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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ライナー及び回転タンクアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240214BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547201
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022070056
(87)【国際公開番号】W WO2022170288
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】17/167,542
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザンバーガー,ニール エイ.
(72)【発明者】
【氏名】オルブライト,スティーブン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】スタメン,デニス シー.
(72)【発明者】
【氏名】シェーライン,ブライアン エル.
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA03
4F041AB01
4F041BA32
4F041BA34
4F042AA12
4F042AB00
4F042BA09
4F042CA01
4F042DH09
(57)【要約】
【解決手段】 ライナー用の回転タンクアセンブリが提供される。ライナーは、複数の容器クロージャにコンパウンドを塗布するように構成されている。回転タンクアセンブリは、コンパウンドタンクと、所望のレベルまで前記コンパウンドをタンクに充填するように構成された充填管と、コンパウンドタンク内におけるコンパウンドの高さを測定するセンサアセンブリと、充填管及びセンサアセンブリをコンパウンドタンクに枢動可能に結合するように構成された回転ユニオンアセンブリとを含む。センサアセンブリが必要なプローブは1つのみである。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器クロージャにコンパウンドを塗布するように構成されたライナー用の回転タンクアセンブリであって、
コンパウンドタンクと、
前記コンパウンドを所望のレベルまで前記コンパウンドタンクに充填するように構成された充填管と、
前記コンパウンドタンク内の前記コンパウンドの高さを測定するように構成されたセンサアセンブリと、
前記充填管及び前記センサアセンブリを前記コンパウンドタンクに枢動可能に結合するように構成された回転ユニオンアセンブリと、
を備えており、
前記センサアセンブリは単一のプローブのみを必要とする、回転タンクアセンブリ。
【請求項2】
前記単一のプローブはガイドパルス式レベルセンサである、請求項1に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項3】
前記コンパウンドタンクは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側で前記第1の端部から遠位に配置された第2の端部と、内径を有する内部と、前記第1の端部と前記第2の端部の間の距離によって規定される高さとを含む概ね円筒状の本体を備える、請求項1に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項4】
前記コンパウンドタンクの内径は5.125インチ未満である、請求項3に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項5】
前記コンパウンドタンクの内径は約2.750インチである、請求項4に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項6】
前記回転ユニオンアセンブリは、第1の回転ユニオンと第2の回転ユニオンとを備える、請求項3に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の回転ユニオン及び前記第2の回転ユニオンの少なくとも一方は空気式回転ユニオンであり、前記回転タンクアセンブリは、前記空気式回転ユニオンに結合された幾つかの空気導管を含む圧縮空気アセンブリを更に備えている、請求項6に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項8】
前記コンパウンドタンクの概ね円筒状の本体は、外周を有する外面と、前記外周の周りで径方向に延びる複数のリブとを更に含んでおり、前記幾つかの空気導管は複数の空気導管であり、前記複数のリブは、前記円筒状の本体の外面で前記複数の空気導管を径方向に間隔を置いた関係に維持するように構成されている、請求項7に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項9】
