(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】1つ又は複数の検出可能部分で標識された1つ又は複数のバイオマーカーを含む染色された生物学的検体
(51)【国際特許分類】
G01N 33/536 20060101AFI20240214BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240214BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20240214BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01N33/536 D
G01N21/64 F
G01N21/78 C
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544518
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2021073738
(87)【国際公開番号】W WO2022156920
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507179346
【氏名又は名称】ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,ダニエル・アール
(72)【発明者】
【氏名】レフィーバー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】モリソン,ラリー
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043BA16
2G043CA05
2G043EA01
2G043FA02
2G043HA01
2G043JA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
(57)【要約】
本開示は、生物学的検体(例えば、生物学的試料に由来する単一の連続組織切片)を、染色をストリッピングすることも、生物学的検体の染色された連続組織切片の異なる画像を評価することも必要とせずに、同じ生物学的検体を1つ又は複数の検出可能部分で同時に標識しながら、1つ又は複数の日常的及び/又は特殊スタチン(statin)で染色する方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ又は複数の従来の色素で染色された生物学的検体に関し、生物学的検体は、1つ又は複数の検出可能部分で標識された1つ又は複数のバイオマーカーをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に配置された生物学的検体内の1つ又は複数の標的を可視化する方法であって、
(a)第1のバイオマーカーを、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有する第1の検出可能部分で標識すること;及び
(b)約400nm~約700nmの1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する少なくとも1つの従来の色素で前記基材上に配置された前記生物学的検体を染色することであって、前記第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と前記1つ又は複数の従来の色素の前記1つ又は複数のピーク吸光度波長とが少なくとも20nm離れている、前記生物学的検体を染色すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約150nm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約100nm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約70nm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の従来の色素がヘマトキシリンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ又は複数の従来の色素がエオシンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ又は複数の従来の色素がヘマトキシリン及びエオシンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の従来の色素が、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のバイオマーカーを前記第1の検出可能部分で標識することが、(a)前記生物学的検体を抗バイオマーカー一次抗体と接触させること;(b)前記生物学的検体を、前記抗バイオマーカー一次抗体に特異的な抗特異的(anti-specifies)二次抗体と接触させることであって、抗種(anti-species)抗体が、少なくとも1つの酵素に直接的又は間接的にコンジュゲートされている、抗特異的二次抗体と接触させること;並びに、(c)前記生物学的検体を、(i)前記第1の検出可能部分、及び(ii)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体を含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させること、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のバイオマーカーを前記第1の検出可能部分で標識することが、(a)前記生物学的検体を抗バイオマーカー一次抗体と接触させること;(b)前記生物学的検体を、前記抗バイオマーカー抗体に特異的な抗特異的(anti-specifies)二次抗体と接触させることであって、抗種(anti-species)抗体が、少なくとも1つの酵素に直接的又は間接的にコンジュゲートされている、抗特異的二次抗体と接触させること;(c)前記生物学的検体を、(i)クリックケミストリー反応に関与することができる一対の反応性官能基の第1のメンバー、及び(ii)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体を含む第1の組織反応性コンジュゲートと接触させること;並びに、(d)前記生物学的検体を、(i)前記第1の検出可能部分、及び(ii)前記一対の反応性官能基の第2のメンバーを含む検出可能なコンジュゲートと接触させること、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のバイオマーカーがタンパク質バイオマーカーである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のバイオマーカーが、PD-L1、PD-1、Ki-67、CD3、CD8、Ki67、CD5、CD20、パンサイトケラチン、HER2、ER、PR、p16、p63、p40、TTF-1、ナプシンA、シナプトフィシン、及びMART-1/MelanAからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のバイオマーカーが核酸バイオマーカーである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の検出可能部分が、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
第2の検出可能部分で第2のバイオマーカーを標識することをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約70nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有し、前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の検出可能部分が、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は複数の従来の色素が、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
基材上に配置された生物学的検体内の1つ又は複数の標的を検出する方法であって、
(a)第1のバイオマーカーマーカーを、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択される第1の検出可能部分で標識すること;及び
(b)約400nm~約700nmの1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する少なくとも1つの従来の色素で前記基材上に配置された前記生物学的検体を染色することであって、前記第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と前記1つ又は複数の従来の色素の前記1つ又は複数のピーク吸光度波長とが少なくとも20nm離れている、前記生物学的検体を染色すること
を含む、方法。
【請求項22】
前記第1の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の検出可能部分が、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の検出可能部分が、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の検出可能部分が、約670nm超のピーク吸光度波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の検出可能部分が、約700nm超のピーク吸光度波長を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の検出可能部分が、約430nm未満であるが約400nm超のピーク吸光度波長を有し、前記1つ又は複数の従来の色素の前記1つ又は複数のピーク吸光度波長が、約430nm超である、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の検出可能部分が、約670nm超であるが約400nm未満のピーク吸光度波長を有し、前記1つ又は複数の従来の色素の前記1つ又は複数のピーク吸光度波長が、約670nm未満である、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
第2の検出可能部分で第2のバイオマーカーを標識することをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有し、前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが異なる、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記1つ又は複数の従来の色素が、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の検出可能部分が、
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
【化1-6】
【化1-7】
【化1-8】
【化1-9】
【化1-10】
【化1-11】
(式中、記号
【化2】
は、前記検出可能部分が、検出可能なコンジュゲートの別の部分にコンジュゲートされている部位を指す)
からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であって、前記第1の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有し、前記染色された生物学的検体が、少なくとも1つの従来の色素で染色されており、前記少なくとも1つの従来の色素が、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する、染色された生物学的検体。
【請求項38】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約150nm未満である、請求項37に記載の染色された生物学的検体。
【請求項39】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約100nm未満である、請求項37に記載の染色された生物学的検体。
【請求項40】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約70nm未満である、請求項37に記載の染色された生物学的検体。
【請求項41】
前記少なくとも1つの従来の色素がヘマトキシリンを含む、請求項37に記載の染色された生物学的検体。
【請求項42】
前記少なくとも1つの従来の色素がエオシンを含む、請求項37に記載の染色された生物学的検体。
【請求項43】
前記少なくとも1つの従来の色素がヘマトキシリン及びエオシンを含む、請求項37に記載の染色された生物学的検体。
【請求項44】
前記少なくとも1つの従来の色素が、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37~43のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項45】
前記染色された生物学的検体が、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有し、前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが異なる、請求項1~44のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項46】
前記第2の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項45に記載の染色された生物学的検体。
【請求項47】
前記第2の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項45に記載の染色された生物学的検体。
【請求項48】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項45に記載の染色された生物学的検体。
【請求項49】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項45に記載の染色された生物学的検体。
【請求項50】
前記1つ又は複数の従来の色素が、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の染色された生物学的検体。
【請求項51】
前記染色された生物学的検体が、第3の検出可能部分で標識された第3のバイオマーカーをさらに含み、前記第3の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有し、前記第1の検出可能部分と、前記第2の検出可能部分と、前記第3の検出可能部分とが異なる、請求項45に記載の染色された生物学的検体。
【請求項52】
前記第3の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項51に記載の染色された生物学的検体。
【請求項53】
前記第3の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項51に記載の染色された生物学的検体。
【請求項54】
前記第1の検出可能部分と、前記第2の検出可能部分と、前記第3の検出可能部分とが、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項51に記載の染色された生物学的検体。
【請求項55】
前記第1の検出可能部分と、前記第2の検出可能部分と、前記第3の検出可能部分とが、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項51に記載の染色された生物学的検体。
【請求項56】
第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であって、前記第1の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有し、前記染色された生物学的検体が少なくともヘマトキシリンで染色されている、染色された生物学的検体。
【請求項57】
エオシンでさらに染色されている、請求項56に記載の染色された生物学的検体。
【請求項58】
ヘマトキシリン及びエオシン以外の第3の従来の色素でさらに染色されている、請求項57に記載の染色された生物学的検体。
【請求項59】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約150nm未満である、請求項56に記載の染色された生物学的検体。
【請求項60】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約100nm未満である、請求項56に記載の染色された生物学的検体。
【請求項61】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約70nm未満である、請求項56に記載の染色された生物学的検体。
【請求項62】
前記少なくとも1つの従来の色素がヘマトキシリンを含む、請求項56~61のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項63】
前記少なくとも1つの従来の色素が、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項56~61のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項64】
前記染色された生物学的検体が、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有し、前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが異なる、請求項56~63のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項65】
前記第2の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項64に記載の染色された生物学的検体。
【請求項66】
前記第2の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項64に記載の染色された生物学的検体。
【請求項67】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項64に記載の染色された生物学的検体。
【請求項68】
前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λ
max)を有する、請求項64に記載の染色された生物学的検体。
【請求項69】
第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であって、前記第1の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有し、前記染色された生物学的検体が、可視スペクトル内で検出可能な1つ又は複数の成分を含む少なくとも1つの特殊染色で染色されている、染色された生物学的検体。
【請求項70】
前記特殊染色が、ファンギーソン染色を含む、請求項69に記載の染色された生物学的検体。
【請求項71】
前記特殊染色が、トルジンブルーを含む、請求項69に記載の染色された生物学的検体。
【請求項72】
前記特殊染色が、アルケインブルーを含む、請求項69に記載の染色された生物学的検体。
【請求項73】
前記特殊染色が、マッソントリクロームを含む、請求項69に記載の染色された生物学的検体。
【請求項74】
前記特殊染色が、アザントリクロームを含む、請求項69に記載の染色された生物学的検体。
【請求項75】
前記特殊染色が、抗酸を含む、請求項69に記載の染色された生物学的検体。
【請求項76】
前記第1の検出可能部分が、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択される、請求項69~75のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項77】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約150nm未満である、請求項69~75のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項78】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約100nm未満である、請求項69~75のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項79】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約70nm未満である、請求項69~75のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項80】
前記染色された生物学的検体が、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λ
max)を有し、前記第1の検出可能部分と前記第2の検出可能部分とが異なる、請求項69~79のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項81】
前記第2の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項80に記載の染色された生物学的検体。
【請求項82】
前記第2の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項80に記載の染色された生物学的検体。
【請求項83】
前記第1の検出可能部分が、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択される、請求項80に記載の染色された生物学的検体。
【請求項84】
第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であって、前記第1の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有し、前記染色された生物学的検体が、少なくとも1つの従来の色素で染色されており、前記少なくとも1つの従来の色素が、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有し、前記生物学的検体が、
(i)前記生物学的検体を、前記第1のバイオマーカーに特異的な第1の一次抗体と接触させること;
(ii)前記生物学的検体を、前記第1の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させることであって、前記第1の二次抗体が酵素にコンジュゲートされている、前記第1の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させること;及び
(iii)前記生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)前記第1の検出可能部分を含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させること
によって調製される、染色された生物学的検体。
【請求項85】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約150nm未満である、請求項84に記載の染色された生物学的検体。
【請求項86】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約100nm未満である、請求項84に記載の染色された生物学的検体。
【請求項87】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約70nm未満である、請求項84に記載の染色された生物学的検体。
【請求項88】
前記1つ又は複数の従来の色素がヘマトキシリンを含む、請求項84~87のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項89】
前記1つ又は複数の従来の色素がエオシンを含む、請求項84~87のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項90】
前記1つ又は複数の従来の色素がヘマトキシリン及びエオシンを含む、請求項84~87のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項91】
前記1つ又は複数の従来の色素が、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項84~87のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項92】
前記第1の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項93】
前記第1の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項94】
前記第1の検出可能部分が、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項95】
前記第1の検出可能部分が、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項96】
前記第1の検出可能部分が、約670nm超のピーク吸光度波長を有する、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項97】
前記第1の検出可能部分が、約700nm超のピーク吸光度波長を有する、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項98】
前記第1の検出可能部分が、約430nm未満であるが約400nm超のピーク吸光度波長を有し、前記1つ又は複数の従来の色素の前記1つ又は複数のピーク吸光度波長が、約430nm超である、請求項84~91のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項99】
前記染色された生物学的検体が、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有する、請求項84~98のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項100】
前記染色された生物学的検体が、前記生物学的検体を、前記第2のバイオマーカーに特異的な第2の一次抗体と接触させること;前記生物学的検体を、前記第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させることであって、前記第2の二次抗体が酵素にコンジュゲートされている、前記第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させること;並びに、前記生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)前記第2の検出可能部分を含む第2の検出可能なコンジュゲートと接触させること、によってさらに調製される、請求項99に記載の染色された生物学的検体。
【請求項101】
第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であって、前記第1の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有し、前記染色された生物学的検体が、少なくとも1つの従来の色素で染色されており、前記少なくとも1つの従来の色素が、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有し、前記生物学的検体が、
(i)前記生物学的検体を、前記第1のバイオマーカーに特異的な第1の一次抗体と接触させること;
(ii)前記生物学的検体を、前記第2の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させることであって、前記第1の二次抗体が酵素にコンジュゲートされている、前記第2の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させること;
(iii)前記生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)クリックケミストリー反応に関与することができる第1の反応性官能基を含む第1の組織反応性部分と接触させること;
(iv)前記生物学的検体を、(a)前記第2の検出可能部分;及び(b)第2の反応性官能基を含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させること
によって調製される、染色された生物学的検体。
【請求項102】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約150nm未満である、請求項101に記載の染色された生物学的検体。
【請求項103】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約100nm未満である、請求項101に記載の染色された生物学的検体。
【請求項104】
前記第1の検出可能部分の前記FWHMが約70nm未満である、請求項101に記載の染色された生物学的検体。
【請求項105】
前記1つ又は複数の従来の色素がヘマトキシリンを含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項106】
前記1つ又は複数の従来の色素がエオシンを含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項107】
前記1つ又は複数の従来の色素がヘマトキシリン及びエオシンを含む、請求項101~104のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項108】
前記1つ又は複数の従来の色素が、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項101~104のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項109】
前記第1の検出可能部分が、紫外スペクトル内にある、請求項101~108のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項110】
前記第1の検出可能部分が、赤外スペクトル内にある、請求項101~108のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項111】
前記第1の検出可能部分が、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する、請求項101~110のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項112】
前記第1の検出可能部分が、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する、請求項101~110のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項113】
前記第1の検出可能部分が、約670nm超のピーク吸光度波長を有する、請求項101~110のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項114】
前記第1の検出可能部分が、約700nm超のピーク吸光度波長を有する、請求項101~110のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項115】
前記第1の検出可能部分が、約430nm未満であるが約400nm超のピーク吸光度波長を有し、前記1つ又は複数の従来の色素の前記1つ又は複数のピーク吸光度波長が、約430nm超である、請求項101~110のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項116】
前記染色された生物学的検体が、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、前記第2の検出可能部分が、約200nm未満のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λ
max)を有する、請求項101~115のいずれか一項に記載の染色された生物学的検体。
【請求項117】
前記染色された生物学的検体が、前記生物学的検体を、前記第1のバイオマーカーに特異的な第2の一次抗体と接触させること;前記生物学的検体を、前記第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させることであって、前記第2の二次抗体が酵素にコンジュゲートされている、前記第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させること;前記生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)クリックケミストリー反応に関与することができる第1の反応性官能基を含む第2の組織反応性部分と接触させること;前記生物学的検体を、(a)前記第2の検出可能部分;及び(b)第2の反応性官能基を含む第2の検出可能なコンジュゲートと接触させること、によってさらに調製される、請求項116に記載の染色された生物学的検体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月25日に出願された米国仮特許出願第63/141,091号の出願日の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本出願は、生物学的検体を1つ又は複数の従来の色素で染色し、生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーを1つ又は複数の検出可能部分で標識する方法に関し、従来の色素による染色及び1つ又は複数の検出可能部分によるバイオマーカーの標識は、同じ生物学的検体上で行われる。
【背景技術】
【0003】
開示の背景
免疫組織化学(IHC)は、特定の抗原に特異的な抗体を使用して、生物学的試料中のタンパク質等の抗原を検出、局在化、及び/又は定量化するプロセスを指す。IHCは、特定のタンパク質が生物学的試料内のどこにあるかを正確に特定するという実質的な利点を提供する。組織自体を調べるのにも効果的な方法である。in situハイブリダイゼーション(ISH)は、核酸を検出、局在化、及び定量化するプロセスを指す。IHCとISHは両方とも、組織(例えば新鮮凍結、ホルマリン固定、パラフィン包埋)及び細胞学的試料等のさまざまな生物学的試料に対して実施することができる。標的の認識は、標的が核酸であるか抗原であるかに関わらず、様々な標識(例えば、発色性、蛍光性、発光性、放射性)を使用して検出することができる。臨床現場で標的を確実に検出し、場所を特定し、定量化するには、診断目的で存在量の少ない細胞マーカーを確実に検出する機能がますます重要になるため、認識イベントの増幅が望まれている。例えば、単一の抗原検出イベントに応答してマーカーの部位に数百又は数千の標識分子を堆積させると、増幅を通じて、その認識イベントを検出する能力が増強される。
【0004】
有害事象は、増大したバックグラウンドシグナルとして明らかな非特異的シグナル等の増幅を伴うことが多い。増加したバックグラウンドシグナルは、低いが臨床的に重要な発現に関連し得るかすかなシグナルを不明瞭にすることによって臨床分析を妨げる。したがって、認識事象(recognition event)の増幅が望ましいが、バックグラウンドシグナルの増加を制限する増幅方法が非常に望ましい。そのような方法の1つはチラミドシグナル増幅(TSA)であり、これは触媒レポーター堆積(CARD)とも呼ばれている。米国特許第5,583,001号は、検出可能な標識シグナルを増幅するために触媒レポーター堆積に依存する分析物依存性酵素活性化システムを使用して分析物を検出及び/又は定量する方法を開示している。TSAを利用する方法は、有意なバックグラウンドシグナル増幅をもたらさずに、IHCアッセイ及びISHアッセイから得られるシグナルを効果的に増加させる(例えば、チラミド増幅試薬に関する開示についてその全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2012/0171668号を参照されたい)。これらの増幅アプローチのための試薬は、堅牢な診断能力を提供するために臨床的に重要な標的に適用されている。
【0005】
TSAは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とチラミドとの間の反応を利用する。H2O2の存在下で、チラミドは、タンパク質上の電子に富むアミノ酸残基と優先的に反応する高度に反応性で短命のラジカル中間体に変換される。ラジカル中間体の寿命が短いと、生成部位に近接した組織上のタンパク質にチラミドが共有結合し、離散的かつ特異的なシグナルを与える。次いで、共有結合した検出可能な標識を、種々の発色可視化技術及び/又は蛍光顕微鏡法によって検出することができる。
【0006】
2015年2月20日の国際出願日を有する「Quinone Methide Analog Signal Amplification」と題する同時係属出願PCT/EP2015/053556は、TSAのように、バックグラウンドシグナルを増加させることなくシグナル増幅を増加させるために使用することができる代替技術(「QMSA」)を記載している。実際、PCT/EP2015/053556は、新規なキノンメチド類縁体前駆体、及び生物学的試料中の1つ又は複数の標的を検出する際にキノンメチド類縁体前駆体を使用する方法を記載している。そこでは、検出方法は、試料を検出プローブと接触させるステップ、次いで試料を酵素を含む標識コンジュゲートと接触させる工程を含むものとして記載される。酵素は、検出可能な標識を含むキノンメチド類縁体前駆体と相互作用して反応性キノンメチド類縁体を形成し、これが標的の近位又は直接に生物学的試料に結合する。次いで、検出可能な標識が検出される。
【発明の概要】
【0007】
開示の簡単な概要
単一の生物学的試料に由来する異なる連続組織切片は、生物学的検体を1つ又は複数の従来の色素(例えば、ヘマトキシリン及びエオシン)で染色するとき、及び1つ又は複数のバイオマーカーの存在のために伝統的に使用される。例えば、第1の連続組織切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色して、生物学的検体の形態学的特徴を同定することができ;一方で、第2の連続組織切片中の1つ又は複数のバイオマーカーは、IHCアッセイ又はISHアッセイにおいて1つ又は複数の色素原又は蛍光団で標識され得る。異なる連続組織切片の使用の結果として、異なる染色された連続組織切片間には、正確な細胞間相関及び特徴間相関はない。
【0008】
異なる連続組織切片の使用を避けるために、本明細書にそれぞれ記載される日常的染色及び/又は特殊染色を生物学的検体に適用し、撮像し、次いで生物学的検体からストリッピングすることができる。続いて、日常的染色又は特殊染色をストリッピングした同じ生物学的検体を、1つ又は複数のバイオマーカーの存在について染色し、次いで再撮像することができる。これは実現可能であるが、そのようなプロセスは、生成された任意の2つの画像内で評価のために同じ領域を再位置合わせする必要性を含む、かなりの時間及び労力を追加する。
【0009】
本出願人は、染色剤をストリッピングすることも、生物学的検体の染色された連続組織切片の異なる画像を評価することも必要とせずに、同じ生物学的検体を1つ又は複数の検出可能部分で同時に標識しながら、生物学的検体(例えば、生物学的試料に由来する単一の連続組織切片)を1つ又は複数の日常的及び/又は特殊染色(statin)で染色する方法を開発した。本出願人は、別個の連続組織切片が同じ細胞、細胞の一部又は組織形態を含まないので、本明細書に記載の方法が、別個の連続組織切片を有する別個のスライドの使用よりも正確な染色された生物学的検体の評価を提供することを提出する。
【0010】
上記を考慮して、いくつかの実施形態では、本開示は、1つ又は複数の従来の色素で染色された生物学的検体(例えば、基材上に配置された単一の生物学的検体)に関し、生物学的検体は、1つ又は複数の検出可能部分で標識された1つ又は複数のバイオマーカーをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、本明細書に記載されるように、可視スペクトル外のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。適切な検出可能部分の非限定的な例は、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、紫外スペクトル又は赤外スペクトルのいずれかの範囲内にピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、約430nm未満又は約670nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、可視色素であり、すなわち、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有し、例えば、約400nm~約700nmの範囲の1つ又は複数のピーク吸光度波長、例えば、ヒトの眼の明所反応の外側の1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、従来の色素は、ヘマトキシリン及び/又はエオシンである。他の実施形態では、従来の色素は、特殊染色と共に利用される色素を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、可視スペクトル内で検出可能な1つ又は複数の「日常的染色」(例えば、ヘマトキシリン及び/又はエオシン)で基材上に配置された生物学的検体を染色し、可視スペクトル外のピーク吸光度波長をそれぞれ有する1つ又は複数の検出可能部分で生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーをさらに標識する方法に関する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、紫外スペクトル(近紫外スペクトルを含む)又は赤外スペクトル(近赤外スペクトルを含む)のいずれかの範囲内にピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分はそれぞれ、約430nm未満又は約670nm超のピーク吸光度波長を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、光学顕微鏡法のための可視スペクトル内で一般に検出可能である1つ又は複数の「特殊染色」(例えば、鉄、ムチン、グリコーゲン、アミロイド、核酸などのための染色)で、基材上に配置された生物学的検体を染色し、生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーを、それぞれが特殊染色のスペクトルの一部(複数可)の外側にあるピーク吸光度波長を有する1つ又は複数の検出可能部分でさらに標識する方法にも関する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、紫外スペクトル(近紫外スペクトルを含む)又は赤外スペクトル(近赤外スペクトルを含む)のいずれかの範囲内にピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分はそれぞれ、約430nm未満又は約670nm超のピーク吸光度波長を有する。
