IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイティー インターナショナル エス.エイ.の特許一覧

特表2024-507624NFCアンテナを有するプリント回路基板
<>
  • 特表-NFCアンテナを有するプリント回路基板 図1
  • 特表-NFCアンテナを有するプリント回路基板 図2a
  • 特表-NFCアンテナを有するプリント回路基板 図2b
  • 特表-NFCアンテナを有するプリント回路基板 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】NFCアンテナを有するプリント回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240214BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/02 J
H01Q1/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535037
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2022052993
(87)【国際公開番号】W WO2022175133
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21158117.8
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アデール, カイル
(72)【発明者】
【氏名】ポポーラ, オレイウォラ オラミポシ
(72)【発明者】
【氏名】ラブデイ, ピーター
【テーマコード(参考)】
5E338
5J047
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB55
5E338BB75
5E338CC01
5E338CD02
5E338CD12
5E338EE60
5J047AB11
5J047AB12
5J047BG06
5J047FC06
(57)【要約】
本発明は、導電トラックを介して電気的に接続された、電子喫煙物品のための複数の電気的な及び/又は電子的な部品を機械的に支持するプリント回路基板に関する。プリント回路基板は、少なくとも1つのフレキシブル部及び少なくとも1つのリジッド部を含み、フレキシブル部及びリジッド部は、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層を含む共通的なフレキシブル層スタックを含む。リジッド部は、さらに、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層を含む少なくとも1つのリジッド層スタックを含み、リジッド層スタックは、共通的なフレキシブル層スタックの少なくとも1つの表面に配置される。プリント回路基板は、フレキシブル部内の共通的なフレキシブル層スタックの構造化金属層の少なくとも一部分が、NFCアンテナを形成する電磁コイルとして構造化されていて、共通的なフレキシブル層スタック及びリジッド層のそれぞれの構造化金属層の少なくとも一部分が、無線充電に適した電磁誘導コイルとして共に作動するように構造化されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電トラックを介して電気的に接続された、電子喫煙物品のための複数の電気的な及び/又は電子的な部品を機械的に支持するプリント回路基板(1)であって、前記プリント回路基板は、少なくとも1つのフレキシブル部(2)及び少なくとも1つのリジッド部(3)を含み、前記フレキシブル部(2)及び前記リジッド部(3)は、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層(5)を含む共通的なフレキシブル層スタック(4)を含み、前記リジッド部(3)は、さらに、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層(7)を含む少なくとも1つのリジッド層スタック(6a)を含み、前記リジッド層スタック(6)は、前記共通的なフレキシブル層スタック(4)の少なくとも1つの表面(4a、b)に配置され、
前記フレキシブル部(2)内の前記共通的なフレキシブル層スタック(4)の前記構造化金属層(5)の少なくとも一部分は、NFCアンテナ(8)を形成する電磁コイルとして構造化され、前記共通的なフレキシブル層スタック(4)及び前記リジッド層(6a)のそれぞれの前記構造化金属層(5、7)の少なくとも一部分は、無線充電に適した電磁誘導コイル(10)として共に作動するように構造化されている、
