(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】マイクロ流体デバイスおよびその高速処理
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20240214BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20240214BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20240214BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N33/52 C
G01N21/78 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544250
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022013111
(87)【国際公開番号】W WO2022159570
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523275008
【氏名又は名称】ヒューディーエックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】レシュマ・ラジャン‐ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィクマー・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ニーサルク・デイヴ
(72)【発明者】
【氏名】アチャル・シャー
(72)【発明者】
【氏名】アクシャイ・ガタ・ラヴィチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】ブリタニー・オーヤン
(72)【発明者】
【氏名】マンジェット・ディンサ
(72)【発明者】
【氏名】ニディ・メノン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G058
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045DA16
2G045DA20
2G045DA31
2G045DA36
2G045DA38
2G045DA42
2G045DA43
2G045DA53
2G045DA69
2G045DA80
2G045DB07
2G045DB09
2G045DB10
2G045DB16
2G045FA19
2G045GC12
2G058CC01
2G058CC09
2G058GA01
2G058GA14
2G058GC02
2G058GC05
(57)【要約】
本開示は、デバイスに堆積させられた流体サンプル中の標的分析物の撮像ならびに高速識別および定量化のための観察ボックスアセンブリと組み合わせて使用するための紙製マイクロ流体デバイスに関し、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的分析物は、紙の1つまたはそれ以上の診断成分と反応して、検出可能な反応を引き起こす。次いで、反応させたマイクロ流体デバイスは、内部光源および頂面パネル観察アパーチャを有する不透明な観察ボックス内に配置することができ、頂面パネル観察アパーチャを介して、1つまたはそれ以上の標的分析物を検出および定量化する目的で、モバイル電子デバイスおよびグラフィカルユーザインターフェースを使用して、マイクロ流体デバイスを撮像することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、診断紙およびベースを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、診断紙層の上にフィルタを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状マイクロ流体デバイスであって:
上面および下面を有し、上面は、対応する診断チャンバと流体連通している少なくとも1つの凹状流体伝達チャネルを含み、診断チャンバは、凸状フレームによって実質的に取り囲まれた凹状区域を含む、ベースと;
診断チャンバの凹状区域内に嵌るようにサイズ設定され、1つまたはそれ以上の診断成分が与えられた診断紙とを含む、前記凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
共通のチャネル入口に流体連結された3つの凹状流体伝達チャネルを含む、請求項1に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項3】
診断紙は、1枚の単層の親水性で多孔質の紙である、請求項1または2に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項4】
診断紙は、フィルタ紙またはクロマトグラフィ紙である、請求項1~3のいずれか1項に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項5】
1つまたはそれ以上の診断成分は、試薬、染料、プローブ、安定剤、触媒、抗凝血剤、溶解剤、ナノ粒子、希釈剤、およびこれらの組合せから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項6】
少なくとも1つの診断成分は、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、アルブミン、血清総蛋白、グルコース、コレステロール、クレアチン、ナトリウム、カルシウム、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、直接ビリルビン、間接ビリルビン、非抱合ビリルビン、ならびに乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコース、血清尿素窒素、カルシウム、炭酸水素塩、塩化物、クレアチニン、カリウム、およびナトリウムから選択された分析物と選択的に結合することが可能である、請求項1~5のいずれか1項に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの流体伝達チャネルと流体連通しているフィルタをさらに含み、該フィルタは、診断紙から隔置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項8】
ベースは、識別インジケータが設けられた上面を有する延長部をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項9】
識別インジケータは、QRコードまたはバーコードを含む、請求項8に記載の凹状マイクロ流体デバイス。
【請求項10】
マイクロ流体デバイスおよび観察ボックスアセンブリであって:
1つまたはそれ以上の診断成分が与えられた単層の診断紙を含むマイクロ流体デバイスと;
底面パネル、1つまたはそれ以上の頂面パネル、4つまたはそれ以上の側面パネル、および1つまたはそれ以上の内部光源を含む観察ボックスとを含み、ここで、各頂面パネルは観察アパーチャを含み;
マイクロ流体デバイスは、観察ボックスが組み立てられるときに観察ボックス内に嵌るように構成される、前記アセンブリ。
【請求項11】
頂面パネル観察アパーチャは、光が観察ボックスに入ることができる唯一の開口部である、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
少なくとも観察ボックスの内部は、固体の不透明な材料から全体的に作られる、請求項10または11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
底面パネルの内面は、マイクロ流体デバイスの所望の配置位置を識別するための位置インジケータマーキングを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の観察ボックスアセンブリ。
【請求項14】
マイクロ流体デバイスは凹状マイクロ流体デバイスであり、該凹状マイクロ流体デバイスは、上面および下面を有するベースを含み、上面は、対応する診断チャンバと流体連通している少なくとも1つの凹状流体伝達チャネルを含み、診断チャンバは、凸状フレームによって実質的に取り囲まれた凹状区域を含み;診断紙は、診断チャンバの凹状区域内に嵌るようにサイズ設定される、請求項10~13のいずれか1項に記載の観察ボックスアセンブリ。
【請求項15】
マイクロ流体デバイスは:診断紙の頂層およびフィルタ紙の底層と;頂層の頂面および底層の底面に設けられた積層とを含み、該積層はともに接着しており、該積層は、頂部アパーチャを介して堆積させられた流体サンプルの垂直方向の流れを可能にするように構成された位置合わせされたアパーチャを含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の観察ボックスアセンブリ。
【請求項16】
流体サンプル中の標的分析物を検出および定量化する方法であって:
(a)流体サンプルを取得する工程と;
(b)1つまたはそれ以上の診断成分が与えられた単層の診断紙を含むマイクロ流体デバイス上に流体サンプルを堆積させる工程と;
(c)サンプル中の標的分析物と1つまたはそれ以上の診断成分との間で反応が生じる各診断チャンバへ流体サンプルが流れる所定の期間にわたって待機する工程と;
(d)反応させたマイクロ流体デバイスを、底面パネル、1つまたはそれ以上の頂面パネル、4つまたはそれ以上の側面パネル、および1つまたはそれ以上の内部光源を含む観察ボックスに入れ、各頂面パネルは観察アパーチャを含み、該観察アパーチャは、光が観察ボックスに入ることができる唯一の開口部である工程と;
(e)モバイル電子デバイスのカメラを観察アパーチャの上に配置し、1つまたはそれ以上の内部光源によって照明されている反応させたマイクロ流体デバイスの画像を取り込む工程と;
(f)第1の電子デバイスによって、通信ネットワークを介して画像を第2の電子デバイスへ伝送する工程と;
(g)第2の電子デバイスによって、1つまたはそれ以上の物体検出モデルを画像に適用し、流体サンプルに関する1つまたはそれ以上の診断結果を生成する工程と;
(h)第2のデバイスによって、診断結果の少なくとも一部分を第1の電子デバイスへ伝送する工程と;
(i)第1の電子デバイスによって、診断結果の少なくとも一部分に対応する視覚表現を第1の電子デバイスのディスプレイ上に表示する工程とを含む、前記方法。
【請求項17】
流体サンプルは、生物流体サンプルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
所定の期間は、流体サンプルがマイクロ流体デバイスに堆積させられた時間から約60分以下である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
工程(g)の結果は、診断結果を含む、請求項16~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
マイクロ流体デバイスは、延長部を含み、方法は、延長部の上面に識別インジケータを取り付ける工程をさらに含む、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
画像の処理は、画像の画素を色値に従って分類されたヒストグラムにクラスタ化する工程を含む、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
色値に従ってヒストグラムに分類する工程は:RGB値を判定し、RGB値をHEX値に変換し、RGB値を対応する色名に変換する工程を含む、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
取り込まれた画像は、モバイルデバイスから受信され、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)がモバイル電子デバイスに表示される、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
マイクロ流体デバイスは凹状マイクロ流体デバイスであり、凹状マイクロ流体デバイスは、上面および下面を有するベースを含み、上面は、対応する診断チャンバと流体連通している少なくとも1つの凹状流体伝達チャネルを含み、ここで、診断チャンバは、凸状フレームによって実質的に取り囲まれた凹状区域を含み;診断紙は、診断チャンバの凹状区域内に嵌るようにサイズ設定される、請求項16~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
マイクロ流体デバイスは:診断紙の頂層およびフィルタ紙の底層と;頂層の頂面および底層の底面に設けられた積層とを含み、ここで、積層は、ともに接着しており、積層は、頂部アパーチャを介して堆積させられた流体サンプルの垂直方向の流れを可能にするように構成された位置合わせされたアパーチャを含む、請求項16~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、標的分析物の撮像ならびに高速識別および定量化のための観察ボックスアセンブリと組み合わせて使用することができる紙製マイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ポイントオブケア(POC)診断は、医療、輸送、および物流に関する基礎構造の開発または資金が不足しがちな多くの資源が制限された環境で有利である。POC診断の主な利点は、検査に関する基礎構造の支えがない状態で、疾病を診断したりまたは健康状態を評価したりすることができる点である。これによりアクセスが増大し、サンプル輸送の必要がなくなり、診断結果を取得するためにかかる時間が実質的に削減される。それに応じて、より多くの患者が効果的に診断および評価され、より効率的かつ効果的な医療が有効になる。紙ベースの診断は、数年前から知られており、使用されてきたが、多くの紙製POCデバイスは、とりわけ不十分な検出限界、高い非特異的吸着、不安定な試薬、長い分析時間、複雑なユーザ技術インターフェース、煩わしい検出方法、および不十分な感度などの様々な要因により、十分な精度に欠け、経済的に実行不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、検査に関する基礎構造を必要とすることなく、感度が高く、丈夫であり、比較的低いコストで容易に製造され、容易に使用でき、迅速に評価することができ、正確で定量化可能な結果を提供する、改善された紙製POCデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一般に高速紙製マイクロ流体デバイスに関し、高速紙製マイクロ流体デバイスは、場合により、デバイス上の1つまたはそれ以上の診断成分をサンプル中の1つまたはそれ以上の対応する標的分析物と化学的に反応させることによって、それだけに限定されるものではないが、生物サンプル(たとえば、血液、尿、痰、唾液、または他の体液)を含む流体サンプルに対して、様々な診断アッセイを実行することができるベースを含む。本開示はまた、反応させたマイクロ流体デバイスの画像を取り込み、生物サンプルが取得された対象の身体の健康および/もしくは状態、または他のタイプの流体サンプルの含有量(たとえば、汚染物質含有量)に対応する診断結果を生成および定量化する方法に関する。
【0005】
一態様では、開示する技術は、凹状マイクロ流体デバイスに関し、凹状マイクロ流体デバイスは:上面および下面を有し、上面は、対応する診断チャンバと流体連通している少なくとも1つの凹状流体伝達チャネルを含み、診断チャンバは、凸状フレームによって実質的に取り囲まれた凹状区域を含む、ベースと;診断チャンバの凹状区域内に嵌るようにサイズ設定され、1つまたはそれ以上の診断成分が与えられた診断紙とを含む。一実施形態では、凹状マイクロ流体デバイスは、共通のチャネル入口に流体連結された3つの凹状流体伝達チャネルを含む。いくつかの実施形態では、診断紙は、1枚の単層の親水性で多孔質の紙である。いくつかの実施形態では、診断紙は、フィルタ紙またはクロマトグラフィ紙である。
【0006】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の診断成分は、試薬、染料、プローブ、安定剤、触媒、抗凝血剤、溶解剤、ナノ粒子、希釈剤、およびこれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの診断成分は、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、アルブミン、血清総蛋白、グルコース、コレステロール、クレアチン、ナトリウム、カルシウム、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、直接ビリルビン、間接ビリルビン、非抱合ビリルビン、ならびに乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコース、血清尿素窒素、カルシウム、炭酸水素塩、塩化物、クレアチニン、カリウム、およびナトリウムから選択された分析物と選択的に結合することが可能である。
【0007】
いくつかの実施形態では、凹状マイクロ流体デバイスは、少なくとも1つの流体伝達チャネルと流体連通しているフィルタをさらに含み、フィルタは、診断紙から隔置される。いくつかの実施形態では、ベースは、識別インジケータが設けられた上面を有する延長部をさらに含む。いくつかの実施形態では、識別インジケータは、QRコードまたはバーコードを含む。
【0008】
