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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】緊張リグ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20240214BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61B34/30
B25B25/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543434
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 GB2022050348
(87)【国際公開番号】W WO2022172004
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】2101984.9
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522063697
【氏名又は名称】プレシジョン ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジャンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナディ タマス クサバ
(72)【発明者】
【氏名】ドンデス,エティエンヌ フランソワ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
3C031
4C130
【Fターム(参考)】
3C031BB17
4C130AA12
4C130AA19
4C130AA43
4C130AA50
(57)【要約】
複数の腱を緊張させるための緊張リグは、複数の重りと、第1軸に沿って互いに離間した複数のプライマリプーリと、互いに離間した複数のセカンダリプーリと、各々がそれぞれのプライマリ及びセカンダリプーリと係合可能であり、且つ腱部を含む第1端及び重り部を含む反対端を含む複数の緊張ワイヤであって、腱部は、それぞれの腱に着脱可能に取り付け可能であり、それぞれの腱からそれぞれのプライマリプーリまで実質的に第1軸に沿って延びることができ、重り部は、それぞれの重りに取り付け可能であり、それぞれのセカンダリプーリからそれぞれの重りまで延びることができ、各緊張ワイヤは、それぞれのプライマリプーリからそれぞれのセカンダリプーリまで延びる中間部をさらに含む複数の緊張ワイヤと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の腱を緊張させるための緊張リグであって、
複数の重りと、
第1軸に沿って互いに離間した複数のプライマリプーリと、
互いに離間した複数のセカンダリプーリと、
各々がそれぞれのプライマリプーリ及びセカンダリプーリと係合可能であり、且つ腱部を含む第1端及び重り部を含む反対端を含む複数の緊張ワイヤであって、前記腱部は、それぞれの腱に着脱可能に取り付け可能であり、前記それぞれの腱から前記それぞれのプライマリプーリまで実質的に前記第1軸に沿って延びることができ、前記重り部は、それぞれの重りに取り付け可能であり、前記それぞれのセカンダリプーリから前記それぞれの重りまで延びることができ、各緊張ワイヤは、前記それぞれのプライマリプーリから前記それぞれのセカンダリプーリまで延びる中間部をさらに含む複数の緊張ワイヤと、
を含むことを特徴とする緊張リグ。
【請求項2】
複数の第1補助プーリをさらに含み、
これらの第1補助プーリの各々は、それぞれのプライマリプーリとセカンダリプーリとの間に位置決め可能であり、前記緊張ワイヤと係合可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の緊張リグ。
【請求項3】
複数の第2補助プーリをさらに含み、
これらの第2補助プーリの各々は、それぞれのプライマリとセカンダリプーリとの間に位置決め可能であり、前記緊張ワイヤと係合可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の緊張リグ。
【請求項4】
複数のプライマリプーリが支持されるベースと、
前記ベースから延び、前記ベースの上方で前記複数のセカンダリプーリを支持するように適合されたサポートと、
