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特表2024-507689ブレーキダストを収集するための測定リム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ブレーキダストを収集するための測定リム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240214BHJP
   F16D 66/02 20060101ALI20240214BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20240214BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240214BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20240214BHJP
   F16D 51/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G01N1/00 101R
F16D66/02 A
F16D66/02 X
G01N1/02 L
G01M17/007 E
F16D65/00 C
F16D51/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545941
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 AT2022060026
(87)【国際公開番号】W WO2022160000
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】A50053/2021
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398055255
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フーバー・ミヒャエル・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クッパー・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】クルーク・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2G052
3J058
【Fターム(参考)】
2G052AA04
2G052AA05
2G052AC20
2G052AD03
2G052AD04
2G052AD43
2G052AD44
2G052CA04
2G052CA12
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058AA73
3J058BA41
3J058BA60
3J058BA78
3J058CD14
3J058DB02
3J058DB03
3J058FA01
(57)【要約】
【課題】車両のブレーキ設備のブレーキダストの信頼性をもった定量化及び分類を可能とするとともに、実際の応用における手間を低減する。
【解決手段】リム周面2が、少なくとも該測定リム1のリム端面5において、スポーク3を介して中央内側に位置するリムフランジ4に結合されており、リム周面2と、スポーク3と、リムフランジ4との間にリム内部空間6が形成されている、測定リム1において、測定リム1の周方向に延在角度にわたって延在する収集ハウジング7がリム内部空間6に配置されており、収集ハウジング7には収集ハウジング内部空間14が形成されており、収集ハウジング7が、周面8において収集ハウジング内部空間14へ開放されており、排出空間15がリムフランジ4に設けられており、測定リム1には収集通路16が設けられており、該収集通路により、収集ハウジング内部空間14が排出空間15に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム周面(2)を有する測定リムであって、リム周面が、少なくとも該測定リム(1)のリム端面(5)において、1つ又は複数のスポーク(3)を介して中央内側に位置するリムフランジ(4)に結合されており、リム周面(2)と、スポーク(3)と、リムフランジ(4)との間にリム内部空間(6)が形成されている、前記測定リムにおいて、
測定リム(1)の周方向に延在角度(α)にわたって延在する収集ハウジング(7)がリム内部空間(6)に配置されていること、収集ハウジング(7)には収集ハウジング内部空間(14)が形成されており、収集ハウジング(7)が、径方向内側の、測定リム(1)の周方向に延在する周面(8)において、収集ハウジング内部空間(14)へ向けて少なくとも部分的に開放されていること、測定リム(1)において、排出空間(15)がリムフランジ(4)に設けられていること、及び測定リム(1)には収集通路(16)が設けられており、該収集通路により、収集ハウジング(7)の収集ハウジング内部空間(14)が排出空間(15)に接続されていることを特徴とする測定リム。
【請求項2】
延在角度(α)が100~180°、好ましくは100~130°であることを特徴とする請求項1に記載の測定リム。
【請求項3】
収集ハウジング内部空間(14)とは反対の収集通路(16)の端部が、収集ハウジング(7)の周方向に所定の長さで延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の測定リム。
【請求項4】
リムフランジ(4)において中央内側に中央中空部(28)が設けられており、該中央中空部(28)が排出空間(15)を形成していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の測定リム。
【請求項5】
