(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】磁性粒子分離デバイスの緩衝液パック及びキャップの設計
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240214BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240214BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240214BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20240214BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N1/00 101K
C12M1/00 A
C12Q1/6806
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546142
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022014378
(87)【国際公開番号】W WO2022165222
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520474495
【氏名又は名称】アボット・ダイアグノスティックス・スカボロー・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523285878
【氏名又は名称】キトビエラ,ニール・エイ
(71)【出願人】
【識別番号】523285889
【氏名又は名称】サンタビッカ,カール・ジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キトビエラ,ニール・エイ
(72)【発明者】
【氏名】サンタビッカ,カール・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ダーフス,オースティン・エム
(72)【発明者】
【氏名】クルート,エイドリアン・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ヒグビー,ティモシー・エル
(72)【発明者】
【氏名】トバル,アルマンド・アール
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AB20
2G052AD06
2G052AD26
2G052CA03
2G052CA20
2G052JA07
2G052JA24
4B029AA23
4B063QA01
4B063QQ01
4B063QQ41
4B063QS15
4B063QS28
4B063QX01
(57)【要約】
本開示の態様は、試料調製カートリッジを使用して試料調製用の緩衝液を分注するための緩衝液パックを含む。緩衝液パックを保持するように構成されたシーリングプレート、及び試料調製カートリッジ内で緩衝液パックを作動させるためのキャップも提供される。本開示の態様は、緩衝液パックと、シーリングプレートと、を含む試料調製カートリッジを含む。本開示の態様はまた、緩衝液パックと、シーリングプレートと、キャップと、を含む試料調製カートリッジを含む。
緩衝液パックを充填するための方法、試料調製において使用するためのカートリッジを組み立てるための方法、及び試料を調製するためのカートリッジを使用するための方法もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝液を分注するための緩衝液パックであって、円筒形本体であって、
滑らかな内部表面と、
係合特徴部を備える外部表面と、
第1の穿孔可能なカバーでシールされた上端部と、
第2の穿孔可能なカバーでシールされた底端部であって、前記第1の穿孔可能なカバーが、前記第2の穿孔可能なカバーの厚さの少なくとも2倍の厚さを備える、底端部と、
前記第1の穿孔可能なカバーの下に隣接して配設された、前記円筒形本体の前記内部表面とシール構成にある圧縮可能なストッパであって、前記ストッパに圧力を加えると、前記内部表面に沿って摺動するように構成されている、圧縮可能なストッパと、
前記第2の穿孔可能なカバーと前記ストッパとの間に配設された緩衝液と、を備えた円筒形本体を備え、
前記係合特徴部が、対称に配置された凹み、フランジ、又は前記円筒形本体のほぼ直径方向に反対の側に位置決めされた2つ以上の突起を含む、緩衝液パック。
【請求項2】
前記緩衝液が、溶解緩衝液を含む、請求項1に記載の緩衝液パック。
【請求項3】
前記緩衝液が、溶出緩衝液を含む、請求項1に記載の緩衝液パック。
【請求項4】
前記係合特徴部が、前記上端部と前記底端部との間のほぼ中間点に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の緩衝液パック。
【請求項5】
前記第1の穿孔可能なカバー及び/又は前記第2の穿孔可能なカバーが、アルミニウムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の緩衝液パック。
【請求項6】
前記第1の穿孔可能なカバーが、第1の層及び第2の層を含み、前記第1の層及び前記第2の層が、互いに接着されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の緩衝液パック。
【請求項7】
前記第1の層が、アルミニウムを含み、前記第2の層が、紙を含む、請求項6に記載の緩衝液パック。
【請求項8】
前記第1の層が、紙を含み、前記第2の層が、アルミニウムを含む、請求項6に記載の緩衝液パック。
【請求項9】
前記緩衝液が、前記円筒形本体の内側容積の20%~35%を占有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の緩衝液パック。
【請求項10】
実質的にディスク形状を含むシーリングプレートであって、
下部表面とは反対側の上部表面、
前記表面間に延在する第1の貫通孔であって、前記下部表面から延在し、請求項1~9のいずれか一項に記載の緩衝液パックの前記係合特徴部に取り付けられる、少なくとも2つの直径方向に反対側にある保持特徴部を備える、第1の貫通孔、を備え、
前記保持特徴部が、前記第1の穿孔可能なカバーへの下向きの圧力がない状態で前記緩衝液パックを固定し、前記第1の穿孔可能なカバーに下向きの圧力を加えると、前記係合特徴部から離脱する、シーリングプレート。
【請求項11】
前記シーリングプレートが、中央に位置付けられた開口部を備える、請求項10に記載のシーリングプレート。
【請求項12】
前記中央に位置付けられた開口部から前記下部表面の下に延在するシャフトを備える、請求項11に記載のシーリングプレート。
【請求項13】
前記シャフトが、中空であり、前記シャフトの内側表面に位置付けられた凹みを備え、前記凹みが、前記シャフトの内径に沿って対称に位置付けられている、請求項12に記載のシーリングプレート。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載のシーリングプレート内に設置された、請求項1~9のいずれか一項に記載の緩衝液パックを作動させるためのキャップであって、前記キャップは、前記シーリングプレートにわたって嵌まるようにサイズ決めされており、前記キャップが、
下部表面とは反対側の上部表面と、
前記下部表面から下向きに延在し、前記緩衝液パックの前記第1の穿孔可能なカバーと位置合わせされ、かつ前記シーリングプレートの前記第1の貫通孔を通過するように構成された、第1の作動部材と、を備え、
前記キャップは、前記キャップが前記シーリングプレートの前記上部表面から離間されている第1の位置に位置決めされており、前記キャップが前記第1の位置にあるとき、前記第1の作動部材が、前記緩衝液パックに下向きの力を及ぼさない、キャップ。
【請求項15】
前記キャップが、前記下部表面から下向きに延在し、前記シーリングプレート内の前記シャフト内に嵌まるようにサイズ決めされた、中央に位置付けられた支柱を備え、前記支柱が、前記シャフト内の前記凹み内に嵌まり、前記キャップを前記第1の位置に保持するようにサイズ決めされた突起を備える、請求項14に記載のキャップ。
【請求項16】
前記キャップに下向きの圧力を加えると、前記突起が、前記凹みから係合解除され、前記支柱が前記シャフトを下に摺動することを可能にし、それによって、前記キャップが、前記シーリングプレートの周囲を囲み、前記シーリングプレートにスナップ嵌めされる、請求項15に記載のキャップ。
【請求項17】
前記支柱が、ロッド形状構造であって、前記ロッド形状構造の遠位端部から延在する複数のフィンガを備える、ロッド形状構造を含み、前記突起が、前記複数のフィンガの遠位端部に位置付けられており、前記シーリングプレート内の前記シャフトが、前記支柱の直径よりも大きい直径を含み、前記シャフトが、遠位端部にリップを備え、前記キャップに下向きの圧力を加えると、前記突起が、前記凹みから係合解除され、前記支柱が前記シャフトを下に摺動することを可能にし、それによって、前記突起が前記リップの下に位置付けられ、前記キャップは後退することができなくなる、請求項15に記載のキャップ。
【請求項18】
前記第1の作動部材が、第1の長さを備える細長い構造を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項19】
試料調製カートリッジであって、
上端部と、底端部と、前記上端部と前記底端部との間に延在する環状壁と、を備える、円筒形構造と、
前記上端部に添着された、請求項10~13のいずれか一項に記載のシーリングプレートと、を備える、試料調製カートリッジ。
【請求項20】
前記底端部が、下部表面とは反対側の上部表面と、前記上部表面上の少なくとも1つの緩衝液パック支持特徴部と、備える、請求項19に記載のカートリッジ。
【請求項21】
前記緩衝液パック支持特徴部が、前記カートリッジの前記底端部の前記上部表面から上昇し、前記緩衝液パックの前記底端部を囲むようにサイズ決めされた、中空の円筒形構造を含む、請求項20に記載のカートリッジ。
【請求項22】
前記緩衝液パック支持特徴部が、前記緩衝液パックの前記第2の穿孔可能なカバーに向かって上を向いた穿孔部材を備える、請求項20又は21に記載のカートリッジ。
【請求項23】
請求項14~18のいずれか一項に記載のキャップを備え、前記キャップが、第2の位置に下向きに移動するように構成されており、前記キャップが前記第2の位置に移動するとき、前記第1の作動部材が、前記第1の穿孔可能なカバーに接触し、前記緩衝液パックを前記カートリッジ内で前記穿孔部材に向かって下向きに押し、それによって前記第2の穿孔可能なカバーが穿孔され、前記第1の穿孔可能なカバーを穿刺し、次いで、前記圧縮可能なストッパに接触して前記圧縮可能なストッパを下向き方向に変位させて、前記緩衝液パックの前記底端部から前記緩衝液を放出させる、請求項19~22のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項24】
