの困難、易怒性、自分の言葉の無意味な繰り返し、人格の変化、落ち着きのなさ、自制の欠如、ならびに、徘徊および迷子からなる群より選択される。該症状は、怒り、無気力、一般的な不満、孤独および気分のむらといった気分の変化を含み得る。いくつかの例において、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて臨床試験のために選択される個体は、健常者である。
【0039】
いくつかの例において、治療は、バイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて施される。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質である。いくつかの例において、治療は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて施される。いくつかの例において、治療は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方に基づいて最適化される。いくつかの例において、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、処置前、処置中または処置後に測定される。例えば、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、処置の1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年前または2年を超えた期間前に測定される。いくつかの例において、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方は、処置の1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、2年後または2年が過ぎた後に測定される。
【0040】
本明細書において説明する方法は、生体試料にアッセイを行うことを含み得る。いくつかの例において、生体試料は、全血、特定の血球サブタイプ、血漿、血清、尿、脳脊髄液、涙液、唾液、皮膚およびエクソソームからなる群より選択される。いくつかの例において、生体試料は、エクソソームを含まない試料である。いくつかの例において、生体試料は、エクソソームを含まない脳脊髄液試料である。いくつかの例において、特定の血球サブタイプは、末梢血単核細胞(PBMC)、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および赤血球からなる群より選択される。生体試料は、静脈採血により得られる血液試料であり得る。生体試料は、指先穿刺採血により得られる血液試料であり得る。生体試料は、医療提供者により、または、被験者により採取できる。該方法は、被験者から生体試料を得ることを含み得る。いくつかの場合、生体試料は、医院または病院での受診中に被験者から採取される。
【0041】
生体試料は、分析前に試料処理工程において処理されてもよい。いくつかの実施形態において、生体試料は、分析前に希釈される。いくつかの実施形態において、生体試料から細胞を抽出する。いくつかの実施形態において、生体試料からエクソソームを抽出する。いくつかの例において、エクソソームは、血漿、血清、尿および脳脊髄液からなる群より抽出される。いくつかの実施形態において、生体試料からタンパク質を抽出する。いくつかの実施形態において、生体試料から核酸を抽出する。いくつかの実施形態において、核酸は、DNAである。いくつかの実施形態において、核酸は、RNAである。
【0042】
いくつかの実施形態において、生体試料は、有機溶媒、界面活性剤または低張水を用いて処理される。いくつかの実施形態において、生体試料は、有機溶媒、界面活性剤または低張水を用いて、エクソソームからタンパク質を遊離させて処理される。いくつかの実施形態において、前記有機溶媒は、メタノール、アセトン、フェノール、ベンゼンおよびトルエンのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態において、前記界面活性剤は、サポニン、トリトンX100、ツイーン20(Tween-20)、3-([3-コールアミドプロピル]ジメチルアンモニオ)-1-プロパンスルホネート水和物(CHAPS)細胞抽出緩衝液、NP-40、SDS、スパン80およびジギトニンのうちの1以上を含む。いくつかの実施形態において、前記界面活性剤は、サポニンを含む。いくつかの実施形態において、前記低張水は、超高純度ヌクレアーゼフリー水である。
【0043】
いくつかの実施形態において、タンパク質または核酸は、後続の分析に干渉しないあらゆる技術を用いて抽出される。例えば、核酸は、エタノール、メタノールもしくはイソプロピルアルコールを用いたアルコール沈殿、フェノール、クロロホルム、塩化セシウム、または、それらを組み合わせて用いて抽出される。いくつかの実施形態において、核酸は、ナトリウム、カリウムもしくは酢酸アンモニウム、または、DNAの沈殿に一般的に用いられるその他の塩を用いて抽出される。いくつかの実施形態において、核酸は、カラムベースまたはレジンベースの核酸精製により抽出される。いくつかの実施形態において、タンパク質は、細胞の溶解後に抽出される。いくつかの場合、細胞は、RIPA(ラジオ免疫沈降アッセイ)緩衝液、NP-40溶解緩衝液、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶解緩衝液、塩化アンモニウム・カリウム(ACK)溶解緩衝液またはその他の溶解緩衝液などの緩衝液を用いて溶解される。また、尿素、ジチオスレイトールまたはその他の変性剤を含み得る緩衝液などの変性緩衝液を用いてもよい。試料をろ過または遠心分離して、脂質および粒子状物質を除去してもよい。また、試料を精製して核酸を除去してもよく、試料をリボヌクレアーゼおよびデオキシリボヌクレアーゼで処理してもよい。いくつかの実施形態において、抽出後、核酸またはタンパク質を保存する。いくつかの例において、後続の分析の前に、核酸を水、トリス緩衝液またはトリスEDTA緩衝液中で保存する。例えば、保存は、8℃、4℃、-20℃または-70℃未満である。いくつかの実施形態において、核酸またはタンパク質は、1日、2日、3日、4日、5日、6日または7日間保存される。いくつかの実施形態において、核酸またはタンパク質は、1週間、2週間、3週間または4週間保存される。いくつかの実施形態において、核酸またはタンパク質は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または12ヶ月間保存される。いくつかの実施形態において、核酸またはタンパク質は、分析前に希釈される。