リムフランジ(4)において少なくとも1つの径方向の中空部(40)が設けられており、該径方向の中空部(40)が、リムフランジ(4)の径方向外側の周面において、リム内部空間(6)へ突出するリムフランジ(4)の範囲で径方向外方へ開口しているとともに、中央中空部(28)において径方向内方へ開口していることにより、リム内部空間(6)が中空部によって中央中空部(28)と接続されていること、及び排出空間(15)を収集ハウジング内部空間(14)と接続するために、収集通路(16)が、リムフランジ(4)の外側の周面において、少なくとも1つの径方向の中空部(40)の開口部の範囲で途切れていることを特徴とする請求項4に記載の測定リム。
【請求項6】
リム内部空間(6)に位置する測定フランジ(4)の軸方向端部に、又は外側におけるリム端面(5)に収集ディスク(27)が配置されており、該収集ディスク内には中空空間(34)が設けられており、該中空空間(34)が収集通路(16)に接続されていることにより、中空空間(34)が排出空間(15)を形成していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の測定リム。
【請求項7】
収集ディスク(27)の径方向外側の周面及び/又は端面には、中空空間(34)への少なくとも1つの開口部が設けられていること、並びに中空空間(34)を収集ハウジング内部空間(14)に接続するために、収集通路(16)が少なくとも1つの開口部の範囲で途切れていることを特徴とする請求項6に記載の測定リム。
【請求項8】
収集ディスク(27)が、第1の収集ディスクプレート(32)及び第2の収集ディスクプレート(33)を備えており、該第1の収集ディスクプレート及び第2の収集ディスクプレートは、中空空間(34)を形成するために互いに軸方向に離間して配置されており、中空空間(34)に接続された中央内側に位置する中空部(36)が第1の収集ディスクプレート(32)に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の測定リム。
【請求項9】
第1の収集ディスクプレート(32)の中空部(36)が、測定リム(1)の中央中空部(28)に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の測定リム。
【請求項10】
収集ディスク(27)には、中空空間(34)に接続された少なくとも1つの接続通路(45)が配置されており、該接続通路(45)が、接続リング(46)の周溝(47)に開口していること、並びに接続通路(45)及び接続リング(46)を介して中空空間(34)を収集ハウジング内部空間(14)に接続するために、収集通路(16)が周溝(47)の範囲で途切れていることを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の測定リム。
【請求項11】
リムフランジ(1)には、排出空間(15)に接続された回転フィードスルー(24)が設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の測定リム。
【請求項12】
中央中空部(28)には、回転フィードスルー(24)として、中空の排出パイプ接続部(37)が回転可能に支持されて配置されていることを特徴とする請求項4又は9に記載の測定リム。
【請求項13】
車輪のブレーキ装置(20)のブレーキダストを検出するための配置構造であって、車輪が、請求項1~12のいずれか1項に記載の測定リム(1)を備えており、可動のブレーキ部分が収集ハウジング内部空間(14)内へ突出することで、測定リム(1)の収集ハウジング(7)が、ブレーキ装置(20)の可動のブレーキ部分を少なくとも部分的に包囲していることを特徴とする配置構造。
【請求項14】
ブレーキダストが、排出空間(15)から排出管路(17)を介して測定装置(19)へ案内されることを特徴とする請求項13に記載の配置構造。
【請求項15】
排出空間(15)には、又は排出空間(15)に接続された中央中空部(28)には、ブレーキダストが収集されるフィルタ挿入体(50)が配置されていることを特徴とする請求項13に記載の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具体的な本発明は、リム周面を有する測定リムであって、リム周面が、少なくとも該測定リムのリム端面において、1つ又は複数のスポークを介して中央内側に位置するリムフランジに結合されており、リム周面と、スポークと、リムフランジとの間にリム内部空間が形成されている、前記測定リムに関するものである。本発明は、そのほか、車輪のブレーキ装置のブレーキダストを検出するための配置構造に関するものであり、車輪は、冒頭に記載の測定リムを備えている。
【背景技術】
【0002】
車両による細塵による環境汚染は、以前から知られており、ますます厳しくなる法的な規制を受ける。ここで、これまでは、主に、燃焼排ガスを介して環境へ至る、内燃エンジンにおける内燃過程により生成される細塵汚染が焦点であった。しかし、これまでに、車両において他の細塵源も確認された。このとき、特に車両のブレーキ設備に焦点が当てられた。車両の動作中にブレーキディスク及びブレーキライニングの摩耗により細塵が生成され、当該細塵は、環境に至るとともに空気の細塵汚染の一因となっている。
【0003】
したがって、車両の動作中に制動時のブレーキダストを収集するとともにフィルタするために、ブレーキディスクを部分的に包囲し、回転方向におけるブレーキの後ろに配置されたブレーキダスト粒子フィルタが既に知られている。これについての例は、特許文献1である。このようなブレーキダスト粒子フィルタは、アクティブな吸引を伴ったものも例えば特許文献2から知られている。
【0004】
また、車両又はブレーキ設備の製造者は、ブレーキ設備による細塵の生成の低減にますます焦点を合わせている。ブレーキ設備を開発するために、しばしばブレーキ試験台が用いられ、当該ブレーキ試験台には、ブレーキ設備が設置され、動的なテストが行われる。ブレーキディスク/ブレーキライニングの摩耗による細塵の発生及び規模をより良好に判断することができるように、ブレーキダストを測定することができるためのこのようなブレーキ試験台が既に知られている。これについての例は、特許文献3である。当該問題は、専門文献、例えば非特許文献1でも既に扱われている。ここで、ブレーキ試験台におけるブレーキディスク及びブレーキライニングは、本質的にハウジングに入れられ、ハウジング内の空気が吸い込まれ、解析される。ブレーキ過程において生じる粒子はある程度の境界温度から温度に大きく依存するため、プロセス管理、特に加えてシステム全体を冷却するハウジングにおける空気体積流量が粒子排出に影響を与える。これにより、ブレーキダストの現実に近い測定が困難となり得る。
