(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】埋め込み光共振器を備えた量子トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H10N 60/00 20230101AFI20240214BHJP
【FI】
H10N60/00 Z ZAA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536571
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2022054847
(87)【国際公開番号】W WO2022184592
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファルク、アブラム
(72)【発明者】
【氏名】シオン、チ
(72)【発明者】
【氏名】カムラプルカル、スウェタ
(72)【発明者】
【氏名】パイク、ハンヒー
(72)【発明者】
【氏名】オルクット、ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4M113
【Fターム(参考)】
4M113AC44
4M113AC45
4M113AC50
4M113CA13
4M113CA16
4M113CA17
(57)【要約】
量子トランスデューサに関する技法が提供される。例えば、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態が、超伝導導波路およびグランドプレーンの間に配置された誘電体層を含むマイクロストリップアーキテクチャを有する超伝導マイクロ波共振器を含み得る装置を含み得る。本装置は、誘電体層の内部に配置された光共振器も含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導導波路およびグランドプレーンの間に配置された誘電体基板を含むマイクロストリップアーキテクチャを有する超伝導マイクロ波共振器;および
前記誘電体基板の内部に配置された光共振器
を備える装置。
【請求項2】
前記超伝導導波路および前記グランドプレーンが、ニオブ、窒化ニオブ、および窒化チタンから成る群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記誘電体基板が、シリコン、サファイア、およびガーネットから成る群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光共振器が、シリコンゲルマニウム、ニオブ酸リチウム、および窒化アルミニウムから成る群から選択された少なくとも1種の材料を含む光導波路を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記誘電体基板が前記超伝導導波路および前記光共振器の間に配置されており、前記誘電体基板が前記グランドプレーンおよび前記光共振器の間にさらに配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記超伝導導波路と同一平面上にある且つ前記誘電体基板の上に配置されている第2グランドプレーンをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2グランドプレーンが、ニオブ、窒化ニオブ、および窒化チタンから成る群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記誘電体基板が、ある方向に沿って前記グランドプレーンから前記超伝導導波路まで拡張し、前記誘電体基板の内部にある前記光共振器の位置が、前記誘電体基板の上にある前記超伝導導波路の位置から前記方向に沿ってオフセットしている、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
第1超伝導導波路および第2超伝導導波路の間に配置された誘電体基板を含むツインストリップアーキテクチャを有する超伝導マイクロ波共振器;および
前記誘電体基板の内部に配置された光共振器
を備える装置。
【請求項10】
前記第1超伝導導波路および前記第2超伝導導波路が、ニオブ、窒化ニオブ、および窒化チタンから成る群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体基板が、シリコン、サファイア、およびガーネットから成る群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記光共振器が、シリコンゲルマニウム、ニオブ酸リチウム、および窒化アルミニウムから成る群から選択された少なくとも1種の材料を含む光導波路を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体基板が、前記第1超伝導導波路および前記光共振器の間、および前記第2超伝導導波路および前記光共振器の間に配置されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
誘電体基板の上に光共振器を形成する段階;
前記誘電体基板および前記光共振器の上に誘電体クラッド層を堆積させることで前記誘電体基板を拡張する段階;および
前記誘電体基板の上に第1超伝導材料を堆積させることで超伝導導波路を形成する段階、ここで前記誘電体基板の少なくとも一部が前記超伝導導波路および前記光共振器の間に配置される、
を備える方法。
【請求項15】
前記誘電体基板の上に第2超伝導材料を堆積させる段階、ここで前記堆積させる段階が、グランドプレーンおよび第2超伝導導波路の群から選択された部材を形成する
をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記誘電体基板が、第1シリコンハンドル層、絶縁体層、およびデバイス層を含むシリコンオンインシュレータウェハの前記デバイス層であり、前記方法が、
前記第2超伝導材料の上に第2シリコンハンドル層を形成する段階
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2超伝導材料を堆積させた後に且つ前記超伝導導波路を形成する前に、前記第1シリコンハンドル層および前記絶縁体層を前記誘電体基板から除去する段階
をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体基板の上に第3超伝導材料を堆積させることで前記超伝導導波路と同一平面上にある第2グランドプレーンを形成する段階
をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1超伝導材料、前記第2超伝導材料、および前記第3超伝導材料が、ニオブ、窒化ニオブ、および窒化チタンから成る群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光共振器を形成する前記段階が、前記誘電体クラッド層を堆積させる前に、エピタキシャル成長プロセスによって前記誘電体基板の上に金属トラックを成長させる段階を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロストリップ、コプレナー、および/またはツインストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数の量子トランスデューサに関し、より具体的には、1つまたは複数の超伝導マイクロ波共振器に隣接して且つ/または誘電体基板の内部に配置された1つまたは複数の光共振器を含む量子トランスデューサアーキテクチャに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下では、本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を提供するために概要が提示される。この概要は、重要または不可欠な要素を特定することを意図するものでも、または特定の実施形態のいかなる範囲も、または特許請求の範囲のいかなる範囲も定めることを意図するものでもない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明への導入部として簡略化された形態で概念を提示することである。本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態では、量子トランスデューサに関する装置、システム、デバイス、および/または方法を説明する。