プリント回路基板(1)。
【請求項2】
前記共通的なフレキシブル層スタック(4)及び前記リジッド部(6a)は、ビア(9)で相互接続されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項3】
2.4GHzの周波数を含む電磁信号を送受信するために適した無線プロトコルアンテナ(11)をさらに含む、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項4】
2つの短辺(12a、b)及び2つの長辺(12c、d)を有する矩形形状(12)へ折り畳み可能であって、前記NFCアンテナ(8)は前記短辺(12a、b)の一方と境を接する、
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項5】
2つの短辺(12a、b)及び2つの長辺(12c、d)を有する矩形形状(12)へ折り畳み可能であって、前記誘導コイル(10)は前記短辺(12a、b)の間の中央(12e)に配置される、
ことを特徴とする、請求項2~4の少なくとも一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項6】
前記ビア(9)は、スティッチングビア(9)である、
ことを特徴とする、請求項2~5の少なくとも一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項7】
前記リジッド部(3)は、さらに、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層(7)を含む第2のリジッド層スタック(6b)を含み、前記共通的なフレキシブル層スタック(4)及び2つの前記リジッド層(6)のそれぞれの前記構造化金属層(5、7)の少なくとも一部分は、ビア(9)で相互接続され、前記誘導コイル(10)として共に作動するように構造化されている、
ことを特徴とする、請求項2~6の少なくとも一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項8】
前記共通的なフレキシブル層スタック(4)及び2つの前記リジッド層スタック(6a、b)は、全てビア(9)で相互接続され及び前記誘導コイル(10)として共に作動するように構造化された、2つの構造化金属層(5、7)を各々含む、
ことを特徴とする、請求項7に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項9】
前記誘導コイル(10)は、400~500mmであり、好ましくは430~470mmであり、最も好ましくは450mmである、表面積を有する、
ことを特徴とする、請求項2~8の少なくとも一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項10】
前記誘導コイル(10)は、0.05~0.3mmであり、好ましくは0.01~0.25mmであり、最も好ましくは0.2mmである、相互接続された前記構造化金属層(5、7)で形成された実効的な配線の総断面積を有する、
ことを特徴とする、請求項2~9の少なくとも一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項11】
前記金属層(5、7)は、銅層である、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項12】
前記銅層は、0.5オンス銅層であり、即ち、18μmの層厚を有する、
ことを特徴とする、請求項11に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項13】
前記NFCアンテナ(8)は、200~250mmであり、好ましくは215~235mmであり、最も好ましくは225mmである、表面積を有する、
ことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項14】
前記NFCアンテナ(8)の、10~20mmであり、好ましくは13~17mmであり、最も好ましくは15mmである、前記短辺(12a、b)に平行に測定される幅(w)を有する、
ことを特徴とする、請求項4に記載のプリント回路基板(1)。
【請求項15】