【0044】
別の態様において、該方法は、個体からの生体試料に複数のアッセイを行うことを含む。生体試料に行われる複数のアッセイは、複数のバイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を検出することを含んでもよい。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、2つ以上、3つ以上または4つ以上のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または16を超える数のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、2つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、3つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、4つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、5つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、6つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、7つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、8つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、9つのバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、10個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、11個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、12個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、13個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、14個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、15個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、16個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、17個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、18個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、19個のバイオマーカを含む。いくつかの場合、複数のバイオマーカは、20個のバイオマーカを含む。
【0045】
いくつかの態様において、該方法は、被験者から得られた生体試料に複数のアッセイを行うこと、および、生体試料に存在する複数のバイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を検出することを含む。複数のアッセイは、種々の反応において行うことができる。一例において、種々の反応は、マイクロプレートの種々のウェル内で実施することができる。複数のアッセイは、同一の反応において行うことができる。いくつかの例において、複数のアッセイは、単一のウェル、スポットまたはマイクロプレート内で行われる。一例において、同一の反応は、複数の異なる捕捉抗体を含み得る。あるいは、複数のアッセイは、単一のバイオマーカを検出する少なくとも1つの反応と、1つ以上のバイオマーカを検出する少なくとも1つの反応とを含み得る。複数のアッセイは、複数のイムノアッセイとすることができる。
【0046】
本明細書では、いくつかの実施形態において、タンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を検出するためのアッセイを説明する。いくつかの例において、該アッセイは、総タンパク質を測定する。いくつかの例において、該アッセイは、翻訳後修飾を測定する。翻訳後修飾の例として、グリコシル化、カルボキシル化、脱アミド化、酸化、ヒドロキシル化、O-硫酸化、アミド化、グリシル化、糖化、アルキル化、アシル化、アセチル化、リン酸化、ビオチン化、ホルミル化、脂質化、ヨウ素化、プレニル化、酸化、パルミトイル化、ホスファチジルイノシトール化、ホスホパンテテイニル化、シアリル化およびセレノイル化が挙げられるが、これらに限定はされない。いくつかの例において、翻訳後修飾は、リン酸化である。いくつかの例において、翻訳後修飾は、特定の部位における自己リン酸化である。いくつかの例において、該アッセイは、凝集タンパク質を測定する。いくつかの例において、凝集タンパク質は、タンパク質の病理学的形態を含む。いくつかの例において、凝集タンパク質は、アモルファス凝集、オリゴマー、フィブリルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの例において、凝集タンパク質は、タンパク質のダイマーを含む。いくつかの例において、ダイマーは、増殖性である。いくつかの例において、ダイマーは、非増殖性である。いくつかの例において、凝集タンパク質は、タンパク質のオリゴマーを含む。いくつかの例において、オリゴマーは、2つ以上のともに相互作用しているタンパク質分子を含む。いくつかの例において、オリゴマーは、鎖状である。いくつかの例において、オリゴマーは、球状である。いくつかの例において、レベルは、濃度である。いくつかの例において、レベルは、タンパク質の量である。いくつかの例において、レベルは、総タンパク質に対する翻訳後修飾されたタンパク質の比率である。例えば、レベルは、総タンパク質に対するリン酸化の比率である。