【0003】
一実施形態によれば、装置が提供される。本装置は、超伝導導波路およびグランドプレーンの間に配置された誘電体基板を含むマイクロストリップアーキテクチャを有する超伝導マイクロ波共振器を備えることができる。本装置は、誘電体層の内部に配置された光共振器も備えることができる。
【0004】
別の実施形態によれば、装置が提供される。本装置は、第1超伝導導波路および第2超伝導導波路の間に配置された誘電体層を含むツインストリップアーキテクチャを有する超伝導マイクロ波共振器を備えることができる。また、本装置は、誘電体基板の内部に配置された光共振器を備えることができる。
【0005】
一実施形態によれば、方法が提供される。本方法は、誘電体基板上に光共振器を形成する段階を備えることができる。また、本方法は、誘電体基板および光共振器の上に誘電体クラッド層を堆積させることで誘電体基板を拡張する段階を備えることができる。さらに本方法は、誘電体基板の上に第1超伝導材料を堆積させることで超伝導導波路を形成する段階を備えることができる。超伝導導波路および光共振器の間には、誘電体基板の少なくとも一部を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による量子トランスデューサの例示的で非限定的な上面図の図を示している。
【0007】
【
図1B】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサの動作を特徴付け得る光学遷移および/またはマイクロ波遷移の、例示的で非限定的なグラフの図を示している。
【0008】
【
図2】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、マイクロストリップアーキテクチャを有する1つまたは複数の量子トランスデューサの、例示的で非限定的な断面図の図を示している。
【0009】
【
図3】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサの動作を特徴付け得る磁場および/または電場を示す、例示的で非限定的なシミュレーションの図を示している。
【0010】
【
図4A】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、コプレナー導波路アーキテクチャを有する1つまたは複数の量子トランスデューサの、例示的で非限定的な断面図の図を示している。
【
図4B】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、コプレナー導波路アーキテクチャを有する1つまたは複数の量子トランスデューサの、例示的で非限定的な断面図の図を示している。
【0011】
【
図5】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、ツインストリップアーキテクチャを有する1つまたは複数の量子トランスデューサの、例示的で非限定的な断面図の図を示している。
【0012】
【
図6】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサの動作を特徴付け得る磁場および/または電場を示す、例示的で非限定的なシミュレーションの図を示している。
【0013】
【
図7】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサの有効性を示すことができる例示的で非限定的な表の図を示している。
【0014】
【
図8】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサを製作する例示的で非限定的な段階の図を示している。
【0015】
【
図9】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサを製作する例示的で非限定的な段階の図を示している。
【0016】
【
図10】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサを製作する例示的で非限定的な方法のフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明は、単なる例示であり、実施形態および/または実施形態の応用または使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術または発明の概要、または発明を実施するための形態において提示されるいかなる明示情報または示唆情報によっても制約されることを意図するものではない。
【0018】
ここで、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を説明する。全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を指すのに用いられる。以下の説明では、説明を目的として、1つまたは複数の実施形態のより十分な理解を提供するために、多くの具体的な詳細を記載している。しかしながら、様々な場合において、これらの具体的な詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実施できることは明白である。
【0019】
超伝導量子コンピュータの長距離ネットワークには、単一光子をマイクロ波周波数から赤外線テレコムドメインまで変換する量子トランスデューサが必要になり得る。マイクロ波光子のエネルギーは、室温のサーマルバックグラウンドエネルギーより小さく;したがって、マイクロ波周波数における室温の量子情報リンクが極めて困難になり得る。しかしながら、光ファイバでは、赤外線光子が減衰することも、または干渉することもなく長距離を移動できる。次いで、他の超伝導量子プロセッサに接続された量子トランスデューサが、光子を赤外線からマイクロ波ドメインに変換し直すことができる。
【0020】
この問題に対しては、複数のアプローチがある。1つは、マイクロ波および光ドメインの間の媒介自由度(mediating degree of freedom)として機械的共振器を用いることである。他は、原子または固体欠陥中心、またはマグノン状態の光学遷移またはスピン遷移を活用している。光共振器およびマイクロ波共振器がX(2)またはX(3)非線形光媒体を通じて結合されている場合、マイクロ波共振器および光共振器は、媒介自由度の必要性がなく、エネルギーを直接的に交換できる。しかしながら、電気光学量子変換の難点は、量子変換の効率を向上させるために、マイクロ波場を十分に閉じ込めることである。変換効率は、マイクロ波-光単一光子の結合強度の二乗に比例し、これはマイクロ波場モード体積の平方根に反比例する。したがって、マイクロ波モード体積を最小化することで、高効率の量子トランスデューサを実現できる。