前記誘導コイル(10)の、10~20mmであり、好ましくは13~17mmであり、最も好ましくは15mmである、前記短辺(12a、b)に平行に測定される幅(w)を有する、
ことを特徴とする、請求項5に記載のプリント回路基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電気的な及び/又は電子的な部品群を機械的に支持し並びに電子喫煙装置へ挿入可能な、プリント回路基板に関する。上述のプリント回路基板は、NFCアンテナを含む少なくとも1つのフレキシブル部と、少なくとも1つのリジッド部とを含み、この両方の部分が共通的なフレキシブル層スタックに取り付けられる。
【背景技術】
【0002】
電子喫煙装置は、特に、ニコチン、タバコ、液体香味物質、及び他の喫煙可能な植物ベース材料の消費に関して人気が高まりつつある。これらの装置は、多くの場合、ハウジングがとりわけユーザの手の中で快適さを与えるように、解剖学的に形作られる。このため、電気喫煙装置は手持ち式であり、携帯型である。無線機能を実現するために、典型的には、チューニング済みのアンテナがコネクタ及び/又はフライングリードでフレキシリジッドPCBに接続される。例えば、米国特許出願公開第2014/224267号明細書には、電気タバコを無線充電する誘導充電システムが記載されている。したがって、記載されている当該電気タバコは、受け側コイルがプリントされたフレキシブルラミネートプリント回路基板(PCB)を含む。充電用無線モジュールを有する手持ち式電子装置用無線モジュールの別の例が、米国特許出願公開第2015/116156号明細書にある。しかしながら、一般的なPCBは、手持ち式電気タバコの特に薄くて繊細な実施形態で使用できるほどフレキシブルではない。さらに、無線充電モジュールのそのような実装は、製造コストを増加させ、組立工程が増えることで設計の可変性を劣化させる。
【0003】
電子喫煙装置内への取り付けのためには、アンテナが単一のフレキシブルプリント回路基板の一部として組み込まれたフレキシブルプリント回路基板を提供することが望ましいであろう。特に、そのようなフレキシブルプリント回路基板の製造コスト及び組立工程を減らすことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、全ての無線アンテナがフレキシブルプリント回路基板上に組み込まれた、そのフレキシブルプリント回路基板を提供することである。
【0005】
上述の問題は、導電トラックを介して電気的に接続された、電子喫煙物品のための複数の電気的な及び/又は電子的な部品を機械的に支持するプリント回路基板によって解決される。プリント回路基板は、少なくとも1つのフレキシブル部及び少なくとも1つのリジッド部を含み、フレキシブル部及びリジッド部は、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層を含む共通的なフレキシブル層スタックを含む。リジッド部は、さらに、導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層を含む少なくとも1つのリジッド層スタックを含み、リジッド層スタックは、共通的なフレキシブル層スタックの少なくとも1つの表面に配置される。本発明によれば、フレキシブル部内の共通的なフレキシブル層スタックの構造化金属層の少なくとも一部分が、NFCアンテナを形成する電磁コイルとして構造化され、共通的なフレキシブル層スタック及びリジッド層のそれぞれの構造化金属層の少なくとも一部分が、無線充電に適した電磁誘導コイルとして共に作動するように構造化される。
【0006】
好ましくは、プリント回路基板の剛性を、層の個数によって定義することができる。プリント回路基板の各表面に2層の部分を設けることが可能であり、これは好ましくはフレキシブルである。また、プリント回路基板の各表面に4層の部分を設けることも想起され、これはとりわけ2層部分ほどフレキシブルではない。フレキシブルという用語は、この文脈では、特に曲げられることを意味する。プリント回路基板がフレキシブルであることは、電気喫煙装置のハウジング内に取り付ける場合に特に有利である。このように、ハウジングが方形の形状の場合には、ハウジングのエッジにおいて特に大きな空間が利用可能である。また、ハウジングが丸みを帯びた形状の場合、又はユーザ個人に合わせて調整された形状の場合には、プリント回路基板のフレキシブル部がフレキシブルであることは非常に有利である。
【0007】