第1のチャンバと、第2のチャンバと、第3のチャンバと、を備え、前記第1のチャンバが、溶解緩衝液で充填されるように構成されており、前記第2のチャンバが、油又は空気を含む非水相を含み、前記第3のチャンバが、溶出緩衝液で充填されるように構成されている、請求項19~23のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項25】
前記緩衝液パックの前記係合特徴部が、前記緩衝液パックの前記上端部と前記底端部との間のほぼ中間点に配置されている、請求項19~24のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項26】
前記キャップが、第2の作動部材を備え、前記シーリングプレートが、前記シーリングプレートの第1の表面と第2の表面との間に延在する第2の貫通孔を備え、前記緩衝液パックが、前記第1の貫通孔を通して配設された第1の緩衝液パックと、前記第2の貫通孔を通して配設された第2の緩衝液パックと、を含み、前記第2の作動部材が、前記第2の緩衝液パックの前記第1の穿孔可能なカバーと位置合わせされている、請求項25に記載のカートリッジ。
【請求項27】
前記係合特徴部が、前記第2の緩衝液パックの前記上端部と前記底端部との間のほぼ中間点に配置されている、請求項26に記載のカートリッジ。
【請求項28】
第2の緩衝液パック支持特徴部を備え、第1の緩衝液パックの前記底端部が、第1の緩衝液パック支持特徴部に位置付けられており、第2の緩衝液パックの前記底端部が、第2の緩衝液パック支持特徴部に位置付けられており、前記第1の緩衝液パックが、溶解緩衝液を含み、前記第2の緩衝液パックが、溶出緩衝液を含み、前記第1のパック支持特徴部が、前記第1の緩衝液パックの前記第2の穿孔可能なカバーに向かって上を向いた第1の穿孔部材を備え、前記第2のパック支持特徴部が、前記第2の緩衝液パックの前記第2の穿孔可能なカバーに向かって上を向いた第2の穿孔部材を備える、請求項26又は27に記載のカートリッジ。
【請求項29】
前記第2の作動部材が、第2の長さを備える細長い構造を含み、前記第1の長さが、前記第2の長さよりも長い、請求項26~28のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項30】
前記キャップに下向きの圧力を加えると、前記第2の作動部材が前記第2の緩衝液パックに接触する前に、前記第1の作動部材が、前記第1の緩衝液パックに接触し、それによって、前記溶出緩衝液を放出させる前に、前記溶解緩衝液を放出させる、請求項29に記載のカートリッジ。
【請求項31】
前記第1の作動部材が、前記第2の作動部材によって放出される前記溶出緩衝液の体積と比較して、より大きい体積の前記溶解緩衝液を放出させる、請求項29又は30に記載のカートリッジ。
【請求項32】
請求項1~9のいずれか一項に記載の緩衝液パックを緩衝液で充填するための方法であって、
前記圧縮可能なストッパを設置し、かつ前記上端部を前記第1の穿孔可能なカバーでシールすることと、
前記円筒形本体内に緩衝液を充填し、かつ前記底端部を前記第2の穿孔可能なカバーでシールすることと、を含む、方法。
【請求項33】
試料調製において使用するためのカートリッジを組み立てるための方法であって、
請求項10~13のいずれか一項に記載のシーリングプレート内に、請求項1~9のいずれか一項に記載の緩衝液パックを設置することと、
前記シーリングプレートを、請求項19~31のいずれか一項に記載のカートリッジの前記上端部に固定的に取り付け、かつ請求項14~18のいずれか一項に記載のキャップの前記支柱を、前記シーリングプレートの前記シャフト内に摺動させること、又は
請求項14~18のいずれか一項に記載のキャップの前記支柱を、前記シーリングプレートの前記シャフト内に摺動させ、かつ前記シーリングプレートを、請求項19~31のいずれか一項に記載のカートリッジの前記上端部に固定的に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項34】
請求項19~31のいずれか一項に記載のカートリッジを使用するための方法であって、
試料を前記カートリッジの第1のチャンバ内に導入することであって、前記試料を、前記シーリングプレート内の開口部を介して前記第1のチャンバ内に装填することを含み、前記開口部が、前記第1のチャンバの上端部の開口部と位置合わせされている、導入することと、
前記カートリッジを、前記導入前又は前記導入後に、前記試料を処理するように構成された機器内に配置することと、
前記キャップが下向き方向に移動可能でなくなるまで、前記キャップに下向きの圧力を及ぼすことと、
前記機器を作動させて前記試料を処理することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年1月29日に出願された米国仮特許出願第63/143,629号の利益を主張し、この出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
序論
生体試料の分析は、試料中の標的分析物の存在を決定することを伴うことが多い。標的分析物は、存在する場合、試料から単離され、増幅、イムノアッセイなどのような下流の用途を使用して分析される。核酸などの標的分析物は、カラムベースの単離及び精製、試薬ベースの単離及び精製、磁性ビーズベースの単離及び精製、並びに他の技術を含む手法を使用して単離される。核酸の単離及び精製に使用される試薬、キット及び機器が利用可能である。不十分な試料調製は、下流用途において最適ではない結果をもたらす可能性があり、このため、血液、植物組織、真菌、細菌又はウイルスなどの試料源の変動に対処するために、最適化されたバージョンのキットが出現した。
【0003】
試料調製プロセスは、カオトロピック核酸抽出技術を使用して、その天然の生物源から核酸を放出すること(例えば、患者細胞などの細胞の溶解、又はウイルス、細菌、真菌などの微生物の溶解など)と、シリカ又は酸化鉄核酸化学を使用して核酸を固相(例えば、常磁性粒子)に結合させることと、磁気分離技術を使用して残留溶解溶液から固相を分離することと、不要な材料を除去するために洗浄することと、流体取り扱い技術を使用して固相から核酸を溶出又は分離することと、を含む。試料調製プロトコルの完了時に、核酸を含む液体は、PCRチューブ又はストリップなどの収集容器に移送される。スループットを高め、ユーザエラーを減らし、及び/又はユーザの有害物質への曝露を制限するために、試料調製の全て又は個々の側面を自動化することへの関心がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、試料調製カートリッジを使用して試料調製用の緩衝液を分注するための緩衝液パックを含む。また、緩衝液パックを保持するように構成されたシーリングプレート、及び試料調製カートリッジ内で緩衝液パックを作動させるためのキャップも提供される。本開示の態様は、緩衝液パックと、シーリングプレートと、を含む試料調製カートリッジを含む。本開示の態様はまた、緩衝液パックと、シーリングプレートと、キャップと、を含む試料調製カートリッジを含む。
【0005】
緩衝液パックを充填するための方法、試料調製において使用するためのカートリッジを組み立てるための方法、及び試料を調製するためのカートリッジを使用するための方法もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】一実施形態による緩衝液パックの分解図を描示する。
【
図1B】一実施形態による、組み立てられた緩衝液パックを描示する。
【
図2A】溶解緩衝液を分注するための緩衝液パック(
図2A)と、溶出緩衝液を分注するための緩衝液パック(
図2B)との並列比較を示す。
【
図2B】溶解緩衝液を分注するための緩衝液パック(
図2A)と、溶出緩衝液を分注するための緩衝液パック(
図2B)との並列比較を示す。
【
図2C】組み立てられた後の
図2Bに示される緩衝液パックを描示する。
【
図3A】本開示の一実施形態による、シーリングプレート及び緩衝液パックを示す。
【
図3B】本開示の一実施形態による、シーリングプレート及び緩衝液パックを示す。
【
図3C】本開示の一実施形態による、シーリングプレート及び緩衝液パックを示す。
【
図3D】本開示の一実施形態による、シーリングプレート及び緩衝液パックを示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、緩衝液パックを作動させるためのキャップを示す。
【
図5】本開示の一実施形態による、キャップ、シーリングプレート、及び緩衝液パックを示す。
【
図6A】試料調製カートリッジをシーリングプレート及び緩衝液パックとともに示す。
【
図6B】試料調製カートリッジをシーリングプレート、緩衝液パック、及びキャップとともに示す。
【
図6C】試料調製カートリッジをシーリングプレート、緩衝液パック、キャップ、及びPCRチューブとともに示す。
【
図6D】本開示の一実施形態による、試料調製カートリッジの円筒形構造の内側を示す。
【
図7A】緩衝液パック、及び緩衝液パックから緩衝液を分注するための進行する段階のキャップを示す。
【
図7B】緩衝液パック、及び緩衝液パックから緩衝液を分注するための進行する段階のキャップを示す。
【
図7C】緩衝液パック、及び緩衝液パックから緩衝液を分注するための進行する段階のキャップを示す。
【
図7D】緩衝液パック、及び緩衝液パックから緩衝液を分注するための進行する段階のキャップを示す。
【
図8A】キャップが作動前段階にある試料調製カートリッジを示す。
【
図8B】キャップが作動前段階にある試料調製カートリッジを示す。
【
図8C】キャップが作動後段階にある試料調製カートリッジを示す。
【
図8D】キャップが作動後段階にある試料調製カートリッジを示す。
【
図9】試料調製カートリッジ905及び磁石910を含む調製システム900の図を示す。
【
図10】使い捨ての試料調製カートリッジを使用して試料を処理するために繰り返し使用され得る再使用可能な磁石を示す。再使用可能な磁石は、試料処理機器内に配置され得、複数のカートリッジを処理するために使用され得、それによって、各々の使い捨てカートリッジに対して別個の磁石を使用する必要性を回避する。
【
図11】磁石が試料調製カートリッジに隣接して位置決めされるように、試料処理機器1200内に配置された試料調製カートリッジ1005を示す。
【
図12】パネルA、B及びCは、試料調製カートリッジのチャンバ内のPMPの移送の図を示す。
【
図13A】本開示の一実施形態による、カートリッジ内の緩衝液パックとチャンバとの間の流体接続部の例を示す。
【
図13B】本開示の一実施形態による、カートリッジ内の緩衝液パックとチャンバとの間の流体接続部の例を示す。
【