【0013】
本開示の第1の態様は、基材上に配置された生物学的検体内の1つ又は複数の標的を可視化する方法であって、第1のバイオマーカーを、約430nm未満又は約670nm超のいずれかの吸光度最大値(λmax)を有する第1の検出可能部分で標識すること;及び約400nm~約700nmの1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する少なくとも1つの従来の色素で基材上に配置された生物学的検体を染色することを含み、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とが、少なくとも20nm離れている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約190nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約180nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約170nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約160nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約140nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約130nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約120nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約110nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約90nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約80nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約60nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約50nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約40nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約60nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約50nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約40nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも10nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも15nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも20nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも25nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも30nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも35nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも40nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも45nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも50nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも55nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも60nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも70nm離れている。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とは、少なくとも80nm離れている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素はエオシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン及びエオシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーを第1の検出可能部分で標識することは、(a)生物学的検体を抗バイオマーカー一次抗体と接触させること;(b)生物学的検体を、抗バイオマーカー一次抗体に特異的な抗特異的(anti-specifies)二次抗体と接触させることであって、抗種(anti-species)抗体が、少なくとも1つの酵素に直接的又は間接的にコンジュゲートされている、抗特異的二次抗体と接触させること;並びに、(c)生物学的検体を、(i)第1の検出可能部分、及び(ii)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体を含む検出可能なコンジュゲートと接触させること、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーを第1の検出可能部分で標識することは、(a)生物学的検体を抗バイオマーカー一次抗体と接触させること;(b)生物学的検体を、抗バイオマーカー抗体に特異的な抗特異的(anti-specifies)二次抗体と接触させることであって、抗種(anti-species)抗体が、少なくとも1つの酵素に直接的又は間接的にコンジュゲートされている、抗特異的二次抗体と接触させること;(c)生物学的検体を、(i)クリックケミストリー反応に関与することができる一対の反応性官能基の第1のメンバー、及び(ii)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体を含む第1の組織反応性コンジュゲートと接触させること;並びに、(d)生物学的検体を、(i)第1の検出可能部分、及び(ii)一対の反応性官能基の第2のメンバーを含む検出可能なコンジュゲートと接触させること、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーはタンパク質バイオマーカーである。いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーは、PD-L1、PD-1、Ki-67、CD3、CD8、Ki67、CD5、CD20、パンサイトケラチン、HER2、ER、PR、p16、p63、p40、TTF-1、ナプシンA、シナプトフィシン、及びMART-1/MelanAから選択される。いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーは核酸バイオマーカーである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のバイオマーカーを第2の検出可能部分で標識することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λmax)を有し、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも10nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも15nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも35nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも40nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも45nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも50nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択されるコアを含む。
【0022】
本開示の第2の態様は、基材上に配置された生物学的検体内の1つ又は複数の標的を可視化する方法であって、第1のバイオマーカーのマーカーを、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア、及びクロコネートコアからなる群から選択されるコアを含む第1の検出可能部分で標識すること;及び約400nm~約700nmの1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する少なくとも1つの従来の色素で基材上に配置された生物学的検体を染色することを含み、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長とが、少なくとも20nm離れている。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、赤外スペクトル内にある。
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約670nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約700nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約430nm未満であるが約400nm超のピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長は、約430nm超である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約670nm超であるが約700nm未満のピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長は、約670nm未満である。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のバイオマーカーを第2の検出可能部分で標識することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λmax)を有し、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
からなる群から選択される。
式中、記号
【0038】
【0039】
は、検出可能部分が、検出可能なコンジュゲートの別の部分にコンジュゲートされている部位を指す。
本開示の第3の態様は、第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体(例えば、単一の染色された連続組織切片)であり;第1の検出可能部分は、約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有し;染色された生物学的検体は、少なくとも1つの従来の色素で染色されており、少なくとも1つの従来の色素は、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約60nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約50nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約40nm未満である。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの従来の色素は、ヘマトキシリンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの従来の色素は、エオシンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの従来の色素は、ヘマトキシリン及びエオシンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの従来の色素は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0042】
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λmax)を有し、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。
【0043】
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、第3の検出可能部分で標識された第3のバイオマーカーをさらに含み、第3の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λmax)を有し、第1の検出可能部分と、第2の検出可能部分と、第3の検出可能部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第3の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第3の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と、第2の検出可能部分と、第3の検出可能部分とは、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と、第2の検出可能部分と、第3の検出可能部分とは、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。
【0044】
本開示の第4の態様は、第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体(例えば、単一の連続組織切片)であり;第1の検出可能部分は、約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有し;染色された生物学的検体は、少なくともヘマトキシリンで染色されている。いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、エオシンでさらに染色される。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約60nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約50nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約40nm未満である。
【0046】
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、ヘマトキシリン及びエオシン以外の少なくとも1つの従来の色素でさらに染色される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの従来の色素は、ヘマトキシリンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの従来の色素は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λmax)を有し、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも20nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは、少なくとも30nm離れている最大吸光度(λmax)を有する。
【0048】
本開示の第5の態様は、第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体(例えば、単一の連続組織切片)であり;第1の検出可能部分は、約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有し;染色された生物学的検体は、可視スペクトル内で検出可能な1つ又は複数の成分を含む少なくとも1つの特殊染色で染色されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約60nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約50nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約40nm未満である。
【0050】
いくつかの実施形態では、特殊染色は、ファンギーソン染色である。いくつかの実施形態では、特殊染色は、トルジンブルーを含む。いくつかの実施形態では、特殊染色は、アルケインブルーを含む。いくつかの実施形態では、特殊染色は、マッソントリクロームを含む。いくつかの実施形態では、特殊染色は、アザントリクロームを含む。いくつかの実施形態では、特殊染色は、抗酸を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超のいずれかの最大吸光度(λmax)を有し、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第2の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア及びクロコネートコアからなる群より選択される。
【0052】
本開示の第6の態様は、第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であり、第1の検出可能部分は、約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有し;染色された生物学的検体は、少なくとも1つの従来の色素で染色されており、少なくとも1つの従来の色素は、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有し、生物学的検体は、生物学的検体を、第1のバイオマーカーに特異的な第1の一次抗体と接触させること;生物学的検体を、第1の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体は酵素にコンジュゲートされている、第1の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させること;並びに、生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)第1の検出可能部分を含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させることによって調製される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約60nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約50nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約40nm未満である。
【0054】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素はエオシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン及びエオシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約670nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約700nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約430nm未満であるが約400nm超のピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長は、約430nm超である。
【0056】
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、生物学的検体を、第2のバイオマーカーに特異的な第2の一次抗体と接触させること;生物学的検体を、第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体は酵素にコンジュゲートされている、第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させること;並びに、生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)第2の検出可能部分を含む第2の検出可能なコンジュゲートと接触させることによって調製される。
【0057】
本開示の第7の態様は、第1の検出可能部分で標識された第1のバイオマーカーを含む基材上に配置された染色された生物学的検体であり、第1の検出可能部分は、約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有し;染色された生物学的検体は、少なくとも1つの従来の色素で染色されており、少なくとも1つの従来の色素は、可視スペクトル内に1つ又は複数のピーク吸光度波長を有し、生物学的検体は、生物学的検体を、第1のバイオマーカーに特異的な第1の一次抗体と接触させること;生物学的検体を、第1の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させることであって、第1の二次抗体は酵素にコンジュゲートされている、第1の一次抗体に特異的な第1の二次抗体と接触させること;生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)クリックケミストリー反応に関与することができる第1の反応性官能基を含む第1の組織反応性部分と接触させること;生物学的検体を、(a)第1の検出可能部分;及び(b)第2の反応性官能基を含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させることによって、調製される。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約60nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約50nm未満である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分のFWHMは、約40nm未満である。
【0059】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素はエオシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン及びエオシンを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、紫外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、赤外スペクトル内にある。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約670nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約700nm超のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、約430nm未満であるが約400nm超のピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の従来の色素の1つ又は複数のピーク吸光度波長は、約430nm超である。
【0061】
いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、第2の検出可能部分で標識された第2のバイオマーカーをさらに含み、第2の検出可能部分は、約200nm未満(例えば、約150nm未満、約100nm未満、約70nm未満など)のFWHM及び約430nm未満又は約670nm超の最大吸光度(λmax)を有する。いくつかの実施形態では、染色された生物学的検体は、生物学的検体を、第1のバイオマーカーに特異的な第2の一次抗体と接触させること;生物学的検体を、第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させることであって、第2の二次抗体は酵素にコンジュゲートされている、第2の一次抗体に特異的な第2の二次抗体と接触させること;生物学的検体を、(a)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類似体;及び(b)クリックケミストリー反応に関与することができる第1の反応性官能基を含む第2の組織反応性部分と接触させること;生物学的検体を、(a)第2の検出可能部分;及び(b)第2の反応性官能基を含む第2の検出可能なコンジュゲートと接触させることによって、調製される。
【0062】
本特許又は出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。この特許又は特許出願の出版物のカラー図面付きのコピーは、要求と必要な料金の支払いに応じて庁に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1A】
図1A及び
図1Bは、本開示の一実施形態による、生物学的試料中の1つ又は複数の従来の色素及び1つ又は複数の検出可能部分で標識された1つ又は複数のバイオマーカーに対応するシグナルを検出する方法を示す。
【
図1B】
図1A及び
図1Bは、本開示の一実施形態による、生物学的試料中の1つ又は複数の従来の色素及び1つ又は複数の検出可能部分で標識された1つ又は複数のバイオマーカーに対応するシグナルを検出する方法を示す。
【
図2A】
図2Aは、本開示の一実施形態による、検出可能部分で生物学的検体中の1つ又は複数のバイオマーカーを標識する方法を示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示の一実施形態による、検出可能部分で生物学的検体中の1つ又は複数のバイオマーカーを標識する方法を示す。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による、(i)検出可能部分、及び(ii)チラミド部分、チラミド部分の誘導体、キノンメチド部分、又はキノンメチド部分の誘導体を含む検出可能なコンジュゲートを利用する、生物学的試料中の1つ又は複数の従来の染色及び1つ又は複数の検出可能部分で標識された1つ又は複数のバイオマーカーに対応するシグナルを検出する方法を示す。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態によるキノンメチド部分を含むコンジュゲートの堆積を示す。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態によるチラミド部分を含むコンジュゲートの堆積を示す。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による、(i)検出可能部分、及び(ii)クリックケミストリー反応に関与することができる反応性官能基を含む検出可能なコンジュゲートを利用する、生物学的試料中の1つ又は複数の従来の染色及び1つ又は複数のバイオマーカーに対応するシグナルを検出する方法を示す。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態によるキノンメチド部分を含むコンジュゲートの堆積を示す。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態によるチラミド部分を含むコンジュゲートの堆積を示す。
【
図9】
図9は、ヘマトキシリン及びエオシンの吸光度及び対応する視覚応答を示し、ヘマトキシリン及びエオシンが可視スペクトルにわたって吸収するが、吸光度は深青色/UVで減少し、近IRで最小であることを示す。
【
図11】
図11は、ヘマトキシリン+エオシン(「H&E」)で染色し、Cy7(シアニン7)色素原を使用してシナプトフィジンの存在についてIHCアッセイで染色した、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)正常膵臓組織を透過した光のモノクロ画像を示す図である。左側の画像は513nm LEDで照射され、吸光度は主にエオシンに起因する。中央の画像は620nm LEDで照射され、吸光度は主にヘマトキシリンに起因する。右側の画像は770nm LEDで照射され、吸光度は主にCy7に起因し、シナプトフィジン発現を示す。
【
図12】
図12は、シナプトフィジンIHC(Cy7色素原を使用)及びH&Eの両方で染色したFFPE正常膵臓組織のカラー合成画像を提供する。左側の合成画像は、顕微鏡の接眼鏡を通して白色光下で見たときの視覚的外観を模倣する513 nm(主にエオシンによって吸収される)及び620nm(主にヘマトキシリンによって吸収される)で透過した光から形成される。右側の合成画像は、左側のH&E合成画像に、770nmで透過した(Cy7によって吸収される)シナプトフィジン発現を示す不可視光を加えることによって形成される。
【
図13】
図13は、DCC色素原を使用したCD20 IHC、Cy7色素原を使用したCD 8 IHC、及びH&Eで染色したFFPE扁桃組織を透過した光のモノクロ画像を示す。左上の画像は513nm LEDで照射され、吸光度は主にエオシンに起因する。右上の画像は620nm LEDで照射され、吸光度は主にヘマトキシリンに起因する。左下の画像は415nm LEDで照射され、吸光度は主にDCCに起因し、CD20発現を示す。右下の画像は770nm LEDで照射され、吸光度は主にCy7に起因し、CD8発現を示す。
【
図14】
図14は、DCC色素原を使用したCD20 IHC、Cy7色素原を使用したCD8 IHC、及びH&Eで染色したFFPE扁桃組織のカラー合成画像を示す。左側の合成画像は、顕微鏡の接眼鏡を通して白色光下で見たときの視覚的外観を模倣する513 nm(主にエオシンによって吸収される)及び620nm(主にヘマトキシリンによって吸収される)で透過した光から形成される。中央の合成画像は、左側のH&E合成画像に、415nmで透過し(主にDCCによって吸収される)CD20発現を示す不可視光(擬似的に色付けされた黒色)を加えることによって形成される。右側の合成画像は、左側のH&E合成画像に、770nmで透過した(Cy7によって吸収される)CD8発現を示す不可視光(疑似的に色付けされた黒色)を加えることによって形成される。
【
図15】
図15は、DCC色素原を使用したCD20 IHC、Cy7色素原を使用したCD8 IHC、及びH&Eで染色したFFPE扁桃組織の吸光度スペクトルを提供し、DCC及びCy7吸光度が、強いヘマトキシリン及びエオシン吸光度から十分に分離され、区別可能であることを示す。
【
図16】
図16は、HCCA色素原を使用したCD3 IHC、Cy7色素原を使用したCD8 IHC、及びH&Eで染色したFFPE結腸腫瘍組織を透過した光のモノクロ画像を示す。左上の画像は390nm LEDで照射され、吸光度は主にHCCAに起因し、CD3発現を示す。右上の画像は770nm LEDで照射され、吸光度はCy7に起因し、CD8発現を示す。左舌の画像は513nm LEDで照射され、吸光度は主にエオシンに起因する。右上の画像は620nm LEDで照射され、吸光度は主にヘマトキシリンに起因する。
【
図17】
図17は、HCCA色素原を使用したCD3 IHC、Cy7色素原を使用したCD8 IHC、及びH&Eで染色したFFPE結腸腫瘍組織のカラー合成画像を示す。左上の合成画像は、顕微鏡の接眼鏡を通して白色光下で見たときの視覚的外観を模倣する513 nm(主にエオシンによって吸収される)及び620nm(主にヘマトキシリンによって吸収される)で透過した光から形成される。右上の合成画像は、H&E合成画像に、390nmで透過し(主にHCCAによって吸収される)CD3発現を示す不可視光(擬似的に色付けされた黒色)を加えることによって形成される。H&E吸光度を低下させてCD3染色とのコントラストを改善する。左下の合成画像は、H&E合成画像に、770nmで透過した(Cy7によって吸収される)CD8発現を示す不可視光(疑似的に色付けされた黒色)を加えることによって形成される。H&E吸光度を減少させてCD3染色とのコントラストを改善する。右下の合成画像は、CD3モノクロ画像(擬似的に色付けされたマゼンタ色)と、CD8モノクロ画像(擬似的に色付けされたシアン色)とを組み合わせることによって形成された場合、CD3+/CD8-細胞をマゼンタとして表示し、CD3+/CD8+細胞をCD3及びCD8の共発現に起因して青色の加法色として表示する。CD8はt細胞上で単独で発現されないので、シアン細胞がないことに留意されたい。
【
図18】
図18は、Cy7色素原を使用したERBB2(HER2)IHC及びH&Eで染色したFFPE乳房腫瘍異種移植片に記録した、異なるカラー画像の不透明度を有する2カメラシステムを使用したカラーカメラ(可視白色光照明)及びモノクロカメラ(770nm LED照明)画像のオーバーレイを示す。左から右へのオーバーレイ画像は、100%のカラー画像不透明度(H&E染色のみが見える)から、2つの中間レベルの不透明度で、0%のカラー画像不透明度(Cy7染色のみが見え、ERBB2発現を同定する)まで進行する。
【
図19】
図19は、従来のパパニコロウ(PAP)染色で染色した子宮頸部細胞診検体の吸光度スペクトルを提供し、PAP染色は可視スペクトルにわたって吸収するが、吸光度は深青色/UVで減少し、近IRでは最小であることを示す。
【
図20】
図20は、2カメラシステムで記録された、DCC色素原を使用したKi67 IHC、Cy7色素原を使用したp16 IHC、及びPAP染色で染色された子宮頸部細胞診検体の画像を示す。左上の画像は、PAP染色を示す白色光照射下でカラーカメラを用いて記録された。上部中央画像は、吸光度が主にDCCに起因し、Ki67発現を示す、405nm LEDで照明されたモノクロカメラを用いて記録された。右上の画像は、吸光度がCy7に起因し、p63発現を示す、770nm LEDで照明したモノクロカメラを用いて記録された。画像の右下象限における細胞の長いクラスタは、異常を示すKi67及びp16の両方の発現を示す。下の画像は、Ki67及びp16画像を擬似着色と組み合わせることによって構築されたカラー合成である。左下の画像は、Ki67擬似着色マゼンタ及びp16擬似着色シアンを示す。異常細胞はより暗く、各細胞における相対的発現レベルに応じてマゼンタから青(加法色)からシアンまでの色の範囲である。右下の画像は、Ki67擬似着色赤及びp16擬似着色を示し、従来の色素原を使用した市販のアッセイの視覚的色を模倣している。
【
図21】
図21は、2カメラシステムで記録された、DCC色素原を使用したKi67 IHC、Cy7色素原を使用したp16 IHC、及びPAP染色で染色された子宮頸部細胞診スライドの画像を提供する。左上の画像は、PAP染色を示す白色光照射下でカラーカメラを用いて記録された。上部中央画像は、吸光度が主にDCCに起因し、Ki67発現を示す、405nm LEDで照明されたモノクロカメラを用いて記録された。右上の画像は、吸光度がCy7に起因し、p63発現を示す、770nm LEDで照明したモノクロカメラを用いて記録された。画像の中央左部分の4つの細胞のクラスターは、異常を示すKi67及びp16の両方の発現を示す。
【
図22】
図22は、いくつかの従来の色素、例えば、Acid Fast Bacteria(AFB)、Trichrome Blue(Tri Blue)、Trichrome Green(Tri Green)、Jones H&E Jones HE)及びJones Light Green(Jones LG)を含む特殊染色に使用される従来の色素の吸光度スペクトルを示す。
【
図23】
図23は、2カメラシステムで記録された、Cy7色素原を使用してMART-1/メランAを標的とするIHC及びH&Eの両方で染色されたメラノーマFFPE組織の画像を示す。左側の画像は、H&E染色及び褐色メラニン色素の存在を示す白色光照明下でカラーカメラで記録されている。右側の画像は、770nm LEDで照明されたモノクロカメラで記録されており、MART 1/メラニンA染色及びメラニン干渉の減少を示している。
【
図24】
図24は、2カメラシステムで記録された、Cy7色素原を使用したISH標的化カッパmRNA及びH&Eの両方で染色されたFFPE扁桃組織の画像を示す。左側の画像は、H&E染色を示す白色光照射下でカラーカメラを用いて記録されている。右側の画像は、770nm LEDで照明されたモノクロカメラで記録されており、カッパmRNAの存在を示している。
【
図25】
図25は、上の対の画像でCy7-キノンメチド色素原を使用し、下の対の画像でAMCA-チラミド色素原を使用して、CD8 IHCで染色した扁桃FFPE組織の画像を示す。2カメラシステムを使用して、白色光照明下でカラーカメラで記録された画像が左側に提示され、Cy7が吸収する770nm照明を使用してモノクロカメラで記録された画像が右側に提示され、異なる色素原化学を利用して不可視の色素原を堆積させるすることができることを示している(注-クリックケミストリー及びチラミドを使用した他の例-アルキンクリックパートナー)。
【
図26A】
図26Aは、単一のモノクロカメラによるマルチスペクトル撮像を示すフローチャートを提供する。異なる波長のいくつかの照明チャネルは、(1)連続光源(例えば、タングステン、キセノン、水銀、メタルハライドランプ)及び検体に適用された各色素原又は色素の吸光度に合わせた光の帯域を通過するように選択された光学フィルタ、及び/又は(2)発光帯域を色素原及び色素の吸光度に同様に合わせた発光ダイオード(LED)によって提供され、光学フィルタの有無にかかわらずLED発光をさらに規定する。隣接する色素原の中間の波長の追加の光チャネルは、オーバーサンプリングに使用され得る。スライドマウントされた検体を顕微鏡ステージ上に置き、所望の光チャネルで、又は連続光源からの白色光で、又は白色光を模倣するLEDの組み合わせで観察し、撮像のために顕微鏡視野を選択する(ステップ1)。このプロセスでは、カメラのダイナミックレンジを利用するために、光チャネル強度及びカメラ露光時間が選択される(ステップ2)。次に、検体を透過した光のモノクロ画像を光チャネルごとに記録しながら、検体に所望の光チャネルを順次照射する(ステップ3)。単一の顕微鏡視野よりも大きい領域、例えば検体全体又はスライド走査全体が記録されている場合、ステージは所望の領域内の隣接する視野(複数可)に移動され、順次の照明及び撮像が繰り返される。ステージ移動、照明、及び撮像は、コンピュータによって調整され、単一の顕微鏡視野又はより大きな検体全体又はスライド領域全体の自動的に記録されたマルチスペクトル画像が生成され得る(ステップ4)。フラットフィールド(顕微鏡視野にわたる照度差を補正する)又は透過及び吸光度画像の計算のために、同じ光強度及び露光時間でスライドの空白領域(組織なし)又は染色されていない組織検体に対して撮像手順が繰り返される(ステップ5)。空白画像は検体の撮像の前又は後に記録されてもよく、又は前後で実施して空白画像を平均化してもよい。次いで、「画像処理及び合成画像形成」フローチャート(
図26E)に要約されているように、画像が処理される(ステップ6)。
【
図26B】
図26Bは、単一のモノクロカメラを利用するマルチスペクトル撮像システムの概略図を提供する。
【
図26C】
図26Cは、カラー及びモノクロカメラによるデュアルカメラの観察及び撮像を説明するフローチャートを提供する。デュアルカメラシステムで画像を観察及び記録するには、検体スライドを顕微鏡ステージ上に配置し(ステップ1)、白色光及び所望の不可視照明チャネルをオンにする(ステップ2)。従来の染色のライブカラー画像及びモノクロバイオマーカー画像をコンピュータモニタ上で同時に観察し(ステップ3)、最適な露光のための画像取得時間を選択する(ステップ4)。2つの画像を重ね合わせることができ(任意)、不透明度を調整して、モノクロ画像及びカラー画像の両方で同じ細胞を識別し、従来の染色の全コンテキスト内でバイオマーカー発現を観察することができる(ステップ5)。臨床検体に対して病理学者が一般的に行うように、従来の染色とバイオマーカーの両方をコンピュータモニタで観察し、従来の染色を直接、接眼鏡を通して見るという追加の選択肢を用いて、手動段階の動きで完全な検体を評価することができる(ステップ6)。個々の検体視野のカラー画像及びモノクロ画像は、アーカイブ目的、合成画像形成、及び/又は定量分析のために記録され得る(ステップ7)。「画像処理及び合成画像形成」フローチャート(
図26E)に例示されるように画像処理を行ってもよい。
【
図26D】
図26Dは、カラー及びモノクロカメラによるデュアルカメラの観察及び撮像の概略図である。デュアルカメラシステムは、1つのカラーと1つのモノクロの2つのカメラを利用して、可視スペクトル内の光を吸収する従来の染色と、可視スペクトルの外側又は端部の光を吸収するIHC堆積色素原とを、同時に観察及び撮像する。デュアルカメラ手法の鍵は、顕微鏡の照明ポートで広帯域白色光を不可視光帯域と組み合わせ、次いで検体を透過した可視光と不可視光を分離し、可視光をカラーカメラに向け、不可視光をモノクロカメラに向ける能力であると考えられる。
図26Dに示す模式図では、光学フィルタを用いてタングステン連続光源(A)によって白色光を発生させ、UV及び遠赤色光を除去し、可視光のみを透過させる。近IR光を除去するためにフィルタにかけたタングステンランプ発光のスペクトルが含まれる(
図26D、プロットAを参照のこと)。非可視光帯域は、光帯域を狭めるための光学フィルタリングの有無にかかわらずLED、又は単一のバンドパスフィルタ(B)を備えたフィルタホイールと組み合わせたタングステンランプを用いて生成される。可視白色光及び非可視光は、部分反射光学素子(ビームスプリッタ、C)と組み合わされる。深青色/UV及び遠赤色/近IR発光ダイオードのスペクトルが図に含まれている(
