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特表2024-507621ロータ・アセンブリ、圧縮機及びエア・コンディショナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ロータ・アセンブリ、圧縮機及びエア・コンディショナ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20240214BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240214BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F04C18/16 E
F04C29/00 F
F16C32/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532142
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 CN2021124648
(87)【国際公開番号】W WO2022179134
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】202110219320.6
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517441262
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンス、インコーポレイテッド オブ チューハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、ホア
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ジーピン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シャオクン
(72)【発明者】
【氏名】ビー、ユシ
【テーマコード(参考)】
3H129
3J102
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AB03
3H129CC05
3H129CC18
3H129CC39
3J102AA02
3J102BA03
3J102BA13
3J102BA17
3J102BA18
3J102CA32
3J102EB07
3J102GA08
3J102GA11
3J102GA20
(57)【要約】
ロータ・アセンブリ1100、圧縮機1000及びエア・コンディショナ。ロータ・アセンブリ1100は、同軸に配置された第1の作動部分210及び第2の作動部分220を含む第1のロータ200を含み、第1の作動部分210及び第2の作動部分220は第1の軸線を中心に回転可能であり、第1の作動部分210は複数の第1のらせん形ブレード211を含み、第1のブレード溝212が、複数の第1のらせん形ブレード211のうちの隣接する2つの間に形成されており、少なくとも1つの第1の空気圧溝213が、第2の作動部分220から離れた第1の作動部分210の第1の端面214に設けられており、第1の空気圧溝213が、回転しているとき第1の軸線に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。ロータ・アセンブリは、圧縮機のコストを削減し、圧縮機の可動部分の構造を簡略化し、圧縮機の性能及び信頼性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ・アセンブリ(1100)であって、
同軸に配置された第1の作動部分(210)及び第2の作動部分(220)を備える第1のロータ(200)を備え、前記第1の作動部分(210)及び前記第2の作動部分(220)が第1の軸線を中心に回転可能であり、前記第1の作動部分(210)が複数の第1のらせん形ブレード(211)を備え、第1のブレード溝(212)が前記複数の第1のらせん形ブレード(211)のうちの隣接する2つの間に形成されており、少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が、前記第2の作動部分(220)から離れた前記第1の作動部分(210)の第1の端面(214)に設けられており、前記第1の空気圧溝(213)が、回転しているとき前記第1の軸線に沿って所定方向に力を形成するように構成されている、ロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が、前記第1の作動部分(210)の前記複数の第1のブレード溝(212)のうちの少なくとも1つと連通している、請求項1に記載のロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項3】
同軸に配置された第3の作動部分(410)及び第4の作動部分(420)を備える第2のロータ(400)をさらに備え、前記第3の作動部分(410)が前記第1の作動部分(210)と係合させられており、前記第4の作動部分(420)が前記第2の作動部分(220)と係合させられており、前記第3の作動部分(410)及び前記第4の作動部分(420)の両方が、第2の軸線を中心に回転可能である、請求項1又は2に記載のロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項4】
前記第1の端面(214)が、耐摩耗性コーティングでコーティングされている、請求項1から3までのいずれか一項に記載のロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項5】
前記第1の作動部分(210)が、複数の第1のらせん形ブレード(211)を備え、前記複数の第1のブレード溝(212)が、それぞれ前記複数の第1のらせん形ブレード(211)に隣接しており、前記少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が、複数の前記第1の空気圧溝(213)を備え、前記複数の第1のらせん形ブレード(211)のそれぞれに少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が設けられている、請求項1から4までのいずれか一項に記載のロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項6】
複数の前記第1の空気圧溝(213)が、前記第1の端面(214)の中心を中心として前記第1の端面(214)上にらせん形に分配されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載のロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項7】
前記複数の第1の空気圧溝(213)の数が、前記複数の第1のらせん形ブレード(211)と等しく、前記複数の第1の空気圧溝(213)のそれぞれが、対応する第1のらせん形ブレード(211)の端面にそれぞれ設けられており、前記複数の第1の空気圧溝(213)のそれぞれが、対応する第1のブレード溝(212)とそれぞれ連通している、請求項1から6までのいずれか一項に記載のロータ・アセンブリ(1100)。
