(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】レーザ投影システムを使用する風力タービンアセンブリ構成要素の空間座標追跡
(51)【国際特許分類】
B29C 70/46 20060101AFI20240214BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20240214BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B29C70/46
F03D1/06 A
G01C15/00 103Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546413
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022015034
(87)【国際公開番号】W WO2022169929
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サリミ,アミル
(72)【発明者】
【氏名】レイン,クリストファー
【テーマコード(参考)】
3H178
4F205
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178BB73
3H178BB75
3H178CC02
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG07
4F205AH04
4F205AQ01
4F205AR07
4F205HA08
4F205HA25
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
4F205HK31
(57)【要約】
風力タービンブレードの製作方法は、金型を画定するためのプラグを提供することであって、プラグが、その中に形成された少なくとも1つの雌表面特徴を含む、提供することを含む。金型を形成することであって、金型が、風力タービンブレード表面を形成するように構成され、プラグの少なくとも1つの雌表面特徴に対応する雄表面特徴を有する、形成すること。金型内に風力タービンブレード表面を形成することであって、風力タービンブレード表面が、金型の雄表面特徴に対応する雌表面特徴を有する、形成すること。風力タービンブレード表面の雌表面特徴内に少なくとも1つの光学マーカを組み込むこと。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造の製作方法であって、
複合構造を形成するように構成された金型を提供することであって、前記金型が、光学マーカの受信のための少なくとも1つの表面特徴を含む、提供することと、
前記金型内に複合構造を形成することであって、前記複合構造が、前記金型の前記少なくとも1つの表面特徴に配設された光学マーカを含む、形成することと、
前記複合構造に関連付けられた所定の光学マーカ場所を提供することと、
少なくとも1つの光学マーカに向けられた少なくとも1つの光ビームを投影することと、
前記複合構造に配設された前記光学マーカの前記場所を識別するために、前記少なくとも1つの光学マーカから少なくとも1つの反射ビームを受信することと、
所定の光学マーカ場所を前記識別された光学マーカ場所と比較することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記所定の光学マーカ場所と前記識別された光学マーカ場所との前記比較が一致しないときに、前記複合構造の配置を調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
投影が、複数のレーザによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザが、前記金型に対する相対移動のために構成されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザが、互いに対する相対移動のために構成されている、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
光学マーカが、せん断ウェブの各側に配設されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数の光ビームが、複数の光学マーカに向かって同時に投影される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
選択ビームが、連続した様式で投影される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複合構造が、タービンブレードである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表面特徴が、開口部として形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記表面特徴が、凹部として形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