【0047】
いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、バイオマーカは、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方である。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの例において、バイオマーカは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質である。
【0048】
いくつかの例において、凝集アルファシヌクレインは、タンパク質の病理学的形態を含む。いくつかの例において、凝集アルファシヌクレインは、アルファシヌクレインのダイマーを含む。いくつかの例において、アルファシヌクレインのダイマーは、増殖性である。いくつかの例において、アルファシヌクレインのダイマーは、非増殖性である。いくつかの例において、凝集アルファシヌクレインは、アルファシヌクレインのオリゴマーを含む。いくつかの例において、オリゴマーは、2つ以上のともに相互作用しているタンパク質分子を含む。いくつかの例において、オリゴマーは、鎖状である。いくつかの例において、オリゴマーは、球状である。いくつかの例において、凝集アルファシヌクレインは、小さい(非アミロイド)フィブリルを含む。いくつかの例において、凝集アルファシヌクレインは、アミロイド状フィブリルを含む。成熟フィブリルは、X線回折および円偏光二色性パターンにより明らかにされるように特定のβ-シート構造により特徴づけることができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される3つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される4つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される6つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される7つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される8つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される9つ以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される10以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される11以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される12以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される13以上のタンパク質のレベルを判断することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29のレベルを判断することを含む。
【0050】
複数のアッセイは、個体に対してテストを行うことを含み得る。いくつかの例において、該テストは、身体的(Physical)テストである。いくつかの例において、該テストは、神経学的テストである。いくつかの例において、アッセイは、認知テストを行うことを含む。アッセイは、身体検査、実験室検査、神経学的平衡試験、神経学的視力試験、神経心理学的記憶試験、神経心理学的問題解決試験、神経心理学的言語能力試験およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるテストを含んでもよい。いくつかの例において、本発明書で説明される方法はさらに、個体の病歴を判断することを含む。いくつかの例において、該テストは、統一パーキンソン病評価スケール(UPDRS)、ホーン・ヤールの重症度分類、ティネッティテスト、バロー神経研究所(BNI)バランススケール、ロンベルグテスト、回転検査法、片足立ちテストおよび継ぎ足歩行テストからなる群より選択される。
【0051】
いくつかの場合、該方法は、複数の時点での個体における複数のバイオマーカのレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を検出することを含む。いくつかの例において、複数の時点は、2、3、4、5、6、7、8、9、10または10を超える数の時点を含む。いくつかの例において、複数の時点のうち少なくとも1つの時点は、前記個体が、神経変性疾患または障害に対する治療を施されたより前の時点を含む。いくつかの例において、複数の時点のうち少なくとも1つの時点は、前記個体が、神経変性疾患または障害に対する治療を施されたより後の時点を含む。
【0052】