共通的なフレキシブル層スタックのフレキシブル部にNFCアンテナを取り付けることは、プリント回路基板全体の製造工程が自動化される場合には特に有利である。プリント回路基板のうちのフレキシブル部の内側の複数の層を空のままにして重ねることにより、コイルを調製することが可能である。これにより、部品をなす別個の電磁コイルをプリント回路基板に追加することが不要になり、製造コストが特に削減される。共通的なフレキシブル層スタックのフレキシブル部は、少なくとも2つの層を含むことが好ましい。第1のフレキシブル層は、好ましくは上部ペースト及び/又は下部ペーストであり、第2のフレキシブル層に取り付けられる。好ましくは、第2の層は誘電体層であり、より好ましくは、第2及び/又は第4の誘電体層であり、これらは共通的なフレキシブル層スタックに取り付けられる。共通的なフレキシブル層スタックは、ポリイミドを含むフレキシブルコアを含むことが好ましい。上部フレックス及び下部フレックスはアンテナアートワークとして設計されることが可能である。例えば、プリント回路基板のプリント前又はプリント中に、設計ツールにより、フレキシブル部にコイル状パターンが生成されてよい。設計中に、コイルの物理値(例えば、コイルの長さ及び幅)、トラック幅、トラック間ギャップのサイズ、トラック厚さ、及び巻線数を変更することが想起される。そのようにして形成されたコイルは、さらに、プリント回路基板の各表面上で、少なくとも1つの誘電体層、及び/又は上部ペーストでコーティングされることが想起される。誘電体層は、プリプレグ1080であることが好ましい。
【0008】
設計ツールにより生成されるコイル状パターンは、自動的には望まれる形で動作しない可能性がある。有望なパターンを与えるためには、パターンにベクタネットワークアナライザ(Vector Network Analyser)ツールを接続してアンテナの実際の値(インピーダンス等)を測定することが想起される。好ましくは、アンテナパターンの値は、所望の周波数について計算される。この計算により、コイル性能の一貫性や均質性が可能になり、製造コストが削減される。
【0009】
好ましい一実施形態では、NFCアンテナは正方形の形状である。アンテナは、好ましくは、横方向長さ及び幅が30~90mmの範囲にあり、好ましくは65mmである。アンテナは、好ましくは、トラック幅が300~600μmの範囲にあり、好ましくは500μmである。NFCアンテナは、さらに、トラック間の少なくとも1つのギャップが300~600μmの範囲にあり、好ましくは500μmであってもよい。トラック厚さは35μmであり、巻線数は2であることが想起される。そのようなNFCアンテナは、好ましくは高周波伝送に好適であり、好ましくは10~90MHzの範囲の、より好ましくは13.56MHzの高周波伝送に好適である。NFCアンテナは、最大424kbpsのデータ転送レートを可能にすることが好ましい。
【0010】
また、無線充電に好適であるように、電磁誘導コイルの少なくとも一部分をリジッド層上に取り付けることが有利である。電磁誘導コイルは、無線充電のための100~300kHzの範囲の低い周波数を伝達することが可能であることが好ましい。このために、電磁誘導コイルは、NFCアンテナと異なり、より厚く、より長い銅ゲージを要すると想起される。これを達成するために、フレキシブルプリント回路基板の全ての層を使用し、それらの層をまとめて銅スティッチ(copper stitch)して、配線に類似する3D導体を得ることが可能である。最高100kHzの周波数の送受信を達成するために、プリント回路基板のリジッド部は、各表面に少なくとも6つの層を含んでよい。リジッド部は、上部及び下部はんだ層、上部及び下部オーバレイ、上部及び下部リジッド層、第1及び第5の誘電体層、グランド(GND)層及び電源(Vsupp)層、並びに、第2及び第4の誘電体層を含むことが好ましい。プリント回路基板のリジッド部及びフレキシブル部は共に、上部及び下部ペーストを含むことが好ましい。
【0011】
別の実施形態によれば、プリント回路基板は、共通的なフレキシブル層スタックとリジッド層とがビア(vias)で相互接続されることを特徴とする。特に、ビアによる相互接続は、安価であり、実装が容易である。フレキシブルプリント回路基板が電気的な部品を少なくとも数個しか搭載しないという事実により、好ましくは複数のリジッド部におけるビアでのスティッチングのための十分なスペースがある。
【0012】