図13C】本開示の一実施形態による、カートリッジ内の緩衝液パックとチャンバとの間の流体接続部の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の態様は、試料調製カートリッジを使用して試料調製用の緩衝液を分注するための緩衝液パックを含む。緩衝液パックを保持するように構成されたシーリングプレート、及び試料調製カートリッジ内で緩衝液パックを作動させるためのキャップも提供される。本開示の態様は、緩衝液パック及びシーリングプレートを含む試料調製カートリッジを含む。本開示の態様はまた、緩衝液パック、シーリングプレート、及びキャップを含む試料調製カートリッジを含む。
【0008】
緩衝液パックを充填するための方法、試料調製に使用するためのカートリッジを組み立てるための方法、及び試料を調製するためのカートリッジを使用するための方法もまた提供される。
【0009】
本緩衝液パック、シーリングプレート、キャップ、及び試料調製カートリッジ、並びに方法がより詳細に記載される前に、本開示は、記載される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものであるにすぎず、限定的であることは意図されないこともまた理解されたい。
【0010】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値、及びこの記載の範囲内の任意の他の記載される値又は中間値が、本緩衝液パック、シーリングプレート、キャップ、及び試料調製カートリッジ、並びに方法に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、記載の範囲において任意の具体的に除外された限界に従って、同様に本システム、試料調製デバイス及び方法に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本緩衝液パック、シーリングプレート、キャップ、及び試料調製カートリッジ、並びに方法に含まれる。
【0011】
「約」という用語に先行されている数値を有する、ある特定の範囲は本明細書で提示される。本明細書では、「約」という用語は、それが先行する正確な数、及びその用語が先行する数に近い、又は近似する数について文字通りの支持を提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近いか、又は近似するかどうかを判定するとき、その近い又は近似する列挙されない数は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙されている数の実質的な均等物を提供する数であり得る。
【0012】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料もまた、本緩衝液パック、シーリングプレート、キャップ、及び試料調製カートリッジ、並びに方法の実践又は試験において使用され得るが、代表的で例示的な本緩衝液パック、シーリングプレート、キャップ、及び試料調製カートリッジ、並びに方法が、以下に記載される。
【0013】
本開示は、所望の実施形態及びそこに含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。以下の明細書及び以下の特許請求の範囲において、いくつかの用語を参照し、これらは以下の意味を有するように定義されるものとする。
【0014】
具体的な用語が、明確にするために以下の説明で使用されるが、これらの用語は、図面で例証するために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を規定又は限定することを意図していない。以下の図面及び以下の説明では、同様の数値指定が同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0015】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
「備える」という用語は、本明細書では、名前が付けられた構成要素の存在を必要とし、他の構成要素の存在を可能にするものとして使用される。「備える」という用語は、「から本質的になる」及び「からなる」という用語を含むように解釈されるべきである。「から本質的になる」は、名前が付けられた構成要素の存在を、名前が付けられた構成要素の機能/構造を変更しない他の構成要素とともに可能にする。「からなる」は、名前が付けられた構成要素の存在を、列挙された構成要素を取り付けるための任意の接着剤又は他の結合手段とともに可能にする。
【0017】
数値は、有効数字の同じ数に短縮されたときに同じである数値、及び、値を決定するための本出願に記載されているタイプの従来の測定技法の実験誤差よりも少なく記載されている値とは異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0018】
本明細書に開示される全ての範囲は、記載の端点を含み、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2グラム~10グラム」の範囲は、端点2グラム及び10グラム、並びに全ての中間値を含む)。本明細書に開示される範囲の端点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されず、それらは、これらの範囲及び/又は値を近似する値を含むのほど十分に不正確である。
【0019】
数量に関連して使用される修飾語「約」は、記載された値を含み、文脈によって指示される意味を有する。範囲の文脈で使用される場合、修飾語「約」は、2つの端点の絶対値によって規定される範囲を開示するものとしても考慮されるべきである。例えば、約「2~約10」の範囲は、「2~10」の範囲も開示する。「約」という用語は、示される数のプラス又はマイナス10%を指してもよい。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示し得、「約1」は、0.9~1.1を意味し得る。
【0020】
本明細書で使用される用語の多くは、相対用語であることに留意されたい。例えば、用語「上部」及び「下部」は、場所において互いに相対的であり、すなわち、上部構成要素は、所与の配向において下部構成要素よりも高い高さに位置付けられるが、これらの用語は、構成要素が反転される場合には変わり得る。「投入口」及び「出口」という用語は、所与の構造に関してそれらを通って流れる流体に関連しており、例えば、流体は、投入口を通って構造内に流れ、構造から出口を通って流れる。
【0021】
「水平」及び「鉛直」という用語は、絶対基準、すなわち、地表面に対する方向を示すために使用される。ただし、これらの用語は、構造が互いに絶対的に平行又は絶対的に垂直であることを要求すると解釈されるべきではない。例えば、第1の鉛直構造及び第2の鉛直構造は、必ずしも互いに平行ではない。「上」及び「底」という用語は、上が、絶対基準、すなわち、地球の表面に対して常に底よりも高い表面を指すために使用される。「上向き」及び「下向き」という用語も、絶対基準に対するものであり、上向きは、常に地球の重力に反し、一方で、下向きは、常に地球の重力に向かう。
【0022】
「平行」という用語は、それらの間に概ね一定の距離を維持する2つの表面というその一般的な意味で解釈されるべきであり、そのような表面が無限に拡張されたときに決して交差しないという厳密な数学的意味ではない。
【0023】
「ウイルス」という用語は、別の生細胞内でのみ複製することができ、さもなければ、DNA又はRNAを取り囲んで含有するカプシド、及びいくつかの場合にはカプシドを取り囲む脂質エンベロープから形成されるビリオンの形態で存在する、感染性因子を指す。
【0024】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、あたかも各個々の刊行物又は特許が参照によって組み込まれるように具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれ、参照によって本明細書に組み込まれることによって、それらの刊行物が引用される関連した方法及び/又は材料を開示及び記載する。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示についてのものであり、本発明が、先行発明の特色によってそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、これらは独立して確認する必要があり得る。
【0025】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求要素の列挙に関連した「もっぱら(solely)」、「のみ(only)」などのような排他的用語の使用のための、又は「消極的な」限定の使用のための先行詞として機能することが意図される。
【0026】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される個々の実施形態の各々は、本緩衝液パック、シーリングプレート、キャップ、及び試料調製カートリッジ、並びに方法の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る個別の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で行われ得る。
【0027】
緩衝液パック
上記で要約されたように、本開示の態様は、緩衝液を試料調製カートリッジ内に分注するように構成される緩衝液パックを含む。緩衝液パックは、円筒形本体であって、滑らかな内部表面と、係合特徴部を備える外部表面と、第1の穿孔可能なカバーでシールされた上端部と、第2の穿孔可能なカバーでシールされた底端部であって、第1の穿孔可能なカバーは、第2の穿孔可能なカバーの厚さの少なくとも2倍の厚さを備える、底端部と、第1の穿孔可能なカバーの下に隣接して配設された、円筒形本体の内部表面とシーリング構成の圧縮可能なストッパであって、圧縮可能なストッパは、ストッパに圧力を加えると、内部表面に対して摺動するように構成されている、圧縮可能なストッパと、第2の穿孔可能なカバーとストッパとの間に配設された緩衝液と、を備えた円筒形本体を備え、係合特徴部は、対称に配置された凹み、フランジ、又は円筒形本体のほぼ直径方向に反対の側に位置決めされた2つ以上の突起を含む。
【0028】
緩衝液パックは、任意の好適な緩衝液で充填され得る。ある特定の事例では、緩衝液パックは、溶解緩衝液又は溶出緩衝液で充填される。細胞又はウイルスを破裂させるために使用されるものなどの、任意の好適な溶解緩衝液を使用してもよい。ある特定の事例では、溶解緩衝液は、グアニジン塩酸塩などのカオトロピック剤を含んでもよい。ある特定の事例では、少なくとも2つの緩衝液パック又は少なくとも3つの緩衝液パックを含む緩衝液パックのシステムが開示される。例えば、第1の緩衝液パックは、溶解緩衝液を含み得、第2の緩衝液パックは、溶出緩衝液を含み得る。別の例では、第1の緩衝液パックは、溶解緩衝液を含み得、第2の緩衝液パックは、溶出緩衝液を含み得、第3の緩衝液パックは、水相と不混和性の相、例えば、油などの疎水性液体を含み得る。個々の緩衝液パックは、次のセクションでより詳細に考察されるように、個別のユニットであってもよく、互いに取り付けられていてもよく、又は単一のシーリングプレート内にパックされていてもよい。