いくつかの場合、アッセイは、イムノアッセイまたはリガンドアッセイを含む。いくつかの場合、アッセイは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、比色イムノアッセイ、均一系イムノアッセイ、非光学式イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、電気化学発光イムノアッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)イムノアッセイ、時間分解蛍光イムノアッセイ、側方流動イムノアッセイ、マイクロスポットイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、リガンドアッセイ、凝固アッセイ、クロマトグラフィーアッセイ、および、質量分析法と組み合わせた免疫捕捉からなる群より選択される。いくつかの場合、アッセイは、イムノアッセイを含む。いくつかの場合、アッセイは、ウェスタンブロット、ドットブロット、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、化学発光法、吸光度法およびクロマトグラフィーからなる群より選択される。いくつかの場合、イムノアッセイは、シングルプレックス化されている。いくつかの場合、イムノアッセイは、デュアルプレックス化されている。いくつかの場合、イムノアッセイは、マルチプレックス化されている。
【0053】
本明細書において説明される方法は、複数のイムノアッセイを含み得る。いくつかの場合、複数のイムノアッセイは、同一のイムノアッセイ(例えば、4つ以上のELISAアッセイ)である。複数のイムノアッセイが同一のイムノアッセイであるとき、複数のイムノアッセイの各々は、異なるバイオマーカを検出可能である。複数のイムノアッセイが同一のイムノアッセイであるとき、複数のイムノアッセイの各々は、同一の反応室または異なる反応室において行うことができる。いくつかの例において、複数のイムノアッセイは、同一の反応室において行われる。反応室は、イムノアッセイを行うのに適したあらゆる空間とすることができる。反応室の例として、マイクロプレート内のウェル、マイクロスピンチューブ、円錐形チューブまたは液滴が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0054】
いくつかの場合、複数のイムノアッセイは、互いに異なるイムノアッセイである。複数のイムノアッセイが互いに異なるイムノアッセイであるとき、複数のイムノアッセイの各々は、異なるバイオマーカを検出可能である。複数のイムノアッセイが互いに異なるイムノアッセイであるとき、複数のイムノアッセイの各々は、同一の反応室または異なる反応室において行うことができる。いくつかの例において、複数のイムノアッセイは、同一の反応室において行われる。
【0055】
いくつかの実施形態において、本明細書において説明する方法は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を同時に検出するための複数のイムノアッセイを含む。いくつかの実施形態において、本明細書において説明する方法は、LRRK2、アルファシヌクレイン、Rab8a、Rab10、Rab12およびRab29のレベル、翻訳後修飾またはそれら両方を同時に検出するための複数のイムノアッセイを含む。いくつかの例において、LRRK2は、pS1292-LRRK2である。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、総アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、pS129アルファシヌクレインである。いくつかの例において、アルファシヌクレインは、凝集アルファシヌクレインである。いくつかの例において、Rab8aは、総Rab8aである。いくつかの例において、Rab8aは、pT72-Rab8aである。いくつかの例において、Rab10は、総Rab10である。いくつかの例において、Rab10は、pT73-Rab10である。いくつかの例において、Rab12は、総Rab12である。いくつかの例において、Rab12は、pS106-Rab12である。いくつかの例において、Rab29は、総Rab29である。いくつかの例において、Rab29は、pT71-Rab29である。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質を同時に検出するための複数のイムノアッセイを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する方法は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29を同時に検出するための複数のイムノアッセイを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、複数のアッセイは、単一の反応室内で行われる。いくつかの例において、反応室は、マイクロプレート内のウェル、マイクロスピンチューブ、円錐形チューブまたは液滴である。いくつかの例において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される3つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される4つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される6つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される7つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される8つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される9つ以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される10以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される11以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される12以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される13以上のタンパク質が、単一の反応室内で検出される。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29が、単一の反応室内で検出される。タンパク質の検出は、同時に起こり得る。