別の態様では、開示する技術は、マイクロ流体デバイスおよび観察ボックスアセンブリに関し、マイクロ流体デバイスおよび観察ボックスアセンブリは:1つまたはそれ以上の診断成分が与えられた単層の診断紙を含むマイクロ流体デバイスと;底面パネル、1つまたはそれ以上の頂面パネル、4つまたはそれ以上の側面パネル、および1つまたはそれ以上の内部光源を含む観察ボックスとを含み、ここで、各頂面パネルは、観察アパーチャを含み;マイクロ流体デバイスは、観察ボックスが組み立てられるときに観察ボックス内に嵌るように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、頂面パネル観察アパーチャは、光が観察ボックスに入ることができる唯一の開口部である。いくつかの実施形態では、少なくとも観察ボックスの内部は、固体の不透明材料から全体的に作られる。いくつかの実施形態では、底面パネルの内面は、マイクロ流体デバイスの所望の配置位置を識別するための位置インジケータマーキングを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは凹状マイクロ流体デバイスであり、凹状マイクロ流体デバイスは、上面および下面を有するベースを含み、上面は、対応する診断チャンバと流体連通している少なくとも1つの凹状流体伝達チャネルを含み、ここで、診断チャンバは、凸状フレームによって実質的に取り囲まれた凹状区域を含み;診断紙は、診断チャンバの凹状区域内に嵌るようにサイズ設定される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは:診断紙の頂層およびフィルタ紙の底層と;頂層の頂面および底層の底面に設けられた積層とを含み、ここで、積層は、ともに接着しており、積層は、頂部アパーチャを介して堆積させられた流体サンプルの垂直方向の流れを可能にするように構成された位置合わせされたアパーチャを含む。
【0010】
別の態様では、開示する技術は、流体サンプル中の標的分析物を評価するための画像処理方法に関する。一実施形態では、単一の分析物に関して検出するとき、物体検出ユニットは、物体検出を用いて、マイクロ流体デバイスのパネルおよびその中のサンプルを検出することができる。概して、物体検出方法の例示的な実施形態は、画像をフィルタリングすることを含むことができる。画像をフィルタリングすることは、外部の異常の除去、形状の平滑化による画像の不規則性の除去、コントラストの強調などを含むことができる。物体検出方法の例示的な実施形態は、最も大きい関心標的区域を判定するための境界認識を含むことができる。そのような境界認識は、デバイスの本当の境界を判定するために、色パラメータおよび背景パラメータを除去することができる。最も大きい輪郭境界が判定された後、特有の境界点を識別することができる。境界点は、物体境界の形状の輪郭を画成する頂点または他の先端もしくは点を含むことができる。形態学的形状検出を使用して、画成された物体境界によって識別された境界点に任意の多角形または幾何学的形状を適合することができる。識別された形状には、画像処理および色検出のために、切断、クロップ、拡大縮小、再配置、またはこれらの組合せを施すことができる。次いでこの関心標的区域は、識別された形状の内部または中心部分として画成することができる。
【0011】
別の態様では、開示する技術は、流体サンプル中の標的分析物を検出および定量化する方法に関し、この方法は:(a)流体サンプルを取得する工程と;(b)1つまたはそれ以上の診断成分が与えられた単層の診断紙を含むマイクロ流体デバイス上に流体サンプルを堆積させる工程と;(c)サンプル中の標的分析物と1つまたはそれ以上の診断成分との間で反応が生じる各診断チャンバへ流体サンプルが流れる所定の期間にわたって待機する工程と;(d)反応させたマイクロ流体デバイスを、底面パネル、1つまたはそれ以上の頂面パネル、4つまたはそれ以上の側面パネル、および1つまたはそれ以上の内部光源を含む観察ボックスに入れ、各頂面パネルは観察アパーチャを含み、観察アパーチャは、光が観察ボックスに入ることができる唯一の開口部である工程と;(e)モバイル電子デバイスのカメラを観察アパーチャの上に配置し、1つまたはそれ以上の内部光源によって照明されている反応させたマイクロ流体デバイスの画像を取り込む工程と;(f)第1の電子デバイスによって、通信ネットワークを介して画像を第2の電子デバイスへ伝送する工程と;(g)第2の電子デバイスによって、1つまたはそれ以上の物体検出モデルを画像に適用し、流体サンプルに関する1つまたはそれ以上の診断結果を生成する工程と;(h)第2のデバイスによって、診断結果の少なくとも一部分を第1の電子デバイスへ伝送する工程と;(i)第1の電子デバイスによって、診断結果の少なくとも一部分に対応する視覚表現を第1の電子デバイスのディスプレイ上に表示する工程とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、流体サンプルは、生物流体サンプルである。いくつかの実施形態では、所定の期間は、流体サンプルがマイクロ流体デバイスに堆積させられた時間から約60分以下である。いくつかの実施形態では、工程(g)の結果は、診断結果を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは延長部を含み、この方法は、延長部の上面に識別インジケータを取り付ける工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、画像の処理は、画像の画素を色値に従って分類されたヒストグラムにクラスタ化する工程を含む。いくつかの実施形態では、色値に従ってヒストグラムに分類する工程は:RGB値を判定し、RGB値をHEX値に変換し、RGB値を対応する色名に変換する工程を含む。いくつかの実施形態では、取り込まれた画像は、モバイルデバイスから受信され、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)がモバイル電子デバイスに表示される。
【0013】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは凹状マイクロ流体デバイスであり、凹状マイクロ流体デバイスは、上面および下面を有するベースを含み、上面は、対応する診断チャンバと流体連通している少なくとも1つの凹状流体伝達チャネルを含み、ここで、診断チャンバは、凸状フレームによって実質的に取り囲まれた凹状区域を含み;診断紙は、診断チャンバの凹状区域内に嵌るようにサイズ設定される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは:診断紙の頂層およびフィルタ紙の底層と;頂層の頂面および底層の底面に設けられた積層とを含み、ここで、積層はともに接着しており、積層は、頂部アパーチャを介して堆積させられた流体サンプルの垂直方向の流れを可能にするように構成された位置合わせされたアパーチャを含む。
【0014】
様々な追加の態様については、以下の説明で述べる。これらの態様は、個々の構成および構成の組合せに関することができる。上記の概略的な説明および下記の詳細な説明はどちらも、例示および説明のみを目的とし、本明細書に開示する実施形態が基づく広範な発明の概念を制限するものではないことを理解されたい。
【0015】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の特定の実施形態を例示するものであり、本開示の範囲を限定するものではない。図面は原寸に比例しておらず、以下の詳細な説明における説明と併用されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】ベースが3つの診断チャンバを含む、本開示によるマイクロ流体デバイスのベースの一例の上面図である。
【
図2A】ベースが3つの診断チャンバを含み、各診断チャンバが実質的に中心に位置する貫通孔を有する、本開示によるマイクロ流体デバイスのベースの一例の上面図である。
【
図3A】ベースが3つの診断チャンバおよび延長部を含む、本開示によるマイクロ流体デバイスのベースの一例の上面図である。
【
図4A】ベースが3つの診断チャンバおよび延長部を含む、本開示によるマイクロ流体デバイスのベースの別の例の上面図である。
【
図5】各診断チャンバの各凹状区域に位置するベースおよび単層診断紙を含む、本開示によるマイクロ流体デバイスの一例の斜視図である。
【
図6】4つの側面パネル、2つの頂面パネル、および位置インジケータで印付けられた底面パネルを含む、本開示による観察ボックスの一例の斜視図である。
【
図7】上部頂面パネルが上部観察アパーチャを含む、本開示による観察ボックスの第1の(上部)頂面パネルの一例の斜視図である。
【
図8】下部頂面パネルが下部観察アパーチャを含む、本開示による観察ボックスの第2の(下部)頂面パネルの一例の斜視図である。
【
図9】本開示による観察ボックスの側面パネルの一例の斜視図である。
【
図10】本開示による観察ボックスの側面パネルの別の例の斜視図である。
【
図11】本開示による底面パネルの一例の斜視図である。
【
図12】照明装置を含む観察ボックスの分解図である。
【
図13】本開示による1つのマイクロ流体デバイスおよびコンピューティングデバイスを含むコンピューティング環境の一例を示す。
【
図14】本開示によるコンピューティングおよびネットワーキング環境の一例を示す図である。
【
図15】本開示によるマイクロ流体デバイスの画像を取り込み診断結果を生成するプロセスの一例を示す図である。
【
図16】クローバー形のパターンで配置された診断チャンバを有するマイクロ流体デバイスの例示的な画像を示す図である。
【
図17】画像からノイズがフィルタリングされている、
図16の画像に適用された例示的な画像拡大を示す図である。
【
図18】マイクロ流体デバイスの最も大きい輪郭境界を識別するように画像がさらに処理および正規化されている、
図17の画像に適用されたマイクロ流体デバイスの例示的な画像を示す図である。
【
図19】切り取られて別個の画像として保存する準備のできたマイクロ流体デバイスの診断チャンバの個別に検出された輪郭を含む、マイクロ流体デバイスの例示的な画像を示す図である。
【
図20】カラーサンプルの検出、抽出、および分析のための診断チャンバの識別された境界区域を含む、マイクロ流体デバイスの例示的な画像を示す図である。
【
図21-1】本明細書の実施例2に記載する、iOSアプリケーションワークフローの図である。
【
図22】本明細書の実施例2に記載する、画像処理ワークフローの流れ図である。
【
図23】本明細書の実施例2に記載する、色スペクトルアレイを計算するワークフローの流れ図である。
【
図24】本明細書の実施例3に記載する、膜フィルタの層が診断紙層の上に積み重ねられた、本開示によるマイクロ流体デバイスの別の例のアセンブリを示す概略図である。
【
図25】本明細書の実施例3に記載する、
図24のマイクロ流体デバイスの処理を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の考察では、当業者には明らかな開示する技術の構成を省略し、または簡潔にのみ説明する。様々な実施形態について図面を参照して詳細に説明し、いくつかの図面全体にわたって、同じ参照番号が同様の部分およびアセンブリを表すことに留意されたい。複数の同様の構成要素(たとえば、複数の診断チャンバ)を示す図面では、単一の代表的な構成要素を適当な参照番号によって識別することができる。様々な実施形態への言及は、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。加えて、本明細書に記載のいずれの例も、非限定的であり、添付の特許請求の範囲に対する多くの可能な実施形態のいくつかについて記載するだけであることが意図される。さらに、本明細書に記載する特定の構成は、様々な可能な組合せおよび配列の各々において、記載する他の構成と組み合わせて使用することができる。
【0018】
本明細書に別途具体的に定義しない限り、すべての用語は、本明細書から示唆される意味、ならびに当業者には理解される意味または辞書、専門書などに定義される意味あるいはその両方を含めて、可能な限り最も広い解釈が与えられるものとする。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形の「a」、「an」、および「the」は、別途指定しない限り、複数の参照物も含むこと、ならびに本明細書で使用されるとき、「備える、含む(comprises)」および/または「備える、含む(comprising)」という用語は、記載の構成、要素、または構成要素あるいはその組合せの存在を指定するが、1つまたは複数の他の構成、ステップ、動作、要素、構成要素、またはそれらの集合あるいはその組合せの存在または追加を除外しないことにも留意されたい。
【0019】
本開示は、流体サンプル、たとえば人間もしくは他の哺乳動物などの対象から取得された生物流体サンプル;または水サンプル、調製された溶液、非生物サンプルなどの別のタイプの流体サンプルなどの試験のためのマイクロ流体デバイスおよびその使用方法に関する。これらのデバイスは、たとえば住居、モバイルユニット、または外来患者の臨床環境、たとえば診療所において、検査に関する基礎構造を必要とすることなく、使用可能になるように設計される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの使用は、サンプルが単層診断紙へ流れるように流体サンプルをデバイス上へ堆積させることを伴い、サンプルは単層診断紙で診断成分と化学反応して色変化をもたらし、観察ボックスアセンブリおよび携帯電子デバイスで動作するアプリケーションを使用して、反応したデバイスの画像を撮ることによって、色変化を定量化および記録することができる。
【0020】
ベースを有するマイクロ流体デバイス
一実施形態では、マイクロ流体デバイス1は、ベース2上に位置する診断紙13を含む。
図5を参照されたい。いくつかの実施形態では、診断紙は、1枚の単層の親水性で多孔質の紙である。一実施形態では、診断紙は、フィルタ紙またはクロマトグラフィ紙である。いくつかの実施形態では、診断紙は、単一の材料から形成される。いくつかの実施形態では、診断紙は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリマーフィルム、布、およびガラス(たとえば、ホウケイ酸ガラスマイクロファイバ)から選択された1つまたはそれ以上の材料を含み、または除外する。好適な診断紙の他の非限定的な例には、Grade B、Grade B-85、Grade F、Grade C、Grade RG、Grade LL-72、Grade D-23、Grade D-23-TC-1、Grade Fibrous Cellulose Acetate、Grade WT-2500hpc、Grade CFP1、Grade CFP2、Grade CFP 1654、Grade BLOTT、およびGrade WT-CFP-PE1という等級(I.W.Tremontから入手可能)が含まれる。
【0021】
いくつかの実施形態では、診断紙のうちの1つまたはそれ以上は、接着剤によってベース上で定位置に保持される。概して、接着剤は、紙および紙に塗布されるあらゆる溶液、試薬、診断成分、サンプルなどに対して不活性である。好適な接着剤の非限定的な例には、接着剤、ワックス、エポキシ、樹脂、瞬間接着剤、ポリアクリルアミド、テープ、非吸収ポリマー、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエーテルブロックアミド(たとえば、Arkemaから市販のPEBAX(登録商標))、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(たとえば、ポリ(メチルメタクリレート))、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミド(たとえば、Nylon6,6)、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、(たとえば、DuPontから市販のHYTREL(登録商標))、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ化ポリマー、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ、フッ化エチレンプロピレン、およびこれらの組合せなど、化学的に不活性な物質が含まれる。いくつかの実施形態では、接着剤は、紙がベース内に配置される前に紙の裏面に塗布される。他の実施形態では、接着剤は、紙がベース内に配置される前に診断チャンバの凹状区域に塗布される。いくつかの実施形態では、接着剤は、診断紙を定位置でしっかりと保持するように、紙の裏面全体を覆い、または紙の裏面を実質的に覆う。
【0022】
図1Aおよび
図1Bに示すように、ベース2は、少なくとも1つの診断チャンバ3を含む。いくつかの実施形態では、ベース2は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の診断チャンバなど、複数の診断チャンバを含む。いくつかの実施形態では、ベース2は3つの診断チャンバ3を含み、
図1~
図5に示すように、これらの診断チャンバ3はクローバー形のパターンで配置することができる。各診断チャンバ3は、凹状区域4を実質的に取り囲むフレーム5を含む。各診断チャンバ3の各凹状区域4には、凹状区域4の長さ寸法および幅寸法内に嵌るようにサイズ設定された診断紙13が設けられる。いくつかの実施形態では、各凹状区域4は、1枚の単層の診断紙13を保持する。1つの診断チャンバ内の診断紙のタイプは、1つまたはそれ以上の他の診断チャンバ内の診断紙のタイプと同じであっても異なってもよい。