風力タービンブレードの製作方法であって、
金型を画定するためのプラグを提供することであって、前記プラグが、その中に形成された少なくとも1つの雌表面特徴を含む、提供することと、
金型を形成することであって、前記金型が、風力タービンブレード表面を形成するように構成され、前記プラグの前記少なくとも1つの雌表面特徴に対応する雄表面特徴を有する、形成することと、
前記金型内に風力タービンブレード表面を形成することであって、前記風力タービンブレード表面が、前記金型の前記雄表面特徴に対応する雌表面特徴を有する、形成することと、
前記風力タービンブレード表面の前記雌表面特徴内に少なくとも1つの光学マーカを組み込むことと、
前記風力タービンブレード表面に関連付けられた所定の光学マーカ場所を提供することと、
少なくとも1つの光学マーカに向けられた少なくとも1つの光ビームを投影することと、
前記風力タービンブレード表面に配設された前記光学マーカの前記場所を識別するために、前記少なくとも1つの光学マーカから少なくとも1つの反射ビームを受信することと、
所定の光学マーカ場所を前記識別された光学マーカ場所と比較することと、を含む、方法。
【請求項13】
少なくとも1つの光ビームを投影することが、複数のレーザを含み、各レーザが、複数の光学マーカと整列される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの光ビームを投影することが、複数のレーザを含み、前記レーザが、前記金型に対する相対移動のために構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの光ビームを投影することが、複数のレーザを含み、前記レーザが、互いに対する相対移動のために構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記光学マーカが、前記風力タービンブレード表面内に埋め込まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記光学マーカが、前記風力タービンブレード表面の前記表面に結合される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記光学マーカは、ミラーとして構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記光学マーカが、前記ブレードの先端エッジと後端エッジとの間に配設されている、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記光学マーカが、第1の金型半分を第2の金型半分の上に閉鎖する前に、前記風力タービンブレード表面内に組み込まれる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月3日に提出された米国仮特許出願第63/145,145号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の主題は、大規模な複合構造、例えば、風力タービンブレードを製造するシステム、及び対応する方法に関する。これらの大規模な複合構造は、典型的には、ブレード半分が成形されると、製作を完了するために複雑な構成要素の配置/設置及びその後の金型閉鎖プロセスを必要とするツーピース金型から形成される。
【0003】
特に、本開示は、ブレード構成要素、例えば、スパーキャップの配置及び組み立ての両方を容易にする、正確かつ精密な構成要素座標追跡システムを提供する。
【0004】
風力タービンブレードは、概して、主にガラス繊維強化プラスチックなどの複合材料で作られた中空ブレードシェルを備える。ブレードシェルは、典型的には、ブレードの先端エッジ及び後端エッジのフランジに沿って一緒に接合される前に、それぞれの雌半分金型で別個に成形される、下部圧力側シェル及び上部吸引側シェルの2つの半分シェルで構成されている。風力タービンブレード用の金型半分の例示的な図が、
図1A~
図1Cに概略的に示されている。
【0005】
図1aを参照すると、これは、2つの半分金型、上部吸引側金型10a及び下部圧力側金型10bに分割された風力タービンブレード用の金型10を示し、これらは、金型の開放構成で並んで配置される。圧力側ブレードシェル12aは、下部金型10aの金型表面14aに支持され、吸引側ブレードシェル12bは、上部金型10bの金型表面14bに支持される。シェル12a、12bは各々、硬化樹脂によって一緒に接合されている、複数のガラス繊維布層で構成されている。
【0006】
それぞれの金型半分10a、10bにシェル12a、12bを形成した後、せん断ウェブ16は、風向きブレードシェル12aの内側表面17上又は内側に位置決めされたスパーキャップに接合される。せん断ウェブ16は、ブレードの2つの半分シェル12a、12bを橋渡しし、使用中にブレードから風力タービンハブにせん断負荷を移送するのに役立つ、長手方向に延在する構造である。