【0029】
緩衝液パックは、任意の都合の良い量の任意の都合の良い緩衝液を収容し得る。ある特定の事例では、緩衝液パックは、円筒形本体の内側容積の20%~80%、例えば、20%~65%又は20%~35%を占有する体積の緩衝液で充填されてもよい。いくつかの事例では、緩衝液パックは、常磁性粒子(PMP)又は捕捉ビーズ、例えば、目的の分析物に結合する薬剤で被覆されたビーズを更に含んでもよい。捕捉ビーズは、非常磁性であってもよく、非磁性手段によって分離されてもよい。薬剤は、オリゴヌクレオチド、ペプチド、又はタンパク質であり得る。緩衝液パックは、例えば、それぞれPMP又は捕捉ビーズの体積又は重量に基づいて測定される、任意の都合の良い量のPMP又は捕捉ビーズを収容し得る。例えば、PMP又は捕捉ビーズは、緩衝液パックに含まれる場合、溶解緩衝液と混合されてもよい。
【0030】
いくつかの事例では、溶解緩衝液は、組織試料、細胞、ウイルス、又は体液試料などの広範囲の試料から核酸を放出するように配合することができる。溶解緩衝液はまた、ウイルス、細菌、真菌、及び原生動物病原体などの全てのタイプの病原体を溶解するように設計され得る。
【0031】
溶出緩衝液は、PMPからの標的分析物、例えば、核酸の離脱を容易にするのに好適であり得る。例えば、溶出緩衝液は、高濃度の塩、例えば、塩化ナトリウム、又はアルカリ剤、例えば、水酸化ナトリウム、又はTris-EDTA緩衝液(10mmTris-HCl、0.1mmEDTA(pH8.0)などの低イオン強度溶液、又はヌクレアーゼフリー水を含んでもよい。
【0032】
本明細書に開示される緩衝液パックの滑らかな内部表面は、分注される緩衝液内への空気の導入を最小限に抑えるか又は導入することなく、圧縮可能なストッパの移動を容易にする。係合構造は、シーリングプレート内の緩衝液パックの固定を容易にする。係合特徴部は、複数の対称に位置決めされた凹みを含み得る。係合特徴部は、緩衝液バックの外径を囲む突起であるフランジであってもよい。別の例では、係合特徴部は、円筒形本体のほぼ直径方向に反対の側に位置決めされた2つ以上の突起であってもよい。係合特徴部は、任意の好適な形状を有し得る。ある特定の事例では、係合特徴部は、外部表面並びに上端部及び底端部に実質的に垂直な上部表面と、上面に対して鋭角であり、緩衝液パックの外部表面に向かって傾斜している下部表面と、を含み得る。傾斜した下部表面は、係合特徴部とシーリングプレートとの間の相対的な移動を容易にする。いくつかの事例では、係合特徴部は、緩衝液パックの上端部と底端部との間のほぼ中間点に位置決めされ得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、円筒体又は円筒形という用語は、側面又は壁が実質的に平行であり、断面が実質的に円形又は楕円形である、実質的に円筒形の構造を指す。実質的とは、記載された形状からのわずかな逸脱があり得ることを意味する。円筒体及び円筒形は、中空の円筒体、中実の円筒体、及び部分的に充填された内部を有する円筒体を包含する。
【0034】
第1の穿孔可能なカバーは、第2の穿孔可能なカバーの厚さの少なくとも2倍の厚さを含む。カバーの厚さの差は、カバーが穿孔される順序を決定する。第1の穿孔可能なカバーは、穿刺されることに抵抗し、第1のカバーに加えられた下向きの圧力を緩衝液パックに中継し、緩衝液パックを、破裂を容易にするためにより薄い第2のカバーを穿孔する穿孔部材に向かって下に移動させるための、十分な構造的完全性を提供する。第1の穿孔可能なカバーはまた、その後に穿刺され、圧縮可能なシールは、第2のカバーの穿刺部を通して緩衝液を分注するために、穿刺された第2のカバーに向かって下向きに移動される。いくつかの事例では、第1及び第2のカバーの両方は、異なる厚さを有する同じ材料を使用して作られ得る。いくつかの事例では、第1の穿孔可能なカバー及び第2の穿孔可能なカバーは、第1のカバーのための材料が第2のカバーのための材料よりも高い引張強度を有する、異なる材料で作られ得る。いくつかの事例では、第1の穿孔可能なカバーは、引張強度を増加させるために接着された同じ又は異なる材料の複数の層を使用して形成され得る。ある特定の例では、第1及び第2の穿孔可能なカバーは、アルミニウムから作られている。ある特定の例では、第1及び第2の穿孔可能なカバーは、紙、例えば、耐水性コーティングを含む紙から作られている。ある特定の例では、第1の穿孔可能なカバーは、紙の層に接着されたアルミニウムの層から作られている。いくつかの事例では、アルミニウムは、PFL-018箔又はPFL-019箔であってもよい。
【0035】
圧縮可能なストッパは、ゴム、シリコーン、プラスチック、若しくは同様の材料、又はそれらの組み合わせなどの任意の好適な材料から作られ得る。ゴムは、天然ゴム若しくは合成ゴム、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0036】
いくつかの事例では、本明細書に開示される緩衝液パックは、約20~40mm、例えば、25~35mmの高さ、約10~20mm、例えば、12~18mmの外径、約5mm~15mm、例えば、8mm~10mmの内径、及び2~3mmの厚さを有し得る。第1の穿孔可能なカバーは、60um~150um、例えば75um~125um、95um~105um、又は90um~110um、例えば80um、90um、100um、110um、又は120umの厚さ、及び10~20mm、例えば12~18mmの直径を有し得る。第2の穿孔可能なカバーは、20um~50um、例えば、30um~50um、又は35um~45um、例えば、80um、90um、100um、110um、又は120umの厚さ、及び10~20mm、例えば、12~18mmの直径を有し得る。ストッパは、約3~5mmの高さ及びパファパックの内径よりもわずかに大きい直径、例えば、+0.5mm大きい直径を有し得る。
【0037】
図1Aは、滑らかな内部表面と、係合特徴部102を備える外部表面と、を備える中空の円筒形本体101を含む、緩衝液パック100を示す。第1の穿孔可能なカバー103、第2の穿孔可能なカバー104、及び圧縮可能なストッパ105は、
図1Aに示される分解図で見える。
図1Bは、組み立てられた緩衝液パックを逆さまの構成で示す。係合特徴部102は、外部表面に向かって傾斜している下部表面を含む。
【0038】
図2A及び2Bは、2つの異なる緩衝液パックを示す。
図2Aに示される緩衝液パックは、長さ及び直径の両方において、
図2Bに示される緩衝液パックよりも大きい。緩衝液パック100と同様に、緩衝液パック200も、円筒形本体201と、第1の穿孔可能なカバー203と、圧縮可能なストッパ205と、係合特徴部202と、第2の穿孔可能なカバー204と、を含む。
図2Cは、一度組み立てられた緩衝液パック200を示す。係合特徴部202はまた、傾斜した表面を含む。
【0039】
緩衝液パックに緩衝液を充填する方法も、本明細書に提供される。ある特定の事例では、方法は、圧縮可能なストッパを設置し、第1の穿孔可能なカバーで上端部をシールし、続いて、緩衝液を円筒形本体内に充填し、第2の穿孔可能なカバーで底端部をシールすることを含み得る。
【0040】
ストッパを設置することは、ストッパを円筒形本体内に挿入し、ストッパを所望の位置に摺動させることを伴い得る。所望の位置は、充填される緩衝液の体積及び/又は分注される緩衝液の量に基づいて決定することができる。ストッパは、設置を容易にするために潤滑され得る。カバーをシールすることは、接着剤の使用を伴い得るか、又はヒートシールを伴い得る。
【0041】
シーリングプレート
本明細書に開示されるような1つ以上の緩衝液パックを固定し、緩衝液が分注される試料調製カートリッジ内に緩衝液パックを配置するために使用することができる、シーリングプレートも本明細書に提供される。シーリングプレートの構成は、試料調製カートリッジのタイプに応じて変化し得る。いくつかの事例では、シーリングプレートは、下部表面とは反対側の上部表面、表面間に延在する第1の貫通孔、を備える実質的にディスク形状を含み、第1の貫通孔は、下部表面から延在し、本明細書に提供される緩衝液パックの係合特徴部の下部表面に取り付けられる、少なくとも2つの直径的に反対側の保持特徴部を備える。シーリングプレートは、シーリングプレートを試料調製カートリッジの追加の構成要素と位置合わせするための、中央に位置付けられた開口部を更に含んでもよい。いくつかの事例では、開口部は、シャフト、例えば、下部表面から下に延在する中空シャフトを含み得る。いくつかの事例では、シャフトは、上部表面から上に延在する。いくつかの事例では、シャフトは、シーリングプレートの表面の上及び下に延在する。
【0042】
いくつかの事例では、シャフトは、中空であり、シャフトの内側表面に位置付けられた凹みを備え、凹みは、シャフトの内径に沿って位置付けられている。凹みは、緩衝液パックを作動させて試料調製カートリッジ内に緩衝液を分注するために使用されるキャップを配置するために使用される。
【0043】
シーリングプレートの例を
図3A~3Dに描示する。
図3A~3Dは、緩衝液パック100及び200を含むシーリングプレート300を示す。
図3Aは、下部表面から延在し、緩衝液パック100の係合特徴部102の下部表面に取り付けられる、2つの直径方向に反対側にある保持特徴部301a及び301b(示された角度からは見えない)を備える、シーリングプレートの下部表面を示す。代替的に、係合特徴部が凹みであるとき、保持特徴部は、凹み内に摺動して緩衝液パックを固定することができる。また、係合特徴部302a及び302b間に挿入されることができる第2の緩衝液パック200を描示する。中央に位置付けられた中空シャフト303も見える。シャフトの下端部は、(図示のように)閉じられてもよく、又は開口していてもよい。
【0044】
ある特定の事例では、緩衝液パックの設置を誘導し、及び/又は保持を容易にするための追加の特徴部が、シーリングプレートの下部表面に含まれてもよい。そのような例示的な特徴部307a及び307bが、
図3A及び3Bに描示される。
【0045】
図3Cは、緩衝液パックの係合特徴部(102及び103)、並びに、シーリングプレートの保持特徴部(301a及び301b並びに302a及び302b)のズームイン図である。図に見られるように、保持特徴部は、係合特徴部(102及び103)の傾斜に一致する傾斜を先端部に含み、これは、緩衝液パックの第1の穿孔可能なカバーに下向きの圧力を加えると、緩衝液パックを下に摺動させることを容易にする。
【0046】