【0057】
本明細書では、いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質を、抗体を用いて検出するための方法を説明する。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質に関する抗体は、アレイ上にマイクロスポットされる。いくつかの例において、アレイは、ウェル内に存在する。例えば、アレイは、マイクロウェルアッセイプレートのウェル内に存在する。マイクロウェルアッセイプレートは、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェルまたは384ウェルのマイクロウェルアッセイプレートであってもよい。
【0058】
抗体は、ELISAなどのイムノアッセイにおいて用いることができる。いくつかの例において、抗体は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質を捕捉できる。いくつかの例において、二次抗体は、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される1つ以上のタンパク質を検出する抗体の検出に用いられる。
【0059】
いくつかの例において、抗体または二次抗体は、ビオチン化、蛍光標識、または、酵素標識されている。いくつかの実施形態において、抗体または二次抗体は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)またはグルコースオキシダーゼ、アレクサフルーア(Alexa Fluor)(登録商標)350、アレクサフルーア(登録商標)405、アレクサフルーア(登録商標)488、アレクサフルーア(登録商標)532、アレクサフルーア(登録商標)546、アレクサフルーア(登録商標)555、アレクサフルーア(登録商標)568、アレクサフルーア(登録商標)594、アレクサフルーア(登録商標)647、アレクサフルーア(登録商標)680、アレクサフルーア(登録商標)750、ボディパイ(登録商標)FL、クマリン、Cy(登録商標)3、Cy(登録商標)5、フルオレセイン(FITC)、オレゴングリーン(登録商標)、パシフィックブルー(商標)、パシフィックグリーン(商標)、パシフィックオレンジ(商標)、テトラメチルローダミン(TRITC)、テキサスレッド(登録商標)、32P、33P、3H、14Cおよび1251からなる群より選択される標識により標識化されている。
【0060】
さまざまな種類の抗体を、イムノアッセイに用いることができる。いくつかの実施形態において、抗体は、IgG定常ドメインを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、IgGl、IgG2、IgG3もしくはIgG4定常ドメイン、または、その変異体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態において、抗体は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、単鎖Fv(scFv)、ダイアボディ、トリアボディまたはミニボディである。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトである。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒト化されている。
【0061】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明するELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される2つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される3つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される4つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される5つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される6つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される7つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される8つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される9つ以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される10以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される11以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される12以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、ELISAアッセイは、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29からなる群より選択される13以上のタンパク質を検出する。いくつかの実施形態において、総LRRK2、pS935-LRRK2、pS1292-LRRK2、総アルファシヌクレイン、pS129アルファシヌクレイン、凝集アルファシヌクレイン、総Rab8a、pT72-Rab8a、総Rab10、pT73-Rab10、総Rab12、pS106-Rab12、総Rab29およびpT71-Rab29。