前記回転タンクアセンブリは、前記コンパウンドタンクの内部にタンクインサートがない、請求項3に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項10】
前記センサアセンブリは、前記単一のプローブを電気的に接続する又は切り離すためのクイックコネクタを含む、請求項1に記載の回転タンクアセンブリ。
【請求項11】
ライナーであって、
ベースと、
前記ベースに動作可能に結合され、複数の容器クロージャにコンパウンドを塗布するように構成された処理アセンブリであって、回転タンクアセンブリを含む処理アセンブリと、
コンパウンドタンクと、
前記コンパウンドを所望のレベルまで前記コンパウンドタンクに充填するように構成された充填管と、
前記コンパウンドタンク内の前記コンパウンドの高さを測定するように構成されたセンサアセンブリと、
前記充填管及び前記センサアセンブリを前記コンパウンドタンクに枢動可能に結合するように構成された回転ユニオンアセンブリと、
を備えており、
前記センサアセンブリは単一のプローブのみを必要とする、ライナー。
【請求項12】
前記単一のプローブはガイドパルス式レベルセンサである、請求項11に記載のライナー。
【請求項13】
前記コンパウンドタンクは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側で前記第1の端部から遠位に配置された第2の端部と、内径を有する内部と、前記第1の端部と前記第2の端部の間の距離によって規定される高さとを含む概ね円筒状の本体を備える、請求項11に記載のライナー。
【請求項14】
前記コンパウンドタンクの内径は5.125インチ未満である、請求項13に記載のライナー。
【請求項15】
前記コンパウンドタンクの内径は2.750インチである、請求項14に記載のライナー。
【請求項16】
前記回転ユニオンアセンブリは、第1の回転ユニオンと第2の回転ユニオンとを備える、請求項13に記載のライナー。
【請求項17】
前記第1の回転ユニオン及び前記第2の回転ユニオンの少なくとも一方は空気式回転ユニオンであり、前記回転タンクアセンブリは、前記空気式回転ユニオンに結合された幾つかの空気導管を含む圧縮空気アセンブリを更に備えている、請求項16に記載のライナー。
【請求項18】
前記コンパウンドタンクの概ね円筒状の本体は、外周を有する外面と、前記外周の周りで径方向に延びる複数のリブとを更に含んでおり、前記幾つかの空気導管は複数の空気導管であり、前記複数のリブは、前記円筒状の本体の外面で前記複数の空気導管を径方向に間隔を置いた関係に維持するように構成されている、請求項17に記載のライナー。
【請求項19】
前記回転タンクアセンブリは、前記コンパウンドタンクの内部にタンクインサートがない、請求項13に記載のライナー。
【請求項20】
前記センサアセンブリは、前記単一のプローブを電気的に接続する又は切り離すためのクイックコネクタを含む、請求項11に記載のライナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年2月4日に出願された米国特許出願第17/167,542、発明の名称「ライナー及びライナー用回転タンクアセンブリ」について優先権を主張する。
【0002】
<技術分野>
開示される概念は概ね、容器クロージャ用の機械に関しており、より詳細には、例えば缶エンドのような容器クロージャにコーティング材を塗布するためのライナーに関する。開示される概念はまた、ライナー用タンクアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
一般にコンパウンドと呼ばれているシーラント材を容器クロージャの下面に塗布することは、例えば、ビール/飲料缶及び食品缶のような容器へのクロージャのその後のシーリング取り付け(例えば、限定ではないが、シーミング(seaming))を容易にすることが知られている。
【0004】
ロータリーライナー機械は、例えば、一般に缶蓋、シェル、又は缶エンドと呼ばれている容器クロージャに、比較的大量の用途で比較的高速でラインを引く(即ち、シーラント又はコンパウンドを塗布する)ために使用される。ロータリーライナーは一般に、チャックアセンブリを有するベースを含む。枢動上側タレットアセンブリは、チャックアセンブリの上方に配置され、電動タンクアセンブリと、回転コンパウンドタンクアセンブリと、周囲に配置された幾つかの流体分配装置(例えば、シーラント又はコンパウンドガン)とを備える。下側タレットアセンブリがチャックを回転させる。ダウンスタッカは、缶エンドをスターホイールに供給し、次にスターホイールは、チャックアセンブリの対応するチャック部材と協働して缶エンドを支持して、流体分配装置に対して回転させる。
【0005】