図1aの断面に示される特定の実施形態では、せん断ウェブ16は各々、任意選択で、第1の長手方向に延在する装着フランジ20を備える下部エッジ19、及び任意選択で、第2の長手方向に延在する装着フランジ22を含む上部エッジ21を有するウェブ18を備える。せん断ウェブ16を各半分シェル12a、12bのそれぞれのスパーキャップに接合するために、エポキシなどの接着剤が、これらの装着フランジ22に沿って塗布される。
【0007】
図1bに示されるように、せん断ウェブ16が上部ブレードシェル12aに接合されると、接着剤は、せん断ウェブ16の第2の(上部)装着フランジ22に沿って、かつブレードシェル12a、12bの先端エッジ24及び後端エッジ26に沿って塗布される。上部ブレードシェル12bを含む上部金型10bは、次に、2つのブレード半分シェル12a、12bを先端エッジ24及び後端エッジ26に沿って一緒に接合し、せん断ウェブ16を上部ブレードシェル12bの内側表面28に沿ってスパーキャップに接合するために、持ち上げられ、回され、下部ブレード金型10aの頂部に配置される。一方の金型の半分を他方の頂部に置くステップは、金型を閉鎖することと呼ばれる。
【0008】
ここで
図1Cを参照すると、金型10が閉鎖されたときに問題が生じる可能性があり、それによって、せん断ウェブ16は、上部シェル12bに対してわずかに移動し得る。例えば、せん断ウェブ16は、金型閉鎖中に自重下でわずかに移動してもよく、又は上部シェル12bとの接触によって取り外されてもよい。追加的に、又は代替的に、せん断ウェブ及びスパーキャップは、閉鎖する前に、開放型半分内に不正確に配置され、損なわれた又は欠陥のあるブレードビルドをもたらす可能性がある。更に、上部シェル12bの凹状の曲率はまた、
図1Cに示されるように、せん断ウェブ16をわずかに一緒に押す傾向を有する。金型閉鎖中のせん断ウェブ16のこのような移動は、せん断ウェブ16がスパーキャップ及び/又は上部シェル12bに準最適な位置で接合されることをもたらし得る。
【0009】
風力タービンの運転効率を向上させるために、ブレードのサイズがますます大きくなるにつれて、安全マージンが低下するため、製造許容基準及び公差がより厳しくなる必要がある。これは、厳格な仕様と要件を満たすために、高精度のプロセスチェックを可能にする製造ツールの設計及び実装を必要とする。
【0010】
本開示は、オーバーヘッド光学投影システムが、所望のアセンブリ構成を確認するアセンブリ構成要素の正確な空間状態を検証することを可能にする、新しいツール及び技術を導入する。したがって、製品の構造に影響を与えることなく、構成要素の適切な配置を確実にする、風力タービンデバイスの組み立て段階中に、内部構成要素、例えば、スパーキャップの高精度な配置及び接合を提供するための効率的かつ経済的な方法及びシステムに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0011】
開示される主題の目的及び利点は、続く説明において記載され、それから明白となり、かつ開示される主題の実施によって習得されるだろう。開示される主題の更なる利点は、本明細書の説明及び特許請求の範囲において、特に指摘される方法及びシステム、並びに添付の図面から特に指摘される方法及びシステムにより、実現及び達成されるだろう。
【0012】
これら及び他の利点を達成するために、かつ開示される主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、開示される主題は、複合構造の製作方法であって、複合構造を形成するように構成された金型を提供することであって、金型が、光学マーカの受信のための少なくとも1つの表面特徴を含む、提供することと、金型内に複合構造を形成することであって、複合構造が、金型の少なくとも1つの表面特徴に配設された光学マーカを含む、形成することと、複合構造に関連付けられた所定の光学マーカ場所を提供することと、少なくとも1つの光学マーカに向けられた少なくとも1つの光ビームを投影することと、複合構造に配設された光学マーカの場所を識別するために、少なくとも1つの光学マーカから少なくとも1つの反射ビームを受信することと、所定の光学マーカ場所を識別された光学マーカ場所と比較することと、を含む、方法を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、所定の光学マーカ場所と識別された光学マーカ場所との比較が一致せず、複合構造の配置を調整する。
【0014】
いくつかの実施形態では、投影は、複数のレーザによって実行され、複数のレーザは、金型に対する相対移動のために構成され得、互いに対する相対移動のために構成され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、光学マーカは、せん断ウェブの各側に配設されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数の光ビームは、複数の光学マーカに向かって同時に投影される。
