(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電池パックの動力接続システム及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/50 20210101AFI20240214BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240214BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240214BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240214BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240214BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01M50/249
H01M50/289 101
H01M50/588
H01M50/591 101
H01M50/293
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545767
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2022084077
(87)【国際公開番号】W WO2022206839
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110339878.8
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】方成
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
(72)【発明者】
【氏名】熊柏▲鈞▼
(72)【発明者】
【氏名】鄂从吉
(72)【発明者】
【氏名】高健
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA02
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040DD06
5H040DD07
5H040DD09
5H040JJ03
5H040LL06
5H040NN03
5H043AA05
5H043AA17
5H043BA11
5H043CA05
5H043CA21
5H043DA05
5H043DA06
5H043FA06
5H043GA23
5H043GA25
5H043HA06F
5H043HA12F
5H043KA22F
5H043KA23F
5H043KA24D
5H043KA27D
5H043KA29F
5H043KA45F
(57)【要約】
本開示は、電池パックの動力接続システム及び車両に関する。電池パックの動力接続システムは、電池パック、トレイ、配電ボックス、第1駆動コネクタ及び動力コネクタを含む。電池パックは、複数のセルを含み、トレイは、電池パックを支持し、配電ボックスは、電池パックの入出力情報を割り当て、第1駆動コネクタは、一端が第1動力システムに接続され、動力コネクタは、トレイのキャビティの内部空間に配置され、複数のセルの間に位置し、一端が配電ボックスに接続され、他端が第1駆動コネクタの他端に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック(3)と、トレイ(5)と、配電ボックス(1)と、第1駆動コネクタ(4)と、動力コネクタ(2)とを含む動力接続システムであって、
前記電池パック(3)は、複数のセル(31)を含み、
前記トレイ(5)は、前記電池パックを支持し、
前記配電ボックス(1)は、前記電池パック(3)の入出力情報を割り当て、
前記第1駆動コネクタ(4)の一端は、第1動力システム(91)に接続され、
前記動力コネクタ(2)は、前記トレイ(5)のキャビティの内部空間に配置され、複数の前記セル(31)の間に位置し、前記動力コネクタ(2)の一端が前記配電ボックス(1)に接続され、前記動力コネクタ(2)の他端は、前記第1駆動コネクタ(4)の他端に接続される、ことを特徴とする電池パックの動力接続システム。
【請求項2】
前記動力コネクタ(2)は、前記トレイ(5)の押出キャビティの溶接孔に位置し、前記動力コネクタ(2)の高さは、前記溶接孔の高さ以下であり、前記動力コネクタ(2)の幅は、前記溶接孔の幅以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項3】
前記動力コネクタ(2)は、バスバーである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項4】
前記バスバーは、導体(21)及びスライダ(24)を含み、