図26D、プロットBを参照のこと)。部分反射光学素子の例は、約45°で入射する光の約50%を反射し、約45°で入射する光の約50%を透過する、(本質的に波長に依存しない)中性密度コーティングを有するガラス板である。あるいは、反射素子は、より高い光スループットのために、約45°で入射する可視光の約100%を透過し、約45°で入射するUV光及び遠赤色/近IR光の約100%を反射するように設計されたダイクロイックコーティング(波長依存透過/反射)を有してもよい。このようなビームスプリッタの透過スペクトルは、図中に含まれている(
図26D、プロットCを参照のこと)。検体に向けられる各光帯域の相対量を変更するために、反射器設計において異なる波長での相対反射を制御することができる。検体及び対物レンズを通過した後、光は2つの部分に分割され、各部分は、第1のビームスプリッタと同じスペクトル特性を有し得る別の部分反射光学素子を使用して、異なるカメラに向けられる。約50%の中性密度ビームスプリッタの場合、光の半分はカラーカメラに透過され、半分はモノクロカメラに反射される(本質的に波長に依存しない)。ダイクロイックビームスプリッタの場合、可視光はカラーカメラに透過され、UV及び遠赤色/近IR光はモノクロカメラに反射される。光学フィルタD及びEは、可視光のみがカラーカメラに到達し、UV光及び遠赤色/近IR光のみがモノクロカメラにそれぞれ到達することを確実にするために、中性密度ビームスプリッタと共に必要とされる。カラーカメラ(D)及びモノクロカメラ(E)のフィルタにそれぞれ対応する潜在的な光フィルタ透過スペクトルのプロットが図に示されている(
図26のプロットD及びEを参照のこと)。各カメラによって取得された顕微鏡視野の画像は、コンピュータモニタ上に提示される。画像は、顕微鏡観察者によって接眼鏡を通して見たときの色で見られる可視光と、モノクロ画像として見られる不可視光とが並べて提示されるか、又はオーバーレイされるように、ビデオレートで取得することができる。対眼レンズ(F)での光学フィルタリングにより、タングステン顕微鏡ランプからの可視光のみを透過させ、不可視光を遮断して(
図26D、透過プロットFを参照のこと)、眼をさらに保護して、接眼鏡を通した眼による観察も可能である。あるいは、眼で見ることができない鏡筒に接眼鏡を置き換えてもよい。他の連続光源、例えばキセノン若しくは水銀アークランプ若しくはメタルハライドランプ又は可視LEDの組み合わせを使用することができることに留意されたい。バンドパスフィルタ及びレーザーダイオードで光学的にフィルタリングされた連続光源を含む他の不可視光源を使用することができる。また、いくつかの用途は、各々が異なるバイオマーカー発現パターンを表示する2つのモノクロカメラ、又は各カメラタイプのうちの1つの代わりに異なる光学フィルタリングを有する2つのカラーカメラを使用する。単一のモノクロカメラシステム(
図26A参照)と同様に、複数の単一の顕微鏡視野の画像は、検体全体又はスライド走査全体を含むより大きな関心領域に組み合わせることができる。デュアルカメラシステムは、完全な光スペクトルへのアクセスを提供するために、中性密度ビームスプリッタを用いて、又はビームスプリッタを除去してモノクロカメラのみを利用することによって、又はモノクロカメラの取り付け位置に応じて100%反射ミラーを使用することによって、単一のモノクロカメラシステムとして使用することができる。
【
図26E】
図26Eは、画像の処理及び合成画像へのそれらの合成を示すフローチャートを示す。利用される照明チャネル(λ1、λ2、...λn)の数(n)は、多重IHCにおいて使用される異なる染色(S1、S2、...Sn)の数と最小限に等しく、染色は、色素原及び従来の染色成分(例えばヘマトキシリン及びエオシン)を含む。照明チャネルは、例えば、各染色のピーク吸光度付近に照明チャネルを配置するために、各染色を強調するように選択される。オーバーサンプリングと呼ばれる脱混合を改善するために、吸光度ピークの間に位置する追加のチャネルが追加され得る(
図26Eには示されていない)。第1のステップは、各チャネルで検体を透過した光の画像(検体画像、λ1など)を、対応する空白画像(組織なし又は未染色組織;空白画像、λ1など)で割ることによって、各照明チャネルの透過(T)画像を生成することである。検体画像の画素値は、その位置(I)において検体を透過した光の強度を表し、空白画像の画素値は、その位置(I0)において検体に入射した光の強度を表す。全ての動作は画素単位で行われる。T画像の結果として得られる画素値は、0~1(I/I0)の範囲でなければならず、浮動小数点画素値を必要とする。T画像ピクセルと-1倍したピクセルの対数をとって吸光度(A)画像を得る(A=-log[T])。吸光度は、本明細書では光学密度(OD)とも呼ばれ、ビールの法則に従って濃度に比例し、定量化及びスペクトル脱混合に使用される線形アルゴリズムに必要であるため、価値がある。スペクトル脱混合は、重複する吸光度スペクトルを有する他の染色からのスペクトル寄与を除去することによって、1つの染色のみによる吸光度を含む「純粋な」個々の画像が生成されるプロセスである(重複する吸光度は一般にスペクトルクロストークと呼ばれる)。クロストーク補正後の純粋な染色のこれらの画像は、ここでは脱混合画像(U画像、S1など)と呼ばれる。マルチプレックスのアッセイで使用される様々な染色の吸光度ピークが波長によって十分に分離されている場合は、クロストークは小さすぎて、単一の染色濃度を表す値を提供するために脱混合の必要がない場合があるが、マルチプレックスのオーダーが増加しスペクトル分離が減少すると、脱混合が必要となる。染色濃度に比例するため、画素値が蛍光染色濃度にも比例する蛍光画像と同様に、U画像を定量化に直接使用することができる。スペクトル脱混合手順は、Morrison LE,Lefever MR,Behman LJ,Leibold T,Roberts EA,Horchner UB,Bauer DR(2020)Brightfield Multiplex Immunohistochemistry with Multispectral Imaging.Lab Invest.https://doi.org/10.1038/s41374-020-0429-0及びその中の参考文献に記載されている。U画像は、合成画像を形成するためにさらに使用されてもよい。クロストークが許容され得る合成を提供するのに十分に小さい場合、脱混合前のA画像をコンポジット画像形成に使用することができ、スペクトル脱混合に必要な追加の計算時間及び追加の複雑さが節約される(前のコメントを参照)。各染色に対応するU画像(S1、S2、...Sn)を2回コピーして、最終的な合成画像のR、G、及びB平面に対する各染色の寄与を形成し、このフローチャートではR画像S1、R画像S2、....、G画像S1、G画像S2、....、及びB画像S1、B画像S2、.....とラベル付けされる。各画像コピーには、増幅係数「a」及び色重み付け係数「C」が乗算される。増幅率が1未満であると、最終的な合成画像に対する染色の寄与が減少し、増幅率が1を超えると、合成画像に対する染色の寄与が増加する。色重み付け係数は、合成画像における染色の擬似カラーを提供し、各染色の赤、緑、及び青の成分について0~1の範囲である。例えば、染色1(S1)が擬似着色の赤色である場合、色重み係数は、R画像、G画像、及びB画像をそれぞれ生成するための蛍光様合成画像表現においてCR1=1、CG1=0、及びCB1=0である。明視野様の画像表現の場合、赤色は、CR1=0、CG1=1、及びCB1=1の重み係数、又は、同じ色の蛍光様の重み係数を1から引いたものによって生成される。合成画像の最終的な赤色画像平面(R平面)を作成するために、各染色のR画像が合計される。最終的な緑色画像平面及び青色画像平面(G平面及びB平面)は、各染色のG画像及びB画像をそれぞれ合計することによって同様に作成される。蛍光様の色表現(濃度及び吸光度に比例する値、又はA合成画像)の場合、3つの色平面は、各平面を集合的な3つの色平面の最大値で除算することによってスケーリングすることができる。最終画像は、8ビットカラー画像平面に対して255倍される。明視野色表現(透過又はT合成画像)の場合、合計されたR画像、G画像、及びB画像はそれぞれ-1倍され、逆対数が取られる。最終画像平面は、8ビットカラー画像平面に対して255倍される。
【
図27】
図27は、ムチカルミン特殊染色で染色したFFPE肺組織で記録した吸光度スペクトルを提供し、ムチカルミン染色の吸光度が、深青色/UVスペクトル領域で吸収するiIHC色素原の使用を妨害し得るが、ムチカルミンの吸光度は、遠赤色/近IRスペクトル領域で吸収するiIHC色素原を妨害すべきではないことを示す。
【
図28】
図28は、TTF-1(IR870 iCDC)+p40(Cy7 iCDC)二重iIHC及びムチカルミン特殊染色を用いて同時に染色した肺腫瘍FFPE組織のデュアルカメラシステムで記録した画像を示す。ムチカルミン特殊染色の可視吸光度(左画像)をカラーカメラで記録し、遠赤色/近IR画像(中央及び右画像)をモノクロカメラで記録した。上の画像は腺癌組織で記録され、TTF-1(右画像)及びムチン(TTF-1発現細胞の細胞質のピンク色染色、左画像)の発現を示し、腺癌の割り当てが確認された。下の画像は扁平上皮癌組織で記録され、p40陽性細胞及び最小ムチン産生を示し、扁平上皮癌腫の割り当てが確認された。
【
図29】
図29は、隣接する色素原及び従来の染色からバックグラウンドシグナルを除去するためのスペクトル脱混合を示す。マルチプレックスアッセイで使用される様々な色素の吸光度スペクトルは、有意な重複を有することがあり(例えば、
図10のスペクトルを参照)、単一の染色の吸光度のみを記録することを意図した画像でそれらの吸光度を可視化する。スペクトル脱混合は、このオーバーラップを補正し、干渉信号を低減又は除去するために使用される。これは、スペクトル脱混合前のHCCA及びCy7色素原(それぞれ、図の左側及び右側)の吸光度画像(上の画像)をスペクトル脱混合後の画像(下の画像)と比較することによって分かる。脱混合HCCA画像は、ヘマトキシリン染色核からのシグナルの有意な減少を示す。脱混合Cy7画像は、Cy7が吸収するスペクトル領域においてヘマトキシリンがほとんど吸収しないので、大きな変化を示さない。
【
図30】
図30は、マルチスペクトル撮像及び画像処理:NSCLC ADC FFPE組織+p40/TTF-1二重IHCにおける合成カラー画像及びスペクトル脱混合を示す。パネルA-エオシンが主に光を吸収する510nm及びヘマトキシリンが光を吸収する599nmで記録されたスペクトル脱混合モノクロ透過光画像から形成されたカラー合成画像(モノクロ画像は図示せず)。パネルB及びC-Cy7 CDCが主に光を吸収する769nmでの透過光、染色p40(B)、及びir870 CDCが光を吸収する880nmでの透過光、染色TTF-1(C)のモノクロカメラ画像。パネルE及びF-p40(パネルE)及びTTF-1(パネルF)のスペクトル脱混合画像。パネルD-スペクトル脱混合ヘマトキシリン(図示せず)及びTTF-1(パネルF)画像から形成された2色合成画像。20倍対物レンズを使用して画像を記録した。
【発明を実施するための形態】
【0064】
詳細な説明
本明細書には、検出可能部分、及び1つ又は複数の検出可能部分を含む検出可能なコンジュゲートが開示される。いくつかの実施形態では、開示される検出可能部分は、狭い波長を有し、多重化に適している。
【0065】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「又は」という単語は、文脈が別途明確に指示しない限り、「及び」を含むことを意図している。「含む(includes)」という用語は、「A又はBを含む」がA、B、又はA及びBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
【0066】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、各用語は、「含む、備える(comprising)」という一般的な米国特許法の定義と一致して定義されているため、「少なくとも以下」を意味するオープンな用語として解釈され、また、追加の特徴、制限、態様などを除外しないように解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、及びcを有するデバイス」は、デバイスが少なくとも構成要素a、b、及びcを含むことを意味する。同様に、「ステップa、b、及びcを含む方法」という語句は、方法が少なくともステップa、b、及びcを含むことを意味する。さらに、ステップ及びプロセスは、ここにおいて特定の順序で概説され得るが、当業者は、順序付けのステップ及びプロセスが変化し得ることを認識するであろう。
【0067】
本明細書中で使用される場合、アルカリホスファターゼ(AP)は、リン酸-酸素結合を切断し、一時的に中間の酵素-基質結合を形成することによって、リン酸基有機エステルを(加水分解によって)除去し、転移させる酵素である。例えば、APは、ナフトールホスフェートエステル(基質)をフェノール化合物及びホスフェートに加水分解する。フェノールは、無色のジアゾニウム塩(色素原)に結合して、不溶性の着色したアゾ色素を生成する。
【0068】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語(「Ab」と略記されることがある)は、免疫グロブリン又は免疫グロブリン様分子を指し、例として、限定されるものではないが、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、それらの組み合わせ、並びに任意の脊椎動物における(例えば、ヒト、ヤギ、ウサギ及びマウス等の哺乳動物における)免疫応答中に産生される類似の分子、並びに他の分子への結合を実質的に排除するために、目的の分子(又は目的の非常に類似する分子のグループ)に特異的に結合する抗体断片を指す。抗体は、更に、抗原のエピトープを特異的に認識して結合する少なくとも軽鎖又は重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は、重鎖及び軽鎖で構成されてもよく、それらの各々には可変重(VH)領域及び可変軽(VL)領域と呼ばれる可変領域がある。まとめると、VH領域及びVL領域は、抗体によって認識される抗原を結合することの原因となる。抗体という用語はまた、インタクトの免疫グロブリン、並びに当技術分野でよく知られているそれらの変異体及び部分を含む。
【0069】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、抗体分子又はT細胞受容体等の特異的体液性又は細胞性免疫の産物によって特異的に結合され得る化合物、組成物又は物質を指す。抗原は、例えば、ハプテン、単純な中間代謝産物、糖(例えば、オリゴ糖)、脂質及びホルモン、並びに複合炭水化物(例えば、多糖類)、リン脂質、核酸及びタンパク質等の高分子を含む任意の種類の分子であり得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「生物学的検体」という用語は、限定されないが、細菌、酵母、原虫、及びアメーバ等の単細胞生物、とりわけ多細胞生物(例えば、植物又は動物、例えば、健康若しくは見かけ上健康なヒト対象又は癌等の診断若しくは調査される症状若しくは疾患に罹患しているヒト患者からの試料を含む)を含む任意の生物から得られるか、それによって排出されるか、又はそれによって分泌される任意の固体又は流体試料であり得る。例えば、生物学的検体は、例えば、血液、血漿、血清、尿、胆汁、腹水、唾液、脳脊髄液、房水若しくは硝子体液、又は任意の身体分泌物、浸出液、滲出液(例えば、膿瘍、又は感染若しくは炎症の任意の他の部位から得られた体液)、又は関節から得られた体液(例えば、正常な関節又は疾患に罹患した関節)から得られた生物学的流体であり得る。生物学的検体はまた、任意の器官若しくは組織(腫瘍生検等の生検又は剖検検体を含む)から得られた試料であり得るか、又は任意の細胞、組織若しくは器官によって馴化された細胞(初代細胞又は培養細胞にかかわらず)若しくは培地を含み得る。いくつかの例では、生物学的検体は核抽出物である。特定の例では、試料は、開示された細胞ペレット切片試料の1つ等の品質管理試料である。他の例では、試料は試験試料である。試料は、当業者に公知の任意の方法を用いて調製することができる。試料を、日常的なスクリーニングのための対象から、又は遺伝的異常、感染若しくは新生物等の障害を有することが疑われる対象から得ることができる。開示される方法の記載される実施形態はまた、「正常な」試料と呼ばれる、遺伝的異常、疾患、障害等を有さない試料に適用することができる。試料は、1つ又は複数の検出プローブによって特異的に結合され得る複数の標的を含み得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「コンジュゲート」という用語は、より大きな構築物に共有結合している2つ以上の分子又は部分(高分子又は超分子分子を含む)を指す。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、1つ又は複数の他の分子部分に共有結合された1つ又は複数の生体分子(ペプチド、タンパク質、酵素、糖、多糖類、脂質、糖タンパク質、及びリポタンパク質等)を含む。
【0072】
本明細書で使用される場合、「結合」又は「結合する」という用語は、ある分子又は原子の別の分子又は原子への結合(joining)、結合(bonding)(例えば、共有結合)、又は連結を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「検出可能部分」という用語は、試料中の標識の存在(すなわち、定性分析)及び/又は濃度(すなわち、定量分析)を示す(視覚的に、電子的に、又はその他の方法等で)検出可能なシグナルを生成することができる分子又は材料を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)は、標識分子にコンジュゲートされ得る酵素である。適切な基質とインキュベートすると、標識された分子の着色誘導体、蛍光定量的導体、又は発光誘導体が生成され、検出及び定量が可能になる。HRPは、電子供与体の存在下で作用して、まず酵素基質複合体を形成し、その後、電子供与体を酸化するように作用する。例えば、HRPは、3,3’-ジアミノベンジジン四塩酸塩(DAB)に作用して、検出可能な色を生成し得る。HRPはまた、標識チラミドコンジュゲート又はチラミド様反応性コンジュゲート(すなわち、フェルレート、クマリン酸、カフェイン酸、シンナメート、ドーパミン等)に作用して、チラミドシグナル増幅(TSA)のための着色若しくは蛍光又は無色のレポーター部分を堆積させ得る。
【0075】
本明細書で使用される場合、「免疫組織化学」(IHC)という用語は、抗原と抗体などの特異的結合剤又は部分との相互作用を検出することによって、試料中の抗原の存在又は分布を決定する方法を指す。抗原(例えば標的抗原)を含む試料は、抗体-抗原結合を可能にする条件下にて、抗体と共にインキュベートされる。抗体に抱合体化した検出可能な標識により(直接検出)、又は、一次抗体に対して増加した二次に抱合体化した検出可能な標識により(例えば、間接検出)、抗体-抗原結合が検出されることができる。検出可能な標識には、放射性同位体、蛍光色素(フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体など)、酵素及び色素原分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書で使用される場合、「in situハイブリダイゼーション」(ISH)タイプのハイブリダイゼーションという用語は、標識された相補的DNA又はRNA鎖(すなわち、プローブ)を使用して、特定のDNA又はRNA配列を組織の一部又は切片内に局在化させる(in situ)か、又は組織が十分に小さい場合(例えば、植物種子、ショウジョウバエ胚)、組織全体内に局在化させる(全体マウントISH)。これは、タンパク質を組織切片内に局在化させる免疫組織化学とは異なる。DNA ISHは、染色体の完全性を評価するための医療診断における使用などのために、染色体の構造を決定するために使用することができる。RNA ISH(ハイブリダイゼーション組織化学)は、mRNA及び他の転写物を測定し、組織切片又は全体マウント内に局在化するために使用される。ハイブリダイゼーション組織化学のために、試料細胞及び組織は通常、標的転写物を定位置に固定し、標的分子へのプローブのアクセスを増加させるために処理される。上記のように、プローブは、標識された相補的DNA又は相補的RNA(リボプローブ)のいずれかである。プローブは高温で標的配列にハイブリダイズし、次いで過剰のプローブが洗い流される(任意に、ハイブリダイズしていない過剰なRNAプローブの場合はRNaseを使用して加水分解される)。温度、塩及び/又は界面活性剤濃度などの溶液パラメータは、任意の同一でない相互作用を除去する(すなわち、正確な配列一致のみが結合したままである)ように操作することができる。次いで、放射標識塩基、蛍光標識塩基又は抗原標識塩基(例えば、ジゴキシゲニン)のいずれかなどで効果的に標識された標識プローブを、オートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡又は免疫組織化学のいずれかをそれぞれ使用して組織内に局在化させ、潜在的に定量化する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「多重化」、「多重化された」又は「多重化している」という用語は、試料中の複数の標的を同時に、実質的に同時に、又は順次検出することを指す。多重化は、複数の異なる核酸(例えば、DNA、RNA、mRNA、miRNA)及びポリペプチド(例えば、タンパク質)を個別に、及び任意の組み合わせ及び全ての組み合わせの両方で同定及び/又は定量化することを含むことができる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「キノンメチド」は、対応するキノン上のカルボニル酸素の1つがメチレン基(-CH2-)で置換されてアルケンを形成するキノン類縁体である。
【0079】
本明細書で使用される場合、「特異的結合実体」という用語は、特異的結合対のメンバーを指す。特異的結合対は、他の分子への結合を実質的に排除して互いに結合することを特徴とする分子の対である(例えば、特異的結合対は、生物学的検体中の他の分子との結合対の2つのメンバーのいずれかの結合定数よりも少なくとも10-3M大きい、10-4M大きい又は10-5M大きい結合定数を有することができる)。特異的結合部分の特定の例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジン等のアビジン、及びプロテインA)を含む。特異的結合部分はまた、そのような特異的結合タンパク質によって特異的に結合される分子(又はその部分)を含むことができる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「標的」という用語は、存在、位置、及び/又は濃度が判定される、又は判定されることができる任意の分子を指す。標的分子の例は、タンパク質、核酸配列、及びタンパク質に共有結合したハプテン等のハプテンを含む。標的分子は通常、特異的な結合分子と検出可能な標識との、1つ又は複数のコンジュゲートを用いて検出される。
【0081】
本明細書で使用される場合、記号
【0082】
【0083】
は、部分が別の部分に結合している位置を指す。
概要
本出願人は、生物学的検体を1つ又は複数の従来の色素(例えば「日常的染色」又は「特殊染色」)で染色し、生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーを(IHC又はISHアッセイにおいて)1つ又は複数の検出可能部分で標識する方法を開発しており、従来の色素による染色及び1つ又は複数の検出可能部分によるバイオマーカーの標識は、同じ生物学的検体(基材上に配置された単一の組織切片など)上で行われる。本明細書中に記載される検出可能部分を従来の色素と併せて使用することにより、1つ又は複数の従来の色素の解釈を妨げることなく、1つ又は複数の標識されたバイオマーカーの検出が容易になる。
【0084】
ヘマトキシリン+エオシン(H&E)は、最も一般的な組織学的染色であり、最も重要な癌診断の1つを提供する。簡単に言えば、H&E中のヘマトキシリンはDNA含有量の領域に結合し、すべての核に青色を付与し、エオシンは細胞質及び結合組織をピンク色に染色する。実際には、H&E染色はかなり微妙であり、多数の細胞及び細胞外の特徴を区別することを可能にする複雑な染色パターン及び着色を提供する。病理学者は、H&E染色組織から、診断、予後、及び治療応答の予測を支援する驚くべき量の情報を得る。
【0085】
例えば、ある研究では、免疫療法を受けている患者のH&E染色非小細胞肺癌(NSCLC)生検の10の異なる組織学的特徴を使用して、新しい病理学的応答基準を開発した(Cottrell TR,Thompson ED,Forde PM,Stein JE,Duffield AS,Anagnostou V,et al.Pathologic features of response to neoadjuvant anti-PD-1 in resected non-small-cell lung carcinoma:a proposal for quantitative immune-related pathologic response criteria(irPRC).Ann Oncol 2018;29:1853-1860を参照のこと)。別の研究では、同じグループが、免疫療法で処置された患者からのH&E染色黒色腫生検検体における14の組織学的特徴を評価し、客観的奏効及び全生存との有意な関連を示した(Stein JE,Soni A,Danilova L,Cottrell TR,Gajewski TF,Hodi FS,et al.Major pathologic response on biopsy(MPRbx)in patients with advanced melanoma treated with anti-PD-1:evidence for an early,on-therapy biomarker of response.Ann Oncol 2019;30;589-596を参照のこと)。病理学者は、明視野顕微鏡検査及びH&E染色組織の評価に非常に慣れていると思われ、病理学研修期間中にかなりの訓練を受けている。H&E染色の重要性は、1世紀以上にわたるその実施によって証明されている。子宮頸部検体のパパニコロウ(PAP)染色などの他の従来の明視野染色、及びギムザ、弾性、ムチカルミン、及びトリクローム染色などの特殊染色は、価値のある使用の長い履歴を有する(Chantziantoniou N,Donnelly A,Mukherjee M,Boon ME,Austin RM.Inception and Development of the Papanicolaou stain method.Acta Cytol 2017;61:266-280;及びWick MR.Histochemistry as a tool in morphological analysis:a historical review.Ann Diagn Pathol 2012;16:71-78を参照のこと)。
【0086】
免疫組織化学は、高度に特異的な抗体試薬を介して、及びH&Eと組み合わせて、特定の分子種、一般にタンパク質の染色を可能にし、病理学者の診断能力を大幅に強化した(Jaffer S,Bleiweiss IJ.Beyond hematoxylin and eosin-the role of immunohistochemistry in surgical pathology.Cancer Invest 2004;22:445-65を参照のこと)。抗体は、酵素-抗体コンジュゲート及び酵素によって触媒される色素原堆積反応を介して色素原堆積を指示する。IHCは、エオシンの比較的非特異的なタンパク質染色とは対照的に、特定のタンパク質を染色することができるので、細胞周期及び他の細胞シグナル伝達タンパク質などの重要なタンパク質の過少発現及び過剰発現を同定すること、及び、腫瘍タイプを分類し、予後を確立し、治療応答を予測するために使用することができ、H&E及び他の従来の染色によって提供される情報にかなりより多くの情報を追加する。
【0087】
例えば、H&Eは、非小細胞肺癌(NSCLC)の存在を確立することができるが、癌を扁平上皮癌腫(SSC)又は腺癌(Ad Ca)として明確に分類するためには、p16、TTF-1、サイトケラチン5及び6、並びに/又はナプシンAの発現がしばしば必要である(Kerr KM,Bubendorf L,Edelman MJ,Marchetti A,Mok T,Novello S,et al.Second ESMO consensus conference on lung cancer:pathology and molecular biomarkers for non-small-cell lung cancer.Ann Oncol 2014;25:1681-1690;及びRoberts EA,Morrison LE,Behman LJ,Draganova-Tacheva R,O’Neill R5,Solomides CC.Chromogenic immunohistochemical quadruplex provides accurate diagnostic differentiation of non-small cell lung cancer.Ann Diagn Pathol 2019;45:151454を参照のこと)。乳癌では、上皮増殖因子受容体II(HER2)の過剰発現又は遺伝子増幅が予後予測であり、トラスツズマブなどのHER2アンタゴニストの有効性を予測する一方、エストロゲン受容体(ER)及びプロゲステロン受容体(PR)タンパク質の過剰発現は予後予測であり、タモキシフェンなどのエストロゲン拮抗薬に対する応答を予測する(Ross J,Fletcher JA.The HER-2/neu oncogene in breast cancer:prognostic factor,predictive factor,and target for therapy.Oncologist 1998;3;237-252;Vogel CL,Cobleigh MA,Tripathy D,Gutheil JC,Harris LN,Fehrenbacher L,et al.Efficacy and safety of trastuzumab as a single agent in first-line treatment of HER2-overexpressing metastatic breast cancer.J Clin Onc 2002;20;719-726;and Nasrazadani A,Thomas RA,Oesterreich S,Lee AV.Precision medicine in hormone receptor-positive breast cancer Frontiers Onc 2018;8;article 144を参照のこと)。
【0088】
残念なことに、H&E及びIHCによる特定の腫瘍の完全な分析には、特に針生検及び細針吸引のための特定の生検から、並びに細胞性が低い子宮頸管擦過及び尿などの細胞診検体から入手可能な組織よりも多くの組織が必要となり得る。これは、一般的な臨床診療によって、H&Eが癌診断を行うためには1枚のスライドが必要であり、各IHC染色に1枚の追加のスライドが必要であるためである。IHC多重化は、スライドあたりのIHC染色反応の数を増加させることができるが、依然としてH&E染色スライドに加えて少なくとも1つのスライドを必要とする。H&Eスライドの脱染色とそれに続くIHCは可能であるが、エオシン及びヘマトキシリンの完全な除去は困難であり、H&E及びIHCの両方について連続して染色及び評価を行うのにかなりの時間が必要とされる。さらに、2つの染色方法間の同じ正確な領域の比較は、H&Eの後に撮像してIHCの後に再度撮像し、関心領域の位置を特定し位置合わせすることを必要とする。
【0089】
いくつかのスライド調製物に十分な試料が利用可能である場合でも、H&E染色パターン及びIHCタンパク質発現パターンの評価を調整することは問題がある。組織の場合、最良の場合は、隣接する(連続的な)腫瘍切片に対してH&E及びIHCを実施することである。しかしながら、組織形態は、腫瘍検体を通る距離と共に変化し、連続切片でさえ、様々な組織及び細胞特徴の形状及び配向の有意な変化を示す。同じ領域が各スライド上に位置しなければならず、切片切断による腫瘍の変化が考慮され、有益なタンパク質発現を有する細胞の一方のスライド上への配置は、他方のスライド上のH&E特徴と精神的に整列されなければならない。1つの切片上の細胞が連続切片上に存在しないか、又は部分的にしか存在しないので(細胞内のミクロトーム切片)、H&E及びIHC情報の正確なアラインメントはほとんど可能でない。2つの異なる検体スライド間の情報の整列が不可能である細胞診検体の場合、状況はより悪い。
【0090】
同じスライド上のIHCによるH&E染色の多重化は、限られた検体及び異なる検体スライドから検索された情報の整列という上記の問題に対する解決策となる。しかし、これは、H&E染色が非常に強く、光スペクトルの可視領域全体を覆い、色素原染色が不明瞭になり、読み取りが困難又は不可能になるため、不可能であった。
図9は、H&E染色ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)扁桃組織切片の吸光度スペクトルを示す。ヒトの視覚応答もプロットされており、H&E染色が可視範囲にわたって吸収することを示している。DABなどの非常に暗い黒色又は茶色の色素原がより視認可能であるが、DABはH&E染色を覆い隠すため、H&EとIHCの両方の評価は不十分である。
【0091】
上記のように、本出願人は、生物学的検体内のバイオマーカーの1つ又は複数が本明細書に記載の検出可能部分の1つ又は複数で標識されていても(例えば、2つ以上の検出可能部分で標識されている、3つ以上の検出可能部分で標識されている、4つ以上の検出可能部分で標識されている、5つ以上の検出可能部分で標識されている、6つ以上の検出可能部分で標識されているなど)、生物学的検体に導入された1つ又は複数の従来の色素が依然として解釈され得ることを発見した。
【0092】
電磁スペクトル
電磁スペクトルは、電磁放射の周波数範囲(スペクトル)並びにそれらのそれぞれの波長及び光子エネルギーである。この周波数範囲は別々の帯域に分割され、各周波数帯域内の電磁波は異なる名称で呼ばれ、スペクトルの低周波(長波長)端から始まり、これらは、電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、及び高周波(短波長)端でのガンマ線である。
【0093】
電磁スペクトルの帯域間に正確に定義された境界はない。むしろ、電磁スペクトルの帯域は互いに「フェイド(fade)」する。その結果、電磁スペクトルの異なる帯域間に重複が存在する。例えば、可視スペクトルと紫外線スペクトルとの間、及び可視スペクトルと赤外線スペクトルとの間に重複が存在する。特に、そのような重複は、約370nm~約430nmの波長範囲及び約670nm~約730nmの波長範囲などの、「可視スペクトル」に隣接及び/又は包含する波長範囲で生じる。
【0094】
上記を考慮して、本明細書で使用される場合、「可視スペクトル」という用語は、約400nm~約700nmの範囲の波長のスペクトルを指す。本明細書で使用される場合、「紫外スペクトル」という用語は、約430nm未満の波長を含む。したがって、「紫外スペクトル」は、近紫外波長、すなわち「可視スペクトル」に隣接する波長を含む。本明細書で使用される場合、「赤外スペクトル」という用語は、約670nmを超える波長を含む。したがって、「赤外スペクトル」は、近赤外波長、すなわち「可視スペクトル」に隣接する波長を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、吸収対波長のグラフはスペクトルと呼ばれる。スペクトルは、従来の色素の色(すなわち、可視領域におけるスペクトル応答)又は検出可能部分の特性(例えば検出可能部分の紫外、近紫外、赤外、又は近赤外特性)を決定するために使用することができる。光の最大部分が物質によって吸収される波長は、λmaxと呼ばれる。この波長は最大限に吸収されるので、典型的にはピーク吸光度波長と呼ばれる。いくつかの実施形態では、特定の離散波長の放射が試料を照射するために使用される場合、その放射の吸収が存在し得る。他の波長では、このような吸収は減少するか、又は起こらない。材料、例えば従来の色素及び本明細書に記載の検出可能部分を特徴付けるために使用されるのは、この吸収現象である。
【0096】
本開示の従来の染色(「日常的染色」又は「特殊染色」)は、本明細書に記載されるもののいずれかを含む1つ又は複数の従来の色素を利用する。いくつかの実施形態では、日常的染色及び特殊染色の従来の色素は、「可視スペクトル内で」検出可能な波長、例えば約400nm~約700nmを有する。一例として、
図9は、ヘマトキシリン及びエオシン染色扁桃組織の吸光度を、ヒトの視覚応答を重ね合わせて示す。
図9は、ヘマトキシリン及びエオシン染色が可視範囲にわたって吸収することを示す。
図9はまた、ヘマトキシリン及びエオシンの吸光度が視覚応答の領域外で低下し、約450nm未満及び約700nm超で大きく低下することを示す。適切な従来の色素の他の非限定的な例及びそれらのピーク吸光度波長(又は該当する場合は2つのピーク吸光度波長)を本明細書に記載する。
【0097】
本開示はまた、生物学的検体を染色する際に1つ又は複数の従来の色素と併せて使用される1つ又は複数の検出可能部分に関する。いくつかの実施形態では、本開示の検出可能部分は、一般に、約430nm未満のピーク吸光度波長を有する。他の実施形態では、本開示の検出可能部分は、一般に、約670nmを超えるピーク吸光度波長を有する。したがって、本開示の検出可能部分は、紫外スペクトル又は赤外スペクトルのいずれかの範囲内の波長を有する。合わせて、約430nm未満又は約670nm超の波長を有する検出可能部分は、本明細書では検出可能な「可視スペクトル外」と呼ばれる。
【0098】
例えば、
図10は、紫外スペクトル内の「HCCA」検出可能部分(365nmのピーク吸光度波長を有する)、並びに赤外スペクトル内の「Cy7」及び「IR804」検出可能部分(それぞれ774nm及び828nmのピーク吸光度波長を有する)を示す。したがって、HCCA、Cy7及びIR804は「可視スペクトル外」である。
【0099】
「可視スペクトル外で」検出可能な検出可能部分が、「可視スペクトル内で」検出可能な従来の色素と組み合わせて使用するために選択される場合、これは、上記のように、可視スペクトルと紫外スペクトルとの間(例えば、370nmと430nmの間の波長)、又は可視スペクトルと赤外スペクトルとの間(例えば、670nmと730 nmの間の波長)に重複が存在し得ないことを意味しない。例えば、第1の検出可能部分と第1の従来の色素とからのシグナルが独立して検出され得るように、第1の検出可能部分のピーク吸光度波長と第1の従来の色素のピーク吸光度波長との間に十分な分離(例えば20nm)があるならば、約430nmのピーク吸光度波長を有する第1の検出可能部分を選択してもよく、約400nmのピーク吸光度波長を有する第1の従来の色素を選択してもよい。これは
図10にもさらに示されており、これはまた、410nm~420nmなどの可視スペクトルに隣接するピーク吸光度波長を有し、したがって「可視スペクトル外」である「NMethCou」及び「DCC」検出可能部分を示す。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示の不可視色素原は、スペクトルの他の可視部分(例えば、400nm~450nm)に弱い非ゼロ吸光度を有する。これらの不可視色素原が十分な量、例えば300μmで堆積されると、可視(したがって、検出可能な)信号を提供することができる。例えば、
図10を参照すると、DCCが試料上に堆積されると、DCCは約420nmに最大吸光度ピークを有するが、色素原を可視にし得る450nm~500nmの間の残留吸光度を有するものの、それは大量に堆積された場合(例えば300μm)にのみである。同様に、再び
図10を参照すると、IR804が堆積されると、約770nmに最大吸光度ピークを有する。しかしながら、IR804は、700nm未満で比較的低い吸光度(例えば、約650nm~約700nm)を有し、これは、十分に高い濃度の不可視色素原が試料上に堆積した場合に可視であり得る。
【0101】
従来の染色
1つ又は複数の従来の染色による染色は、組織及び細胞を含む生物学的検体の重要な特徴を強調するため、並びに組織コントラストを高めるために使用される。そうでなければ透明な組織切片を着色することによって、これらの従来の染色は、病理学者及び/又は研究者が顕微鏡下で組織形態を観察すること、又は特定の細胞型、構造若しくはさらに細菌などの微生物の存在若しくは有病率を探すことを可能にする。ヘマトキシリンは、このプロセスで一般的に使用される基礎色素であり、核を染色して「青みがかった色」を与え、エオシンは細胞の細胞質及び結合組織を染色して「ピンクがかった色」を与える(本明細書の「日常的染色」を参照のこと)。特定の細胞及び成分に使用される他の染色技術がいくつかある(本明細書の「特殊染色」を参照のこと)。
【0102】
組織病理学では、「日常的染色」という用語は、基礎となる組織構造及び状態を明らかにするためにすべての組織検体と共に「日常的に」使用されるヘマトキシリン及びエオシン染色(H&E)を指す。「特殊染色」という用語は、H&Eによる染色が病理学者又は研究者が必要とするすべての情報を提供しない場合に使用される多数の代替染色技術を指すために長い間使用されてきた。
【0103】
日常的染色
ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色は、世界中で100年以上にわたって使用されてきた普遍的な「日常的」染色である。簡単に言えば、ヘマトキシリンは核を青色に染色し、エオシンは細胞質をピンク色に染色する。H&E染色は、病理学者が組織の一般的な形態を視覚化することを可能にし、多くの病理組織学的症状の診断及び予後を可能にする。H&E染色スライドでは、病理学者は、ほとんどの疾患、炎症(急性及び慢性の両方)、有糸分裂、細菌感染、壊死、線維症、色素及びタンパク質の蓄積を見ることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、従来の染色は、ヘマトキシリンである。他の実施形態では、従来の染色はエオシンである。さらに他の実施形態では、従来の染色は、ヘマトキシリン及びエオシンの両方を含む。いくつかの実施形態では、従来のスタチン(statin)は、エオシンB(C.I.45400)、エオシンY(C.I.45380)、エリスロシン(C.I.45430)、及び/又はエチルエオシン(C.I.45386)である。
【0105】
組織では、ヘマトキシリンは、約600で広い最大値を示すが、「ブルーイング」処置などの条件及びある程度は組織に応じて、約590~620nmの範囲である。組織では、エオシンは約533nmの最大吸光度を有する。扁桃組織で記録されたH&Eスペクトルを
図9及び
図10に示す。
【0106】
特殊染色