【0021】
本明細書で説明する様々な実施形態には、1つまたは複数のマイクロ波共振器アーキテクチャおよび1つまたは複数の光共振器の間の電気光学結合に依拠し得る1つまたは複数の量子トランスデューサに関する装置、デバイス、システム、および/または方法が含まれ得る。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数のマイクロ波共振器アーキテクチャは、量子トランスデューサの基板にマイクロ波モードを閉じ込めて、基板内部の中心にピーク場がある状態にすることができる。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の光共振器は、誘電体基板の内部に且つ1つまたは複数の超伝導導波路の下に配置され得る。1つまたは複数の超伝導導波路はさらに、マイクロストリップ、コプレナー、および/またはツインストリップのマイクロ波共振器アーキテクチャに含まれ得る。
【0022】
本明細書に記載する場合、「堆積プロセス」および/または「複数の堆積プロセス」という用語は、1つまたは複数の第1材料を1つまたは複数の第2材料の上に成長させる、コーティングする、堆積させる、および/または別の方法で転写する任意のプロセスを指すことができる。例示的な堆積プロセスとしては、限定しないが、物理気相堆積法(「PVD」)、化学気相堆積法(「CVD」)、電気化学堆積法(「ECD」)、原子層堆積法(「ALD」)、減圧化学気相堆積法(「LPCVD」)、プラズマ励起化学気相堆積法(「PECVD」)、高密度プラズマ化学気相堆積法(「HDPCVD」)、準常圧化学気相堆積法(「SACVD」)、急速熱化学気相堆積法(「RTCVD」)、in-situラジカル支援堆積法、高温酸化物堆積法(「HTO」)、低音酸化物堆積法(「LTO」)、律速型反応処理CVD(「LRPCVD」)、超高真空化学気相堆積法(「UHVCVD」)、有機金属化学気相堆積法(「MOCVD」)、物理気相堆積法(「PVD」)、化学酸化法、スパッタリング法、メッキ法、蒸着法、スピンオンコーティング法、イオンビーム堆積法、電子ビーム堆積法、レーザ支援堆積法、化学溶液堆積法、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。
【0023】
本明細書に記載する場合、「エピタキシャル成長プロセス」および/または「複数のエピタキシャル成長プロセス」という用語は、エピタキシャル材料(例えば、結晶性半導体材料)を別の半導体材料の堆積面に成長させるあらゆるプロセスを指すことができ、成長するエピタキシャル材料は堆積面の半導体材料と実質的に同じ結晶特性を有する。エピタキシャル堆積プロセスでは、原料ガス(例えば、シリコンおよび/またはゲルマニウムを含有しているガス)および/または原料液により供給される化学反応体を制御でき、システムパラメータを設定できるので、堆積原子が十分なエネルギーを持って堆積面に到達し、その表面上を動き回って、堆積面の原子の結晶配列に配向するようになる。したがって、成長したエピタキシャル材料は、エピタキシャル材料が形成された堆積面と実質的に同じ結晶特性を有する。例えば、<100>に配向した結晶面に堆積したエピタキシャルに成長した半導体材料は、<100>配向を持つことができる。例示的なエピタキシャル成長プロセスとしては、限定しないが、気相エピタキシー法(「VPE」)、分子線エピタキシー法(「MBE」)、液相エピタキシー法(「LPE」)、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。
【0024】
本明細書に記載する場合、「エッチングプロセス」、「複数のエッチングプロセス」、「除去プロセス」、および/または「複数の除去プロセス」という用語は、1つまたは複数の第1材料を1つまたは複数の第2材料から除去するあらゆるプロセスを指すことができる。例示的なエッチングおよび/または除去プロセスとしては、限定しないが、ウェットエッチング、ドライエッチング(例えば、反応性イオンエッチング(「RIE」))、化学機械平坦化(「CMP」)、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。
【0025】
本明細書に記載する場合、「リソグラフィプロセス」および/または「複数のリソグラフィプロセス」という用語は、3次元のレリーフイメージまたはパターンの半導体基板上への形成を指すことができ、その後の基板へのパターン転写を目的としている。半導体リソグラフィでは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーでパターンを形成できる。半導体デバイスを形成する複雑な構造、および回路の様々なフィーチャを接続する多くの配線を作り上げるために、リソグラフィプロセスおよび/またはエッチングパターン転写ステップが複数回にわたって繰り返され得る。ウェハ上に印刷しようとする各パターンは、以前に形成したパターンと位置合わせすることが可能であり、徐々に対象フィーチャ(例えば、導体、絶縁体、および/または選択的にドーピングされた領域)を構成して、最終的なデバイスを形成できる。
【0026】
本明細書に記載する場合、「超伝導」という用語は、超伝導臨界温度またはそれより低い温度で超伝導特性を示す材料、例えばアルミニウム(例えば、1.2ケルビンの超伝導臨界温度)またはニオブ(例えば9.3ケルビンの超伝導臨界温度)を特徴付け得る。さらに、当業者であれば、他の超伝導体材料(例えば、リチウム/マグネシウム水素化物合金などの水素化物超伝導体)が、本明細書で説明する様々な実施形態に用いられ得ることを認識するであろう。
【0027】
本明細書に記載する場合、「マイクロストリップ」という用語は、金属トラック、および誘電体スペーサで分離された下のグランドプレーンを含むマイクロ波導波路を指すことができる。「ツインストリップ」という用語は、グランドプレーンの代わりに2つの並列した金属トラックを含むマイクロ波導波路を指すことができる。「コプレナー」という用語は、導波路と同じ平面にある金属トラックおよび2つのグランドプレーンを含むマイクロ波導波路を指すことができる。
【0028】
図1Aは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による例示的な量子トランスデューサ100の、例示的で非限定的な上面図の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。様々な実施形態において、量子トランスデューサ100は、1つまたは複数のマイクロ波伝送路102および/または1つまたは複数の光導波路104を含み得る。1つまたは複数のマイクロ波伝送路102は、例えばマイクロ波入力部、例えば単一マイクロ波光子入力部106から、マイクロ波出力部、例えば単一マイクロ波光子出力部108まで拡がり得る。同様に、1つまたは複数の光導波路104は、例えば光入力部、例えば単一光学光子入力部110(例えば励起レーザ入力部に結合される)から、光出力部、例えば単一光学光子出力部112まで拡がり得る。
【0029】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のマイクロ波伝送路102は、1種または複数種の超伝導材料を含み得る。1つまたは複数のマイクロ波伝送路102に含まれ得る例示的な超伝導材料としては、限定しないが、ニオブ、窒化ニオブ、窒化チタン、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。1つまたは複数のマイクロ波伝送路102の(例えば、