【0023】
1つまたはそれ以上の診断成分が、各診断紙13に与えられる。いくつかの実施形態では、診断成分は、紙に印刷される。他の実施形態では、診断成分は、他の方法で紙に堆積させられる。好適な診断成分の非限定的な例には:試薬、染料、プローブ、安定剤、触媒、抗凝血剤(たとえば、EDTAまたはヘパリン)、測色プローブ、蛍光プローブ、溶解剤、ナノ粒子、希釈剤、およびこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態では、各診断紙は、1つ、2つ、または3つの診断成分を含む。たとえば、標的分析物と選択的に結合する染料および試薬を含む混合物を、診断紙に堆積させることができる。別法として、標的分析物と選択的に結合する染料、安定剤、および試薬を含む混合物を、診断紙に堆積させることができる。関心標的分析物に基づいて、他の組合せも同様に企図される。診断成分が紙に与えられるのは、紙がベース2の診断チャンバ3の凹状区域4内に配置される前であっても後であってもよい。いくつかの実施形態では、単一の流体サンプル内の複数の異なる分析物に関して試験するために、マイクロ流体デバイス1内の各診断紙13に異なる診断成分またはその混合物が与えられる。本明細書における生物流体サンプルへの言及は、流体サンプルの非限定的な代表例として提供される。
【0024】
マイクロ流体デバイス1の診断紙13上へ流れる生物流体サンプル中に標的分析物が存在するとき、分析物は、診断紙13上に存在する診断成分と選択的に結合して反応する。いくつかの実施形態では、そのような反応は色変化を引き起こし、色変化の強度は、サンプル中に存在する分析物の濃度に対応する。デバイスが複数の診断チャンバを含むいくつかの実施形態では、異なる診断紙が異なる標的分析物と選択的に結合する異なる診断成分を含むことができるため、使用者は、1つの生物流体サンプルおよび1つのマイクロ流体デバイスだけを使用して、複数の疾病および/または患者状態に関して迅速に試験することができる。
【0025】
ベース2の各診断チャンバ3は、フレーム5によって実質的に取り囲まれた凹状区域4を含む。フレーム5の頂面は、凹状区域4に比べて高くなっている。フレーム5内の開口部は、凹状流体伝達チャネル10の終端9に直接隣接する。したがって、各流体伝達チャネル10は、対応する診断チャンバ3の凹状区域4と流体連通している。凹状区域4の深さは、ベース2の凹状流体伝達チャネル10および各診断チャンバ3の全体にわたって一定とすることができる。いくつかの実施形態では、各凹状区域4および/または各凹状流体伝達チャネル10のいずれかの部分またはすべての深さは、約1mm~約20mm、約1mm~約15mm、約1mm~約10mm、約1mm~約5mm、約2mm~約20mm、約2mm~約15mm、約2mm~約10mm、または約2mm~約5mmである。
【0026】
各流体伝達チャネル10は、その終端9とは反対の位置に始端8を有する。共通のチャネル入口7またはその近くでマイクロ流体デバイス1上に堆積させられた流体サンプルは、各流体伝達チャネル10の各始端8から各流体伝達チャネル10の各終端9の方へ水平に流れて、対応する各診断チャンバ3の診断紙13に到達する。いくつかの実施形態では、流体伝達チャネル10の始端8には、排水ウェル11が流体連結される。1つの診断チャンバ3および対応する流体伝達チャネル10を収容するマイクロ流体デバイス1において、各流体伝達チャネル10の各始端8は、共通のチャネル入口7で交差する。いくつかの実施形態では、排水ウェル11は、共通のチャネル入口7に流体連結される。概して、排水ウェル11は、溢れまたは流出を防止するために、デバイス上へ堆積させられた余分なサンプルを保持する働きをする。
【0027】
いくつかの実施形態では、診断チャンバ3のフレーム5は、固体材料から形成される。好適な固体材料の非限定的な例には、プラスチック、たとえばアクリルポリマー、アセタール樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(たとえば、TEFLON(登録商標))、ポリスチレン、ポリプロピレン、他のポリマー、熱可塑性樹脂、ガラス、セラミック、金属など、およびこれらの組合せが含まれる。概して、選択された固体材料は、デバイスの使用または収納中にそれらの固体材料に接触するあらゆる溶液/試薬に対して不活性である。ベース2は、選択された材料に部分的に依存する様々な手段から製作することができる。それだけに限定されるものではないが、機械加工、ダイカット、レーザカット、光造形、化学/レーザエッチング、一体成形、積層、およびこれらの組合せを含めて、選択された固体材料に適当な任意の知られている製作方法を用いることができる。ベースは、単体として一体形成することができる。別法として、複数の別個の部材(たとえば、別個の診断チャンバおよび流体伝達チャネル、一体形成された単体の診断チャンバおよび流体伝達チャネルの別個のユニットなど)を互いに取り付けて、集合的にベースを形成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、各流体伝達チャネル10は、対応する診断チャンバ3の凹状区域4の各々と同じ深さまで凹んでいる。いくつかの実施形態では、ベースの底面は平滑であり、単一の平面を横切って延び、したがってベースは、以下に論じる観察ボックス30の台または底面パネル21などのより大きい表面上に配置したときに平らになる。いくつかの実施形態では、各フレーム5の頂面は平滑であり、同じ平面内に位置する。
【0029】
いくつかの実施形態では、各流体伝達チャネル10は、実質的に同じ長さを有し、したがって生物流体サンプルは、サンプルが堆積させられた点から各診断紙13の方へ、ほぼ同じ時間量およびほぼ同じ体積で流れる。いくつかの実施形態では、流体伝達チャネル10は、異なる長さを有する。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の流体伝達チャネル10は、約2mm~約40mm、約2mm~約30mm、約2mm~約20mm、約2mm~約15mm、約2mm~約10mm、約2mm~約5mm、約4mm~約40mm、約4mm~約30mm、約4mm~約20mm、約4mm~約15mm、または約4mm~約10mmの長さを有することができる。流体伝達チャネル10の長さは、その終端9(診断チャンバ3の凹状区域4の縁部、すなわちフレーム5の開口部が位置する場所に隣接)から、2つ以上の診断チャンバ3を含む実施形態では共通のチャネル入口7の中心にあるその始端8までの間で測定される。
【0030】
各診断チャンバ3の凹状区域4の長さ寸法および幅寸法は、他の診断チャンバの1つまたはそれ以上の凹状区域と同じであっても異なってもよい。いくつかの実施形態では、診断チャンバ3の凹状区域4の長さまたは幅は、約5mm~約20mm、たとえば約7mm~約15mm、または約8mm~約11mmとすることができる。診断チャンバ3の凹状区域4の長さおよび幅は、同じであっても異なってもよい。凹状区域4およびフレーム5の両方を含む診断チャンバ3の全体的な寸法は、必然的に凹状区域4の全体的な寸法より大きい。いくつかの実施形態では、フレーム5は、約0.5mm~約8mm、約1mm~約6mm、または約2mm~約4mmの一貫した幅を有する。
【0031】
複数の診断チャンバを含む実施形態では、診断チャンバは、様々な構成で、たとえばクローバー形、「X」字形、「Y」字形などで配置することができる。たとえば
図1~
図5に示すように、クローバー形の構成では、第1の診断チャンバ3および流体伝達チャネル10ならびに第2の診断チャンバ3および流体伝達チャネル10が反対の方向に延び、第3の診断チャンバ3および流体伝達チャネル10がそこから実質的に直交方向に延び、流体伝達チャネルの始端は、共通のチャネル入口点で流体連通している。各流体伝達チャネル10は、生物流体サンプルの水平の流れを、対応する診断チャンバ3内に位置する診断紙13へ誘導するように構成される。概して、流体が診断紙13に到達した後、流体は毛管作用によって推進される。
【0032】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス1の底面は、凹状区域もしくは診断チャンバのない平坦な面とすることができ、または別法として、前面と同じように少なくとも1つの診断チャンバおよび流体伝達チャネルもしくは整合する数の診断チャンバおよび流体伝達チャネルを有することができ、またはいくつかの診断チャンバおよびいくつかの平坦な区域を混合したものを有することができる。たとえば、共通のチャネル入口7と流体連通している3つの凹状診断チャンバおよび3つの流体伝達チャネルを含む頂面を有するクローバー形の形状のマイクロ流体デバイス1は、3つの凹状診断チャンバおよび流体伝達チャネルを含む底面を有して、マイクロ流体デバイス1の診断チャンバの数を実質的に倍にすることができる。
【0033】
図2Aおよび
図2Bに示すように、ベース2は、少なくとも1つの診断チャンバ3の凹状区域4を完全に貫通する貫通孔14を含むことができる。貫通孔14は、様々な形状、たとえば方形、円形、多角形などのいずれかを有することができる。貫通孔14は概して小さく、最も大きい寸法(長さ、直径など)が、約0.5mm~約10mm、などの約1mm~約3mm、約1mm~約5mm、約1mm~約7mm、約1mm~約9mm、約2mm~約5mm、または約2mm~約7mm、または約2mm~約9mmである。いくつかの実施形態では、生物流体サンプルは、貫通孔14を介して診断チャンバ3の凹状区域4内の診断紙13に付加することができ、たとえばピペットを介してベース2の下面にある貫通孔14を通って診断紙13の下面へ与えることができる。そのような実施形態では、流体サンプルは、診断紙13に到達するのに流体伝達チャネル10を流れる必要はないはずである。この構成は、少量の流体サンプルしか利用可能ではなく、そのサンプルを流体伝達チャネル10または共通のチャネル入口7へ与えても十分な量のサンプルを診断チャンバ3に到達させることができないときに有用である。別法として、流体サンプルを診断紙13の頂面へ直接与えることは、少量の流体サンプルが利用可能であるときに有用である。
【0034】
図3A、
図3B、
図4A、および
図4Bに示すように、ベース2は、流体伝達チャネル10および診断チャンバ3と同様に外方へ延びることができる延長部12を含むことができる。延長部12は、診断チャンバ3と同じまたは類似のサイズとすることができる。たとえば、延長部12の長さおよび幅は、診断チャンバ3の対応する長さおよび幅より小さくすることができ、それと同じにすることができ、またはそれより大きくすることができる。いくつかの実施形態では、延長部12は、約5mm~約40mm、約5mm~約30mm、約5mm~約20mm、約5mm~約10mm、約10mm~約40mm、約10mm~約30mm、または約10mm~約20mmの長さおよび/または幅を有する。いくつかの実施形態では、
図3Aおよび
図3Bに示すように、たとえば延長部12の長さはその幅より大きい。
【0035】
延長部12は、識別インジケータを印刷、エッチング、接着、または他の方法で表示するのに好適である平滑で平坦な上(頂)面を有するように構成することができる。様々な実施形態では、識別インジケータは、光学パターンを含むことができる。光学パターンとは、光センサによって読み取ることができるシーケンスまたは他のパターンで提示されるデータの光学的表現を指す。光学パターンの例には、限定ではないが、バーコード、クイックレスポンス(QR)コード、データコードなどが含まれる。光センサ(たとえば、電子デバイスのカメラ)は、識別インジケータを走査するとき、データの表現を検出することができる。
【0036】
識別インジケータは、走査されると、マイクロ流体デバイス1、流体サンプル、および流体サンプルの出所に関係する識別情報(たとえば、生物流体サンプルが取得された患者に関する患者データ)を提供する。識別情報の非限定的な例には:対象の名前、対象の誕生日、標的分析物、アッセイのタイプ、アッセイの日付、流体サンプルのタイプなどが含まれる。延長部12はまた、1つまたはそれ以上の診断チャンバに対する釣合い重りを提供してマイクロ流体デバイス1を安定させる働きをすることができる。延長部12はまた、診断チャンバまたは流体伝達チャネルに触れることなくマイクロ流体デバイス1を保持するための好都合な手段を使用者に提供することができ、したがって診断チャンバ、サンプル、またはアッセイの潜在的な汚染を回避することができる。マイクロ流体デバイスが延長部12を含まないいくつかの実施形態では、使用者は、マイクロ流体デバイス1をその側面6に沿って保持することができる。
【0037】
ベースのないマイクロ流体デバイス
別の実施形態では、マイクロ流体デバイス101は、診断紙113およびフィルタ紙103を含み、このデバイスは、ベース(上述したベース2など)を含まない。
図24に示すように、いくつかのそのような実施形態では、マイクロ流体デバイスは、2つの層:すなわち頂部フィルタ層および底部診断層のみを含む。頂部フィルタ層は、診断反応に干渉しうる成分を濾過することが可能な単層のフィルタ紙、たとえば血漿分離膜(たとえば、D23、TC-1、MF1、F5、これらの組合せなど)とすることができる。D23は、I.W.Tremontから入手可能な全血分離媒体であり、厚さ0.5mmのホウケイ酸ガラス媒体から作られる。D23-TC-1は、I.W.Tremont入手可能な全血分離媒体の薄いキャリパーであり、厚さ0.375mmのホウケイ酸ガラス媒体から作られる。MF1は、典型的に全血体積に使用されるガラス繊維フィルタであり、Cytiva Life Sciencesから入手可能である。F5は、Cytiva Life Sciencesから入手可能な高速流の単層マトリックス膜である。底部診断層は、上記で論じた診断紙材料とすることができる。たとえば、流体サンプルが全血であるとき、フィルタ層は、サンプルから赤血球を除去し、血清などの他の標的分析物を含有する血液成分が、頂部フィルタ層を通って底部診断層へ垂直に進んで診断成分と反応することを可能にする。
【0038】
頂層および底層は、
図24に示すように互いに位置合わせされて積み重ねられる。いくつかの実施形態では、頂層および底層は、同じ寸法、たとえば同じ直径、長さ、幅、などを有する。次いで、頂層の上に積層シート105(または積層)を取り付けることによって、積み重ねられた層を積層することができる。積層シートは、入口アパーチャ114(
図24に円形の切抜きまたは孔として示す)を含み、入口アパーチャ114を通って流体サンプルが堆積させられる。場合により、底層の下に第2の積層シート105を設けることによって、2つの紙層を完全に積層することができる。第2の積層シート105は、出口アパーチャ(図示せず)を有し、2つの積層シートおよびそれぞれのアパーチャは互いに位置合わせされる。いくつかの実施形態では、入口および出口アパーチャは、
図24に示すように中心に位置する。積層シートの寸法は、
図24に示すように、積み重ねられた層の寸法より大きくすることができる。このようにして、積層シートの外側部分は互いに接着する。入口および出口アパーチャは、任意の所望の形状(円形、方形、楕円形など)、好ましくは同じ形状を有することができる。いくつかの実施形態では、入口/出口アパーチャの最大直径は、約3mm~約10mm、約3mm~約7mm、または約4mm~約6mmである。有利には、積層により紙層に圧力が加えられて、これらの層を通る流体サンプルの流量が増大し、したがってより迅速な診断アッセイが実現される。
【0039】
図24は、サンプル堆積のために単一の頂部アパーチャを有する1組の積み重ねられた層を有するデバイスを示すが、本開示は、積層内に複数のアパーチャを有するデバイスを企図しており、これにより同じまたは異なる流体サンプルの複数の堆積物をデバイス上へ堆積させることが可能になるはずであり、したがって単一のデバイスで複数のアッセイを同時に行うことができる。たとえば、そのようなデバイスは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の積み重ねられた積層のアレイを含むことができ、各層は、流体サンプルを堆積させることができるアパーチャを有する。1つのそのような実施形態では、
図24に示す構成を有する複数のデバイスを、2×2(すなわち、4つのデバイス)、3×2(すなわち、6つのデバイス)、4×2(すなわち、8つのデバイス)、または任意の他の同様の配置で、互いに隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、各マイクロ流体デバイスは、約1.5cm~約5cm、たとえば約2cm~約3cmの幅および/または長さを有する。それに応じて、例示のみを目的として、4×2の場合により積層されたマイクロ流体デバイスのアレイは、約3cm~約10cm、たとえば約4cm~約6cmの全体的な幅;および約6cm~約20cm、たとえば約8cm~約12cmの全体的な長さを有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、頂部フィルタ層および底部診断紙層は、間に接着剤を使わずに互いに重ねて配置することによって、ともに積み重ねられる。ベースを有するマイクロ流体デバイスに関連して上記で論じた診断紙の構成(たとえば、単層、材料のタイプなど)が、ベースのないマイクロ流体デバイスに関連して本章に論じる診断紙にも等しく当てはまる。ベースを有するマイクロ流体デバイスに関連して上記で論じた1つまたはそれ以上の診断成分の構成(たとえば、診断紙への付加方法、成分のタイプおよび組合せ、成分を付加するタイミングなど)、および標的分析物との反応が、ベースのないマイクロ流体デバイスに関連して本章で論じた診断紙にも等しく当てはまる。
【0041】
観察ボックス