をさらに含む、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の緊張リグ。
【請求項5】
各緊張ワイヤは、それぞれの重りに着脱可能に取り付け可能である、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の緊張リグ。
【請求項6】
前記複数の重りのうちの1つ以上の重りは、他の重りと等しい重さ又は異なる重さを有する、ことを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の緊張リグ。
【請求項7】
それぞれの複数のフェルール内で複数の腱を圧着する方法であって、各腱が第1端と第2端を含み、前記方法は、
各腱の前記第1端を、それぞれのフェルールに対して不動化されるように固定するステップと、
前記複数の腱の各々を前記複数のフェルールのそれぞれ1つに挿通するステップと、
各腱の前記第2端を複数の緊張ワイヤのそれぞれ1つの第1端に取り付けるステップと、
各緊張ワイヤの第2端から複数の所定の重りのうちの1つを吊り下げ、それによって各腱を緊張させるステップと、
各フェルールをそれぞれの腱に圧着するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
各緊張ワイヤを、前記複数のフェルールと実質的に整列された複数のプライマリプーリのそれぞれ1つと係合させ、それによって各腱を、それぞれのフェルールと実質的に同軸に延びるように緊張させる更なるステップを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各緊張ワイヤを、互いに離間した複数のセカンダリプーリのそれぞれ1つと係合させる更なるステップを含み、
各緊張ワイヤの第2端から複数の所定の重りのうちの1つを吊り下げる前記ステップは、それぞれのセカンダリプーリの下方に吊り下げられるように各所定の重りを吊り下げることを含む、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
各フェルールを圧着する前記ステップは、第1方向から各フェルールを支持し、前記第1方向とは反対の第2方向から各フェルールをパンチングするステップを含む、ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各フェルールをパンチングする前記ステップは、各フェルールを前記フェルール上の第1箇所でパンチングし、各フェルールを前記フェルール上の第2箇所でパンチングするステップを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各フェルールを第1箇所でパンチングする前記ステップは、各フェルールを前記フェルール上の第1箇所で第1所定の回数だけパンチングするステップを含む、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各フェルールを第2箇所でパンチングする前記ステップは、各フェルールを前記フェルール上の第2箇所で第2所定の回数だけパンチングすることを含む、ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のフェルールは、駆動モジュールの一部を形成し、前記フェルールは、互いに対して移動可能であり、前記方法は、各フェルールをそれぞれの溝に置く前に、複数のフェルールを不動化する更なるステップを含む、ことを特徴とする請求項7~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
作動可能な前記モジュールは、作動可能な前記モジュールが係合したときに各フェルールを不動化するように構成されたハウジングと係合可能であり、前記複数のフェルールを不動化する前記ステップは、作動可能な前記モジュールを前記ハウジングに係合させ、前記ハウジングと係合している作動可能な前記モジュールをロックすることを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の腱を緊張させるための緊張リグ、及び複数の腱を圧着する方法に関する。本発明は、限定的ではないが、特に、腱駆動手術用ロボット器具を製造、維持及び/又は修理する分野で適用される。本発明はまた、手術分野外の腱駆動ロボティクス又は他のタイプの腱駆動器具に適用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