特殊染色は、様々な組織、構造、細胞、細胞小器官、炭水化物、ミネラル及び微生物の顕微鏡による視覚化及び一般的な同定のための基本的な化学反応に依存するスライドベースの染色の多様なファミリーに属する。特殊染色は日常的ではないため、「特殊」である。「特殊染色」は、免疫組織化学的染色、in-situハイブリダイゼーション染色、又は「日常的染色」ではない、組織学的分析に有用な任意の化学ベースの染色を指す。特殊染色は、染色が困難な組織タイプ、珍しい疾患、感染症、又は組織に影響を及ぼす他の非典型的な状況に応じて開発された化学ベースの染色である。いくつかの実施形態では、H&E染色によって可視化されない特定の構造及び組織を同定及び実証するために、特殊染色が使用される。
【0107】
いくつかの実施形態では、特殊染色の有用な用途には、(1)DNA及びDNA含有量の決定、(2)薬物、ホルモン又は潜在的に毒性の食品添加物の作用様式、(3)代謝生化学、(4)疾患過程の生化学、(5)多くの転移性腫瘍の原発部位、(6)非色素性転移性黒色腫の同定、(7)早期浸潤腫瘍の検出、(8)外科的に切除された腫瘍の周縁部の定義、(9)Barr体の同定、(10)適切な機器による細胞分離の基礎として使用することができる方法での細胞の染色(例えば、蛍光)、及び/又は(11)微生物の同定(例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori))が含まれる。
【0108】
ファンギーソン-ファンギーソン染色は、コラーゲンと筋肉組織などの他の結合組織との間の違いを強調するために使用される染色である。ファンギーソン染色は、多くの場合、異なる種類の腫瘍における線維の特徴的な配置を同定するために使用される。ファンギーソン染色は、ピクリン酸と酸性フクシン(トリスルホン化パラロサミン、最大吸光度約544nm)の混合物を使用して組織試料に浸透し、コラーゲンを赤色にする。周囲の筋肉組織及び血球は黄色に染色される。いくつかの実施形態では、酸性フクシンは、約520nm~約570nmの範囲の第1のピーク吸光度波長を有する。
【0109】
トルイジンブルー-トルイジンブルーは、酸性組織を染色する異色性色素の一種である(最大吸光度約628nm)。トルイジンブルーは、特に核酸に引き付けられるため、高濃度のDNA及びRNAを有する組織を染色するために使用される。トルイジンブルーと接触すると、核酸は青色になる。
【0110】
アルシアンブルー-アルシアンブルーは、グリコサミノグリカン及び酸性ムチンなどの物質に対する特異性を提供し(アルシアンブルー8G、水中での最大吸光度615nm)、酸性ムチン及び粘膜物質を青色に見え、ニュートラルレッドを対比染色すると核を赤みがかったピンク色に見えるフタロシアニン色素である。アルシアンブルー色素は水溶性であり、銅を含むため青色に見える。それらは、硫酸及びカルボキシル化酸性ムコ多糖及び糖タンパク質に結合し、色素結合は純粋に静電的である。この染色は、ムコイド変性を確認し、様々な結合組織腫瘍及び上皮組織腫瘍によって放出される酸性ムチンを同定するために行われる。505nm~535nmの範囲の吸光度最大値を有するヌクレアファストレッド染色(C.I.60760)を対比染色として使用することができる。ヌクレアファストレッド染色は、ヌクレアファストレッド色素を硫酸アルミニウム媒染剤と組み合わせて、核のクロマチンレッドを選択的に染色し、ピンク色の色調の非特異的なバックグラウンド組織染色を提供する。
【0111】
ギムザ-これは、クロマチン及び核膜の染色のために組織病理学的に使用することができる血液染色である。それは、ヒト細胞と病原性細胞を異なって染色し、したがって、ヒト細胞を紫色に染色し、細菌細胞をピンク色に染色することによってそれらが区別され得るので、多くの疾患の診断に使用される。これはまた、血液細胞を染色するために使用され、その結果、それらの組成及び構造が観察され得る。核は紫色に染色され、細胞質は細胞型に応じて青色から淡桃色に染色される。ギムザ染色は、異なる血液細胞の顆粒を、異なる色に染色することによって区別する。好塩基球は暗青色顆粒を示し、好酸球は橙色顆粒を示す。典型的には、メチレンブルー(約656~約661nmの範囲の吸光度最大値を有する)、エオシンY(約516nmの吸光度最大値を有する)、及びアズールB(約639nmの吸光度最大値を有する)が適用される。
【0112】
レチクリン-レチクリン染色は、レチクリン線維(III型コラーゲン)を強調するために切片の銀含浸の使用を使用する。それは主に肝臓の組織病理学に使用されるが、脾臓、骨髄及び腎臓の異常を評価するためにも使用することができる。肝臓では、壊死と肝硬変の両方が不規則なパターンのレチクリンを引き起こす。染色は、繊維を黒色に染色する原因となり、これは、より淡い灰色又はピンク色の背景とは対照的である。染色手順中、銀を添加する前に、組織を最初に酸化し、次いで鉄ミョウバンで感作しなければならない。銀が添加されたら、それが可視になるようにホルマリンを使用して還元しなければならない。核を可視化するために、ヌクレアファストレッドを使用して核を対比赤色にすることもできる。一次染色は、非常に広い吸光度を有する銀染色であり、場合によってはIRにまで及ぶ。
【0113】
Nissl-Nissl染色は、ニューロンに見られるNissl物質(粗面小胞体及び遊離ポリリボソームの塊)を視覚化するために使用される。この染色はニューロンをグリアから区別し、この染色の助けを借りてニューロンの細胞構造を十分に研究することができる。Nissl物質の喪失は、細胞傷害又は変性などの異常を示すことができ、これは疾患を示すことができる。この染色で一般的に使用される色素は、Cresyl Echt Violet Acetate(約596~約601nmの範囲の吸光度最大値を有する)と呼ばれ、蒸留水と溶液中で混合される。これは、Nissl物質を暗青又は暗紫色に染色する。
【0114】
オルセイン-オルセイン染色は、ウイルスの封入体を同定するために使用される。これらは、ヒト細胞内のウイルス粒子であり、ウイルス自体とは異なり、光学顕微鏡を使用して可視である。オルセイン染色は、肝細胞に封入体形成を引き起こすB型肝炎を診断するために一般的に使用される。オルセイン(約575nmの範囲の吸光度最大値を有する)は、アミノ-及びヒドロキシフェノキサゾン化合物の混合物から構成される。染色の結果、封入体が濃い茶色~紫色に染色される。銅に関連するタンパク質も濃い紫色に染色される。
【0115】
ズダンブラックB-ズダンブラックB(約598nmの吸光度最大値を有し、約415nmの肩部を有する)は、脂質及びリポフスチンを同定するために使用される非イオン性疎水性色素である。リポフスチンは、ニューロン及び心臓細胞のような永久細胞において高齢者に生じる加齢色素である。リポフスチンは、細胞の難消化性部分を吸収したリソソームの構築に起因する。ズダンブラックBは、リポフスチンを黒色に染色する。ズダンブラックBは、脂質及び脂肪を染色するために一般的に使用されるため、リポフスチンを染色するという事実は重要である。ズダンブラックBは、赤血球も黒色に染色することができる。
【0116】
マッソントリクローム-トリクローム染色は、結合組織中の筋肉、コラーゲン線維、フィブリン及び赤血球を区別するために使用される3つの色素の混合物である。3つの色素のうちの1つは、通常、核染色であり、他の2つの色素は主に、コラーゲン及び筋線維を区別する。この染色における3つの異なる色素は、異なるサイズの分子を有し、これらは異なって組織に浸透する。より大きな分子が透過することができる場合、より小さな分子は位置が変わる。最初に、ビーブリッヒスカーレット(約505nmの吸光度最大値を有する)などの酸性色素を使用し、続いてリンタングステン酸及びリンモリブデン酸を使用し、最後にライトグリーン(約422nm及び約630nmの吸光度最大値を有する)などの繊維染色を使用する。ワイゲルトの鉄ヘマトキシリンも使用されるが、手順の開始時に固定剤として使用される。染色が行われた後、核は黒みがかった色又は青色に見え、筋肉及びフィブリンは赤色に見え、コラーゲンは緑色に見える。
【0117】
マロリー・トリクローム(Mallory’s trichrome)-マロリー・トリクロームはコラーゲンと筋線維とを区別する。マロリー・トリクロームは3つの色素を含み、1つ目は希釈された酸性フクシン(約546nmの吸光度最大値を有する)であり、2つ目は希釈されたリンモリブデン酸であり、3つ目はオレンジG(約475nmの吸光度最大値を有する)、メチルブルー(アニリンブルー;約600nmの吸光度最大値を有する)、シュウ酸及び蒸留水の混合物である。手順の最後に、核及び筋細胞は赤色に見え、コラーゲンは青色に見え、赤血球はオレンジ色になる。
【0118】
アザントリクローム-アザントリクローム染色は、筋肉及びコラーゲンを染色するために使用され、筋肉組織とコラーゲン組織を区別するため、並びに肝障害などの疾患を識別するために使用することができる。アザントリクロームは、細胞を細胞外成分と区別し、筋線維を赤色、軟骨及び骨基質を青色に染色する。マロリー・ホスホモリブデン酸オレンジG(約475nmの吸光度最大値を有する)及びアニリンブルー(約600nmの吸光度最大値を有する)溶液と同様に、しかし、核を染色するために酸性フクシンを使用する代わりに、アゾカルミンと呼ばれる色素(吸光度最大値Bが約516nm、Gが約511nm)を使用し、これを酢酸及び蒸留水と組み合わせる。アニリンブルーは、核を染色するためにアゾカルミンの対比染色として使用される。この手順は、赤色の核、オレンジ色の筋細胞、及び青色のコラーゲンをもたらし、顕微鏡下での区別を可能にする。
【0119】
Casonトリクローム-この染色は、コラーゲンを区別するために使用される。したがって、その用途は、コラーゲン異常に関係する障害の診断を含む。これは、核及び細胞質を赤色に、コラーゲンを青色に、及び赤血球をオレンジ色に染色する。使用される染色は、オレンジG(約475nmの最大吸光度を有する)、酸性フクシン(約546nmの最大吸光度を有する)、アニリンブルー(約600nmの最大吸光度を有する)、リンタングステン酸及び蒸留水を含む色素の混合物である。
【0120】
PAS(過ヨウ素酸シッフ)-この染色はグリコーゲンを着色し、したがって、膜、粘膜物質並びに真菌の存在を調べるために使用される。PAS染色のプロセスは、通常、2つのステップを含み、第1のステップは、アルデヒドの形成をもたらす過ヨウ素酸との酸化反応であり、第2のステップは、シッフ試薬の助けを借りたこれらのアルデヒドの実証である。シッフ試薬中のフクシン色素は、マゼンタから紫色の範囲の色を与える。染色プロセスは、過ヨウ素酸、ヘマトキシリン、並びに、塩基性フクシン(約547~約552nmの吸光度最大値を有する)及びメタ重亜硫酸ナトリウムを蒸留水及び塩酸と組み合わせて含むシッフ試薬(複合体、約628nmの吸光度最大値を有するDNAとの反応生成物)を使用する。この染色により、核は青色になり、グリコーゲン及び真菌はマゼンタ色になる。PASは、多くの診断用途において有用である。例えば、糖原病、特定の肉腫及び癌腫、並びに真菌感染症を診断するために使用することができる。
【0121】
ワイゲルトのレゾルシンフクシン(ワイゲルトの弾性)-このタイプの染色は、弾性繊維を着色するために使用される。これにより、それらは青黒色に染色され、核は明るい青黒色になり、コラーゲンはピンク色又は赤色になり、他の組織は黄色になる。溶液は塩基性フクシン(約547~約552nmの吸光度最大値を有する)を含み、これは弾性繊維に付着する複合体を生成し、弾性繊維を染色させる。ワイゲルト染色液はまた、レゾルシン、塩化第二鉄、エタノール、蒸留水及び塩酸から構成される。ヘマトキシリン及びファンギーソン染色も対比染色として使用される。
【0122】
ライト及びライトギムザ染色-ライト及びライトギムザ染色は、エオシン及びメチレンブルーを含有するため、多色染色である。ギムザ染色は、メチレンブルーのアズールをさらに含有し、核の特徴を増強する。次に、エオシンYは、細胞の細胞質をオレンジ色に染色するために用いられる。これらはいずれも末梢血塗抹及び骨髄塗抹の染色に用いられる。それらは、細胞並びにそれらの形態を調べるために使用され、感染症及び白血病などの血液疾患の診断を助ける。
【0123】
アルデヒドフクシン-膵臓内の弾性繊維及びベータ細胞顆粒を染色する。これはまた、マスト細胞顆粒及び軟骨マトリックスのような他の高親和性好塩基性部位がほとんどなく、非常に選択的である。弾性組織繊維は、ベータ細胞顆粒及び硫酸化ムチンと同様に、青紫色に染色される。アルデヒドフクシン溶液は、塩基性フクシン(約547~約552nmの吸光度最大値を有する)、約70%エタノール、濃塩酸、及びパラアルデヒドの混合物を含有する。アルデヒドフクシンは、一般にアルシアンブルーと組み合わせて使用される。
【0124】
抗酸-Mycobacterium属及びNocardia属のメンバーなどの抗酸細菌生物を同定するために使用される差次的染色。結核の診断において特に重要である(カルボルフクシン及び一次染色剤として及びメチレンブルーは対比染色剤として)。
【0125】
いくつかの実施形態では、従来の色素は、酸性フクシン(C.I.42685;吸光度最大546nm)、アルシアンブルー8GX(C.I.74240;吸光度最大615nm)、アリザリンレッドS(C.I.58005;吸光度最大556及び596nm)、オーラミンO(C.I.41000;吸光度最大370及び432nm)、アゾカルミンB(C.I.50090;吸光度最大516nm)、アゾカルミンG(C.I.50085;吸光度最大511nm)、アズールA(C.I.52005;アズールBと同様の吸光度)、アズールB(C.I.52010;吸光度最大639nm)、塩基性フクシン(C.I.42510;吸光度最大547~552nm)、ビスマルックブラウンY(C.I.21000;吸光度最大643nm)、ブリリアントクレジルブルー(C.I.51010;吸光度最大622nm)、カルミン(C.I.75470;吸光度最大プロトン化490~495、塩基中及び金属塩と組み合わせた場合に増加)、クロラゾールブラックE(C.I.30235;吸光度最大500~504 nm及び574~602nm)、コンゴレッド(C.I.22120;吸光度最大497nm)、クレジルバイオレット(最大吸光度596~601nm)、クリスタルバイオレット(C.I.42555;吸光度最大590nm)、ダローレッド(最大吸光度502nm)、エチルグリーン(C.I.42590;吸光度最大635nm 420nm)、ファストグリーンFCF(C.I.42053;吸光度最大624nm、pH依存性)、ギムザ染色(不純なアズールB、メチレンブルー及びエオシンYの混合物)、インジゴカルミン(C.I.73015;吸光度最大608nm)、ヤヌスグリーンB(C.I.11050;吸光度最大630nm)、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF(C.I.42095;吸光度最大422及び630nm)、マラカイトグリーン(C.I.42000;吸光度最大614及び425nm)、マーチウスイエロー(C.I.10315;吸光度最大420~432nm)、メチルオレンジ(C.I.13025;吸光度最大507nm)、メチルバイオレット2B(C.I.42535;吸光度最大583~587nm)、メチレンブルー(C.I.52015;吸光度最大656~661nm)、メチレンバイオレット(Bernthsen)、(C.I.52041;吸光度最大580~601nm)、ニュートラルレッド(C.I.50040;吸光度最大454、529、541nm、pH及び溶剤依存性)、ニグロシン(C.I.50420;吸光度最大570~580nm)、ナイルブルーA(C.I.51180;吸光度最大633~660nm)、ヌクレアファストレッド(C.I.60760;吸光度最大535及び505nm)、オイルレッドO(C.I.26125;吸光度最大518及び359nm)、オレンジG(C.I.16230;吸光度最大475nm)、オレンジII(C.I.15510;吸光度最大483nm)、オルセイン(最大吸光度575~590 pH依存性、パラロアニリン(C.I.42500;吸光度最大545nm)、フロキシンB(C.I.45410;吸光度最大548及び510nm)、ピロニンB(C.I.45010;ピロニンYに非常に関連)、ピロニンY(C.I.45005;吸光度最大546~549nm)、レサズリン(吸光度最大598nm:水中、478nm:メタノール中)、ローズベンガル(C.I.45435;吸光度最大546nm)、サフラニンO(C.I.50240;吸光度最大530nm)、ズダンブラックB(C.I.26150;吸光度最大598及び415nmnm)、ズダンIII(C.I.26100;吸光度最大503~507及び503nm)、ズダンIV(C.I.26105;吸光度最大520nm)、テトラクローム染色(MacNeal)、チオニン(C.I.52000;吸光度最大598~602nm)、トルイジンブルー(C.I.52040;吸光度最大626~630nm)、ワイゲルトのレゾルシンフクシン(吸光度最大508nm)、ライト染色、及びそれらの任意の組み合わせである。これらの例の各々において、「C.I.」は、Color Index(商標)を指す。Color Index(商標)は、その認識されている使用クラス、その色相及びシリアル番号(関連する着色剤タイプがColor Indexに登録されている時系列を単に反映している)によって市販品を記述する。この定義により、特定の製品を、必須の着色剤が同じ化学構成であり、その必須の着色剤が単一の化学反応又は一連の反応から生じる他の製品と共に分類することが可能になる。
【0126】
いくつかの実施形態では、可視色素は、コンゴーレッド、ビーブリッヒスカーレット-酸性フクシン、カルボルフクシン、塩化金、マラカイトグリーン、メチルグリーン-ピロニン、リンモリブデン酸、サフラニンO、銀染色、及びそれらの任意の組み合わせである。
【0127】
標識され得るバイオマーカー及びバイオマーカーの非限定的な例
いくつかの実施形態では、生物学的検体内の1つ又は複数の標的はバイオマーカーである。本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、生物学的検体中で検出され得る指標、例えば、予測指標、診断指標、及び/又は予後指標、例えば、PD-L1を指す。バイオマーカーは、ある特定の分子的、病理学的、組織学的、及び/又は臨床的特徴によって特徴付けられる疾患又は障害(例えば、癌)の特定のサブタイプの指標としての機能を果たし得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子である。バイオマーカーとしては、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/又はRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えば、DNAコピー数)、ポリペプチド、ポリペプチド、及びポリヌクレオチド修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、並びに/又は糖脂質に基づく分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態として、抗原、エピトープ、細胞タンパク質、膜貫通タンパク質、及びDNA又はRNA配列が含まれる。Her-2/neu遺伝子及びタンパク質は、両方ともバイオマーカーの例示的な実施形態である。
【0128】
上記のように、バイオマーカー標的は、核酸配列又はタンパク質であり得る。本開示を通して、標的バイオマーカータンパク質に言及する場合、そのタンパク質に関連する核酸配列もバイオマーカー標的として使用できることが理解される。いくつかの実施形態では、バイオマーカー標的は、ウイルス、細菌等の病原体、又はウイルスゲノム等の細胞内寄生体に由来するタンパク質若しくは核酸分子である。例えば、バイオマーカー標的タンパク質は、疾患に関連する(例えば、相関する、因果関係がある等)標的核酸配列から産生され得る。
【0129】
バイオマーカー標的核酸配列は、サイズが実質的に異なり得る。限定されないが、核酸配列は、可変数の核酸残基を有することができる。例えば、バイオマーカー標的核酸配列は、少なくとも約10個の核酸残基、又は少なくとも約20、30、50、100、150、500、1000個の残基を有することができる。同様に、バイオマーカー標的ポリペプチドは、サイズが実質的に異なり得る。限定されないが、バイオマーカー標的ポリペプチドは、ペプチド特異的抗体又はその断片に結合する少なくとも1つのエピトープを含む。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドは、ペプチド特異的抗体又はその断片に結合する少なくとも2つのエピトープを含むことができる。
【0130】
特定の非限定的な実施形態では、バイオマーカー標的タンパク質は、新生物(例えば、癌)に関連する標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって産生される。腫瘍細胞、特にB細胞及びT細胞白血病、リンパ腫、乳癌、結腸癌、神経癌等の癌細胞において、多数の染色体異常(転座及び他の再配列、増幅又は欠失を含む)が確認されている。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカー標的分子の少なくとも一部は、試料中の細胞の少なくともサブセットにおいて増幅又は欠失された核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって産生される。
【0131】
癌遺伝子は、いくつかのヒト悪性腫瘍の原因であることが知られている。例えば、染色体18q11.2のブレークポイント領域に位置するSYT遺伝子を含む染色体再編成は、滑膜肉腫軟部組織腫瘍の間で一般的である。t(18q11.2)転座は、例えば、異なる標識を有するプローブを使用して同定することができ、第1のプローブは、SYT遺伝子から遠位に伸長する標的核酸配列から生成されたFPC核酸分子を含み、第2のプローブは、SYT遺伝子の3’側又は近位に伸長する標的核酸配列から生成されたFPC核酸を含む。これらの標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)に対応するプローブをin situハイブリダイゼーション手順で使用すると、SYT遺伝子領域にt(18q11.2)を欠く正常細胞は、SYTの2つのインタクトなコピーを反映する2つの融合(近接した2つの標識によって生成される)シグナルを示す。t(18q11.2)を有する異常細胞は、単一の融合シグナルを示す。
【0132】
他の実施形態では、悪性細胞において欠失している(失われている)腫瘍抑制遺伝子である核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産生されるバイオマーカー標的タンパク質が選択される。例えば、染色体9p21にあるp16領域(D9S1749、D9S1747、p16(INK4A)、p14(ARF)、D9S1748、p15(INK4B)、及びD9S1752を含む)は、特定の膀胱癌で欠失される。第1染色体の短腕の遠位領域(例えば、SHGC57243、TP73、EGFL3、ABL2、ANGPTL1、及びSHGC-1322を包含する)、及び第19染色体のセントロメア周辺領域(例えば、19p13-19q13)(例えば、MAN2B1、ZNF443、ZNF44、CRX、GLTSCR2、及びGLTSCR1を包含する)が関与する染色体欠失は、中枢神経系の特定のタイプの固形腫瘍の特徴的な分子的特徴である。
【0133】
前述の実施形態は、例示のみを目的として提供されており、限定することを意図するものではない。腫瘍性形質転換及び/又は増殖と相関する他の多くの細胞遺伝学的異常が、当業者に知られている。また、腫瘍性形質転換と相関しており、開示される方法において有用である核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)によって産生されるバイオマーカー標的タンパク質としては、EGFR遺伝子(7p12;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000007、ヌクレオチド55054219-55242525)、C-MYC遺伝子(8q24.21;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000008、ヌクレオチド128817498-128822856)、D5S271(5p15.2)、リポタンパク質リパーゼ(LPL)遺伝子(8p22;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000008、ヌクレオチド19841058-19869049)、RB1(13q14;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000013、ヌクレオチド47775912-47954023)、p53(17p13.1;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000017、補体、ヌクレオチド7512464-7531642))、N-MYC(2p24;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、補体、ヌクレオチド151835231-151854620)、CHOP(12q13;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000012、補体、ヌクレオチド56196638-56200567)、FUS(16p11.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000016、ヌクレオチド31098954-31110601)、FKHR(13p14;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000013、補体、ヌクレオチド40027817-40138734)、と並んで、例えば、ALK(2p23;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、補体、ヌクレオチド29269144-29997936)、Ig重鎖、CCND1(11q13;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000011、ヌクレオチド69165054.69178423)、BCL2(18q21.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000018、補体、ヌクレオチド58941559-59137593)、BCL6(3q27;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000003、補体、ヌクレオチド188921859-188946169)、MALF1、AP1(1p32-p31;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000001、補体、ヌクレオチド59019051-59022373)、TOP2A(17q21-q22;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000017、補体、ヌクレオチド35798321-35827695)、TMPRSS(21q22.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000021、補体、ヌクレオチド41758351-41801948)、ERG(21q22.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000021、補体、ヌクレオチド38675671-38955488);ETV1(7p21.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000007、補体、ヌクレオチド13897379-13995289)、EWS(22q12.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000022、ヌクレオチド27994271-28026505);FLI1(11q24.1-q24.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000011、ヌクレオチド128069199-128187521)、PAX3(2q35-q37;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、補体、ヌクレオチド222772851-222871944)、PAX7(1p36.2-p36.12;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000001、ヌクレオチド18830087-18935219)、PTEN(10q23.3;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000010、ヌクレオチド89613175-89716382)、AKT2(19q13.1-q13.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000019、補体、ヌクレオチド 45431556-45483036)、MYCL1(1p34.2;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000001、補体、ヌクレオチド40133685-40140274)、REL(2p13-p12;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000002、ヌクレオチド60962256-61003682)及びCSF1R(5q33-q35;例えば、GENBANK(商標)アクセッション番号NC-000005、補体、ヌクレオチド149413051-149473128)が挙げられる。
【0134】
他の実施形態では、バイオマーカー標的タンパク質は、疾患又は症状に関連するウイルス又は他の微生物から選択される。細胞又は生物学的検体中のウイルス又は微生物由来の標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)の検出は、生物の存在を示す。例えば、バイオマーカー標的ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、発癌性又は病原性ウイルス、細菌又は細胞内寄生生物(例えば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)及び他のプラスモジウム(Plasmodium)種、リーシュマニア(Leishmania)(種)、小形クリプトスポリジウム(Cryptosporidium parvum)、原虫である赤痢アメ-バ(Entamoeba histolytica)、及びランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、並びにトキソプラズマ(Toxoplasma)、アイメリア(Eimeria)、タイレリア(Theileria)、及びバベシア(Babesia)種)のゲノムから選択することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、バイオマーカー標的タンパク質は、ウイルスゲノムからの核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産生される。例示的なウイルス及び対応するゲノム配列(括弧内のGENBANK(商標)RefSeqアクセッション番号)としては、ヒトアデノウイルスA(NC-001460)、ヒトアデノウイルスB(NC-004001)、ヒトアデノウイルスC(NC-001405)、ヒトアデノウイルスD(NC-002067)、ヒトアデノウイルスE(NC-003266)、ヒトアデノウイルスF(NC-001454)、ヒトアストロウイルス(NC-001943)、ヒトBKポリオーマウイルス(V01109;GI:60851)ヒトボカウイルス(NC-007455)、ヒトコロナウイルス229E(NC-002645)、ヒトコロナウイルスHKU1(NC-006577)、ヒトコロナウイルスNL63(NC-005831)、ヒトコロナウイルスOC43(NC-005147)、ヒトエンテロウイルスA(NC-001612)、ヒトエンテロウイルスB(NC-001472)、ヒトエンテロウイルスC(NC-001428)、ヒトエンテロウイルスD(NC-001430)、ヒトエリスロウイルスV9(NC-004295)、ヒト泡沫状ウイルス(NC-001736)、ヒトヘルペスウイルス1(単純ヘルペスウイルス1型)(NC-001806)、ヒトヘルペスウイルス2(単純ヘルペスウイルス2型)(NC-001798)、ヒトヘルペスウイルス3(水痘帯状疱疹ウイルス)(NC-001348)、1型ヒトヘルペスウイルス4(エプスタイン・バー・ウイルス1型)(NC-007605)、2型ヒトヘルペスウイルス4(エプスタイン・バー・ウイルス2型)(NC-009334)、ヒトヘルペスウイルス5株AD169(NC-001347)、ヒトヘルペスウイルス5株Merlin株(NC-006273)、ヒトヘルペスウイルス6A(NC-001664)、ヒトヘルペスウイルス6B(NC-000898)、ヒトヘルペスウイルス7(NC-001716)、ヒトヘルペスウイルス8型M(NC-003409)、ヒトヘルペスウイルス8型P(NC-009333)、ヒト免疫不全ウイルス1(NC-001802)、ヒト免疫不全ウイルス2(NC-001722)、ヒトメタニューモウイルス(NC-004148)、ヒトパピローマウイルス-1(NC-001356)、ヒトパピローマウイルス-18(NC-001357)、ヒトパピローマウイルス-2(NC-001352)、ヒトパピローマウイルス-54(NC-001676)、ヒトパピローマウイルス-61(NC-001694)、ヒトパピローマウイルス-cand90(NC-004104)、ヒトパピローマウイルスRTRX7(NC-004761)、ヒトパピローマウイルス10型(NC-001576)、ヒトパピローマウイルス101型(NC-008189)、ヒトパピローマウイルス103型(NC-008188)、ヒトパピローマウイルス107型(NC-009239)、ヒトパピローマウイルス16型(NC-001526)、ヒトパピローマウイルス24型(NC-001683)、ヒトパピローマウイルス26型(NC-001583)、ヒトパピローマウイルス32型(NC-001586)、ヒトパピローマウイルス34型(NC-001587)、ヒトパピローマウイルス4型(NC-001457)、ヒトパピローマウイルス41型(NC-001354)、ヒトパピローマウイルス48型(NC-001690)、ヒトパピローマウイルス49型(NC-001591)、ヒトパピローマウイルス5型(NC-001531)、ヒトパピローマウイルス50型(NC-001691)、ヒトパピローマウイルス53型(NC-001593)、ヒトパピローマウイルス60型(NC-001693)、ヒトパピローマウイルス63型(NC-001458)、ヒトパピローマウイルス6b型(NC-001355)、ヒトパピローマウイルス7型(NC-001595)、ヒトパピローマウイルス71型(NC-002644)、ヒトパピローマウイルス9型(NC-001596)、ヒトパピローマウイルス92型(NC-004500)、ヒトパピローマウイルス96型(NC-005134)、ヒトパラインフルエンザウイルス1(NC-003461)、ヒトパラインフルエンザウイルス2(NC-003443)、ヒトパラインフルエンザウイルス3(NC-001796)、ヒトパレコウイルス(NC-001897)、ヒトパルボウイルス4(NC-007018)、ヒトパルボウイルスB19(NC-000883)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(NC-001781)、ヒトライノウイルスA(NC-001617)、ヒトライノウイルスB(NC-001490)、ヒトスピマレトロウイルススプマレトロウイルス(NC-001795)、ヒトTリンパ向性ウイルス1(NC-001436)、ヒトTリンパ向性ウイルス2(NC-001488)が挙げられる。
【0136】
特定の実施形態では、バイオマーカー標的タンパク質は、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)又はヒトパピローマウイルス(HPV、例えばHPV16、HPV18)等の発癌性ウイルスからの核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産生される。他の実施形態では、核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産生される標的タンパク質は、病原性ウイルス、例えば呼吸器合胞体ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(例えば、SARSウイルス)、アデノウイルス、ポリオーマウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)又は単純ヘルペスウイルス(HSV)に由来する。
【0137】
検出可能部分
本開示の方法は、1つ又は複数の検出可能部分を利用する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、検出可能なコンジュゲートの成分である。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用され得る検出可能なコンジュゲートは、検出可能部分と、チラミド部分(又はその誘導体若しくは類似体)、キノンメチド部分(又はその誘導体若しくは類似体)、又は「クリックケミストリー」反応に関与することができる官能基(米国特許第10,041,950号、並びに米国特許出願公開第2019/0204330号、第2017/0089911号、及び第2019/0187130号も参照、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)のうちの1つとを含む。他の実施形態では、本開示の方法で使用され得る検出可能なコンジュゲートは、検出可能部分と、ハプテン、酵素、又は抗体のうちの1つとを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、適切な検出可能部分は、本明細書でFWHM(「半値全幅(full-width half-max)」)と呼ばれる、最大半値吸光度における吸光度ピークの全幅に従って特徴付けされ得る。FWHMは、従属変数がその最大値の半分に等しい独立変数の2つの極値間の差によって与えられる関数の範囲の式である。言い換えれば、最大振幅の半分であるy軸上の点の間で測定されたスペクトル曲線の幅である。これは、関数がその最大値の半分に達する曲線上の点間の距離によって与えられる。本質的に、FWHMは、曲線又は関数上の「バンプ」の幅を記述するために一般的に使用されるパラメータである。いくつかの実施形態では、吸光度最大値(λmax)は、検出可能部分の最大吸収の波長を表すことができるが、FWHMは、スペクトル吸光度の幅を表す。
【0139】
いくつかの実施形態では、本開示の検出可能部分は、狭いFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分のFWHMは、色素、発色団若しくは蛍光団(例えば、ダブシル、ヘマトキシリン)のFWHMより40%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより50%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより55%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより65%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより70%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより75%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより80%少ない;色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより85%少ない;発色団若しくは蛍光団のFWHMより90%小さい;又は色素、発色団若しくは蛍光団のFWHMより95%少ない、FWHMを有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約15nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約15nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約15nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約15nm~約70nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約15nm~約50nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約15nm~約40nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約20nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約20nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約20nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約20nm~約70nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約20nm~約50nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約30nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約30nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約30nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約30nm~70nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、30nm~50nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約40nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約40nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約40nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約40nm~70nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約50nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約50nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約50nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約50nm~70nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約60nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約60nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約60nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約70nm~約200nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約70nm~約150nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約70nm~約100nmのFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0147】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約200nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約190nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約180nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約170nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約160nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約150nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約140nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約130nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約120nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約110nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約100nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約90nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約80nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約70nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約60nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約50nm未満のFWHMを有する吸光度ピークを有する。