【請求項8】
圧縮機(1000)であって、
第1の内壁(510)を備えるハウジング(800)と、
ロータ・アセンブリ(1100)と、を備え、前記ロータ・アセンブリ(1100)が、
前記ハウジング(800)に同軸に配置された第1の作動部分(210)及び第2の作動部分(220)を備える第1のロータ(200)を備え、前記第1の作動部分(210)及び前記第2の作動部分(220)が第1の軸線を中心に回転可能であり、前記第1の作動部分(210)が、複数の第1のらせん形ブレード(211)を備え、第1のブレード溝(212)が、前記複数の第1のらせん形ブレード(211)のうちの隣接する2つの間に形成されており、少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が、前記第2の作動部分(220)から離れた前記第1の作動部分(210)の第1の端面(214)に設けられており、前記第1の端面(214)が、前記第1の内壁(510)と隙間ばめを提供しており、前記第1の空気圧溝(213)が、回転しているとき前記第1の軸線に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている、圧縮機(1000)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が、前記第1の作動部分(210)の前記複数の第1のブレード溝(212)のうちの少なくとも1つと連通している、請求項8に記載の圧縮機(1000)。
【請求項10】
前記ロータ・アセンブリ(1100)が、同軸に配置された第3の作動部分(410)及び第4の作動部分(420)を備える第2のロータ(400)をさらに備え、前記第3の作動部分(410)が前記第1の作動部分(210)と係合させられており、前記第4の作動部分(420)が前記第2の作動部分(220)と係合させられており、前記第3の作動部分(410)及び前記第4の作動部分(420)の両方が、第2の軸線を中心に回転可能である、請求項8又は9に記載の圧縮機(1000)。
【請求項11】
前記第1の端面(214)が耐摩耗性コーティングでコーティングされている及び/又は前記第1の内壁(510)が前記耐摩耗性コーティングでコーティングされている、請求項8から10までのいずれか一項に記載の圧縮機(1000)。
【請求項12】
前記第1の作動部分(210)が、複数の第1のらせん形ブレード(211)を備え、前記複数の第1のブレード溝(212)が、それぞれ前記複数の第1のらせん形ブレード(211)に隣接しており、前記少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が、複数の前記第1の空気圧溝(213)を含み、前記複数の第1のらせん形ブレード(211)のそれぞれに少なくとも1つの第1の空気圧溝(213)が設けられている、請求項8から11までのいずれか一項に記載の圧縮機(1000)。
【請求項13】
複数の前記第1の空気圧溝(213)が、前記第1の端面(214)の中心を中心として前記第1の端面(214)にらせん形に分配されている、請求項8から12までのいずれか一項に記載の圧縮機(1000)。
【請求項14】
前記複数の第1の空気圧溝(213)の数が、前記複数の第1のらせん形ブレード(211)と等しく、前記複数の第1の空気圧溝(213)のそれぞれが、対応する第1のらせん形ブレード(211)の端面にそれぞれ設けられており、前記複数の第1の空気圧溝(213)のそれぞれが、前記対応する第1のブレード溝(212)とそれぞれ連通している、請求項8から13までのいずれか一項に記載の圧縮機(1000)。
【請求項15】
請求項8から14までのいずれか一項に記載の圧縮機(1000)を備えるエア・コンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機技術の分野、より詳細には、ロータ・アセンブリ、圧縮機及びエア・コンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、そのコンパクトで、効率的で、信頼でき且つ適応可能な特性により、空気力学、冷却エア・コンディショナ及び様々な技術的プロセスにおいて広く使用されており、その市場シェアは拡大し続けている。新たな圧縮機構造として、4ロータ圧縮機は、2対のダブル圧縮機ロータが吸い込みオリフィスの端面に対称的に配置されているという点で、従来の圧縮機とは異なる。並列の2つの圧縮機と同等に、1つの4ロータ圧縮機は、4ロータ圧縮機の中間における半径方向吸い込みオリフィスから空気を吸い込み、その2つの端部における排出オリフィスから空気を排出する。4つのロータの対向した、逆回転の配置により、4ロータ圧縮機の軸方向の力は、理想的な条件下では完全に反作用されてよく、したがって、圧縮機のさらなる小型化を実現するために、スラスト軸受を完全に排除することができる。
【0003】
しかしながら、4つのロータの実際の加工及び組立てプロセスに存在する差により、形成された後に4つのロータが作動するとき、軸方向の力を完全に反作用させることができず、これは、圧縮機のロータにおける2つの軸方向に沿ってランダムなガス軸方向力を生じ得る。したがって、2つの方向にランダムに出現するガス軸方向力が支持されることを保証するために、反対の軸受方向を有する2つのセットのスラスト軸受を配置する必要がある。しかしながら、1つの個々の圧縮機のために、軸方向の力のランダムな合力の方向は常に不変である。この場合、スラスト軸受の1つのセットは、制限するために使用され、スラスト軸受の他方のセットは完全にアイドル状態であり、したがって、より低い価格性能比を生じる。さらに、冗長な機械的損失及び潤滑油の需要が生じ、圧縮機の故障率が増大される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、圧縮機のコストを削減し、圧縮機の可動部分の構造を簡略化し、圧縮機の性能及び信頼性を向上させるために、ロータ・アセンブリ、圧縮機及びエア・コンディショナを提供する。
【0005】
本開示の第1の態様は、ロータ・アセンブリであって、
同軸に配置された第1の作動部分及び第2の作動部分を含む第1のロータを含み、第1の作動部分及び第2の作動部分が、第1の軸線を中心に回転可能であり、第1の作動部分が、複数の第1のらせん形ブレードを含み、第1のブレード溝が、複数の第1のらせん形ブレードのうちの隣接する2つの間に形成されており、少なくとも1つの第1の空気圧溝が、第2の作動部分から離れた第1の作動部分の第1の端面に設けられており、第1の空気圧溝が、回転しているときに第1の軸線に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている、ロータ・アセンブリを提供する。
【0006】
幾つかの実施例において、少なくとも1つの第1の空気圧溝が、第1の作動部分の複数の第1のブレード溝のうちの少なくとも1つと連通している。
【0007】
幾つかの実施例において、ロータ・アセンブリが、第2のロータをさらに含み、第2のロータが、同軸に配置された第3の作動部分及び第4の作動部分を含み、第3の作動部分が第1の作動部分と係合させられており、第4の作動部分が第2の作動部分と係合させられており、第3の作動部分及び第4の作動部分の両方が、第2の軸線を中心に回転可能である。