【0005】
しかし、ブレーキ試験台は、道路上の車両における現実の使用を単に近似することしかできない。そのため、現実により近い判断のためには、道路上での動作中に現実の車両での測定を実行することが常に魅力的である。例えば、特許文献4には、道路上での現実の動作中に車両のホイールブレーキの粒子放出を測定し、分類する装置が示されており、当該装置は、同様にブレーキ試験台においても使用可能である。ここで、車両におけるブレーキディスク及びブレーキシューを有するブレーキは、ハウジングによって包囲される。ハウジングには空気が供給され、粒子を含有する空気は、ハウジングから排出され、測定システムへ供給される。このとき、各車両、各車輪及び各ブレーキについて固有のハウジングを形成することが必要であるという困難性がある。ホイールハウスにおいてハウジングを格納することができるように、ホイールシャフトを延長する必要があり得る。それとは別に、給気及び排気をホイールハウスにおいてガイドする必要があり、当該ホイールハウスには、いずれにしてもわずかなスペースしかなく、アクセスが困難である。そのため、給気及び排気をブレーキへ案内することができるように、車両のアンダーフロアは、しばしば穿孔される。したがって、当該装置は、実際の応用においては手間がかかるものである。加えて、ここでは、アクティブに供給される空気によってシステム温度が影響を受け、このことは、ブレーキダストの顕著な温度依存性により、測定及びその結果に影響を与えかねないことに留意すべきである。
【0006】
特許文献5にはブレーキ粒子放出を測定する装置が記載されており、当該装置では、リムの外側全体を包囲するとともにリムと共に回転する塵埃収集漏斗がホイールリムの外側リングに固定されている。粒子を含有する空気は、塵埃収集漏斗を介して吸い込まれ、粒子測定部へ供給される。ホイールリムはリム内側で密閉されていないため、粒子を含有する排気においてブレーキダストをタイヤダスト、道路ダスト又は周囲ダストから区別することができない。これにより、ブレーキダストの信頼性をもった定量化及び分類が阻害されてしまう。これとは別に、当該装置では、測定されるホイールリムの幾何学的な形状によって流れ特性が変化するため、様々な車両間又はホイールリム間でのブレーキダストの比較がほとんど不可能である。特に、塵埃収集漏斗と、空気循環の欠如とによって、リム内での過熱に至ることもあり、これは、粒子放出が温度に大きく依存するため、粒子放出の測定に影響し得る。
【0007】
特許文献4又は特許文献5におけるように、リムの部分的な閉鎖は、いずれにしても、リムにおいて、特にブレーキの範囲において支配的なその他の条件に影響を与える。これにより、このようにして検出及び測定されるブレーキダストによる粒子放出は現実に生じるブレーキダストとは異なることがあり、これにより、測定の信頼性が疑われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2019/0048377号
【特許文献2】国際公開第2011/1160976号
【特許文献3】国際公開第2017/097901号
【特許文献4】独国特許出願公開第102017006349号明細書
【特許文献5】独国特許発明第102017200941号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kukutschova J.ほか著, “On airborne nano/micro-sized wear particles released from low-metallic automotive brakes“, Environmental Pollution 159 (2011), 第998-1006ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
具体的な本発明の課題は、車両のブレーキ設備のブレーキダストの信頼性をもった定量化及び分類を可能とするとともに、同時に実際の応用における手間を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
当該課題は、冒頭に挙げた測定リムによって、本発明により、測定リムの周方向に延在角度にわたって延在する収集ハウジングがリム内部空間に配置されており、収集ハウジングには収集ハウジング内部空間が形成されており、収集ハウジングが、径方向内側の、測定リムの周方向に延在する周面において、収集ハウジング内部空間へ向けて少なくとも部分的に開放されており、測定リムにおいて、排出空間がリムフランジに設けられており、及び測定リムには収集通路が設けられており、該収集通路により、収集ハウジングの収集ハウジング内部空間が排出空間に接続されていることによって解決される。このような収集ハウジングによって、ブレーキダストの収集の影響を大幅に低減することが可能である。特に、これにより、ブレーキ設備の通常の冷却、ひいてはブレーキ設備の範囲における温度も、またブレーキ設備の範囲における流れも、過剰に影響を受けないため、収集されたブレーキ粒子は現実に近いものとなる。このために、標準リムの適合が必要ないか、又は最小の適合のみで済むため、ブレーキダストの収集の転用のための手間が最小となる。
【0012】
有利には、延在角度は100~180°である。好ましくは、延在角度は100~130°である。
【0013】
収集ハウジング内部空間とは反対の収集通路の端部が、収集ハウジングの周方向に所定の長さで延在していれば有利である。これにより、収集通路の形状及び寸法設定によって、ブレーキダストの収集に目的に合わせて影響を与えることができ、特に粒子損失を最小化するために、ブレーキダストの案内を目的に合わせて設定することが可能である。ここで、収支損失を低減するために、収集通路の断面を周方向において変化させる、特に回転方向において減少させることも考えられる。収集通路につづく周囲の残りは、粒子損失を防止するために、周囲に沿って閉鎖されることが可能である。