別の実施形態によれば、プリント回路基板は、2.4GHzの周波数を含む電磁信号の送受信に好適な無線プロトコルアンテナをさらに含むことを特徴とする。無線プロトコルアンテナは、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee、Thread、その他を送受信することが好ましい。無線プロトコルアンテナは、プリント回路基板のリジッド部の少なくとも1つの表面に適用されることが好ましい。また、無線プロトコルアンテナは、UHF用チップアンテナであることが好ましい。
【0013】
別の実施形態によれば、プリント回路基板は、2つの短辺及び2つの長辺を有する矩形形状へ折り畳み可能であって、NFCアンテナが短辺の一方と境を接することを特徴とする。電子喫煙物品の最もよく使用される形状は、好ましいことに矩形ペンに似ている。部品群を含むプリント回路基板をハウジング内に取り付けることを達成するために、プリント回路基板は、2つの短辺及び2つの長辺を有する矩形形状へ折り畳み可能であることが想起される。このため、NFCアンテナを矩形ペンの短辺に取り付けることが有利である。この場合、NFCアンテナは、交換可能マウスピースに近いことが好ましい。上記交換可能マウスピースがNFCアンテナを介して電子喫煙物品と通信することが可能となる。マウスピースは、喫煙可能液体を有する交換可能カートリッジを含むことが好ましい。
【0014】
別の実施形態によれば、プリント回路基板は、2つの短辺及び2つの長辺を有する矩形形状へ折り畳み可能であって、誘導コイルが短辺間の中央に配置されることを特徴とする。リジッド部の中央及び/又は2つの短辺の間での無線充電のために誘導コイルを調製し又は構成することが特に有利である。この場合、組み立て済みの電子喫煙物品が充電ステーションの中央で充電可能となることが好ましい。ユーザは、好ましくは、電気喫煙物品の位置決め(例えば、誘導コイルが充電ステーションの特定の場所に接触するかどうか)に注意を払う必要がなく、それでも自ずと直感的に装置を中央に置くことになる。追加的に又は代替的に、NFCアンテナを短辺の1つに合わせて構成し又は調製することが想起される。
【0015】
別の実施形態によれば、プリント回路基板は、ビアがスティッチングビアであることを特徴とする。スティッチングビアは、少なくとも2つの金属層をスティッチングすることが好ましい。スティッチングビアは、信号の返信経路を短くすることに関して有利である。想起されることとして、スティッチングビアは、プリント回路基板上の熱を分散させる。これは特に、誘導コイルを有する部分において有利である。この場合、プリント回路基板は、水平方向の熱伝導率がより高く、熱は少なくとも横向きに外へと伝達される。これにより、共通的なフレキシブル層スタックをトレースよりも低温にすることができ、複数のリジッド部を通るスティッチングビアによって面直方向の熱伝導率がより高くなり、これによって、熱が共通的なフレキシブル層スタックに運ばれて放散される。高周波においてトラックから放射される電磁波をフェンスで囲む効果を利用することも想起される。複数のビアは、対象の周波数の波長の少なくとも1/10の間隔を互いに空けて配置されることが好ましい。この場合、この間隔は、衝突する波をフェンスで囲むのに十分な小ささである。
【0016】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、リジッド部が導電トラック及び/又は電気的な部品を形成する少なくとも1つの構造化金属層を含む第2のリジッド層スタックをさらに含み、共通的なフレキシブル層スタック及び2つのリジッド層のそれぞれの構造化金属層の少なくとも一部分がビアで相互接続されて誘導コイルとして共に作動するように構造化されていることである。想起されることとして、導電トラックは、電気的な部品同士を電気的に接続し、及び/又は電気的な部品を少なくとも1つのアンテナに接続する。好ましくは、誘導コイルは、少なくとも部分的にフレキシブル層スタック上に配置される。少なくとも2つのリジッド層スタック上、及びフレキシブル層スタック上に配置された誘導コイルは、25~160°の範囲の角度まで曲げられることが可能である。そのように調製されたプリント回路基板を有する電気喫煙物品は、少なくとも1つのエッジに無線充電用誘導コイルを含んでよい。
【0017】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、共通的なフレキシブル層スタック及び2つのリジッド層スタックが各々2つの構造化金属層を含み、これらが全てビアで相互接続されて誘導コイルとして共に作動するように構造化されていることである。そのような誘導コイルは、30~130°の範囲の角度で折り畳み可能であることが好ましい。他の装置との通信及び/又は無線電力伝送に異なる複数の周波数を使用する場合には、少なくとも3つ、より好ましくは4つのアンテナを取り付けることが望ましいであろう。少なくとも2つのリジッド層スタックに構造化されて含まれる、使用される誘導コイルの数は、通信周波数及び/又は無線電力伝送周波数の所要の数に依存して変化する。