図3Dは、上部表面に含まれ得る任意の特徴部を有するシーリングプレートを示す。そのような任意の特徴部は、誘導部材303a、304、及び305を含む。誘導部材303aは、緩衝液パックを作動させるためのキャップを、シーリングプレート内の中央開口部と位置合わせするために使用され得る。誘導部材304及び305は、キャップの作動部材をそれぞれの緩衝液パックの上端部と位置合わせするために使用され得る。
【0047】
係合特徴部のサイズ及び形状は、変化し得、緩衝液パックのサイズ及び形状によって決定され得る。係合特徴部が位置付けられる開口部は、概して、緩衝液パックの外径よりも直径が小さい。いくつかの事例では、開口部の直径は、緩衝液パックの内径と実質的に同じである。いくつかの事例では、開口部の直径は、緩衝液パックの内径よりも実質的に小さく、キャップの作動部材の通過を可能にするようにサイズ決めされ得る。
【0048】
図3Dに描示されるシーリングプレートにおいて、試料投入口306が、シーリングプレートの上部表面に位置決めされている。シーリングプレートは、試料調製カートリッジのサイズに基づいて決定され得る任意のサイズを有し得る。図に描示されるシーリングプレートは、本明細書に開示されるような試料調製カートリッジの上端部を十分に覆うようにサイズ決めされる第1の直径を有するディスク形状を含む。シーリングプレートの上部表面は、本明細書に記載されるキャップによって囲まれるロック形状を提供するディスクの周囲に隣接して配設されている上向きに延在する壁を含む。
【0049】
緩衝液パックを作動させるためのキャップ
前述のセクションで述べたように、本明細書に開示されるような1つ以上の緩衝液パックを作動させるためのキャップも提供される。キャップは、前述のセクションで記載されたシーリングプレートにわたって嵌まるようにサイズ決めされる。キャップは、下部表面とは反対側の上部表面と、下部表面から下向きに延在する第1の作動部材と、を含む。第1の作動部材は、緩衝液パックの第1の穿孔可能なカバーと位置合わせされ、シーリングプレートの第1の貫通孔を通過するように構成されている。キャップは、キャップがシーリングプレートの上部表面から離間している第1の位置に配置されている。キャップが第1の位置にあるとき、第1の作動部材は、緩衝液パックに下向きの力を及ぼさない。
【0050】
キャップは、緩衝液パックを固定するために使用されるシーリングプレートと互換性のある任意の形状及びサイズを有し得る。ある特定の事例では、キャップは、ディスク形状を有し得る。キャップの上部表面及び下部表面は、いくつかの事例では、実質的に平面的であり得る。別の例では、キャップの上部表面は、上部表面上の実質的に中央に位置付けられた隆起エリアを含み得る。隆起エリアは、キャップに下向きの圧力を加えるための標的エリアを提供することによって、使いやすさを高めるために含まれ得る。キャップは、キャップが下向きに押されたときにシーリングプレートの周囲を囲むようにサイズ決めされたリム形状の境界を含んでもよい。リム形状の境界は、キャップをシーリングプレートに添着するための部材を含んでもよい。そのような部材は、キャップ及びシーリングプレートを一緒にスナップすることを容易にする突起又はくぼみを含む。
【0051】
第1の作動部材は、形状を維持し、キャップの上部表面に加えられた下向きの圧力を緩衝液パックの上端部に伝達するために、かなりの剛性を有する細長い構造である。ある特定の態様では、第1の作動部材は、プラスチック又は金属から作られ得る。第1の作動部材は、第1の穿孔可能なカバーに接触するやや尖った先端部を含む。本明細書で使用される場合、やや尖った先端部は、鋭利な縁部を含まない先端部を含み、カバーを切断することによってではなく、カバーに圧力を加えることによって主に第1の穿孔可能なカバーを穿刺するように設計された構造を指す。やや尖った端部の例としては、バターナイフの縁部が挙げられる。ある特定の態様では、第1の作動部材は、やや尖った端部を有する円筒形形状又はやや尖った端部を有する正方形形状を含む細長い構造を含む。ある特定の事例では、細長い構造は、
図4に示されるように、長縁部に沿って取り付けられた3つの平面的な柱から形成されている。細長い構造のやや尖った先端部は、端部にやや鋭利な縁部が設けられた、平面的な柱の端部から形成されている。作動部材の設計は、第1の穿孔可能なカバーが、カバーに下向きの圧力を加えた直後に作動部材によって穿刺されないことを確実にする。加えて、作動部材の設計と第1の穿孔可能なカバーの厚さとの組み合わせは、作動部材が、第1の穿孔可能なカバーを穿刺する前に、緩衝液パックを下向きに変位させることを確実にする。
【0052】
ある特定の態様では、シーリングプレートは、2つ以上の緩衝液パックを含んでもよく、キャップは、2つ以上の作動部材を含んでもよく、この場合、第1の作動部材は、第1の緩衝液パックに接触し、第2の作動部材は、第2の緩衝液パックに接触する、といった具合である。2つ以上の作動部材の長さは、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。例えば、作動部材の長さは、異なっていてもよく、これが更に、緩衝液パックを作動させるための異なるタイミングをもたらす。ある特定の事例では、シーリングプレートは、第1の緩衝液パック及び第2の緩衝液パックを含んでもよく、キャップは、第1の緩衝液パックと位置合わせされた第1の作動部材及び第2の緩衝液パックと位置合わせされた第2の作動部材を含んでもよい。第1の作動部材は、第2の作動部材が第2の緩衝液パックに接触する前に、第1の作動部材が第1の緩衝液パックに接触するように、第2の作動部材よりも長くてもよい。加えて、より短い作動部材は、第1の緩衝液パックと比較して、第2の緩衝液パックからより少ない体積の緩衝液を分注することができる。2つの作動部材は、任意の構成で配置されてもよい。例えば、作動部材は、互いに隣接してもよく、又は対称に位置付けられてもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「作動する」という用語は、キャップ及び緩衝液パックの文脈で使用される場合、キャップに下向きの圧力を加えたときの、緩衝液パックの下向きの移動、及び第1の穿孔可能なカバーの穿刺を指す。次のセクションで更に説明されるように、緩衝液パックの下向きの移動は、緩衝液パック上の第2の穿孔可能なカバーの穿孔をもたらす。
【0054】
ある特定の事例では、キャップは、下部表面から下向きに延在し、シーリングプレート内のシャフト内に嵌まるようにサイズ決めされた、中央に位置付けられた支柱を含んでもよい。支柱は、キャップをシーリングプレート内の中央開口部と位置合わせするために使用され得る。支柱は、シャフト内の凹み内に嵌まり、キャップを第1の位置に保持するようにサイズ決めされた突起を含んでもよい。キャップに下向きの圧力を加えると、突起は、凹みから係合解除され、支柱がシャフトを下に摺動することを可能にし、それによって、キャップは、シーリングプレートの周囲を囲み、シーリングプレートにスナップ嵌めする。
【0055】
支柱は、ロッド形状構造であって、ロッド形状構造の遠位端部から延在する複数のフィンガを備える、ロッド形状構造を含んでもよく、突起は、複数のフィンガの遠位端部に位置付けられており、シーリングプレート内のシャフトは、支柱の直径よりも大きい直径を含み、シャフトは、遠位端部にリップを備え、キャップに下向きの圧力を加えると、突起は、凹みから係合解除され、支柱がシャフトを下に摺動することを可能にし、それによって、突起がリップの下に位置付けられ、キャップは後退することができない。本明細書で使用される場合、「遠位端部」という用語は、基準点の近くに位置付けられた近位端部と比較して、基準点から更に離れて位置付けられている端部を指す。この文脈では、支柱の遠位端部は、支柱の底端部に向かって位置付けられた端部であり、一方で、支柱の上端部は、キャップに取り付けられている。
【0056】
本開示のキャップの例を
図4に描示する。キャップ400は、ドームの形状の上部表面上の隆起エリア406と、第2の作動部材402に隣接して位置付けられた第1の作動部材401と、中央支柱403であって、支柱403の遠位端部から延在し、複数の突起405a~405cを備える複数のフィンガ404a~404cを備える、中央支柱403と、を含む。やや尖った端部を示す作動部材の端部の拡大図が含まれている。やや尖った端部は、第1の穿孔可能なカバーを穿刺する前に緩衝液パックに下向きの圧力を加えるためのやや鋭利な縁部を含む。
【0057】
図5は、支柱403がシャフト303で囲まれたシーリングプレート内の中央開口部と位置合わせされ、作動部材401が緩衝液パック100と位置合わせされ、作動部材402が緩衝液パック200と位置合わせされるように、シーリングプレート300にわたって位置合わせされたキャップ400を描示する。
【0058】
シーリングプレートを参照したキャップの第1及び第2の位置は、以下のセクションで更に記載される。
【0059】
試料調製カートリッジ
本明細書に記載される緩衝液パック、シーリングプレート、及びキャップは、任意の試料調製デバイスと併せて使用され得、キャップの動作原理は、本明細書に記載されるようなものである。理解されるように、緩衝液パック、シーリングプレート、及びキャップの形状は、形状がキャップの動作及び緩衝液パックからの緩衝液の分注と互換性がある限り、変化することができる。ある特定の実施形態では、緩衝液パック、シーリングプレート、及びキャップの形状は、試料調製デバイスの形状によって決定される。ある特定の事例では、試料調製デバイスは、上端部及び底端部と、上端部と底端部との間に延在する環状壁と、を備える円筒形構造を含む試料調製カートリッジであってもよい。底端部は、実質的に閉じていてもよく、一方で、円筒形構造の上端部は、実質的に開口していてもよい。円筒形構造の開口上端部は、本明細書に記載されるように、シーリングプレートによって覆われ得る。
【0060】
図6Aは、円筒形構造501及びシーリングプレート300を有する試料調製カートリッジ500を示す。
図6Aは、2つの構成要素が組み立てられる配向で円筒形構造501と位置合わせされたシーリングプレート300を示す。カートリッジ500は、環状壁502と、試料を処理するためのチャンバと、を含む。チャンバ503が描示されており、環状壁上に位置付けられており、開口部503aを含む。
図6Aに見られるように、シーリングプレート300内の試料投入口306は、開口部503aと位置合わせされている。
【0061】
図6Bは、円筒形構造501と、シーリングプレート300と、キャップ500と、を有する試料調製カートリッジ500を示す。
図6Cは、円筒形構造501と、シーリングプレート300と、キャップ500と、収集部材600と、を有する試料調製カートリッジ500を示す。収集部材は、PCRチューブ601と、収集部材を円筒形構造501の底端部に取り付けるための取り付け部材602と、を含む。
【0062】
ある特定の事例では、円筒形構造の底端部は、下部表面とは反対側の上部表面と、上部表面上の少なくとも1つの緩衝液パック支持特徴部と、を含んでもよい。緩衝液パック支持特徴部は、カートリッジの底端部の上部表面から上昇し、緩衝液パックの底端部を囲むようにサイズ決めされた、中空の円筒形構造を含んでもよい。