図6に示すように、本開示はまた、アッセイの完了後のマイクロ流体デバイス1の撮像を強化するように構成された観察ボックス30に関する。観察ボックス30は、いかなる光も通さない任意の固体材料から作ることができる。少なくとも観察ボックス30の内部が1つまたはそれ以上の固体材料から全体的に作られたいくつかの実施形態では、観察ボックス30に他のタイプの材料を追加することができるが、そのような追加される材料が観察ボックス30自体の遮光機能を劣化させないことを条件とする。好適な固体材料の非限定的な例には、厚紙、アクリル、ガラス(たとえば、彩色ガラス)、セラミック、金属、およびこれらの組合せが含まれる。観察ボックス30は、少なくとも底面パネル、頂面パネル、および4つの側面パネルを含む複数のパネルから構成される。これらのパネルのうちのいずれか2つまたはそれ以上(たとえば、2つ、3つ、4つ、または5つのパネル)は、単体として形成することができる。別法として、これらのパネルは、観察ボックス30を形成するようにともに連結された別個の部分とすることができる。
【0042】
図6は、底面パネル21、2つの長い側面パネル20、2つの短い側面パネル22、下部頂面パネル35、上部頂面パネル37を有する組み立てられた観察ボックス30を示す。
図6の観察ボックス30は、観察ボックス30内の構成を明らかにするために例示の目的で、側面が透けて見えるように示されている。上述したように、これらの側面パネルは、固体の不透明な材料から作ることができる。側面パネルは、ボックスアセンブリの側壁をともに形成する。各側面パネルは、長さ、高さ、および幅(厚さ)を有する。いくつかの実施形態では、側面パネルのすべてがほぼ同じ高さを有する。いくつかの実施形態では、側面パネルのすべてがほぼ同じ厚さを有する。いくつかの実施形態では、2つの両側の側面パネルは同じ長さを有し、他の2つの両側の側面パネルの長さより大きい。他の実施形態では、側面パネルのすべてはほぼ同じ長さを有する。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の側面パネルの長さは、約70mm~約400mm、たとえば約150mm~約300mmである。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の側面パネルの高さは、約50mm~約150mm、たとえば約80mm~約120mmである。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の側面パネルの厚さは、約1mm~約6mm、たとえば約2mm~約4mmである。
【0043】
各頂面パネル35、37および底面パネル21は、長さ、高さ(厚さ)、および幅を有する。底面パネル21の長さおよび幅は、頂面パネル35、37のうちの少なくとも1つの長さおよび幅と同じにすることができる。いくつかの実施形態では、頂面および底面パネルはすべて、ほぼ同じ厚さ、たとえば約1mm~約6mm、たとえば約2mm~約4mmを有する。いくつかの実施形態では、頂面および底面パネルはすべて、ほぼ同じ長さ、たとえば約50mm~約200mmまたは約50mm~約100mm~約250mm~約300mm~約350mm~約400mmを有する。いくつかの実施形態では、頂面および底面パネルはすべて、ほぼ同じ幅、たとえば約150mm~約200mm~約250mm~約300mmを有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、側面パネル20、22は、底面パネル21にしっかりと連結されるように構成される。たとえば、
図6および
図9~
図11に示すように、短い側面パネル22および長い側面パネル20は、側面パネルの下縁部から突出する一連のフィン28を介して底面パネル21に取り付けられ、これらのフィンは、底面パネル21の外周部に沿って、対応する一連のスリット(開口部)40内に嵌る。別法として、側面パネル20、22は、各側面パネル20、22の下縁部に沿って、一連のスリット40を介して底面パネル21にしっかりと連結されるように構成することができ、底面パネル21の外周部から突出する対応する一連のフィン28は、スリット40内に嵌るように構成される。本開示で使用するのに好適な観察ボックス30の他の構成も企図される。概して、観察ボックス30は、観察ボックス30内に位置する反応させたマイクロ流体デバイス1から撮られる画像の明瞭さを妨げうる外部源からの光(たとえば、周囲光)を遮るように設計される。
【0045】
いくつかの実施形態では、底面パネル21は、観察ボックス30内で最適の撮像のためにマイクロ流体デバイス1を配置するべき場所を識別するための位置インジケータ26を含む。
図6を参照されたい。概して、位置インジケータは、マイクロ流体デバイス1に対応するシルエット、線、矩形、矢印などの可視マーキングとすることができる。いくつかの実施形態では、位置インジケータ26は凹部を含み、この凹部内にマイクロ流体デバイス1が嵌ることができ、場合によりぴったりと嵌ることができる。概して、位置インジケータ26は、底面パネル21の上(内)面の中心に位置する。いくつかの実施形態では、位置インジケータ26は、底面パネル21に位置するパネル上に設けられており、観察ボックス30内に嵌る。開示するマイクロ流体デバイスとともに観察ボックス30を使用するために、使用者は、反応させたマイクロ流体デバイス1(すなわち、所望のアッセイの完了後)を位置インジケータ26上に配置し、次いで観察ボックス30の1つまたはそれ以上の頂面パネルを閉じることができ、その結果、すべてのパネルが定位置にくる。
【0046】
各頂面パネルは観察アパーチャを含み、使用者はこの観察アパーチャを通して、底面パネル21の位置インジケータ26上に位置するマイクロ流体デバイス1を見ることができる。
図6に示すように、観察ボックス30は、2つの頂面パネルを含み:上部頂面パネル37が下部頂面パネル35の上に配置されており、上部頂面パネル37は下部頂面パネル35より小さい。上部頂面パネル37は上部観察アパーチャ38を含む。下部頂面パネル35は下部観察アパーチャ36を含む。上部観察アパーチャ38は下部観察アパーチャ36より大きい。概して、2つ以上の頂面パネルを有する実施形態では、少なくとも2つの頂面パネルが構成され、一方は他方より大きい。上部頂面パネルは、下部頂面パネルの上に位置することができる。上部頂面パネルを下部頂面パネルより小さくすることができ、または逆も同様である。一実施形態では、下部頂面パネルは、側面パネルの4つすべての頂縁部に接触して、観察ボックス30の構造上の頂部として働くことができる。下部観察アパーチャを有する下部頂面パネルと、上部観察アパーチャを有する上部頂面パネルとを含む一実施形態では、アパーチャは異なるサイズであり、すなわち上部観察アパーチャを下部観察アパーチャより大きくすることができ、または上部観察アパーチャを下部観察アパーチャより小さくすることができる。2つ以上の頂面パネルを有する実施形態では、観察アパーチャは、使用者が観察アパーチャを通して見ることができるように位置合わせされなければならず、各パネルの観察アパーチャは、観察アパーチャを通して見るときの視野を狭めるまたは集束させるような異なるサイズとすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、観察アパーチャは、頂面パネル内で中心に位置する。各観察アパーチャは、その頂面パネルを完全に貫通する。観察アパーチャは、方形、円形、多角形などの様々な形状のいずれかを有することができる。いくつかの実施形態では、観察アパーチャの最も大きい寸法(長さ、直径など)は、約0.5mm~約30mm、約1mm~約5mm、約1mm~約10mm、約1mm~約15mm、約1mm~約20mm、約1mm~約25mm、約3mm~約10mm、約3mm~約15mm、約3mm~約20mm、約3mm~約25mm、約5mm~約40mm、約5mm~約10mm、約5mm~約20mm、約5mm~約30mm、約10mm~約20mm、約10mm~約30mm、または約10mm~約40mmである。いくつかの実施形態では、観察アパーチャのうちの1つまたはそれ以上の上に、透明の膜または層を設けることができる。頂面パネルの観察アパーチャ36、38は、頂面パネル自体の中心に位置する必要はなく、いくつかの実施形態では、互いに位置合わせされかつ底面パネル21の位置インジケータ26と位置合わせされる限り、中心からずれて位置することができる。
【0048】
図12は、観察ボックス30の分解図を示す。上から下に、上部頂面パネル37および下部頂面パネル35が示されている。いくつかの実施形態では、最も内側の頂面パネル(
図12に下部頂面パネル35として示す)の内面に、1つまたはそれ以上の内部光源23が備えられている。示されている実施形態では、壁は長い側面パネル20および短い側面パネル22から形成される。
図12に別個のパネルとして示す位置インジケータ26が、底面パネル21の上に位置する。好適な光源の非限定的な例には、発光ダイオード(LED)、小型蛍光灯(CFL)、ハロゲン灯、および他の類似の光源が含まれる。これらのライトは、電池によって内部で給電することができ、電源コードによって外部から給電することができ、または任意選択の太陽電池パネルもしくは他の類似の電源オプションによって給電することができる。1つまたはそれ以上の内部光源は、手持ち式デバイスが観察アパーチャの上に位置するとき、観察ボックス30の内側でマイクロ流体デバイス1を照明する唯一の光源とすることができる。したがって、1つまたはそれ以上の内部光源は、一貫した照明、したがって一貫した撮像条件を提供することができる。変化する照明または周囲の照明に露出されたとき、反応させたマイクロ流体デバイスの色変化の評価を視覚的またはさらには電子的に見分けることは困難であるため、これは非常に有利である。それに応じて、観察ボックス30は、アッセイの完了後にマイクロ流体デバイスを観察および撮像するための一種の「携帯型暗室」を提供することができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の内部光源は、少なくとも最も内側の頂面パネル(たとえば、下部頂面パネル35)の下面(内面)に沿って、そのような内面の周辺部に沿って1つまたはそれ以上の場所などに設けられる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の内部光源23は、所望の量の照明を提供するために、頂面、底面、および側面パネルのうちの1つまたはそれ以上の内面に設けることができる。いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の内部光源23は単一のライト(たとえば、リング形)から構成され、または1つまたはそれ以上の内部光源23は複数のライトである。マイクロ流体デバイスが観察ボックス30内の位置インジケータ26上で定位置にあるとき、観察ボックス30は閉じられ、内部光源が照明される。次いで、試験される流体サンプル中に存在する標的分析物の量を定量化するために、モバイル電子デバイスまたは撮像デバイス、たとえばカメラ付きの手持ち式モバイルデバイスを最も上の観察アパーチャの上に配置して、後の処理のためのマイクロ流体デバイス1の画像を撮ることができる。
【0049】
本明細書では観察ボックスの特有の構成が提供されるが、例示的な実施形態はそのように限定されるものではない。たとえば、底面、頂面、および4つの側面を有する矩形または方形の立方体が開示される。しかし本明細書では、円筒形、ドーム形などの他の形状も企図される。観察ボックスの例示的な実施形態は、密閉空間を画成するために、1つまたはそれ以上の頂面、1つまたはそれ以上の底面、および1つまたはそれ以上の側面を含む。観察ボックスの様々な表面は、異なる形状とすることができる。本明細書では、様々な側壁が企図される。たとえば、4つの別個の平面をともに使用して連結することができる。単一の一体化された側面を屈曲させて、3つの面または4つの面または他の複数の面を有する筐体を形成することができる。単一の一体化された側面を湾曲させて、円筒形、楕円形、卵形、または曲線状の筐体を形成することもできる。例示的な実施形態では、頂面は、モバイル電子デバイスを支持および/または配置するために、平面部分を含むことができる。例示的な実施形態では、底面は、マイクロ流体デバイスを支持および/または配置するための平面部分を含むことができる。頂面、底面、および1つまたはそれ以上の側面の例示的な実施形態は、相互に連結するように構成された複数の平面の構成部分を含むことができる。相互連結は、嵌合するスリット/突出部、表面およびフランジ、他の嵌合する表面、またはこれらの組合せによって形成することができる。観察ボックスは、マイクロ流体デバイスまたはその一部分の画像を撮るためのアパーチャを含むことができる。
【0050】
コンピューティングシステムおよびコンピューティングアーキテクチャ
開示する技術はまた、開示するマイクロ流体デバイスおよび観察ボックスアセンブリとともに使用するためのコンピューティングシステムおよびコンピューティングアーキテクチャに関する。
図13は、例示的なコンピューティング環境500を示しており、例示的なコンピューティング環境500は、マイクロ流体デバイス502、コンピューティングデバイス508、およびモバイル電子デバイス503(MED503として示す)を含み、これらはすべて、流体サンプルに関する様々な診断アッセイの実行を有効にするまたは他の方法で自動化するように、コンピューティング環境500で配備することができる。モバイル電子デバイス503およびコンピューティングデバイス508は、通信ネットワーク510を介して機能的かつ通信可能に接続することができ、通信ネットワーク510は、IPベースの電気通信ネットワーク、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、無線ローカルネットワーク、コンテンツ配信ネットワーク、または任意の他のタイプの通信ネットワーク、ならびにネットワークの組合せとすることができる。別法として、マイクロ流体デバイス502、モバイル電子デバイス503、およびコンピューティングデバイス508は、そのようなデバイスが互いに直接相互作用するローカル配置に従って、たとえば有効な通信、機能、およびデータ伝達を有効にするハードラインもしくはワイアラインまたは他の物理的かつ/もしくは光学的機構を介して、機能的かつ通信可能に接続することができる。
【0051】
本明細書では、「コンピューティングデバイス」は、プロセッサおよびメモリを含むデバイスを指す。各デバイスは、独自のプロセッサおよび/もしくはメモリを有することができ、または仮想マシンもしくはコンテナもしくはネットワーク配置と同様に、他のデバイスとプロセッサおよび/もしくはメモリを共用することができる。メモリは、プログラミング命令を含みまたは受け、プログラミング命令は、プロセッサによって実行されると、電子デバイスに、プログラミング命令に従って1つまたはそれ以上の動作を実行させる。
【0052】
本明細書では、「メモリ」、「メモリデバイス」、「データストア」、「データ記憶設備」などの用語は各々、コンピュータ可読データ、プログラミング命令、または両方が記憶された非一時的デバイスを指す。別途具体的に記載される場合を除いて、「メモリ」、「メモリデバイス」、「データストア」、「データ記憶設備」などの用語は、単一のデバイスの実施形態、複数のメモリデバイスが1組のデータまたは命令をともにまたは集合的に記憶する実施形態、ならびにそのようなデバイス内の個々のセクタを含むことが意図される。
【0053】
本明細書では、「プロセッサ」および「処理デバイス」という用語は各々、プログラミング命令を実行するように構成された電子デバイスのハードウェア構成要素を指す。別途具体的に記載される場合を除いて、「プロセッサ」または「処理デバイス」という単数の用語は、単一の処理デバイスの実施形態と、複数の処理デバイスがプロセスをともにまたは集合的に実行する実施形態との両方を含むことが意図される。
【0054】
本明細書に記載するコンピューティングデバイスは、少なくとも非従来的な構成部材の使用、ならびに/または非従来的なアルゴリズム、プロセス、および方法の使用が、コンピューティングデバイスによって記憶および/または実行されるプログラミング命令で少なくとも部分的に実施されることから、非従来的なシステムである。たとえば、例示的な実施形態は、本明細書に記載する独特のマイクロ流体デバイスの構成およびそれらを伴うプロセス、分析のためにパネルもしくはパネルの関心区域を検出および抽出するための物体検出のための独特の観察ボックス、独特のプロセスおよびアルゴリズムの構成およびそれらを伴うプロセス、診断結果を判定するための色処理の独特の構成およびプロセス、またはこれらの組合せを使用することができる。本明細書に記載するシステムおよび方法はまた、従来のシステムおよび方法に比べて、さらに検査室環境内で使用される診断デバイスに比べて独特のPOC診断を含む。例示的な実施形態は、流体サンプルを長い距離にわたって輸送することなく、短縮された応答時間内にポイントオブケアで患者を効果的に診断および評価するために使用することができ、より効率的かつ効果的な医療を有効にすることができる。本明細書に記載する例示的な実施形態は、十分な精度を提供することが独特でありかつ/または経済的に実行可能である紙ベースの診断を含む。本明細書に記載する例示的な実施形態は、検査に関する基礎構造を必要とすることなく、感度が高く、丈夫であり、比較的低いコストで容易に製造され、容易に使用でき、迅速に評価することができ、正確で定量化可能な結果を提供する、改善された紙製POCデバイスのシステムおよび方法を含む。本明細書に記載する例示的な実施形態は、検出および診断前のシステムへのマイクロ流体形状の事前プログラムまたはエントリなしに、本明細書に記載する実施形態によるいずれかのフレームまたはマイクロ流体デバイス形状とともに診断システムを使用することを可能にする、独特かつ有益な画像処理技法およびアルゴリズムを含む。本明細書には例示的な利益が提供されるが、本開示の完全な範囲から逸脱することなく、提供される利益のいずれの組合せでも実現することができることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明を実施するために、どの単一の利益、構成要素、または属性も必要ない。