【0062】
いくつかの場合、アッセイは、非イムノアッセイを含む。いくつかの場合、アッセイは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、高速液体クロマトグラフィー質量分析(HPLC-MS)、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析(LC-MS/MS)、免疫組織化学法(IHC)、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、定量的PCR法(qPCR)、および、それらの組み合わせからなる群より選択される。
【0063】
本明細書において説明するアッセイ(例えば、ELISA)は、タンパク質のさまざまなレベルを検出してもよい。いくつかの場合、アッセイでは、1ミリリットル当たり少なくとももしくは約0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20マイクログラム(ug/mL)または20マイクログラム(ug/mL)を上回るタンパク質を検出する。いくつかの場合、アッセイでは、約0.0001から約10、0.0001から約5、0.0001から約1、0.0001から約0.1、0.0002から約10、0.0002から約5、0.0002から約1、0.0002から約0.1、0.0005から約10、0.0005から約5、0.0005から約1、0.0005から約0.1、0.001から約10、0.001から約5、0.001から約1、0.001から約0.1、0.005から約10、0.005から約5、0.005から約1、0.0005から約0.1、0.01から約10、0.01から約5、0.01から約1、0.01から約0.1、0.05から約10、0.05から約5、0.05から約1または0.05から約0.1の範囲を検出する。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、本発明のさまざまな実施形態を例示することを目的に提供されるものであり、本発明をいかなる形にも限定する意図はない。本実施例は、本明細書で説明されている方法とともに、現在好適な実施形態を表し、例示的であり、かつ、本発明の範囲に対する限定としては意図されていない。特許請求の範囲により定められる本発明の趣旨に包含される本発明に対する変更およびその他の使用は、当業者に想定される。
【0065】
実施例1:パーキンソン病のタンパク質LRRK2、Rab GTPアーゼおよびアルファシヌクレインのレベル、リン酸化、ならびに活性
ELISAベースのアッセイを行い、パーキンソン病などの神経変性疾患に関与する選択タンパク質の変化を定量化した。
【0066】
パーキンソン病などの神経変性疾患における変化のシグネチャーを生成するために、表1のタンパク質を選択する。
【0067】
【0068】
表2に示すように、2つの独立したPDコホートの臨床研究に使用された複数のシングルプレックスバイオマーカアッセイにおいて、LRRK2およびRab10に変化を観察した。
【0069】
【0070】
ウェル内キナーゼ反応におけるモデルペプチド基質を用いたIn vitroキナーゼ活性を測定した。ペプチドのリン酸化を、各ウェルにおけるLRRK2の総量に正規化した。iPD患者のPBMCにおけるLRRK2の内因性キナーゼ活性に有意な変化は観察されなかった(
図2A)。G2019S-LRRK2突然変異の罹患キャリア(
図2B)および健常キャリア(
図2C)では、リン酸化は有意に増加した。マン・ホイットニーのU検定で、
*p<0.05、
**p<0.01。PBMCにおけるLRRK2発現およびin vitro活性を、男性と女性で比較した(
図2D)。健常対照およびiPD患者からの試料において、男性からのPBMCにおける発現のレベルは、女性と比較して高い傾向であることを観察した。マン・ホイットニーのU検定で、p=0.07(対照)およびp=0.09(iPD)。興味深いことに、G2019S-LRRK2突然変異のキャリアからのPBMCにおいて検出されたin vitroキナーゼ活性の増加は、性別ごとに別々に分析すると、男性被験者からのPBMCでのみ明らかであった(
図2E)。女性のG2019SキャリアのPBMCからのLRRK2の活性には、健常対照との差異がなかった(
図2F)。
*p<0.05。PBMC抽出物におけるLRRK2のin vitroキナーゼ活性は、G2019S突然変異のキャリアにおいて増加することがデータにより示されている。
【0071】
ELISAによりSer935残基におけるLRRK2のリン酸化を評価した。各試料において、pS935-LRRK2に対応するシグナルを、総LRRK2の対応する値(ng/ml)に正規化した。組換えヒト全長LRRK2を、量を増加させながら、捕捉用c41-2クローンを用いて平行なELISAプレートに固定させ、総(N241A、正規化用)抗体、またはリン酸化(pS935-LRRK2、UDD2)抗体を用いて検出した(
図3A)。WT(MLi-2による処理有り/無し、100nM)またはS935A-LRRK2を過剰発現しているHEK293T細胞の抽出物を、捕捉抗体または検出抗体のいずれかとして抗pS935-LRRK2抗体を用いてELISAにかけた(
図3B)。両方の場合で、S935A-LRRK2または続くMLi-2キナーゼ阻害剤による脱リン酸化において、シグナルは有意に消失した。健常志願者から新たに分離したPBMCを、キナーゼ阻害剤PF-475の濃度を上昇させながら1時間にわたり処理し、pS935-LRRK2のELISAにかけた(
図3C)。リン酸化LRRK2の有意な用量依存的消失を観察した。ANOVA、テューキーの事後比較で、
*p<0.05、
**p<0.01。iPD患者のPBMCにおけるpS935-LRRK2レベルは、健常対照と比較して有意に高かった(
図3D)。