【0063】
円筒形構造の底端部の上部表面は、緩衝液パックの第2の穿孔可能なカバーに向かって上を向いた穿孔部材を含んでもよい。ある特定の事例では、穿孔部材は、緩衝液パック支持特徴部内に位置決めされてもよい。例えば、穿孔部材は、円筒形構造の底端部の上部表面上の緩衝液パック支持特徴部内で実質的に中央に位置決めされてもよい。穿孔部材は、任意の好適な構成を有してもよい。一例では、穿孔部材は、中空の針状構造を含んでもよく、チャネルが中空構造に接続されており、チャネルは、緩衝液パックからの緩衝液の流れをカートリッジ内のチャンバのうちの1つに導く。別の例では、穿孔部材は、中央開口部の周りに配置された2つ以上の上向きの鋭利な先端部を含んでもよく、この開口部は、緩衝液パックからの緩衝液の流れをカートリッジ内のチャンバのうちの1つに導くチャネルに接続されている。また別の例では、4つのファン状スポークが、緩衝液パック支持特徴部内に対称的に配置されている。スポークの各々は、上向きの先端部に終端し、カートリッジの底端部のチャネル内に給送する毛細管空間を一緒に囲む。4つのファン状スポークは、緩衝液パックの第2の穿孔可能なカバーと穿孔部材の下の空間との間の界面での流体抵抗を低減して、緩衝液パックからチャネル内への緩衝液の流れを容易にし得る。
【0064】
図6Dは、本開示の一実施形態による、試料調製カートリッジの円筒形構造の内側を示す。3つのチャンバ503、504、及び505もまた、円筒形構造501の環状壁502上に見える。円筒形構造の底端部の上部表面は、実質的に円筒形の形状である2つの緩衝液パック支持特徴部508及び509を含む。緩衝液パック支持特徴部508及び509の各々は、中央に位置決めされた開口部515を含む。開口部は、穿孔部材506を形成する4つの尖った先端部によって境界を定められている(
図7A~7Dを参照)。4つの尖った先端部は各々、4つのスポーク状構造506a~506dの一端部に存在する。
【0065】
ある特定の事例では、緩衝液パックの作動は、
図7A~7Dに示されるように実施される。
図7A~7Dは、試料調製カートリッジ500の内側領域の縦断面の部分図を示す。キャップ400、緩衝液パック100、シーリングプレートの保持特徴部301a及び301b、並びにカートリッジの底端部の上部表面上に存在する穿孔部材506が描示されている。
図7Aでは、キャップ500は、作動部材401が緩衝液パック10に下向きの力を及ぼさない第1の位置にあり、保持特徴部301a及び301bは、緩衝液パックが穿孔部材506の上に懸架されるように、緩衝液パックを保持している。
図7Bは、ユーザがキャップに下向きの力を加え始めるときに生じる、緩衝液パックの作動の第1のステップを示す。この第1のステップでは、作動部材401は、緩衝液パックの第1の穿孔可能なカバーに下向きの力を及ぼし、保持特徴部301a及び301bを摺動させて、緩衝液パックの係合特徴部102を通過させ、第2の穿孔可能なカバーを押して、第2の穿孔可能なカバーを穿孔する穿孔部材506と接触させる。
図7C及び7Dは、緩衝液パック内に存在する緩衝液を分注するプロセスを示す。ユーザがキャップに下向きの圧力を加え続けると、作動部材は、第1の穿孔可能なカバーに更なる圧力を加え、第1の穿孔可能なカバーを穿刺し、圧縮可能なストッパ105に接触して圧縮可能なストッパ105を下向きに押し、穿孔部材506によって第2の穿孔可能なカバーに作成された孔を介して、緩衝液パック内に保管されている緩衝液を放出させる。圧縮可能なストッパ105の最終的な位置は、作動部材401の長さによって決定され、作動部材401は、更に、緩衝液パックから放出される緩衝液の体積を決定する。
【0066】
図8A~8Cは、緩衝液パックの作動中の試料調製カートリッジの外観を描示する。
図8A及び8Bでは、カートリッジは、作動前段階で描示されており、すなわち、この場合、キャップは、作動部材401が緩衝液パック100に下向きの圧力を及ぼしていない第1の位置にある。必須ではないが、ある特定の事例では、誘導部材304が、緩衝液パック100がその下に位置決めされるシーリングプレート内の第1の開口部の周りでシーリングプレートの上部表面に含まれる。作動部材は、キャップが第1の位置にあるときに誘導部材内に挿入されてもよい。キャップは、キャップの中央支柱403及びシーリングプレートのシャフト303上に位置付けられた特徴部によって第1の位置に保持されている。これらの特徴部は、前述のセクションで記載されており、シャフトの内側表面のくぼみと嵌合する支柱上の突起を含み得る。シャフトは、支柱403の挿入のための誘導部材303aを提供するために、シーリングプレートの上部表面の上に延在してもよい。
図8Aはまた、キャップ400に下向きの力を加えることによって緩衝液パックを作動させる前に、試料をチャンバ503内に導入するために使用され得る試料投入口306を描示している。
【0067】
図8C~8Dは、作動後段階にあるカートリッジを描示し、すなわち、この場合、キャップは、作動部材が緩衝液パックを通って移動し、緩衝液が分注されている第2の位置にある。
図8C及び8Dでは、キャップ400は、もはや下向き方向に移動することができない第2の位置にあり、シーリングプレート300の上部表面を囲んでいる。
図8Dは、2つの緩衝液パック100及び200を含むカートリッジ500の内側を示す。緩衝液パック100及び200の作動部材401及び402は、それぞれ、作動後段階では緩衝液パック内に位置決めされている。この例におけるカバーは、任意選択的なドーム特徴部も示している。
【0068】
試料調製カートリッジは、組み立てられた形態で供給することができる。組み立てられたカートリッジの例は、円筒形構造を含むカートリッジと、1つ以上の緩衝液パックを備えるシーリングプレートと、作動前段階においてシーリングプレートにわたって位置決めされたキャップと、を含む。そのような組み立てられたカートリッジは、
図8A及び8Bに示されている。
【0069】
緩衝液パックとチャンバとの間の流体接続部の付加的な詳細を
図13A~13Cに示す。第1のチャンバ503、第3のチャンバ505、第1のチャンバ503に流体的に接続された緩衝液パック100、及び第3のチャンバ505に流体的に接続された緩衝液パック200の部分図が描示されている。チャネル520が、緩衝液パック100をチャンバ503に接続している。チャネル530が、緩衝液パック200をチャンバ505に接続している。また、穿孔部材を形成する上向きの鋭利な端部に終端するスポーク状特徴部506a~506dも描示されている。チャネル520及び530は、カートリッジの底端部に位置付けられてもよい。いくつかの事例では、チャネルの側壁は、カートリッジの底端部によって形成されてもよく、チャネルの上部壁及び底部壁は、カートリッジの底端部の上部表面及び底部表面に接着されたフィルム(例えば、接着フィルム)によって形成されてもよい。別の事例では、チャネルは、シリンダの底端部内に完全に形成されてもよい。
【0070】
試料調製カートリッジは、1つ以上の緩衝液パックが設置されたシーリングプレートを準備することによって組み立てることができる。緩衝液パックが円筒形構造の内側に位置決めされ、円筒形構造の底端部の上部表面上の穿孔部材と位置合わせされるように、シーリングプレートを円筒形構造内に挿入する。シーリングプレートは、任意の好適な手段によって円筒形構造の上端部に添着され得る。例えば、円筒形構造の上端部の周囲は、シーリングプレートの直径よりも直径が小さくてもよく、シーリングプレートは、円筒形構造の上端部にヒートシールされてもよく、又は接着剤によって円筒形構造の上端部に接着されてもよい。接着剤又はヒートシールを使用して、シーリングプレートを円筒形構造に固定的に取り付ける。固定的に取り付けるとは、シーリングプレートと円筒形構造との間の結合が、2つの構造を手動で押し離すことによって簡単に覆すことができない程度まで恒久的であることを意味する。
【0071】
キャップは、支柱403をシャフト303と、及び1つ以上の作動部材を、緩衝液パックがその下に設置されるシーリングプレートの開口部と位置合わせすることによって、円筒形構造内に挿入されたシーリングプレートにわたって位置決めされ得る。例えば、
図5は、支柱403がシャフト303と位置合わせされ、作動部材401が緩衝液パック100と位置合わせされ、作動部材402が緩衝液パック200と位置合わせされた状態のキャップ400を描示する。支柱キャップは、突起405a~405cがシャフト内の対応するくぼみと係合する点までシャフト内に挿入されてもよい。作動部材401及び402は、それぞれ誘導部材304及び305内に挿入され得る(
図6Aを参照)。
【0072】
ある特定の事例では、シーリングプレート及びキャップは、最初に組み立てられ、次に円筒形構造に取り付けられてもよく、又はシーリングプレートが円筒形構造に取り付けられてから、キャップがシーリングプレートに取り付けられてもよい。
【0073】
PCRチューブと、容器を円筒形構造に接続するためのクリップと、を備える収集容器が、シーリングプレート及びキャップを円筒形構造に取り付ける前又は後に、円筒形構造に取り付けることができる。
【0074】
ある特定の例では、シーリングプレートを円筒形構造に取り付けるための設計上の特徴部が含まれてもよい。例えば、
図6Aは、円筒形構造の上端部上のリム構造507を示し、このリム構造は、トレンチ内に嵌まるようにサイズ決め及び形状決めされている下向きに延在する部材308(シーリングプレート300の下部表面を示す
図3Dを参照)に嵌まるようにサイズ決めされた、トレンチ507aを含む。
【0075】
シーリングプレートはまた、キャップ上の対応する嵌合手段と嵌合して嵌まり、任意選択的にロックして係合する嵌合手段を含み得る。任意の好適な嵌合手段が利用され得る。
図3Dに描示される一例では、シーリングプレート300上の嵌合手段は、キャップ内に嵌まるようにサイズ決め及び形状決めされた、上向きに延在する部材309を含んでもよい。嵌合特徴部309a及び309bは、上向きに延在する部材309上に位置決めされている。
図8Cは、下向きに延在し、上向きに延在する部材309にわたって嵌まるようにサイズ決め及び形状決めされており、かつシーリングプレート上の嵌合特徴部309a及び309bと嵌合して嵌まる嵌合特徴部407a及び407bを含む周辺部を有するキャップ400を示す。
【0076】
試料調製
本明細書に開示される緩衝液パックは、試料を処理するための試料調製カートリッジ内に緩衝液を分注するために使用することができる。ある特定の事例では、試料調製カートリッジは、本明細書に開示されるようなものであってもよい。
【0077】
本明細書に提供される試料調製カートリッジを使用するための方法が開示される。方法は、試料を、シーリングプレート内の試料投入口を介してカートリッジの第1のチャンバ内に導入することを伴い得る。例えば、シーリングプレート300内の試料投入口306を示す
図6Aを参照されたい。試料投入口は、カートリッジ500における円筒形構造501の第1のチャンバ503の上部開口部503aにわたって位置決めされている。