図1Aに示す「Y」軸に沿った)厚さは、例えば、5マイクロメートル(μm)より大きいまたはこれに等しい且つ20μmより小さいまたはこれに等しい範囲とすることができる。様々な実施形態において、1つまたは複数のマイクロ波伝送路102は、誘電体基板114の上に配置され得る。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の光導波路104は、1種または複数種の透明な材料および/または実質的に透明な材料を含み得る。1つまたは複数の光導波路104に含まれ得る例示的な材料としては、限定しないが、シリコンゲルマニウム、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。1つまたは複数の光導波路104の(例えば、
図1Aに示す「Y」軸に沿った)厚さは、例えば、1μmより大きいまたはこれに等しい且つ10μmより小さいまたはこれに等しい範囲とすることができる。様々な実施形態において、1つまたは複数の光導波路104は、誘電体基板114の内部に配置され得る。
【0030】
誘電体基板114は、結晶質、半結晶質、微結晶質、または非晶質とすることができる。誘電体基板114は、本質的に(例えば汚染物質を除いて)単一元素(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)および/または化合物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、ガリウムヒ素、炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、および/またはその組み合わせなど)を含み得る。誘電体基板114は複数の材料層も有してよく、例えば、限定しないが、セミコンダクタオンインシュレータ基板(「SeOI」)、シリコンオンインシュレータ基板(「SOI」)、ゲルマニウムオンインシュレータ基板(「GeOI」)、シリコンゲルマニウムオンインシュレータ基板(「SGOI」)、および/またはその組み合わせなどであってもよい。さらに、誘電体基板114は、他の層、例えば、高誘電率の酸化物(「high-K酸化物」)および/または窒化物も有し得る。1つまたは複数の実施形態において、誘電体基板114はシリコンウェハとすることができる。様々な実施形態において、誘電体基板114には、単結晶シリコン(Si)、(例えば、化学式SiGeで特徴付けられる)シリコンゲルマニウム、III-V族半導体のウェハまたは表面/活性層、サファイア、ガーネット、および/またはその組み合わせなどが含まれ得る。
【0031】
図1Aに示すように、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、1つまたは複数のマイクロ波伝送路102に隣接して、および/または単一マイクロ波光子入力部106および単一マイクロ波光子出力部108の間に配置され得る。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、1つまたは複数の超伝導導波路118を備え得る。1つまたは複数の超伝導導波路118は、1種または複数種の超伝導材料を含み得る。1つまたは複数の超伝導導波路118に含まれ得る例示的な超伝導材料としては、限定しないが、ニオブ、窒化ニオブ、窒化チタン、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。様々な実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118は、誘電体基板114の上に配置され得る。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118は、例えば、1μmより大きいまたはこれに等しい且つ100μmより小さいまたはこれに等しい範囲である少なくとも第1距離D1の分だけ、1つまたは複数のマイクロ波伝送路102から間隔を置いて配置されてよい。
【0032】
さらに、1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のマイクロ波共振器116はさらに、誘電体基板114の下に配置された1つまたは複数のグランドプレーンを含み得る。明確にするために、1つまたは複数のグランドプレーンは
図1Aに示されていないが、
図2,
図4A~
図5、および
図8~
図9に示す量子トランスデューサ100の断面図に示されている。
【0033】
図1Aにも示されているが、1つまたは複数の光共振器120は、1つまたは複数の光導波路104に隣接して、および/または単一光学光子入力部110および単一光学光子出力部112の間に配置され得る。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の光共振器120は、1種または複数種の透明な材料、および/または実質的に透明な材料を含み得る。1つまたは複数の光共振器120に含まれ得る例示的な材料としては、限定しないが、シリコンゲルマニウム、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。様々な実施形態において、1つまたは複数の光共振器120は、誘電体基板114の内部に配置され得る。さらに、1つまたは複数の光共振器120は、例えば、100ナノメートル(nm)より大きいまたはこれに等しい且つ2μmより小さいまたはこれに等しい範囲である少なくとも第2距離D2の分だけ、1つまたは複数の光導波路104から間隔を置いて配置され得る。
【0034】
図1Aには、円形形状を有する1つまたは複数の超伝導導波路118および/または光共振器120が示されているが、量子トランスデューサ100のアーキテクチャは、そのように限定されていない。例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118および/または光共振器120が代替形状(例えば、楕円形または多角形の形状)を有する実施形態も想定されている。さらに、
図1Aには互いに位置合わせずれを起こした1つまたは複数の超伝導導波路118および光共振器120が示されているが、量子トランスデューサ100のアーキテクチャはそのように限定されていない。例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118および光共振器120を(例えば、本明細書で後に説明するように)互いに位置合わせした実施形態も想定されている。
【0035】
図1Bは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による1つまたは複数の量子トランスデューサ100が遭遇可能な光学遷移および/またはマイクロ波遷移を示すことができる例示的で非限定的なグラフ124の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。グラフ124は、1つまたは複数のマイクロ波共振器116および/または光共振器120のエネルギー状態が高まると量子トランスデューサ100が遭遇し得る光学遷移を示すことができる(例えば、「OT」の矢印で表されている)。また、グラフ124は、1つまたは複数のマイクロ波共振器116および/または光共振器120のエネルギー状態が高まると量子トランスデューサ100が遭遇し得るマイクロ波遷移を示すことができる(例えば、「MT」の矢印で表されている)。「ω