【0018】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、誘導コイルの表面積が400~500mmであり、好ましくは430~470mmであり、最も好ましくは450mmであることである。設計される誘導コイルは、幅が15mm、長さが30mmであることが好ましい。設計される誘導コイルは、幅が5~30mmの範囲にあり、長さが10~47mmの範囲にあることも可能である。
【0019】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、誘導コイルの、相互接続された構造化金属層で形成された実効的な配線の総断面積が0.05~0.3mmであり、好ましくは0.01~0.25mmであり、最も好ましくは0.2mmであることである。誘導コイルは、直径が0.5mm、断面積が0.2mmであることが好ましい。そのようなコイルの場合、トラックは、幅が全ての層で(好ましくは6つの層で)1mmであり、高さが0.1mmであることを要する。
【0020】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、金属層が銅層であることである。他の導電性金属を使用することも可能である。
【0021】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、銅層が0.5オンス銅層であり、即ち、層厚が18μmであることである。これらの銅層を組み合わせて3オンス銅層にすることが想起される。
【0022】
上部フレックス層及び下部フレックス層の厚さは、0.01~0.03mmの範囲にあること、より好ましくは0.018mmであることが好ましい。また、フレキシブルコアの厚さは、0.01~0.1mmの範囲にあること、より好ましくは0.05mmであることが好ましい。
【0023】
上部はんだ及び下部はんだの厚さは、0.02~0.03mmの範囲にあること、より好ましくは0.025mmであることが好ましい。銅層を含む上部リジッド及び下部リジッドの厚さは、0.01~0.03mmの範囲にあること、より好ましくは0.018mmであることが好ましい。第1及び第5の誘電体層の厚さは、0.1~0.2mmの範囲にあること、より好ましくは0.15mmであることが好ましい。また、GND層及びVsupp層の厚さは、0.01~0.03mmの範囲にあること、より好ましくは0.018mmであることが好ましい。第2及び第4の誘電体層の厚さは、0.05~0.09mmの範囲にあり、より好ましくは0.068mmである。
【0024】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、NFCアンテナの表面積が200~250mmであり、好ましくは215~235mmであり、最も好ましくは225mmであることである。NFCアンテナの表面積は、フレキシブル部の所与の面積又は他の値に応じて異なってよい。
【0025】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、NFCアンテナの、短辺に平行に測定される幅が10~20mmであり、好ましくは13~17mmであり、最も好ましくは15mmであることである。NFCアンテナの幅は、個々の要件(例えば、所望の周波数、及び/又はフレキシブル部の所与の面積)に応じて異なってよい。また、NFCアンテナの、短辺に平行に測定される幅を65mmとすることも想起される。
【0026】
別の実施形態によれば、プリント回路基板が特徴とするのは、誘導コイルの、短辺に平行に測定される幅が10~20mmであり、好ましくは13~17mmであり、最も好ましくは15mmであることである。誘導コイルの幅は、個々の要件(例えば、所与の設置面積)に応じて異なってよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の説明では、本発明のさらなる利点、目的、及び特徴を、あくまでも例として添付の図面を参照して述べる。図面では、異なる実施形態における類似の構成要素に同じ参照符号が付される場合がある。
【0028】
図1】誘導コイル、無線プロトコルアンテナ、及びNFCアンテナを有するプリント回路基板の平面図である。