具体的には、スターホイールは缶エンドをチャック部材上で回転させ、チャック部材はカムによって持ち上げられて缶エンドを受け取る。チャック部材はその後、缶エンドの回転を開始する。これは一般に「プリスピン(pre-spin)」と呼ばれている。缶エンドが所望の回転速度に達すると、流体分配装置によって缶エンドにシーラントが塗布される(例えば、限定ではないが、スプレーされる)。これは、一般的に「スプレータイム」と呼ばれている。シーラントが塗布された後、缶エンドは、シーラントを滑らかにするために比較的短い時間回転し続ける。これは、一般的に「ポスト・スピン・タイム」と呼ばれている。最後に、カムがチャック部材と缶エンドを下降させ、各缶エンドは取り出されて、アンローディングガイドを介してロータリーライナーから排出される。
【0006】
欠点の中でもとりわけ、従来のロータリーライナーの設計は、速度の制限と、回転タンク、特にタンク内のコンパウンドの高さを測定するために使用されるセンサアセンブリに関連した運転及びメンテナンスの問題とに悩まされている。より具体的には、コンパウンドは、充填バルブを介してタンクに入る。充填バルブは、複数のレベル検知プローブから受信した信号に基づいて開閉される。センサアセンブリは、典型的には、3つのレベルセンサ(即ち、検知プローブ)を、つまり、「空」読取値を検出するための低レベルセンサと、「フル」又は「高レベル」読取値を測定するための中間レベルセンサと、「オーバーフロー」読取値を検出するための上レベルセンサとを含む。低レベルセンサは一般的に、常にコンパウンドに浸漬される。時間の経過と共に、コンパウンドはタンク内で乾燥し、レベルセンサ間に「ブリッジ」(即ち、レベルセンサ間の接続、即ち「ブリッジ」を形成する乾燥コンパウンドの固結集積物(consolidated collections))を形成する可能性がある。このような「ブリッジ」は、電流がセンサプローブからセンサプローブへと通る電流経路を生成して、それによって信号と関連する測定値とに悪影響を及ぼす。その結果、ライナー機械を停止し、タンクアセンブリを分解して洗浄し、再び組み立てて、正常な運転を回復しなければならなくなる。
【0007】
加えて、タンクアセンブリが(例えば、約180~262.5rpmで)回転すると、コンパウンドは誘導された遠心力の影響を受ける。それによって、コンパウンドは、タンクの壁に向かって外向きに流動し、その結果、コンパウンドは壁で上昇し、タンクの外側部分で、タンクの中心に対してより高い高さになる。これは、タンク内のコンパウンドの高さを一貫して測定することを困難にする。この問題に対処するために、機械的インサートを使用して、コンパウンドがタンクの外側の壁を上昇する際にコンパウンドの流れを止める試みがなされてきた。このようなインサートには固有の欠点がないわけではなく、タンクの回転速度が増加するにつれて前述の問題の全てが悪化する。
【0008】
従って、ライナー及びライナー用タンクアセンブリには改善の余地がある。
【発明の概要】
【0009】
これらの要請及びその他の要請は、ライナー及びライナー用のタンクアセンブリに関した開示される概念の実施形態によって満たされる。利点の中でもとりわけ、タンクアセンブリは信頼性の高い運転をもたらし、ライナーの高速運転と生産量の増加とを可能にする。
【0010】
開示される概念の一態様では、回転タンクアセンブリが、複数の容器クロージャにコンパウンドを塗布するように構成されたライナー用に提供される。回転タンクアセンブリは、コンパウンドタンクと、所望のレベルまである量のコンパウンドでタンクを充填するように構成された充填管と、コンパウンドタンク内のコンパウンドの高さを測定するように構成されたセンサアセンブリと、充填管及びセンサアセンブリをコンパウンドタンクに枢動可能に結合するように構成された回転ユニオンアセンブリとを備える。センサアセンブリが必要なプローブは1つのみである。
【0011】
コンパウンドタンクは、第1の端部と、第1の端部の反対側で第1の端部から遠位に配置された第2の端部と、内径を有する内部と、第1の端部と第2の端部の間の距離によって規定される高さを含む概ね円筒状の本体とを備えてよい。コンパウンドタンクの内径は5.125インチ未満であってよい。
【0012】
単一プローブは、ガイドパルス式レベルセンサであってよい。センサアセンブリは、単一プローブを電気的に接続する又は切り離すためのクイックコネクタを含んでよい。
【0013】
前述の回転タンクアセンブリを含むライナーも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付図面と併せて読むことで、好適な実施形態に関する以下の説明から十分に理解することができる。
【0015】
図1図1は、開示された概念の実施形態によるライナー及びそのためのタンクアセンブリの等角図である。
図2図2は、従来のタンクアセンブリの等角図であって、開示されたタンクアセンブリとの比較のみを目的として提供される。
図3図3は、図2を線3-3に沿って破断した断面図である。
図4図4は、開示された概念の一実施形態に基づいたタンクアセンブリの等角図である。
図5図5は、図4のタンクアセンブリの側面図である。
図6図6は、図4を線6-6に沿って破断した断面図である。
図7図7は、図4を線7-7に沿って破断した断面図である。