【0055】
示されているコンピューティング環境500において、マイクロ流体デバイス502は、
図1A、
図2A、
図3A、または
図4Aに示すように、マイクロ流体デバイスとすることができる。コンピューティングデバイス508は、プログラミング命令を処理および/または解釈することが可能な処理デバイス、プロセッサ、複数のプロセッサ、モバイルデバイス、サーバコンピューティングデバイス、および/または任意の他のコンピューティングデバイスとすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス508は、画像取込みユニット514(ICU514として示す)を含む。本明細書では、「画像取込みユニット」は、対象を光学的に観察し、その物体の解釈を電子信号に変換することが可能な任意のデバイスを指す。ICUの1つのそのような例はカメラである。ICUは、マイクロ流体デバイス502によって出力されかつ/またはマイクロ流体デバイス502で出力されるデータの1つまたはそれ以上の画像を取り込む、または他の方法で取得することができる。いくつかの実施形態では、ICU514は、マイクロ流体デバイス502のうちの1つまたはそれ以上の全体の画像を取り込むことができる。本明細書に記載するように、画像取込みユニット514は、追加または別法として、モバイル電子デバイスMED503に組み込むことができる。したがってコンピューティングデバイス508は、コンピューティングデバイス508の画像取込みユニットおよび/またはMED503から画像データを取り出すための画像受信ユニットを含むことができる。したがってコンピューティングデバイスは、必ずしもICU514を含まなくてもよい。
【0057】
コンピューティングデバイス508はまた、マイクロ流体デバイス502で取り込まれたデータ(たとえば、画像)を処理するために様々な機械学習モデルを実行する物体検出ユニット(ODU)516(ODU516として示す)を含む。
【0058】
本明細書では、「機械学習モデル」または「モデル」は各々、明示的にプログラムされなくても、1組の入力機能に基づいて、現実世界プロセス(たとえば、処理された流体サンプルの診断結果を提供するためなど)の出力を予測することができる1組のアルゴリズムルーチンおよびパラメータを指す。モデル化されている現実世界プロセスの実際の結果を使用することができる訓練プロセスにおいて、ソフトウェアルーチンの構造(たとえば、サブルーチンの数およびそれらの関係)および/またはパラメータの値を判定することができる。そのようなシステムまたはモデルは、必ずコンピュータ技術に根差しており、実際には、コンピューティング技術がなければ実装することができず、または存在することすらできないことが理解される。機械学習システムは、様々なタイプの統計分析を利用するが、機械学習システムは、明示的なプログラミングなしで学習することができ、コンピュータ技術に根差していることから、統計分析とは区別される。
【0059】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス508は、取り込まれた画像を記憶して取り出すためのデータストア518を含むことができる。
図13のデータストア518は、コンピューティングデバイス508内に位置するものとして示されているが、データストア518は、コンピューティングデバイス508の外部に、たとえば遠隔の場所に位置することができ、通信ネットワーク510を介してコンピューティングデバイス508と通信することができることが企図される。加えて、物体検出ユニット516も、コンピューティングデバイス508内に位置するものとして示されているが、物体検出ユニット516は、アルゴリズムを画成する実行可能な命令の形で(たとえば、ソフトウェアプラグインとして)、マイクロ流体デバイス502内に直接位置することができることが企図される。
【0060】
図13を再び概略的に参照すると、使用者は、モバイル電子デバイス503と相互作用して、流体サンプルに関して様々な診断アッセイを実行することができるプロセスを開始することができる。より具体的には、以下でさらに詳細に説明するように、モバイル電子デバイス503を使用して、特定の患者に対応する情報、患者の流体サンプルに対応する情報を取り込み、様々な診断アッセイプロセスを自動で開始することができる。モバイル電子デバイス503は、たとえば、通信ネットワーク510(たとえば、インターネット)を介して通信するためのネットワーク対応デバイスおよび/またはソフトウェアを含むプロセス、ソフトウェア、アプリケーションなどを実装および/または実行することが可能なラップトップパーソナルコンピュータ、モバイルデバイス、モバイル電話、タブレットデバイス、および/または他の遠隔の処理デバイスなどの携帯型の電子デバイスとすることができる。加えて、モバイル電子デバイス503は、ソフトウェアまたは他の機械可読命令を処理する1つまたはそれ以上のプロセッサを含むことができ、ソフトウェアまたは他の機械可読命令およびデータを記憶するためのメモリを含むことができる。モバイル電子デバイス503は、画像および/または画像データ、たとえばマイクロ流体デバイス502の画像を取り込むために使用することができるマイクロフォンおよび/またはカメラ(または他の光センサ)をさらに含むことができる。
【0061】
図15は、診断アッセイデータを処理して診断結果を自動で生成するための1つの例示的なプロセス600の流れ図を示す。プロセス600は、本明細書、特に
図1A~
図4Bに記載するマイクロ流体デバイスに関連して実行される動作について説明する。1つの特有の例では、プロセス600は、コンピューティング環境500の様々な構成要素の動作を誘導する1つまたはそれ以上のソフトウェアアプリケーションを実装するために使用することができるアルゴリズムを表すことができる。
【0062】
示されているように、プロセス600は602から始まり、診断試験のための生物サンプルを提供した特定の患者、または診断試験のためにマイクロ流体デバイスに生物サンプルを提供することに関心のある患者に対応する患者情報を取得する。1つの特有の例では、
図3Aを参照すると、モバイル電子デバイス503が、マイクロ流体デバイス上で識別インジケータの画像を走査または他の方法で取り込むことができる。上記で説明したように、識別インジケータは、バーコード、QRコード、または他の一意の識別子とすることができる。そのように走査または取り込んだとき、モバイル電子デバイス503は、患者情報などの特定の情報を取得することができる。他の実施形態では、識別インジケータを走査することで、モバイル電子デバイス503は、使用者に特定の情報を求めることができる。この情報は、限定ではないが、患者情報を含むことができる。様々な実施形態では、モバイル電子デバイス503が取得するおよび/または使用者に求める情報は、識別インジケータに依存することができる。たとえば、識別インジケータは、特定の診断試験に関連付けられたマイクロ流体デバイスを一意に識別することができ、その診断試験に関係する特定の情報を使用者に求めることができる。モバイル電子デバイス503は、患者情報をコンピューティングデバイス508へ伝送することができる。
【0063】
604で、特定の患者の生物サンプルを収容するマイクロ流体デバイスに対応する画像が取得される。言い換えれば、マイクロ流体デバイス502で取得される流体サンプルの画像は、モバイル電子デバイス503によって取り込むことができる。例示的な実施形態では、本明細書に記載する実施形態によれば、マイクロ流体デバイスに流体サンプルを堆積させることができる。たとえば、流体サンプルは、診断紙13に直接付加することができ、ベース2の凹状区域4の貫通孔14に入れることができ、または始端8で、もしくは伝達チャネル10に沿って、もしくは伝達チャネルのうちの1つもしくはそれ以上を横断する前に共通のチャネル入口7で加えることができる。流体サンプルが診断紙に接触した後、反応が発生し、試験を完了することができる。例示的な実施形態では、マイクロ流体デバイスは、観察ボックス30内に配置または密閉することができる。マイクロ流体デバイスは、位置インジケータ26に関連して位置することができる。観察ボックスは、マイクロ流体デバイスに入る周囲光を低減または除去するように密閉することができる。光源を使用して、画像を取り込むための光をマイクロ流体デバイス内に生成することができる。マイクロ流体デバイスの画像は、MED503のカメラ118またはコンピューティングデバイス508のICU514などの1つまたはそれ以上の画像取込みユニットを介して取得することができる。1つの特有の例では、診断チャンバの画像取り込むことができる。別の例では、マイクロ流体デバイスの完全な画像を取り込むことができる。画像は、モバイル電子デバイス503によって取り込み、コンピューティングデバイス508へ伝送することができる。別法として、画像は、コンピューティングデバイス508で、たとえばICU514で直接取り込むことができる。
【0064】
606で、取り込まれた画像を処理して、処理された流体サンプルの診断結果を表示または他の方法で提供する。いくつかの実施形態では、処理工程は、コンピューティングデバイス508などのバックエンドサーバで実行することができる。他の実施形態では、処理はクライアント側で、たとえばモバイル電子デバイス503で行うことができる。最初に、取り込まれた画像を分析して、パネルを検出することができる。システムが複数の分析物を判定しようとする事例では、機械学習モデルを利用することができる。
図13を参照すると、物体検出ユニット(ODU)516は、取り込まれた画像のうちの1つまたはそれ以上に1つまたはそれ以上の機械学習モデルを適用して、所与の画像上で、特定の物体が存在する場所、たとえばパネルを自動で判定することができる。機械学習モデルはまた、識別された物体を分類することができ、たとえば物体をパネルとして分類することができる。
【0065】
本明細書に記載するように、モバイル電子デバイス503およびコンピューティングデバイス508は、単体のデバイスとすることができ、または通信している複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。したがって、ODU516および/またはデータベース518は、モバイル電子デバイス内に位置することができる。別法として、MED503は、コンピューティングデバイス508から離すこともできる。コンピューティングデバイスは、データベース518および/またはODU516を含むことができる。コンピューティングデバイスは、1つまたはそれ以上のコンピューティングデバイスを同様に含むことができる。たとえば、コンピューティングデバイス508は、1つまたはそれ以上のコンピューティングデバイスを含むことができ、1つまたはそれ以上のコンピューティングデバイスは、限定ではないが、通信ネットワーク510を介して互いに連結されたクラウドコンピューティングデバイスを含む。したがって、本明細書に記載する実施形態によれば、画像が取り込まれた後、それらの画像はクラウドサービスへアップロードすることができ、クラウドサービスにおいて、画像を記憶および処理することができる。別法として、画像は、MED503などのローカルで記憶および処理することができる。
【0066】
本明細書に記載するように、物体検出ユニット(ODU)516は、取り込まれた画像のうちの1つまたはそれ以上に1つまたはそれ以上のアルゴリズムを適用して、所与の画像上で、特定の物体が存在する、色変動のための分析するための場所、たとえばパネルを自動で判定することができる。本明細書に記載する物体検出アルゴリズムは、本明細書に記載する実施形態が特有の形状整合を必要としないので独特である。たとえば、アルゴリズムは、マイクロ流体デバイスに関連して上述した矩形または方形のクローバー葉などの特有の形状を探すように事前にプログラムされていなくてもよい。したがって、本明細書に記載する例示的な実施形態は、ODUをプログラムする時点ではまだ導入されていないものを含む1つまたはそれ以上の異なるマイクロ流体デバイスとともに使用することができる。したがってODUは、本明細書に記載する実施形態によって分析することができるデバイスの形態に関する外側の制限を低減させる。従来のシステムは、特有の形状または向きを検出し、事前にプログラムされたまたは予期された形状に整合させて、色処理を実行するための関心区域を判定することができる。そのような従来のシステムでは、従来の処理システムとともに使用されるデバイスの使用または修正に関して制限が課される。
【0067】
様々な実施形態では、機械学習モデルは、1つまたはそれ以上の物体を分類するために使用することができる1つまたはそれ以上の分類子に関連付けることができる。分類子は、人工知能システムが1つまたはそれ以上のデータ点にラベルまたはカテゴリを割り当てることができる自動化されたプロセスを指す。分類子は、機械学習などの自動化されたプロセスを介して訓練されたアルゴリズムを含むことができる。分類子は、典型的に、1組のラベル付きまたはラベルなしの訓練データを開始し、1つまたはそれ以上のアルゴリズムを適用して、様々なラベルまたはクラスに対応するデータ内の1つまたはそれ以上の構成および/またはパターンを検出する。アルゴリズムは、限定ではないが、決定木と同程度に簡単なもの、ナイーブベイズ分類と同程度に複雑なもの、および/またはk近傍法などの中間アルゴリズムを含むことができる。分類子は、人工ニューラルネットワーク(ANN)、サポートベクターマシン分類子、および/または異なるタイプの分類子のホストのいずれかを含むことができる。訓練された後、分類子は次いで、訓練中に学習された知識ベースを使用して、新しいデータ点を分類することができる。分類子は、更新されたデータに関して周期的に訓練することができ、誤って分類された可能性のあるデータに関する情報が提供されることから学習することができるため、分類子を訓練するプロセスは、時間とともに進化することができる。分類子は、プログラミング命令を実行するプロセッサによって実装され、画像データおよび/または他のデータなどの大きいデータセット上で動作することができる。
【0068】
一実施形態では、単一の分析物に関して検出するとき、ODU516は、物体検出を用いて、マイクロ流体デバイスのパネルおよびその中のサンプルを検出することができる。本明細書に記載する物体検出は、従来のシステムの形状整合とは異なる。本明細書に記載する例示的な実施形態は、任意の形状またはサイズの関心区域を判定することができる形態学的形状検出器を実装することができる。したがって、例示的な実施形態は、異なるチャンバ位置および/または形状を有する異なるマイクロ流体デバイスとともに使用することができる。概して、物体検出方法の例示的な実施形態は、画像をフィルタリングすることを含むことができる。画像をフィルタリングすることは、外部の異常の除去、形状の平滑化による画像の不規則性の除去、コントラストの強調などを含むことができる。物体検出方法の例示的な実施形態は、最も大きい関心標的区域を判定するための境界認識を含むことができる。そのような境界認識は、デバイスの本当の境界を発見し、色パラメータおよび背景パラメータを除去することができる。最も大きい輪郭境界が判定された後、特有の境界点を識別することができる。境界点は、物体境界の形状の輪郭を画成する頂点または他の先端もしくは点を含むことができる。形態学的形状検出を使用して、画成された物体境界によって識別された境界点に、任意の多角形または幾何学的形状を適合することができる。識別された形状には、画像処理および色検出のために、切断、クロップ、拡大縮小、再配置、またはこれらの組合せを施すことができる。次いでこの関心標的区域は、形態学的形状検出によって画成される識別された形状の内部または中心部分として画成することができる。
【0069】
説明的な例では、物体検出は、OpenCVライブラリに基づくことができる。
図16~
図20に関連して、関連付けられた画像に関する形状検出アルゴリズムの例示的な特有の実施形態が提供される。物体検出はまず、1つまたはそれ以上の入力画像ファイルを取得して分類することができる。
【0070】
次に、
図16に示すように、入力画像ファイルからのいずれか1つの画像に対して、マイクロ流体デバイスの診断チャンバ(たとえば、クローバー形パターンの診断チャンバ)およびそれぞれの診断区域に集束するように、画像を回転(必要な場合)およびクロップして、クロップされた画像を作成することができる。クロップは、画成されたクロップ比に従って実行することができる。例示的な実施形態は、異なる順序で実行することができる別個の工程として、向き調整および/またはクロップを含むことができる。たとえば、第1のクロップは、検出された物体が画像内の所望の区域を簡単に占める作業画像を作成するために実行することができ、画像の向き調整および/または追加のクロップは、本明細書に記載する追加の検出工程(診断チャンバの検出など)後に実行することができる。
【0071】
次に、診断チャンバを検出することができる。例示的な実施形態は、まず画像をフィルタリングすることによって、診断チャンバを検出することができる。例示的なフィルタリングは、クロップされた画像から陰影を除去することができる。