【0008】
幾つかの実施例において、第1の端面が、耐摩耗性コーティングでコーティングされている。
【0009】
幾つかの実施例において、第1の作動部分が、複数の第1のらせん形ブレードを含み、複数の第1のブレード溝が、それぞれ複数の第1のらせん形ブレードに隣接しており、少なくとも1つの第1の空気圧溝の数が複数であり、複数の第1のらせん形ブレードのそれぞれに、少なくとも1つの第1の空気圧溝が設けられている。
【0010】
幾つかの実施例において、複数の第1の空気圧溝は、第1の端面の中心を中心として第1の端面にらせん形に分配されている。
【0011】
幾つかの実施例において、複数の第1の空気圧溝の数は、複数の第1のらせん形ブレードと等しく、複数の第1の空気圧溝のそれぞれは、対応する第1のらせん形ブレードの端面にそれぞれ設けられており、複数の第1の空気圧溝のそれぞれは、対応する第1のブレード溝とそれぞれ連通している。
【0012】
本開示の第2の態様は、圧縮機であって、
第1の内壁を含むハウジングと、
ロータ・アセンブリと、を含み、ロータ・アセンブリが、
同軸に配置された第1の作動部分及び第2の作動部分を含む第1のロータを含み、第1の作動部分及び第2の作動部分が、第1の軸線を中心に回転可能であり、第1の作動部分が、複数の第1のらせん形ブレードを含み、第1のブレード溝が、複数の第1のらせん形ブレードのうちの隣接する2つの間に形成されており、少なくとも1つの第1の空気圧溝が、第2の作動部分から離れた第1の作動部分の第1の端面に設けられており、第1の空気圧溝が、回転しているときに第1の軸線に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている、圧縮機を提供する。
【0013】
幾つかの実施例において、少なくとも1つの第1の空気圧溝が、第1の作動部分の複数の第1のブレード溝のうちの少なくとも1つと連通している。
【0014】
幾つかの実施例において、ロータ・アセンブリが、同軸に配置された第3の作動部分及び第4の作動部分を含む第2のロータをさらに含み、第3の作動部分が第1の作動部分と係合させられており、第4の作動部分が第2の作動部分と係合させられており、第3の作動部分及び第4の作動部分の両方が、第2の軸線を中心に回転可能である。
【0015】
幾つかの実施例において、第1の端面が耐摩耗性コーティングでコーティングされている及び/又は第1の内壁が耐摩耗性コーティングでコーティングされている。
【0016】
幾つかの実施例において、第1の作動部分が、複数の第1のらせん形ブレードを含み、複数の第1のブレード溝が、それぞれ複数の第1のらせん形ブレードに隣接しており、少なくとも1つの第1の空気圧溝の数が複数であり、複数の第1のらせん形ブレードのそれぞれに、少なくとも1つの第1の空気圧溝が設けられている。
【0017】
幾つかの実施例において、複数の第1の空気圧溝が、第1の端面の中心を中心として第1の端面にらせん形に分配されている。
【0018】
幾つかの実施例において、複数の第1の空気圧溝の数が、複数の第1のらせん形ブレードと等しく、複数の第1の空気圧溝のそれぞれが、対応する第1のらせん形ブレードの端面にそれぞれ設けられており、複数の第1の空気圧溝のそれぞれが、対応する第1のブレード溝とそれぞれ連通している。
【0019】
本開示の第3の態様は、本開示の第2の態様の圧縮機を含む、圧縮機を提供する。
【0020】
本開示によって提供される技術的解決手段に基づいて、ロータ・アセンブリは、同軸に配置された第1の作動部分及び第2の作動部分を含む第1のロータを含み、第1の作動部分及び第2の作動部分が、第1の軸線を中心に回転可能であり、第1の作動部分が、複数の第1のらせん形ブレードを含み、第1のブレード溝が、複数の第1のらせん形ブレードのうちの隣接する2つの間に形成されており、少なくとも1つの第1の空気圧溝が、第2の作動部分から離れた第1の作動部分の第1の端面に設けられており、第1の空気圧溝が、回転しているときに第1の軸線に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。本開示の圧縮機の第1の作動部分は、第1の空気圧溝を通じて第1のブレード溝にガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分を向いた固定ガス軸方向力を形成し、ロータ・シャフト・システムが常に固定された方向でのみ軸方向の力を受けることを保証し、これにより、第2の作動部分を向いたガス軸方向力を支持するために、スラスト軸受の1つのセットのみが必要とされ、したがって、スラスト軸受の使用を減じる。
【0021】
圧縮機は、ハウジング及びロータ・アセンブリを含み、ハウジングが第1の内壁を含み、ロータ・アセンブリが、ハウジングに同軸に配置された第1の作動部分及び第2の作動部分を含む第1のロータを含む。第1の作動部分及び第2の作動部分は、第1の軸線を中心に回転可能であり、第1の作動部分は、複数の第1のらせん形ブレードを含み、第1のブレード溝が、複数の第1のらせん形ブレードのうちの隣接する2つの間に形成されている。少なくとも1つの第1の空気圧溝が、第2の作動部分から離れた第1の作動部分の第1の端面に設けられており、第1の端面が、第1の内壁と隙間ばめを提供しており、第1の空気圧溝が、回転しているとき第1の軸線に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。本開示の圧縮機の第1の作動部分は、第1の空気圧溝を通じて第1のブレード溝にガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分を向いた固定ガス軸方向力を形成し、ロータ・シャフト・システムが常に固定された方向でのみ軸方向の力を受けることを保証し、これにより、第2の作動部分を向いたガス軸方向力を支持するために、スラスト軸受の1つのセットのみが必要とされ、したがって、スラスト軸受の使用を減じる。このようにして、圧縮機のコストが削減されてよく、圧縮機の体積が減少させられてよく、圧縮機の可動部分の構造が簡略化されてよく、圧縮機の性能及び信頼性が向上させられてよい。さらに、第2の作動部分を向いたガス軸方向力を支持するためのスラスト軸受が排除された後、第1の作動部分の第1の端面とハウジングの第1の内壁との間に形成されたガス膜の層が、第1のロータとハウジングとの間の衝突及び摩擦によって生じる故障の発生を防止することができ、したがって、圧縮機の性能及び信頼性をさらに向上させる。
【0022】
本開示の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例を説明するために必要とされる添付の図面を以下で簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における添付の図面は、本開示の幾つかの実施例のみを示しており、当業者は、創造的努力なしにこれらの添付の図面から他の図面をさらに引き出し得る。
【0023】
本開示及びその有利な効果をより完全に理解するために、以下の説明は、添付の図面に関連してなされ、同じ参照符号は、以下の説明において同じ部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の実施例によって提供される圧縮機の概略的な部分構造図である。