図2a】プリント回路基板のリジッド部及びフレキシブル部の側面図である。
図2b】スティッチングビアを有するプリント回路基板のリジッド部及びフレキシブル部の側面図である。
図3】プリント回路基板を含む電子喫煙物品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、誘導コイル10、無線プロトコルアンテナ11a、及びNFCアンテナ8を有するプリント回路基板1の平面図を示している。図示したプリント回路基板1は、折り畳み式であり、電子喫煙物品のハウジングに挿入可能である(図3を参照)。好ましくは、プリント回路基板1は、さらに、2つの短辺12a、b、及び2つの長辺12c、dを有し、短辺12a、bの少なくとも一方にマウスピースを配置することが可能である(ここでは図示せず)。プリント回路基板1は、リジッド部3及びフレキシブル部2を含み、両方とも、共通的なフレキシブル層スタックの少なくとも1つの表面4a、bに配置される。
【0030】
フレキシブル部2及びリジッド部3は、さらに、NFCアンテナ8及び誘導コイル10として動作する構造化金属層5、7を含む。構造化金属層5、7は、銅を含むことが好ましい。図示した実施形態では、フレキシブル部2に含まれる1つの金属層5、7がウラムらせん(ulam spiral)状に成形されており、金属層5、7は、90°の角度で曲げられて中心部を取り巻いて延びる少なくとも1つのトラックを含む。短辺12a、bに沿って測定されるNFCアンテナの幅W2は、10~30mmの範囲にあると想起される。リジッド部3に含まれる構造化金属層5、7は、らせん状に成形されることが好ましい。金属層5、7は、中心部を取り巻いて延びる少なくとも1つのトラックを含む。短辺12a、bに沿って測定される誘導コイルの幅W1は、10~30mmの範囲にあることが可能である。
【0031】
ほとんどの実施形態では、プリント回路基板1は、アンテナ8、10、11aに加えて、複数の電気的な及び/又は電子的な部品11を支持する。好ましくは、部品11、8、10、11aの全てが共に動作して、無線充電、UHF送受信、及び/又は近距離無線通信等の各種機能を有効にする。好ましくは、リジッド層スタック6及びフレキシブル層スタック4のうちのいくつかの層が、内側の複数の金属層をスティッチングするビアを含む。また、好ましくは、誘導コイル10は、3D導体(好ましくは配線)を形成するビア9と共に調製され及びスティッチングされる。
【0032】
無線プロトコルアンテナ11aは、好ましくは、プリント回路基板1の少なくとも1つの表面4a、bに配置可能である。図1では、無線プロトコルアンテナ11aは、第1のリジッド層スタック6aの短辺12a寄りに配置されている。NFCアンテナ8は、好ましくは、プリント回路基板1のフレキシブル層スタック4上の短辺12b寄りに配置される。誘導コイル10は、第2のリジッド層スタック6b上の短辺12a寄りに配置される。誘導コイル10は、2つの短辺12a、bの間の中央に配置可能であることも想起される(図3を参照)。
【0033】
図2aは、プリント回路基板1のリジッド部3及びフレキシブル部2の側面図を示している。図示したプリント回路基板1は、上部表面4a上及び下部表面4bに対して層状の構造を含む。リジッド部3及びフレキシブル部2は、共通的なフレキシブル層スタック4に対して取り付けられる。好ましくは、リジッド部3にある上部表面4aは、上部ペースト100、上部オーバレイ101、上部はんだ102、上部リジッド103、誘電体1 104、GND層105、及び誘電体2 106を含む。また、好ましくは、リジッド部3にある下部表面4bは、下部ペースト113、下部オーバレイ112、下部はんだ111、下部リジッド110、誘電体5 109、Vsupp層108、及び誘電体4 107を含む。
【0034】
上部はんだ102及び下部はんだ111は、はんだレジストを含むことが好ましい。上部はんだ102及び下部はんだ111の厚さは、0.025mmが好ましい。上部リジッド103及び下部リジッド110は、銅を含むことが好ましい。上部リジッド103及び下部リジッド110の厚さは、0.018mmが好ましい。誘電体1 104及び誘電体5 109は、高TgのFR4コアを含む。誘電体1 104及び誘電体5 109の厚さは、0.150mmが好ましい。GND層及びVsupp層は、銅又は他の金属の層を含むことが好ましい。GND層及びVsupp層の厚さは、0.018mmが好ましい。誘電体2 106及び誘電体4 107は、プリプレグ1080を含むことが好ましい。誘電体2 106及び誘電体4 107の厚さは、0.068mmが好ましい。共通的なフレキシブル層スタック4は、フレックスコア、上部フレックス4c、及び下部フレックス4dを含む。上部フレックス4c及び下部フレックス4dの厚さは0.018mmが好ましく、フレックスコア4の厚さは0.05mmが好ましい。上部フレックス4c及び下部フレックス4dは、銅又は他の金属の層を含むことが好ましい。また、フレックスコア4はポリイミドを含むことが好ましい。