【0148】
紫外スペクトル内の検出可能部分
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、紫外スペクトル内にピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約430nm未満のピーク吸光度ピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約420nm未満のピーク吸光度ピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約415nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約410nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約405nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約395nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約390nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約385nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約380nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約375nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約370nm未満のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約100nm~約400nm、約100nm~約390nm、約100nm~約380nm、又は約100nm~約370nmの範囲のピーク吸光度波長を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約420nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約415nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約410nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約405nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約395nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約390nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約385nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約380nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約375nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約370nm未満のピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約420nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約415nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約410nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約405nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約395nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約390nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約385nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約380nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約375nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約370nm未満のピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約420nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約415nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約410nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約405nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約395nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約390nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約385nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約380nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約375nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約370nm未満のピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約420nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約415nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約410nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約400nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約405nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約395nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約390nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約385nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約380nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約375nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、開示される化合物の検出可能部分は、約370nm未満のピーク吸光度波長及び約70nm未満のFWHMを有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、クマリンを含むか、又はそれに由来する(すなわち、検出可能部分は、クマリンコアを含む)。クマリンコアを有する適切な検出可能部分の例は、米国特許第10,041,950号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、クマリンアミンコアである。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、7-クマリンアミンコアである。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、クマリノールコアである。いくつかの実施形態では、クマリンコアは7-クマリノールコアである。
【0154】
いくつかの実施形態では、クマリンコアは、1つ又は複数の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)(各電子求引基は同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、1つの電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、2つの電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、3つの電子求引基を含む(又は含むように修飾されている)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、3つの異なる電子求引基を含む(又は含むように修飾されている)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、4つの電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電子求引基は、それぞれ約1.5~約3.5の電気陰性範囲を有する。
【0155】
いくつかの実施形態では、クマリンコアは、1つ又は複数の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)(各電子供与基は同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、1つの電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、2つの電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、3つの電子供与基を含む(又は含むように修飾されている)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、3つの異なる電子供与基を含む(又は含むように修飾されている)。いくつかの実施形態では、クマリンコアは、4つの電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電子供与基は、それぞれ約1.5~約3.5の電気陰性範囲を有する。いくつかの実施形態では、「赤色」スペクトル又は「青色」スペクトルへのシフトを促進するために、1つ又は複数の電子求引基及び/又は電子供与基が組み込まれる。
【0156】
いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約300nm~約460nmの範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約320nm~約440nmの範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約340nm~約430nmの範囲の波長を有する。これらの範囲は、多かれ少なかれ電気陰性物質がクマリンコアに導入されるにつれて変化又はシフトし得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約460nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約455nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約450nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約445nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約440nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約435nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約430nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約425nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約420nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約415nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約410nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約405nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約400nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約395nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約390nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約385nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約380nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約375nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約370nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約365nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約360nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約355nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約350nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約345nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約340nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約335nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約330nm+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。
【0158】
いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約460nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約455+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約450nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約445nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約440nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約435nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約430nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約425nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約420nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約415nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約410nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約405nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約400nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約395nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約390nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約385nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約380nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約375nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約370nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約365nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約360nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約355nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約350nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約345nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約340nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約335nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約330nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0159】
いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約460nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約455+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約450nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約445nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約440nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約435nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約430nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約425nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約420nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約415nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約410nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約405nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約400nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約395nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約390nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約385nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約380nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約375nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約370nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約365nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約360nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約355nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約350nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約345nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約340nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約335nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約330nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。
【0160】
いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約460nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約455+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約450nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約445nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約440nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約435nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約430nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約425nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約420nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約415nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約410nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約405nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約400nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約395nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約390nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約385nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約380nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約375nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約370nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約365nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約360nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約355nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約350nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約345nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約340nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約335nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クマリンコアを有する検出可能部分は、約330nm+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。
【0161】
クマリンコアを有する検出可能部分の例としては、
【0162】
【0163】
【0164】
が挙げられる。
式中、記号
【0165】
【0166】
は、検出可能部分(ここで、クマリンコア)が、検出可能なコンジュゲートの別の部分(例えば、チラミド部分、キノンメチド部分、「クリックケミストリー」反応に関与することが可能な官能基、抗体、酵素、ハプテンなど)に(直接的又は間接的に)結合されている部位を指す。
【0167】
クマリンコアを有する他の適切な検出可能部分は、米国特許第10,041,950号に記載されており、その開示は、それらのクマリン系化合物が約20nm未満のFWHMを有する限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0168】
赤外スペクトル内の検出可能部分
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、赤外スペクトル内の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約740nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約750nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約760nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約765nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約770nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約775nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約780nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約785nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約790nm超の波長を有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約760nm~約1mm、約770nm~約1mm、又は約780nm~約1mmの範囲の波長を有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約740nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約750nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約760nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約765nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約770nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約775nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約780nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約785nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約790nm超の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約740nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約750nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約760nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約765nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約770nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約775nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約780nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約785nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約790nm超の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。
【0171】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約740nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約750nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約760nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約765nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約770nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約775nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約780nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約785nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約790nm超の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。
【0172】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約740nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約750nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約760nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約765nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約770nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約775nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約780nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約785nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、約790nm超の波長及び約70nm未満のFWHMを有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、ヘプタメチンシアニンコアを含むか、又はそれに由来する(すなわち、検出可能部分はヘプタメチンシアニンコアを含む)。
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、1つ又は複数の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)(各電子求引基は同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、1個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、2個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、3個の電子求引基を含む(又は含むように修飾する)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、3個の異なる電子求引基を含む(又は含むように修飾する)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、4個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。
【0174】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、1個以上の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)(各電子求引基は同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、1個の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、2個の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、3個の電子供与基を含む(又は含むように修飾する)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、3個の異なる電子供与基を含む(又は含むように修飾する)。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアは、4個の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。
【0175】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780nm~約950nmの範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約810nm~約920nmの範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンを有する検出可能部分は、約840nm~約880nmの範囲の波長を有する。
【0176】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780nm~約950nmの範囲の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約810nm~約920nmの範囲の波長及び200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンを有する検出可能部分は、約840nm~約880nmの範囲の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0177】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780nm~約950nmの範囲の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約810nm~約920nmの範囲の波長及び150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンを有する検出可能部分は、約840nm~約880nmの範囲の波長及び約150nm未満のFWHMを有する。
【0178】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780nm~約950nmの範囲の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約810nm~約920nmの範囲の波長及び100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンを有する検出可能部分は、約840nm~約880nmの範囲の波長及び約100nm未満のFWHMを有する。
【0179】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約950+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約945+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約940+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約935+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約930+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約925+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約920+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約915+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約910+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約905+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約950+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約945+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約940+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約935+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約930+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約925+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約920+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約915+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約910+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約905+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約950+/-150nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約945+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約940+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約935+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約930+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約925+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約920+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約915+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約910+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約905+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。