図2】本開示の実施例によって提供されるロータ・アセンブリの概略的な構造図である。
図3】本開示の実施例によって提供される第1のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの端部を示す端面図である。
図4】本開示の実施例によって提供される第2のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの他方の端部を示す端面図である。
図5】本開示の実施例によって提供される第3のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの端部を示す端面図である。
図6】本開示の実施例によって提供される第4のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの他方の端部を示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例における技術的解決手段を、本開示の実施例における添付の図面を参照して以下に明確且つ完全に説明する。もちろん、説明された実施例は、本開示の実施例の全てではなく、単に一部でしかない。少なくとも1つの例示的な実施例の以下の説明は、実際には単に例示的であり、本開示の実施例に基づいて本開示及びその適用又は使用の限定として機能しない。創造的努力なしに当業者によって得られる全てのその他の実施例は、本開示の保護範囲に含まれる。
【0026】
本明細書における「実施例」又は「実装形態」は、実施例に関連して説明された特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを意味する。明細書の様々な場所に現れる語句は、必ずしも同じ実施例を参照せず、他の実施例と互いに排他的な独立した又は代替的な実施例も参照しない。本明細書に説明された実施例が他の実施例と組み合わされてもよいことが当業者によって明示的及び暗示的に理解される。
【0027】
図1を参照すると、本開示の実施例によって圧縮機の概略的な部分構造図が提供されている。図1に示された圧縮機1000はスクリュー圧縮機であってよい。例えば、圧縮機1000は、対向スクリュー圧縮機であってよい。図1に示された圧縮機1000はスクリュー圧縮機に限定されず、圧縮機1000は例えばスクロール圧縮機であってもよいことに留意されたい。圧縮機1000は、第1のシャフト・ボディ100、第1のロータ200、第2のシャフト・ボディ300及び第2のロータ400を含むロータ・アセンブリ1100と、第1の軸受ハウジング500、ロータ・ハウジング600及び第2の軸受ハウジング700によって包囲されたハウジング800とを含む。ロータ・ハウジング600は、中空チャンバ610を含み、第1のシャフト・ボディ100の少なくとも一部、第1のロータ200、第2のシャフト・ボディ300の少なくとも一部及び第2のロータ400は、ロータ・ハウジング600の中空チャンバ610に収容されている。第1の軸受ハウジング500は、ハウジング800の一方の端部を形成するようにロータ・ハウジング600の一方の端部を被覆しており、第2の軸受ハウジング700は、ハウジング800の他方の端部を形成するようにロータ・ハウジング600の他方の端部を被覆している。
【0028】
第1のロータ200は、第2のロータ400と噛み合い伝達している。本開示の幾つかの実施例において、第1のロータ200は雄型ロータであってよく、第2のロータ400は雌型ロータであってよい。本開示のその他の実施例において、第1のロータ200は雌型ロータであってよく、第2のロータ400は雄型ロータであってよい。本開示の実施例は、第1のロータ200が雄型ロータであり且つ第2のロータ400が雌型ロータである実例を使用することによって以下に詳細に説明される。
【0029】
雄型ロータとして機能する第1のロータ200は、駆動ロータとして理解されてよく、雌型ロータとして機能する第2のロータ400は、被駆動ロータとして理解されてよい。例えば、第1のロータ200は、モータ(永久磁石モータを含むが、これに限定されない)などの駆動アセンブリと伝達接続していてよく、第1のロータ200は、回転するように駆動アセンブリによって駆動されてよく、第1のロータ200は、第2のロータ400を駆動しながら回転し、噛み合い伝達によって一緒に回転してよい。
【0030】
第1のロータ200は、第1のシャフト・ボディ100によって支持されており、第1のシャフト・ボディ100に固定して接続されている。第1のシャフト・ボディ100の一方の端部は第1の軸受ハウジング500に回転可能に取り付けられており、第1のシャフト・ボディ100の他方の端部は第2の軸受ハウジング700に回転可能に取り付けられており、第1のシャフト・ボディ100の一方の端部は駆動アセンブリと伝達接続している。駆動アセンブリは、回転するように第1のシャフト・ボディ100を駆動することができ、第1のシャフト・ボディ100は、第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700において第1のシャフト・ボディ100の第1の軸線110に沿って、第1のシャフト・ボディ100に固定して接続された第1のロータ200と一緒に回転することができる。すなわち、第1のロータ200は、第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700に回転可能に支持されている。本開示の幾つかの実施例において、第1のロータ200は、第1のシャフト・ボディ100と一体的に形成されてよい。本開示のその他の実施例において、第1のロータ200は、部分的に第1のシャフト・ボディ100と一体的に形成され、部分的に第1のシャフト・ボディ100にスリーブされていてよい。本開示のその他の実施例において、第1のロータ200は、第1のシャフト・ボディ100に直接にスリーブされていてよい。
【0031】
図2を参照すると、本開示の実施例によってロータ・アセンブリの概略的な構造図が提供されている。第1のロータ200は、少なくとも2つの部分を有してよい。例えば、第1のロータ200は、同軸に配置された第1の作動部分210及び第2の作動部分220を有し、第1のロータ200の第1の作動部分210は第1のシャフト・ボディ100と一体的に形成されており、第2の作動部分210は、第1のシャフト・ボディ100上にスリーブされ、第1の作動部分210に隣接している。本開示の幾つかの実施例において、第2の作動部分220の端面に隣接する第1の作動部分210の端面は、互いに密に取り付けられていてよい。本開示のその他の実施例において、第2の作動部分220の端面に隣接する第1の作動部分210の端面は、互いに密に取り付けられていてなくてよく、その代わり、それらの間に0.1mm、0.2mm又は0.3mmなどのより小さな間隙が設けられてもよい。
【0032】
代替的な実施例において、第1の作動部分210及び第2の作動部分220の両方が第1のシャフト・ボディ100と一体的に形成されてもよいことを理解されたい。代替的に、第1の作動部分210及び第2の作動部分220の両方が、第1のシャフト・ボディ100上にスリーブされている。
【0033】