【0035】
図2bは、スティッチングビア9を有するプリント回路基板1のリジッド部3及びフレキシブル部2の側面図を示す。このプリント回路基板1は、図2aに示した層状構造と同じ層状構造を含む。これに加えて、各層はビア9でスティッチされている。リジッド部3及び/又はフレキシブル部2は、径が50~10μmの範囲にあるブラインド穴を含むことが好ましい。これらの穴は、レーザで作られることが好ましく、又は、少なくとも1つの表面4a、bにプラズマエッチングされる。これらの穴は、GND層105、上部フレックス4c、下部フレックス4d、Vsupp層108、又は下部リジッド110まで延びることが好ましい。これらの穴は、残留樹脂を一掃され、複数の層を電気的に相互接続するために金属(好ましくは銅)を充填されることが好ましい。このため、スティッチングビアは、電気メッキされ、プリント回路基板1の複数の層を貫通して金属を充填された穴を有することが好ましい。
【0036】
図3は、プリント回路基板1を含む電子喫煙物品の概略図を示している。プリント回路基板1は、さらに、誘導コイル10及びNFCアンテナ8を含む。アンテナ10、8の双方は、プリント回路基板1の、金属及びビア(図示せず)を含む複数の層5、7へと構造化されていることが好ましい。誘導コイル10は、第1のリジッド層スタック6a及び/又は第2のリジッド層スタック6bである少なくとも1つのリジッド部3に配置されることが好ましい。NFCアンテナ8は、フレキシブル層スタック4である少なくとも1つのフレキシブル部2に配置されることが好ましい。この実施形態では、誘導コイル10は、2つのフレキシブル部2の間に配置されている。NFCアンテナ8は、プリント回路基板1の少なくとも1つのフレキシブル部2に配置されることが好ましい。
【0037】
誘導コイル10は、幅W1及び長さL1を有する。好ましくは、幅W1が5~35mmの範囲にあり、長さL1が10~45mmの範囲にある。NFCアンテナ8は、幅W2及び長さL2を有する。好ましくは、幅W2が5~35mmの範囲にあり、長さL2が10~45mmの範囲にある。また、幅W1又はW2、及び長さL1又はL2が、層数及び所要のトラック巻線数等の変数に依存して変化することも想起される。長さL2及び幅W2は、誘導コイル10の長さL1及び幅W1と同様であることが想起される。
【0038】
本出願人は、本願明細書で開示された全ての特徴が、先行技術に照らして、個別に又は組み合わせとして新規である限り、それらの特徴を本発明の本質的な特徴であるものとして特許請求する権利を留保する。さらに、各図面において、個々に有利でありうる特徴を記述していることに注意されたい。当業者であれば直ちに認識されるように、ある図面で開示されている特定の特徴は、その図面にある別の特徴を採用しない場合でも有利でありうる。さらに、当業者であれば認識されるように、1つの図面又は異なる複数の図面で開示されている多様な特徴を組み合わせることによって利点が発生することもありうる。
【符号の説明】
【0039】
1 プリント回路基板
2 フレキシブル部
3 リジッド部
4 共通的なフレキシブル層スタック/フレックスコア
4a、b 共通的なフレキシブル層スタックの表面
4c、d 上部フレックス及び下部フレックス
5 構造化金属層
6 リジッド層スタック
6a 第1のリジッド層スタック
6b 第2のリジッド層スタック
7 構造化金属層
8 NFCアンテナ
9 ビア
10 電磁コイル/誘導コイル
11 電気的な及び/又は電子的な部品
11a 無線プロトコルアンテナ
12 矩形形状
12a、b 2つの短辺
12c、d 2つの長辺
W1 誘導コイルの幅
W2 NFCアンテナの幅
L1 誘導コイルの長さ
L2 NFCアンテナの長さ
100 上部ペースト
101 上部オーバレイ
102 上部はんだ
103 上部リジッド
104 誘電体1
105 GND層
106 誘電体2
107 誘電体4
108 Vsupp層
109 誘電体5
110 下部リジッド
111 下部はんだ
112 下部オーバレイ
113 下部ペースト
図1
図2a
図2b
図3
【国際調査報告】