前記スライダ(24)は、前記導体(21)と前記トレイ(5)との間に配置され、前記バスバーと前記トレイ(5)との間の隙間を充填する、ことを特徴とする請求項3に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項5】
前記スライダ(24)の前記導体(21)から離れた側に第1凹溝(241)が設けられ、前記第1凹溝(241)の第1底部の幅は、前記第1凹溝(241)の外側の幅よりも小さく、前記第1凹溝(241)は、前記トレイ(5)が前記第1凹溝(241)に挿入された後、前記第1凹溝(241)は前記バスバーを前記トレイ(5)に固定する、ことを特徴とする請求項4に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項6】
前記スライダ(24)は、ロック構造(243)を有し、前記ロック構造(243)は、前記スライダ(24)及び前記トレイ(5)をロックして固定する、ことを特徴とする請求項4に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項7】
前記導体(21)の表面に絶縁層(22)が塗布される、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項8】
前記バスバーは、制振部材(23)をさらに含み、前記制振部材(23)は、前記導体(21)に設けられ、発泡ポリエチレン又はウレタンフォームである、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項9】
前記バスバーは、ブラケット(25)をさらに含み、前記ブラケット(25)の一端は前記配電ボックス(1)に固定接続され、前記ブラケット(25)の他端は前記バスバーに接続され、前記配電ボックス(1)は、前記トレイ(5)に固定接続される、ことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項10】
前記ブラケット(25)の他端に第2凹溝(252)が設けられ、前記バスバー及び前記ブラケット(25)は、前記第2凹溝(252)によって固定接続される、ことを特徴とする請求項9に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項11】
前記バスバーは、導体(21)を含み、前記導体(21)及び前記トレイ(5)は、接着剤によって固定されるか又はそれらの間に可撓性物質を充填することによって固定される、ことを特徴とする請求項3に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項12】
第2駆動コネクタ(6)をさらに含み、前記第2駆動コネクタ(6)の一端は第2動力システム(92)に接続され、前記第2駆動コネクタ(6)の他端は前記動力コネクタ(2)に接続される、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の電池パックの動力接続システム。
【請求項13】
第1動力システム(91)と、第2動力システム(92)と、請求項1~12のいずれか1項に記載の電池パックの動力接続システムとを含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年3月30日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202110339878.8で、出願名称が「電池パックの動力接続システム及び車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする
【0002】
本開示は、新エネルギー車両の技術分野に属し、特に電池パックの動力接続システム及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車の動力源は、主に電池パックであり、従来の電池パックの動力接続形態は、動力接続バスバー、例えば、銅バー又はアルミニウムバーにより、コネクタなどの部品を電気的に接続して、電気伝送を実現することである。四輪駆動車の電池パックにおいて、一般的に、高圧配電ボックスが電池パックの前部に取り付けられ、リアドライブ接続口が電池パックの後部に近接するため、動力接続を行うために電池パック全体にわたる動力接続バスバーが必要である。したがって、空間を有効に利用し、乗客の快適性を向上させるために、どのように電池パックの動力接続を合理的に設計するかは、解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示が解決しようとする技術的課題は、空間の有効利用を実現するために、どのように電池パックの動力接続を合理的に設計するかということである。電池パックの動力接続システム及び車両が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、一態様では、本開示の実施例に係る電池パックの動力接続システムは、電池パックと、トレイと、配電ボックスと、第1駆動コネクタと、動力コネクタとを含み、前記電池パックは、複数のセルを含み、前記トレイは、前記電池パックを支持し、前記配電ボックスは、前記電池パックの入出力情報を割り当て、前記第1駆動コネクタは、一端が第1動力システムに接続され、前記動力コネクタは、トレイのキャビティの内部空間に配置され、複数の前記セルの間に位置し、一端が前記配電ボックスに接続され、他端が前記第1駆動コネクタの他端に接続される。