【0017】
いくつかの実施形態では、選択ビームは、連続した様式で投影される。
【0018】
いくつかの実施形態では、複合構造は、風力タービンブレードである。
【0019】
いくつかの実施形態では、表面特徴は、開口部として形成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、表面特徴は、凹部として形成される。
【0021】
本開示の別の態様によれば、風力タービンブレードを製作する方法であって、金型を画定するためのプラグを提供することであって、プラグが、その中に形成された少なくとも1つの雌表面特徴を含む、提供することと、金型を形成することであって、金型が、風力タービンブレード表面を形成するように構成され、プラグの少なくとも1つの雌表面特徴に対応する雄表面特徴を有する、形成することと、金型内に風力タービンブレード表面を形成することであって、風力タービンブレード表面が、金型の雄表面特徴に対応する雌表面特徴を有する、形成することと、風力タービンブレード表面の雌表面特徴内に少なくとも1つの光学マーカを組み込むことと、風力タービンブレード表面に関連付けられた所定の光学マーカ場所を提供することと、少なくとも1つの光学マーカに向けられた少なくとも1つの光ビームを投影することと、風力タービンブレード表面に配設された光学マーカの場所を識別するために、少なくとも1つの光学マーカから少なくとも1つの反射ビームを受信することと、所定の光学マーカ場所を識別された光学マーカ場所と比較することと、を含む、方法が開示される。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光ビームを投影することは、複数のレーザを含み、各レーザが、複数の光学マーカと整列される。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光ビームを投影することは、複数のレーザを含み、レーザは、金型に対する相対移動のために構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光ビームを投影することは、複数のレーザを含み、レーザは、互いに対する相対移動のために構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、光学マーカは、風力タービンブレード表面内に埋め込まれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、光学マーカは、風力タービンブレード表面の表面に結合される。
【0027】
いくつかの実施形態では、光学マーカは、ミラーとして構成されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、光学マーカは、ブレードの先端エッジと後端エッジとの間に配設されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学マーカは、第1の金型半分を第2の金型半分の上に閉鎖する前に、風力タービンブレード表面内に組み込まれる。
【0030】
前述の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的であり、特許請求される開示される主題の更なる説明を提供することが意図されていることを理解されたい。
【0031】
本明細書に組み込まれ、この一部を構成する添付の図面は、開示される主題の方法及びシステムを図示し、更に理解を提供するために含まれる。図面は、説明とともに、開示される主題の原理を説明するのに役立つ。
【0032】
本明細書に記載される主題の様々な態様、特徴、及び実施形態の詳細な説明は、以下に簡単に説明される添付の図面を参照して提供される。図面は、例示的であり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、いくつかの構成要素及び特徴は、明確さのために誇張されている。図面は、本発明の主題の様々な態様及び特徴を示し、本発明の主題の1つ以上の実施形態又は例を全体的又は部分的に示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】従来の風力タービンブレード金型の断面図及び製造方法を示す。
【
図1B】従来の風力タービンブレード金型の断面図及び製造方法を示す。
【
図1C】従来の風力タービンブレード金型の断面図及び製造方法を示す。
【
図2】開示される主題の一実施形態による、様々な内部(すなわち、2つのブレード半分が互いに接近して閉鎖されると、ブレード内部内にある)の場所、及び様々な構成要素上の光学基準マーカの例示的な図である。
【
図3】開示の主題の一実施形態による、金型からブレードシェル内への挿入までの搬送中のせん断ウェブの位置特定/追跡プロセスの例示的な図である。
【