本明細書では、本発明は、主に、サージカルロボティクスの分野における応用に関連して説明される。しかしながら、これは、例示のみを目的としており、他の分野における本発明の応用を排除するものではない。
【0003】
既知の手術用ロボット器具は、駆動モジュールと、駆動モジュールから延びるシャフトと、シャフトに結合された関節部と、関節部に結合されたエンドエフェクターとを含む。駆動モジュールは、ドライバモジュールが結合可能なモータによって駆動される複数のアクチュエータを含んでもよい。例えば、各アクチュエータは、ドライバモジュールからシャフトを通って、それらが回転可能なジョイントに取り付けられる関節部又はエンドエフェクターまで延びる腱に取り付けられてもよい。従って、関節部及びエンドエフェクターは、ドライバモジュールにおけるアクチュエータを制御することによって作動して、異なる腱を引っ張ることができる。言い換えれば、作動部及びエンドエフェクターは、腱によって駆動されるものである。
【0004】
幾つかの既知の手術用ロボット器具の駆動モジュールは、腱に取り付けられてから、キャプスタンの周りに腱を包み込み、必要に応じて腱を緊張させるように回転され得るキャプスタンアクチュエータを含む。しかしながら、このようなアクチュエータは、低侵襲手術器具に必要な小規模で製造すると高価であり、手術器具の使用時にアクチュエータを駆動するモータにアクチュエータを結合するための複雑で正確な方法が必要となる場合がある。
【0005】
幾つかの既知の手術用ロボット器具は、直線的に移動するアクチュエータを備えた駆動モジュールを含み、特に、駆動モジュールは、外科手術手技で使用するための無菌性を確保するために使い捨ての単回使用の部品であることが好ましいため、必要な規模でよりコスト効率よく製造することができる。しかしながら、特に腱は、使用時と同様に、互いに実質的に平行に、かつ互いに近接して延びるように理想的に緊張させられるべきであるため、リニアアクチエータに取り付けられた腱を繰り返し可能かつ正確に緊張させることは、キャプスタンアクチュエータに取り付けられた腱を緊張させることよりも困難である場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1態様によれば、複数の腱を緊張させるための緊張リグが提供される。この緊張リグは、複数の重りと、第1軸に沿って互いに離間した複数のプライマリプーリと、互いに離間した複数のセカンダリプーリと、各々がそれぞれのプライマリプーリ及びセカンダリプーリと係合可能であり、腱部を含む第1端及び重り部を含む反対端を含む複数の緊張ワイヤであって、前記腱部は、それぞれの腱に着脱可能に取り付け可能であり、前記それぞれの腱から前記それぞれのプライマリプーリまで実質的に前記第1軸に沿って延びることができ、前記重り部は、それぞれの重りに取り付け可能であり、前記それぞれのセカンダリプーリから前記それぞれの重りまで延びることができ、各緊張ワイヤは、前記それぞれのプライマリプーリから前記それぞれのセカンダリプーリまで延びる中間部をさらに含む複数の緊張ワイヤと、を含む。
【0007】
複数の腱は、腱駆動手術用ロボット器具などの腱駆動器具の一部を形成することができ、各腱は、回転可能なジョイントなど、腱の作動によって駆動可能な器具の構成要素に取り付けられた第1端と、第2端とを含む。
【0008】
本発明の第1態様によって、各腱は、各腱の反対端をそれぞれの緊張ワイヤの腱部に取り付け、それぞれの重りを緊張ワイヤの重り部から取り付けることによって、緊張させることができる。従って、各腱は、使用される重りに依存して所定の程度に緊張させられてもよい。複数の腱は、均等に緊張させられ、又は1つ以上の腱は、他の腱とは異なる程度に緊張させられてもよい。さらに、緊張の量は、複数の腱駆動器具にわたって正確に繰り返し可能である。
【0009】
使用中、各緊張ワイヤは、それぞれのプライマリプーリと係合する。プライマリプーリは、第1軸に沿って互いに離間しており、使用中、腱駆動器具は、各緊張ワイヤの腱部及び各腱が実質的に第1軸に沿って延びるように、ユーザによって第1軸と実質的に整列して位置決めされてもよい。使用中、ユーザは理想的には、各緊張ワイヤの腱部及び各腱が第1軸から10°未満延びるために、第1軸と十分に整列するように腱駆動器具を位置決めすることになる。より好ましくは、各緊張ワイヤの腱部及び各腱は、第1軸から5°未満、又は、さらに好ましくは、第1軸から1°未満延びることになる。