【0006】
本開示の一実施例において、前記動力コネクタは、前記トレイの押出キャビティの溶接孔に位置し、高さが前記溶接孔の高さ以下であり、幅が前記溶接孔の幅以下である。
【0007】
本開示の一実施例において、前記動力コネクタは、バスバーである。
【0008】
本開示の一実施例において、前記バスバーは、導体及びスライダを含み、前記スライダは、前記導体と前記トレイとの間に配置され、前記バスバーと前記トレイとの間の隙間を充填する。
【0009】
本開示の一実施例において、前記スライダの導体から離れた側に凹溝が設けられ、前記凹溝の底部の幅は、前記凹溝の外側の幅よりも小さく、前記凹溝は、トレイが凹溝に挿入された後、前記バスバー及びトレイを固定する。
【0010】
本開示の一実施例において、前記スライダは、ロック構造を有し、前記ロック構造は、前記スライダ及び前記トレイをロックして固定する。
【0011】
本開示の一実施例において、前記導体の表面に絶縁層が塗布される。
【0012】
本開示の一実施例において、前記バスバーは、制振部材をさらに含み、前記制振部材は、前記導体に設けられ、発泡ポリエチレン又はウレタンフォームである。
【0013】
本開示の一実施例において、前記バスバーは、ブラケットをさらに含み、前記ブラケットは、一端が前記配電ボックスに固定接続され、他端が前記バスバーに接続され、前記配電ボックスは、前記トレイに固定接続される。
【0014】
本開示の一実施例において、前記ブラケットの他端に凹溝が設けられ、前記バスバー及び前記ブラケットは、前記凹溝によって固定接続される。
【0015】
本開示の一実施例において、前記バスバーは、導体を含み、前記導体及び前記トレイは、接着剤によって固定されるか又はそれらの間に可撓性物質を充填することによって固定される。
【0016】
本開示の一実施例において、前記電池パックの動力接続システムは、第2駆動コネクタをさらに含み、前記第2駆動コネクタは、一端が第2動力システムに接続され、他端が前記動力コネクタに接続される。
【0017】
本開示の一実施例において、配電ボックス及び動力システムを接続する動力コネクタを電池パックのトレイのキャビティの内部空間に配置することにより、即ち、動力コネクタがトレイの内部を貫通することにより、電池パックの空間を有効に利用し、乗客又は運転者の乗り心地を向上させることができる。
【0018】
別の態様では、本開示の一実施例に係る車両は、第1動力システムと、第2動力システムと、前述の第1態様に記載の電池パックの動力接続システムとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施例に係る電池パックの動力接続システムの概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施例に係る電池パックの動力接続システムの断面図である。
【
図3】本開示の一実施例に係る電池パックの動力接続システムの別の断面図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る電池パックの動力接続バスバーの概略構成図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る電池パックの押出キャビティ付きトレイの概略図である。
【
図6】本開示の一実施例に係る電池パックの動力接続バスバーがブラケットによって固定され、スライダによって位置決めされる場合の概略構成図である。
【
図7】本開示の一実施例に係る電池パックの動力接続バスバーがブラケットによって固定され、スライダによって位置決めされる場合の細部構造の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示が解決しようとする技術的課題、技術手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の電池パックの動力接続システムを詳細に説明する。
図1、
図2及び