図8図8は、タンクアセンブリの分解等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
開示される概念によるタンクアセンブリは、シーラント又はコンパウンドを容器クロージャに塗布するためのロータリーライナーに関して使用されるものとして本明細書に示されて説明されている。しかしながら、それは、他の用途において多種多様な他のタイプの機器及び機械(図示せず)を用いて容器クロージャを搬送するために代替的に使用されてよいことは理解されるであろう。
【0017】
本明細書で使用される方向表現、例えば、上、下、時計回り、反時計回りやその派生語は、図示される要素の向きに関連しており、特許請求の範囲に明示されない限り特許請求の範囲を限定するものではない。
【0018】
図面に示されており、本明細書で説明される特定の要素は、開示される概念の単なる例示的な実施形態である。従って、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法、向き、及びその他の物理的特性は、開示される概念の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0019】
本明細書で使用されるように、用語「容器クロージャ」、「缶エンド」、「シェル」、及び/又は「蓋」は、概ね同義であって、容器の内容物をその中に密封するために容器(例えば、限定されないが、ビール/飲料缶、食品缶)の開放端に適用される(例えば、限定されないが、シーミングされる)任意の既知の又は好適なクロージャ部材を指すために実質的に互換的に使用される。
【0020】
本明細書で使用する場合、「シーラント」及び/又は「コンパウンド」という用語は、一般に同義であり、実質的に互換的に使用され、容器クロージャの表面に塗布される(例えば、限定的に、スプレーされる)公知の又は適切なコーティングを指す。
【0021】
本明細書で使用されるように、用語「生産量」はライナーの生産量を指しており、好ましくは、1分当たりの容器クロージャで測定され、当該業界ではより一般的に「1分当たりのエンド数」(epm)と呼ばれている。
【0022】
本明細書で使用されるように、2つ以上の部品が互いに「結合される」という記載は、部品が直接互いに接続される、或いは、1又は複数の中間部品を介して接続されることを意味する。
【0023】
本明細書で使用されるように、用語「幾つか」は、1又は1より大きい整数(即ち、複数)を意味する。
【0024】
ライナー機械100、例えば、限定するものではないが、図1に示されるロータリーライナー機械100は、缶エンド50にライニングを施す(即ち、シーラント(図示せず)又はコンパウンド(図示せず)を塗布する)ために使用される。ライナー機械100は、一般に単に「ライナー」と呼ばれており、開示される概念の一実施形態に従った回転タンクアセンブリ200(図4~8に最も良く示されている)を採用している。
【0025】
図1に示すように、ライナー100は一般に、処理アセンブリ104を有するベース102を含む。処理アセンブリ104は、幾つかの回転チャック108を有するチャックアセンブリ106と、チャックアセンブリ106の上方に配置された枢動上側タレットアセンブリ110とを含む。枢動上側タレットアセンブリ110は、電動タンクアセンブリ112と、前述の回転タンクアセンブリ200と、周囲に配置された幾つかの流体分配装置120(例えば、シーラントガン又はコンパウンドガン)を含む。下側タレットアセンブリ(図示せず)がベース102内に配置されており、チャック108を回転させるように構成されている。例示のライナー100は8つのガン120を含んでおり、各ガン120は、チャックアセンブリ106における対応する回転チャック108と関連している。しかしながら、チャック108及びガン120又は他の流体分配装置(図示せず)について、任意の適切な代替的な数及び構成(図示せず)が、開示される概念の範囲から逸脱することなく使用されてよいことは理解されるであろう。処理アセンブリ104は、例えば、限定するものではないが、同一出願人による米国特許出願第17/140,330号に開示されている構造及び特徴を含んでよく、その内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書の一部となることも理解されるであろう。
【0026】
従来のタンクアセンブリ2を採用した上側タレットアセンブリ10が、図示及び開示される概念のタンクアセンブリ200との比較の目的で、図2及び図3に示されている。上側タレットアセンブリ10は、内部軸受14及びシール16を有する回転ユニオン12を含んでいる。タンクアセンブリ2は、充填管20と、複数のセンサ(即ち、レベルプローブ)24,26,28を有するセンサアセンブリ22と、充填インサート30とを含んでおり、これらは全て図3の断面図に最も良く示されている。3つの別個のレベルプローブ24,26,28(例えば、低レベルセンサ24、中間レベルセンサ26、上レベルセンサ28)が必要とされており、充填管20と共に、プローブ24,26,28の間でコンパウンド40(図3の仮想線で簡略化して示す)の「ブリッジング(bridging)」が生じる可能性がある。即ち、コンパウンド40は、図3に簡略化された形態で仮想線で示される略図60を用いて例示的に示されているように、幾つかのプローブ24,26,28及び/又は充填管20をまとめて接続又は「ブリッジング」し得る。上述したように、このようなブリッジングは、望ましくない電気通信を引き起こし、プローブ24,26,28の誤動作や動作精度の誤差を生じさせる可能性がある。