【0010】
従って、プライマリプーリの位置決めは、互いに実質的に平行に、且つ互いに近接して延びる間に、腱の各々の緊張を同時に容易にすることができる。これは、複数の腱を、腱駆動器具の使用時と同じように位置決めしながら、腱駆動器具におけるアクチュエータに取り付けることを有利に許容することができる。例えば、緊張リグは、腱駆動器具におけるアクチュエータの一部を形成するそれぞれのフェルール内で複数の腱の各々を圧着することを可能にするために、複数の腱を緊張させるのに適していてもよい。
【0011】
各緊張ワイヤはまた、それぞれのセカンダリプーリと係合する。それぞれの重りは、緊張ワイヤ、特に、それぞれのセカンダリプーリからそれぞれの重りまで延びる緊張ワイヤの重り部を介してセカンダリプーリの下方に吊り下げられてもよい。複数のセカンダリプーリの各々は互いに離間し、それによって、重りが互いに離間しており、1つの重りが別の重り上に置かれたり、別の重りを支持したりするのを回避するために空間を提供する。
【0012】
複数のセカンダリプーリは、各緊張ワイヤの中間部がそれぞれのプライマリプーリからそれぞれのセカンダリプーリまで延びることを許容する複数のプライマリプーに対して、任意の適切な位置に位置決めされてもよい。例えば、セカンダリプーリは、それらの位置決めが第1軸に対する腱の整列に影響を与えないため、第1軸から離間してもよい。これにより、セカンダリプーリは、それらの下方に吊り下げられる重りも離間するために十分に離間できることが容易になる可能性がある。また、セカンダリプーリは、緊張リグがコンパクトなフットプリントを有し、且つ持ち運び可能及び/又はワークトップに容易に取り付けることができるように、位置決めされることが容易になる可能性もある。例えば、セカンダリプーリは、実質的に第1軸に沿って1つの連続した線ではなく、複数の列に位置決めされてもよい。
【0013】
本発明の実施形態では、緊張リグは、複数の第1補助プーリをさらに含んでもよく、これらの第1補助プーリの各々は、それぞれのプライマリとセカンダリプーリとの間に位置決め可能であり、緊張ワイヤと係合可能である。
【0014】
本発明のこのような実施形態では、各第1補助プーリは、それぞれの緊張ワイヤがそれぞれの腱からそれぞれの重りまで延びる際に通る経路を改善するように位置決めされてもよい。例えば、各第1補助プーリは、緊張ワイヤがプライマリ及び/又はセカンダリプーリと係合する角度を改善し、緊張ワイヤのより整然とした及び/又はよりコンパクトな構成を促進し、かつ/又はプライマリプーリの間隔に対してセカンダリプーリの間隔を大きくすることを容易にするように位置決めされてもよい。
【0015】
本発明の実施形態では、緊張リグは、複数の第2補助プーリをさらに含んでもよく、これらの第2補助プーリの各々は、それぞれのプライマリとセカンダリプーリとの間に位置決め可能であり、緊張ワイヤと係合可能である。
【0016】
本発明のこのような実施形態では、各第2補助プーリは、各第1補助プーリと同様に、それぞれの緊張ワイヤがそれぞれの腱からそれぞれの重りまで延びる際に通る経路を改善するように位置決めされてもよい。
【0017】
さらに、緊張リグは、例えばプライマリ及び/又はセカンダリプーリとの係合、緊張リグの整然さ及び/又はコンパクトさ、及び/又はセカンダリプーリの間隔を改善するために必要な緊張ワイヤの経路を容易にするために、任意の適切な数の補助プーリを含んでもよい。
【0018】
本発明の実施形態では、緊張リグは、複数のプライマリプーリが支持されるベースと、前記ベースから延び、前記ベースの上方で複数のセカンダリプーリを支持するように適合されたサポートと、をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明のこのような実施形態では、サポートは、それぞれの重りがセカンダリプーリの下方に自由に吊り下げられるために十分な空間をセカンダリプーリの下に提供するように適合されてもよい。
【0020】
ベースは、床、静的ワークトップ、又は他の表面に取り付け可能な可動プラットフォームであってもよく、それによって緊張リグを持ち運び可能にする。
【0021】
本発明の実施形態では、各緊張ワイヤは、それぞれの重りに着脱可能に取り付け可能である。
【0022】