*マン・ホイットニーのU検定で、p<0.05。対照的に、PDを有する場合とそうでない場合のG2019S突然変異キャリアからのPBMC抽出物には、pS935-LRRK2レベルが健常対照と比較して低いという有意な傾向はなかった(
図3E)。健常対照との比較のために、全G2019Sキャリアの値をプールする(
図3F)。pS935-LRRK2レベルおよびさまざまな臨床パラメータを比較した(
図3G)。iPD患者では、pS935-LRRK2と運動機能スケールUPDRS-IIIとの間に相関関係はなかった(図示せず)。しかし、iPD患者(
図3G、右側パネル)および健常対照(
図3G、中央パネル)において、認知機能検査であるMoCAでのパフォーマンスは、pS935-LRRK2レベルに対して負の相関があった。
【0072】
健常対照被験者もしくは特発性PD被験者、またはPDを有する場合とそうでない場合のG2019S LRRK2突然変異キャリアから得られたPBMCの抽出物中のThr73におけるRab10のリン酸化を測定した。ウェスタン免疫ブロット分析によるデータを
図4に示す。下側のブロットは、総Rab10レベルについて調べた同一の試料を示している。リン酸化Rab10のバンド強度を総タンパク質レベルに正規化した。
図5A~
図5Bは、PBMC抽出物からのウェスタン免疫ブロットのバンド強度の定量化を示す図である。リン酸化Rab10-Thr73バンド強度を、総Rab10タンパク質レベルを反映するバンドに正規化した。データは、(Thr73における)LRRK2基質Rab10のリン酸化が、特発性PD群のほか、PDを有するLRRK2突然変異キャリアにおいて有意に増加したことを示している。
【0073】
各群から選択されたPBMC抽出物に対してウェスタン免疫ブロットアッセイを行い、pS1292-LRRK2の発現を示した。PBMC抽出物における当該標的を検出するために、抗体溶液にシグナルブースト試薬を添加し、より感度の高い定量的尺度の必要性を強調した。
図6にデータを示す。
【0074】
これらのデータは、LRRK2、アルファシヌクレイン、およびRab GTPアーゼの変化が神経変性疾患およびその進行と関連していることを示している。
【0075】
実施例2:マルチプレックス化されたLRRK2のELISAを用いた脳脊髄液(CSF)検査
本実施例では、CSF中に存在するLRRK2がELISAにより検出可能かどうか、および、14の計画された抗体標的のうちの2つからなるデュアルプレックスELISAが総LRRK2およびリン酸化LRRK2を検出可能かどうかを分析する。
【0076】
簡潔に説明すると、総LRRK2(クローンc41-2;Melachroinouら、2020年;またはクローンMC.028.83.76.242)およびpS935-LRRK2(クローンUDD2;Melachroinouら、2020年を再度参照)を捕捉する抗体スポットを包含するようにELISAアッセイを設計した。LRRK2のみを捕捉するこのデュアルプレックス形式において、検出試薬として、抗体は、ビオチンに抱合された総LRRK2(クローンUDD3)に対するものであった。pS935-LRRK2および総LRRK2のレベルを測定した。マルチプレックス化された形式により、両者とも同一のウェル内で定量化されることから、リン酸/総LRRK2の正確な正規化が可能となる。サポニン処理を用いて、エクソソームのLRRK2を遊離させることとした。
【0077】
図7Aは、総LRRK2を示す図である。
図7Bは、pS935-LRRK2を示す図である。
図7Cに示すように、脳脊髄液細胞外小胞(CSF-EV)、エクソソームが枯渇した脳脊髄液上清(CSF-sup)、およびサポニン処理された脳脊髄液(CSF-sap)を含む種々のCSF試料条件によるpS935-LRRK2の最終レベルが、観察される。分離された(超遠心分離)エクソソームの抽出物から最大のシグナルが得られた。しかし、この超遠心分離による上清にも有意なシグナルを認めた。このことは、(エクソソーム中ではなく)CSF中に「遊離している」検出可能なリン酸化LRRK2が存在することをはっきりと示している。
【0078】
LRRK2キナーゼ活性の強力な選択的阻害剤であるMLi2とともに(100nM、3時間)インキュベートした、健常志願者ドナーからの新鮮なPBMCを用いて、実験を行った。次いで、PBMC抽出物を希釈して、(総およびpS935-LRRK2を測定する)デュアルプレックステストプレート中でインキュベートした。次に、pS935-LRRK2抗体から得たシグナルを総LRRK2からの対応するシグナルに正規化した。MLi2によるLRRK2活性の阻害により、LRRK2におけるSer935残基におけるリン酸化の劇的な消失が誘導される(
図8)。アッセイ用の陽性対照として、凍結保存されたPBMCを、ビヒクルまたはキナーゼ阻害剤MLi-2とともに(100nM、3時間)インキュベートし、次いで、デュアルプレックスELISAの原型のための細胞を処理した。MLi-2により処理した細胞において、pS935-LRRK2レベルは、対照細胞と比較して3分の2減少した(
図8)。
【0079】
次に、HEK293T細胞株中で過剰発現したLRRK2を用いていくつかの希釈剤を比較することで、各緩衝液における複数の希釈倍率を評価し、かつ、総LRRK2に対する得られた化学発光シグナルを判定した。
図9は、過剰発現されたWTヒトLRRK2の検出における2種類の希釈剤を比較した結果を示す図である。
【0080】
本明細書中で本開示の好適な実施形態を示し、説明したが、そのような実施形態がほんの一例として与えられていることは、当業者であれば自明のことであろう。本開示から逸脱することなく、数多くの変形、変更、および置換えが現在当業者に想定されるであろう。本明細書中で説明した本開示の実施形態のさまざまな代案は、本開示を実施するにあたり使用されてもよいことを理解されるされたい。以下の特許請求の範囲が本開示の範囲を規定すること、これら特許請求の範囲内の方法および構成、ならびにそれらの均等物が請求項の範囲に包含されることが、意図されている。
【国際調査報告】