【0027】
更に図3では、タンクアセンブリ2が比較的高速(例えば、約180~262.5rpmの間)で回転することから、コンパウンド40が遠心力の影響を受けやすいことが示されている。即ち、コンパウンド40は、遠心力によって、タンクアセンブリの内側側壁の径方向の拘束に抗して外向きに押しやられて、図示されるように、内側側壁を登って凹面プロファイルを形成する傾向がある。これは、コンパウンド40の実際の高さを正確に測定することを困難にする。この問題は、幾つかの事項によって悪化し、それらの事項には、タンクの直径dが比較的大きいこと、タンクの回転速度が比較的高いことが含まれる。図2及び図3の例のタンクの直径dは5.125インチである。前述の充填インサート30は、このような問題に対処し、最小限に抑えるために採用されている。しかしながら、充填インサート30の有効性は限られており、図3に示すように、タンクアセンブリ2内の貴重な容積を占めるという欠点もあることは理解されるであろう。
【0028】
図1及び図4図8に関して非常に詳細に説明されるように、開示される回転タンクアセンブリ200は、前述の問題に対処し、克服するように独自に設計されている。
【0029】
図4及び図5と、図6及び図7の断面図とに示されるように、回転タンクアセンブリ200は、好ましくは、コンパウンドタンク202と、ある体積のコンパウンド300(図6及び図7に簡略化された形態で示されている)でコンパウンドタンク202を所望のレベルまで充填するように構成されている充填管204と、コンパウンドタンク202内のコンパウンド300の高さを測定するように構成されているセンサアセンブリ210と、回転ユニオンアセンブリ220とを含む。回転ユニオンアセンブリ220は、図6及び図7の断面図(図8の分解図も参照)に最も良く示されているように、充填管204及びセンサアセンブリ210をコンパウンドタンク202に枢動可能に結合するように構成されている。
【0030】
ユニークな特徴の中でもとりわけ、回転タンクアセンブリ200のセンサアセンブリ210は、図6~8に最も良く示されているように、単一のプローブ212しか必要とせず、実際、単一のプローブ212しか使用していない。図2及び図3に関して上述したように、従来のタンクアセンブリ2とそのセンサアセンブリ22は、複数(例えば、3つ以上)の検知プローブ24,26,28を必要としている。これは、種々の問題をもたらし、それら問題には、限定ではないが、誤動作又は動作エラーを引き起こすプローブ間でのコンパウンドの蓄積と「ブリッジング」(図3に簡略化された形態で示されるコンパウンドブリッジ60を参照)の前述の困難性が含まれる。それはまた、メンテナンスを必要とし、より具体的には、検知アセンブリ22の適切な機能を回復するために、機械の動作を停止し、機械を分解して、コンパウンドブリッジ60を除去する必要がある。
【0031】
例示的な単一プローブ212はガイドパルス式レベルセンサであり、メンテナンスフリーの動作のためにガイドパルス技術を利用する。即ち、単一のプローブ212は、例えば、限定ではないが、泡立ち、硬化による流体蓄積、タンク202内の障害物、凝縮、流体特性の変化、脈動などの問題に対して耐性がある。従って、開示されるセンサアセンブリ210は、複雑さを軽減すると共に、信頼性がより高い動作を可能にする。好ましくは、単一プローブ212及び充填管204は、図6及び図7の断面図に最も良く示されているように、回転軸400から等距離に取り付けられている。これは、アセンブリの個々の部材にかかる力を制限するためであり、泡立ちを最小限に抑える、又は無くすためでもある。前述の利点に加えて、例示的なガイドパルス式レベルセンサ212は、連続的なコンパウンドレベル読み取り値を提供するという利点も提供する。これに対して、前述の従来の検知プローブ24,26,28は、離散的な検知能力(例えば、低レベル、高レベル、緊急停止)しか提供しない。従って、開示されたセンサアセンブリ210とその単一プローブ212とは、コンパウンドタンク202内のコンパウンド300のレベルをより正確且つ一貫して測定するための改善された性能をもたらす。
【0032】