このような実施形態では、重りは、緊張ワイヤを介して各腱に一連の異なる張力を付与することを容易にするために、可変且つ交換可能であってもよい。緊張ワイヤはまた、例えば各緊張ワイヤが損傷したり磨耗したりした場合に、容易に交換することができるように、簡単に交換可能であってもよい。
【0023】
本発明の実施形態では、複数の重りのうちの1つ以上の重りは、他の重りと等しい重さ又は異なる重さを有してもよい。
【0024】
本発明のこのような実施形態では、複数の腱のうちの1つ以上の腱は、それぞれの1つ又は複数の緊張ワイヤに取り付けられた重りに応じて、他の腱と等しく又は異なる程度に緊張させられてもよい。
【0025】
本発明の第2態様によれば、それぞれの複数のフェルール内で複数の腱を圧着する方法が提供される。各腱は第1端と第2端を含む。この方法は、複数の腱の各々を複数のフェルールのそれぞれ1つに挿通するステップと、各腱の第1端を、それぞれのフェルールに対して不動化されるように固定するステップと、各腱の第2端を複数の緊張ワイヤのそれぞれ1つの第1端に取り付けるステップと、各緊張ワイヤの第2端から複数の所定の重りのうちの1つを吊り下げ、それによって各腱を緊張させるステップと、各フェルールをそれぞれの腱に圧着するステップと、を含む。
【0026】
複数の腱は、腱駆動手術用ロボット器具などの腱駆動器具の一部を形成してもよい。各腱の第1端は、回転可能なジョイントなど、腱の作動によって駆動可能な器具の構成要素に取り付けられてもよく、各腱の第1端を固定するステップは、それが取り付けられる構成要素を不動化することを含んでもよい。
【0027】
各フェルールは、それぞれの直線的に移動可能なアクチュエータの一部を形成してもよい。それぞれのフェルールに対して不動化されるように腱の第1端を固定するステップは、フェルールを不動化することをさらに含んでもよい。
【0028】
本発明の第2態様によって、複数の腱の各々は、使用される重りに依存する所定の張力度下で、それぞれのフェルールに圧着されてもよい。重りは、腱に十分な張力を与えて器具にたるみがないことを保証すると同時に、器具が効果的に作動するには硬すぎないこと、及び張力度が腱の引張強度に近すぎないことを保証するように決定されてもよい。
【0029】
さらに、この方法は、繰り返し可能であるので、器具及び器具が適用される応用に対して正しい量の張力を受けるように、複数の腱駆動器具を確実に製造及び/又は修理することができる。例えば、これにより、使用される器具間の性能のばらつきが最小限になるように、交換可能な腱駆動器具を製造する能力が向上する可能性がある。
【0030】
本発明の実施形態では、方法は、各緊張ワイヤを、前記複数のフェルールと実質的に整列された複数のプライマリプーリのそれぞれ1つと係合させ、それによって各腱を、それぞれのフェルールと実質的に同軸に延びるように緊張させる更なるステップを含んでもよい。
【0031】
本発明のこのような実施形態では、各フェルールは、腱が張力下にあり且つフェルールと実質的に同軸である間に、それぞれの腱に圧着されてもよい。これは、例えばフェルールが一部を形成するアクチュエータに損傷を与える可能性がある、圧着プロセス中に腱がフェルールに横力を加えることを回避する。
【0032】
本発明の実施形態では、方法は、各緊張ワイヤを、互いに離間した複数のセカンダリプーリのそれぞれ1つと係合させる更なるステップを含む。各緊張ワイヤの第2端から複数の所定の重りのうちの1つを吊り下げる前記ステップは、それぞれのセカンダリプーリの下方に吊り下げられるように各所定の重りを吊り下げることを含む。
【0033】
本発明のこのような実施形態では、セカンダリプーリは、重りが互いに離間して吊り下げられるように、互いに離間してもよい。これは、重りが互いの上に置かれたり、互いに支持したりするのを防止し、各重りがそれぞれの腱を意図したとおりに緊張させるように作用することを確保する。
【0034】
本発明の実施形態では、各フェルールを圧着するステップは、第1方向から各フェルールを支持し、第1方向とは反対の第2方向から各フェルールをパンチングするステップを含んでもよい。
【0035】
本発明のこのような実施形態では、複数のフェルールは下方から支持されてもよく、それらは上方からパンチングされてもよい。これは、各フェルールの側面にアクセスする必要がないため、フェルールが互いに近接して位置決めされてもよいことを意味する。
【0036】
本発明の実施形態では、各フェルールをパンチングするステップは、各フェルールをフェルール上の第1箇所でパンチングし、各フェルールをフェルール上の第2箇所でパンチングするステップを含んでもよい。