【0014】
リムフランジにおいて中央内側に形成された中央中空部(中央凹部)が排出空間として用いられれば特に有利である。換言すれば、リムフランジには、中央内側に中央中空部が設けられており、当該中央中空部は、排出空間を形成する。このような中央中空部は、全ての標準リムにおいて存在するとともに、収集されたブレーキダストを排出するために空間を提供する。
【0015】
このために、リムフランジにおいて少なくとも1つの径方向の中空部(凹部)を設けることができ、該径方向の中空部が、リムフランジの径方向外側の周面において、リム内部空間へ突出するリムフランジの範囲で開口しているとともに、中央中空部において径方向内方へ開口していることにより、リム内部空間が中空部によって中央中空部と接続されていること、及び排出空間を収集ハウジング内部空間と接続するために、収集通路が、リムフランジの外側の周面において、少なくとも1つの径方向の中空部の開口部の範囲で途切れている。このために、測定リムでは、径方向の中空部のみがリムフランジに設けられることができ、このことは、少ない手間で実現されることが可能である。
【0016】
リム内部空間に位置する測定フランジの軸方向端部に、又は外側におけるリム端面に収集ディスクが配置されており、該収集ディスク内には中空空間が設けられており、該中空空間が、少なくとも部分的に排出空間を形成しているとともに、収集通路に接続されていれば、標準リムを適合させないで済む。収集ディスク、径方向外側の周面及び/又は端面には、中空空間への少なくとも1つの開口部が設けられており、並びに中空空間を収集ハウジング内部空間に接続するために、収集通路が少なくとも1つの開口部の範囲で途切れていれば、構造上簡易である。
【0017】
有利かつ構造上簡易には、収集ディスクが、第1の収集ディスクプレート及び第2の収集ディスクプレートを備えており、該第1の収集ディスクプレート及び第2の収集ディスクプレートは、中空空間を形成するために互いに軸方向に離間して配置されており、中空空間に接続された中央内側に位置する中空部が第1の収集ディスクプレートに設けられている。このとき、第1の収集ディスクプレートが測定リムの中央中空部に配置されていれば有利である。なぜなら、ここでも中央中空部を介してブレーキダストを排出することが可能であるためである。これに代えて、収集ディスクには、中空空間に接続された少なくとも1つの接続通路が配置されており、該接続通路が、接続リングの周溝に開口しており、接続通路及び接続リングを介して中空空間を収集ハウジング内部空間に接続するために、収集通路が周溝の範囲で途切れている。当該構成により、特に、収集ディスクをリム端面に配置することができ、これにより、リム内側の収集ディスクによる軸における軌道(トレッド)拡張を回避することが可能である。
【0018】
測定リムからブレーキダストを排出するために、当該測定リムには、有利には、排出空間に接続された回転フィードスルーが設けられている。回転フィードスルーとして中空の排出パイプ接続部が中央中空部において回転可能に支持して配置されていれば、特に容易に転用可能である。
【0019】
有利には、本発明による測定リムは、車輪のブレーキ装置のブレーキダストを検出するために用いられ、可動のブレーキ部分が収集ハウジング内部空間に突出することで、測定リムの収集ハウジングは、車輪と共に回転するブレーキ装置の可動のブレーキ部分を少なくとも部分的に包囲する。収集ハウジングは、径方向内側の周面における開口部によって、例えばブレーキディスクである可動のブレーキ部分にかぶせられることができ、これにより、測定リムが使用しやすくなる。
【0020】
本発明の課題は、そのほか、冒頭に挙げた、車両のブレーキ装置のブレーキダストを検出するための配置構造によって解決され、車輪が、上述の測定リムを備えており、可動のブレーキ部分が収集ハウジング内部空間へ突出することで、測定リムの収集ハウジングが、ブレーキ装置の可動のブレーキ部分を少なくとも部分的に包囲している。
【0021】
このとき、好ましくは、ブレーキダストは、排出空間から排出管路を介して測定装置へ案内される。
【0022】
別の一態様では、排出空間には、又は排出空間に接続された中央中空部には、ブレーキダストが収集されるフィルタ挿入体が配置される。
【0023】
以下に、具体的な本発明を、例示的、概略的、かつ、制限せずに本発明の有利な形態を示す図1図14を参照しつつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】1つの視点における本発明による測定リムを示す図である。
図2】1つの視点における本発明による測定リムを示す図である。
図3】ブレーキ装置における本発明による測定リムの配置を示す図である。
図4】本発明による測定リムの第1の構成を示す図である。
図5】本発明による測定リムの第1の構成を示す図である。
図6】本発明による測定リムの第1の構成を示す図である。
図7】収集ハウジングが一方側においてのみブレーキディスクを包囲する構成を示す図である。
図8】本発明による測定リムの別の一構成を示す図である。
図9】本発明による測定リムの別の一構成を示す図である。
図10】本発明による測定リムの別の一構成を示す図である。
図11】本発明による測定リムの別の一構成を示す図である。
図12】本発明による測定リムの別の一構成を示す図である。
図13】車両のホイールハウスを介した排出のためのリム内部空間における収集通路を有する本発明による測定リムを示す図である。