a」で光共振器120の第1光学モードを表すことができ、「ω
b」で光共振器120の第2光学モードを表すことができ、「ω
c」でマイクロ波共振器116のマイクロ波モードを表すことができる。
【0036】
図2は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による量子トランスデューサ100の、例示的で非限定的な断面図の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。
図2は、
図1Aに示すA-A′面に沿った、量子トランスデューサ100の断面を示すことができる。
図2に示すように、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、誘電体基板114によって互いに分離された1つまたは複数の超伝導導波路118および超伝導グランドプレーン202を含み得る。これにより、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、(例えば、
図2に示すように)マイクロストリップアーキテクチャを有し得る。
【0037】
1つまたは複数の実施形態において、超伝導グランドプレーン202は1種または複数種の超伝導材料を含み得る。超伝導グランドプレーン202の内部に含まれ得る例示的な超伝導材料としては、限定しないが、ニオブ、窒化ニオブ、窒化チタン、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118および超伝導グランドプレーン202は、同じまたは実質的に同じ組成を有することができる。さらに、超伝導グランドプレーン202の(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿った)厚さは、例えば、50nmより大きいまたはこれに等しい且つ5μmより小さいまたはこれに等しい範囲とすることができる。
【0038】
様々な実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118は誘電体基板114の上に配置されてよく、1つまたは複数の光共振器120は誘電体基板114の内部に配置されてよい。これにより、1つまたは複数の超伝導導波路118は、(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿って)1つまたは複数の光共振器120の上に配置され得る。例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118の位置は、垂直面に沿って(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿って)1つまたは複数の光共振器120の位置にオーバーラップし得る。
図2に示すように、誘電体基板114は、1つまたは複数の光共振器120を収容できる。1つまたは複数の超伝導導波路118は誘電体基板114の第1面204に配置されてよく、超伝導グランドプレーン202は誘電体基板114の第2面206に配置されてよい。さらに、第1面204および第2面206は、誘電体基板114の両側にあってよい。
【0039】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅が、(例えば、
図2に示すように)1つまたは複数の光共振器120の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅より大きくてよい。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118および/または光共振器120の幅は等しくてよい。1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅は、例えば、3μmより大きいまたはこれに等しい且つ20μmより小さいまたはこれに等しい範囲(例えば、4マイクロメートル(μm))とすることができる。1つまたは複数の光共振器120の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅は、例えば、1μmより大きいまたはこれに等しい且つ10μmより小さいまたはこれに等しい範囲(例えば、3μm)とすることができる。
【0040】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿った)厚さが、1つまたは複数の光共振器120の(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿った)厚さより大きくてよい。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の超伝導導波路118および/または光共振器120の幅は(例えば、
図2に示すように)等しくてよい。1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿った)厚さは、例えば、50nmより大きいまたはこれに等しい且つ5μmより小さいまたはこれに等しい範囲とすることができる。1つまたは複数の光共振器120の(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿った)厚さは、例えば、100nmより大きいまたはこれに等しい且つ1μmより小さいまたはこれに等しい範囲(例えば、0.5μm)とすることができる。
【0041】
様々な実施形態において、1つまたは複数の光共振器120は、超伝導グランドプレーン202から、例えば、1μmより大きいまたはこれに等しい且つ10μmより小さいまたはこれに等しい範囲(例えば、10μm)であるH1の高さにおいて、誘電体基板114の内部に配置されてよい。さらに、1つまたは複数の光共振器120は、例えば、1より大きいまたはこれに等しい且つ10μmより小さいまたはこれに等しい範囲(例えば、9.5μm)である第3距離D3の分だけ、1つまたは複数の超伝導導波路118から垂直方向に(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿って)間隔を置いて配置されてよい。
【0042】
図3は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、マイクロストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数のマイクロ波共振器116を有する1つまたは複数の量子トランスデューサ100によりもたらされ得る磁場および/または電場を示している、例示的で非限定的なシミュレーション302および/または304の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。シミュレーション302は、マイクロストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数のマイクロ波共振器116を有する1つまたは複数の量子トランスデューサ100によりもたらされ得る磁場を評価できる、および/またはシミュレーション304は、マイクロストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数のマイクロ波共振器116を有する1つまたは複数の量子トランスデューサ100によりもたらされ得る電場を評価できる。シミュレーション302および/または304は、2次元有限差分要素(「FDE」)ソルバを用いて生成され得る。ここで入力は、1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅;誘電体基板114の(例えば、