引き続き図1及び図2を参照すると、第1のロータは、雄型ブレードと呼ばれてもよい、らせん形ブレードを有する。特に、第1の作動部分210は、複数の第1のらせん形ブレード211と、複数の第1のらせん形ブレード211にそれぞれ隣接する複数の第1のブレード溝212とを有し、1つの第1のブレード溝212は、複数の第1のらせん形ブレード211のうちの隣接する2つの間に形成されている。第2の作動部分220は、複数の第2のらせん形ブレード221と、複数の第2のらせん形ブレード221にそれぞれ隣接する複数の第2のブレード溝222とを有し、1つの第2のブレード溝222は、複数の第2のらせん形ブレード221のうちの隣接する2つの間に形成されている。本開示の実施例の第1のらせん形ブレード211及び第2のらせん形ブレード221は、反対のらせん方向を有するように構成されている。第1のロータ200及び第2のロータ400が、回転するように互いに係合させられているとき、第1のらせん形ブレード211と第2のらせん形ブレード221との間に反対の軸方向の力が生じ、これは、第1のらせん形ブレード211と第2のらせん形ブレード221との間に反対の軸方向の力を生じると理解されてもよい。軸方向の力の対称性により、第1のらせん形ブレード211と第2のらせん形ブレード221との間に生じる反対の軸方向の力は、ほとんど反作用されてよい。
【0034】
本開示の説明において、明示的に別段の定めがない限り、「複数の」とは、少なくとも2つを意味することに留意されたい。
【0035】
引き続き図1及び図2を参照すると、第2のロータ400は、第2のシャフト・ボディ300によって支持され、第2のシャフト・ボディ300に固定して接続されており、第2のシャフト・ボディ300の一方の端部は第1の軸受ハウジング500に回転可能に取り付けられており、第2のシャフト・ボディ300の他方の端部は第2の軸受ハウジング700に回転可能に取り付けられている。代替的な実施例において、第2のロータ400は、第2のシャフト・ボディ300によって支持され、第2のシャフト・ボディ300に回転可能に接続されており、第2のシャフト・ボディ300の一方の端部は第1の軸受ハウジング500に固定して取り付けられており、第2のシャフト・ボディ300の他方の端部は第2の軸受ハウジング700に固定して取り付けられている。第2のロータ400は、第1のロータ400と噛み合い伝達しており、第2のシャフト・ボディ300の第2の軸線310に沿って第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700において回転するように第1のロータ200によって駆動されてよい。すなわち、第2のロータ400は、第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700に回転可能に支持されている。本開示の幾つかの実施例において、第2のロータ400は、少なくとも2つの部分を有してよい。例えば、第2のロータ400は、同軸に配置された第3の作動部分410及び第4の作動部分420を有し、その両方が第2のシャフト・ボディ300上にスリーブされている。第3の作動部分410及び第4の作動部分420は両方とも、第2の軸線310を中心にハウジング800において回転可能である。
【0036】
第3の作動部分410は第1の作動部分210と噛み合い伝達しており、第4の作動部分420は第2の作動部分220と噛み合い伝達している。第3の作動部分410の回転方向は第1の作動部分210の回転方向とは反対であり、第4の作動部分420の回転方向は第2の作動部分220の回転方向とは反対である。
【0037】
第2のロータ400は、雌型ブレードと呼ばれてもよい、らせん形ブレードを有する。特に、第3の作動部分410は、複数の第3のらせん形ブレード411と、複数の第3のらせん形ブレード411にそれぞれ隣接する複数の第3のブレード溝412とを有し、1つの第3のブレード溝412が、複数の第3のらせん形ブレード411のうちの隣接する2つの間に形成されている。第4の作動部分420は、複数の第4のらせん形ブレード421と、複数の第4のらせん形ブレード421にそれぞれ隣接する複数の第4のブレード溝422とを有し、1つの第4のブレード溝422が、複数の第4のらせん形ブレード421のうちの隣接する2つの間に形成されている。第3のらせん形ブレード411は、対応する第1のブレード溝212と係合しており、第1のらせん形ブレード211は、対応する第3のブレード溝412と係合しており、第4のらせん形ブレード421は、対応する第2のブレード溝222と係合しており、第2のらせん形ブレード221は、対応する第4のブレード溝422と係合している。本開示の実施例の第3のらせん形ブレード411及び第4のらせん形ブレード421は、反対のらせん方向を有するように構成されている。第1のロータ200及び第4のロータ400が、回転するように互いに係合しているとき、第3のらせん形ブレード411と第4のらせん形ブレード421との間に反対の軸方向の力が生じ、これは、第3のらせん形ブレード411と第4のらせん形ブレード421との間に反対の軸方向の力を生じるものとして理解されてもよい。軸方向の力の対称性により、第3のらせん形ブレード411と第4のらせん形ブレード421との間に生じる反対の軸方向の力は、ほとんど反作用されてよい。
【0038】
本開示の明細書及び請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」という用語は、特定の順序を示すのではなく、異なる対象を区別するために使用されることに留意されたい。さらに、「含む」及び「有する」という用語、並びにその変化形は、非排他的な包含を網羅することが意図されている。
【0039】
第1のロータ200及び第2のロータ400において、第1のロータ200及び第2のロータ400が互いに噛み合うことによって一緒に回転するとき、第1の作動部分210と第2の作動部分220との反対の回転方向により、反対の軸方向の力が生じてよく、第3の作動部分210と第4の作動部分420との反対の回転方向により、反対の軸方向の力が生じてよく、第1の作動部分210と第2の作動部分220との間の軸方向の力は、ある程度まで反作用されてよく、第3の作動部分410と第4の作動部分420との間の軸方向の力はある程度まで反作用されてよい。
【0040】
しかしながら、実際の製造プロセスにおいて、1つの態様において、製造偏差の問題により、第1のロータ200の異なる部分の構成における違い及び第2のロータ400の異なる部分の構成における違いが存在することが分かったことに留意されたい。また、第1のロータ200と第2のロータ400との間の違いが存在する。別の態様において、組立てにおける公差及び偏差の問題により、第1のロータ200と第2のロータ400との間の取付けにおける違いが存在する。これは、第1の作動部分210と第2の作動部分220との間の軸方向の力の不可能な完全な反作用及び第3の作動部分410と第4の作動部分420との間の軸方向の力の不可能な完全な反作用につながる。すなわち、第1のロータ200と第2のロータ400とが一緒に回転するように互いに係合しているとき、軸方向の力の不可能なほとんど完全な反作用により、ランダムな方向において軸方向の力の合力を形成することが不可能である。軸方向の力の合力は第1の方向H1を向いてよく、軸方向の力の合力も第2の方向H2を向いてよい。
【0041】