【0037】
本発明のこのような実施形態では、各フェルールを2つの箇所でパンチングして、それぞれの腱に圧着することは、フェルールを腱にいかに確実に取り付けるかを改善することができる。
【0038】
本発明の実施形態では、各フェルールを第1箇所でパンチングするステップは、各フェルールをフェルール上の第1箇所で第1所定の回数だけパンチングすることを含んでもよく、各フェルールを第2箇所でパンチングするステップは、各フェルールをフェルール上の第2箇所で第2所定の回数だけパンチングすることを含んでもよい。
【0039】
本発明のこのような実施形態では、第1及び第2箇所でそれぞれのフェルールをパンチングするための第1及び第2所定の回数は、各フェルールがそれぞれのフェルールに確実に取り付けられることを確保するために決定されてもよい。フェルールをパンチングする回数が増えるほど、取り付けはより確実になる。しかしながら、一定の数のパンチングを超えると、取り付けの改善が無視できるようになり、更なるパンチングを実行するのに必要な時間が無駄になる可能性がある。
【0040】
第1及び第2所定の数は、等しくてもよいし、異なってもよい。
【0041】
本発明の実施形態では、前記複数のフェルールは、駆動モジュールの一部を形成し、前記フェルールは、互いに対して移動可能であり、前記方法は、各フェルールをそれぞれの溝に置く前に、複数のフェルールを不動化する更なるステップを含む。
【0042】
本発明のこのような実施形態では、駆動モジュールは、直線的かつ互いに平行に移動可能な複数のアクチュエータを含んでもよい。各アクチュエータは、フェルールのそれぞれ1つを含む。複数のフェルールを不動化することにより、フェルールをパンチングできる容易さ及び繰り返し性が向上する可能性がある。また、複数のフェルールを不動化することにより、緊張させている間にそれぞれの腱上の特定の位置に各フェルールを圧着する繰り返し性が向上する可能性もある。
【0043】
本発明の実施形態では、前記作動可能なモジュールは、作動可能なモジュールが係合したときに各フェルールを不動化するように構成されたハウジングと係合可能であり、前記複数のフェルールを不動化する前記ステップは、前記作動可能なモジュールをハウジングに係合させ、前記ハウジングと係合している作動可能なモジュールをロックすることを含む。
【0044】
本発明のこのような実施形態では、ハウジングは、ハウジングが作動可能なモジュールと係合しながら各アクチュエータを固定位置にロックし、それによってフェルールを不動化するように適合化されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
ここでは、添付の図面を参照して、例としてのみ実施形態を説明する。
図1】本発明の第1態様の実施形態による緊張リグの模式図である。
図2】支持梁が示されている、図1に示される緊張リグの模式図である。
図3】圧着リグとともに使用される、図1に示される緊張リグの模式図である。
図4図3に示される圧着リグの一部を形成するサポートブリッジの模式図である。
図5】本発明の第2態様による方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
最初に図1及び2を参照すると、本発明の第1態様の実施形態による緊張リグは、一般に参照番号2で指定されている。緊張リグ2は、複数の重り6、複数のプライマリプーリ8、複数のセカンダリプーリ10、ベース26及びサポート28を含む。プライマリプーリ8は、第1軸9に沿って互いに離間し(図2に示す)、ベース26によって支持される。サポート28は、ベース26から延び、ベース26の上で互いに離間した複数のセカンダリプーリ10を支持するように適合される。図2では、サポート28は、複数のセカンダリプーリ10を支持する支持梁29を含むように示されているが、図1では、支持梁29は、支持梁29の下に位置決めされたセカンダリプーリ10及び重り6を明らかにするために省略されている。
【0047】
緊張リグ2はまた、複数の緊張ワイヤ12を含む。各緊張ワイヤ12は、腱部18を含む第1端14と、重り部20を含む第2端16とを含む。各腱部18はそれぞれの腱4に取り付けられ、各重り部20はそれぞれの重り6に取り付けられる。さらに、各緊張ワイヤ12は、それぞれのプライマリ及びセカンダリプーリ8、10と係合する。各腱部18は、それぞれの腱4からそれぞれのプライマリプーリ8まで実質的に第1軸に沿って延びることができ、各重り部20は、それぞれのセカンダリプーリ10からそれぞれの重り6まで延びることができる。各緊張ワイヤ12は、それぞれのプライマリプーリ8からそれぞれのセカンダリプーリ10まで延びることができる中間部22をさらに含む。