【0182】
いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約950+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約945+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約940+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約935+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約930+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約925+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約920+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約915+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約910+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約905+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、ヘプタメチンシアニンコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。
【0183】
いくつかの実施形態では、検出可能部分は、クロコネートコアを含むか、又はそれに由来する(すなわち検出可能部分は、クロコネートコアを含む)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、1つ又は複数の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)(各電子求引基は同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、1個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、2個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、3個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、3個の異なる電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、4個の電子求引基を含む(又は含むように修飾される)。
【0184】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、1つ又は複数の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)(各電子求引基は同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、1個の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、2個の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、3個の電子供与基を含む(又は含むように修飾する)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、3個の異なる電子供与基を含む(又は含むように修飾する)。いくつかの実施形態では、クロコネートコアは、4個の電子供与基を含む(又は含むように修飾される)。
【0185】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約780nm~約900nmの範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約800nm~約880nmの範囲の波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約820nm~約860nmの範囲の波長を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約780nm~約900nmの範囲の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約800nm~約880nmの範囲の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約820nm~約860nmの範囲の波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0187】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長を有する。
【0188】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長及び約200nm未満のFWHMを有する。
【0189】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長及び約150nm未満のFWHMを有する。
【0190】
いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約900+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約895+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約890+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約885+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約880+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約870+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約865+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約860+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約855+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約850+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約845+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約840+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約835+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約830+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約825+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約820+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約815+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約800+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約795+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約790+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約785+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、クロコネートコアを有する検出可能部分は、約780+/-10nmのピーク吸光度波長及び約100nm未満のFWHMを有する。
【0191】
ヘプタメチンシアニンコア又はクロコネートコアを含む検出可能部分の非限定的な例としては、
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
が挙げられる。
式中、記号
【0197】
【0198】
は、検出可能部分(ここでは、ヘプタメチンシアニンコア又はクロコネートコア)が、検出可能なコンジュゲートの別の部分(例えば、チラミド部分、キノンメチド部分、「クリックケミストリー」反応に関与することが可能な官能基、抗体、酵素、ハプテンなど)に(直接的又は間接的に)結合されている部位を指す。さらに他の例を本明細書に開示する。
【0199】
本開示の方法と共に使用するのに適した他の検出可能部分としては、ジアゾコアを有するもののいずれか、例えば米国特許第10,041,950号に開示されているものが挙げられ、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0200】
紫外スペクトル又は赤外スペクトル内の波長を有し、適切である他の検出可能部分は、米国特許第10,041,950号に開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
(ii)検出可能部分に結合された、(i)チラミド又はキノンメチド部分を含む検出可能なコンジュゲートの非限定的な例としては、
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
が挙げられる。
(ii)検出可能部分に結合された、(i)クリックケミストリー反応に関与することができる官能基を含む検出可能なコンジュゲートの非限定的な例としては、
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
が挙げられる。
例示された化合物の各々はアジド基(すなわち、N3)を含むが、「クリックケミストリー」反応に関与することができる別の官能基は、以下の表1に列挙されるクリック官能基のいずれかを含むアジド基で置換されてもよいことが当業者には理解されよう。
【0221】
【0222】
いくつかの実施形態では、検出可能なコンジュゲートは、
【0223】
【0224】
【0225】
から選択される。
方法
本開示はまた、生物学的検体を1つ又は複数の従来の色素で染色し(「日常的染色」又は「特殊染色」のいずれか)、生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーを1つ又は複数の検出可能部分でさらに標識する方法に関する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、可視スペクトル内で検出可能である。例えば、1つ又は複数の従来の色素は、約400nm~約700nmの範囲のピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数検出可能部分は、可視スペクトル外で、例えば、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内で検出可能である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのバイオマーカーは、2つの異なる検出可能部分で標識される。他の実施形態では、少なくとも3つのバイオマーカーは、3つの異なる検出可能部分で標識される。さらに他の実施形態では、少なくとも4つのバイオマーカーは、4つの異なる検出可能部分で標識される。さらなる実施形態では、5つ以上のバイオマーカーは、5つ以上の異なる検出可能部分で標識される。
【0226】
図1Aを参照すると、いくつかの実施形態では、生物学的検体は、第1の従来の色素で染色される(ステップ101)。いくつかの実施形態では、第1の従来の色素は、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色(1908)又はこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0227】
いくつかの実施形態では、ステップ101は、異なる従来の色素を用いて複数回繰り返されてもよい(ステップ102)。このようにして、生物学的検体が1つ又は複数の従来の色素で染色され得る。例えば、生物学的検体は、ヘマトキシリン及びエオシンで染色され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、可視スペクトル内で検出可能である。例えば、1つ又は複数の従来の色素は、約400nm~約700nmの範囲のピーク吸光度波長を有する。
【0228】
次に、第1のバイオマーカーを第1の検出可能部分で標識し(ステップ103)、第1の検出可能部分は可視スペクトル外で検出可能なシグナルを生成する。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、紫外スペクトル内又は赤外スペクトル内で検出可能である。いくつかの実施形態では、第1の検出可能部分は、クマリンコア、ヘプタメチンシアニンコア又はクロコネートコアを有する検出可能部分を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、ステップ103を複数回繰り返して(ステップ104)、1つ又は複数のバイオマーカーを1つ又は複数の検出可能部分で標識し、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは互いに異なり、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは可視スペクトル外である。いくつかの実施形態では、ステップ103及び104はまた、必要に応じて繰り返されてもよい(ステップ105)。続いて、1つ又は複数の従来の色素及び1つ又は複数の検出可能部分のシグナルが検出される(ステップ106)。
図26A~
図26Eは、シグナルを検出及び脱混合する方法を示す。いくつかの実施形態では、生物学的検体の合成画像は、1つ又は複数の従来の色素からの1つ又は複数のシグナルと、1つ又は複数の検出可能部分からの1つ又は複数のシグナルとを組み合わせることによって生成される。いくつかの実施形態では、生成された画像内の1つ又は複数の検出可能部分からの1つ又は複数のシグナルは、偽色を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、ステップ103又は104が最初に実行され、ステップ101及び102が続いて実行される(例えば、
図1Bを参照)。他の実施形態では、ステップ101及び103が順次実行され、次いでステップ101及び103の両方が1回又は複数回さらに繰り返される。さらに他の実施形態では、ステップ101及び103は同時に実行される。
【0231】
1つ又は複数のバイオマーカーが1つ又は複数の検出可能部分(例えば、可視スペクトル外で検出可能な検出可能部分)で標識される実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分の各々は、検出可能部分の各々が、(i)異なるピーク吸光度波長を有し、(ii)可視スペクトル外のピーク吸光度波長を有し(例えば、約430nm未満のピーク吸光度波長を有するか、又は670nm超のピーク吸光度波長を有する)、及び/又は(iii)実質的に重複しないピーク吸光度波長を有する(例えば、異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、少なくとも120nm、少なくとも130nm、少なくとも140nm、少なくとも150nm、少なくとも170nm、少なくとも190nm、少なくとも210nm、少なくとも230nm、少なくとも250nm、少なくとも270nm、少なくとも290nm、少なくとも310nm異なる)ように選択される。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、それらのピーク吸光度波長が、生物学的検体に適用される従来の色素のピーク吸光度波長と重複しないようにさらに選択される(スペクトルのどこでピーク吸光度波長が生じるかにかかわらず)。例えば、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとは、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とで標識されてもよく、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なり、両方とも可視スペクトル外であり、そのピーク吸光度波長は実質的に重複しない。いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとは、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とで標識されてもよく、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なり、両方とも可視スペクトル外であり、そのピーク吸光度波長は、少なくとも20nm、30nm、40nm、50nm、60nmなど異なる。
【0232】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれの異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。
【0233】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。
【0234】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。
【0235】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約70nm未満のFWHMを有する。
【0236】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約50nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約50nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約50nm未満のFWHMを有する。
【0237】
生物学的検体(例えば、従来の色素で予め染色された、又は後で従来の色素で染色された生物学的検体など)中の1つ又は複数のバイオマーカーを標識する2つの方法が本明細書に記載される。第1の方法は、チラミド又はキノンメチド部分に(直接的に又は1つ又は複数のリンカーを介して間接的に)コンジュゲートした検出可能部分(本明細書に記載されるもののいずれかを含む)を利用する。第2の方法は、クリックケミストリー反応に関与することができる反応性官能基に(直接的又は1つ又は複数のリンカーを介して間接的に)コンジュゲートされた検出可能部分(本明細書に記載されるもののいずれかを含む)を利用する。チラミド化学、キノンメチド化学及びクリックケミストリーを使用して生物学的検体中の標的を検出するための方法及び試薬は、米国特許第10,041,950号、並びに米国特許出願公開第2019/0204330号、同第2017/0089911号及び同第2019/0187130号に記載されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0238】
両方の方法において、生物学的検体中の1つ又は複数のバイオマーカーは、最初に酵素で標識される。言い換えれば、いずれも、方法の第1のステップは、1つ又は複数のバイオマーカー-酵素複合体を形成することである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカー-酵素複合体は、本明細書中に記載される2つの方法のいずれかにおける更なる反応のための中間体として働く。1つ又は複数のバイオマーカーを標識するのに適した酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、酸性ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ又はβ-ラクタマーゼが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカーは、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼで標識される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカーはそれぞれ、同じ酵素で標識される。他の実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカーは、異なる酵素で標識される。
【0239】
酵素による1つ又は複数のバイオマーカーの標識化を容易にするために、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカーに特異的な1つ又は複数の特異的結合実体を生物学的検体に導入する。
図2A及び
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカーに特異的な1つ又は複数の特異的結合実体は、一次抗体である(ステップ201、211)。一次抗体の導入に続いて、標識に(直接的又はリンカーを介して間接的に)コンジュゲートされた1つ又は複数の二次抗体を導入することができ、二次抗体は一次抗体に特異的である(例えば、二次抗体は抗一次抗体抗体である)(ステップ202、212)。いくつかの実施形態では、二次抗体のそれぞれの標識は、上記のいずれかを含む酵素である(
図2Bのステップ212を参照)。
【0240】
他の実施形態では、1つ又は複数の二次抗体の標識はハプテンである(
図2Aのステップ202を参照)。ハプテンの非限定的な例としては、オキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、ローダミンチオ尿素以外のチオ尿素、ジニトロフェニル又はトリニトロフェニル以外のニトロアリール、ロテノイド、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、ベンゾジアゼピン、2,3,6,7-テトラヒドロ-11-オキソ-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-10-カルボン酸又は7-ジエチルアミノ-3-カルボキシクマリンが挙げられる。他の適切なハプテンは米国特許第8,846,320号に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。二次抗体がハプテンにコンジュゲートされる実施形態では、酵素(上記のいずれかを含む)にコンジュゲートされた抗ハプテン抗体を生物学的検体に導入して、標的を1つ又は複数の酵素で標識することができる(ステップ203)。続いて、適切な検出試薬を生物学的検体に導入して、1つ又は複数の検出可能部分(本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを含む)による1つ又は複数のバイオマーカー(ここでは酵素に間接的に結合されている)の標識化を促進することができる(ステップ204、214)。
図2A及び
図2Bのステップは、任意の回数繰り返されてもよい(工程205及び215参照)。
【0241】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特異的結合実体は、一次抗体コンジュゲート及び/又は核酸プローブコンジュゲートである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特異的結合実体は、酵素に結合された一次抗体コンジュゲートである。いくつかの実施形態では、一次抗体コンジュゲートは、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼにコンジュゲートされる。他の実施形態では、1つ又は複数の特異的結合実体は、酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼにコンジュゲートされた核酸プローブである。酵素にコンジュゲートされた1つ又は複数の特異的結合実体の導入は、1つ又は複数のバイオマーカー-酵素複合体の形成を促進する。
【0242】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数特異的結合実体は、ハプテンに結合された一次抗体コンジュゲート及び/又はハプテンにコンジュゲートされた1つ又は複数の核酸プローブ(米国特許第8,846,320号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているハプテンのいずれかを含む)である。これらの実施形態では、ハプテンにコンジュゲートされた1つ又は複数の特異的結合実体の導入は、1つ又は複数のハプテン標識バイオマーカーの形成を容易にする。これらの実施形態では、1つ又は複数のハプテン標識バイオマーカーのハプテンに特異的な1つ又は複数の抗ハプテン抗体-酵素コンジュゲートを生物学的検体に導入して、1つ又は複数のハプテン標識バイオマーカーを酵素で標識して、1つ又は複数のバイオマーカー-酵素複合体を提供する。一次抗体コンジュゲート、二次抗体及び/又は核酸プローブは、酵素による生物学的検体中の1つ又は複数の標的の標識を達成するために、及び本明細書に例示されるように、当業者に公知の手順に従って試料に導入され得る。
【0243】
生物学的検体を1つ又は複数の従来の色素で染色するステップ(従来の色素での染色は、1つ又は複数の検出可能部分での1つ又は複数のバイオマーカーの標識の前又は後のいずれかで行われ得る)を含む上述の方法の各々は、本明細書においてより詳細に記載される。
【0244】
チラミド及び/又はキノンメチドコンジュゲートを使用して生物学的検体中の1つ又は複数の標識されたバイオマーカーを検出する方法であって、生物学的検体が1つ又は複数の従来の色素で染色されている方法
本開示はまた、(i)本明細書に記載の「日常的染色」又は「特殊染色」のいずれかを含む、可視スペクトル内で検出可能な1つ又は複数の従来の色素で生物学的検体を染色する方法、及び(ii)1つ又は複数の検出可能なコンジュゲートで生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーを標識する方法であって、検出可能なコンジュゲートのそれぞれが、(i)チラミド及び/又はキノンメチド部分、及び(ii)可視スペクトル外のピーク吸光度波長を有する検出可能部分を含む方法に関する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、紫外スペクトル又は赤外スペクトルのいずれかの範囲内にピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分はそれぞれ、約430nm未満又は約670nm超のピーク吸光度波長を有する。
【0245】
いくつかの実施形態では、
図3を参照すると、生物学的検体は、最初に第1の従来の色素で染色される(ステップ301)。ステップ301を1回又は複数回繰り返して、1つ又は複数の従来の色素で染色された生物学的検体が提供され得る。例えば、生物学的検体は、ヘマトキシリン及びエオシンの両方で染色され得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、日常的染色である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、特殊染色である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、及びライト染色(1908)から選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン及びエオシンである。
【0246】
次に、生物学的検体中の第1のバイオマーカーを第1の酵素で標識し(ステップ303)、第1のバイオマーカー-酵素複合体を形成する。第1のバイオマーカーを第1の酵素で標識する方法は上述されており、
図2A及び
図2Bにも示されている。次いで、第1のバイオマーカー-酵素複合体を含む生物学的検体を、可視スペクトル外のピーク吸光度波長を有する第1の検出可能部分(本明細書に記載のいずれかを含む)と、チラミド、キノンメチド、又はそれらの誘導体若しくは類似体のいずれかとを含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させる(ステップ304)。第1のバイオマーカー-酵素複合体の第1の酵素が第1の検出可能なコンジュゲートのチラミド又はキノンメチド部分と相互作用すると、第1の検出可能なコンジュゲートの少なくとも第1の検出可能部分は、第1のバイオマーカー標的の近位又は上に堆積する(生物学的検体内の標的分子の近位又は上への検出可能部分の対ア隻を示す
図4及び
図5も参照のこと。標的分子5又は50はバイオマーカーであり得る)。
【0247】
バイオマーカーを酵素で標識するステップ(ステップ303)及びその後に検出可能部分で標識するステップ(ステップ304)は、生物学的検体内の任意の異なる種類のバイオマーカー(例えば、タンパク質、核酸)について、任意の回数繰り返すことができる(ステップ305)。いくつかの実施形態では、生物学的検体内の各バイオマーカーは、異なる検出可能部分で標識される。例えば、Ki-67バイオマーカーは、50nm未満のFWHM及び330nm~390nmのピーク吸光度波長を有する検出可能部分で標識され得る。PD-L1バイオマーカーは、50nm未満のFWHM及び760nm~820nmのピーク吸光度波長を有する検出可能部分で標識され得る。
【0248】
最後に、1つ又は複数の従来の色素及び1つ又は複数の検出可能部分のシグナルが検出される(ステップ106)。
図26A~
図26Eは、シグナルを検出及び脱混合する方法を示す。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の検出可能部分は、検出可能部分に特異的な波長の光で生物学的検体を照射することによって検出される。1つ又は複数の検出可能部分から1つ又は複数のシグナルを検出する方法は、PCT出願番号WO/2014/143155に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書にさらに記載される。いくつかの実施形態では、生物学的検体の合成画像は、1つ又は複数の従来の色素からの1つ又は複数のシグナルと、1つ又は複数の検出可能部分からの1つ又は複数のシグナルとを組み合わせることによって生成される。いくつかの実施形態では、生成された画像内の1つ又は複数の検出可能部分からの1つ又は複数のシグナルは、偽色を含む(例えば、
図26Eを参照)。
【0249】
1つ又は複数のバイオマーカーが1つ又は複数の検出可能部分(例えば、可視スペクトル外で検出可能な検出可能部分)で標識される実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分の各々は、検出可能部分の各々が、(i)異なるピーク吸光度波長を有し、(ii)可視スペクトル外のピーク吸光度波長を有し(例えば、約430nm未満のピーク吸光度波長を有するか、又は670nm超のピーク吸光度波長を有する)、及び/又は(iii)実質的に重複しないピーク吸光度波長を有する(例えば、異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、少なくとも120nm、少なくとも130nm、少なくとも140nm、少なくとも150nm、少なくとも170nm、少なくとも190nm、少なくとも210nm、少なくとも230nm、少なくとも250nm、少なくとも270nm、少なくとも290nm、少なくとも310nm異なる)ように選択される。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、それらのピーク吸光度波長が、生物学的検体に適用される従来の色素のピーク吸光度波長と重複しないようにさらに選択される(スペクトルのどこでピーク吸光度波長が生じるかにかかわらず)。例えば、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとは、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とで標識されてもよく、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なり、両方とも可視スペクトル外であり、そのピーク吸光度波長は実質的に重複しない。いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとは、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とで標識されてもよく、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なり、両方とも可視スペクトル外であり、そのピーク吸光度波長は、少なくとも20nm、30nm、40nm、50nm、60nmなど異なる。
【0250】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれの異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。
【0251】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。
【0252】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。
【0253】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。
【0254】
図4及び
図5は、生物学的検体に導入された様々な成分間で起こる反応を更に示す。
図4を参照すると、標的5を有する生物学的検体に特異的結合実体15を最初に導入して、標的検出プローブ複合体を形成する。いくつかの実施形態では、標的5はバイオマーカーであり、形成された標的検出プローブ複合体はバイオマーカー検出プローブ複合体である。いくつかの実施形態では、特異的結合実体15は一次抗体である。続いて、標識コンジュゲート25が生物学的検体に導入され、標識コンジュゲート25は、それにコンジュゲートされた少なくとも1つの酵素を含む。図示される実施形態では、標識コンジュゲート25は二次抗体であり、二次抗体は酵素にコンジュゲートされた抗種抗体である。次に、検出可能なコンジュゲート10、例えば、キノンメチド部分又はその誘導体若しくは類縁体に直接的又は間接的に結合された本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを含む検出可能なコンジュゲートが導入される。酵素(例えば、AP又はB-Gal)が検出可能なコンジュゲート10と相互作用すると、検出可能なコンジュゲート10は、構造変化、立体構造変化、又は電子的変化20を受けて、組織反応性中間体30を形成する。この特定の実施形態では、検出可能なコンジュゲートはキノンメチド前駆体部分を含み、このキノンメチド前駆体部分は、(標識コンジュゲート25の)アルカリホスファターゼ酵素と相互作用すると、フッ素脱離基が放出されて、それぞれのキノンメチド中間体30が得られる。次いで、キノンメチド中間体30は、組織の近位又は直接に組織と共有結合を形成して、検出可能部分の複合体40を形成する。次いで、検出可能部分の複合体40からのシグナルは、米国特許第10,041,950号、並びに米国特許出願公開第2019/0204330号、米国特許出願公開第2017/0089911号及び米国特許出願公開第2019/0187130号、並びにPCT公開番号WO/2014/143155に記載されているもの等、当業者に公知の方法に従って検出することができ、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図4のステップは、標的内の1つ又は複数のバイオマーカーについて繰り返されてもよい。
【0255】
図5を参照すると、標的50を有する生物学的検体に特異的結合実体55を最初に導入して標的検出プローブ複合体を形成し、形成された標的検出プローブ複合体はバイオマーカーマーカー検出プローブ複合体である。いくつかの実施形態では、特異的結合実体55は一次抗体である。続いて、標識コンジュゲート60が生物学的検体に導入され、標識コンジュゲート60は、それにコンジュゲートされた少なくとも1つの酵素を含む。図示される実施形態では、標識コンジュゲートは二次抗体であり、二次抗体は酵素にコンジュゲートされた抗種抗体である。次に、検出可能なコンジュゲート70、例えば、チラミド部分又はその誘導体若しくは類縁体に直接的又は間接的に結合された本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを含む検出可能なコンジュゲートが導入される。酵素が検出可能なコンジュゲート70と相互作用すると、組織反応性中間体80が形成される。この特定の実施形態では、検出可能なコンジュゲート70は、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素と相互作用するとラジカル種80の形成を引き起こすチラミド部分を含む。次いで、ラジカル中間体80は、組織の近位又は直接に組織と共有結合を形成して、検出可能部分の複合体90を形成する。次いで、検出可能部分の複合体90からのシグナルは、米国特許第10,041,950号、並びに米国特許出願公開第2019/0204330号、米国特許出願公開第2017/0089911号及び米国特許出願公開第2019/0187130号、並びにPCT公開番号WO/2014/143155に記載されているもの等、当業者に公知の方法に従って検出することができ、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図5のステップは、標的内の1つ又は複数のバイオマーカーについて繰り返されてもよい。
【0256】
いくつかの実施形態では、生物学的検体を酵素不活性化組成物で前処理して、内因性ペルオキシダーゼ活性を実質的に又は完全に不活性化する。例えば、いくつかの細胞又は組織は、内因性ペルオキシダーゼを含有する。HRPコンジュゲート抗体の使用は、高い非特異的バックグラウンド染色をもたらし得る。この非特異的バックグラウンドは、本明細書に開示される酵素不活性化組成物で試料を前処理することによって減少させることができる。いくつかの実施形態では、内因性ペルオキシダーゼ活性を低下させるために、試料を過酸化水素のみ(適切な前処理溶液の約1重量%~約3重量%)で前処理する。内因性ペルオキシダーゼ活性が低下又は不活性化されたら、上記のように、検出キットを添加し、続いて検出キットに存在する酵素を不活性化してもよい。開示される酵素不活性化組成物及び方法は、内因性酵素ペルオキシダーゼ活性を不活性化する方法としても使用することができる。更なる不活化組成物は、米国特許出願公開第2018/0120202号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0257】
いくつかの実施形態では、検体がパラフィンに埋め込まれた試料である場合、適切な脱パラフィン流体を使用して試料を脱パラフィンすることができる。廃液除去剤が脱パラフィン液(複数の場合がある)を除去した後、任意の数の物質が連続して検体に塗布されることができる。物質は、前処理(例えば、タンパク質架橋、核酸を露出させる等)、変性、ハイブリッド形成、洗浄(例えば、厳密洗浄)、検出(例えば、視覚的又はマーカー分子のプローブへの連結)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子等の増幅)、逆染色、カバーガラス等のためのものとすることができる。
【0258】
本開示の方法で使用するための他のコンジュゲートは、米国特許第8,658,389号及び第8,686,122号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、米国特許第8,658,389号は、シグナル生成部分に共有結合した抗体を含むコンジュゲートを開示している。
【0259】
一対のクリックコンジュゲートを使用して試料中の標的を検出する方法
本開示はまた、(i)本明細書に記載の「日常的染色」又は「特殊染色」のいずれかを含む、可視スペクトル内で検出可能な1つ又は複数の従来の染色で生物学的検体を染色する方法、及び(ii)生物学的検体内の1つ又は複数のバイオマーカーを一対のクリックコンジュゲートで標識する方法に関する。これらのアッセイでは、一対のクリックコンジュゲートの一方のメンバーは、(i)クリックケミストリー反応に関与することができる第1の官能基と、(ii)本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを含む検出可能部分とを含む、検出可能なコンジュゲートを含む。適切な検出可能なコンジュゲートの非限定的な例は、本明細書に記載されている。一対のクリックコンジュゲートの別のメンバー(以下、「組織反応性コンジュゲート」と称する)は、(i)チラミド部分、キノンメチド部分、又はチラミド部分若しくはキノンメチド部分の誘導体若しくは類縁体と、(ii)検出可能なコンジュゲートの第1の官能基と反応することができる第2の官能基とを含む、コンジュゲートを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、紫外スペクトル又は赤外スペクトルのいずれかの範囲内にピーク吸光度波長を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分はそれぞれ、約430nm未満又は約670nm超のピーク吸光度波長を有する。検出可能なコンジュゲート及び組織反応性コンジュゲートに結合し、互いに反応することができる適切な第1の官能基及び第2の官能基を表2に示す。