図17に示すように、OpenCVの画像拡大および絶対差分機能を使用して、正規化された画像を取得することによって、陰影を除去することができる。例示的な実施形態は、画像を淡くして、画像から色および/または背景パラメータを除去し、本当の物体境界を検出することを可能にすることができる。画像拡大および絶対差機能と組み合わせて、またはその代わりに、他の画像フィルタリングを使用して、画像をフィルタリングすることもできる。たとえば、形状の平滑化を使用して、物体画像から不規則性を除去することができる。
【0072】
正規化された画像をさらに処理して、最も大きい輪郭境界を判定することができる。したがってシステムは、最も大きい輪郭区域に基づく輪郭を計算することができる。最も大きい輪郭境界は、検出された物体の外部境界および/または検出された内部境界に基づいて判定される。次いで画像をフィルタリングして、
図18に示すように、分離された診断チャンバの画像を取得することができる。画像の縁部に近い輪郭は無視することができる。
【0073】
例示的な実施形態は、正規化された画像および最も大きい輪郭境界を取得して、境界点を判定することができる。境界線の遷移部または先端など、検出された境界の輪郭に基づいて、例示的な境界点を判定することができる。境界点に基づいて形態学的形状検出を使用して、検出された点に多角形または幾何学的境界を適合することができる。その後、分析のためにこれらの形状を抽出することができる。抽出は、分析のための画像の追加のクロップ、拡大縮小、または再配置を含むことができる。境界点を判定して分析のための関心標的区域を抽出する例示的な実施形態の特有の例では、輪郭付きの画像において2回目の陰影除去機能を実行することができ、それに続いて、その画像から左側、頂部、および右側のパネル輪郭点の各々を抽出することができる。標的輪郭境界ボックス計算によって各パネルの位置を判定して、各パネルの座標を判定することができる。次いで、
図19に示す抽出されたパネルは別個の画像ファイルに保存され、この画像ファイルは、色サンプルの検出または抽出のためにさらに処理することができる。
【0074】
検出のために、新しく作成された抽出パネル画像は、さらなる処理の前にまず分類される。サンプル検出を開始するために、新しく作成された抽出パネル画像のパネルが読み取られる。
図20に見られるように、指定された垂直および水平マージン比に従って画像点をクロップすることによって、中心の矩形サンプル領域に境界を付ける矩形点が計算される。次いで、その結果得られるクロップされた矩形が、別個の画像ファイルに保存される。矩形の形状が例示的な実施形態として使用されるが、本発明はそのように限定されるものではない。多角形または他の形状を境界点に適合させる形態学的形状検出器からのより小さい比の形状を含めて、任意の幾何学的な標的形状を使用することができる。例示的な形状は、方形、円形、楕円形、矩形、または他の形状を含むことができる。
【0075】
抽出の場合も、サンプルパネルは、検出に関して上述した方法と同様に処理される。カラーカードサンプル抽出機能が実行され、その結果得られるサンプルが、NumPyアレイとして保存される。
【0076】
パネルが識別された後、画像の閾値およびアンカが判定される。
【0077】
画像のアンカは、システムがその周辺をアンカし、取り込まれた画像から物体を適切に分割することを有効にする、システムに知られている基準点(隅部、着色ドットなど)である。閾値は、上述した境界矩形点を、マイクロ流体デバイスの診断チャンバの反応領域の中心からクロップしたものである。
【0078】
判定された閾値およびアンカに基づいて、画像内の関心領域を分離する画像の境界ボックスが生成される。クローバー形のマイクロ流体デバイスの実施形態を使用する予期されるシナリオでは、境界プロセス中に3つの矩形が識別されるべきであり、1つの矩形が所与のマイクロ流体デバイスの各パネルに対応する。残りの処理された画像は、将来のアクセスおよび取出しのために、モバイル電子デバイス503のメモリに一時的に保存される。別の実施形態では、処理された画像は、コンピューティングデバイス508のメモリに一時的に保存することができる。保存された後、処理された画像は、さらなる処理のためにクラウドサービスにアップロードすることができる。さらに別の実施形態では、1つのパネルのみを識別し、色処理中に単独で使用することができる。
【0079】
関心領域を識別するために画像を処理した後、処理された画像を色処理で使用して、診断結果を判定する。色処理では、パネルの関心領域(ROI)中央画素値の色スペクトル値を訓練データとして使用して、機械学習を用いることができる。たとえば、RGBスペクトルの場合、ROIのRGBアレイが得られるはずであり、次いでそこから中央値が得られるはずである(これはすべての異なる組の色スペクトルチャネルの組合せに対するすべての異なるタイプのモデルに当てはまる)。システムは、最も支配的な色の第2の層を判定することを目的とする(すなわち、デバイスに主に含まれる青色を回避する)。所与の識別された色は、色が関連付けられた診断試験のタイプに応じて、1つまたは2つのタイプの結果に対応することができる。たとえば、代謝試験の場合、色は定量的であり、特定の1群のRGB値が単一の定量的な数を表す。別法として、バイナリ診断試験(たとえば、陽性または陰性の結果)の場合、色(または複数の色)の有無が、陽性または陰性の結果を示すことができる。
【0080】
システムは、画素をクラスタ化し、ヒストグラムを作成し、次いでヒストグラムを正規化することによって、各矩形内の色を判定する。その色を色スペクトルアレイとして抽出した後、システムは、試験によって予測しようとする選択されたチャネルに対するそのアレイの中央値を取得する。たとえば、特定の試験がRチャネルを入力として使用する場合、システムはRの中央値を取得する。試験がRGBチャネルを入力として取得する場合、RGB中央値が計算される。次いでシステムは、選択されたチャネルの選択された中央値を判定し、次いで選択されたチャネルを名称に調整する。いくつかの実施形態では、その結果得られる画像は、モバイル電子デバイス503に記憶される。他の実施形態では、その画像をコンピューティングデバイス508に伝達してそこで記憶することができる。
【0081】
ODU516を利用して、前段落に記載した予測を行うことができる。実行される試験に応じて、いくつかのモデルを用いることができる。使用されるアルゴリズムは、多項式変換を使用する一般化線形モデルを含むことができる。モデルアルゴリズムは、線形回帰、リッジ回帰、ラッソ回帰、およびElasticNetを含むことができる。試験に応じて、抽出された色スペクトルチャネル中央値を、列挙されたモデルのいずれかに供給することができる。予測結果、濃度値は、浮動小数点数として表すことができる。
【0082】
画像処理のあらゆる結果は、いくつかの実施形態ではモバイル電子デバイス503に、または他の実施形態ではコンピューティングデバイス508に生成されるグラフィカルユーザインターフェースに表示することができる。この処理がコンピューティングデバイス508で行われる実施形態では、コンピューティングデバイスは、表示のために結果の少なくとも一部分をモバイル電子デバイス503へ伝送することができる。そのようなグラフィカルユーザインターフェースは、様々なボタン、フィールド、形態、構成要素、データストリームなどを含むことができ、これらのいずれかを使用して、結果を視覚化することができる。
【0083】
図14は、コンピューティングデバイス508など、本開示の様々な態様を実装するために使用することができる好適なコンピューティングおよびネットワーキング環境700の一例を示す。示されているように、コンピューティングおよびネットワーキング環境700はコンピューティングデバイスを含むが、コンピューティングおよびネットワーキング環境700のネットワーキング環境は、1つまたはそれ以上の他のコンピューティングシステム、たとえばパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、手持ち式またはラップトップデバイス、タブレットデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラム可能消費者電子デバイス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ステートマシン、論理回路、上記のコンピューティングシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散型コンピューティング環境などを含むことができることが企図される。
【0084】
コンピューティングおよびネットワーキング環境700の構成要素(たとえば、コンピュータ)は、様々なハードウェア構成要素、たとえば処理ユニット702、データストレージ704(たとえば、システムメモリ)、およびシステムバス706を含むことができ、システムバス706は、コンピュータ700の様々なシステム構成要素を処理ユニット702に連結する。システムバス706は、様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するメモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、およびローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のうちのいずれかとすることができる。たとえば、そのようなアーキテクチャは、Industry Standard Architecture(ISA)バス、Micro Channel Architecture(MCA)バス、Enhanced ISA(EISA)バス、Video Electronics Standards Association(VESA)ローカルバス、およびMezzanineバスとしても知られているPeripheral Component Interconnect(PCI)バスを含むことができる。
【0085】
コンピュータ700は、様々なコンピュータ可読媒体708をさらに含むことができ、コンピュータ可読媒体708は、取り外し可能/取り外し不能の媒体、および揮発性/不揮発性の媒体を含むが、一時的な伝播信号は除外する。コンピュータ可読媒体708はまた、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報の記憶のための任意の方法または技術で実装される取り外し可能/取り外し不能の媒体および揮発性/不揮発性の媒体、たとえば、所望の情報/データを記憶するために使用することができ、コンピュータ700によってアクセスすることができる、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、もしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、もしくは他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、もしくは他の磁気記憶デバイス、または任意の他の媒体などが含まれる。通信媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、もしくは変調データ信号内の他のデータ、たとえば搬送波、または他の輸送機構、ならびに任意の情報送達媒体が含まれる。「変調データ信号」という用語は、信号内の情報を符号化するように設定または変更されるその特性のうちの1つまたはそれ以上を有する信号を意味する。たとえば、通信媒体は、有線媒体、たとえば有線ネットワークまたは有線接続、ならびに無線媒体、たとえば音響、無線周波数(RF)、赤外線、および/または他の無線媒体、またはこれらの何らかの組合せを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体上に記憶されたソフトウェアなどのコンピュータプログラム製品として実施することができる。
【0086】
データストレージ704は、リードオンリメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性/不揮発性メモリの形態のコンピュータ記憶媒体を含む。コンピュータ700内の要素間の情報の伝達(たとえば、スタートアップ中)を助ける基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、典型的にはROMに記憶される。RAMは、典型的に、処理ユニット702によってすぐにアクセス可能であり、かつ/または処理ユニット702によって現在動作されている、データおよび/またはプログラムモジュールを含む。たとえば、一実施形態では、データストレージ704は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、ならびに他のプログラムモジュールおよびプログラムデータを保持する。
【0087】
データストレージ704はまた、他の取り外し可能/取り外し不能な揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体を含むことができる。たとえば、データストレージ704は:取り外し不能な不揮発性の磁気媒体から読み取るもしくはそこへ書き込むハードディスクドライブ;取り外し可能な不揮発性の磁気ディスクから読み取るもしくはそこへ書き込む磁気ディスクドライブ;および/または取り外し可能な不揮発性の光ディスク、たとえばCD-ROMもしくは他の光媒体から読み取るもしくはそこへ書き込む光ディスクドライブとすることができる。他の取り外し可能/取り外し不能な揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体は、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、デジタル多用途ディスク、デジタルビデオテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROMなどを含むことができる。
図14に示す上述したこれらのドライブおよび付随するコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ700のためのコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの記憶を提供する。
【0088】
使用者は、ユーザインターフェース710または他の入力デバイス、たとえばタブレット、電子デジタイザ、マイクロフォン、キーボード、および/または一般にマウス、トラックボール、もしくはタッチパッドと呼ばれるポインティングデバイスを介して、コマンドおよび情報を入力することができる。他の入力デバイスは、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナなどを含むことができる。加えて、音声入力、ジェスチャ入力(たとえば、手または指による)、または他のナチュラルユーザインターフェースもまた、適当な入力デバイス、たとえばマイクロフォン、カメラ、タブレット、タッチパッド、グローブ、または他のセンサとともに使用することができる。これらおよび他の入力デバイスは、システムバス706に連結されたユーザインターフェース710を介して、処理ユニット702に接続されることが多いが、他のインターフェースおよびバス構造、たとえばパラレルポート、ゲームポート、またはユニバーサルシリアルバス(USB)によって接続することもできる。モニタ712または他のタイプの表示デバイスもまた、ビデオインターフェースなどのインターフェースを介してシステムバス706に接続される。モニタ712はまた、タッチスクリーンパネルなどと一体化することができる。
【0089】
コンピュータ700は、1つまたはそれ以上の遠隔デバイス、たとえば遠隔コンピュータへのネットワークインターフェースまたはアダプタ714の論理接続を使用して、ネットワークまたはクラウドコンピューティング環境で動作することができる。遠隔コンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、または他の一般的なネットワークノードとすることができ、典型的には、コンピュータ700に関して上述した要素の多くまたはすべてを含む。
図13~
図14に示す論理接続は、1つもしくはそれ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、1つもしくはそれ以上のワイドエリアネットワーク(WAN)、および/または他のネットワーク、ならびにこれらの組合せを含むことができる。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットでよく見られるものである。
【0090】
ネットワークまたはクラウドコンピューティング環境で使用されるとき、コンピュータ700は、ネットワークインターフェースまたはアダプタ714を介して、公的および/または私的ネットワークに接続することができる。そのような実施形態では、ネットワークを介した通信を確立するためのモデムまたは他の手段が、ネットワークインターフェースもしくはアダプタ714または他の適当な機構を介して、システムバス706に接続される。好適なデバイス、たとえばアクセスポイントまたはピアコンピュータを介して、インターフェースおよびアンテナを含む無線ネットワーキング構成要素をネットワークに連結することができる。ネットワーク環境では、コンピュータ700に関して示したプログラムモジュール、またはその一部分を、遠隔メモリ記憶デバイスに記憶することができる。
【0091】
使用方法