図3に示すように、本開示の実施例に係る電池パックの動力接続システムは、電池パック3、トレイ5、配電ボックス1、動力コネクタ2及び第1駆動コネクタ4を含む。電池パック3は、複数のセル31を含み、トレイ5は、電池パック3を支持する。配電ボックス1は、電池パック3の入出力情報を割り当てる。動力コネクタ2は、トレイ5のキャビティの内部空間に配置され、かつ複数のセル31の間に位置する。第1駆動コネクタは、一端が動力システム(例えば、第1動力システム91)に接続される。動力コネクタ2は、一端が配電ボックス1に接続され、他端が第1駆動コネクタ4の一端に接続される。
【0022】
本開示の実施例において、配電ボックス1及び動力システムを接続する動力コネクタ2を電池パックのトレイ5のキャビティの内部空間に配置することにより、即ち、動力コネクタ2がトレイ5の内部を貫通することにより、電池パックの空間を有効に利用し、乗客又は運転者の乗り心地を向上させることができる。
【0023】
本開示の一実施例において、第1駆動コネクタ4は、一端が電池パック3に接続され、他端が第1動力システム91に接続される。第1駆動コネクタ4は、車両のリアドライブ動力システム(例えば、モータ)に接続され、その動力を伝達することができる。第1駆動コネクタ4は、車両全体のリアドライブモータに接続された高圧コネクタであってもよい。具体的には、動力システム側は、車両全体のリアドライブモータの高圧コネクタによって電池パックと動力システムとの間の接続を実現することができ、電池パック側は、第1駆動コネクタ4によって電池パックと動力システムとの間の接続を実現することができる。第1動力システム91は、車両のリアドライブ動力システム、例えば、リアドライブモータであってもよい。
【0024】
本開示の実施例における配電ボックス1は、リレー、ヒューズ、銅バーなどの電気接続部品を含んでもよく、本開示は、配電ボックスを限定しない。
【0025】
図5に示すように、本開示の実施例におけるトレイ5の中間は、中空に設計される。溶接孔51は、トレイ5の中間に2つの型材を接合溶接するが、中間が空いた孔であってもよい。
【0026】
本開示の実施例における動力コネクタ2は、トレイ5の押出キャビティの溶接孔51に位置する。動力コネクタ2は、高さが溶接孔51の高さ以下であり、幅が溶接孔51の幅以下である。
【0027】
溶接孔51の空間サイズが2つ以上の動力コネクタ2を挿通するのに十分である場合、例えば、溶接孔51のサイズが2本以上のバスバーのサイズ以上である場合、2本以上のバスバーを同一の溶接孔51に挿通することができ、即ち、実際のサイズに応じて、車両全体の縦方向に2つ以上の動力コネクタ2(例えば、2本以上のバスバー)を積み重ねることにより、空間利用率を向上させることができることを理解されたい。
【0028】
本開示の実施例における動力コネクタのサイズが溶接孔のサイズよりも小さいため、電池パックの空間をさらに十分かつ合理的に利用し、動力コネクタ(幅又は高さを問わない)のサイズが大きくなると、電池パック全体のサイズが大きくなり、電池パックの空間配置に影響を与えることを回避することができる。特に、乗用車は、電池パックの高さ方向のサイズに対する要件が高く、本開示の実施例における設計は、乗用車の要件を満たし、空間を合理的に利用し、運転者の運転体験と乗員の乗り心地を向上させることができる。
【0029】
本開示の実施例における動力コネクタは、電池パックの動力を伝達することができ、バスバーなどの、伝達条件を満たすことができるデバイスであれば、動力コネクタとすることができる。バスバーは、銅バー又はアルミニウムバーなどであってもよい。
【0030】
バスバー及び配電ボックス1は、接続点8で接続されてもよい。例えば、
図6に示すように、第1接続点81は、配電ボックス及びバスバーを接続し、具体的には、接続点でボルトによって接続してもよい。
【0031】
また、バスバー及び第1駆動コネクタ(例えば、リアドライブコネクタ)4も接続点8で接続されてもよい。例えば、
図6に示すように、第2接続点82は、リアドライブコネクタ4及びバスバーを接続し、具体的には、接続点でボルトによって接続してもよい。
【0032】
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように、本開示の実施例における動力コネクタ2(例えば、バスバー)は、導体21及びスライダ24を含んでもよい。スライダ24は、導体21とトレイ5との間に配置され、バスバーとトレイ5との間の隙間を充填する。スライダ24は、バスバーに固定されてもよく、バスバーをトレイ5に入れた後にバスバーとトレイ5との間の隙間に挿入されてもよく、動力接続バスバーが押出キャビティ付きトレイ5の接合溶接空間内に揺れたり変位したりすることがないことを保証し、トレイとバスバーの両方に対して位置決め及び位置制限を実現する。スライダ24の材質は、高分子プラスチックなどであってもよい。
【0033】