【0260】
【0261】
適切な組織反応性コンジュゲートの非限定的な例を以下:
【0262】
【0263】
【0264】
に示す。
他の適切な「組織反応性コンジュゲート」は、米国特許出願公開第2019/0204330号、同第2017/0089911号、及び同第2019/0187130号に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0265】
いくつかの実施形態では、
図6を参照すると、生物学的検体は、最初に第1の従来の色素で染色される(ステップ601)。ステップ601を1回又は複数回繰り返して、1つ又は複数の従来の色素で染色された生物学的検体が提供され得る(ステップ602)。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、日常的染色である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、特殊染色である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン、エオシン、酸性フクシン、アルシアンブルー8GX、アリザリンレッドS、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アズールA、アズールB、アズールC、塩基性フクシン、ビスマルックブラウンY、ブリリアントクレシルブルー、ブリリアントグリーン、カルミン、クロラゾールブラックE、コンゴーレッド、クレシルバイオレット、クリスタルバイオレット、ダローレッド、エチルグリーン、ファストグリーンFCF、フルオレセインイソチオシアネート、ギムザ染色、インジゴカルミン、ヤヌスグリーンB、ジェンナー染色1899、ライトグリーンSF、マラカイトグリーン、マーチウスイエロー、メチルオレンジ、メチルバイオレット2B、メチレンブルー、メチレンブルー、メチレンバイオレット(ベルンツェン)、ニュートラルレッド、ニグロシン、ナイルブルーA、ヌクレアファストレッド、オイルレッドO、オレンジG、オレンジII、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、プロタルゴールS、ピロニンB、ピロニンY、レザズリン、ローズベンガル、サフラニンO、ズダンブラックB、ズダンIII、ズダンIV、テトラクロム染色(MacNeal)、チオニン、トルイジンブルー、ワイゲルト1878、ライト染色(1908)、及びこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の従来の色素は、ヘマトキシリン及びエオシンである。
【0266】
続いて、生物学的検体中の第1のバイオマーカーを第1の酵素で標識し(ステップ603)、第1のバイオマーカー-酵素複合体を形成する。第1のバイオマーカーを第1の酵素で標識する方法は上述されており、
図2A及び
図2Bにも示されている。次いで、生物学的検体を第1の組織反応性コンジュゲートと接触させ(ステップ604)、第1の組織反応性コンジュゲートは、クリックケミストリー反応に関与することができる第1の官能基(本明細書の表1及び表2に記載のもののいずれかを含む)及びチラミド、キノンメチド、又はその誘導体若しくは類縁体のいずれかを含む。組織反応性コンジュゲートの非限定的な例を本明細書で提供する。第1のバイオマーカー酵素複合体の第1の酵素が第1の組織反応性コンジュゲートのチラミド又はキノンメチド部分と相互作用すると、少なくとも第1の固定化組織クリックコンジュゲート複合体が第1のバイオマーカー標的の近位又は上に堆積する(起こり得る「クリックケミストリー」反応並びに得られた「第1の固定化組織クリックコンジュゲート複合体」及び「第1の固定化組織クリック付加物複合体」の形成を更に示す
図8及び
図9も参照)。次いで、第1の固定化組織クリックコンジュゲート複合体の形成に続いて、生物学的検体を、(i)第1の固定化組織クリックコンジュゲート複合体の第1の反応性官能基と反応することができる第2の官能基と、(ii)本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを含む第1の検出可能部分とを含む第1の検出可能なコンジュゲートと接触させる(ステップ605)。第1の固定化組織クリックコンジュゲート複合体と第1の検出可能なコンジュゲートとの反応生成物は、検出され得る第1の固定化組織クリック付加物複合体を生成する。
【0267】
生物学的検体内の任意の数のバイオマーカーについて、上述のプロセス(ステップ603、604、605)が繰り返され得る(ステップ606)。いくつかの実施形態では、各バイオマーカーは、異なる検出可能部分で標識される。例えば、Ki-67バイオマーカーは、50nm未満のFWHM及び330nm~390nmのピーク吸光度波長を有する検出可能部分で標識され得る。PD-L1バイオマーカーは、50nm未満のFWHM及び760nm~820nmのピーク吸光度波長を有する検出可能部分で標識され得る。
【0268】
最後に、1つ又は複数の従来の色素及び1つ又は複数の検出可能部分のシグナルが検出される(ステップ607)。
図26A~
図26Eは、シグナルを検出及び脱混合する方法を示す。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の検出可能部分は、検出可能部分に特異的な波長の光で生物学的検体を照射することによって検出される。1つ又は複数の検出可能部分から1つ又は複数のシグナルを検出する方法は、PCT出願番号WO/2014/143155に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書にさらに記載される。いくつかの実施形態では、生物学的検体の合成画像は、1つ又は複数の従来の色素からの1つ又は複数のシグナルと、1つ又は複数の検出可能部分からの1つ又は複数のシグナルとを組み合わせることによって生成される。いくつかの実施形態では、生成された画像内の1つ又は複数の検出可能部分からの1つ又は複数のシグナルは、偽色を含む(例えば、
図26Eを参照)。
【0269】
1つ又は複数のバイオマーカーが1つ又は複数の検出可能部分(例えば、可視スペクトル外で検出可能な検出可能部分)で標識される実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分の各々は、検出可能の各々が、(i)異なるピーク吸光度波長を有し、(ii)可視スペクトル外のピーク吸光度波長を有し(例えば、約430nm未満のピーク吸光度波長を有するか、又は670nm超のピーク吸光度波長を有する)、及び/又は(iii)実質的に重複しないピーク吸光度波長を有する(例えば、異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nm、少なくとも120nm、少なくとも130nm、少なくとも140nm、少なくとも150nm、少なくとも170nm、少なくとも190nm、少なくとも210nm、少なくとも230nm、少なくとも250nm、少なくとも270nm、少なくとも290nm、少なくとも310nm異なる)ように選択される。いくつかの実施形態では、検出可能部分は、それらのピーク吸光度波長が、生物学的検体に適用される従来の色素のピーク吸光度波長と重複しないようにさらに選択される(スペクトルのどこでピーク吸光度波長が生じるかにかかわらず)。例えば、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとは、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とで標識されてもよく、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なり、両方とも可視スペクトル外であり、そのピーク吸光度波長は実質的に重複しない。いくつかの実施形態では、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとは、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とで標識されてもよく、第1の検出可能部分と第2の検出可能部分とは異なり、両方とも可視スペクトル外であり、そのピーク吸光度波長は、少なくとも20nm、30nm、40nm、50nm、60nmなど異なる。
【0270】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれの異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約200nm未満のFWHMを有する。
【0271】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約150nm未満のFWHMを有する。
【0272】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも70nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、約100nm未満のFWHMを有する。
【0273】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも20nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも30nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも40nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、30nm未満のFWHMを有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の検出可能部分は、異なるピーク吸光度波長を有し、1つ又は複数の検出可能部分の異なるピーク吸光度波長は、少なくとも50nm離れており、1つ又は複数の検出可能部分のそれぞれは、70nm未満のFWHMを有する。
【0274】
図7及び
図8は、固定化組織クリックコンジュゲート複合体(13、23)を形成するための、組織反応性部分(10、20)を有するクリックコンジュゲート対の第1のメンバーと標的結合酵素(11、21)との間の反応を更に示す。増幅プロセスのこの第1の部分は、QMSA及びTSA増幅プロセスで使用されるものと同様である。
図8及び
図9は、検出可能なレポーター部分を含む固定化組織クリック付加物複合体(15、25)を提供するための、固定化組織クリックコンジュゲート(13、23)複合体と一対のクリックコンジュゲートの第2のメンバー(14、24)との間のその後の反応を示す。
【0275】
図7を参照すると、反応性官能基(10)を含む組織反応性コンジュゲートを標的結合酵素(11)と接触させて、反応性中間体(12)を生成する。いくつかの実施形態では、標的結合酵素(11)はバイオマーカー結合酵素である。この例では、反応性中間体であるキノンメチドは、生物学的試料上又は生物学的検体内で求核剤と共有結合を形成し、したがって固定化組織クリックコンジュゲート複合体を提供する(13)。次いで、固定化された組織クリックコンジュゲート複合体は、組織反応性コンジュゲート10及び検出可能なコンジュゲート14が互いに反応して共有結合を形成し得る反応性官能基を有する限り、本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを有する検出可能なコンジュゲート(14)と反応し得る。固定化組織クリックコンジュゲート複合体13とクリックコンジュゲート14との反応生成物は、固定化組織クリック付加物複合体15を生成する。組織クリック付加物複合体15は、連結された検出可能部分から伝達されるシグナルによって検出され得る。いくつかの実施形態では、
図7のステップは、任意の数のバイオマーカーについて繰り返され得る。
【0276】
同様に、
図8を参照すると、反応性官能基(20)を含む組織反応性コンジュゲートを標的結合酵素(21)と接触させて、反応性中間体(22)、すなわちチラミドラジカル種(又はその誘導体)を生成する。いくつかの実施形態では、標的結合酵素(21)はバイオマーカー結合酵素である。次いで、チラミドラジカル中間体は、生物学的検体と共有結合を形成し得、したがって、固定化組織クリックコンジュゲート複合体を提供し得る(23)。次いで、固定化された組織クリックコンジュゲート複合体は、組織反応性コンジュゲート及び検出可能なコンジュゲート20及び24がそれぞれ互いに反応して共有結合を形成し得る反応性官能基を有する限り、本明細書に記載の検出可能部分のいずれかを含む検出可能なコンジュゲート(24)と反応し得る。固定化された組織クリックコンジュゲート複合体23とクリックコンジュゲート24との反応生成物は、組織クリック付加物複合体25を生成する。いくつかの実施形態では、
図8のステップは、任意の数のバイオマーカーについて繰り返され得る。
【0277】
自動化
本開示のアッセイ及び方法は、自動化することができ、検体処理装置と組み合わせることができる。検体処理装置は、Ventana Medical Systems,Inc.によって販売されているBENCHMARK XT機器及びDISCOVERY XT機器等の自動装置とすることができ、Ventana Medical Systems,Inc.は、米国特許第5,650,327号、第5,654,200号、第6,296,809号、第6,352,861号、第6,827,901号及び第6,943,029号、並びに米国特許出願公開第20030211630号及び第20040052685号を含む、自動分析を実行するシステム及び方法を開示する複数の米国特許の譲受人であり、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。或いは、検体を手動で処理することもできる。
【0278】
検体処理装置は、検体に固定剤を塗布することができる。固定剤は、架橋剤(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド、並びに非アルデヒド架橋剤)、酸化剤(例えば、四酸化オスミウム及びクロム酸等の金属イオン及び複合体)、タンパク質変性剤(例えば、酢酸、メタノール、エタノール)、メカニズム不明の固定剤(例えば、塩化水銀、アセトン、及びピクリン酸)、配合試薬(例えば、カルノイ固定剤、メタカーン、ブアン液、B5固定剤)、ロスマンの液体、及びゲンドレの液体、マイクロ波、及びその他の固定剤(例えば、容積固定及び蒸気固定を除外)を含むことができる。
【0279】
検体がパラフィンに埋め込まれた試料である場合、適切な脱パラフィン液を使用して、検体処理装置により試料を脱パラフィン化することができる。廃液除去剤が脱パラフィン液(複数の場合がある)を除去した後、任意の数の物質が連続して検体に塗布されることができる。物質は、前処理(例えば、タンパク質架橋、核酸を露出させる等)、変性、ハイブリッド形成、洗浄(例えば、厳密洗浄)、検出(例えば、視覚的又はマーカー分子のプローブへの連結)、増幅(例えば、タンパク質、遺伝子等の増幅)、逆染色、カバーガラス等のためのものとすることができる。
【0280】
検体処理装置は、検体に幅広い物質を塗布することができる。物質は、これらに限定されるものではないが、染色剤、プローブ、試薬、リンス、及び/又はコンディショナを含む。物質は、流体(例えば、気体、液体、又は気体/液体混合物)等とすることができる。液体は、溶媒(例えば、極性溶媒、非極性溶媒等)、溶液(例えば、水溶液又は他のタイプの溶液)等とすることができる。試薬には、染色剤、湿潤剤、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等)、抗原回収液(例えば、水性又は非水性ベースの抗原回収溶液、抗原回収緩衝液等)が含まれ得るが、これらに限定されない。プローブは、検出可能な標識に付着した、単離された核酸又は単離された合成オリゴヌクレオチドとすることができる。標識は、放射性同位元素、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光又は蛍光剤、ハプテン、及び酵素を含むことができる。
【0281】
検出及び/又は撮像
開示される実施形態の特定の態様、又はすべてをコンピュータ分析及び/又は画像分析システムによって自動化し、容易にすることができる。いくつかの適用では、正確な色又は蛍光比が測定される。いくつかの実施形態では、光学顕微鏡法が画像分析に利用される。特定の開示される実施形態は、デジタル画像の取得を含む。これは、デジタルカメラを顕微鏡に連関させることによって行うことができる。染色された試料から得られたデジタル画像は、画像分析ソフトウェアを使用して分析される。色又は蛍光をいくつかの異なる方法で測定できる。例えば、色を赤色、青色、緑色の値;色相、彩度、及び強度の値;及び/又はスペクトル撮像カメラを使用して特定の波長若しくは波長範囲を測定することによって測定することができる。試料はまた、定性的及び半定量的に評価されることもできる。定性的評価には、染色強度の評価、染色に関与する陽性染色細胞及び細胞内コンパートメントの特定、並びに試料全体又はスライドの品質の評価が含まれる。試験試料に対して個別の評価を実行し、この分析には、試料が異常な状態を表しているかどうかを判断するための既知の平均値との比較を含めることができる。
【0282】
適切な検出方法は、PCT出願番号WO/2014/143155に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、適切な検出システムは、撮像装置と、1つ又は複数のレンズと、撮像装置と通信するディスプレイとを備える。撮像装置は、エネルギーを順次放出する手段と、画像/ビデオを捕捉する手段とを含む。いくつかの実施形態では、捕捉するための手段は、それぞれがエネルギーに曝露いる検体に対応する検体画像を捕捉するように配置される。いくつかの実施形態では、捕捉する手段は、生物学的検体を担持する顕微鏡スライドの前面及び/又は背面に配置された1つ又は複数のカメラを含むことができる。表示手段は、いくつかの実施形態では、モニタ又はスクリーンを含む。いくつかの実施形態では、エネルギーを順次放出する手段は、複数のエネルギーエミッタを含む。各エネルギーエミッタは、1つ又は複数のIRエネルギーエミッタ、UVエネルギーエミッタ、LED光エミッタ、それらの組み合わせ、又は他のタイプのエネルギー放出デバイスを含むことができる。撮像システムは、撮像手段によって撮像された検体画像に基づいてコントラスト強調カラー画像データを生成する手段を更に含むことができる。表示手段は、コントラスト強調カラー画像データに基づいて検体を表示する。
【0283】
【実施例】
【0284】
実施例1.一般的な単一及び多重IHC手順。
検出可能部分と共に使用した酵素-抗体コンジュゲートは、OmniMap anti-Ms HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4310)、OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、UltraMap anti-Ms Alk Phos、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4312)、及びUltraMap anti-Rb Alk Phos、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4314)であった。上記の一次抗体及び検出試薬を使用して、DISCOVERY Ultraシステムで完全に自動化された多重検出を行った。DISCOVERY Universal Procedureを使用して、単一バイオマーカーIHC及び多重IHCのプロトコルを作成した。一般に、IHCは、特に断らない限り、37°Cで行い、反応緩衝洗浄液を10倍濃縮物(カタログ番号950-300)から希釈した。スライドに取り付けたパラフィン切片を、スライドを70℃に3サイクル、それぞれ8分間加温することによって脱パラフィンした。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。各バイオマーカーの染色は、そのバイオマーカーを標的とする一次抗体とのインキュベーション、未結合抗体を除去するための反応緩衝液での洗浄、色素原がそれぞれチラミド誘導体又はキノンメチド誘導体であるかどうかに応じて、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼのいずれかにコンジュゲートされた一次抗体(抗マウス又は抗ウサギのいずれか)を標的とする抗種抗体とのインキュベーション、反応緩衝液での洗浄、チラミド修飾DBCO若しくはチラミド修飾発色試薬又はキノンメチド前駆体修飾発色試薬とのインキュベーション、及び反応緩衝液での洗浄を含む連続ステップで実施した。チラミドについては、希釈H2O2をチラミド添加後に添加して堆積を開始した。すべての堆積ステップの後、反応緩衝液中で洗浄した。チラミド修飾DBCOを使用する場合、スライドをアジド修飾色素原とさらにインキュベートし、洗浄した。多重IHCの場合、順番に次のバイオマーカーを染色する前に、スライドをCell Conditioning 2(VMSIカタログ番号950-123)と共に100℃で8分間インキュベートした後、反応緩衝液で洗浄した。最後に、スライドを、周囲温度で一連のエタノール(2×80%エタノール、各1分、2×90%エタノール、各1分、3×100%エタノール、各1分、3×キシレン、各1分)によって手動で脱水することができる。一次抗体及び酵素-抗体コンジュゲートを、製造業者によって推奨される濃度、体積及びインキュベーション時間で使用した。チラミド修飾された検出可能なコンジュゲート(本明細書に記載されるものなど)、チラミド-色素原又はチラミド-DBCOを、VMSI Discovery TSA希釈液(カタログ番号000060900)中25~1,200μMの範囲の濃度で100μL容量でスライドに添加した。アジド修飾された検出可能なコンジュゲートを、典型的にはチラミド-DBCOに使用されるのと同じ濃度で、TSA希釈剤中に100μL容量として添加した。検出可能なコンジュゲート(本明細書中に記載される検出可能部分を含む)の溶液の濃度は、それらのピーク吸光係数及びバイオマーカー発現レベルを反映し、典型的には、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-アセチル(AMCA)については1,200μM、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキシル(HCCA)については400μM、7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボキシル(DCC)については600~800μM、及びCy7検出可能部分については50~300μMであった。キノンメチド前駆体修飾Cy5を、TSA希釈液中の100μLの400μM Cy5検出可能部分でスライドに添加した。
【0285】
実施例2.従来の組織学的な染色及び検出可能部分の染色の顕微鏡検査及びシングルカメラモノクロ撮像。
H&E+IHC検体のマルチスペクトル撮像を、前述のように[Morrison LE,Lefever MR,Behman LJ,Leibold T,Roberts EA,Horchner UB,Bauer DR.Brightfield Multiplex Immunohistochemistry with Multispectral Imaging.Lab Invest(2020)https://doi.org/10.1038/s41374-020-0429-0]、12ビットの解像度の1392×1040ピクセルのセンサ(Teledyne Photometrics,Tucson,AZ)及びLED照明を備えたCoolSNAP ES2 CCDカメラを取り付けたOlympus BX-51顕微鏡(Olympus,Waltham,MA)で行った。顕微鏡対物レンズは、最初はOlympus UPlanSApo 20x(NA 0.75)及び10x(NA 0.40)空気対物レンズであったが、その後、色収差補正が改善されたUPLXAPO 20X(NA 0.80)及びUPLXAPO 10X(NA 0.4)対物レンズで更新された。照明は、光学的にフィルタリングされた連続光源とLED照明器との組み合わせによって提供された。前者については、Sutter Lambda 10-3 10-位置フィルターホイール(Sutter Instruments,Novato,CA)をOlympus 100 Wタングステンハロゲンランプと共に使用して、最大9つの波長チャネルを画定した。LED照明は、CoolLED(Andover,UK)pE-4000 16-チャネル照明器及び2つのLumencorSpectra Xライトエンジン(Lumencor,Inc.,Beaverton,OR)を備え、それぞれ6つのカスタム選択されたLEDを含む。照明器の出力は、3mmの液体ライトガイドに集束され、ライトガイドは、1つ又は2つのLumencorコンバイナを有する単一の直径3mmの液体ライトガイドに組み合わされた。最終的なライトガイドを、CoolLED pEコリメータ/顕微鏡アダプタを介して顕微鏡の照明ポートに接続した。照明帯域幅をさらに減少させるために、各Lumencor LEDを単一のバンドパス光学フィルタでフィルタリングした。フィルターホイールのフィルタ選択及びLED選択は、コンピュータ制御のオプションを備えた手動制御を使用して達成された。顕微鏡を透過した光のCCDカメラ上の個々の顕微鏡視野の撮像を、Micro-Managerソフトウェア[Edelstein AD,Tsuchida MA,Amodaj N,Pinkard H,Wale RD,Stuuman N.Advanced methods of microscope control using μManager software.J Biol Methods 2014;1:e10]によって制御した。透過画像と吸光度画像との間の変換、スペクトルの脱混合、及び色合成画像の形成を含む画像処理を、ImageJソフトウェア[Schneider CA,Rasband WS,Eliceiri KW.NIH Image to ImageJ:25 years of image analysis.Nat Methods 2012;9:671-675]又はMATLABソフトウェア(Mathworks,Natick,MA,USA)を用いて行った。
【0286】
典型的には、マルチカラー検体は、フィルターホイール及び/又はLED上の複数のフィルタで撮像され、各フィルタ及び/又はLEDは、検体を染色するために使用される色素の1つの最大吸光度に近い波長の光の帯域を提供した(例えば、エオシン及びHTX又は検体に適用された他の従来の染色に加えて、各検出可能部分)。利用される異なる光チャネルの数は、少なくとも色素の数と同等であった。透過画像及び吸光度画像の計算のために、染色検体内の所望の対象領域において同じ一連の光チャネルを有する画像を記録する前及び/又は後に、スライドの非染色領域上(例えば、組織/細胞検体側)の各光チャネルを使用して画像を記録した。染色された領域の透過光画像を、染色されていない領域(100%透過)の画像で除算することにより、透過率(T)画像が得られた。対数変換により、吸光度(A)画像(A=-log10T)が得られ、Aはビールの法則に従って色素濃度に比例する。カラー合成画像は、合成画像の赤、緑、及び青の色平面を形成するために、所望の擬似着色のための適切な重み付けで、モノクロA画像を追加することによって生成された。これらの合成画像は、「蛍光様」表現を提供し、A画像からT画像への逆対数変換によって明視野表現に変換することができる。接眼鏡はマルチスペクトル撮像に必要ではなく、撮像に使用される可能性のある明るい光への意図しない曝露を回避するために、接眼鏡なしの鏡筒と交換することができることに留意されたい。接眼鏡を使用する場合、不可視光を遮断し、可視光のみを透過させるなど、透過光を減少させるフィルタを対眼レンズに配置してもよい(本明細書の実施例3を参照)。
【0287】
実施例3.従来の組織学的な染色及び検出可能部分の染色の顕微鏡検査及びデュアルカメラカラー/モノクロ撮像。
図26Dは、コンピュータモニタ上の可視の従来の染色及び不可視のIHC色素原の同時観察を可能にするデュアルカメラ顕微鏡システムの概略図を提供する。Olympus BX-51及びBX-63顕微鏡(Olympus,Waltham,MA)を、UPLXAPO 20X(NA 0.80)及びUPLXAPO 10X(NA 0.4)対物レンズと共に使用した。再び
図26Dを参照すると、可視照明は、Sutter Lambda 10-3 10-位置フィルターホイール(Sutter Instruments,Novato,CA)に取り付けられた、420nm~690nmの光を透過するホットミラー(Newport Corp.,Irvine,CA;カタログ番号10HMR-0)を備えたOlympus 100 Wタングステンハロゲンランプ(A;Olympus U-LH100)によって提供された。スペクトルの青端を強調して直視及びカラーカメラのホワイトバランスを改善するために、ホットミラーの後ろにカラーバランスフィルタ(FGT165フィルタ、Thorlabs、Newton NJ USA)を取り付けてもよい。pE-4000 16チャネルLED発光体(CoolLED(Andover,UK)及びLumencor Spectra X LEDライトエンジン(Lumencor,Inc.,Beaverton,OR)、又は追加のOlympus 100 Wタングステンハロゲンランプを含む第2の照明源(B)によって、一体型IRブロッキングフィルタを除去し、単一のバンドパスフィルタセットの集合体を含むフィルタホイールと組み合わせて、遠青色/UV及び遠赤色/近IR光を提供した。照明帯域幅をさらに減少させるために、各Lumencor LEDを単一のバンドパス光学フィルタでフィルタリングした。LED及びフィルタ特性のいくつかは、以下に示す表に示されている。可視照明(A)及び不可視照明(B)は、50-50中性密度ビームスプリッタ又はダイクロイックミラーのいずれかを含む反射素子(C)を含むpE Combiner(CoolLED,Andover,UK)内で組み合わされ、カスタムコーティングは、420~700nmの光を透過し、420nm未満及び700nm超の光(Chroma Technology Corp.,Bellows Falls,VT USA)を45°に向けて各照明源に反射する。LEDが使用される場合、不可視照明源(B)は、3mmの液体ライトガイドと、pE-Combinerの前の1つ又は複数のライトガイドコンバイナ(Lumencor,Inc.,Beaverton,OR USA)とを使用して複数のLED源を組み合わせることによって拡張することができる。顕微鏡の明視野照明ポートに入った後、可視光及び不可視光の組み合わせは、検体スライド及び顕微鏡対物レンズを通過してカメラポート及びデュアルカメラマウント(2SCM1-DC;Thorlabs)に至る。コンバイナ反射素子(C)と同じ反射コーティングを有するデュアルカメラマウント内の反射素子は、可視光から不可視に分割され(ダイクロイック素子を使用する場合)、可視光透過フィルタ(D;カメラと一体)を介して可視光をカラーカメラ(Kiralux CS505CU、Thorlabs)に透過する(これは、ジエチルクマリンCDCを使用して黄色化を抑制する場合、435nmロングパスフィルタ(Newport,10CGA-435)も含み得る)。50-50中性密度ミラーが反射素子(各カメラで受信されるすべての波長)に使用された場合、420nmのロングパスフィルタが一体型カラーカメラフィルタと共に使用される。不可視光(ダイクロイック素子使用時)は、ビームスプリッタで反射され、420nm未満及び700nm超の光を透過するフィルタ(E)(カスタムET560/280ノッチフィルタ、Chroma Technology Corp;ダイクロイック反射素子使用時)、又は400nm未満及び690nm超の光を透過するNewport FSR-UG5カラーガラスフィルタ(50-50中性密度反射素子使用時)を介して、モノクロカメラ(Kiralux CS505MU、Thorlabs)に送られる。両方のカメラは、同じ下にある2448×2048ピクセルCMOSセンサを使用し、2カメラマウント内の並進及び回転調整を使用して2つのカメラの正確な位置合わせを可能にした。Thorcamソフトウェア(Thorlabs)は、各カメラからのライブビデオ、画像オーバーレイ、及び単一フレーム画像取得の制御を提供した。顕微鏡光学系を通る近UV光の不十分な透過に加えて、不可視光からの眼の保護は、顕微鏡の対眼レンズ内のレチクル空間に挿入されたカスタムバリアフィルタ(F;ET 560/280m、Chroma Technology Corp.)によって提供された。デュアルカメラモードでは、標準タングステン顕微鏡ランプからの可視広帯域光のみが眼に到達できるように、不可視光源を420nm未満又は700nm超の波長に制限した。あるいは、接眼鏡は、コンピュータモニタ上のビデオ画像の観察を制限する鏡筒に置き換えることができた(オリンパス部品U-TLU)。
【0288】
デュアルカメラ顕微鏡システムは、実施例2に記載されている単一モノクロカメラマルチスペクトル撮像システムとして使用することもできる。可視光チャネルと不可視光チャネルの両方のマルチスペクトル撮像のために、デュアルカメラマウント内のダイクロイックビームスプリッタを100%反射ミラーに置き換えて、すべての光をモノクロカメラに向け、モノクロカメラフィルタ(E)を除去した。各光チャネルを透過した光の画像をモノクロカメラにおいて順次取得し、実施例2で説明したように、定量分析、カラー合成画像の作成、及びスペクトル脱混合の実行のために画像処理を用いた。マルチスペクトルモードでは接眼鏡を通して検体を見ることはないが、対眼レンズ内の可視光のみの透過フィルタ、又は接眼鏡を鏡筒のみの部分(Olympus U-TLU)で置き換えることによって、不注意な観察が保護される。
【0289】
他の光源及びフィルタリングを使用して、同様の照明及び撮像結果を得ることができる。例えば、適切なフィルタリングと組み合わせて、タングステンハロゲン顕微鏡ランプ(IRフィルタが除去されている)、キセノンランプ、又はメタルハライドランプなど、H&Eを照明するための可視光と1つ又は複数の検出可能部分を照明するための不可視光の両方を放射する単一の光源を使用することができる。白色光は、連続光源の代わりにLEDの組み合わせによって生成することができ、不可視LEDと組み合わせて従来の染色及び不可視色素原の両方を同時に照らすことができる。
【0290】
【0291】
実施例4.スライド上分光測定。
堆積した色素原及び従来の染色の吸光度スペクトルを、タングステン照明下でOlympus BX-63顕微鏡のステージ上に配置されたスライドマウント検体上に記録した。透過光は、Pryor Scientific Inc.(マサチューセッツ州ロックランド)Lumaspec 800パワーメーターを使用して、およそ0.5nm刻みで350nm~800nmの間で測定した。200nm~1100nmのスペクトル測定を可能にしたOcean HDX UV-NIR分光計を用いて出力計をアップグレードした。スライドの染色された領域を透過した光のスペクトルを、染色されていない領域を透過したスペクトルで除して透過(T)スペクトルを得、これを関係A=log10(1/T)を用いて色素原吸光度(A)スペクトルに変換した。
【0292】
いくつかの検出可能部分を、扁桃組織上のKi67を標的とするIHCにおいて個別に使用し、得られた染色組織の吸光度スペクトルを
図10にプロットする。扁桃腺組織上のH&E吸光度スペクトルもプロットされ、可視範囲(顕微鏡下での快適なレベルの可視光照明のために420nm~700nmと近似される)は薄い水色であった。示された検出可能部分の一部は可視領域内にあったが、それらの吸光度の大部分は可視領域外であり、検出可能部分の吸光度範囲の大部分にわたって視覚感度は依然として低かった。さらに、H&E及び検出可能部分のスペクトルは、
図10の同じピーク値に対して正規化されたが、実際には、H&E吸光度は、検出可能部分よりもかなり大きく、その結果、検出可能部分の着色は、顕微鏡下で見たときに無視できるほど識別可能である。
【0293】
実施例5.ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)及びシナプトフィジン不可視性IHC(iIHC)で染色した膵臓ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織。
匿名化された患者の(癌に対して)正常な膵臓組織からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)スライドマウント切片を、VMSI検体バンクから得られたブロックからVentana Medical Systems,Inc.(VMSI)の組織学の職員が調製した。半自動免疫組織化学を、DISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で行った。DISCOVERY Universal Procedureを使用して、染色ステップを制御するためのプロトコルを作成した。この手順は、以下の手順に示すように、市販の染色剤試薬を利用してすべてのステップを自動化し、カスタム色素原試薬の手動添加のために染色剤を一時停止した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片(最大30個/ラン)を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗シナプトフィジン一次抗体(ウサギ;カタログ番号790-4407)0.1 mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の400μMチラミド修飾DBCO(0.1mL)を手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加した。これを32分間インキュベートした後、洗浄し、0.1mLの400μMアジド修飾Cy7を手動でピペッティングし、32分間インキュベートした。洗浄後、スライドを染色装置から取り出し、数百mLの反応緩衝液で洗浄した。次いで、スライドを直ちにH&Eで染色するか、又は最初に周囲温度でエタノール及びキシレン(2×80%エタノール、各1分、2×90%エタノール、各1分、3×100%エタノール、各1分、3×キシレン、各1分)によって脱水した。脱水された場合、スライドを最初に、周囲温度で100%エタノールに1分間、90%エタノールに1分間、80%エタノールに1分間及び水に1分間浸漬することによって再水和した後にH&E染色した。H&E染色を、一連のCoplinジャーにおいて周囲温度で、ジャー間でスライドを手動で移して行った。スライドを最初にヘマトキシリン溶液(Ventana HE 600ヘマトキシリン;オーダーコード07024282001)に2分間浸漬した後、水に2分間浸漬し、ディファイン溶液(Leica Surgipath SelectTech Define MX-aq、カタログ番号3803595)に1分間、水に1分間、ブルーイング溶液(VWR Bluing試薬;カタログ番号95057-852)に1分間、水に1分間、95%エタノールに30秒間、エオシン溶液(Ventana HE 600エオシン;オーダーコード06544304001)に1分間、70%エタノールに1分間、100%エタノールに2回各1分間、キシレンに3回各1分間浸漬した。次いで、スライドを乾燥させ、Richard Allan Scientific Cytoseal XYL(ThermoFisher Scientifc,Kalamazoo,MI)を適用し、タイプ1.5のカバースリップで覆うことによって取り付けた。又はSakura FineteK USA(Torrance,CA)Tissue-Tek Film Automated Coverslipperに取り付けた。
【0294】
不可視IHCをH&E染色と組み合わせる能力を試験するために、タンパク質シナプトフィジンを標的とするIHCをFFPE正常膵臓組織で実施し、続いて従来のH&E染色を実施した。IHCは、スペクトルの遠赤色/近IR領域の光を吸収する色素C7を含む検出可能部分を利用した(
図10を参照のこと)。白色光照射(タングステンハロゲンランプ)下で顕微鏡の接眼鏡を通して目視検査すると、検体の正常なH&E染色が明らかになった。
図11は、エオシンが光を吸収する513nm、ヘマトキシリンが光を吸収する620nm、及びCy7が光を吸収する770nmのLED照明を使用してモノクロカメラで記録された透過光の画像を提供する。これらの3つの画像は、
図12に示すように色合成画像に合成された。左側のカラー画像は、白色光照明を用いた顕微鏡下での視覚化を忠実に再現する擬似着色を用いた513nm及び620nmの画像の組み合わせから得られる。右側のカラー画像は、擬似的に色付けされた黒色の770nm画像を513nm及び620nm画像と組み合わせたものであり、H&Eによって明らかにされるように、膵臓組織との関連におけるシナプトフィジンの存在を示している。
【0295】
実施例6.H&E及びCD20+CD8多重iIHCで染色したFFPE扁桃組織(癌に関して正常)。
匿名化された患者由来の(癌に対して)正常な扁桃組織からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)スライドマウント切片を、VMSI検体バンクから得られたブロックからVentana Medical Systems,Inc.(VMSI)の組織学の職員が調製した。半自動免疫組織化学を、DISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で行った。DISCOVERY Universal Procedureを使用して、染色ステップを制御するためのプロトコルを作成した。この手順は、以下の手順に示すように、市販の染色剤試薬を利用してすべてのステップを自動化し、カスタム色素原試薬の手動添加のために染色剤を一時停止した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片(最大30個/ラン)を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗CD20一次抗体(マウス;VMSIカタログ番号760-2531)、0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の600μMチラミド修飾DBCO(0.1mL)を手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加した。これを32分間インキュベートした後、洗浄し、0.1mLの600μMアジド修飾DCCを手動でピペッティングし、32分間インキュベートした。洗浄後、スライドをCell Conditioning 2(VMSIカタログ番号950-123)と共に100℃で8分間インキュベートした後、反応緩衝液で洗浄した。抗CD8一次抗体(ウサギ;VMSIカタログ番号790-4460)0.1 mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。0.1mLの400μMチラミド修飾DBCOを手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした。ホウ酸緩衝液pH8.5中0.01% H2O2(0.1mL)を添加し、32分間インキュベートした後、洗浄し、32分間インキュベートしながらスライド上に0.1mLの400μMアジド修飾Cy7を手動でピペッティングした。洗浄後、スライドを染色装置から取り出し、数百mLの反応緩衝液中で洗浄し、次いで、スライドをH&Eで染色し、マウントし、実施例5に記載されるようにカバーガラスで覆った。