いくつかの実施形態では、開示するマイクロ流体デバイス1は、生物または非生物流体サンプルなどの流体サンプル中に存在する標的分析物およびバイオマーカを検出および定量化するのに有用である。好適な生物サンプルには、それだけに限定されるものではないが、血液、組織、尿、痰、膣分泌物、肛門分泌物、口内分泌物、陰茎分泌物、唾液、および他の体液が含まれる。他の実施形態では、流体サンプルを非生物流体とすることができ、開示するマイクロ流体デバイスは、流体サンプル中に存在する標的分析物(たとえば、化学的または生物学的汚染物質)を検出および定量化するのに有用である。流体サンプルは、処理済みであっても未処理であってもよい。処理は、濾過、遠心分離、試薬による前処理などを含むことができる。たとえば、生物血液サンプルを濾過して、サンプルの成分を除去することができる(たとえば、全血を濾過して赤血球を除去することができる)。生物サンプル(たとえば、組織細胞)または非生物サンプル(たとえば、土壌)を溶液(たとえば、蒸留水または緩衝液)と混合して、流体を形成してから、サンプルをマイクロ流体デバイスに堆積させることができる。
【0092】
開示する技術を使用して検出することができる標的分析物の非限定的な例には、抗体、タンパク質(たとえば、糖タンパク質、リポタンパク質、組換えタンパク質など)、ポリヌクレオチド(たとえば、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、アプタマー、DNAザイムなど)、脂質、多糖、ホルモン、プロホルモン、麻薬、低分子量医薬品、病原体(たとえば、細菌、ウイルス、菌類、原虫)が含まれる。いくつかの実施形態では、標的分析物には:アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ビリルビン、アルブミン、血清総蛋白、グルコース、コレステロール、クレアチン、ナトリウム、カルシウム、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、直接ビリルビン、間接ビリルビン、非抱合ビリルビン、および乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のうちの1つまたはそれ以上が含まれる。いくつかの実施形態では、標的分析物には、患者の症状を示す基礎代謝パネルの1つまたはそれ以上の成分、たとえばグルコース、血清尿素窒素、カルシウム、炭酸水素塩、塩化物、クレアチニン、カリウム、およびナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態では、標的分析物は、化学的または生物学的汚染物質、たとえば窒素、漂白剤、塩、殺虫剤、金属、細菌によって作られる毒などとすることができる。
【0093】
開示するマイクロ流体デバイス1を使用するために、マイクロ流体デバイスに流体サンプルが堆積させられる。いくつかの実施形態では、流体サンプルは、共通のチャネル入口7に堆積させられる。他の実施形態では、流体サンプルは、流体伝達チャネル10の中間の位置に堆積させられ、たとえば流体伝達チャネル10の始端8と終端9との間の長さの約2分の1の場所を覆う。他の実施形態では、サンプルは、紙の上面、またはベースの貫通孔が存在する場合は紙の下面など、診断紙に直接堆積させられる。いくつかの実施形態では、サンプルは診断紙の中心に堆積させられ、サンプルはその場所から、毛管作用によって、紙を通って水平に(たとえば、ベースとともに使用されるとき)、または垂直に(たとえば、ベースなしで使用されるとき)移動する。いくつかの実施形態では、流体サンプルの体積は、少なくとも5μLまたは少なくとも10μLであるが、60μL以下、50μL以下、40μL以下、30μL以下、または20μL以下である。
【0094】
いくつかの実施形態では、ベース2は、診断紙13に到達する前にサンプルを濾過するのに有用なフィルタ(図示せず)を含む。フィルタは、共通のチャネル入口7に、または流体伝達チャネル10内の中間位置に、位置または隣接することができる。いくつかの実施形態では、流体伝達チャネル10内にフィルタが位置する場合、フィルタは診断紙から隔置される(すなわち、診断紙に直接接触しない)。そのような配置は、診断紙自体ではなくフィルタ紙でアッセイ反応が望ましくなく発生する可能性があるフィルタによる診断紙からの診断成分の抜き取りを防止することが意図される。サンプルの濾過された部分は、フィルタから流体伝達チャネル10を通って対応する診断チャンバ3内へ流れることができる。たとえば、全血の生物サンプルをフィルタに堆積させて、赤血球を除去することができ、それによって濾過された血清が診断紙へ流れることが可能になる。
【0095】
生物流体サンプルは、患者からデバイスへ直接堆積させることができる。たとえば、指先穿刺を実行して、患者の指に血液サンプルを生じさせることができ、次いでマイクロ流体デバイスに直接触れて、上述した様々な場所のうちの1つにサンプルを堆積させる。別法として、ピペット、毛細管、点眼器などの器具によって、生物または非生物流体サンプルを堆積させることもできる。
【0096】
流体サンプルがマイクロ流体デバイス1に堆積させられて、診断チャンバ3内の診断紙13まで流れた(たとえば、毛管作用による)後、チャンバ内の紙で診断アッセイを行うことができる。好適な診断アッセイの非限定的な例には:酸化還元反応、等温増幅、分子診断、イムノアッセイ(たとえば、ELISA)、および測色アッセイという反応のうちの1つまたはそれ以上が含まれる。いくつかの実施形態では、診断チャンバは、たとえば対照として、不活性のままとすることができ、したがってサンプルとの反応は生じない。診断アッセイは、様々な標的分析物の存在および数量を判定するための情報を提供することができる。たとえば、生物流体サンプルに関して実行される診断アッセイは、それだけに限定されるものではないが、肝臓機能、代謝機能、感染症、細胞数、細菌数、ウイルス数、およびがんなど、対応する状態を示す情報を提供することができる。単一のデバイス内で複数の診断アッセイを提供することによって、1つの流体サンプルを同時に複数の独立したアッセイ反応にさらすことができ、それにより複数の関心状態を対象とするデータの有益な状況が提供される。いくつかの実施形態では、診断アッセイのすべてが、単一の関心状態(たとえば、肝臓疾病、糖尿病、汚染物質レベルなど)を対象とすることができる。他の実施形態では、診断アッセイは、患者の多面的なプロファイル(たとえば、グルコースレベル、電解質レベル、腎臓機能など)、または試験される流体自体の多面的なプロファイル(たとえば、土壌溶液中の汚染レベル)を提供するように選択することができる。
【0097】
診断アッセイ中、特定の診断成分が、対応する標的分析物と選択的に結合する。本明細書では、「選択的に結合する」とは、他の類似の化合物の不均一集団において標的分析物を判定する結合反応を指す。たとえば、診断成分は、標的抗原に特に結合する抗体または抗体フラグメントとすることができる。好適な診断成分の非限定的な例には、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸(BCIP)、α-ケトグルタル酸、グルコースオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンジヒドロペルオキシド、アポリポタンパク質B、8-キノリノール、またはモノエタノールアミン、2,4-スラニリン(suraniline)、2,6-ジクロロベンゼン-ジアゾニウム-テトラフルオロボラート、ビス(3’,3”-ジヨード-4’,4”-ジヒドロキシ-5’,5”-ジニトロフェニル)-3,4,5,6-テトラブロモスルホンフタレイン(DIDNTB)、フェノールフタレインアニオン染料、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、メチルグリーン、ローダミンB、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン、ジアホラーゼ、メチルチモールブルー、ジアゾニウム塩、およびオキサロ酢酸が含まれる。
【0098】
いくつかの実施形態では、診断成分は、標的分析物の存在下で測色および/または蛍光応答を示す視覚インジケータを含む。たとえば、そのような視覚インジケータは、分析物の存在下で発色することができ、分析物の存在下で色を変化させることができ、もしくは分析物の存在下で蛍光、リン光、もしくは発光を放出することができ、またはこれらの組合せを生じることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する凹状マイクロ流体デバイスに堆積させられた後、生物サンプルが各診断チャンバに到達するには、約1分以下(たとえば、70秒未満、60秒未満、50秒未満、40秒未満、30秒未満、20秒未満、または10秒未満)を要する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスに堆積させられた後、生物サンプルが各診断チャンバを十分に充填するには、約2分以下(たとえば、145秒未満、120秒未満、100秒未満、80秒未満、60秒未満、40秒未満、または30秒未満)を要する。いくつかの実施形態では、凹状マイクロ流体デバイス(たとえば、3~6の診断チャンバを有する)は、全血サンプルの約90μL以下(たとえば、90μL未満、80μL未満、70μL未満、60μL未満、50μL未満、40μL未満、30μL未満、または20μL未満)が、約60秒以内、約45秒以内、約30秒以内、約20秒以内、約15秒以内、約10秒以内、または約7秒以内に各診断チャンバに到達するように構成される。いくつかの実施形態では、凹状マイクロ流体デバイス(たとえば、3~6の診断チャンバを有する)は、全血サンプルの約90μL以下(たとえば、90μL未満、80μL未満、70μL未満、60μL未満、50μL未満、40μL未満、30μL未満、または20μL未満)が、約120秒以内、約90秒以内、または約60秒以内に各診断チャンバを十分に充填するように構成される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するマイクロ流体デバイスのいずれかの実施形態で行われるアッセイ反応は、流体サンプルがマイクロ流体デバイスに堆積させられた時間から約60分以下、たとえば約60分以下、約50分以下、約40分以下、約30分以下、または約20分以下で完了する。流体サンプル堆積時間は、サンプルが診断紙に接触した時間から、またはサンプルが診断紙から隔置されたもしくは診断紙に積み重ねられたフィルタ紙に接触する時間から測定することができる。アッセイ反応の完了後、マイクロ流体デバイスを容易かつ迅速に撮像することができ、したがって完全な診断結果を極めて迅速に提供することができる。
【0101】
たとえば、上述した応用例に従って、反応させたマイクロ流体デバイスの画像を取り込み、および/または分析することができる。より具体的には、反応させたマイクロ流体デバイスは、観察ボックス30の底面パネル21の位置インジケータ26上に配置することができる。次いで、観察ボックスを閉じることができる。1つまたはそれ以上の内部光源が照明されている場合、最も上の頂面パネル観察アパーチャの上にモバイル電子デバイスのカメラを配置することができ、したがって使用者はカメラを介して、反応させたマイクロ流体デバイスを視覚的に観察することができる。次いで、本明細書に記載する実施形態によれば、反応させたマイクロ流体デバイスの画像を取り込み、マイクロ流体デバイスに堆積させて反応させたサンプルに対応する概略的な診断結果に処理することができる。それらの結果は、流体サンプル源およびその識別情報に関するアプリケーション内に電子的に安全に記憶することができる。
【0102】
実施例
本発明について、以下の実施例によって次に説明する。本明細書のあらゆる場所におけるこれらおよび他の実施例の使用は例示のみを目的とし、本発明またはあらゆる例示される形態の範囲および意味を何ら限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書に記載するいかなる特定の好ましい実施形態にも限定されるものではない。実際には、本発明の修正例および変形例は、本明細書を読めば当業者には明らかであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく作成することができる。したがって本発明は、特許請求の範囲に与えられる均等物の完全な範囲とともに、特許請求の範囲の用語のみによって限定されるものとする。
【実施例1】
【0103】
患者診断用のマイクロ流体デバイス走査プロセス
本実施例は、本開示のマイクロ流体デバイスおよび観察ボックスアセンブリを使用するプロセスについて説明する。本実施例では、モバイル電子デバイスは、マイクロ流体デバイス走査アプリケーションがインストールされたスマートフォンであり;流体サンプルは、患者から取得されてマイクロ流体デバイスに堆積させられた生物流体サンプルである。
【0104】
(1)ログイン:スマートフォン上でマイクロ流体デバイス走査アプリケーションを開き、ログインページを表示する。ログインページ上で、使用者は、電子メールおよびパスワードなどの患者識別情報を入力する。その情報が入力された後、アプリケーションはCreate画面へ進み、そこで使用者は、新しい患者を登録するためのオプションを選択することができる。使用者は、患者、技師、医療サービス提供者、または他の個人とすることができる。
【0105】
(2)患者を登録する:次のRegistration画面上で、使用者は、氏名、医療記録番号、誕生日、他の注記、電話番号、および使用予定のマイクロ流体デバイスに対応する番号などの追加の患者識別情報を入力する。
【0106】
(3)マイクロ流体デバイスQRコードに登録患者をリンクさせる:次のCreate Patient画面上で、使用者は、「Add QR code and start time(QRコードおよび開始時間を追加する)」のオプションを選択する。次いで、スマートフォン上のカメラを使用して、マイクロ流体デバイス上のQRコードの画像を取り込む。アプリケーションはQRコードを読み取り、それによって実行予定の関連アッセイなど、マイクロ流体デバイスに特有の情報に、患者識別情報をリンクさせる。デバイスQRコードが患者識別情報にうまくリンクされたことを確認するメッセージが、使用者に対して表示される。QRコードがリンクされた後、試験が開始し、タイマは指定の継続時間、たとえば50分に設定される。タイマが開始すると、生物サンプルがマイクロ流体デバイスに堆積させられる。
【0107】
(4)画像取込み:アッセイ反応に対するタイマが切れた後、反応させたマイクロ流体デバイスは、観察ボックスの底面パネル上の位置インジケータに配置される。この時点で、マイクロ流体デバイスはすぐに撮像される準備ができている。マイクロ流体デバイス走査アプリケーションを使用して、スマートフォンのカメラが起動し、強調表示された黄色のボックスが画像プレビューに表示される。使用者は、表示されている強調表示されたボックス内にマイクロ流体デバイスを見ることができるように、カメラを配置する。次いで、スマートフォンを使用して画像を取り込み、その画像をアプリケーションによって処理し、定量化された結果を生成する。画像処理に成功したこと、および診断結果が利用可能であることを確認するメッセージが、使用者に対して表示される。
【0108】
(5)結果を調査する:次いで、アッセイの診断結果がResults画面に表示され、この画面は、患者名、標的分析物濃度(ここでは、ビリルビン(BIL):0.38742mg/dl)、およびアッセイの日時(ここでは、2020年12月17日pm1:08)などの情報を含むことができる。これらの結果は、スマートフォンに記憶され、かつ/またはサーバにアップロードされる。使用者は、必要に応じてQRコードを走査して、患者の結果を見ることができる。
【実施例2】
【0109】
血清中のビリルビンの測色定量化のためのマイクロ流体デバイスおよびスマートフォン技術
本実施例は、画像処理および機械学習技術を使用してヒト血清中の総ビリルビンを定量化するための本開示の紙-プラスチック複合型のマイクロ流体デバイスの使用に関する。総ビリルビン値は、様々な肝臓系疾病、たとえば黄疸、胆管閉塞、肝臓がんなどを事前に撮像および診断するための潜在的なマーカとして使用されてきた。生化学アッセイが吸収紙パッドに堆積され、吸収紙パッドは、血清が加えられると反応区間として作用する。スマートフォンの専用のアプリがパッド上の測色変化の画像を取り込み、それらをビリルビンの定量値に変換する。このデバイスを使用して定量化することができるビリルビン濃度の範囲は、0.3mg/dL~7.0mg/dLである。本実施例では、臨床および検査標準協会(CLSI)プロトコルに従って、精度、検出限界、線形性、安定性、および既承認医療デバイスとの比較が研究される。結果は、従来のビリルビン試験に対する安価な代替品としてマイクロ流体デバイスを使用することができることを確認する。その精度レベル、使いやすさ、長い保存寿命、および短い応答時間により、ポイントオブケアおよび臨床環境において重要な価値が提供される。
【0110】
本実施例では、マイクロ流体デバイスは、紙製デバイス上に安定させたジアゾ染料方法を使用して、ビリルビンを検出する。血清中に見られる総ビリルビンは、促進剤の存在下でジアゾ試薬と反応し、酸性条件下でアゾビリルビンを形成する。iPhoneカメラおよび設計された観察ボックスとともにiOSアプリケーションを使用して照明を標準化することで、色の強度が定量化される。
【0111】
デバイスおよびボックスの製造:デバイスは、レーザ切断機(BOSS LS1630)を使用して製造されたアクリルの骨格を含む。アルファコットンリンタセルロースが、吸収紙パッドに使用された材料であり、開いているアクリルパネルにしっかりと埋め込まれて、反応区間として作用する。付属するデバイスは、設計された閉鎖アクリルボックスであり、やはりレーザ切断機を使用して製造されたものである。ボックスは、周囲光を防ぎ、外部雰囲気の干渉を最小にするためのバリアとして作用する。ボックスは、サンプルが加えられた後にデバイスを最適の環境で維持するために、内蔵光源および専用の刻み目を収容する。ボックスは、画像処理のためにカメラを有する電話を配置するためのホルダを収容する。