図8A及び8Bは、キャップが作動前段階に配置されたときに、試料投入口がキャップの下でアクセス可能であることを示す。
【0078】
試料がカートリッジの第1のチャンバ内に導入された後、ユーザは、キャップに下向きの力を加える。下向きの力は、手のひら又は指をキャップの上部表面上に押すことによって加えてもよい。いくつかの事例では、試料調製カートリッジを使用して試料を調製するための機器は、例えば、キャップの上部表面を機器内の蓋と接触させることによって、下向きの力を加えるために使用され得る。
【0079】
いくつかの事例では、ユーザは、カートリッジを試料調製機器内に配置する前又は後に、試料をカートリッジ内に導入し、次に、直接的に、又は機器内の蓋をキャップに対して押すことによってのいずれかで、キャップに下向きの力を加える。
【0080】
前のセクションで説明されたように、キャップに下向きの力を加えると、緩衝液パック内に存在する緩衝液が放出される。緩衝液パックは、試料調製カートリッジ内のそれぞれのチャンバに流体的に接続されている。例えば、試料調製カートリッジは、第1の緩衝液パックに流体的に接続された第1のチャンバと、第2の緩衝液パックに流体的に接続された第3のチャンバと、を含むことができる。
図6Dに示されるように、試料調製カートリッジの円筒形構造501は、第1のチャンバ503と、第2のチャンバ504と、第3のチャンバ505と、を含む。第1のチャンバは、円筒形構造の底端部に存在するチャネル520を介して第1の緩衝液パックに接続されており、チャネル520は、円筒形構造の底端部の上部表面に存在する第1の穿孔部材の下から、第1のチャンバの底部まで延びる。第1の緩衝液パックが溶解緩衝液を収容している場合、第1のチャンバは、緩衝液パックの作動時に溶解緩衝液で充填される。第2のチャンバは、不混和相、例えば、疎水性の油又は空気で充填され得る。第3のチャンバは、円筒形構造の底端部に存在するチャネル530を介して第2の緩衝液パックに接続され得、チャネル530は、円筒形構造の底端部の上部表面に存在する第2の穿孔部材の下から、第3のチャンバの底部まで延びる。第2の緩衝液パックが溶出緩衝液を収容している場合、第3のチャンバは、緩衝液パックの作動時に溶出緩衝液で充填される。
【0081】
次に、試料調製カートリッジを機器によって処理して、PMPが標的分析物(例えば、核酸)に結合することを可能にする条件下で、第1のチャンバ内の溶解緩衝液を試料及びPMPと混合し、PMPを、溶解緩衝液がPMPとともに輸送されるのを空気又は油が防止する第2のチャンバに移送し、次いで、溶出緩衝液が標的分析物をPMPから離脱させる第3のチャンバに移送することができる。
【0082】
存在する場合、第3のチャンバ内のPMPから溶出された標的分析物を含む溶出緩衝液を分析して、標的分析物の有無、及び任意選択的に、標的分析物の濃度を決定することができる。いくつかの事例では、溶出緩衝液は、カートリッジの第3のチャンバから手動で除去することができる。ある特定の事例では、試料調製カートリッジは、標的分析物の分析のために、試料から単離された標的分析物を含む溶出緩衝液を、1つ以上の収集容器内に輸送するためのシステムを含み得る。システムは、溶出緩衝液を第3のチャンバから1つ以上の収集容器、例えば、PCRチューブ、又は熱循環反応若しくは等温反応を助長する同様の薄い壁の容器若しくはストリップに駆動するように構成される構成要素を含み得る。溶出緩衝液を第3のチャンバから排出させ、収集容器に流入させる力は、正圧であっても又は負圧であってもよい。溶出緩衝液に正圧を加えるシステムの例は、第3のチャンバ内で下向きに駆動され、溶出緩衝液を収集容器内に強制するプランジャを含む。溶出緩衝液に負圧を加えるシステムの例は、別個のプランジャチャンバを含み、このチャンバは、キャップが下向きに押されたときに押下されるプランジャを含む。このシステムは、押下されたプランジャを解放するための特徴部を含む。解放時に、プランジャは、上向きに摺動し、溶出緩衝液を第3のチャンバから収集容器に流れさせる真空を生成することによって、負圧を生成する。
【0083】
収集容器は、標的分析物の検出に好適な条件に供されてもよい。いくつかの事例では、収集容器は、ポリメラーゼ連鎖反応条件に供され、標的分析物を増幅させる。収集容器は、標的分析物を増幅させるために必要な追加の成分を含んでもよい。そのような成分としては、ポリメラーゼ酵素、プライマー、ヌクレオチド、及び緩衝液が挙げられる。ヌクレオチドは、いくつかの場合において検出可能に標識され得る。いくつかの事例では、収集容器は、増幅生成物に組み込まれる色素を含んでもよい。
【0084】
試料調製カートリッジは、試料の調製のための、例えば、試料から核酸を単離するための多数のチャンバを有し得るが、図に描示される試料調製カートリッジは、少なくとも3つのチャンバを含む。チャンバは、カートリッジの内側に存在してもよく、又はいくつかの場合には外側表面に存在してもよい。図に描示されるカートリッジにおいて、環状壁は、複数のチャンバの各々の開口側面を形成するキャビティと、複数のチャンバ間の流体連通を提供する1つ以上のチャネルと、を備える。チャネルは、環状壁内の凹部によって形成されており、開口側面を備える。1つ以上のカバーが、環状壁の外側表面にわたって添着されており、チャンバの開口側面及び凹部の開口側面を覆い、かつ流体的にシールする。試料調製カートリッジ及び試料調製カートリッジ内の試料を処理するための機器の追加の構成要素は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年12月23日に出願されたPCT出願第PCT/US2020/066926号においてより詳細に記載されている。
【0085】
円筒形構造は、円筒形構造の底端部の中心と円筒形構造の上端部の中心とを接続する線によって形成された軸の周りで回転可能であり得る。円筒形構造は、環状壁上に複数の側面が開口したチャンバを形成する、環状壁内の複数のキャビティを備える。例えば、複数のキャビティは、環状壁の連続した表面を変形させる、環状壁内のくぼみであってもよい。ある特定の事例では、変形された環状壁は、チャンバの閉じた側面を形成し得、キャビティを形成するように変形された環状壁の側面に対応するエリアが、チャンバの開口側面を形成し得る。ある特定の実施形態によれば、複数のチャンバの開口側面は、環状壁の外側に位置付けられている。チャンバの容積は、環状壁内のくぼみの容積に対応する測定値を表し得る。チャンバは、任意の都合の良い容積であってもよく、いくつかの事例では、1cm3~3cm3又は2cm3~5cm3など、1cm3~約5cm3まで変化してもよい。他の事例では、チャンバは、任意の都合の良い体積の流体を収容してもよく、いくつかの事例では、1μL~100μL、又は1,000μL~3,000μL、又は2,000μL~5,000μLなど、1μL~約5,000μLまで変化してもよい。複数のチャンバの各チャンバは、同じ容積を有してもよく、又は異なる容積を有してもよい。環状壁の外部表面からチャンバの内部側面までの距離として測定されるチャンバの深さは、任意の都合の良いサイズであってもよく、いくつかの事例では、1cm又は5cmなどの、0.1cm以上であり得る。複数のチャンバの各チャンバは、同じ深さを有してもよく、又は異なる深さを有してもよい。
【0086】
ある特定の実施形態によれば、複数のチャンバは、環状壁上で互いに近接して位置決めされている。例えば、第1のチャンバの横方向の境界と第2のチャンバの最も近い横方向の境界との間の距離は、0.5cm~1cmなどの、約0.1cm以上であってもよく、例えば、0.5cm又は0.75cm又は5cmである。互いに隣り合って位置決めされたチャンバの対の側面間の距離は、複数のチャンバについて同じであってもよく、又は異なっていてもよい。プランジャチャンバは、第3のチャンバに隣接して位置付けられてもよく、第3のチャンバは、試料から単離された分析物が存在するチャンバであってもよい。このチャンバは、溶出チャンバとも称される。プランジャチャンバは、環状壁に隣接して、環状壁上に、又は円筒形構造内に位置付けられ得る。ある特定の例では、プランジャチャンバに最も近い第3のチャンバの壁と、第3のチャンバに最も近いプランジャチャンバの壁との間の距離は、5cm未満、例えば、約0.1cm~4cm、0.5cm~2cmなどであってもよい。溶出緩衝液を溶出チャンバ(第3のチャンバ505)から収集容器内に引き込むための負圧を提供するためのプランジャチャンバ510の例を
図6Dに描示する。プランジャチャンバは、キャップが押し下げられるときに押圧されるプランジャ511を含む。プランジャを備えるプランジャチャンバの別の例が、プランジャ511が見える
図8Aに描示されている。収集容器を溶出緩衝液で充填するための負圧システムの具体的な例は、本出願と共同出願された、「Magnetic Particle Separation Device Actuation System and Negative Pressure Filling」と題する米国仮特許出願第63/143,587号においてより詳細に記載されており、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
上記で要約されたように、試料調製カートリッジは、複数のチャンバ間に流体連通を提供する1つ以上のチャネルを含む。ある特定の態様では、チャネルは、標的分析物を単離するために使用される1つ以上の常磁性粒子(PMP)がそこを通って輸送され得るほど十分に広い。ある特定の実施形態では、チャンバ間のチャネルのうちの1つ以上は、環状壁内の凹部によって形成されている。
図6Dにおいて、チャネル512は、チャンバ503及び504を接続しており、チャネル513は、チャンバ504及び505を接続している。
【0088】
ある特定の例では、第3のチャンバは、チャンバの底部領域に開口部を含む。第3のチャンバの底部の開口部は、1つ以上の収集容器に流体的に接続されている。収集容器は、上記のように、2つの別個のチューブ、例えば、増幅、例えばPCRに好適な薄い壁のポリプロピレンチューブであってもよい。第3のチャンバの底部の開口部は、プランジャチャンバ内に生成された真空の影響下で第3のチャンバから排出された実質的に等量の液体で2つの収集容器を充填するために、開口部から分割された2つのチャネルに流体的に接続され得る。
【0089】
試料調製カートリッジは、複数のチャンバの開口側面及びチャネルを形成するための相互接続部を覆う1つ以上のカバーを含む。円筒形デバイス内のチャンバの壁を形成するためのカバーの使用は、円筒形構造の環状壁よりも大幅に薄い壁を可能にする。円筒形デバイス内のチャンバの壁を形成するためのカバーの使用は、円筒形構造の材料とは異なる材料から作られた壁を可能にする。
【0090】