【0296】
FFPE扁桃組織(癌に関して正常)に対してCD20及びCD8を標的とする逐次的なIHCを行い、続いてH&E染色を行うことによって、H&E染色を伴う多重不可視IHCを実証した。CD20を、遠青色の吸収色素であるジエチルアミオクマリンカルボキシレート(DCC)に由来する検出可能部分で染色し、CD8をCy7検出可能部分で染色した。DCCは、視覚的知覚の縁付近の遠青色で吸収されるため、強い染色では眼によって弱く黄色に見ることができるが、H&E染色の存在下ではほとんど知覚できない。
図13は、膵臓の実施例からの513、620nm及び770nmのLED、並びにDCCが光を吸収する415nmのLEDによって記録された4つのモノクロ画像を表示する。扁桃全体にわたるCD20の特徴的なB細胞膜染色は、415nm画像において明らかであり、CD8の特徴的な活性化t細胞膜染色は、770nm画像において明らかであるように、胚中心の大部分外側であった。色合成画像が
図14に示されており、左側のH&E画像は、目視観察を忠実に再現する513nm及び620nmの画像から構成されている。中央の画像は、H&E合成への415nm(CD20)画像の追加を示し、右の画像は、H&E合成への770nm(CD8)画像の追加を示し、両方のIHC標的はH&E染色と区別するために擬似的に黒く着色されている。
図15は、2つの検出可能部分の吸光度ピークがエオシン及びヘマトキシリンの吸光度から明確に分離されているこの組織の吸光度スペクトルを示す。
【0297】
実施例7.H&E及びCD3+CD8多重iIHCで染色したFFPE結腸腫瘍組織。
匿名化された患者由来の結腸腫瘍組織からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)スライドマウント切片を、VMSI検体バンクから得られたブロックからVentana Medical Systems,Inc.(VMSI)の組織学の職員が調製した。半自動免疫組織化学を、DISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で行った。DISCOVERY Universal Procedureを使用して、染色ステップを制御するためのプロトコルを作成した。この手順は、以下の手順に示すように、市販の染色剤試薬を利用してすべてのステップを自動化し、カスタム色素原試薬の手動添加のために染色剤を一時停止した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片(最大30個/ラン)を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗CD3一次抗体(VMSIカタログ番号790-4341)、0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の400μMチラミド修飾DBCO(0.1mL)を手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加した。これを32分間インキュベートした後、洗浄し、0.1mLの400μMアジド修飾HCCAを手動でピペッティングし、32分間インキュベートした。洗浄後、スライドをCell Conditioning 2(VMSIカタログ番号950-123)と共に100℃で8分間インキュベートした後、反応緩衝液で洗浄した。抗CD8一次抗体(カタログ番号790-4460)、0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。0.1mLの200μMチラミド修飾DBCOを手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした。ホウ酸緩衝液pH8.5中0.01% H2O2(0.1mL)を添加し、32分間インキュベートした後、洗浄し、32分間インキュベートしながらスライド上に0.1 mLの200μMアジド修飾Cy7を手動でピペッティングした。洗浄後、スライドを染色装置から取り出し、数百mLの反応緩衝液中で洗浄し、次いで、スライドをH&Eで染色し、マウントし、実施例5に記載されるようにマウント/カバーガラスで覆った。
【0298】
H&E染色を伴う多重IHCをFFPE結腸腫瘍組織に適用し、一般的なt細胞マーカーCD3及びt細胞活性化CD8のマーカーを標的とした。CD3をHCCA検出可能部分で染色し、CD8をCy7検出可能部分で染色した。
図16は、HCCA及びCy7、並びにエオシン及びヘマトキシリンの吸光度をそれぞれ強調し、t細胞集団を明確に識別する、390nm、770nm、513nm及び620nmの4つのLED光チャネルを使用して記録されたモノクロ透過光画像を示す。
図16は、4つの画像の組み合わせから構成されるカラー合成画像を示す。
図17の左上のカラー合成は、視覚的なH&E染色パターンを再現し、右上及び左下の画像は、それぞれ、黒色として擬似的に着色された不可視CD3及びCD8染色を追加する。CD3及びCD8合成画像において、H&E染色は、バイオマーカーをより良好に可視化するために減少している。右下の画像は、CD8画像、擬似カラーシアン、CD3画像、擬似カラーマゼンタのみを合成したものである。CD8をCD3と共発現した活性化t細胞は青色に見え(マゼンタ+シアン=青色)、非活性化t細胞はマゼンタに見える。
【0299】
この結腸腫瘍例は、H&E及びIHCを単一のスライド上で同時に実施することの重要な利点を実証した。結腸癌腫では、コア腫瘍及び浸潤縁におけるCD3細胞及びCD8細胞の分布が、結腸直腸癌における無病生存率及び全生存率の強力な予後マーカーであることが実証されている(Galon J,Mlecnik B,Bindea G,Angell HK,Berger A,Lagorce,AL,et al.Towards the introduction of the「immunoscore」in the classification of malignant tumors.J Pathol 2014;232:199-209を参照のこと)。典型的には、分析には3つのFFPE切片が必要であり、1つはH&E用であり、1つはCD3及びCD8用である。浸潤縁の位置をH&Eスライド上で特定し、次いで、CD3染色スライド及びCD8染色スライドに移し、その上で縁に対するそれぞれの細胞密度を測定した。しかしながら、CD3及びCD8細胞は連続的な(一連の)FFPE切片上に列挙されたので、腫瘍周辺部は、スライドに適用されたときに3つの切片が異なる配向に起因して、また、各切片が腫瘍のより深い部分を切断し、大きさ、形状及び配向が切断の深さ及び数とともに変化するので、各スライド上でいくらか変化した。これには、H&Eスライド上で測定された腫瘍辺縁を、各単一IHC染色及びヘマトキシリン核染色を使用して同定された腫瘍形態に基づいて、CD3及びCD8スライド上で生じた任意の配向及び腫瘍変化について調整する必要があった。IHCスライド上の腫瘍辺縁部のこの近似は臨床的に有意な結果を提供することが示されているが、同じスライド上でH&E及び二重IHCを実施することは、辺縁部の位置を移す不確実性を除去し、したがってより正確な結果を提供するはずである。これはおそらく、腫瘍周縁部と比較したCD3/CD8細胞密度と転帰との関連性を高め、アッセイの予後強度をさらに改善するであろう。
【0300】
実施例8.FFPE乳房腫瘍異種移植片組織をH&E及びHER2 iIHCで染色し、デュアルカメラのカラー/モノクロ撮像システムを使用して評価した。
乳房腫瘍異種移植片(VMSI Ventana HER2 Dual ISH 3-in-1異種移植片スライド、REF 783-4422)からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)スライドマウント切片を、実施例5と同様のDISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で半自動免疫組織化学を使用してIHCによって染色した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片(最大30個/ラン)を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗HER2/neu一次抗体(VMSIカタログ番号790-2991)0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の300μMチラミド修飾DBCO(0.1mL)を手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加した。これを32分間インキュベートした後、洗浄し、0.1mLの300μMアジド修飾Cy7を手動でピペッティングし、32分間インキュベートした。洗浄後、スライドを染色装置から取り出し、数百mLの反応緩衝液で洗浄した。H&E染色及びマウント/カバースリップを実施例5に記載のように行った。
【0301】
実施例5、6、及び7では、ヘマトキシリン、エオシン、及び不可視色素原を、各色素又は色素原のピーク吸光度付近の光のバンドで順次照射し、それぞれモノクロカメラで撮像し、得られた画像を別々に見るか、又は合成画像に合成した(Morrison LE,Lefever MR,Behman LJ,Leibold T,Roberts EA,Horchner UB,Bauer DR.Brightfield Multiplex Immunohistochemistry with Multispectral Imaging.Lab Invest 2020を参照のこと)。別の手法は、白色光及び不可視光と同時に照射し、カラーカメラとモノクロカメラとの間で透過光を分割することである。適切なフィルタリングにより、H&E画像は、モノクロカメラ上の検出可能部分画像と同時にカラーカメラ上で見ることができ、並べて提示され、及び/又はコンピュータモニタ上に単一の画像としてオーバーレイされる。両方の画像は、顕微鏡ステージの位置、焦点、及びオーバーレイ画像(2つの画像の相対寄与)がライブ画像を見ながら変更され得るように、ビデオレートで提示され得る。必要に応じて、オペレータは顕微鏡の接眼鏡を通して見ることもできる。
【0302】
HER2 IHCを、Cy7検出可能部分を使用して乳房腫瘍異種移植片に対して行い、続いてH&E染色を行い、2カメラシステムで記録した画像を
図18に示す。カラーカメラで記録したH&E画像を図の左端に表示し、Cy7検出可能部分染色のモノクロ画像を右端に表示した。間には、Cy7(HER2)画像と比較してH&E画像の寄与(不透明度)が大きい及び小さい2つのオーバーレイ画像がある。分割画像アプローチの値は、病理学者がH&E及びIHC染色パターンの両方をリアルタイムで対話的に見ることができ、従来のスライド評価のようにスライド全体を横断するようなものであった。診断対象の領域は、必要に応じて、両方のカメラで個々の視野を停止及び撮像することによって文書化することができる。以前の例における合成画像を使用する逐次画像アプローチと同様に、H&E及びIHC染色は、単一細胞レベルまでのオーバーレイの視覚的評価によって相関させることができ、連続組織切片又は複数の細胞診スライド上の別々のH&E及びIHC染色よりも明確な利点を提供する。
【0303】
図18の分割画像アプローチは、H&E染色パターン及び1つのバイオマーカーの同時観察を可能にした。多重IHCが使用される場合、分割画像アプローチは、不可視照明チャネルを各検出可能部分の吸光度と一致する光に変更することによって、各バイオマーカー画像の隣に連続的にH&E画像を表示することができる。H&E及び複数のバイオマーカーを同時に見るために、顕微鏡透過光の分割は、2倍の分割を超えて拡張することができる。HER2/H&Eの例(
図18)で使用される市販のThorlabsの2-カメラスプリッタと同様に、Cairn Research(Kent,UK;Teledyne Photometrics,Tucson,AZによっても配布されている)は、2-及び4-カメラスプリッタ、並びに個別にフィルタリングされた同じ顕微鏡視野の最大4つの異なるオフセット画像を単一のカメラセンサに送達するスプリッタを市販している。この後者のスプリッタは、4つの分割画像の各々を、結果として得られる単一のカメラ画像の別個の象限に表示する。4カメラスプリッタ及びオフセット画像を有する単一カメラの両方は、最大3つの多重化バイオマーカーのH&E染色及び検出可能部分の染色の同時観察を可能にする。
【0304】
実施例9.PAP従来染色及びKi-67+p16多重不可視免疫細胞化学(iICC)で染色した子宮頸部細胞診検体。
複数の匿名化された患者からプールされた子宮頸部細胞の検体を、ThinPrep(Hologic,Mississauga,ON)手順を使用して顕微鏡スライドに適用した。VMSI CINtec PLUS Cytologyプロトコル(添付文書)に従って調製物に対してICCを行った。CINtec PLUS Cytology検出は、CINtec PLUS Cytologyカクテル処理(p16/Ki-67)一次抗体及び検出試薬を使用してBenchMark Ultraシステムで実施した。一般に、ICCは、特に断らない限り、36°Cで行い、反応緩衝洗浄液を10倍濃縮物から希釈した。子宮頸部検体プールの抗原回復は、Cell Conditioning 1を適用し、スライドを75°Cに4分間加温し、次いで100°Cに24分間加温することによって行った。CINTec PLUS Cytology抗体は一緒にカクテル処理されるので、両方の一次抗体とのインキュベーションを同時に行い、続いて反応緩衝液中で洗浄して未結合抗体を除去した。ペルオキシダーゼにコンジュゲートした一次抗体(抗マウス又は抗ウサギのいずれか)を順次標的とする抗種抗体とのインキュベーションを行った。多重IHCについて上述したように、チラミドDBCO並びにアジド修飾DCC及びCy7を使用して、DCC及びCy7 iCDCを従来のDAB及びFast Red色素原に置換した。染色操作の終了時に、スライドを希釈洗剤溶液(200mLの水中の1滴のDawnディッシュ液体(Proctor&Gamble,Cincinnati,OH))で洗浄した。従来のPAP染色は、以下のように、スライドを依然として濡らしながら直ちに行った。湿ったスライドを蒸留水に1分間、Richard-Allan Hematoxylin I(ThermoFisher)に30秒間、蒸留水に2回各15秒間、Richard-Allan Clarifier 1に30秒間、蒸留水に30秒間、Richard-Allan Bluing Reagentに30秒間、50%エタノールに30秒間、95%エタノールに30秒間、Richard-Allan Scientific(商標)Cyto-Stain(商標)(ThermoFisher)に1分間、95%エタノールに2回各30秒間浸した後、100%エタノールの3つの清浄浴に3回各30秒間通し、キシレンに3回(2回各1分間、最後に3分間)通した。次いで、PAP染色スライドを、H&E染色のために実施例5に記載されるようにカバーガラスで覆った。
【0305】
この実施例では、腫瘍抑制因子p16及び細胞増殖のマーカーKi67を標的とする子宮頸部細胞診検体のPAP染色と多重iICCを組み合わせることによって、H&E+不可視色素原概念を別の従来の病理染色及び別の調製タイプに拡張した。
図19は、PAP染色された子宮頸部細胞診検体の吸光度スペクトルを示しており、これは、H&Eと同様に、PAP染色が可視スペクトルで強く吸収され、深青色/UVではより少なく、遠赤色/近赤外ではほとんど吸収されないことを示している。
図20は、頸部細胞の集合の画像を表示し、左上の画像は、2カメラシステムのカラーカメラに記録されている。画像の下部における細胞のクラスターは異常に見え、これは、上部中央及び右側のモノクロ画像にそれぞれ示されるDCC色素原(405nmLED)によるp16染色及びCy7色素原(770nmLED)によるKi67染色によって確認され、モノクロカメラで記録された。下の2つの画像は、異なる擬似着色を有するDCC及びCy7画像を組み合わせて、より良好な同時染色を示した。右下の画像は、Ki-67を赤色で、p16を茶色で表し、PAP染色の非存在下で実施したこれら2つのタンパク質の発現のためのCINTech市販アッセイを模倣した。左下の画像は、鮮明度を向上させるために、Ki-67をマゼンタで表し、p16をシアンで表している。
図21は、カラーカメラで記録された左画像におけるPAP染色、並びにモノクロカメラで記録された中央及び右画像におけるKi67(DCC)及びp16(Cy7)染色を有する子宮頸部細胞の別のコレクションを示す。3つの画像の中央の左側にある4つの細胞のグループ分けは、両方のバイオマーカーについて強い染色を伴う異常を明確に示した。
【0306】
子宮頸部細胞診の例は、H&E以外の一般的な従来の染色を使用して不可視IHCを有利にすることができ、細胞診調製物も適切な検体であることを実証した。PAP染色は、子宮頸癌に至る経路にある女性を特定するために、ブラッシング検体中の異常な子宮頸部細胞を見つけるために使用される。検体は、分散された子宮頸部細胞及び細胞凝集体であり、塗抹として、又はThinPrep(Hologic,Mississauga,ON)及びSurepath(Becton Dickinson and Company,NJ)などの市販の液体細胞学的方法によってスライドに適用される。歴史的に、PAP染色によって明らかにされるような子宮頸部細胞の細胞形態は、潜在的に子宮頸癌につながる子宮頸癌及び異形成について患者をスクリーニングするための主要な方法として役立った。より最近では、IHCによって同定されたp16及びKi-67の両方を過剰発現する子宮頸部細胞は、異常細胞の同定においてさらなる利益を追加することが示されている(Wright Jr TC,et al.Triaging HPV-Positive Women with p16/Ki-67 Dual-stained Cytology:Results from a Sub-study Nested into the ATHENA Trial.Gynecol Oncol 2017;144:51-56.Gynecol Oncolを参照のこと)。本明細書中に示されるように、PAPと二重IHCとを組み合わせることによって全ての細胞におけるPAP染色パターン、p16発現及びKi-67発現を評価する能力は、さらにより高い診断精度を提供することが十分に期待され得る。
【0307】
実施例10.iIHCによる特殊染色の使用。
以下の特殊染色を、Ventana特殊染色キットを使用して、Ventana特殊染色自動化スライド染色装置で、製造業者の提案プロトコルに従って行った。:Trichrome Green(オーダーコード06521916001)、Trichrome Blue(オーダーコード06521908001)、Jones Light Green(オーダーコード05279356001)、)、Jones H&E(オーダーコード05279348001)及びAcid Fast Bacteria(AFB;オーダーコード08432503001)。
【0308】
H&E及びPAP以外のいくつかの従来の組織学及び細胞染色は、異常及び疾患の同定を助けるために解剖学的病理学において日常的に使用され、一般に特殊染色と呼ばれる。スライドマウントされた細胞検体に適用されたいくつかの特殊染色の吸光度スペクトルを
図22にプロットし、それらは可視スペクトル内で強い吸光度を有するが、吸光度は深青色/UV若しくは遠赤色/近IRスペクトル領域のいずれか、又はその両方で大幅に低下することを示す。したがって、H&E及びPAP染色と同様に、多くの特殊染色もまた、iIHC及びiICCの同時適用を可能にする。
【0309】
実施例11.H&E及びMART-1/melan A iIHCで染色したメラノーマFFPE組織。
メラノーマFFPE組織を、実施例5と同様のDISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で半自動免疫組織化学を使用してIHCによって染色した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗MART1/melanA一次抗体(VMSIカタログ番号790-2990)0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の400μMチラミド修飾DBCO(0.1mL)を手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加した。これを32分間インキュベートした後、洗浄し、0.1mLの400μMアジド修飾Cy7を手動でピペッティングし、32分間インキュベートした。洗浄後、スライドを染色装置から取り出し、数百mLの反応緩衝液で洗浄した。H&E染色及びマウント/カバースリップを実施例5に記載のように行った。
【0310】
検出可能部分の別の用途は、可視スペクトルで強く吸収し、IHC染色の可視化又は撮像を妨げる内因性又は外因性色素を含有する組織に対するIHCである。内因性色素の例はメラニンであり、皮膚メラノサイトに見られるポリマーであり、有害なUV照射から身体を保護する。皮膚中のメラニンの吸光度スペクトルは、寛解分光法によって決定されるように、遠赤色及び近IR.17で大きく減少する点までスペクトルの可視部分を通して減少するUVで強い吸光度を示す。Cy7検出可能部分で染色されたMART-1/melan Aを標的とするH&E及びIHCの両方で染色されたメラノーマFFPE組織の画像を
図23に示す。2カメラシステムで記録されたカラー画像は、H&E染色内の褐色メラニン色素の存在を明らかにしたが、モノクロ画像は、本質的にメラニン干渉を伴わずに、MART1/melanAを明確に定義するCy7検出可能部分による770nm LED光の吸光度を示した。重度のメラニン堆積を有する組織では、メラニン吸光度及び/又は光散乱が770nmで明らかであったが、著しく減衰した。
【0311】
メラニンの実施例は、不可視IHCが、H&E、PAP、及び特殊染色などの適用された染色による適用に有益であるだけでなく、強く吸収する内因性色素、又はさらには刺青色素を含む吸入、摂取、又は接触による工業的又は環境的曝露による外因性色素と組み合わせて使用するのにも有益であることを実証した。メラニンを含む検体では、従来の色素原によるIHCの解釈が困難な場合がある。メラニンの化学漂白は、IHCの評価を可能にするレベルまでメラニン吸光度を低下させるためにしばしば用いられた。しかしながら、漂白は、時に標的抗原を変化させ、それらの検出効率を低下させる可能性があり、IHC色素原を漂白する可能性もある。(本明細書に記載されるような)不可視色素原の使用は、漂白を完全に回避することを可能にすると考えられる。
【0312】
実施例11.カッパmRNA in situハイブリダイゼーション(ISH)及びH&Eによって染色した扁桃FFPE組織。
TSA希釈液中100μLの50又は100μMのCy7検出可能部分を置換することにより、mRNA ISHを以前に記載されたように実施した。H&E染色及びマウント/カバースリップを実施例5に記載のように行った。
【0313】
図24に扁桃FFPE組織で示されるように、不可視in situハイブリダイゼーション(ISH)と組み合わせたH&Eも実証された。左画像を2カメラシステムのカラーカメラで記録し、右画像を、Cy7検出可能部分によって吸収された770nmのLED光を観察するモノクロカメラで記録した。IHCにおいて使用される一次抗体試薬の代わりに、カッパmRNA配列にハイブリダイズしたハプテン化核酸プローブは、酵素的共有結合堆積及び酵素コンジュゲート抗ハプテン抗体を介したCy7検出可能部分による染色を指示する。予想されたように、扁桃におけるカッパ発現は、非常に強く発現する細胞から非常に弱く発現する細胞まで変化し、弱く発現する細胞あたりわずか1~数スポットとして見られた。ISHは、組織及び細胞形態の欠如についてしばしば批判されているが、この実施例は、プローブへの核酸標的のアクセスを改善するためにタンパク質分解を含むよりストリンジェントな検体前処理に起因するH&E品質のいくらかの低下があるにもかかわらず、ISHがH&E染色の関連内で提示され得ることを証明している。
【0314】
実施例12.色素原堆積化学。
匿名化された患者由来の(癌に対して)正常な扁桃組織からのホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)スライドマウント切片を、VMSI検体バンクから得られたブロックからVentana Medical Systems,Inc.(VMSI)の組織学の職員が調製した。検体スライドを、以下に記載されるような色素原堆積を除いて実施例5と同様のDISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で半自動免疫組織化学を使用してIHCによって染色した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片(最大30個/ラン)を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗CD8一次抗体(カタログ番号790-4460)、0.1 mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。チラミド色素原についてはOmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、又はキノンメチド前駆体色素原についてはUltraMap anti-Rb Alk Phos、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4314)、0.1mLを添加し、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の7-アミノ-4-メチルクマリン-3-アセテートの1200μMチラミド誘導体(0.1mL)(AMCA-チラミド)又はホウ酸緩衝液pH8.,5中の400uMのキノンメチド前駆体修飾Cy7を、手動ピペッティングによって添加した。チラミド色素原を4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加し、32分間インキュベートした後、洗浄した。キノンメチド前駆体修飾色素原を32分間インキュベートした後、洗浄した。次いで、スライドを染色装置から取り出し、数百mLの反応緩衝液で洗浄した。H&E染色及びマウント/カバースリップを実施例5に記載のように行った。
【0315】
先の実施例では、DBCO-チラミド誘導体のペルオキシダーゼ触媒共有結合堆積とそれに続くアジド誘導体化色素とのカップリングを用いて、検出可能部分を「クリックケミストリー 」中間体を介して共有結合的に堆積させた。ペルオキシダーゼ触媒フリーラジカル形成によって堆積された色素のチラミド誘導体、及び反応性キノンメチドを形成するためにアルカリホスファターゼ加水分解によって堆積されたキノンメチド前駆体色素誘導体も、バイオマーカーの不可視染色に有効であった。これは
図25に示されており、扁桃FFPE組織は、キノンメチド-Cy7検出可能部分(上)及びチラミド-AMCA UV吸収検出可能部分(下)を使用してCD8不可視IHCで染色されている。2カメラシステムは、図の左側に示すカラーカメラ画像及び右側に示すモノクロ画像で利用した。これは、主にスペクトルの不可視領域に吸光度を有する任意の色素原が、堆積化学にかかわらず、H&Eなどの従来の可視吸収染色での使用が考慮され得ることを実証した。1つの注意点は、IHC後に適用される場合、色素原は、従来の染色で利用される試薬及び条件による除去に耐えなければならないことである。これに関して、検出可能なコンジュゲート(検出可能部分を含む)は、細胞及び組織成分に共有結合しており、Fast Redなどの従来の色素原とは対照的に、有機試薬又は水性試薬によって可溶化されないので、特に有用である。
【0316】
実施例13.肺腫瘍組織上のムシカルミン特殊染色+不可視TTF-1及びp40二重IHC
匿名化された患者由来の肺腫瘍組織からのFFPEスライドマウント切片を、VMSI検体バンクから得られたブロックからVentana Medical Systems,Inc.(VMSI)の組織学の職員が調製した。半自動免疫組織化学を、DISCOVERY Ultraシステム(VMSI、Tucson AZ)で行った。DISCOVERY Universal Procedureを使用して、染色ステップを制御するためのプロトコルを作成した。この手順は、以下の手順に示すように、市販の染色剤試薬を利用してすべてのステップを自動化し、カスタム色素原試薬の手動添加のために染色剤を一時停止した。各ステップは、記載した場合を除き、混合しながら37°Cで行い、自動化された洗浄ステップは、反応緩衝液(10倍濃縮物から希釈;VMSIカタログ番号950-300)を使用した。スライドに取り付けられたパラフィン切片(最大30個/ラン)を、スライドを70°Cに加温して脱パラフィンすることから始めて、各8分間の3サイクルにわたって装置上で処理した。Cell Conditioning 1(VMSI Cat#950-124)を適用し、スライドを94℃に64分間加温して抗原回復を行った。抗甲状腺転写因子-1(TTF-1;SP141)ウサギモノクローナル一次抗体(カタログ番号790-4756)、0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Rb HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4311)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。ホウ酸緩衝液pH8.5中の100~400μMチラミド修飾DBCO(0.1mL)を手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした後、ホウ酸緩衝液pH8.5中の0.01% H2O2(0.1mL)を添加した。これを32分間インキュベートした後、洗浄し、0.1mLの100~400μMアジド修飾IR870を手動でピペッティングし、32分間インキュベートした。洗浄後、スライドをCell Conditioning 2(VMSIカタログ番号950-123)と共に100℃で8分間インキュベートした後、反応緩衝液で洗浄した。抗p40(BC28)マウスモノクローナル一次抗体(VMSIカタログ番号790-4950)0.1mLを添加し、16~32分間インキュベートした後、洗浄して未結合抗体を除去した。OmniMap anti-Ms HRP(RUO)、DISCOVERY(VMSIカタログ番号760-4310)、0.1mLを加え、8分間インキュベートした後、洗浄した。0.1mLの200~400μMチラミド修飾DBCOを手動ピペッティングによって添加し、4分間インキュベートした。ホウ酸緩衝液pH8.5中0.01% H2O2(0.1mL)を添加し、32分間インキュベートした後、洗浄し、32分間インキュベートしながらスライド上に0.1mLの200~400μMアジド修飾Cy7を手動でピペッティングした。洗浄後、スライドを染色装置から取り出し、以下のうちの1つ又は複数で洗浄した。250mLの反応緩衝液スライド、0.2gのDawn食器洗い用洗剤を含有する250mlの水、250 mlの水。次いで、スライドを直ちにH&Eで染色するか、又は最初に周囲温度でエタノール及びキシレン(2×80%エタノール、各1分、2×90%エタノール、各1分、3×100%エタノール、各1分、3×キシレン、各1分)によって脱水した。脱水された場合、スライドを最初に、周囲温度で100%エタノールに1分間、90%エタノールに1分間、80%エタノールに1分間及び水に1分間浸漬することによって再水和した後にムチカルミン染色した。ムチカルミン染色を、一連のCoplinジャーにおいて周囲温度で、製造業者の指示に従ってムチカルミン染色キット(カタログ番号ab150677;Abcam,Cambridge,MA)を使用してジャー間でスライドを手動で移して行った。これには、スライドをヘマトキシリン溶液に3分間浸漬すること、水中で洗浄すること、スライドをブルーイング試薬に30秒間浸漬すること、水中で洗浄すること、スライドをムシカルミン溶液に10分間浸漬すること、スライドを水中で洗浄すること、スライドをタートラジン溶液に1分間浸漬すること、スライドをエタノールのいくつかの変化ですすぐこと、及びスライドをキシレンに浸漬することが含まれた。次いで、スライドを水切りし、Richard Allan Scientific Cytoseal XYL(ThermoFisher Scientifc,Kalamazoo,MI)を適用して1.5型カバースリップで覆うことによって取り付けた。
【0317】
ムシカルミン特殊染色は、肺腫瘍組織の分類を助けるために病理学者によってしばしば使用される。脱パラフィン処理した肺腫瘍組織(1つは扁平上皮癌腫であり、1つは腺癌である)を上記手順(IHCなし)に従って染色し、吸光度スペクトルを記録し、
図27にプロットした。IHCは、扁平上皮癌腫と腺癌とを区別するさらに大きな能力を提供することができ、したがって、ムチカルミン特殊染色に対する良好な補完であろう。TTF-1 IHCは腺癌において細胞を特異的に染色し、p40 IHCは扁平上皮癌腫において細胞を特異的に染色する。スペクトルは、ムチカルミン染色の吸光度が、深青色及びUV吸収性HC色素原の使用を妨げる可能性があるが、遠赤色/近IR吸収性色素原の使用を妨げないはずであることを示している。IHCと組み合わせたムチカルミン特殊染色の使用を実証するために、扁平上皮癌腫及び腺癌肺腫瘍組織を、それぞれCy7(最大吸光度774nm)及びIR870(最大吸光度869nm)色素原を使用してp40及びTTF-1発現細胞を同定するための二重iIHCによって染色し、続いて上記の手順に記載のムチカルミン染色を行った。各染色組織の画像を、Semrock 769nm中心波長、49.3nm FWHMバンドパスフィルタ(カタログ番号FF 01-769/41;IDEX Health&Science,LLC,Rochester,NY)及びChroma 880nm中心波長、40nm FWHMバンドパスフィルタ(カタログ番号MV 880/40;Chroma Technology Corp,Bellows Falls,VT)を有するタングステンランプ源を使用してデュアルカメラ顕微鏡システムで記録して、それぞれCy7及びIR870照明チャネルを作成した。これらの画像を
図28に示し、予想通り、腺癌組織におけるTTF-1発現細胞(右上の画像)及び扁平上皮癌腫画像におけるp40発現細胞(中央下の画像)の存在を示す。また、同じく腺癌に関連するカラーカメラで記録されたムチカルミン染色の画像(左上の画像)において、TTF-1発現細胞の細胞質中のムチン発現を示すピンク色に注目されたい。これにより、肺の腺癌の分類が、単一の組織切片上で同時に特殊染色とIHCとの一致によって確認される。
【0318】
不可視IHCはまた、位相コントラスト及び示差干渉コントラスト(DIC)顕微鏡法などの非染色技術と組み合わせることができる。一般的に行われるように、可視スペクトルはコントラスト強調撮像に使用され、不可視色素原吸光度の存在によって影響されない。
【0319】
本明細書中に提示される実施例において、H&E染色又はPAP染色とそれぞれの不可視色素原との間のスペクトル分離が十分に大きく、可視白色光又は不可視LED照明のいずれかで観察又は記録された画像は、各色素を他から効果的に分離するのに十分であり、スペクトルクロストークの証拠はほとんどなかったことに留意されたい。しかしながら、クロストークの残留量は、スペクトル脱混合アルゴリズムの適用によって除去することができ、例えば、DCC、HCCA及びAMCA.15、20、21などの深青色/UV吸収性色素原に対してより高い染色コントラストを提供するために、H&E染色の深青色/UV吸光度の一部を除去することができる。さらに、より多くの色素を追加するとスペクトル重複が増加し、補正が必要になるので、スペクトルクロストークは、より不可視の色素を多重IHCで使用することを可能にする。スペクトル脱混合により、H&E又はPAP吸光度により近い吸光度を有する色素原を使用することができ、ヘマトキシリン及びエオシンの個々の参照スペクトルを、H&E染色液から不可視の色素原吸光度を除去するための脱混合において各色素原の参照スペクトルと共に含めることができる。さらに、スペクトル脱混合により、H&Eのヘマトキシリン及びエオシン成分を減少させて、ヘマトキシリン又はエオシンにより近い吸光度を有する色素原を使用することができる。次いで、H&E画像を、色素原吸光度を含まず、病理学者の好みに適合するようにヘマトキシリン及びエオシン成分を個別に調整可能に増強した2色素合成画像として再構成した。ヘマトキシリン及びエオシン染色の減少は、周知のH&E染色の一般的な外観及び解釈性を変化させ得るので、これはIHCの多重化レベルを増加させる能力とのトレードオフで実行される。
【0320】
実施例13及び
図28は、ムチカルミン特殊染色と共に使用される二重不可視IHCを記載しており、これは、UVにおける強いムチカルミン特殊染色吸光度に起因して、両方の不可視色素原がスペクトルの近IR部分で光を吸収することを必要とする。これは、Cy7吸光度がモニターされる波長でIR870色素原の有意な吸光度をもたらす(880nm光チャネルでのIR870吸光度の約45%が769nm光チャネルで観察される)。
図28(上部中央パネル)におけるCy7チャネルへのIR870のスペクトルクロストークはそれほど明白ではない;しかしながら、より濃く染色されたTTF-1陽性細胞のクロストークは、
図30の上部中央パネルに示されるように顕著である。このスライドは、
図28に示す同じNSCLC腺癌検体からのものであり、同じ二重IHC手順によって染色されるが、ムチカルミン特殊染色の代わりにH&Eで手動で染色される。マルチスペクトル画像は、4つのフィルタリングされたタングステンランプチャネルで照明されたモノクロカメラで記録された。510nm(主にエオシン)、599nm(ヘマトキシリン)、769nm(主にCy7)及び880nm(IR870)。脱混合510nm及び599nmの画像からカラーH&E画像(
図30、パネルA)を調製し、接眼鏡を通しての視界を再現した。769nm光チャネル(主にC7吸光度;
図30、パネルB)及び880nm光チャネル(IR870吸光度;
図30、パネルC)を使用して記録した画像を処理して、脱混合p40及びTTF-1画像(それぞれ、
図30のパネルE、F)を得た。
図30パネルBにおいて明らかであるように、この実施例のために選択される特に暗い染色IR870細胞(おそらくは、正常なTTF-1陽性細胞)は、769nm光チャネルへの顕著なクロストークを有し、これは、脱混合後に排除される(
図30、パネルE)。脱混合IR870(
図30、パネルF)は、880nmでの他の色素の最小吸光度のために、圧混合の影響をほとんど示さない。
図30のパネルDは、脱混合ヘマトキシリン及びTTF-1画像のみを組み合わせ、ヘマトキシリン対比染色を用いて従来の単一IHCを模倣して作製したカラー合成を示す。予想通り、p40染色は腺癌組織には存在しない。
【0321】
実施例14.隣接する染色吸光度間の干渉を低減するための画像処理-スペクトル脱混合。
画像処理は、スペクトルクロストークを低減し、多重化アッセイで使用された他の色素原及び染色からの干渉を低減又は排除した個々の色素原及び染色の画像を提供するために、色素原及び従来の染色の記録画像に適用することができる。例えば、
図16の左上の透過光画像では、CD3発現領域のHCCA色素原染色が明確に区別される。しかしながら、全ての細胞核の染色はまた、HCCAを撮像するために使用される390nm光チャネル内に広がるヘマトキシリンの従来の染色の広い吸光度のためにかすかに視認可能である。これは、定量分析を実行するときに典型的に行われるように、
図29の左上の画像に示されるように、透過率が吸光度に変換されるときにより明確に見られる。脱混合は、重複する色素吸光度を補正するために、各光チャネルにおける個々の各色素の相対吸光度を使用する。このプロセスは、Morrison LE,Lefever MR,Behman LJ,Leibold T,Roberts EA,Horchner UB,Bauer DR(2020)Brightfield Multiplex Immunohistochemistry with Multispectral Imaging.Lab Invest.https://doi.org/10.1038/s41374-020-0429-0及びその中の参考文献に詳細に記載されている。各色素のIHCから個々に決定される各色素の相対吸光度は、反転時に補正係数を提供するマトリックスのクロストーク係数を形成する。補正係数は、多色染色された顕微鏡視野の様々な吸光度画像によって乗算され、次いで、それらが一緒に加算されて、クロストークが除去された純粋な染色の画像が作成される。HCCA及びCy7画像の結果を
図29に示し、上の二行はクロストーク補正前の画像であり(
図16の対応する透過光画像を参照のこと)、下の二行はクロストーク補正後の画像である。脱混合HCCAは、ヘマトキシリン染色核の抑制によってかなりのバックグラウンド低減を示す。ヘマトキシリンは、Cy7が吸収するスペクトルの遠赤色/近IR部分にほとんど又は全く吸光度を有さないので、Cy7画像は大きく異なって見える。
【0322】
スペクトルクロストークは、例えば
図16に示されるように、顕微鏡を通る透過光の視覚的解釈を妨げないほど十分に小さいものであり得るが、吸光度画像の定量的分析は、例えば、異なるタンパク質発現の領域を区別するための閾値の適用をより効果的にすることによって利益を得ることができる。これは、異なる細胞集団の計数、細胞内距離の測定、タンパク質発現レベルの測定などの精度を高める。より多くの色素の使用に伴うスペクトルクロストークの増加を補正することができるので、多重アッセイにおいてスペクトル脱混合を適用することにより、デジタル評価アッセイにおいてより高いレベルの多重化が可能になる。
【0323】
本明細書中で言及される及び/又は出願データシートにおいてリスト化される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を使用して更に別の実施形態を提供するように変更されることができる。
【0324】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本開示の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正を行うことができ、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができることが理解される。
【国際調査報告】