図14】ブレーキダストを収集するための、測定リムの中央中空部における粒子フィルタを有する測定リムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1(断面図)及び図2(側面図)には、回転軸線1aを有する本発明による測定リム1が図示されている。測定リム1は、タイヤ(不図示)と共に、車両における車輪としての取付に適しており、車両の運動時には、車輪及び測定リム1が回転軸線1aを中心として相応に回転する。測定リム1は、回転軸線1aに関して径方向外方に位置し車輪を形成するためのタイヤ支持面として用いられるリム周面2と、複数のスポーク3と、中央内部に位置するリムフランジ4とで構成されている。リムフランジ4は、回転軸線1aに直接隣り合って配置されている。少なくとも1つ、又は図示の実施例のように複数設けられたスポーク3は、公知の態様で、(測定リム1の規定どおりの使用において車輪の外側を形成する)リム端面5においてリムフランジ4をリム周面2と結合させている。通常、測定リム1は、リム端面5とは反対の端面(当該端面は、測定リムの規定どおりの使用において車両のホイールハウスへ向けられている)において開放されている。これにより、リム周面2と、スポーク3と、リムフランジ4との間にはリム内部空間6が形成されている。特に、リム内部空間6は、回転軸線1aへ向いたリム周面2の内側と、測定リム1の規定どおりの使用時にホイールハウスの方向へ向いたスポーク3の表面及びリムフランジ4の表面との間に構成されている。
【0026】
測定リム1のリム内部空間6には収集ハウジング7が配置されており、当該収集ハウジングは、測定リム1の周方向において、所定の延在角度αにわたって延在しているとともに、収集ハウジング内部空間14を形成している。このとき、測定リム1の周方向は、回転軸線1aの周囲で延びている。延在角度αは、有利には100~180°である。ブレーキ部分の冷却にもネガティブに影響し得る、測定リム1の範囲における空気の流れの車両において生じるその他の状況からの過剰な逸脱がないように、延在角度αは、好ましくは130°より小さい。
【0027】
測定リム1の規定どおりの使用において、通常、リム内部空間6には、車両のドライブトレーンの(駆動されるか、又は駆動されない)軸25を測定リム1と結合させるホイールハブ23と、例えばブレーキキャリパ21及びブレーキディスク22を有する公知のフローティングキャリパディスクブレーキである(例えば図3に図示された)ブレーキ装置20とが配置されている。測定リム1は、例えばセミアクスル、リジッドアクスル、セミリジッドアクスル、トーションビームリヤアクスル、独立懸架装置など全ての軸懸架態様及び車輪懸架態様において用いられることが可能である。
【0028】
測定リム1は、通常、リムフランジ4を介して、車輪ボルト31(通常はリムフランジ4のボルト円において周囲にわたって分配して配置された車輪ボルト)を用いてホイールハブ23に結合され、当該ホイールハブは、車輪軸受26を用いて回転可能に支持されている(例えば図3及び図4)。ホイールハブ23は、シャフト-ハブ結合部を介して軸25に結合されており、車輪軸受26、具体的には車輪軸受26の回転不能部分は、例えば車輪懸架部の車輪支持部29である車両の回転不能な部材に配置されている。例えばブレーキディスク22であるブレーキ装置の可動の部分も、同様にホイールハブ23に結合されており、したがって、ホイールハブ23と共に回転する。
【0029】
収集ハウジング7は、測定リム1の周方向に延在する内側のハウジング周面8と、測定リム1の周方向に延在する外側のハウジング周面9と、収集ハウジング7の収集ハウジング内部空間14の画定部を共に形成するハウジング側面12,13及びハウジング端面10,11とで構成されている。ハウジング周面8,9は、両ハウジング側面12,13と、周方向に位置する収集ハウジング7の端部を形成する両ハウジング端面10,11とによって互いに結合されている。ハウジング端面10,11によって、延在角度αも設定される。少なくとも1つのハウジング端面10,11は、好ましくは部分的に開放して構成されている。同様に内側のハウジング周面8も、好ましくは少なくとも部分的に開放して構成されている。
【0030】
測定リム1では、リムフランジ4において排出空間15が設けられている。排出空間15は、リムフランジ4と一体的に構成されることができるか、又はリムフランジ4に統合して結合されることが可能である。排出空間15は、収集通路16によって収集ハウジング空間14に結合されている。収集通路16は、収集ハウジング内部空間14と排出空間15の間に流体接続部を形成する。
【0031】
測定リム1が動作において回転した後、排出空間15と接続された適切な回転フィードスルー24を設けることが可能である。このような回転フィードスルーは十分に知られている。回転フィードスルー24は、回転する排出空間15から排出空間15に対して回転不能な排出管路17へブレーキダストを搬送するために用いられる。
【0032】
測定リム1は、例えば、例えばブレーキディスク22及び制動のために当該ブレーキディスク22に対して押圧されるブレーキパッドを有するブレーキキャリパ21を有するフローティングキャリパディスクブレーキの形態の車両のフットブレーキであるブレーキ装置のブレーキダストを収集するために用いられる。これは例えば図3に図示されており、見やすさの理由から、測定リム1のうち収集ハウジング7のみが図示されている。測定リム1は、試験台において用いられることができるか、又は例えば道路若しくは試験場である交通路で車両の現実の走行動作において用いられることが可能である。車両の現実の走行動作における交通路での使用について、又は車両用のローラ試験台における使用について、測定リム1は、当然、測定リム1における車両タイヤを有する車輪の一部である。ドライブトレーン試験台又はブレーキ試験台における使用については、車両タイヤは必ずしも測定リム1に配置されている必要はない。
【0033】