さらなる態様において、圧縮機製品の定量化において、各圧縮機におけるロータの間の違いは、各圧縮機におけるロータによって生じる軸方向の力の合力の異なる方向につながる。例えば、幾つかの圧縮機におけるロータの軸方向の力の合力の方向は第1の方向H1を向き、幾つかの他の圧縮機におけるロータの軸方向の力の合力の方向は第2の方向H2を向く。すなわち、軸方向がランダムで且つ数値がランダムな合力が、全体のロータ・シャフト・システムにおいて現れ、これにより、全体のロータ・シャフト・システムが第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700のうちの一方にランダムに押し付けられ、これは、この側のロータ面とハウジングとの間に接触及び摩擦を生じ、ひいては故障の発生を生じる。
【0042】
関連する技術において、全ての形成された圧縮機の安定した動作を保証するために、全ての形成された圧縮機におけるロータの軸方向の力の合力を制限するために、2つのセットのスラスト軸受(又は軸スラスト軸受と呼ばれる)が、各圧縮機の各シャフト・ボディ上にスリーブされる。このようにして、全ての形成された圧縮機の安定した動作を保証することができる。
【0043】
したがって、制限負荷を支持するためにスラスト軸受を使用することが依然として不可避である。しかしながら、合力の方向のランダム性により、スラスト軸受は、2つの方向において制限負荷を支持することができる必要がある。すなわち、圧縮機の実際の製造及び加工プロセスの間のロータの軸方向の力の合力の制限を保証するために、スラスト軸受(軸スラスト軸受)は、依然として、2つの方向を制限するために1つの回転軸に設置されることが要求される。例えば、圧縮機には、2つの方向においてランダムに表れる軸方向の力の合力が支持されることを保証するために反対の軸受方向を有する2つのセットのスラスト軸受が設けられてよい。しかしながら、1つの個々の圧縮機のために、軸方向の力のランダムな合力の方向は常に不変である。この場合、1つのセットのスラスト軸受は制限するために使用されるのに対し、他方のセットのスラスト軸受は完全にアイドル状態にあり、したがって、より低い価格性能比を生じる。さらに、冗長な機械的損失及び潤滑油の需要が生じ、圧縮機の故障率が増大する。最後に、圧縮機アセンブリのサイズ及びコストが増大し、ロータ・シャフト・システムの動作の機械的効率がある程度まで低下し、潤滑油の需要が増大する。
【0044】
その上で、本開示の実施例によって提供される第1のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの端部を示す端面図である図3を参照する。図2を参照すると、少なくとも1つの第1の空気圧溝213が、第2の作動部分220から離れた第1の作動部分210の第1の端面214に設けられており、少なくとも1つの第1の空気圧溝213は、それぞれ第1の作動部分210の複数の第1のブレード溝212のうちの少なくとも1つと連通しており、第1の空気圧溝213は、回転しているとき第1の軸線110に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。
【0045】
第1の端面214は、第1の軸受ハウジング500の第1の内壁510と隙間ばめを提供している。第1の作動部分210及び第2の作動部分220が第1の軸線110を中心に回転すると、少なくとも1つの第1の空気圧溝213は、複数の第1のブレード溝212のうちの少なくとも1つからガスを吸い込み、加圧し、第1の作動部分210が第1の内壁510に対して当接することを防止するために第1の端面214と第1の内壁510との間にガス膜の層を形成する。
【0046】
本開示の実施例における圧縮機1000の第1の作動部分210は、第1の空気圧溝213を通じて第1のブレード溝212からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分220を向いた固定ガス軸方向力を形成し、ロータ・シャフト・システムが常に固定された方向でのみ軸方向の力を受けることを保証し、第2の作動部分を向いたガス軸方向力を支持するためにスラスト軸受900の1つのセットのみが必要とされ、したがって、スラスト軸受220の使用を減じる。このように、圧縮機1000のコストが削減されてよく、圧縮機1000の体積が縮小されてよく、圧縮機1000の可動部分の構造が簡略化されてよく、圧縮機1000の性能及び信頼性が向上させられてよい。さらに、第2の作動部分220を向いたガス軸方向力を支持するためのスラスト軸受が排除された後、第1の作動部分210の第1の端面214とハウジング800の第1の内壁510との間に形成されたガス膜の層は、第1のロータ200とハウジング800との間の衝突及び摩擦によって生じる故障の発生を防止することができ、したがって、圧縮機1000の性能及び信頼性をさらに向上させる。
【0047】
前述の第1のタイプのロータ・アセンブリに基づいて、さらに、本開示の実施例によって提供される第2のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの他方の端部を示す端面図である図4を参照する。図2を参照すると、少なくとも1つの第2の空気圧溝223が、第1の作動部分210から離れた第2の作動部分220の第2の端面224に設けられており、少なくとも1つの第2の空気圧溝223は、それぞれ第2の作動部分220の複数の第2のブレード溝222のうちの少なくとも1つと連通しており、第2の空気圧溝223は、回転しているとき第1の軸線110に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。
【0048】
第2の端面224は、第2の軸受ハウジング700の第2の内壁710と隙間ばめを提供しており、第2の内壁710は、第1の内壁510から間隔を空けられており、第1の内壁510とは反対側に配置されている。第1の作動部分210及び第2の作動部分220が第1の軸線110を中心に回転すると、少なくとも1つの第2の空気圧溝223は、それぞれ複数の第2のブレード溝222のうちの少なくとも1つからガスを吸い込み、加圧し、第2の作動部分220が第2の内壁710に対して当接することを防止するように第2の端面224と第2の内壁710との間にガス膜の層を形成する。
【0049】
本開示の実施例における圧縮機1000の第1の作動部分210は、第1の空気圧溝213を通じて第1のブレード溝212からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分220を向いた固定ガス軸方向力を形成する。圧縮機1000の第2の作動部分220は、第2の空気圧溝223を通じて第2のブレード溝222からガスを吸い込み、加圧し、第1の作動部分210を向いた固定ガス軸方向力を形成する。2つの方向におけるガス軸方向力は、第1のロータ200に加わる軸方向の力を平衡させることができ、これにより、第1のシャフト・ボディ100に設けられたスラスト軸受をさらに完全に排除することができる。本開示の実施例は、さらに、圧縮機1000のコストを削減し、圧縮機1000の体積を減少させ、圧縮機1000の可動部分の構造を簡略化し、圧縮機1000の性能及び信頼性を向上させることができる。さらに、それぞれ第1のロータ200の2つの端部を向いたガス軸方向力を支持するためのスラスト軸受が排除された後、第1の端面214と第1の軸受ハウジング500との間に形成されるガス膜及び第2の端面224と第2の軸受ハウジング700との間に形成されるガス膜は、第1のロータ200の2つの端部と、第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700との間の衝突及び摩擦によって生じる故障の発生を防止することができ、したがって、圧縮機1000の性能及び信頼性をさらに向上させる。