図4A】開示の主題の一実施形態による、ブレードシェルに対するせん断ウェブの例示的な変位を示す、ブレードシェル内への挿入中のせん断ウェブの位置特定/追跡プロセスの例示的な図である。
【
図4B】開示の主題の一実施形態による、ブレードシェルに対するせん断ウェブの例示的な変位を示す、ブレードシェル内への挿入中のせん断ウェブの位置特定/追跡プロセスの例示的な図である。
【
図4C】開示の主題の一実施形態による、ブレードシェルに対するせん断ウェブの例示的な変位を示す、ブレードシェル内への挿入中のせん断ウェブの位置特定/追跡プロセスの例示的な図である。
【
図4D】開示の主題の一実施形態による、ブレードシェルに対するせん断ウェブの例示的な変位を示す、ブレードシェル内への挿入中のせん断ウェブの位置特定/追跡プロセスの例示的な図である。
【
図5A】開示の主題の一実施形態による、(例えば、金型半分を回転させる)ブレード閉鎖プロセス中の空間位置追跡の例示的な図である。
【
図5B】開示の主題の一実施形態による、(例えば、金型半分を回転させる)ブレード閉鎖プロセス中の空間位置追跡の例示的な図である。
【
図5C】開示の主題の一実施形態による、(例えば、金型半分を回転させる)ブレード閉鎖プロセス中の空間位置追跡の例示的な図である。
【
図6】開示の主題の一実施形態による、空間位置追跡のための追加の用途、例えば、戻りフランジ及びスパーキャップの例示的な図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、開示される主題の例示的な実施形態を詳細に参照する。添付の図面に、その例が示される。開示される主題の方法及び対応するステップは、システムの詳細な説明と併せて説明される。
【0035】
本明細書に提示される方法及びシステムは、例えば、自動車構成要素、船舶構成要素、及び建設構成要素などの、複合構造の構築に使用されてもよい。開示された主題は、風力タービンブレードの構築に特に適している。限定ではなく、説明及び例示の目的のために、開示される主題によるシステムの例示的な実施形態は、
図2~
図6に示され、概して参照文字1000によって指定される。同様の参照番号(先行番号によって区別される)は、機能的に対応するが、必ずしも同一ではない構造を示すために、本明細書に提示される様々な図及び図面の中に提供され得る。
【0036】
ブレードは、ブレードに増加した剛性、座屈耐性及び/又は強度を提供するように構成された1つ以上の構造構成要素を含むことができる。例えば、ブレードは、ブレードの圧力側及び吸引側の対向する内側表面に対してそれぞれ係合するように構成された一対の長手方向に延在するスパーキャップを含んでもよい。更に、1つ以上のせん断ウェブは、ビームのような構成を形成するように、スパーキャップの間に配設されてもよい。スパーキャップは、概して、風力タービンの動作中に、概ねスパン方向(ブレードのスパンに平行な方向)にブレードに作用する曲げ応力及び/又は他の負荷を制御するように設計されてもよい。同様に、スパーキャップはまた、風力タービンの動作中に発生するスパン方向の圧縮に耐えるように設計されてもよい。
【0037】
本開示のスパーキャップは、スパーキャップの第1の部分を形成するために一緒にグループ化された複数の引き抜き部材で構築することができる。ある特定の実施形態では、引き抜き部材は、複数の繊維(例えば、ガラス繊維又は炭素繊維)を樹脂で含浸させ、含浸した繊維を硬化させることによって形成され得る。繊維は、当該技術分野で既知の任意の好適な手段を使用して、樹脂で含浸され得る。更に、樹脂は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ビニルエステル、エポキシ、又は同様のものを含むが、これらに限定されない、任意の好適な樹脂材料を含み得る。更に、示されるように、引き抜き部材は、スパーキャップがブレードルートに近づくにつれて1つ以上の引き抜き部材束に分離して、スパーキャップの第2の部分を形成する。
【0038】
より具体的には、スパーキャップは、1つ以上の層を形成するために一緒にグループ化された複数の引き抜き部材で構築されている。したがって、層は、互いに積み重ねられ、例えば、部材を一緒に真空注入することによって、又は接着剤、セミプレグ材料、プレプレグ材料、又は同様のものを介して部材を一緒に接合することによって、任意の好適な手段を使用して、一緒に接合されてもよい。
【0039】
本開示は、オーバーヘッド光学投影システムが、所望のアセンブリ構成を確認するアセンブリ構成要素の正確な空間状態を検証することを可能にする、新しいツール及び技術を導入する。
【0040】
再帰反射光学マーカ
本明細書に記載される方法及びシステムは、成形プロセス中の高精度構成要素の配置、例えば、スパーキャップを容易にする。特に、本開示は、ブレードスパン全体にわたって正確な幾何学的基準を提供する、新しい装置及び方法を導入する。本開示は、位置特定を支援するためのオーバーヘッド光学投影及びレーザ追跡システム、並びに積層プロセス中に構成要素及び補強層(又は「積層」キッティングセグメント)を配置するための測定ツールを含むことができる。