収集ハウジング7は、収集ハウジング内部空間14においてブレーキ装置20のブレーキダストを収集するために用いられる。このとき、不動の及び/又は可動のブレーキ部分の固体の及び/又は揮発性のブレーキ粒子の形態のブレーキダストは、収集ハウジング内部空間14においてエアロゾルとして存在する。エアロゾルは、本質的に、ブレーキ粒子を含んだ空気である。粒子を含む総体積流量は、収集通路16を介して排出空間15へガイドされ、そこからブレーキ粒子は排出管路17を介して測定装置19へガイドされる。ブレーキダストを収集ハウジング内部空間14から収集通路16及び排出空間15を介して排出するとともに測定装置19へ供給するために、排出管路17には排出ポンプ18を配置することが可能である。測定装置19のためにブレーキダストを取り出すための取出し箇所をポンプ18の上流に設けるように構成することも可能である。収集ハウジング7は、好ましくは回転方向(図3において矢印で示唆されている)に見てブレーキ装置20の後ろに、好ましくはブレーキ設備20につづいて配置されている。収集ハウジング7は、好ましくは、ブレーキ装置20の例えばブレーキディスク22である可動のブレーキ部分を少なくとも部分的に包囲しており、すなわち、可動のブレーキ部分は、部分的に収集ハウジング7において配置されている。通常、可動のブレーキ部分は、測定リム1と共にあるいは測定リム1を有する車輪と共に回転する。したがって、ブレーキダストは、可動のブレーキ部分の回転によって収集ハウジング内部空間14に至るとともに、そこから排出されることが可能である。このようにして、ブレーキダストの損失がわずかとなる。
【0034】
しかし、当然、フローティングキャリパディスクブレーキとは異なる、例えば固定キャリパブレーキ、ドラムブレーキなどのブレーキ装置20も設けることが可能である。ブレーキダストが他の態様で収集ハウジング7に至ることができるか、又は当該収集ハウジングに導かれる場合には、有利であるものの、可動のブレーキ部分、特にブレーキディスク22は、必ずしも少なくとも部分的に収集ハウジング7に配置される必要はない。
【0035】
測定装置19は、例えば十分に知られた粒子測定機器として、任意に構成されることができるとともに、測定量Mとして、例えばブレーキ粒子数、ブレーキ粒子粒径分布、ブレーキ粒子質量、ブレーキ粒子組成などのブレーキダストの任意の特性を検出することが可能である。この目的のための測定装置は、十分に知られているとともに、例えば、凝縮粒子拡大の原理又は拡散帯電原理により動作し得る。当然、ブレーキダストの異なる特性を検出するために、異なる複数の測定装置19を設けることも可能である。
【0036】
測定装置19の上流には、必要に応じて、例えば、粒子を有さない気体でのエアロゾル流の希釈、測定のための所定の測定体積流量の分岐又はエアロゾルにおける揮発性の粒子の除去(Volatile Particle Remover(揮発性粒子リムーバ))である、収集ハウジング内部空間14から排出されるエアロゾルの公知の処理を更に設定することも可能であり、このような処理ステップを複数設定することも可能である。また、所定の温度への、排出管路17及び/又は排出ポンプ18の少なくとも部分的な調温も可能である。測定量Mは、測定装置19を用いて、(所定のサイクルにわたって、例えば測定量の形態で所定の期間又は車両による所定のテスト走行にわたって)統合して、又は(好ましくは所定のステップにおいて)時間分解して検出されることが可能である。測定装置19は、検出された測定量Mを、評価又は記憶のために評価ユニット20(コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェア)へ送信することも可能である。
【0037】
以下に、図4図14に基づき、測定リム1の有利な構成を説明する。各図では、同一の部分には同一の参照符号が付されている。しかし、見やすさの理由から、各図において、必ずしも、全ての繰り返し現れる部分に符号が付されているわけではない。
【0038】
図4には本発明による測定リム1が示されており、当該測定リムは、本実施例では、通常、車両(不図示)の車輪支持部29に配置されている。車輪支持部29は、例えば、車両の車輪懸架部の一部であり、回転不能な部材を形成している。車輪支持部29には、車輪軸受26あるいは車輪支持部29の回転不能な部分が配置されている。例えば、車輪軸受26を車輪支持部29又は車両の他の回転不能な部材に配置するために、軸受ネジ(不図示)が設けられている。車輪軸受26は、ホイールハブ23が回転可能に支持されて配置されている。図4による構成では、ホイールハブ23は、車輪軸受26の回転可能な部分として構成されている。ホイールハブ23は、図4に図示されているように、軸25に結合されている。ホイールハブ23には、例えば適切なネジ結合部によって、可動なブレーキ部分としてのブレーキディスク22が配置されている。したがって、ブレーキディスク22は、ホイールハブ23と共に回転する。測定リム1は、車輪ボルト31を介してホイールハブ23に結合されている。
【0039】
測定リム1の収集ハウジング7は部分的にブレーキディスク22にかぶせられているため(図6も参照)、ブレーキディスク22は、部分的に収集ハウジング7において配置されている。測定リム1の運動時には、ここではブレーキディスク22であるブレーキ設備20の可動のブレーキ部分が収集ハウジング7において回転する。収集通路16を有する収集ハウジング7は、例えば車輪支持部29、車輪支持部26の回転不能な部分又はブレーキ装置20の回転不能な部分(例えばブレーキキャリパ)である、測定リム1に対して相対的に回転する車両の部材に配置されており、したがって、測定リム1と共に回転する。収集ハウジングは、回転方向において、ブレーキ装置20の回転不能に配置された部分(ここではブレーキキャリパ21)の後ろに配置されている(図3参照)。
【0040】
リムフランジ4とホイールハブ23の間には、例えば車輪ボルト31を介して収集ディスク27(図5に詳細に図示)が配置されている。したがって、収集ディスク27は、リム内部空間6に位置するリムフランジ4と軸方向に接触している。当該構成では、適合される必要がない標準リムを用いることが可能である。収集ディスク27には、測定リム1の排出空間15を形成する中空空間34が設けられている。
【0041】
収集ディスク27は、軸方向に互いに離間して配置された第1の収集ディスクプレート32及び第2の収集ディスクプレート33で構成されることができる。軸方向の離間のために、車輪ボルト31が貫通する結合ウェブ35を設けることができる。
【0042】