【0048】
本発明のこの実施形態では、緊張リグ2は、複数の第1補助プーリ23、複数の第2補助プーリ24、及び複数の第3補助プーリ25をさらに含む。第1、第2及び第3補助プーリ23、24、25の各々は、それぞれのプライマリとセカンダリプーリ8、10の間に位置決めされる。各緊張ワイヤ12の中間部22は、それぞれのプライマリとセカンダリプーリ8、10の間に延びる際に、それぞれの第1、第2及び第3補助プーリ23、24、25と係合する。
【0049】
腱4は、腱駆動器具30の一部を形成する。各腱4の第1端は、器具30に取り付けられ、第2端はそれぞれの緊張ワイヤ12に取り付けられる。従って、図1に示すように緊張リグ2が使用されるとき、各腱4及びそれぞれの緊張ワイヤ12は、器具30と重り6との間に延びる。重り6は、緊張ワイヤ12からセカンダリプーリ10の下方に吊り下げられ、それによって緊張ワイヤ12及び腱4の両方を緊張させる。各腱における張力度は、それぞれの重り6の質量に依存する。
【0050】
第1軸9に沿った複数のプライマリプーリ8の位置決め(図2に示す)により、複数の腱4の各々は実質的に第1軸9に沿って延びながら緊張させられることが可能になる。複数の第1補助プーリ23は、複数の腱4が分離され、第1軸に実質的に垂直な方向にさらに離間するように、位置決めされる。複数の第2補助プーリ24は、複数の腱4を複数の第3補助プーリ25及び複数のセカンダリプーリ10に向けて上向きに導くように適合されている。複数の第3補助プーリ25は、複数の腱4を、重り6を越えてセカンダリプーリに向けて導くように構成されている。セカンダリプーリは2列で離間し、各列のプーリは互いにオフセットされて、全体として余分な空間を占有せずにさらに離間する。セカンダリプーリの間隔は、複数の重り6が互いに干渉することなく下方に吊り下げられるために十分な空間を提供する。
【0051】
各緊張ワイヤ12は、それぞれの重り6に着脱可能に取り付け可能であり、これにより、重り6と緊張ワイヤ12の両方を交換可能にし、互換性を持たせることができる。従って、各緊張ワイヤ12から吊り下げられた重り6は、関連する腱4が経験する張力を変化させるために変更することができ、例えば、100gの重り6を200gの重りと交換して、腱4にかかる張力を増加させることができる。また、緊張ワイヤ12は、例えば、損傷したり、磨耗したりした場合に交換することができる。
【0052】
今、図3を参照すると、腱駆動器具130の一部を形成する複数の腱104を緊張させる使用中の緊張リグ2が示される。緊張リグ2は、パンチングリグ134及びサポートブリッジ136を含む圧着リグ132とともに使用される。
【0053】
今、図4を参照すると、腱駆動器具130は、直線的かつ互いに平行に移動可能な複数のアクチュエータ138を含む。各アクチュエータ138はフェルール140を含み、腱駆動器具130は、複数のフェルールがサポートブリッジ136上に置かれるように位置決めされる。それぞれの複数の腱104は、第1端で腱駆動器に固定され、フェルール140の各々に挿通される。腱104は、図3に示すように、フェルール140から緊張リグ2まで延びることができ、そこでそれぞれの緊張ワイヤ12、特に腱部18に取り付けることができる。
【0054】
図3に戻って参照すると、パンチングリグ134は、フェルール140がサポートブリッジ136上に置かれているときに、緊張リグ2によって提供される張力下で腱104がフェルール140を通って延びている間に、フェルール140をパンチングするために使用され得る。従って、フェルール140は、腱104に圧着され得る。
【0055】
今、図5を参照すると、複数のフェルール内で複数の腱を圧着する本発明の第2態様による方法であって、各腱が第1端と第2端を含む方法は、全体的に参照番号200で示されている。方法200は、以下に説明されるステップ201、202、203、204及び205を含み、図1~3に示す緊張リグ2を使用して実行することができる。それに応じて、ステップ201~205は、図3及び4の特徴を参照して説明される。しかしながら、方法200は任意の適切な装置を使用して実行できることを理解されたい。