【0041】
図2は、ブレード半分の長手方向(すなわち、ルートから先端までのスパン方向の図)の断面概略図を示し、複数のマーカ20がブレードスパンに沿って分布している。マーカ20は、ブレード構成要素の表面、及び/又は最小限の散乱でその源10に放射線(例えば、光)を反射する、皮膚表面上に位置決めされる再帰反射光学マーカとして構成することができる。いくつかの実施形態では、放射線源は、オーバーヘッド光学(例えば、レーザ)プロジェクタである。各プロジェクタ10は、複数のビーム11を投影することができ、各ビームは単一のマーカ20専用であり、単一のマーカ20に向けられる。いくつかの実施形態では、ビーム11の軌道は、複数のマーカ20を照射するように調整することができる。オーバーヘッドプロジェクタの相対座標は、製造プロセス中にブレード金型に対して固定することができる。同様に、いくつかの実施形態では、オーバーヘッドプロジェクタは、動作中に固定されたままであり、逆に、いくつかの実施形態では、オーバーヘッドプロジェクタは、調整することができる(例えば、横方向に、縦方向に、及び垂直方向に、例えば、金型に向かって下げる)。
【0042】
いくつかの実施形態では、マーカ20は、ブレード構成要素/表面に(取り外し可能に)取り付けられている別個のデバイス又は構成要素として構成されている。いくつかの実施形態では、各マーカ20は、源10からの光の固有のスペクトル(例えば、色)を反射することができる。追加的に、又は代替的に、マーカ20は、構成要素/表面と一体的に形成された表面特徴であり得る。マーカ20の数及び場所は、ブレード設計仕様、例えば、スパーキャップ及びせん断ウェブの数、場所及びサイズなどに応じて変化し得る。
図2に示されるように、マーカ20の分布は、均一である必要はなく、代わりに、ブレードの選択エリアに集中する必要がある。マーカ20の数、分布、及び幾何学形状は、ブレードスパンに沿って変化することができ、例えば、大きい/重い内部構成要素及び/又はより複雑な幾何学形状若しくは表面輪郭を有する場所に、例えば、ブレードの先端と比較してより多くのマーカ20がルートに近接して位置している場所に、より多くの濃度のマーカ20が存在することができる。
【0043】
図2は、ブレード構成要素200の外部表面から外向きに突出する球形、例えば半球形状を有するマーカ20の例示的な実施形態を示すが、代替形状(例えば、湾曲した、非線形、非対称)のマーカは、本開示の範囲内である。いくつかの実施形態では、マーカは、湾曲表面で構成されている。追加的に、又は代替的に、いくつかの実施形態では、マーカは、線形表面(例えば、ファセット)で形成される。示されるように、アセンブリ構成要素の本体に配置された再帰反射光学マーカ20は、オーバーヘッド投影システムが構成要素の空間位置を捕捉することを可能にする。各部品の完全な三次元追跡が所望される実施形態では、上の複数のマーカは、アセンブリアイテム上に位置する異なる点(例えば、頂部表面、左側、右側、幅など)に含まれる。
【0044】
選択されたマーカの座標は、追跡プロセスを正確に支持するように事前に決定される。したがって、参照マーカ20の場所は、ブレード金型の3D製造モデルにおいて最初に指定され、収集されることが望まれるデータと同様に、構成要素の形状に固有である。(風力タービンブレードを製作するために使用される)金型を製作するために、雄「プラグ」は、まず、金型に指定された形状を付与する構造として機能するように形成される。プラグの構築中、マーカポイントは、プラグ表面内に形成され、例えば、CNC機械加工される。その後、マーカ場所は、最終金型に移送されるか、又は最終金型内に付与され、再帰反射マーカをホスティング/受信するための座席として機能することができる。せん断ウェブ200を位置特定するためのこのプロセスの適用は、
図2~
図3に示される。
【0045】
図2に示される例示的な実施形態では、金型150が提供され、半分ブレードシェル又はスキンを形成する。複数のブレード構成要素、例えば、せん断ウェブ200及び戻りフランジ220は各々、それに取り付けられた少なくとも1つの光学メーカー20を有するように提供される。マーカは、せん断ウェブ200について示されるように、構成要素表面に直接固着又は統合することができる。追加的に、又は代替的に、マーカ20は、戻りフランジ220について示されるように、構成要素の表面から延在するアームを介して構成要素に結合される、別個の構造であり得る。アームは、そこから投影されたビーム11がフランジ構成要素220の一部分によって遮断又は中断されないように、マーカ20がオーバーヘッドプロジェクタ10の視野から不明瞭にならないように、サイズ設定、位置決め、及び関節屈曲させることができる。
【0046】
本明細書に開示される追跡システムは、ブレードアセンブリ中の様々な構成要素のずれの識別(したがって補正)を可能にする。また、本明細書に開示される追跡システムは、複数の軸又は基準面及びデータムに関する所与の構成要素のずれの識別(したがって補正)を可能にする。