収集ディスク27は、外側の周面において少なくとも部分的に開放して構成されることができ、これにより、中空空間34が外側の周面に接続されている。当該構成では、収集通路16は、収集ディスク27の外側の周面の範囲で途切れている。したがって、第1の収集ディスクプレート32と第2の収集ディスクプレート33の間には中空空間34が形成され、当該中空空間は、収集ディスク27の外側の周面を介して収集通路16に接続されている。好ましくは、収集通路16は、(図4及び図6に図示されているように)収集ディスク27の外周にわたって周方向に延在しているとともに、できる限り損失のないブレーキダストの排出を可能とするために、収集ハウジング7につづく周囲において収集ディスク27を外部に対して閉鎖する。第1の収集ディスクプレート32は、リムフランジ4に対向して配置されているとともに、中央内側の範囲に中空部(凹部)36を有している。したがって、中空空間34を有する収集ディスク27は、中空部36を介してアクセス可能な測定リム1の収集空間15を形成する。
【0043】
代替的な一構成では、収集ディスク27は径方向外側の周面において閉鎖されている。収集通路16を収集ディスク27の中空空間34と接続するために、収集ディスク27の軸方向の端面には、すなわち例えば第1の収集ディスクプレート32又は第2の収集ディスクプレート33には、中空空間34への少なくとも1つの開口部、好ましくは周囲にわたって分配して配置された複数の開口部が設けられている。そして、収集通路16は、収集ディスク27における当該開口部の範囲において延びている。少なくとも部分的に開放された径方向外側の周面と収集ディスク27の軸方向の端面における少なくとも1つの開口部の組み合わせも考えられる。この場合、収集通路16は対応して形成されるべきである。
【0044】
図4には、収集されたブレーキダストを排出するための排出空間15への排出管路17のあり得る接続も図示されている。収集ディスク27の中空部36は、測定リム1の中央中空部(中央凹部)28に配置されている。中空の排出パイプ接続部37は、回転可能に支持されつつ中央中空部28に配置されている。このために、接続パイプ部軸受38の回転可能な部分を測定リム1に固定することができるとともに、排出パイプ接続部37が、接続パイプ部軸受38の、測定リム1に対して相対的に回転不能な部分に結合されることができるか、又は(図4のように)接続パイプ部軸受38の回転不能な部分を形成することができるこのようにして、回転フィードスルー24が得られ、当該回転フィードスルーによって、ブレーキダストを、測定リム1の回転する排出空間15から測定リム1に対して回転不能な排出パイプ接続部37を介して排出することが可能である。しかし、このような回転フィードスルー24は、当然、任意の他の態様で構成されることも可能である。特に、排出パイプ接続部37は、必ずしも軸方向に収集ディスク27と接触する必要はない。
【0045】
図7には 、ここではブレーキディスク22である可動のブレーキ部分を一方側においてのみ少なくとも部分的に包囲する収集ハウジング7を有する、図4図6による測定リム1の一変形態様が示されている。そのほかについては上述の構成となっている。
【0046】
図8によって、本発明による測定リム1の別の一構成を説明する。当該実施例では、測定リム1の中央中空部28が、ブレーキダストを排出するための排出空間15として機能する。このために、リムフランジ4には、周囲にわたって分配して複数の径方向の中空部40が設けられており、当該中空部により、中央中空部28がリム内部空間6の範囲におけるリムフランジ4の径方向外側の周面に接続されている。少なくとも1つの径方向の中空部40は、リム内部空間6へ突出するリムフランジ4の範囲において径方向外側の周面において開口している。中央中空部28において、径方向の中空部40は、径方向内方へ開口している。収集通路16を有する収集ハウジング7は、ここでも測定リムにおいて相対回転不能に配置されている。収集通路16は、複数の径方向の中空部40の開口部の範囲においてリムフランジ4の外側の周面で途切れており、したがって、収集ハウジング内部空間14を、リムフランジ4の外側の周面へ開口する少なくとも1つの中空部40と接続させる。リムフランジ4の外側の周面には、収集通路16及び径方向の中空部40が開口する周溝を設けることも可能である。しかし、収集通路16は、図7に類似のように、周方向においてもリムフランジ4の周囲で延在することが可能である。
【0047】
図8による構成では、収集通路16は、周方向において、図9に図示されているように、周方向における収集ハウジング7の延長部の所定の長さにわたって周方向に延在している。同様に、図4又は図7による構成において、収集通路16は周方向に延在することが可能である。収集通路16の径方向内側の周面43には中空部41が設けられており、収集通路16は、当該中空部を介してリムフランジ4の周面に接続されている。残りの周囲にわたって、及び収集通路16の内側の周面43につづいて閉鎖リング42が延在することが可能であり、当該閉鎖リングは、リムフランジ4の外側の周面に接触しているとともに、当該範囲において径方向の中空部40を外方に対して閉鎖する。同様に、図4又は図7による構成においても、このような閉鎖リング42を設けることが可能である。当該閉鎖リング42は、図4又は図7におけるように、U字状に形成された断面をもって構成されることが可能である。リムフランジ4の外側の周面における周溝又はU字状の断面を有する閉鎖リング42によって、ブレーキダストの排出を改善し、特にブレーキダスト損失を低減することが可能である。
【0048】
したがって、ブレーキダストは、収集通路16、径方向の中空部40及び中央中空部28を介して排出されることが可能である。このために、中央中空部には、例えば上述したような適切な回転フィードスルーを設けることができる。
【0049】
図8による構成においても、(図7におけるように)収集ハウジング7が可動のブレーキ部分(ここではブレーキディスク22)の一方側にわたってのみかぶせられていることが可能である。同様に、図8による構成において、図4について説明したように、中央中空部28に排出パイプ接続部37を配置することも可能である。
【0050】
図10図12によって、本発明による測定リム1の別の一構成を説明する。当該構成では、ここでも収集ディスク27が用いられるが、当該収集ディスクは、リム内部空間6における内側に位置するように配置されておらず、外側で測定リム1のリム端面5に配置されている。当該構成でも、標準リムを用いることができ、当該標準リムにおいていかなる変更も行う必要はない。