本開示の一実施例において、スライダ24の導体21から離れた側に凹溝241が設けられ、凹溝241の底部の幅は、凹溝241の外側の幅よりも小さい。凹溝241は、内側が狭く外側が広くなるように設計されることにより、トレイ5が凹溝241に挿入された後、バスバーをトレイ5に固定することができ、即ち、凹溝241のガイドによってスライダ24をバスバーとトレイ5との間に滑り込み、バスバーの位置を制限することができる。
【0034】
本開示の一実施例において、スライダ24は、ロック構造243を有し、ロック構造243は、スライダ24及びトレイ5をロックして固定する。例えば、ロック構造243は、ドアロック構造に類似するように構成されてもよい。一実施例として、ロック構造243は、プッシュロッド、バネ、キャビティ及びロックタブを含んでもよい。つまり、スライダ24の内部に機械的スライド構造又はバネ機構を設けることにより、スライダ24が凹溝241の最深位置に導入された後にトレイ5に機械的にロックして固定することができる。また、
図6に示すように、固定の安定性を保証するために、スライダ24は、固定ブラケット25によって係止されてもよい。
【0035】
本開示の一実施例において、導体21の表面に絶縁層22が塗布される。絶縁層22は、導体21の間、又は導体21と外部電気部品との間の電流を遮断することができ、絶縁及び遮断の役割を果たす。このように、導体21内の電流が導体21に沿って伝達されることにより、電気エネルギーの伝達を保証し、導体21以外の電気伝導体から遮断され、感電などの安全上のリスクの発生を防止する。絶縁層22に用いられる材料は、熱収縮チューブ、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride、PVC)、ポリイミド(polyimide、PI)、エポキシ樹脂などであってもよい。絶縁層22は、スプレー又は押出プロセスを用いて絶縁材料を導体21の表面に被覆して得られるものである。
【0036】
また、導体21の絶縁層22の表面に耐摩耗性及び耐圧性を有する材料をさらに被覆してもよく、例えば、絶縁材料の表面にマイカペーパーなどを巻き付ける。これにより、絶縁効果を強化するとともに、耐摩耗、耐高温の役割を果たすことができる。
図4及び
図6に示すように、本開示の一実施例において、バスバーは、制振部材23をさらに含んでもよく、制振部材23は、導体21に設けられる。制振部材23は、制振効果を有し、振動エネルギーを吸収し、車両全体の運転中の振動による導体21の異音又は老化加速の悪影響を軽減することができる。本開示の実施例における制振部材23は、導体21の上下に独立した2つの部分として設計されてもよく、一体の部品として設計されてもよい。制振部材23は、導体21に貼り付けられてもよいし、導体21に巻き付けられてもよい。本開示は、制振部材の具体的な設計形態、構成部分及び導体21との固定形態を限定せず、エネルギーを吸収し、制振効果を達成することができる設計であれば、本願の保護範囲内にある。
【0037】
本開示の実施例において、制振効果を達成することができる材質であれば、制振部材23とすることができる。例えば、制振部材23は、発泡ポリエチレン又はウレタンフォームであってもよい。
【0038】
制振部材23は、導体21の表面の絶縁層22と互いに接着してもよく、即ち、制振材質は、接着により、バスバーの絶縁層22の表面に貼り付けられてもよく、バスバーの絶縁補強用のマイカペーパーの表面に貼り付けられてもよい。
【0039】
制振部材23は、縦方向にトレイ5に支持され、トレイ5にバスバーを支持する役割を果たす。また、制振部材23の横方向のサイズ、即ち、両側のトレイ5の間の制振部材23のサイズをトレイ5の孔隙よりやや小さく設計することにより、バスバーを固定する役割を果たし、つまり、バスバー及びトレイは、制振部材によって位置制限することができる。
【0040】
図2、
図3、
図6及び
図7に示すように、本開示の一実施例において、バスバーは、ブラケット25をさらに含み、ブラケット25は、一端が配電ボックス1に固定接続され、他端がバスバーに接続され、配電ボックス1は、トレイ5に固定接続される。配電ボックス1の設計中に、ブラケット25との接続口を確保するために、ナット又は鋼製ヘリコイルを事前に埋め込んでもよい。ブラケット及び配電ボックスは、ボルトによって固定接続されてもよく、例えば、ブラケット25は、ボルト7によって配電ボックスに固定されてもよい。配電ボックス1は、ブラケット25によってバスバーに固定接続されてもよく、例えば、ブラケットは、一端がバスバーに係止され、他端がボルトによって配電ボックス内に固定接続されてもよい。配電ボックス1及びトレイ5は、両者の表面を溶接することにより接続されてもよい。
【0041】
ブラケット25及び配電ボックス1の接続形態は、様々である。例えば、ブラケット25及び配電ボックス1は、ボルトによって接続されてもよい。また、例えば、ブラケット25及び配電ボックス1は、接着剤によって接続されてもよい。例えば、高圧配電ボックス1に凹み及び位置制限孔が予め設けられることにより、ブラケットは、位置制限孔によって初期的に固定され、凹みに接着剤を注入することによってさらに固定され、接着剤の使用量について、振動強度及び接着強度を考慮して決定される。接着剤による接続方式は、簡単で、容易に実現される。