図4A~
図4Dは、閉鎖プロセスにおいて最も重要な要素であるせん断ウェブ200アセンブリを追跡するプロセスを示す。
【0047】
例えば、
図4Aは、せん断ウェブが実際にブレード内にどのように位置決めされるかを示す(残りの図は、実際のせん断ウェブ場所を理想的/モデル場所と比較する)。すなわち、せん断ウェブの垂直幾何学的ずれは、本開示のシステムを使用して検出することができ、
図4Bの参照番号201によって示される、理想的/モデル場所との実際のウェブ場所(実線断面ハッチで示される)の比較を示す。ここで、ウェブ200は、モデル201の距離よりも大きい距離で上昇され、これはマーカ20によって証明され、検出及び補正することができる。
【0048】
同様に、
図4Cの参照番号202によって示されるように、本システムを使用して弦方向ずれを検出することができる。ここで、ウェブ200は、3Dモデルで定義された(ウェブ202によって証明された)予測された/理想的場所に対して誤配置され(すなわち、示されたビューの左側に配置され)、マーカ20は、この誤配置が検出され、定量化され、修正されることを可能にする。
【0049】
追加的又は代替的に、本明細書に開示されるマーカシステムは、ウェブ回転の検出を可能にする。
図4Dの参照番号203によって示されるように、3Dモデルからのウェブの垂直配向(ウェブ203によって証明される)とブレード内のウェブの実際の設置(ウェブ200によって証明される)との間の任意の変動は、検出され、定量化され、補正され得る。いくつかの実施形態では、オーバーヘッドレーザは、i)構成要素、例えば、せん断ウェブの誤配置を検出し、ii)補正指示を提供し、例えば、視覚(及び音声)支援を重ねて正しい配置を投影し、どの程度の距離及びどの方向で構成要素を正しい位置にシフトさせるべきかの手がかりをオペレータに与えることができる。
【0050】
図5A~
図5Cは、金型閉鎖動作(すなわち、半分ブレードを含む下部金型、及び半分ブレードを含む上部金型が、完全なブレードを形成するために一緒に回転される)を示す。
図5Aに示されるように、最初に、プラグ100が、表面特徴110(例えば、凹部又は開口部)を備えて形成され(例えば、上述のようなCNC機械加工)、後続の動作ステップにおけるマーカの位置決めのための場所を指定する。このプラグから、プラグの雌表面特徴110に対応する雄表面特徴130(例えば、隆起)を有する金型120が形成される。金型の残りの部分は、製造される特定のブレードの所望の形状(例えば、曲率半径、テーパなど)で形成される。
図5Bに示されるように、ブレード半分(又は「スキン」)150は、マーカを受信するように構成されたブレードスキンの外部表面内に形成された表面特徴(例えば、凹部又は開口部)151を有する金型120内に形成される。その後、少なくとも1つの金型半分120が、隣接する金型半分の頂部で枢動又は回転されて、閉鎖金型を形成し、したがって、ブレード半分の先端エッジと後端エッジとを係合して接合するようにする。
図5Cに示されるように、金型半分120を開放すると、マーカ20は、形成された製品が設計仕様を満たすことを確認するために、及びその後の動作中の追跡のために、表面特徴151に組み込むことができる。
【0051】
シェルプラグからブレードの空力表面に基準点を転送することにより、オーバーヘッドレーザ投影システムは、ブレードが閉鎖した/組み立てられた状態にある場合でも、ブレードをリアルタイムで追跡することができる。これは、破砕状態(金型閉鎖中)又は不適切な結合(例えば、先端エッジ/後端エッジに沿った)などの問題を識別するのに役立つだけでなく、例えば、温度変動による金型の任意の時間依存の変形を捕捉することを可能にする。
【0052】
このため、本開示のシステムは、金型内の複数の構成要素の空間位置を測定し、任意の組み立て誤差を検証するプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、マーカは、それぞれのブレード構成要素及び/又は表面に恒久的に結合される。いくつかの実施形態では、マーカは、適切に組み立てられたブレードからマーカを取り外し、必要に応じて後続の動作でリサイクル又は再利用できるように、それぞれのブレード構成要素及び/又は表面に取り外し可能に結合することができる。
【0053】
図6に示すように適切な設計を考慮することによって可能になる空間位置追跡アプローチを実装するための閉鎖構成要素(例えば、レイアップ中のスパーキャップ及び戻りフランジの配置)の外側の他の多くの用途がある。本開示が識別することができるいくつかの例示的な誤差又は構成要素の誤配置は、接合フランジ(中央図)が、3Dモデルによって指定された場所(断面シェーディングのないフランジを参照)から誤って内側/外側に横方向に変位する場合である(実線断面フランジを参照)。更に、本開示は、接合フランジ(閉鎖する前に上型半部と下型半部との間に取り外し可能に挿入することができる)が、下型に対して回転したかどうかを検出することができる。
【0054】
ここで