カバーは、チャンバ内に存在する常磁性粒子(PMP)が、チャンバに隣接して位置付けられている外側磁石に応答して凝集されることを可能にし、かつ凝集されたPMPが、円筒形構造及び外側磁石の相対的な動きに応答して、隣接するチャンバを接続するチャネルを横切ることを可能にするほど十分に薄くてもよい。カバーは、1cm未満、0.5cm未満、0.1cm未満、例えば、1mm~5mmの厚さを有し得る。ある特定の実施形態では、カバーは、フィルム、例えば、接着フィルムであってもよい。
【0091】
常磁性粒子とは、目的の分析物をその上に付着させることが可能であり、例えば、核酸をその上に付着させることが可能な磁性粒子を意味する。PMPは、磁気応答性である。磁気応答性粒子は、磁気応答性材料を含むか、又は磁気応答性材料から構成される。磁気応答性材料の例としては、常磁性材料、強磁性材料、フェリ磁性材料、及びメタ磁性材料が挙げられる。好適な常磁性材料の例としては、鉄、ニッケル、及びコバルト、並びにFe3O4、BaFe12O19、CoO、NiO、Mn2O3、Cr2O3、及びCoMnPなどの金属酸化物が挙げられる。PMPは、非磁性ポリマーに囲まれた常磁性材料、例えば、ポリマー材料で覆われた磁性材料、又はポリマーマトリックスに埋め込まれた磁性材料から構成され得る。そのような粒子は、磁性ビーズ又は常磁性ビーズと称され得る。
【0092】
ある特定の実施形態では、カートリッジは、カートリッジが配置された機器を使用して試料を調製するために使用される。機器は、PMPを第1のチャンバから第1のチャネルを介して第2のチャンバなどに移動させるための取り外し可能な、又は恒久的に取り付けられた磁石を更に含んでもよい。機器は、カートリッジが配置されるプラットフォームを回転させるモータを含んでもよい。機器のプラットフォームは、カートリッジを往復して回転させて、細胞/ウイルスの溶解、及び標的分析物、例えば、核酸の放出を容易にし得る。PMPは、標的分析物に結合し、固定するように官能化されている。機器は、カートリッジの往復回転を停止し、第1のチャンバが機器内に存在する磁石に隣接するように、カートリッジを回転させ得る。磁石は、PMPを凝集させる。磁石は、第1のチャンバを第2のチャンバに流体的に接続しているチャネルの開口部において凝集体が実質的に形成されるように位置決めされている。第2のチャンバは、洗浄緩衝液、又は油若しくは空気などの不混和相を含んでもよい。次いで、機器は、カートリッジを回転させて、チャネルを通して第2のチャンバ内に凝集体を輸送する。図には描示されていないが、カートリッジは、追加のチャンバ、例えば、洗浄チャンバなどが続く不混和相チャンバを含むことができる。次いで、機器は、カートリッジを回転させて、第2のチャネルを通して第3のチャンバ内に凝集体を輸送する。
【0093】
磁石は、存在する場合、機器内に恒久的に又は取り外し可能に配設されたハウジング上に装着されてもよい。磁石とは、それ自体の外側に磁場を生成する能力を有する任意の物体を意味する。例えば、磁石は、常磁性粒子を引き付けることが可能な磁場を生成し得る。いくつかの事例では、磁石は、永久磁石又は電磁石であってもよい。ある特定の実施形態では、磁石は、カートリッジの環状壁の外側に近接して位置決めされている。
【0094】
機器の回転可能なプラットフォームは、モータを使用して作動させることができる。モータを自動化することによって、チャンバから1つ以上の収集容器内に液体を輸送する方法を自動化することができる。モータはまた、プロセッサによって実行されると、モータに、本明細書に開示されるようなシステムの使用方法を実施させる、コンピュータプログラムによって制御され得る。
【0095】
本明細書に開示されるデバイスは、短時間、例えば、20分未満、15分未満、10分未満、又は5分未満、例えば、1分~5分での核酸の検出方法に好適である。
【0096】
いくつかの場合に、カートリッジ及び関連する機器類は、試料を装填することができ、カバーを押し下げ、残りの処理ステップが自動化されるように構成されている。したがって、結果は、最小限のユーザ介在ステップで得ることができる。特に、ユーザは、必ずしもその順序ではないが、試料をカートリッジ内に装填し、カートリッジを機器類に装填し、キャップを押し下げ、分析機器を作動させて試料を分析するだけでよい場合がある。機器類は、試料を処理して、試料から核酸を単離し、核酸を収集容器、例えば、PCRチューブ内に送達し、PCRなどの分析を行い、結果を提示し、例えば、スクリーンに表示し、プリントアウトを提供し、コンピュータシステムに保存し、又は結果をリモートコンピュータシステムに送信するように構成されている。したがって、本明細書に開示されるカートリッジは、AbbottのID NOW(商標)機器類などの、適切な試料分析機器類で使用することができ、唯一のユーザ介在ステップは、試料をカートリッジ内に装填し、カートリッジを分析機器内に装填し(必ずしもその順序ではない)、キャップを押し下げることである。既存の試料分析機器を制御する適切なコンピュータプログラムを改訂して、本明細書に開示されるカートリッジから試料を操作及び処理することができる。
【0097】
ある特定の態様では、試料は、哺乳動物(例えば、ヒト、げっ歯類(例えば、マウス)、若しくは目的の任意の他の哺乳動物)の全血、血清、血漿、痰、鼻液、唾液、粘液、精液、尿、膣液、組織、臓器、及び/又は同様のものの試料である。他の態様では、試料は、哺乳動物以外の源、例えば、細菌、酵母、昆虫(例えば、ショウジョウバエ)、両生類(例えば、カエル(例えば、ゼノパス))、ウイルス、植物、又は任意の他の非哺乳動物核酸試料源からの細胞の集合体である。
【0098】
キャップは、キャップが適切に位置付けられていることを示すために、触覚、視覚、及び/又は聴覚フィードバックをユーザに提供するように構成されてもよい。例えば、ユーザによる下向きの圧力を加えたときに、キャップは、シーリングプレートのシャフトを下に摺動し、キャップが適切に位置決めされていることを示すカチッという音を生成し得る。他の実施形態では、キャップは、最初に急速に下に摺動し、ユーザによる更なる下向きの圧力に応答して、それ以上移動せず、キャップが適切に位置決めされていることを示し得る。
【0099】
図9は、試料調製カートリッジ905と、ハウジング上に装着された磁石910と、を備える、例示的な試料調製システム900を示す。試料調製カートリッジは、溶解緩衝液、並びにいくつかの事例では、核酸が結合することができる常磁性粒子、及び細胞、ウイルス、及び/又は核酸を含む試料を有する第1のチャンバ915と、不混和相(例えば、油又は空気)を有する第2のチャンバ920と、溶出緩衝液を有する第3のチャンバ925と、を含む。試料調製カートリッジ905は、第1のチャンバ915を第2のチャンバ920と相互接続している環状壁内の第1の凹部935と、第2のチャンバ920及び第3のチャンバ925を相互接続している環状壁内の第2の凹部935と、を更に含む。磁石910は、試料調製カートリッジのチャンバ間で磁性粒子を移送するために使用される。
【0100】
図10は、本明細書に開示される試料調製カートリッジを使用して試料を処理するように構成された、試料処理機器1200を示す。試料処理機器には、再使用可能な磁石1210が据え付けられている。再使用可能な磁石は、支持体1212上に装着されており、磁石が試料調製カートリッジのカバーに近接し、試料調製カートリッジの回転によって、磁性粒子を使い捨ての試料調製カートリッジの異なるチャンバ間で移動させるために使用され得る様式で、機器上に配置されている。試料処理機器は、試料調製カートリッジ用のホルダ1214を備える回転構成要素を含む。回転構成要素は、カートリッジを回転させるように作動させることができるモータに動作可能に接続されている。
【0101】
図11は、磁石が試料調製カートリッジに隣接して位置するように、試料処理機器1200内に配置された試料調製カートリッジ1005を示す。
図10及び11に描示される実施形態では、カートリッジが中心軸を中心に回転している間、磁石は、試料調製中に静止している。カートリッジの回転は、カートリッジのチャンバを磁石に近接して配置する。
【0102】
図12は、磁石を使用した試料調製カートリッジの第1のチャンバから第3のチャンバへのPMPの移送を示す。試料調製の初期段階では、試料は、第1のチャンバ1015内の溶解緩衝液及びPMPと接触される。PMPは、第1のチャンバ1015内の溶液の暗い色によって示されるように分散されている。試料調製カートリッジは、カートリッジの異なる領域を磁石に隣接して配置するように回転させることができる。代替的に、磁石は、磁石を移動させることによって、カートリッジの異なる領域に隣接して位置決めされ得る。第1のチャンバに隣接して磁石1010を位置決めすることは、磁石とカートリッジとの間の相対的な移動によって、第2のチャンバを通して第3のチャンバに移送され得るPMPの凝集をもたらす。パネルBは、第3のチャンバ1020内の常磁性粒子1025の凝集体を示す。パネルCにおいて、第3のチャンバ1020内の溶液の暗い色は、常磁性粒子が第3のチャンバ1020内の溶出緩衝液中で混合されていることを示す。分析物がPMPから溶出された後、PMPを凝集させ、第2又は第1のチャンバに戻すことができる。次いで、溶出緩衝液を、収集容器、例えば、第3のチャンバと流体連通しているPCRチューブ内に移送することができる。代替的に、PMPを含む溶出緩衝液を、収集容器内に移送してもよい。前述のセクションで述べたように、溶出緩衝液の移送は、手動であってもよい。例えば、溶出緩衝液は、更なる分析のために第3のチャンバから除去されてもよい。他の例では、溶出緩衝液は、正圧を加えることによって、例えば、プランジャを使用して、溶出緩衝液を第3のチャンバから、第3のチャンバに接続された収集容器内に強制的に出すことによって、除去することができる。そのような方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年12月23日に出願されたPCT出願第PCT/US2020/066926号においてより詳細に記載されている。
【0103】
したがって、上記の説明は単に本開示の原理を例示するにすぎない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載又は図示していないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。更に、本明細書に列挙された全ての例及び条件的文言は、主として本発明の原理及び発明者らにより当該技術技術の促進のために寄与された概念を理解する上で読者を助けることを意図しており、このような具体的に列挙された例及び条件への限定ではないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにその具体的な例を列挙する本明細書における全ての記述は、その構造的及び機能的均等物の両方を包含することを意図している。加えて、そのような均等物は、構造に関係なく、現在知られている均等物及び将来開発される均等物の両方、すなわち、同じ機能を実施する開発される任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。
【国際調査報告】