【0056】
ステップ201
各腱104の第1端を、それぞれのフェルール140に対して不動化されるように固定する。
【0057】
ステップ202
複数の腱104の各々を複数のフェルール140のそれぞれ1つに挿通する。
【0058】
ステップ203
各腱104の第2端を複数の緊張ワイヤ12のそれぞれ1つの第1端に取り付ける。
【0059】
ステップ204
各緊張ワイヤ12の第2端から複数の所定の重り6のうちの1つを吊り下げる。
【0060】
ステップ201~204の最終ステップが実行されると、複数の腱104が緊張ワイヤ12を介して重り6によって緊張させられることになる。上記の順序で、各緊張ワイヤ12の第2端から複数の所定の重り6のうちの1つを吊り下げるステップにより、各腱104が緊張させられることになる。しかしながら、ステップ201~204は、ステップ202が最終ステップとして試行される順序を除いて、任意の順序で実行されてもよい。例えば、ステップ201~204の順序は逆であってもよく、各腱104の第1端を、それぞれのフェルール140に対して不動化されるように固定するステップにより、各腱104が緊張させられることになる。
【0061】
各緊張ワイヤ12は、複数のフェルール140と実質的に整列しているそれぞれのプライマリプーリ8と係合し、それによって、各腱104が緊張させられてそれぞれのフェルール140と実質的に同軸に延びることができる。
【0062】
各緊張ワイヤ12はまた、互いに離間した複数のセカンダリプーリ10のそれぞれ1つと係合してもよい。よって、ステップ204は、それぞれのセカンダリプーリ10の下方に吊り下げられるように各所定の重り6を吊り下げることを含んでもよい。セカンダリプーリ10は、重り6が互いに離間して吊り下げられるように、互いに離間してもよい。これは、重り6が互いの上に置かれたり、互いに支持したりするのを防止し、各重り6がそれぞれの腱104を意図したとおりに緊張させるように作用することを確保する。
【0063】
ステップ205
各フェルール140をそれぞれの腱104に圧着する。
【0064】
各フェルール140は、各緊張ワイヤ12がそれぞれのプライマリプーリ8と係合していることにより、腱104が張力下にありフェルール140と実質的に同軸である間に、それぞれの腱104に圧着されてもよい。これにより、例えばアクチュエータ138に損傷を与える可能性がある、圧着プロセス中に腱104がフェルール140に横力を加えることが回避される。
【0065】
ステップ205は、第1方向から各フェルール140を支持し、第1方向と反対の第2方向から各フェルール140をパンチングするステップを含んでもよい。例えば、図3及び4に示されるサポートブリッジ136は、フェルール140を下方から支持するために使用されてもよく、パンチングリグ134は、各フェルール140を上方からパンチングするために使用されてもよい。他の適切な装置も使用されてもよい。この方法の利点は、図4に示すように、フェルール140が互いに非常に近接して位置決めされているにもかかわらず、圧着できることである。これは、フェルールへのそのような限定されたアクセスでは動作できない圧着工具の使用を必要とする既知の圧着方法とは対照的である。
【0066】
各フェルール140をパンチングするステップは、各フェルール140をフェルール140上の第1箇所でパンチングし、各フェルール140をフェルール140上の第2箇所でパンチングするステップを含んでもよい。各フェルール140を2つの箇所でパンチングして、それぞれの腱104に圧着することにより、フェルール140が腱104いかに確実に取り付けられるかを改善することができる。
【0067】
さらに、各フェルール140は各箇所で、各フェルール140がそれぞれの腱104に確実に取り付けられることを確保するために決定された所定の回数だけパンチングされてもよい。
【0068】
本発明の所与の態様、特徴、又はパラメーターの好み及び選択肢は、文脈が別段の指示をしない限り、本発明の他のすべての態様、特徴、及びパラメーターのあらゆる好み及び選択肢と組み合わせて開示されたと見なされるべきである。例えば、本発明の第1態様は、任意の数の補助プーリ、すなわち、図1~3に示される補助プーリの数よりも多い、少ない、又は同じ数の補助プーリを含むように開示されたものとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】