【0042】
本開示の一実施例において、ブラケット25の他端に凹溝が設けられてもよく、バスバー及びブラケット25は、凹溝によって固定接続される。例えば、ブラケット25及びバスバーは、バックルによって固定されてもよく、動力接続バスバーが抜けたり揺れたりしないために、凹溝の幅が動力接続バスバーの横断面の厚さよりやや大きいバックル装置によって動力接続バスバーを係止し、該ブラケット25の材質は、ポリプロピレン(polyethylene、PP)、ポリアミド66(Polyamide、PA66)などであってもよい。
【0043】
本開示の一実施例において、バスバーは、導体21を含み、導体21及びトレイ5は、接着剤によって固定されてもよい。導体21及びトレイ5は、それらの間に可撓性物質を充填することによって固定されてもよい。
【0044】
バスバー及び配電ボックス1は、接続点8で接続されてもよい。例えば、
図6に示すように、第1接続点81は、配電ボックス及びバスバーを接続し、具体的には、接続点でボルトによって接続してもよい。
【0045】
また、バスバー及び第1駆動コネクタ(例えば、リアドライブコネクタ)4も接続点8で接続されてもよい。例えば、
図6に示すように、第2接続点82は、リアドライブコネクタ4及びバスバーを接続し、具体的には、接続点でボルトによって接続してもよい。
【0046】
電池パックの動力接続システムは、第2駆動コネクタ6をさらに含んでもよい。第2駆動コネクタ6は、一端が第2動力システム92に接続され、他端が動力コネクタ2に接続される。第2動力システム92は、フロントドライブ動力システム、例えば、フロントドライブモータであってもよい。第2駆動コネクタ6は、車両全体のフロントドライブモータに接続されたフロントドライブコネクタであってもよい。
【0047】
本開示の実施例におけるバスバーは、以下の工程によって組み立てることができる。まず、動力接続バスバーを押出キャビティ付きトレイ5の接合溶接空間内に挿入し、制振部材23及びスライダ24によって動力接続バスバーの取付位置を決定して制限し、さらに、固定ブラケット25によって銅バーをトレイ5に徹底的に固定し、最後に、該動力接続バスバーを適切な位置に折り曲げることにより、バスバーと高圧配電ボックス1及びリアドライブコネクタ(例えば、第2動力コネクタ2)との動力接続を実現する。
【0048】
また、本開示の実施例は、第1動力システム91と、第2動力システム92と、上記実施例の電池パックの動力接続システムとを含む車両を提供する。
【0049】
用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を示唆するものとして理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。
【0050】
本開示において、明確な規定及び限定がない限り、用語「装着」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、明確な限定がない限り、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本開示における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0051】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語を参照した説明は、該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特徴が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない限り、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合するか又は組み合わせることができる。
【0052】
以上は、本開示の好ましい実施例に過ぎず、本開示を限定するものではなく、本開示の精神及び原則内で行われた全ての修正、等価置換及び改良などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 配電ボックス
2 動力コネクタ
21 導体
22 絶縁層
23 制振部材
24 スライダ
241 第1凹溝
243 ロック構造
25 ブラケット
252 第2凹溝
3 電池パック
31 セル
4 第1駆動コネクタ
5 トレイ
51 溶接孔
6 第2駆動コネクタ
7 ボルト
8 接続点
81 第1接続点
82 第2接続点
91 第1動力システム
92 第2動力システム
【国際調査報告】