図2に示す「Z」軸に沿った)厚さ;および/または1つまたは複数の光共振器120の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅とすることができる。ソルバの出力は、モードの電場および/または磁場の空間分布、および実効モード指数とすることができる。本明細書で説明する様々な実施形態では、光学場オーバーラップ領域において最高電場をもたらし得る1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図2に示す「X」軸に沿った)幅を使用できる(例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118の最適幅の実効指数は2.744とすることができる)。
【0043】
図4A~
図4Bは、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による量子トランスデューサ100の、例示的で非限定的な断面図の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。
図4A~
図4Bは、
図1Aに示すA-A′面に沿った量子トランスデューサ100の断面を示すことができる。
図4A~
図4Bに示すように、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、1つまたは複数の超伝導導波路118、超伝導グランドプレーン202、および/または1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402を含み得る。1つまたは複数の超伝導導波路118および第2超伝導グランドプレーン402は、誘電体基板114により超伝導グランドプレーン202から分離され得る。これにより、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、(例えば、
図4Aおよび
図4Bに示すように)コプレナー導波路(「CPW」)アーキテクチャを有し得る。
【0044】
1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402は、1種または複数種の超伝導材料を含み得る。1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402に含まれ得る例示的な超伝導材料としては、限定しないが、ニオブ、窒化ニオブ、窒化アルミニウム、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118、超伝導グランドプレーン202、および1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402は、同じまたは実質的に同じ組成を有し得る。さらに、1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402の(例えば、
図4Aおよび
図4Bに示す「Z」軸に沿った)厚さは、例えば、50nmより大きいまたはこれに等しい且つ5μmより小さいまたはこれに等しい範囲とすることができる。
【0045】
図4Aおよび
図4Bに示すように、1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402は、1つまたは複数の超伝導導波路118に隣接して、誘電体基板114の上に配置され得る。また、1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402は、例えば2μmより大きいまたはこれに等しい且つ20μmより小さいまたはこれに等しい範囲の距離だけ、1つまたは複数の超伝導導波路118から水平方向に(例えば、
図4A及び
図4Bに示す「X」軸に沿って)間隔を置いて配置され得る。
図4Aにおいて、量子トランスデューサ100は、グランド付きコプレナー導波路(「CPWG」)横電場(「TE」)モード構成を有し得る。
図4Aに示すように、1つまたは複数の光共振器120は、1つまたは複数の超伝導導波路118の直下に配置され得る(例えば、1つまたは複数の光共振器120は「Z」軸に沿って1つまたは複数の超伝導導波路118と垂直方向に位置合わせされ得る)。
図4Bにおいて、量子トランスデューサ100は、CPWG横磁場(「TM」)モード構成を有し得る。
図4Bに示すように、1つまたは複数の光共振器120は、垂直面に沿って(例えば、
図4Bに示す「Z」軸に沿って)1つまたは複数の超伝導導波路118からオフセットして配置され得る。
【0046】
図5は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による量子トランスデューサ100の例示的で非限定的な断面図の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。
図5は、
図1Aに示すA-A′面に沿った量子トランスデューサ100の断面を示すことができる。
図5に示すように、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、誘電体基板114によって互いに分離された、1つまたは複数の超伝導導波路118および1つまたは複数の第2超伝導導波路502を含み得る。これにより、1つまたは複数のマイクロ波共振器116は、(例えば、
図5に示すように)ツインストリップアーキテクチャを有し得る。
【0047】
例えば、ツインストリップアーキテクチャを用いると、1つまたは複数の第2超伝導導波路502は、マイクロストリップアーキテクチャにおける超伝導グランドプレーンを置き換えることができる。例えば、1つまたは複数の第2超伝導導波路502は、誘電体基板の第2面206に配置され得る。1つまたは複数の第2超伝導導波路502は、1種または複数種の超伝導材料を含み得る。1つまたは複数の第2超伝導導波路502に含まれ得る例示的な超伝導材料としては、限定しないが、ニオブ、窒化ニオブ、窒化チタン、および/またはその組み合わせなどを挙げることができる。1つまたは複数の第2超伝導導波路502の(例えば、
図5に示す「Z」軸に沿った)厚さは、例えば、50nmより大きいまたはこれに等しい且つ5μmより小さいまたはこれに等しい範囲とすることができる。また、1つまたは複数の第2超伝導導波路502の(例えば、
図5に示す「X」軸に沿った)幅は、例えば、3μmより大きいまたはこれに等しい且つ20μmより小さいまたはこれに等しい範囲(例えば、4μm)とすることができる。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の第2超伝導導波路502は、1つまたは複数の超伝導導波路118と同じまたは実質的に同じ組成および/または寸法を有し得る。
【0048】
図5に示すように、1つまたは複数の超伝導導波路118および/または第2超伝導導波路502は、垂直面において(例えば、
図5に示す「Z」軸に沿って)互いに位置合わせすることができる。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数の光共振器120は、(例えば、
図5に示すように)1つまたは複数の超伝導導波路118および第2超伝導導波路502の間に直接的に配置され得る。
【0049】