【0051】
収集ディスク27は、ここでも、中央内部に位置する中空部36を有する第1の収集ディスクプレート32を備えている。第1の収集ディスクプレート32に対して径方向に離間して第2の収集ディスクプレート33が配置されている。したがって、第1の収集ディスクプレート32と第2の収集ディスクプレート33の間にはここでも中空空間34が形成され、当該中空空間は、収集空間15として機能する。収集ディスク27は、例えば適切なネジ結合部によって、外側に位置する測定リム1のリム端面5に配置されているとともに、測定リム1と共に回転する。
【0052】
収集通路16を有する収集ハウジング7は、ここでも両側又は一方側においてのみ、部分的に、ここではブレーキディスク22である可動のブレーキ部分にわたってかぶせられている。収集通路16は、少なくとも1つの接続通路45を介して収集ディスク27の中空空間34に接続されている。接続通路45は、収集ディスク27と一体的に形成されることが可能である。接続通路45は(図10図12におけるように)収集ディスク27の径方向外側の周面に開口することができ、当該収集ディスクは、開口範囲において少なくとも部分的に開放されている。しかし、接続通路は、第1又は第2の収集ディスクプレート32,33を介しても中空空間34に開口することが可能である。これらの組み合わせも同様に考えられる。
【0053】
有利な一構成では、図10図12に図示されているように、接続リング46が設けられており、当該接続リングには端面側の周溝47が形成されているため、接続リング46は、U字状の断面を備えているとともに、端面側における一方側で少なくとも部分的に開放されている。接続リング46の周溝47には、周囲にわたって分配して配置された複数の接続通路45が開口している。これにより、周溝47は、収集ディスク27の中空空間34に接続されている。収集通路16が周方向におけるその延長部の長さにわたって周溝47へ開口するように、接続リング46は、開放された端面側において収集通路16に対向して配置されている。周溝47を外方へ閉鎖する閉鎖リング42は、残りの周囲にわたって延在することができる。当該閉鎖リング42は、閉鎖リング42の範囲において周溝47を拡大するために、U字状の断面をもっても構成されることが可能である。
【0054】
少なくとも1つの接続通路45及び接続リング46をもった構成は、当然、同様に図4又は図7による測定リムの構成において用いられることも可能である。この場合、接続通路45及び接続リング46は、リム内部空間6に配置される。
【0055】
図1図12におけるような測定リム1を介した外方へのブレーキダストの排出に代えて、図13に図示されているように、リム内部空間6及び車両のホイールハウスを介してブレーキダストを内方へ排出することも設定可能である。当該構成の利点は、ブレーキダストの排出に回転フィードスルーが不要であることにある。ただし、ホイールハウスの範囲にはあまり空間がないことが多いため、このような構成は、いくつかの車両においては、空間の欠如により転用できないことがある。
【0056】
リム内部空間6に相対回転不能に配置された、収集通路16を有する収集ハウジング7は、ここでも両側又は一方側においてのみ、部分的に、ここではブレーキディスク22である可動のブレーキ部分にわたってかぶせられている。収集通路16は、スポーク3を有する測定リム1の側から離れるように向けられており、これにより、車両のホイールハウスの方向へ向いている。当該収集通路16には、単純に、収集されたブレーキダストを収集ハウジング7から排出するための排出管路17を接続することが可能である。収集通路16は、ここでは同時に排出空間15として機能する。
【0057】
上述の全ての構成においては、排出管路17が排出空間15に接続されており、排出管路を介して、ブレーキダストは、排出されるとともに測定装置19へ供給される。代替的な一構成では、図14において図示されているように、排出空間15に、又は排出空間15に接続された測定リム1の中央中空部28にフィルタ挿入体50を設けることができ、当該フィルタ挿入体では、ブレーキダスト50が、通流するエアロゾルからフィルタされるとともに、フィルタ挿入体50において収集される。これにより、フィルタ挿入体50をテスト走行後に取り出すことができるとともに、フィルタ挿入体50において収集されたブレーキダストを評価することが可能である。これにより、ブレーキダストをテスト走行中にオンラインで解析するのではなく、テスト走行後にオフラインで解析することとなる。有利には、このために、(例えば図8に図示されているように)中央中空部28が排出空間15として機能する測定リム1の構成が用いられる。しかし、中央中空部28へのブレーキダストの供給は、例えば、(排出パイプ接続部37を有さない)図4若しくは図7又は図8による収集ハウジング7及び収集通路16の構成によっても行われることが可能である。
【0058】
摩擦及び摩耗を防止するために、可動の部材と回転不能な部材の間には有利には空隙が設けられていることが明確である。このような空隙は、例えば、収集ディスク27と収集通路16又は閉鎖リング42との間に設けられる。同様に、例えばブレーキディスク22である可動のブレーキ部分と収集ハウジング7の間の空隙も有利である。このような空隙は、ブレーキダストの排出を改善するために、及びブレーキ粒子が失われるのを防止するために変更することも可能である。当然、空隙は、ブレーキ粒子の損失が最小化されるように構成される。
【0059】
上述の形態における本発明による解決手段により、収集時に阻害的な温度の変化又はブレーキ設備の範囲における流れ条件の変化が生じることなく、ブレーキ粒子を分類し、特徴づけることが可能である。実際には標準リムの適合なしに、あるいは最小の適合のみで使用が可能であるため、わずかな手間しかかからずに安価な使用が可能である。
図1
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【国際調査報告】