【0050】
前述の第1のタイプのロータ・アセンブリに基づいて、さらに、本開示の実施例によって提供される第3のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの1つの端部を示す端面図である図5を参照する。図2を参照すると、少なくとも1つの第3の空気圧溝413が、第4の作動部分420から離れた第3の作動部分410の第3の端面414に設けられており、少なくとも1つの第3の空気圧溝413は、それぞれ第3の作動部分410の複数の第3のブレード溝412のうちの少なくとも1つと連通しており、第3の空気圧溝413は、回転しているとき第2の軸線310に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。
【0051】
第3の端面414は、第1の軸受ハウジング500の第1の内壁と隙間ばめを提供している。第3の作動部分410及び第4の作動部分420が第2の軸線310を中心に回転すると、少なくとも1つの第3の空気圧溝413が、複数の第3のブレード溝412のうちの少なくとも1つからガスを吸い込み、加圧し、第3の作動部分が第1の内壁510に対して当接することを防止するために第3の断面414と第1の内壁510との間にガス膜の層を形成する。
【0052】
本開示の実施例における圧縮機1000の第1の作動部分210は、第1の空気圧溝213を通じて第1のブレード溝212からガスを吸い込み、加圧し、第3の作動部分410は、第3の空気圧溝413を通じて第3のブレード溝412からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分220及び第4の作動部分420を向いた固定ガス軸方向力を形成し、ロータ・シャフト・システムが常に固定された方向でのみ軸方向の力を受けることを保証し、これにより、第2の作動部分220及び第4の作動部分420を向いたガス軸方向力を支持するためにそれぞれ第1のシャフト・ボディ100及び第2のシャフト・ボディ300にスラスト軸受の1つのセットのみが設けられる必要があり、したがって、スラスト軸受の使用を減じる。本開示の実施例は、圧縮機1000のコストを削減し、圧縮機1000の体積を減少させ、圧縮機1000の可動部分の構造を簡略化し、圧縮機1000の性能及び信頼性を向上させることができる。さらに、第2の作動部分220及び第4の作動部分420を向いたガス軸方向力を支持するためのスラスト軸受が排除された後、第1の端面214と第1の軸受ハウジング500との間に形成されたガス膜及び第2の端面224と第1の軸受ハウジング500との間に形成されたガス膜は、第1のロータ200又は第2のロータ400と、第1の軸受ハウジング500との間の衝突及び摩擦によって生じる故障の発生を防止することができ、したがって、圧縮機1000の性能及び信頼性をさらに向上させる。
【0053】
前述の第2のタイプのロータ・アセンブリに基づいて、さらに、本開示の実施例によって提供される第2のタイプのロータ・アセンブリの第1のロータ及び第2のロータの他方の端部を示す端面図である図6を参照する。図2を参照すると、少なくとも1つの第3の空気圧溝413が、第4の作動部分420から離れた第3の作動部分410の第3の端面414に設けられており、少なくとも1つの第3の空気圧溝413は、それぞれ第3の作動部分410の複数の第3のブレード溝412のうちの少なくとも1つと連通している。少なくとも1つの第4の空気圧溝423は、第3の作動部分410から離れた第4の作動部分420の第4の端面424に設けられており、少なくとも1つの第4の空気圧溝423は、それぞれ第4の作動部分420の複数の第4のブレード溝422のうちの少なくとも1つと連通しており、第4の空気圧溝423は、回転しているとき第2の軸線310に沿って所定の方向に力を形成するように構成されている。
【0054】
第3の端面414は、第1の軸受ハウジング500の第1の内壁510と隙間ばめを提供しており、第4の端面424は、第2の軸受ハウジング700の第2の内壁710と隙間ばめを提供している。第3の作動部分410及び第4の作動部分420が第2の軸線310を中心に回転すると、少なくとも1つの第3の空気圧溝413は、複数の第3のブレード溝412のうちの少なくとも1つからガスを吸い込み、加圧し、第3の作動部分410が第1の内壁510に対して当接することを防止するために第3の端面414と第1の内壁510との間にガス膜の層を形成し、少なくとも1つの第4の空気圧溝423は、複数の第4のブレード溝422のうちの少なくとも1つからガスを吸い込み、加圧し、第4の作動部分420が第2の内壁710に対して当接することを防止するために第4の端面424と第2の内壁710との間にガス膜の層を形成する。
【0055】
本開示の実施例における圧縮機1000の第1の作動部分210は、第1の空気圧溝213を通じて第1のブレード溝212からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分220を向いた固定ガス軸方向力を形成する。圧縮機1000の第2の作動部分220は、第2の空気圧溝223を通じて第2のブレード溝222からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第1の作動部分210を向いた固定ガス軸方向力を形成する。2つの方向におけるガス軸方向力は、第1のロータ200に加えられる軸方向の力を平衡させることができ、これにより、第1のシャフト・ボディ100に設けられたスラスト軸受をさらに完全に排除することができる。さらに、圧縮機1000の第3の作動部分410は、第3の空気圧溝413を通じて第3のブレード溝413からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第2の作動部分220を向いた固定ガス軸方向力を形成する。圧縮機1000の第4の作動部分420は、第4の空気圧溝423を通じて第4のブレード溝422からガスを吸い込み、加圧し、これにより、第1の作動部分210を向いた固定ガス軸方向力を形成する。2つの方向におけるガス軸方向力は、第2のロータ400に加えられる軸方向の力を平衡させることができ、これにより、第2のシャフト・ボディ300に設けられたスラスト軸受をさらに完全に排除することができる。本開示の実施例は、さらに、圧縮機1000のコストを削減し、圧縮機1000の体積を減少させ、圧縮機1000の可動部分の構造を簡略化し、圧縮機1000の性能及び信頼性を向上させることができる。さらに、第1のロータ200の2つの端部及び第2のロータ400の2つの端部を向いたガス軸方向力をそれぞれ支持するためのスラスト軸受が排除された後、第1のロータ200の2つの端部と第1の軸受ハウジング500との間に形成されたガス膜及び第2のロータ400の2つの端部と第2の軸受ハウジング700との間に形成されたガス膜は、第1のロータ200の2つの端部と第1の軸受ハウジング500との間及び第2のロータ400の2つの端部と第2の軸受ハウジング700との間の衝突及び摩擦によって生じる故障の発生を防止することができ、したがって、圧縮機1000の性能及び信頼性をさらに向上させる。