図6は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、ツインストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数のマイクロ波共振器116を有する1つまたは複数の量子トランスデューサ100によりもたらされ得る磁場および/または電場を示している、例示的で非限定的なシミュレーション602および/または604の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。シミュレーション602は、ツインストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数のマイクロ波共振器116を有する1つまたは複数の量子トランスデューサ100によりもたらされ得る磁場を評価できる、および/またはシミュレーション604は、ツインストリップアーキテクチャを備えた1つまたは複数のマイクロ波共振器116を有する1つまたは複数の量子トランスデューサ100によりもたらされ得る電場を評価できる。シミュレーション602および/または604は、2次元FDEソルバを用いて生成され得る。ここで入力は、1つまたは複数の超伝導導波路118の(例えば、
図5に示す「X」軸に沿った)幅;誘電体基板114の(例えば、
図5に示す「Z」軸に沿った)厚さ;1つまたは複数の光共振器120の(例えば、
図5に示す「X」軸に沿った)幅;および/または1つまたは複数の第2超伝導導波路502の(例えば、
図5に示す「X」軸に沿った)幅とすることができる。ソルバの出力は、モードの電場および/または磁場の空間分布、および実効モード指数とすることができる。本明細書で説明する様々な実施形態では、光学場オーバーラップ領域において最高電場をもたらし得る1つまたは複数の超伝導導波路118および/または第2超伝導導波路502の(例えば、
図5に示す「X」軸に沿った)幅を使用できる(例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118および/または第2超伝導導波路502の最適幅の実効指数は2.82とすることができる)。
【0050】
図7は、本明細書で説明する様々な実施形態による1つまたは複数の光共振器120の第1高さH1を変えた場合の効果を示すことができる例示的で非限定的な表700の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。表700は、2次元FDEソルバを用いて実行された複数のシミュレーション、例えば、
図3および/または
図6に示すシミュレーション302、304、602、および/または604の結果を示している。表700の第1列702は、それぞれのシミュレーションに使用されたマイクロ波共振器116のアーキテクチャ(例えば、マイクロストリップアーキテクチャ、CPWG TEアーキテクチャ、CPWG TMアーキテクチャ、ツインストリップアーキテクチャ、および/またはコプレナー導波路(「CPW」)アーキテクチャ(例えば、超伝導グランドプレーンを用いないCPWG構造など))を定めることができる。表700の第2列704は、1つまたは複数の光共振器120の高さH1を定めることができる。表700の第3列706は、単一光子マイクロ波(「SP MW」)場をボルト/メートル(V/m)単位で定めることができる。表700の第4列708は、関連パラメータと関連付けられた実効指数とすることができる。
【0051】
図8は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による製作プロセス800の複数の段階における、量子トランスデューサ100の例示的で非限定的な断面図の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。
図8は、様々な製作段階における、
図1Aに示すA-A′面に沿った量子トランスデューサ100の断面を示すことができる。
図8に示す製作の段階は、本明細書で説明する量子トランスデューサ100の様々な実施形態を製作するために実施され得る。例えば、
図8に示す製作段階は、マイクロストリップアーキテクチャ、CPWG TEアーキテクチャ、CPWG TMアーキテクチャ、および/またはツインストリップアーキテクチャを有する1つまたは複数のマイクロ波共振器116を含む量子トランスデューサ100を製作するために実施され得る。
【0052】
製作プロセス800の第1段階802では、SOIウェハが提供され得る。例えば、SOIウェハは、ハンドル層804、埋め込み酸化物層806、および/またはデバイス層808を備え得る。例えば、埋め込み酸化物層806は、金属酸化物を含み得る。また、ハンドル層804および/またはデバイス層808は、誘電体基板114と同じまたは実質的に同じ材料を含み得る(例えば、シリコンおよび/またはサファイアを含み得る)。様々な実施形態において、デバイス層808は、誘電体基板114の少なくとも一部とすることができる。製作プロセス800の第2段階810では、デバイス層808の上に、1つまたは複数の光共振器120を堆積させる、および/またはパターニングすることができる。例えば、1つまたは複数の光共振器120は、1つまたは複数のエピタキシャル成長プロセスによってデバイス層808の上に成長でき、エピタキシャル成長はさらに、1つまたは複数のリソグラフィプロセスによってパターニングされ、光共振器120の所望寸法が実現され得る。例えば、1つまたは複数の光共振器120は、デバイス層808の上に成長し、1つまたは複数のリソグラフィプロセスによってパターニングされたシリコンゲルマニウム(例えば、Si1-xGex、シリコンおよびゲルマニウムの結晶合金)を含み得る。1つまたは複数の実施形態において、エピタキシャル成長のリソグラフィパターニング(例えば、シリコンゲルマニウムのパターニング)で、1つまたは複数の光共振器120および/または光導波路104が形成され得る。
【0053】
製作プロセス800の第3段階812では、1つまたは複数の光共振器120および/または光導波路104の上に、1つまたは複数のクラッド層814を堆積させて誘電体基板114を形成できる。1つまたは複数の実施形態において、1つまたは複数のクラッド層814は、誘電体基板114と同じまたは実質的に同じ組成を有することができ、および/または(例えば、1つまたは複数のエピタキシャル成長プロセスによって)デバイス層808、1つまたは複数の光共振器120、および/または1つまたは複数の光導波路104の上に成長できる。例えば、1つまたは複数のクラッド層814は、1つまたは複数の成長したシリコン層とすることができる。
図8では、第3段階812に破線を示して、デバイス層808およびクラッド層814の位置を定めている;これにより、誘電体基板114の形成を例示している。さらに第3段階812では、1つまたは複数のクラッド層814は、誘電体基板114の第2面206を形成するために(例えば、CMPによって)研磨されてよい。
【0054】
図9は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、製作プロセス800の複数の段階における量子トランスデューサ100の例示的で非限定的な断面図の図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。
図9は、様々な製作段階における、
図1Aに示すA-A′面に沿った量子トランスデューサ100の断面を示すことができる。様々な実施形態において、
図9に示す製作の段階は、
図9に示す製作プロセス800を続けることができる。
【0055】