引き続き図6及び図7を参照すると、コンパウンドタンク202は、第1の端部208と、第1の端部208の反対側にあって第1の端部208から遠位に配置された第2の端部211と、内径Dを有する内部214と、第1の端部208と第2の端部211の間の距離によって規定される高さ216とを含む概ね円筒状の本体206を備えることが理解されるであろう。内径Dは5.125インチ未満であり、好ましくは約2.750インチである。これは、従来のコンパウンドタンク2(図2及び図3)の直径d(図3)よりも相対的に著しく小さいことは理解されるであろう。利点の中でもとりわけ、開示されたコンパウンドタンク202の内径Dが小さいため、回転に伴う遠心力の影響をあまり受けない。このことは、図6及び図7の断面図に示されたコンパウンド300の液面240を参照すれば理解されるであろう。この表面は、図3の従来のタンク2におけるコンパウンド300の液面40と比較して、顕著な凹形状を有していない。これは、回転速度が(例えば、限定ではないが、約262.5rpmから約375rpmまで)上昇した場合にも当て嵌まる。コンパウンドタンク202内のコンパウンド300のより動的でないこの流体挙動は、より一貫しており予測可能な動作をもたらすことから、有利である。コンパウンドタンク202の内部214で利用可能な内部体積が減少するのは事実であるが、タンクインサート30(図3)が不要になることで相殺される。充填管204を介したコンパウンド300の流量は重要である。具体的には、コンパウンドタンク202を比較的短い期間で充填しない又は空にしないことが望ましい。つまり、流入する流体の流れは、流出する流れよりも僅かに大きくして、充填サイクル中にタンク内の流体レベルをゆっくりと、十分に制御して上昇させるべきである。例示の目的で、図6のコンパウンド300の流体レベルは、コンパウンド300のレベルが低減されている図7と比較して、満杯であるように示されている。
【0033】
図4~7と、図8の分解図とを参照すると、開示された回転タンクアセンブリ200の回転ユニオンアセンブリ220は、好ましくは、第1の回転ユニオン222と第2の回転ユニオン224を含むことは理解されるであろう。図6及び図7の断面図と、図8の分解図とに最も良く示されているように、第1の回転ユニオン222及び第2の回転ユニオン224の少なくとも一方は、空気式回転ユニオンである。図示の例では、第1の回転ユニオンのみが空気式回転ユニオン222であり、第2の回転ユニオンは機械式回転ユニオン224である。回転タンクアセンブリ200は、圧縮空気アセンブリ240と複数の空気導管250とを更に含む。空気導管250は夫々、図8に最も良く示されているように、径方向に間隔をあけて空気式回転ユニオン222に結合されている。
【0034】
本明細書に図示されて説明された実施例では、コンパウンドタンク202の概ね円筒形の本体206は、外周を有する外面270を更に含む。複数のリブ272,274(2本が図示されている)が周囲を放射状に延びている。空気導管250は空気式回転ユニオン222に結合されており、リブ272,274によって支持されている。即ち、リブ272,274は、図4図5及び図8に示すように、コンパウンドタンク202の円筒状の本体206の外面270上で、空気導管250を半径方向に間隔をあけた関係に維持する構造となっている(図6及び図7の断面図も参照)。
【0035】
図8に最も良く示されているように、センサアセンブリ210は、単一プローブ212を比較的迅速且つ容易に電気的に接続する又は切り離すためのクイックコネクタ280を含むのが好ましい。このようなクイックコネクタ280は、利点の中でもとりわけ、センサアセンブリ210の手動配線の必要性を排除し、それ故に、設計の複雑さを更に簡略化する。
【0036】
従って、開示された回転タンクアセンブリ200は、先行技術(prior art)のタンクアセンブリ2(図2及び図3)と比較して、ライナー100(図1)の性能を向上させることは理解されるであろう。利点の中でもとりわけ、センサアセンブリの単一のプローブ212とコンパウンドタンク202の設計は、比較的複雑でないシステムをもたらして、より一貫しており信頼性の高い動作を提供する。ガイドパルス式レベルセンサ212は、コンパウンドのブリッジング(図3に簡略化された形で示されるコンパウンドブリッジ60を参照)などの既知の問題を回避しながら、連続的なコンパウンドレベル読取り値を提供する。コンパウンドタンク202の比較的小さい内径Dはまた、タンクアセンブリ200とその中のコンパウンド300の回転に関連する不利な流体力学を最小限にし、それによって、任意のタンクインサート(例えば、図3のタンクインサート30を参照)の必要性を排除し、また、タンク202の回転速度、一般的にライナー100の動作速度が増加すること(例えば、限定ではないが、最大約375rpm以上)を可能にして、生産量を改善する。
【0037】
発明の具体的な実施形態が詳細に説明されたが、本開示の全体的な教示に照らしてそれらの詳細に対する様々な修正及び代替がなされ得ることは当業者には理解されるであろう。従って、開示された特定の構成は、例示であることのみを意図されており、添付の特許請求の範囲及びその任意の且つ全ての均等物の全範囲として与えられる、開示された概念の範囲に対する限定ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】