図6の画像の第2の行を参照すると、本開示は、スパーキャップが上部金型の閉鎖時に、ブレードスキン内の所望の深さを超えて圧縮されたか若しくは下方に押されたか、又は今後圧縮されるか若しくは下方に押されるかどうか(中央の図に示されるように)を検出することができる。更に、スパーキャップの任意の弦方向の誤配置を検出することができる(右の図に示されるように)。
【0055】
本開示の別の態様によれば、本明細書の光学マーカによって検出された変位のいずれも、識別され、定量化又は測定され得る(マーカの位置が既知であり、構成要素の位置決めが3Dモデルから既知であるため)。これらの2つの既知の値セットから、デルタを実行して、ブレード構成要素が3Dモデルの場所と一致するように、どのくらいの距離で、どの方向にシフトされるべきかを決定することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ルートセクション内に位置する構造/表面は、ブレードの先端セクション内に設置されたパネルピースよりも多くのマーカを有することができる。いくつかの実施形態では、全てのマーカはプロジェクタによって標的化されるが、他の実施形態では、所与の構成要素の選択マーカのみがレーザビームを用いた標的化のために指定される。例えば、輪郭がパネルにわたって変化している金型の領域では、より多くのマーカを指定して、金型の勾配を正確に捕捉するためのより高い密度マッピングを提供することができる。
【0057】
投影座標は、全ての光学プロジェクタに、又はいくつかの実施形態では、選択プロジェクタのみに送信することができる(例えば、金型/ブレードのルートセクションの上方に存在するそれらの光学プロジェクタにのみ送信されるルートマーカ投影場所)。また、投影ファイルは、キー(例えば、インターネットプロトコルパケットのアドレッシングと同様のプレフィックス又はサフィックス)を含むことができ、これは、2つの特定の投影ファイルが金型内の隣接するパネルに向けられるときに、連続した方法で維持されることを通知する。
【0058】
工場フロアでのコア配置プロセス中、投影されたレーザ線は、モデルから逸脱している構造/表面を識別するために使用される。いくつかの実施形態では、逸脱の識別は、事前定義された公差範囲で自動的に(例えば、光学カメラ)実行され得る。追加的に、又は代替的に、逸脱の識別は、オペレータによる手動検査を介して実行され得る(又は最初に自動的に実行された場合は確認され得る)。許容可能な限界を超える逸脱が特定されると、構造/表面は、所望に応じて再位置決め又は破棄される。また、構造/表面が許容可能な公差を超えて逸脱した場合にアラートを通知して、この逸脱を強調することができる。いくつかの実施形態では、逸脱が対処されたことの確認は、後続の投影パターンが投影されるために入力されなければならない。
【0059】
許容可能な誤差/逸脱の大きさは、使用される材料、及び所与のブレードの動作環境に依存し得る。いくつかの実施形態では、許容可能な誤差又は許容可能な誤差は、ブレード位置に沿って、及びブレード位置にわたって変化し得る。例えば、許容可能な公差誤差、又は範囲逸脱は、材料遷移及び/又は厚さ遷移の場所において、並びに先端エッジ及び後端エッジに沿って小さくすることができる。
【0060】
図2~
図6に示される例示的な実施形態では、一連のレーザ(11)は、風力タービン金型の上方に配置され、製造プロセス中にパターンを金型の上に下向きに投影する。レーザプロジェクタの数は、ブレードの長さ、及び金型表面に対するプロジェクタの高さに依存する。この例示的な実施形態におけるプロジェクタの位置は固定されているが、レーザビーム反射が3D輪郭を作成するために移動可能であるように、各プロジェクタに組み込まれたガルボ駆動ミラーを含む。示されるレーザは、独立して固定位置に装着されているが、レーザプロジェクタの全て又はサブセットが互いに対して相対移動することができる代替的な構成が企図される。例えば、レーザプロジェクタは、ブレード金型に対してその垂直位置を調整することができ、例えば、より高い解像度のより焦点を合わせた線を提供するように、天井から降下して金型に近い位置に位置決めすることができる。プロジェクタは、ブレード金型(及び/又はその中に配設され得る任意の積層材料)上に投影するための所定のパターンでプログラムすることができる。各ブレード設計は、異なる投影パターンを必要とすることができ、したがって、投影システムに入力される独自のプログラムを必要とすることができる。
【0061】
開示される主題は、特定の好ましい実施形態の観点から本明細書に記載されるが、当業者は、その範囲から逸脱することなく、開示される主題に様々な修正及び改善が行われ得ることを認識するであろう。更に、開示される主題の一実施形態の個々の特徴は、本明細書で論じられてもよく、又は一実施形態の図面に示されてもよく、他の実施形態では示されていなくてもよいが、ある実施形態の個々の特徴が、別の実施形態の1つ以上の特徴又は複数の実施形態の特徴と組み合わせられてもよいことは明らかであるべきである。
【国際調査報告】