【0112】
試薬の調製:本明細書に記載するアッセイは、Jendrassik-Grofジアゾ方法の修正版である。スルファニル酸(Sigma #822338)、亜硝酸ナトリウム(Alfa Aesar #A18668)、およびカフェイン促進剤(Sigma #27602)、酢酸ナトリウム(Sigma #S2889)、および安息香酸ナトリウム(Sigma #109169)の溶液を使用して、試薬を調製する。スルファニル酸、安息香酸ナトリウム、および促進剤をそれぞれ4:1:4の比で混合し、デバイス上の紙パッドに堆積させて乾燥させる。
【0113】
アッセイの手順、iOSアプリの開発、および画像処理:患者の血清をピペットでデバイス内の紙パッドに移し、パッド上に50分間安定させた試薬と反応させた。吸収パッドの色は、ビリルビンの濃度が上昇するにつれて変化する。反応期間後、デバイスは観察ボックス内の刻み目に配置される。電話が指定の場所に配置され、カメラがボックスの頂部のピンホールと位置合わせされる。画像の取込みおよび伝達ならびに結果の表示のために、iOS14.3プラットフォームで画像検出アプリが開発された。たとえば、iOSアプリケーションを使用して、デバイス上のQRコードを走査し、患者の詳細を記入し、電話を使用してデバイス画像を取り込む。アプリは、HIPAAプロトコルに準拠するクラウドベースのソフトウェアを使用して実行される。このアプリは、ユーザインターフェースとして作用し、iPhone7以降を含むあらゆる同等のデバイス上で十分に機能することが予期される。詳細なアプリケーションのワークフローが
図21に示されている。個々のパネルから関心領域(ROI)を抽出するための画像処理ワークフローは、
図22に示されている。
【0114】
画像を取り込んだ後、ユーザデータはAWS S3データストレージにアップロードされる。ユーザデータをアップロードした後、バックエンドAPIが、それぞれのアップロードされた画像をさらに処理するパイソンルーチンへの実行コールを作成する。バックエンドは、取り込まれたDNG画像ファイルを後処理し、さらなる処理のためにPNG画像に変換する。DNGからPNG画像形式への変換成功後、コンピュータビジョン(具体的にはOpenCVツールキット)の力を使用して、所与の画像内の関心領域をさらに検出する。色チャネルスペクトル中央値を得た後、ビリルビンに関する機械学習モデルへの入力として与える。このモデルは、色チャネル入力を使用してビリルビンの濃度を予測する。次の研究の目的で、画像処理を最適化するために、各デバイスの単一のパネル(常に同じ)を試験に使用する。iPhone7をベースラインハードウェアとして使用した。
【0115】
図23は、機械学習モデルを開発するために使用されたROIから取得された色スペクトルアレイの中央値を計算するためのワークフローを示す。このモデルは、予測精度に基づいて、最小誤差およびロバストr2値で開発および選択される。値を取得した後、ビリルビン定量化でサンプルの濃度を予測するために開発された基本的な機械学習モデルによって、色チャネルスペクトル中央値が実行される。異なるビリルビン濃度に対して予測される出力が、訓練されたモデルから選択された。予測された後、出力は、データベースサーバに接続された所与のノードへ伝達され、このノードは、使用者のためにこの値をアプリ上に表示することが可能である。
【0116】
精度研究:再現性研究を実行して、マイクロ流体デバイスのマルチサイト精度を判定した。この研究のためのプロトコルは、CLSI文書EP05-A3からのガイドラインを使用して開発された。異なる操作者を伴う複数の場所内の複数ロットのデバイスを使用して、この研究を実行した。スパイク状ビリルビンを含む血清サンプルがこの試験に使用された。5日間の研究全体にわたって、3つの異なる検査場所の各々において、同じ濃度のビリルビンを使用した。使用された5つのビリルビン濃度は:0.4mg/dL、0.2mg/dL、0.98mg/dL、1.51mg/dL、および2.04mg/dLであった(ここでは、それぞれサンプルP1~P5として識別される)。同じサンプルを3つすべての場所で使用して、毎日5つのサンプル複製で5日間の研究を実施した。単一のロットからのデバイスを使用して、1つの場所で研究を実行する。
【0117】
反復性研究を実行して、デバイスの検査室内精度を判定した。この研究のためのプロトコルは、CLSI文書EP05-A3からのガイドラインを使用して開発された。単一の場所における複数ロットのデバイスを使用して、この研究を実行した。スパイク状ビリルビン濃度を有する血清サンプル(Lee Biosolutions)がこの研究に使用された。合計で、10の異なるサンプルがこの研究で使用され、20日の期間にわたって毎日2つのサンプルを試験した。試験に使用された濃度は:0.2mg/dL(サンプルA);0.4mg/dL(サンプルB);0.97mg/dL(サンプルC);1.50mg/dL(サンプルD);2.03mg/dL(サンプルE);3.33mg/dL(サンプルF);4.07mg/dL(サンプルG);5.64mg/dL(サンプルH);6.50mg/dL(サンプルI);および7.42mg/dL(サンプルJ)である。20日間の実験に対して同じサンプルを使用し、毎日2つの複製で2回試験した。毎日2回の試験を朝および夜に実行した(または少なくとも4時間おき)。同じロットおよび同じ条件を使用して、所与のサンプルを試験した。
【0118】
検出限界:CLSI-EP17 A2を参照して、ブランク上限(LoB)および検出限界(LoD)プロトコルを準備した。LoDは、一貫して検出することができる分析物の最低濃度として画成される。ブランクサンプルは、LoDより低い分析物濃度を有しており、血清サンプルを希釈することによって調製される。LoBは、ブランクサンプルで観察することができる最高濃度を指す。2つの試薬ロットを使用してLoB試験を行い、試験を3日間実施した。この実験を実行するために、4つのブランクサンプルを調製した。これらのサンプルの各々の濃度は:0.08mg/dL(ブランク1)、0.11mg/dL(ブランク2)、0.14mg/dL(ブランク3)、および0.17mg/dL(ブランク4)であった。各サンプルは、各試薬ロット内で2つの複製に対して試験された。
【0119】
より低いLoD試験の場合、疑わしい最低レベルの検出に対して5つのサンプルを調製した。各サンプルを5日間で5つの複製(5つのデバイス)に対して試験した。2つの試薬ロットが試験に使用された。ロットAに対して3つ、ロットBに対して2つの複製が試験された。これらのサンプルの濃度は:0.27mg/dL(サンプル1)、0.3mg/dL(サンプル2)、0.33mg/dL(サンプル3)、0.35mg/dL(サンプル4)、および0.37mg/dL(サンプル5)であった。
【0120】
線形性:線形性試験ガイドラインは、定量的測定手順の線形性を判定するための統計的プロセスについて説明する。主な目的は、方法が非線形になったときの濃度およびそのレベルにおける非線形性の程度を判定することである。線形性試験プロトコルおよびガイドラインは、CLSI EPO6-Aに従って準備された。以下の工程に従って、線形性試験を実行した。様々な濃度のビリルビンの血清サンプルをこの研究に使用した。7つのサンプルが選択され、各サンプルの濃度は等距離で維持され、またはこれらのサンプル間の関係が観察可能になるように維持された。試験された濃度は:0.2mg/dL、1.0mg/dL、1.8mg/dL、2.6mg/dL、3.4mg/dL、4.2mg/dL、および5.0mg/dL(それぞれサンプル1~7)であった。これらのサンプルがマイクロ流体デバイスで試験された。各サンプルは、複製で試験された。さらなる分析のために、分かった濃度およびその対応する結果を記録した。
【0121】
既承認医療デバイスの比較:この研究では、対象マイクロ流体デバイスの性能を比較測定手順(既承認医療デバイス)と比較する。マイクロ流体デバイスの結果を、既承認医療デバイスと呼ばれるRocheコバルトc311の結果と比較した。すべての臨床サンプルをAccess Biologics、CAから収集した。合計57のサンプルを試験して、手順比較を実行する。この研究は、1週間にわたって行われた。複数の試験ロットを使用して、このプロトコルを実行した。
【0122】
保存寿命研究:4週間に1回、スパイク状血清サンプルを使用して、アッセイによるマイクロ流体デバイスの保存寿命の6か月の研究を試験した。血清サンプルの濃度は、1.5mg/dL、4.0mg/dL、および7.0mg/dLであった。デバイスの2つのロットの各々によって、各濃度に対して複製が試験された。上記のスパイク状血清サンプルが調製され、各試験のためのアリコートとして-20℃で収納され、各試験前に室温で解凍された。
【0123】
結果および考察
精度:サンプルP1~P5のすべてが、研究の途中で場所ごとに最小の分散を示した。反復性、検査室内精度、および再現性に関して、標準偏差(SD)および%共分散(%CV)を計算した(表1)。これらの値により、デバイスの精度プロファイルが得られる。反復性(1日以内の精度)SDはVerrorに対応し、検査室内精度はVerrorおよびVdayに対応し、再現性(場所間の精度)はVerror、Vday、およびVsiteの3つすべてに対応する。
【0124】
【0125】
同様に、単一の場所の研究では、10の試験されたサンプルのうちの7つが、非常に軽微な変動を示した(表2)。
【0126】
【0127】
検出限界:非パラメータ分析を使用して、ビリルビンLoBを計算した。等式:Rank位置=0.5+B+PctBを使用して、各ロットに対するRank位置が計算され、ここでBは試薬ロットごとのブランク測定の数であり、PctBは対応するパーセンタイルである(α=0.05のタイプI誤差リスクを使用して0.95が計算される)。Rank位置は整数値であり、ロット1および23に対して21および22、ならびにロット2に対して24として補間される。最高LoB(0.37mg/dL)を使用して、LoDを計算した。LoDの場合、ロット1が75のサンプルから計算され、ロット2が50のサンプルから計算された。LoDは、等式:LoD=cpSDLを使用して計算され、ここでcpは正規分布の95パーセンタイルを与える乗数であり、SDLは試薬ロットごとにプールされたSDである。ビリルビンに対するLoDは0.48mg/dLであった。この結果は、150の低レベルサンプルおよび48のブランクサンプル、ならびに0.37mg/dLのLoBで、5%未満の偽陽性および5%未満の偽陰性の割合に基づいて、CLSI文書EP17のガイドラインに一貫している。
【0128】
線形性:対象マイクロ流体デバイスを使用して各サンプルに対する濃度および複製間の差を測定した。回帰分析を使用して線形性を判定した。線形性を証明するために、CLSIガイドラインにより、システムの非線形性を評価した。2次多項式回帰でb2が、3次多項式回帰でb2およびb3の非線形係数が分析された。2次はいかなる非線形成分も有しておらず、システムは線形であった。3次整合では、1つの係数が、10自由度に対して2.228の基準を超過する。2次モデルは、3次よりはるかに低い標準誤差を有し、1次および2次が3次より良好な整合を示すことを証明した。1次および2次多項式回帰に対する予測された結果は、割合の差が20%の検査基準より小さいことを示し、システムが線形であることの証拠を提供する。
【0129】
既承認医療デバイスとの比較:各サンプルに対する差分プロットを使用し、差分の分布を分析することによって、対象マイクロ流体デバイスおよび既承認医療デバイスの比較を行った。差分値は、各サンプルに対する既承認医療デバイスの濃度値と対象マイクロ流体デバイスの予測値との間の差分によって計算される。この差分は歪んだ垂直分布を有するため、0.5~1.4mg/dLの測定範囲に対して、差分値の中央値からバイアス推定が0.02mg/dLとして計算された。Wilcoxon Signed Rank試験を使用して、95%のCIが-0.05~0.05mg/dLとして計算された。等値のための所定のバイアス基準は、±0.1mg/dLになるように設定された。この等値基準は、測定された濃度範囲で満たされた。
【0130】
保存寿命研究:6か月の保存寿命研究からの結果は、24週にわたってサンプル中に著しい(p<0.05)変化を示さなかったが、週0と数8との間に1.5mg/dL、週12と週24との間に4mg/dLを示した。しかし、予測値のわずかな変化は単に、研究に使用される血清サンプルアリコートの変動による可能性がある。
【0131】
結論:本明細書に開示する対象マイクロ流体デバイスは、電話カメラおよびバックエンド画像処理アルゴリズムを使用して、ビリルビンなどの分析物の測色定量化のための効率的かつ安価な紙製デバイスを提供する。本実施例で実証されるように、これは50分の応答時間で容易に使用することができ、そのためこのデバイスはPOC環境で非常に有用である。加えて、測色生化学工程を定量化するための機械学習技術は、診断および予測の目的で様々なバイオマーカレベルを判定するためにも適用可能である。
【実施例3】
【0132】
アスパラギン酸トランスアミナーゼの定量化のためのベースのないマイクロ流体デバイス
本実施例は、指先穿刺から取得された血液中のアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)を確実に定量化するための開示するマイクロ流体デバイスおよび画像処理技術の実施形態の使用に関する。ASTは、アミノ酸代謝において重要な役割を担う酵素である。血液中のASTレベルの上昇は、肝臓障害の診断に役立つことが多い。ASTと他の重要な肝臓機能マーカ、たとえばアラニンアミノ基転移酵素(ALT)およびビリルビンとの比は、いくつかの肝臓疾病の病状を診断することができる可能性がある。したがって、開示する技術は、いくつかの他の疾病バイオマーカの変換応用例にも同様に使用することができる。
【0133】
ASTは、アスパラギン酸とケトグルタル酸との間のα-アミノ基の伝達に触媒作用を及ぼす:α-ケトグルタル酸+アスパラギン酸→オキサロ酢酸+グルタミン酸。
【0134】
オキサロ酢酸とジアゾニウム塩溶液(Fast Violet B)との間の反応は、ASTの測色定量化を提供する(Babsonら、Clinica Chimica Acta 7、2:199-205(1962))。このAST特有のマイクロ流体デバイスのために、測色定量化のための画像検出およびモデルを修正することができる。
【0135】
方法:
図24に示すように、デバイスは、2つの直径2cmの層:全血からの血漿分離のための頂部フィルタ紙層(D23、TC-1、MF1、またはF5製)、およびAST触媒反応のための底部紙製診断層(ホウケイ酸ガラスマイクロファイバ材料製)を使用して作製された。頂層は、全血中の赤血球を捕らえて血漿が通過することを可能にする血漿分離膜である。底層は、測色生化学反応の試薬または診断成分を保持する。2つの層は互いに積み重ねられて完全に積層される(入口および出口として両側に5mmのパンチ孔が位置し、サンプルは直接紙層に入って紙層を垂直方向に流れることができる)。
図25に示すように、組み立てられたデバイスは、底部アパーチャを介して診断試験層に診断成分を堆積させて乾燥させることによって準備された。
【0136】
全血の指先穿刺からのASTを定量化するために、ランセットを使用して対象の指を刺す。細いヘパリン化された毛細管(最大容量30μL)を使用して血液を収集し、頂部入口アパーチャを通ってフィルタ紙層へ30μLの液滴を配置した。次に、30μLの1X PBS緩衝液を提供して、血漿を底層へ追いやる。次いで、血漿中のASTが、底層において試薬(診断成分)との酵素反応に触媒作用を及ぼして、測色定量化することができる生成物をもたらす。血漿の分離および反応を37℃で20分間にわたって進行させ、その後、底部出口アパーチャを介して染料(アンプルに入れて提供される)が加えられ、37℃でさらに10分間保持され、色変化を発生させる。設定時間内に色が生じた後、上記で開示したように、デバイスを観察ボックス内に配置し、電話カメラを使用して、デバイスの底部出口の画像を撮ることができる。次いで、アプリおよびアルゴリズムを使用して、色変化をASTの濃度として定量化する。
【0137】
4つのタイプのフィルタ膜に対応して、各々対照(アッセイなし)とともに、4つの試験サンプルを実行した。結果として得られる測色変化は、本明細書に開示する画像処理技術を使用して定量化することができる。
【0138】
結果および考察:すべての試験サンプルによって血漿分離および測色変化の成功が観察され、各々試薬のない対照と比べて著しい色変化を示した。実施例2に説明した定量化方法を含む本明細書に開示する画像処理技術を使用して、血液中のASTの定量化を判定することができる。
【0139】
上記は単に、本開示の原理を示す。本明細書の教示を考慮すれば、記載する実施形態の様々な修正例および変更例が当業者には明らかであろう。したがって、当業者であれば、本明細書に明示的に図示または記載されていないが、本開示の原理を実施することができ、したがって本開示の精神および範囲の範囲内である多数のシステム、配置、および方法を考案することが可能であることが理解されよう。上記の説明および図面から、図示および記載する特定の実施形態は、例示のみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図したものではないことが、当業者には理解されよう。特定の実施形態の詳細への言及は、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0140】
本明細書で引用および/または考察されるすべての参照文献は、各参照文献を個別に参照により組み入れる場合と同じ程度に、全体として参照により本明細書に組み入れる。
【国際調査報告】