製作プロセス800の第4段階902では、1つまたは複数の堆積プロセスによる誘電体基板114の第2面206の上に(例えば、1つまたは複数の堆積プロセスによって)超伝導材料を堆積させて、超伝導グランドプレーン202を形成できる。製作プロセス800がツインストリップアーキテクチャを有するマイクロ波共振器116の製作である1つまたは複数の実施形態では、超伝導グランドプレーン202の代わりに、誘電体基板114の第2面206の上に、1つまたは複数の第2超伝導導波路502を(例えば、1つまたは複数の堆積プロセスによって)堆積させる、および/または(例えば、1つまたは複数のリソグラフィプロセスによって)パターニングすることができる。製作プロセス800の第5段階904では、ウェハ(例えば、シリコンウェハ)を超伝導グランドプレーン202に接合して第2ハンドル層906を形成できる。
【0056】
製作プロセス800の第6段階908では、量子トランスデューサ100を反転させることができ、1つまたは複数のエッチングプロセスおよび/または研磨プロセス(例えば、CMP)によってハンドル層804および埋め込み酸化物層806を除去して、誘電体基板114の第1面204を形成できる。製作プロセス800の第7段階910では、誘電体基板114の第1面204の上に、超伝導材料を(例えば、1つまたは複数の堆積プロセスによって)堆積させる、および/または(例えば、1つまたは複数のリソグラフィプロセスによって)パターニングして、1つまたは複数の超伝導導波路118および/またはマイクロ波伝送路102を形成できる。1つまたは複数の実施形態において、最初の製作プロセス600の第10段階708では、誘電体基板114の第1面204の上に、1つまたは複数の第2超伝導グランドプレーン402を(例えば、堆積プロセスによって)堆積させるおよび/または(例えば、リソグラフィプロセスによって)パターニングして、CPWGアーキテクチャを備えたマイクロ波共振器116を実現する段階も備えることができる。さらに、1つまたは複数のエッチングプロセスによって第2ハンドル層906を除去して、
図1A~
図2および/または
図4A~
図5に例示した量子トランスデューサ100の構造を実現できる。
【0057】
図10は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、1つまたは複数の量子トランスデューサ100の製作を促進し得る例示的で非限定的な方法1000のフロー図を示している。本明細書で説明する他の実施形態において使用される同様の要素に関する繰り返しの説明は、簡潔にするために省略する。
【0058】
1002では、方法1000は、誘電体基板114の上に1つまたは複数の光共振器120を形成する段階を備えることができる。例えば、1002で1つまたは複数の光共振器を形成する段階は、製作プロセス800の第1段階802および/または第2段階810に従って行われ得る。例えば、SOIウェハが提供され得る。ここで(例えば、1つまたは複数の堆積プロセスおよび/またはエピタキシャル成長プロセスによって)SOIウェハのデバイス層808の上に1つまたは複数の光共振器120を堆積させることができる。
【0059】
1004では、方法1000は、誘電体基板および/または1つまたは複数の光共振器120の上に、1つまたは複数の誘電体クラッド層814を堆積させることで誘電体基板114を拡張する段階を備えることができる。例えば、1004で誘電体基板114を拡張する段階は、製作プロセス800の第3段階812に従って行われ得る。1006では、方法1000は、誘電体基板114の上に第1超伝導材料(例えば、ニオブ、窒化ニオブ、および/または窒化チタン)を堆積させることで1つまたは複数の超伝導導波路118を形成する段階を備えることができる。ここで、1つまたは複数の超伝導導波路118および1つまたは複数の光共振器120の間に、誘電体基板114の少なくとも一部が配置され得る。例えば、1つまたは複数の超伝導導波路118を形成する段階は、製作プロセス800の第4段階902、第5段階904、第6段階908、および/または第7段階910に従って行われ得る。様々な実施形態において、方法1000はさらに、誘電体基板114の上に、超伝導グランドプレーン202または1つまたは複数の第2超伝導導波路502を形成する段階を備えることができる。例えば、方法1000は、本明細書で説明する様々な実施形態による、マイクロストリップ、ツインストリップ、および/またはCWPGアーキテクチャを有する1つまたは複数のマイクロ波共振器116を含む量子トランスデューサ100の製作を促進できる。
【0060】
さらに、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図されている。すなわち、特に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを使用する」は、自然な包括的置換のいずれかを意味することが意図されている。すなわち、XがAを使用する場合;XがBを使用する場合;またはXがAおよびBの両方を使用する場合、前述した場合のいずれにおいても「XがAまたはBを使用する」ことが満たされる。さらに、本明細書および添付した図面で用いられる冠詞「a」および「an」は、特に指定されない限り、または文脈から単数形を対象にしていることが明らかでない限り、一般に「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書で用いる場合、「例」および/または「例示的」という用語は、例、実例、または例示として機能することを意味するために利用されている。疑義を回避するために、本明細書に開示される主題は、そのような例に限定されるものではない。さらに、「例」および/または「例示的」として本明細書において説明される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計より好ましいとも、または有利であるとも解釈されるわけではなく、当業者に知られている同等の例示的な構造および技法を除外することを意味するわけでもない。
【0061】
当然ながら、本開示を説明するために、コンポーネント、製品、および/または方法の全ての考えられる組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、本開示の多くのさらなる組み合わせおよび置換が可能であることを認識できる。さらに、詳細な説明、特許請求の範囲、付録、および図面において、「含む(includes)」、「有する(has)」、および「所有する(possesse)」などの用語が用いられる限りにおいて、そのような用語は、請求項における移行句として使用される場合に「備える(comprising)」が解釈される「備える(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることを意図している。様々な実施形態の説明は、例示のために提示されてきたが、網羅的であることも、または開示された実施形態に限定されることも意図するものではない。当業者には、説明された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの変更および変形が明らかであろう。本明細書で用いられる専門用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術の実用的応用またはそれに対する技術的改善を最も良く説明するために、または、本明細書で開示された実施形態を当業者が理解できるようにするために選択されたものである。
【国際調査報告】