【0056】
幾つかの実施例において、第1の端面214、第2の端面224、第3の端面414、第4の端面424及び/又は第1の内壁510及び第2の内壁710は、それぞれ耐摩耗性コーティングでコーティングされている。耐摩耗性コーティングは、プラズマ溶射、アーク式溶射、又はフレーム溶射によって第1の端面214、第2の端面224、第3の端面414、第4の端面424及び/又は第1の内壁510及び第2の内壁710上にセラミック、合金、酸化物、フッ素プラスチックなどを噴霧することによって形成されてよい。耐摩耗性コーティングは、第1の端面214、第2の端面224、第3の端面414、第4の端面424及び/又は第1の内壁510及び第2の内壁710に様々な樹脂、エラストマなどから成る耐摩耗性コーティング接着剤をコーティングし、次いで、耐摩耗性コーティング接着剤を自然に硬化させるか又は耐摩耗性コーティング接着剤を加熱によって硬化させることによって形成されてもよい。
【0057】
本開示の実施例において、第1の端面214、第2の端面224、第3の端面414、第4の端面424及び/又は第1の内壁510及び第2の内壁710上に耐摩耗性コーティングをコーティングすることによって、第1のロータ200及び第2のロータ400の2つの端部におけるガス膜が、圧縮機1000の初期始動段階又はシャットダウン段階において第1のロータ200及び第2のロータ400に加えられる十分な作用力を有することを保証することができ、これは、第1のロータ200の2つの端部と第1の軸受ハウジング500との間の衝突及び第2のロータ400の2つの端部と第2の軸受ハウジング700との間の衝突によって生じる故障の発生を防止することができ、したがって、圧縮機1000の性能及び信頼性をさらに向上させる。
【0058】
幾つかの実施例において、第1の端面214又は第3の端面414と第1の内壁510との間の隙間は、3ミクロン~5ミクロンの範囲であり、第2の端面224又は第4の端面424と第2の内壁710との間の隙間は、3ミクロン~5ミクロンの範囲である。本開示の実施例において、第1の端面214又は第3の端面414と第1の内壁510との間の隙間を3ミクロン~5ミクロンの範囲に設定し、第2の端面224又は第4の端面424と第2の内壁710との間の隙間を3ミクロン~5ミクロンの範囲に設定することによって、第1のロータ200の2つの端部におけるガス膜及び第2のロータ400の2つの端部におけるガス膜がより高い剛性を有することを保証することができる。さらに、第1のロータ200の2つの端部における端面及び第2のロータ400の2つの端部における端面は、それぞれ第1の軸受ハウジング500及び第2の軸受ハウジング700から完全に分離されており、したがって、衝突及び摩擦は生じ得ない。
【0059】
幾つかの実施例において、図3図6に示したように、少なくとも1つの第1の空気圧溝213の数、少なくとも1つの第2の空気圧溝223の数、少なくとも1つの第3の空気圧溝413の数、及び少なくとも1つの第4の空気圧溝423の数は、複数である。複数の第1の空気圧溝213の数は、複数の第1のらせん形ブレード211と等しく、複数の第2の空気圧溝223の数は、複数の第2のらせん形ブレード221と等しく、複数の第3の空気圧溝413の数は、複数の第3のらせん形ブレード411と等しく、複数の第4の空気圧溝423の数は、複数の第4のらせん形ブレード421と等しい。
【0060】
幾つかの実施例において、図3図6に示したように、複数の第1の空気圧溝213は、第1の端面214の中心を中心として第1の端面214上にらせん形に分配されており、複数の第2の空気圧溝223は、第2の端面224の中心を中心として第2の端面224上にらせん形に分配されており、複数の第3の空気圧溝413は、第3の端面414の中心を中心として第3の端面414上にらせん形に分配されており、複数の第4の空気圧溝423は、第4の端面424の中心を中心として第4の端面424上にらせん形に分配されている。
【0061】
幾つかの実施例において、図3図6に示したように、複数の第1の空気圧溝213のそれぞれは、対応する第1のらせん形ブレード211の端面にそれぞれ設けられており、複数の第1の空気圧溝213のそれぞれは、対応する第1のブレード溝212とそれぞれ連通している。複数の第2の空気圧溝223のそれぞれは、対応する第2のらせん形ブレード221の端面にそれぞれ設けられており、複数の第2の空気圧溝223のそれぞれは、対応する第2のブレード溝222とそれぞれ連通している。複数の第3の空気圧溝413のそれぞれは、対応する第3のらせん形ブレード411の端面にそれぞれ設けられており、複数の第3の空気圧溝413のそれぞれは、対応する第3のブレード溝412とそれぞれ連通している。複数の第4の空気圧溝423のそれぞれは、対応する第4のらせん形ブレード421の端面にそれぞれ設けられており、複数の第4の空気圧溝423のそれぞれは、対応する第4のブレード溝422とそれぞれ連通している。
【0062】
上記の実施例のうちの1つ以上における圧縮機1000は、エア・コンディショナに適用されてよい。
【0063】
本開示の実施例は、上記の実施例のうちの1つ以上の組合せによって定義される圧縮機1000を含む、エア・コンディショナも提供する。
【0064】
本開示の実施例によって提供されるロータ・アセンブリ、圧縮機及びエア・コンディショナの詳細な説明が上記になされており、本開示の原理及び実装の詳細は、本明細書における特定の実例を使用することによって行われ、前記の実施例の説明は、単に本開示の方法及びその中心的概念を理解することを支援することが意図されている。また、当業者は、本開示の中心的概念に従って、適用の具体的な実装及び範囲を変更し得る。結論として、明細書の内容は、本開示を限定するものとして解釈されない。
【符号の説明】
【0065】
100 第1のシャフト・ボディ
110 第1の軸線
200 第1のロータ
210 第1の作動部分
211 第1のらせん形ブレード
212 第1のブレード溝
213 第1の空気圧溝
214 第1の端面
220 第2の作動部分
221 第2のらせん形ブレード
222 第2のブレード溝
223 第2の空気圧溝
224 第2の端面
300 第2のシャフト・ボディ
310 第2の軸線
400 第2のロータ
410 第3の作動部分
411 第3のらせん形ブレード
412 第3のブレード溝
413 第3の空気圧溝
414 第3の端面
420 第4の作動部分
421 第4のらせん形ブレード
422 第4のブレード溝
423 第4の空気圧溝
424 第4の端面
500 第1の軸受ハウジング
510 第1の内壁
600 ロータ・ハウジング
610 中空チャンバ610
700 第2の軸受ハウジング
710 第2の内壁
800 ハウジング
900 スラスト軸受
1000 圧縮機
1100 ロータ・アセンブリ
H1 第1の方向
H2 第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】